以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係るデジタルカメラ1を示す図である。本発明に係る観測装置としてのデジタルカメラ1は、ユーザによって携帯可能な移動体(装置)として設計されている。したがって、ユーザはデジタルカメラ1を携帯しつつ、所望の撮影場所に移動して、好みの被写体を撮像することができる。
図2は、デジタルカメラ1のブロック図である。図2に示すように、デジタルカメラ1は、各種データの演算を実行するCPU10、予め記憶されているデータに対する読み取りのみ可能なROM11、データの読み書きがいずれも可能なRAM12、操作部13および表示部14を備えている。また、デジタルカメラ1は、撮像部15、メモリカード90を装着することが可能なカードスロット16、電力供給部19および測位部2を備えている。
CPU10は、ROM11に記憶されているプログラム110を読み出して、RAM12をワーキングエリアとして使用しつつ、当該プログラム110を実行することにより、デジタルカメラ1が備える各構成を制御する。このようにデジタルカメラ1は、一般的なコンピュータとしての機能を有している。
操作部13は、ユーザがデジタルカメラ1に指示を入力するために、ユーザによって操作される。操作部13としては、各種ボタンやキー、スイッチ、ダイヤルなどが該当する。デジタルカメラ1は、操作部13として、特に、シャッターボタンおよび電源スイッチを備えている。
表示部14は、デジタルカメラ1の状態や動作モード、撮像範囲等の情報をユーザに提示する機能を有している。表示部14としては、液晶パネルやLED、ランプなどが該当する。
詳細は図示しないが、撮像部15は、CCDなどの光電変換素子や各種レンズ、データ圧縮回路等を備えており、撮像位置(観測位置)における被写体を撮像して画像データ150(観測情報)を取得する。すなわち、本実施の形態における撮像部15は、主に、本発明における観測手段に該当する。
電力供給部19は、デジタルカメラ1の各部に電力を供給する機能を有している。便宜上、図2において電力供給部19は、測位部2にのみ電力を供給しているように図示しているが、実際には、先述のように、電力供給部19は、デジタルカメラ1の各部に電力を供給する機能を有している。
詳細は図示しないが、電力供給部19は、DCアダプタを接続するコネクタやUSBケーブルを接続するUSB端子、電池を収納する収納部等を備えている。商用電源に接続されたDCアダプタが電力供給部19に接続されている場合には、電力供給部19は当該商用電源から電力を調達する。また、電力供給部19がUSB端子を介して外部のコンピュータに接続されている場合には、電力供給部19は当該コンピュータから電力を調達する。そして、これらとの接続がない場合には、電力供給部19は収納部に収納された電池から電力を調達し、各部に供給する。
メモリカード90は、デジタルカメラ1において使用されるときには、カードスロット16に装着される。メモリカード90は、後述する撮像情報91および軌跡情報92を記録するために使用される記憶媒体である。また、メモリカード90は、デジタルカメラ1(カードスロット16)から取り外すことが可能であり、可搬性の記憶媒体として構成されている。
図3は、本発明に係る測位装置である測位部2を示すブロック図である。測位部2は、各種データの演算を行いつつ測位部2の各構成を制御するCPU20と、プログラム210を格納するROM21と、CPU20のワーキングエリアとして使用されるRAM22とを備えている。これにより、測位部2は、一般的なコンピュータとしての構成および機能を有している。
CPU20は、ROM21に格納されているプログラム210を実行しつつ、測位部2の各構成を制御する。また、CPU20は、CPU10とデータのやり取りが可能な状態で接続されている。なお、CPU20の動作の詳細については、後述する。
また、測位部2は、計時部23、スイッチング回路24、位置取得部25および移動検出部26を備えている。
計時部23は、いわゆるタイマ回路であって、CPU20によりセットされる時間を計測する機能を有している。計時部23は、セットされた時間が経過すると、タイマ割り込みによりCPU20に通知する。本実施の形態における計時部23は、特に、位置取得部25を停止させておく時間を計測するために使用される。以下の説明では、計時部23にセットされる、位置取得部25を停止させておく時間を「停止時間」と称する。
スイッチング回路24は、電力供給部19から供給される電力を測位部2の各部に分配する機能を有している。特に、スイッチング回路24は、CPU20からの制御に応じて、位置取得部25および移動検出部26に対する電力の供給状態を切り替える。したがって、図3では、位置取得部25および移動検出部26に対する電力供給のみを図示している。
より詳細には、スイッチング回路24は、CPU20からのオン/オフ信号に応じて、位置取得部25および移動検出部26に対する電力供給をオン(動作状態)/オフ(非供給状態)する。非供給状態(オフ)では、電力の供給が絶たれるため、位置取得部25および移動検出部26は動作状態のときに比べて電力消費が抑制された抑制状態となる。
位置取得部25は、測位位置におけるデジタルカメラ1の位置を示す第1位置情報221を取得する。本実施の形態における位置取得部25は、いわゆるGPS受信機を構成しており、GPS衛星から送信される電波を受信して、第1位置情報221を取得する。
GPS(Global Positioning System)は、全地球測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一形態であって、主に、米国により提供されているシステムである。すなわち、本実施の形態における第1位置情報221は、GPS受信機の出力から得られる位置情報に相当する情報であり、取得時(測位を実行した時間)におけるデジタルカメラ1の絶対位置を示す情報である。
なお、第1位置情報221を取得する位置取得部25は、GPS受信機に限定されるものではない。例えば、他の全地球測位システムが用いられてもよいし、無線LAN(基地局)から受信される情報に基づいて第1位置情報221を取得するものでもよい。あるいは、これらが相互に協働して第1位置情報221を取得するように構成されていてもよい。すなわち、位置取得部25は、移動体であるデジタルカメラ1の絶対位置を取得する機能を有するものであればよい。
移動検出部26は、デジタルカメラ1の移動ベクトル(移動方向および移動距離)に関する移動情報224を取得する。本実施の形態における移動検出部26は、加速度センサやジャイロセンサ等の慣性測位装置、および、方位センサ、磁気センサ(移動の前後で地磁気の向きを測定することにより移動の回転量を検出できる。)、気圧センサ(移動の前後で気圧を測定することにより移動の高低差を検出できる。)等で構成されるが、これらに限定されるものではないし、これらのうちのすべてを備える必要もない。移動検出部26によって移動情報224を取得する手法は、従来の技術を適用することができるため、以下では詳細な説明を省略する。
図4は、測位部2の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図4に示すGPS制御部200、センサ制御部201、切替制御部202、位置情報生成部203および評価部204は、CPU20がプログラム210に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
なお、図4に示す取得位置情報220は、少なくとも第1位置情報221、中間位置情報222または終点位置情報223のいずれかを含む情報であり、これらの情報のうちのすべてを含む場合もある。中間位置情報222および終点位置情報223についての詳細は後述するが、中間位置情報222は過去の第1位置情報221(測位位置)であり、終点位置情報223はその時点で作成されている第2位置情報227の終端位置を示す情報である。
GPS制御部200は、GPS受信機を構成している位置取得部25を制御する。具体的には、位置取得部25が動作状態(オン状態)となると、GPS制御部200は、これを検出して、位置取得部25にGPSによる測位を実行させる。一般に、GPS受信機からの出力情報には、様々な情報(エフェメリスやアルマナックなど)が含まれているが、GPS制御部200は、少なくとも位置取得部25からの出力に基づいて、測位位置を取得し、第1位置情報221としてRAM22に転送する機能を有する。
したがって、第1位置情報221は、位置取得部25が測位を行う時間(取得時間)に取得され、先述のように、取得時におけるデジタルカメラ1(測位部2)の位置を示す情報となる。すなわち、厳密に言えば、測位部2において、位置取得部25およびGPS制御部200が協働することにより第1位置情報221が取得される。ただし、取得時間であっても、位置取得部25による測位が実行できなかったときは、当該取得時間における第1位置情報221が記録されることはない。
また、GPS制御部200は、取得された第1位置情報221の精度を評価するための評価情報を評価部204に伝達する。本実施の形態における評価情報は、位置取得部25がGPS受信機であるため、以下の式1で示される評価値「Q」を用いる。
Q=f(D,δ)=D×δ ・・・ 式1
ここで、式1における「D」は、測位に用いている衛星(観測できている衛星)の状態を示すDOP(Dilution of Precision)値である。また、「δ」は、疑似距離測定誤差である。DOP値および疑似距離測定誤差の求め方は従来技術を適宜適用することができるため、ここでは説明を省略する。
また、GPS制御部200は、評価部204から通知される評価結果を、第1位置情報221に付加して、取得位置情報220に含める。すなわち、取得位置情報220に含まれる第1位置情報221には、当該第1位置情報221の精度を表すフラグ(高精度フラグまたは低精度フラグ)が関連づけられる。これにより、高精度フラグが関連づけられている第1位置情報221は精度が高く、信頼できると判定できる。一方で、低精度フラグが関連づけられている第1位置情報221は精度が低く、あまり信頼できないと判定できる。
