JP6141097B2 - テーラードブランク加工品検査装置及びそれを用いたテーラードブランク加工品検査方法 - Google Patents

テーラードブランク加工品検査装置及びそれを用いたテーラードブランク加工品検査方法 Download PDF

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本発明は板厚又は材質の異なる板材の端面同士を突合せて溶接接合したテーラードブランク材をプレス成形して得られるテーラードブランク加工品の欠陥を検出するテーラードブランク加工品検査装置及びそれを用いたテーラードブランク加工品検査方法に関する。
板材(板金)をプレス加工するラインでは、プレス加工の後、加工品に割れやピンホールなどの欠陥が発生しているか否かを検査する必要がある。特に、板厚や材質の異なる板材を溶接してつなぎ合わせたテーラードブランク材をプレス加工する場合、接合部には、接合不良によるピンホールや、プレス加工時の引き伸ばしによる亀裂等の欠陥が生じやすいため、接合部における欠陥の有無を検査する必要性が高い。
例えば、(特許文献1)には、プレス品に接近離間自在に配置されてプレス品の一方の面を覆う投光用カバーおよび該投光用カバー内からプレス品の一方の面に検査光を照射する投光用ランプを有する検査用投光装置と、プレス品の他方の面側に配置されて検査用ランプの透過光を検出する撮像装置と、該撮像装置により撮像された画像から製品の良否を判定する検査判定装置とを具備したことを特徴とするプレス品の検査装置が開示されている。
また、(特許文献2)には、プレス成形されたワークの所定部位を包含し当該ワークからはみ出す検査領域にワークの前面からレーザー光を照射するレーザー光照射手段と、当該検査領域に照射されたレーザー光をワークの背面から受光するレーザー光受光手段と、検査領域で受光されたレーザー光に基づいてレーザー光の漏洩面積を演算する漏洩面積演算手段と、良品ワークにおけるレーザー光の漏洩面積を基準漏洩面積として記憶する記憶手段と、演算された漏洩面積を当該基準漏洩面積と比較する比較手段と、演算された漏洩面積が基準漏洩面積よりも大きいときにワークに割れが生じていると判断する判断手段と、を有することを特徴とするプレス成形の割れ検知装置が開示されている。
また、(特許文献3)には、一方の金型に設けられ、板金ワークに光を照射する光源と、他方の金型に設けられ、板金ワークで覆われる開口部を有する受光空間と、受光空間内の光を検知する受光機と、一方の金型と他方の金型とを型締めした状態で光源から光を照射し、このときの受光機の検知結果に基づいて板金ワークの欠陥の有無を判別する検査部とを備えたプレス金型が開示されている。
特開2002−365227号公報 特開2007−75888号公報 特開2012−135799号公報
しかし、上記従来の技術は、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)では、検査用ランプの透過光を撮像装置で検出し、該撮像装置により撮像された画像から製品の良否を判定するので、画像処理に時間がかかり、検査の効率性に欠けるという課題を有していた。特に、トランスファプレスのアイドル位置に撮像検査ユニットと検査用投光ユニットを配設するなどして、ライン中に検査装置を組み込んだ場合、プレス加工の時間よりも検査時間が長くなり、検査によって製造が妨げられ、生産性が犠牲になるという課題を有していた。また、ピンホールなどの微小な欠陥部を検出するために、投光用ランプと撮像装置とをプレス品を挟んで略対向位置にそれぞれ配置し、投光用ランプにより検査光を照射した方向に対向してプレス品を撮像するので、製品が凹凸を有する場合は、多数の投光用ランプ及び撮像装置をそれぞれ製品の凹凸に合わせて異なる角度で配置しなければならず、細かな位置合わせや角度設定が必要で、使用性、量産性に欠けるという課題を有していた。特に、プレス品の形状が複雑で細かな凹凸がある場合には、隣接する投光用ランプ同士及び撮像装置同士が干渉しないように配置することが困難で、製品を全長にわたって検査することができず、検査可能な製品形状が限定され、検査の信頼性、汎用性に欠けるという課題を有していた。また、隣接する投光用ランプ同士及び撮像装置同士が干渉しないように間隔を空け、各々の投光用ランプ及び撮像装置を角度調整可能に設置した場合も、構成が複雑で角度調整が煩雑になるばかりでなく、角度調整のみでは形状の異なる製品に十分に対応することができず、凹凸のある製品を全長にわたって斑無く検査することは困難で、汎用性、取扱い性、検査の信頼性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)では、漏洩面積演算手段により、検査領域で受光されたレーザー光に基づいてレーザー光の漏洩面積を演算すると共に、比較手段により、演算された漏洩面積を当該基準漏洩面積と比較して、演算された漏洩面積が基準漏洩面積よりも大きいときにワークに割れが生じていると判断するので、演算処理に時間がかかり、ライン中に組み込んで全数検査することが困難で、検査の効率性、品質管理の確実性に欠けるという課題を有していた。また、レーザースポット光を検査領域内で縦横に走査させる必要があり、構造が複雑で量産性に欠けるだけでなく、可動部での動作不良や故障が発生し易く、動作の確実性、安定性に欠けるという課題を有していた。さらに、プレス成形されたワークの所定部位を包含し当該ワークからはみ出す検査領域にレーザー光を照射するので、レーザー光の照射範囲が広く、外乱光の影響も受け易いため、漏洩面積の演算において誤差が生じ易く、ピンホールなどの微小欠陥の検出の確実性、信頼性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献3)では、受光空間が板金ワークで覆われる開口部を有し、一方の金型と他方の金型とを型締めした状態で光源から光を照射するので、外乱光の影響は受け難いが、板金ワークの検査対象部位に沿って延び、内部に受光空間を形成する受光空間形成部材(受け部材)を設ける必要があるため、板金ワークの検査対象部位の形状に合わせて受光空間形成部材を形成しなければならず、汎用性に欠けるという課題を有していた。また、受け部材には1つの貫通孔しか形成されておらず、その貫通孔の下方に集光部材が設けられ、集光部材で集光された光を検知できる位置に1台のカメラが配置されているだけなので、貫通孔の内部まで進入した光は検知することができても、受光空間の内部に進入した全ての光を検知することは困難であり、検査対象部位を全長に渡って検査することはできず、検査可能範囲が限られ、検査の確実性、信頼性に欠けるという課題を有していた。