JP2014071440A - 顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置 - Google Patents

顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014071440A
JP2014071440A JP2012220133A JP2012220133A JP2014071440A JP 2014071440 A JP2014071440 A JP 2014071440A JP 2012220133 A JP2012220133 A JP 2012220133A JP 2012220133 A JP2012220133 A JP 2012220133A JP 2014071440 A JP2014071440 A JP 2014071440A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
general formula
hydrogen atom
hydrocarbon group
represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012220133A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihiro Ogura
教弘 小倉
Tomohiko Imota
智彦 芋田
Tomoki Murata
智基 村田
Hiroaki Segawa
裕章 瀬川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2012220133A priority Critical patent/JP2014071440A/ja
Publication of JP2014071440A publication Critical patent/JP2014071440A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

【課題】顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な顔料分散液、及び当該顔料分散液を含む着色樹脂組成物を提供する。
【解決手段】顔料と、分散剤と、溶剤とを含有した顔料分散液であって、分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有するマクロモノマーとを共重合成分として含有し、多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体であり、下記一般式(I)中の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である。

【選択図】なし

Description

本発明は、顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置に関するものである。
ディスプレイ等に代表される薄型画像表示装置、いわゆるフラットパネルディスプレイが、ブラウン管型ディスプレイよりも薄く奥行き方向に場所をとらないことを特徴として数多く上市された。その市場価格は生産技術の進化と共に年々価格が手ごろになり、さらに需要が拡大され、生産量も年々増加している。特にカラー液晶テレビはほぼTVのメインストリームに到達した。また、最近においては、自発光により視認性が高い有機ELディスプレイのような有機発光表示装置も、次世代画像表示装置として注目されている。これらの画像表示装置の性能においては、コントラストや色再現性の向上といったさらなる高画質化や消費電力の低減が強く望まれている。
これらの液晶表示装置や有機発光表示装置には、カラーフィルタが用いられる。例えばカラー液晶ディスプレイの場合は、バックライトを光源とし、電気的に液晶を駆動させることで光量を制御し、その光がカラーフィルタを通過することで色表現を行っている。よって液晶テレビの色表現にはカラーフィルタは無くてはならず、またディスプレイの性能を左右する大きな役目を担っている。また、有機発光表示装置では、白色発光の有機発光素子にカラーフィルタを用いた場合は液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
近年の傾向として、画像表示装置の省電力化が求められており、バックライトの利用効率を向上させるためにカラーフィルタの高輝度化が特に求められている。特にモバイルディスプレイ(携帯電話、スマートフォン、タブレットPC)では大きな課題である。
技術進化により電池容量が大きくなったとは言え、モバイルの蓄電量は有限であることは変わらなく、その一方で画面サイズの拡大に伴い消費電力は増加する傾向にある。モバイル端末の使用可能時間や充電頻度に直結するために、カラーフィルタを含む画像表示装置は、モバイル端末の設計や性能を左右する。
ここで、カラーフィルタは、一般に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法としては、着色剤として耐熱性や耐光性に優れた顔料を用いた、顔料分散法が広く用いられている。
近年の画像表示装置の高コントラスト化の要求を達成するため、本発明者らは、窒素含有モノマーと、マクロモノマーとを含有するグラフト共重合体であって、窒素含有モノマーが有するアミノ基と特定の有機酸化合物とが塩を形成した酸塩変性型グラフト共重合体を分散剤として用いることで、顔料分散性が良好で高コントラストなカラーフィルタが形成可能で、アルカリ現像性にも優れる着色樹脂組成物を開発した(特許文献1及び2)。
特開2009−265649号公報 特開2010−85647号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の酸塩変性型のグラフト共重合体を分散剤として用いた着色層は、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後に輝度(透過率)が低下する場合があった。
本発明は、このような状況下になされたものであり、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な顔料分散液及びその製造方法、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な着色樹脂組成物及びその製造方法、当該着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、当該カラーフィルタを有する液晶表示装置、並びに、有機発光表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、酸塩変性型グラフト共重合体を分散剤として用いた着色層において、露光後の高温加熱工程後に輝度(透過率)が低下する原因は、酸塩変性型グラフト共重合体中に含まれる低分子量成分であることをつきとめた。前記グラフト共重合体は、窒素含有モノマーとマクロモノマーとのラジカル共重合で合成されるが、ラジカル重合の場合、通常、高分子量になりすぎるのを防ぐため、ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いて分子量を調整する手法が採られている。窒素含有モノマーとマクロモノマーとの共重合の場合、窒素含有モノマーがマクロモノマーと共重合する前に連鎖移動反応によってラジカル成長反応が停止してしまった、グラフト鎖を有しない低分子量成分が生じる。
この問題に対し、グラフト共重合体を重合する際に、連鎖移動剤として、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物を用いることで、高分子量になりすぎるのを防ぎ、且つ、グラフト鎖を有しない低分子量成分を低減することができること、更に、当該グラフト共重合体を用いた酸塩変性型のグラフト共重合体を分散剤として用いた着色層は、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層になるとの知見を得た。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
本発明に係る顔料分散液は、顔料と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とする。
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
(一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
本発明に係る顔料分散液の製造方法は、前記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の前記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と顔料とを溶剤中で分散させる工程を有することを特徴とする。
また、本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、顔料と、分散剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、前記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、前記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とする。
また、本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法は、前記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の前記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と顔料とを溶剤中で分散させて、顔料分散液を調製する工程と、
得られた顔料分散液とバインダー成分とを混合する工程を有することを特徴とする。
本発明は、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、顔料と、分散剤と、バインダー成分とを含有する組成物を硬化させて形成されてなる着色層であり、前記分散剤が、前記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、前記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
本発明に係る顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、並びにカラーフィルタにおいては、前記分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(II)で表される有機リン酸化合物及び/又は下記一般式(III)で表される有機スルホン酸化合物であることが、顔料分散性、及び分散安定性に優れた着色層を形成できる点から好ましい。
(一般式(II)及び一般式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基である。Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
、Ra’、及びRにおいて、炭化水素基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
本発明に係る顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、並びにカラーフィルタにおいては、前記分散剤における前記マクロモノマーのポリマー鎖が、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な点から好ましい。
(一般式(IV)及び、一般式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
本発明に係る顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、並びにカラーフィルタにおいては、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な点から、前記顔料として、緑色顔料及び青色顔料のいずれか1種以上を含有する態様に特に好適に用いられる。
また、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
更に、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体を有することを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
本発明によれば、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な顔料分散液及びその製造方法、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能なカラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、当該着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、当該カラーフィルタを有する液晶表示装置、並びに、有機発光表示装置を提供することができる。
本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。 従来の連鎖移動剤を用いて窒素含有モノマーとマクロモノマーとのラジカル共重合をおこなった場合の重合物の一例を示す模式図である。 本発明における連鎖移動剤を用いて窒素含有モノマーとマクロモノマーとのラジカル共重合をおこなった場合の重合物の一例を示す模式図である。
以下、本発明に係る顔料分散液及びその製造方法、着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、液晶表示装置並びに有機発光表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
