JP6148127B2 - ピリドキサール・アミノグアニジン誘導体またはそれらの塩、及び、その製造方法 - Google Patents

ピリドキサール・アミノグアニジン誘導体またはそれらの塩、及び、その製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、経口投与した際の吸収性が良好で、安全性の高い血糖低下剤として有用なピリドキサール・アミノグアニジン誘導体またはそれらの塩、及び、その製造方法に関する。
現在の糖尿病の薬物療法では、高血糖状態を抑える血糖降下薬の投与が主流である。ところが、このような薬物療法を行っている糖尿病患者が、網膜症、腎症、神経障害などの糖尿病合併症を発症することが少なくない。
このため、合併症の発症を直接防止できる医薬品の開発が望まれている。
糖尿病合併症の原因として、酸化ストレスの亢進や、タンパク質の非酵素的糖化(グリケーション)による終末糖化産物(Advanced Glycation End-products:以下、これを「AGE」と呼ぶことがある)の生成などが深く関与していることが明らかとなっている。
従来、このようなAGEの生成反応を阻害する化合物として、特許文献1,2に記載のピリドキサミン(次式(V)で表される化合物)をはじめ、いくつかのビタミンB6の誘導体が提案されている。
しかし、上記特許文献に記載されたビタミンB6誘導体では、糖尿病の特徴である多飲や多尿が十分に抑えられないなど、AGEの生成反応のインヒビターとしては、改良の余地があった。
他方、日本では医薬品としてまだ承認されていないが、AGEの生成阻害剤としてアミノグアニジン(次式(VI)で表される化合物)も知られている。
このアミノグアニジンは、体内のビタミンB6と結合しやすいので、長期投与するとビタミンB6欠乏症を起こす虞があった。
これに対し、ビタミンB6欠乏症の虞が無いものとして、上記アミノグアニジンと、前記ビタミンB6の誘導体の一つであるピリドキサールとの付加物であるPL−AG(次式(VII)で表される化合物)が提案されたものの、非特許文献1に記載するように、ラットでの経口投与実験の結果、腸管からの吸収率が極めて低いことが問題になっている。
特許第3769003号公報 特表2008−509169号公報
Free Radic. Biol. Med. 35:1392-1403, 2003
本発明は、上記のような状況に鑑み、経口投与した際の吸収性が良好で、安全性の高い血糖低下剤として有用な化合物の提供を課題とする。
本発明者らは、ビタミンB6欠乏症の虞が無いにも拘らず、体内への吸収率が高い化合物について種々検討を行ったところ、4つのピリドキサール・アミノグアニジン誘導体を見出し、それら誘導体や塩に優れた血糖低下作用があることをも見出し、本発明を提案するに至った。
すなわち、本発明は、次式(I)〜(IV)のいずれかで表されるピリドキサール・アミノグアニジン誘導体またはそれらの塩を要旨とする。
また、本発明は、ピリドキサール塩酸塩に、1−アミノ−3−プロピルグアニジン ヨウ化水素酸塩、4−メチル−S−メチルイソチオセミカルバジド ヨウ化水素酸塩、3−メチルイソセミカルバジド塩酸塩、モルホリン−4−カルボキシイミドヒドラジド ヨウ化水素酸塩のいずれかを加え撹拌した後、
さらに、炭酸水素ナトリウムを加え攪拌し、
析出した固体を、メタノールに加熱溶解し、精製することを特徴とする上式(I)〜(IV)で表されるピリドキサール・アミノグアニジン誘導体の製造方法をも要旨とする。
本発明のピリドキサール・アミノグアニジン誘導体(I)〜(IV)およびそれらの塩は、AGEの生成を効果的に阻害する作用を有しながら、体内のビタミンB6とも結合しないので、長期投与してもビタミンB6欠乏症の虞がない。
したがって、血糖低下剤をはじめ、糖尿病合併症の予防および治療薬としても広範囲な用途が期待され、非常に有用な化合物である。特に、式(III)で表される誘導体は、抗酸化作用、抗グリケーション作用、吸収されやすさにおいて、総合的に優れている。
