JP6145787B2 - 多相電力機器の絶縁診断装置及び診断方法 - Google Patents

多相電力機器の絶縁診断装置及び診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、測定対象領域の範囲を分割した分割領域によって電磁波発生源の位置を、背景画像に重畳して表示する多相電力機器の絶縁診断装置及び診断方法に関する。
電力設備には高い信頼性が要求されており、電気的異常を早期に検出しその状態を評価する技術が求められている。現在、電気絶縁異常が発生した場合、その放射電磁波を検出し、その検出波形情報に基づき異常有無や状態評価が試みられている。このため、従来、UHF帯を含む電磁波の発生源の有無を評価し、その位置を可視化する電磁波発生位置標定技術が知られている。従来技術による位置標定は、電磁波発生源を点で推定して、発生の有無や、3次元の座標、アンテナからの距離を表示するだけでなく、電磁波発生位置を風景画像上に表示することも知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電磁波発生源可視化装置は、最低2組のアンテナ対を用いて、そのアンテナ対に到達する電磁波の時間差に基づき、電磁波発生位置を風景画像上に表示して可視化するため、評価結果の理解がしやすく、結果の妥当性を専門家でなくても判断できる。視覚情報として、電磁波発生源を確認でき、その発生頻度や強度を視覚的に知ることができる。
このように、従来の電磁波発生源可視化装置は、電力機器や電気エネルギー機器からの電気絶縁異常(放電)に伴い発生する放射電磁波の発生位置を標定することができるが、これまでは、標定された位置とその背後の画像の関係から結果の妥当性の判断をしていた。より定量的な評価手法や判断基準があれば、本可視化装置の有用性や価値が向上することになる。特に、信号かノイズかの識別のために測定波形の情報は利用しておらず、測定信号に基づく更に信頼性の高い識別手法が求められていた。
特許文献2は、ガス絶縁機器内に発生した部分放電波形を検出する技術を開示する。ここに開示の技術は、絶縁機器内に発生した部分放電波形及びノイズ波形を検出して、この検出された部分放電波形から周波数特性データの特徴、及び交流印加電圧を基準として部分放電波形の位相特性データの特徴を抽出する。この得られたデータの特徴と、ニューラルネットワークに学習させたデータとをそれぞれ比較して部分放電を判定する。
また、特許文献3は、周波数成分分析により部分放電異常を検出し、位相特性を基に部分放電診断を行う技術を開示する。ここに開示の技術は、電磁波信号の周波数スペクトル情報を取り込むと共に、その時の印加電圧の位相情報を同時に取り込み、スペクトル信号の最大のポイントにおける位相特性を用いて絶縁診断をする。
これまで、単相電力機器の絶縁異常診断技術として、部分放電現象に関する電流や電磁波、音波、発光等を検出し、評価する技術が開発されている。特許文献2,或いは特許文献3に記載の放電発生の評価は、印加電圧位相特性に基づき行われているが、三相電力機器のように複数の電圧位相が混在する機器に適用する場合、測定信号がどの相から発生したかを標定することが必要になる。三相の電力機器に対しては、各相に取り付けたセンサ、例えば各相に電流プローブCTを取り付けて、相毎の絶縁異常診断が行われていた。
特開2011-53055号公報 特開平7-181218号公報 特開2001-343418号公報
一つのセンサのみで取得した三相交流機器からの放射電磁波は、各相の信号が混在している。三相の電力機器に対しては、各相にセンサを取り付けることなく、例えばアンテナを用いて、非接触で三相電力機器の絶縁診断を実施しようとすると、一度に全ての相の信号を検出し、それらの信号を各相に分離することが必要になる。
