JP2015082054A - 色材、色材分散液、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置、及び有機発光表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの液晶表示装置や有機発光表示装置には、カラーフィルタが用いられる。例えばカラー液晶ディスプレイの場合は、バックライトを光源とし、電気的に液晶を駆動させることで光量を制御し、その光がカラーフィルタを通過することで色表現を行っている。よって液晶テレビの色表現にはカラーフィルタは無くてはならず、またディスプレイの性能を左右する大きな役目を担っている。また、有機発光表示装置では、白色発光の有機発光素子にカラーフィルタを用いた場合は液晶表示装置と同様にカラー画像を形成する。
技術進化により電池容量が大きくなったとはいえ、モバイルの蓄電量は有限であることに変わりはなく、その一方で画面サイズの拡大に伴い消費電力は増加する傾向にある。モバイル端末の使用可能時間や充電頻度に直結するために、カラーフィルタを含む画像表示装置は、モバイル端末の設計や性能を左右する。
このような着色層の形成方法においては、色材として耐熱性や耐光性に優れた顔料を用いた顔料分散法が広く用いられてきた。しかし、顔料を用いたカラーフィルタでは、現在の更なる高輝度化の要求を達成することが困難となってきた。
特許文献1には、色特性、耐熱性、耐光性及び耐溶剤性に優れたカラーフィルタ用の着色樹脂組成物として、塩基性染料と、分子量が200〜3500のアニオン成分との造塩化合物を含むカラーフィルタ用着色組成物が記載されている。
しかしながら、特許文献1及び2に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いた着色層は、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程に対する耐熱性が不十分であった。
a及びcは2以上の数、bは1以上の数であり、lは1以上の数、m及びnは正の数であって、(b×m):(c×n)が50:50〜5:95である。)
nは0又は1であり、nが0のとき結合は存在しない。複数あるnは同一であっても異なっていてもよい。)
また、本発明は、前記本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体を有することを特徴とする有機発光表示装置を提供する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。
本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表す。
また、本発明において有機基とは、炭素原子を1個以上有する基のことをいう。
本発明に係る色材は、下記一般式(I)で表される色材である。
a及びcは2以上の数、bは1以上の数であり、lは1以上の数、m及びnは正の数であって、(b×m):(c×n)が50:50〜5:95である。)
nは0又は1であり、nが0のとき結合は存在しない。複数あるnは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(I)で表される色材は、塩基性染料である一般式(II)で表されるカチオンと、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、及びアジン系染料よりなる群から選択される1種以上の酸性染料のアニオンと、2価以上のポリ酸アニオンとを組み合わせてレーキ化された色材である。
一般式(II)で表されるカチオンは、複数の発色部位を持ち、当該発色部位が塩基性染料と同様の基本骨格を有するため、従来の染料と同様に透過率に優れている一方、従来の塩基性染料よりも分子量が大きく耐熱性に優れている。
本発明者らは、一般式(II)で表される2価以上のカチオンと、2価以上のアニオンとを組み合わせることにより、分子会合体が形成されて耐熱性が更に向上することを上記特許文献3において開示している。
本発明者らは、中でも、上記2価以上のアニオンとして、ポリ酸アニオンを用いることにより、耐熱性及び耐光性が更に向上するとの知見を得た。その一方、ポリ酸アニオンを用いた色材を用いて、後述する着色樹脂組成物を調製した場合には、経時的に増粘する場合があるとの知見を得た。このことについて図を参照して説明する。図4は、一般式(II)で表されるカチオンと、ポリ酸アニオンとが塩形成した色材の一例を示す模式図である。図4の例に示される通り、一般式(II)で表されるカチオン103とポリ酸アニオン105のみを組み合わせた場合には、多数のイオンが複合して分子会合体が形成されるものと推定される。一方、分子会合体の末端には一部が塩形成していないポリ酸アニオン106や一部が塩形成していない一般式(II)で表されるカチオン107が存在するものと推定される。塩形成していないポリ酸アニオン106は酸性度が高く、分子会合体の末端に存在すると、後述するバインダー成分などに作用して、当該バインダー成分等を変質させるものと推定される。そのため、図4の例に示されるような色材は、後述する着色樹脂組成物とした際に、経時的に増粘しやすいと推定される。
以上のことから、一般式(I)で表される色材は、高透過率を有し、耐熱性に優れ、且つ、後述する着色樹脂組成物に用いた場合に、当該着色樹脂組成物の経時安定性を向上することができる。
また、本発明の色材は、従来、分散し難かった、アニオン性の酸性染料を、一般式(II)で表されるカチオンと塩形成させて分散しているため、一般式(II)で表されるカチオンを含む色材と、酸性染料のアニオンのレーキ顔料とを別々に分散する場合と比較して、分散剤使用量を減らすことが可能となる。そのため、本発明の色材分散液は、色材の含有割合を増やした場合であっても良好に分散が可能であって、色濃度の高い色材分散液とすることも可能となる。このようなことから、本発明の色材分散液を用いることにより、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のバインダー成分やその他の成分の含有割合を増やす等、設計幅を広げることができ、また、従来よりも薄膜とした場合であっても所望の色調を得ることができるというメリットを有する。
以下、本発明の色材を構成する、カチオン及びアニオンについて順に説明する。
本発明の色材は、下記一般式(II)で表されるカチオンを有する。
Aにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、Aにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。
