JP6143168B2 - 光触媒塗布体 - Google Patents

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本発明は、基材表面に光触媒塗膜を有する光触媒塗布体、及びその製造方法に関する。
酸化チタン粒子は紫外線を吸収すると強い酸化作用を発揮するため、近年、様々な用途に光触媒として利用されている(例えば、下記(1)〜(5))。
(1)自動車の排気ガス等から排出される窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)等の環境汚染物質を分解することによる大気浄化
(2)アンモニア、アセトアルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタン等の悪臭物質を分解することによる脱臭
(3)テトラクロロエチレンやトリハロメタン等の有機塩素化合物を分解することによる浄水
(4)殺菌し、更にその死骸を分解することによる抗菌
(5)油分を分解することにより、油分に砂や垢が付着して生じる汚れを防止する防汚
上記用途に用いられる酸化チタン粒子は、通常、飛散や留出を防止するため基材に固定した状態で用いられる。基材への固定方法としては、基材上に酸化チタン粒子を塗布し、400℃以上の高温で焼結して固定させる方法や、基材表面に難分解性結着剤(フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー、ケイ素化合物等)を含む結着層を設け、その上に光触媒塗膜を積層することにより強固に固定する方法が知られている(特許文献1)。
しかし、プラスチック等の熱に弱い基材には高温で焼結する方法を適用することは困難であった。また、高温加熱処理により酸化チタン粒子が凝集してその比表面積が低下し、光触媒能が低下することも問題であった。一方、難分解性結着剤により結着層を設ける方法によれば熱に弱い基材にも光触媒塗膜を固定することができるが、前記難分解性結着剤は水に溶解すると固化又は凝集するため、溶剤としてトルエンなどの有機溶剤をする必要があることが問題であった。近年、有機溶剤は、火災や悪臭、健康被害、環境汚染等の原因になることから、使用量の削減が進められているためである。すなわち、有機溶剤の使用量を削減しつつ、熱に弱い基材にも、光触媒能を損なうことなく光触媒塗膜を強固に固定する方法は、未だ見出されていないのが現状である。
特開平10−225640号公報
従って、本発明の目的は、有機溶剤の使用量を削減しつつ、且つ光触媒能を損なうことなく光触媒塗膜を基材表面に強固に固定して得られる光触媒塗布体を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記光触媒塗布体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記目的を達成するため鋭意検討した結果、水に易溶解性を示す親水性基含有樹脂を結着剤として使用すると、有機溶剤を使用することなく基材表面に結着層を形成することができ、得られた結着層は光触媒塗膜の光触媒能を損なうことなく基材と光触媒塗膜とを強固に固定することができること、熱に弱い基材にも光触媒塗膜を強固に固定することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、基材表面に、親水性基含有樹脂を含む結着層を介して、水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を含有する光触媒塗膜が設けられていることを特徴とする光触媒塗布体を提供する。
本発明は、また、親水性基含有樹脂がポリビニルアルコールである前記の光触媒塗布体を提供する。
本発明は、また、水溶性バインダー成分が、過酸化チタン、ケイ素系化合物、及びフッ素系樹脂から選択される少なくとも1種である前記の光触媒塗布体を提供する。
本発明は、また、遷移金属化合物担持酸化チタン粒子における酸化チタン粒子が、ルチル型酸化チタン粒子である前記の光触媒塗布体を提供する。
本発明は、また、遷移金属化合物担持酸化チタン粒子が鉄化合物担持酸化チタン粒子である前記の光触媒塗布体を提供する。
本発明は、また、基材表面に親水性基含有樹脂を含む結着層形成用塗布液を塗布して結着層を設け、その後、水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を含有する光触媒塗膜用塗布液を塗布して光触媒塗膜を設けることを特徴とする光触媒塗布体の製造方法を提供する。
本発明の光触媒塗布体は上記構成を有するため、光触媒塗膜が基材表面に強固に固定され、外圧によって剥がれることがない。また、前記光触媒塗膜は遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を含有するため、紫外線域から可視光線域までの広い波長範囲に応答性を有し、太陽光や白熱灯、蛍光灯等の通常の生活空間における光を吸収して、高い触媒活性を発揮することができる。そのため、室内の壁紙や家具をはじめ家庭内や病院、学校等の公共施設内での環境浄化、家電製品の高機能化等、広範囲に応用が可能である。
[光触媒塗布体]
本発明の光触媒塗布体は、基材表面に、親水性基含有樹脂を含む結着層を介して、水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を含有する光触媒塗膜が設けられていることを特徴とする。