1.顔料分散液、及びその製造方法
本発明に係る顔料分散液は、顔料と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体(以下、酸塩変性型グラフト共重合体ということがある)であることを特徴とする。
本発明においては、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体を用いた上記特定の酸塩変性型グラフト共重合体を分散剤として用いて分散を行うことにより、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な顔料分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物が得られる。
上記特定の酸塩変性型グラフト共重合体を分散剤として用いて分散を行うことにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明であるが以下のように推測される。
上述のように、酸塩変性型グラフト共重合体に用いられるグラフト共重合体は、窒素含有モノマーとマクロモノマーとのラジカル共重合で合成されるが、従来、高分子量になりすぎ、且つ、分子量分布が大きくなりすぎるのを防ぐため、ドデシルメルカプタンを連鎖移動剤として用いて分子量を調整していた。図4に、ドデシルメルカプタンのような分子中に1つのチオール基を含む単官能チオール化合物101を連鎖移動剤として用いて窒素含有モノマー102とマクロモノマー103とのラジカル共重合をおこなった場合の重合物の一例の模式図を示す。この場合、単官能チオール化合物101は、重合反応の成長末端からラジカルを引き抜いて成長を停止させた後、新たな重合反応開始部になり得るチオール基を分子中に1つしか有しない。そのため、所望の窒素含有モノマー102とマクロモノマー103との共重合物105の他に、窒素含有モノマー102がマクロモノマー103と共重合する前に連鎖移動反応によってラジカル成長反応が停止した、窒素含有モノマー102のみの重合物106からなる低分子量成分も生成しやすくなってしまう。このような、窒素含有モノマーのみが反応した、グラフト鎖を有しない低分子量成分は、分散剤としては機能せず、且つ、黄変しやすいものであり、高温加熱工程後の輝度低下の原因になっていることが突き止められた。
それに対し、図5に、本発明で用いられるチオール基を1分子中に4個有する多官能チオール化合物110を連鎖移動剤として用いて窒素含有モノマー102とマクロモノマー103とのラジカル共重合をおこなった場合の重合物の一例の模式図を示す。この場合、多官能チオール化合物110は新たな重合反応開始部になり得るチオール基を分子中に4つ有するため、得られる重合体は、当該多官能チオール化合物110を中心にして、4つの重合体部分が放射状に伸長した構造を有する星型ポリマー120となる。星型ポリマー120において、4つのうちの1つのチオール基の部分で窒素含有モノマーのみの重合物107からなる低分子量成分が存在していても、通常、他のチオール基の部分で窒素含有モノマー102とマクロモノマー103との共重合物が存在するため、当該星型ポリマーは分散剤として機能するものになる。このようにして、窒素含有モノマーのみの重合物107が、星型ポリマー120中に組み込まれて、低分子量成分として存在し難くすることができるため、分散剤としては機能せず、且つ、黄変しやすい低分子量成分を低減することができる。
以上のように、グラフト共重合体を重合する際に、連鎖移動剤として、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物を用いると、高分子量になりすぎるのを防ぐと共に、グラフト鎖を有しない低分子量成分を低減することができ、更に、多官能チオール化合物を中心にして、3つ又は4つの重合体部分が放射状に伸長した構造を有する星型ポリマーとなる。このようなグラフト共重合体を用いた酸塩変性型グラフト共重合体を分散剤として用いて顔料を分散すると、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を得ることができる。
本発明の顔料分散液は、少なくとも顔料と、上記特定の酸塩変性型グラフト共重合体である分散剤と、溶媒とを必須成分として含有するものであり、必要に応じて他の成分を含有しても良いものである。
以下、このような本発明の顔料分散液の各成分について順に詳細に説明する。
[顔料]
顔料としては、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、例えば、有機顔料、無機顔料を用いることができる。
上記有機顔料の具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等のイエロー系ピグメント;C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177等のレッド系ピグメント;C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6等のブルー系ピグメント;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23等のバイオレット系ピグメント;及び、C.I.ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58等のグリーン系ピグメント等のカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
また、無機顔料の具体例としては、酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
<顔料の粒径>
本発明に用いられる顔料の平均粒径としては、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。当該顔料の平均粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。また従来の分散剤であれば、顔料の粒径の微小化に伴い、分散剤が多量に必要になり、感光性樹脂組成物とした場合にアルカリ現像性の低下や残渣の増加といった問題が生じるおそれがあるが、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に用いられる分散剤は、酸塩変性型グラフト共重合体であり、アルカリ現像性に優れるため、そのような問題を生じるおそれが少ない。したがって、当該顔料の平均粒径が上記範囲に示すように、従来に比べ微小であるほど、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物が有する特徴を発揮することができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
本発明の顔料分散液において、顔料の含有量は、適宜調整されれば良く、特に限定されない。通常、顔料の含有量は、顔料分散液の全量に対して5〜40質量%、更に8〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
[分散剤]
本発明に用いられる分散剤は、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である。
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
(一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
本発明によれば、用いられる分散剤が、上記酸塩変性型グラフト共重合体であることにより、塩形成部位が顔料に対する吸着性が強く、一方でグラフトされているポリマー鎖が溶媒に対して溶解性を有する。上記分散剤を用いると、従来顔料分散性、及び顔料分散安定性が悪かった顔料に対しても溶媒中での安定化を図ることができ、顔料の分散性及び分散安定性を優れたものとすることができる。
特に、本発明において用いられる、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体は、上述のように、黄変の原因となる低分子量成分の生成を抑制しながら、高分子量になりすぎず、分子量分布を制御した状態でポリマーを高分子量化できているため、粘度が高くなりすぎず、顔料分散性が向上したものになる。
以上のことから、分散剤として、上記酸塩変性型グラフト共重合体を用いた顔料分散液は、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能になる。
また、有機酸化合物を有することにより、上記モノマーに含まれるアミノ基と有機酸化合物とが形成する塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。したがって、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を感光性樹脂組成物として用いて、カラーフィルタを製造した場合には、アルカリ現像時間を短縮することができ、生産性に優れたものとすることができる。また、アルカリ現像性に優れることにより、未露光箇所におけるカラーフィルタ用着色樹脂組成物の残渣が少ない高品質なカラーフィルタを得ることができる。
<グラフト共重合体>
上記グラフト共重合体は、前記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体である。
(一般式(I)で表される窒素含有モノマー)
一般式(I)において、Aは、直接結合又は2価の連結基である。直接結合とは、下記一般式(I−1)のように、Qが連結基を介することなく炭素原子に直接結合していることを意味する。
(一般式(I−1)中、R及びQは、一般式(I)と同様である。)
また、2価の連結基Aとしては、例えば、炭素数1〜8のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−A’−基、−COO−A’−基(但し、A’は、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−A’−基、−CONH−A’−基である。
ここで、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種オクチレン基などである。アリーレン基としては、フェニレン基等が挙げられる。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y及びzが、上記の範囲にあれば、本発明の顔料分散液及びカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、顔料の分散性に優れたものになる。
このA’としては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、顔料の分散性を良好に保つことができる。
前記一般式(I−a)における、R及びRの、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基における炭化水素基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、アルキル基の炭素数は、1〜18が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子でおきかえられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
また、Qにおける置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基としては、例えば、5〜7員環の含窒素複素環単環、又はこれらの縮合環が挙げられ、更に別のヘテロ原子を有していてもよく、置換基を有していていもよい。また、含窒素複素環基は芳香族性を有していてもよい。
上記含窒素複素環基を形成する含窒素複素環式化合物としては、具体的には、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。中でも、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール等のヘテロ原子として窒素原子のみを含む含窒素複素環式化合物であることが好ましく、中でも、ピリジン、イミダゾール等の芳香族性を有する含窒素複素環基であることが好ましい。
上記含窒素複素環基において、有していてもよい置換基としては、例えば炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アラルキル基、アリール基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。また、これらの置換基の置換位置、及び置換基数は特に限定されない。
前記一般式(I)で表される窒素含有モノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート等の含窒素(メタ)アクリレート;ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等の含窒素ビニル単量体;ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体等から誘導される構成単位が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(I)で表されるモノマーは、1種類からなるものであってもよく、2種以上を含むものであってもよい。
(ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマー)
本発明に用いられるマクロモノマーは、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるものである。当該マクロモノマーが、ポリマー鎖を有することにより、溶剤親和性を良好にし、顔料の分散性及び分散安定性が良好なものとなる。エチレン性不飽和二重結合は、グラフト共重合体において、他のマクロモノマー又は前記モノマーとの連結部となる。