中でも、骨格の堅牢性の点から、Aは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。有橋脂環式炭化水素基の中でも、ノルボルナンが好ましい。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい。例えば、Aが2価の有機基の場合、炭素原子数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素原子数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
Ri〜Rvにおけるアリール基は、特に限定されない。例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基が有してもよい置換基としては、例えばアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
Ar1は炭素原子数が6〜20の芳香族基であることが好ましく、炭素原子数が10〜14の縮合多環式炭素環からなる芳香族基がより好ましい。中でも、構造が単純で原料が安価である点からフェニレン基やナフチレン基であることがより好ましい。
本発明の色材は、トリアリールメタン系染料、フタロシアニン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、及びアジン系染料よりなる群から選択される1種以上の酸性染料のアニオンを有する。
本発明において、酸性染料のアニオンとは、アニオン性の酸性染料におけるアニオンのことをいう。また、本発明においてアニオン性の酸性染料とは、染料の分子中にスルホ基やカルボキシ基などの酸性基及びその塩の少なくとも1種を有する染料であって、アニオン性を示す染料をいい、一般に直接染料に分類される、染色する際に媒染剤を必要としない染料をも含む概念である。
本発明は、発色部位が塩基性染料と同様の基本骨格を有し特定の色味を有する前記一般式(II)で表されるカチオンに、上記特定の骨格を有する酸性染料のアニオンを選択して組み合わせることにより、前記一般式(II)で表されるカチオンの分光透過率などの色性能を損なわずに所望の色味に調製しやすいというメリットがある。
トリアリールメタン系染料の具体例としては、Acid Violet15、16、17、19、21、23、24、25、38、49、72;Acid Blue1、3、5、7、9、11、13、15、17、22、24、34、38、48、75、83、86、88、90、91、93、97、100、103、104、108、109、123、142、147、213、269;Direct Blue41等が挙げられる。
フタロシアニン系染料の具体例としては、Direct Blue86、87、199;Acid Blue249等が挙げられる。
アントラキノン系染料の具体例としては、Acid Violet34、36、39、41、42、43、48、51、63、109、126;Acid Blue23、25、27、35、40、41、43、45、47、49、51、52、53、55、56、62、68、69、78、80、81、96、111、124、129、138、140、145、150、175、183、215、225、230、251、260、264、271、277、324、344、350;Acid Red80、81、82等が挙げられる。
また、アゾ系染料は、R−N=N−R’を基本骨格とする染料であり(R及びR’は、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。但し、R及びR’のうち少なくとも一つは、芳香族環を有する置換基である。)、芳香族環が有する水素原子が、酸性基及びその塩の少なくとも1種を有する置換基と、任意の置換基によって置換された構造を有する染料である。
アジン系染料の具体例としては、Direct Blue54、106、107、108、109、190;Acid Red101、103;Acid Violet50;Acid Blue18、59、61、98、102、121等が挙げられる。また、アゾ系染料の具体例としては、Direct Violet1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、21、22、25、26、27、28、31、32、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、51、53、56、7、62、63、64、66、72、77、78、79、80、81、83、85、87、88、89、102、103;Direct Blue1、2、3、4、6、8、9、10、11、12、14、15、16、19、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、35、36、37、38、39、42、43、45、48、49、50、51、53、54、55、58、60、63、64、65、67、69、70、71、72、74、75、76、78、80、81、82、83、84、85、90、93、95、96、98、110、111、116、122、123、124、126、127、128、129、130、131、132、133、135、136、138、140、145、148、149、150、151、152、157、158、159、162、163、164、166、167、168、175、176、177、183、184、185、186、214、215、218、226、230、231、239、258、273、278、295、306、308;Direct Red1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、20、21、22、23、24、26、28、29、31、32、33、34、36、37、39、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、59、60、61、62、63、64、65、67、68、69、70、72、73、74、75、76、77、79、80、81、83、84、85、88、89、90、98、99、101、103、108、110、111、112、113、117、118、119、120、121、122、123、126、127、130、141、142、144、145、147、148、149、150、152、153、154、155、156、168、169、173、174、176、180、181、185、186、187、189、191、194、216、220、224、227、243、250、253、257、264;Acid Violet1、2、3、5、6、7、11、12、13、14、20、27、54、56、58、62、67、68、78、87、90、91、92;Acid Blue6、21、26、29、36、42、44、70、85、87、89、92、113、114、116、117、118、120、128、135、154、155、158、161、169、171、174、193、194、317、328、335、349、352、356;Acid Red1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、29、30、31、32、33、34、35、37、38、40、41、42、44、47、53、54、56、57、60、65、66、68、70、71、73、74、76、85、86、88、89、97、99、102、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、118、119、122、126、128、133、134、135、137、138、141、142、144、145、148、150、151、152、154、155、157、158、160、161、163、164、170、172、173、176、177、179、180、182、183、184、186、187、198、201、211、213、214、215、226、231、233、264、265、266、296、299、301、308、323、337、350、351、353、357、361、362、374、405、431、431、440、442、444、445等が挙げられる。