[結着層]
本発明の結着層は親水性基含有樹脂を含むことを特徴とする。前記親水性基含有樹脂の親水性基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基等を挙げることができる。本発明においては、なかでも親水性基としてヒドロキシル基を有する樹脂が水との親和性に優れる点で好ましく、ポリビニルアルコールを好適に使用することができる。
例えば、親水性基含有樹脂がポリビニルアルコールである場合、そのケン化度は、例えば60〜100モル%程度、好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは95〜100モル%である。ケン化度が上記範囲を下回ると、基材表面に塗布した際にハジキが生じ、塗布ムラが発生しやすくなる傾向がある。
親水性基含有樹脂の重合度は、例えば100〜3000程度、好ましくは500〜2500、特に好ましくは1000〜2000、最も好ましくは1500〜2000である。重合度が上記範囲を下回ると、結着層表面に光触媒塗膜用塗布液を塗布する際や、光触媒塗布体に水が付着した際に結着層が溶解し易くなり、耐水性が低下する傾向がある。一方、重合度が上記範囲を上回ると、水に溶解し難くなり、結着層の形成が困難となる傾向がある。
本発明においては、例えば、商品名「クラレポバール」((株)クラレ製)、商品名「ゴーセノール」((株)日本合成化学製)等の市販品を使用することができる。
結着層を形成する不揮発分全量(100重量%)における親水性基含有樹脂の割合は、例えば75〜99重量%程度、好ましくは80〜98重量%、特に好ましくは85〜95重量%である。
結着層を形成する不揮発分には前記親水性基含有樹脂以外にも他の成分を含有していても良い。他の成分としては、例えば、親水性基含有樹脂以外の水溶性樹脂(以後、「他の水溶性樹脂」と称する場合がある)等を挙げることができる。結着層に他の水溶性樹脂を含有すると、光触媒塗膜を基材表面により一層強固に接着することができる点で好ましい。
他の水溶性樹脂としては、例えば、親水性ポリアミド、親水性ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリ尿素、ポリチオ尿素、ポリアルキレンイミン[例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリジメチルエチレンイミン、ポリペンチレンイミン、ポリヘキシレンイミン、ポリヘプチレンイミン、ポリオクチレンイミン等のポリ(C2-8、好ましくはC2-4)アルキレンイミン]、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリアミノ酸などのアミノ基やイミノ基を有するポリマー、及びこれらの共重合体や他のモノマーとの共重合体等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
他の水溶性樹脂の重量平均分子量は、例えば10000〜200000程度、好ましくは10000〜150000、特に好ましくは50000〜100000である。
結着層を形成する不揮発分全量(100重量%)における他の水溶性樹脂の割合は、例えば1〜25重量%以下程度、好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%である。他の水溶性樹脂を上記範囲で含有することにより、結着層の接着性をより一層向上することができる。
結着層は、親水性基含有樹脂と必要に応じて他の成分を水に溶解して得られる結着層用塗布液を基材表面に塗布することにより形成することができる。
結着層用塗布液中の全不揮発分濃度は、塗布作業性等を損なわない範囲内において適宜選択することができ、例えば0.1〜10重量%程度、好ましくは0.3〜5重量%、特に好ましくは0.5〜2重量%である。
結着層用塗布液の塗布は、例えば、スプレー、刷毛、ローラー、グラビア印刷等により行うことができる。基材表面に結着層用塗布液を塗布した後は、乾燥(溶媒を蒸発)させることよって、速やかに塗膜を形成することができる。乾燥方法としては、室温で乾燥させてもよく、加熱して乾燥させてもよい。
結着層厚みは、例えば0.005〜10μm程度、好ましくは0.01〜5μm、特に好ましくは0.03〜3μmである。結着層厚みが上記範囲を下回ると、基材と光触媒塗膜を強固に固定することが困難となる傾向がある。
[光触媒塗膜]
本発明の光触媒塗膜は、水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を含有する。本発明の光触媒塗膜は水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を溶媒に分散して得られる光触媒塗膜用塗布液を用いて形成される。光触媒塗膜用塗布液には水溶性バインダー成分、遷移金属化合物担持酸化チタン粒子、及び溶媒以外にも他の成分(例えば、分散剤、塗布助剤等の通常光触媒塗膜用塗布液に配合される成分)を全量の10重量%以下程度含有していても良い。
(水溶性バインダー成分)
