本発明の一実施形態に係る分割素子は、基材と、反射面とを具備する。
上記基材は、第1の軸方向にレーザ光が入射する。
上記複数の反射面は、上記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に配列して上記基材に形成され、上記レーザ光のうちの一部がそれぞれ反射して複数の平行な分割光を出射する。
本発明によれば、上記レーザ光の一部が複数の反射面で反射し、複数のレーザ光として出射される。すなわち、上記入射したレーザ光を、レーザ特性を大きく変化させることなく、複数のレーザ光に分割して出射させることが可能となる。したがって、例えば基板上の熱転写体に上記分割光を照射することで、発光材料の熱転写により高精細な発光層パターンを形成することが可能となる。
上記複数の反射面は、上記基材に上記第1の軸方向に沿ってそれぞれ離間して配列され、
上記分割素子は、
上記複数の反射面と交互に上記基材に配列し、かつ上記第1の軸方向と平行に形成された複数の非反射面をさらに具備してもよい。
これにより、複数の反射面と交互に配列された複数の非入射面にはレーザ光は入射されず、反射面で反射された複数の分割光が相互に離間して出射されることが可能となる。さらに第1の軸方向から受光面に入射するレーザ光は反射面で反射されることから、入射したレーザ光のロスを最小限に抑え、複数のレーザ光に分割することが可能となる。
また、上記複数の反射面は、上記第1の軸方向に相互に第1の長さ離間して配列され、かつ上記第1の軸方向に投影した長さが第2の長さであり、
上記第1の長さは、上記第2の長さの2倍であってもよい。
これにより、隣り合う分割光の離間する幅を、各分割光の幅の2倍とすることができる。すなわち、分割光の周期を、各分割光の幅の3倍とすることができる。これにより、基板上に形成されるR(赤)、G(緑)、B(青)の3色の熱転写体(発光材料)の幅方向の周期は、これらの各発光材料の幅方向に沿った長さの3倍に設定することができる。したがって、各発光層を隣接して形成することができ、基板上に略均等な幅の画素を構成することが可能となる。
また、上記複数の反射面は、上記第1及び第2の軸方向と直交する第3の軸方向に長手方向を有する矩形状に形成されてもよい。
これにより、基板上の熱転写体へ照射された分割光のスポット形状を長い矩形状とすることができる。したがって、単位面積当たりに照射される分割光の量をより均一にすることができ、高精細の発光層パターンを形成することができる。
このような構成によっても、入射したレーザ光を複数の平行な分割光に分割することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るレーザ転写装置は、真空室と、レーザ光学系とを具備する。
上記真空室は、有機発光材料を含む熱転写体が配置された基板を支持するステージを有し、真空雰囲気を維持可能である。
上記レーザ光学系は、分割素子を有し、上記ステージに対向して配置される。
上記分割素子は、基材と、複数の反射面とを有する。
上記基材は、第1の軸方向にレーザ光が入射する。
上記複数の反射面は、上記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に配列して上記基材に形成され、上記レーザ光のうちの一部がそれぞれ反射して複数の平行な分割光を出射する。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[有機発光デバイスの構成]
図1は、有機発光デバイスの構成の一例を示す概略断面図である。図示する有機発光デバイス1は、基板2と、下部電極層3と、正孔注入層4と、発光層5R,5G,5Bと、電子注入層6と、上部電極層7との積層構造を有する。
基板2は、例えばガラス基板、プラスチック基板等で構成される。下部電極層3は、陽極として、各色の発光層5R,5G,5Bに対応するように個々に形成され、上部電極層7は、陰極として、発光層5R,5G,5Bに共通に形成される。正孔注入層4は、正孔輸送層を含み、下部電極層3から発光層5R,5G,5Bへ正孔を注入する。電子注入層6は、電子輸送層を含み、上部電極層7から発光層5R,5G,5Bへ電子を注入する。発光層5R,5G,5Bは、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)の画素を構成する。発光層5R,5G,5Bは、各色に発光する有機発光材料で形成され、注入された正孔及び電子の再結合により発光する。発光層5R,5Gは、レーザ熱転写法によって所定のパターン形状に形成され、発光層5Bは蒸着法によって発光層5R,5Gを覆うように基板2のほぼ全面に形成される。
次に、以上のように構成される有機発光デバイス1の製造装置及び製造方法について説明する。本実施形態では、基板2上への発光層5R,5Gの熱転写工程への適用例を説明する。
[有機発光デバイスの製造装置]