さらに、板金ワークに形成された窓部を塞ぐ手段がなく、押さえ部材の溝部と受光空間形成部材(受け部材)の受光空間が連通しており、光源から照射した光が窓部を素通りして受光空間に進入してしまうため、板金ワークの検査対象部位に窓部などの開口部(加工孔)が形成されている場合は、欠陥を通過した光のみを正確に検知することができず、検査対象が限定され、汎用性、検査の信頼性に欠けるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、加工品の形状が複雑で細かな凹凸や加工孔が形成されている場合でも、割れやピンホールなどの欠陥のみを短時間で確実に検出することができ、外乱光の影響を受け難く、微小な欠陥でも見逃すことがなく、欠陥の検出能力が高く、汎用性、検査の信頼性に優れ、簡素な構成で、動作不良や故障が発生し難く、量産性、メンテナンス性、省エネルギー性に優れ、生産ライン中に組み込んでも生産性を維持したまま製品の全数検査を行うことができ、検査の効率性、品質管理の確実性に優れたテーラードブランク加工品検査装置の提供、及び複雑な画像処理や演算などが不要で、検査時間を短縮することができ、検査の効率性、欠陥品回収の確実性に優れたテーラードブランク加工品検査方法の提供を目的とする。
課題を解決するための手段及びそれによって得られる作用、効果
上記従来の課題を解決するために本発明のテーラードブランク加工品検査装置及びそれを用いたテーラードブランク加工品検査方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のテーラードブランク加工品検査装置は、板厚又は材質の異なる板材の端面同士を突合せて溶接接合したテーラードブランク材をプレス加工するプレス加工装置の加工部の下流側に組み込まれ、前記加工部でプレス加工されたテーラードブランク加工品の欠陥を検出するテーラードブランク加工品検査装置であって、
前記プレス加工装置の下型ベース又は上型ベースに配設される投光ユニットと、前記プレス加工装置の上型ベース又は下型ベースに配設され前記投光ユニットと対向する受光ユニットと、前記投光ユニットと前記受光ユニットの間に配設され前記テーラードブランク加工品が載置される加工品受け部と、前記受光ユニットでの受光の有無により前記テーラードブランク加工品の欠陥を検出する制御ユニットと、を有し、前記投光ユニットが、前記テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に直線状に配設された赤外線LEDを備え、前記受光ユニットが、前記溶接線の長手方向と平行に直線状に配設され前記赤外線LEDから照射され前記テーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光を検出する赤外線検出器を備え、前記加工品受け部が、前記テーラードブランク加工品の前記溶接線を含む検査許容幅に合わせて前記溶接線と平行に切除された検査用開口部と、前記テーラードブランク加工品に形成される加工孔の範囲を遮蔽する遮蔽部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用、効果が得られる。
(1)プレス加工装置の加工部の下流側に組み込まれているので、加工部でプレス加工されたテーラードブランク加工品をライン中で全数検査することができ、欠陥品が後工程に流れることがなく、無駄な生産を防止することができ、検査の効率性、省資源性、省エネルギー性に優れる。
(2)プレス加工装置の下型ベース又は上型ベースに配設される投光ユニットと、プレス加工装置の上型ベース又は下型ベースに配設され投光ユニットと対向する受光ユニットと、投光ユニットと受光ユニットの間に配設されテーラードブランク加工品が載置される加工品受け部と、受光ユニットでの受光の有無によりテーラードブランク加工品の欠陥を検出する制御ユニットを有するので、プレス加工装置の加工部(上型ベース)の動作に連動して流れ作業で連続的に全数検査を行うことができ、画像処理や演算などが不要で、短時間の内に欠陥の有無を判断することができ、生産性を低下させることがなく、検査の効率性、確実性、信頼性に優れる。
(3)投光ユニットが、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に直線状に配設された赤外線LEDを有することにより、検査位置に対して、真下又は真上の赤外線LEDからだけでなく、溶接線の長手方向に並んだ前後複数の赤外線LEDから様々な角度で赤外線が照射されるので、テーラードブランク加工品が凹凸面や立面を有する場合でも、検査範囲全面に斑無く赤外線を照射することができ、テーラードブランク加工品にピンホールなどの欠陥があれば、赤外線がその欠陥を通過して、受光ユニットで受光され、確実に欠陥を検出することができ、汎用性、検査の確実性に優れる。
(4)投光ユニットが、赤外線LEDのテーラードブランク加工品側に赤外線LEDと対向して配設され赤外線LEDから照射される赤外線をテーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲に集光させる投光側集光部材を有することにより、赤外線LEDから照射される赤外線に指向性を持たせ、赤外線が無駄に拡散することを防止し、検査許容幅の範囲に効率的に赤外線を照射して十分な光量を得ることができるので、溶接線の位置のバラツキを許容する範囲内で高感度の測定を行うことができ、発熱が少なく、省エネルギー性に優れる。
(5)投光ユニットの光源が赤外線LEDであることにより、外乱光の影響を受け難く、微小な欠陥でも確実に検出することができ、欠陥の検出能力が高く、長寿命性、メンテナンス性、省エネルギー性に優れると共に、目にも優しく取扱い性に優れる。
(6)受光ユニットが、赤外線LEDから照射されテーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光を収束させる受光側集光部材を有することにより、透過光を効率良く収束させて強い光を得ることができ、集光能力が高く、元が微弱な光でも検知することができるので、微小な欠陥を確実に検出することができ、高性能で検出能力の信頼性、安定性に優れる。
