JP6152652B2 - カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機発光表示装置 - Google Patents
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Description
これらの液晶表示装置や有機発光表示装置には、カラーフィルタが用いられる。例えばカラー液晶ディスプレイの場合は、バックライトを光源とし、電気的に液晶を駆動させることで光量を制御し、その光がカラーフィルタを通過することで色表現を行っている。よって液晶テレビの色表現にはカラーフィルタは無くてはならず、またディスプレイの性能を左右する大きな役目を担っている。有機発光表示装置では、白色発光の有機発光素子にカラーフィルタを用いた場合、液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
技術進化により電池容量が大きくなったとは言え、モバイルの蓄電量は有限であることに変わりはなく、その一方で画面サイズの拡大に伴い消費電力は増加する傾向にある。モバイル端末の使用可能時間や充電頻度に直結するために、カラーフィルタを含む画像表示装置は、モバイル端末の設計や性能を左右する。
そのため、近年では、顔料に比べて一般に透過率が高い、染料や、染料を沈殿剤で不溶性にしたレーキ顔料を、カラーフィルタ用の色材として用いることが検討されてきている(例えば、特許文献1〜2)。しかし、染料やレーキ顔料は、カラーフィルタ用の色材としてこれまで使用されてきた顔料に比べて、耐熱性が悪く、カラーフィルタ製造工程における高温加熱時に、着色層が退色し易いという問題があった。染料を溶解して用いる場合には、特に耐熱性が悪くなる。
それに対して、例えば特許文献3では、可溶性の染料を溶剤に溶解させて用いた着色樹脂組成物において、耐熱性の向上を目的として、酸化防止剤と、亜リン酸エステル及び/又はチオエステルとを含有させる旨が記載されている。
また、特許文献4では、青色顔料と酸化防止剤と、側鎖に4級アンモニウム塩基を有するBブロック及び4級アンモニウム塩基を有さないAブロックからなるブロック共重合体を分散剤として含む着色樹脂組成物が記載されている。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
R21は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO又は−CH2COOR24で示される1価の基であり、R22は、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R19)−CH(R20)−O]x−R21、−[(CH2)y−O]z−R21、−[CO−(CH2)y−O]z−R21で示される1価の基である。R23は炭素数1〜18のアルキル基であり、R24は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Reは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及びRkは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、Rf及びRhは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rlを有していてもよく、Rlは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
なお、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、レーキ顔料と、分散剤と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成した重合体であることを特徴とする。
本発明の組み合わせにより、上記のような効果が発揮される理由は、以下のように推定される。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、塗膜形成後の高温加熱下において、酸化の初期段階でパーオキシラジカルを捕捉し、そのパーオキシラジカルに水素を供与し、活性の高いパーオキシラジカルをやや安定なハイドロパーオキサイドとし、樹脂の劣化や色素の退色を促進するパーオキシラジカル量を低減すると推定される。
また、本発明においては染料を溶解して用いるのではなく、溶剤不溶性のレーキ顔料を分散して用いる。そして、分散剤として、上記特定の構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成した重合体と、レーキ顔料とを組み合わせて用いることにより、分散剤中の塩形成部位が同様に塩形成しているレーキ顔料に対して強く吸着することで、レーキ顔料が安定化するものと推定される。レーキ顔料の粒子表面に分散剤の酸性有機リン化合物を含む塩形成部位が局在化することで、レーキ顔料表面は、リン酸塩で被覆された状態となる。このように、レーキ顔料表面がリン酸塩で被覆されていることで、パーオキシラジカルなどの活性酸素によるレーキ顔料の色素骨格への攻撃(水素引き抜き)が抑制されているものと推定される。
通常、高温加熱下においては、活性酸素が増加するが、本発明では、上記のようにヒンダードフェノール系酸化防止剤による塗膜中の活性酸素を低減する効果と、分散剤のリン酸塩被覆によるレーキ顔料の色素骨格への活性酸素の攻撃を抑制する効果との相乗効果の結果、塗膜形成後における200℃以上の高温加熱によるポストベーク下においても、系内の活性酸素量が抑制され、レーキ顔料の酸化による退色の抑制に寄与し、輝度が非常に高い着色層が得られると推定される。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と上記特定の構造を有する分散剤とを併用すると、上記と同様の作用により、着色層の耐光性も向上できる。
以下、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる各成分、及び本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法について、詳細に説明する。
レーキ顔料とは、水に可溶性の染料をレーキ化剤(沈殿剤)で沈殿して不溶性にした有機顔料をいう。レーキ顔料は、染料由来のため、通常の顔料に比べて透過率が高いが、耐熱性が低い物が一般的に多い。
なお、以下においてカラーインデックス名を記載する場合、カラーインデックス名のうち番号のみが異なるものを列挙するときは、当該番号のみを列挙する場合がある。
酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド1、3、4、6、8、11、12、14、18、26、27、33、37、50、51、51:1、52、53、57、82、87、88、91、92、93、94、95、98、101、103、106、108、111、114、131、137、138、151、154、158、159、173、184、186、215、257、266、289、296、337;C.I.アシッドオレンジ7、10、11、12、15、19、20、22、28、30、52、56、74、127;C.I.アシッドバイオレット9、11、15、16、17、19、21、23、24、25、30、38、41、42、43、49、50、56、58、72;C.I.アシッドイエロー1、3、17、18、23、25、36、38、42、44、54、59、72、78、151;C.I.アシッドブラウン2、4、13、19、248;C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、14、15、17、18、19、20、22、24、25、34、38、40、45、48、59、61、74、75、78、80、83、86、88、90、91、92、93、93:1、97、98、100、102、103、104、108、109、110、112、113、117、119、121、123、126、127:1、129、142、145、147、167、213、230、269;C.I.アシッドグリーン3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、25、27等が挙げられる。