本発明における水溶性バインダー成分は、遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を基材(被塗装体)に固定する働きを有するものであり、例えば、過酸化チタン(=ペルオキソチタン酸)、ケイ素系化合物、及びフッ素系樹脂から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
過酸化チタンは、下記式(1)で表される二核錯体であると考えられる。
Ti25(OH)x (2-x) (1)
(式中、xは1〜6の整数を示す)
過酸化チタンは、例えば、塩基性物質(例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム等)の存在下で、TiCl4等のチタン化合物の水溶液に過酸化水素水を添加することにより合成することができる。
ケイ素系化合物としては、例えば、テトラブロモシラン、テトラクロロシラン、トリブロモシラン、トリクロロシラン、ジブロモシラン、ジクロロシラン、モノブロモシラン、モノクロロシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジクロロメチルシラン、ジクロロエチルシラン、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロジメチルシラン、クロロジエチルシラン、クロロメチルシラン、クロロエチルシラン、t−ブチルクロロジメチルシラン、t−ブチルクロロジエチルシラン等のハロゲン化シラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メトキシシラン、エトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシエチルシラン、ジエトキシエチルシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、メトキシジエチルシラン、エトキシジエチルシラン等のアルコキシシラン化合物等を挙げることができる。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポリマー、ビニルエーテル−フルオロオレフィンコポリマー、ビニルエステル−フルオロオレフィンコポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、クロロトリフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレンウレタン架橋体、テトラフルオロエチレンエポキシ架橋体、テトラフルオロエチレンアクリル架橋体、テトラフルオロエチレンメラミン架橋体等を挙げることができる。
本発明の水溶性バインダー成分としては、なかでも、過酸化チタンを少なくとも含むことが好ましく、水溶性バインダー成分全量に占める過酸化チタンの割合は、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、特に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは75重量%以上である。過酸化チタンは成膜性が高く、塗布、乾燥することにより、優れた密着性を有する塗膜を速やかに形成することができ、しかも、酸化チタン粒子の光触媒作用によっても分解されることがないため、耐久性に優れ、長期に亘って、基材(被塗装体)表面に酸化チタン粒子を固定することができるからである。
(遷移金属化合物担持酸化チタン粒子)
本発明では光触媒として遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を用いる。遷移金属化合物担持酸化チタン粒子は、紫外線域から可視光線域までの広い波長範囲に応答性を有し、太陽光や白熱灯、蛍光灯等の通常の生活空間における光源下でも高い触媒活性を発揮することができるからである。
遷移金属化合物担持酸化チタン粒子における「酸化チタン粒子」としては、例えば、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型酸化チタン粒子等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、ルチル型酸化チタン粒子が好ましい。
前記遷移金属化合物としては、可視光領域に吸収スペクトルを有し、励起状態で伝導帯に電子を注入することができるものが好ましく、例えば、周期表第3〜第11族元素化合物、なかでも周期表第8〜第11族元素化合物が好ましく、特に鉄化合物(とりわけ、三価の鉄化合物)が好ましい。鉄化合物の酸化チタン粒子への担持においては、三価の鉄化合物は吸着しやすく、二価の鉄化合物は吸着しにくい特性を有するため、その特性を利用することにより容易に面選択性を付与することができるからである。
前記遷移金属化合物は、遷移金属イオン、遷移金属単体、遷移金属塩、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属錯体等のいずれの状態で酸化チタン粒子に担持されていてもよい。
遷移金属化合物の担持量としては、酸化チタン粒子に対して重量基準で、例えば50ppm以上、好ましくは100ppm以上、更に好ましくは200ppm以上、特に好ましくは300ppm以上、最も好ましくは500ppm以上である。遷移金属化合物の担持量の上限は、例えば5000ppm程度、好ましくは3000ppm、特に好ましくは2000ppmである。遷移金属化合物の担持量が上記範囲を上回ると、励起電子が有効に作用せず、光触媒能が低下する傾向がある。一方、遷移金属化合物の担持量が少なすぎると、可視光線応答性が低下する傾向がある。
