JP6139606B2 - 麺乾燥設備構造 - Google Patents

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Description

本発明は、麺乾燥設備構造に関する。
日々の食卓に彩りを添える様々な麺類は、従来、人々の舌を楽しませる食材の一つとして広く喫食されている。
中でも乾麺は、生麺に比して日持ちが良く、熱水や沸騰水中に数分間浸漬することで比較的速やかに食することができるため、極めて有用な食材である。
一般に、麺を製造するにあたっては、加水した小麦粉を混練し、圧延した後に麺線の切り出しが行われる。そして乾麺の場合は、この切り出された麺線を必要に応じて蒸熱し、所定量集合させて形を整えた後に乾燥処理が施されることとなる。
乾燥処理は大別すると、乾麺の製造工程において2種類の方法が採用されている。一つは、140〜160℃程度の揚げ油に麺を投入して1〜2分間油ちょうし、30〜40%あった水分を3〜6%程度まで低下させる方法である。この方法によれば、麺に独特の食感と風味を付与することができるが、比較的高カロリーの乾麺が製造されることとなる。
一方、近年比較的主流となっている乾燥処理として、油ちょうは行わず、昇温した気流を麺に接触させて乾かす方法(以下、単に気流乾燥法ともいう。)が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。この方法により製造された乾麺は、所謂ノンフライ麺として流通しており、カロリーが比較的低いという特徴を有している。
また特に、気流乾燥法にて製造したノンフライ麺は、喫食時に比較的生麺に近い食感を呈することから、近年の健康志向や消費者嗜好に合致して広く製造が行われている。
特開平01−153055号公報
ところで、気流乾燥法による麺の乾燥では、良品を安定して製造するにあたり、乾燥温度の調整が重要な要素の一つとなっている。
乾燥温度が過度に低いと水分の蒸発が遅延し製造効率上問題であるのは勿論であるが、乾燥温度が高すぎると、麺線上にクラック(亀裂)が生じてしまい、ノンフライ麺独特の食感を損ねてしまうという問題がある。
例えば、過乾燥気味となる温度にて麺を乾燥処理した場合、麺線表面の水分は早々に蒸発するが、麺線中心近傍の水分は乾燥された麺線表面の低い熱伝導率などが影響して円滑な水分の蒸発が行われなくなる。
また、乾燥によって麺線表面の柔軟性が既に失われているため、麺線中心近傍の水分が蒸発する際に、麺線表面を破壊してクラックが生じてしまう。
ノンフライ麺の一般的な麺乾燥設備では、通常、設備内の温度を麺の乾燥に最適な温度に調整可能としているが、それでもなお、乾燥室内の温度ムラなどにより、乾燥対象である麺の乾燥室内での配置位置によっては過乾燥気味となってしまい、麺にクラックが生じてしまう場合があった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、麺乾燥時における乾燥室内の温度ムラを抑制し、乾燥室内雰囲気の温度管理や湿度管理が比較的容易であり、しかも、麺線上のクラックの発生を可及的防止できる麺乾燥設備構造を提供する。
また、本発明では、麺線上のクラックの発生が可及的抑制された乾麺についても提供する。
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る麺乾燥設備構造では、(1)乾燥室内を所定数の麺台車収納室に区画すると共に、区画部分は空気流通のための一定の間隙を保持して多数の加熱パイプを並設して構成し、しかも、乾燥室の両側端部近傍には対向した状態で送気ファンを配設し、乾燥室の略中央部には対向して設けた送気ファンから加熱パイプの間隙を介して流通する温風を合流集風するための集風室を設け、集風室には温風の一部を乾燥室外へ排気するための排気パイプを連通させた排気ファンを配設すると共に、乾燥室の両側部の送気ファンに温風を還元するための還元ダクトを連通した。
また、本発明に係る麺乾燥設備構造では、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記加熱パイプは熱源用流体を流通させて発熱するものであり、前記麺台車収納室の奥行き方向へ伸延する加熱パイプを上下方向に所定段数平行に配設し、隣接する加熱パイプの端部間をそれぞれ直列に連通接続して一つの加温ユニットとすると共に、前記区画部分は、この加温ユニットを更に上下方向に複数並設し、それぞれの加温ユニットを熱源用流体の供給管路に並列に接続して形成したこと。
