JP6137235B2 - 回転電機のステータ製造方法およびステータ製造装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両等に用いられる回転電機(モータ、又は発電機、又はモータ兼発電機)、詳しくはラジアルギャップ型の回転電機のステータ製造方法およびステータ製造装置に関するものである。
ラジアルギャップ型の回転電機のステータは、周方向に複数のスロットが並んだ円環状のステータコアと、このステータコアに巻き付けられた銅線などの巻線(適宜コイルという)とを備えている。巻線構造、つまりステータコアに対する銅線などの巻き付け方は、大きくわけて集中巻と分布巻とに分けられるが、ステータが作り出す回転磁界が正弦波に近く、モータの回転特性や出力特性が優れたものであることから、車両等に用いられる回転電機の多くでは分布巻が採用されている。
なお、特許文献1には、この種の回転電機の一つである三相モータのステータの製造方法(装置)が開示されている。この方法は、円筒状部材の外周面上に波巻きで一相分のコイル(巻線群)を形成し、このコイルを円筒状部材に対してその軸方向にスライドさせることで、当該コイルをステータコアの軸方向一端側から所望のスロット内に挿入するものであり、このようなコイルの形成とスロットへのコイル挿入とを各相分だけ繰り返すことで、ステータコアに三相分のコイルを組み込むことができる。
しかし、特許文献1の方法では、コイルの形成とスロットへのコイル挿入を相毎に個別に行う必要があるため必ずしも効率が良いとは言えない。そこで、円筒状部材の外周面上に三相分のコイルを予め形成し、これらコイルを円筒状部材に対してその軸方向に一体にスライドさせて、ステータコアのスロットに挿入することが考えられる。しかし、巻線構造が分布巻の場合には、ステータコアの外部(軸方向の端面上)において、異なる相のコイル同士が径方向、軸方向に重なりあうため、コイルエンドが大きく成り易く、特許文献1の方法では、このコイルエンドが邪魔になり、ステータコアにコイルを組み込むことが困難となる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、コイルエンドの大きさに拘わらず、複数のコイル(巻線群)を容易にステータコアに組み込むことができる技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、周方向に一定間隔で並び、各々内向きに開口する複数のスロットを有するステータコアと、特定の複数のスロットを通過するように前記ステータコアに所定の素線が巻回されることにより当該ステータコアに形成され、各々前記スロットを通過するスロット内通過部およびステータコアの軸方向端面上を通過する渡り部を備えた複数の巻線群とを含むステータを備えた回転電機の前記ステータの製造方法であって、ステータコアに形成された前記複数の巻線群と同一形状の巻線組立体を単独で形成する巻線形成工程と、円筒状の拡径状態と縮径状態とに変形可能な巻線支持部材を用い、縮径状態の当該巻線支持部材の外周面に沿うように、前記巻線組立体を径方向に圧縮変形させた状態で前記外周面上に配置する巻線準備工程と、前記巻線組立体の渡り部がステータコアの軸方向外側に位置するように、当該巻線組立体を前記巻線支持部材と共に、ステータコアの前記軸方向一端側からその内側に挿入する巻線挿入工程と、ステータコアの内側で前記巻線支持部材を拡径することにより、前記巻線組立体の各スロット内通過部を前記スロットに挿入する巻線装着工程と、を含むものである。
この方法によれば、巻線組立体を径方向に圧縮変形させた状態でステータコアの内側に挿入し、その後、巻線支持部を拡径させて、巻線組立体の各スロット内通過部をそれぞれスロットに挿入するので、コイルエンド、つまり、渡り部がステータコアへの巻線組立体の挿入時に邪魔になることがない。従って、渡り部(コイルエンド)の大きさに拘わらず、巻線組立体を容易にステータコアの内側に挿入してステータコアに組み込むことが可能となる。
このステータ製造方法において、前記巻線支持部材は、円筒状の拡径状態と円錐台状の縮径状態とに変形するものであり、前記巻線準備工程では、前記巻線組立体を円錐台状に変形させた状態で前記巻線支持部材の外周面上に配置し、前記巻線挿入工程では、前記巻線組立体をその小径側の端部からステータコアの内側に挿入するのが好適である。
この方法によれば、巻線組立体の軸方向一端側については変形させる必要がなくなるため、例えば巻線組立体の全体を変形させる場合に比べて、巻線準備工程や巻線装着工程の作業性が向上する。
なお、上記の各ステータ製造方法において、前記ステータコアは、前記周方向における各スロットの隙間寸法が、ステータコアの内周側よりも外周側で大きくなるものであり、前記素線は、底辺とその両側から互いに平行に伸びる一対の側辺とこれら側辺の端部同士を繋ぐ一対の斜辺とを有する断面ホームベース型であり、前記一対の斜辺同士が繋がるところを尖形部と定義したときに、前記スロット内通過部は、互いに隣接する巻線の前記尖形部が前記周方向の反対側を向き、かつ当該隣接する巻線の前記斜辺同士が互いに当接するように前記ステータコアの径方向に沿って並べられた状態で前記スロットに挿入されるものである場合には、前記巻線準備工程では、前記スロット内通過部の前記周方向の厚みがスロット入口の前記隙間寸法よりも小さくなるように、前記スロット内通過部を構成する各巻線を互いに前記径方向にずらした配列状態で前記巻線支持部材の外周面上に巻線組立体を配置し、前記巻線装着工程では、前記巻線支持部材により各スロット内通過部をスロット内に押圧して隣接する巻線同士を前記径方向に詰めさせるのが好適である。
この製造方法によれば、スロット入口が狭く奥が広い上記のような形状のスロットに対して、比較的断面積の大きな断面ホームベース型の素線からなる巻線群をより隙間無く挿入することが可能となる。そのため、ステータの線占積率を高める上で有利となる。
一方、本発明のステータ製造装置は、上記何れかのステータ製造方法に用いられ、前記巻線組立体を支持して前記ステータコアに装着するステータ製造装置であって、円筒状をなす拡径状態と縮径状態とに変形可能な巻線支持部を有し、巻線組立体の各スロット内通過部を内側から支持する支持装置と、前記巻線支持部を、縮径状態から拡径状態に変形させる駆動装置と、を備えるものである。
