JP6137670B2 - ダンパ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置に関する。
エンジンから変速機に伝達される捩り振動を低減するため、エンジンと変速機との間にはダンパ装置が設けられている。このようなダンパ装置として、スプリングを介して連結される2つのフライホイールを備えたダンパ装置が提案されている(特許文献1参照)。このように、スプリングを介して2つのフライホイールを連結することにより、エンジンの捩り振動を抑制することが可能となる。
国際公開第2012/66680号
ところで、ダンパ装置においては、ダンパ装置を構成する各部材の質量やバネ定数を調整することにより、エンジン回転数の常用領域からダンパ装置の共振点(固有振動数)を外すように設計される。しかしながら、ダンパ装置の質量やバネ定数を調整するだけでは、低回転域から高回転域までの幅広い領域からダンパ装置の共振点を外すことは困難であった。このため、従来のダンパ装置を用いた場合には、幅広い領域においてエンジンの捩り振動を抑制することが困難となっていた。
本発明の目的は、幅広い領域でエンジンの捩り振動を抑制することにある。
本発明のダンパ装置は、エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置であって、前記エンジンに接続される第1入力要素と、前記エンジンに弾性部材を介して接続される第2入力要素と、前記変速機に接続される第1出力要素と、前記変速機に接続される第2出力要素と、を備えるトルク分配機構と、前記第1出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第1出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第1出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第1クラッチと、前記第2出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第2出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第2出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第2クラッチと、前記エンジンの回転速度に基づいて、前記第1クラッチまたは前記第2クラッチを締結状態に切り換えるクラッチ制御部と、を有する。
本発明のダンパ装置は、エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置であって、前記エンジンに接続される第1入力要素と、前記エンジンに弾性部材を介して接続される第2入力要素と、前記変速機に接続される第1出力要素と、前記変速機に接続される第2出力要素と、を備えるトルク分配機構と、前記第1出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第1出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第1出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第1クラッチと、前記第2出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第2出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第2出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第2クラッチと、を有し、前記第1入力要素は、第1ピニオンギヤを回転自在に支持するキャリアであり、前記第2入力要素は、前記第1ピニオンギヤに噛み合う第1リングギヤであり、前記第1出力要素は、前記第1ピニオンギヤに固定されて一体に回転する第2ピニオンギヤに噛み合う第2リングギヤであり、前記第2出力要素は、前記第2ピニオンギヤに噛み合うサンギヤである。
本発明のダンパ装置は、エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置であって、前記エンジンに接続される第1入力要素と、前記エンジンに弾性部材を介して接続される第2入力要素と、前記変速機に接続される第1出力要素と、前記変速機に接続される第2出力要素と、を備えるトルク分配機構と、前記第1出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第1出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第1出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第1クラッチと、前記第2出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第2出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第2出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第2クラッチと、を有し、前記第1入力要素は、ピニオンギヤを回転自在に支持するキャリアであり、前記第2入力要素および前記第1出力要素は、一体となって前記ピニオンギヤに噛み合う1つのリングギヤであり、前記第2出力要素は、前記ピニオンギヤに噛み合うサンギヤである。