本発明の色材は、2価以上のポリ酸アニオンを有する。ポリ酸アニオンとしては、イソポリ酸イオン(MmOn)d−であってもヘテロポリ酸イオン(XlMmOn)d−であってもよい。上記イオン式中、Mはポリ原子、Xはヘテロ原子、mはポリ原子の組成比、nは酸素原子の組成比を表す。ポリ原子Mとしては、例えば、Mo、W、V、Ti、Nb等が挙げられる。またヘテロ原子Xとしては、例えば、Si、P、As、S、Fe、Co等が挙げられる。また、一部にNa+やH+等の対カチオンが含まれていてもよい。
中でも、高輝度で耐熱性や耐光性に優れる点から、タングステン(W)及びモリブデン(Mo)の少なくとも1種を含むポリ酸アニオンであることが好ましく、少なくともタングステンを含み、且つモリブデンを含んでいてもよいポリ酸アニオンであることが、耐熱性の点からより好ましい。
一般式(I)で表される色材におけるポリ酸アニオンは、上記のポリ酸アニオンを1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができ、2種以上組み合わせて用いる場合には、ポリ酸アニオン全体におけるタングステンとモリブデンとのモル比が上記範囲内であることが好ましい。
一般式(I)で表される色材は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他のカチオンやアニオンを含んだ複塩となっていてもよい。このようなカチオンの具体例としては、他の塩基性染料のほか、アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基などアニオンと塩形成可能な官能基を含んだ有機化合物や、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン等の金属イオンや、ポリ塩化アルミニウム等の無機ポリマーが挙げられる。また、アニオンの具体例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオンや、無機酸のアニオン等が挙げられる。上記無機酸のアニオンとしては、リン酸イオン、硫酸イオン、クロム酸イオン、タングステン酸イオン(WO4 2−)、モリブデン酸イオン(MoO4 2−)等のオキソ酸のアニオン等が挙げられる。
本発明に係る色材分散液は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材を含有することを特徴とする。
以下、このような本発明の色材分散液の各成分について順に詳細に説明する。
本発明において用いられる色材は、少なくとも一般式(I)で表される色材を含有し、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の色材を含有してもよいものである。本発明においては、一般式(I)で表される色材を分散して用いることにより、分散性、及び耐熱性に優れ、色濃度を高めることが可能となり、高輝度のカラーフィルタを得ることができる。
以下、本発明に用いられる(A)色材について説明するが、一般式(I)で表される色材の構造については、前述のとおりであるためここでの説明は省略する
(A)色材は、本発明の効果を損なわない範囲で、色調の制御を目的として、更に他の色材を含有してもよい。他の色材としては、公知の顔料及び染料等が挙げられ、1種又は2種以上選択して用いることができる。他の色材としては、中でも、前記一般式(II)で表される2価以上のカチオンと、2価以上のアニオンとを含む、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載の色材を用いることが好ましい。その他の色材の具体例、及び、他の色材の配合量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されず、後述するカラーフィルタ用着色樹脂組成物で用いられる場合と同様とすることができる。
色材分散液中の(A)色材の平均分散粒径は、少なくとも溶媒を含有する分散媒体中に分散している色材粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、色材分散液に用いられている溶媒で、色材分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、1000倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。
本発明の色材分散液において、(A)色材は、(B)分散剤により、溶剤中に分散させて用いられる。(B)分散剤としては、従来、分散剤として用いられているものの中から適宜選択して用いることができる。分散剤の具体例としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
以下、上記好ましい分散剤について詳細に説明する。
本発明においては(B)分散剤として、少なくとも下記一般式(III)で表される構成単位を有した重合体を好適に用いることができる。
Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素原子数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
中でも、分散性の点から、一般式(III)におけるAは、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であることが好ましい。
また、一般式(III)で表される構成単位を有した重合体の市販品としては、BYK−LPN6919等が挙げられる。
本発明の好ましい分散剤は、上記一般式(III)で表される構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部が塩を形成(以下、塩変性と称することがある。)した重合体である。