(3)加熱パイプは、熱媒用流体を封入した真空パイプと同真空パイプの内周面に近接させて貫装した熱源パイプとで構成したヒートパイプであり、前記熱源パイプに熱源用流体を供給して放熱すること。
(4)前記集風室には複数の排気ファンが配設されており、この複数の排気ファンのうち一部の排気ファンを設備内の湿度の上昇速度を抑制する風量制御がなされた常時駆動の抑制用ファンとすると共に、残部の排気ファンを所定時間毎に駆動と停止を繰り返し駆動時に設備内空気の大規模排気を行って設備内の湿度を低湿度状態に復帰させる復帰用ファンとしたこと。
(5)前記抑制用ファンは、麺の乾燥中で前記復帰用ファンの停止時において、設備内空気の湿度の上昇を抑制しつつも、設備内空気の湿度は経時的に上昇するよう制御されること。
本発明に係る麺乾燥設備構造によれば、乾燥室内を所定数の麺台車収納室に区画すると共に、区画部分は空気流通のための一定の間隙を保持して多数の加熱パイプを並設して構成し、しかも、乾燥室の両側端部近傍には対向した状態で送気ファンを配設し、乾燥室の略中央部には対向して設けた送気ファンから加熱パイプの間隙を介して流通する温風を合流集風するための集風室を設け、集風室には温風の一部を乾燥室外へ排気するための排気パイプを連通させた排気ファンを配設すると共に、乾燥室の両側部の送気ファンに温風を還元するための還元ダクトを連通したため、麺乾燥時における乾燥室内の温度ムラを抑制し、乾燥室内雰囲気の温度管理や湿度管理が比較的容易であり、しかも、麺線上のクラックの発生を可及的防止できる麺乾燥設備構造を提供することができる。
また、前記加熱パイプは熱源用流体を流通させて発熱するものであり、前記麺台車収納室の奥行き方向へ伸延する加熱パイプを上下方向に所定段数平行に配設し、隣接する加熱パイプの端部間をそれぞれ直列に連通接続して一つの加温ユニットとすると共に、前記区画部分は、この加温ユニットを更に上下方向に複数並設し、それぞれの加温ユニットを熱源用流体の供給管路に並列に接続して形成すれば、送気ファンからの風が区画部分に設けられた加熱パイプの間隙を通過して加熱される際、通気した位置の違いによる温度差を可及的少なくすることができ、乾燥室内の温度ムラをより抑制することができる。
また、加熱パイプは、熱媒用流体を封入した真空パイプと同真空パイプの内周面に近接させて貫装した熱源パイプとで構成したヒートパイプであり、前記熱源パイプに熱源用流体を供給して放熱することとすれば、加熱パイプから発せられる熱を略均一とすることができ、乾燥室内の温度ムラをより抑制することができる。
また、前記集風室には複数の排気ファンが配設されており、この複数の排気ファンのうち一部の排気ファンを設備内の湿度の上昇速度を抑制する風量制御がなされた常時駆動の抑制用ファンとすると共に、残部の排気ファンを所定時間毎に駆動と停止を繰り返し駆動時に設備内空気の大規模排気を行って設備内の湿度を低湿度状態に復帰させる復帰用ファンとすれば、排気に伴う乾燥室内の過度の温度低下を抑制しつつ、乾燥室内が麺の乾燥に不適な高湿度状態となるまでの時間を遅延させることができる。また、所定時間毎に大規模排気が行われるため、乾燥室内の湿度を十分に低下させることができる。しかも、この大規模排気により乾燥室内を陰圧とすることで麺からの水分蒸散を促し、大規模排気に伴う熱流失による蒸散効率の低下と相殺することができ、湿度平衡状態を回避しつつも効率的な麺の乾燥を行うことができる。
また、前記抑制用ファンは、麺の乾燥中で前記復帰用ファンの停止時において、設備内空気の湿度の上昇を抑制しつつも、設備内空気の湿度は経時的に上昇するよう制御されることとすれば、麺表面のみの尚早な乾燥を回避しつつ麺表面に適度な柔軟性を持たせた状態で、麺全体を十分に乾燥させることができる。
また、上述の麺乾燥設備構造を備えた麺乾燥設備にて乾燥させた乾麺によれば、十分な乾燥がなされていながらも、麺表面にクラックが極めて少なく、ノンフライ麺の食感を活かした乾麺とすることができる。
本実施形態に係る麺乾燥設備構造を備えた麺乾燥設備の外観図である。 麺乾燥設備の構成を示した説明図である。 区画構造体の構成を示した説明図である。 加熱パイプの構成を示した説明図である。 各ファンの駆動タイミング及び湿度の経時変化を示した説明図である。 乾燥室内における気流の動きと作用について示した説明図である。