直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー41、77、86、87、106、107、108、109、189、190、199、264;C.I.ダイレクトバイオレット54等が挙げられる。
レーキ顔料としては、例えば、C.I.ビグメントブルー1、1:2、2、3、8、9、10、11、12、14、17:1、18、19、24、24:1、53、56、61、62、63、78;C.I.ピグメントバイオレット1、2、2:2、3、3:1、3:3、3:4、4、5、5:1、6:1、7:1、9、12、20、26、27、39;C.I.ピグメントグリーン1、2、3、4、8、9、10、12、45;C.I.ピグメントレッド48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、49:1、49:2、49:3、50、50:1、51、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57:1、58、58:1、58:2、58:3、58:4、60:1、63、63:1、63:2、63:3、64:1、68、81、81:1、81:2、81:3、81:4、82、83、84、90、90:1、151、169、172、173、174、191、193、200、237、239、247;C.I.ピグメントオレンジ17、18、19、46;C.I.ピグメントイエロー18、61、61:1、62、100、104、115、133、168、169、183、191、209、209:1、212等を挙げることができる。
ポリ酸は、複数のオキソ酸が縮合した酸である。上記ポリ酸としては、イソポリ酸イオン(MmOn)c−であってもヘテロポリ酸イオン(XlMmOn)c−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。また、一部にNa+やH+等の対カチオンが含まれていてもよい。
中でも、高輝度で耐熱性や耐光性に優れる点から、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含む無機酸のアニオンであることが好ましい。
さらに、リンタングストモリブデン酸イオン[PW10Mo2O40]3−、[PW11Mo1O40]3−、リンタングステン酸イオン[PW12O40]3−、のいずれかであることが耐熱性の点からさらに好ましい。
上記アニオンX−としては、その中でも特に、(PMoxW12−xO40)3−/3(ここで、x=0,1,2、又は3の整数)、(SiMoW11O40)4−/4、(P2MoyW18−yO62)6−/6(ここで、y=0,1,2、又は3の整数)が好適に用いられる。(SiMoW11O40)4−/4及び(P2MoyW18−yO62)6−/6(ここで、y=0,1,2、又は3の整数)の少なくとも1つを用いる場合には、耐熱性が向上する点から好ましい。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。)
A’’において、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、A’’において上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。
中でも、骨格の堅牢性の点から、A’’は、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。有橋脂環式炭化水素基の中でも、ノルボルナンが好ましい。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。例えば、A’’が2価の有機基の場合、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
中でも化学的安定性の点からR31〜R35としては、各々独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は、R32とR33、R34とR35が結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成していることが好ましい。
Ar1は炭素数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフチレン基であることがより好ましい。
1分子内に複数あるR31〜R35及びAr1は、同一であっても異なっていてもよい。R31〜R35及びAr1の組み合わせにより、所望の色に調整することができる。
中でも、1分子中に1価のアニオン性置換基を2つ以上有する有機アニオンが、色材を安定化させる点から好ましい。アニオン性置換基の具体例としても、国際公開第2012/144520号パンフレットに記載のものが挙げられ、高い酸性度によりカチオンを安定化し発色状態を維持する効果が高い点から、イミド酸基や、−SO3 −、−CF2SO3 −が好ましく、更に、−SO3 −(スルホナト基)であることが好ましい。アニオン性置換基を複数置換する場合は、同一の置換基であってもよく、異なる置換基を用いてもよい。
中でも、高輝度で耐熱性に優れる点から、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含む無機酸のアニオンであることが好ましい。
タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含む無機酸のアニオンにおいて、タングステンとモリブデンとのモル比は特に限定されないが、100:0〜90:10の無機酸アニオンであることが高輝度で耐熱性に優れる点から好ましい。
なお、一般式(VII)で表される色材としては、例えば、国際公開第2012/144520号パンフレットを参考にして調製することができる。
本発明において用いられる分散剤は、少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成した重合体である。
Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(I)におけるAは、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
例えば、Aが−COO−基を含む2価の連結基でQが上記一般式(I−a)で表される基である場合、一般式(I)で表される構成単位は下記式(I−2)で表される構造が挙げられる。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
上記R4としては、分散性の点から、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、中でも、R4がメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが更に好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素数は、1〜18が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
上記含窒素複素環基を形成する含窒素複素環式化合物としては、具体的には、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。中でも、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール等のヘテロ原子として窒素原子のみを含む含窒素複素環式化合物であることが好ましく、ピリジン、イミダゾール等の芳香族性を有する含窒素複素環基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
本発明において分散剤として用いられる重合体としては、中でも、後述する特定の構造を有するブロック共重合体、及び後述する特定の構造を有する2種類のグラフト共重合体が、レーキ顔料の分散性及び分散安定性及び樹脂組成物の耐熱性を向上し、高輝度且つ高コントラストな着色層を形成できる点から好ましい。