そこで、本発明は、各相にセンサを取り付けることなく、位置標定技術を用いて、三相電力機器の相毎の部分放電の放射電磁波の検出、評価を可能にすることを目的としている。その評価を可視化による背後の風景写真との照合だけでなく、放電物理特性に基づく手法を導入することで、信頼性および汎用性の高い絶縁異常診断を可能にする。これによって、本発明は、三相電力機器における電磁波発生相を特定するだけでなく、ノイズと信号を識別する識別結果の信頼性向上を図る。
本発明の多相電力機器の絶縁診断装置は、電磁波発生源から複数のアンテナに到達する電磁波パルス信号の時間差を測定して、電磁波発生源の位置を特定し、かつ、電磁波発生源を含む測定対象領域の範囲を分割した分割領域によって特定した電磁波発生源の位置を、画像カメラが写した背景画像に重畳して表示する表示部を備える。電磁波パルス信号を相毎に分離して信号の妥当性を各相毎に判断する相毎の特性評価部を備え、この相毎の特性評価部は、電磁波パルス信号を相毎に分離する相分離部と、各相に分離して識別された電磁波パルス信号をそれぞれ、電源電圧周期に対応する位相特性で評価し、パターン発生の有無とそのパターン形状により、信号であるか、および信号の場合は発生源の特定を行う発生源特定部とを備える。
また、本発明の多相電力機器の絶縁診断方法は、電磁波パルス信号を相毎に分離し、各相に分離して識別された電磁波パルス信号をそれぞれ、電源電圧周期に対応する位相特性で評価し、パターン発生の有無とそのパターン形状により、信号であるか、および信号の場合は発生源の特定を行なって、信号の妥当性を各相毎に判断する。
特定した電磁波発生源の位置の表示は、電磁波発生源が属すると特定した分割領域の色を変えることによって、或いは特定した分割領域に属する電磁波パルス数を数字によって表示する。
さらに、領域外識別部を備え、かつ、この領域外識別部は、電磁波発生源の位置を分割領域によって特定した可視化データ及び画像カメラにより取得した背景画像に基づき、受信信号が、放電発生の可能性の無い領域外からのノイズであることを識別する。領域外識別部は、背景画像の自動認識技術により、後ろに放電が発生する可能性のある場所と、発生する可能性の無い場所を識別し、関連ない場所に標定された場合は、それは信号ではないノイズであるとして表示部に出力する。
相分離部は、撮影した風景画像を、事前に作製した各種電力設備の画像データベースとのパターンマッチングによる照合により、特定された分割領域がいずれの相の機器であるのか判断する物体認識技術を用いて相分離する。
本発明によれば、対象が三相交流機器であれば、各相に分離することにより、相毎に発生位置と状態評価ができるようになり、異常診断技術の信頼度向上に貢献できる。
本発明は、各相の部位に位置標定された信号を相分離し、その各相の信号に印加電圧の商用周波数に対応する周期で特性を評価(位相特性を評価)し、背後の画像写真との照合による標定結果の妥当性を、位相特性によるパターン発生の有無による再評価を行い、パターンの有無で放電信号に基づくかノイズであるかを再評価し表示することができる。また、測定された検出電磁波波形のパルス列を、電磁波可視化装置で可視化し、標定領域と背後の画像写真との関係からノイズか信号かを識別することができる。
このように、印加交流電圧に依存しているかどうかを評価できるようになるため、交流機器であれば印加電圧による放電現象であるかどうか、即ち機器の電気絶縁異常であるかどうかを可視化結果と併せて評価できる。検出結果の位相特性の評価結果は、位置標定結果の表示に反映させる。位相特性に特有のパターンが認められると、交流印加電圧に基づく放電信号であることを保証できる。
本発明を具体化する三相電力機器の絶縁診断の概略を説明する図であり、(A)は絶縁診断方法を示す図であり、(B)は絶縁診断した結果の表示の一例を示している。 本発明に基づき構成した多相電力機器の絶縁診断装置を例示する概略全体構成図である。 アンテナ対配置を示す正面図である。 (A)は相分離する前の電磁波パルス信号、(B)は相分離された電磁波パルス信号、(C)は相分離された信号を再度結合した再表示をそれぞれ例示する図である。 図4(A)に示す一つのパルスを拡大して、その波頭部分を示す図である。 相分離された左ブッシングの位相角特性を例示する図である。 電磁波立ち上がり極性の定義を説明する図である。 図7に示した定義に基づき、図6に示す各電磁波パルスを表示した図である。
