JP5899720B2 - カラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、カラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置 - Google Patents

カラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、カラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置 Download PDF

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本発明は、カラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、当該複合化顔料誘導体分散液又は複合化顔料誘導体を用いたカラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法、当該感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ、並びにこのカラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置に関するものである。
近年、液晶パネルの価格下落や地上デジタル放送開始の影響などに伴い、フラットパネルディスプレイの普及が急速に進んでいる。現在、実用化されているフラットパネルディスプレイの中でも、液晶ディスプレイは、テレビやパソコン用モニターの他、携帯電話、携帯ゲーム機、タブレットPC等の携帯端末にも広く利用されており、液晶ディスプレイの市場は益々拡大する状況にある。
このような状況において、液晶ディスプレイをカラー表示化させる機能を有するカラーフィルタにおいても、高輝度化や高コントラスト化、色再現性の向上といった要望が高まっている。特に最近は、バックライトの消費電力低減やLEDバックライトの特性に起因して、カラーフィルタの高輝度化の要望が高まっている。
また上述した課題は、今後普及されていくことが予想される有機ELディスプレイにおいても同様であり、高輝度化や色再現性の向上については当該ディスプレイにおいても解決すべき問題であった。
ここで、カラーフィルタは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤、緑、青の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部とを有している。
このような着色層の形成方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法などが知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
近年のカラーフィルタの開発トレンドとして、バックライトの光を有効利用するため、透過率の高い顔料の使用が求められている。高輝度な赤色顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料のC.I.ピグメントレッド254、高輝度な黄色顔料としては、キノフタロン系顔料であるC.I.ピグメントイエロー138が知られている。このような高輝度顔料は、カラーフィルタとして優れた分光特性を有している反面、コントラストが低いという問題があった。
一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりすることで、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低くなってしまう。
カラーフィルタの高コントラスト化を実現させるため、これまで、着色層中に含まれる顔料を微細化することが検討されてきている。例えば、C.I.ピグメントレッド254等のジケトピロロピロール系顔料は、顔料微細化によりコントラストの向上が可能だが、その顔料分散液を使用して作製した感光性樹脂組成物は、カラーフィルタの製造工程における露光後の200℃以上等の高温加熱工程後に、塗膜表面に顔料の凝集体が異物のように析出してしまうという問題点があった。
ジケトピロロピロール系顔料が200℃以上等の高温加熱工程時に顔料凝集体が析出してしまうという問題点を解消するために、特許文献1では、コントラストに優れ、表面粗さの低減された着色膜を形成することを目的として、ジケトピロロピロール系顔料に、ソルトミリングの際にフタルイミドアルキル化ジケトピロロピロール及びフタルイミドアルキル化キナクリドンを混合した顔料分散組成物を開示している。
また、特許文献2では、優れた分散安定性およびコントラストを有し、加熱処理によってもジケトピロロピロール系顔料の結晶析出が起こらないことを目的として、ジケトピロロピロール系顔料と、酸性基及び塩基性基から選択される少なくとも1種の基を有する顔料誘導体と、少なくとも1つの置換基を有するジアリールジケトピロロピロールとを混合した顔料分散組成物を開示している。
しかしながら、従来の技術では、高温加熱工程時の顔料析出抑制をした場合に、低輝度、分散安定性及び低コントラストが問題になっていた。
なお、特許文献3では、キノフタロン粗顔料を微細な顔料に変換する方法として、キノフタロン粗顔料を粉砕し、当該粉砕物をキノフタロン顔料誘導体の存在下の溶媒中で再結晶させる方法、又はキノフタロン粗顔料をキノフタロン顔料誘導体の存在下で粉砕し、当該粉砕物を溶媒中で再結晶する方法を開示しており、前記キノフタロン顔料誘導体としてスルホン化キノフタロン顔料やフタルイミドメチルキノフタロン顔料を開示している。しかし特許文献3では、キノフタロン顔料を製造する際に、粉砕された粗顔料の結晶成長を抑制する結晶化改質剤として、上記キノフタロン顔料誘導体が用いられているのみである。
一方、特許文献4及び5には、ナノサイズの微粒子を均一かつ安定的に分散させ、かつ分散時の微粒子の平均粒径を小さく保つことができるナノ微粒子複合体の製造方法として、分散安定化剤として重合性基を有する有機酸化合物を変性剤として用いた特定の重合体を溶媒に溶解した溶解液に、微粒子を添加して分散させた後、前記重合体の有機酸化合物の重合性基を架橋させる方法が記載されている。
特開2009−251586号公報 特開2009−149707号公報 特表2004−501911号公報 特開2010−53171号公報 特開2010−53172号公報
本発明者らは、従来よりも分散を強化することでキノフタロン系顔料(C.I.ピグメントイエロー138)の微細化を進め、このような微細化キノフタロン系顔料(C.I.ピグメントイエロー138)を用いることにより、高輝度で且つ高コントラスト化の要求を達成可能な着色層(塗膜)が得られることをつきとめた。しかしながら、キノフタロン系顔料についても、ジケトピロロピロール系顔料と同様に、顔料の微細化に伴い、カラーフィルタの製造工程における露光後の高温(200℃以上)加熱工程後、塗膜表面に顔料の結晶乃至凝集体が異物のように析出する問題が発生することがわかった。このような顔料の凝集体が塗膜表面に異物のように析出した場合には、カラーフィルタは不良品として用いることができなくなってしまう。他の顔料についても、今後従来よりも微細化を進行させると、同様に、露光後の高温加熱工程後、塗膜表面に顔料の凝集体が異物のように析出する問題が発生し得る。
顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を組み合わせて使用すると露光後の高温(200℃以上)加熱工程後の、塗膜表面の顔料の析出を抑制できる。しかしながら、当該顔料誘導体で処理された顔料を使用したり、顔料分散時に当該顔料誘導体を添加すると、顔料の分散性や顔料分散液の安定性が低下してしまうという問題がある。
顔料の微細化が進むにつれ、顔料凝集体析出を抑制するために、顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体の添加量をより多くしていく必要がある。すると、顔料の分散性や安定性が低下してしまい、更なる高コントラスト化と顔料の析出抑制を両立することが困難であった。
本発明は、このような状況下になされたものであり、顔料の分散性及び分散安定性を阻害することなく、カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時において、顔料の析出抑制機能を発現するカラーフィルタ用複合化顔料誘導体、該複合化顔料誘導体を用いた、顔料分散性及び分散安定性に優れ、カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時においても顔料が析出せず、高コントラストな着色層が得られるカラーフィルタ用樹脂組成物、当該感光性樹脂組成物を用いて形成された高コントラストなカラーフィルタ、並びにこのカラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、顔料凝集体を析出しやすい顔料に対して、顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を適用する場合に、当該顔料誘導体をそのまま顔料の処理時や顔料分散時に用いるのではなく、分散安定化剤と複合化した複合化顔料誘導体として用いることにより、顔料の分散性及び分散安定性を阻害することなく、200℃以上の高温加熱工程時においても顔料が析出せず、高コントラストな着色層が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液は、(A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体、(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤、及び(C)溶媒を含有する顔料誘導体分散体の、前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基が重合されてなることを特徴とする。
また、本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体の製造方法は、下記の工程1及び工程2を有することを特徴とする。
工程1.(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤を、(C)溶媒中に溶解乃至分散させた重合性分散安定化剤溶液に、(A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を添加して顔料誘導体分散体を形成する分散工程
工程2.前記顔料誘導体分散体中の前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基を重合させる重合工程
(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物は、少なくとも前記本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液、又は前記本発明に係る製造方法により得られたカラーフィルタ用複合化顔料誘導体と、顔料と、分散安定化剤と、バインダー成分とを含有することを特徴とする。
更に、本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法は、下記の工程1〜工程3を有することを特徴とする。
工程1.(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤を、(C)溶媒中に溶解乃至分散させた重合性分散安定化剤溶液に、(A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を添加して顔料誘導体分散体を形成する分散工程
工程2.前記顔料誘導体分散体中の前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基を重合させて、カラーフィルタ用複合化顔料誘導体を調製する工程
工程3.前記カラーフィルタ用複合化顔料誘導体と、顔料と、バインダー成分とを混合する工程
(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、並びに、本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法においては、前記(A)顔料誘導体が、下記一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有する顔料のイミドアルキル化誘導体、下記一般式(2)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体、及び、下記一般式(3)で表されるN置換非対称型ジケトピロロピロール誘導体よりなる群から選択される1種以上の顔料誘導体であることが、高温加熱工程時における顔料析出抑制機能に優れ、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
(一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
(一般式(2)中、Pcは、置換基を有していても良く、ヘテロ原子を含んでいても良い多環式化合物基を表す。Aは、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニル基、及び炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のAは同一であっても異なっていても良い。)
(一般式(3)中、A及びAは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表し、n’及びn”はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、n’及びn”がそれぞれ2以上の整数の場合、複数あるA又はAは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R、Rii及びRiiiは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””を表し、R’、R”、R”’及びR””は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5の飽和又は不飽和アルキル基を表す。但し、R、Rii及びRiiiのうち、少なくとも1つは、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””である。)
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、並びに、本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法においては、前記(B)重合性分散安定化剤における前記重合体が、前記一般式(I)で表される構成単位(1)と、下記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体であることが、前記(A)顔料誘導体の分散性及び分散安定性を向上し、且つ、高温加熱工程時において前記(A)顔料誘導体が顔料析出抑制機能を効率よく発揮し、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
(式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
また、本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、並びに、本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法においては、前記(B)重合性分散安定化剤における前記重合体が、下記一般式(I’)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらに前記窒素含有モノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体であることが、前記(A)顔料誘導体の分散性及び分散安定性を向上し、且つ、高温加熱工程時において前記(A)顔料誘導体が顔料析出抑制機能を効率よく発揮し、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
(式(I’)中、R、R、R、及びAは、それぞれ式(I)と同じである。)
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、並びに、本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法においては、前記グラフト共重合体における前記マクロモノマーの前記ポリマー鎖が、下記一般式(III)又は、一般式(IV)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが、前記(A)顔料誘導体の分散性及び分散安定性を向上し、且つ、高温加熱工程時において前記(A)顔料誘導体が顔料析出抑制機能を効率よく発揮し、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
(式(III)及び、式(IV)中、R21は水素原子又はメチル基であり、R22は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基、−[CH(R23)−CH(R24)−O]−R25、−[(CH−O]−R25、−[CO−(CH−O]−R25、−CO−O−R26又は−O−CO−R27で示される1価の基である。R23及びR24は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
25は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR28で示される1価の基であり、R26は、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基、−[CH(R23)−CH(R24)−O]−R25、−[(CH−O]−R25、−[CO−(CH−O]−R25で示される1価の基である。R27は炭素数1〜18のアルキル基であり、R28は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、並びに、本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法においては、前記(B)重合性分散安定化剤における前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素が重合性基を有するハロゲン化アラルキルであることが、前記(A)顔料誘導体の分散性及び分散安定性を向上し、且つ、高温加熱工程時において前記(A)顔料誘導体が顔料析出抑制機能を効率よく発揮し、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、並びに、本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法においては、前記(B)重合性分散安定化剤における前記重合性基を有する有機酸化合物が、下記一般式(V)及び/又は下記一般式(VI)で表されることが、前記(A)顔料誘導体の分散性及び分散安定性を向上し、且つ、高温加熱工程時において前記(A)顔料誘導体が顔料析出抑制機能を効率よく発揮し、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
(式(V)及び式(VI)中、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基であり、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。但し、R及びRa’のうちいずれかは、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、且つ、Ra’’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
は、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基であり、且つ、Rb’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体の製造方法、並びに、本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法においては、前記(B)重合性分散安定化剤における前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び重合性基を有する有機酸化合物の重合性基が、エチレン性不飽和二重結合含有基であることが、ラジカル重合法などで容易に架橋反応を行うことができるため、前記(A)顔料誘導体の分散性及び分散安定性を向上し、且つ、高温加熱工程時において前記(A)顔料誘導体が顔料析出抑制機能を効率よく発揮し、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
また、本発明は、上記本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物、又は前記本発明に係る製造方法により得られたカラーフィルタ用樹脂組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とする、カラーフィルタを提供する。
また、本発明は、上記カラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
更に、本発明は、上記カラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
本発明によれば、顔料の分散性及び分散安定性を阻害することなく、カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時において、顔料の析出抑制機能を発現するカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液及びカラーフィルタ用複合化顔料誘導体の製造方法、当該複合化顔料誘導体分散液又は複合化顔料誘導体を用いた、顔料分散性及び分散安定性に優れ、カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時においても顔料が析出せず、高コントラストな着色層が得られるカラーフィルタ用樹脂組成物、当該樹脂組成物を用いて形成された高輝度で高コントラストなカラーフィルタ、並びにこのカラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機発光表示装置を提供することができる。
本発明のカラーフィルタの一例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の(B)重合性安定化剤として好ましく用いられるグラフト共重合体の好ましい構造の一例を示す模式図である。 本発明の(B)重合性安定化剤の構造の一例を示す模式図である。 顔料誘導体分散体が重合され本発明の複合化顔料誘導体が形成される一例を示す模式図である。 本発明の複合化顔料誘導体の熱運動の一例を示す模式図である。 本発明の実施例16の塗膜の260℃での耐熱性評価結果の写真を示す。 比較例18の塗膜の260℃での耐熱性評価結果の写真を示す。
以下、本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液、複合化顔料誘導体の製造方法、カラーフィルタ用樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルタ、並びに、液晶表示装置及び有機発光表示装置について順に説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味する。
1.カラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液、及び複合化顔料誘導体の製造方法
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液は、(A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体、(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤、及び(C)溶媒を含有する顔料誘導体分散体の、前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基が重合されてなることを特徴とする。
また、本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体の製造方法は、下記の工程1及び工程2を有することを特徴とする。
工程1.(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤を、(C)溶媒中に溶解乃至分散させた重合性分散安定化剤溶液に、(A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を添加して顔料誘導体分散体を形成する分散工程
工程2.前記顔料誘導体分散体中の前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基を重合させる重合工程
(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液に含まれる複合化顔料誘導体、及び本発明の複合化顔料誘導体の製造方法により得られる複合化顔料誘導体は、顔料誘導体の表面に吸着した重合性分散安定化剤の重合性基が重合されてなり、顔料誘導体と分散安定化剤が複合化されたものである。
本発明によれば、顔料凝集体が析出しやすい顔料に対して、顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を分散安定化剤と複合化した本発明の複合化顔料誘導体を組み合わせて用いることにより、顔料の分散性及び分散安定性を阻害することなく、200℃以上の高温加熱工程時においても顔料が析出せず、高コントラストな着色層が得られる。