本発明は、乾燥室内を所定数の麺台車収納室に区画すると共に、区画部分は空気流通のための一定の間隙を保持して多数の加熱パイプを並設して構成し、しかも、乾燥室の両側端部近傍には対向した状態で送気ファンを配設し、乾燥室の略中央部には対向して設けた送気ファンから加熱パイプの間隙を介して流通する温風を合流集風するための集風室を設け、集風室には温風の一部を乾燥室外へ排気するための排気パイプを連通させた排気ファンを配設すると共に、乾燥室の両側部の送気ファンに温風を還元するための還元ダクトを連通したことを特徴とする麺乾燥設備構造を提供するものである。
乾燥室は、部屋状の構造を備えていれば特に限定されるものではないが、例えば工場建屋内などに設置可能な屋内プレハブの如き構造物の内部空間を使用するのが好適である。
また、乾燥室は、温度や湿度、気流のコントロールが必要となるため、できるだけ乾燥室内外の断熱処理がなされたものであったり、乾燥室外の気流が乾燥室内に影響を及ぼさないものが望ましい。特に、後述する大規模排気によって乾燥室内が減圧された際に、ある程度の時間(例えば、次の大規模排気までの時間の約1/4〜3/4の時間)に亘って乾燥室内を乾燥室外の大気圧よりも低い圧力状態(減圧状態)に保てる程度の気密性を有するものが好適である。
また、乾燥室内部は、所定数の麺台車収納室に区画する。麺台車収納室は、未乾燥の麺を乾燥させるにあたり、麺を載置した台車ごと搬入させるための空間である。台車の大きさや構造は特に限定されるものではないが、例えば未乾燥麺を複数並べたセイロを多段に所定間隔を設けつつ載置可能に構成したものを用いることができる。
また、麺台車収納室の数は特に限定されるものではないが、大凡4〜10の麺台車収納室を設けるようにしても良い。また、後述のように、乾燥室の略中央部に集風室を設ける関係上、集風室を挟んで乾燥室の左右に均等に麺台車収納室を設けるのが好ましく、麺台車収納室の数は例えば偶数とすることもできる。なお、乾燥室内部には麺台車収納室や後述の集風室以外の区画領域を設けるようにしても良い。麺台車収納室や集風室以外の区画領域を設けた場合には、集風室を乾燥室の略中央に設ける関係上、区画領域の数は奇数とするのが望ましい。
区画部分は、空気流通のための一定の間隙を保持して多数の加熱パイプを並設して構成する。すなわち、区画部分に設けられた間隙を気流が通過する時に熱交換が行われ、気流を加熱して温風とすることができるよう構成している。
この間隙を通過させるための気流は、乾燥室の両側端部近傍に対向した状態で配設した送気ファンにより生成される。この送気ファンは、例えば所定のコントロール装置によって回転速度や稼動タイミング等を制御するよう構成しても良い。なお、送気ファンは乾燥室の両端部近傍以外にも、各麺台車収納室の間に別途ファン室を設けて送気ファンを配設し、更に多くの送気ファンによって気流を生成しても良い。
乾燥室の略中央部には、送気ファンから加熱パイプの間隙を介して流通する温風を合流集風するための集風室が設けられる。すなわち、集風室を挟んで一側の乾燥室内の各送気ファンと、他側の乾燥室内の各送気ファンとは気流が対向する向きに設置しており、乾燥室内における気流の最下流部が集風室となるよう構成している。付言するならば、この集風室に集まる気流は、加熱パイプの間隙を介して暖められ、更に麺台車収納室内に搬入された麺から水分を奪って集合してきた温風である。
集風室には、温風の一部を乾燥室外へ排気するための排気パイプを連通させた排気ファンを配設している。集風室に配置する排気ファンの数は特に限定されるものではなく、単数であっても良いし、複数であっても良い。
また集風室には、乾燥室の両側端部近傍に設けた送気ファンに温風を還元するための還元ダクトを連通させている。すなわち、この還元ダクトは集風室に集められた温風のうち、排気ファンにより排気されなかった残部を、気流の最上流部となる乾燥室の両側端部近傍に設けられた送気ファンに、乾燥室内を通すことなく戻すためのバイパス流路である。
そして、上述してきた構成によると、送気ファンによって生起した気流は区画部分を介して温風となって麺に接触して乾燥を促しつつ、区画部分を通過するたびに温度は略一定に保たれて、乾燥室内の温度ムラを無くしつつ麺は一様に乾燥される。
また、集風室に至った温風は湿気と共に一部排気されて乾燥室内部の空気に含まれる総水分量を減少させつつも、残部の温風は再び還元ダクトを介して最上流の送気ファンに至り、熱量を保持したまま再び麺の乾燥に供することとができる。
しかも、還元ダクトを介して還元された温風は一度麺近傍を通過した気流であることから、還元されていない空気と比べれば高い湿度を有しており、麺表面を過度に乾燥させてしまうことが防止される。