遷移金属化合物は、酸化チタン粒子の露出結晶面における酸化反応面又は還元反応面のうち一方の面(特に、酸化反応面)に選択的に担持されることが、酸化反応と還元反応の反応場を空間的により大きく引き離すことができ、それにより励起電子とホールの分離性を高め、励起電子とホールの再結合及び逆反応の進行を極めて低いレベルにまで抑制することができ、より高い光触媒作用を発揮することができる点で好ましい。
酸化チタン粒子のうち、ルチル型酸化チタン粒子の主な露出結晶面としては、例えば、(110)(001)(111)(011)面等を挙げることができる。ルチル型酸化チタン粒子としては、例えば、(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子、(110)(011)面を有するルチル型酸化チタン粒子、(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、酸化反応と還元反応の反応場を空間的により大きく引き離すことができ、励起電子とホールとの再結合及び逆反応の進行を抑制することができる点で、(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子、(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子が好ましい。前記(111)面と(001)面は酸化反応面であり、(110)面は還元反応面である。
従って、本発明における遷移金属化合物担持酸化チタン粒子としては、なかでも、(110)(111)面を有し、前記(111)面に遷移金属化合物が担持されたルチル型酸化チタン及び/又は(110)(111)(001)面を有し、前記(001)(111)面に遷移金属化合物が担持されたルチル型酸化チタン粒子が好ましい。
なお、本発明において、「遷移金属化合物が選択的に担持」とは、露出結晶面を有する酸化チタン粒子に担持する遷移金属化合物の50%を超える量(好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上)が2面以上の露出結晶面のうち、全ての面ではなく、特定の面(例えば、特定の1面又は2面等)に担持されていることをいう。遷移金属化合物の担持は、透過型電子顕微鏡(TEM)やエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を使用し、露出結晶面上の遷移金属化合物由来のシグナルを確認することで判定できる。
酸化チタン粒子としては、公知の方法により製造されたものを使用することができる。
また、酸化チタン粒子のうち、(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子や(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子は、例えば、チタン化合物を、水性媒体(例えば水、又は水と水溶性有機溶媒との混合液)中で水熱処理[例えば100〜200℃、3〜48時間(好ましくは6〜12時間)]することにより合成することができる。
前記チタン化合物としては、3価のチタン化合物、4価のチタン化合物を挙げることができる。3価のチタン化合物としては、例えば、三塩化チタンや三臭化チタン等のトリハロゲン化チタン等を挙げることができる。3価のチタン化合物としては、なかでも安価で、入手が容易な点で三塩化チタン(TiCl3)が好ましい。
また、4価のチタン化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物等を挙げることができる。
Ti(OR1t4-t (1)
(式中、R1は炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示す。tは0〜3の整数を示す)
1における炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等のC1-4脂肪族炭化水素基等を挙げることができる。
Xにおけるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素原子等を挙げることができる。
このような4価のチタン化合物としては、例えば、TiCl4、TiBr4、TiI4等のテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(OC49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(OC49)Br3等のトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH32Cl2、Ti(OC252Cl2、Ti(OC492Cl2、Ti(OC252Br2等のジハロゲン化ジアルコキシチタン;Ti(OCH33Cl、Ti(OC253Cl、Ti(OC493Cl、Ti(OC253Br等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン等を挙げることができる。本発明における4価のチタン化合物としては、なかでも安価で、入手が容易な点で、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタン(TiCl4)が好ましい。