(7)受光ユニットが、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に直線状に配設され受光側集光部材で収束された透過光を検出する赤外線検出器を有することにより、テーラードブランク加工品の欠陥に対する赤外線の入射角に関わらず、赤外線検出器で確実に透過光を検出することができるので、テーラードブランク加工品を溶接線の長手方向の全長にわたって漏れなく検査することができ、検査の信頼性、確実性に優れる。
(8)加工品受け部が、検査許容幅に合わせてテーラードブランク加工品の溶接線と平行に切除された検査用開口部と、テーラードブランク加工品に形成される加工孔の範囲を遮蔽する遮蔽部を有することにより、投光ユニットから照射された赤外線の内、テーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光のみが、加工品受け部に遮られることなく、検査用開口部を通って受光ユニットまで届き、加工孔を通過した透過光は遮蔽部で遮られて受光ユニットに届くことがないので、テーラードブランク加工品の欠陥のみを確実に検出することができ、検査の確実性、信頼性に優れる。
ここで、テーラードブランク加工品検査装置はプレス加工装置の加工部の下流側に組み込まれるが、プレス加工装置が複数の加工部(加工工程)を有する場合、テーラードブランク加工品検査装置は任意の加工部の下流側に組み込むことができ、その数や配置は適宜、選択することができる。尚、テーラードブランク加工品検査装置をプレス加工装置の最下流位置に組み込んだ場合、全ての加工終了後に検査を行うことができる。この結果、検査後に加工によって新たに欠陥が発生することがなく、検査の確実性、信頼性に優れる。
テーラードブランク加工品検査装置は透過光によって欠陥の有無を検出するので、投光ユニットと受光ユニットは検査対象であるテーラードブランク加工品を挟んで対向配置されていればよく、どちらが上でも下でもよい。
加工品受け部は、テーラードブランク加工品を支持できるものであればよいが、テーラードブランク加工品と同形状に成型されたものは、テーラードブランク加工品の支持安定性に優れ、好ましい。特に、プレス加工装置の加工部で加工すれば、容易にテーラードブランク加工品と同形状の加工品受け部を成型することができ、量産性、形状の信頼性に優れる。尚、投光ユニットから照射された赤外線(光)の内、テーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光が受光ユニットに届くようにしなければならないので、加工品受け部には、テーラードブランク加工品の検査可能領域(テーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲)に対応して、テーラードブランク加工品の溶接線と平行に所定の幅(検査許容幅)で検査用開口部を形成する必要がある。また、テーラードブランク加工品の検査可能領域に加工孔が形成されている場合、加工孔を通過した透過光が受光ユニットまで届くと、加工孔が欠陥として誤検出されるので、加工品受け部には、テーラードブランク加工品の加工孔に対応する範囲を遮蔽する遮蔽部を設ける必要がある。
尚、加工品受け部は、プレス加工装置の下型ベースに配設される投光ユニット又は受光ユニットを覆うように配設されるが、下型ベースに固定してもよいし、投光ユニット又は受光ユニットに直接固定してもよい。
赤外線LEDは、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に直線状に配設されるが、投光側集光部材との組合せによってテーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲全体に赤外線を斑無く照射することができればよい。赤外線LEDの配列は検査許容幅に応じて選択することができ、1列でも複数列でもよい。
投光側集光部材は、赤外線LEDから照射される赤外線(光)をテーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲に集光できるものであればよいが、半円柱状のシリンドリカルレンズや円柱状のシリンダーレンズ等が好適に用いられる。投光ユニットの投光側集光部材が、テーラードブランク加工品側に膨出した半円柱状に形成されテーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に配設されたシリンドリカルレンズである場合、赤外線LEDから照射された赤外線(光)を必要以上に拡散させることがなく、テーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲に集光させ、赤外線LEDから照射された赤外線(光)を無駄なく効率的に利用することができ、省エネルギー性に優れる。また、投光側集光部材がシリンドリカルレンズであることにより、投光ユニットを小型化することができ、コンパクト性、省スペース性に優れる。さらに、投光側集光部材がシリンドリカルレンズであることと、赤外LEDの照射角度が大きい(120度程度)ことにより、溶接線の長手方向には集光効果を伴わないため、テーラードブランク加工品の溶接箇所の溶接線方向に大きく傾いた欠損孔にも赤外光を照射することが可能で、欠陥検出の確実性に優れる。
受光側集光部材は、テーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光を赤外線検出器の受光範囲に収束(集光)させることができればよいが、円柱状のシリンダーレンズ等が好適に用いられる。受光ユニットの受光側集光部材が、円柱状に形成されテーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に配設された構成を有している場合、テーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光を赤外線検出器の受光範囲に効率的に収束(集光)させることができ、微小欠陥の検出能力が高く、受光ユニットのコンパクト性に優れる。また、受光ユニットの受光側集光部材が、円柱状に形成されテーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に配設されている場合、溶接線方向に大きく傾いた欠損孔を通過した透過光も長手方向に収束されることなく確実に赤外線検出器に到達でき、欠陥検出の確実性に優れる。