以下、好ましい特定のブロック共重合体、及び好ましいグラフト共重合体について、順に説明する。
本発明において前記分散剤として好ましく用いられるブロック共重合体としては、前記一般式(I)で表される構成単位を有するブロック部と、下記一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部とを有し、前記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成したブロック共重合体が挙げられる。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
上記ブロック共重合体は、一般式(I)で表される構成単位を有するブロック部を有する。一般式(I)で表される構成単位は上述の通りなので、ここでの説明は省略する。
一般式(I)で表される構成単位を有するブロック中、一般式(I)で表される構成単位は、3個以上含まれることが好ましい。中でも、分散性、及び分散安定性を向上する点から、3〜100個含むことが好ましく、3〜50個含むことがより好ましく、更に3〜30個含むことがより好ましい。
一般式(I)で表される構成単位は、レーキ顔料との親和性を有すればよく、1種からなるものであっても良いし、2種以上の構成単位を含んでいてもよい。
なお、上記構成単位の含有割合は、一般式(I)で表される構成単位を有するブロック共重合体を合成する際の仕込み量から算出される。
上記ブロック共重合体は、前記一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部を有する。当該ブロック部を有することにより、溶剤親和性をより良好にし、レーキ顔料の分散性及び分散安定性を向上する。
R11における炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であることが好ましい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−エトキシエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられ、更に置換基を有していてもよい。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
上記R14における炭化水素基は、前記R11で示したものと同様のものとすることができる。
R15は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であって、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。
また、上記一般式(II)及び一般式(II−1)で表される構成単位中のR11は、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
なお、上記構成単位の含有割合は、一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部を合成する際の仕込み量から算出される。
なお、本発明において質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
本発明において、前記分散剤として好ましく用いられるグラフト共重合体のうちの一種としては、前記一般式(I)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とを有し、前記一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成したグラフト共重合体(以下、「グラフト共重合体1」とする。)が挙げられる。
R21は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO又は−CH2COOR24で示される1価の基であり、R22は、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R19)−CH(R20)−O]x−R21、−[(CH2)y−O]z−R21、−[CO−(CH2)y−O]z−R21で示される1価の基である。R23は炭素数1〜18のアルキル基であり、R24は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
上記グラフト共重合体1は、側鎖にポリマー鎖を含む前記一般式(III)で表される構成単位を有することにより、溶剤親和性が良好になる。
前記一般式(III)において、Lは、直接結合又は2価の連結基である。Lにおける2価の連結基としては、エチレン性不飽和二重結合とポリマー鎖を連結可能であれば、特に制限はない。Lにおける2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、水酸基を有するアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、−NHCOO−基、エーテル基(−O−基)、チオエーテル基(−S−基)、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。なお、本発明において、2価の連結基の結合の向きは任意である。すなわち、2価の連結基に−CONH−が含まれる場合、−COが主鎖の炭素原子側で−NHが側鎖のポリマー鎖側であっても良いし、反対に、−NHが主鎖の炭素原子側で−COが側鎖のポリマー鎖側であっても良い。
上記R18及びR22おいて、x、y及びzは、前記R4で示したものと同様のものとすることができる。
当該ポリマー鎖の溶解性は、グラフト共重合体1を調製する際のポリマー鎖を導入する原料が上記溶解度を有することを目安にすることができる。例えば、グラフト共重合体1にポリマー鎖を導入するために、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含む重合性オリゴマーを用いた場合、当該重合性オリゴマーが上記溶解度を有すれば良い。また、エチレン性不飽和二重結合を有する基を含むモノマーにより共重合体が形成された後に、共重合体中に含まれる反応性基と反応可能な反応性基を含むポリマー鎖を用いて、ポリマー鎖を導入する場合、当該反応性基を含むポリマー鎖が上記溶解度を有すれば良い。
なお、上記構成単位の含有割合は、一般式(I)で表される構成単位を有するグラフト共重合体1を合成する際の仕込み量から算出される。
例えば、側鎖にカルボキシル基を有する共重合体に、末端にグリシジル基を有するポリマー鎖を反応させたり、側鎖にイソシアネート基を有する共重合体に、末端にヒドロキシ基を有するポリマー鎖を反応させたりして、ポリマー鎖を導入することができる。
なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
また、本発明において、前記分散剤として好ましく用いられる別のグラフト共重合体としては、側鎖に前記一般式(I)で表される構成単位を含むポリマー鎖を有する下記一般式(III’)で表される構成単位と、上記一般式(III)で表される構成単位とを有し、前記一般式(III’)で表される構成単位が有するポリマー鎖に含まれる前記一般式(I)で表される構成単位の窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成したグラフト共重合体(以下、「グラフト共重合体2」とする。)が挙げられる。
また、前記一般式(III’)中、Polymer’における前記一般式(I)で表される構成単位を有するポリマー鎖としては、本発明の効果が損なわれない限り、前記一般式(I)で表される構成単位以外の構成単位、例えば、前記一般式(IV)で表される構成単位を含んでいても良い。
前記一般式(III’)中のポリマー鎖における前記一般式(I)で表される構成単位の割合は、20質量%以上であることが好ましく、更に50質量%以上であることが好ましい。