目安として、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるマクロモノマーは、組み合わせて用いられる溶剤に対して、23℃における溶解度が50(g/100g溶剤)以上であることが好ましい。
エチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端(以下、「片末端」と称することがある。)のみに有することが好ましい。また、マクロモノマーは、グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、置換基で置換されていてもよく、置換基としては、例えばハロゲン原子などが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが好ましく挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
前記マクロモノマーのポリマー鎖は、下記一般式一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが好ましい。
(一般式(IV)及び、一般式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
における、炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であることが好ましい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
における、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
における、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
が芳香環を有する場合は、当該芳香環上に、更に置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状、分枝状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
及びRにおける炭化水素基は、前記Rで示したものと同様のものとすることができる。
10における炭素数1〜18のアルキル基は、Rにおける炭素数1〜18のアルキル基と同様のものとすることができる。
及びRは前記と同じであり、R11は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R及びRおいて、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
本発明において、上記R及びRとしては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記グラフト共重合体を構成する構成単位等によっても異なるが、上記溶媒が、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記R及びRをこのように設定する理由は、上記R及びRを含む構成単位が、上記溶媒に対して溶解性を有し、上記モノマーのアミノ基と後述する有機酸化合物とが形成する塩形成部位が顔料に対して高い吸着性を有するものであることにより、顔料の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
さらに、上記RびRは、上記グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。また、これらの置換基を有するグラフト共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するグラフト共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するグラフト共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
また、本発明の着色樹脂組成物において用いられるマクロモノマーのポリマー鎖は、ガラス転移温度が30℃以上であることが好ましく、更に、50℃以上であることがより好ましい。本発明で用いられるマクロモノマーのポリマー鎖のガラス転移温度が30℃以上である場合には、本発明の顔料分散液又は着色樹脂組成物を用いて形成された着色層の耐熱性や耐溶剤性が向上する。耐熱性が向上すると、カラーフィルタの製造工程における例えば230℃で30分加熱するようなポストベーク工程後に、着色層が変色したり、輝度やコントラストが低下することを抑制することが可能になる。また、耐溶剤性が向上すると、カラーフィルタの製造工程において、例えば液晶配向膜としてポリイミド膜を形成する際に使用されるN−メチルピロリドンによって、着色層表面が荒れるといった不具合を抑制することが可能になる。
本発明におけるマクロモノマーのポリマー鎖のガラス転移温度(Tg)は下記式で計算することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここでは、ポリマーはi=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの質量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用することができる。
以上のような点を考慮すると、本発明で用いられるマクロモノマーのポリマー鎖は、上記した構成単位のなかでもメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、及びビニルシクロヘキサンよりなる群から選択される1種以上のモノマー由来の構成単位の総量がマクロモノマーのポリマー鎖全体の30質量%以上で含まれるものが好ましく、更に50質量%以上で含まれるものが好ましく、また、メチルメタクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び/又はイソボルニル(メタ)アクリレート由来の構成単位が含まれるものがより好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではない。
マクロモノマーのポリマー鎖は、単独重合体でもよく、共重合体であってもよい。
例えば、単独重合体ではガラス転移温度が30℃未満となるような構成単位であっても、ポリマー鎖の共重合成分として含まれ、上記計算式で表されるポリマー鎖全体の計算Tgが30℃以上となる場合には、本発明の着色樹脂組成物のマクロモノマーとして、好適に用いることができる。
更に、グラフト共重合体に用いられるマクロモノマーは、1種単独で用いられても良いが、2種以上混合して用いても良い。
マクロモノマーを2種以上混合して用いる場合には、ガラス転移温度が30℃以上であるポリマー鎖を有するマクロモノマーが、マクロモノマー全体の30質量%以上、更に50質量%以上となるように用いることが好ましい。
mは1〜5の整数、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは4又は5の整数である。また、マクロモノマーの構成単位のユニット数l及びl’は、5〜200の整数であればよく、特に限定されないが、5〜100の範囲内であることが好ましい。
マクロモノマーの質量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜10000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であることにより、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、立体効果による顔料への吸着時間の増大を抑制することもできる。
このようなマクロモノマーは、適宜合成したものでもよいし、市販品であってもよく、市販品としては、例えば片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AA−6(商品名)」:東亞合成(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AB−6(商品名)」:東亞合成(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AS−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(「プラクセルFM5(商品名)」:ダイセル(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル(株)製)などが挙げられる。
このようなマクロモノマーを合成するには、リビング重合法や、連鎖移動剤を用いるラジカル重合法がよく知られている。ラジカル重合法の方が、モノマーの選択の自由度が大きい点で利用しやすい。例えば、メルカプトプロピオン酸のような、カルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下でモノマーをラジカル重合することにより、片末端にカルボキシル基を有するオリゴマーが得られる。このオリゴマーにグリシジルメタクリレートを付加すると、片末端にメタクリロイル基を有するオリゴマー、すなわちマクロモノマーが得られる。
(チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物)
本発明においては、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で、上記窒素含有モノマーとマクロモノマーとを共重合することを特徴とする。このようにして得られたグラフト共重合体は、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物を中心にして、3個又は4個の重合体部分が放射状に伸長した構造を有する星型ポリマーとなる。当該星型ポリマーにおいては、重合体部分の一端の炭素原子はチオール基に由来するイオウ原子に結合している構造となる。
チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど水酸基を3個又は4個有する化合物とカルボキシル基含有チオール化合物とのポリエステル化合物;2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジンなどのトリアジン多価チオール類;3個又は4個のエポキシ基を有するエポキシ化合物のエポキシ基に硫化水素を付加させて3個又は4個のチオール基を導入してなる化合物;3個又は4個のカルボキシル基を有するカルボン酸とメルカプトエタノールをエステル化してなるエステル化合物などを挙げることができる。
より具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン―2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が好適に用いられるものとして挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられるグラフト共重合体を共重合する際の、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の使用量は、所望の分子量に合わせて適宜調整されれば良い。例えば、後述の好適な分子量の範囲にするためには、通常、モノマーの合計量に対して0.01〜20モル%用いることが好ましく、更に0.1〜10モル%用いることが好ましい。
本発明に用いられるグラフト共重合体において、前記エチレン性不飽和二重結合とアミノ基とを有するモノマーに由来する繰り返し単位は、3〜60質量%の割合で含まれていることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。グラフト共重合体中の上記モノマーに由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲内にあれば、グラフト共重合体中のアミノ基が形成する塩形成部位の割合が適切となり、かつマクロモノマー側鎖によって溶媒に対する溶解性の低下を抑制できるので、顔料に対する吸着性が良好となり、顔料の分散性、及び安定性が得られる。
また、上記グラフト共重合体の質量平均分子量Mwは、2000〜100000の範囲内であることが好ましく、3000〜50000の範囲内であることがより好ましく、5000〜30000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、顔料を均一に分散させることができる。
なお、上記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されたポリスチレン換算値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
また、上記グラフト共重合体の分子量分布(質量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)としては、5.0以下であることが好ましく、更に4.0以下であることが好ましい。
また、上記グラフト共重合体中には、分子量が1000未満の低分子量成分が2.5質量%以下であることが好ましく、更に2.0質量%以下であることが好ましい。分子量が1000未満の低分子量成分の含有率は、GPCにより求めることができる。
<有機酸化合物>
本発明において用いられる有機酸化合物は、前述したアミノ基を有するモノマーのアミノ基と塩形成をするものであれば、特に限定されない。
本発明においては、上記有機酸化合物を用いることにより、分散剤を、顔料の分散性及び安定性に優れたものとすることができ、さらに塩形成部位が、アルカリ現像時のアルカリ水溶液に対して高い溶解性を有することから、アルカリ現像性に優れたものとすることができる。