この製造装置によれば、縮径状態の巻線支持部の外周面上に前記巻線組立体を配置した状態で当該巻線組立体を巻線支持部と共にステータコアの内側に挿入し、その後、駆動装置により巻線支持部を拡径させることで、巻線組立体の各スロット内通過部をそれぞれステータコアのスロットに挿入することができる。従って、上述したステータ製造方法を良好に実施することが可能となる。
このステータ製造装置において、前記巻線支持部は、前記拡径状態と円錐台状をなす縮径状態とに変形するものであるのが好適である。
この製造装置によれば、巻線組立体を円錐台状に変形させた状態でステータコアの内側に挿入することが可能となる。
上記のステータ製造装置において、より具体的に、前記巻線支持部は、周方向に一定の間隔で配列されて当該巻線支持部の中心線に沿って延び、前記巻線組立体の各スロット内通過部をそれぞれ内側から支持する複数のセグメントにより形成され、前記支持装置は、さらに前記複数のセグメントを前記巻線支持部の径方向に変位自在に支持するベース部材を含み、前記駆動装置は、各セグメントをベース部材に対して径方向に変位させるものである。
この製造装置によれば、縮径状態から拡径状態への巻線支持部の変形に伴い、各セグメントにより巻線組立体の各スロット内通過部をそれぞれ内側から押圧しながらステータコアのスロット内に挿入することができる。すなわち、前記スロット内通過部を各セグメントによって個別にスロット内に押し込むことが可能となる。
この場合、前記複数のセグメントは、それらの下端部を支点として前記ベース部材に揺動可能に支持されており、前記巻線支持部は、各セグメントが垂直姿勢となることにより円筒状をなす前記拡径状態と、各セグメントが傾斜姿勢となることにより円錐台状をなす前記縮径状態とに変形するものであってもよい。
この製造装置によれば、巻線組立体を円錐台状に変形させた状態でステータコアの内側に挿入し、さらに各セグメントにより巻線組立体の各スロット内通過部を個別にスロット内に押し込むことが可能となる。
この場合、前記駆動装置は、縮径状態にある前記巻線支持部の内側を前記中心線に沿って移動することにより、各セグメントを外側に一体的に押し広げる操作部材を備えているのが好適である。
この製造装置によれば、操作部材を前記中心線に沿って移動させるだけの比較的簡単な機構で各セグメントを一体的に変位させること、つまり、巻線支持部を縮径状態から拡径状態に変形させることが可能となる。
この場合、前記操作部材は、所定間隔を隔てて当該操作部材の移動方向に並び、かつ前記巻線支持部の径方向の互いに異なる位置で各セグメントに当接する複数の当接部を有し、前記複数の当接部は、前記移動方向の後側のものほど外径寸法が大きく形成されているのが好適である。
この製造装置によれば、操作部材の移動に伴い各セグメントを比較的緩やかに変位させることができる。そのため、各セグメントが急激な動きをすることを抑えて、前記巻線組立体の各スロット内通過部を円滑に対応するスロットに挿入することが可能となる。
上記のような各ステータ製造装置において、前記巻線支持部は、隣接するセグメント間に各々配置されて前記巻線組立体の各スロット内通過部の周方向への変位を規制するガイド壁を備えているものであってもよい。
この構成によれば、巻線組立体の各スロット内通過部をガイド壁によって案内しながらより円滑にスロット内に挿入することが可能となる。
この場合、前記駆動装置が前記操作部材を備えるものでは、前記操作部材は、各ガイド壁を逃がすための複数のスリットを備えているのが好適である。
この構成によれば、各ガイド壁と操作部材との干渉を回避しながら、当該操作部材によって前記巻線組立体の各スロット内通過部をスロット内に押圧することが可能となる。
以上説明したように、本発明のステータ製造方法およびステータ製造装置によれば、コイルエンド(渡り部)の大きさに拘わらず、複数のコイル(巻線群)を容易にステータコアの内側から当該ステータコアに組み込むことが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
本発明のステータ製造方法およびステータ製造装置の説明に入る前に、まず、当該製造方法および製造装置を用いて製造される回転電機のステータについて説明する。
図1〜図3は、回転電機のステータSを概略図で示しており、図1は斜視図で、図2、図3は断面図で各々ステータSを示している。
同図に示すステータSは、ハイブリット車両に搭載される三相交流モータ(回転電機の一例)に用いられるステータである。具体的には、当該ステータSと、その内側に配置されるロータと、これらステータS及びロータを収容するケーシング等で三相交流モータが構成される。
上記ステータSは、円環状をなすステータコア10と、そのスロット12に巻回される複数の巻線群をそれぞれ含む、第1コイル部材14Aおよび第2コイル部材14Bとを備えている。なお、以下の説明では、ステータコア10の中心軸回りの方向を周方向と称し、ステータコア10の半径方向を単に径方向と称す。
前記ステータコア10は、図3に示すように、周方向に等間隔で並ぶ複数の位置でそれぞれ内向きに開いて放射状に延びる複数のスロット12を備えている。隣接するスロット12の間の部分が、当該ステータコア10のティース10aである。同図では明確ではないが、各スロット12の断面形状は、周方向におけるティース10aの厚みが径方向に亘ってほぼ一定となるように、径方向内側から外側に向かって先広がりに形成されている(図12(c)参照)。この構成により、各ティース10aの径方向全体に亘ってより均一な磁束が形成され得るようになっている。
前記ステータコア10は、当例では、48個のスロット12を備えている。そして、後に詳述する通り、これら48個のスロット12のうち、特定の複数のスロット12を通過するようにU相、V相、W相の各巻線群が当該ステータ10に巻回されている。換言すれば、ステータコア10には、U相の巻線群が各々挿入される互いに隣接した2つのスロット12と、V相の巻線群が各々挿入される互いに隣接した2つのスロット12と、W相の巻線群が各々挿入される互いに隣接した2つのスロット12とを1セットとして、ステータコア10の周方向に8セットのスロット群が備えられている。つまり、このステータSが適用される回転電機は、48スロットを備えた8極の回転電機である。