また、本発明の製造方法によれば、これら化合物(I)〜(IV)を簡便な操作により、容易に合成することができる。
実施例1の工程3で得た化合物(I)のNMR分析結果を示す図である。 実施例2の工程2で得た化合物(II)のNMR分析結果を示す図である。 実施例3の工程2で得た化合物(III)のNMR分析結果を示す図である。 実施例4の工程2で得た化合物(IV)のNMR分析結果を示す図である。 実施例1の工程3で得た化合物(I)のIR分析結果を示す図である。 実施例2の工程2で得た化合物(II)のIR分析結果を示す図である。 実施例3の工程2で得た化合物(III)のIR分析結果を示す図である。 実施例4の工程2で得た化合物(IV)のIR分析結果を示す図である。 実施例1〜4の各化合物の経時的な血中濃度変化を示すグラフである。 比較例1〜7の各化合物の経時的な血中濃度変化を示すグラフである。 実施例3、比較例1,2,8の各化合物の3つの反応に対するIC50値を示す表である。 正常マウス(正常群)と糖尿病マウス(コントロール群、比較例1群、実施例3群)の体重変化を示すグラフである。 上記4群の飲水量変化を示すグラフである。 上記4群の尿量変化を示すグラフである。 上記4群の20週齢時における尿中8-OHdG値を示すグラフである。 上記4群の8〜20週齢時における随時血糖値を示すグラフである。 上記4群の20週齢時における血漿中の総コレステロール値を示すグラフである。 上記4群の20週齢時における血漿中のトリグリセライド値を示すグラフである。 上記4群の20週齢時における血中HbA1c値を示すグラフである。
本発明の上式(I)〜(IV)のいずれかで表されるピリドキサール・アミノグアニジン誘導体の塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ヨウ化水素酸塩等の酸付加塩が挙げられ、中でも、水溶性が良好な塩酸塩が好ましく、2塩酸塩が特に好ましい。
本発明のピリドキサール・アミノグアニジン誘導体(I)〜(IV)の物性を、表1に示す。
表1中、clogPとは、水・オクタノール分配係数の予測計算値(Calculated-log P)であり、TPSA(Topological Polar Surface Area)とは、分子表面の極性分布の予測計算値である。
一般的に、clogPが大きいほど脂溶性(疎水性)が強い。また、TPSAが140以上だと生体内への吸収が悪くなると言われている。
また、本発明のピリドキサール・アミノグアニジン誘導体(I)〜(IV)は、シッフ塩基というユニークな構造を有する。シッフ塩基は、生体内でも徐々に分解していくので、安全性が高い医薬品となり得るものである。
また、いわゆる活性酸素の一つであるヒドロキシラジカル(・OH)を除去する作用や、強い銅イオン(Cu2+)キレート作用を有するゆえ、抗酸化作用(酸化反応を阻害する作用)に優れている。
上記4つのピリドキサール・アミノグアニジン誘導体(I)〜(IV)の中では、抗酸化作用、抗グリケーション作用、および吸収されやすさ等を総合的に判断すると、式(III)で表される誘導体が好ましく、より好ましくは、当該誘導体(III)の2塩酸塩である。
実施例1
本発明に係るピリドキサール・アミノグアニジン誘導体のうち、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(1−アミノ−3−プロピル)グアニジン≪式(I)≫を、以下のようにして合成した。
工程1
チオセミカルバジド9.11g(0.1mol)をエタノール180mLに溶解し、ヨウ化メチル6.22mL(0.1mol)を加えて4時間加熱還流した。
反応液を氷冷し、析出した結晶をろ取することにより、S−メチルイソチオセミカルバジドのヨウ化水素酸塩15.6g(無色結晶:収率67%)を得た。
工程2
上記工程1で得られたS−メチルイソチオセミカルバジドのヨウ化水素酸塩1.0g(4.05mmol)をエタノール4.0mLに溶解し、プロピルアミン1.0mL(12mmol)を加えて4時間加熱還流した。