上記特定の組み合わせにより、上記のような効果を発揮する作用としては、未解明ではあるが以下のように推測される。
カラーフィルタの更なる高コントラスト化を実現させるため、これまで、着色層中に含まれる顔料を微細化することが検討されてきている。
極性基を有する分散安定化剤や顔料誘導体を用いて顔料を分散すると、溶媒中で分散を進めることにより、顔料を微細化しつつ、微細化されて露出された顔料表面に極性基を有する分散安定化剤や顔料誘導体が適切に吸着して溶媒中での顔料の安定化を図ることができ、顔料をより均一に微細化することができると推定される。しかしながら、均一に微細化されていた顔料が塗膜にされた後、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程で200℃もの高温が塗膜にかけられると、顔料に吸着されていた分散安定化剤の熱運動により分散安定化剤の吸着が弱まり、微細化されて露出された顔料表面同士の凝集力が強まって、顔料が析出してしまうのではないかと推定される。
この問題に対して、顔料と、分散安定化剤に、更に各種の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を併用する手法が検討されている。当該顔料誘導体は、微細化された顔料の表面に吸着し、顔料表面を安定化させ、或いは顔料同士の接触を妨害し、顔料が凝集乃至結晶化することなく、安定した塗膜を形成できるのではないかと推定される。
しかしながら、上記のような顔料誘導体は、極性が弱く或いは立体障害が大きいため、当該顔料誘導体を表面に吸着した顔料は、分散安定化剤と吸着し難くなり、顔料の分散性や分散安定性が低下してしまうと推定される。
それに対し、本発明の複合化顔料誘導体は、上述のように、顔料誘導体と分散安定化剤が複合化されたものである。
本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体について、図5〜図6に模式図を示す。図5に表されるような重合性基101と塩形成部位102を有する(B)重合性分散安定化剤200を溶解乃至分散させた(C)溶媒に、(A)顔料析出抑制機能を有する特定の顔料誘導体104を添加すると、図6に表されるように、(A)顔料誘導体104の表面に(B)重合性分散安定化剤が集まって吸着し、顔料誘導体分散体300が形成されるものと推定される。そして、顔料誘導体分散体300における(B)重合性分散安定化剤の重合性基101が重合されると(301)、分散安定化剤が顔料誘導体の表面に固定化され、複合化顔料誘導体400が形成されるものと推定される。
本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体400は、常温では、分散安定化剤が複合化されて顔料誘導体の表面に固定化された状態であるが、200℃以上もの高温で加熱すると、図7に表されるように、熱運動により上記分散安定化剤が顔料誘導体表面で固定化することができなくなり、熱により顔料誘導体が溶融する等して、顔料誘導体分子104が分子レベルで複合化顔料誘導体から放出されると推定される。
そのため、本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体400を、顔料と組み合わせて用いると、常温では、顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体が顔料表面に直接接触することなく存在するため、顔料の分散性及び分散安定性が良好なものになると推定される。一方、200℃以上もの高温では、上記顔料誘導体分子が複合化顔料誘導体から放出されて、微細化された顔料表面に吸着することができるようになる。従って、高温加熱工程時において、上記顔料誘導体は結晶析出抑制機能を発現することができ、200℃以上の高温加熱工程時においても顔料凝集体が析出せず、高コントラストな着色層が得られるものと推定される。
本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液又は複合化顔料誘導体においては、少なくとも上記(A)顔料誘導体と、(B)重合性分散安定化剤と、(C)溶媒とが用いられるが、必要に応じて他の成分を用いてよいものである。
以下、各成分について順に説明する。
((A)顔料誘導体)
本発明において用いられる(A)顔料誘導体は、カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体である。このような(A)顔料誘導体は、長時間分散するなどして1次粒子径以下まで微細化された顔料が200℃以上の高温加熱工程時に顔料凝集体を析出する場合に、添加することにより、顔料凝集体の析出が抑制される顔料誘導体を適宜選択すればよく、特に限定されない。例えば、顔料100質量部に対して1〜30質量部の添加により、顔料析出抑制機能が発揮される顔料誘導体を好適に用いることができる。
なお、顔料析出抑制機能は、例えば、顔料濃度が固形分中に15〜60質量%含まれる塗膜を200℃以上の加熱により顔料凝集体が析出する場合に、顔料100質量部に対して顔料誘導体1〜30質量部の添加して、同じ加熱条件で塗膜上に顔料凝集体が析出しなくなるか否かにより、顔料析出抑制機能があるか否かを判断することができる。
このような(A)顔料誘導体としては、組み合わせて用いる顔料と水素結合、π−π結合、ハロゲン−ハロゲン結合などの分子間力によって結合可能な顔料類似の骨格を有し、かつ顔料類似の骨格の一部に置換基が導入された構造が好適に用いられる。置換基としては、顔料への吸着力よりも分散安定化剤との相互作用が勝るような、スルホ基等の酸性基のような極性基を有しない方が好ましく、一般的に、嵩高く、極性が弱い基を有するものが好適に用いられる。(A)顔料誘導体は、どのような構造であっても本発明の複合化顔料誘導体を製造することができ、且つ、高温時に上述の作用効果を発揮し得るので、特に限定されない。
以下に本発明において用いられる(A)顔料誘導体の例を挙げるが、高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体であればよく、これらの構造に限定されるものではない。
本発明において用いられる(A)顔料誘導体としては、下記一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有する顔料のイミドアルキル化誘導体、下記一般式(2)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体、及び、下記一般式(3)で表されるN置換非対称型ジケトピロロピロール誘導体よりなる群から選択される1種以上の顔料誘導体であることが、高温加熱工程時における顔料析出抑制機能に優れ、高コントラストを達成しやすい点から好ましい。
(一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
(一般式(2)中、Pcは、置換基を有していても良く、ヘテロ原子を含んでいても良い多環式化合物基を表す。Aは、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニル基、及び炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のAは同一であっても異なっていても良い。)
(一般式(3)中、A及びAは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表し、n’及びn”はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、n’及びn”がそれぞれ2以上の整数の場合、複数あるA又はAは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R、Rii及びRiiiは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””を表し、R’、R”、R”’及びR””は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5の飽和又は不飽和アルキル基を表す。但し、R、Rii及びRiiiのうち、少なくとも1つは、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””である。)
<一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有する顔料のイミドアルキル化誘導体>
一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有する顔料のイミドアルキル化誘導体において、顔料は特に限定されず、後述する樹脂組成物において組み合わせて用いられる顔料や、得られる着色層の色相等の点から適宜選択することができる。例えば、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサンジン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。
一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有する顔料のイミドアルキル化誘導体において、環状イミドアルキル基は、顔料を構成する顔料骨格に、上記一般式(1)で表されるアルキレン基Rで結合する。
一般式(1)中、Rの炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基が挙げられ、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基等が挙げられる。中でも、製造が容易な点から、アルキレン基としては、メチレン基であることが好ましい。
一般式(1)中、Xは、アリーレンを表し、1,2−フェニレン、1,2−ナフチレン、2,3−ナフチレン、1,8−ナフチレン、及び2,2’−ビフェニレン等が挙げられる。一般式(1)中のXとしては、フタルイミドとなる1,2−フェニレン、及び、ナフタルイミドとなる1,8−ナフチレンが好ましい。
一般式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が好ましい。
一般式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、及び、置換されたフェニルスルホニル基、例えば、p−トリルスルホニル基、p−クロロフェニルスルホニル基、p−ブロモフェニルスルホニル基等を挙げることができる。
一般式(1)中、Xのアリーレン基に置換されていても良いアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンジル基等を挙げることができる。
本発明において用いられる顔料のイミドアルキル化誘導体は、中でも、下記一般式(1’)で表されるフタルイミドアルキル基を有するフタルイミドアルキル化誘導体であることが、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
(式(1’)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
一般式(1’)で表されるフタルイミドアルキル基において、アルキレン基Rは、上記一般式(1)と同様であってよく、中でも、メチレン基が、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
また、上記特定のイミドアルキル基の置換数は、1〜5が挙げられるが、1〜2であることが好ましく、中でも1であることが、効率的に顔料凝集体を抑制できる点から好ましい。
顔料のイミドアルキル化誘導体の分子量が小さい方が、質量あたりの有効成分の割合が増えるため、効率的に顔料凝集体を抑制できる。
顔料のイミドアルキル化誘導体は、例えば、顔料を、パラホルムアルデヒドとフタルイミド等の特定のイミドとを、三酸化硫黄や硫酸中で、反応させることにより製造することができる。なお、合成方法については、特表2004−501911号公報に詳細に記載され、これを参照することができる。顔料のイミドアルキル化誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。例えば、アルキレン基の種類、イミドアルキル基の種類、各種イミドアルキル基の置換位置又は置換数が異なるイミドアルキル化誘導体を2種以上混合して用いても良い。
顔料のイミドアルキル化誘導体は、200℃以上の高温加熱工程時に顔料凝集体が析出する顔料と類似の顔料骨格を有するものが、顔料への吸着性が良好になる点から、好適に用いられる。ここで上記顔料骨格とは、有機顔料としての性質を有する最小限の構造をいう。例えば、ジケトピロロピロール系顔料であれば、顔料骨格とは下記式(P−A0)で表される構造、キノフタロン系顔料であれば、顔料骨格とは下記式(P−B0)で表される構造を示す。
例えば、後述する樹脂組成物において組み合わせて用いられる顔料の少なくとも1種が下記式(P−A1)で表されるジケトピロロピロール系顔料であって、前記顔料のイミドアルキル化誘導体が下記式(P−A2)で表されるジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体であるか、或いは、後述する樹脂組成物において組み合わせて用いられる顔料の少なくとも1種が下記式(P−B1)で表されるキノフタロン系顔料であって、前記顔料のイミドアルキル化誘導体が下記式(P−B2)で表されるキノフタロン系顔料のイミドアルキル化誘導体である場合が、好適な組み合わせとして挙げられる。
(化学式(P−A1)及び(P−A2)中、A’、A”は水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、又はフェニル基を表し、R及びXは、上記一般式(1)と同じである。n1はイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。化学式(P−B1)及び(P−B2)中、B1〜B8は水素原子、塩素原子、又は臭素原子を表し、R及びXは、上記一般式(1)と同じである。n1はイミドアルキル基の置換数を示し、1〜5の整数を表す。)
<一般式(2)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体>
上記一般式(2)ジケトピロロピロール誘導体は、ジフェニルジケトピロロピロール骨格を持つ赤色顔料の一方のフェニル基を多環式化合物基としたことにより、上記フタルイミドメチル化ジケトピロロピロール誘導体と同様に、顔料析出抑制機能を有する。なお、非対称型とは、ジケトピロロピロール骨格の2つのピロール環に置換された置換基又は置換位置が異なることをいう。
一般式(2)におけるフェニル基に置換されたAは、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニル基、及び炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基よりなる群から選択される置換基である。当該特定の置換基Aの場合には、本発明の効果を大きく妨げることはない。なお、Aがフェニル基の場合であって、Pcがビフェニル基である場合には、ジケトピロロピロール骨格の2つのピロール環に対して対称的な構造にならないように、Aのフェニル基は結合する。
中でも、一般式(2)におけるフェニル基に置換されたAは、樹脂組成物において組み合わせて用いられる前記ジケトピロロピロール系顔料と同一の母体を有すること、すなわち、化学式(P−A1)におけるA’又はA”と同一であることが、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程時に結晶の析出が抑制され、高コントラストな着色層を作製可能な点から好ましい。
例えば、樹脂組成物において組み合わせて用いられるジケトピロロピロール系顔料がC.I.ピグメントレッド254の場合には、置換基Aが塩素原子であることが、顔料に吸着しやすくジケトピロロピロール系顔料の再結晶化を阻害することができる点から好ましい。
また、置換基Aを有しない(n=0である)場合も、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程時に結晶の析出が抑制され、高コントラストな着色層を作製可能な点から好ましい。フェニル基に塩素等、置換基が無い方が、ジフェニルジケトピロロピロール系顔料に作用する側の立体障害が小さく、ジフェニルジケトピロロピロール系顔料の一次粒子の表面により多く水素結合したり、吸着したりでき、これによりジケトピロロピロール系顔料の再結晶化を阻害することができる。
置換基Aを有する場合のAとしては、中でも、ハロゲン原子、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキル基であることが、立体障害が小さく、顔料に対する吸着を妨げない点から好ましい。ハロゲン原子としては、Cl、Brなどが挙げられる。炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
一般式(2)のPcにおける、多環式化合物基とは、環構造を2つ以上含む多環式化合物から水素原子を1個除いた残りの原子団をいう。ここでの多環式化合物は、2環以上が縮合した縮合多環式化合物だけでなく、環構造が直接相互に連結された非縮合多環式化合物も含まれる。また環構造としては、芳香族炭化水素、芳香族複素環式化合物、非芳香族複素環式化合物、脂肪族環状炭化水素が挙げられる。環構造としては、中でも、芳香族炭化水素、芳香族複素環式化合物、非芳香族複素環式化合物が、剛直な立体障害となる点から好ましい。
芳香族炭化水素の単環構造としては、ベンゼンが挙げられる。芳香族複素環式化合物の単環構造としては、フラン、チオフェン、ピロール等が挙げられる。非芳香族複素環式化合物としては、環式エーテル、ラクトン、環式イミン、ラクタム等の構造が挙げられ、例えば、オキセタン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、ブチロラクトン、エチレンイミン等が挙げられる。また、脂肪族環状炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
縮合多環式化合物としては、ナフタレン、インデン、アズレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、クリセン、ナフタセン等の縮合環炭化水素や、ベンゾフラン、イソベンゾフラン等の縮合複素環化合物が挙げられる。また、縮合多環式化合物には、縮合環炭化水素や縮合複素環化合物の一部が水素添加された構造も含まれる。
Pcにおける多環式化合物としては、縮合多環式化合物を用いるか、或いは、単環構造同士、縮合多環式化合物同士、又は、単環構造と縮合多環式化合物を、直接結合により相互に連結された多環式化合物を用いる。このような多環式化合物を用いると、相互の水素原子や立体障害によって安定な位置に環構造が強く固定されるため、剛直で加熱時にも動きにくく、顔料析出抑制機能が向上するというメリットがある。
Pcにおける単環構造同士、縮合多環式化合物同士、又は、単環構造と縮合多環式化合物を、直接結合により相互に連結された多環式化合物の具体例としては、例えば、ビフェニル、1−フェニル−2,5−ジメチルピロール、ビピリジル等が挙げられる。
Pcにおける多環式化合物としては、置換基を有していても良く、当該置換基としては、フェニル基に結合していても良いAと同じ置換基が挙げられる。
Pcにおける多環式化合物としては、炭素数が4〜20であることが好ましく、更に炭素数が5〜18であることが、顔料のジケトピロロピロール骨格に対する吸着性と顔料析出抑制機能の効果のバランス、および溶剤への溶解性の点から好ましい。
本発明で用いられる非対称型ジケトピロロピロール誘導体は、顔料のジケトピロロピロール骨格に対する吸着性と顔料析出抑制機能の効果のバランス、および溶剤への溶解性、ジフェニルジケトピロロピロール骨格を持つ赤色顔料とほぼ同じ色を有し、添加による色変化、輝度低下が少ない点から、中でも、ジケトピロロピロール骨格に芳香族炭化水素が直接結合した構造を有していることが好ましく、下記一般式(2’)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体であることが好ましい。
(一般式(2’)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は有機基であり、それらが結合して環状構造を形成していても良く、ヘテロ原子の結合を含んでいても良い。但し、Ar〜Arの少なくとも1つが置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良いヘテロアリール基であるか、及び/又は、Ar〜Arの少なくとも2つが結合して環状構造を形成しているものである。A及びnは、一般式(2)と同じである。)
Ar〜Arにおける有機基は、少なくとも炭素原子を含む置換基をいう。Ar〜Arにおける有機基としては、例えば、置換基を有していても良い、直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。当該有機基中には、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等のヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいても良い。ヘテロ原子を含んでいる当該有機基としては、例えば、シアノ基、アルコキシ基等が挙げられる。
一般式(2’)中のAr〜Arは、Ar〜Arの少なくとも2つが結合して環状構造を形成しているか、及び/又は、Ar〜Arの少なくとも1つが置換基を有していても良いアリール基又は置換基を有していても良いヘテロアリール基である。Ar〜Arの少なくとも2つが結合して環状構造を形成している場合としては、Ar〜Arの少なくとも2つが結合して、Ar〜Arが結合しているベンゼン環と共に上述の縮合多環式化合物を形成している場合が挙げられる。また、少なくとも1つがアリール基又はヘテロアリール基である場合のアリール基としては、上述の芳香族炭化水素が挙げられ、ヘテロアリール基としては、上述の芳香族複素環式化合物、非芳香族複素環式化合物が挙げられる。また、当該アリール基又はヘテロアリール基が有していても良い置換基としては、ハロゲン原子、ベンジル基、又は炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基が挙げられる。
一般式(2)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体としては、例えば、以下の構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において用いられる一般式(2)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体は、例えば、特定のピロリノンとベンゾニトリルとを反応させることにより製造することができる。この合成方法については、欧州特許出願公開第0184982号明細書に詳細に記載され、これを参照することができる。非対称型ジケトピロロピロール誘導体としては、1種単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
<一般式(3)で表されるN置換非対称型ジケトピロロピロール誘導体>
一般式(3)で表されるN置換非対称型ジケトピロロピロール誘導体において、N置換非対称型とは、ジケトピロロピロール骨格の2つの窒素原子の1つに置換基が導入されることにより、化学構造が非対称となっているものをいう。
上記一般式(3)の、A及びAにおけるハロゲン原子は、Cl、Br等が挙げられる。A及びAにおける1価の有機基は、特に限定されず、例えば、前記化学式(2’)におけるAr〜Arと同様のものが挙げられる。中でも、A及びAとしては、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニル基、炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基であることが、更に、ハロゲン原子、炭素数1〜3の直鎖又は分枝のアルキル基であることが、顔料析出抑制機能が高い点から好ましい。
上記A及びAにおけるベンジル基、フェニル基及びアルキル基は更にハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
例えば、樹脂組成物において組み合わせて用いられるジケトピロロピロール系顔料がC.I.ピグメントレッド254の場合には、置換基A及びAが塩素原子であることが、顔料に吸着しやすくジケトピロロピロール系顔料の再結晶化を阻害することができる点から好ましい。
また、置換基A及びAを有しない(n、n’=0である)場合も、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程時に結晶の析出が抑制され、高コントラストな着色層を作製可能な点から好ましい。フェニル基に塩素等、置換基が無い方が、ジフェニルジケトピロロピロール系顔料に作用する側の立体障害が小さく、ジフェニルジケトピロロピロール系顔料の一次粒子の表面により多く水素結合したり、吸着したりでき、これによりジケトピロロピロール系顔料の再結晶化を阻害することができる。
一般式(3)において、R、Rii及びRiiiのうち、少なくとも1つは、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””(ここで、R’、R”、R”’及びR””は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5の飽和又は不飽和アルキル基を表す。)である。すなわち、本発明において用いられる前記一般式(3)で表される顔料誘導体は、ジケトピロロピロール環の窒素原子に、メチレン基を介して、嵩高い基が存在する構造を有している。このような構造を有することにより、アリール基、シアノ基、二重結合又は三重結合が、メチレン基を介さず、直接窒素原子と結合している場合や、メチレン基よりも長いアルキル鎖を介して窒素結合と結合している場合よりも、ジケトピロロピロール環付近の立体障害が大きくなり、顔料析出抑制効果が得られる。