さらに、GPS制御部200は、位置取得部25による測位(GPS測位)ができないときには、その旨を評価部204に伝達する。本実施の形態において、位置取得部25による測位ができないときとは、GPS衛星からの電波を受信できないときのみならず、位置取得部25に対する電力供給が停止されており、位置取得部25が抑制状態にある場合も含まれる。
センサ制御部201は、移動検出部26からの出力情報に基づいて、移動情報224を作成し、RAM22に格納する。また、センサ制御部201は、評価部204からの情報に基づいて、移動検出部26のパラメータを変更して、移動検出部26を制御する。また、センサ制御部201は、評価部204からの情報に基づいて移動検出部26のオフセット値などを変更して、過去の移動情報224を修正する機能も有している。すなわち、測位部2においては、厳密には、移動検出部26およびセンサ制御部201が協働することにより、移動情報224が取得される。
切替制御部202は、様々な状況に応じて、スイッチング回路24を制御し、位置取得部25および移動検出部26への電力の供給状態を制御する。例えば、切替制御部202が、位置取得部25に電力を供給するようにスイッチング回路24に指示信号を出力すると、スイッチング回路24が位置取得部25への電力供給線を接続する(オン状態とする)。これにより、位置取得部25は動作状態となり、測位(第1位置情報221の取得)が可能となる。一方で、切替制御部202が、位置取得部25に対する電力供給を停止するようにスイッチング回路24に指示信号を出力すると、スイッチング回路24が位置取得部25への電力供給線を切断する(オフ状態とする)。この場合、位置取得部25は消費電力の抑制状態となり、測位ができない状態となる。
また、切替制御部202は、計時部23に任意の停止時間をセットし、計時部23からのタイマ割り込み信号を監視する機能を有している。これにより、切替制御部202は、位置取得部25が間欠的に動作状態となるように制御することが可能である。また、位置取得部25への電力の供給を停止しておく時間を、評価部204からの評価結果等に応じて制御することにより、間欠的に動作させる際の間隔を制御することも可能となる。
また、図4では、図示を省略しているが、切替制御部202は、CPU10からの指示に応じてスイッチング回路24を制御することも可能である。例えば、切替制御部202は、デジタルカメラ1の電源スイッチやシャッターボタン(操作部13)が操作されたことに連動して入力されるCPU10からの指示信号に従って、位置取得部25および移動検出部26への電力供給を制御する。
位置情報生成部203は、中間位置情報222、終点位置情報223、相対位置情報225、補間情報226および第2位置情報227を生成する機能を有している。
特に、位置情報生成部203は、評価部204による評価結果に応じて、位置取得部25により取得された第1位置情報221と、移動検出部26により取得された移動情報224とに基づいて、デジタルカメラ1の位置を示す第2位置情報227を生成する。
詳細は後述するが、位置情報生成部203は、適宜、第1位置情報221を中間位置情報222に書き換えることにより、中間位置情報222を作成する。したがって、中間位置情報222は、過去に取得された第1位置情報221(本実施の形態においてはGPSによる測位位置)であり、取得時を示すタイムスタンプと、精度を示すフラグとが付加されている。
また、位置情報生成部203は、移動情報224に基づいて、デジタルカメラ1の移動の軌跡形状を示す相対位置情報225を作成する。
以下の説明では、相対位置情報225において、当該相対位置情報225を作成するために使用された移動情報224のうち、最古の移動情報224が取得された時間を、当該相対位置情報225における「始点時間」と称し、最新の移動情報224が取得された時間を「終点時間」と称する。また、「始点時間」における相対位置情報225における位置を「始点」、「終点時間」における位置を「終点」と称する。
また、位置情報生成部203は、相対位置情報225に含まれる位置のうちの、いずれかの位置(以下、「基準位置」と称する。)の絶対位置を特定することにより、相対位置情報225に含まれるすべての位置を絶対位置に変換し、補間情報226を生成する機能を有している。
また、移動情報224が先述のようにセンサ制御部201によって修正されたとき、位置情報生成部203はこれを検出して、相対位置情報225を修正する。
さらに、位置情報生成部203は、CPU10からの要求に応じて、第2位置情報227をCPU10に伝達する機能も有している。
評価部204は、GPS制御部200から伝達される評価情報(評価値「Q」)と、予め設定されている閾値とを比較することにより、位置取得部25により取得された第1位置情報221の精度を評価する。このときの評価結果は、GPS制御部200に伝達され、第1位置情報221に、高精度フラグまたは低精度フラグが付加される。
また、評価部204は、補間情報226の基準位置に対応する取得位置情報220における位置を特定する。補間情報226の基準位置に対応する取得位置情報220における位置とは、当該基準位置にデジタルカメラ1(測位部2)が存在していたときに取得された取得位置情報220における位置である。そして、評価部204は、特定した位置が当該基準位置の精度範囲(評価値「R」)内に存在するか否かを判定する。これにより、評価部204は、補間情報226の精度を評価する。すなわち、評価部204は、当該補間情報226を作成する基となった移動情報224の精度を評価する機能を有している。
以上が、デジタルカメラ1の構成および機能の説明である。次に、デジタルカメラ1の動作を説明する前に、デジタルカメラ1における各状態を定義する。
図5は、デジタルカメラ1の状態を説明のために各状態を定義する図である。図5において、「電源」の欄は、デジタルカメラ1の電源の状態(オン/オフ)を示す。また、「位置取得部」の欄は、位置取得部25への電力の供給状態(オン/オフ)を示す。また、「測位状況」の欄は、位置取得部25による第1位置情報221の取得の可否(可/不可)を示す。また、「移動検出部」の欄は、移動検出部26への電力の供給状態(オン/オフ)を示す。さらに、「状態名称」の欄は、定義する状態の名称を示す。なお、「測位状況」の欄は、第1位置情報221の精度を示すものではない。
すなわち、デジタルカメラ1の電源が投入(オン)されており、位置取得部25および移動検出部26に電力が供給(オン)されており、かつ、位置取得部25が第1位置情報221を取得可能(低精度であるか高精度であるかを問わない。)である状態を、以下の説明では「第1状態」と呼ぶこととする。また、例えば、「第1状態」において、位置取得部25への電力供給が遮断されれば、デジタルカメラ1は「第5状態」に遷移することになる。
なお、移動検出部26は、スイッチング回路24により電力が供給され、「オン」状態となれば、ほぼ確実に移動情報224を取得することができる。一方で、位置取得部25は、「オン」状態にある場合でも、GPS衛星を観測できない場合には、第1位置情報221を取得することができない。したがって、図5において「測位状況」の欄を設けて状態を区別する。
図5から明らかなように、デジタルカメラ1では、電源が投入されていない状態においても、位置取得部25や移動検出部26が「オン」となる状態が存在する。
次に、本発明に係る測位方法について説明する。デジタルカメラ1では、非測位モードと、測位モードとが設けられている。非測位モードと測位モードは、ユーザによる指示(設定)に応じて切り替わるモードである。
非測位モードは、撮像時も、移動時も、まったく測位(測位処理)を実行しないモードであり、ユーザが位置情報を所望していない場合に選択されるモードである。非測位モードにおいては、ユーザが設定を変更しない限り測位モードに遷移することはなく、電源スイッチが操作されるごとに、図5に示す「第12状態」と「第6状態」とを交互に繰り返すことになる。先述のように、非測位モードでは、測位処理が実行されないので、以下の説明では特に断らない限り、デジタルカメラ1における非測位モードについての説明は省略する。
また、デジタルカメラ1の測位モードには、画像データ150が撮像されたときの位置のみを記録する撮像位置記録モードと、デジタルカメラ1が移動している間の軌跡(軌跡情報92)を記録する移動軌跡記録モードとが設けられている。これらのモードも、ユーザによる指示に応じて設定され切り替わるモードである。なお、デジタルカメラ1は、撮像位置記録モードおよび移動軌跡記録モードを同時に並行して実行することも可能であるが、説明を簡単にするために、以下では、これらのモードが独立して実行される場合についてそれぞれ説明する。
図6は、デジタルカメラ1における撮像位置記録モードを示す流れ図である。なお、図6に示す各工程が開始されるまでに、ユーザによって、撮像位置記録モードが選択され、すでに設定されているものとする。
撮像位置記録モードが開始されると、デジタルカメラ1は電源の状態(ステップS1)と、後付フラグの存否(ステップS2)とを監視する状態となる。
ここで、後付フラグとは、撮像情報91(撮像された画像データ150を含む。)に付加されるフラグ(識別情報)であって、当該画像データ150の撮像された位置に関する情報が未だ撮像情報91に関連づけられていないことを示すフラグである。
すなわち、ステップS2では、メモリカード90に記録されている撮像情報91のなかに、後付フラグが付加されているものが存在しているか否かが判定される(後述するステップS8,S11も同様。)。
なお、ステップS2,S8,S11において、CPU10はメモリカード90内の撮像情報91に後付フラグが付加されている撮像情報91が存在しているか否かを、必要に応じて直接的に判定する。しかし、CPU20は、相対位置情報225を参照し、後付識別子が付加されている位置が存在するか否かを判定することにより間接的に当該判定を行う。ただし、CPU20が、撮像情報91に後付フラグが付加されている撮像情報91が存在しているか否かをCPU10に問い合わせてもよい。また、後付フラグは、ユーザにより撮像位置に関する情報が求められていない画像データ150を含む撮像情報91には付加されることはない。
撮像位置記録モードが選択されている状態において、デジタルカメラ1の電源が「オン」状態にあるとき(ステップS1においてYes。)、測位部2のCPU20も起動状態となっており、CPU20は様々な状況を監視しつづける状態となっている。