本発明においては、塩形成剤を用い、一般式(III)で表される構成単位が有する窒素部位を塩形成することにより、同様に塩形成している色材に対して強く分散剤が吸着することで色材の分散性及び分散安定性が向上する。塩形成剤としては、WO2011/108495号パンフレット、特開2013−054200号公報に記載の酸性有機リン化合物、有機スルホン酸化合物、4級化剤などを好適に使用できる。特に、塩形成剤が酸性有機リン化合物である場合には、色材の粒子表面に分散剤の酸性有機リン化合物を含む塩形成部位が局在化することで、色材表面がリン酸塩で被覆された状態となるため、活性酸素による色材の染料骨格への攻撃(水素引き抜き)が抑制され、染料骨格を含む色材の耐熱性や耐光性が向上する。このため、酸性有機リン化合物によって塩変性した重合体を分散剤として用いると、本発明に用いられる高透過率の色材(A)が良好に分散した状態で高温加熱時の退色をより抑制できることから、カラーフィルタ製造工程における高温加熱工程を経ても、より高輝度な着色層を形成できる。
分散剤として好適に用いられるウレタン系分散剤は、1分子内に1個以上のウレタン結合(−NH−COO−)を有する化合物からなる分散剤である。
ウレタン系分散剤を用いることにより、少量で良好な分散が可能なとなる。分散剤を少量とすることにより、相対的に硬化成分等の配合量を増やすことができ、その結果、耐熱性に優れた着色層を形成することができる。
本発明の色材分散液において、(B)分散剤の含有量は、通常、分散液の全量に対して1〜50質量%、更に1〜20質量%の範囲内であることが、分散性及び分散安定性の点から好ましい。
本発明においては(C)溶剤は、色材分散液乃至後述する着色樹脂組成物中の各成分とは反応せず、これらを溶解乃至分散可能な溶剤の中から、適宜選択して用いることができる。具体的には、アルコール系;エーテルアルコール系;エステル系;ケトン系;エーテルアルコールアセテート系;エーテル系;非プロトン性アミド系;ラクトン系;不飽和炭化水素系;飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられ、中でも、分散時の溶解性や塗布適性の点からエステル系溶剤を用いることが好ましい。
中でも、人体への危険性が低いこと、室温付近での揮発性が低いが加熱乾燥性が良い点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いることが好ましい。この場合には、従来のPGMEAを用いた着色樹脂組成物との切り替えの際にも特別な洗浄工程を必要としないというメリットがある。
これらの溶剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の色材分散液には、本発明の効果が損なわれない限り、更に必要に応じて、分散補助樹脂、その他の成分を配合してもよい。
分散補助樹脂としては、例えば後述するカラーフィルタ用着色樹脂組成物で例示されるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂の立体障害によって色材粒子同士が接触しにくくなり、分散安定化することやその分散安定化効果によって分散剤を減らす効果がある場合がある。
また、その他の成分としては、例えば、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
本発明において、色材分散液の製造方法は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、所望により用いられる各種添加成分とを含有し、(A)色材が分散剤により溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材を含有することを特徴とする。
以下、このような本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物について説明するが、(A)色材、(B)分散剤、及び(C)溶剤については、前記本発明に係る色材分散液と同様のものとすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するためにバインダー成分を含有する。塗膜に充分な硬度を付与するために、硬化性バインダー成分を含有することが好ましい。硬化性バインダー成分としては、特に限定されず、従来公知のカラーフィルタの着色層を形成するのに用いられる硬化性バインダー成分を適宜用いることができる。
硬化性バインダー成分としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー成分を含むものを用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としては、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、エチレン性不飽和結合等が挙げられる。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。熱硬化性バインダー成分の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のものを挙げることができる。
以下、感光性バインダー成分について説明するが、硬化性バインダー成分はこれらに限定されるものではない。以下に説明する感光性バインダー成分の他に、エポキシ樹脂のような加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分を更に用いてもよい。
本発明に係るカラーフィルタ用着色樹脂組成物においては、ネガ型感光性バインダー成分であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
以下、ネガ型感光性バインダー成分を構成する、アルカリ可溶性樹脂と、多官能モノマーと、光開始剤について、具体的に説明する。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は酸性基を有するものであり、バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、酸性基としてカルボキシル基を有する樹脂であることが好ましく、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環はカラーフィルタ用着色樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能するだけでなく、溶剤に対する溶解性、さらには溶剤再溶解性を向上させる成分としても機能する。
これらの中で、コポリマーにグリシジル基又は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加等することにより、エチレン性不飽和結合を導入したポリマー等は、露光時に、後述する多官能性モノマーと重合することが可能となり、着色層がより安定なものとなる点で、特に好適である。
エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、公知のものの中から適宜選択して用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。エポキシ化合物、不飽和基含有モノカルボン酸、及び酸無水物は、それぞれ1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる多官能モノマーは、後述する光開始剤によって重合可能なものであればよく、特に限定されず、通常、エチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する化合物が用いられ、特にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものの中から適宜選択して用いればよい。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる上記多官能モノマーの含有量は、特に制限はないが、上記アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、通常5〜500質量部程度、好ましくは20〜300質量部の範囲である。多官能モノマーの含有量が上記範囲より少ないと十分に光硬化が進まず、露光部分が溶出する場合があり、また、多官能モノマーの含有量が上記範囲より多いとアルカリ現像性が低下するおそれがある。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物において用いられる光開始剤としては、特に制限はなく、従来知られている各種光開始剤の中から、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のもの等が挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて他の色材や各種添加剤を含むものであってもよい。
色調の制御を目的として必要に応じて他の色材を配合してもよい。他の色材としては、例えば、従来公知の顔料や染料を目的に応じて選択することができ、1種又は2種以上用いることができる。
他の色材としては、中でも前記一般式(II)で表される2価以上のカチオンと2価以上のアニオンとを含む、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載の色材を用いることが好ましい。
その他の色材の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23;C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド82等の顔料や、アシッドレッド等の染料が挙げられる。
他の色材の配合量としては、(A)色材全量100質量部に対して、他の色材が40質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、前記一般式(I)で表される色材の有する高透過率の特性や、耐熱性や耐光性の特性を損なうことなく、色調の制御が可能となるからである。
本発明の着色樹脂組成物は、更に酸化防止剤を含有することが、耐熱性及び耐光性の点から好ましい。酸化防止剤は従来公知のものの中から適宜選択すればよい。酸化防止剤の具体例としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられ、耐熱性の点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、少なくとも1つのフェノール構造を含有し、当該フェノール構造の水酸基の2位と6位の少なくとも1つに炭素原子数4以上の置換基が置換されている構造を有する酸化防止剤を意味する。
添加剤としては、上記酸化防止剤の他、例えば、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、密着促進剤等などが挙げられる。
界面活性剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、国際公開第2012/144521号パンフレットに記載のものが挙げられる。
(A)色材の合計の含有量は、着色樹脂組成物の固形分全量に対して、3〜65質量%、より好ましくは4〜55質量%の割合で配合することが好ましい。上記下限値以上であれば、着色樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜5.0μm)に塗布した際の着色層が充分な色濃度を有する。また、上記上限値以下であれば、分散性及び分散安定性に優れると共に、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。尚、本発明において固形分は、上述した溶剤以外のもの全てであり、液状の多官能モノマー等も含まれる。
また、(B)分散剤の含有量としては、(A)色材を均一に分散することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、着色樹脂組成物の固形分全量に対して3〜40質量%用いることができる。更に、着色樹脂組成物の固形分全量に対して5〜35質量%の割合で配合するのが好ましく、特に5〜25質量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、(A)色材の分散性及び分散安定性に優れ、保存安定性に優れている。また、上記上限値以下であれば、現像性が良好なものとなる。
(D)バインダー成分は、これらの合計量が、着色樹脂組成物の固形分全量に対して10〜92質量%、好ましくは15〜87質量%の割合で配合するのが好ましい。上記下限値以上であれば、充分な硬度や、基板との密着性を有する着色層を得ることができる。また上記上限値以下であれば、現像性に優れたり、熱収縮による微小なシワの発生も抑制される。
また、(C)溶剤の含有量は、着色層を精度良く形成することができる範囲で適宜設定すればよい。該溶剤を含む上記着色樹脂組成物の全量に対して、通常、55〜95質量%の範囲内であることが好ましく、中でも、65〜88質量%の範囲内であることがより好ましい。上記溶剤の含有量が、上記範囲内であることにより、塗布性に優れたものとすることができる。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物の製造方法は、(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分と所望により用いられる各種添加成分とを含有し、(A)色材が(B)分散剤より(C)溶剤中に均一に分散させ得る方法であればよく、特に制限されず、公知の混合手段を用いて混合することにより、調製することができる。
当該樹脂組成物の調製方法としては、例えば、(1)前記本発明に係る色材分散液に、(D)バインダー成分と所望により用いられる各種添加成分を混合する方法;(2)(C)溶剤中に、(A)色材と、(B)分散剤と、(D)バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを同時に投入し、混合する方法;(3)(C)溶剤中に、(B)分散剤と、(D)バインダー成分と、所望により用いられる各種添加成分とを添加し、混合したのち、(A)色材を加えて混合する方法;などを挙げることができる。