反応液を減圧下に濃縮し、得られた残さ(褐色オイル:1−アミノ−3−プロピルグアニジンのヨウ化水素酸塩)を精製することなく次の反応(下記工程3)に使用した。
工程3
ピリドキサール塩酸塩400mg(1.96mmol)を水2mLに溶解し、上記工程2で得られた1−アミノ−3−プロピルグアニジンのヨウ化水素酸塩480mg(1.96mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。シリカゲルをアミノ基でコーティングした薄層クロマトグラフィー(抽出溶媒は、メタノール:酢酸エチル=1:5)にて、原料の消失を確認した後、炭酸水素ナトリウム330mg(3.93mmol)と水1mLを加えて、室温で1時間攪拌した。
析出固体をろ取し、少量の水で洗浄した後、減圧下に乾燥した。得られた固体をメタノール30mLに加熱溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(富士シリシア化学(株)製 商品名“クロマトレックスNH”。抽出溶媒は、メタノール:酢酸エチル=1:4)で精製した。
目的物を含むフラクションを濃縮し、残さにエーテル−エタノールを加えて結晶化し、ろ取することにより、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(1−アミノ−3−プロピル)グアニジン≪式(I)≫300mgを黄白色粉末として得た(収率58%)。
実施例2
本発明に係るピリドキサール・アミノグアニジン誘導体のうち、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(4−メチル−S−メチル)イソチオセミカルバジド≪式(II)≫を、以下のようにして合成した。
工程1
4−メチル−3−チオセミカルバジド1.0g(9.5mmol)をエタノール2mLに溶解し、ヨウ化メチル0.59mL(9.5mmol)を加えて3時間加熱還流した。
放冷後、反応液を氷水冷却下に撹拌し、析出した結晶をろ取することにより、4−メチル−S−メチルイソチオセミカルバジドのヨウ化水素酸塩1.96g(無色結晶:収率83%)を得た。
工程2
ピリドキサール塩酸塩400mg(1.96mmol)を水2mLに溶解し、上記実施例2の工程1で得られた4−メチル−S−メチルイソチオセミカルバジドのヨウ化水素酸塩490mg(1.96mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。実施例1と同様の薄層クロマトグラフィーにて、原料の消失を確認した後、炭酸水素ナトリウム330mg(3.93mmol)と水3mLを加えて、室温で1時間攪拌した。
析出固体をろ取し、少量の水で洗浄した後、減圧下に乾燥した。得られた固体をメタノール50mLに加熱溶解し、実施例1と同様のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
目的物を含むフラクションを濃縮し、残さにエタノールを加えて結晶化し、ろ取することにより、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(4−メチル−S−メチル)イソチオセミカルバジド≪式(II)≫490mgを黄白色粉末として得た(収率93%)。
実施例3
本発明に係るピリドキサール・アミノグアニジン誘導体のうち、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(3−メチル)イソセミカルバジド≪式(III)≫を、以下のようにして合成した。
工程1
エタンイミド酸エチル塩酸塩0.5g(4.05mmol)をエタノール40mLに溶解し、ドライアイス−アセトン冷却下に、ヒドラジン1水和物0.20mL(4.05mmol)を含むエタノール溶液10mLを加えて、室温で30分間撹拌した。
反応液を減圧下に濃縮し、析出した結晶に少量のエタノールを加えてろ取し、少量のエタノールおよびエーテルで洗浄し、減圧下に乾燥することにより、3−メチルイソセミカルバジド塩酸塩0.28g(淡紅白色結晶:収率63%)を得た。