後述の説明から明らかとなるが、デジタルカメラ1は、撮像位置記録モードにおいて電源が「オン」であれば、位置取得部25を「オフ」に切り替えることはない。しかし、例えば、デジタルカメラ1が図5に示した第12状態にあるときに、電源が投入されると、瞬間的には、位置取得部25が「オフ」の状態(第6状態)も発生する。したがって、撮像位置記録モードにおけるCPU20(切替制御部202)は、電源が「オン」の状態において、位置取得部25が「オン」か否かについても監視している(ステップS4)。
そして、位置取得部25が「オフ」の場合(ステップS4においてNo。)、切替制御部202は、位置取得部25を「オン」にするように、スイッチング回路24に指示信号を伝達する。この指示信号を受け付けると、スイッチング回路24は、位置取得部25への電力供給線を接続して通電状態とし、位置取得部25を「オン」とする(ステップS5)。
なお、本実施の形態における位置取得部25はGPS受信機を構成している。したがって、位置取得部25が「オフ」から「オン」に切り替わることにより位置取得部25が測位を開始したとしても、直ちに第1位置情報221を取得することができるとは限らない。すなわち、ステップS5が実行された直後、デジタルカメラ1は、第4状態に遷移することがある。
電源が「オン」の状態のときに、シャッターボタン(操作部13)が操作され、ユーザから撮像の指示が与えられると(ステップS6においてYes。)、デジタルカメラ1は撮像処理を実行する(ステップS7)。
図7は、撮像位置記録モードにおいてメインのCPU10が実行する撮像処理を示す流れ図である。
まず、CPU10は、撮像部15に撮像を実行させ、画像データ150を取得させる(ステップS21)。この処理と並行して、CPU10は、測位部2のCPU20に対して、デジタルカメラ1の位置を示す情報(第2位置情報227)を出力するように要求する(ステップS22)。より詳細には、現在時間(撮像時間)とともに、現在時間における第2位置情報227を要求する。
次に、CPU10はCPU20からの応答を待ってから、第2位置情報227が取得できたか否かを判定する(ステップS23)。
測位部2から第2位置情報227を取得できた場合(ステップS23においてYes。)、CPU10は、ステップS21において取得した画像データ150に、測位部2から取得した第2位置情報227を関連づけて撮像情報91を作成する(ステップS24)。
一方、第2位置情報227が取得できなかった場合(ステップS23においてNo。)、CPU10は、ステップS21において取得した画像データ150に、後付フラグを付加して撮像情報91を作成する(ステップS25)。
撮像情報91を作成すると、CPU10は、作成した撮像情報91をメモリカード90に記録し(ステップS26)、撮像処理を終了して、図6に示す処理に戻る。
なお、デジタルカメラ1は、ステップS22を実行した後、測位部2(CPU20)からの応答を待たずに、後付フラグを含む撮像情報91を作成してもよい。すなわち、撮像位置記録モードにおいて作成される全ての撮像情報91について、一旦、後付フラグが付加されるように構成してもよい。
図8は、撮像位置記録モードにおいて測位部2のCPU20が実行する撮像処理を示す流れ図である。図8に示す処理は、CPU20が、第2位置情報227に対する出力要求をCPU10から受け付けたことを検出することにより開始される。
まず、CPU20(GPS制御部200)は、位置取得部25に対して第1位置情報221を取得するように制御し、取得できたか否かを判定する(ステップS31)。
第1位置情報221が取得できなかったとき(ステップS31においてNo。)、GPS制御部200はその旨を評価部204に通知する。そして、評価部204はGPS制御部200から得られた通知内容を切替制御部202および位置情報生成部203に通知する。
本実施の形態におけるデジタルカメラ1では、先述のように、位置取得部25が「オン」となった直後や、デジタルカメラ1が屋内に移動してGPS衛星の電波を受信できなくなったときなどには第4状態に遷移する場合がある。また、このようなときに、移動検出部26が「オン」ならば第2状態となる。図5に示すように、第2状態や第4状態では、測位状況は「不可」であり、測位部2は第1位置情報221を取得することができない。したがって、例えば、第2状態や第4状態にあるときに、ステップS31が判定されると、判定結果は「No」となる。
このときの評価部204からの通知に対応して、切替制御部202は、移動検出部26がすでに「オン」となっているか否かを確認し(ステップS35)、「オン」となっていない場合は、移動検出部26を「オン」にするように、スイッチング回路24に指示信号を伝達する。この指示信号を受け付けると、スイッチング回路24は、移動検出部26への電力供給線を接続して通電状態とし、移動検出部26を「オン」とする(ステップS36)。これにより、移動検出部26による移動情報224の取得が開始され、移動情報224の作成が開始される(ステップS37)。
一方、すでに移動検出部26が「オン」となっており、移動情報224の作成が開始されている場合(ステップS35においてYes。)、当該移動情報224の作成が継続される。なお、図8において図示を省略しているが、本実施の形態における位置情報生成部203は、センサ制御部201によって移動情報224が作成されているときに、並行して相対位置情報225を生成する。
また、相対位置情報225の生成と並行して、位置情報生成部203は、CPU10から通知された現在時間(撮像時間)をRAM22に記録する(ステップS38)。本実施の形態では、作成中(RAM22に記録中)の相対位置情報225のその時点(撮像時間を意味する。)での終点に後付識別子を付加する。すなわち、本実施の形態における相対位置情報225において後付識別子が付加されている位置(相対的な位置)は、当該時間におけるデジタルカメラ1の位置を、後にCPU10に通知する必要があることを示すものとなる。
さらに、位置情報生成部203は、撮像情報91に後付フラグを付加するように、CPU10に対して要請し(ステップS39)、撮像処理を終了して図6に示す処理に戻る。
すなわち、第2位置情報227を要求するCPU10に対して、CPU20は第2位置情報227を出力することができないことをCPU10に通知する。これにより、すでに説明したように、CPU10は、画像データ150に後付フラグを付加して撮像情報91を作成し、メモリカード90に記録する。
一方、第1位置情報221が取得できたとき(ステップS31においてYes。)、GPS制御部200は取得した第1位置情報221に対する評価情報を評価部204に伝達し、この評価情報に基づいて、取得された第1位置情報221の精度が高いか否かを評価部204が評価する(ステップS32)。
すでに説明したように、評価部204は、評価情報と閾値とを比較することにより、ステップS32の判定を行い、評価結果をGPS制御部200および切替制御部202に通知する。
取得した第1位置情報221の精度が低いとき(ステップS32においてNo。)、CPU20(切替制御部202および位置情報生成部203)は、第1位置情報221が取得できなかったときと同様に、ステップS35ないしS39の処理を実行する。また、位置情報生成部203は、低精度の測位位置であると評価された第1位置情報221を削除する。すなわち、デジタルカメラ1は、GPS測位により、第1位置情報221が取得されたとしても、その精度が低いと認められるときには、従来技術のように、これをそのまま撮像位置として採用することはしない。
一方、取得した第1位置情報221の精度が高いとき(ステップS32においてYes。)、位置情報生成部203は、取得した第1位置情報221を第2位置情報227とする(ステップS33)。そして、生成した第2位置情報227をCPU10に向けて出力する(ステップS34)。これにより、すでに説明したように、CPU10は、画像データ150に、測位部2から取得した第2位置情報227を関連づけて撮像情報91を作成し、メモリカード90に記録する。
このように、CPU10から第2位置情報227が要求されたときにおいて、測位部2は、高精度の第1位置情報221が取得できたときのみ、当該第1位置情報221を第2位置情報227としてCPU10に出力する。
ステップS34またはS39を実行すると、CPU20は、撮像処理を終了して、図6に示す処理に戻る。
図6に戻って、電源が「オン」の状態のときに、後付フラグが付加されている撮像情報91がメモリカード90に存在していると(ステップS8においてYes。)、デジタルカメラ1は修正処理を開始する(ステップS9)。
図9は、修正処理を示す流れ図である。
まず、GPS制御部200は、新たに第1位置情報221を取得したか否かを判定する(ステップS41)、そして、第1位置情報221を新たに取得していない場合は、修正処理を終了して、図6に示す処理に戻る。
一方、新たに第1位置情報221を取得しているとき(ステップS41においてYes。)、GPS制御部200は、取得した第1位置情報221に関する評価情報を評価部204に伝達する。評価部204は、このとき伝達された評価情報に基づいて、新たに取得された第1位置情報221の精度が高いか否かを評価する(ステップS42)。
ステップS42における評価部204による評価結果が「低精度」である場合(ステップS42においてNo。)、CPU20は、修正処理を終了して、図6に示す処理に戻る。すなわち、修正処理においても、GPS測位によって、精度のよい第1位置情報221が得られない限り、測位部2は、撮像情報91に含めるべき撮像位置(第2位置情報227)を出力することはない。
新たに取得された第1位置情報221の精度が高い場合(ステップS42においてYes。)、位置情報生成部203は、相対位置情報225の基準位置を、高精度と評価された第1位置情報221の位置(絶対位置)として特定する。そして、これにより相対位置情報225を絶対位置に変換して補間情報226を作成する(ステップS43)。
通常は、相対位置情報225における終点(その時点の最新の位置)を、第1位置情報221に示される絶対位置とし、他の位置を逆算することにより、ステップS43が実行される。すなわち、位置情報生成部203は、当該第1位置情報221が取得される以前の位置を示す補間情報226を作成することになる。
