(実施例1)
[投射表示装置の構成]
以下に、本願の一実施例を、図面を参照しながら説明する。図1に、本願の実施例1における照明装置2およびこの照明装置2を備えた投射表示装置(プロジェクタ)1の光学図を示す。この図1に示すように、実施例1の投射表示装置1は、照明装置2と、制御部3と、導光光学系4と、画像生成部5と、投影光学系6と、を備えている。この投射表示装置1は、投影面であるスクリーンScに画像を投影して拡大表示する装置である。
[照明装置2]
照明装置2は、青色光、緑色光、黄色光、赤色光を、時分割で順次に、またはこれらを組み合わせて(混合して)出射する装置である。照明装置2は、導光光学系4の後述するライトトンネル4aへ向けて、各色の光(光束)を出射する。この照明装置2の構成の詳細については、後述する。
[導光光学系4]
導光光学系4は、照明装置2から出射された光を、画像生成部5に導くものである。導光光学系4は、ライトトンネル4aと、複数の集光素子4b、4cからなりライトトンネル4aから出射する光をリレーする集光光学系4dと、を有している。ライトトンネル4aは、照明装置2から出射された光が入射するものであり、内部を中空とする筒状を呈し、その内側面にミラーが設けられた構成を有している。ライトトンネル4aは、その内部で光の反射を繰り返すことにより、入射された光の輝度分布を均一化する機能、すなわち、入射された光の光量むらをなくす機能を有している。集光素子4bは、ライトトンネル4aを経て輝度分布が均一化された光(光束)を適宜集光して、画像生成部5の後述する反射ミラー(被照射部)5aへと導く。なお、ライトトンネル4aは、照度均一化手段としての一例であり、フライアイレンズなどの他の均一化手段を採用してもよい。
[画像生成部5]
画像生成部5は、導光光学系4により導かれた光を用いて、画像生成データに基づくフルカラーの画像を形成するものである。画像生成部5は、反射ミラー5aと、光変調素子5bと、を有している。反射ミラー5aは、導光光学系4により導かれた光を光変調素子5bへ向けて反射し、当該光変調素子5bへと進行させる。
光変調素子5bは、制御部3の後述する画像処理制御部3aに接続されており、この画像処理制御部3aによって駆動制御される。この光変調素子5bは、照明装置2から出射されて導光光学系4により導かれた各色の光を、画素毎に諧調制御することでカラー投影画像を形成する。また、光変調素子5bは、実施例1では、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス;Digital Micromirror Device)で構成されている。このDMDからなる光変調素子5bは、画素単位のマイクロミラーを有し、画像処理制御部3aの制御下で、各マイクロミラーが異なる2つの角度のいずれかとされた状態を維持することが可能とされている(いわゆる、2値制御)。すなわち、光変調素子5bの各マイクロミラーは、導光光学系4により導かれた各色の光を投影光学系6へ向けて反射する角度(ON状態)と、当該各色の光を内部の吸収体へ向けて反射して外部に出射させない角度(OFF状態)と、のいずれかの状態となる。このため、光変調素子5bでは、各マイクロミラーが個別に駆動(2値制御)されることにより、表示する画素毎に投影する光を制御することができる。また、光変調素子5bでは、例えば、パルス幅変調方式(PWM方式)により各マイクロミラーのON状態の時間比率を調整することで、表示する画素毎における階調表現を行うことができる。
なお、実施例1および以降の実施例では、上述のように光変調素子5bとしてDMDを用いているが、本願の光変調素子5bがDMDに限定されることはない。照明装置2から出射されて導光光学系4により導かれた各色の光を利用してカラー投影画像を形成するものであれば、例えば、光変調素子5bとして液晶を用いてもよい。
[投影光学系6]
投影光学系6は、画像生成部5の光変調素子5bにより生成された投影画像をスクリーンScに投影する。この投影光学系6は、固定鏡筒に設けられた固定レンズ群や可動鏡筒に設けられた可動レンズ群を備えている。この可動レンズ群を移動させることにより、フォーカス調整やズーム調整を行うことが可能となっている。
[制御部3]
制御部3は、投射表示装置1の全体の動作を統括制御するものであり、画像処理制御部3aと、インターフェース3bとを有している。制御部3のハードウェア構成としては、CPU(中央処理ユニット;Central Processing Unit)、ROM(リードオンリーメモリ;Read Only Memory)、RAM(ランダムアクセスメモリ;Random Access Memory)等を有して構成される。制御部3の画像処理制御部3aは、ROMに予め記憶されているプログラムに従って、RAMをワークメモリとして用いて、以下のように投射表示装置1の各部を駆動制御する。
画像処理制御部3aは、照明装置2の後述する光源ユニット10、光路切り替え素子14の駆動部14m、および、色選択素子17の駆動部17m、並びに、画像生成部5の光変調素子5b、および、投影光学系6の可動レンズ群の駆動機構(図示せず)等に接続されている。これにより、画像処理制御部3aは、照明装置2における各色の光の出射制御処理、画像生成部5の光変調素子5bにおける投影画像の生成制御処理、投影光学系6におけるフォーカス調整やズーム調整の調整制御処理を実行する。
また、制御部3は、外部情報機器に対するインターフェース3bを有している。外部情報機器としては、画像データ等が記憶された画像情報源(記憶部)7aを備えたパーソナルコンピュータ7等が挙げられる。画像処理制御部3aは、インターフェース3bを介して、パーソナルコンピュータ7等の外部情報機器の画像情報源(記憶部)7aから、画像データ等を取り込むことができる。この取り込んだ画像データに対して、画像処理制御部3aは適宜の画像処理を施し、画像生成部5の光変調素子5bで投影画像を生成するのに適合する画像生成データを生成する。次いで、画像処理制御部3aは、生成した画像生成データに基づいて、画像生成部5を駆動する駆動信号を生成し、この駆動信号を画像生成部5に向けて出力する。このとき、画像処理制御部3aは生成した画像生成部5の駆動信号に同期させた照明装置2の出射制御信号を生成し、この出射制御信号を照明装置2に向けて出力する。