このように、本実施形態に係る麺乾燥設備構造によれば、上述のような構成を備えているため、送気ファンからの風が区画部分に設けられた加熱パイプの間隙を通過して加熱される際、通気した位置の違いによる温度差を可及的少なくすることができ、乾燥室内の温度ムラをより抑制することができる。
また、前述した加熱パイプは、電気的に発熱するものであっても良いが、熱源用流体を流通させて発熱するものとしても良い。後者の場合、熱源用流体としては例えば温水や熱水、蒸気等とすることができる。
また加熱パイプは、麺台車収納室の奥行き方向へ伸延する複数本の加熱パイプを上下方向に所定段数平行に配設し、隣接する加熱パイプの端部間をそれぞれ直列に連通接続して一つの加温ユニットを構成すると共に、区画部分は、この加温ユニットを更に上下方向に複数並設し、それぞれの加温ユニットを熱源用流体の供給管路に並列に接続して形成しても良い。
このような構成とすることにより、区画部分を構成する全ての加熱パイプを直列に接続して熱源用流体を流通させた場合に比して、加熱パイプ毎の温度差を可及的小さくすることができ、乾燥室内の温度ムラを更に抑制することができる。
また、加熱パイプは、熱媒用流体を封入した真空パイプと同真空パイプの内周面に近接させて貫装した熱源パイプとで構成したヒートパイプとし、熱源パイプに熱源用流体を供給して放熱するようにしても良い。
加熱パイプをこのようなヒートパイプとすることにより、熱源用流体が有する熱は、熱媒用流体を介してパイプ表面から発せられることとなる。従って、パイプ表面から発せられる熱は、真空パイプ内での熱媒用流体の蒸発量によって略一定に規制されるため、加熱パイプ毎の温度差を可及的小さくすることができ、乾燥室内の温度ムラを更に抑制することができる。
また、集風室には複数の排気ファンを配設し、この複数の排気ファンのうち一部の排気ファンを設備内の湿度の上昇速度を抑制する風量制御がなされた常時駆動の抑制用ファンとすると共に、残部の排気ファンを所定時間毎に駆動と停止を繰り返し駆動時に設備内空気の大規模排気を行って設備内の湿度を低湿度状態に復帰させる復帰用ファンとしても良い。
このような構成とすることにより、抑制用ファンは、麺から蒸発する水分の一部を常に排気と共に排出するため、抑制用ファンが無い場合に比して、乾燥室内の湿度上昇速度を抑制することができる。
特に、抑制用ファンは、麺の乾燥中で復帰用ファンの停止時において、設備内空気の湿度の上昇を抑制しつつも、設備内空気の湿度は経時的に上昇するよう制御すれば、乾燥室内の湿度の上昇割合を緩やかとなり、湿度平衡状態による麺からの水分の蒸発抑制を回避しつつも、麺表面のみの尚早な乾燥を防止することができる。
また、復帰用ファンは、所定時間毎に駆動し、抑制用ファンの排気量に比して大量の乾燥室内空気を排気することで、湿度平衡に近づきつつある乾燥室内の空気をより湿度の低い状態に戻すためのファンである。
ここで復帰用ファンを駆動させるタイミングは特に限定されるものではないが、乾燥室内の空気が湿度平衡に到達する前であるのが望ましい。また、復帰用ファンの駆動時間は、乾燥室内容積の大凡50〜70%に相当する空気を排出するのが望ましい。50%を下回ると、十分に湿度を低下させることができず、麺の乾燥時間が長くなるおそれがある。また70%を上回ると、乾燥室内温度の過度の低下を招き麺の乾燥時間が長くなるばかりでなく、過度の湿度低下を招いて麺表面の尚早な乾燥を招いてしまうおそれがある。
このように、本実施形態に係る麺乾燥設備構造によれば、麺乾燥時における乾燥室内の温度ムラを抑制し、乾燥室内雰囲気の温度管理や湿度管理が比較的容易であり、しかも、麺線上のクラックの発生を可及的防止することができる。
また、本実施形態に係る乾麺は、上記麺乾燥設備構造を備えた麺乾燥設備にて乾燥することとしている。従って、クラックが極めて少なく、ノンフライ麺独特の生麺に似た食感を十分に活かすことができる。
以下、本実施形態に係る麺乾燥設備構造及び乾麺について、図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係る麺乾燥設備構造を備えた麺乾燥設備Aの外観を示した説明図であり、図2は麺乾燥設備Aの正面及び平面視における内部構造を示した説明図である。
麺乾燥設備Aは、食品工場建屋内に配設された屋内プレハブにて構成しており、左右側壁1L,1R、前後壁2F,2R、天井壁3Uの五面又は底壁3Dを含めた六面を有する矩形箱型の設備本体部10を備えている。
また、これら各壁体は、断熱材を樹脂等にて形成した表装板にてサンドイッチ状に挟持して形成した合板構造としており、壁を介しての麺乾燥設備A内外の熱の授受を抑制するよう構成している。また、各壁体は可及的気密状に組み合わせて麺乾燥設備Aを構成している。