前記グラフト共重合体2は、本発明の効果が損なわれない限り、前記一般式(III’)で表される構成単位及び前記一般式(III)で表される構成単位以外に、更にその他の構成単位を含んでいても良い。その他の構成単位としては、例えば、前記一般式(III’)で表される構成単位や前記一般式(III)で表される構成単位を誘導するマクロモノマーと重合可能な、エチレン性不飽和結合を有するモノマー由来の構成単位が挙げられる。その他の構成単位を含むことにより、前記グラフト共重合体2合成時に重合反応の進行を促進することができる場合がある。一方でその他の構成単位を含むことにより、良好なレーキ顔料の分散性等が妨げられる場合があるので、組み合わせるレーキ顔料や用途に合わせて適宜調整する。
上記グラフト共重合体2は、特開2011−75661号公報を参考にして調製することができるが、当該方法に限定されず、上述のグラフト共重合体1に記載した方法と同様にして製造することが可能である。
本発明の分散剤は、上記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成(以下、リン酸塩変性と称することがある。)した重合体である。
本発明においては、酸性有機リン化合物を用い、一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位を塩形成することにより、同様に塩形成しているレーキ顔料に対して強く分散剤が吸着することでレーキ顔料の分散性及び分散安定性が向上する。更に、レーキ顔料の粒子表面に分散剤の酸性有機リン化合物を含む塩形成部位が局在化することで、レーキ顔料表面がリン酸塩で被覆された状態となるため、活性酸素によるレーキ顔料の色素骨格への攻撃(水素引き抜き)が抑制される。このように、本発明においては、高透過率のレーキ顔料が、良好に分散した状態で、高温加熱時の退色を抑制されることから、高輝度な着色層を形成できる。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Reは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及びRkは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、Rf及びRhは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rlを有していてもよく、Rlは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
上記アルキル基やアルケニル基は置換基を有していても良く、当該置換基としては、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
また、上記アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
Ra、Ra’及びRbにおいて、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
置換基Rlにおける、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基は、前記Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及びRkにおけるものと同様のものとすることができる。
本発明において有機ホスホン酸モノエステル化合物とは、有機ホスホン酸が有する2つの酸性基のうちの一つがエステル化された、下記一般式(VI−2)の構造を有するものである。
Rnにおける炭化水素基、−[CH(Rc)−CH(Rd)−O]s−Re、又は−[(CH2)t−O]u−Reで示される1価の基は、上記一般式(VI)におけるRaと同様のものとすることができる。
また、分散剤の含有量は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物中のレーキ顔料の種類や樹脂組成物中の固形分濃度等に応じて適宜設定されるが、レーキ顔料100質量部に対して、通常、5〜200質量部の範囲であり、10〜100質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。分散剤の含有量が前記範囲内であれば、レーキ顔料を均一に分散させることができ、また、カラーフィルタ用着色樹脂組成物において、相対的にバインダー成分の配合比率が低下することなく、十分な硬度を有する着色層を形成することができる。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、レーキ顔料を用いながら、カラーフィルタ製造工程における高温加熱による着色層の退色を抑制し、高輝度の着色層を形成可能にするために、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する。
本発明に用いられるヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、少なくとも1つのフェノール構造を含有し、当該フェノール構造の水酸基の2位と6位の少なくとも1つに炭素数4以上の置換基(以下、“当該炭素数4以上の置換基”を「ヒンダード基」という場合がある)が置換されている構造(以下、「ヒンダードフェノール構造」という場合がある)を有する酸化防止剤を意味する。
また、中でも、ヒンダードフェノール構造を1分子中に2個以上有するヒンダードフェノール系酸化防止剤が、レーキ顔料の加熱による退色の抑制効果が高い点から好ましい。
また、一般式(VIII)で表される化合物一分子において、L’’と結合したm1個の上記括弧内の化学式で表される構造は、各々同一であっても、異なっていても良い。
組み合わされた基としては、例えば、−R−C(=O)O−R−、−R−(C=O)−NH−等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
L’’が直接結合の場合とは、例えば、−R−(C=O)−NH−NH−(C=O)−R−のように、上記Z同士が直接結合した場合を表す。
L’’が炭素原子の場合、Zと結合していない結合手には、水素原子が結合している。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するためにバインダー成分を含有する。塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。熱硬化性バインダー成分の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のものを挙げることができる。
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂と、感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物とを含んだ系等が挙げられる。
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂はカルボキシル基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環はカラーフィルタ用着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の質量平均分子量Mwは特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物おいて、溶剤は、樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。具体的には、アルコール系;エーテルアルコール系;エステル系;ケトン系;エーテルアルコールアセテート系;エーテル系;非プロトン性アミド系;ラクトン系;不飽和炭化水素系;飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられる。
これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系;酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系等を好適に用いることができる。