画像処理制御部3aは、出射制御信号により照明装置2を駆動制御するとともに、駆動信号により画像生成部5を駆動制御する。この制御により、画像処理制御部3aは、画像の一フレーム期間内に、照明装置2から、青色(B)の波長帯域の光と、緑色(G)の波長帯域の光と、黄色(Y)の波長帯域の光と、赤色(R)の波長帯域の光と、を、時分割で順次切り替えて出射させる。また、画像処理制御部3aは、照明装置2から出射される各色の光の出射のタイミングに同期して、画像生成部5における光変調素子5bの各マイクロミラーを個別に駆動する。この制御により、投射表示装置1では、投影光学系6から、画像生成データに基づく各色の投影画像を、図1に示すスクリーンScに順次投影させる。以上の動作により、投射表示装置1では、目の残像現象を利用して、画像生成データに基づくフルカラーの画像をスクリーンScに生成する。
[照明装置2の詳細]
次に、本願に係る照明装置の一実施例としての照明装置2の構成について、図1〜図3を用いて説明する。図2は、照明装置2で用いる光路切り替え素子14の拡大平面図であって、励起光の入射側から見た図である。図3は、照明装置2で用いる色選択素子17の拡大平面図であって、照明光の入射側から見た図である。
実施例1の照明装置2は、光源としての光源ユニット10と、光路分離素子11と、1/4波長板(π/4板)12と、少なくとも1つのレンズからなる第3集光素子13と、光路切り替え素子14と、波長変換部材15と、少なくとも1つのレンズからなる第4集光素子16と、色選択素子17と、を備えて構成される。光源ユニット10、光路切り替え素子14、および、色選択素子17は、画像処理制御部3aに接続され、その動作が制御されている。照明装置2は、青色(B)の波長帯域の光と、緑色(G)の波長帯域の光と、黄色(Y)の波長帯域領域の光と、赤色(R)の波長帯域の光とを、単一の出射光路Piからライトトンネル4aへ向けて、時分割で順次に出射する。
光源ユニット10は、青色の波長領域の第一の光を発生する。この青色光は、第一の照明光および励起光として使用される。光源ユニット10は、固体発光素子(光源)としての複数の青色レーザダイオード(半導体レーザ、LDともいう。以下、「LD光源」と呼ぶ)10aと、複数のカップリングレンズ10bと、第1集光素子(集光レンズ)10cと、第2集光素子(集光レンズ)10dと、を備えて構成される。実施例1のLD光源10aは、波長λA(400nm<λA<470nm)の青色レーザ光を発生する。LD光源10aを備える光源ユニット10は、第一の照明光を生じさせる照明光源として機能するとともに、後述するように、波長変換部材15の蛍光体15bで第二の照明光としての蛍光を生じさせる励起光源として機能する。カップリングレンズ10bは、各LD光源10aに対応して複数設けられている。
各青色LD光源10aから発せられた第一の光(青色光)は、ある角度で発散し発光するので、カップリングレンズ10bで平行光として取り出される。複数のカップリングレンズ10bからの複数の平行光束は、第1集光素子10c、第2集光素子10dにより束ねられ、LD光源10aの配列間隔よりも小さな光束幅とされる。この小さな光束幅となった第一の光(青色光)は、光路分離素子11、1/4波長板12、第3集光素子13を通過した後、反射部14aと透過部14bとが時間的に交互に切り替わる光路切替え素子14(図2参照)に導かれる。
なお、光源として、青色のLD光源10aの代わりに、青色光を発する発光ダイオード(LED)や、紫外域の波長領域を生じるレーザダイオード(LD)を用いてもよいし、これらを複合した光源を用いてもよい。また、本実施例では、このように第一の光として青色光を発する青色光源を用いているが、本願がこれに限定されることはなく、青色以外の色の光を発する光源を用いて、青色光以外の色の光を第一の光とし、この第一の光を第一の照明光または励起光として用いてもよい。
光路切り替え素子14は、第一の光(青色光)を反射して第一の照明光とする機能と、第一の光(青色光)を透過させて波長変換部材15に導き励起光として作用させる機能とを有する。この実現のため、光路切り替え素子14は、第一の光(青色光)を反射させる反射部14aと、第一の光(青色光)を透過させる透過部14bとを有し、この反射部14aと透過部14bとが、第一の光(青色光)の光路Oi中に時間的に交互に配置されるようにしている。このような光路切り替え素子14として、例えば、図2に示すように、円形の基板14cが、反射部14aの領域(セグメント)と透過部14bの領域(セグメント)とに分割(セグメント化)され、電動モータ等の駆動部14mに駆動されて回転するミラーホイール等を好適に用いることができる。このミラーホイールからなる光路切り替え素子14では、駆動部14mに駆動されて基板14cが回転することにより、反射部14aと透過部14bとが交互に光路Oi上に現われる。また、基板14cとして、透明基板を用い、この透明基板上の一部に反射膜F(図8(a)参照)を設けて反射部14aを形成するのが好ましく、光路切り替え素子14を簡易に形成することができる。
また、光路切り替え素子の他の具体例として、高輝度反射を得られる金属板を用い、この金属板の一部を切り欠くことで、この切り欠き部分を透過部とし、金属板部分を反射部としてもよい。また、光路切り替え素子として、電気光学素子を利用した、光スイッチング素子を用いてもよい。また、実施例1では、光路切り替え素子14を回転することで反射部14aと透過部14bとを入れ替えるような構成としているが、本願がこれに限定されることはない。他の異なる例として、反射部と透過部とを設けた光路切り替え素子を、励起光の光路Oiに対して往復移動させることで、反射部と透過部とを切替えてもよい。
このような光路切り替え素子14を用いることで、光源ユニット10からの第一の光(青色光)は、反射部14aで反射され、この反射された光(反射光)は照明光として利用される。この照明光を、便宜上第一の照明光とする。反射部14aで反射された反射光は、第一の光(青色光)と同じ光路Oiを逆向きに進行する。この反射光を、第一の照明光として取り出すために、第一の光(青色光)と反射光とを分離する必要があるが、その実現のために、光路分離素子11が、光源ユニット10と光路切り替え素子14の間に配置されている。