また、設備本体部10の内部は乾燥室11としており、未乾燥の麺や麺製品に添える野菜等の具材を乾燥可能としている。
図1及び図2(a)に示すように、設備本体部10の前壁2Fには、複数の開閉扉12a〜12gが配設されており、乾燥室11の各区画領域に麺などの食材を搬入・搬出したり、メンテナンス等のために人が出入りできるよう構成している。
また、前壁2Fの開閉扉12eと開閉扉12fとの間には、制御部13を配設している。この制御部13は乾燥室11内に設けられた後述の送風ファンや排気ファンの一部又は全部と電気的に接続されており、これらのファンを制御可能としている。
また、図1に示すように、設備本体部10の天井壁3U上には複数(本実施形態では2本)の還元ダクト14a,14bを配設しており、乾燥室11内の空気を循環可能に構成している。
乾燥室11は、図2(b)に示すように、複数(本実施形態では8つ)の区画構造体20によって複数領域(本実施形態では9つの領域)に区画しており、その略中央部に区画された領域を集風室15とすると共に、乾燥室11の左側略半部では左側壁1L側から集風室15へ向かって、また、右側略半部では右側壁1R側から集風室15へ向かって気流が生ずるよう構成している。なお、後に詳述するが、区画構造体20は一定の間隙を保持しつつ多数の円柱状の加熱パイプ23を並設して構成しており、気流は区画構造体20を介して隣接する区画に通気可能である。
乾燥室11の左側略半部では、設備本体部10の左側壁1Lから集風室15にかけて、上流ファン室16Lと、第1麺台車収納室17aと、中間ファン室18Lと、第2麺台車収納室17bとを設けている。
また、乾燥室11の右側略半部では、設備本体部10の右側壁1Rから集風室15にかけて、上流ファン室16Rと、第3麺台車収納室17cと、中間ファン室18Rと、第4麺台車収納室17dとを設けている。
上流ファン室16L及び上流ファン室16R(以下、総称して上流ファン室16ともいう)は、乾燥室11内を流れる気流の最上流となる区画領域であり、未乾燥の麺を乾燥させる気流を生成するための部位である。これら上流ファン室16L及び上流ファン室16Rに対応する前壁2Fには、開閉扉12a及び開閉扉12gが設けられ、メンテナンス等の際に入室可能としている。
また、上流ファン室16には、それぞれ各4台の送風ファン19が配設されている。具体的には、上流ファン室16Lには、上流ファン室16Lと第1麺台車収納室17aとを区画する区画構造体20に沿って上段2台、下段2台の計4台の送風ファン19が集風室15側(紙面左から中央に向かう側)へ送気するように配設されている。
また、上流ファン室16Rにも同様に、上流ファン室16Rと第3麺台車収納室17cとを区画する区画構造体20に沿って計4台の送風ファン19が集風室15側(紙面右から中央に向かう側)へ送気するように配設されている。付言すれば、上流ファン室16Lに配設された送風ファン19と、上流ファン室16Rに配設された送風ファン19は、送気した気流が合流するよう互いに対向させた状態で配設している。
第1麺台車収納室17a〜第4麺台車収納室17d(以下、総称して麺台車収納室17ともいう。)は、乾燥対象となる未乾燥麺やその他の食材等を台車に乗せた状態で搬入させるための区画領域である。
それぞれの各麺台車収納室17に対応する前壁2Fには、開閉扉12b、開閉扉12c、開閉扉12f、開閉扉12eが設けられ、未乾燥の麺や野菜等の被乾燥食材を乗せた台車を入退室可能としている。
各麺台車収納室17では、左右両側の区画構造体20のうち、気流の上流側に配設された区画構造体20を介して流入する気流を未乾燥麺に接触させ、麺に含まれる水分を奪わせて下流側に配設された区画構造体20を介して送り出すことにより乾燥を行う。
また、各麺台車収納室17には図示しない紫外線ランプ等が設けられており、同紫外線ランプから発せられる紫外線やオゾンにより被乾燥食材としての麺を衛生的に乾燥できるよう構成している。
中間ファン室18L及び中間ファン室18R(以下、中間ファン室18ともいう。)は、上流側の麺台車収納室17、すなわち麺台車収納室17aや第3麺台車収納室17cから送られてきた気流を加勢して、下流側に隣接する麺台車収納室17である第2麺台車収納室17bや第4麺台車収納室17dに区画構造体20を介して送気するための区画領域である。