工程2
ピリドキサール塩酸塩400mg(1.96mmol)を水2mLに溶解し、上記実施例3の工程1で得られた3−メチルイソセミカルバジド塩酸塩0.22g(1.96mmol)を加えて室温で2時間攪拌した。実施例1と同様の薄層クロマトグラフィーにて、原料の消失を確認した後、炭酸水素ナトリウム0.34g(3.93mmol)を加えて、室温で30分間攪拌した。
析出固体をろ取し、減圧下に乾燥した。得られた固体をメタノール60mLに加熱溶解し、不溶物(メタノールに溶けなかったピリドキサール塩酸塩や3−メチルイソセミカルバジド塩酸塩)をろ過し、ろ液を実施例1と同様のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。
目的物を含むフラクションを濃縮し、残さにエーテル−エタノールを加えて結晶化し、ろ取することにより、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(3−メチル)イソセミカルバジド≪式(III)≫210mgを黄白色粉末として得た(収率48%)。
実施例4
本発明に係るピリドキサール・アミノグアニジン誘導体のうち、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(3−モルホリノ)セミカルバジド≪式(IV)≫を、以下のようにして合成した。
工程1
実施例1の工程1で得られたS−メチルイソチオセミカルバジドのヨウ化水素酸塩2.0g(8.58mmol)をエタノール8mLに溶解し、モルホリン2.1mL(24.1mmol)を加えて4時間加熱還流した。
放冷後、反応液を氷水冷却下に撹拌し、析出した結晶をろ取することにより、モルホリン−4−カルボキシイミドヒドラジドのヨウ化水素酸塩2.31g(橙色結晶:収率98.95%)を得た。
工程2
ピリドキサール塩酸塩142mg(0.70mmol)を水0.7mLに溶解し、上記実施例4の工程1で得られたモルホリン−4−カルボキシイミドヒドラジドのヨウ化水素酸塩190mg(0.70mmol)を加えて室温で1時間攪拌した。シリカゲルをアミノ基でコーティングした薄層クロマトグラフィー(抽出溶媒は、メタノール:ジクロロメタン=1:9)にて、原料の消失を確認した後、炭酸水素ナトリウム117mg(1.39mmol)と水0.7mLを加えて、室温で1時間攪拌した。
析出固体をろ取し、少量の水で洗浄した後、減圧下に乾燥した。得られた固体をメタノール5mLに加熱溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(富士シリシア化学(株)製 商品名“クロマトレックスNH”。抽出溶媒は、メタノール:ジクロロメタン=1:9)。
目的物を含むフラクションを濃縮し、残さにエーテル−ヘキサンを加えて結晶化し、ろ取することにより、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(3−モルホリノ)セミカルバジド≪式(IV)≫187mgを淡黄色粉末として得た(収率91%)。
実施例1〜4で合成した化合物(式(I)〜(IV)で表される化合物)の融点測定、NMR分析、IR分析を行った。結果を下に示す。
〔融点測定〕
融点測定装置(独国BUCHI社製商品名“B545”)を使用して行った。この結果は、下記の通りであった;

・式(I)で表される化合物:161.0℃
・式(II)で表される化合物:222.9℃
・式(III)で表される化合物:225.8℃
・式(IV)で表される化合物:207.3℃
〔NMR分析〕
日本電子社製 商品名“JNM−A600”を使用して測定を行った。この結果は、図1〜4の通りであった。
〔IR分析〕
Thermo scientific社製 商品名“Thermo Nicolet is10”)を使用して測定を行った。この結果は、図5〜8の通りであった。
実施例5