、Rii及びRiiiにおけるアリール基としては、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基等が挙げられ、更に置換基を有していてもよい。アリール基が有していてもよい置換基としては、特に限定されない。例えば、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、二重結合、三重結合を有していてもよい。
上記R’、R”、R”’及びR””における、炭素数1〜5のアルキル基としては、特に限定されない。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、二重結合、三重結合を有していてもよい。
化学式(2)で表される基においては、顔料析出抑制効果が高い点から、中でも、R、Rii及びRiiiのうち、少なくとも1つは、アリール基又はシアノ基であることが好ましい。中でも、更に分散性が良好な点から、R、Rii及びRiiiのうち、少なくとも1つは、シアノ基であることが好ましい。
以下に、前記一般式(3)で表されるN置換非対称型ジケトピロロピロール誘導体を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記一般式(3)で表される顔料誘導体の製造方法は特に限定されない。例えば、ジケトピロロピロール系顔料と、下記一般式(4)又は下記一般式(4’)で表される化合物を、ナトリウムメチラート等の強塩基存在下、溶媒中で反応させることにより得ることができる。
(一般式(4)及び一般式(4’)中、R、Rii及びRiiiは、一般式(3)と同様であり、Zは、ハロゲン原子、Rivは、1価の有機基である。)
上記反応において一般式(4)又は一般式(4’)で表される化合物は、通常、ジケトピロロピロール系顔料に対して、0.8〜2.0モル当量用いる。中でも、ジケトピロロピロール系顔料に対して、一般式(4)又は一般式(4’)で表される化合物を0.8〜1.5モル当量用いることがより好ましく、更に一般式(4)又は一般式(4’)で表される化合物を0.8〜1.3モル当量用いることが、副生成物の生成を抑制し、反応収率を向上させる点から好ましい。
化学式(4’)のRivにおける1価の有機基は特に限定されず、当該有機基としては、直鎖、分岐、又は環状の飽和又は不飽和炭化水素基、単環又は多環芳香族基及びこれらが組み合わされた基が挙げられる。中でも、単環又は多環芳香族基を有する基が好ましく、例えば、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
本発明において、(A)顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液において、(A)顔料誘導体の含有量は特に限定されない。中でも、分散性、分散安定性が高く、高温加熱工程時における顔料の析出を効率よく抑制し、高コントラストな着色層を形成可能な点から、カラーフィルタ用複合化顔料誘導体全体を100質量部とした場合、(A)顔料誘導体が20〜90質量部含有することが好ましく、30〜80質量部含有することがより好ましく、更に40〜70質量部含有されることがより好ましい。
本発明に用いられる(A)顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体の平均一次粒径としては、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されず、用いる顔料誘導体の種類によっても異なるが、10〜200nmの範囲内であることが好ましく、20〜100nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液、カラーフィルタ用樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置及び有機発光表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
上記顔料誘導体の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とする。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
(B)重合性分散安定化剤
本発明において(B)重合性分散安定化剤は、少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体が用いられる。
(式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
上記式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。これらの中で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明においては、上記R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、*−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−**、又は、*−[(CH−O]−(CH−**で示される2価の基である。ここで、*は、エステル結合側の連結部位を表し、**は、アミノ基側の連結部位を表す。また、上記炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種へキシレン基、各種オクチレン基などである。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。本発明においては、x、y、及びzが、上記の範囲内にあれば、(A)顔料誘導体の分散性を優れたものとすることができる。
このAとしては、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。炭素数が1〜8の範囲内であれば、(A)顔料誘導体の分散性を良好に保つことができる。
本発明に用いられる重合体において、前記窒素含有モノマーに由来する繰り返し単位は、3〜60質量%の割合で含まれていることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。重合体中の窒素含有モノマーに由来する繰り返し単位の含有量が上記範囲内にあれば、重合体中のアミノ基が形成する塩形成部位の割合が適切となり、かつマクロモノマーによる溶媒との溶解性の低下を抑制できるので、(A)顔料誘導体に対する吸着性が良好となり、(A)顔料誘導体の分散性、及び安定性が得られる。
(重合性基を有するハロゲン化炭化水素)
本発明において、(B)重合性分散安定化剤を構成する重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物は、前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と塩を形成している。前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成していることにより、溶媒中での(A)顔料誘導体分散性の安定化を図ることができ、その結果、優れた複合化顔料誘導体を得ることができる。
前記構成単位(1)が有するアミノ基と塩を形成する、重合性基を有するハロゲン化炭化水素としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれかのハロゲン原子が、重合性基を有する炭化水素基の水素原子と置換されているものが挙げられる。
上記炭化水素基としては、特に限定されず、直鎖、分岐、又は環状の飽和脂肪族炭化水素基、直鎖、分岐、又は環状の不飽和脂肪族炭化水素基、単環又は多環芳香族基及びこれらの組み合わせが挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素が重合性基として機能するものである場合には、別途重合性基を有していなくてもよい。上記炭化水素基の炭素数としては、2〜18程度、更に3〜10程度が好適に用いられる。当該炭化水素基は、本発明の効果が損なわれない限り、更に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、アルコキシ基等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素としては、中でも、ハロゲン化アラルキル又はハロゲン化アリルが好ましく用いられ、特にハロゲン化アラルキルが好ましく用いられる。ハロゲン化アラルキルのアラルキル基としては、炭素数7〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ナフチルメチル、臭化ナフチルメチル等が挙げられる。また、上記ハロゲン化アリルとしては、例えば、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルが挙げられる。中でも、塩化アリル、臭化アリル、塩化ベンジル及び臭化ベンジルからなる群から選択される少なくとも1種であることが塩形成反応のしやすさと、生成した塩形成部位が(A)顔料誘導体への吸着性に優れている点、分散剤の耐熱性や耐アルカリ性を高くすることができる点から好ましい。
ハロゲン化炭化水素が有する重合性基としては、特に限定されない。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基や、オキシラン環、オキセタン環等の環状エーテル含有基を含むカチオン重合性基等が挙げられる。中でも、ラジカル重合性基が好ましく、エチレン性不飽和結合含有基が好ましい。
エチレン性不飽和結合含有基としては、例えば、炭素数2〜18のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、−[CH(R31)−CH(R32)−O]−R33又は−[(CH−O]−R33で示される1価の基であり、且つ、R31及びR32がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R33が、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CH等を挙げることができる。ここで、aは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、bは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。cは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。中でも、ビニル基、アリル基あるいは−[CH(R31)−CH(R32)−O]−R33、又は−[(CH−O]−R33であり、且つ、R33が−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが好ましく、特に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、であることが好ましい。
本発明において、重合性基を有するハロゲン化炭化水素としては、中でも、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレンであることが、ラジカル重合しやすく、容易に溶媒中での(A)顔料誘導体の安定化を図ることができ、その結果、(A)顔料誘導体の分散性及び安定性に優れたものとすることができる点から、特に好ましい。
(重合性基を有する有機酸化合物)
(B)重合性分散安定化剤における前記重合性基を有する有機酸化合物としては、下記一般式(V)及び/又は下記一般式(VI)で表される有機酸化合物が好適に用いられる。
(式(V)及び式(VI)中、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基であり、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。但し、R及びRa’のうちいずれかは、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、且つ、Ra’’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
は、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基であり、且つ、Rb’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
上記一般式(V)において、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、R及びRa’のうちいずれかは、重合性基を有する。
尚、R及びRa’及びRa’’が炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基である場合、置換基を有していてもよい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種オクタデセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
上記アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
上記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、ニトロ基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。アルキル基、アルケニル基等の炭化水素基の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
上記R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、ベンジル基、フェニル基、ビフェニル基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基である。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基、及び、炭素数2〜18のアルケニル基は、前記R及びRa’で示したとおりである。
また、式(V)の有機酸化合物は重合性基を有するため、上記R及びRa’のうちいずれかは、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、且つ、Ra’’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
上記R、Ra’及びRa’’において、sは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
上記一般式(VI)において、Rは、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基であり、且つ、Rb’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、前記R及びRa’で示したとおりである。また、上記R及びRは、前記と同じである。
上記R及びR’において、a、b、及びcは、前記R及びRa’で説明したとおりである。
上記一般式(V)及び一般式(VI)で表される重合性基を有する有機酸化合物は、R及び/又はRa’、並びにRが重合性基であり、なかでもビニル基、アリル基あるいは−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−O−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−O−−[(CH−O]−Rであり、且つ、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが好ましく、特に、R及び/又はRa’、並びにRが、それぞれ独立にビニル基、アリル基、2−メタクリロイルオキシ基、2−アクリロイルオキシ基を含むことが好ましい。
本発明においては、上記塩を形成しているハロゲン化炭化水素及び/又は有機酸化合物が、重合性基を有するため、(A)顔料誘導体を(B)重合性分散安定化剤を用いて分散後に、該ハロゲン化炭化水素及び/又は有機酸化合物が有する重合性基同士を顔料誘導体の近傍で重合させることができる。その結果、(A)顔料誘導体の周囲に重合体が固定化され、(A)顔料誘導体がより均一かつ安定的に分散し、かつ分散時の顔料誘導体複合体の平均粒径を小さく保つことが可能となる。
尚、上記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる(B)重合性分散安定化剤における上記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物の含有量は特に制限はないが、一般に前記構成単位(1)に含まれるアミノ基に対して、0.05〜2.0モル当量程度、好ましくは0.1〜1.5モル当量、より好ましくは0.2〜1.0モル当量である。尚、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができ、2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
本発明においては、(B)重合性分散安定化剤として、少なくとも上記記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体であれば、特に限定されないが、中でも、後述する特定のブロック共重合体、又は後述する特定のグラフト共重合体であることが、ナノサイズの(A)顔料誘導体を均一かつ安定的に分散させ、かつ分散時の(A)顔料誘導体の平均粒径を小さく保つことができる複合化顔料誘導体分散液が得られる点から好ましい。
以下、好ましい特定のブロック共重合体、及び好ましいグラフト共重合体について、順に説明する。
(ブロック共重合体)
本発明においては、前記(B)重合性分散安定化剤として用いられる前記重合体が、前記一般式(I)で表される構成単位(1)と、下記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素とが塩を形成したブロック共重合体(塩型ブロック共重合体と称することがある)であることが、ナノサイズの(A)顔料誘導体を均一かつ安定的に分散させ、かつ分散時の(A)顔料誘導体の平均粒径を小さく保つことができる複合化顔料誘導体分散液を製造できる点から好ましい。
(式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
上記一般式(II)において、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rを示す。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記R及びRa’で示したのと同様であって良い。
アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
上記Rは水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。
上記Rで示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記Rのうちの炭素数1〜18のアルキル基、及び、アラルキル基、アリール基は、前記R及びRa’で示したのと同様であって良い。
上記Rにおいて、x、y及びzは、前記Aで説明したとおりである。
また、上記一般式(II)で表される繰り返し単位(2)中のR及びRは、互いに同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明において、上記Rとしては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記ブロック共重合体を構成する構成単位等によっても異なるが、上記溶媒が、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記Rをこのように設定する理由は、上記Rを含む構成単位(2)が、後述する溶媒に対して溶解性を有し、上記構成単位(1)のアミノ基と、前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが形成する塩形成部位が(A)顔料誘導体に対して高い吸着性を有するものであることにより、(A)顔料誘導体の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
さらに、上記Rは、上記ブロック共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。
本発明に用いられるブロック共重合体の分子サイズに関しては、上記繰り返し単位(1)の数は、3〜200の整数、好ましくは3〜50の整数である。上記繰り返し単位(2)の数は、10〜200の整数、好ましくは20〜100の整数、より好ましくは20〜70の整数である。本発明においては、上記繰り返し単位の数がそれぞれ上記の範囲内にあることにより、溶媒可溶性部位と溶媒不溶性部位が効果的に作用し、(A)顔料誘導体の分散性に優れたものとすることができる。
さらに、上記ブロック共重合体の質量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜15000の範囲内であることがより好ましく、3000〜12000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲内であることにより、(A)顔料誘導体を均一に分散させる分散初期の(A)顔料誘導体に対する濡れ性と分散安定性を両立することが可能となる。
なお、上記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
本発明に用いられるブロック共重合体の結合順としては、上記繰り返し単位(1)及び上記繰り返し単位(2)を有し、(A)顔料誘導体を安定に分散することができるものであればよく、特に限定されないが、上記繰り返し単位(1)が上記ブロック共重合体の一端のみに結合したものであることが好ましい。すなわち、上記繰り返し単位(1)と、上記繰り返し単位(2)とが、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)−繰り返し単位(1)の順で結合したものであってもよく、繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)が繰り返し結合したものであってもよいが、本発明においては、なかでも繰り返し単位(1)−繰り返し単位(2)の順で結合したものが好ましい。その理由は、(A)顔料誘導体に対する吸着性に優れ、さらにこのようなブロック共重合体を用いた(B)重合性分散安定化剤同士の凝集を効果的に抑えることができるからである。
構成単位(1)や構成単位(2)が2種以上含まれる場合において、構成単位(1)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2)の順で結合したブロック共重合体や、構成単位(1’)−構成単位(1”)−構成単位(2’)−構成単位(2”)の順で結合したブロック共重合体などであっても良い。
(塩型ブロック共重合体の製造)
本発明において、塩型ブロック共重合体の製造方法としては、前記の構成単位(1)と、構成単位(2)とを有し、かつ構成単位(1)が有するアミノ基と、前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、前記の構成単位(1)および構成単位(2)を公知の重合手段を用いて重合した後、後述する溶媒中に溶解または分散し、次いで前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物を添加し、25〜120℃の温度で反応させることにより製造することができる。
上記重合手段としては、前記の構成単位(1)および構成単位(2)を所望のユニット比で重合し、所望の分子量とすることができる手段であればよく、特に限定されず、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えば、アニオン重合やリビングラジカル重合などを用いることができる。本発明においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布などを所望の範囲とすることが容易であるので、分散性などの特性を均一にすることができる。
(グラフト共重合体)
本発明においては、前記(B)重合性分散安定化剤として用いられる前記重合体が、下記一般式(I’)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらに前記窒素含有モノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素とが塩を形成したグラフト共重合体(塩型グラフト共重合体と称することがある)であることが、ナノサイズの(A)顔料誘導体を均一かつ安定的に分散させ、かつ分散時の(A)顔料誘導体の平均粒径を小さく保つことができる複合化顔料誘導体分散液が得られる点から好ましい。
(式(I’)中、R、R、R、及びAは、それぞれ式(I)と同じである。)
前記(B)重合性分散安定化剤として用いられる塩型グラフト共重合体において、マクロモノマーは、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなるものである。このエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ポリマー鎖の一方の末端(以下、「片末端」と称することがある。)のみに有することが好ましい。また、マクロモノマーは、グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、置換基で置換されていてもよく、置換基としては、例えばハロゲン原子などが挙げられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが好ましく挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
前記マクロモノマーのポリマー鎖は、下記一般式一般式(III)又は一般式(IV)で表される構成単位を少なくとも1種有するものであることが好ましい。