本発明によれば、第1クラッチを締結状態に切り換えることにより、第1出力要素を変速機に接続することが可能となり、第2クラッチを締結状態に切り換えることにより、第2出力要素を変速機に接続することが可能となる。このように、第1クラッチまたは第2クラッチを締結状態に切り換えることにより、変速機に接続されるトルク分配機構の出力要素を切り換えることができ、捩り振動の減衰特性を変化させることが可能となる。これにより、幅広い領域で捩り振動の減衰特性を向上させることができ、幅広い領域でエンジンの捩り振動を抑制することが可能となる。
車両に搭載されるパワーユニットを示す概略図である。 パワーユニットに組み込まれるダンパ装置の構造モデルを示す説明図である。 (a)および(b)はエンジントルクの伝達状況を示す説明図である。 ダンパ装置による捩り振動の減衰特性を示すイメージ図である。 第1クラッチと第2クラッチとの制御状態を示す説明図である。 本発明の他の実施の形態であるダンパ装置を備えたパワーユニットを示す概略図である。 ダンパ装置による捩り振動の減衰特性を示すイメージ図である。 第1クラッチと第2クラッチとの制御状態を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は車両に搭載されるパワーユニット10を示す概略図である。図1に示されるパワーユニット10には本発明の一実施の形態であるダンパ装置11が組み付けられている。また、図2はパワーユニット10に組み込まれるダンパ装置11の構造モデルを示す説明図である。さらに、図3(a)および(b)はエンジントルクの伝達状況を示す説明図である。図1に示すように、パワーユニット10は、内燃機関であるエンジン12と、これにダンパ装置11を介して接続される変速機13とを有している。このように、エンジン12と変速機13との間にはダンパ装置11が設けられており、このダンパ装置11を用いてエンジン12の加振力に起因する捩り振動を減衰させている。なお、エンジン12の捩り振動とは、エンジン12のクランク軸21に作用する燃焼加振力や不平衡慣性力等に起因するトルク変動を意味している。また、変速機13には、図示しないディファレンシャル装置等を介して駆動輪14が接続されている。
図1および図2に示すように、ダンパ装置11は、複合遊星歯車列からなるトルク分配機構(遊星歯車機構)20を備えている。トルク分配機構20は、クランク軸21に接続されるキャリア(第1入力要素)Cと、クランク軸21にスプリング(弾性部材)22を介して接続される第1リングギヤ(第2入力要素)R1とを備えている。スプリング22を介してクランク軸21に接続される第1リングギヤR1には、所定の質量を備えるイナーシャ部材23が固定されている。また、トルク分配機構20は、変速機13に接続される第2リングギヤ(第1出力要素)R2と、変速機13に接続されるサンギヤ(第2出力要素)Sとを備えている。さらに、キャリアCには、第1ピニオンギヤP1と第2ピニオンギヤP2とが一体となる複合ピニオンギヤCPが回転自在に設けられている。一方の第1ピニオンギヤP1は第1リングギヤR1に噛み合っており、他方の第2ピニオンギヤP2は第2リングギヤR2およびサンギヤSに噛み合っている。
このように、トルク分配機構20には、エンジントルクを入力する2つの入力経路24,25と、エンジントルクを出力する2つの出力経路26,27とが設けられている。すなわち、トルク分配機構20には、キャリアCにエンジントルクを入力する第1入力経路24と、スプリング22を介して第1リングギヤR1にエンジントルクを入力する第2入力経路25とが設けられている。また、トルク分配機構20には、第2リングギヤR2からエンジントルクを出力する第1出力経路26と、サンギヤSからエンジントルクを出力する第2出力経路27とが設けられている。
また、第2リングギヤR2と変速機13との間には、締結状態と解放状態とに切り換えられる第1クラッチCL1が設けられている。第1クラッチCL1を締結状態に切り換えることにより、第2リングギヤR2が変速機13に接続される一方、第1クラッチCL1を解放状態に切り換えることにより、第2リングギヤR2が変速機13から切り離される。図3(a)に示すように、第1クラッチCL1を締結状態に切り換えた場合には、第1入力経路24と第2入力経路25とに分配されるエンジントルクT1,T2が、トルク分配機構20を経て合成された後に、第2リングギヤR2および第1出力経路26から変速機13に出力される。このとき、エンジントルクT1とこれのトルク変動を打ち消すためのエンジントルクT2との分配比は、第1リングギヤR1、第1ピニオンギヤP1、第2ピニオンギヤP2、第2リングギヤR2の歯数に基づき設定される。