図2は、一実施形態に係る有機発光デバイスの製造システムを示す概略平面図である。本実施形態の製造システム10は、第1の処理ユニット11と、第2の処理ユニット12と、搬送ユニット13とを有する。また、図中のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、相互に直交する3軸方向を示し、X軸方向は第1の軸方向、Y軸方向は第2の軸方向を示す。
第1の処理ユニット11は、基板2上に第1の有機発光層として発光層5Rを形成する第1のレーザ転写装置110を含む。第2の処理ユニット12は、基板2上に第2の有機発光層として発光層5Gを形成する第2のレーザ転写装置120を含む。搬送ユニット13は、第1のレーザ転写装置110と第2のレーザ転写装置120との間に設置された搬送室130と、第1のレーザ転写装置110から第2のレーザ転写装置120へ基板2を搬送する搬送機構131とを含む。
第1の処理ユニット11、搬送ユニット13及び第2の処理ユニット12は、水平面において一軸方向(X軸方向)に配列されており、真空中で基板2をX軸方向に搬送しながら発光層5R,5Gを順次形成するインライン式のレーザ転写装置を構成している。
[第1の処理ユニット]
第1の処理ユニット11は、本発明に係る第1のレーザ転写装置110と、第1のレーザ転写装置110へ搬送される基板を収容する第1の基板収容室111と、第1のレーザ転写装置110へ搬送される赤色有機発光材料の熱転写体を収容する第1の熱転写体収容室112とを有する。第1の基板収容室111は、正孔注入層4が成膜された基板2を収容する。第1の基板収容室111は、正孔注入層4等を成膜する成膜室21等と接続されていてもよい。
図3は第1のレーザ転写装置110を概略的に示す平面図、図4はその概略側断面図である。第1のレーザ転写装置110は、真空室31と、ステージ32と、レーザ光学系33と、制御部45とを有する。
真空室31は、図示しない真空ポンプに接続されており、内部を所定圧力の減圧雰囲気に維持することが可能に構成されている。真空室31は、例えば直方体(六面体)形状のチャンバ構造を有しており、第1の基板収容室111に接続された第1の側面311と、第1の熱転写体収容室112に接続された第2の側面312と、搬送室130に接続される第3の側面313とを有する。第2の側面312は第1の側面311に隣接し、第3の側面313は第1の側面311とX軸方向に対向する。第1の側面311、第2の側面312及び第3の側面313は、ゲートバルブ等の仕切りバルブを介して第1の基板収容室111、第1の熱転写体収容室112及び搬送室130にそれぞれ接続されている。
図4に示すように、真空室31はさらに天面314を有する。天面314には、レーザ光学系33から出射されるレーザ光を透過する、石英等で構成された透光部315a,315bが設けられている。透光部315a,315bは、ステージ32の支持面32aに対向し、Y軸方向に隣接するように設けられている。透光部315a,315bは相互に分離して構成される例に限られず、一体的に構成されてもよい。
ステージ32は、真空室31の内部に設置されており、その上面には第1の基板収容室111から搬送された基板2及び熱転写体を支持するための支持面32aが形成されている。ステージ32は機構部(移動機構)32bをさらに有しており、機構部32bを介して真空室31内において水平面内で移動可能に構成されている。本実施形態においてステージ32は、第1の基板収容室111から搬送室130へ向かうX軸方向に移動可能に構成されるが、さらにY軸方向及びZ軸まわりの回転方向にも移動可能に構成されてもよい。これにより、基板面内の任意の位置に所望のパターン形状を有する発光層を形成することができる。
図5は、真空室31と第1の熱転写体収容室112との関係を示す概略側面図である。第1の熱転写体収容室112には、熱転写体50Rを第1の熱転写体収容室112と真空室31との間で搬送する移載機構113が設置されている。移載機構113は、例えば多関節搬送ロボットで構成されている。熱転写体50Rは、赤色有機発光材料層とこれを支持する例えばガラス製の基材との積層構造を有し、赤色有機発光材料層をステージ32上の基板2側に向けて、基板2の上に配置される。熱転写体50Rは、基板2の発光層形成領域を被覆する大きさの矩形状に形成される。
レーザ光学系33は、図4に示すように真空室31の上方に設置されている。これによりレーザ光学系33を真空室31の外部(大気)に設置することができ、レーザ光学系33のメンテナンス性を確保することができる。なお上述の例に限られず、レーザ光学系33は、真空室31の内部に設置されてもよいし、真空室31以外の大気とは異なる雰囲気(例えば減圧下の窒素雰囲気)に調整されたチャンバ内に設置されてもよい。
レーザ光学系33は、光源34と、第1の光学ユニット34Aと、分割素子34Bと、走査機構35と、光学レンズ部(第2の光学ユニット)36とを有し、透光部315a,315bを介してステージ32上の熱転写体50Rへレーザ光を照射することで、基板2上に発光層をレーザ転写する。