尚、投光側集光部材及び受光側集光部材をアクリル丸棒等で形成した場合、集光特性、量産性に優れる。
赤外線検出器は、赤外線を検出できればよいが、紫外域から可視域、赤外域までの感度を有する大面積の汎用フォトダイオードに赤外光透過フィルタを組合せたものが好適に用いられる。受光ユニットが、受光側集光部材のテーラードブランク加工品側に配設された赤外線透過フィルタを備えることにより、赤外光透過フィルタにより外乱光を吸収遮蔽して、所定の波長の赤外光のみを確実に透過させて検出することができ、誤検出が少なく、検査の安定性、信頼性に優れる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のテーラードブランク加工品検査装置であって、前記加工品受け部が、前記テーラードブランク加工品と同形状に形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用、効果に加え、以下のような作用、効果が得られる。
(1)加工品受け部がテーラードブランク加工品と同形状に形成されることにより、テーラードブランク加工品を簡単かつ確実に支持して、テーラードブランク加工品の位置ずれや傾きを防止することができ、テーラードブランク加工品の支持安定性、検査の信頼性に優れる
ここで、加工品受け部に検査用開口部を形成する際に、テーラードブランク加工品の加工孔に対応する位置(加工孔と重なる範囲)に遮蔽部が残るように検査用開口部を形成してもよいし、加工品受け部の全長にわたって検査用開口部を形成した後、加工孔に対応する位置(加工孔と重なる範囲)に別部材(遮蔽部材)を覆設して遮蔽部を形成してもよい。特に、プレス加工装置の加工部で加工したテーラードブランク加工品を利用して加工品受け部を形成すれば、加工孔の位置、形状、大きさを正確に再現することができるので、その範囲を遮蔽部で遮蔽することにより、テーラードブランク加工品の加工孔を通過した透過光を確実に遮蔽して誤検出を防止することができ、検査の信頼性に優れる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のテーラードブランク加工品検査装置であって、前記投光ユニット及び前記受光ユニットが、前記テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向に複数直列に配設されている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用、効果に加え、以下のような作用、効果が得られる。
(1)投光ユニット及び受光ユニットが、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向に複数直列に配設されることにより、テーラードブランク加工品の大きさ(溶接線の長さ)に関わらず、その溶接線の長手方向を全長にわたって同時に検査することができるので、テーラードブランク加工品が大きく(溶接線が長く)なっても検査時間が延びることがなく、検査の効率性に優れる。
(2)テーラードブランク加工品の大きさ(溶接線の長さ)に合わせて、必要な数の投光ユニット及び受光ユニットを直列に並べることにより、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向を全長にわたって確実に調査することができ、装置が無駄に大型化することがなく、汎用性、省スペース性に優れる。
ここで、投光ユニット及び受光ユニットは、既存のプレス加工装置に組み込むことができるので、そのプレス加工装置で加工されるテーラードブランク加工品の大きさ(溶接線の長さ)に応じて、必要な数を並べて使用することができる。
本発明の請求項4に記載のテーラードブランク加工品検査方法は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のテーラードブランク加工品検査装置を用いたテーラードブランク加工品検査方法であって、前記プレス加工装置の前記加工部で加工された前記テーラードブランク加工品を前記加工品受け部に載置する加工品載置工程と、前記プレス加工装置の前記上型ベースの動作に従って前記投光ユニットと前記受光ユニットを接近させるユニット接近工程と、前記投光ユニットから前記テーラードブランク加工品の前記溶接線を含む検査許容幅の範囲に赤外線を照射する赤外線照射工程と、前記制御ユニットにより前記受光ユニットでの受光を検出した時に前記テーラードブランク加工品に欠陥があると判定する欠陥検出工程と、前記欠陥検出工程で前記テーラードブランク加工品に欠陥があると判定した時に前記テーラードブランク加工品を後工程に流さずに回収する欠陥品回収工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用、効果が得られる。
(1)プレス加工装置の加工部で加工されたテーラードブランク加工品を加工品受け部に載置する加工品載置工程を有するので、加工部で加工された全てのテーラードブランク加工品を確実に検査することができ、検査の信頼性に優れる。
(2)プレス加工装置の上型ベースの動作に従って投光ユニットと受光ユニットを接近させるユニット接近工程を有するので、上流側の加工部での加工工程と平行して検査を行うことができ、検査時間が短く、検査の効率性に優れる。
(3)プレス加工装置の動作で投光ユニットと受光ユニットを接近させることができるので、投光ユニット又は受光ユニットを移動させるための駆動部や工程を別途設ける必要がなく、省力性に優れる。
(4)投光ユニットからテーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲に赤外線を照射する赤外線照射工程を有するので、検査許容幅の範囲でテーラードブランク加工品が位置ずれしても、検査対象である溶接線を含む一定の範囲を確実に検査することができ、検査の確実性に優れる。
(5)制御ユニットにより受光ユニットでの受光を検出した時にテーラードブランク加工品に欠陥があると判定する欠陥検出工程と、欠陥検出工程でテーラードブランク加工品に欠陥があると判定した時にテーラードブランク加工品を後工程に流さずに回収する欠陥品回収工程を有することにより、欠陥品が後工程に流れることがなく、無駄な生産を防止することができ、生産の効率性、省資源性、省エネルギー性に優れる。