この光路分離素子11は、光源ユニット10から出射した第一の光(青色光)を透過させ、光路切り替え素子14で反射した第一の照明光(青色光)および波長変換部材15から生じた第二の光(第二の照明光)を反射して出射光路Pi上に導く機能を有する。この光路分離素子11の好適な例として、第一の光または第一の照明光に対しては、これらの光路を互いに分離する偏光ビームスプリッタ(偏光分離素子)として機能し、第二の照明光に対しては、この第二の照明光を選択的に反射させるダイクロイックミラーとして機能する光学素子を用いるのがよい。すなわち、反射部14aで反射した反射光を、第一の光(青色光)と分離して、第一の照明光として出射光路Pi上に導く第一の光路分離手段としての機能と、光路切り替え素子14を透過した後の第二の光を、第一の照明光と同一の出射光路Pi上に導く第二の光路分離手段としての機能とを兼ね備えた一の光学素子を用いるのがよい。そのため、第一の光路分離手段と第二の光路分離手段とが一体に設けられた光学素子を用いるのがよい。このような光学素子として、偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter、以下「PBS」と呼ぶ)が好適に挙げられる。このようなPBSを光路分離素子11として用いることにより、効率の高い青色の照明光を得ることができ、明るい照明装置2を実現することができる
図4に、このPBSの分光透過率特性の代表例を示した。図4(a)は、PBSのP偏光に対する分光透過率特性を示し、図4(b)は、S偏光に対する分光透過率特性を示す。この図4(a)、(b)からわかるように、このPBSは、波長445nm〜495nmのP偏光の青色光、すなわち、第一の光(青色光)を透過させ、S偏光の青色光、すなわち、1/4波長板12により所定方向の偏光(S偏光)にされた第一の光(青色光)は反射させる。また、青色光以外の可視光帯域の光、すなわち、波長495nm〜570nmの緑色光、波長570nm〜590nmの黄色光、および、波長620nm〜750nmの赤色光は、偏光特性に関わらず反射する。本実施例の光路分離素子11として、このような分光透過率特性を有するPBSを用いるのが好ましい。
上記のような分光透過率特性を有する光路分離素子11を用いる前提として、本実施例では、LD光源10aの偏光特性を生かし、LD光源10aからの光の偏光をそろえて取り出している。図1に示す実施例1では、LD光源10aからの第一の光(青色光)をP偏光として取り出して、光源ユニット10から出射させている。この光源ユニット10から出射したP偏光の第一の光(青色光)は、青色のP偏光を透過し青色のS偏光を反射する光路分離素子11を通過し、1/4波長板12を通過することで円偏光となる。その後、第3集光素子13により束ねられ、光路切り替え素子14へと導かれる。また、光路切り替え素子14で反射された第一の光(青色光)は、励起光の光路Oiを逆にたどって第3集光素子13を介して、再び1/4波長板12を通過することで、S偏光の光(青色光)、すなわち、第一の照明光(青色光)となる。このS偏光の第一の照明光(青色光)は、青色のP偏光を透過し青色のS偏光を反射する光路分離素子11により反射され、出射光路Piに導かれて、第4集光素子16に向かって進行する。
波長変換部材15は、光路切り替え素子14の透過部14bを透過した第一の光(青色光)、すなわち、励起光により励起されて、第一の光(青色光)とは異なる波長帯域の第二の光(第二の照明光)を生じる機能を有する。本実施例の波長変換部材15は、基板15aと、この基板15aの表面に設けられた蛍光体15bとで構成されている。この蛍光体15bとしては、短波長の光を受けて、より長波長の光を発するものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、励起光として青色の波長帯域(400nm<λA<470nm)の光を受けて、λB(450nm<λC<600nm)の緑色光およびλC(580nm<λB<750nm)の赤色光を含むλD(450nm<λD<750nm)の黄色蛍光(黄色光)を生じる蛍光体15b等が好適である。この黄色光を生じる蛍光体として、例えば、YAG系の黄色の蛍光体が好適に用いられる。以上のような構成の実施例1に係る照明装置2では、青色の第一の照明光と、黄色の第二の照明光と、2色の照明光を得ることができ、これらを合算して白色の光を得ることが可能となる。この波長変換部材15から生じた第二の光(黄色光)は、図1に示すように、光路Oiを逆にたどって第3集光素子13、1/4波長板12を通過した後、青色光以外の波長帯域を反射する光路分離素子11によって反射される。この反射により、第二の光(黄色光)は、励起光である第一の光(青色光)と分離され、第二の照明光として出射光路Piに導かれ、第四集光素子16に向かって進行する。
なお、実施例1では、波長変換部材15を回転や往復移動させることのない構成とし、蛍光体15bへの励起光の照射位置を特に変化させていない。蛍光体からの所望の発光特性を常時得ることができれば、このように、蛍光体15bの位置を固定してもよい。しかし、本願の波長変換部材15が実施例1の構成に限定されることはなく、波長変換部材の他の異なる具体例として、円板状の基板に蛍光体を設けたホイールを用い、この波長変換部材を電動モータ等の駆動部で回転させるような構成としてもよい。また、波長変換部材を、長尺な板形状の基板の表面に、長尺方向に延びる蛍光体を設けた構成とし、この波長変換部材を長尺方向に往復移動させてもよい。いずれの場合でも、励起光に対して蛍光体が回転移動または往復移動することで、励起光の照射位置が時間的に変化して、蛍光体の同一箇所に集中して照射されることがない。そのため、蛍光体からの蛍光の生成効率の低下や、蛍光体の発光特性の劣化等を抑制して、より優れた発光特性を得ることができる。
ここで、光路切り替え素子14と波長変換部材15との配置関係について説明する。光源ユニット10から出射した励起光としての第一の光(青色光)が、光路切り替え素子14を通過した直後に、波長変換部材15に入射するように、光路切り替え素子14と波長変換部材15とを、できるだけ近接して配置することが望ましい。実施例1では、波長変換部材15に黄色の蛍光体15bを設けているが、この黄色の蛍光体15bと、光路切り替え素子14とが、できるだけ近接して配置されていることが望ましい。このような配置により、第二の照明光である黄色光を、できるだけ損出を抑えて取り込むことができる。また、蛍光の取り込みをより多くするためには、第3集光素子13と蛍光体15bとを近接させることが有効であるが、光路切り替え素子14の基板14cの厚み(0.7mm〜1.1mm程度)を確保する必要がある。したがって、第3集光素子13と蛍光体15bとの距離は、現実的には1mm以上、5mm以内とすることが望ましい。
