JP6151479B2 - 偏光性積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
MD倍率≦(−0.1/3)×TD倍率+0.7 式(2)
[2]延伸工程において、最終的なTD倍率が4.0以上である、[1]に記載の偏光性積層フィルムの製造方法。
本発明の製造方法では、長尺状の基材フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂層とが積層された長尺状の積層フィルムを用いる。
基材フィルムに用いられる樹脂としては、たとえば、透明性、機械的強度、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられ、それらのガラス転移温度Tgまたは融点Tmに応じて適切な樹脂を選択できる。基材フィルムは、その上に積層するポリビニルアルコール系樹脂層の延伸に適した温度範囲で延伸できるようなものを用いることが好ましい。
プライマー層としては、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑樹脂が用いられる。具体的にはアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられるがこれに限定されるものではない。
ポリビニルアルコール系樹脂層に用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をけん化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
けん化度(モル%)=(水酸基の数)÷(水酸基の数+酢酸基の数)×100
で定義される数値である。JIS K 6726(1994)で規定されている方法で求めることができる。けん化度が高いほど、水酸基の割合が高いことを示しており、すなわち結晶化を阻害する酢酸基の割合が低いことを示している。
本発明における延伸工程では、積層フィルムを幅方向に延伸するとともに、縦方向に収縮する。延伸工程においては、ポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向における延伸工程開始時の長さに対する延伸時の長さの倍率であるTD倍率と、縦方向における延伸工程開始時の長さに対する収縮時の長さの倍率であるMD倍率とが、1.0<TD倍率≦3.0である第1期間では下記式(1)の関係を満たし、TD倍率>3.0である第2期間では下記式(2)の関係を満たしながら、前記延伸および前記収縮を行なう。
MD倍率≦(−0.1/3)×TD倍率+0.7 式(2)
なお、延伸工程において、積層フィルムは幅方向に延伸されるので、TD倍率は1.0より大きい値となり、積層フィルムは縦方向に収縮されるので、MD倍率は1.0未満の値となる。
ここでは、延伸した積層フィルムの樹脂層を、二色性色素で染色する。二色性色素としては、たとえば、ヨウ素や有機染料などが挙げられる。有機染料としては、たとえば、レッドBR、レッドLR、レッドR、ピンクLB、ルビンBL、ボルドーGS、スカイブルーLG、レモンイエロー、ブルーBR、ブルー2R、ネイビーRY、グリーンLG、バイオレットLB、バイオレットB、ブラックH、ブラックB、ブラックGSP、イエロー3G、イエローR、オレンジLR、オレンジ3R、スカーレットGL、スカーレットKGL、コンゴーレッド、ブリリアントバイオレットBK、スプラブルーG、スプラブルーGL、スプラオレンジGL、ダイレクトスカイブルー、ダイレクトファーストオレンジS、ファーストブラックなどが使用できる。これらの二色性物質は、一種類でも良いし、二種類以上を併用して用いても良い。
偏光子層は、具体的には、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層に二色性色素を吸着配向させたものである。
[実施例1〜8]
(1)基材フィルムの作製
エチレンユニットを5重量%含むプロピレン/エチレンのランダム共重合体(住友化学(株)製「住友ノーブレン W151」、融点Tm=138℃)からなる樹脂層の両側にプロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(住友化学(株)製「住友ノーブレンFLX80E4」、融点Tm=163℃)からなる樹脂層を配置した3層構造の基材フィルムを、多層押出成形機を用いた共押出成形により作製した。得られた基材フィルムの合計厚みは100μmであり、各層の厚み比(FLX80E4/W151/FLX80E4)は3/4/3であった。
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業(株)製「Z−200」、平均重合度1100、平均ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部混合した。得られた混合水溶液を、コロナ処理を施した上記基材フィルムのコロナ処理面上にグラビアコーターを用いて連続で塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成し、プライマー層/基材フィルムの構成からなるフィルムを作成した。さらに、基材フィルムの反対側に同様の処理を施し、0.2μmのプライマー層を形成してプライマー層/基材フィルム/プライマー層の構成からなるフィルムを得た。
ポリビニルアルコール粉末(クラレ(株)製「PVA124」、平均重合度2400、平均けん化度98.0〜99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液を、上記プライマー層上にカンマコーターを用いて連続で塗工し、80℃で5分間乾燥させることにより、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層からなる3層構造の積層フィルムを作製した。ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは10.6μmであった。さらに、基材フィルムの反対側の面にも同様の処理を施し、10.3μmのポリビニルアルコール系樹脂層を形成して、樹脂層/プライマー層/基材フィルム/プライマー層/樹脂層の構成からなる積層フィルムを得た。