これらの方法の中で、上記(1)の方法が、色材の凝集を効果的に防ぎ、均一に分散させ得る点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルタは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、下記一般式(I)で表される色材を含有することを特徴とする。
本発明のカラーフィルタに用いられる前記一般式(I)で表される色材を含有する着色層は、前述した(A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分を含有し、前記(A)色材が、前記一般式(I)で表される色材を含有する、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成されることが好ましく、当該カラーフィルタ用着色樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
着色層は、通常、後述する透明基板上の遮光部の開口部に形成され、通常3色以上の着色パターンから構成される。
また、当該着色層の配列としては、特に限定されず、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の一般的な配列とすることができる。また、着色層の幅、面積等は任意に設定することができる。
当該着色層の厚みは、塗布方法、着色樹脂組成物の固形分濃度や粘度等を調整することにより、適宜制御されるが、通常、1〜5μmの範囲であることが好ましい。
まず、前述した本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を、スプレーコート法、ディップコート法、バーコート法、コールコート法、スピンコート法などの塗布手段を用いて後述する透明基板上に塗布して、ウェット塗膜を形成させる。
次いで、ホットプレートやオーブンなどを用いて、該ウェット塗膜を乾燥させたのち、これに、所定のパターンのマスクを介して露光し、アルカリ可溶性樹脂及び多官能モノマー等を光重合反応させて、感光性の塗膜とする。露光に使用される光源としては、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線、電子線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗膜の厚みなどによって適宜調整される。
また、露光後に重合反応を促進させるために、加熱処理を行ってもよい。加熱条件は、使用する着色樹脂組成物中の各成分の配合割合や、塗膜の厚み等によって適宜選択される。
現像処理後は、通常、現像液の洗浄、着色樹脂組成物の硬化塗膜の乾燥が行われ、着色層が形成される。なお、現像処理後に、塗膜を十分に硬化させるために加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては特に限定はなく、塗膜の用途に応じて適宜選択される。
本発明のカラーフィルタにおける遮光部は、後述する透明基板上にパターン状に形成されるものであって、一般的なカラーフィルタに遮光部として用いられるものと同様とすることができる。
当該遮光部のパターン形状としては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、マトリクス状等の形状が挙げられる。この遮光部としては、例えば、黒色顔料をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)及びCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)及びCr膜が3層積層されたものであってもよい。
当該遮光部が黒色色材をバインダー樹脂中に分散又は溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であればよく、特に限定されず、例えば、遮光部用着色樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
本発明のカラーフィルタにおける透明基板としては、可視光に対して透明な基材であればよく、特に限定されず、一般的なカラーフィルタに用いられる透明基板を使用することができる。具体的には、石英ガラス、無アルカリガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板、フレキシブルガラス等の可撓性やフレキシブル性を有する透明なフレキシブル材が挙げられる。
当該透明基板の厚みは、特に限定されるものではないが、本発明のカラーフィルタの用途に応じて、例えば100μm〜1mm程度のものを使用することができる。
なお、本発明のカラーフィルタは、上記透明基板、遮光部及び着色層以外にも、例えば、オーバーコート層や透明電極層、さらには配向膜や柱状スペーサ等が形成されたものであってもよい。
本発明の液晶表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする。
このような本発明の液晶表示装置について、図を参照しながら説明する。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の液晶表示装置40は、カラーフィルタ10と、TFTアレイ基板等を有する対向基板20と、上記カラーフィルタ10と上記対向基板20との間に形成された液晶層30とを有している。
なお、本発明の液晶表示装置は、この図2に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた液晶表示装置として公知の構成とすることができる。
また、対向基板としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて適宜選択して用いることができる。
さらに、液晶層を構成する液晶としては、本発明の液晶表示装置の駆動方式等に応じて、誘電異方性の異なる各種液晶、及びこれらの混合物を用いることができる。
真空注入方式では、例えば、あらかじめカラーフィルタ及び対向基板を用いて液晶セルを作製し、液晶を加温することにより等方性液体とし、キャピラリー効果を利用して液晶セルに液晶を等方性液体の状態で注入し、接着剤で封止することにより液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
また液晶滴下方式では、例えば、カラーフィルタの周縁にシール剤を塗布し、このカラーフィルタを液晶が等方相になる温度まで加熱し、ディスペンサー等を用いて液晶を等方性液体の状態で滴下し、カラーフィルタ及び対向基板を減圧下で重ね合わせ、シール剤を介して接着させることにより、液晶層を形成することができる。その後、液晶セルを常温まで徐冷することにより、封入された液晶を配向させることができる。