実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置が組み込まれたプレス加工装置の構成を示す要部断面模式正面図 実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置で検査されるテーラードブランク加工品の一例を示す模式平面図 実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置の加工品受け部を示す模式平面図 実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置の加工品受け部にテーラードブランク加工品を載置した状態を示す要部断面模式正面図 (a)実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置を用いたテーラードブランク加工品検査方法を示す要部断面模式正面図(b)図5(a)のA−A線矢視断面模式図
以下、本発明の実施の形態におけるテーラードブランク加工品検査装置及びそれを用いたテーラードブランク加工品検査方法について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明の技術的範囲は本実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置が組み込まれたプレス加工装置の構成を示す要部断面模式正面図である。
図1中、1は後述する実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置が組み込まれたプレス加工装置、2はプレス加工装置1の上型ベース、3は上型ベース2と対向配置されたプレス加工装置1の下型ベース、4〜6は加工対象となるテーラードブランク材30を順次加工するプレス加工装置1の第1〜第3の加工部、4a〜6aは上型ベース2に配設された第1〜第3の加工部4〜6の上金型、4b〜6bは下型ベース3に配設された第1〜第3の加工部4〜6の下金型、7はプレス加工装置1の最下流位置(第3の加工部6の下流側)に組み込まれた実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置、7aはプレス加工装置1の上型ベース2に配設されたテーラードブランク加工品検査装置7の投光ユニット、7bはプレス加工装置1の下型ベース3に配設され投光ユニット7aと対向するテーラードブランク加工品検査装置7の受光ユニット、8は投光ユニット7aと受光ユニット7bの間に配設され第1〜第3の加工部4〜6で加工されたテーラードブランク加工品が載置されるテーラードブランク加工品検査装置7の加工品受け部、30は第1〜第3の加工部4〜6で加工されるテーラードブランク材である。
次に、実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置の加工品受け部について説明する。
図2は実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置で検査されるテーラードブランク加工品の一例を示す模式平面図であり、図3は実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置の加工品受け部を示す模式平面図であり、図4は実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置の加工品受け部にテーラードブランク加工品を載置した状態を示す要部断面模式正面図である。
図2中、30aはテーラードブランク材30をプレス加工装置1の第1〜第3の加工部4〜6(図1参照)で加工して得られるテーラードブランク加工品、31はテーラードブランク材30の溶接部を示す溶接線、32a〜32cはプレス加工によってテーラードブランク加工品30aに形成された様々な形状の加工孔、wはテーラードブランク加工品30aの溶接線31を含む検査許容幅である。
図3中、9はテーラードブランク加工品30aの溶接線31を含む検査許容幅wに合わせて溶接線31と平行に切除された加工品受け部8の検査用開口部、10a〜10cはテーラードブランク加工品30aの加工孔32a〜32cに合わせて形成された加工品受け部8の疑似加工孔、11a〜11cはプラスティックシートまたは板金等で形成された遮蔽部材によって疑似加工孔10a〜10cを遮蔽する加工品受け部8の遮蔽部である。
図2のテーラードブランク加工品30aは一例であり、加工品受け部8の形状はテーラードブランク加工品30aの形状に応じて適宜、選択することができる。
加工品受け部8をテーラードブランク加工品30aと同形状に形成することにより、テーラードブランク加工品30aを簡単かつ確実に支持して、テーラードブランク加工品30aの位置ずれや傾きを防止することができる。特に、プレス加工装置1の第1〜第3の加工部4〜6で加工したテーラードブランク加工品30aを利用して加工品受け部8を形成すれば、加工孔32a〜32cの位置、形状、大きさを正確に再現した疑似加工孔10a〜10cを形成することができ、テーラードブランク加工品30aの加工孔32a〜32cを通過する透過光を遮蔽部11a〜11cで確実に遮蔽して誤検出を防止することができる。
尚、加工品受け部は、受光ユニット7bを覆うように配設されるが、受光ユニット7bに直接固定してもよいし、下型ベース3に固定してもよい。
また、図1では、投光ユニット7a及び受光ユニット7bをそれぞれ1つしか図示しなかったが、図4に示すように、テーラードブランク加工品30aの全長に合わせて、複数の投光ユニット7a及び受光ユニット7bを直列に配置することができる。これにより、テーラードブランク加工品30aの大きさ(溶接線31の長さ)に関わらず、その溶接線31の長手方向を全長にわたって同時に検査することができる。
次に、実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置の投光ユニット及び受光ユニットの詳細について説明する。
図5(a)は実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置を用いたテーラードブランク加工品検査方法を示す要部断面模式正面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A線矢視断面模式図である。