有機酸化合物としては、中でも、下記一般式(II)及び/又は下記一般式(III)で表される化合物であることが好ましい。
(一般式(II)及び一般式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基である。Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
、Ra’、及びRにおいて、炭化水素基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
前記一般式(II)及び一般式(III)において、R、Ra’、Ra’’、R、Rb’、及びRにおける、炭化水素基は、前記一般式(IV)におけるRと同様のものとすることができる。
前記一般式(II)及び一般式(III)において、R、R、R、Ri、R、R、R、及びRにおける、炭化水素基も、前記一般式(IV)におけるRと同様のものとすることができる。
、Ra’、Ra’’、R及びRb’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
、R、R、Ri、R及びR、並びに、Rにおける、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基とは、−R’−O−R”、−R’−(C=O)−O−R”、又は−R’−O−(C=O)−R”(ここで、R’及びR”は、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基)で表される基である。1つの基の中に、エーテル結合及びエステル結合を2つ以上有していてもよい。炭化水素基が1価の場合としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基が挙げられ、炭化水素基が2価の場合としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせの基が挙げられる。
また、一般式(II)において、R及びRが、互いに結合して環構造を形成しているとは、具体的には、下記一般式(II−1)で表される構造を有するものが挙げられる。
(一般式(II−1)中、R、R、及びRは、上記一般式(II)におけるものと同様である。Rは、上記R及びRが結合した基であって、更に置換基Rを有していてもよい。)
とRが結合して環構造を形成する場合、環構造を形成する炭素原子数は、5〜8であることが好ましく、6であること、即ち6員環であることがより好ましい。
−C(R)(R)−C(R)(R)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHはそれぞれ、例えば、リン酸基の酸性基(OH)に単官能エポキシ化合物、又は単官能オキセタン化合物を反応させることにより、得ることができる。
上記一般式(II)で表される有機酸化合物としては、前記一般式(II)におけるR及びRa’が、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含み、且つ、Ra’’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
また、一般式(III)で表される有機酸化合物としては、一般式(III)におけるRが、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Rb’で示される1価の基であり、Rb’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが顔料分散性に優れたものとすることができる点から好ましい。
中でも、上記一般式(II)及び一般式(III)で表される有機酸化合物は、R、Ra’及び/又はRa’’、並びに/或いは、R及び/又はRb’として、芳香環を有することが顔料分散性の点から好ましい。R、Ra’及びRa’’の少なくとも1つ、或いは、R又はRb’が、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基であることが、顔料分散性の点から好ましい。前記一般式(II)においては、R及びRa’の一方が芳香環を有する場合には、R及びRa’の他方は、水素原子や水酸基であるものも好適に用いられる。
また、耐熱性や耐薬品性、特に耐アルカリ性の点からは、上記一般式(II)及び一般式(III)で表される有機酸化合物としては、リン(P)や硫黄(S)に炭素原子が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びRa’が、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であり、R及びRa’のいずれかは炭素原子を含むことが好ましい。また、Rが、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−Rで示される1価の基であることが好ましい。
顔料分散性、耐熱性、耐薬品性、及び耐アルカリ性の点からは、中でも特に、リン(P)や硫黄(S)にアリール基が直接結合した化合物であることが好ましく、R及びRa’のいずれか、或いは、Rが、置換基を有していても良いアリール基であることが好ましい。
また、当該有機酸化合物が、重合性基を含むことにより、着色層形成に用いる前に、当該有機酸化合物が有する重合性基同士を重合させることができ、その結果分散剤が高分子量化されるため、着色層形成の現像時において、未露光箇所のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、アルカリ現像性に特に優れるものとすることができる。
本発明で用いられるグラフト共重合体における該有機酸化合物の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、一般に前記一般式(I)で表される構成単位に含まれる窒素部位に対して、0.05〜4.0モル当量程度、好ましくは0.1〜2.0モル当量、より好ましくは0.3〜1.0モル当量である。
尚、上記該有機酸化合物を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
<酸塩変性型グラフト共重合体の製造>
本発明においては、例えば、前記窒素含有モノマーと前記マクロモノマーと、必要に応じてその他のモノマーとを、共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合させることにより、まずグラフト共重合体を調製する。グラフト共重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤などを用いてもよい。次いで、該グラフト共重合体を溶解させた溶液中に上記有機酸化合物を添加し、攪拌、必要に応じて加熱することにより酸塩変性型グラフト共重合体を製造することができる。
本発明の顔料分散液において、分散剤としては、上記酸塩変性型グラフト共重合体を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよく、その含有量は、用いる顔料の種類、更に着色樹脂組成物中の固形分濃度等に応じて適宜選定される。本発明の顔料分散液において、分散剤としては、顔料100質量部に対して、通常、5〜200質量部の範囲であり、10〜100質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。酸塩変性型グラフト共重合体の含有量が上記範囲内にあれば、顔料を均一に分散させることができる。
<溶剤>
本発明の顔料分散液において、溶剤は、顔料分散液中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な非水系溶剤であればよく、特に限定されない。非水系溶剤としては、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系;メトキシアルコール、エトキシアルコール、メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド系;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられる。
これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系;酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系等を好適に用いることができる。
中でも、本発明に用いられる溶剤としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、非水系分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明の顔料分散液における溶剤の含有量は、該顔料分散液の各構成を均一に溶解又は分散することができるものであればよく、特に限定されない。本発明においては、該顔料分散液中の固形分含有量が、5〜40質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲がより好ましい。上記範囲であることにより、塗布に適した粘度とすることができる。
<その他の成分>
本発明の顔料分散液には、更に必要に応じて、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述する着色樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって顔料粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
<顔料分散液の製造方法>
本発明に係る顔料分散液の製造方法は、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と顔料とを溶剤中で分散させる工程を有することを特徴とする。
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
(一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
本発明に係る顔料分散液の製造方法は、予め、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製した後に、顔料を分散することにより、顔料の分散性及び分散安定性が向上し、高コントラストで、且つ、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な顔料分散液を得ることができる。
本発明に係る顔料分散液の製造方法は、前記分散剤調製工程と、前記分散工程とを有するものであり、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の工程を有していてもよいものである。
<分散剤調製工程>
分散剤調製工程は、前記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の前記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製する工程である。具体的には、前記本発明に係る分散剤の製造に記載した方法を用いることができる。
<分散工程>
分散工程は、上記分散剤調製工程により得られた分散剤と顔料とを溶剤中で分散させる工程である。
顔料の分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントシェーカー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミル等が挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1mmである。また、分散後、5.0〜0.2μm程度のメンブランフィルタで濾過することが好ましい。これにより、顔料の分散性に優れた顔料分散液が得られる。
また、本発明に用いられる分散剤に含まれる前記特定の有機酸化合物が、重合性基を有する場合には、例えば、溶媒中に上記分散剤と光開始剤を添加した後、あるいは、溶媒中に上記分散剤と顔料と光開始剤とを分散又は溶解させた後に光照射をして上記分散剤同士を重合してもよい。このように分散剤同士を重合させることにより、本発明の顔料分散液における顔料の分散安定性を高めることができる。
以上のようにして、顔料分散性に優れた顔料分散液が得られる。当該顔料分散液は、顔料分散性に優れたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製するための予備調製物として、好適に用いられる。
すなわち、顔料分散液とは、後述の着色樹脂組成物を調製する前段階において、予備調製される(組成物中の顔料分)/(組成物中の顔料以外の固形分)比の高い顔料組成物である。具体的には、(組成物中の顔料分)/(組成物中の顔料以外の固形分)比は通常1.0以上である。顔料分散液と少なくともバインダー成分を混合することにより、顔料分散性に優れたカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製することができる。
2.カラーフィルタ用着色樹脂組成物、及びその製造方法
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、顔料と、分散剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とする。
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
(一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、顔料と、上記特定の分散剤と、バインダー成分とを組み合わせて用いることにより、分散性及び分散安定性に優れ、当該着色樹脂組成物を用いて形成された着色層は、高コントラストで、且つ、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制されたものとなる。