なお、図3には、U相の巻線群が各々挿入されるスロット12を符号U1・U2、U3・U4……U15・U16で示し、V相の巻線群が各々挿入されるスロット12を符号V1・V2、V3・V4……V15・V16で示し、W相の巻線群が各々挿入されるスロット12を符号W1・W2、W3・W4……W15・W16で示している。以下の説明では、必要に応じて、U相の巻線群が挿入されるスロットの符号として符号12の代わりに図3中に示す符号U1・U2、U3・U4……U15・U16を用い、同様に、V相の巻線群が各々挿入されるスロットの符号として同図中の符号V1・V2、V3・V4……V15・V16を用い、W相の巻線群が各々挿入されるスロットの符号としてW1・W2、W3・W4……W15・W16を用いるものとする。
ステータコア10は、例えば図3に示すような形状を有する磁性体(鋼板)製の複数枚のプレートが積層一体化されることにより構成されている。
第1コイル部材14A及び第2コイル部材14Bは、それぞれ、ステータコア10に巻回される複数の巻線群を含んでいる。第1コイル部材14Aと第2コイル部材14Bは、第2コイル部材14Bが第1コイル部材14Aの内側に設けられている以外、これらの基本的な構成は共通している。よって、以下の説明では、第1コイル部材14Aについて詳述した上で、必要に応じて第2コイル部材14Bの構成に言及することにする。
第1コイル部材14Aは、スロットU1・U2、U3・U4……U15・U16を通過するようにステータコア10に巻回される2つ一組のU相巻線群20Ua、20Ub(第1U相巻線群20Ua、第2U相巻線群20Ubと称す/図4(b)参照)と、スロットV1・V2、V3・V4……V15・V16を通過するようにステータコア10に巻回される2つ一組のV相巻線群20Va、20Vb(第1V相巻線群20Va、第2V相巻線群20Vbと称す)と、スロットW1・W2、W3・W4……W15・W16を通過するようにステータコア10に巻回される2つ一組のW相巻線群20Wa、20Wb(第1W相巻線群20Wa、第2W相巻線群20Wbと称す)とを含む。なお、図1では、同じ経路に沿って巻回される巻線群をまとめて極めて概略的に第1コイル部材14A及び第2コイル部材14Bを示している。
U相巻線群20Ua、20Ub、V相巻線群20Va、20Vb、及びW相巻線群20Wa、20Wbは、通過するスロット12が互いに異なる以外、基本的な構成は共通している。よって、以下の説明では、U相巻線群20Ua、20Ubの構成について詳述した上で、必要に応じてV相巻線群20Va、20Vb、及びW相巻線群20Wa、20Wbの構成に言及することにする。なお、以下の説明において上(上側)、下(下側)というときには、図1に示すステータSの状態を基準とし、内(内側)、外(外側)というときには、ステータコア10の径方向を基準とする。
第1U相巻線群20Uaは、断面五角形の素線1により形成された複数の巻線で構成されている。詳しくは、図4(a)に示すように、素線1は、底辺2aと、その両側から互いに平行に伸びる一対の側辺2b、2bと、これら側辺2b、2bの端部同士を繋ぐ一対の斜辺2c、2cとを備えた断面ホームベース型である。なお、素線1の断面において一対の斜辺2cが繋がる部分を尖形部と称する。素線1には、絶縁被膜が施されており、前記尖形部は、折り曲げ時の応力集中に起因する被膜破壊や巻線(素線1)の破損(亀裂)等を抑制するために若干丸味が持たせてある。
第1U相巻線群20Uaは、図4(b)に示すように、上記のような断面ホームベース型の素線1により形成された合計6つの巻線で構成されている。詳細には、同図に示すように、第1U相巻線群20Uaは、3つの巻線r1〜r3からなる正巻線群22aと、3つの巻線r1′〜r3′からなる逆巻線群22bとを含む。正巻線群22aと逆巻線群22bとは、コイルエンド部においては、電流の流れる方向が周方向において互いに逆向きとなり、スロット12内においては、電流の流れる方向が同一となるように電流供給が行われるものであり、後に詳述する通り、スロット12に対する巻線の挿入方向および導出方向が互いに逆の関係になっている。
第2U相巻線群20Ubも同様に、図4(b)に示すように、上記ホームベース型をなす断面五角形の素線1により形成された合計6つの巻線で構成されており、詳しくは、3つの巻線r4〜r6からなる正巻線群24aと、3つの巻線r4′〜r6′からなる逆巻線群24bとを含む。
各U相巻線群20Ua、20Ubは、図5〜図7に示すようにして、ステータコア10に波巻(分布巻きの一種)で巻回されることにより形成されている。すなわち、各U相巻線群20Ua、20Ubの巻線構造は波巻である。
スロットU1、U2の位置を基準に具体的に説明すると、まず、第1U相巻線群20Uaの正巻線群22aは、図5(a)及び図6(a)に示すように、ステータコア10の下側からスロットU1に挿入されて上側に導出され、ステータコア10の上側からスロットU4に挿入されて下側に導出され、ステータコア10の下側からスロットU5に挿入されて上側に導出されるという具合にして、スロットU1、U4、U5、U8、U9、U12、U13、U16を経由して波巻きでステータコア10に巻回されている。
第1U相巻線群20Uaの逆巻線群22bは、図5(a)及び図6(b)に示すように、ステータコア10の上側からスロットU1に挿入されて下側に導出され、ステータコア10の下側からスロットU4に挿入されて上側に導出され、ステータコア10の上側からスロットU5に挿入されて下側に導出されるという具合にして、ステータコア10に巻回されている。すなわち、逆巻線群22bは、スロット12に対する巻線の挿入方向及び導出方向が正巻線群22aとは逆になるように、正巻線群22aと同じスロットU1、U4、U5、U8、U9、U12、U13、U16を経由して波巻きでステータコア10に巻回されている。
正巻線群22aの巻線r1〜r3と逆巻線群22bの巻線r1′〜r3′とは、図4(b)に示すように、ステータコア10の径方向(図4(b)では左右方向)に一列に並べられた状態、具体的には、前記径方向の片側に正巻線群22aの巻線r1〜r3が連続して一列に並び、この正巻線群22aに隣接するように逆巻線群22bの巻線r1′〜r3′が連続して一列に並んだ状態で各スロットU1、U4〜U16に挿入されている。より詳しくは、互いに隣接する巻線の尖形部が周方向の互いに反対側を向き、かつ、当該隣接する巻線の斜辺2c同士が互いに当接するとともに、尖形部の向きが共通する巻線のうち隣接するものの側辺2b同士が互い当接する状態、具体的には正巻線群22aの巻線r1、r3および逆巻線群22bの巻線r2′のうち互いに隣接するものの側辺2b同士が互いに当接し、正巻線群22aの巻線r2および逆巻線群22bの巻線r1′、r3′のうち隣接するものの側辺2b同士が互いに当接する状態で前記巻線r1〜r3、r1′〜r3′が各スロットU1、U4〜U16に挿入されている。