以下、例示に基づき本発明を説明する。図1は、本発明を具体化する三相電力機器の絶縁診断の概略を説明する図であり、(A)は絶縁診断方法を示す図であり、(B)は絶縁診断した結果の表示の一例を示している。但し、本発明は、三相に限定されず、多相の電力機器に対して適用して、相毎に信号を分離して評価することができる。
三相電力機器のいずれかで絶縁異常が発生しているとする。例えば、ガス絶縁開閉装置(GIS)やガス絶縁送電線(GIL)等のガス絶縁機器において、絶縁異常が発生すると、絶縁破壊の前駆現象である部分放電の段階でガス絶縁機器内部を伝搬してくる電磁波信号を検出して、部分放電信号か否かを判定するUHF法等を適用できる。それ故に、本発明が対象とする放射源とは、例えば、機器内部で発生した部分放電がスペーサやブッシングなどの電磁波開口部から機器外部に漏洩した電磁波の発生源である。あるいは、スペーサやブッシングの内部やその表面における絶縁不良や絶縁異常による放電も、電磁波の発生源となる。
本発明は、対象物から電磁波発生があるかないかを評価して、電磁波発生源可視化データを作成し、このデータに基づき、ある場合は画像上にその位置を表示するが、この位置表示を、座標や距離の測定値ではなく、対象面中の領域を特定することで行う。本発明は、さらに、この電磁波発生源可視化データについて、その信号の妥当性を評価する。以下、詳述する。
図1(B)は、測定対象領域を各分割領域に分割して(12分割として例示)表示画面に表示している。この表示画面には表示画像として、画像カメラで撮影した3相ブッシングを例示している。分割領域A1〜A3は左ブッシング(A相)に、分割領域B1〜B3は中央ブッシング(B相)に、分割領域D1〜D3は右ブッシング(C相)に、それぞれ対応している。さらに、この表示画像と重ねて測定結果を数字で表示している。例示の数字は、合計40発の電磁波パルスについて測定した結果、各電磁波パルスがいずれの分割領域に属するかを特定した後、各分割領域或いは分割領域外(枠外)に特定されたパルス数を表している。背景写真の自動認識技術により、後ろに放電が発生する可能性のある場合と、発生する可能性の無い場合は、背景色を変えて表示することができる。また、背後の写真をパターン認識して、機器か空間か、あるいは電力機器とは関係ない部位かを判断して、関連ない場所に標定された場合(分割領域外に特定された電磁波パルス)は、例えば色を変えて、それは信号ではないノイズであるとの表示をする。
図1(A)に示すように、アンテナを用いて計測した電磁波パルス信号に基づき、対象面中の特定領域に可視化結果表示を、例えば、図1(B)に示すようにパルス数として数字で表示する。また、この電磁波パルス信号については、信号とノイズを識別する。分割領域の枠外に特定された電磁波パルス信号は、ノイズと判断する。
信号であると判断された電磁波パルスは、単相または三相の識別がなされる。この識別は、事前に取得した情報により、単相機器か三相機器かを判別して、画像撮影の際に、三相機器では三相全体が写るように、あるいは、ある特定の相のみ(一つ、あるいは2つの相が)写るようにする。本発明は、多相の電力機器に対して適用して、相毎に信号を分離して評価することができるが、相毎に信号を分離する必要のない単相機器に対しても適用可能である。
各相に分離して識別された放電データ(放射電磁波パルスの時系列特性)を、印加交流電圧の位相との相関、即ち電源電圧周期に対応する位相特性で評価し、パターン発生の有無とそのパターン形状により、信号であるか、および信号の場合は異物種など発生源の特定を行う。