次に、相対位置情報225において後付識別子が付加されていた位置に対応する補間情報226における位置を、第2位置情報227としてCPU10に向けて出力する(ステップS44)。これにより、CPU10が、対応する撮像情報91に、第2位置情報227を付加するとともに、当該撮像情報91に付加されている後付フラグを削除する。なお、ステップS44が実行されるまでに、複数の位置で撮像が行われており、相対位置情報225における複数の位置について後付識別子が付加されていたならば、ステップS44では、それぞれの位置を示す第2位置情報227が出力される。
ステップS44を実行すると、切替制御部202は、移動検出部26を「オフ」にする(ステップS45)。そして、位置情報生成部203が、移動情報224、相対位置情報225および補間情報226をRAM22から削除する(ステップS46)。このとき、位置情報生成部203が、取得位置情報220(第1位置情報221)や第2位置情報227を削除してもよい。
ステップS46を実行した場合も、デジタルカメラ1は、修正処理を終了して、図6に示す処理に戻る。
図6に戻って、電源が「オン」の状態のときに、操作部13が操作され、ユーザが撮像位置記録モードの終了を指示したとき(ステップS10においてYes。)、デジタルカメラ1は、この時点で、後付フラグが付加されている撮像情報91が存在するか否かを判定する(ステップS11)。そして、後付フラグが付加されている撮像情報91が存在する間は、ステップS12の修正処理(ステップS3,S9と同様の処理。)を繰り返す。
すべての撮像情報91について、後付フラグが付加されていない状態となると、デジタルカメラ1は、ステップS11においてNoと判定し、撮像位置記録モードを終了する。なお、撮像位置記録モードを終了するとき、同時に電源が「オフ」となるわけではないが、切替制御部202が位置取得部25を「オフ」に切り替え、位置取得部25を抑制状態に切り替えることが好ましい。すなわち、デジタルカメラ1を第6状態に遷移させることが消費電力を抑制する上で、好ましい。
また、電源が「オン」の状態のときに、操作部13が操作されて、電源が「オフ」の状態にされると、ステップS1においてNoと判定されることになる。その場合も、デジタルカメラ1は、その時点で、後付フラグが付加されている撮像情報91が存在するか否かを判定する(ステップS2)。
ここで、後付フラグが付加されている撮像情報91が存在する場合は、ステップS3の修正処理(ステップS9,S12と同様の処理。)が繰り返される。すなわち、この間は、デジタルカメラ1は、第7状態または第8状態となる。
そして、すべての撮像情報91について、後付フラグが付加されていない状態となると、ステップS2においてNoと判定される。このとき移動検出部26はステップS45において「オフ」となるため、デジタルカメラ1は第9状態となる。さらに、その後、デジタルカメラ1が屋内等に移動して測位不能となれば、第10状態となる場合もある。
以上が、デジタルカメラ1において測位処理が行われる撮像位置記録モードの説明である。なお、以上の説明で明らかなように、本実施の形態における撮像位置記録モードが移動軌跡記録モードと独立して実行されているときには、測位部2において、中間位置情報222や終点位置情報223が作成されることはない。
次に、撮像位置記録モードと同じく、デジタルカメラ1において測位処理が行われる移動軌跡記録モードについて説明する。移動軌跡記録モードについても、撮像位置記録モードと独立して実行されている場合について説明する。
図10は、移動軌跡記録モードを示す流れ図である。移動軌跡記録モードとは、主に、観測情報としての軌跡情報92(図2)が作成されてメモリカード90に記録されるモードである。なお、図10に示す各工程が開始されるまでに、ユーザによって、移動軌跡記録モードが選択され、すでに設定されているものとする。
移動軌跡記録モードが開始されると、まず、実際の記録を開始するか(ステップS51)、移動軌跡記録モードを終了するか(ステップS55)が監視される状態となる。
この状態で、ユーザが操作部13を操作して、記録の開始を指示すると(ステップS51においてYes。)、切替制御部202は、位置取得部25および移動検出部26を「オン」にするように、スイッチング回路24に指示信号を伝達する。この指示信号を受け付けると、スイッチング回路24は、位置取得部25および移動検出部26への電力供給線を接続して通電状態とし、位置取得部25および移動検出部26を「オン」とする(ステップS52)。
なお、以下、移動軌跡記録モードの説明において、ユーザにより記録の開始が指示され、デジタルカメラ1(測位部2)が記録を開始したときを「記録開始時間」と称し、記録開始時間におけるデジタルカメラ1の位置を「記録開始位置」と称する。また、ユーザにより記録の終了が指示され、デジタルカメラ1(測位部2)が記録を終了するときを「記録終了時間」と称し、記録終了時間におけるデジタルカメラ1の位置を「記録終了位置」と称する。
次に、デジタルカメラ1は、軌跡情報作成処理を開始する(ステップS53)。なお、軌跡情報作成処理が継続している間は、例え、デジタルカメラ1の電源が「オフ」にされたとしても、CPU20に対する電力供給は継続され、CPU20は起動状態に維持される。
軌跡情報作成処理の詳細な説明をする前に、デジタルカメラ1における軌跡情報作成処理の概要を説明する。
すでに説明したように、測位位置におけるデジタルカメラ1の位置を示す第1位置情報221を取得する位置取得部25は、GPS受信機を構成している。このため、デジタルカメラ1が屋内に存在する場合などにおいて、位置取得部25は、GPS衛星の電波を受信することができなくなる。すなわち、位置取得部25による第1位置情報221の取得は、常に実行可能な処理ではなく、離散的になることを想定せざるを得ないという事情がある。言い換えれば、第1位置情報221のみでは、軌跡情報92におけるデジタルカメラ1の軌跡は、第1位置情報221が取得できなかった期間において途切れることになり、連続的な軌跡を記録することはできない。
そこで、まず、デジタルカメラ1では、第1位置情報221の離散的な取得を前提とし、離散的に得られた位置(取得位置)により取得位置情報220を作成する。その上で、取得位置情報220における各取得位置(離散的な位置)の間を、補間情報226により補間して、第2位置情報227を生成するのである。
すでに説明したように、相対位置情報225は、移動検出部26により取得される移動情報224に基づいて作成される。したがって、相対位置情報225は、始点から終点までの間の連続的な相対位置を示す情報となる。また、移動検出部26による移動情報224のサンプリング周期は、一般的な第1位置情報221の取得周期よりも短いため、相対位置情報225は、より一層、滑らかな相対位置を示す情報となる。そして、測位部2は、この相対位置情報225を絶対位置に変換することにより補間情報226を作成するので、補間情報226も連続的な位置を示す情報となる。
以上のことから、例えば、相対位置情報225の始点を基準位置として決定し、当該基準位置の絶対位置を、始点時間に取得された取得位置情報220として特定することにより、当該相対位置情報225のすべての位置を終点位置に向かって時系列順に絶対位置に変換できる。また例えば、相対位置情報225の終点を基準位置として決定し、当該基準位置の絶対位置を、終点時間に取得された取得位置情報220として特定することにより、当該相対位置情報225のすべての位置を始点方向に向かって時系列逆順に絶対位置に変換できる。
いずれにしても、絶対位置に変換された補間情報226に基づいて、第2位置情報227を生成すれば、当該第2位置情報227は、始点時間から終点時間までの期間のデジタルカメラ1の連続的な絶対位置を示す情報(軌跡情報92)となる。なお、相対位置情報225を絶対位置に変換することにより補間情報226を作成する際に決定する基準位置は、相対位置情報225の始点または終点に限定されるものではなく、始点から終点までの区間のいずれかの位置でよい。
以上が、第1の実施の形態におけるデジタルカメラ1の軌跡情報作成処理の概要である。次に、ステップS53の軌跡情報作成処理の詳細な説明をする。
図11は、軌跡情報作成処理を示す流れ図である。図11に示すように、軌跡情報作成処理において、CPU20は、移動情報224の取得(ステップS61)と、第1位置情報221の取得(ステップS63)と、タイマ割り込み(ステップS65)と、記録終了(ステップS67)とを監視している。
軌跡情報作成処理において、新たに移動情報224が取得されると(ステップS61においてYes。)、デジタルカメラ1(CPU20)は、相対位置情報作成処理を実行する(ステップS62)。なお、移動検出部26は、軌跡情報作成処理が実行されている間、常に「オン」にされており、移動情報224は常時取得されている。したがって、ステップS62における相対位置情報作成処理は、軌跡情報作成処理の間、ほぼリアルタイムで常時実行されている。
図12は、主に測位部2による相対位置情報作成処理を示す流れ図である。なお、加速度センサやジャイロセンサ等で構成される移動検出部26からの出力(測定値)である移動情報224に基づいて、相対位置情報225を作成する処理は、適宜、従来の技術を適用することができるので、ここでは簡単にのみ説明する。
まず、位置情報生成部203は、相対位置情報225がすでに存在しているか否かを判定する(ステップS71)。デジタルカメラ1では、相対位置情報作成処理によって、随時、相対位置情報225が作成される一方で、後述する第2位置情報作成処理において、不要となった相対位置情報225が削除される。したがって、新たに移動情報224が取得され、相対位置情報作成処理を開始したとき、位置情報生成部203は、まず、ステップS71を実行することにより、すでに作成中の相対位置情報225が存在するか否かを確認する。
相対位置情報225が存在しないとき(ステップS71においてNo。)、位置情報生成部203は、始点時間および始点を決定し(ステップS72)、決定した始点からの相対位置を、新たに取得した移動情報224から求める(ステップS73)。そして、求めた相対位置に基づいて、新たに相対位置情報225を作成する(ステップS74)。なお、より詳細には、記録開始時間後に初めてステップS72が実行されるときには、始点時間は記録開始時間であり、始点は記録開始位置である。また、相対位置情報225が一度でも削除された後に初めてステップS72が実行されるときには、始点時間は当該削除された相対位置情報225における終点時間であり、始点は当該削除された相対位置情報225における終点である。
