JP6142427B2 - フランジ接合部補強治具 - Google Patents
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また、両フランジ部に曲げ方向或いは引張方向の力が作用した場合でも、両フランジ部の離間を防止し、内部を通流する流体の漏洩を確実に防止できる構成とすることが望まれる。
更に、両フランジ部の一方が短管や補修弁等の一端側に形成されたフランジ部である場合には、当該両フランジ部にフランジ接合部補強治具を装着する際、当該フランジ接合部補強治具が短管や補修弁等の他端側に形成されたフランジ部に干渉する可能性があるため、当該干渉をできるだけ防止できる構成とすることが望まれる。
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成されており、
前記両挾持部材の一方には、両フランジ部を連結する連結ボルトの頭部又はこの連結ボルトに螺合される連結ナットに対して径方向内方側から当接可能な脱落防止腕が設けられている点にある。
これにより、一対の挟持部材が締結手段により締付固定された状態で、両フランジ部に曲げ方向(径方向)への力が作用した場合でも、締結手段の締結部位に加えて、内嵌合部と外嵌合部との重なり部位でも当該力を受け止めることができ、締結手段の締結部位に掛かる応力の低減を図ることができる。従って、フランジ接合部補強治具による両フランジ部の接合強度を向上させて、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を防止することができ、管路の耐震性能の向上をも図ることができる。しかも、自重或いは地震等により、両フランジ部に歪みや変形或いは相対的なずれ等が生じた場合でも、脱落防止腕が連結ボルトの頭部或いは連結ナットに径方向内方側から当接して、フランジ接合部補強治具が両フランジ部から脱落することを防止することができる。
よって、両フランジ部を含む管路を所定の耐震性能(離脱防止力が3DkN以上(Dは呼び径))を備えた耐震管路に補強しつつ、両フランジ部の離間やずれを簡便且つ安価に防止することができる。
従って、フランジ接合部補強治具を、両フランジ部に容易に装着できるとともに、フランジ接合部補強治具による両フランジ部の接合強度をより向上させて、両フランジ部の離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩をより確実に防止することができ、管路の耐震性能の向上をも図ることができる。
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが夫々筒状に形成されており、
前記締結手段が、前記内嵌合部の筒状内部空間に対して前記外嵌合部の外側から挿入される締結ボルトと、前記内嵌合部の内周面における外嵌合部側の一端部に形成され、前記締結ボルトが螺合する雌ネジ部とから構成されており、
前記外嵌合部の底部には、前記締結ボルトの雄ネジ部が挿入可能で且つ前記締結ボルトの頭部が挿通不能な挿通孔が形成されている点にある。
図1〜図3は流体配管系(管路)の途中のフランジ接合部を示し、流体管の一例である鋳鉄製の両水道管1、1の端部にそれぞれ径方向外方に円板状に延出形成された両フランジ部1A、1Bが、リング状でシート状のガスケット2を両フランジ部1A、1B間に介装させた状態で、複数の連結ボルト4A及び連結ナット4B(本実施形態では、8ヶずつ)により連結されている。両フランジ部1A、1Bには、フランジ接合方向(軸方向)に貫通する複数の貫通孔3(本実施形態では、8ヶ所ずつ)が周方向で等間隔に形成され、これら貫通孔3に連結ボルト4Aが挿通されて、当該連結ボルト4Aの雄ネジ部4bの先端側に連結ナット4Bが螺合固定される。なお、本実施形態の両フランジ部1A、1Bは、いわゆるRF形フランジである。
また、筒状内部空間6cにおいて、押圧部6Bが形成された側とは反対側は開口形成され、押圧部6Bが形成された側は、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aを挿入可能で且つ頭部7bを挿通不能な挿通孔6dが、外嵌合部6Aの底部を貫通する状態で開口形成されている。なお、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aが挿通孔6dに挿通された状態では、雄ネジ部7aの外周面と挿通孔6dの内周面との間には、所定の隙間が形成される(図9参照)。
この際には、内嵌合部5Aの外面5aと外嵌合部6Aの内面6bとが横断面視で相対回転不能な概略正方形状に形成されているので、第1挟持部材5の押圧部5Cと第2挟持部材6の押圧部6Bとを同方向に延出させた所期の相対位置関係に位置決めした状態で、容易に嵌合させることができる。すなわち、第1挟持部材5の押圧部5Cの押圧面5eと第2挟持部材6の押圧部6Bの押圧面6eとが、フランジ接合方向で対向するように、内嵌合部5Aが外嵌合部6Aに嵌合される。