図2は、本発明に基づき構成した多相電力機器の絶縁診断装置を例示する概略全体構成図である。例示の絶縁診断装置は、それ自体は公知の電磁波発生源可視化装置(特許文献3参照)に加えて、領域外識別部と、相毎の特性評価部を備えたものに相当する。電磁波発生源可視化装置は、対象物から電磁波発生があるかないかを評価し、ある場合は画像上にその位置を表示するが、この位置表示を、座標や距離の測定値ではなく、対象面中の領域を特定することで行う。電磁波を検出するアンテナは、指向性のあるUHF帯に感度を有する、例えばホーンアンテナである。電磁波発生源可視化装置が対象とする周波数成分は、基本的にVHF帯からUHF帯である。図示の装置は、主にUHF帯に感度を有する少なくとも3つのアンテナを備える。
図3は、アンテナ対配置を示す正面図である。4つ(2対)のアンテナを配置する場合は、(A)配置例1及び(B)配置例2に示すように、四角形の各頂点、或いは各辺の中央に配置する。アンテナ3つの場合は、(A)配置例1に示すように、四角形の何れか3つの頂点とする。画像カメラ(及び必要に応じて、測距用機器)は、四角形の中心に配置する。このように、アンテナは、同一性能のものを直線上に配置した2つを一対とし、そのアンテナ対を最低2組用いる。アンテナ対は直交させる。アンテナは、基本的にX軸、Y軸用に2対(4つ)必要であるが、一つのアンテナを共用すると、3つにすることができる。
図2に例示の絶縁診断装置は、アンテナ観測方向の風景を写す画像カメラと、少なくとも3つのアンテナと、そのアンテナ対からの信号を検出する検出部と、検出されたその両端のアンテナに到達する電磁波の時間差Δtを求めて信号処理及び解析して、電磁波発生源可視化データを出力する信号処理及び解析部と、その可視化データに基づく分割領域特定データをカメラ画像に重畳して表示する表示部とから構成される電磁波発生源可視化装置に、入力された可視化データ及び画像カメラにより取得した背景画像に基づき放電源が領域外であることを識別する領域外識別部と、電磁波パルス信号を相毎に分離して信号の妥当性を判断する相毎の特性評価部を組み合わせて構成する。信号処理及び解析部には、必要に応じて、アンテナから対象物までの距離を測定する測距用機器(レーザ距離計測計やメジャーなど)からの距離信号を入力する。
アンテナ対からの信号を検出する検出部には、A/D変換やしきい値設定、トリガの機能を持たせる。このような検出部として、例えば、デジタルオシロスコープを用いることができ、これによって、アンテナからのトリガレベル以上の電磁波信号を検出する。信号処理及び解析部では、アンテナ対の両端のアンテナに到達する電磁波の時間差Δtを求めることが基本となる。
測定対象領域の特定はアンテナ対の信号到達差Δtに基づき行う。X軸方向及びY軸方向の各アンテナ対に到達する電磁波のそれぞれの時間差Δtx、Δtyを測定して、この各Δtx、Δtyの値により評価して、測定対象領域を分割した分割領域を特定する。アンテナ対の間隔laと、対象面までの距離Lと電磁波伝搬速度cが分かれば、対象面を分割した場合の分割境界地点からの到達時間差Tiが一意に求まるため、それらの時間差Tiと計測による信号到達差Δtを比較することで、どの領域かを特定できる。アンテナ面から発生可能性がある対象面までの距離Lは、レーザ計測計やメジャーなどで計測した値、対象装置見取り図や配置図面などから読み取った値、或いはある程度の目安の値を用いる。或いは、発生可能性がある対象面が不明な場合は、アンテナ面から対象面の距離Lを近くから遠くに任意に自動的に変えて入力する。
本発明は、信号処理及び解析部において、時間差Δtx、Δtyの値により評価して、測定対象領域を分割した分割領域を特定した後、この特定された分割領域、或いは特定の分割領域に属する電磁波パルス数を表示部において表示し、記録すると共に、その信号の妥当性を、領域外識別部及び相毎の特性評価部において評価する。信号処理及び解析部は、特定された分割領域或いは特定の分割領域に属する電磁波パルス数を電磁波発生源可視化データとして表示部に出力する一方、電磁波発生源可視化データを作成するに際して用いた電磁波パルス信号の妥当性を判断するために領域外識別部に出力する。