3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(3−メチル)イソセミカルバジド≪式(III)≫の2塩酸塩を以下のようにして合成した。
実施例3の工程1,2を繰り返し、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(3−メチル)イソセミカルバジド≪式(III)≫を20g得た。
この3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(3−メチル)イソセミカルバジド≪式(III)≫16g(72mmol)に、0.25M塩酸576mL(144mmol)を加えた。さらに、水100mLを加えながら70〜90℃の湯浴で温めた後、フリーズドライにかけ、粉末状の3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−2−メチルピリジン−4−イルメチレン−(3−メチル)イソセミカルバジドの2塩酸塩を得た(黄色結晶)。
比較例1,2
ピリドキサミン≪式(V)≫の2塩酸塩(Calbiochem社製)を比較例1、PL−AG≪式(VII)≫を比較例2とした。
比較例3〜7
実施例1〜4とは異なる構造式を有するピリドキサール・アミノグアニジン誘導体を5つ合成し、比較例3〜7とした。
比較例3〜7は、次式(VIII)〜(XII)で表される化合物であり、その物性を、表1と同様に、表2に示す。
比較例8
アミノグアニジン≪式(VI)≫の塩酸塩(Sigma/Aldrich社製)を比較例8とした。
<経口投与した化合物の血中濃度変化の測定>
・供試動物
9週齢のWistar系雄性ラット(日本クレア社製)11個体
・化合物投与、採血、除タンパク
5%アラビアゴム0.75mLに、実施例1〜4,比較例1〜7の化合物15mgをそれぞれ加え(20mg/mLとする)、乳鉢を用いて混和したものを、5時間絶食させた各ラットに、ゾンデで100mg/kg体重となるように単回経口投与(1.25〜1.5mL)した。
投与0.5、1、2、4、6時間後毎に、エーテル麻酔下、眼窩静脈叢より採血を行い、その50μLにすばやく0.45M過塩素酸100μLを加えよく混合し、5分間遠心した。上清をミリポアフィルター(0.22μm)付チューブに入れ、さらに8000×gで5分間遠心した。ろ液を測定時まで冷凍保存し、表3,4に示す測定条件にてHPLCで各化合物の濃度を測定した。
図9,10に、各化合物の経時的な血中濃度変化の結果を示す。
図9,10の各グラフにおいて、横軸は、経過時間(hr)を、縦軸は、血中濃度(μg/mL)を示している(なお、濃度変化の推移をわかりやすく表すため、縦軸の目盛は統一させていない)。各化合物(100mg/kg)が経口投与された時間を、横軸0(ゼロ)とした。
図9から、実施例1〜4の化合物はいずれも最高血中濃度が高く、ラット体内における腸管からの吸収性が著しくよいことがわかった。
中でも、実施例3≪化合物(III)≫が、経口投与後0.5時間で血中濃度がもっとも高くなり(10.0μg/mL)、6時間後においても3.1μg/mLであった。これに対し、比較例2≪化合物(VII)≫の最高血中濃度は、0.36μg/mLと低いものであった。
<抗酸化作用と抗グリケーション作用の測定>
実施例3,比較例1,2,8の各化合物について、3つの反応:1)安息香酸の水酸化反応、2)デオキシリボースの酸化反応、3)タンパク質のグリケーション反応、のIC50(50%阻害濃度)を求めた。
結果を図11に示す。
図11中の数値の単位はμMであり、“ND”とは、Not Determinedの略である。
図11から、3つの全ての反応において、実施例3が最も強い阻害作用を有することがわかった。
<マウスの体重・飲水量・尿量の測定>
・供試動物
7週齢のICR系雄性マウス(日本クレア社製)。
7週齢のKK-Ay/Ta雄性マウス(日本クレア社製)。

KK-Ay/Taマウスは、2型糖尿病モデルマウスとして市販されており、ポリジーン支配によると考えられる軽度糖尿病のKKマウスに肥満遺伝子(Ay)を導入したもので、肥満と顕著な糖尿病を特徴とするマウスである。
