JP6143052B2 - フーリエ変換ホログラム用ランダム位相マスク - Google Patents
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Description
DVD等の光ディスクを用いた記録方式は多層化によって記録容量を飛躍的に増しているが、記録速度や再生速度の点では限界点に達しつつある。
これは、一つのレーザーヘッドにより時系列的に展開されたデータ列をディスクの回転に伴って順次記録・再生する原理に基づく。
これは、ページデータで形成される信号光をレンズで集光しフーリエ変換像として記録媒質中に一括記録する技術であり、再生時も同様にページデータとして一括再生が可能である。
すなわち、ページデータとして並列に記録・再生が可能なため次世代の記録媒体の有力な候補とされる。
しかしながら、このフーリエ変換ホログラム記録方式において問題点がある。具体的にはレンズで記録情報を有する信号光を集光するため、その焦点位置では極めて急峻な光強度分布が生じ、記録媒体の感光におけるダイナミックレンジを逸脱し、記録情報の劣化が生じる問題である。
これによりホログラム記録特性が改善されることが広く認知され、ホログラム記録システムにおける必須の要素技術として知られている(特許文献1および2、および非特許文献1)。
しかしながら、その原理に基づきサブ波長スケールの高精細な作製技術が要求される仕様となっており簡便な作製は難しい。
しかしながら、その多値の位相レベルを用いた設計により作製プロセスも多段となり、簡便な作製には適さない。
(1) フーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生に使用するランダム位相マスクに用いる光位相変調器の位相変調素子の2値からなるランダム位相変調パターンであって、 前記ランダム位相変調パターンは隣接する同じピクセル・サイズの正方形の微小領域に分割されていて、前記微小領域に関し、位相変調しない無効領域とするかまたは前記微小領域より小さくかつ同じピクセル・サイズの正方形の位相変調領域をその正方形の各辺を前記微小領域の各辺に平行にして配置する微小領域とするかがランダムに決定されていて、前記ランダムに決定された前記微小領域に係る前記位相変調領域は、前記微小領域にその全部が包含されるように、前記微小領域に関しランダムに配置されていることを特徴とするランダム位相変調パターン。
(2) フーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生に使用するランダム位相マスクに用いる光位相変調器の位相変調素子の2値からなるランダム位相変調パターンであって、前記ランダム位相変調パターンは隣接する同じピクセル・サイズの正方形の微小領域に分割されていて、前記微小領域に関し、位相変調しない無効領域とするかまたは任意の大きさで同じピクセル・サイズの正方形の位相変調可能領域をその正方形の各辺を前記微小領域の各辺に平行にして配置する微小領域とするかがランダムに決定されていて、前記ランダムに決定された前記微小領域に係る前記位相変調可能領域は、前記微小領域にその全部が包含されるまたはその一部が重複する(ただし、前記微小領域の全域に重複一致する場合は除く)ように、前記微小領域に関しランダムに配置されているランダム位相変調パターンにおいて、前記位相変調可能領域のうち前記包含される全部と重複する一部の領域が位相変調領域であることを特徴とするランダム位相変調パターン、
を提供できる。
(3) (1)または(2)に記載するランダム位相変調パターンで光位相変調されていることを特徴とするランダム位相マスク、
を提供できる。
さらに、
(4) (3)に記載するランダム位相マスクを使用したことを特徴とするフーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生装置、
を提供できる。
(5) フーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生に使用するランダム位相マスクに用いる光位相変調器の位相変調素子の2値からなるランダム位相変調パターンの作製方法であって、前記ランダム位相変調パターンは隣接する同じピクセル・サイズの正方形の微小領域に分割され、前記微小領域に関し、位相変調しない無効領域とするかまたは前記正方形の微小領域より小さくかつ同じピクセル・サイズの正方形の位相変調領域をその正方形の各辺を前記微小領域の各辺に平行にして配置する微小領域とするかがランダムに決定され、前記ランダムに決定された前記微小領域に係る前記位相変調領域を、前記微小領域にその全部が包含されるように、前記微小領域に関しランダムに配置されることを特徴とするランダム位相変調パターンの作製方法、
と、
(6) フーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生に使用するランダム位相マスクに用いる光位相変調器の位相変調素子の2値からなるランダム位相変調パターンの作製方法であって、前記ランダム位相変調パターンは隣接する同じピクセル・サイズの正方形の微小領域に分割され、前記微小領域に関し、位相変調しない無効領域とするかまたは任意の大きさで同じピクセル・サイズの正方形の位相変調可能領域をその正方形の各辺を前記微小領域の各辺に平行にして配置する微小領域とするかがランダムに決定され、前記ランダムに決定された前記微小領域に係る前記位相変調可能領域は、前記微小領域にその全部が包含されるまたはその一部が重複する(ただし、前記微小領域の全域に重複一致する場合は除く)ように、前記微小領域に関しランダムに配置されるランダム位相変調パターンの作製方法において、前記位相変調可能領域のうち前記包含される全部と重複する一部の領域を位相変調領域とすることを特徴とするランダム位相変調パターンの作製方法、