領域外識別部は、信号処理及び解析部より放電源が属する分割領域を特定した可視化データ信号を、また画像カメラにより取得した背景画像を入力して、背景写真の自動認識技術により、後ろに放電が発生する可能性のある場合と、発生する可能性の無い場合を識別する。関連ない場所に標定された場合は、それは信号ではないノイズであるとして表示部に出力する。
相毎の特性評価部は、信号処理及び解析部より入力した電磁波パルス信号が、信号であるか否か、および信号の場合は異物種など発生源の特定を行う。このために、相毎の特性評価部の内部の相分離部(図2)において、受け取った電磁波パルス信号が、いずれの相のものであるのかを識別する。このような相識別には、パターン認識など物体認識技術で自動的に相分離することができる。撮影した風景画像を、事前に作製した各種電力設備の画像データベースとのパターンマッチングによる照合により、判断することができる。これによって特定された領域が機器か機器でないか、さらに機器の場合、いずれの相の機器であるのかが判断できる。
図4(A)は相分離する前の電磁波パルス信号、(B)は相分離された電磁波パルス信号、(C)は相分離された信号を再度結合した再表示をそれぞれ例示する図である。図5は、図4(A)に示す一つのパルスを拡大して、その波頭部分を示す図である。各図において、横軸は時間(2秒/目盛、但し、図5は、ナノ秒/目盛)を、縦軸は電磁波パルスの振幅(mV)を表している。図5は3つのアンテナ(SLB、SRB、SLT)からの信号を合わせて例示するのに対して、図4は、一つのアンテナ(SLB)のみに到達する放電信号を例示している。上述したように、測定対象領域を分割した分割領域を特定するために、少なくとも3つのアンテナを用いて放電源からの電磁波を測定するが、信号の妥当性の評価は、1つのアンテナからの信号のみで可能である。但し、全てのアンテナの信号をそれぞれ評価すれば、各アンテナの特性をチェックすることが可能になり、評価信頼性を向上できる。
図4(B)は、図4(A)に示す電磁波パルス信号を、各相(左、中央、右ブッシング)に分離した電磁波パルス信号を例示している。さらに、図4(C)は相分離後の信号を再度結合した信号を例示している。電磁波パルス信号を相分離することにより、図4(B)に示すように各相での発生の様子や、相互の発生タイミングの関係が分かる。三相機器の場合は各相の120度ずつ位相がずれている情報が混在するので、各相毎の位相特性を求めないと、正しく表示されていない可能性がある。そのため、相分離の処理が必要であり、最終的な結果表示として相分離後の位相特性を表示する。各相に分離した電磁波パルス信号は、後述する位相角特性の評価に用いる。なお、これを一つにまとめることにより、図4(C)に見られるように、三相機器のどの相からの放電が、どのようなタイミングで、どのように(例えば、交互にある特定の相で固まって)発生しているかを理解することができる。また、ノイズもどのようなタイミングで発生しているかも分かる(ノイズだけを取り出して表示することもできる)。
発生源特定部(図2)は、各相に分離して識別された電磁波パルス信号(放射電磁波パルスの時系列特性)を、印加交流電圧の位相との相関、即ち電源電圧周期に対応する位相特性で評価し、パターン発生の有無とそのパターン形状により、信号であるか、および信号の場合は異物種(突起や異物)など発生源の特定を行う。以下、さらに、左ブッシングを例として説明するが、中央ブッシング或いは右ブッシングの場合も同様であるので、その説明は省略する。
図6は、相分離された左ブッシングの位相角特性を例示する図である。図6において、横軸が印加電圧の位相(電源電圧は60Hzの場合、1/60(s)の正弦波の位相:30°/目盛)を表し、縦軸がこの場合は電磁波の振幅強度VPP(mV)を表している。三相機器の場合、3つの120度ずつずれた正弦波があるが、図6に示す正弦波は、左ブッシング(A相)に印加される電圧位相を表している。この図中に、各電磁波パルス(4個のパルスを+記号で表示)を例示している。