上流ファン室16と同様に、中間ファン室18Lには、中間ファン室18Lと第2麺台車収納室17bとを区画する区画構造体20に沿って上段2台、下段2台の計4台の送風ファン19が集風室15側(紙面左から中央に向かう側)へ送気するように配設されている。また、中間ファン室18Rには、中間ファン室18Rと第4麺台車収納室17dとを区画する区画構造体20に沿って計4台の送風ファン19が集風室15側(紙面右から中央に向かう側)へ送気するように配設されている。
集風室15は、上流ファン室16や中間ファン室18に配設された送風ファン19により、麺台車収納室17を通過しつつ区画構造体20を介して流下した気流が集合する、乾燥室11内での気流の最下流に位置する区画領域である。集風室15に対応する前壁2Fには開閉扉12dが設けられており、メンテナンス等の際に入室可能としている。
集風室15には、3台の排気ファン21が配設されている。各排気ファン21には、吸引した空気を乾燥室11外に誘導する排気パイプ22が連通されており、集風された気流を排気可能としている。
また、配設された3台の排気ファン21のうち1台は、麺の乾燥中は常時駆動する抑制用ファン21aとし、残りの2台の排気ファン21は所定のタイミングで駆動する復帰用ファン21bとしている。
抑制用ファン21aは、麺台車収納室17において麺の乾燥が進むに従って上昇する乾燥室11内の湿度の上昇速度を抑制するためのファンである。この抑制用ファン21aは、図示しない配線等を介して制御部13により回転速度が制御されており、乾燥室11内の湿度の上昇速度を、排気ファン21が備えられていない場合よりは遅いものの、湿度は徐々に上昇する速度に調整される。
復帰用ファン21bは、所定時間毎に駆動し、抑制用ファン21aの排気量に比して大量に乾燥室11内の空気を排気することで、湿度平衡に近づきつつある乾燥室11内の空気をより湿度の低い状態に復帰させるためのファンである。
この復帰用ファン21bもまた図示しない配線等を介して制御部13に接続されており、制御部13によってON/OFFの制御や、回転速度の調整がなされる。
また、集風室15の天井壁3Uには、図1に示したように、還元ダクト14a及び還元ダクト14b(以下、総称して還元ダクト14ともいう。)の基端側を開口を設けて配設しており、集風室15に集合した気流のうち、排気ファン21により排気されなかった気流を還元ダクト14内に誘導可能としている。
また、2本の還元ダクト14のうち、還元ダクト14aの先端側開口は上流ファン室16Lの天井壁3Uに開口を設けて連結し、還元ダクト14bの先端側開口は上流ファン室16Rの天井壁3Uに開口を設けて連結しており、還元ダクト14内に誘導された気流は、乾燥室11の両側部に相当する送風ファン19が配設された各上流ファン室16に還元されるよう構成している。
次に、図3及び図4を参照しつつ、区画構造体20の構成について説明する。図3(a)は区画構造体20の構成を示した説明図であり、具体的には図2(b)にて示すX−X断面視における区画構造体20を示している。また、図3(b)は、区画構造体20を構成する加熱パイプ23の接続構造を示した模式図である。また、図4は加熱パイプ23の構成を示した説明図である。
区画構造体20は、図3(a)に示すように、乾燥室11内の空間を区画する部材であり、複数(本実施形態では20本)の加熱パイプ23を各室の奥行き方向(乾燥室11の前後壁方向)に伸延させた状態で上下方向に並設して構成している。
また各加熱パイプ23は、図3(a)の一部拡大図に示すように、一定の間隙24(本実施形態では5〜10cm)を保持して並設しており、この間隙24を介して気流を流通可能としている。
加熱パイプ23は、図4(a)に示すように熱源用流体として温水を流通可能に構成した直管状の部材である。加熱パイプ23は、温水が有する熱を利用して発熱可能に構成し、また、各加熱パイプ23をそれぞれ連結して熱源用流体を流通可能に構成しており、間隙24を介して流通する気流を加熱して温風を生成可能としている。
図4(b)は加熱パイプ23の構成を示している。加熱パイプ23は、熱媒用流体を気密状に封入した外管としての真空パイプ23aと、同真空パイプ23aの内周面に近接させて貫装した内管としての熱源パイプ23bとで構成した、所謂ヒートパイプ状の構造を有している。
特に本実施形態において熱媒用流体はアルコール類を主成分としており、図示しない給湯ボイラより40〜80℃とした温水を、熱源用流体の供給管路である給湯配管(後述)を介して熱源パイプ23bに供給することで、熱源パイプ23bにより暖められた熱媒用流体が真空パイプ23a内で蒸発し、真空パイプ23aの内表面に接触して真空パイプ23aが暖められる。そして、間隙24を通過する気流は、この真空パイプ23aに接触することで、温風となる。