(式(III)及び、式(IV)中、R21は水素原子又はメチル基であり、R22は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基、−[CH(R23)−CH(R24)−O]−R25、−[(CH−O]−R25、−[CO−(CH−O]−R25、−CO−O−R26又は−O−CO−R27で示される1価の基である。R23及びR24は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
25は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR28で示される1価の基であり、R26は、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基、−[CH(R23)−CH(R24)−O]−R25、−[(CH−O]−R25、−[CO−(CH−O]−R25で示される1価の基である。R27は炭素数1〜18のアルキル基であり、R28は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
上記R23及びR24は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。R25は、水素原子、あるいは置換基を有してもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR28で示される1価の基である。R28は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基であり、R27は、炭素数1〜18のアルキル基である。
上記R25で示される1価の基において、有してもよい置換基としては、例えば炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子などを挙げることができる。
上記R22、R25、R26及びR27のうちの炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記R及びRa’で示したのと同様であって良い。
上記R22及びR26において、x、y及びzは、前記Rと同様であって良い。
本発明において、上記R22及びR26としては、なかでも、後述する溶媒との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、具体的には、上記グラフト共重合体を構成する構成単位等によっても異なるが、上記溶媒が、カラーフィルタ用の溶媒として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記R22及びR26をこのように設定する理由は、上記R22及びR26を含む構成単位が、上記溶媒に対する溶解性を有し、上記窒素含有モノマーのアミノ基と前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが形成する塩形成部位が(A)顔料誘導体に対して高い吸着性を有するものであることにより、(A)顔料誘導体の分散性、及び安定性を特に優れたものとすることができるからである。
さらに、上記R22及びR26は、上記グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。また、これらの置換基を有するグラフト共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基と重合性基とを有する化合物を反応させて、重合性基を付加したものとしてもよい。例えば、カルボキシル基を有するグラフト共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたり、イソシアネート基を有するグラフト共重合体にヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたりして、重合性基を付加することができる。
更に、グラフト共重合体に用いられるマクロモノマーは、1種単独で用いられても良いが、2種以上混合して用いても良い。
mは1〜5の整数、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは4又は5の整数である。また、マクロモノマーの構成単位のユニット数l及びl’は、5〜200の整数であればよく、特に限定されないが、5〜100の範囲内であることが好ましい。
マクロモノマーの質量平均分子量Mwは、500〜20000の範囲内であることが好ましく、1000〜10000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であることにより、(B)重合性分散安定化剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、立体効果による(A)顔料誘導体への吸着時間の増大を抑制することもできる。
このようなマクロモノマーは、適宜合成したものでもよいし、市販品であってもよく、市販品としては、例えば片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AA−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AB−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AS−6(商品名)」:東亞合成化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(「プラクセルFM5(商品名)」:ダイセル化学(株)製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル化学(株)製)などが挙げられる。
このようなマクロモノマーを合成するには、リビング重合法や、連鎖移動剤を用いるラジカル重合法がよく知られている。ラジカル重合法の方が、モノマーの選択の自由度が大きい点で利用しやすい。例えば、メルカプトプロピオン酸のような、カルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下でモノマーをラジカル重合することにより、片末端にカルボキシル基を有するオリゴマーが得られる。このオリゴマーにグリシジルメタクリレートを付加すると、片末端にメタクリロイル基を有するオリゴマー、すなわちマクロモノマーが得られる。
また、上記グラフト共重合体の質量平均分子量Mwは、1000〜100000の範囲内であることが好ましく、3000〜50000の範囲内であることがより好ましく、5000〜30000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、(A)顔料誘導体を均一に分散させることができる。
なお、上記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー(株)製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として行われたものである。
本発明に用いられるグラフト共重合体は、上記窒素含有モノマーとマクロモノマーとを共重合体成分として有し、さらに前記窒素含有モノマーが有するアミノ基と重合性基を有するハロゲン化炭化水素とが塩を形成したものであり、その構造は、例えば図4のように表される。図4において、グラフト共重合体は、窒素含有モノマー単位51が重合反応により主鎖を形成し、該重合反応においてマクロモノマーの重合性基部位(エチレン性不飽和二重結合を有する基部位)52が同時に窒素含有モノマーと重合し、マクロモノマーは当該エチレン性不飽和二重結合を有する基部位に接続しつつポリマー鎖53として側鎖を形成しており、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物54は、窒素含有モノマー単位51のアミノ基と塩を形成したものである。
(塩型グラフト共重合体の製造)
本発明において、(B)重合性分散安定化剤として用いる塩型グラフト共重合体の製造方法としては、前記窒素含有モノマーと、ポリマー鎖とその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基とからなるマクロモノマーとを共重合体成分として含有し、かつ窒素含有モノマーが有するアミノ基と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成したものを製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、前記窒素含有モノマーと前記マクロモノマーと、必要に応じてその他のモノマーとを公知の重合手段を用いてグラフト重合させることが可能である。次いで、後述する溶媒に上記重合性基を有するハロゲン化炭化水素を添加し、25〜120℃の温度で反応させることにより塩型グラフト共重合体を製造することができる。なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
((C)溶媒)
本発明で用いられる(C)溶媒としては、上記重合体が溶解性を示す媒体であれば特に限定されるものではない。通常、比較的極性の低い媒体が好適に用いられる。具体的には、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリコールアルキルエーテル類や、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのジプロピレングリコールアルキルエーテル類などのジアルキレングリコールアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類や、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類などのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−3−メトキシブチルなどのエステル類;ヘキサン、ヘプタンなどのアルカン類などが挙げられ、なかでもジエチレングリコール類、アルキレングリコールアルキルエーテル類、ジアルキレングリコールアルキルエーテル類、及びアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましく、特に3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
また、本発明においては、比較的極性の低い媒体に、比較的極性の高い媒体を混合して用いることも好ましい。具体的には、重合性分散安定化剤の塩形成部位の溶解性を調整するため、低極性のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート系溶剤と高極性のアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤を併用することが好ましい。塩形成部位の溶解性を調整することで分散の最適化を行うことができる。上記低極性のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート系溶剤と高極性のアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤とは、質量比で70:30〜99:1の範囲で用いられることが好ましい。
また、(C)溶媒は、溶解性の指標であるSP値(Solubility Parameter)が7〜12の範囲内であるものが好ましく、7〜11の範囲内であるものがより好ましく、9〜10の範囲内であるものがさらに好ましい。SP値が上記範囲内にあれば、上記重合体においてアミノ基と、上記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが形成している塩が、解離することがなく、上記溶媒中で上記重合体が完全に溶解することがない。その結果、後述する前記重合体の(A)顔料誘導体表面への選択的な集積する特性が低くなることもない。
ここで、SP値(単位:(cal/cm1/2)とは、お互いの分子間の引き合う力、すなわち凝集エネルギー密度CED(Cohensive Energy Density)の平方根で表されるものである。ここで、CEDの定義は、1cmのものを蒸発させるのに要するエネルギー量(単位:cal/cm)である。
本発明に用いられる(C)溶媒としては、上述した1種類のみからなるものであってもよく、2種類以上を組み合わせたものであってもよい。
本発明のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液は、以上のような溶媒を、当該溶媒を含む複合化顔料誘導体分散液の全量に対して、通常は70〜99質量%の割合で用いて調製する。溶媒が少なすぎると、粘度が上昇し、分散性が低下したり、重合工程において分散液がゲル化する場合がある。また、溶媒が多すぎると、(A)顔料誘導体濃度が低下し、顔料析出抑制機能を十分に発揮することが困難な場合がある。
(カラーフィルタ用複合化顔料誘導体の製造方法)
本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体の製造方法は、上述のように、下記の工程1及び工程2を有する。
工程1.上記(B)重合性分散安定化剤を、上記(C)溶媒中に溶解乃至分散させた重合性分散安定化剤溶液に、上記(A)顔料誘導体を添加して顔料誘導体分散体を形成する分散工程
工程2.前記顔料誘導体分散体中の前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基を重合させる重合工程
以下、本発明の複合化顔料誘導体の製造方法の各工程について説明する。
[工程1.分散工程]
工程1で調製される顔料誘導体分散液は、上記(C)溶媒中に溶解乃至分散させた重合性分散安定化剤溶液に、上記(A)顔料誘導体を添加することにより、(A)顔料誘導体の表面に(B)重合性分散安定化剤が集積したものである。本発明においては、(B)重合性分散安定化剤が、構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなるものであるため、(A)顔料誘導体を添加した際に、重合体が(A)顔料誘導体の表面に選択的に集積することができる。そのため、(A)顔料誘導体の分散性及び安定性に優れた顔料誘導体分散液を得ることができる。
上記顔料誘導体分散液は、公知の攪拌・分散手段により形成することができる。攪拌、あるいは分散において採用される分散機としては、例えば2本ロール、3本ロールなどのロールミル、ボールミル、振動ボールミルなどのボールミル、ペイントシェーカー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミルなどのビーズミルなどが挙げられる。ビーズミルを用いる場合、使用するビーズ径は、0.03mm〜2.0mmが好ましく、より好ましくは0.05mm〜1.0mmである。
[工程2.重合工程]
工程2は、上記顔料誘導体分散液中の重合性分散安定化剤が有する重合性基を重合させる重合工程である。本工程においては、重合体からなる分散安定化剤を(A)顔料誘導体表面に固定させることができるため、分散性と安定性とに優れた複合化顔料誘導体を形成することができる。
また、(B)重合性分散安定化剤が、顔料誘導体表面に選択的に集積し、かつ顔料誘導体表面の全体を覆うように存在し得ることから、複合化顔料誘導体の粒径を小さくし、かつ顔料誘導体同士の再凝集を効果的に防ぐことができる。このことから、本発明で得られた複合化顔料誘導体は、例えば、溶媒から取出し、乾燥した後に、用途に応じた溶媒に再分散させることもできる。
さらに、カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時において、顔料誘導体表面に存在する重合後の分散安定化剤は、熱運動により(A)顔料誘導体の表面に固定化できなくなる。及び/又は、顔料誘導体が溶融して顔料誘導体分子が重合後の分散安定化剤の外に放出される。これにより、当該高温加熱工程時に(A)顔料誘導体は顔料析出抑制機能を発揮することができる。
本工程において、上記(B)重合性分散安定化剤を重合させる方法としては、光開始剤の存在下での光の照射あるいは、熱開始剤の存在下での加熱により架橋させる方法が挙げられ、重合性基の種類により適宜選択される。本工程においては、いずれの方法も好適に用いることができるが、例えば、顔料誘導体分散液の透明度が低く、光の照射で十分なラジカルを生じさせて、架橋を進行させることができないような場合は、加熱により重合する方法を用いることが好ましく、一方、(A)顔料誘導体の耐熱性が低い場合は、光の照射により架橋させる方法を用いることが好ましい。
また、本重合工程は30〜150℃の温度条件が好ましく、30〜50℃がより好ましい。重合工程の温度条件が上記範囲内にあれば、加熱条件による(A)顔料誘導体の再凝集などを防止することができる。
(開始剤)
本工程において用いられる開始剤としては、従来知られている各種光開始剤、熱開始剤の中から適宜選択して用いることができる。光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンなどの芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン;2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジンなどのハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱開始剤としては、例えば、アルキル過酸化物、アシル過酸化物、ケトン過酸化物、アルキルヒドロ過酸化物、ペルオキシ2炭酸塩、スルホニル過酸化物などの有機過酸化物類、無機過酸化物類、アゾニトリルなどのアゾ化合物類、スルフィン酸類、ビスアジド類、ジアゾ化合物などが挙げられる。具体例としては、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ペルオキソ2硫酸塩、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硼酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾイソビスブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2炭酸塩、アゾビスシアノ吉草酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス(2−シアノプロパノール)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、p−トルエンスルフィン酸ナトリウムなどが好適に挙げられる。なかでも、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)は、30〜50℃程度の低温でも十分な効果を発揮し、加熱条件による微粒子の再凝集を防止できる点で好ましい。これらの熱開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本工程における、上記光開始剤又は熱開始剤の使用量は、上記重合体の重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物の重合性基に対して、0.0005〜0.1モル当量が好ましく、0.001〜0.05モル当量がより好ましい。光開始剤又は熱開始剤の使用量が上記範囲内にあれば、十分に重合させることができ、架橋(重合)した塩型ブロック共重合体及び/または塩型グラフト共重合体が顔料誘導体表面で十分に固定化することができるため、分散安定性の良好な複合化顔料誘導体が得られる。
本工程における光開始剤及び熱開始剤の添加時期は、上記した重合工程の前であれば特に限定されるものではなく、上記した分散工程前であってもよく、分散工程後であってもよく、光開始剤及び熱開始剤の安定性などに応じて適宜設定することができる。
(A)顔料誘導体の分散剤溶液中の濃度が高い場合、本工程は超音波処理をしながら行うことが好ましい。超音波処理を行うことで、上記分散剤溶液のゲル化を防止することができ、あるいは(A)顔料誘導体の分散性が悪い場合でも、重合が速やかに進行するので得られる複合化顔料誘導体の平均粒径を小さくしたり、低粘度化することができ、また安定的な分散が得られる。超音波処理は、光開始剤又は熱開始剤の添加時期と同時に、あるいは該添加時期よりも前に行うことが好ましい。
本発明においては、前記顔料誘導体分散体中の前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基を重合させる重合工程後、分散液の状態で本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液として用いても良い。或いは、複合化顔料誘導体分散液から、乾燥又は再沈等種々の方法で複合化顔料誘導体を取出し、必要に応じて乾燥した後に、複合化顔料誘導体を用いても良い。
カラーフィルタ用複合化顔料誘導体の製造において、上記(B)重合性分散安定化剤は、上記(A)顔料誘導体100質量部に対して、通常、5〜200質量部の範囲であり、10〜150質量部で用いることが好ましく、更に30〜100質量部で用いることが好ましい。また、上記(C)溶媒は、上述のように、当該溶媒を含む複合化顔料誘導体分散液の全量に対して、70〜99質量%の割合になるように用いることが好ましい。
2.カラーフィルタ用樹脂組成物、及びその製造方法
本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物は、少なくとも前記本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液、又は前記本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体の製造方法により得られたカラーフィルタ用複合化顔料誘導体と、顔料と、分散安定化剤と、バインダー成分とを含有することを特徴とする。
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物は、少なくとも前記本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液又は複合化顔料誘導体と、顔料と、分散安定化剤とバインダー成分とを必須成分として含有するものであり、必要に応じて他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物の各成分について順に説明する。なお各成分のうち、複合化顔料誘導体分散液及び複合化顔料誘導体は、前述したとおりであるので、ここでの説明は省略する。
[顔料]
本発明に用いられる顔料は、着色層を形成した際に所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されない。例えば、前記化学式(PA−1)で表されるジケトピロロピロール系顔料、前記化学式(PB−1)表されるキノフタロン系顔料、その他に、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。
有機顔料の更なる具体例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を挙げることができる。
ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ81、キノフタロン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー138、イソインドリン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントオレンジ66、C.I.ピグメントオレンジ69、C.I.ピグメントレッド260、イソインドリノン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントオレンジ61、キナクリドン系顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントオレンジ48、ジオキサジン系顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー80、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントブルー60、ペリノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントオレンジ43、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32、チオインジゴ系顔料としては、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントブラウン27、フタロシアニン系顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、アゾ系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー167、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド242等のカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物においては、中でも、ジケトピロロピロール系顔料、キノフタロン系顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン系顔料が好適に用いられる。
しかしながら、今後、顔料の微細化がより進行して高温加熱工程後における顔料凝集体の析出が問題になった顔料に対しては、同様に適用することができ、これらに限定されるものではない。
中でも、本発明においては、高輝度を達成可能であるが、従来より高温加熱工程後に顔料凝集体の析出が問題になっているC.I.ピグメントレッド254のようなジケトピロロピロール系顔料や、C.I.ピグメントイエロー138のようなキノフタロン系顔料が特に好適に用いられる。
なお、顔料は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<顔料の粒径>