上述のようにして相分離することにより、例えば、左ブッシング領域(A相)に対応するパルス信号(図4(B))を抽出し、次に、その抽出されたパルス信号を印加電圧の周波数で周期特性を求める。その周期特性から、電源電圧と同期計測していればその位相情報による位相角特性を求める。但し、通常は同期計測していないため、電源周波数に基づき、60Hz系統ならば60Hz周期で検出電磁波信号を整理する。その整理したデータで位相角特性を求めることになるが、位相の絶対値は未知である。このため、電磁波信号パルスを特定個数だけ取得していく場合、最初に取得された信号の位相を0度と仮に仮定する。そうすると、それ以降の測定波形は、取得時間の情報があるため、電源電圧の周期に基づき、位相が特定される。このようにして位相を定義したものをまとめると、最初の波形を0度とした場合の位相特性が表示される。このパターンの横軸は、相対的には正しいので、本当の絶対的な位相を特定するために、0度から少しずつ、たとえば、1度ずつずらしていき、最もそれらしい位相に対するパターンとなった位相で、位相特性を決定する。なお、最もそれらしいパターンとは、従来からよく知られているφ-q-n(電源電圧位相−電荷量−その発生頻度)パターン、あるいは、別途電磁波に対して各種欠陥や異物で取得したφ-Vpp(電源電圧位相−振幅強度)パターンである。
相分離することにより、例示のように、電磁波パルスは、ある特定の位相のところで重なり合うパターンとなる傾向が見られる。取得したパターンは、各異物に対して事前に取得しているデータベースと照合してパターンマッチングし、信号かノイズかの評価をする。そのパターン有無やパターン有りの場合は、放電信号であることとその欠陥種の評価と表示を行う。高電圧導体やタンク(接地側)に付着した突起や異物による放電パターンは、正弦波のピーク値付近、90度や270度付近に現れることや、固体や液体中のボイドなどでの放電パターンは、ゼロクロス、0度や180度付近に現れることなど、が知られている。ノイズの場合は、ランダムになり、パターンは見られない。図6に例示のパターンは、90度と270度付近に現れていることからして、図4に示す左ブッシングの放電は、高電圧導体やタンク(接地側)に付着した突起や異物によるものであると判断でき、この結果は、表示画面上に表示する。
図2に示す表示部は、電磁波パルスが発生している特定の分割領域、或いは特定の分割領域に属する電磁波パルス数を可視化データとして、また、領域外の電磁波パルスをノイズとして、さらに、電磁波パルス信号の妥当性を、画像カメラで撮像された画像の上に重ねて表示する。この表示は、例えば、特定領域の色を変えて表示したり、或いは図1(B)に例示したように、特定領域に属する電磁波パルス数を数字によって表示することで行う。例えば、単位時間あたり、あるいはある特定の測定時間あたり、あるいはある個数個の測定あたりの放電の発生個数或いはその比率の数値表示を、その発生位置の画像上に表示する。三相機器の各相の異なる位相の電圧がかかっている部位を特定することにより、どの相から、あるいは信号であるかノイズであるかを示すことができる。それに加えて、ノイズではなく、信号と判断された場合は、突起や異物など発生源の表示を行う。放電信号である場合は、パターンの形状により、その発生原因である欠陥種を同定する。例えば、欠陥種は、印加電圧ピーク値付近でパターン形成が行われる「導体突起など」か、印加電圧のゼロクロス付近でパターン形成が行われる「絶縁物内のボイドや剥離など」のように表示する。
図7は、電磁波立ち上がり極性の定義を説明する図である。(A)に示すように、電磁波の正のピークと負のピークが、負から正となって表れるものを正サイクルでの放電(正極性放電)と定義し、逆に、(B)に示すように、正から負となって表れるものを負サイクルでの放電(負極性放電)と定義する。この定義に基づき、図6に示す各電磁波パルスを表示したものが図8である。
図8に示すように、電源電圧位相の正のサイクルの間に正極性放電が起こり、また、負のサイクルの間に負極性放電が起こっていることが分かる。各正負のサイクルに発生すると評価されたものが、その極性の信号と確認することにより、結果の正しさ、妥当性を支持することができる。