図5中、12は複数の赤外線LED13がテーラードブランク加工品30aの溶接線31の長手方向と平行に直線状に配設された投光ユニット7aのLED基板、14はテーラードブランク加工品30a側に膨出した半円柱状に形成されテーラードブランク加工品30aの溶接線31の長手方向と平行に配設されたシリンドリカルレンズを用いた投光ユニット7aの投光側集光部材、15は加工品受け部8の下方に配設された受光ユニット7bの赤外線透過フィルタ、16は円柱状に形成され赤外線透過フィルタ15の下方にテーラードブランク加工品30aの溶接線31の長手方向と平行に配設された受光ユニット7bの受光側集光部材、18は赤外線検出器として複数のフォトダイオード17がテーラードブランク加工品30aの溶接線31の長手方向と平行に直線状に配設された受光ユニット7bのフォトダイオード基板、19はフォトダイオード基板18に電気的に接続されフォトダイオード17で発生する電流を増幅させる受光ユニット7bの増幅回路、20は受光ユニット7bでの受光の有無によりテーラードブランク加工品30aの欠陥を検出するテーラードブランク加工品検査装置7の制御ユニット、33a〜33cはテーラードブランク加工品30aのピンホールなどの欠陥である。
尚、図5(a)では説明の都合上、欠陥33a〜33cを通過する赤外線の照射範囲のみを示しているが、赤外線LED13からは、溶接線31の全長(検査可能領域全体)にわたって赤外線が照射される。
以上のように構成された実施の形態1におけるテーラードブランク加工品検査装置を用いたテーラードブランク加工品検査方法について説明する。
図1のプレス加工装置1の第1〜第3の加工部4〜6で所定の形状に加工されたテーラードブランク加工品30aは、加工品載置工程により、図4に示すように、テーラードブランク加工品検査装置7の加工品受け部8に載置される。
次に、ユニット接近工程により、プレス加工装置1の上型ベース2の動作に従って投光ユニット7aを下降させ、投光ユニット7aと受光ユニット7bを接近させる。
次に、図5に示すように、赤外線照射工程により、投光ユニット7aの赤外線LED13から赤外線を照射する。照射された赤外線は図5(b)に示すように、投光側集光部材14で拡散が抑えられ、テーラードブランク加工品30aの溶接線31を含む検査許容幅wの範囲(図2参照)に効率的に届く。
図5(a)に示すように、赤外線LED13が、テーラードブランク加工品30aの溶接線31の長手方向と平行に直線状に配設されているので、検査位置に対して、真上の赤外線LED13からだけでなく、溶接線31の長手方向に並んだ前後複数の赤外線LED13から様々な角度で、溶接線31の全長にわたって赤外線が照射される。これにより、テーラードブランク加工品30aが凹凸面や立面を有する場合でも、検査範囲全面に斑無く赤外線を照射することができ、テーラードブランク加工品30aにピンホールなどの欠陥33a〜33cがあれば、赤外線がその欠陥33a〜33cを通過する。
欠陥33a〜33cを通過した透過光は、図5(b)に示すように、加工品受け部8の検査用開口部9を通り、受光側集光部材16で収束され赤外線検出器17で受光される。
尚、受光側集光部材16のテーラードブランク加工品30a側に赤外線透過フィルタ15を配設することにより、外乱光をカットし、赤外線のみを透過させて、誤検出を防いでいる。
赤外線検出器17のフォトダイオードが、紫外域から赤外域に感度を持つ汎用品である場合でも、赤外線LED13と赤外線透過フィルタ15により、外乱光がカットされた赤外線のみを確実に受光することが可能となる。
尚、赤外線LED13から照射される赤外線は、図5(a)の矢印で示すように、テーラードブランク加工品30aの加工孔32a(32b,32c)も通過するが、加工品受け部8の遮蔽部11aで遮蔽され、赤外線検出器17には到達しないので、誤検出を防止できる。
次に、欠陥検出工程で、制御ユニット20により受光ユニット7bでの受光を検出した時にテーラードブランク加工品30aに欠陥があると判定する。
尚、受光ユニット7bが、赤外線検出器17のフォトダイオードで発生する電流を増幅させる増幅回路19を備えることにより、フォトダイオードで受光した微かな光でも逃さずに検知することができる。
そして、欠陥検出工程でテーラードブランク加工品30aに欠陥があると判定した時は、欠陥品回収工程により、テーラードブランク加工品30aを後工程に流さずに回収することができる。
本実施の形態では、プレス加工装置1の上型ベース2に投光ユニット7aを配設し、下型ベース7bに受光ユニット7bを配設したが、このテーラードブランク加工品検査装置7は透過光によって欠陥33a〜33cの有無を検出するので、投光ユニット7aと受光ユニット7bの位置関係は逆でもよい。
また、本実施の形態では、赤外線LED13を2列配置したが、その配列は検査許容幅wに応じて選択することができ、何列でもよい。
テーラードブランク加工品検査装置7がプレス加工装置1の最下流位置(第3の加工部6の下流側)に組み込まれることにより、全ての加工終了後に一度にまとめて検査を行うことができ、検査の効率性に優れると共に、検査後に加工によって新たに欠陥が発生することがなく、検査の確実性、信頼性に優れる。
以上のように構成された実施の形態1のテーラードブランク加工品検査装置は、以下の作用を有する。
(1)プレス加工装置の加工部の下流側に組み込まれているので、加工部でプレス加工されたテーラードブランク加工品をライン中で全数検査することができ、欠陥品が後工程に流れることがなく、無駄な生産を防止することができ、検査の効率性、省資源性、省エネルギー性に優れる。
(2)プレス加工装置の上型ベースに配設される投光ユニットと、プレス加工装置の下型ベースに配設され投光ユニットと対向する受光ユニットと、投光ユニットと受光ユニットの間に配設されテーラードブランク加工品が載置される加工品受け部と、受光ユニットでの受光の有無によりテーラードブランク加工品の欠陥を検出する制御ユニットを有するので、プレス加工装置の加工部(上型ベース)の動作に連動して流れ作業で連続的に全数検査を行うことができ、画像処理や演算などが不要で、短時間の内に欠陥の有無を判断することができ、生産性を低下させることがなく、検査の効率性、確実性、信頼性に優れる。
(3)投光ユニットが、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に直線状に配設された広照射角度の赤外線LEDを有することにより、検査位置に対して、真下又は真上の赤外線LEDからだけでなく、溶接線の長手方向に並んだ前後複数の赤外線LEDから様々な角度で赤外線が照射されるので、テーラードブランク加工品が凹凸面や立面を有する場合でも、検査範囲全面に斑無く赤外線を照射することができ、テーラードブランク加工品にピンホールなどの欠陥があれば、赤外線がその欠陥を通過して、受光ユニットで受光され、確実に欠陥を検出することができ、汎用性、検査の確実性に優れる。