同様に、サンギヤSと変速機13との間には、締結状態と解放状態とに切り換えられる第2クラッチCL2が設けられている。第2クラッチCL2を締結状態に切り換えることにより、サンギヤSが変速機13に接続される一方、第2クラッチCL2を解放状態に切り換えることにより、サンギヤSが変速機13から切り離される。図3(b)に示すように、第2クラッチCL2を締結状態に切り換えた場合には、第1入力経路24と第2入力経路25とに分配されるエンジントルクT1,T2が、トルク分配機構20を経て合成された後に、サンギヤSおよび第2出力経路27から変速機13に出力される。このとき、エンジントルクT1とこれのトルク変動を打ち消すためのエンジントルクT2との分配比は、第1リングギヤR1、第1ピニオンギヤP1、第2ピニオンギヤP2、サンギヤSの歯数に基づき設定される。
また、図1に示すように、ダンパ装置11の第1クラッチCL1および第2クラッチCL2を制御するため、パワーユニット10にはクラッチ制御部として機能する制御ユニット30が設けられている。また、パワーユニット10には、複数の電磁バルブによって構成されるバルブユニット31と、バルブユニット31に向けて作動油を圧送するオイルポンプ32とが設けられている。制御ユニット30には、クランク軸21の回転速度(以下、エンジン回転数と記載する)を検出するエンジン回転数センサ33が接続されている。そして、制御ユニット30は、エンジン回転数センサ33によって検出されたエンジン回転数に基づいて、締結状態に切り換えるクラッチCL1,CL2を選択してバルブユニット31に制御信号を出力する。すなわち、制御ユニット30は、エンジン回転数に基づいて第1クラッチCL1または第2クラッチCL2を締結状態に切り換えることにより、エンジントルクを取り出すための出力経路26,27を選択している。なお、制御ユニット30は、制御信号等を演算するCPU、制御プログラム、演算式およびマップデータ等を格納するROM、一時的にデータを格納するRAM等によって構成されている。
ここで、図4はダンパ装置11による捩り振動の減衰特性を示すイメージ図である。図4においては、横軸は捩り振動の振動数つまり周波数を示しており、縦軸は捩り振動の振動加速度レベルである駆動系感度を示している。また、図4において、破線で表される特性線L1は、第2リングギヤR2から出力される捩り振動の減衰特性を示し、一点鎖線で表される特性線L2は、サンギヤSから出力される捩り振動の減衰特性を示している。
図4に特性線L1で示すように、第1クラッチCL1を締結して第2リングギヤR2からエンジントルクを出力した場合には、低周波数領域においては捩り振動が増幅される一方、中高周波数領域においては捩り振動が減衰される。すなわち、スプリング22、第1リングギヤR1およびイナーシャ部材23からなる振動系28の共振点(固有振動数)F1を下回る低周波数領域においては、クランク軸21の回転位相と第1リングギヤR1の回転位相とが同じ向きとなる。つまり、クランク軸21の回転位相と第2リングギヤR2の回転位相とが同じ向きとなるため、低周波数領域において第2リングギヤR2からエンジントルクを出力した場合には、クランク軸21と第2リングギヤR2とが同位相で振動して捩り振動が増幅される。一方、振動系28の共振点F1を上回る中高周波数領域においては、クランク軸21の回転位相と第1リングギヤR1の回転位相とが逆向きとなる。つまり、クランク軸21の回転位相と第2リングギヤR2の回転位相とが逆向きとなるため、中高周波数領域において第2リングギヤR2からエンジントルクを出力した場合には、クランク軸21と第2リングギヤR2とが逆位相で振動して捩り振動が減衰される。
また、図4に特性線L2で示すように、第2クラッチCL2を締結してサンギヤSからエンジントルクを出力した場合には、低周波数領域においては特性線L1よりも捩り振動の増幅量が抑制される一方、中高周波数領域においては特性線L1よりも捩り振動の減衰量が抑制される。前述したように、振動系28の共振点F1を下回る低周波数領域においては、クランク軸21の回転位相と第1リングギヤR1の回転位相とが同じ向きとなる。つまり、クランク軸21の回転位相とサンギヤSの回転位相とが逆向きとなるため、低周波数領域においてサンギヤSからエンジントルクを出力した場合には、特性線L1に比べて捩り振動の増幅量が抑制されることになる。一方、振動系28の共振点F1を上回る中高周波数領域においては、クランク軸21の回転位相と第1リングギヤR1の回転位相とが逆向きとなる。つまり、クランク軸21の回転位相とサンギヤSの回転位相とが同じ向きとなるため、中高周波数領域においてサンギヤSからエンジントルクを出力した場合には、特性線L1に比べて捩り振動の減衰量が抑制されることになる。