Claims (7)

  1. 電磁波発生源から複数のアンテナに到達する電磁波パルス信号の時間差を測定して、電磁波発生源の位置を特定し、かつ、電磁波発生源を含む測定対象領域の範囲を分割した分割領域によって前記特定した電磁波発生源の位置を、画像カメラが写した背景画像に重畳して表示する表示部を備えた多相電力機器の絶縁診断装置において、
    前記表示部は、電磁波発生源の位置表示を座標や距離の測定値ではなく、対象面中の領域を特定することで行うと共に、電磁波パルス信号の妥当性を、領域外識別部及び相毎の特性評価部において評価して、表示し
    前記相毎の特性評価部は、信号の妥当性を各相毎に判断するために、電磁波パルス信号を相毎に分離する相分離部と、各相に分離して識別された電磁波パルス信号をそれぞれ、電源電圧周期に対応する位相特性で評価し、パターン発生の有無とそのパターン形状により、信号であるか、および信号の場合は発生源の特定を行う発生源特定部とを備え
    前記領域外識別部は、電磁波発生源の位置を分割領域によって特定した可視化データ及び画像カメラにより取得した背景画像に基づき、受信信号が、放電発生の可能性の無い領域外からのノイズであることを識別する、
    ことから成る多相電力機器の絶縁診断装置。
  2. 前記特定した電磁波発生源の位置の表示は、電磁波発生源が属すると特定した分割領域の色を変えることによって、或いは特定した分割領域に属する電磁波パルス数を数字によって表示する請求項1に記載の多相電力機器の絶縁診断装置。
  3. 前記領域外識別部は、背景画像の自動認識技術により、後ろに放電が発生する可能性のある場所と、発生する可能性の無い場所を識別し、関連ない場所に標定された場合は、それは信号ではないノイズであるとして表示部に出力する請求項に記載の多相電力機器の絶縁診断装置。
  4. 前記相分離部は、撮影した風景画像を、事前に作製した各種電力設備の画像データベースとのパターンマッチングによる照合により、特定された分割領域がいずれの相の機器であるのか判断する物体認識技術を用いて相分離する請求項1に記載の多相電力機器の絶縁診断装置。
  5. 電磁波発生源から複数のアンテナに到達する電磁波パルス信号の時間差を測定して、電磁波発生源の位置を特定し、かつ、電磁波発生源を含む測定対象領域の範囲を分割した分割領域によって前記特定した電磁波発生源の位置を、画像カメラが写した背景画像に重畳して表示する多相電力機器の絶縁診断方法において、
    前記電磁波発生源の位置の表示は、座標や距離の測定値ではなく、対象面中の領域を特定することで行うと共に、電磁波パルス信号の妥当性を、領域外識別評価及び相毎の特性評価によって行い、かつ、その結果を表示し
    前記相毎の特性評価は、電磁波パルス信号を相毎に分離し、各相に分離して識別された電磁波パルス信号をそれぞれ、電源電圧周期に対応する位相特性で評価し、パターン発生の有無とそのパターン形状により、信号であるか、および信号の場合は発生源の特定を行なって、信号の妥当性を各相毎に判断し、
    前記領域外識別評価は、電磁波発生源の位置を分割領域によって特定した可視化データ及び画像カメラにより取得した背景画像に基づき、受信信号が、放電発生の可能性の無い領域外からのノイズであることを識別する、
    ことから成る多相電力機器の絶縁診断方法。
  6. 前記特定した電磁波発生源の位置の表示は、電磁波発生源が属すると特定した分割領域の色を変えることによって、或いは特定した分割領域に属する電磁波パルス数を数字によって表示する請求項に記載の多相電力機器の絶縁診断方法。
  7. 前記相分離は、撮影した風景画像を、事前に作製した各種電力設備の画像データベースとのパターンマッチングによる照合により、特定された分割領域がいずれの相の機器であるのか判断する物体認識技術を用いて相分離する請求項に記載の多相電力機器の絶縁診断方法。
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