本発明に用いられる顔料の平均一次粒径としては、カラーフィルタの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、コントラストを向上させる点から、10〜50nmの範囲内であることが好ましく、10〜40nmの範囲内であることがより好ましい。顔料の平均一次粒径が上記範囲であることにより、本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置を高コントラストで、かつ高品質なものとすることができる。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とする。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物に用いられる顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜70nmの範囲内であることが好ましく、10〜50nmの範囲内であることがより好ましい。
顔料分散液中の顔料の平均分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、顔料分散液に用いられている溶剤で、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
本発明で調製される顔料分散液において、顔料の含有量は、特に限定されない。通常、顔料の含有量は、カラーフィルタ用顔料分散液の全量に対して5〜40質量%、更に10〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
[分散安定化剤]
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において、分散安定化剤(顔料分散剤)は、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、コントラストを向上する点から、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
分散安定化剤は、使用される顔料を良好に分散させるために適宜選択して用いられる。具体例には、ノナンアミド、デカンアミド、ドデカンアミド、N−ドデシルヘキサデカンアミド、N−オクタデシルプロピオアミド、N,N−ジメチルドデカンアミド及びN,N−ジヘキシルアセトアミド等のアミド化合物、ジエチルアミン、ジヘプチルアミン、ジブチルヘキサデシルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルメタンアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリオクチルアミン等のアミン化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N',N'−(テトラヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N'−トリ(ヒドロキシエチル)−1,2−ジアミノエタン、N,N,N',N'−テトラ(ヒドロキシエチルポリオキシエチレン)−1、2−ジアミノエタン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のヒドロキシ基を有するアミン等を例示することができ、その他にニペコタミド、イソニペコタミド、ニコチン酸アミド等の化合物を挙げることができる。
さらに、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩類等を挙げることができる。
本発明において用いられる分散安定化剤としては、分子内に顔料吸着部位と溶媒親和部位が機能分離されたブロック共重合体タイプもしくはグラフト共重合体(櫛型)タイプの高分子分散安定化剤が、顔料分散性及び分散安定性の点から好ましい。
本発明において用いられる分散安定化剤としては、中でも、前記本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液において用いられる、前記(B)重合性分散安定化剤と同様の構造を有する分散安定化剤を用いることが好ましい。具体的には、少なくとも前記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、ハロゲン化炭化水素及び/又は有機酸化合物とが塩を形成した、ブロック共重合体又はグラフト共重合体からなる分散安定化剤であることが好ましく、更に、少なくとも前記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、有機酸化合物とが塩を形成した、ブロック共重合体又はグラフト共重合体からなる分散安定化剤であることが好ましい。なお、ここで用いられるハロゲン化炭化水素及び/又は有機酸化合物は重合性基を有していなくて良い。
[バインダー成分]
本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられるバインダー成分を適宜用いることができる。硬化性の樹脂を含むバインダー成分を用いることが硬化させることにより塗膜に充分な硬度を付与するため好ましい。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物を、例えばインクジェット方式で用いる場合など、基板上にパターン状に選択的に付着させて着色層を形成可能な場合には、硬化性バインダー成分に現像性は必要がない。この場合、インクジェット方式等でカラーフィルタ着色層を形成する場合に用いられる、公知の熱硬化性バインダー成分や、光硬化性バインダー成分等を適宜用いることができる。
一方、着色層を形成する際にフォトリソグラフィー方式を用いる場合には、アルカリ現像性を有する感光性バインダー成分が好適に用いられる。
以下、感光性バインダー成分と、インクジェット方式に用いるのに適した熱硬化性バインダー成分について具体的に説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。
(1)感光性バインダー成分
感光性バインダー成分としては、ポジ型感光性バインダー成分とネガ型感光性バインダー成分が挙げられる。ポジ型感光性バインダー成分としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂及び感光性付与成分としてo−キノンジアジド基含有化合物を含んだ系が挙げられ、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリイミド前駆体等が挙げられる。
ネガ型感光性バインダー成分としては、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤を少なくとも含有する系が好適に用いられる。以後、アルカリ可溶性樹脂と、多官能性モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
<アルカリ可溶性樹脂>
アルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとエチレン性不飽和モノマーを共重合して得られる。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は感光性樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2,2’−オキシビス(メチレン)ビス−2−プロペノエート、スチレン、γ−メチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの中から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、アクリル酸の二量体(例えば、東亞合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの無水物の中から選ばれる1種以上とからなるコポリマーを例示できる。また、上記のコポリマーに、例えばグリシジル基、水酸基等の反応性官能基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させるなどして、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等も例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
カルボキシル基含有共重合体におけるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%である。この場合、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの共重合割合が5質量%未満では、得られる塗膜のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になる。また、共重合割合が50質量%を超えると、アルカリ現像液による現像時に、形成されたパターンの基板からの脱落やパターン表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
カルボキシル基含有共重合体の好ましい分子量は、好ましくは1,000〜500,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000〜200,000である。1,000未満では硬化後のバインダー機能が著しく低下し、500,000を超えるとアルカリ現像液による現像時に、パターン形成が困難となる場合がある。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、特に限定されるものではないが、エポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物を酸無水物と反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート化合物が適している。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
不飽和基含有モノカルボン酸としては、例えば(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられる。これら不飽和基含有モノカルボン酸は、単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の二塩基性酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ−[2,2,1]−ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物のような多価カルボン酸無水物誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
アルカリ可溶性樹脂は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量としては、カラーフィルタ用樹脂組成物に含まれる顔料100質量部に対して、通常、10〜1000質量部の範囲内、好ましくは20〜500質量部の範囲内である。アルカリ可溶性樹脂の含有量が少な過ぎると、充分なアルカリ現像性が得られない場合があり、また、アルカリ可溶性樹脂の含有量が多すぎると顔料の割合が相対的に低くなって、充分な着色濃度が得られない場合がある。
<多官能性モノマー>
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において用いられる多官能性モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、無水コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物に優れた光硬化性(高感度)が要求される場合には、多官能性モノマーが、重合可能な二重結合を3つ(三官能)以上有するものであるものが好ましく、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましい。
上記多官能性モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能性モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能性モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
<光開始剤>
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、適宜選択して用いることができる。例えばベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノンなどが挙げられる。これらの光開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光開始剤の含有量は、上記多官能性モノマー100質量部に対して、通常0.01〜100質量部程度、好ましくは5〜60質量部である。この含有量が上記範囲より少ないと十分に重合反応を生じさせることができないため、着色層の硬度を十分なものとすることができない場合があり、一方上記範囲より多いと、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分中の顔料等の含有量が相対的に少なくなり、十分な着色濃度が得られない場合がある。
(2)熱硬化性バインダー成分
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が好適に用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
<1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物>
通常硬化性バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(V)で表される構成単位及び下記式(VI)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
(R31は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R32は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
(R33は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(V)で表される構成単位をバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明の樹脂組成物から形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(V)において、R31として好ましいのは水素またはメチル基である。R32は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
上記式(V)で表される構成単位を誘導するモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
式(VI)で表される構成単位は、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有する樹脂組成物は保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(VI)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。
式(VI)において、R33として好ましいのは水素またはメチル基である。式(VI)で表される構成単位を誘導するモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルタの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(V)あるいは式(VI)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(V)の構成単位と式(VI)の構成単位の含有量は、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。式(1)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(2)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
また、上記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算質量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルタの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。一方、上記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量は、ポリスチレン換算質量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。なお上記バインダー性エポキシ化合物は、例えば特開2006−106503号公報の段落番号0148に記載されているような方法で合成することができる。
熱硬化性バインダーには、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいものを用いても良い。中でも、上述のように上記バインダー性エポキシ化合物と当該多官能エポキシ化合物を併用することが好ましい。この場合、多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の質量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、樹脂組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の質量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を樹脂組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
より具体的には、商品名エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(ジャパンエポキシレジン社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(ジャパンエポキシレジン社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(ジャパンエポキシレジン社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)、商品名EHPE3150(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物と、必要に応じて配合される多官能エポキシ化合物の配合割合は、質量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80質量部と多官能エポキシ化合物を10〜60質量部の割合で配合するのが好ましく、バインダー性エポキシ化合物を20〜60質量部と多官能エポキシ化合物を20〜50質量部の割合で配合するのが更に好ましく、バインダー性エポキシ化合物を30〜40質量部と多官能エポキシ化合物を25〜35質量部の割合で配合するのが特に好ましい。
<硬化剤>
本発明に用いられる熱硬化性バインダーには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これら硬化剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(バインダー性エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物の合計量)100質量部当たり、通常は1〜100質量部の範囲であり、好ましくは5〜50質量部である。硬化剤の配合量が1質量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、硬化剤の配合量が100質量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るおそれがある。
<触媒>
熱硬化性バインダーには、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常は0.01〜10.0質量部程度の割合で配合する。
(溶媒)
本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物には、顔料を分散させるためや、硬化性バインダー成分を溶解させるために溶媒が含まれる。溶媒としては、該樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶媒であればよく、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物に用いる溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶媒;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶媒;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶媒;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶媒;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒;シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CHOCHCH(CH)OCOCH)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
中でも、本発明の樹脂組成物をインクジェットインクとして用いる場合には、インクの急激な粘度上昇や目詰まりが発生せず、吐出の直進性や安定性に悪影響を及ぼさないで吐出性を向上させるために、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg(66.7Pa)以下、特に0.1mmHg(13.3Pa)以下の溶剤成分を主溶剤として用いることが好ましい。例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。なお、「主溶剤」とは、溶剤全量のうち50質量%以上を占める溶剤のことである。主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には70質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
これらの主溶剤は乾燥が遅いためインクジェットでの間欠吐出性に優れる一方、塗膜形成時に乾燥が遅いことから、生産効率に問題がある場合があるので、生産効率を向上させる目的で、主溶剤に、より低沸点溶剤を混合しても良い。主溶剤と組み合わせて用いることが好ましい他の副溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類等が挙げられる。
(任意添加成分)
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ各種添加剤を含むものであってもよい。
例えば、本発明の効果が損なわれない限り、更に他の顔料誘導体を含んでいても良い。このような顔料誘導体は、顔料骨格に官能基を付与し、様々な機能を顔料に付加する役割を持つ化合物である。顔料分散時に顔料誘導体を顔料に添加すると、顔料誘導体の顔料類似骨格が顔料表面に吸着もしくは結合し、それにより顔料の表面が極性を有するようになることによって、分散剤と顔料間の親和性が向上し、分散性、分散安定性を確保できると考えられる。
その他、添加剤としては、例えば重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
これらの中で、用いることができる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類等を挙げることができる。また、その他にもフッ素系界面活性剤も用いることができる。
さらに、可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジル等が挙げられる。消泡剤、レベリング剤としては、例えばシリコン系、フッ素系、アクリル系の化合物等が挙げられる。
<樹脂組成物における各成分の配合割合>
顔料の合計の含有量は、樹脂組成物の固形分全量に対して、10〜60質量%、より好ましくは15〜45質量%の割合で配合することが好ましい。顔料の合計の含有量が少なすぎると、樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜3.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またその樹脂組成物中の顔料の分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。尚、本発明において固形分は、上述した(C)溶媒以外のもの全てであり、溶媒中に溶解している多官能性モノマー等も含まれる。
また、顔料を分散させるための分散安定化剤の合計の含有量は、樹脂組成物の固形分全量に対して、1〜50質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも5〜30質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が、樹脂組成物の固形分全量に対して、1質量%未満の場合には、顔料を均一に分散することが困難になる恐れがあり、50質量%を超える場合には、硬化性、現像性の低下を招く恐れがある。