を提供できる。
前者はコンピュータ制御によって随時位相の空間分布を変更することが出来る特徴を持つ(図1)。
後者は、特定のランダム位相分布を与えるようあらかじめ作成されたフォトマスクを用いるものであり、ランダム位相分布を随時変更する必要がない場合に好適であり、コスト面で大きなメリットが生じる。
ただし、時間的に分布を変更する必要があるか、ないかによって両者は使い分けられるものの、光に対してランダムな位相を付与すると言う機能に関して言えば、両者に違いはない。
ランダム位相分布の設計はホログラム記録に利用する際の要求に応じて行う。
最も大きな制約として、ホログラムで記録される情報であるページデータの空間解像度に比べて、ランダム位相変調の空間解像度が同等か、より高解像であることが好ましい。
(作製方法A)(A−1)まず、空間光変調器の素子上をw×wのピクセル領域(以下微小領域と呼ぶ)に分割する。図2では例示のためw=200としている。
本研究で使用した空間光変調器の有効画素数は横方向(x軸方向)に約800、縦方向(y軸方向)に600であるため、4×3=12の領域に分割されたことになる。
位相変化量0が付与された微小領域は、パターンの上ではブランクとなる。
ランダム化は、上述の12個の微小領域がブランク領域となる確率を例えば50%等適宜設定すればよい。
ランダム化は、x軸およびy軸方向における可能な移動量δxとδyの組み合わせをすべて等しい確率に設定するほか適宜設定すればよい。
ランダムに移動した各位相変調領域に付与する位相変化量Δφを決定する。
作製手法はほぼ同様であるが、(A−3)、(A−4)、(A−5)のステップが異なる。
図3を用いて具体的に説明する。
ただし、それぞれの位相変調領域(位相変調可能領域)が帰属していた微小領域からはみ出した領域(図3右の斜線部)の位相変調は無効(0)とする。
移動量の決定(A−4)、(A−5)は次の様に変わる。
中心位置から移動するため、それぞれ正負の移動量が定義される。
微小領域を位相変調可能領域がはみ出してもよいので、δxとδyの絶対値の最大値δmaxは、原則としては任意とするが、微小領域を位相変調可能領域が完全にはみ出して微小領域がブランク領域となりランダム性に偏りが生じることがないように配慮する。
各位相変調可能領域について、δxとδyはそれぞれ−δmax≦δx≦+δmaxおよび−δmax≦δy≦+δmaxの範囲でランダムに決定し、各微小領域の中で移動する。
また、微小領域が完全に位相変調可能領域に含まれる条件、すなわち、v≧wの場合において、例えば水平移動の場合に0≦δx、δy≦(v−w)/2の範囲にあるδx、δyを設定すると、微小領域全域で位相変調される状態が生じる確率が高くなり、w×w全域での位相変調領域のランダム性に偏りが生じる要因となる。
よって、上述の場合を考慮した範囲で、移動量δxとδyの組み合わせがすべて等しい確率になるようにランダム化して移動すればよい。
ランダムに移動した各位相変調可能領域のうち微小領域に含まれる領域(位相変調領域)に付与する位相変化量Δφを決定する。
ランダム位相変調パターンの作製方法Bは、ランダム位相変調パターンの作製方法Aにおいて位相変調領域の大きさが全ての微小領域内において一定であるという、規則性を排除しさらにランダム性を増加するために付加された手法である。
図5にそのうち40×40のピクセル・サイズを抽出して図示した。
微小領域をw=6とし、位相変調領域をv=4としたランダム位相変調パターンを作製した。
ブランク領域のランダム化は、ランダム位相パターン全体でブランクとなる確率を50%とした。
また作製方法Aと作製方法Bの各微小領域における位相変調(可能)領域のランダム配置に関しては、各配置がほぼ等確率になるように、また作製方法Bではブランク領域や位相変調可能領域に偏りがでないように留意して、ランダム化した。
上記の手順で作製したランダム位相変調パターンが前述の問題を解決していることは、ランダム位相分布によって変調された光がレンズによって集光したときの焦点位置での光強度分布を調べることで検証することができる。
本発明の効果を検証するために、一般的なランダム位相分布と本発明のランダム位相分布のフーリエ変換像を計算した結果を比較する。
一方で、本発明の作製方法Aを用いた場合には全体としてスムースで、中心部に狭帯域化しており、各位相変調領域が空間的にランダムに分布することで、理想的な光強度分布に近いものが得られている。
本発明の作製方法Bを用いた場合には、さらにスムースな分布となり、位相変調分布の形状とサイズがランダムに変化した効果が得られている。
本発明の作製方法Aで狭帯化したスムースなフーリエ変化像が得られ、さらに作製方法Bによりさらにスムースな分布が得られていることが確認できる。
この光強度分布が図4に計算結果で示したフーリエ変換像に相当する。
図7に、実際にフォトディテクター測定した光強度分布を示す。
本発明の作製方法Aによる位相分布を用いた場合には、部分的に集光点が見られるものの、全体としてスムースで狭帯化した強度分布を取る。
図8aにおいても図5の計算結果にて示された結果同様、本発明の作製方法Aによる狭帯化した光強度分布を生成し、さらに作製手法Bによってよりスムースな光強度分布が得られることを示している。