図4に示すように、第2リングギヤR2からエンジントルクを出力した場合と、サンギヤSからエンジントルクを出力した場合とでは、捩り振動の減衰特性に差が現れることになる。すなわち、第2リングギヤR2からエンジントルクを出力した場合と、サンギヤSからエンジントルクを出力した場合とでは、第1入力経路24と第2入力経路25とに分配されるエンジントルクT1,T2の分配比が相違することから、捩り振動の減衰特性に差が現れることになる。特に、図示する構成においては、スプリング22を伸縮させながら複合ピニオンギヤCPが回動した場合に、第2リングギヤR2とサンギヤSとの回動方向が相違することから、捩り振動の減衰特性に関して差が顕著に現れるようになっている。
このように、出力経路26,27を切り換えることで減衰特性を変化させることができるため、制御ユニット30は、捩り振動の周波数つまりエンジン回転数に基づいて、第1クラッチCL1または第2クラッチCL2を締結状態に切り換えている。ここで、図5は第1クラッチCL1と第2クラッチCL2との制御状態を示す説明図である。図5に示すように、特性線L1,L2が交差する周波数F2を下回る周波数領域、つまり捩り振動の周波数F2に対応する基準回転数をエンジン回転数が下回る領域では、第2クラッチCL2が締結されてサンギヤSからエンジントルクが出力される。一方、周波数F2を上回る周波数領域、つまり捩り振動の周波数F2に対応する基準回転数をエンジン回転数が上回る領域では、第1クラッチCL1が締結されて第2リングギヤR2からエンジントルクが出力される。
このように、エンジン回転数に基づいてクラッチCL1,CL2を締結状態に切り換えることにより、図5に太線で示すように、全周波数領域において良好な減衰特性を得ることが可能となる。これにより、エンジン12の捩り振動を抑制することができるため、振動や騒音を抑えて車両品質を向上させることが可能となる。また、エンジン12の捩り振動が抑制されることから、変速機13に作用する負荷を軽減することができ、変速機13の耐久性を向上させることが可能となる。また、エンジン12の捩り振動が抑制されることから、エンジン12の気筒数を削減したり、エンジン回転数の使用領域を下げたりすることができ、車両の燃費性能を向上させることが可能となる。
図示する場合には、キャリアCを第1入力要素として機能させ、第1リングギヤR1を第2入力要素として機能させているが、これに限られることはない。例えば、クランク軸21に対して第1リングギヤR1を直に接続し、クランク軸21にスプリング22を介してキャリアCを接続しても良い。この場合には、第1リングギヤR1が第1入力要素として機能し、キャリアCが第2入力要素として機能することになる。また、第1ピニオンギヤP1に噛み合うサンギヤを設けることにより、このサンギヤを第1入力要素(または第2入力要素)として機能させても良い。このように、第1ピニオンギヤP1に噛み合うサンギヤを第1入力要素(または第2入力要素)として機能させる場合には、第1リングギヤR1を第2入力要素(または第1入力要素)として機能させても良く、キャリアCを第2入力要素(または第1入力要素)として機能させても良い。さらに、図示する場合には、第2リングギヤR2を第1出力要素として機能させ、サンギヤSを第2出力要素として機能させているが、これに限られることはない。例えば、前述したように、第1ピニオンギヤP1に噛み合うサンギヤを第1入力要素(または第2入力要素)として機能させ、第1リングギヤR1を第2入力要素(または第1入力要素)として機能させる場合には、キャリアCをクランク軸21から切り離した上で第1出力要素(または第2出力要素)として機能させても良い。
また、前述の説明では、第2リングギヤR2を第1出力要素として機能させ、サンギヤSを第2出力要素として機能させている。これにより、複合ピニオンギヤCPが回動した場合に、第1出力要素と第2出力要素とを逆向きに回動させているが、これに限られることはない。例えば、第2リングギヤR2、第2ピニオンギヤP2、サンギヤSによって構成される遊星歯車列を、ダブルピニオン型の遊星歯車列として構成することにより、複合ピニオンギヤCPが回動した場合に第1出力要素と第2出力要素とを同方向に回動させても良い。この場合であっても、トルク分配機構20を構成する各ギヤの歯数を調整することにより、第1出力要素からエンジントルクを出力した場合と、第2出力要素からエンジントルクを出力した場合とで、前述したエンジントルクT1,T2の分配比を変えることができ、捩り振動の減衰特性を相違させることが可能となる。