なお、上述の内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの嵌合は、フランジ接合方向における内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの重なり部位の大きさ(嵌合距離)を所定範囲内で任意に調整可能に構成され、この調整に伴って、第1挟持部材5の押圧部5Cの押圧面5eと第2挟持部材6の押圧部6Bの押圧面6eとの間隔を所定範囲内で任意に調整可能に構成されている。そのため、フランジ接合方向における内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの重なり部位の大きさ(嵌合距離)、及び、押圧面5eと押圧面6eとの間隔をそれぞれ適宜設定した状態で、後述する締結手段7により第1挟持部材5と第2挟持部材6とを締付固定することができる。
また、締付固定した状態では、内嵌合部5Aの雌ネジ部5dが、締結ボルト7Aの頭部7bに近接した位置に位置することから、雌ネジ部5dと締結ボルト7Aの雄ネジ部7aとの螺合箇所が、締結ボルト7Aの頭部7bが外嵌合部6Aの外側面と当接する位置に近接することとなり、フランジ接合方向(軸方向)における締結ボルト7Aの頭部7bと当該螺合箇所との距離を比較的小さくすることができる。これにより、両フランジ部1A,1Bに曲げ方向(径方向)或いは引張方向(軸方向)の力が作用した場合でも、締結ボルト7Aの伸びや破壊を良好に防止することができ、両フランジ部1A,1Bの離間やずれ及びこれらに伴う流体の漏洩を良好に防止することができる。さらに、雌ネジ部5dを筒状内部空間5c、6c内における内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの重なり部位に位置させることができ、締結ボルト7Aの長さを比較的短くすることが可能となり、締結ボルト7Aの先端が筒状内部空間5c、6cの外部に突出することを良好に防止することができ、フランジ接合部補強治具Pの外観を損なうことなく省スペース化を図ることができる。
よって、両フランジ部1A、1Bを含む管路を所定の耐震性能(離脱防止力が3DkN以上(Dは呼び径))を備えた耐震管路に補強しつつ、両フランジ部1A、1Bの離間やずれを簡便且つ安価に防止することができる。
このため、両フランジ部1A、1Bの呼び径や設計圧力に応じて、両フランジ部1A、1Bの肉厚が変更される場合、例えば、図10に示すように、両フランジ部1A、1Bの肉厚よりも薄い肉厚の両フランジ部10A、10Bにフランジ接合部補強治具Pを装着する場合であっても、内嵌合部5Aと外嵌合部6Aとの重なり部位の大きさ(嵌合距離)を調整(図10では、嵌合距離を大きく調整)することで、第1挟持部材5の押圧部5Cの押圧面5eをフランジ部10Aの外側面10aに当接させ且つ第2挟持部材6の押圧部6Bの押圧面6eをフランジ部10Bの外側面10aに当接させた状態で、内嵌合部5Aの雌ネジ部5dに締結ボルト7Aの雄ネジ部7aを螺合させて内嵌合部5A及び外嵌合部6A、ひいては、第1挟持部材5及び第2挟持部材6を両フランジ部10A、10Bに良好に締付固定することができる。
(A)上記実施形態では、両フランジ部1A、1Bを8対の連結ボルト4A及び連結ナット4Bにより連結する構成としたが、フランジ部1A、1Bの呼び径や設計圧力等に応じて、連結ボルト4A及び連結ナット4Bの数は適宜調整することができる。例えば、図11に示すように、両フランジ部11A、11Bを4対の連結ボルト4A及び連結ナット4Bにより連結する構成として、ボルト連結箇所の隣接間部位にフランジ接合部補強治具Pを装着する構成とすることもできる。
例えば、第2挟持部材6の押圧部6Bをフランジ部1Bの外側面1aに当接させ、脱落防止腕6Cをフランジ部1Bの径方向内方側から連結ボルト4Aの頭部4aに当接又は近接させ、さらに、外嵌合部6Aをフランジ部1Bの外周面1cの径方向外方側に位置させた状態で、第1挟持部材5の内嵌合部5Aをフランジ接合方向から上記外嵌合部6A内に嵌合させつつ、押圧部5Cをフランジ部1Aの外側面1aに当接させる。その後、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aを外嵌合部6Aの挿通孔6dを介して内嵌合部5Aの雌ネジ部5dに螺合させ、第1挟持部材5及び第2挟持部材6を両連結フランジ部1A、1Bに外嵌装着することもできる。
また、例えば、上記実施形態と同様に、両フランジ部1A、1Bにフランジ接合部補強治具Pを装着する際、第1挟持部材5の内嵌合部5Aと第2挟持部材6の外嵌合部6Aとをある程度嵌合させた際に、締結ボルト7Aの雄ネジ部7aを外嵌合部6Aの挿通孔6dを介して内嵌合部5Aの雌ネジ部5dにある程度螺合させてから、第1挟持部材5及び第2挟持部材6の凹部Cを両連結フランジ部1A、1Bに外嵌装着し、その後、締結ボルト7Aを本締めする構成としてもよい。