なお、図6(a)、(b)に示すように、正巻線群22a及び逆巻線群22bは、各スロットU1、U4〜U16について、ステータコア10の径方向における内外の位置関係が交互に入れ替わるように当該ステータコア10に巻回されている。
一方、第2U相巻線群20Ubの正巻線群24aは、図5(b)及び図7(a)に示すように、ステータコア10の下側からスロットU2に挿入されて上側に導出され、ステータコア10の上側からスロットU3に挿入されて下側に導出され、ステータコア10の下側からスロットU6に挿入されて上側に導出されるという具合にして、スロットU2、U3、U6、U7、U9、U10、U11、U14、U15を経由して波巻きでステータコア10に巻回されている。
第2U相巻線群20Ubの逆巻線群24bは、図5(b)及び図7(b)に示すように、ステータコア10の上側からスロットU2に挿入されて下側に導出され、ステータコア10の下側からスロットU3に挿入されて上側に導出され、ステータコア10の上側からスロットU6に挿入されて下側に導出されるという具合にして、ステータコア10に巻回されている。すなわち、逆巻線群24bは、スロット12に対する巻線の挿入方向及び導出方向が正巻線群24aとは逆になるように、正巻線群24aと同じスロットU2、U3、U6、U7、U9、U10、U11、U14、U15を経由して波巻きでステータコア10に巻回されている。
正巻線群24aの巻線r4〜r6と逆巻線群24bの巻線r4′〜r6′は、上述した第1U相巻線群20Uaの各巻線群22a、22bと同様にして、図4(b)に示すように、ステータコア10の径方向に一列に並べられた状態で各スロットU2、U3〜U15に挿入されている。そして、第2U相巻線群20Ubについても、図7(a)、(b)に示すように、正巻線群24a及び逆巻線群24bは、各スロットU2、U3〜U15について、ステータコア10の径方向における内外の位置関係が交互に入れ替わるように当該ステータコア10に巻回されている。
なお、第1U相巻線群20Ua及び第2U相巻線群20Ubは、図3及び図4(b)に示すように、ステータコア10の径方向最外側に位置する巻線r1、r4の尖形部の向きが同じになるように、当例では巻線r1、r4の尖形部が互いに周方向の同じ側(図4(b)では下側)を向くように、各スロットU1・U2……U15・U16に挿入されている。
第1U相巻線群20Uaの正巻線群22aと第2U相巻線群20Ubの正巻線群24aとは、ステータコア10の軸方向端面上(上下両側の端面上)において、軸方向端面と各巻線r1〜r3、r4〜r6の底辺2aが平行となり、かつ前記斜辺2c同士又は前記底辺2a同士が当接する状態で、ステータコア10の軸方向に沿って並べられている。
詳しくは、図8(a)に模式的に示すように、スロットU1からステータコア10の上側に導出される第1U相巻線群20Uaの正巻線群22aのうち、内側の2つの巻線r2、r3は、そのまま略水平(ステータコア10の軸方向端面と略平行)になるように直角に折り曲げられ、残りの巻線r1は、直角に折り曲げられつつ、さらに内側に180°捩られ(図8(b)参照)、巻線r3の下側に互いの底辺2a同士が当接するように重ねられている。他方、スロットU2からステータコア10の上側に導出される第2U相巻線群20Ubの正巻線群24aのうち、内側の2つの巻線r5は、そのまま略直角に折り曲げられ、残りの巻線r4は、略直角に折り曲げられつつ、巻線r5の上側に互いの底辺2a同士が当接するように重ねられるとともに、巻線r1の下側に互いの斜辺2c同士が当接するように重ねられている。これにより、図9(b)に示すように、前記斜辺2c同士が当接する状態、又は前記底辺2a同士が当接する状態で、第1U相巻線群20Uaの正巻線群22aの巻線r1〜r3の下側に第2U相巻線群20Ubの正巻線群24aの巻線r4〜r6が重ねられている。なお、図9(a)は、図6(a)のIXa−IXa線に沿った巻線群の断面模式図であり、図9(b)は、図6(a)のIXb−IXb線に沿った同断面模式図である。
このように重ねられた第1U相巻線群20Uaの正巻線群22aと第2U相巻線群20Ubの正巻線群24aは、図6(a)及び図7(a)に示すように、次のスロットU3、U4に向かうに伴い、ステータコア10の径方向内側に変位するようにステータコア10の上端面に沿って配されている。そして、図10(a)に模式的に示すように、まず、下側に位置する第2U相巻線群20Ubの正巻線群24aがステータコア10の上側からスロットU3に挿入される。この場合、下側の巻線r5、r6は、そのまま略直角に折り曲げられ、残りの巻線r4は、略直角に折り曲げられて他の巻線r5、r6の外側に並べられる。これにより、ステータコア10の径方向に巻線r4〜r6が一列に並んだ状態で、正巻線群24aがスロットU3に挿入される。
他方、第1U相巻線群20Uaの正巻線群22aのうち、上側の2つの巻線r2、r3は、そのまま直角に折り曲げられ、残りの巻線r1は直角に折り曲げられつつ外側に180°捩られた状態(図10(b)参照)で他の巻線r2、r3の外側に並べられる。これにより、ステータコア10の径方向に巻線r1〜r3が一列に並んだ状態で、正巻線群22aがスロットU4に挿入される。なお、巻線r1が外側に180°捩られるのは、上記の通り、当該巻線r1は、スロットU1から導出された後、他の巻線r3に重ねるために内側に180°捩られており(図8(a)(b))、この捩れを解消するためである。
なお、ここでは、ステータコア10の上側における正巻線群22a、24aの配列について具体的に説明したが、ステータコア10の下側では、正巻線群22a、24aの上下関係が逆、すなわち図9(b)の配列と上下対称な配列となる。これ以外の正巻線群22a、24aの配列は、基本的にはステータコア10の上下両側で共通している。