特に、前記チタン化合物として4価のチタン化合物を使用する場合は、反応温度110〜220℃(好ましくは130〜220℃)、その反応温度における飽和蒸気圧以上の圧力下、水性媒体中で2時間以上(好ましくは5〜15時間)水熱処理を施すことにより(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子及び/又は(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子を合成することができる。
(001)(110)(111)面を有するルチル型酸化チタンは、その他、(110)(111)面を有するルチル型酸化チタン粒子を硫酸(好ましくは50重量%以上の高濃度の硫酸、特に好ましくは濃硫酸)中に投入し、加熱下で撹拌することにより、酸化チタン粒子の稜又は頂点の部位を浸食(溶解)して合成することもできる。
上記方法により得られた酸化チタン粒子は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
酸化チタン粒子の比表面積としては、例えば10m2/g以上、好ましくは10〜200m2/g、より好ましくは10〜150m2/g、更に好ましくは30〜150m2/g、特に好ましくは50〜100m2/g、最も好ましくは60〜100m2/gである。酸化チタン粒子の比表面積が上記範囲を下回ると、反応物質を吸着する能力が低下して光触媒能が低下する傾向がある。一方、酸化チタン粒子の比表面積が上記範囲を上回ると、励起電子とホールの分離性が低下し、光触媒能が低下する傾向がある。
酸化チタン粒子の形状は、特に限定されないが、棒状或いは針状が好ましく、酸化チタン粒子の平均アスペクト比(長径/短径)は例えば1.5以上、好ましくは1.5〜100、より好ましくは1.5〜50、特に好ましくは1.5〜20、最も好ましくは2〜15である。平均アスペクト比が上記範囲である酸化チタン粒子は、水溶性バインダー成分と混合した際に、球形に近い酸化チタン粒子を使用した場合と比べて粗く充填されるため、光触媒塗膜に多数の細孔を形成することができ、表面積を大きく広げ、塗膜表面への光触媒の露出量を増やすことができるため、光触媒能を向上することができる。
尚、本発明において平均アスペクト比は下記調整方法で得られたサンプルについて、下記測定方法で求めた値である。
<サンプル調製方法>
1.少量(耳かきサイズのスパチュラで半分程度)の酸化チタン粒子を9mLのガラス製サンプル瓶に入れ、エタノールを7mL入れ、超音波洗浄器にて超音波を5分間かけてエタノール中に分散させエタノール分散液を得る。
2.得られたエタノール分散液をガラス製スポイドで1滴取り、SEM用試料台の上に落として自然乾燥させた後、30秒間白金蒸着を行う。
<測定方法>
電界放出型走査電子顕微鏡(商品名「FE-SEM JSM-6700F」、日本電子(株)製、加速電圧:15kV、WD:約3mm、倍率:20万倍)を使用して結晶粒子をランダムに観察し、代表的な3カ所を抽出し、抽出されたSEM写真全体の中で、見た目に極端に大きく又は小さくなく、平均的な大きさの粒子を中心に輪郭がはっきりしている粒子30個を抽出してOHPシートに写し、それらの粒子について、画像解析ソフトウェア(商品名「WinROOF Version5.6」、三谷商事(株)製)を用いて各短径(最大長径に直交する幅)を求め、それらの値を平均して平均短径とした。また、同様の方法で平均長径(最大長径)を求め、これらの比(平均長径/平均短径)を平均アスペクト比とした。
遷移金属化合物の酸化チタン粒子への担持は、例えば、酸化チタン粒子に遷移金属化合物を含浸する含浸法により行うことができる。
含浸は、具体的には、酸化チタン粒子の水分散液中に遷移金属化合物を添加することにより行うことができ、例えば、遷移金属化合物として三価の鉄化合物を使用する場合は、鉄化合物(例えば、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)等)を添加することにより行うことができる。
含浸時間としては、例えば0.5〜24時間程度、好ましくは1〜10時間である。
そして、酸化チタン粒子に遷移金属化合物を含浸する際には励起光を照射することが好ましい。励起光を照射すると、酸化チタン粒子の価電子帯の電子が伝導帯に励起し、価電子帯にホール、伝導帯に励起電子が生成し、これらは粒子表面へ拡散し、各露出結晶面の特性に従って励起電子とホールとが分離されて酸化反応面と還元反応面とを形成する。この状態で遷移金属化合物として、例えば三価の鉄化合物の含浸を行うと、三価の鉄化合物は酸化反応面には吸着するが、還元反応面では三価の鉄化合物は二価の鉄化合物に還元され、二価の鉄化合物は吸着しにくい特性を有するため溶液中に溶出し、結果として酸化反応面にのみ鉄化合物が担持された遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を得ることができる。
励起光の照射方法としては、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーを有する光を照射することができればよく、例えば、紫外線を照射することにより行うことができる。紫外線照射手段としては、例えば、中・高圧水銀灯、UVレーザー、UV−LED、ブラックライト等の紫外線を効率よく生成する光源を使用した紫外線露光装置等を使用することができる。励起光の照射量としては、例えば0.1〜300mW/cm2程度、好ましくは1〜5mW/cm2である。