また、脱落防止腕6Cを、連結ボルト4Aの頭部4a又は連結ナット4Bに対して、両フランジ1A、1Bの径方向内方側から径方向外方側に回り込む凹状に形成せずに、単に、連結ボルト4Aの頭部4a又は連結ナット4Bに対して、両フランジ1A、1Bの径方向内方側から当接する棒状部材で構成することもできる。
なお、脱落防止腕6Cを省略する構成とすることもできる。
これにより、内嵌合部60A及び外嵌合部61Aを筒状に形成するだけで、両者にネジ山を形成する必要がないため、フランジ接合部補強治具Pを簡便且つ安価な構成とすることができる。
1A フランジ部
1B フランジ部
1a 外側面
1c 外周面
4A 連結ボルト
4a 頭部
4B 連結ナット
5 第1挟持部材(挟持部材)
5A 内嵌合部
5C 押圧部
5a 外面
5b 内周面
5c 筒状内部空間
5d 雌ネジ部(締結手段)
5e 押圧面
6 第2挟持部材(挟持部材)
6A 外嵌合部
6B 押圧部
6C 脱落防止腕
6a 外面(装着規制部)
6b 内面
6c 筒状内部空間
6d 挿通孔
6e 押圧面
7 締結手段
7A 締結ボルト(締結手段)
7a 雄ネジ部
62 締結ボルト(締結手段)
62a 突出雄ネジ部
64 締結ナット(締結手段)
P フランジ接合部補強治具
C 凹部
Claims (8)
- ボルト連結されている両フランジ部の外側面に各別に当接可能な押圧部を備えた一対の挟持部材と、この両挾持部材の押圧部を両フランジ部の外側面に当て付けた状態で当該両挾持部材をフランジ接合方向に引き寄せて締付固定する締結手段とを備えたフランジ接合部補強治具であって、
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが形成されており、
前記両挾持部材の一方には、両フランジ部を連結する連結ボルトの頭部又はこの連結ボルトに螺合される連結ナットに対して径方向内方側から当接可能な脱落防止腕が設けられているフランジ接合部補強治具。 - ボルト連結されている両フランジ部の外側面に各別に当接可能な押圧部を備えた一対の挟持部材と、この両挾持部材の押圧部を両フランジ部の外側面に当て付けた状態で当該両挾持部材をフランジ接合方向に引き寄せて締付固定する締結手段とを備えたフランジ接合部補強治具であって、
前記両挾持部材のフランジ接合方向で相対向する部位に、前記両フランジ部の外周面よりも径方向外方側位置においてフランジ接合方向から嵌合する内嵌合部と外嵌合部とが夫々筒状に形成されており、
前記締結手段が、前記内嵌合部の筒状内部空間に対して前記外嵌合部の外側から挿入される締結ボルトと、前記内嵌合部の内周面における外嵌合部側の一端部に形成され、前記締結ボルトが螺合する雌ネジ部とから構成されており、
前記外嵌合部の底部には、前記締結ボルトの雄ネジ部が挿入可能で且つ前記締結ボルトの頭部が挿通不能な挿通孔が形成されているフランジ接合部補強治具。 - 前記両挾持部材の前記内嵌合部と前記外嵌合部とが嵌合している状態において、一方の挾持部材の押圧部と前記内嵌合部と他方の挾持部材の押圧部と前記外嵌合部とで形成される凹部が、両フランジ部におけるボルト連結箇所の隣接間部位に対して径方向外方から外嵌装着可能に構成されているとともに、前記外嵌合部が、両フランジ部の外周面との当接によって設定外嵌装着位置に規制する装着規制部に構成されている請求項1又は2に記載のフランジ接合部補強治具。
- 前記内嵌合部と前記外嵌合部とが相対回転不能な嵌合形状に構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のフランジ接合部補強治具。
- 前記両挾持部材の一方には、両フランジ部を連結する連結ボルトの頭部又はこの連結ボルトに螺合される連結ナットに対して径方向内方側から当接可能な脱落防止腕が設けられている請求項2に記載のフランジ接合部補強治具。
- 前記脱落防止腕が、前記連結ボルトの頭部又は前記連結ナットに対して径方向内方側から径方向外方側に回り込む凹状に形成されている請求項1又は5に記載のフランジ接合部補強治具。
- 前記脱落防止腕が、前記両挟持部材の一方の径方向内方側の部位から延出形成され、その延出方向が、前記締結ボルトを締付側に回転させた際に当該脱落防止腕が設けられている一方の挾持部材が共回りする方向と同方向に設定されている請求項6に記載のフランジ接合部補強治具。
- 前記脱落防止腕の前記フランジ部の外側面に対面する側面が、当該脱落防止腕が設けられている一方の挾持部材における押圧部の押圧面よりも前記フランジ部の外側面から離間する側に配置されている請求項1及び5〜7の何れか一項に記載のフランジ接合部補強治具。
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