また、前述の説明では、トルク分配機構20を、複合ピニオンギヤCPを備えた複合遊星歯車列によって構成しているが、これに限られることはなく、単純遊星歯車列によって構成しても良い。ここで、図6は本発明の他の実施の形態であるダンパ装置40を備えたパワーユニット41を示す概略図である。なお、図6において、図1に示す部材と同様の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、ダンパ装置40は、単純遊星歯車列からなるトルク分配機構(遊星歯車機構)42を備えている。トルク分配機構42は、クランク軸21に接続されるキャリア(第1入力要素)42cを備えている。トルク分配機構42は、一方側がクランク軸21にスプリング22を介して接続され、他方側が変速機13に接続されるリングギヤ(第2入力要素,第1出力要素)42rを備えている。また、トルク分配機構42は、変速機13に接続されるサンギヤ(第2出力要素)42sを備えている。キャリア42cには、リングギヤ42rとサンギヤ42sとに噛み合うピニオンギヤ42pが回転自在に支持されている。さらに、リングギヤ42rと変速機13との間には締結状態と解放状態とに切り換えられる第1クラッチCL1が設けられており、サンギヤ42sと変速機13との間には締結状態と解放状態とに切り換えられる第2クラッチCL2が設けられている。このように、第2入力要素および第1出力要素を、一体となってピニオンギヤ42pに噛み合う1つのリングギヤ42rとして構成した場合であっても、エンジン回転数に基づいて第1クラッチCL1または第2クラッチCL2を締結状態に切り換えることにより、前述したダンパ装置11のような減衰効果を得ることが可能となる。
ここで、図7はダンパ装置40による捩り振動の減衰特性を示すイメージ図である。なお、図7において、破線で表される特性線Laは、クランク軸21にスプリング22を介して連結されるリングギヤ42rから出力される捩り振動の減衰特性を示し、一点鎖線で表される特性線Lbは、サンギヤ42sから出力される捩り振動の減衰特性を示している。また、図8は第1クラッチCL1と第2クラッチCL2との制御状態を示す説明図である。
図7に特性線La,Lbで示すように、リングギヤ42rからエンジントルクを出力した場合と、サンギヤ42sからエンジントルクを出力した場合とでは、捩り振動の減衰特性に差が現れている。すなわち、低中周波数領域においては、第2クラッチCL2を締結してサンギヤ42sからエンジントルクを出力した方が、捩り振動の良好な減衰特性を得ることが可能となる。一方、高周波数領域においては、第1クラッチCL1を締結してリングギヤ42rからエンジントルクを出力した方が、捩り振動の良好な減衰特性を得ることが可能となる。
すなわち、図8に示すように、特性線La,Lbが交差する周波数F3を下回る周波数領域、つまり捩り振動の周波数F3に対応する基準回転数をエンジン回転数が下回る領域では、サンギヤ42sからエンジントルクを出力するために第2クラッチCL2が締結される。一方、周波数F3を上回る周波数領域、つまり捩り振動の周波数F3に対応する基準回転数をエンジン回転数が上回る領域では、リングギヤ42rからエンジントルクを出力するために第1クラッチCL1が締結される。このように、エンジン回転数に基づいてクラッチCL1,CL2を締結状態に切り換えることにより、図8に太線で示すように、全周波数領域において良好な減衰特性を得ることが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、1つの周波数F2を境に、第1クラッチCL1の締結領域と第2クラッチCL2の締結領域とを分けているが、これに限られることはなく、得られる減衰特性によっては複数の周波数を境に、第1クラッチCL1の締結領域と第2クラッチCL2の締結領域とを分けても良い。また、前述の説明では、遊星歯車列によってトルク分配機構20,42を構成しているが、これに限られることはなく、傘歯車等を用いてトルク分配機構を構成しても良い。
また、第1クラッチCL1および第2クラッチCL2は、油圧によって締結状態と解放状態とに切り換えられる油圧クラッチに限られることはなく、電磁力によって締結状態と解放状態とに切り換えられる電磁クラッチであっても良い。また、第1クラッチCL1および第2クラッチCL2は、摩擦クラッチであっても良く、噛合クラッチであっても良い。また、前述の説明では、弾性部材としてスプリング22を挙げているが、これに限られることはなく、弾性部材としてゴム部材を採用しても良い。
また、変速機13は、手動変速機であっても良く、無段変速機であっても良く、遊星歯車式や平行軸式の自動変速機であっても良い。また、ダンパ装置11,40と変速機13との間にトルクコンバータを設けても良く、ダンパ装置11,40と変速機13との間に発進クラッチを設けても良い、さらに、トルクコンバータのケース内にダンパ装置11,40を組み込むようにしても良い。なお、エンジン12は、ガソリンエンジンに限られることはなく、ディーゼルエンジン等であっても良い。
11 ダンパ装置
12 エンジン
13 変速機
20 トルク分配機構(遊星歯車機構)
22 スプリング(弾性部材)
30 制御ユニット(クラッチ制御部)
40 ダンパ装置
42 トルク分配機構(遊星歯車機構)