本発明の着色樹脂組成物は、少なくとも顔料と、上記特定の分散剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有するものであり、本発明の効果が損なわれない限り、必要に応じて他の成分を含有してもよいものである。
以下、本発明の着色樹脂組成物の各成分について詳細に説明する。
なお、上記本発明に係る顔料分散液に含まれ得る成分については、上記顔料分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
<バインダー成分>
本発明に係る着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与し、塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
本発明に係る着色樹脂組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、硬化性バインダー成分に現像性は必要がない。この場合、インクジェット方式等でカラーフィルタ着色層を形成する場合に用いられる、公知の熱硬化性バインダー成分や、光硬化性バインダー成分等を適宜用いることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー工程を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダー成分と、インクジェット方式に用いるのに適した熱硬化性バインダー成分について具体的に説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。
(1)感光性バインダー成分
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂及び感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物を含んだ系が挙げられ、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリイミド前駆体等が挙げられる。
ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。以後、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5質量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50質量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
本発明の着色樹脂組成物において用いられるアルカリ可溶性樹脂は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、着色樹脂組成物に含まれる顔料100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると顔料の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
(多官能性モノマー)
本発明の着色樹脂組成物において用いられる多官能性モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明の着色樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能性モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
本発明の着色樹脂組成物において用いられる上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
(光開始剤)
本発明の着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の着色樹脂組成物において用いられる光開始剤の含有量は、上記多官能性モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、着色樹脂組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
(2)熱硬化性バインダー成分
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が好適に用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
i)1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物
通常硬化性バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(VIII)で表される構成単位及び下記式(IX)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
(R31は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R32は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
(R33は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(VIII)で表される構成単位をバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明の樹脂組成物から形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(VIII)において、R31として好ましいのは水素またはメチル基である。R32は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
上記式(VIII)で表される構成単位を誘導するモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
式(IX)で表される構成単位は、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有する樹脂組成物は保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(IX)のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。
式(IX)において、R33として好ましいのは水素またはメチル基である。式(IX)で表される構成単位を誘導するモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルタの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(VIII)あるいは式(IX)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(VIII)の構成単位と式(IX)の構成単位の含有量は、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。式(VIII)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(IX)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
また、上記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算質量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルタの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。一方、上記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算質量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。なお上記バインダー性エポキシ化合物は、例えば特開2006−106503号公報の段落番号0148に記載されているような方法で合成することができる。
熱硬化性バインダーとしては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいものを用いても良い。中でも、上述のように上記バインダー性エポキシ化合物と当該多官能エポキシ化合物を併用することが好ましい。この場合、多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の質量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、樹脂組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を樹脂組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
より具体的には、商品名エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(ジャパンエポキシレジン社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(ジャパンエポキシレジン社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(ジャパンエポキシレジン社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)、商品名EHPE3150(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物と、必要に応じて配合される多官能エポキシ化合物の配合割合は、質量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80質量部と多官能エポキシ化合物を10〜60質量部の割合で配合するのが好ましく、バインダー性エポキシ化合物を20〜60質量部と多官能エポキシ化合物を20〜50質量部の割合で配合するのが更に好ましく、バインダー性エポキシ化合物を30〜40質量部と多官能エポキシ化合物を25〜35質量部の割合で配合するのが特に好ましい。
ii)硬化剤
本発明に用いられるバインダー成分には、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これら硬化剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(バインダー性エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物の合計量)100質量部当たり、通常は1〜100質量部の範囲であり、好ましくは5〜50質量部である。硬化剤の配合量が1質量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、硬化剤の配合量が100質量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るおそれがある。
iii)触媒
本発明に用いられるバインダー成分には、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、ホスホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常は0.01〜10.0質量部程度の割合で配合する。
(任意添加成分)
本発明の着色樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて他の各種添加剤を含むものであってもよい。また、分散剤として、上記本発明に必須成分として用いられる酸塩変性型グラフト共重合体からなる分散剤以外の他の分散剤も併用しても良い。
(他の分散剤)
他の分散剤としては、特に限定されず、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、溶媒に少量溶解するような顔料誘導体を分散剤として用いてもよい。
高分子分散剤としては、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。
(添加剤)
添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
(着色樹脂組成物における各成分の配合割合)
着色樹脂組成物における各成分の配合割合については、各用途に合わせて適宜選択することができ、限定されるものではない。
顔料の合計の含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量に対して、5〜65質量%、より好ましくは8〜55質量%の割合で配合することが好ましい。顔料が少なすぎると、着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、着色樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またその着色樹脂組成物中の顔料の分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために耐溶剤性等の特性が不十分になる恐れがある。尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、溶剤中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、分散剤の含有量としては、顔料を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、顔料100質量部に対して5〜200質量部用いることができる。更に、顔料100質量部に対して10〜100質量部の割合で配合するのが好ましく、特に20〜80質量部の割合で配合するのが好ましい。分散剤の合計の含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜60質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜50質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、着色樹脂組成物の固形分全量に対して、1質量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、60質量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