また、上記本発明に係る複合化顔料誘導体の固形分は、樹脂組成物の固形分全量に対して、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.5〜3質量%の範囲内であることが好ましい。
バインダー成分は、これらの合計量が、樹脂組成物の固形分全量に対して10〜80質量%、好ましくは20〜60質量%の割合で配合するのが好ましい。
また、溶媒の含有量としては、着色層を精度良く形成することができるものであれば特に限定されるものではない。該溶媒を含む樹脂組成物の全量に対して、通常、65〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも75〜88質量%の範囲内であることが好ましい。上記溶媒の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
(カラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法)
本発明に係るカラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法は、下記の工程1〜工程3を有することを特徴とする。
工程1.(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤を、(C)溶媒中に溶解乃至分散させた重合性分散安定化剤溶液に、(A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を添加して顔料誘導体分散体を形成する分散工程
工程2.前記顔料誘導体分散体中の前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基を重合させて、カラーフィルタ用複合化顔料誘導体を調製する工程
工程3.前記カラーフィルタ用複合化顔料誘導体と、顔料と、バインダー成分とを混合する工程
以下、各工程について順に説明するが、工程1及び工程2については、前述した本発明に係るカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液の製造方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
[工程3.前記カラーフィルタ用複合化顔料誘導体と、前記顔料と、バインダー成分とを混合する工程]
前記工程2により得られたカラーフィルタ用複合化顔料誘導体と、顔料と、前記バインダー成分とを混合する。混合する方法及び順序は特に限定されない。バインダー成分は、別途溶媒に溶解させてから混合してもよい。
本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法においては、顔料を直接バインダー成分と混合するのではなく、予備調製物として予め顔料分散液を調製する方が、顔料分散性の点からは好ましい。すなわち、工程3の前に更に、下記工程3’を有することが好ましい。
工程3’.分散安定化剤を溶媒中に溶解させた溶液に、顔料を添加して顔料分散液を調製する工程
[工程3’.顔料分散液を調製する工程]
本発明においては、前記分散安定化剤を前記溶媒中に溶解させた溶液に、前記顔料を添加して顔料分散液を調製する。このようにすることにより、顔料粒子の分散性に優れたカラーフィルタ用樹脂組成物が得られる。本発明においては、当該顔料分散液を調製する際に、顔料と(A)顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体とが、直接接触しないため、顔料の分散性及び分散安定性が向上する。
前記顔料を公知の分散機を用いて分散させることによって顔料分散液を調製することができる。
分散処理を行うための分散機としては、2本ロール、3本ロール等のロールミル、ボールミル、振動ボールミル等のボールミル、ペイントコンディショナー、連続ディスク型ビーズミル、連続アニュラー型ビーズミル等のビーズミルが挙げられる。ビーズミルの好ましい分散条件として、使用するビーズ径は0.03〜2.00mmが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0mmである。
具体的には、ビーズ径が比較的大きめな2mmジルコニアビーズで予備分散を行い、更にビーズ径が比較的小さめな0.1mmジルコニアビーズで本分散することが挙げられる。また、分散後、0.5〜5.0μmのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
本発明においては、公知の分散機を用いて分散させる分散時間は、適宜調整され特に限定されない。
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
3.カラーフィルタ
本発明のカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが前記本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を硬化させて形成されてなる着色層であることを特徴とする。
このような本発明のカラーフィルタについて、図を参照しながら説明する。図1は、本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。図1によれば、本発明のカラーフィルタ10は、透明基板1と、遮光部2と、着色層3とを有している。
(着色層)
本発明のカラーフィルタに用いられる着色層は、前述した本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を用いて硬化させて形成された黄色着色層が含まれていれば、特に限定されないが、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、3色以上の着色層を含む着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、カラーフィルタ用樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
当該着色層は、例えば感光性樹脂組成物である場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能性モノマー等を光重合反応させて、カラーフィルタ用樹脂組成物の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用するカラーフィルタ用樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
次に、現像液を用いて現像処理し、未露光部分を溶解、除去することにより、所望のパターンで塗膜が形成される。現像液としては、通常、水や水溶性溶媒にアルカリを溶解させた溶液が用いられる。このアルカリ溶液には、界面活性剤などを適量添加してもよい。また、現像方法は一般的な方法を採用することができる。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、カラーフィルタ用樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
また、当該着色層は、例えばインクジェット方式で形成する場合、下記の方法により形成することができる。
まず、前記本発明のカラーフィルタ用樹脂組成物を含み、その他必要に応じて各色用の顔料がそれぞれ配合されたカラーフィルタ用樹脂組成物を用意する。そして、透明基板1の表面に、遮光部2のパターンにより画成された各色の着色層形成領域に、対応する色のカラーフィルタ用樹脂組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、カラーフィルタ用樹脂組成物は、インクジェットヘッドの先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続ける必要がある。各色のカラーフィルタ用樹脂組成物を、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、各色のインク層を乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜加熱乃至露光することにより硬化させる。インク層を適宜加熱乃至露光すると、カラーフィルタ用樹脂組成物中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化して着色層3が形成される。
(遮光部)
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrO膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用カラーフィルタ用樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダー樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、黒色着色剤及び感光性樹脂を含有する遮光部用カラーフィルタ用樹脂組成物には、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合は0.5〜3.0μm程度で設定される。
(透明基板)
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
本発明の液晶表示装置の駆動方式としては、特に限定はなく一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、及びMVA方式等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの方式であっても好適に用いることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
液晶層の形成方法としては、一般に液晶セルの作製方法として用いられる方法を使用することができ、例えば、真空注入方式や液晶滴下方式等が挙げられる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封鎖することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
5.有機発光表示装置
本発明の有機発光表示装置は、前述した本発明のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。
カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
有機発光体80の積層方法としては、例えば、カラーフィルタ上面へ透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体80を無機酸化膜60上に貼り合わせる方法などが挙げられる。有機発光体80における、透明陽極71、正孔注入層72、正孔輸送層73、発光層74、電子注入層75、および陰極76、その他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された有機発光表示装置100は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(製造例1 黄色顔料誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14質量部とフタルイミド17.71質量部を3.6質量%の発煙硫酸338.67質量部に25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでC.I.ピグメントイエロー138 69.40質量部を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400質量部に加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを温水で3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にフタルイミドメチル基が1個置換した、下記化学式(n=1)で表される黄色顔料誘導体Aを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
(製造例2 黄色顔料誘導体B(PY138テトラクロロフタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14質量部と3,4,5,6−テトラクロロフタルイミド34.27質量部を3.6質量%の発煙硫酸338.67質量部に25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでピグメントイエロー138 69.40質量部を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400質量部に加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを60℃の温水1Lで3回洗浄し真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にテトラクロロナフタルイミドメチル基が1個置換した、下記化学式(n=1)で表される黄色顔料誘導体Bを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
(製造例3 黄色顔料誘導体C(PY138ナフタルイミドメチル誘導体)の合成)
パラホルムアルデヒド5.14質量部とナフタルイミド23.72質量部を3.6質量%の発煙硫酸338.67質量部に25℃で加えた後、50℃で30分撹拌した。次いでピグメントイエロー138 69.40質量部を加え、100℃で3時間撹拌した。反応液を氷水2400質量部に加え、60℃で30分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを60℃の温水1Lで3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントイエロー138にナフタルイミドメチル基が1個置換した、下記化学式(n=1)で表される黄色顔料誘導体Cを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
(製造例4 黄色顔料誘導体D(PY138スルホン酸誘導体)の合成)
11質量%発煙硫酸374.76質量部を10℃に冷却しながら攪拌し、ピグメントイエロー138 74.96質量部を加えた。次いで、90℃で6時間攪拌した。
反応液を氷水1600質量部に加え、15分間攪拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800mlの水で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、粉砕することでピグメントイエロー138にスルホン酸基が1個置換した、下記化学式(n=1)で表される黄色顔料誘導体Dを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
(製造例5 赤色顔料誘導体A(PR255フタルイミドメチル誘導体)の合成)
96%硫酸461.2質量部を撹拌しながらピグメントレッド255 23.08質量部を冷却しながら加えた。ついで、冷却しながら1時間撹拌後、100%硫酸461.2質量部と、N−ヒドロキシメチルフタルイミド28.37質量部を加えた。室温で一晩攪拌した後、反応液を氷水3800質量部にあけ、沈殿をろ過して取り出した。得られたウェットケーキを温水で3回洗浄し、真空乾燥、粉砕することでピグメントレッド255にフタルイミドメチル基が置換した、赤色顔料誘導体Aを得た。
(製造例6 赤色顔料誘導体B(非対称型DPP誘導体)の合成)
(1)中間体:3−エトキシカルボニル−2−フェニル−2−ピロリン−5−オンの合成
酢酸ベンゾイルエチル21.2質量部、クロロ酢酸エチル13.5質量部および粉末炭酸カリウム18.2質量部を、アセトン60質量部中で16時間還流した。反応液をろ過し、ヘキサンで洗浄した。ろ液を濃縮し、下記化学式で表される粗生成物を得た。
次いで、得られた上記粗生成物29.5質量部と酢酸アンモニウム78.5質量部を氷酢酸90.0質量部中で2時間還流した。混合物を氷水に注入し、沈殿した粗生成物をろ過で分離した。エタノールと水より再結晶を行い、下記化学式で表される生成物(3−エトキシカルボニル−2−フェニル−2−ピロリン−5−オン)を得た。TOF−MSにより目的物の分子量を確認した。
(2)非対称型ジケトピロロピロール誘導体の合成
モレキュラーシーブで脱水したtert−アミルアルコール370質量部にナトリウム5.16質量部を加え、100℃で攪拌し、アルコキシドを合成した。4−シアノビフェニル13.7質量部をアルコラート中へ加え、100℃に加熱したアルコラート溶液中に上記で合成した3−エトキシカルボニル−2−フェニル−2−ピロリン−5−オン17.7質量部を徐々に加えた。その後、90℃で3時間攪拌した。室温まで冷却し、メタノール57.0質量部、水57.0質量部、酢酸14.5質量部の混合液中に反応液を加えた。沈殿をろ過し、メタノールで洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、下記化学式で表される赤色顔料誘導体B(非対称型DPP誘導体)を得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
(製造例7 赤色顔料誘導体C(N置換非対称型DPP誘導体)の合成)
無水ジメチルホルムアミド54質量部にPR255(C.I.ピグメントレッド255)5.79質量部と30%ナトリウムメチラート溶液 8.00質量部を加え、70〜75℃で3時間撹拌した。次いで、85〜90℃に昇温し、ベンジルクロライド3.18質量部を加えて混合物を2時間撹拌した。酢酸2.66質量部を加え、70℃で1時間撹拌した。室温まで冷却し、水に反応液を注入し、懸濁液を1時間撹拌した。沈殿をろ過し、水で、次いでメタノールで洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、下記化学式で表される赤色顔料誘導体Cを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
(製造例8 赤色顔料誘導体D(N置換非対称型DPP誘導体)の合成)
無水ジメチルホルムアミド54質量部にPR255 5.79質量部と30%ナトリウムメチラート溶液8.00質量部を加え、70〜75℃で3時間撹拌した。次いで、85〜90℃に昇温し、クロロアセトニトリル2.27質量部を加えて混合物を2時間撹拌した。酢酸2.66質量部を加え、70℃で1時間撹拌した。室温まで冷却し、水に反応液を注入し、懸濁液を1時間撹拌した。沈殿をろ過し、水で、次いでメタノールで洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、下記化学式で表される赤色顔料誘導体Dを得た。TOF−MSにより、目的物の分子量を確認した。
(製造例9 マクロモノマーAの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(略称PGMEA)80.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル50.0質量部、メタクリル酸−n−ブチル30.0質量部、メタクリル酸ベンジル20.0質量部、メルカプトエタノール4.0質量部、PGMEA30質量部、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)1.0質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工(株)社製)8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125g、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーAの49.5質量%溶液を得た。得られたマクロモノマーAを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)4010、数平均分子量(Mn)1910、分子量分布(Mw/Mn)は2.10であった。マクロモノマーAの計算により算出されるTgは、64℃である。
(製造例10 グラフト共重合体Aの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。製造例9のマクロモノマーA溶液67.34質量部(有効固形分33.33質量部)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(略称DMA)16.67質量部、n−ドデシルメルカプタン1.24質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部 、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体Aの26.0%溶液を得た。得られたグラフト共重合体Aは、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)12420、数平均分子量(Mn)4980、分子量分布(Mw/Mn)は2.49であった。なおアミン価は118mgKOH/gであった。
(製造例11 ブロック共重合体Aの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、脱水テトラヒドロフラン(THF)300質量部および開始剤のジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール2.68質量部を添加用ロートを介して加え、充分に窒素置換を行った。触媒のテトラブチルアンモニウムm−クロロベンゾエートの1モル/Lのアセトニトリル溶液0.40質量部をシリンジを用いて注入し、メタクリル酸メチル50質量部、メタクリル酸n−ブチル30質量部、メタクリル酸ベンジル20質量部の混合液を添加用ロートを用いて、60分かけて滴下した。反応フラスコを氷浴で冷却することにより、温度を40℃未満に保った。1時間後、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(略称DMA)50質量部を20分かけて滴下した。1時間反応させた後、メタノール1質量部を加えて反応を停止させた。得られたブロック共重合体THF溶液をエバポレーション、真空乾燥により精製を行い、ブロック共重合体Aを得た。このようにして得られたブロック共重合体Aを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01モル/Lの臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量Mw:9250、数平均分子量Mn:7850、分子量分布Mw/Mnは1.18であった。なおアミン価は120mgKOH/gであった。
(製造例12 グラフト型重合性分散安定化剤溶液Aの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA29.2質量部、n−ブトキシエタノール30.0質量部、製造例10で調製したグラフト共重合体A溶液136.2質量部(固形分35.4質量部)を溶解させ、重合性基を有するハロゲン化炭化水素として、4−クロロメチルスチレン(アクロス社製)を4.6質量部(グラフト共重合体のDMAユニットに対し、0.40モル当量)加え、反応温度80℃で6時間攪拌することにより、固形分20質量%のグラフト型重合性分散安定化剤溶液Aを調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、4−クロロメチルスチレンとの4級化反応により塩形成されている。
(製造例13 グラフト型分散安定化剤溶液Aの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA27.2質量部、n−ブトキシエタノール30.0質量部、製造例10で調製したグラフト共重合体A溶液138.9質量部(固形分36.1質量部)を溶解させ、重合性基を有しないハロゲン化炭化水素として、塩化ベンジル(関東化学社製)を3.9質量部(グラフト共重合体のDMAユニットに対し、0.4モル当量)加え、反応温度80℃で6時間攪拌することにより、固形分20質量%のグラフト型分散安定化剤溶液Aを調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、塩化ベンジルとの4級化反応により塩形成されている。
(製造例14 ブロック型重合性分散安定化剤溶液Aの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA130.0質量部、n−ブトキシエタノール30.0質量部、製造例11で調製したブロック共重合体A35.9質量部を溶解させ、重合性基を有するハロゲン化炭化水素として、4−クロロメチルスチレンを4.1質量部(ブロック共重合体のDMAユニットに対し、0.35モル当量)加え、反応温度80℃で6時間攪拌することにより、固形分20質量%のブロック型重合性分散安定化剤溶液Aを調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、4−クロロメチルスチレンとの4級化反応により塩形成されている。
(製造例15 ブロック型分散安定化剤溶液Aの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA130.0質量部、n−ブトキシエタノール30.0質量部、製造例11で調製したブロック共重合体A36.5質量部を溶解させ、重合性基を有しないハロゲン化炭化水素として、塩化ベンジルを3.5質量部(ブロック共重合体のDMAユニットに対し、0.35モル当量)加え、反応温度80℃で6時間攪拌することにより、固形分20質量%のブロック型分散安定化剤溶液Bを調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、塩化ベンジルの4級化反応により塩形成されている。