光路分離素子11により反射された第一の照明光および第二の照明光は、同一の出射光路Piに合成され、第4集光素子16に導かれた後に、この第4集光素子16によって束ねられて、色選択素子17に入射する。この色選択素子17は、円形の平板17eが、複数の扇状の領域(セグメント)に分割されて構成されている。実施例1では、図3に示すように、円形の平板17eが、青色(B)領域(第1領域)17a、緑色(G)領域(第2領域)17b、黄色(Y)領域(第3領域)17c、赤色(R)領域(第4領域)17dの4つの扇状の領域(セグメント)に分割されている。これらの青色領域(第1領域)17a、緑色領域(第2領域)17b、黄色領域(第3領域)17c、赤色領域(第4領域)17dは、それぞれ、λAの青色光、λBの緑色光、λDの黄色光、λCの赤色光を選択して透過させる光学特性(分光特性)を有している。このような光路分離素子11が、軸心に設けられた回転モータ等の駆動部17mにより回転することで、第一、第二の照明光の出射光路Pi中に配置される領域(セグメント)が切り替わる。この出射光路Pi中に配置された領域(セグメント)で透過される色に応じて、青色、緑色、黄色、または、赤色の単色の光が取り出されることになる。なお、黄色(Y)領域(第3領域)17cでは、λDのうち、λd(570nm<λd<590nm)の波長帯域の光を透過させるようにしてもよく、色純度のより高い黄色光を得ることができる。
また、青色領域(第1領域)17a、緑色領域(第2領域)17b、黄色領域(第3領域)17c、赤色領域(第4領域)17dで透過させるそれぞれの色の波長帯域は、λA、λB、λD(λd)、λCに限定されることはない。例えば、青色光を取り出す青色領域(第1領域)17aでは、λAの波長帯域のすべてを透過させてもよいが、λAの範囲内で、より狭い特定の波長領域を選択して透過させ、余分な波長領域の光をカットするようにしてもよい。これにより、青色光の色味を自由に調整することができるとともに、色純度を向上させることができる。さらに、青色領域(第1領域)17aで、例えば、450nm付近のより狭い波長領域を透過させるようにすれば、色純度のより高い青色光を得ることができる。
同様に、第二の照明光(黄色光)から緑色光を選択して透過させる緑色領域(第2領域)17b、黄色光を透過させる黄色領域(第3領域)17c、赤色光を選択して透過させる赤色領域(第4領域)17dでも、λB、λD(λd)、λCの範囲内で、より狭い特定の波長領域を選択して透過させてもよい。これにより、余分な波長領域の光をカットして、緑色光、黄色光、赤色光の色味を自由に調整することができるとともに、それぞれの色純度を高めることができる。また、緑色領域(第2領域)17bで、例えば、525nm付近の狭い波長領域を透過させるようにすれば、色純度のより高い緑色光を得ることができる。また、黄色領域(第3領域)17cで、例えば、580nm付近のより狭い波長領域を透過させるようにすれば、色純度のより高い黄色光を得ることができる。また、赤色領域(第4領域)17dで、例えば、640nm付近のより狭い波長領域を透過させるようにすれば、色純度のより高い赤色光を得ることができる。
また、色選択素子17は、図1に示すように、電動モータ等の駆動部17mが軸心に設けられている。この駆動部17mは、制御部3により駆動制御される。駆動部17mが駆動されることで、色選択素子17が回転駆動される。色選択素子17は、図3に示す矢印方向に、1秒間に120回転するものとし、1フレーム(例えば、1/60秒、または、倍速の1/120秒)の間に例えば1回転されるものとしている。この回転により、第一の照明光および第二の照明光の共通の出射光路Pi上に、青色領域(第1領域)17a、緑色領域(第2領域)17b、黄色領域(第3領域)17c、赤色領域(第4領域)17dが、この順に時分割で配置される。そのため、照明装置2からは、青色の照明光、緑色の照明光、黄色の照明光、赤色照明光が、この順に時分割で出射される。
また、色選択素子17の回転に対応して、光路切り替え素子14も制御部3により回転が制御されている。この制御により、色選択素子17の各領域(17a〜17d)の出射光路Pi中への配置順序に対応して、励起光の光路Oi中で反射部14aと透過部14bとが切替わる。より詳細には、色選択素子17の青色領域(第1領域)17aが出射光路Pi中に配置されているとき、光路切り替え素子14の反射部14aが、励起光の光路Oi中に配置される。また、緑色領域(第2領域)17b、黄色領域(第3領域)17c、赤色領域(第4領域)17dが出射光路Pi中に配置されているとき、光路切り替え素子14の透過部14bが、励起光の光路Oi中に配置される。
次に、光路切り替え素子14による励起光の反射位置と、波長変換部材15との位置関係の好適な実施形態について、図8を用いて説明する。図8(a)は、励起光の反射部14aとして設けられた反射膜Fと波長変換部材15との好適な位置関係を示す概略図である。図8(b)は、比較例の位置関係であり、反射膜Fと波長変換部材15との位置関係が、図8(a)とは異なる位置関係の比較例を示す概略図である。図8(a)に示すように、実施例1では、光路切り替え素子14を、有限の厚みのある透明基板からなる基板14c上に反射膜Fを一部設けて反射部14aとした構成としている。実施例1では、反射膜Fを、基板14cの励起光の入射側とは反対側の波長変換部材15側(蛍光発光側)に設け、この反射膜Fを反射部14aの反射面としている。このような配置関係とすることで、波長変換部材15で波長変換された第二の照明光の発光位置と、反射部14aで反射された第一の照明光の集光位置とが近い構成となるので、第一の照明光および、第二の照明光を取り込むカップリング効率が高くなる。
これに対して、図8(b)の比較例に示すように、反射部14aの反射面(反射膜F)を、基板14cの励起光の入射側に設けた場合は、励起光が反射部14aで反射された後に集光する。そのため、第一の照明光の集光位置と、蛍光体15bでの第二の照明光の発光位置とが離れてしまうので、蛍光体15bの面上に焦点を合わせた第3集光素子13では、この第3集光素子13での第一の照明光の集光取り込み具合が低下する。すなわち、光利用効率を低下させてしまう。しかしながら、実施例1のように、反射面を励起光の入射側とは反対側の波長変換部材15側に設けたことにより、第一の照明光、および、蛍光体15bからの第二の照明光の取り込みを、より大きくすることができる。以上のように、光路切り替え素子14の励起光の反射部14aを、励起光の入射側とは反対側に設けたことで、第一の照明光、および、第二の照明光を取り込むカップリング効率が高くなり、より明るい照明装置2を実現することができる。
以上のような構成の照明装置2での第一、第二の照明光の生成について、説明する。まず、図6の第一の照明光(青色光)の生成時の光路を示す光学図、および、光路切り替え素子14の状態と色選択素子17の状態とを示す概略図を用いて、第一の照明光の生成について説明する。この図6に示すように、光源ユニット10から出射したP偏光の光(青色光)は、P偏光を透過し、S偏光を反射する光路分離素子11を通過し、1/4波長板12を通過することで円偏光となる。