光源34は、Y軸方向へレーザ光Lを出射する。レーザ光Lの発振波長は特に限定されず、熱転写体50Rによって支持される有機発光材料の種類に応じて適宜設定される。本実施形態では、レーザ光Lとして赤外波長領域(例えば約1.1μm)の赤外線レーザが用いられる。また、レーザ光Lとしては、例えば大出力(400W以上)のCW(連続波)又はQCW(疑似連続波)のレーザ光が用いられる。
図6は、上記第1のレーザ転写装置110のレーザの強度分布を示す図である。
第1の光学ユニット34Aは、光源34と、分割素子34Bとの間に設けられている。通常のレーザ光の強度分布がガウス分布になるのに対して、第1の光学ユニット34Aは、光源34からのレーザ光Lの強度分布を、図6に示すようないわゆるトップハット型にするように構成されている。
具体的には、第1の光学ユニット34Aは、非球面レンズ355と、位相補正レンズ356とを備える。非球面レンズ355は、レーザ光Lのパワー分布を均一化する。位相補正レンズ356は、入射したレーザ光Lの位相を補正して、レーザ光Lの位相を略同一とする。なお、非球面レンズ355の代わりに、例えば回折格子(ホモジェナイザ)を用いてもよい。
図7は、上記第1のレーザ転写装置110のレーザ光学系33の分割素子34Bを示す斜視図、図8は、図7に示すレーザ光学系33の分割素子34Bの光路を説明するための光路図である。
分割素子34Bは、第1の光学ユニット34Aと、走査機構35との間に設けられている。分割素子34Bは、第1の光学ユニット34Aから出射したレーザ光Lを複数の平行なレーザ光(n本のレーザ光)Lnに分割し、走査機構35へ向けて出射する。本実施形態において、分割素子34Bは17本のレーザ光に分割することが可能に構成される。また分割素子34Bは、全体としてXY平面と平行な底面を有し、Z軸方向に高さ方向を有する略三角柱状あるいは四角柱状に構成されており、例えばガラスなどの基材で形成されている。
分割素子34Bは、複数の反射面341と、複数の非反射面342とを有する。各反射面341及び各非反射面342は、いずれもZ軸方向に沿って延びる矩形状の面であり、Z軸方向と直交する方向に沿って交互に配置される。複数の反射面341及び複数の非反射面342は、全体として分割素子34Bの一側面を構成する。
複数の反射面341は、レーザ光Lの入射方向(本例ではY軸方向)に対して傾斜して設けられている。各反射面341は、YZ平面に投影した際に、Y軸方向に沿った長さが所定の長さH2であり、かつそれぞれ所定の長さH1だけ相互に離間して設けられている。各反射面341は、例えばクロム膜等のレーザ用ミラーで構成される。
一方、複数の非反射面342は、X軸方向に直交するように、すなわちレーザ光Lの入射方向であるY軸方向に平行となるように設けられている。これにより非反射面342にはレーザ光Lは入射せず、反射が起こらないように構成される。
これにより複数の反射面341は、図8に示すようにY軸方向に入射したほぼ全てのレーザ光LをX軸方向に反射する。すなわち分割素子34Bは、入射したレーザ光Lのロスを最小限に抑え、複数のレーザ光Lnに分割することが可能となる。さらに、分割後の複数のレーザ光Lnの強度分布をトップハット型に保持することが可能となる。反射面341で反射された複数のレーザ光Lnは、Y軸方向に沿った幅が長さH2であり、Y軸方向に長さH1だけ相互に離間する。
なお、分割素子34Bの反射面の個数、形状、反射角度等はこれに限定されず適宜変更可能である。また長さH1,H2も特に限られないが、本実施形態において、非反射面342のY軸方向の長さH1は、例えば長さH2の約2倍に設定されている(図8参照)。
走査機構35は、ステージ32と対向して設置される。走査機構35は、光源34から出射され複数に分割されたレーザ光Lnを真空室31側に折り返しつつ、当該レーザ光Lnを熱転写体50R(基板2)の幅方向であるY軸方向に所定周期で走査するスキャナ(走査部)を有する。
本実施形態において、走査機構35は、ハーフミラー351と、ミラー352,353,354と、走査部35a,35bとを有する。ハーフミラー351は、分割素子34Bで平行に分割された複数のレーザ光Lnをさらに2方向の複数のレーザ光Ln1,Ln2に分割する。すなわちハーフミラー351は、一方の複数のレーザ光Ln1をミラー353側に折り返し、他方の複数のレーザ光Ln2をミラー352へ出射する。ミラー353は、レーザ光Ln1を走査部35aへ向けて反射し、ミラー352は、レーザ光Ln2をミラー354を介して走査部35bへ向けて反射する。
走査部35a,35bは、Y軸方向に沿って配設され、複数のレーザ光Ln1,Ln2を熱転写体50R(基板2)の幅方向であるY軸方向に所定周期で走査する。
図9は、走査部35aの構成を示す模式的な図である。走査部35aは、第1のガルバノミラー35Aと、第2のガルバノミラー35Bと、第1のミラー駆動部35Cとを有する。