一方、相対位置情報225が存在するとき(ステップS71においてYes。)、すでに存在している相対位置情報225の終点からの相対位置を、新たに取得した移動情報224から求める(ステップS75)。そして、求めた相対位置を相対位置情報225に追加する(ステップS76)。
ステップS74またはS76を実行すると、CPU20は、相対位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。すなわち、相対位置情報作成処理では、すでに作成中の相対位置情報225が存在する場合には、当該相対位置情報225において軌跡が成長するかのように相対位置情報225が更新される。一方、相対位置情報225が削除されており、作成中の相対位置情報225が存在しない場合は、新しい相対位置情報225が作成される。
図11に戻って、軌跡情報作成処理において第1位置情報221が取得されると(ステップS63においてYes。)、デジタルカメラ1(CPU20)は、第2位置情報作成処理を実行する(ステップS64)。
図13ないし図19は、主に測位部2による第2位置情報作成処理を示す流れ図である。
第2位置情報作成処理が開始されると、GPS制御部200が評価情報を評価部204に伝達する。これにより、評価部204が評価情報と閾値との比較を行い、今回取得された第1位置情報221(測位位置)の精度を評価し(ステップS80)、評価結果をGPS制御部200に通知する。
今回取得された第1位置情報221の精度が低い場合(ステップS80においてNo。)、GPS制御部200は、当該第1位置情報221に、精度が低いことを示すフラグ(低精度フラグ)を付加する(ステップS81)。これによって、取得位置情報220として格納される今回取得された測位位置である第1位置情報221に低精度フラグが関連づけられる。
ステップS81が実行されると、位置情報生成部203は、取得位置情報220を参照し、中間位置情報222が存在するか否かを判定する(ステップS82)。
そして、取得位置情報220に中間位置情報222が存在する場合(ステップS82においてYes。)、位置情報生成部203は、最新の中間位置情報222の精度が高いか否かを判定する(ステップS91)。ステップS91の判定は、当該最新の中間位置情報222に高精度フラグが関連づけられているか否かで判断することができる。
最新の中間位置情報222の精度が低い場合(ステップS91においてNo。)、CPU20は、第2位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。ステップS91においてNoと判定されるときとは、第1位置情報221と、最新の中間位置情報222とが、いずれも低精度の場合である。このように、デジタルカメラ1は、取得位置情報220において低精度の状態が連続している状況では、第2位置情報227を作成せずに、第1位置情報221を中間位置情報222とし(ステップS99)、測位を継続させるため、位置取得部25を「オン」にしたまま、一旦、第2位置情報作成処理を終了する。
このように、測位部2は、取得位置情報220において低精度の状態が連続しているときには、第2位置情報227を作成することはない。したがって、高精度の第1位置情報221によらずに、第2位置情報227が作成されることがないので、精度の低い第2位置情報227の作成を抑制することができる。
一方、ステップS91において最新の中間位置情報222の精度が高い場合(ステップS91においてYes。)、位置情報生成部203は、相対位置情報225の基準位置を始点に決定する。そして、当該始点の位置を最新の中間位置情報222(ステップS91において高精度であることが確認されている。)として特定し、当該相対位置情報225を絶対位置に変換して、補間情報226を作成する(ステップS92)。
ここで、一旦、図13に戻って、ステップS82においてNoと判定された場合について説明する。ステップS82においてNoと判定すると、位置情報生成部203は、さらに、取得位置情報220に終点位置情報223が存在するか否かを判定する(ステップS83)。
詳細は後述するが、本実施の形態における位置情報生成部203は、一度でも第1位置情報221が取得されると、その精度にかかわらず、その後、中間位置情報222または終点位置情報223を作成する。逆に言えば、取得位置情報220に中間位置情報222および終点位置情報223のいずれもが格納されていない状況は、未だに、一度も測位位置(第1位置情報221)が取得されておらず、今回取得された第1位置情報221が初めての第1位置情報221であることを意味する。
したがって、これまでに一度も位置取得部25による測位に成功せず、第1位置情報221が未だ取得されたことのない状態で、初めて、第1位置情報221が取得され、当該第1位置情報221が低精度(ステップS80においてNo。)であったとき、ステップS83においてNoと判定される。
移動軌跡の記録を開始してから初めて取得された第1位置情報221が低精度であったとき(ステップS83においてNo。)、測位部2は、第1位置情報221を中間位置情報222とし(ステップS84)、少なくとももう一度、第1位置情報221が得られるまで測位を継続させるため、位置取得部25を「オン」にしたまま、一旦、第2位置情報作成処理を終了し、図11に示す処理に戻る。
このように、測位部2は、高精度の第1位置情報221によらずに、低精度の第1位置情報221のみによって第2位置情報227を作成することがないので、精度の低い第2位置情報227の作成を抑制することができる。
一方、ステップS83において終点位置情報223が存在する場合(ステップS83においてYes。)、位置情報生成部203は、相対位置情報225の基準位置を始点に決定する。そして、当該始点の位置を終点位置情報223(詳細は後述するが終点位置情報223は常に高精度である。)として特定し、当該相対位置情報225を絶対位置に変換して、補間情報226を作成する(ステップS85)。
ステップS85またはステップS92が実行され補間情報226が作成されると、評価部204が、当該補間情報226を参照し、当該補間情報226における終点からの精度範囲内(評価値Rの範囲内)に、第1位置情報221(今回取得された低精度の測位位置)が存在しているか否かを評価する(ステップS94)。そして、ステップS94における評価結果は、切替制御部202および位置情報生成部203に伝達される。
ステップS94においてNoの場合、CPU20は、第2位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。ステップS94においてNoの場合とは、補間情報226から得られた位置(始点からの相対移動の結果の位置)と、今回取得された低精度の測位位置(第1位置情報221)が許容誤差範囲(精度範囲)内で一致しないことを意味する。
高精度の取得位置(中間位置情報222または終点位置情報223)を始点として相対移動したにもかかわらず、その終点が、低精度とはいえ、第1位置情報221の精度範囲にすら入らないということは、補間情報226の精度が低いことが疑われる。しかも、今回取得された測位位置(第1位置情報221)も低精度であり、第1位置情報221を信用することもできない状況である。
したがって、ステップS94においてNoと判定したとき、測位部2は、第2位置情報227を作成せずに、第1位置情報221を中間位置情報222とし(ステップS99)、測位を継続させるため、位置取得部25を「オン」にしたまま、一旦、第2位置情報作成処理を終了する。
このように、評価部204による評価結果において、測位位置である第1位置情報221と、移動情報224から作成された補間情報226とのいずれを信用してよいか判断できない場合には、測位部2は、第2位置情報227を作成することはない。したがって、精度の低い第2位置情報227の作成を抑制することができる。
一方、ステップS94においてYesの場合、位置情報生成部203は、作成された補間情報226に基づいて第2位置情報227を作成する(ステップS95)。すなわち、当該補間情報226を第2位置情報227とする。
このように、本実施の形態における測位部2は、取得位置情報220において、高精度の状態と、低精度の状態とが連続した場合には、始点からの相対移動によって決まる終点の精度範囲内に第1位置情報221(低精度)が存在した場合にのみ、第2位置情報227を作成する。すなわち、低精度の第1位置情報221が得られた場合は、当該第1位置情報221を第2位置情報227として採用するのではなく、いわば当該低精度の第1位置情報221を用いて、補間により求まる位置(補間情報226)の精度を評価するのである。そして、補間情報226の精度が高いと評価されるときには、補間情報226を第2位置情報227として採用する。このように、評価値Rに基づく評価により、精度が高いと評価された補間情報226によって第2位置情報227を作成するので、第2位置情報227の精度が向上する。
第2位置情報227を作成すると、位置情報生成部203は、補間情報226における終点に基づいて新たな終点位置情報223を作成する(ステップS96)。このとき、すでにステップS94が実行されていることにより、評価部204によって当該終点は精度が高いと評価されているので、ステップS96で作成される終点位置情報223は高精度である。ただし、この場合の終点位置情報223は第1位置情報221ではなく、相対移動の結果得られた位置(補間情報226の終点)である。
次に、位置情報生成部203は、移動情報224、相対位置情報225、補間情報226、第1位置情報221、および、すべての中間位置情報222を削除する(ステップS97)。
ステップS97が実行されると、切替制御部202が、位置取得部25を「オフ」とするように、スイッチング回路24に指示信号を伝達する。この指示信号に応じて、スイッチング回路24は、計時部23に停止時間をセットするとともに、位置取得部25への電力供給線を切断する。これにより、計時部23が停止時間のカウントを開始し、位置取得部25が「オフ」となる(ステップS98)。