バインダー成分は、これらの合計量が、着色樹脂組成物の固形分全量に対して24〜94質量%、好ましくは40〜87質量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む上記着色樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜90質量%の範囲内であることが好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
[着色樹脂組成物の製造方法]
下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と顔料とを溶剤中で分散させて、顔料分散液を調製する工程(顔料分散液調製工程)と、
得られた顔料分散液とバインダー成分とを混合する工程(混合工程)を有することを特徴とする。
(一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
(一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
本発明に係る着色樹脂組成物の製造方法は、予め、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製した後に、顔料を分散することにより、顔料の分散性及び分散安定性が向上し、高コントラストで、且つ、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能な着色樹脂組成物を得ることができる。
本発明に係る着色樹脂組成物の製造方法における分散剤調製工程は、前記本発明に係る顔料分散液における分散剤調製工程と同様のものとすることができる。また顔料分散液調製工程は、前記本発明に係る顔料分散液における分散工程と同様にして顔料分散液を調製することができる。
<混合工程>
着色樹脂組成物の製造方法において混合工程は、上記顔料分散液調製工程により、本発明に係る顔料分散液を調整した後に行ってもよく、上記顔料分散液調製工程と同時に行ってもよい。例えば、溶剤中に、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、これに上記本発明に係る顔料分散液を加えて混合する方法であってもよく、溶剤中に、上記本発明に係る顔料分散液と、バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法であってもよい。
また、本発明の着色樹脂組成物に用いられる前記本発明に係る分散剤に含まれる上記特定の酸性有機リン化合物が、重合性基を有する場合には、例えば、溶媒中に上記分散剤と重合開始剤を添加した後、あるいは、溶媒中に上記分散剤と顔料と重合開始剤とを分散又は溶解させた後に光照射又は加熱により上記分散剤同士を重合してもよい。このように分散剤同士を重合させることにより、本発明の着色樹脂組成物における顔料の分散安定性を高めることができる。
[カラーフィルタ]
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、顔料と、分散剤と、バインダー成分とを含有する組成物を硬化させて形成されてなる着色層であり、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることを特徴とする。
このような本発明に係るカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、少なくとも1つが、顔料と、分散剤と、バインダー成分とを含有する組成物を硬化させて形成されてなる着色層であり、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であるものであればよく、特に限定されない。上記特定の分散剤を含む着色層における上記顔料と、上記分散剤と、上記バインダー成分については、前記本発明に係る着色樹脂組成物で説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明を省略する。また、上記特定の分散剤を含む着色層は、前記本発明に係る着色樹脂組成物を用いて形成することができる。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
当該着色層は、例えば感光性樹脂組成物である場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明の着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、着色樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶剤にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
また、当該着色層は、例えばインクジェット方式で形成する場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前記本発明の着色樹脂組成物を含み、青(B)用、緑(G)用及び赤(R)用等の顔料がそれぞれ配合された着色樹脂組成物を用意する。そして、透明基板1の表面に、遮光部2のパターンにより画成された各色(R、G、B)の着色層形成領域に、対応する色の着色樹脂組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、着色樹脂組成物は、インクジェットヘッドの先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続ける必要がある。各色の着色樹脂組成物を、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、各色のインク層を乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜加熱乃至露光することにより硬化させる。インク層を適宜加熱乃至露光すると、着色樹脂組成物中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化して着色層3が形成される。
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用着色樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜2μm程度で設定される。
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
[有機発光表示装置]
本発明に係狩る有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(合成例1 バインダー樹脂Aの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル(MMA)32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)22質量部、メタクリル酸(MAA)24質量部、開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル(GMA)22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aの質量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
(合成例2 マクロモノマーMM−1の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(略称PGMEA)80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル50.0質量部、メタクリル酸−n−ブチル30.0質量部、メタクリル酸ベンジル20.0質量部、2−メルカプトエタノール4.0質量部、PGMEA30質量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工(株)社製)8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125質量部、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−1の49.5質量%溶液を得た。得られたマクロモノマーMM−1を、GPCにて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)4010、数平均分子量(Mn)1910、分子量分布(Mw/Mn)は2.10であった。
(合成例3 グラフト共重合体GP−1の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例2のマクロモノマーMM−1溶液67.34質量部(有効固形分33.33質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル16.67質量部、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG、淀化学製)0.66質量部(メルカプト基の総数は開始剤に対して2倍モル量)、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−1の25.6質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−1を、GPCにて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)25670、数平均分子量(Mn)8250、分子量分布(Mw/Mn)は3.11、分子量が1000未満の低分子量成分は2.0質量%であった。
(合成例4 グラフト共重合体GP−2の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例2のマクロモノマーMM−1溶液67.34質量部(有効固形分33.33質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル16.67質量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(「カレンズMT−PE1」、昭和電工製)0.83質量部(メルカプト基の総数は開始剤に対して2倍モル量)、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−2の25.8質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−2は、合成例3と同様のGPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)26705、数平均分子量(Mn)7380、分子量分布(Mw/Mn)は3.62、分子量が1000未満の低分子量成分は1.8質量%であった。
(合成例5 グラフト共重合体GP−3の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例2のマクロモノマーMM−1溶液67.34質量部(有効固形分33.33質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル16.67質量部、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート(TMTG、淀化学製)0.73質量部(メルカプト基の総数は開始剤に対して2倍モル量)、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−3の25.5質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−3は、合成例3と同様のGPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)21530、数平均分子量(Mn)6710、分子量分布(Mw/Mn)は3.21、分子量が1000未満の低分子量成分は2.2質量%であった。
(合成例6 グラフト共重合体GP−4の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。合成例2のマクロモノマーMM−1溶液67.34質量部(有効固形分33.33質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル16.67質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部(nDM、 製、メルカプト基の総数は開始剤に対して2倍モル量)、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−4の26.0質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−4は、合成例3と同様のGPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)12420、数平均分子量(Mn)4980、分子量分布(Mw/Mn)は2.49、分子量が1000未満の低分子量成分は3.0質量%であった。
(製造例1 分散剤溶液Aの調製)