この円偏光の第一の光(青色光)は、その後、第3集光素子13により束ねられ、光路切り替え素子14へと導かれる。このとき、第一の光(青色光)の光路Oiには、図6に示すように、光路切り替え素子14の反射部14aが配置されている。そのため、光路切り替え素子14に入射した第一の光(青色光は、反射部14aによって反射され、光路Oiを逆にたどって第3集光素子13を介して、1/4波長板12を通過する。このように、P偏光の第一の光(青色光)が光路Oiの往復で1/4波長板12を2回通過することで、S偏光の第一の光(青色光)、すなわち、第一の照明光となる。このS偏光の第一の照明光(青色光)は、青色のP偏光を透過しS偏光を反射する光路分離素子11により反射されて、出射光路Piに導かれる。そして、第一の照明光(青色光)は、出射光路Pi中に配置された第4集光素子16に束ねられた後に、スポット状の光SP3となって色選択素子17に入射する。この第一の照明光(青色光)の入射の際には、色選択素子17では、図6に示すように、青色領域(第1領域)17aが出射光路Pi中に配置されている。そのため、第一の照明光(青色光)は、この青色領域(第1領域)17aを透過して、ライトトンネル4aへ向けて出射する。
次に、第二の照明光の生成について説明する。この第二の照明光の生成の際には、第一の光(青色光)の光路Oiには、光路切り替え素子14の透過部14bが配置される。また、第二の照明光の出射光路Piには、色選択素子17の緑色(G)領域(第2領域)17b、黄色(Y)領域(第3領域)17c、または、赤色(R)領域(第4領域)17dが配置される。光源ユニット10からのP偏光の光は、光路Oiを進行して、光路切り替え素子14の透過部14bを通過し、その透過光路上に設けられた波長変換部材15の蛍光体15bを照射する。すなわち、光源ユニット10からのP偏光の第一の光(青色光)は、励起光として作用する。この励起光により励起され、波長変換部材15の蛍光体15bは、励起光とは異なる波長帯域を有する第2の光(黄色光)を発生する。この第二の光(黄色光)を第二の照明光とする。
波長変換部材15から生じた第二の光(黄色光)は、励起光と同じ光路Oiを逆向きに通過し、光路切り替え素子14の透過部14bを通過する。このように、光路切り替え素子14を通過した第二の光(黄色光)の光路は、励起光の光路Oiと重なる。ここで、第二の光(黄色光)は無偏光であるので、1/4波長板12をそのまま通過し、青色光以外の可視光帯域の光を反射させる光路分離素子11で反射される。したがって、先述のS偏光の第一の照明光(青色光)と同様に、波長変換部材15からの第二の光(黄色光)は、光路分離素子11で反射されることで励起光と分離され、第二の照明光(黄色光)として取り出され、出射光路Piに導かれる。この第二の照明光(黄色光)は、色選択素子17に入射し、出射光路Pi中に配置された緑色(G)領域(第2領域)17b、黄色(Y)領域(第3領域)17c、または、赤色(R)領域(第4領域)17dによって緑色光、黄色光、または、赤色光が選択されて透過し、ライトトンネル4aへ向けて出射する。
[投射表示装置1による各色の画像の生成シーケンス]
以下、図5を用いて、実施例1の投射表示装置1における各色の画像の生成シーケンスについて、照明装置2による照明手順(照明動作)およびこのときの画像生成部5で生成される画像に基づいて説明する。図5は、照明装置2から各色の光を出射するための各部の状態と、画像フレームと、画像生成部5での画像生成タイミングとの関係を示す説明図である。すなわち、図5では、照明光として取り出される色、LD光源10aの発光状態、光路切り替え素子14の状態、色選択素子17での選択色(透過色)、画像フレーム、画像生成部5での画像生成タイミングの関係を、タイムチャートで示している。
この図5に示すように、実施例1の投射表示装置1では、画像生成データの第nフレーム目において、制御部3の制御の下、青色(Bn)、緑色(Gn)、黄色(Yn)、赤色(Rn)の画像が、画像生成部5(光変調素子5b)によって生成される。この各色の画像の生成タイミング(生成期間)に同期して、照明装置2では、以下のような手順によって、青色、緑色、黄色、赤色の照明光を、時分割で順次に出射し、画像生成部5の光変調素子5bに照射する。この光変調素子5bにより、青色、緑色、黄色、赤色の各光が、表示画素毎に階調制御された後、投影光学系6を介して投射表示装置1から出射され、スクリーンScに投影されることで、目の残像現象を利用して、カラーの拡大画像が表示される。以下、詳細に説明する。
図5に示すように、光路切り替え素子14では、光路Oi上に、反射部14aが配置される期間(以下、「反射期間」と呼ぶ)と、透過部14bが配置される期間(以下、「透過期間」と呼ぶ)が存在する。反射期間は、青色の画像の生成期間、すなわち、第一の光(青色光)が第一の照明光として使用される期間である。透過期間は、緑色、黄色、および、赤色の画像の生成期間、すなわち、第一の光(青色光)が第二の照明光を生じさせる励起光として使用される期間である。なお、照明装置2では、制御部3の制御の下、光源ユニット10のLD光源10aは、常時点灯(ON)状態となっている。
まず、反射期間である青色の画像の生成期間において、制御部3(画像処理制御部3a)によって生成された青色の画像(Bn)が、画像生成部5の光変調素子5bに表示される。光源ユニット10から出射したP偏光の第一の光(青色光)は、前述したように、光路Oi上を進行して光路分離素子11に入射し、この光路分離素子11を透過して1/4波長板12で円偏光される。この円偏光となった第一の光(青色光)は、第3集光素子13によって集光されて、有限の大きさの光束(図6のSP1)となって光路切り替え素子14に入射する。青色の画像の生成期間では、第一の光(青色光)の光路Oiには、光路切り替え素子14の反射部14aが配置される(反射期間)。そのため、図6を用いて説明したように、第一の光(青色光)は反射部14aによって反射され、光路Oiを逆にたどって第3集光素子13で束ねられ、1/4波長板12を通過し、S偏光の第一の光(青色光)となる。