このように、切替制御部202は、現在までの第2位置情報227を作成することができたときには、一旦、位置取得部25を「オフ」にするようにスイッチング回路24を制御する。したがって、位置取得部25が再び「オン」となるまでの間、位置取得部25において消費される電力が抑制される。
ステップS98を実行すると、測位部2(CPU20)は、第2位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。
次に、図13に戻って、ステップS80においてYesと判定された場合について説明する。この場合も、評価部204による評価結果がGPS制御部200および切替制御部202に通知される。
このとき、GPS制御部200は、今回取得された第1位置情報221(測位位置)に、精度が高いことを示すフラグ(高精度フラグ)を付加する(ステップS86)。これによって、取得位置情報220として格納される今回取得された測位位置である第1位置情報221に高精度フラグが関連づけられる。
次に、位置情報生成部203は、取得位置情報220を参照し、中間位置情報222が当該取得位置情報220に存在するか否かを判定する(ステップS87)。
そして、取得位置情報220に中間位置情報222が存在しない場合(ステップS87においてNo。)、位置情報生成部203は、さらに、当該取得位置情報220に終点位置情報223が存在するか否かを判定する(ステップS88)。
先述のように、中間位置情報222または終点位置情報223のいずれもが存在しない場合とは、未だに、一度も測位位置(第1位置情報221)が取得されていなかった場合である。
移動軌跡の記録を開始してから、初めて取得された第1位置情報221が高精度であったとき、当該高精度の第1位置情報221を第2位置情報227として採用したとしても、第2位置情報227の精度は低下しない。しかし、このとき記録開始位置から最初の測位位置(当該第1位置情報221)までの区間における相対位置情報225(移動情報224)の精度は評価できず、不明である。したがって、当該相対位置情報225に基づいて補間情報226を作成して、第2位置情報227とすると、当該区間における第2位置情報227の精度は低下するおそれがある。
したがって、測位部2は、取得された第1位置情報221が高精度であった場合であっても、当該第1位置情報221が初めて取得された第1位置情報221であった場合には(ステップS88においてNo。)、第2位置情報227を生成せずに、第1位置情報221を中間位置情報222とし(ステップS84)、第2位置情報作成処理を終了し、図11に示す処理に戻る。これにより、精度の低い第2位置情報227の作成を抑制することができる。
一方、取得位置情報220に終点位置情報223が記録されている場合(ステップS88においてYes。)、位置情報生成部203は、相対位置情報225の基準位置を始点として決定する。そして、始点を終点位置情報223(終点位置情報223は常に高精度である。)として特定し、当該相対位置情報225を絶対位置に変換して、補間情報226を作成する(ステップS101)。
ステップS101が実行され補間情報226が作成されると、評価部204が当該補間情報226を参照し、当該補間情報226の終点と第1位置情報221(高精度)とが一致するか否かを評価する(ステップS102)。このときの評価結果は、センサ制御部201に通知される。
終点と第1位置情報221とが一致しない場合(ステップS102においてNo。)、センサ制御部201は、移動検出部26のパラメータ(オフセット値など)を修正して、移動情報224を作成しなおす(ステップS103)。
そして、移動情報224が作成しなおされたことを検出した位置情報生成部203は、ステップS103で作成された移動情報224に基づいて、相対位置情報225を作成しなおし(ステップS104)、ステップS101からの処理を繰り返す。
一方、補間情報226の終点と第1位置情報221とが一致する場合(ステップS102においてYes。)、パラメータが適切な値であるとみなして、位置情報生成部203は、補間情報226に基づいて第2位置情報227を作成する(ステップS105)。
すなわち、ステップS101ないしS105の処理は、高精度の終点位置情報223から相対移動した結果(終点)が、高精度の第1位置情報221に一致するように、パラメータを修正する処理である。
ここで、一旦、図13に戻って、ステップS87において取得位置情報220に中間位置情報222が含まれている場合について説明する。ステップS87においてYesと判定すると、位置情報生成部203は、当該取得位置情報220に含まれる最新の中間位置情報222が高精度か否かをさらに判定する(ステップS89)。
最新の中間位置情報222が高精度の場合(ステップS89においてYes。)、位置情報生成部203は、相対位置情報225の基準位置を当該最新の中間位置情報222が取得されたときの位置として決定する。そして、当該位置を最新の中間位置情報222(ステップS89において高精度であることが確認されている。)として特定し、当該相対位置情報225を絶対位置に変換して、補間情報226を作成する(ステップS111)。
ここで、ステップS89においてYesと判定される場合とは、前回の第1位置情報221(最新の中間位置情報222)と第1位置情報221とが連続して高精度となっている場合である。本実施の形態では、第2位置情報227が作成されたときには、中間位置情報222が削除されるので、中間位置情報222が存在するということは、前回の第1位置情報221が取得されたときには第2位置情報227を作成することができなかったことを示す。
一方で、本実施の形態では、すでに一度でも第2位置情報227を作成することができた以後は、必ず、終点位置情報223(高精度)が存在する。すなわち、高精度の終点位置情報223が存在していたならば、高精度の中間位置情報222が得られたことによって、その区間の第2位置情報227が作成され、中間位置情報222が削除されるので、高精度の最新の中間位置情報222も存在しないはずである。
したがって、ステップS89においてYesと判定される場合とは、未だ第2位置情報227が作成されたことがなく、かつ、前回と今回とにおいて高精度の第1位置情報221が連続して取得できた場合である。
そして、未だに第2位置情報227が作成されたことがないときには、移動情報224および相対位置情報225は、記録開始時間からの情報として存在している(削除されていない。)。したがって、ステップS89においてYesと判定されたときの相対位置情報225は、記録開始位置を始点とする情報として作成されているため、ステップS111では、相対位置情報225の始点(記録開始位置)を基準位置とせず、最新の中間位置情報222の位置を基準位置とするのである。
ステップS111が実行され補間情報226が作成されると、評価部204が当該補間情報226を参照し、当該補間情報226の終点と第1位置情報221(ステップS80において高精度であることが確認されている。)とが一致するか否かを評価する(ステップS112)。このときの評価結果は、センサ制御部201に通知される。
終点と第1位置情報221とが一致しない場合(ステップS112においてNo。)、センサ制御部201は、移動検出部26のパラメータ(オフセット値など)を修正して、移動情報224を作成しなおす(ステップS113)。
そして、移動情報224が作成しなおされたことを検出した位置情報生成部203は、ステップS103で作成された移動情報224に基づいて、相対位置情報225を作成しなおし(ステップS114)、ステップS111からの処理を繰り返す。
一方、補間情報226の終点と第1位置情報221とが一致する場合(ステップS112においてYes。)、移動情報224が作成しなおされることがないので、位置情報生成部203は、パラメータが適切な値であるとみなして、補間情報226に基づいて第2位置情報227を作成する(ステップS105)。
すなわち、ステップS102またはステップS112においてYesと判定されると、ステップS105が実行されて、位置情報生成部203により第2位置情報227が作成される。
このように、測位部2は、「終点位置情報223を作成したときに続いて高精度の第1位置情報221が連続して得られた場合」、あるいは、「未だ第2位置情報227が作成されたことがなく、かつ、前回と今回とにおいて高精度の第1位置情報221が連続して取得できた場合」には、高精度の位置から相対移動させた結果としての終点が、信頼度の高い最新の第1位置情報221に一致するように、移動情報224、相対位置情報225および補間情報226を修正する。これにより、離散的に得られた取得位置(取得位置情報220の位置)のみならず、当該取得位置情報220の間を補間する位置の精度も向上する。
また、このときセンサ制御部201により移動検出部26のパラメータ(オフセット値)も修正されるので、以後に取得される移動情報224の精度も向上することが期待される。
また、すでに説明したように、測位部2は、初めて取得された第1位置情報221が、例え高精度であったとしても、それにより、直ちに、記録開始位置から当該第1位置情報221が取得された位置までの区間の位置を確定させることはない。そして、少なくとももう1回、第1位置情報221が取得されるまで待ち、高精度の第1位置情報221が取得できたときには、取得した当該第1位置情報221により当該区間の移動情報224(相対位置情報225)を評価し修正する(ステップS111ないしS114。)。
すなわち、測位部2は、評価後の精度のよい補間情報226によって当該区間の第2位置情報227を確定することができる。したがって、高精度の第1位置情報221が一度取得されただけで、補間情報226を評価することもなく第2位置情報227を作成する場合に比べて、第2位置情報227の精度がさらに向上する。
ステップS105を実行して第2位置情報227を作成すると、位置情報生成部203は、補間情報226における終点に基づいて新たな終点位置情報223を作成する(ステップS106)。このときの補間情報226における終点は、すでにステップS80において高精度と評価されている第1位置情報221と一致する。したがって、ステップS106において作成される終点位置情報223も高精度である。