42c キャリア(第1入力要素)
42r リングギヤ(第2入力要素,第1出力要素)
42s サンギヤ(第2出力要素)
42p ピニオンギヤ
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ
C キャリア(第1入力要素)
R1 第1リングギヤ(第2入力要素)
R2 第2リングギヤ(第1出力要素)
S サンギヤ(第2出力要素)
P1 第1ピニオンギヤ
P2 第2ピニオンギヤ

Claims (3)

  1. エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置であって、
    前記エンジンに接続される第1入力要素と、前記エンジンに弾性部材を介して接続される第2入力要素と、前記変速機に接続される第1出力要素と、前記変速機に接続される第2出力要素と、を備えるトルク分配機構と、
    前記第1出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第1出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第1出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第1クラッチと、
    前記第2出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第2出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第2出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第2クラッチと、
    前記エンジンの回転速度に基づいて、前記第1クラッチまたは前記第2クラッチを締結状態に切り換えるクラッチ制御部と、
    を有する、ダンパ装置。
  2. エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置であって、
    前記エンジンに接続される第1入力要素と、前記エンジンに弾性部材を介して接続される第2入力要素と、前記変速機に接続される第1出力要素と、前記変速機に接続される第2出力要素と、を備えるトルク分配機構と、
    前記第1出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第1出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第1出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第1クラッチと、
    前記第2出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第2出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第2出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第2クラッチと、
    を有し、
    前記第1入力要素は、第1ピニオンギヤを回転自在に支持するキャリアであり、
    前記第2入力要素は、前記第1ピニオンギヤに噛み合う第1リングギヤであり、
    前記第1出力要素は、前記第1ピニオンギヤに固定されて一体に回転する第2ピニオンギヤに噛み合う第2リングギヤであり、
    前記第2出力要素は、前記第2ピニオンギヤに噛み合うサンギヤである、ダンパ装置。
  3. エンジンと変速機との間に設けられるダンパ装置であって、
    前記エンジンに接続される第1入力要素と、前記エンジンに弾性部材を介して接続される第2入力要素と、前記変速機に接続される第1出力要素と、前記変速機に接続される第2出力要素と、を備えるトルク分配機構と、
    前記第1出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第1出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第1出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第1クラッチと、
    前記第2出力要素と前記変速機との間に設けられ、前記第2出力要素を前記変速機に接続する締結状態と前記第2出力要素を前記変速機から切り離す解放状態とに切り換えられる第2クラッチと、
    を有し、
    前記第1入力要素は、ピニオンギヤを回転自在に支持するキャリアであり、
    前記第2入力要素および前記第1出力要素は、一体となって前記ピニオンギヤに噛み合う1つのリングギヤであり、
    前記第2出力要素は、前記ピニオンギヤに噛み合うサンギヤである、ダンパ装置。
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