第1及び第2のガルバノミラー35A,35Bは、それぞれレーザ光Ln1を反射する反射面350A,350Bを有し、反射面350A,350Bの角度が可変に構成される。反射面350AはZ軸のまわりに回動可能に設けられる。すなわち第1のガルバノミラー35Aは、複数のレーザ光Ln1をX軸方向に微小量スキャンする。第2の反射面350BはX軸のまわりに回動可能に設けられる。すなわち第2のガルバノミラー35Bは、複数のレーザ光Ln1で熱転写体50Rの表面をY軸方向にスキャンする。ミラー駆動部35Cは、第1及び第2のガルバノミラー35A,35Bを駆動することで反射面350A,350Bの角度を変更させる。
走査部35bは、走査部35aと同様の構成を有する。すなわち走査部35bは、第3のガルバノミラー35Dと、第4のガルバノミラー35Eと、第2のミラー駆動部35Fとを有する。第3及び第4のガルバノミラー35D,35Eは、それぞれレーザ光Ln2を反射する反射面350D,350Eを有し、反射面350D,350Eの角度が可変に構成される。反射面350Dは、Z軸のまわりに回動可能に設けられており、第3のガルバノミラー35Dは複数のレーザ光Ln2をX軸方向に微小量スキャンする。反射面350EはX軸のまわりに回動可能に設けられており、第4のガルバノミラー35は複数のレーザ光Ln2で熱転写体50Rの表面をY軸方向にスキャンする。ミラー駆動部35Fは、第3及び第4のガルバノミラー35D,35Eを駆動することで反射面350D,350Eの角度を変更させる。
なお第1〜4のガルバノミラー35A,35B,35D,35Eは、本実施形態において「走査ミラー部」を構成する。
これにより、第1及び第3のガルバノミラー35A,35Dは、ステージ32を移動させながらレーザ光Ln1,Ln2を走査する場合、レーザ光Ln1,Ln2の出射方向をステージの移動速度に応じてそれぞれX軸方向に調整することが可能となる。したがって、第2及び第4のガルバノミラー35B,35Eは、ステージ32がX軸方向に沿って移動している場合であっても、レーザ光Ln1,Ln2により熱転写体50Rの表面をY軸方向に沿ってスキャンすることが可能となる。
光学レンズ部36は、レンズ36a,36bと、透光部315a,315bとを有する。レンズ36a,36bは、凸部が非球面の平凸レンズで構成され、透光部315a,315bとZ軸方向にそれぞれ対向している。透光部315a,315bもまた平凸レンズで構成されており、非球面状の凸部がレンズ36a,36bの凸部と光軸を揃えて対向している。光学レンズ部36は、走査部35a,35bで走査された複数のレーザ光Ln1,Ln2をZ軸方向に平行な光に変換し、真空室31内の熱転写体50Rに照射する。
光源34、第1の光学ユニット34A、分割素子34B及び走査機構35は、真空室31の直上に設置された図示しない架台に支持されている。走査機構35の各走査部35a,35bは、真空室31の天面の各透光部315a,315bの直上位置に、それぞれ配置されている。光学レンズ部36は、走査部35a,35bで走査されたレーザ光Ln1,Ln2の光軸をZ軸と平行な方向に変換する。光学レンズ部36は単数又は複数の球面あるいは非球面レンズ、あるいは球面レンズと非球面レンズとの組み合わせで構成することができる。
透光部315a,315bは、Y軸方向に走査されるレーザ光Ln1,Ln2の光路を形成するのに十分な大きさを有していればよく、例えば、光入射面は中心から端部に向かって薄くなり、裏側の光出射面は平面である、いわゆるシリンドリカルレンズの形状に形成されてもよい。一方、透光部315a,315bは、真空室31の天面の一部を構成するため、真空室31の強度を確保する観点から、透光部315a,315bは平面的に見て円板状であってもよい。これらの透光部315a,315bの直径は特に限られないが、例えば650mm以上である。
次に、制御部45は、製造システム10の動作の全体を制御する。制御部45は、典型的にはコンピュータで構成され、製造システム10の各部における基板2に対する各種処理を制御する。制御部45は、第1の処理ユニット11に関しては、後述するように、第1の基板収容室111から第1のレーザ転写装置110への基板の搬送、第1の熱転写体収容室112から第1のレーザ転写装置110への熱転写体50Rの搬送、第1のレーザ転写装置110におけるステージ32、レーザ光学系33等の各種動作を制御する。
具体的には、制御部45は、第1及び第2のミラー駆動部35C,35F及び機構部32bを制御することで、レーザ光Ln1,Ln2で熱転写体50Rの表面をY軸方向に沿って走査させることが可能に構成される。すなわち制御部45は、第1のミラー駆動部35Cを駆動し、第1及び及び第2のガルバノミラー35A,35Bの反射面350A,350Bの角度を制御する。同様に制御部45は、第2のミラー駆動部35Fを駆動し、第3及び第4のガルバノミラー35D,35Eの反射面350D,350Eの角度を制御する。