(4)投光ユニットが、赤外線LEDのテーラードブランク加工品側に赤外線LEDと対向して配設され赤外線LEDから照射される赤外線をテーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲に集光させる投光側集光部材を有することにより、赤外線LEDから照射される赤外線に指向性を持たせ、赤外線が無駄に拡散することを防止し、検査許容幅の範囲に効率的に赤外線を照射して十分な光量を得ることができるので、溶接線の位置のバラツキを許容する範囲内で高感度の測定を行うことができ、発熱が少なく、省エネルギー性に優れる。
(5)投光ユニットの光源が赤外線LEDであることにより、外乱光の影響を受け難く、微小な欠陥でも確実に検出することができ、欠陥の検出能力が高く、長寿命性、メンテナンス性、省エネルギー性に優れると共に、目にも優しく取扱い性に優れる。
(6)受光ユニットが、赤外線LEDから照射されテーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光を収束させる受光側集光部材を有することにより、透過光を効率良く収束させて強い光を得ることができ、集光能力が高く、元が微弱な光でも検知することができるので、微小な欠陥を確実に検出することができ、高性能で検出能力の信頼性、安定性に優れる。
(7)受光ユニットが、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に直線状に配設され受光側集光部材で収束された透過光を検出する赤外線検出器を有することにより、テーラードブランク加工品の欠陥に対する赤外線の入射角に関わらず、赤外線検出器で確実に透過光を検出することができるので、テーラードブランク加工品を溶接線の長手方向の全長にわたって漏れなく検査することができ、検査の信頼性、確実性に優れる。
(8)加工品受け部がテーラードブランク加工品と同形状に形成されることにより、テーラードブランク加工品を簡単かつ確実に支持して、テーラードブランク加工品の位置ずれや傾きを防止することができ、テーラードブランク加工品の支持安定性、検査の信頼性に優れる。
(9)加工品受け部が、検査許容幅に合わせてテーラードブランク加工品の溶接線と平行に切除された検査用開口部と、テーラードブランク加工品に形成される加工孔の範囲を遮蔽する遮蔽部を有することにより、投光ユニットから照射された赤外線の内、テーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光のみが、加工品受け部に遮られることなく、検査用開口部を通って受光ユニットまで届き、加工孔を通過した透過光は遮蔽部で遮られて受光ユニットに届くことがないので、テーラードブランク加工品の欠陥のみを確実に検出することができ、検査の確実性、信頼性に優れる。
(10)投光ユニット及び受光ユニットが、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向に複数直列に配設されることにより、テーラードブランク加工品の大きさ(溶接線の長さ)に関わらず、その溶接線の長手方向を全長にわたって同時に検査することができるので、テーラードブランク加工品が大きく(溶接線が長く)なっても検査時間が延びることがなく、検査の効率性に優れる。
(11)テーラードブランク加工品の大きさ(溶接線の長さ)に合わせて、必要な数の投光ユニット及び受光ユニットを直列に並べることにより、テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向を全長にわたって確実に調査することができ、装置が無駄に大型化することがなく、汎用性、省スペース性に優れる。
(12)投光ユニットの投光側集光部材が、テーラードブランク加工品側に膨出した半円柱状に形成されテーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に配設されたシリンドリカルレンズであることにより、赤外線LEDから照射された赤外線(光)を必要以上に拡散させることがなく、テーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲に集光させ、赤外線LEDから照射された赤外線(光)を無駄なく効率的に利用することができ、省エネルギー性に優れる。
(13)投光側集光部材がシリンドリカルレンズであることにより、投光ユニットを小型化することができ、コンパクト性、省スペース性に優れる。
(14)投光側集光部材がシリンドリカルレンズであることと、赤外LEDの照射角度が大きい(120度程度)ことにより、溶接線の長手方向には集光効果を伴わないため、テーラードブランク加工品の溶接箇所の溶接線方向に大きく傾いた欠損孔にも赤外光を照射することが可能で、欠陥検出の確実性に優れる。
(15)受光ユニットの受光側集光部材が、円柱状に形成されテーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に配設されていることにより、テーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光を赤外線検出器の受光範囲に効率的に収束(集光)させることができ、微小欠陥の検出能力が高く、受光ユニットのコンパクト性に優れる。
(16)受光ユニットの受光側集光部材が、円柱状に形成されテーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に配設されていることにより、溶接線方向に大きく傾いた欠損孔を通過した透過光も長手方向に収束されることなく確実に赤外線検出器に到達でき、欠陥検出の確実性に優れる。
(17)受光ユニットが、受光側集光部材のテーラードブランク加工品側に配設された赤外線透過フィルタを備えていることにより、外乱光をカットして赤外線のみを透過させることができ、誤検出が少なく、検査の信頼性に優れる。
(18)受光ユニットが、フォトダイオードで発生する電流を増幅させる増幅回路を備えることにより、フォトダイオードで受光した微かな光でも逃さずに検知することができるので、微小な欠陥を確実に検出することができ、検査の確実性、信頼性に優れる。