また、ここでは、正巻線群22a、24aについて説明したが、ステータコア10の上下両側における逆巻線群22b、24bの配列も、基本的には正巻線群22a、24aと同様である。すなわち、図9(a)、(b)の巻線r1〜r3、巻線r4〜r6を巻線r1′〜r3′、巻線r4′〜r6′に置き換えた配列と同等である。
このようにして、第1U相巻線群20Ua及び第2U相巻線群20Ubがステータコア10に巻回されている。なお、第1U相巻線群20Ua及び第2U相巻線群20Ubは、互いに隣接する一対のスロットU1・U2、U3・U4……U15・U16に順次挿入されるが、上記の通り(図5〜図7に示す通り)、第1U相巻線群20Ua及び第2U相巻線群20Ubは、各一対のスロットU1・U2、U3・U4……U15・U16について、交互に周方向の異なる側のスロット12へ挿入されている。すなわち、奇数番のスロット12から導出された巻線群は、次の偶数番のスロット12に挿入され、他方、偶数番のスロット12から導出された巻線群は、次の奇数番のスロット12に挿入される。その結果、上述の通り、第1U相巻線群20Uaは、スロットU1、U4、U5、U8、U9、U12、U13、U16に挿入され、第2U相巻線群20Ubは、スロットスロットU2、U3、U6、U7、U9、U10、U11、U14、U15に挿入されている。このようにして第1U相巻線群20Ua及び第2U相巻線群20Ubがステータコア10に巻回されることで、正巻線群22aと正巻線群24aとが互いに交差することなく、また、逆巻線群22bと逆巻線群24bとが互いに交差することなく、ステータコア10に第1U相巻線群20Ua及び第2U相巻線群20Ubが波巻きで巻回されている。
以上、U相巻線群20Ua、20Ubの構成について詳述したが、V相巻線群20Va、20Vb、及びW相巻線群20Wa、20Wbについても、通過するスロット12の位置が異なる以外、基本的にはU相巻線群20Ua、20Ubと同等の構成である。
なお、ステータコア10の上下端面上において、U相巻線群20Ua、20Ub、V相巻線群20Va、20Vb、及びW相巻線群20Wa、20Wbは、ステータコア10の径方向に互いに隣接する状態で並んでおり、それぞれスロット12から導出されてその導出位置から次のスロット12に向かうに伴い、ステータコア10の径方向内側、又は外側に変位して導出位置とは前記径方向の異なる位置で次のスロット12に挿入されている。
この点について図9(b)、図11(a)〜(d)を用いて具体的に説明する。図9(b)は上記の通り、図6(a)のIXb−IXb線に沿った巻線群の断面模式図、つまり、スロットU2とスロットV1との間の位置の巻線群の断面模式図であり、図11(a)〜(d)は、図6(a)のXIa−XIa線、XIb−XIb線、XIc−XIc線及びXId−XId線にそれぞれ沿った巻線群の断面模式図、つまり、スロットV1〜U3の各スロット間の巻線群の断面模式図である。
これらの図に示すように、スロットU2とスロットV1の間の位置では、図9(b)に示すように、第1U相巻線群20Uaの正巻線群22aと第2U相巻線群20Ubの正巻線群24aとが上下に重ねられている。そして、これらU相巻線群20Ua、20Ubの内側に、第1W相巻線群20Waの逆巻線群22bと第2W相巻線群20Wbの逆巻線群24bとが同様に上下に重ねられ、さらにその内側に、第1V相巻線群20Vaの逆巻線群22bと第2U相巻線群20Vbの逆巻線群24bとが同様に上下に重ねられている。
そして、スロットV1の位置で、最も内側に位置する第2V相巻線群20Vaの逆巻線群22bがスロットV1に挿入される一方で、スロットV1から第2V相巻線群20Vaの正巻線群22aが導出されることにより、スロットV1とスロットV2の間の位置では、図11(a)に示すように、第1V相巻線群20Vaの正巻線群22aがU相巻線群20Ua、20Ubの外側に重ねられる。
そして次に、スロットV2の位置で、最も内側に位置する第2V相巻線群20Vbの逆巻線群24bがスロットV2に挿入される一方で、スロットV2から第2V相巻線群20Vbの正巻線群24aが導出されることにより、スロットV2とスロットW1の間の位置では、図11(b)に示すように、第2V相巻線群20Vbの正巻線群24aがU相巻線群20Ua、20Ubの外側において、第2V相巻線群20Vaの正巻線群22aの下側に重ねられる。
そして次に、スロットW1の位置で、最も内側に位置する第2W相巻線群20Waの逆巻線群22bがスロットW1に挿入される一方で、スロットW1から第2W相巻線群20Waの正巻線群22aが導出されることにより、スロットW1とスロットW2の間の位置では、図11(c)に示すように、第2W相巻線群20Waの正巻線群22aがV相巻線群20Va、20Vbの外側に重ねられる。
そして次に、スロットW2の位置で、最も内側に位置する第2W相巻線群20Wbの逆巻線群24bがスロットW2に挿入される一方で、スロットW2から第2W相巻線群20Wbの正巻線群24aが導出されることにより、スロットW2とスロットU3の間の位置では、図11(d)に示すように、第2W相巻線群20Wbの正巻線群24aがV相巻線群20Va、20Vbの外側において、第2W相巻線群20Waの正巻線群22aの下側に重ねられる。
このように、U相巻線群20Ua、20Ub、V相巻線群20Va、20Vb、及びW相巻線群20Wa、20Wbが、ステータコア10の径方向に互いに隣接する状態で並び、それぞれスロット12から導出されてその導出位置から次のスロット12に向かうに伴い、ステータコア10の径方向内側に変位しながらスロット12に挿入されることで、これら巻線群20Ua、20Ub、20Va、20Vb、20Wa、20Wbが相互に交差することなくコンパクトに配列された状態のままで次のスロット12に導かれるようになっている。
以上、第1コイル部材14Aの構成について説明したが、第2コイル部材14Bの構成も第1コイル部材14Aと同等である。なお、図3及び図4(b)に示すように、第2コイル部材14Bの第2U相巻線群20Uaは、第1コイル部材14Aの第1U相巻線群20Uaに対してステータコア10の径方向に一列に並ぶように当該第1U相巻線群20Uaと同じスロット12内に挿入され、第2コイル部材14Bの第2U相巻線群20Ubは、第1コイル部材14Aの第2U相巻線群20Ubに対して前記径方向に一列に並ぶように当該第2U相巻線群20Ubと同じスロット12に配列されている。第2コイル部材14BのV相巻線群20Va、20Vb及びW相巻線群20Wa、20Wbも同様である。