このとき制御部45は、ステージ32のX軸方向へ移動と、第1〜4のガルバノミラー35A、35B、35D、35Eの動きとを同期させる。これにより制御部45は、複数のレーザ光Ln1,Ln2を熱転写体50Rの表面に照射させ、有機発光材料を所定パターンで基板上に転写させることが可能となる。また本実施形態に係る「所定パターン」とは、X軸方向に沿って配列しY軸方向に沿って延在するストライプ状の転写パターンである。
[第2の処理ユニット]
第2の処理ユニット12は、図2に示すように、第2のレーザ転写装置120と、第2のレーザ転写装置120から搬送される基板を収容する第2の基板収容室121と、第2のレーザ転写装置120へ搬送される緑色有機発光材料の熱転写体を収容する第2の熱転写体収容室122とを有する。第2の基板収容室121は、発光層5R,5Gが形成された基板2を収容する。第2の基板収容室121は、発光層5Bを成膜する成膜室22等と接続されていてもよい。
第2のレーザ転写装置120は、第1のレーザ転写装置110と同様に構成され、真空室、ステージ、レーザ光学系、制御部等を有する。第2の熱転写体収容室122は、熱転写体50Gを第2の熱転写体収容室122と上記真空室の間で搬送する移載機構123を有する。移載機構123は、例えば多関節搬送ロボットで構成されている。熱転写体50Gは、緑色有機発光材料層とこれを支持する例えばガラス製の基材との積層構造を有し、緑色有機発光材料層を上記ステージ上の基板2側に向けて、基板2の上に配置される。熱転写体50Gは、基板2の発光層形成領域を被覆する大きさの矩形状に形成される。
[搬送ユニット]
搬送ユニット13は、搬送室130と、搬送機構131とを有する。搬送室130は、図示しない真空ポンプに接続されており、内部を所定圧力の減圧雰囲気に維持することが可能に構成されている。搬送室130は、例えば直方体(六面体)形状のチャンバ構造を有しており、第1のレーザ転写装置110と第2のレーザ転写装置120との間に設置される。搬送機構131は、例えば多関節ロボットで構成されており、搬送室130を介して、第1のレーザ転写装置110から第2のレーザ転写装置120へ基板2を搬送する。
搬送機構131は、搬送室130だけでなく、第1の基板収容室111及び第2の基板収容室121に設置されてもよい。制御部は、これら搬送機構131の動作を制御する。制御部45は、第2の処理ユニット12に関して、第2のレーザ転写装置120への基板2の搬送、第2の熱転写体収容室122から第2のレーザ転写装置120への熱転写体50Gの搬送、第2のレーザ転写装置120におけるステージ、レーザ光学系等の各種動作を制御する。
[製造システムの動作例]
次に、以上のように構成される製造システム10の一動作例を説明する。
第1の処理ユニット11、搬送ユニット13及び第2の処理ユニット12の各室は、所定の真空度に維持されている。基板2は、第1の基板収容室111から第1のレーザ転写装置110へ搬送される。基板2にはあらかじめ、例えば成膜室21において下部電極層3、正孔注入層4が形成されている。
第1のレーザ転写装置110へ搬送された基板2は、ステージ32の支持面32a上に位置決め配置される。次に、移載機構113により、第1の熱転写体収容室112から第1のレーザ転写装置110へ熱転写体50Rが搬送される。移載機構113は、図5に示すように、支持面32aに支持された基板2の上に熱転写体50Rを位置決め配置する。
制御部45は、光源34を駆動する。これにより、光源34からレーザ光Lが射出される。光源34から射出されたレーザ光Lは、第1の光学ユニット34Aの非球面レンズ355に入射する。非球面レンズ355は、入射したレーザ光Lの強度分布をトップハット型に変換する。非球面レンズ355を透過したレーザ光Lは、位相補正レンズ356に入射する。位相補正レンズ356は、入射したレーザ光Lの位相を補正する。位相補正レンズ356を透過したレーザ光Lは、分割素子34Bに入射する。
分割素子34Bは、入射したレーザ光Lを例えば17本の平行なレーザ光Lnに分割する。具体的には、図8に示すように、分割素子34BにY軸方向に入射したレーザ光Lは、複数の反射面341でX軸方向に反射する。これにより、分割素子34Bに入射したレーザ光Lは、複数の平行光に分割される。複数に分割されたレーザ光Lnは、Y軸方向に所定の長さH1だけ相互に離間した平行な光線となる。
分割素子34Bで分割された複数のレーザ光Lnは、例えば図示しないミラーでY軸方向に反射されハーフミラー351に入射する。ハーフミラー351は、レーザ光Lnのうちの一部のレーザ光Ln1をミラー353側へ折り返し、かつレーザ光Lnのうちの他のレーザ光Ln2をミラー352方向へ出射する。つまり、ハーフミラー351は、入射した複数のレーザ光Lnをミラー353に向かう複数のレーザ光Ln1と、ミラー352に向かう複数のレーザ光Ln2とに分割する。ミラー353は、入射した複数のレーザ光Ln1を第1のガルバノミラー35Aに向けて反射する。
制御部45は、第1のミラー駆動部35Cを駆動することで、第1及び第2のガルバノミラー35A,35Bの反射面350A,350Bの角度を制御する。第1のガルバノミラー35Aは、入射したレーザ光Ln1を第2のガルバノミラー35Bに向けて反射する。第2のガルバノミラー35Bは、入射したレーザ光Ln1を光学レンズ部36のレンズ群371に向けて反射する。