以上のように構成された実施の形態1のテーラードブランク加工品検査装置を用いたテーラードブランク加工品検査方法は、以下の作用を有する。
(1)プレス加工装置の加工部で加工されたテーラードブランク加工品を加工品受け部に載置する加工品載置工程を有するので、加工部で加工された全てのテーラードブランク加工品を確実に検査することができ、検査の信頼性に優れる。
(2)プレス加工装置の上型ベースの動作に従って投光ユニットと受光ユニットを接近させるユニット接近工程を有するので、上流側の加工部での加工工程と平行して検査を行うことができ、検査時間が短く、検査の効率性に優れる。
(3)プレス加工装置の動作で投光ユニットと受光ユニットを接近させることができるので、投光ユニット又は受光ユニットを移動させるための駆動部や工程を別途設ける必要がなく、省力性に優れる。
(4)投光ユニットからテーラードブランク加工品の溶接線を含む検査許容幅の範囲に赤外線を照射する赤外線照射工程を有するので、検査許容幅の範囲でテーラードブランク加工品が位置ずれしても、検査対象である溶接線を含む一定の範囲を確実に検査することができ、検査の確実性に優れる。
(5)制御ユニットにより受光ユニットでの受光を検出した時にテーラードブランク加工品に欠陥があると判定する欠陥検出工程と、欠陥検出工程でテーラードブランク加工品に欠陥があると判定した時にテーラードブランク加工品を後工程に流さずに回収する欠陥品回収工程を有することにより、欠陥品が後工程に流れることがなく、無駄な生産を防止することができ、生産の効率性、省資源性、省エネルギー性に優れる。
本発明は、加工品の形状が複雑で細かな凹凸や加工孔が形成されている場合でも、割れやピンホールなどの欠陥のみを短時間で確実に検出することができ、外乱光の影響を受け難く、微小な欠陥でも見逃すことがなく、欠陥の検出能力が高く、汎用性、検査の信頼性に優れ、簡素な構成で、動作不良や故障が発生し難く、量産性、メンテナンス性、省エネルギー性に優れ、生産ライン中に組み込んでも生産性を維持したまま製品の全数検査を行うことができ、検査の効率性、品質管理の確実性に優れたテーラードブランク加工品検査装置の提供、及び複雑な画像処理や演算などが不要で、検査時間を短縮することができ、検査の効率性、欠陥品回収の確実性に優れたテーラードブランク加工品検査方法の提供を行うことにより、既存のプレス加工装置を有効に利用して、低コストで検査の効率性、確実性を大幅に向上させ、信頼性の高いテーラードブランク加工品を供給することができる。
1 プレス加工装置
2 上型ベース
3 下型ベース
4,5,6 第1〜第3の加工部
4a,5a,6a 上金型
4b,5b,6b 下金型
7 テーラードブランク加工品検査装置
7a 投光ユニット
7b 受光ユニット
8 加工品受け部
9 検査用開口部
10a,10b,10c 疑似加工孔
11a,11b,11c 遮蔽部
12 LED基板
13 赤外線LED
14 投光側集光部材
15 赤外線透過フィルタ
16 受光側集光部材
17 フォトダイオード
18 フォトダイオード基板
19 増幅回路
20 制御ユニット
30 テーラードブランク材
30a テーラードブランク加工品
31 溶接線
32a,32b,32c加工孔
33a,33b,33c 欠陥

Claims (4)

  1. 板厚又は材質の異なる板材の端面同士を突合せて溶接接合したテーラードブランク材をプレス加工するプレス加工装置の加工部の下流側に組み込まれ、前記加工部でプレス加工されたテーラードブランク加工品の欠陥を検出するテーラードブランク加工品検査装置であって、
    前記プレス加工装置の下型ベース又は上型ベースに配設される投光ユニットと、前記プレス加工装置の上型ベース又は下型ベースに配設され前記投光ユニットと対向する受光ユニットと、前記投光ユニットと前記受光ユニットの間に配設され前記テーラードブランク加工品が載置される加工品受け部と、前記受光ユニットでの受光の有無により前記テーラードブランク加工品の欠陥を検出する制御ユニットと、を有し、
    前記投光ユニットが、前記テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向と平行に直線状に配設された赤外線LEDを備え、
    前記受光ユニットが、前記溶接線の長手方向と平行に直線状に配設され前記赤外線LEDから照射され前記テーラードブランク加工品の欠陥を通過した透過光を検出する赤外線検出器を備え
    前記加工品受け部が、前記テーラードブランク加工品の前記溶接線を含む検査許容幅に合わせて前記溶接線と平行に切除された検査用開口部と、前記テーラードブランク加工品に形成される加工孔の範囲を遮蔽する遮蔽部と、を備えていることを特徴とするテーラードブランク加工品検査装置。
  2. 前記加工品受け部が、前記テーラードブランク加工品と同形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のテーラードブランク加工品検査装置。
  3. 前記投光ユニット及び前記受光ユニットが、前記テーラードブランク加工品の溶接線の長手方向に複数直列に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のテーラードブランク加工品検査装置。
  4. 請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のテーラードブランク加工品検査装置を用いたテーラードブランク加工品検査方法であって、
    前記プレス加工装置の前記加工部で加工された前記テーラードブランク加工品を前記加工品受け部に載置する加工品載置工程と、前記プレス加工装置の前記上型ベースの動作に従って前記投光ユニットと前記受光ユニットを接近させるユニット接近工程と、前記投光ユニットから前記テーラードブランク加工品の前記溶接線を含む検査許容幅の範囲に赤外線を照射する赤外線照射工程と、前記制御ユニットにより前記受光ユニットでの受光を検出した時に前記テーラードブランク加工品に欠陥があると判定する欠陥検出工程と、前記欠陥検出工程で前記テーラードブランク加工品に欠陥があると判定した時に前記テーラードブランク加工品を後工程に流さずに回収する欠陥品回収工程と、を備えていることを特徴とするテーラードブランク加工品検査方法。
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