中でも、本発明に用いられる溶剤としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて上述したレーキ顔料以外の他の色材や各種添加剤を含むものであってもよい。
例えば、色調の制御を目的として必要に応じて他の色材を配合してもよい。他の色材としては、例えば、従来公知の顔料や染料を目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
また、添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
界面活性剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のものが挙げられる。
前記レーキ顔料及び必要に応じて用いられる他の色材の合計の含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5〜65質量%、より好ましくは8〜55質量%の割合で配合することが好ましい。色材が少なすぎると、着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また色材が多すぎると、着色樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またその着色樹脂組成物中の色材の分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために耐溶剤性等の特性が不十分になる恐れがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、溶剤中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
前記溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む上記着色樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88質量%の範囲内であることが好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法は、レーキ顔料と、分散剤と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、バインダー成分と、溶剤と、所望により用いられる各種添加成分とを含有し、レーキ顔料が分散剤より溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、特に制限されず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該樹脂組成物の調製方法としては、例えば、(1)レーキ顔料及び所望により用いられるその他の色材と、分散剤と、溶剤とを含有した色材分散液に、バインダー成分と所望により用いられる各種添加成分を混合する方法;(2)レーキ顔料及び所望により用いられるその他の色材を、各々別に分散剤とともに溶剤に分散させるか又はその他の色材は分散剤を用いずに溶剤に溶解させることによって調製した色材分散液及び場合により色材溶液と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを混合する方法;(3)溶剤中に、レーキ顔料及び所望により用いられるその他の色材と、分散剤と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法;(4)溶剤中に、分散剤と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、レーキ顔料及び所望により用いられるその他の色材を加えて混合する方法;などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)又は(2)の方法が、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、前記着色層の少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層であることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルタは、前記本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有するため、輝度に優れる。
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、前記本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層である。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて、着色樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理(ポストベーク)を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択されるが、前記本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いることにより、200℃以上の加熱処理が可能である。
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
本発明に係る有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
(1)中間体1の合成
国際公開第2012/144521号に記載の中間体3及び中間体4の製造方法を参照して、下記化学式(1)で示される中間体1を15.9g(収率70%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.48%、7.78%);理論値(78.06%、7.75%、7.69%)
前記(1)で得られた中間体1 5.00g(4.58mmol)を水300mlに加え、90℃で溶解させ中間体1溶液を得た。次に日本無機化学工業製リンタングステン酸・n水和物 H3[PW12O40]・nH2O (n=30) 10.23g(2.99mmol)および日本無機化学工業製リンモリブデン酸・n水和物 H3[PMo12O40]・nH2O (n=30) 0.144g(0.06mmol)を水100mLに入れ、90℃で攪拌し、無機酸水溶液を調製した。先の中間体1溶液に前記無機酸水溶液を90℃で混合し、生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥して下記化学式(2)で表される色材Aを12.7g(収率95%、W/Mo=98/2(モル比))を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):510(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (41.55%、5.34%、4.32%);理論値(41.66%、5.17%、4.11%)
また無機酸原料中のリンモリブデン酸は、無機酸調製時に一部のリンタングステン酸と反応してリンタングストモリブデン酸となるが、それらのポリ酸構造が色材Aとなった後も保たれていることを31P−NMRにより確認した。
中間体1 5.00g(4.58mmol)を水300mlに加え、90℃で溶解させ中間体1溶液とした。次に日本無機化学工業製リンタングステン酸・n水和物 H3[PW12O40]・nH2O(n=30) 10.44g(3.05mmol)を水100mLに入れ、90℃で攪拌し、リンタングステン酸水溶液を調製した。先の中間体1溶液にリンタングステン酸水溶液を90℃で混合し、生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥して下記化学式(3)で表される色材Bを13.25g(収率98%)を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。(モル比W/Mo=100/0)