(製造例16 ブロック型重合性分散安定化剤溶液Bの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA130.0質量部、n−ブトキシエタノール30.0質量部、製造例11で調製したブロック共重合体A30.2質量部を溶解させ、重合性基を有するハロゲン化炭化水素として、4−クロロメチルスチレンを9.8質量部(ブロック共重合体のDMAユニットに対し、1.0モル当量)加え、反応温度80℃で6時間攪拌することにより、固形分20質量%のブロック型重合性分散安定化剤溶液Bを調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、4−クロロメチルスチレンとの4級化反応により塩形成されている。
(製造例17 ブロック型分散安定化剤溶液Bの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA130.0質量部、n−ブトキシエタノール30.0質量部、製造例11で調製したブロック共重合体A31.5質量部を溶解させ、重合性基を有しないハロゲン化炭化水素として、塩化ベンジルを8.5質量部(ブロック共重合体のDMAユニットに対し、1.0モル当量)加え、反応温度80℃で6時間攪拌することにより、固形分20質量%のブロック型分散安定化剤溶液Bを調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、塩化ベンジルの4級化反応により塩形成されている。
(製造例18 ブロック型重合性分散安定化剤溶液Cの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA 160.0質量部、製造例11で調製したブロック共重合体A32.5質量部を溶解させ、ビニルホスホン酸(東京化成製)を7.5質量部(ブロック共重合体のDMAユニットに対し、1.0モル当量)加え、反応温度40℃で2時間攪拌することにより、固形分20質量%のブロック型重合性分散安定化剤溶液Cを調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、ビニルホスホン酸との酸−塩基反応により塩形成されている。
(製造例19 ブロック型重合性分散安定化剤溶液Dの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA 160.0質量部、製造例11で調製したブロック共重合体A32.5質量部を溶解させ、ビニルスルホン酸(旭化成ファインケム製「VSA−H」)を7.5質量部(ブロック共重合体のDMAユニットに対し、1.0モル当量)加え、反応温度40℃で2時間攪拌することにより、固形分20質量%のブロック型重合性分散安定化剤溶液Dを調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、ビニルスルホン酸との酸−塩基反応により塩形成されている。
(実施例1)
(1)黄色顔料誘導体分散液A−1の製造
製造例12で得られたグラフト型重合性分散安定化剤溶液A 7.2質量部(固形分量:1.44質量部)、製造例1の黄色顔料誘導体A 1.8質量部、PGMEA 19.7質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME) 1.3質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて3時間分散を行い、黄色顔料誘導体分散液A−1を得た。
(2)複合化黄色顔料誘導体分散液Aの製造
50mlのナスフラスコ中に、上記で得られた黄色顔料誘導体分散液A−1 30質量部に対して、開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70:和光純薬社製)0.010質量部を加えて、超音波処理を行いながら50℃で3時間反応させることで複合化黄色顔料誘導体分散液Aを得た。
(比較例1−1)
実施例1において、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液A−1を比較例1−1とした。
(比較例1−2)
製造例13で得られたグラフト型分散安定化剤溶液A 7.2質量部(固形分量:1.44質量部)、製造例1の黄色顔料誘導体A 1.8質量部、PGMEA19.7質量部、PGME1.3質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて3時間分散を行い、黄色顔料誘導体分散液A−2を得た。
(実施例2)
実施例1において、グラフト型重合性分散安定化剤溶液Aの代わりに製造例14で得られたブロック型重合性分散安定化剤溶液Aとした以外は実施例1と同様にして、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液B−1、及び、複合化黄色顔料誘導体分散液Bを得た。
(比較例2−1)
実施例2において、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液B−1を比較例2−1とした。
(比較例2−2)
比較例1−2において、グラフト型分散安定化剤溶液Aの代わりに製造例15で得られたブロック型分散安定化剤溶液Aとした以外は比較例1−2と同様にして黄色顔料誘導体分散液B−2を得た。
(実施例3)
実施例1において、グラフト型重合性分散安定化剤溶液Aの代わりに製造例16で得られたブロック型重合性分散安定化剤溶液B 7.2質量部、PGMEA 15.6質量部、PGME 5.4質量部とした以外は実施例1と同様にして、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液C−1、及び、複合化黄色顔料誘導体分散液Cを得た。
(比較例3−1)
実施例3において、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液C−1を比較例3−1とした。
(比較例3−2)
比較例1−2において、グラフト型分散安定化剤溶液Aの代わりに製造例17で得られたブロック型分散安定化剤溶液B 7.2質量部、PGMEA 15.6質量部、PGME 5.4質量部とした以外は比較例1−2と同様にして、黄色顔料誘導体分散液C−2を得た。
(実施例4)
(1)黄色顔料誘導体分散液Dの製造
製造例14で得られたブロック型重合性分散安定化剤溶液A 12.0質量部(固形分量:2.4質量部)、製造例1の黄色顔料誘導体A 3.0質量部、PGMEA 13.8質量部、PGME 1.2質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて3時間分散を行い、黄色顔料誘導体分散液Dを得た。
(2)複合化黄色顔料誘導体分散液Dの製造
50mlのナスフラスコ中に、上記で得られた黄色顔料誘導体分散液D 30質量部に対して、開始剤としてV−70 0.015質量部を加えて、超音波処理を行いながら50℃で3時間反応させることで複合化黄色顔料誘導体分散液Dを得た。
(比較例4)
実施例4において、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液Dを比較例4とした。
(実施例5)
(1)黄色顔料誘導体分散液Eの製造
製造例16で得られたブロック型重合性分散安定化剤溶液B 1.2質量部(固形分量:0.24質量部)、製造例1の黄色顔料誘導体A 0.3質量部、PGMEA 22.6質量部、PGME 5.9質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて2時間分散を行い、黄色顔料誘導体分散液Eを得た。
(複合化黄色顔料誘導体分散液Eの製造)
50mlのナスフラスコ中に、上記で得られた黄色顔料誘導体分散液E 30質量部に対して、開始剤としてV−70 0.005質量部を加えて、超音波処理を行いながら50℃で3時間反応させることで複合化黄色顔料誘導体分散液Eを得た。
(比較例5)
実施例5において、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液Eを比較例5とした。
(実施例6、7)
実施例5において、黄色顔料誘導体Aの代わりに製造例2で得られた黄色顔料誘導体B、製造例3で得られた黄色顔料誘導体Cをそれぞれ用いた以外は実施例5と同様にして、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液F、G、及び、複合化黄色顔料誘導体分散液F、Gを得た。
(比較例6、7)
実施例6、7において、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液F、Gを比較例6、7とした。
(実施例8、9)
実施例5において、ブロック型重合性分散安定化剤溶液Bの代わりに製造例18、19で得られたブロック型重合性分散安定化剤溶液C、Dを用い、PGMEA 28.5質量部、PGME 0質量部とした以外は実施例5と同様にして、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液H、I、及び、複合化黄色顔料誘導体分散液H、Iを得た。
(比較例8、9)
実施例8、9において、複合化する前の黄色顔料誘導体分散液H、Iを比較例8、9とした。
(実施例10)
(1)赤色顔料誘導体分散液Aの製造
製造例16で得られたブロック型重合性分散安定化剤溶液B 1.2質量部(固形分量:0.24質量部)、製造例5の赤色顔料誘導体A 0.3質量部、PGMEA 22.6質量部、PGME 5.9質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて2時間分散を行い、赤色顔料誘導体分散液Aを得た。
(2)複合化赤色顔料誘導体分散液Aの製造
50mlのナスフラスコ中に、上記で得られた赤色顔料誘導体分散液A 30質量部に対して、開始剤としてV−70 0.005質量部を加えて、超音波処理を行いながら50℃で3時間反応させることで複合化赤色顔料誘導体分散液Aを得た。
(比較例10)
実施例10において、複合化する前の赤色顔料誘導体分散液Aを比較例10とした。
(実施例11〜13)
実施例10において、赤色顔料誘導体Aの代わりに製造例6で得られた赤色顔料誘導体B、製造例7で得られた赤色顔料誘導体C、製造例8で得られた赤色顔料誘導体Dをそれぞれ用いた以外は実施例10と同様にして、複合化する前の赤色顔料誘導体分散液B〜D、及び、複合化赤色顔料誘導体分散液B〜Dを得た。
(比較例11〜13)
実施例11〜13において、複合化する前の赤色顔料誘導体分散液B〜Dを比較例11〜13とした。
(評価)
<分散安定性評価>
顔料誘導体分散液の分散安定性の評価として、各実施例及び比較例で得られた複合化顔料誘導体分散液及び顔料誘導体分散液を、40℃で1週間静置し、静置前後の上記顔料誘導体分散液中の顔料誘導体粒子の平均粒径とせん断粘度の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装社製「ナノトラック粒度分布計UPA−EX150」を用い、粘度測定には、Anton Paar製「レオメータMCR301」を用いて、せん断速度が60rpmのときのせん断粘度を測定した。
結果を表1及び表2に示す。
実施例1〜13により、周囲に配置された分散安定化剤の重合により顔料誘導体と分散安定化剤が複合化された、複合化顔料誘導体分散液ではいずれも、複合化することで分散粒径が小さくなり、低粘度かつ安定性が良好になることが明らかにされた。
一方、顔料誘導体と分散安定化剤が複合化されていない比較例1〜13ではいずれも、分散粒径が大きくなり、比較的高粘度で、更に安定性が悪化することが明らかにされた。
(製造例20 グラフト型分散安定化剤溶液Bの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA 62.5質量部、製造例10で調製したグラフト共重合体A溶液 131.8質量部(固形分34.3質量部)を溶解させ、フェニルホスホン酸(日産化学製「PPA」)を5.7質量部(グラフト共重合体のDMAユニットに対し、0.5モル当量)加え、反応温度40℃で2時間攪拌することにより、固形分20質量%のグラフト型分散安定化剤溶液Bを調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、PPAとの酸−塩基反応により塩形成されている。
(製造例21 ブロック型分散安定化剤溶液Cの調製)
300mL丸底フラスコ中で、PGMEA 160.0質量部、製造例11で調製したブロック共重合体A 35.8質量部を溶解させ、PPAを4.2質量部(ブロック共重合体のDMAユニットに対し、0.35モル当量)加え、反応温度40℃で2時間攪拌することにより、固形分20質量%のブロック型分散安定化剤溶液Cを調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、PPAとの酸−塩基反応により塩形成されている。
(製造例22 バインダー樹脂Aの合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶媒としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル(MMA)32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)22質量部、メタクリル酸(MAA)24質量部、開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル(GMA)22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aの質量平均分子量は8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、質量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
(製造例23 黄色顔料分散液Aの製造)
製造例20で調製したグラフト型分散安定化剤溶液B 6.0質量部、製造例22のバインダー樹脂A2.7質量部、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138(PY138:平均一次粒径10〜40nm)3.0質量部、PGMEA 18.3質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて16時間分散を行い、黄色顔料分散液Aを得た。
(製造例24 黄色顔料分散液Bの製造)
製造例23において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 2.85質量部、製造例4の黄色顔料誘導体D(PY138スルホン酸誘導体)0.15質量部とした以外は、製造例23と同様にして、黄色顔料分散液Bを得た。
(製造例25 黄色顔料分散液Cの製造)
製造例23において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 2.85質量部、製造例1の黄色顔料誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)0.15質量部とした以外は、製造例23と同様にして、黄色顔料分散液Cを得た。
(製造例26 黄色顔料分散液Dの製造)
製造例23において、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 2.70質量部、製造例1の黄色顔料誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)0.15質量部、製造例4の黄色顔料誘導体D(PY138スルホン酸誘導体)0.15質量部とした以外は、製造例23と同様にして、黄色顔料分散液Dを得た。
(製造例27 黄色顔料分散液Eの製造)
製造例23において、グラフト型分散安定化剤溶液Bの代わりに製造例21で調製したブロック型分散安定化剤溶液Cを用いた以外は、製造例23と同様にして、黄色顔料分散液Eを得た。
(製造例28 黄色顔料分散液Fの製造)
製造例23において、グラフト型分散安定化剤溶液Bの代わりに製造例21で調製したブロック型分散安定化剤溶液Cを用い、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー138 2.85質量部、製造例1の黄色顔料誘導体A(PY138フタルイミドメチル誘導体)0.15質量部とした以外は、製造例23と同様にして、黄色顔料分散液Fを得た。
(製造例29 赤色顔料分散液Aの製造)
製造例21で調製したブロック型分散安定化剤溶液C 6.0質量部、製造例22のバインダー樹脂A 2.7質量部、色材成分としてC.I.ピグメントレッド254(PR254:平均一次粒径10〜50nm)3.0質量部、PGMEA 18.3質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて16時間分散を行い、赤色顔料分散液Aを得た。
(製造例30 赤色顔料分散液Bの製造)
製造例29において、色材成分としてC.I.ピグメントレッド254 2.85質量部、製造例5の赤色顔料誘導体A(PR255フタルイミドメチル誘導体)0.15質量部とした以外は、製造例29と同様にして、赤色顔料分散液Bを得た。
製造例23〜30で得られた顔料分散液について、実施例1と同様にして分散安定性評価を行った。分散安定性評価結果を表3に示す。
製造例23と製造例25、製造例24と製造例26、製造例27と製造例28、製造例29と製造例30との比較により、顔料と、その顔料に対してカラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体(A)とを共分散させると、顔料分散安定性が悪化することが明らかにされた。
(実施例14)
実施例1で得られた複合化黄色顔料誘導体分散液A 0.71質量部、製造例23で得られた黄色顔料分散液A 8.14質量部、下記バインダー組成物A 7.29質量部、PGMEA 3.86質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、黄色感光性樹脂組成物Aを得た。
<バインダー組成物A(固形分20%)>
・アルカリ可溶性樹脂(製造例22のバインダー樹脂A、固形分44質量%):8.18質量部
・3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成社製):8.4質量部
・光重合開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製):0.82質量部
・光重合開始剤:2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(商品名:ビイミダゾール、黒金化成社製):1.64質量部
・光重合開始剤:2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成社製):0.26質量部
・光増感剤:2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬社製):0.28質量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):55.42質量部
(実施例15)
実施例14において、黄色顔料分散液Aの代わりに製造例24で得られた黄色顔料分散液Bを用いた以外は、実施例14と同様にして黄色感光性樹脂組成物Bを調製した。
(比較例14)
製造例23で得られた黄色顔料分散液A8.57質量部、バインダー組成物A7.29質量部、PGMEA4.14質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、黄色感光性樹脂組成物Cを得た。
(比較例15〜17)
比較例14において、黄色顔料分散液Aの代わりに製造例24で得られた黄色顔料分散液B、製造例25で得られた黄色顔料分散液C、製造例26で得られた黄色顔料分散液Dをそれぞれ用いた以外は、比較例14と同様にして黄色感光性樹脂組成物D〜Fを調製した。
(実施例16)
実施例14において、複合化黄色顔料誘導体分散液Aの代わりに実施例2で得られた複合化黄色顔料誘導体分散液B、黄色顔料分散液Aの代わりに製造例27で得られた黄色顔料分散液Eを用いた以外は、実施例14と同様にして黄色感光性樹脂組成物Gを調製した。
(実施例17)
実施例14において、複合化黄色顔料誘導体分散液Aの代わりに実施例3で得られた複合化黄色顔料誘導体分散液C、黄色顔料分散液Aの代わりに製造例27で得られた黄色顔料分散液Eを用いた以外は、実施例14と同様にして黄色感光性樹脂組成物Hを調製した。
(比較例18)
比較例14において、黄色顔料分散液Aの代わりに製造例27で得られた黄色顔料分散液Eを用いた以外は、比較例14と同様にして黄色感光性樹脂組成物Iを調製した。
(比較例19)
比較例14において、黄色顔料分散液Aの代わりに製造例28で得られた黄色顔料分散液Fを用いた以外は、比較例14と同様にして黄色感光性樹脂組成物Jを調製した。
(実施例18)
実施例4で得られた複合化黄色顔料誘導体分散液D 0.43質量部、製造例27で得られた黄色顔料分散液E 8.14質量部、上記バインダー組成物A 7.29質量部、PGMEA 4.14質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、黄色感光性樹脂組成物Kを得た。
(実施例19)
実施例5で得られた複合化黄色顔料誘導体分散液E 4.29質量部、製造例27で得られた黄色顔料分散液E 8.14質量部、上記バインダー組成物A 7.29質量部、PGMEA0.29質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、黄色感光性樹脂組成物Lを得た。
(実施例20〜23)
実施例19において、複合化黄色顔料誘導体分散液Eの代わりに実施例6〜9で得られた複合化黄色顔料誘導体分散液F〜Iを用いた以外は、実施例19と同様にして黄色感光性樹脂組成物M〜Pを調製した。
(実施例24)
実施例2で得られた複合化黄色顔料誘導体分散液Bをヘキサン中で再沈殿を行い、ろ過、洗浄、乾燥、粉砕することで複合化黄色顔料誘導体粉末を得た。得られた複合化黄色顔料誘導体粉末0.04質量部、製造例27で得られた黄色顔料分散液E 8.14質量部、上記バインダー組成物A 7.29質量部、PGMEA 4.53質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、黄色感光性樹脂組成物Qを得た。
(実施例25)
実施例10で得られた複合化赤色顔料誘導体分散液A 5.14質量部、製造例29で得られた赤色顔料分散液A 9.77質量部、下記バインダー組成物B 4.37質量部、PGMEA 0.71質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、赤色感光性樹脂組成物Aを得た。
<バインダー組成物B(固形分40%)>
・アルカリ可溶性樹脂(製造例22のバインダー樹脂A、固形分44質量%):23.18質量部
・3〜4官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM305、東亞合成社製):23.80質量部
・光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製)):1.80質量部
・光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369、BASF社製)):4.2質量部
・溶剤(PGMEA):47.02質量部
(実施例26〜28)
実施例25において、複合化赤色顔料誘導体分散液Aの代わりに実施例11〜13で得られた複合化赤色顔料誘導体分散液B〜Dを用いた以外は、実施例25と同様にして赤色感光性樹脂組成物B〜Dを調製した。
(比較例20)
製造例29で得られた赤色顔料分散液A 10.29質量部、上記バインダー組成物B 4.37質量部、PGMEA 5.34質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、赤色感光性樹脂組成物Eを得た。
(比較例21)
比較例20において、赤色顔料分散液Aの代わりに製造例30で得られた赤色顔料分散液Bを用いた以外は、比較例20と同様にして赤色感光性樹脂組成物Fを調製した。
(評価)
<光学性能(色度・輝度・コントラスト)>
各実施例及び比較例で得られた黄色感光性樹脂組成物及び赤色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行い、超高圧水銀灯を用いて30mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜(黄色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度x=0.420(黄色)、x=0.650(赤色)になるように調整した。着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、得られた着色基板のポストベーク前後のコントラスト、色度(x、y)及び輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
<耐熱性評価>
上記評価で得られた着色基板を240℃及び260℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、塗膜上に顔料凝集体の析出の有無がないか確認した。
(評価基準)
○:析出無し
×:塗膜面に析出有り
××:塗膜全面に析出有り
結果を表4、5に示す。例として、実施例16と比較例18の260℃での耐熱性評価結果の写真を、図8及び図9にそれぞれ示す。
実施例14と比較例14とを比較すると、実施例では複合化黄色顔料誘導体分散液を添加することで、未添加の比較例と同等の初期コントラスト(EXP後)で、コントラストの保持率が高く、さらに、耐熱性が改善されることが明らかにされた。実施例15では、顔料分散時にPY138スルホン酸誘導体と共分散させているため、コントラストがより高くなることが明らかにされた。PY138スルホン酸誘導体が含まれる実施例15と比較例15との比較でも、複合化黄色顔料誘導体分散液の添加により、未添加の比較例と同等の初期コントラスト(EXP後)で、コントラストの保持率が高く、さらに、耐熱性が改善されることが明らかにされた。
また、実施例14と比較例16とを比較すると、複合化黄色顔料誘導体分散液を添加した実施例では、顔料分散液を作製する際にPY138フタルイミドメチル誘導体と共分散した場合よりもコントラストが高くなることが明らかにされた。実施例15と比較例17との比較でも、同様のことが明らかにされた。