媒体の非線形的な感光特性を考慮して、一般的なランダム位相分布の広がりの両裾(約2500ピクセルの直径)の光強度と本発明の作製方法Bの同じ光強度が露光された領域が再生像の発生に有効に寄与すると見なすと、本発明の作製方法Bでは、図8bより、約1000ピクセルの直径(図8bのx軸で約750から約1750)を持つ領域にデータが記録されるものと推定できる。
しかし、本発明のランダム位相マスクはバイナリ(2値)で所望の効果を発現するものであり、製造の難易度を大幅に下げることが可能であり、産業応用上、優位性を有すると期待できる。
本発明を用いると準備のためのランダム化の計算は条件判別による反復を含まないルーチンによる簡便なもので、記録するページデータにおける空間解像度が変わらない限り、再計算等は必要なくなって、拡散板の製造プロセスは一層簡便な工程となった。
2 出射光
3 空間光変調器
4 ビームスプリッター
5 コンピュータ
6 フォトディテクター
7 位相分布データ
8 送信
9 レンズ
Claims (6)
- フーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生に使用するランダム位相マスクに用いる光位相変調器の位相変調素子の2値からなるランダム位相変調パターンであって、
前記ランダム位相変調パターンは隣接する同じピクセル・サイズの正方形の微小領域に
分割されていて、
前記微小領域に関し、位相変調しない無効領域とするかまたは前記微小領域より小さくかつ同じピクセル・サイズの正方形の位相変調領域をその正方形の各辺を前記微小領域の
各辺に平行にして配置する微小領域とするかがランダムに決定されていて、
前記ランダムに決定された前記微小領域に係る前記位相変調領域は、前記微小領域にその全部が包含されるように、前記微小領域に関しランダムに配置されていることを特徴とするランダム位相変調パターン。 - フーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生に使用するランダム位相マスクに用いる光位相変調器の位相変調素子の2値からなるランダム位相変調パターンであって、
前記ランダム位相変調パターンは隣接する同じピクセル・サイズの正方形の微小領域に
分割されていて、
前記微小領域に関し、位相変調しない無効領域とするかまたは任意の大きさで同じピクセル・サイズの正方形の位相変調可能領域をその正方形の各辺を前記微小領域の各辺に平行にして配置する微小領域とするかがランダムに決定されていて、
前記ランダムに決定された前記微小領域に係る前記位相変調可能領域は、前記微小領域にその全部が包含されるまたはその一部が重複する(ただし、前記微小領域の全域に重複一致する場合は除く)ように、前記微小領域に関しランダムに配置されているランダム位相変調パターンにおいて、
前記位相変調可能領域のうち前記包含される全部と重複する一部の領域が位相変調領域であることを特徴とするランダム位相変調パターン。 - 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載するランダム位相変調パターンで光位相変調されていることを特徴とするランダム位相マスク。
- 請求項3に記載するランダム位相マスクを使用したことを特徴とするフーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生装置。
- フーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生に使用するランダム位相マスクに用いる光位相変調器の位相変調素子の2値からなるランダム位相変調パターンの作製方法であって、
前記ランダム位相変調パターンは隣接する同じピクセル・サイズの正方形の微小領域に
分割され、
前記微小領域に関し、位相変調しない無効領域とするかまたは前記正方形の微小領域より小さくかつ同じピクセル・サイズの正方形の位相変調領域をその正方形の各辺を前記微小領域の各辺に平行にして配置する微小領域とするかがランダムに決定され、
前記ランダムに決定された前記微小領域に係る前記位相変調領域を、前記微小領域にその全部が包含されるように、前記微小領域に関しランダムに配置されることを特徴とするランダム位相変調パターンの作製方法。 - フーリエ変換型ホログラム式光情報記録・再生に使用するランダム位相マスクに用いる光位相変調器の位相変調素子の2値からなるランダム位相変調パターンの作製方法であって、
前記ランダム位相変調パターンは隣接する同じピクセル・サイズの正方形の微小領域に分割され、
前記微小領域に関し、位相変調しない無効領域とするかまたは任意の大きさで同じピクセル・サイズの正方形の位相変調可能領域をその正方形の各辺を前記微小領域の各辺に平行にして配置する微小領域とするかがランダムに決定され、
前記ランダムに決定された前記微小領域に係る前記位相変調可能領域は、前記微小領域にその全部が包含されるまたはその一部が重複する(ただし、前記微小領域の全域に重複一致する場合は除く)ように、前記微小領域に関しランダムに配置されるランダム位相変調パターンの作製方法において、
前記位相変調可能領域のうち前記包含される全部と重複する一部の領域を位相変調領域とすることを特徴とするランダム位相変調パターンの作製方法。
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