・飼育方法
正常群として、上記ICR系マウス(n=11)を標準飼料(日本クレア社製 “CE-2”)にて、また、KK-Ay/Taマウスを3群に分け、標準飼料飼育群(n=11)、比較例1(ピリドキサミン(V)2塩酸塩)含有飼料飼育群(n=10)、実施例3(化合物(III))含有飼料飼育群(n=10)とし、20週齢まで飼育を行った。なお、実験開始時の4群の各個体の体重はほぼ同じ値(35〜37kg)であった。
マウスはそれぞれ1匹ずつケージに入れ、12時間の明暗サイクル(8:00〜20:00を明とした)で、温度25〜27℃に保たれた部屋で飼育した。水はそれぞれ自由に摂取させ、正常群も含めて11週齢から1日6g(約150mg/kg/day)に制限給餌した。
・統計学的処理
実験結果は、平均値±SD(n=10〜11)で示し、有意差検定には多群間比較においてDunnett検定を用いた。検定は正常群(ICR系マウス標準飼料飼育群)、KK-Ay/Taマウスの標準飼料飼育群(以下、「コントロール群」とする)に対してそれぞれ行い、危険率(P)が0.05以下のとき、統計学的に有意とみなした。
上記4群の体重変化の結果を、図12に示す。
図12において、横軸は、週齢を、縦軸は、体重(g)を示し、○:正常群、●:コントロール群、□:比較例1(ピリドキサミン(V)2塩酸塩)含有飼料飼育群(以下、「比較例1群」とする)、■:実施例3(化合物(III))含有飼料飼育群(以下、「実施例3群」とする)である。
図12のように、実験終了の20週齢まで4群は同様の体重増加を示した。
上記4群の飲水量変化の結果を、図13に示す。
図13において、横軸は、週齢を、縦軸は、飲水量(mL/day)を示し、○:正常群、●:コントロール群、□:比較例1群、■:実施例3群である。
図13から、正常群に対し、10週齢以降では、コントロール群の飲水量は約1.5倍と、糖尿病の特徴である多飲の結果をたどったことがわかる。
これに対し、実験期間を通して、実施例3群は、正常群とほぼ同じ飲水量であった。また、比較例1群は、コントロール群よりも多めの飲水量を示し、多飲が抑えられていなかった。
上記4群の尿量変化の結果を、図14に示す。
図14において、横軸は、週齢を、縦軸は、尿量(mL/day)を示し、○:正常群、●:コントロール群、□:比較例1群、■:実施例3群である。
図14から、正常群に対し、コントロール群の尿量は約3〜4倍と、糖尿病の特徴である多尿の結果となった。
これに対し、実験期間を通して、実施例3群は、正常群とほぼ同じで多尿が抑えられていたことがわかった。また、比較例1群では、コントロール群とほぼ同じで尿量であり、多尿は抑制されなかった。
実施例3群の尿量が少なかったのは、後述の随時血糖値(図16参照)の上昇が抑制されていることを反映したものと考えられる。
<マウスの尿中・血中各種成分の測定>
・供試動物と飼育方法
前述の<マウスの体重・飲水量・尿量の測定>と同様とした。
尿中成分は、前記4群の20週齢時に採取した24時間尿について調べた。
また、前記4群の血中成分は、後述の随時血糖値以外は、20週齢時にクロロホルム麻酔下に心臓よりヘパリン採血を行い、血液を1500×gで15分間遠心して得た血漿について調べた。
1)尿中8-hydroxydeoxyguanosine(8-OHdG)値
高感度8-OHdG Check(日本老化制御研究所製)を用いてELISA法により測定した。なお、体内の8-OHdGは、主にミトコンドリアDNAの酸化傷害で生じるといわれていて、酸化ストレスの指標として測定されるものである。
尿中8-OHdG値の結果を、図15に示す。
図15において、縦軸が尿中8-OHdG値(ng/day)である。
図15から、正常群に対し、コントロール群の尿中8-OHdG値は約2倍に増加しており、酸化ストレス状態にあることが推測できた。実施例3群において、尿中8-OHdG値が有意に抑制されているのに対して、比較例1群ではコントロール群と比べて有意に増加していた。