レンズ群371は、入射したレーザ光Ln1をレンズ36aに向けて屈折する。続いてレンズ36aは、入射したレーザ光Ln1を透光部315aに向けて屈折する。さらに透光部315aは、入射したレーザ光Ln1を屈折し、熱転写体50Rの表面に垂直に入射させる。
一方、ミラー352は、入射したレーザ光Ln2をミラー354に向けて反射する。続いてミラー354は、入射したレーザ光Ln2を走査部35bの第3のガルバノミラー35Dに向けて反射する。制御部45は、第2のミラー駆動部35Fを駆動することで、第3及び第4のガルバノミラー35D,35Eの反射面の角度を制御する。第3のガルバノミラー35Dは、入射したレーザ光Ln2を第4のガルバノミラー35Eに向けて反射する。第4のガルバノミラー35Eは、入射したレーザ光Ln2を光学レンズ部36のレンズ群372に向けて反射する。
レンズ群372は、入射したレーザ光Ln2をレンズ36bに向けて屈折する。続いてレンズ36bは、入射したレーザ光Ln2を透光部315bに向けて屈折する。さらに透光部315bは、入射したレーザ光Ln2を屈折し、熱転写体50Rの表面に垂直に入射させる。
一方で制御部45は、レーザ光学系33の制御と同期して、ステージ32の機構部32bを駆動し、基板2を熱転写体50RとともにX軸方向へ所定速度で移動させる。
図10及び図11は、基板2への有機発光材料のレーザ転写工程を示す概略図である。上述のように熱転写体50Rは、基材と有機発光材料層との積層構造を有し、有機発光材料層が基板2側に位置するように、基板2と重ね合わされる。有機発光材料層は基板2の表面に接触してもよいし、基板2の表面に所定の間隔をあけて配置されてもよい。熱転写体50Rの基材にレーザ光Ln1,Ln2が照射されると、そのレーザ照射領域に対応する形状のパターン形状で有機発光材料が基板2上に転写される。
図11は、熱転写体50Rに照射される各レーザ光Ln1,Ln2の形状を擬似的に示す。基材に照射される各レーザ光Ln1,Ln2の形状は、例えば走査方向(Y軸方向)の長さS1が300μm、走査方向に交差(直交)するX軸方向の長さS2が40μmになっている。
本実施形態では、レーザ光Ln1,Ln2は、走査部35a,35bによってY軸方向及びX軸方向に走査される。また、基板2及び熱転写体50Rは、ステージ32によりX軸方向に搬送されるため、これにより基板2の表面には、図9に示すようにY軸方向に平行なストライプ状の複数の発光層5Rが基板2の搬送方向に沿って順次形成される。発光層5R各々の間隔(ピッチ)は特に限定されず、各々の間に発光層5G及び発光層5Bを配置できる程度の大きさに設定される。
また本実施形態では、走査部35a,35bがY軸方向に2つ離間して配置されているため、図10及び図11に示すように基板2の進行方向(X軸方向)に関して基板2の表面を2分割したそれぞれの領域に対して、複数のレーザ光Ln1,Ln2による有機発光材料のレーザ転写が同時に実施される。これにより処理能力が倍増し、大型基板に対しても十分に対応することが可能となる。なお、図11の「side A」はレーザ光Ln1により走査される基板2上の領域を示し、「side B」はレーザ光Ln2により走査される基板2上の領域を示す。
このとき、走査部35a,35bに入射するレーザ光Ln1,Ln2はそれぞれ複数に分割されているので、レーザ光Ln1,Ln2の本数と同一の本数のストライプ状の発光層5Rを同時に形成することができる。なお、図10及び図11では、図面を見易くするためにレーザ光Ln1,Ln2をそれぞれ4本ずつ図示したが、実際にはレーザ光Ln1,Ln2はそれぞれ17本に分割されて熱転写体50Rに照射されている。
レーザ光Ln1,Ln2のY軸方向への走査は、ステージ32をX軸方向へ間欠的に移動させながら行ってもよいが、本実施形態では、ステージ32をX軸方向へ連続的に移動させながら、レーザ光Ln1,Ln2がY軸方向へ走査される。これにより処理能力が向上し、生産性が高められる。
ステージ32を移動させながらレーザ光Ln1,Ln2を走査する場合、レーザ光Ln1,Ln2を、そのスキャン速度ベクトルとステージの移動速度ベクトルとの合成ベクトルで走査する。つまり、レーザ光Ln1には、第1のガルバノミラー35AのZ軸方向の回動によりステージの移動速度ベクトルに相当する速度成分が付与され、第2のガルバノミラー35BのX軸方向に回動によりスキャン速度ベクトルに相当する速度成分が付与される。同様にレーザ光Ln2には、第3のガルバノミラー35DのZ軸方向の回動によりステージの移動速度ベクトルに相当する速度成分が付与され、第4のガルバノミラー35DのX軸方向に回動によりスキャン速度ベクトルに相当する速度成分が付与される。この結果、X軸方向に移動する基板2にY軸方向に平行なストライプ状の複数の発光層5Rを形成することができる。