・MS(ESI) (m/z):510(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (41.55%、5.34%、4.32%);理論値(41.66%、5.17%、4.11%)
また、リンタングステン酸のポリ酸構造が色材Bとなった後も保たれていることを31P−NMRにより確認した。
国際公開第2012/039417号の実施例1を参照して、ケギン型(SiMoW11O40)4−ヘテロポリオキソメタレートでレーキ化されたトリアリールメタン化合物(以下、色材Cとする)を合成した。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(略称EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル22質量部、メタクリル酸24質量部、開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aの質量平均分子量Mwは8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、質量平均分子量Mwは、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(略称PGMEA)80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル50.0質量部、メタクリル酸−n−ブチル30.0質量部、メタクリル酸ベンジル20.0質量部、2−メルカプトエタノール4.0質量部、PGMEA30質量部、AIBN 1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工製)8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125質量部、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−1の49.5質量%溶液を得た。得られたマクロモノマーMM−1を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)4010、数平均分子量(Mn)1910、分子量分布(Mw/Mn)は2.10であった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA70.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル80.0質量部、1−ビニルイミダゾール20.0質量部、メルカプトエタノール7.0質量部、PGMEA30質量部、AIBN1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を室温まで冷却し、カレンズMOI 15.3質量部、ジラウリン酸ジオクチルすず0.05質量部、p−メトキシフェノール0.05質量部、及びPGMEA40質量部、を加えて24時間攪拌することでマクロモノマーMM−2の46.9%溶液を得た。得られたマクロモノマーMM−2を、GPCにて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)2081、数平均分子量(Mn)896、分子量分布(Mw/Mn)は2.32であった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例5のマクロモノマーMM−1溶液67.34質量部(有効固形分33.33質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル16.67質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−1の26.0質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−1は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)12420、数平均分子量(Mn)4980、分子量分布(Mw/Mn)は2.49であった。なおアミン価は118mgKOH/gであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例5のマクロモノマーMM−1溶液67.34質量部(有効固形分33.33質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル8.33質量部、1−ビニルイミダゾール8.33質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−2の25.0質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−2は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)12430、数平均分子量(Mn)4860、分子量分布(Mw/Mn)は2.56であった。なおアミン価は159mgKOH/gであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例5のマクロモノマーMM−1溶液67.33質量部(有効固形分33.33質量部)、合成例6のマクロモノマーMM−2溶液35.54質量部(有効固形分16.67質量部)、AIBN0.5質量部、N−ドデシルメルカプタン1.24質量部の混合液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌した。AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−3の24.0質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−3は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)10887、数平均分子量(Mn)3224、分子量分布(Mw/Mn)は3.38であった。なおアミン価は111mgKOH/gであった。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)142.61質量部とフェニルホスホン酸(製品名「PPA」日産化学製)50.00質量部、p−メトキシフェノール0.10質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度120℃まで加温した。メタクリル酸グリシジル(GMA)44.96質量部を30分かけて滴下し、2時間加熱攪拌することで、PPAの2価の酸性基の半分がGMAのエポキシ基とエステル化した有機ホスホン酸モノエステル化合物を含む有機ホスホン酸エステル化合物1の40.0質量%溶液を得た。エステル化反応の進行は酸価測定により、生成物の組成比は31P−NMR測定により確認した。酸価は190mgKOH/gであり、有機ホスホン酸モノエステル化合物が55質量%、有機ホスホン酸ジエステル化合物が23質量%、PPAが22質量%の組成比であった。
100mLナスフラスコに、PGMEA34.30質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(上記一般式(I)で表される構成単位と上記一般式(II)で表される構成単位とを有するブロック共重合体)(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー製)(アミン価120mgKOH/g、固形分60質量%)14.25質量部(有効固形分8.55質量部)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(「PPA」日産化学製))を1.45質量部(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することでリン酸塩変性分散剤溶液A(固形分20質量%)を調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、PPAの酸性基との酸−塩基反応により塩形成されているものを含む。