100mLナスフラスコ中で、PGMEA13.99質量部に、合成例3のグラフト共重合体GP−1溶液34.96質量部(有効固形分8.95質量部)を溶解させ、更に、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学社製)1.05質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.35モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで分散剤溶液A(固形分20質量%)を調製した。
このとき、グラフト共重合体GP-1のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸・塩基反応により塩形成されている。
(製造例2 分散剤溶液Bの調製)
製造例1において、PGMEA14.26質量部、合成例3のグラフト共重合体GP−1溶液の代わりに、合成例4のグラフト共重合体GP−2溶液34.69質量部(有効固形分8.95質量部)を用いた以外は、製造例1と同様にして、分散剤溶液Bを調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸−塩基反応により塩形成されている。
(製造例3 分散剤溶液Cの調製)
製造例1において、PGMEA13.85質量部、合成例3のグラフト共重合体GP−1溶液の代わりに、合成例5のグラフト共重合体GP−3溶液35.10質量部(有効固形分8.95質量部)を用いた以外は、製造例1と同様にして、分散剤溶液Cを調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸−塩基反応により塩形成されている。
(製造例4 分散剤溶液Dの調製)
製造例1において、PGMEA14.53質量部、合成例3のグラフト共重合体GP−1溶液の代わりに、合成例6のグラフト共重合体GP−4溶液34.42質量部(有効固形分8.95質量部)を用いた以外は、製造例1と同様にして、分散剤溶液Dを調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、PPAのホスホン酸基との酸−塩基反応により塩形成されている。
(実施例1)
(1)カラーフィルタ用緑色顔料分散液Aの調製
製造例1で調製した分散剤溶液A19.5質量部(有効固形分3.9質量部)、合成例1のバインダー樹脂A11.82質量部(有効固形分5.2質量部)、PGMEA55.68質量部、C.I.ピグメントグリーン58(PG58:平均一次粒径10〜50nm)13.0質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、緑色顔料分散液Aを得た。
(2)カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Aの調製
上記(1)で得られた緑色顔料分散液A46.15質量部と下記バインダー組成物A39.00量部、PGMEA14.85質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Aを得た。
<バインダー組成物A(固形分20%)>
・アルカリ可溶性樹脂(製造例1のバインダー樹脂A、固形分44質量%):8.18質量部
・3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成社製):8.4質量部
・光重合開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製)):0.82質量部
・光重合開始剤:2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(商品名:ビイミダゾール、黒金化成社製)):1.64質量部
・光重合開始剤:2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成社製):0.26質量部
・光増感剤:2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬社製):0.28質量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):55.42質量部
(実施例2)
(1)カラーフィルタ用緑色顔料分散液Bの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aを製造例2で調製した分散剤溶液Bとした以外は、実施例1(1)と同様にして、緑色顔料分散液Bを調製した。
(2)カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Bの調製
実施例1(2)において、緑色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られた緑色顔料分散液Bを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Bを得た。
(実施例3)
(1)カラーフィルタ用緑色顔料分散液Cの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aを製造例3で調製した分散剤溶液Cとした以外は、実施例1(1)と同様にして、緑色顔料分散液Cを調製した。
(2)カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Cの調製
実施例1(2)において、緑色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られた緑色顔料分散液Cを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Cを得た。
(比較例1)
(1)カラーフィルタ用緑色顔料分散液Dの調製
実施例1(1)において、分散剤溶液Aを製造例4で調製した分散剤溶液Dとした以外は、実施例1(1)と同様にして、緑色顔料分散液Dを調製した。
(2)カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Dの調製
実施例1(2)において、緑色顔料分散液Aの代わりに、上記(1)で得られた緑色顔料分散液Dを用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、カラーフィルタ用緑色ネガ型レジスト組成物Dを得た。
(評価)
<顔料分散安定性評価>
顔料分散安定性の評価として、実施例1〜3及び比較例1で得られた顔料分散液を、それぞれ40℃で1週間静置し、静置前後の上記顔料分散液中の顔料粒子の平均粒径とせん断粘度の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装社製「ナノトラック粒度分布計UPA−EX150」を用い、粘度測定には、Anton Paar製「レオメータMCR301」を用いて、せん断速度が60rpmのときのせん断粘度を測定した。
結果を表1に示す。
<光学性能(色度・輝度・コントラスト)>
実施例1〜3及び比較例1で得られたネガ型レジスト組成物を、それぞれ厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行い、超高圧水銀灯を用いて30mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度がy=0.500となるように調整した着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、得られた着色基板のコントラスト、色度(x、y)及び輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
結果を表1に示す。
[結果のまとめ]
チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体について塩を形成した塩型グラフト共重合体を用いた実施例1〜3においては、顔料分散性に優れ、高コントラストで、且つ、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後の輝度低下が抑制された着色層を形成可能であった。一方、チオール基を1分子中に1個有するチオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体について塩を形成した塩型グラフト共重合体を用いた比較例1においては、顔料分散性とコントラストは優れるものの、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温加熱工程後に輝度が低下してしまうことが明らかにされた。
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
101 単官能チオール化合物(従来の連鎖移動剤)
102 窒素含有モノマー
103 マクロモノマー
104 重合開始剤
105 窒素含有モノマーとマクロモノマーとの共重合物
106 窒素含有モノマーのみの重合物
107 窒素含有モノマーのみの重合物
110 多官能チオール化合物(本発明の連鎖移動剤)
120 星型ポリマー

Claims (16)

  1. 顔料と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、顔料分散液。
    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
    (一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
  2. 前記分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(II)で表される有機リン酸化合物及び/又は下記一般式(III)で表される有機スルホン酸化合物である、請求項1に記載の顔料分散液。
    (一般式(II)及び一般式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基である。Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
    は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
    及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
    、Ra’、及びRにおいて、炭化水素基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
    sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
  3. 前記分散剤における前記マクロモノマーのポリマー鎖が、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである、請求項1又は2に記載の顔料分散液。
    (式(IV)及び、式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
    は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
    上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
    mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
  4. 前記顔料として、緑色顔料及び青色顔料のいずれか1種以上を含有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の顔料分散液。
  5. 下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と顔料とを溶剤中で分散させる工程を有する、顔料分散液の製造方法。
    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
    (一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
  6. 顔料と、分散剤と、バインダー成分と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、カラーフィルタ用着色樹脂組成物。
    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
    (一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
  7. 前記分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(II)で表される有機リン酸化合物及び/又は下記一般式(III)で表される有機スルホン酸化合物である、請求項6に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
    (一般式(II)及び一般式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基である。Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
    は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
    及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
    、Ra’、及びRにおいて、炭化水素基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
    sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
  8. 前記分散剤における前記マクロモノマーのポリマー鎖が、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである、請求項6又は7に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