以上のようなステータSによれば、各巻線群20Ua、20Ub、20Va、20Vb、20Wa、20Wbの巻線r1〜r3、r1′〜r3′r4〜r6、r4′〜r6′が断面五角形のホームベース型の素線1により形成され、巻線r1〜r3、r1′〜r3′(巻線r4〜r6、r4′〜r6′)が、斜辺2c同士を当接させた状態でスロット12に挿入されている。このような構成によれば、隣接する巻線同士がステータコア10の径方向において互いにオーバーラップした状態でスロット12内に挿入されるため、断面形状が円形や矩形(長方形)の巻線(素線)を用いる場合に比べて、より断面積の大きい巻線(太い巻線)をスロット12内に整列した状態で密接して配列することが可能となる。従って、ステータSの線占積率(スロットの断面積に占める巻線の断面積の割合)を効果的に高めることが可能となる。すなわち、上述した通り、各スロット12の断面形状は、ステータコア10の径方向内側から外側に向かって先広がりに形成されている。そのため、例えば図12(a)に示すように、断面形状が矩形(長方形)の太い巻線raを用いる場合、その断面の一辺の長さをスロットの入口幅と同程度としても、基本構造(比較対象)である図12(b)のスロット(図12(a)の二点鎖線)と比較すると、径方向外側の部分に比較的大きな隙間が形成されてしまうことになる。また、図12(b)に示すように、断面形状が円形の細い巻線rbを用いた場合には、見かけ上はスロット内を巻線rbで埋め尽くすことができるものの、巻線rb同士を隙間無く密接させることは不可能であるため、スロット内の総隙間面積はかなり大きいものとなる。これに対して、図12(c)に示すように、ホームベース型の巻線rcを用いる場合には、巻線rcの尖形部から底辺2aに降ろした一辺の長さをスロット12の入口幅よりも若干小さい程度に設定すれば、図12(a)の例と巻線数が同じであっても断面矩形(長方形)の巻線raに比して断面積の大きい巻線を、前記径方向に並べて互いに密接させた状態でスロット12内に挿入することができる。これは上記の通り、隣接する巻線rc同士を径方向において互いにオーバーラップした状態でスロット12内に挿入できるためである。従って、図12(a)、(b)の構成に比べて、比較対象である図12(b)のスロット(図12(c)の二点鎖線)に対する隙間面積を効果的に小さくする、つまり、線占積率を高めることが可能となる。
以上、ステータSの構成について説明したが、次に、このステータSの製造方法と、その製造に用いられるステータ製造装置の一例について説明する。
当実施形態におけるステータSの製造は、大略的には、第1コイル部材14A(複数の巻線群)と同一形状の第1巻線組立体16Aと、第2コイル部材14B(複数の巻線群)と同一形状の第2巻線組立体16Bとをそれぞれステータコア10とは別に単独で形成し(巻線形成工程)、これら巻線組立体16A、16Bを、ステータ製造装置を用いて、第1巻線組立体16Aから順番にステータコア10に装着することにより行う。
第1巻線組立体16Aの製造は、例えば次のようにして行うことができる。まず、1本の素線1をフォーミング加工により波形に形成し、これをさらにフォーミング加工により3重に巻回する。これにより、第1U相巻線群20Uaの正巻線群22aに対応する巻線群を形成する。同様にして、第1U相巻線群20Uaの逆巻線群22b、第2U相巻線群20Ubの正巻線群22aおよび逆巻線群22bに対応する合計4つの巻線群を形成し、これらを合体させることにより、第1U相巻線群20Uaおよび第2U相巻線群20Ubにそれぞれ対応する巻線群を含む一つのU相の巻線群を形成する。
そして同様に、第1V相巻線群20Vaおよび第2V相巻線群20Vbにそれぞれ対応する巻線群を含む一つのV相の巻線群と、第1W相巻線群20Waおよび第2W相巻線群20Wbにそれぞれ対応する巻線群を含む一つのW相の巻線群とを形成し、これらU相、V相およびW相の巻線群を合体させる。これにより第1巻線組立体16Aを形成することができる。第2巻線組立体16Bについても同様である。
図13(a)は、上記巻線形成工程で形成された第1巻線組立体16Aと、ステータ製造装置30とを断面図で概略的に示している。
ステータ製造装置30は、図13(a)に示す第1装置30Aと、図18(a)に示す第2装置30Bとを含む。第1装置30Aは、第1巻線組立体16Aをステータコア10に装着するための装置であり、第2装置30Bは、第2巻線組立体16Bをステータコア10に装着するための装置である。
第1装置30Aは、第1巻線組立体16Aを支持する支持装置32Aと、この支持装置32Aを駆動する駆動装置34Aとを有する。
支持装置32Aは、第1巻線組立体16Aのうち、ステータコア10のスロット12内を通過する部分(以下、スロット内通過部17という/図5(a)参照)、つまりスロット12内に挿入される部分を内側から支持する巻線支持部42(巻線支持部材に相当する)と、ステータコア10の軸方向端面上を通過する部分(以下、渡り部18という/図5(a)参照)を介して当該第1巻線組立体16Aを支持するベース部40とを有する。巻線支持部42は、円筒状をなす拡径状態と上部が窄まった円錐台状をなす縮径状態とに変形可能であり、この巻線支持部42は、第1巻線組立体16Aの各スロット内通過部17をそれぞれ内側から支持する複数のセグメント42a、具体的には、ステータコア10のスロット12と同数のセグメント42aにより構成されている。
これらセグメント42aは、巻線支持部42の中心線C1に沿って上下方向に延びる軸状の部材で、中心線C1を中心とする円周上に等間隔で配列されている。各セグメント42aは、ステータコア10の内側からそれぞれスロット12に挿入可能な断面形状を有しており、当例では断面矩形である(図15参照)。
各セグメント42aは、下端部を支点としてベース部40の上部に揺動可能に支持されている。具体的には、図13(a)の一点鎖線に示すように、中心線C1とほぼ平行となる垂直姿勢と、同図の実線に示すように、各セグメント42aの上端が中心線C1に接近した傾斜姿勢とに亘って揺動可能に支持されている。この構成により、巻線支持部42が全体として円筒状をなす前記拡径状態と、上部が窄まった円錐台状の前記縮径状態とに変形可能となっている。