100mLナスフラスコに、PGMEA30.07質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(上記一般式(I)で表される構成単位と上記一般式(II)で表される構成単位とを有するブロック共重合体)(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製)(アミン価120mgKOH/g、固形分60質量%)10.15質量部(有効固形分6.09質量部)をそれぞれ溶解させ、合成例10の有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1を9.78質量部(有効固形分3.91質量部)(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して1.0モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することでリン酸塩変性分散剤溶液B(固形分20質量%)を調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1の酸性基との酸−塩基反応により塩形成されているものを含む。
合成例12において、PGMEA16.75質量部、BYK−LPN6919の代わりにグラフト共重合体GP−1 23.58質量部(有効固形分6.13質量部)、合成例10の有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1を9.68質量部(有効固形分3.87質量部)(GP−1のアミノ基に対して1.0モル当量)を用いたこと以外は、合成例12と同様にして、リン酸塩変性分散剤溶液C(固形分20質量%)を調製した。このとき、グラフト共重合体GP−1のアミノ基は、有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1の酸性基との酸−塩基反応により塩形成されているものを含む。
合成例12において、PGMEA16.90質量部、BYK−LPN6919の代わりにグラフト共重合体GP−2 21.61質量部(有効固形分5.40質量部)、合成例10の有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1を11.49質量部(有効固形分4.60質量部)(GP−2のアミノ基及びイミダゾール基に対して1.0モル当量)を用いたこと以外は、合成例12と同様にして、リン酸塩変性分散剤溶液D(固形分20質量%)を調製した。このとき、グラフト共重合体GP−2のアミノ基及びイミダゾール基は、有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1の酸性基との酸−塩基反応により塩形成されているものを含む。
合成例12において、PGMEA14.54質量部、BYK−LPN6919の代わりにグラフト共重合体GP−3 26.14質量部(有効固形分6.27質量部)、合成例10の有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1を9.32質量部(有効固形分3.73質量部)(GP−3のアミノ基及びイミダゾール基に対して1.0モル当量)を用いたこと以外は、合成例12と同様にして、リン酸塩変性分散剤溶液E(固形分20質量%)を調製した。
このとき、グラフト共重合体GP−3のアミノ基及びイミダゾール基は、有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1の酸性基との酸−塩基反応により塩形成されているものを含む。
色材として、合成例1で調製した色材A13.0質量部、合成例11で調製したリン酸塩変性分散剤溶液Aを22.75質量部(有効固形分4.55質量部)、合成例4のバインダー樹脂A13.30質量部(有効固形分5.85質量部)、PGMEA50.95質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、色材分散液Aを得た。
製造例1において、色材と分散剤をそれぞれ下記表1中のものに変更したこと以外は、製造例1と同様にして色材分散液B〜Pを調製した。
・N21116…ビックケミー製、商品名:BYK−LPN21116、4級アンモニウム塩を含むアクリル系共重合体、固形分40質量%
・LPN6919…3級アミノ基を含むブロック共重合体(上記一般式(I)で表される構成単位と上記一般式(II)で表される構成単位とを有するブロック共重合体)、商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー社製、アミン価120mgKOH/g、固形分60質量%
・PPA-GMA…有機ホスホン酸ハーフエステル化合物1
・GP−1…グラフト共重合体GP−1
・GP−2…グラフト共重合体GP−2
・GP−3…グラフト共重合体GP−3
・PB15:6/PV23(85/15)…C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)とC.I.ピグメントバイオレット(PV23)の固形分の質量比(PB15:6/PV23)が85/15の混合色材
・色材A/PR81(92.5/7.5)…色材AとC.I.ピグメントレッド81(PR81)の固形分の質量比(色材A/PR81)が92.5/7.5の混合色材
・色材A/PV1(85/15)…色材AとC.I.ピグメントバイオレット1(PV1)の固形分の質量比(色材A/PV1)が85/15の混合色材
製造例1で得られた色材分散液A28.57質量部、下記バインダー組成物A28.29質量部、PGMEA43.14質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、商品名:Irganox1010、BASF製):0.23質量部(下記バインダー組成物Aの固形分に対して2質量%)、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、実施例1の青色着色樹脂組成物を得た。
・アルカリ可溶性樹脂(合成例4のバインダー樹脂A、固形分44質量%):18.18質量部
・5〜6官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM403、東亞合成製):8.00質量部
・光重合開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF製)):3.00質量部
・光増感剤:2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬製):1.00質量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):19.82質量部
実施例1において、色材分散液と、酸化防止剤とを、表2〜4のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜15及び比較例1〜24の青色着色樹脂組成物を得た。
なお、表2〜4に表示する酸化防止剤は、すべてBASF製ヒンダードフェノール系酸化防止剤商品名であり、比較例8の「Irganox1010/Irgafos168」とは、Irganox1010とIrgafos168(亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、商品名、BASF製、)を質量比1:1で混合したものである。
<光学性能評価、耐熱性評価>
各実施例及び比較例で得られた青色着色樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm2の紫外線を照射することによって硬化膜(青色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は、表2〜表4に示すy値を目標色度として調整し、得られた着色基板のコントラストと色度(x、y)、輝度(Y)、L、a、b(L0、a0、b0)を壺坂電気製「コントラスト測定装置CT−1B」とオリンパス製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。上記の着色基板を表2〜表4に示す温度にて、クリーンオーブンで60分間ポストベーク処理し、得られた着色膜の色度(x、y)、輝度(Y)及びL、a、b(L1、a1,b1)を再び測定した。