本発明に係る有機発光表示装置は、前述した本発明に係るカラーフィルタと、有機発光体とを有することを特徴とする。
このような本発明の有機発光表示装置について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の有機発光表示装置の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の有機発光表示装置100は、カラーフィルタ10と、有機発光体80とを有している。カラーフィルタ10と、有機発光体80との間に、有機保護層50や無機酸化膜60を有していても良い。
なお、本発明の有機発光表示装置は、この図3に示される構成に限定されるものではなく、一般的にカラーフィルタが用いられた有機発光表示装置として公知の構成とすることができる。
前記一般式(II)で表されるカチオンを準備するために、国際公開第2012/144521号に記載の中間体3及び中間体4の製造方法を参照して、下記化学式(1)で示される2量化トリアリールメタン染料を15.9g(収率70%)得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・MS(ESI) (m/z):511(+)、2価
・元素分析値:CHN実測値 (78.13%、7.48%、7.78%);理論値(78.06%、7.75%、7.69%)
前記一般式(II)で表されるカチオンとなる塩基性染料として、合成例1で得られた2量化トリアリールメタン染料5g(4.58mmol)を水300mlに加え、90℃で溶解させ、塩基性染料水溶液を調整した。アニオンとなる酸性染料としてアシッドバイオレット17(略称AV17、アルドリッチ製;下記化学式(2)で表される1価のアニオン性トリアリールメタン系染料)1.40g(1.83mmol)、ポリ酸として、リンタングステン酸・n水和物 H3[PW12O40]・nH2O(n=28.7)(日本無機化学工業製)8.29g(2.44mmol)を水100mlに入れ、90℃で攪拌し、水溶液を調整した。この調整した水溶液を90℃で15分かけて塩基性染料水溶液に滴下し、さらに90℃で1時間攪拌した。生成した沈殿物を濾取し、水で洗浄した。得られたケーキを乾燥して共レーキ色材A 12.14g(収率92%)を得た。
合成例2において、前記一般式(II)で表されるカチオンとなる塩基性染料と、アニオンとなる酸性染料とポリ酸アニオンとを、表1のように変更したこと以外は、合成例2と同様にして共レーキ色材B1〜Jを得た。
合成例2において、前記一般式(II)で表されるカチオンとなる塩基性染料と、アニオンとなる酸性染料とポリ酸アニオンとを、表1のように変更したこと以外は、合成例2と同様にして共レーキ色材K及びLを得た。
合成例2において、酸性染料を用いずに、塩基性染料とポリ酸との配合量を表1のように変更した以外は、合成例2と同様にして青色レーキ色材A及びBを得た。
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(略称EMDG)130質量部を仕込み、窒素雰囲気下で110℃に昇温した後、メタクリル酸メチル32質量部、メタクリル酸シクロヘキシル22質量部、メタクリル酸24質量部、開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)2質量部および連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン4.5質量部を含む混合物を、それぞれ1.5時間かけて連続的に滴下した。
その後、合成温度を保持して反応を続け、滴下終了から2時間後に重合禁止剤として、p−メトキシフェノール0.05質量部を添加した。
次に、空気を吹き込みながら、メタクリル酸グリシジル22質量部を添加して、110℃に昇温した後、トリエチルアミン0.2質量部を添加して110℃で15時間付加反応させ、バインダー樹脂A(固形分44質量%)を得た。
得られたバインダー樹脂Aの質量平均分子量Mwは8500、酸価は85mgKOH/gであった。なお、質量平均分子量Mwは、ポリスチレンを標準物質とし、THFを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて算出し、酸価はJIS−K0070に従い測定した。
100mlナスフラスコに、PGMEA34.30質量部、3級アミノ基を含むブロック共重合体(上記一般式(III)で表される構成単位と上記一般式(V)で表される構成単位とを有するブロック共重合体)(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー製)(アミン価120mgKOH/g、固形分60質量%)14.25質量部(有効固形分8.55質量部)をそれぞれ溶解させ、フェニルホスホン酸(「PPA」日産化学製))を1.45質量部(ブロック共重合体の3級アミノ基に対して0.5モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することでリン酸塩変性分散剤溶液A(固形分20質量%)を調製した。このとき、ブロック共重合体のアミノ基は、PPAの酸性基との酸−塩基反応により塩形成されているものを含む。
色材として、合成例2で得られた共レーキ色材A 13.0質量部、合成例15で調製したリン酸塩変性分散剤溶液Aを22.75質量部(有効固形分4.55質量部)、合成例14のバインダー樹脂A13.30質量部(有効固形分5.85質量部)、PGMEA50.95質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズで4時間分散し、色材分散液Aを得た。
製造例1において、共レーキ色材Aの代わりに、合成例3〜合成例13で得られた共レーキ色材をそれぞれ用いた以外は、製造例1と同様にして、色材分散液B〜Lを得た。
製造例1において、共レーキ色材Aの代わりに、比較合成例1〜4のレーキ色材をそれぞれ用いた以外は、製造例1と同様にして色材分散液M〜Pを得た。
製造例1において、共レーキ色材Aの代わりに、ジオキサジン顔料(C.I.ピグメントバイオレット23、一次粒子径60nm)1.95質量部と、銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6、一次粒子径40nm)11.05質量部とを組み合わせて用いた以外は、製造例1と同様にして色材分散液Qを得た。
製造例1で得られた色材分散液A28.57質量部、下記バインダー組成物A28.29質量部、PGMEA43.14質量部、界面活性剤R08MH(DIC製)0.04質量部、シランカップリング剤KBM503(信越シリコーン製)0.4質量部を添加混合し、加圧濾過を行って、実施例1の着色樹脂組成物を得た。
・アルカリ可溶性樹脂(合成例18のバインダー樹脂A、固形分44質量%):18.18質量部