前記ベース部40は、上下方向にある程度の厚みを有した円環状の部材で、中心に、上下方向に貫通する断面円形の開口部41を有している。
ベース部40の上面部のうち、開口部41の周縁部には上記セグメント42a(巻線支持部42)が支持されており、これらセグメント42aの外側は、第1巻線組立体16Aの巻線載置部40aとなっている。なお、開口部41の直径は、ステータコア10の内径よりも大きく設定されており、従って、上記セグメント42a(揺動支点)が配列される円の直径もステータコア10の内径よりも大きい。
前記駆動装置34Aは、縮径状態にある巻線支持部42の各セグメント42aを外側に押し広げる第1、第2の操作部材44、45と、当該操作部材44、45を前記中心線C1に沿って上下方向に移動させる装置本体48とを備えている。
第1操作部材44は、所定間隔を隔てて上下方向に並びかつ当該第1操作部材44の上昇に伴い巻線支持部42の径方向の互いに異なる位置で各セグメント42aに当接する円盤状の複数の当接部(第1〜第3の3つの当接部46a〜46c)と、これら当接部46a〜46cを連結する軸部47aとを備えている。
前記当接部46a〜46cは、下位側のものほど径が大きく設定されており、最下位の第3当接部46cの径は、ステータコア10の内径よりも小さく設定されている。
前記装置本体48は、第1、第2の操作部材44が着脱可能に装着される図外のヘッドと、このヘッドを上下方向に駆動する前記アクチュエータ49とを備えている。当例では、アクチュエータ49は、油圧シリンダである。
前記第2操作部材45は、第1操作部材44に類似した構成を有している。すなわち、第2操作部材45は、略円盤状の当接部46dと軸部47bとを備えている。当接部46dの径は、ステータコア10の内径よりも大きく、かつベース部40の開口部41の径よりも僅かに小さい程度に設定されている。なお、当接部46dの外周面には、図16に示すように、スリット461が周方向に等間隔で形成されている。これらのスリット461は、ステータコア10の各ティース10aを逃がすためのものである。すなわち、第2操作部材45の上昇に伴いスリット461内にティース10aを介在させることで、当接部46dとティース10aとの干渉を回避しながら、第1巻線組立体16Aの各スロット内通過部17を、当接部46dによりスロット12内の所定位置まで押し込めるようになっている。
第2操作部材45は、第1操作部材44に代えて前記装置本体48のヘッドに装着可能に構成されている。これによって、第2操作部材45は、第1操作部材44と同様に、装置本体48により上下方向に駆動される。
以上、第1装置30Aについて説明したが、第2装置30Bも、後述する点を除いて第1装置30Aと共通の構成を有している。
すなわち、図18(a)に示すように、第2装置30Bは、第2巻線組立体16Bを支持する支持装置32Bと、この支持装置32Bを駆動する駆動装置34Bとを有する。支持装置32Bは、第2巻線組立体16Bのスロット内通過部17を内側から支持する巻線支持部52(巻線支持部に相当する)と、渡り部18を介して第2巻線組立体16Bを支持するベース部50とを有する。巻線支持部52は、円筒状をなす拡径状態と上部が窄まった円錐台状をなす縮径状態とに変形可能である。
巻線支持部52は、複数のセグメント52aにより構成されている。各セグメント52aは、ベース部50の中心に形成された上下方向に貫通する開口部51の周縁部に支持されており、ベース部50の上面のうち、これらセグメント42aの外側が第2巻線組立体16Bの巻線載置部50aとなっている。
なお、第2装置30Bの支持装置32Bは、図18(a)に示すように、隣接するセグメント52aの間にそれぞれガイド壁53を備えており、この点で第1装置30Aの支持装置32Aと構成が相違している。これらガイド壁53は、第2巻線組立体16Bのスロット内通過部17が周方向にずれるのを規制するものである。各ガイド壁53は、上下方向に延びるプレート状の部材からなり、巻線支持部52の中心線C2を中心として放射状に設けられている。なお、各ガイド壁53は、巻線支持部52が第2巻線組立体16Bと共にステータコア10内が挿入されると、図20に示すように、各ティース10aに連続するように形成されている。そのため、各ガイド壁53は、図18(a)に示すように、開口部51の内側に突出するように設けられている。
駆動装置34Bは、第1装置30Aの第1操作部材44に相当する一つの操作部材54と、当該操作部材54を上下方向に移動させる、アクチュエータ59を有する装置本体58とを備えている。操作部材54は、その上昇に伴い巻線支持部52の径方向の互いに異なる位置で各セグメント54aに当接する第1〜第3の3つの当接部56a〜56cと、これら当接部56a〜56cを連結する軸部57とを備えている。操作部材54の各当接部56a〜56cは、第1装置30Aの前記第2操作部材45の当接部46dと同様の構成を有している。すなわち、各当接部56a〜56cの外周面には、スリット462(図21参照)が周方向に等間隔で形成されている。これらのスリット462は、上記ガイド壁53を逃がすためのものである。すなわち、各ガイド壁53は、上記の通りベース部50の開口部51の内側に突出する状態で設けられているが、操作部材54の上昇に伴いスリット462内にティース10aを介在させることで、各当接部56a〜56cとティース10aとの干渉を回避しながら、第2巻線組立体16Bの各スロット内通過部17を、各当接部56a〜56cによりスロット12内に押し込めるようになっている。なお、第2装置30Bには、第1装置30Aのような第2操作部材45は設けられていない。
上記巻線形成工程で形成された第1巻線組立体16Aおよび第2巻線組立体16Bは、上述したステータ製造装置30を用いることにより、次のような工程に基づきステータコア10に装着することができる。
(第1巻線準備工程)
まず、図13(a)に示すように、第1装置30Aの装置本体48に第1操作部材44を装着し、ストローク下端に第1操作部材44を配置する。これにより、各セグメント42aを傾斜させて、巻線支持部42を同図の実線に示すような円錐台状の縮径状態とする。