このS偏光の第一の光(青色光)は、光路分離素子11により反射されることで、P偏光の第一の光(青色光)と分離され、第一の照明光(青色光)として取り出された後、出射光路Piに導かれる。そして、第一の照明光(青色光)は、出射光路Pi中に配置された第4集光素子16に束ねられ、有限の大きさの光束(図6のSP3)となって色選択素子17に入射する。この第一の照明光(青色光)の入射の際(反射期間)には、図5、図6に示すように、出射光路Pi中に色選択素子17の青色領域(第1領域)17aが配置される。そのため、第一の照明光(青色光)は、この青色領域(第1領域)17aを透過して、ライトトンネル4aへ向けて出射する。
次に、第二の照明光の生成と出射について説明する。ここでは、図7を用いて、第二の照明光(黄色光)を生成し、この第二の照明光(黄色光)から、具体的に緑色光を取り出した状態を説明する。この図7は、第二の照明光を用いた緑色光生成時の光路を示す光学図、および、光路切り替え素子14の状態と色選択素子17の状態とを示す概略図である。第一の光(青色光)の透過期間においては、図7に示すように、光路Oi中に、光路切り替え素子14の透過部14bが配置される。また、この透過期間のうち、緑色の画像の生成期間では、制御部3(画像処理制御部3a)によって生成された緑色の画像(Gn)が、画像生成部5の光変調素子5bに表示される。これに対応して、照明装置2では、図5、図7に示すように、照明光の出射光路Pi中に、色選択素子17の緑色領域(第2領域)17bが配置される。
光源ユニット10から出射したP偏光の青色光は、図7に示すように、光路Oi上を進行して光路分離素子11に入射し、この光路分離素子11を透過して1/4波長板12で円偏光され、第3集光素子13によって集光されて、光路切り替え素子14に入射する。緑色の画像の生成期間では、青色光の光路Oiには、光路切り替え素子14の透過部14bが配置されている(透過期間)。そのため、青色光は透過部14bを透過して、その透過光路上に設けられた波長変換部材15の蛍光体15bを、励起光として照射する。この励起光により励起され、波長変換部材15の蛍光体15bから、励起光とは異なる波長帯域を有する第二の光(黄色光)が生じる。
波長変換部材15から生じた第二の光(黄色光)は、励起光(青色光)と同じ光路Oiを逆向きに通過し、光路切り替え素子14の透過部14bを通過する。光路切り替え素子14を通過した第二の光(黄色光、図7のSP2)は、無偏光であるので、1/4波長板12をそのまま通過し、光路分離素子11で反射され、励起光(青色光)と分離され、第二の照明光(黄色光)として出射光路Piに導かれる。この第二の照明光(黄色光)は、第4集光素子16に束ねられ、有限の大きさの光束(図7のSP3)となって色選択素子17に入射することで、出射光路Pi中に配置された緑色領域(第2領域)17bによって緑色光が選択されて色選択素子17を透過し、ライトトンネル4aへ向けて出射する。
この緑色の画像の生成期間と同様に、黄色の画像の生成期間、赤色の画像の生成期間では、それぞれ、出射光路Pi中に、黄色領域(第3領域)17c、赤色領域(第4領域)17dが時分割で配置される。これにより、黄色光、または、赤色光が選択されて色選択素子17を透過し、ライトトンネル4aへ向けて出射する。
このように、照明装置2では、図3に示すように、色選択素子17は青色領域(第1領域)17a、緑色領域(第2領域)17b、黄色領域(第3領域)17c、赤色領域(第4領域)17dの4つの扇状の領域(セグメント)に分割されている。このような色選択素子17が、駆動部17mにより回転駆動され、出射光路Pi中で、照明光が通過する領域(セグメント)が切り替わることで、各領域(セグメント)の透過色に応じて、青色、緑色、黄色、赤色の単色が時分割で取り出されることになる。
以上のように時間的に分割されて得られる青色、緑色、黄色、赤色の各単色光(照明光)は、色選択素子17の出口近傍に配置されたライトトンネル4aに取り込まれる。各単色光(照明光)は、ライトトンネル4aの内部にて多重反射して均一化され、ライトトンネル4aの出口では、ある程度均一な照度分布を得られる。このライトトンネル4aから出射した単色光(照明光)は、図1に示すように、集光光学系4d(図1参照)、反射ミラー5aを介して画像生成部5の光変調素子5bに照射される。そして、投射表示装置1では、画像生成部5で生成された各色の投影画像を、投影光学系6により順次スクリーンScに投影させることで、残像現象を利用して、画像生成データに基づくフルカラーの画像をスクリーンScに生成する。
以上説明したように、実施例1の照明装置2を備えた投射表示装置1では、光源ユニット10から出射した光(青色光)を、青色の第一の照明光として使用する期間と、第一の照明光とは異なる波長帯域の第二の照明光(実施例1では黄色光)を生じさせる励起光として使用する期間とを設けている。したがって、1つの光源ユニット10で、波長帯域の異なる少なくとも二つの照明光を得ることができ、照明装置2をより簡略な構成とすることが可能となって、より小型の照明装置2および投射表示装置1を実現することができる。
また、実施例1では、波長変換部材15の蛍光体15bとして、黄色蛍光体を用いることで、第二の照明光として黄色光を生じさせ、光路分離素子11で反射させて出射光路Piに導いている。そのため、この黄色光の出射光路と青色光の出射光路とを合成して、より明るい白色を得ることができる。また、この黄色の第二の照明光から、緑色光、黄色光、赤色光といった複数の色の照明光を取り出すことができる。すなわち、取り出す光の色に応じて、色選択素子17を複数の領域(第1〜第4領域17a〜17d)に分割し、青色、緑色、赤色の光の三原色を取り出すことで、さまざまな色の照明光を生成することができる。更に、黄色光を取り出すことで、カラー画像の色味の自由度や明るさの自由度を高めることができる。したがって、小型な照明装置2でありながら、色の再現範囲を拡大できるとともに、この照明装置2を用いることで、より明るい投射表示装置1を得ることができる。
なお、光路切り替え素子14や色選択素子17に有限の大きさの光束であるため、光路切り替え素子14の反射部14aと透過部14bとの境界、および、色選択素子17の第1〜第4領域17a〜17dの境界では、隣接する色が混ざり合う混色の期間となる。この期間を有効利用して、照明光の明るさを確保してもよい。または、この混色の期間はLD光源10aを消灯(OFF)してもよく、色の混色をなくして、照明光の色の純色率(色純度)を上げることも可能となる。