上記の積層フィルムを160℃の熱風下でMD方向に収縮させながらTD方向に延伸した。延伸工程途中のMD倍率およびTD倍率を制御しながら、最終的なMD倍率が0.40、最終的なTD倍率が5.8の延伸フィルムを得た。なお、延伸工程途中において、TD倍率1.6の時MD倍率0.71、TD倍率2.0の時MD倍率0.63、TD倍率3.0のときMD倍率0.52、TD倍率4.0の時MD倍率0.45、TD倍率5.0の時MD倍率0.41となるように延伸を行ない、最終的にTD倍率5.8、MD倍率0.40の延伸フィルムを作製した。図4に、延伸工程の開始点(MD倍率1.0、TD倍率1.0)から最終点(MD倍率0.40、TD倍率5.8)に至るまでに経たTD倍率およびMD倍率の経路を示す。なお、図4中には、式(1)で規定される上限値と、式(2)で規定される上限値についても示す。図4より、実施例1〜8では、式(1)で規定される上限値と、式(2)で規定される上限値を下回るMD倍率となる経路を経たことがわかる。
延伸した積層フィルムについて、次の手順で偏光性延伸フィルムを作製した。まず、延伸フィルムをヨウ素とヨウ化カリウムとを含む水溶液である30℃の染色溶液に下記の表1に示す時間浸漬して、ポリビニルアルコール系樹脂層の染色を行ない、ついで10℃の純水で余分なヨウ素液を洗い流した。次に、ホウ酸とヨウ化カリウムとを含む水溶液である72℃の架橋溶液に600秒間浸漬させた。その後、10℃の純水で4秒間洗浄し、最後に80℃で300秒間乾燥させることにより、偏光性積層フィルムを得た。
偏光性積層フィルムを用いて、次の手順で偏光板を作製した。まず、ポリビニルアルコール粉末((株)クラレ製「KL−318」、平均重合度1800)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(住友化学(株)製「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末2重量部に対して1重量部混合し、接着剤溶液とした。
延伸工程での、開始点(MD倍率1.0、TD倍率1.0)から最終点(MD倍率0.40、TD倍率5.8)に至るまでに経たMD倍率およびTD倍率の経路が異なる点、および染色溶液への浸漬時間を下記の表2に示す時間とした点以外は、実施例1〜8と同様にして比較例1〜5の偏光板を作製した。延伸工程での経路は、具体的には、TD倍率1.6の時MD倍率0.92、TD倍率2.0の時MD倍率0.88、TD倍率3.0のときMD倍率0.75、TD倍率4.0の時MD倍率0.63、TD倍率5.0の時MD倍率0.50となるように延伸を行ない、最終的にTD倍率5.8、MD倍率0.40の延伸フィルムを作製した。図4に、延伸工程の開始点(MD倍率1.0、TD倍率1.0)から最終点(MD倍率0.4、TD倍率5.8)に至るまでに経たMD倍率およびTD倍率の経路を示す。図4より、比較例1〜5ではMD倍率の変化量に対してTD倍率の変化量が一定となるような経路を経て延伸されており、MD倍率について式(1)で規定される上限値と、式(2)で規定される上限値を上回る値となった場合があることがわかる。
実施例1〜8および比較例1〜5の偏光板について、紫外可視分光光度計V−7100(日本分光(株)製)を用いて、単体透過率および偏光度を測定した。表1および表2に結果を示す。図5は、実施例1〜8および比較例1〜5の偏光板の偏光度と単体透過率をプロットしたグラフである。
Claims (4)
- 長尺状の基材フィルムと、ポリビニルアルコール系樹脂層とが積層された長尺状の積層フィルムを幅方向に延伸するとともに縦方向に収縮して延伸フィルムを得る延伸工程と、
前記延伸フィルムの前記ポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色する染色工程と、を含む偏光性積層フィルムの製造方法であって、
前記延伸工程において、前記ポリビニルアルコール系樹脂層の幅方向における延伸工程開始時の長さに対する延伸時の長さの倍率であるTD倍率と、縦方向における延伸工程開始時の長さに対する収縮時の長さの倍率であるMD倍率とについて、1.0<TD倍率≦3.0である第1期間では、MD倍率がMD方向に自然発生的に生ずる収縮以上に収縮するように設定し、TD倍率>3.0である第2期間では、MD倍率が下記式(2)の関係を満たすように設定し、前記延伸および前記収縮を行ない、
前記延伸工程において、最終的なTD倍率が5.0以上でかつ最終的なMD倍率が0.5以下である、偏光性積層フィルムの製造方法。
MD倍率≦(−0.1/3)×TD倍率+0.7 式(2) - 前記延伸工程において、最終的なTD倍率が8.0以下である、請求項1に記載の偏光性積層フィルムの製造方法。
- 前記延伸工程において、最終的なMD倍率が0.2以上である、請求項1または2に記載の偏光性積層フィルムの製造方法。
- 前記延伸工程後の前記ポリビニルアルコール系樹脂層の厚みが10μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光性積層フィルムの製造方法。
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JP5643865B2 (ja) | 偏光性積層フィルムの製造方法及び偏光板の製造方法 |
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