2)随時血糖値
2週間おきに、16〜18時の間に、ジェントレット(三和化学製)を用いて尾静脈に穿刺して出血させ、グルテストネオスーパー(三和化学製)を用いて、血糖を測定した。
血糖値の結果を、図16に示す。
図16において、横軸は、週齢を、縦軸は、随時血糖値(mg/dL)を示し、○:正常群、●:コントロール群、□:比較例1群、■:実施例3群である。
図16から、実施期間(8週齢〜20週齢)を通して100〜110mg/dLの随時血糖値を示していた正常群に対し、コントロール群では8週齢ですでに300mg/dLとなり、以後は400mg/dL前後の高血糖状態を示した。比較例1群も、コントロール群と同様の経過をたどり、血糖上昇の抑制は見られなかったが、実施例3群においては、コントロール群よりも常に低い随時血糖値を維持しており、血糖値の上昇が有意に抑えられていた。
3)血漿総コレステロール値
コレステロール−Eテストワコー(和光純薬工業)を用いて測定した。
血漿総コレステロール値の結果を、図17に示す。
図17において、縦軸が血漿総コレステロール値(mg/dL)である。
図17から、コントロール群と比較例1群の血漿総コレステロール値は、正常群とほぼ同じ値であったが、実施例3群は、正常群およびコントロール群よりも有意に低かった。
4)血漿トリグリセライド値
トリグリセライド−Eテストワコー(和光純薬工業)を用いて測定した。なお、インスリンの作用不足によって脂肪組織において脂肪分解の促進が起こり、血漿中のトリグリセライド値の上昇をもたらすと言われている。
血漿トリグリセライド値の結果を、図18に示す。
図18において、縦軸が血漿トリグリセライド値(mg/dL)である。
図18から、正常群と比較して、コントロール群の血漿トリグリセライド値は約2倍に増加しているのに対して、実施例3群は、血漿トリグリセライド値の上昇を有意に抑制していたが、比較例1群には、そのような効果は見られなかった。
5)血中HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)値
前述のヘパリン採血した血液について、ラピディアオートHbA1c(富士レビオ)を用いて測定した。なお、HbA1cとは、ヘモグロビンA(HbA)にグルコース(血糖)が結合したものであり、正常な人の場合、血中HbA1cの正常値は6.2%以下であり、6.5%以上は糖尿病とされている。
血中HbA1c値の結果を、図19に示す。
図19において、縦軸が血中HbA1c値(%)である。
図19から、正常群に対し、コントロール群と比較例1群の血中HbA1c値は約2倍に増加しており、図16に示した随時血糖値の増加を裏付ける結果となった。実施例3群は、血中HbA1c値の上昇を有意に抑制し、コントロール群より随時血糖値が低かったこととよく符号していた。
本発明のピリドキサール・アミノグアニジン誘導体は、経口投与における吸収性が良好なので、糖尿病合併症の発症・進行を抑える医薬品になる可能性が高いものである。
また、本発明のピリドキサール・アミノグアニジン誘導体はシッフ塩基であるゆえ、生体内で徐々に分解していくと考えられ、安全性が高い医薬品になり得るものである。

Claims (2)

  1. 次式(I)〜(IV)のいずれかで表されるピリドキサール・アミノグアニジン誘導体またはそれらの塩。
  2. ピリドキサール塩酸塩に、1−アミノ−3−プロピルグアニジン ヨウ化水素酸塩、4−メチル−S−メチルイソチオセミカルバジド ヨウ化水素酸塩、3−メチルイソセミカルバジド塩酸塩、モルホリン−4−カルボキシイミドヒドラジド ヨウ化水素酸塩のいずれかを加え撹拌した後、
    さらに、炭酸水素ナトリウムを加え攪拌し、
    析出した固体を、メタノールに加熱溶解し、精製することを特徴とする請求項1に記載のピリドキサール・アミノグアニジン誘導体(I)〜(IV)の製造方法。
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