また、実施例1の光路分離素子11は、第一の光(励起光)の光路と第一の照明光との光路を互いに分離する偏光ビームスプリッタとしての機能と、第二の照明光を選択的に反射させるダイクロイックミラーとしての機能とを兼ね備えている。そのため、部品点数を少なくして、より小型の照明装置2を実現することができる。しかしながら、本願がこれに限定されることはなく、第一の光の光路と第一の照明光の光路とを分離する機能を有する第一の光路分離素子と、第二の照明光を選択的に反射させる機能を有する第二の光路分離素子とを、用いてもよい。この構成でも、照明装置の小型化が実現できるとともに、第一、第二の光路分離素子のそれぞれの構成をより簡易とすることができる。
また、実施例1では、色選択素子17の第1〜第4領域17a〜17dを円周方向に等分割して、各色の光の出射期間を均一にしている。しかし、本願がこれに限定されることなく、例えば、緑色の画像の生成期間を長くすることによって、緑色の照明光の照射期間を長くして、投射画像に緑味を帯びさせること等ができる。
(実施例2)
次に、本願の実施例2に係る照明装置について、図9に基づいて説明する。図9は、実施例2に係る照明装置2Aの光学図である。この図9に示す実施例2の照明装置2Aは、光路切り替え素子14と波長変換部材15との間に、リレー光学系18を配置したこと以外は、図1に示す実施例1の照明装置2と同様の基本構成を有している。そのため、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図9に示すように、実施例2の照明装置2Aを、リレー光学系18を設けた構成とすることにより、波長変換部材15の蛍光体15bから生じた発散する蛍光(第二の照明光)を、光路切り替え素子14の近傍(蛍光の発光側の面近傍)に一度集光させることが可能となる。つまり、青色光の集光スポット径が最も小さくなるところと、第二の照明光(黄色光)の集光スポット径が最も小さくなるところとを、光路切り替え素子14上にそろえることができる。そのため、透過部14bと反射部14aとの境目を第二の照明光(黄色光)が通過する時間を短くすることができ、透過光(第二の照明光)と反射光(S偏光の青色光)とが混じるのを防ぐことが可能となる。また、このような照明装置2Aを投射表示装置(例えば、図1に示すような投射表示装置1)へ適用した際に、リレー光学系18がない場合に比べ、リレー光学系18を設けた実施例2では色の切り替えが高速に行われる。そのため、LD光源10aを消灯しなくても照明光の色の純色率を良好なものとすることができる。つまり、明るさを落とすことなく、優れた色の純色率を保持することができる。
(実施例3)
次に、本願の実施例3に係る照明装置を備えた投射表示装置について、図10〜図12に基づいて説明する。図10は、実施例3に係る照明装置2Bを備えた投射表示装置(プロジェクタ)1Bを示す光学図である。図11は、実施例3で用いる波長変換部材としての蛍光ホイール15−2の拡大平面図であって、励起光の入射側から見た図である。図12は実施例3において照明光として取り出される色、LD光源10aの発光状態、光路切り替え素子14の状態、蛍光ホイール15−2の状態、画像フレーム、および、画像生成部5で生成される画像の関係を示すタイムチャートである。
上記実施例1、実施例2では、蛍光体15bを設けた1つの(1種類の)波長変換部材15を用い、この波長変換部材15の蛍光体15bから、第二の光として黄色光を生じるように構成されている。しかしながら、本願で用いる波長変換部材が1種類に限定されることはなく、2種類以上の波長変換部材を用いてもよい。この場合、例えば、2種類以上の波長変換部材がセグメント化されたものを用いてもよい。励起光の光路中で各波長変換部材を交互に入れ替えることで、励起光により照射される照射領域が交互に入れ替わり、励起光とは異なる2種類以上の照明光を得ることができる。そして、2種類以上の波長変換部材により得られる第二、第三の照明光、またはそれ以上の照明光を、光路切り替え素子14の透過部14bを通過させた後に、これら第二、第三の照明光、またはそれ以上の照明光の出射光路を、励起光と同じ波長帯域である第一の照明光と同一の出射光路Pi上に導く。これにより、各色の照明光を、時分割で順次に出射させることができる。
このような投射表示装置を実現するため、図10に示す実施例3の投射表示装置1Bでは、3種類の波長変換部材がセグメント化された蛍光ホイール15−2を用いている。この蛍光ホイール15−2は、図10、図11に示すように、円板状基板15−2aと、この円板状基板15−2aの表面に設けられた蛍光体15−2bとで構成されている。円板状基板15−2aは、蛍光体15−2bから生じる蛍光を全反射する光学特性を有する反射部材で形成するのが望ましく、蛍光体15−2bから360度方向に生じる蛍光を、光路切り替え素子14の方向に向けて、効率よく出射させることができる。
蛍光体15−2bは、図11に示すように、円板状基板15−2aを4つの領域にセグメント化したうちの3つの領域(15−2G、15−2Y、15−2R)に設けられている。蛍光体15−2bが設けられていない領域を、第1領域15−2Wとする。また、蛍光体15−2bが設けられた3つの領域は、緑色の蛍光を生じる緑色蛍光体が設けられた第2領域15−2G、黄色の蛍光を生じる黄色蛍光体が設けられた第3領域15−2Y、赤色の蛍光を生じる赤色蛍光体が設けられた第4領域15−2Rとから構成されている。緑色の蛍光を第二の照明光、黄色の蛍光を第三の照明光、赤色の蛍光を第四の照明光とする。
蛍光ホイール15−2は、電動モータ等の駆動部15−2mにより回転駆動される。この蛍光ホイール15−2の回転は、1秒間に120回転するものとし、1フレーム(例えば、1/60秒、または、倍速の1/120秒)の間に例えば1回転されるものとしている。この蛍光ホイール15−2の回転により、第1〜第4領域15−2W、15−2G、15−2Y、15−2Rが、この順に時分割で励起光の光路Oi中に配置される。なお、蛍光体15−2bが設けられていない第1領域15−2Wは、第一の照明光(青色光)が生成される期間、すなわち、光源ユニット10からの第一の光(青色光)が光路切り替え素子14の反射部14aに反射される期間に、光路Oi中に配置される。第2〜第4領域15−2G、15−2Y、15−2Rは、光源ユニット10からの第一の光(青色光)が、励起光として光路切り替え素子14の透過部14bを透過する期間に、光路Oi中に順次配置される。このように、光路切り替え素子14と、蛍光ホイール15−2とを同期して回転駆動することで、照明装置2Bでは、1つの光源ユニット10を用いて、第一の光(青色光)を第一の照明光として得るとともに、蛍光体15−2bの第2〜第4領域15−2G、15−2Y、15−2Rから生じる緑色蛍光、黄色蛍光、赤色蛍光を、第二、第三、第四の照明光として得ることができる。したがって、実施例3では、小型な照明装置2Bでありながら、色の再現範囲を拡大することができ、明るい投射表示装置1Bを得ることができる。