次に、位置情報生成部203は、移動情報224、相対位置情報225、補間情報226、第1位置情報221、および、すべての中間位置情報222を削除する(ステップS107)。
ステップS107が実行されると、切替制御部202が、位置取得部25を「オフ」とするように、スイッチング回路24に指示信号を伝達する。この指示信号に応じて、スイッチング回路24は、計時部23に停止時間をセットするとともに、位置取得部25への電力供給線を切断する。これにより、計時部23が停止時間のカウントを開始し、位置取得部25が「オフ」となる(ステップS108)。
このように、切替制御部202は、現在までの第2位置情報227を作成することができたときには、一旦、位置取得部25を「オフ」にするようにスイッチング回路24を制御する。したがって、位置取得部25が再び「オン」となるまでの間、位置取得部25において消費される電力が抑制される。
ステップS108を実行すると、測位部2(CPU20)は、第2位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。
次に、図13に戻って、ステップS89においてNoと判定された場合について説明する。本実施の形態では、取得位置情報220において記録されている(削除されていない)中間位置情報222は、その精度に関わらず、必ず以前に取得された第1位置情報221である。したがって、ステップS89においてNoと判定される場合とは、低精度の第1位置情報221と高精度の第1位置情報221が連続して取得された場合である。
ステップS89においてNoと判定した場合、位置情報生成部203は、相対位置情報225における基準位置を終点と決定する。そして、当該終点を第1位置情報221(ステップS81において高精度であることが確認されている。)として、当該相対位置情報225を絶対位置に変換し、補間情報226を作成する(ステップS121)。
次に、評価部204が、作成された補間情報226を参照し、最新の中間位置情報222が得られたときの当該補間情報226における位置を中間点として特定する(ステップS122)。そして、中間点からの精度範囲内に、最新の中間位置情報222(低精度)が存在するか否かを評価する(ステップS123)。すなわち、低精度の第1位置情報221と高精度の第1位置情報221が連続して取得された場合、測位部2は、高精度の第1位置情報221から始点方向に向けての相対移動の結果(中間点)の精度範囲内に、前回取得された低精度の第1位置情報221が存在するか否かを評価するのである。
そして、中間点からの精度範囲内に、最新の中間位置情報222が存在しない場合(ステップS123においてNo。)、位置情報生成部203は、取得位置情報220を参照し、以前に高精度と判定された取得情報が存在するか否かを判定する(ステップS130)。ステップS130における判定は、当該取得位置情報220に、高精度の中間位置情報222または終点位置情報223(常に高精度)が存在するか否かを判定することで実現できる。
以前に高精度と判定された取得位置が存在しない場合(ステップS130においてNo。)、測位部2(CPU20)は、第1位置情報221を中間位置情報222とし(ステップS131)、第2位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。
すでに説明したように、第2位置情報227が作成された以後は、少なくとも終点位置情報223が作成された状態となる。したがって、終点位置情報223が存在せず、かつ、高精度の中間位置情報222も存在しない場合(ステップS130においてNo。)とは、未だ第2位置情報227が作成されたことがなく、かつ、前回まで一度も高精度の第1位置情報221が取得されたことがなく、今回、初めて高精度の第1位置情報221が取得されたものの相対移動の結果が精度範囲外となった場合である。このような場合、測位部2は、少なくとももう一度、第1位置情報221が得られるまで測位を継続させるため、位置取得部25を「オン」にしたまま、一旦、第2位置情報作成処理を終了する。
一方、以前に高精度と判定された取得情報が存在する場合(ステップS130においてYes。)、位置情報生成部203は、相対位置情報225における基準位置を、ステップS130において高精度と判定された取得位置情報220が取得されたときの位置として決定する。そして、当該位置をステップS130において高精度と判定された取得位置情報220として、当該相対位置情報225を絶対位置に変換し、補間情報226を作成する(ステップS132)。
次に、評価部204が、ステップS132において作成された補間情報226を参照し、当該補間情報226の終点からの精度範囲内に、第1位置情報221(高精度)が存在するか否かを評価する(ステップS133)。すなわち、以前に高精度と判定された取得位置からの相対移動の結果(終点)の精度範囲内に、高精度の第1位置情報221が存在するか否かを評価する。
終点の精度範囲内に第1位置情報221が存在しない場合(ステップS133においてNo。)、センサ制御部201は、移動検出部26のパラメータ(オフセット値など)を修正して、移動情報224を作成しなおす(ステップS134)。
そして、移動情報224が作成しなおされたことを検出した位置情報生成部203は、ステップS134で作成された移動情報224に基づいて、相対位置情報225を作成しなおし(ステップS135)、ステップS132からの処理を繰り返す。
一方、終点の精度範囲内に第1位置情報221が存在する場合(ステップS133においてYes。)、パラメータが適切な値であるとみなして、位置情報生成部203は、補間情報226と第1位置情報221とに基づいて第2位置情報227を作成する(ステップS136)。より具体的には、位置情報生成部203は、始点から終点までの区間の位置は補間情報226の位置を採用して第2位置情報227とする一方で、第2位置情報227の終点は第1位置情報221とする。
ステップS136を実行し第2位置情報227を作成すると、位置情報生成部203は、第1位置情報221に基づいて終点位置情報223を作成する(ステップS137)。さらに、位置情報生成部203は、移動情報224、相対位置情報225、補間情報226、第1位置情報221およびすべての中間位置情報222を削除する(ステップS138)。
ステップS138が実行されると、切替制御部202が、位置取得部25を「オフ」とするように、スイッチング回路24に指示信号を伝達する。この指示信号に応じて、スイッチング回路24は、計時部23に停止時間をセットするとともに、位置取得部25への電力供給線を切断する。これにより、計時部23が停止時間のカウントを開始し、位置取得部25が「オフ」となる(ステップS139)。
このように、切替制御部202は、現在までの第2位置情報227を作成することができたときには、一旦、位置取得部25を「オフ」にするようにスイッチング回路24を制御する。したがって、位置取得部25が再び「オン」となるまでの間、位置取得部25において消費される電力が抑制される。
ステップS139を実行すると、測位部2は、第2位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。
次に、図17に戻って、ステップS123においてYesと判定された場合について説明する。ステップS123において中間点からの精度範囲内に、最新の中間位置情報222が存在する場合(ステップS123においてYes。)、位置情報生成部203は、取得位置情報220を参照し、以前に高精度と判定された取得情報が存在するか否かを判定する(ステップS124)。ステップS124における判定は、ステップS130における判定と同様に、当該取得位置情報220に、高精度の中間位置情報222または終点位置情報223(常に高精度)が存在するか否かを判定することで実現できる。
以前に高精度と判定された取得位置が存在しない場合(ステップS124においてNo。)、測位部2は、図15に示すステップS105ないしS108の処理を実行して、第2位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。すなわち、高精度の第1位置情報221からの逆向きの相対移動の結果(中間点)の精度範囲内に前回の第1位置情報221(低精度)が存在することにより、補間情報226の精度が信頼できるので、始点から中間点までの区間の第2位置情報227も、当該補間情報226によって確定させるのである。
なお、ステップS124においてNoと判定されたときに実行されるステップS106では、ステップS121において作成された補間情報226の終点が終点位置情報223となる。しかし、当該補間情報226は、ステップS121において、終点を第1位置情報221として作成されている。したがって、上記ステップS106において終点位置情報223となるのは、結局、ステップS80において高精度であると確認されている第1位置情報221である。
一方、以前に高精度と判定された取得位置が存在する場合(ステップS124においてYes。)、位置情報生成部203は、ステップS121で作成した補間情報226において、ステップS122で特定した中間点から終点までの補間情報226に基づいて第2位置情報227(部分的な第2位置情報227)を作成する(ステップS125)。
すなわち、ステップS125では、補間情報226における始点から中間点までの区間の第2位置情報227は作成されない。当該区間の第2位置情報227は、図19に示す処理により作成される。
まず、位置情報生成部203は、相対位置情報225の基準位置を、高精度の取得位置(ステップS124において確認されている。)が取得されたときの位置として決定する。そして、決定した位置を当該高精度の取得位置として、当該相対位置情報225を絶対位置に変換して、新たに補間情報226を作成する(ステップS141)。
ステップS141により新たな補間情報226が作成されると、評価部204が、当該補間情報226を参照して、最新の中間位置情報222を取得したときの当該補間情報226における位置を特定する。すなわち、ステップS125で作成した部分の第2位置情報227の始点時間における、ステップS141で作成された補間情報226における位置を特定する。そして、評価部204は、この特定した位置からの精度範囲内に、中間点(ステップS121で特定した中間点)が存在するか否かを評価する(ステップS142)。