また本実施形態においては、レーザ光Ln1,Ln2の走査方向の往路又は復路で複数の発光層5Rが基板2上に形成されるように、光源34に対するレーザ光Lの出射が制御される。これに代えて、往路及び復路のそれぞれで複数の発光層5Rが形成されてもよい。
複数の発光層5Rの形成後、熱転写体50Rは移載機構113により基板2から取り外される。基板2への熱転写体50Rの重ね合わせ前後で真空室31の内圧に変動はないため、熱転写体50Rを基板2から容易に取り外すことができる。その後、第1のレーザ転写装置110から第2のレーザ転写装置120へ搬送室130を介して基板2が搬送される。
第2のレーザ転写装置120に搬送された基板2は、第1のレーザ転写装置110における処理と同様の処理が施される。すなわち、移載機構123により、第2の熱転写体収容室122から第2のレーザ転写装置120へ緑色有機発光材料を支持する熱転写体50Gが搬送され、ステージ上の基板2の表面に位置決め配置される。その後、レーザ光学系を介して熱転写体50Gがレーザ照射され、基板2の表面に個々の発光層5Rに隣接するストライプ状の複数の発光層5Gが形成される。
なお本実施形態において、分割された複数のレーザ光のY軸方向に相互に離間する幅H1は、各レーザ光の幅H2の約2倍である。すなわち、基板2上に形成される各色の発光層5R,5G,5BのX軸方向の周期は、これらの各発光層5R,5G,5BのX軸方向に沿った幅の約3倍に設定される。したがって、発光層5Rに隣接して発光層5Gがストライプ状に形成されることで、略均等な幅のR(赤)、G(緑)、B(青)の画素を構成することが可能となる。
複数の発光層5Gの形成後、熱転写体50Gが基板2から取り外される。そして、第2のレーザ転写装置120から第2の基板収容室121へ基板2が搬送される。図12は、発光層5R及び発光層5Gを備えた基板2の平面図である。後工程で、発光層5Gと発光層5Rとの間に発光層5Bが形成される。発光層5Bは、例えば成膜室22において成膜される。発光層5Bは、例えば真空蒸着法で形成されるが、上述のようにレーザ転写法によって形成されてもよい。また、各発光層5R,5G,5Bを所定の画素サイズに加工する工程が追加されてもよい。
以上のように本実施形態によれば、第1,第2のレーザ転写装置110,120は、光源34と分割素子34Bと走査部35a,35bとを有するレーザ光学系33と、制御部45とを備えている。このため、光源34からのレーザ光Lを分割素子34Bで複数の平行光に分割することができる。また、制御部45により走査部35a,35bの第1,第2のミラー駆動部35C,35Fの駆動を制御することで、第1〜第4のガルバノミラー35A,35B,35D,35Eの反射面350A,350B,350D,350Eの角度を変更することができる。したがって、複数のレーザ光Ln1,Ln2により熱転写体50RをY軸方向に走査することができる。この結果、処理能力が飛躍的に増し、大型基板に対しても十分に対応することが可能となる。
レーザ光学系33は、光源34から発光されたレーザ光Lの強度分布を均一化することでトップハット型に制御する第1の光学ユニット34Aを備えている。このため、分割素子34Bの複数の反射面341の全域にわたって、等しい強度分布でレーザ光Ln1,Ln2を照射することができる。このため、より高精度に複数の発光層5Rを形成することができる。
また、分割素子34の複数の反射面341は、それぞれレーザ光Lの入射方向(Y軸方向)及び反射方向(X軸方向)に直交する方向(Z軸方向)に長手方向を有した矩形状を有する。このため、複数の反射面341で反射されて形成される複数のレーザ光Lnの熱転写体上でのスポット形状(あるいは強度分布)がそれぞれ図11に示すような矩形状となる。つまり、複数のレーザ光Ln1,Ln2の熱転写体上でのスポット形状が走査方向(Y軸方向)に長い矩形状となる。これにより、レーザ光Ln1,Ln2がY軸方向に走査するときに、単位面積当たりに照射されるレーザ光の量をより均一にすることができる。この結果、高精細の発光層パターンを形成することができる。
さらに、レーザ光学系33は、走査機構35a,35bによりY軸方向へ走査した複数のレーザ光Ln1,Ln2を熱転写体50Rの表面に垂直に入射させるための光学レンズ部36を備える。このため、複数のレーザ光Ln1,Ln2の熱転写体50R上でのスポット形状がそれぞれ異なる形状になることを防止することができるので、高精細の発光層パターンを形成することができる。
また、本実施形態の第1,第2のレーザ転写装置110,120は、真空雰囲気中で基板2上に熱転写体を配置する移載機構113,123と、熱転写体50R,50G上の有機発光材料を基板2上にレーザ転写するレーザ光学系33とを備え、基板2上の熱転写体50R,50Gの配置処理とレーザ転写処理とを共通の真空室31内で行うように構成されている。これにより、微細なパターン形状を有する発光層を高精度に形成することができる。また、基板2を大気へ取り出すことなく有機発光材料をレーザ転写することができるので、有機発光デバイスの生産性の向上を図ることが可能となる。