更に、実施例16〜28からも、複合化顔料誘導体分散液を添加することで、未添加の比較例と同等の初期コントラスト(EXP後)で、コントラストの保持率が高く、耐熱性が改善され、且つ、顔料分散液を作製する際に顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体と共分散した場合よりもコントラストが高くなることが明らかにされた。
また、実施例24の結果から、本発明の製造方法で得られる複合化顔料誘導体は、一度乾燥されても分散安定化剤と複合化された状態を保持できるので、樹脂組成物の製造時に添加することにより、複合化顔料誘導体分散液を添加した時と同様に良好に分散乃至溶解し、同様の効果を発揮できることが明らかにされた。
(製造例31 黄色顔料分散液Gの製造)
製造例20で調製したグラフト型分散安定化剤溶液B 6.0質量部、製造例22のバインダー樹脂A 2.7質量部、色材成分としてC.I.ピグメントイエロー150(PY150:平均一次粒径10〜50nm)3.0質量部、PGMEA18.3質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて3時間分散を行い、黄色顔料分散液Gを得た。
実施例1と同様にして、分散安定性評価を行ったところ、分散直後の平均粒径が55nm、分散直後の粘度が4.4mPa・s、40℃で1週間静置後の粒径が60nm、40℃で1週間静置後の粘度が5.1mPa・sであった。
(製造例32 緑色顔料分散液Aの製造)
製造例20で調製したグラフト型分散安定化剤溶液B 6.8質量部、製造例22のバインダー樹脂A 3.1質量部、色材成分としてC.I.ピグメントグリーン58(PG58:平均一次粒径10〜50nm)3.9質量部、PGMEA16.2質量部、2.0mmジルコニアビーズ30質量部をマヨネーズビンに入れて、予備解砕としてペイントシェーカー(浅田鉄工社製)にて1時間振とうし、次いでその分散液30質量部と粒径0.1mmのジルコニアビーズ60質量部とをマヨネーズビンに入れ、同様に本解砕としてペイントシェーカーにて4時間分散を行い、緑色顔料分散液Aを得た。
実施例1と同様にして、分散安定性評価を行ったところ、分散直後の平均粒径が65nm、分散直後の粘度が4.9mPa・s、40℃で1週間静置後の粒径が62nm、40℃で1週間静置後の粘度が4.7mPa・sであった。
(実施例29)
実施例2で得られた複合化黄色顔料誘導体分散液B 0.45質量部、製造例27で得られた黄色顔料分散液E 5.13質量部、製造例32で得られた緑色顔料分散液A5.08質量部、バインダー組成物A7.53質量部、PGMEA1.81質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、緑色感光性樹脂組成物Aを得た。
(比較例22)
製造例27で得られた黄色顔料分散液E 5.40質量部、製造例32で得られた緑色顔料分散液A 5.08質量部、バインダー組成物A 7.53質量部、PGMEA 1.99質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、緑色感光性樹脂組成物Bを得た。
(比較例23)
製造例28で得られた黄色顔料分散液F 5.40質量部、製造例32で得られた緑色顔料分散液A 5.08質量部、バインダー組成物A 7.53質量部、PGMEA 1.99質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、緑色感光性樹脂組成物Cを得た。
(比較例24)
製造例31で得られた黄色顔料分散液G 3.84質量部、製造例32で得られた緑色顔料分散液A6.28質量部、バインダー組成物A7.61質量部、PGMEA2.27質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.004質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.04質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、緑色感光性樹脂組成物Dを得た。
(評価結果)
<光学性能(色度・輝度・コントラスト)>
各実施例及び比較例で得られた緑色感光性樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子社製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて30mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化膜(緑色着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度y=0.590になるように調整した。着色層が形成されたガラス板を230℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、得られた着色基板のポストベーク前後のコントラスト、色度(x、y)及び輝度(Y)を測定した。コントラストは壺坂電気(株)社製「コントラスト測定装置CT−1B」を用い、色度及び輝度はオリンパス(株)社製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定した。
結果を表6に示す。
<耐熱性>
上記評価で得られた黄色着色基板を240℃及び260℃のクリーンオーブンで30分間ポストベークし、塗膜上に顔料凝集体の析出の有無がないか確認した。
(評価基準)
○:析出無し
×:塗膜面に析出有り
××:塗膜全面に析出有り
実施例29と比較例22との比較により、緑色顔料と混合して調色した場合でも、複合化黄色顔料料誘導体分散液を添加することで、未添加と同等の初期コントラスト(EXP後)で、コントラストの保持率が高く、耐熱性が改善されることが明らかにされた。また、実施例29と比較例23とを比較すると、複合化黄色顔料誘導体分散液を添加した実施例では、顔料分散液を作製する際にPY138フタルイミドメチル誘導体と共分散した場合よりもコントラストが高くなることが明らかにされた。また、実施例29と、黄色顔料としてPY150を用いた比較例24とを比較すると、PY138と複合化黄色顔料誘導体分散液とを組み合わせて用いた実施例の方が、同等以上のコントラストで高輝度を実現できることが明らかにされた。
1 透明基板
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
51 窒素含有モノマー単位
52 マクロモノマーの重合性部位
53 マクロモノマーによるポリマー鎖
54 重合性基を有するハロゲン化炭化水素又は重合性基を有する有機酸化合物
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
101 重合性基
102 塩形成部位
103 溶媒親和性部位
104 (A)顔料誘導体
105 (A)顔料誘導体分子
200 (B)重合性分散安定化剤
300 顔料誘導体分散体
301 重合形成部位
400 複合化顔料誘導体

Claims (10)

  1. (A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体、(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤、及び(C)溶媒を含有する顔料誘導体分散体の、 前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基が重合されてなり、
    前記(A)顔料誘導体が、下記一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有するキノフタロン系顔料のイミドアルキル化誘導体、下記一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有するジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体、下記一般式(2)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体、及び、下記一般式(3)で表されるN置換非対称型ジケトピロロピロール誘導体よりなる群から選択される1種以上の顔料誘導体であり、
    前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素が、エチレン性不飽和結合含有基を有するハロゲン化アラルキルであり、
    前記重合性基を有する有機酸化合物が、下記一般式(V)及び/又は下記一般式(VI)で表される、カラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液。
    (式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
    xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
    (一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
    (一般式(2)中、Pcは、置換基を有していても良く、ヘテロ原子を含んでいても良い多環式化合物基を表す。Aは、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニル基、及び炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のAは同一であっても異なっていても良い。)
    (一般式(3)中、A及びAは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表し、n’及びn”はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、n’及びn”がそれぞれ2以上の整数の場合、複数あるA又はAは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R、Rii及びRiiiは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””を表し、R’、R”、R”’及びR””は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5の飽和又は不飽和アルキル基を表す。但し、R、Rii及びRiiiのうち、少なくとも1つは、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””である。)
    (式(V)及び式(VI)中、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基であり、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。但し、R及びRa’のうちいずれかは、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、且つ、Ra’’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
    は、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基であり、且つ、Rb’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
    sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
  2. 前記(B)重合性分散安定化剤における前記重合体が、前記一般式(I)で表される構成単位(1)と、下記一般式(II)で表される構成単位(2)とを有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は前記重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成したブロック共重合体である、請求項1に記載のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液。
    (式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rは、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。上記アルキル基、アラルキル基、アリール基はそれぞれ置換基を有していても良い。
    xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
  3. 前記(B)重合性分散安定化剤における前記重合体が、下記一般式(I’)で表される窒素含有モノマーと、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むマクロモノマーとを共重合成分として含有するグラフト共重合体であって、さらに前記窒素含有モノマー由来のアミノ基の少なくとも一部と、前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は前記重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成したグラフト共重合体である、請求項1に記載のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液。
    (式(I’)中、R、R、R、及びAは、それぞれ式(I)と同じである。)
  4. 前記マクロモノマーの前記ポリマー鎖が、下記一般式(III)又は、一般式(IV)で表される構成単位を少なくとも1種有するものである、請求項3に記載のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液。
    (式(III)及び、式(IV)中、R21は水素原子又はメチル基であり、R22は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基、−[CH(R23)−CH(R24)−O]−R25、−[(CH−O]−R25、−[CO−(CH−O]−R25、−CO−O−R26又は−O−CO−R27で示される1価の基である。R23及びR24は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
    25は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR28で示される1価の基であり、R26は、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アラルキル基、シアノ基、−[CH(R23)−CH(R24)−O]−R25、−[(CH−O]−R25、−[CO−(CH−O]−R25で示される1価の基である。R27は炭素数1〜18のアルキル基であり、R28は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
    mは1〜5の整数、l及びl’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
  5. 下記の工程1及び工程2を有するカラーフィルタ用複合化顔料誘導体の製造方法。
    工程1.(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤を、(C)溶媒中に溶解乃至分散させた重合性分散安定化剤溶液に、(A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を添加して顔料誘導体分散体を形成する分散工程
    前記(A)顔料誘導体が、下記一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有するキノフタロン系顔料のイミドアルキル化誘導体、下記一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有するジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体、下記一般式(2)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体、及び、下記一般式(3)で表されるN置換非対称型ジケトピロロピロール誘導体よりなる群から選択される1種以上の顔料誘導体であり、
    前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素が、エチレン性不飽和結合含有基を有するハロゲン化アラルキルであり、
    前記重合性基を有する有機酸化合物が、下記一般式(V)及び/又は下記一般式(VI)で表される
    工程2.前記顔料誘導体分散体中の前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基を重合させる重合工程
    (式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
    xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
    (一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
    (一般式(2)中、Pcは、置換基を有していても良く、ヘテロ原子を含んでいても良い多環式化合物基を表す。Aは、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニル基、及び炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のAは同一であっても異なっていても良い。)
    (一般式(3)中、A及びAは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表し、n’及びn”はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、n’及びn”がそれぞれ2以上の整数の場合、複数あるA又はAは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R、Rii及びRiiiは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””を表し、R’、R”、R”’及びR””は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5の飽和又は不飽和アルキル基を表す。但し、R、Rii及びRiiiのうち、少なくとも1つは、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””である。)
    (式(V)及び式(VI)中、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基であり、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。但し、R及びRa’のうちいずれかは、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、且つ、Ra’’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
    は、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基であり、且つ、Rb’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
    sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
  6. 少なくとも前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用複合化顔料誘導体分散液と、顔料と、分散安定化剤と、バインダー成分とを含有する、カラーフィルタ用樹脂組成物。
  7. 下記の工程1〜工程3を有するカラーフィルタ用樹脂組成物の製造方法。
    工程1.(B)少なくとも下記一般式(I)で表される構成単位(1)を有し、更に前記構成単位(1)が有するアミノ基の少なくとも一部と、重合性基を有するハロゲン化炭化水素及び/又は重合性基を有する有機酸化合物とが塩を形成した重合体からなる重合性分散安定化剤を、(C)溶媒中に溶解乃至分散させた重合性分散安定化剤溶液に、(A)カラーフィルタ製造工程における200℃以上の高温加熱工程時の顔料析出抑制機能を有する顔料誘導体を添加して顔料誘導体分散体を形成する分散工程
    前記(A)顔料誘導体が、下記一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有するキノフタロン系顔料のイミドアルキル化誘導体、下記一般式(1)で表される環状イミドアルキル基を有するジケトピロロピロール系顔料のイミドアルキル化誘導体、下記一般式(2)で表される非対称型ジケトピロロピロール誘導体、及び、下記一般式(3)で表されるN置換非対称型ジケトピロロピロール誘導体よりなる群から選択される1種以上の顔料誘導体であり、
    前記重合性基を有するハロゲン化炭化水素が、エチレン性不飽和結合含有基を有するハロゲン化アラルキルであり、
    前記重合性基を有する有機酸化合物が、下記一般式(V)及び/又は下記一般式(VI)で表される
    工程2.前記顔料誘導体分散体中の前記(B)重合性分散安定化剤の重合性基を重合させて、カラーフィルタ用複合化顔料誘導体を調製する工程
    工程3.前記カラーフィルタ用複合化顔料誘導体と、顔料と、バインダー成分とを混合する工程
    (式(I)中、Rは、水素原子又はメチル基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R)−CH(R)−O]−CH(R)−CH(R)−又は−[(CH−O]−(CH−で示される2価の基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。上記アルキル基、アルキレン基はそれぞれ置換基を有していても良い。
    xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
    (一般式(1)中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Xは、アリーレン基を表し、当該アリーレン基は、ハロゲン原子、アリールスルホニル基、アシル基、又は−(C=O)−C−(C=O)−により置換されていても良い。)
    (一般式(2)中、Pcは、置換基を有していても良く、ヘテロ原子を含んでいても良い多環式化合物基を表す。Aは、ハロゲン原子、ベンジル基、フェニル基、及び炭素数1〜10の直鎖又は分枝のアルキル基よりなる群から選択される置換基であり、nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、複数のAは同一であっても異なっていても良い。)
    (一般式(3)中、A及びAは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又は、1価の有機基を表し、n’及びn”はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、n’及びn”がそれぞれ2以上の整数の場合、複数あるA又はAは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R、Rii及びRiiiは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””を表し、R’、R”、R”’及びR””は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜5の飽和又は不飽和アルキル基を表す。但し、R、Rii及びRiiiのうち、少なくとも1つは、アリール基、シアノ基、−C(R’)=C(R”)R”’又は−C≡C−R””である。)
    (式(V)及び式(VI)中、R及びRa’は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基であり、Rは水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH、又は−CHCOORで示される1価の基であり、Rは水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基である。但し、R及びRa’のうちいずれかは、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、且つ、Ra’’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
    は、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基であり、且つ、Rb’が、炭素数2〜18のアルケニル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基、及び、Rが、炭素数2〜18のアルケニル基、−CO−CH=CH、又は−CO−C(CH)=CHである。
    sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
  8. 前記請求項6に記載のカラーフィルタ用樹脂組成物を用いて形成された着色層を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
  9. 前記請求項8に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
  10. 前記請求項8に記載のカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする有機発光表示装置。
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