さらに、本発明においては、含浸の際に犠牲剤を添加してもよい。犠牲剤を添加することにより、酸化チタン粒子表面において、特定の露出結晶面に高い選択率で遷移金属化合物を担持することができる。犠牲剤としては、それ自体が電子を放出しやすい有機化合物を使用することが好ましく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;酢酸等のカルボン酸;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエタノールアミン(TEA)等のアミン等を挙げることができる。
犠牲剤の添加量は適宜調整することができ、例えば、酸化チタン溶液の0.5〜5.0重量%程度、好ましくは1.0〜2.0重量%である。犠牲剤は過剰量を使用してもよい。
上記方法により得られた遷移金属化合物担持酸化チタン粒子は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
(溶媒)
溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を使用できる。前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等のアルコール;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の鎖状又は環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等のケトン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
光触媒塗膜用塗布液には、上記水溶性バインダー成分、遷移金属化合物担持酸化チタン粒子、及び溶媒を少なくとも含有する。
光触媒塗膜用塗布液における遷移金属化合物担持酸化チタン粒子の含有量は、例えば0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。
また、光触媒塗膜用塗布液における水溶性バインダー成分の含有量(不揮発分換算)は、遷移金属化合物担持酸化チタン粒子100重量部に対して、例えば1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜25重量部である。水溶性バインダー成分の含有量が上記範囲を上回ると、光触媒能が低下する傾向がある。一方、水溶性バインダー成分の含有量が上記範囲を下回ると、基材に対する密着性が低下する傾向がある。
光触媒塗膜用塗布液中の全不揮発分濃度は、塗布作業性等を損なわない範囲内において適宜選択することができ、例えば0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。
光触媒塗膜用塗布液は、水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子と溶媒とを、例えば、ビーズミル、ジェットミル、ロールミル、ハンマーミル、振動ミル、ボールミル、サンドミル、パールミル、スパイクミル、アジテータミル、コボールミル等の分散機(特に、メディア撹拌型分散機)を用いて混合することにより調製することができる。
光触媒塗膜用塗布液の塗布量は、遷移金属化合物担持酸化チタン粒子の含有量が、例えば0.1g/m2以上(好ましくは0.1〜5.0g/m2、特に好ましくは0.1〜3.0g/m2、最も好ましくは0.1〜1.5g/m2)である。光触媒塗膜用塗布液の塗布量が上記範囲を下回ると、光触媒能が低下する傾向がある。
光触媒塗布体は、基材表面に親水性基含有樹脂を含む結着層形成用塗布液を塗布して結着層を設け、その後、水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を含有する光触媒塗膜用塗布液を塗布して光触媒塗膜を設けることにより形成される。
前記基材の素材としては、特に限定されることがなく、各種プラスチック材料[例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等]、ゴム材料(例えば、天然ゴム、合成ゴム、シリコンゴム等)、金属材料(例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス等)、紙質材料(例えば、紙、紙類似物質等)、木質材料(例えば、木材、MDF等の木質ボード、合板等)、繊維材料(例えば、不織布、織布等)、革材料、無機材料(例えば、石、コンクリート等)、ガラス材料、磁器材料等の各種の素材を挙げることができる。これらのなかでも、前記基材として、プラスチック製基材(プラスチック製シート等)が好ましい。