    (一般式(IV)及び、一般式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
    は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
    上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
    mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
  9. 前記顔料として、緑色顔料及び青色顔料のいずれか1種以上を含有する、請求項6乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
  10. 下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してグラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と有機酸化合物とを混合することにより、当該グラフト共重合体の下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とを塩形成させて、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と顔料とを溶剤中で分散させて、顔料分散液を調製する工程と、
    得られた顔料分散液とバインダー成分とを混合する工程を有する、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法。
    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
    (一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
  11. 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、顔料と、分散剤と、バインダー成分とを含有する組成物を硬化させて形成されてなる着色層であり、前記分散剤が、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有し、チオール基を1分子中に3個又は4個有する多官能チオール化合物の存在下で共重合してなるグラフト共重合体において、下記一般式(I)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、カラーフィルタ。
    (一般式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記一般式(I−a)で表される基、又は、置換基を有していても良い、酸と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
    (一般式(I−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、R及びRは互いに同一であっても異なっていても良い。)
  12. 前記分散剤における前記有機酸化合物が、下記一般式(II)で表される有機リン酸化合物及び/又は下記一般式(III)で表される有機スルホン酸化合物である、請求項11に記載のカラーフィルタ。
    (一般式(II)及び一般式(III)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基である。Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
    は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
    及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
    、Ra’、及びRにおいて、炭化水素基はそれぞれ、置換基を有していてもよい。
    sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
  13. 前記分散剤における前記マクロモノマーのポリマー鎖が、下記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである、請求11又は12に記載のカラーフィルタ。
    (一般式(IV)及び、一般式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
    は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
    上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
    mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
  14. 前記顔料として、緑色顔料及び青色顔料のいずれか1種以上を含有する、請求項11乃至13のいずれかに記載のカラーフィルタ。
  15. 前記請求項11乃至14のいずれか1項に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
  16. 前記請求項11乃至14のいずれか1項に記載のカラーフィルタと、有機発光体を有することを特徴とする有機発光表示装置。
JP2012220133A 2012-10-02 2012-10-02 顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置 Pending JP2014071440A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012220133A JP2014071440A (ja) 2012-10-02 2012-10-02 顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012220133A JP2014071440A (ja) 2012-10-02 2012-10-02 顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014071440A true JP2014071440A (ja) 2014-04-21

Family

ID=50746645

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012220133A Pending JP2014071440A (ja) 2012-10-02 2012-10-02 顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014071440A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018091886A (ja) * 2016-11-30 2018-06-14 東洋インキScホールディングス株式会社 カラーフィルタ用感光性着色組成物およびカラーフィルタ
WO2021006077A1 (ja) * 2019-07-09 2021-01-14 株式会社Dnpファインケミカル 色材分散液、分散剤、感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置
JP2021011555A (ja) * 2019-07-09 2021-02-04 株式会社Dnpファインケミカル 色材分散液、分散剤、感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置
JP7508231B2 (ja) 2020-01-30 2024-07-01 株式会社Dnpファインケミカル 感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018091886A (ja) * 2016-11-30 2018-06-14 東洋インキScホールディングス株式会社 カラーフィルタ用感光性着色組成物およびカラーフィルタ
WO2021006077A1 (ja) * 2019-07-09 2021-01-14 株式会社Dnpファインケミカル 色材分散液、分散剤、感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置
JP2021011555A (ja) * 2019-07-09 2021-02-04 株式会社Dnpファインケミカル 色材分散液、分散剤、感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置
JP7317605B2 (ja) 2019-07-09 2023-07-31 株式会社Dnpファインケミカル 色材分散液、分散剤、感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置
JP7508231B2 (ja) 2020-01-30 2024-07-01 株式会社Dnpファインケミカル 感光性着色樹脂組成物、硬化物、カラーフィルタ、表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2013161616A1 (ja) カラーフィルタ用色材分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置
JP2010164965A (ja) カラーフィルタ画素形成用組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ
JP6059396B2 (ja) カラーフィルタ用色材分散液、カラーフィルタ用感光性着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機発光表示装置
JP5966629B2 (ja) 非水系分散剤、色材分散液及びその製造方法、着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置
JP6152879B2 (ja) 色材分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタの製造方法、液晶表示装置の製造方法、及び発光表示装置の製造方法
JP6024149B2 (ja) カラーフィルター用着色樹脂組成物、カラーフィルター、及び液晶表示装置
JP2013213982A (ja) カラーフィルター用感光性樹脂組成物、及びその製造方法、カラーフィルター、液晶表示装置、並びに、有機発光表示装置
JP2015107471A (ja) 非水系分散剤、カラーフィルタ用色材分散液、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機発光表示装置
JP2012083411A (ja) カラーフィルタ用樹脂組成物、カラーフィルタ、並びに、有機発光表示装置及び液晶表示装置
JP5516208B2 (ja) 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ
JP5899720B2 (ja) カラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、カラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置
WO2022038948A1 (ja) 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置
JP5899719B2 (ja) 顔料分散液、カラーフィルタ用ネガ型レジスト組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置
JP2014071440A (ja) 顔料分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置
JP2010144057A (ja) 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ
JP2012211266A (ja) 黄色顔料分散液、カラーフィルタ用黄色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機発光装置
JP2013250446A (ja) カラーフィルタ用色材分散液及びその製造方法、カラーフィルタ用着色樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置
JP2012078409A (ja) カラーフィルタ用青色顔料分散液、カラーフィルタ用青色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ及び液晶表示装置
JP5381682B2 (ja) 着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ
JP2013064870A (ja) カラーフィルタ用赤色樹脂組成物の製造方法及びカラーフィルタの製造方法
JP2013064065A (ja) 結晶析出抑制剤前駆物質、顔料分散液、カラーフィルタ用赤色樹脂組成物及びカラーフィルタの製造方法
JP5584380B1 (ja) 新規化合物、顔料析出抑制剤、着色組成物、着色樹脂組成物、カラーフィルター、液晶表示装置、及び有機発光表示装置
JP6450057B1 (ja) 感光性着色樹脂組成物及びその硬化物、カラーフィルタ、並びに表示装置
JP5724274B2 (ja) カラーフィルタ用赤色顔料分散液、カラーフィルタ用赤色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び液晶表示装置
JP6157111B2 (ja) 着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子