また、基板2と熱転写体50R,50Gとの貼り合わせ工程と、熱転写体50R,50Gへのレーザ照射工程とがいずれもステージ32上で行われるため、基板2への熱転写体50R,50Gへの貼り合わせ後、速やかにレーザ転写工程に移行することができる。これにより、処理効率が高まり、生産性を向上させることができる。
さらに、真空雰囲気中で基板2上に有機発光材料をレーザ転写する第1及び第2の処理ユニット11,12を備えているので、微細なパターン形状を有する発光層5R,5Gを高精度に形成することができる。また、複数の第1,第2の処理ユニット11,12間において基板2を真空雰囲気中で搬送する搬送ユニット13を備えているので、基板2を大気へ取り出すことなく基板2上に各色の発光層5R,5Gを形成することができる。これにより、有機発光デバイスの生産性の向上を図ることが可能となる。
また、発光層だけでなく、下部電極層、正孔注入層、電子注入層及び上部電極層を成膜する成膜室を当該製造システム10の上流側及び下流側に適宜設置することで、真空一貫で有機発光デバイス1を連続的に製造することが可能となる。
本実施形態の製造システム10においては、第1の基板収容室111から第2の基板収容室121へ一軸方向(X軸方向)に基板2を搬送しながら発光層5R,5Gを順次形成するように構成されている。これにより各処理室のレイアウトの効率化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の実施形態では、インライン型の製造システムを例に挙げて説明したが、これに代えて、クラスタ型の製造システムを構築してもよい。この場合、基板の搬送室を中心として、当該搬送室の周囲に各発光層のレーザ転写室を設置することができる。
また以上の実施形態では、基板2の搬送機構、熱転写体50R,50Gの移載機構に、多関節ロボットを採用したが、これに限られず、コンベヤ式あるいは吊り下げ式の搬送機構が用いられてもよい。
さらに、レーザ光学系として図4に示すような構成を説明したが、例えば図13に示すように、レーザ光Ln1,Ln2を各々独立して出射する2つの光源34a,34bを有するレーザ光学系330が採用されてもよい。これにより、走査部35a,35bの構成の簡素化を図ることができる。
また、分割素子34Bとして図7に示すような構成を説明したが、例えば図14に示すように、レーザ光を透過可能なガラス等で構成された基材201と、基材201の設置平面203に所定の間隔で設けられた複数のミラー202とを備える分割素子200を用いるようにしてもよい。この所定の長さとは、例えば複数のミラー202が配設される配設方向(矢印T方向)におけるミラー202の長さ(幅)Mの2倍の長さである。この配設方向は、設置平面203に平行な方向である。この場合にも同様に、分割素子200により、入射したレーザ光を複数の平行光に分割することができる。
また、分割素子34Bに替えて、図15に示す面発光素子300(液晶素子)を用いるようにしてもよい。この面発光素子300は、例えば反射型の液晶素子であり、液晶をマトリックス駆動することで、光入射面内における光の反射位置Pを制御し、入射光を反射位置Rで反射することが可能に構成されている。面発光素子300の光入射面に入射したレーザ光の反射光が複数の平行線分になるように、面発光素子300を制御する。これにより、面発光素子300に入射したレーザ光を複数のレーザ光に分割することができる。この場合にも、例えば面発光素子300に入射したレーザ光を17本以上に分割することができる。
さらに、分割素子は、入射したレーザ光を複数のレーザ光に分割することができる構成であれば、上記の構成に限られない。
以上の実施形態においては、有機発光材料の転写された所定パターンとして、X軸方向と直交するY軸方向に沿ったストライプ状が採用されると説明したが、Y軸方向はX軸方向と直交している方向に限られず、例えばX軸方向と鋭角をなして交差する方向としてもよい。これにより、X軸方向と鋭角をなして交差する方向に沿ったストライプ状のパターンを形成することができる。さらに所定パターンとして、例えば島状や、ドット状なども採用することも可能である。
さらに、第1,第2のレーザ転写装置110,120において、一枚の熱転写体50R,50Gで、複数枚の基板2に対して有機発光材料のレーザ転写処理を行ってもよい。例えば図16に模式的に示すように、1枚の熱転写体50を第1の領域51と、第2の領域52と、第3の領域とに複数に分割し、一枚目の基板に対しては第1の領域51をレーザ照射して有機発光材料を基板上に転写する。2枚目の基板に対しては、当該基板に対する熱転写体50の貼り合わせ位置をX軸方向に所定ピッチずらし、第2の領域52をレーザ照射して有機発光材料を各々の基板上に転写する。そして、3枚目の基板に対しては熱転写体50の貼り合わせ位置を上述と同様にX軸方向に所定ピッチずらすことで、第3の領域53をレーザ照射する。これにより、熱転写体50上の有機発光材料を効率よく使用することが可能となる。