用途からみた基材としては特に制限されることがなく、例えば、レンズ(眼鏡やカメラのレンズ等)、プリズム、自動車や鉄道車両等の乗物部材(窓ガラス、照明灯カバー、バックミラー等)、建築部材(外壁材、内壁材、窓枠、窓ガラス等)、機械構成部材、交通標識等の各種表示装置、広告塔、遮音壁(道路用、鉄道用等)、橋梁、ガードレ−ル、トンネル、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、照明器具、浴室用品、浴室部材(鏡、浴槽等)、台所用品、台所部材(キッチンパネル、流し台、レンジフード、換気扇等)、空調、トイレ用品、トイレ部材(便器等)等の抗菌・防カビ、脱臭、大気浄化、水質浄化、防汚効果が期待される物品や、前記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等を挙げることができる。
こうして形成された光触媒塗布体は、光触媒塗膜が基材(被塗装体)表面に対して優れた密着性を有する。そのため、高い硬度を有し、耐傷性に優れる。
更に、本発明の光触媒塗布体は高温加熱処理を経ることなく形成されるため、優れた光触媒能を有し、光の照射によって有害化学物質を水や二酸化炭素にまで分解することが可能である。そのため、抗菌・防かび、脱臭、大気浄化、水質浄化、防汚等の様々な用途に使用することができる。更に、従来の酸化チタン光触媒は紫外線の少ない室内では機能が充分に発揮できず、室内用途への応用はなかなか進まなかったが、本発明の光触媒塗布体は、紫外線域から可視光線域までの広い波長範囲に応答性を有し、太陽光や白熱灯、蛍光灯等の通常の生活空間における光を吸収して、高い触媒活性を発揮することができる。そのため、室内等の低照度環境でも高いガス分解性能や抗菌作用を示し、室内の壁紙や家具をはじめ家庭内や病院、学校等の公共施設内での環境浄化、家電製品の高機能化等、広範囲に応用が可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1<鉄化合物担持酸化チタン粒子の調製>
(粗酸化チタン水分散液の調製)
室温(25℃)にて、四塩化チタン水溶液(Ti濃度:16.5重量%±0.5重量%、塩素イオン濃度:31重量%±2重量%、東邦チタニウム(株)製)をTi濃度が5.6重量%になるように純水で希釈した。希釈後の四塩化チタン水溶液5650gを容量10Lのタンタルライニングのオートクレーブに入れ密閉した。熱媒を用い、2時間かけて上記オートクレーブ内温度を140℃まで昇温した。その後、撹拌しつつ、温度:140℃、圧力:その温度における蒸気圧の条件下で10時間保持した後、熱媒を冷却することによりオートクレーブを冷却した。オートクレーブ内温度が40℃以下になったことを確認して、粗酸化チタン水分散液5650gを取り出した。
(クロスフロー方式による膜濾過処理(1))
得られた粗酸化チタン水分散液を、中空糸型限外濾過膜(商品名「FS03−FC−FUS03C1」、材質:PES、公称分画分子量:3万、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を用い、室温(25℃)、濾過圧力0.02MPaにて、透過液量と同量の純水を加えながらクロスフロー方式による濾過処理を行うことにより、酸化チタン水分散液を得た。酸化チタン水分散液の一部を常圧下、105℃で1時間乾燥したところ、(110)(111)面を有する棒状ルチル型酸化チタン粒子と、(110)(111)(001)面を有する棒状ルチル型酸化チタン粒子の混合物であった。
(鉄化合物担持処理)
上記で得られた酸化チタン水分散液に塩化鉄水溶液(35重量%)7.5gを添加し、室温(25℃)にて30分撹拌した。その後、メタノール95g(酸化チタン水分散液の1.7重量%)を添加し、100Wの高圧水銀ランプを用いて紫外線(UV)を3時間照射して(UV照射量:5mW/cm2)、粗鉄化合物担持酸化チタン水分散液を得た。
(クロスフロー方式による膜濾過処理(2))
粗鉄化合物担持酸化チタン水分散液を、中空糸型限外濾過膜(商品名「FS03−FC−FUS03C1」、材質:PES、公称分画分子量:3万、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製)を用い、室温(25℃)、濾過圧力0.02MPaにて、透過液量と同量の純水を加えながらクロスフロー方式による濾過処理を行い、精製鉄化合物担持酸化チタン水分散液を得た。
得られた精製鉄化合物担持酸化チタン水分散液の一部を、常圧下、105℃で1時間乾燥して、鉄化合物担持酸化チタン粒子(比表面積:78m2/g、平均アスペクト比:3)を得た。得られた鉄化合物担持酸化チタン粒子の鉄化合物の含有量は830ppmであった。また、得られた鉄化合物担持酸化チタン粒子は、(110)(111)面を有し、前記(111)面にのみ鉄化合物が担持された棒状ルチル型酸化チタン粒子と、(110)(111)(001)面を有し、前記(001)(111)面に鉄化合物が担持された棒状ルチル型酸化チタン粒子の混合物であった。
調製例2<光触媒塗膜用塗布液の調製>
調製例1で得られた精製鉄化合物担持酸化チタン水分散液(鉄化合物担持酸化チタン粒子濃度:10重量%)、過酸化チタン水溶液(過酸化チタン濃度:1重量%)、メチルエチルケトン、及びイオン交換水を混合して光触媒塗膜用塗布液(1)を得た(鉄化合物担持酸化チタン粒子:3重量%、過酸化チタン:0.26重量%、メチルエチルケトン:10重量%、イオン交換水:86.74重量%)。
調製例3<結着層形成用塗布液の調製>
ポリエチレンイミン(商品名「エポミンP1000」、重量平均分子量:70000、(株)日本触媒製)を樹脂換算0.1重量%、ポリビニルアルコール(商品名「クラレポバールPVA−117」、ケン化度:98〜99モル%、重合度:1700、(株)クラレ製)を樹脂換算0.9重量%、及び水99重量%を含む結着層形成用塗布液(1)を得た。