このように、加熱パイプ23を上述の如く熱媒用流体を介して加温する構成としているため、加熱パイプ23を複数連結して熱源用流体としての温水の流路が長くなった場合でも、加熱パイプ23からの発熱量は熱媒用流体の蒸発量や熱容量などがボトルネックとなって抑制され、且つ、複数連結した加熱パイプ23のうち熱源用流体の上流側から下流側まで発熱量が略一定となり、乾燥室11内を温度ムラなく略均一に加温することができる。
また、このような加熱パイプ23は、区画構造体20を構成するにあたり、所定本数(本実施形態では5本)の隣接する加熱パイプ23の端部間をそれぞれ直列に連通接続して加温ユニット30を構成している。
すなわち、加温ユニット30は、図3(b)に示すように、5本の加熱パイプ23の熱源パイプ23bを連結管33を用いて直列に接続して構成している。
また、乾燥室11内には、図示しない給湯ボイラから供給される温水を流通させた給湯主管31を敷設しており、加温ユニット30の一端側に位置する加熱パイプ23の端部は給湯枝管31aを介して給湯主管31に連通させ、熱源パイプ23bに温水を供給可能としている。
また、乾燥室11内には回収主管32を敷設している。回収主管32は、各加温ユニット30から温水を回収して給湯ボイラに戻すための配管であり、加温ユニット30の他端側の加熱パイプ23の端部は、回収枝管32aを介して回収主管32に連通させている。
そして、区画構造体20は、この加温ユニット30を複数(本実施形態では4つ)用い、それぞれを給湯主管31と回収主管32との間に並列に連通接続させて構成している。
従って、本実施形態において20本の加熱パイプ23を全て直列に接続した場合に比して、区画構造体20全体の熱分布を略均一とすることができ、乾燥室11内を更に温度ムラなく略均一に加温することができる。
次に、図5を参照しつつ、抑制用ファン21aと復帰用ファン21bとの駆動タイミング、及び、乾燥室11内の湿度変化について説明する。
前述したように、抑制用ファン21aは、麺の乾燥中は常時ON状態となっており、集風室15に集合した気流のうち一部を常に排気する(図5(a)参照)。
また、図5(b)に示すように、復帰用ファン21bは、麺乾燥設備Aの管理者により制御部13に予め設定された所定のタイミングで駆動するよう制御されている。
従って、図5(c)に示すように、乾燥室11内の湿度は、抑制用ファン21aにより湿気を排出して湿度の上昇速度が抑制されつつも、麺からの水分の蒸発量がやや上回って、徐々に湿度が上昇することとなる。
そして、乾燥室11内の湿度が麺からの水分の蒸発を促さなくなる湿度平衡状態に達する前のタイミングT1で復帰用ファン21bが駆動されることにより、乾燥室11内の空気が大量に排気されて、湿度が急激に低下して大凡元の状態に復帰することとなる(タイミングT2)。
またこのとき、大量の排気と共に熱も逃げることとなるが、乾燥室11内が減圧されることにより麺からの水分蒸発を促すようにしている。従って、乾燥室11内の温度低下(気流の温度低下)に伴う蒸発効率の低下を抑制することができ、乾燥効率の低下を可及的防止することができる。
次に、図6を参照しつつ、麺乾燥設備Aにおける全体的な作用等について説明する。図6は、麺乾燥設備Aの左右方向断面を示した正面模式図であり、具体的には、図2(b)におけるY−Y断面を示している。
まず、上流ファン室16において同上流ファン室16内の空気は、送風ファン19により区画構造体20を介して温風気流となって、それぞれ第1麺台車収納室17a及び第3麺台車収納室17cに流入する。
第1麺台車収納室17a及び第3麺台車収納室17cに至った温風は、未乾燥麺に接触することで、麺から水分を奪って麺を乾燥させる。水分を含んだ温風は、第1麺台車収納室17a及び第3麺台車収納室17cのそれぞれ下流側の区画構造体20を介して再び加温され、中間ファン室18に流入する。
中間ファン室18に至った温風は、再度送風ファン19により加勢されつつ区画構造体20を介して加熱され、それぞれ第2麺台車収納室17b及び第4麺台車収納室17dに至る。
第2麺台車収納室17b及び第4麺台車収納室17dに至った温風は、未乾燥麺に接触することで、麺から水分を奪って麺を乾燥させる。水分を含んだ温風は、第2麺台車収納室17b及び第4麺台車収納室17dのそれぞれ下流側の区画構造体20を介して再び加温され、集風室15に流入する。
集風室15において温風は、その一部が抑制用ファン21aにより排気される。また、残部の温風は、還元ダクト14を介して、再び上流ファン室16に還元され、再び上流ファン室16に配設された送風ファン19により気流となって乾燥室11内を循環する。