また、蛍光ホイール15−2を回転させることで、蛍光体15−2b上での励起光の照射領域を時間的に変化させて、励起光のエネルギーが同一箇所に集中され続けることを防止することができる。そのため、実施例3の蛍光ホイール15−2では、蛍光体15−2bにおける蛍光の生成効率の低下や、発光特性の劣化を防止することができる。
また、複数の波長変換部材が、光路Oi中に時分割で交互に配置されるものであれば、実施例3のような蛍光ホイール15−2を回転駆動する方式に限定されることはない。例えば、複数の波長変換部材がセグメント化された部材を、往復移動させることで、各波長変換部材を光路Oi中に順次に配置するようにしてもよい。または、複数の波長変換部材が1つの部材にセグメント化されて設けられていなくともよく、複数の波長変換部材を、光路Oi中で交互に入れ替えてもよい。
[投射表示装置1Bによる各色の画像の生成シーケンス]
次に、図12を用いて、実施例3における各色の画像の生成シーケンスを説明する。実施例3でも、光源ユニット10のLD光源10aは、常時点灯(ON)状態となっている。なお、光路切り替え素子14の反射部14aと透過部14bとの境界、蛍光ホイール15−2の第2〜第4領域15−2G、15−2Y、15−2Rの境界では、隣接する色が混ざり合う混色の時間には、LD光源10aを消灯(OFF)する等して、照明光の色の純色率を高めるようにしてもよい。
反射期間、すなわち、青色の画像の生成期間では、制御部3(画像処理制御部3a)によって生成された青色の画像(Bn)が、画像生成部5の光変調素子5bに表示される。この反射期間において、照明装置2Bでは、光源ユニット10から出射する第一の光(青色光)の光路Oi中に、光路切り替え素子14の反射部14aが配置される。さらに、蛍光ホイール15−2の第1領域15−2W、すなわち、蛍光体15−2bが設けられていない領域が配置される。この状態では、光源ユニット10から出射した第一の光(青色光)は、図10に示す光路Oi上を進行し、光路分離素子11を透過した後に1/4波長板12で円偏光される。この円偏光された第一の光(青色光)は、第3集光素子13によって集光されて、光路切り替え素子14に入射し、その反射部14aで反射する。この反射した第一の光(青色光)は、光路Oiを逆にたどって第3集光素子13を介して、1/4波長板12を通過し、S偏光の第一の光(青色光)となる。このS偏光の第一の光(青色光)は、光路分離素子11で反射し、P偏光の第一の光(青色光)と分離され、第一の照明光(青色光)として取り出された後、出射光路Piに導かれ、ライトトンネル4aへ向けて出射する。ライトトンネル4aに取り込まれた第一の照明光(青色光)は、このライトトンネル4aの内部にて均一化された後、集光光学系4d、反射ミラー5aを介して画像生成部5の光変調素子5bに照射されることで、青色の投影画像が生成される。
一方、透過期間においては、光路Oi中に、光路切り替え素子14の透過部14bが配置される。また、蛍光ホイール15−2では、光路Oi中に、第2〜第4領域15−2G、15−2Y、15−2R、すなわち、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体が、この順に時分割で配置される。この透過期間では、光源ユニット10から出射した第一の光(青色光)は、図10に示す光路Oi上を進行し、光路分離素子11を透過する。その後、この第一の光(青色光))は、1/4波長板12で円偏光され、第3集光素子13によって集光されて、光路切り替え素子14の透過部14bを透過した後、励起光として蛍光ホイール15−2の蛍光体15−2bを照射する(図10参照)。
蛍光ホイール15−2では、透過期間中の緑色の画像の生成期間では、光路Oi中に緑色蛍光体が設けられた第2領域15−2Gが配置される。光路切り替え素子14の透過部14bを透過した励起光(青色光)が照射されることで、この第2領域15−2Gが励起され、緑色光(第二の照明光)を生じさせる。この緑色光(第二の照明光)は、光路Oiを逆にたどって第3集光素子13、1/4波長板12を通過した後、光路分離素子11で反射し、励起光(青色光)と分離されて出射光路Piに導かれ、ライトトンネル4aへ向けて出射する。このライトトンネル4aに取り込まれた第一の照明光(青色光)は、ライトトンネル4aの内部にて均一化された後、集光光学系4d、反射ミラー5aを介して画像生成部5の光変調素子5bに照射されることで、緑色の投影画像が生成される。この緑色の投影画像は、投影光学系6によりスクリーンScに投影される。
同様に、反射期間中の黄色の画像の生成期間では、光路Oi中に蛍光ホイール15−2の第3領域15−2Yが配置され、赤色の画像の生成期間では、光路Oi中に第4領域15−2Rが配置される。そして、励起光によって励起され、第3領域15−2Y、第4領域15−2Rから、それぞれ黄色光(第三の照明光)、赤色光(第四の照明光)が生じる。これらの照明光は、光路Oiを逆にたどって第3集光素子13、1/4波長板12を通過した後、光路分離素子11で反射し、励起光(青色光)と分離されて出射光路Piに導かれ、ライトトンネル4aへ向けて出射する。なお、図10は、赤色の第四の照明光が生成され、ライトトンネル4aへ向けて出射する様子を示している。このライトトンネル4aに取り込まれた第三の照明光(黄色光)、または、第四の照明光(赤色光)は、ライトトンネル4aの内部にて均一化される。その後、集光光学系4d、反射ミラー5aを介して画像生成部5の光変調素子5bに照射されることで、黄色または赤色の投影画像がそれぞれ生成される。この黄色または赤色投影画像は、投影光学系6によりスクリーンScに投影される。
以上、本願の照明装置および投射表示装置を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本願の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。また、前記構成部材の数、位置、形状等は各実施例に限定されることはなく、本願を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。また、上記各実施例では、投射表示装置として、スクリーン等の投影面に画像を投影して拡大表示する投影装置(プロジェクター)に適用した例を説明したが、本願がこれらの実施例に限定されることはない。例えば、半導体デバイスの制作工程でウェハー上に回路パターンを露光する露光装置としての投影装置等に適用することもできる。