実施例1
コロナ処理済PETフィルム上に、結着層形成用塗布液(1)を10番手のバーコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥することにより結着層を得た。得られた結着層の厚みは0.1μmであった。その後、結着層表面に調製例2で得られた光触媒塗膜用塗布液(1)を10番手のバーコーターで塗布し、3分間乾燥することにより光触媒塗膜(厚み:0.3μm、鉄化合物担持酸化チタン粒子含有量:0.45g/m2)を形成し、光触媒塗布体(1)を得た。
実施例2
コロナ処理PETフィルム上に、結着層形成用塗布液(1)を2番手のバーコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥することにより結着層を得た。得られた結着層の厚みは0.05μmであった。その後、結着層表面に調製例2で得られた光触媒塗膜用塗布液(1)を10番手のバーコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥することにより光触媒塗膜(厚み:0.35μm、鉄化合物担持酸化チタン粒子含有量:0.52g/m2)を形成し、光触媒塗布体(2)を得た。得られた光触媒塗布体(2)の全体の厚みは0.4μmであった。
比較例1
コロナ処理PETフィルム上に、過酸化チタン1%水溶液を10番手バーコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥することにより結着層を得た。得られた結着層の厚みは0.1μmであった。その後、結着層表面に調製例2で得られた光触媒塗膜用塗布液(1)を10番手のバーコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥することにより光触媒塗膜(厚み:0.3μm、鉄化合物担持酸化チタン粒子含有量:0.45g/m2)を形成し、光触媒塗布体(3)を得た。
比較例2
コロナ処理PETフィルム上に、調製例2で得られた光触媒塗膜用塗布液(1)を10番手バーコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥することにより光触媒塗膜(厚み:0.3μm、鉄化合物担持酸化チタン粒子含有量:0.45g/m2)を形成し、光触媒塗布体(4)を得た。
実施例及び比較例で得られた光触媒塗布体について、クロスカット法(JIS K5600−5−6:1999)により光触媒塗膜の密着性を評価した。また、引っかき硬度(鉛筆法)(JIS K5600−5−4:1999)により耐傷性を評価した。
また、実施例1、2で得られた光触媒塗布体について下記方法で光触媒性能を評価した。
(揮発性有機化合物(VOC)分解試験)
実施例1、2で得られた光触媒塗布体に光照射することで気相中の揮発性有機化合物(VOC)であるメチルメルカプタンを分解させ、その分解量から光触媒性能を評価した。
光触媒塗布体5cm×10cmを反応容器(テドラーバッグ、材質:フッ化ビニル樹脂)の中に入れ、70ppmのメチルメルカプタンガス1Lを反応容器内に吹き込み、室温(25℃)で光照射(蛍光灯1000ルクス)を行った。光照射開始から24時間後の反応容器中のメチルメルカプタン残量を炎光光度検出器付きガスクロマトグラフ(商品名「GC−2010」、(株)島津製作所製)を使用して測定し、初期濃度との差から分解量(%)を算出した。
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 0006143168

Claims (7)

  1. 基材表面に、親水性基としてヒドロキシル基を有する樹脂とポリC 2-8 アルキレンイミンを含む結着層を介して、水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を含有する光触媒塗膜が設けられていることを特徴とする光触媒塗布体。
  2. 親水性基としてヒドロキシル基を有する樹脂がポリビニルアルコールである請求項1に記載の光触媒塗布体。
  3. 水溶性バインダー成分が、過酸化チタン、ケイ素系化合物、及びフッ素系樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の光触媒塗布体。
  4. 遷移金属化合物担持酸化チタン粒子における酸化チタン粒子が、ルチル型酸化チタン粒子である請求項1〜3の何れか1項に記載の光触媒塗布体。
  5. 遷移金属化合物担持酸化チタン粒子が鉄化合物担持酸化チタン粒子である請求項1〜4の何れか1項に記載の光触媒塗布体。
  6. 結着層を形成する不揮発分全量における親水性基としてヒドロキシル基を有する樹脂の割合が75〜99重量%、ポリC 2-8 アルキレンイミンの割合が1〜25重量%である、請求項1〜5の何れか1項に記載の光触媒塗布体。
  7. 基材表面に親水性基としてヒドロキシル基を有する樹脂とポリC 2-8 アルキレンイミンを含む結着層形成用塗布液を塗布して結着層を設け、その後、水溶性バインダー成分と遷移金属化合物担持酸化チタン粒子を含有する光触媒塗膜用塗布液を塗布して光触媒塗膜を設けることを特徴とする光触媒塗布体の製造方法。
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