従って、乾燥室11内の温度分布が極めて均一となり、麺にクラックが発生することを可及的防止して、ノンフライ麺独特の食感を活かした乾麺を製造することができる。
また、集風室15では、所定のタイミングにて復帰用ファン21bが駆動する。従って、湿度平衡状態を回避しつつも、温度低下による蒸発効率の低下を陰圧によってカバーして、効率の良い麺の乾燥を行うことができる。
上述してきたように、本実施形態に係る麺乾燥設備構造によれば、乾燥室(例えば、乾燥室11)内を所定数の麺台車収納室(例えば、麺台車収納室17)に区画すると共に、区画部分(例えば、区画構造体20)は空気流通のための一定の間隙(例えば、間隙24)を保持して多数の加熱パイプ(例えば、加熱パイプ23)を並設して構成し、しかも、乾燥室の両側端部近傍には対向した状態で送気ファン(例えば、送風ファン19)を配設し、乾燥室の略中央部には対向して設けた送気ファンから加熱パイプの間隙を介して流通する温風を合流集風するための集風室(例えば、集風室15)を設け、集風室には温風の一部を乾燥室外へ排気するための排気パイプ(例えば、排気パイプ22)を連通させた排気ファン(例えば、排気ファン21)を配設すると共に、乾燥室の両側部の送気ファンに温風を還元するための還元ダクト(例えば、還元ダクト14)を連通したため、麺乾燥時における乾燥室内の温度ムラを抑制し、乾燥室内雰囲気の温度管理や湿度管理が比較的容易であり、しかも、麺線上のクラックの発生を可及的防止できる麺乾燥設備構造を提供することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
10 設備本体部
11 乾燥室
13 制御部
14 還元ダクト
15 集風室
16 上流ファン室
17 麺台車収納室
18 中間ファン室
19 送風ファン
20 区画構造体
21 排気ファン
21a 抑制用ファン
21b 復帰用ファン
22 排気パイプ
23 加熱パイプ
23a 真空パイプ
23b 熱源パイプ
24 間隙
30 加温ユニット
31 給湯主管
32 回収主管
A 麺乾燥設備

Claims (5)

  1. 乾燥室内を所定数の麺台車収納室に区画すると共に、区画部分は空気流通のための一定の間隙を保持して多数の加熱パイプを並設して構成し、しかも、乾燥室の両側端部近傍には対向した状態で送気ファンを配設し、乾燥室の略中央部には対向して設けた送気ファンから加熱パイプの間隙を介して流通する温風を合流集風するための集風室を設け、集風室には温風の一部を乾燥室外へ排気するための排気パイプを連通させた排気ファンを配設すると共に、乾燥室の両側部の送気ファンに温風を還元するための還元ダクトを連通したことを特徴とする麺乾燥設備構造。
  2. 前記加熱パイプは熱源用流体を流通させて発熱するものであり、
    前記麺台車収納室の奥行き方向へ伸延する加熱パイプを上下方向に所定段数平行に配設し、隣接する加熱パイプの端部間をそれぞれ直列に連通接続して一つの加温ユニットとすると共に、前記区画部分は、この加温ユニットを更に上下方向に複数並設し、それぞれの加温ユニットを熱源用流体の供給管路に並列に接続して形成したことを特徴とする請求項1に記載の麺乾燥設備構造。
  3. 加熱パイプは、熱媒用流体を封入した真空パイプと同真空パイプの内周面に近接させて貫装した熱源パイプとで構成したヒートパイプであり、前記熱源パイプに熱源用流体を供給して放熱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の麺乾燥設備構造。
  4. 前記集風室には複数の排気ファンが配設されており、この複数の排気ファンのうち一部の排気ファンを設備内の湿度の上昇速度を抑制する風量制御がなされた常時駆動の抑制用ファンとすると共に、残部の排気ファンを所定時間毎に駆動と停止を繰り返し駆動時に設備内空気の大規模排気を行って設備内の湿度を低湿度状態に復帰させる復帰用ファンとしたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の麺乾燥設備構造。
  5. 前記抑制用ファンは、麺の乾燥中で前記復帰用ファンの停止時において、設備内空気の湿度の上昇を抑制しつつも、設備内空気の湿度は経時的に上昇するよう制御されることを特徴とする請求項4に記載の麺乾燥設備構造。
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