・5〜6官能アクリレートモノマー(商品名:アロニックスM403、東亞合成製):8.00質量部
・光重合開始剤:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名:イルガキュア907、BASF製)):3.00質量部
・光増感剤:2,4ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアーDETX−S、日本化薬製):1.00質量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):19.82質量部
実施例1において、色材分散液をそれぞれ下記表2中のものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜12及び比較例1〜5の着色樹脂組成物を得た。
<分散性能評価>
各実施例及び比較例で使用した色材分散液の分散性能評価として、色材分散液中の色材粒子の平均粒径とせん断粘度の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装製「ナノトラック粒度分布計UPA−EX150」を用い、粘度測定には、Anton Paar製「レオメータMCR301」を用いて、せん断速度が60rpmのときのせん断粘度を測定した。なおここでの平均粒径は、平均分散粒径であって、体積平均粒径である。結果を表2に併せて示す。
各実施例及び比較例で得られた着色樹脂組成物の安定性評価として、作製直後及び25℃、1週間静置後のせん断粘度の測定を行った。粘度測定には、Anton Paar製「レオメータMCR301」を用いて、せん断速度が60rpmのときのせん断粘度を測定した。結果を表2に併せて示す。
各実施例及び比較例で得られた着色樹脂組成物を、厚み0.7mmのガラス基板(日本電気硝子製、「OA−10G」)上に、スピンコーターを用いて塗布した。その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。超高圧水銀灯を用いて40mJ/cm2の紫外線を照射することによって硬化膜(青色着色層)を得た。上記の着色基板をクリーンオーブンで230℃30分間ポストベーク処理した。得られた着色膜のポストベーク前後の色度(x、y)、輝度(Y)と色座標(L、a、b)をそれぞれオリンパス製「顕微分光測定装置OSP−SP200」を用いて測定し、コントラストは壺坂電気製「コントラスト測定装置CT−1B」を用いて測定した。
ポストベーク前の色座標をL1、a1、b1とし、ポストベーク後の色座標をL2、a2、b2としたとき、色差(ΔEab)は下記式より算出され、耐熱性の指標となる。このとき、ΔEabの値が10以下の場合には特に実用に適すると判断され、逆に20を超える場合には実用には適さないと判断される。
ΔEab={(L2−L1)2+(a2−a1)2+(b2−b1)2}1/2
評価結果を表2に示す。
表2の結果より、2量化トリアリールメタン染料と酸性染料とリンタングステン酸を同時にレーキ化した一般式(I)で表わされる色材を用いた実施例1〜12の着色樹脂組成物は、2量化トリアリールメタン染料とリンタングステン酸のみでレーキ化した比較例3の着色樹脂組成物と比べて、常温、1週間静置後の粘度変化が格段に小さいことから、着色樹脂組成物の安定性に優れた色材であるといえる。これは、色材粒子表面に存在する2量化トリアリールメタン染料の結合していないリンタングステン酸が、酸性染料に置き換わることで、着色樹脂組成物中の成分との副反応が抑制されたからと推測される。
また、実施例1〜12の着色樹脂組成物を用いて形成された着色層は、比較例4のような1価のカチオンであるベーシックブルー7とリンタングステン酸でレーキ化した色材を用いた着色樹脂組成物、比較例1及び2のようなベーシックブルー7と酸性染料とリンタングステン酸を同時にレーキ化した色材を用いた着色樹脂組成物、さらに、比較例5のような銅フタロシアニン顔料とジオキサジン顔料を用いた着色樹脂組成物と比べて、ポストベーク後の輝度が大幅に高いことが明らかにされた。また、実施例1〜12の着色樹脂組成物を用いて形成された着色層は、比較例1、2及び4と比べてΔEabが小さいことからも、耐熱性の高い高輝度な色材であると判断できる。
2 遮光部
3 着色層
10 カラーフィルタ
20 対向基板
30 液晶層
40 液晶表示装置
50 有機保護層
60 無機酸化膜
71 透明陽極
72 正孔注入層
73 正孔輸送層
74 発光層
75 電子注入層
76 陰極
80 有機発光体
100 有機発光表示装置
101 発色部位
102 連結基A
103 一般式(II)で表されるカチオン
104 酸性染料のアニオン
105 ポリ酸アニオン
106 塩形成していないポリ酸アニオン
107 塩形成していない一般式(II)で表されるカチオン
130 一般式(I)で表される色材
Claims (6)
- 下記一般式(I)で表される色材。
a及びcは2以上の数、bは1以上の数であり、lは1以上の数、m及びnは正の数であって、(b×m):(c×n)が50:50〜5:95である。)
nは0又は1であり、nが0のとき結合は存在しない。複数あるnは同一であっても異なっていてもよい。) - (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材を含有する、色材分散液。
a及びcは2以上の数、bは1以上の数であり、lは1以上の数、m及びnは正の数であって、(b×m):(c×n)が50:50〜5:95である。)
nは0又は1であり、nが0のとき結合は存在しない。複数あるnは同一であっても異なっていてもよい。) - (A)色材と、(B)分散剤と、(C)溶剤と、(D)バインダー成分とを含有し、前記(A)色材が、下記一般式(I)で表される色材を含有する、カラーフィルタ用着色樹脂組成物。
a及びcは2以上の数、bは1以上の数であり、lは1以上の数、m及びnは正の数であって、(b×m):(c×n)が50:50〜5:95である。)
nは0又は1であり、nが0のとき結合は存在しない。複数あるnは同一であっても異なっていてもよい。) - 透明基板と、当該透明基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルタであって、当該着色層の少なくとも1つが、下記一般式(I)で表される色材を含有する、カラーフィルタ。
a及びcは2以上の数、bは1以上の数であり、lは1以上の数、m及びnは正の数であって、(b×m):(c×n)が50:50〜5:95である。)
nは0又は1であり、nが0のとき結合は存在しない。複数あるnは同一であっても異なっていてもよい。) - 前記請求項4に記載のカラーフィルタと、対向基板と、前記カラーフィルタと前記対向基板との間に形成された液晶層とを有することを特徴とする液晶表示装置。
- 前記請求項4に記載のカラーフィルタと、有機発光体を有することを特徴とする有機発光表示装置。
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