精度範囲内に中間点が存在しない場合(ステップS142においてNo。)、センサ制御部201は、移動検出部26のパラメータ(オフセット値など)を修正して、移動情報224を作成しなおす(ステップS143)。
そして、移動情報224が作成しなおされたことを検出した位置情報生成部203は、ステップS143で作成された移動情報224に基づいて、相対位置情報225を作成しなおし(ステップS144)、ステップS141からの処理を繰り返す。
一方、精度範囲内に中間点が存在する場合(ステップS142においてYes。)、パラメータが適切な値であるとみなして、位置情報生成部203は、最新の中間位置情報222を取得したときまでの補間情報226に基づいて第2位置情報227(始点から中間点までの第2位置情報227)を作成する(ステップS145)。
ステップS125およびステップS145を実行することにより、始点から終点までの第2位置情報227を作成すると、位置情報生成部203は、第1位置情報221(ステップS80において高精度であると確認されている。)に基づいて終点位置情報223を作成する(ステップS146)。そして、移動情報224、相対位置情報225、補間情報226、第1位置情報221およびすべての中間位置情報222を削除する(ステップS147)。
ステップS147が実行されると、切替制御部202が、位置取得部25を「オフ」とするように、スイッチング回路24に指示信号を伝達する。この指示信号に応じて、スイッチング回路24は、計時部23に停止時間をセットするとともに、位置取得部25への電力供給線を切断する。これにより、計時部23が停止時間のカウントを開始し、位置取得部25が「オフ」となる(ステップS148)。
このように、切替制御部202は、現在までの第2位置情報227を作成することができたときには、一旦、位置取得部25を「オフ」にするようにスイッチング回路24を制御する。したがって、位置取得部25が再び「オン」となるまでの間、位置取得部25において消費される電力が抑制される。
ステップS148を実行すると、測位部2は、第2位置情報作成処理を終了して、図11に示す処理に戻る。
以上が、第2位置情報作成処理の説明である。
図11に戻って、軌跡情報作成処理において計時部23からのタイマ割り込みがあると(ステップS65においてYes。)、切替制御部202は、「オフ」されている位置取得部25の復帰タイミングが到来したとみなして、位置取得部25を「オン」にするように、スイッチング回路24に制御信号を伝達する。この制御信号を受け付けると、スイッチング回路24は、位置取得部25への電力供給線を接続して通電状態とし、位置取得部25を「オン」とする(ステップS66)。
軌跡情報作成処理においてユーザが操作部13を操作し、デジタルカメラ1の移動軌跡の記録を終了するように指示がされると、CPU10からその旨がCPU20に通知され、CPU20はステップS67においてYesと判定する。なお、軌跡情報作成処理において、移動軌跡記録モードの終了が指示された場合も、一旦、移動軌跡の記録を終了するように指示がされたとみなして、ステップS67においてYesと判定する。そして、この場合、図10に示す処理に戻り、ステップS54(後述)を実行した後、ステップS55においてYesと判定する。
ステップS67においてYesと判定すると、デジタルカメラ1は終端処理を実行する(ステップS68)。
図20は、終端処理を示す流れ図である。終端処理が開始されると、CPU20は、そのときの時間(記録終了時間)を記録し(ステップS151)、記録開始時間から記録終了時間までの第2位置情報227が求まるまで、軌跡情報作成処理を継続する(ステップS152)。
ステップS151において記録した記録終了時間までの第2位置情報227が求まると、測位部2は、RAM22に格納している第2位置情報227をCPU10に出力する(ステップS153)。これにより、CPU10が、当該第2位置情報227に基づいて軌跡情報92を作成し、メモリカード90に記録する(ステップS154)。このようにして、デジタルカメラ1では、軌跡情報92が記録される。
軌跡情報92がメモリカード90に記録されると、デジタルカメラ1は、終端処理を終了して図11に示す処理に戻り、さらに軌跡情報作成処理を終了して図10に示す処理に戻る。
図10に戻って、ステップS53の軌跡情報作成処理を終了すると、切替制御部202は、位置取得部25および移動検出部26を「オフ」にするように、スイッチング回路24に指示信号を伝達する。この指示信号を受け付けると、スイッチング回路24は、位置取得部25および移動検出部26への電力供給線を切断して抑制状態とし、位置取得部25および移動検出部26を「オフ」とする(ステップS54)。これにより、移動軌跡記録モードにおいても電力の消費がさらに抑制される。
なお、ユーザにより操作部13が操作され、移動軌跡記録モードの終了が指示されると、デジタルカメラ1は、ステップS55においてYesと判定し、移動軌跡記録モードを終了する。
以上のように、測位部2は、取得時におけるデジタルカメラ1の位置を示す第1位置情報221を取得する位置取得部25と、デジタルカメラ1の移動ベクトルに関する移動情報224を取得する移動検出部26と、位置取得部25により取得された第1位置情報221の精度を評価する評価部204と、評価部204による評価結果に応じて、位置取得部25により取得された第1位置情報221と移動検出部26により取得された移動情報224とに基づいて、デジタルカメラ1の位置を示す第2位置情報227を生成する位置情報生成部203とを備えることにより、第1位置情報221の精度に応じて第2位置情報227を生成するので、精度の低いときの第1位置情報221をそのまま採用する場合に比べて、第2位置情報227の精度が向上する。
また、位置情報生成部203は、位置取得部25により取得された第1位置情報221に基づいて、当該第1位置情報221が取得される以前の第2位置情報227を作成する。特に、第1位置情報221により作成される以前の第2位置情報227には、当該第1位置情報221より前の過去の第1位置情報221(中間位置情報222)を修正した位置を含む。これにより、精度のよい第1位置情報221が取得されたときに、過去に遡って、低精度の第1位置情報221では確定させなかった位置を確定させて第2位置情報227を作成することができるので、最終的に記録される第2位置情報227の精度が向上する。
また、評価部204による評価結果に応じて、移動検出部26のパラメータ(オフセット値など)を修正することにより、移動情報224の精度が向上するので、第2位置情報227の精度も向上する。
また、切替制御部202が、評価部204による評価結果に応じて、スイッチング回路24を制御することにより、例えば、移動検出部26(補間)による測位の精度が良好である間は、積極的に位置取得部25を抑制状態にすることにより、消費電力を抑制することができる。
また、位置取得部25は、取得時に、全地球測位システム(本実施の形態ではGPS)による測位を実行して第1位置情報を220取得する。GPSによる測位では、GPS衛星の電波を受信できない場合に、測位位置を取得することができない状況に陥るが、本発明では、このような状況を高精度に補間することができるため、GPS測位の欠点を効果的に補うことができる。
<2. 第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態では、撮像位置記録モードにおいて、撮像が指示されたとき、位置取得部25によって第1位置情報221を取得できるか否かを判定(ステップS31)した上で、取得できないときに移動検出部26を「オン」するとして説明した。しかし、例えば、撮像が指示されたとき、測位部2が撮像時間のみ記録して、直ちに、移動検出部26を「オン」とし、移動軌跡記録モードと同様の処理を開始してもよい。そして、その後、第2位置情報227を作成できた時点で、測位部2が、CPU10に、撮像時間における第2位置情報227を抽出して伝達してもよい。
GPS受信機として構成されている位置取得部25では、例え、第1位置情報221を取得可能な状態となっていても、測位を指示されてから、実際に第1位置情報221が取得されるまでにはタイムラグが発生する。すなわち、この間にデジタルカメラ1が大きく移動すると、いかに測位が正確であっても、撮像位置からのズレが生じることになる。
しかし、第2の実施の形態のように構成すれば、撮像が指示された時間がほぼ記録開始時間となるため、撮像位置の精度が向上する。
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
例えば、本発明における観測装置は撮像装置(デジタルカメラ1)に限定されるものではなく、録音装置であってもよい。例えば、屋外における野鳥の観察において野鳥の鳴き声を記録する録音装置や、釣り場において釣果や環境情報(気温、水温、潮流、風速等)を記録する観測装置等にも応用することができる。また、これらの機能が複合した装置であってもよい。
また、観測装置は基準局との間でデータ通信する機能を有しないデジタルカメラ1として説明したが、もちろん、そのような機能を有する装置(例えば、携帯電話等)に適用することもできる。
また、上記実施の形態に示した各機能ブロックはプログラム110,210をCPU10,20が実行することにより実現されるとして説明したが、これらの機能ブロックの一部または全部が専用の論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
また、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であり、このような内容および順序に限定されるものではない。すなわち、同様の効果が得られるならば、内容および順序が適宜変更されてもよい。また、位置取得部25や移動検出部26として採用されるハードウェアの精度等により、評価部204の評価が上記工程に示した評価と異なることもあり得る。また、そのような状況の異同に応じて、補間情報226や第2位置情報227を求める最適な手順が適宜変更されることも当然あり得る。