耐熱性評価として、ポストベーク前後の色差(ΔEab)を下記式より算出した。
ΔEab={(L1−L0)2+(a1−a0)2+(b1−b0)2}1/2
評価結果を表2〜4に示す。
実施例1〜15で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、レーキ顔料と、特定の構造を有し、酸性有機リン化合物と塩形成した分散剤と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とを組み合わせて含有していたため、レーキ顔料を用いながら耐熱性に優れ、200℃以上のポストベークを行っても、着色層の退色と透過率の低下を抑制でき、高輝度な着色層を形成することができた。
一方、比較例1〜24で得られたカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、レーキ顔料、本発明で特定する分散剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤のうち少なくとも1つを用いなかったため、対応する実施例に比べ、輝度及び耐熱性の少なくとも1つにおいて劣っていた。
例えば比較例9と比較例1と実施例1とを比較すると、レーキ顔料に、本発明で特定された分散剤を組み合わせても若干の輝度向上が見られるが、更にヒンダードフェノール系酸化防止剤を組み合わせると輝度値が十分に高くなることが明らかにされた。そしてこの傾向は、色材を変更しても、本発明で特定された分散剤を変更しても、同様にみられた。
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
Claims (9)
- レーキ顔料と、分散剤と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成した重合体である、カラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- 前記分散剤における前記重合体が、前記一般式(I)で表される構成単位を有するブロック部と、下記一般式(II)で表される構成単位を有するブロック部とを有し、前記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成したブロック共重合体であるか、或いは、前記一般式(I)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とを有し、前記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成したグラフト共重合体、又は、下記一般式(III’)で表される構成単位と、下記一般式(III)で表される構成単位とを有し、下記一般式(III’)で表される構成単位のポリマー鎖に含まれる前記一般式(I)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性有機リン化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、請求項1に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
R21は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO又は−CH2COOR24で示される1価の基であり、R22は、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R19)−CH(R20)−O]x−R21、−[(CH2)y−O]z−R21、−[CO−(CH2)y−O]z−R21で示される1価の基である。R23は炭素数1〜18のアルキル基であり、R24は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
- 前記分散剤における、前記酸性有機リン化合物が、下記一般式(VI)で表される有機リン酸化合物である、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
Rc及びRdは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Reは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH2CHO、−CO−CH=CH2、−CO−C(CH3)=CH2又は−CH2COORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。Rf、Rg、Rh、Ri、Rj及びRkは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、Rf及びRhは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rlを有していてもよく、Rlは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。) - 前記分散剤における、前記酸性有機リン化合物が、下記一般式(VI−2)で表される有機リン酸化合物を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
R c 及びR d は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。R e は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CH 2 CHO、−CO−CH=CH 2 、−CO−C(CH 3 )=CH 2 又は−CH 2 COOR e’ で示される1価の基であり、R e’ は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R f 、R g 、R h 、R i 、R j 及びR k は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R f 及びR h は、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基R l を有していてもよく、R l は、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。) - 前記レーキ顔料が、塩基性染料とポリ酸とのレーキ顔料である、請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
- 前記レーキ顔料が、下記一般式(VII)で表される色材である、請求項1乃至5のいずれかに記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
a及びcは2以上の整数、b及びdは1以上の整数を表す。eは0又は1であり、eが0のとき結合は存在しない。複数あるeは同一であっても異なっていてもよい。) - 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記請求項1乃至6に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層を有することを特徴とするカラーフィルタ。
- 前記請求項7に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記請求項7に記載のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置。
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