まず、図13(a)に示すように、第1装置30Aの装置本体48に第1操作部材44を装着し、ストローク下端に第1操作部材44を配置する。これにより、各セグメント42aを傾斜させて、巻線支持部42を同図の実線に示すような円錐台状の縮径状態とする。
そして、この状態で第1巻線組立体16Aを第1装置30Aの支持装置32Aにセットする。具体的には、第1巻線組立体16Aの内側に巻線支持部42が挿入されるように、当該巻線支持部42を第1巻線組立体16Aの上方からベース部40の巻線載置部40aに載置する。この際、第1巻線組立体16Aの各スロット内通過部17と巻線支持部42の各セグメント42aとが対応するように第1巻線組立体16Aを支持装置32Aにセットする。
そして、図13(b)に示すように、巻線支持部42の外周面に沿うように、第1巻線組立体16Aを径方向外側から圧縮変形させる。この際、第1巻線組立体16Aの上側の渡り部18がステータコア10の内径よりも小さくなるように第1巻線組立体16Aを変形させる。
(第1巻線挿入工程)
図13(b)に示すように、ステータコア10を準備し、第1装置30Aとステータコア10とを相対的に上下方向に移動させることにより、第1巻線組立体16Aを巻線支持部42と共にステータコア10の内側に挿入する。当例では、図外のホルダにステータコア10を固定し、ステータコア10の各スロット12の位置と各セグメント42aの位置とが一致するように、つまり、各スロット12と第1巻線組立体16Aの各スロット内通過部17とが一致するように、ステータコア10と第1装置30Aとを周方向に位置決めした後(図15参照)、図外のリフターに固定されている前記第1装置30Aを当該リフターの駆動により上昇させる。これにより、図14(b)に示すように、第1巻線組立体16Aの上側の渡り部18がステータコア10を貫通する位置まで、ステータコア10に対して第1巻線組立体16Aを挿入する。この際、第1巻線組立体16Aの主に下半分の領域については、各スロット内通過部17をセグメント42aと共にステータコア10のスロット12に挿入するようにする。
図13(b)に示すように、ステータコア10を準備し、第1装置30Aとステータコア10とを相対的に上下方向に移動させることにより、第1巻線組立体16Aを巻線支持部42と共にステータコア10の内側に挿入する。当例では、図外のホルダにステータコア10を固定し、ステータコア10の各スロット12の位置と各セグメント42aの位置とが一致するように、つまり、各スロット12と第1巻線組立体16Aの各スロット内通過部17とが一致するように、ステータコア10と第1装置30Aとを周方向に位置決めした後(図15参照)、図外のリフターに固定されている前記第1装置30Aを当該リフターの駆動により上昇させる。これにより、図14(b)に示すように、第1巻線組立体16Aの上側の渡り部18がステータコア10を貫通する位置まで、ステータコア10に対して第1巻線組立体16Aを挿入する。この際、第1巻線組立体16Aの主に下半分の領域については、各スロット内通過部17をセグメント42aと共にステータコア10のスロット12に挿入するようにする。
(第1巻線装着工程)
図14(a)中の白抜き矢印に示すように、前記アクチュエータ49の駆動より、第1操作部材44を前記ベース部40の開口部41を通じて巻線支持部42の内側に挿入する。このように第1操作部材44を上昇させると、その上昇に伴い第1当接部46aから順に各当接部46a〜46cがセグメント42aに当接し、この当接によって各セグメント42aが外側に押し遣られる結果、巻線支持部42が縮径状態から拡径状態に変形する。そして、この巻線支持部42の拡径に伴い、図17(a)、(b)に示すように、第1巻線組立体16Aの各スロット内通過部17がセグメント42a介して外側に押圧され、それぞれスロット12内に挿入される。
図14(a)中の白抜き矢印に示すように、前記アクチュエータ49の駆動より、第1操作部材44を前記ベース部40の開口部41を通じて巻線支持部42の内側に挿入する。このように第1操作部材44を上昇させると、その上昇に伴い第1当接部46aから順に各当接部46a〜46cがセグメント42aに当接し、この当接によって各セグメント42aが外側に押し遣られる結果、巻線支持部42が縮径状態から拡径状態に変形する。そして、この巻線支持部42の拡径に伴い、図17(a)、(b)に示すように、第1巻線組立体16Aの各スロット内通過部17がセグメント42a介して外側に押圧され、それぞれスロット12内に挿入される。
第1操作部材44がストローク上端に達すると、具体的には、第3当接部46cがステータコア10の上端近傍位置に達すると、第1操作部材44をストローク下端まで下降させる。そして、第1操作部材44を装置本体48から取り外して第2操作部材45に交換した後、当該第2操作部材45を上昇させる。これにより、図17(c)に示すように、第1巻線組立体16Aの各スロット内通過部17をさらに第2操作部材45の当接部46dによってスロット12の奥に押圧する。この際、同図に示すように、ステータコア10の各ティース10aが当接部46dの外周面に形成されたスリット461内に介在することで、前記当接部46dの外縁部によって各スロット内通過部17がセグメント42aと共にスロット12内の所定位置まで奥深く押圧される。
こうして第2操作部材45がストローク上端に達すると、具体的には、ステータコア10の上端近傍位置に到達し、各セグメント42aが直立姿勢になると、第2操作部材45をストローク下端まで下降させ、図外のリフターの作動により第1装置30Aを下降させることにより、図14(b)に示すように、第1巻線組立体16Aから第1装置30Aを離脱させる。これにより、ステータコア10への第1巻線組立体16Aの装着が完了する。
第1巻線組立体16Aの装着が完了すると、次に、第2装置30Bを用いて第2巻線組立体16Bの装着を行うが、この場合の工程やその要領などは、以下の説明で特に言及する場合を除き、第1巻線組立体16Aの装着時と基本的に同じである。
(第2巻線準備工程)
まず、図18(a)に示すように、第2装置30Bの操作部材54をストローク下端に配置することにより、巻線支持部52を円錐台状の縮径状態とし、この状態で第2巻線組立体16Bを支持装置32Bにセットする。
まず、図18(a)に示すように、第2装置30Bの操作部材54をストローク下端に配置することにより、巻線支持部52を円錐台状の縮径状態とし、この状態で第2巻線組立体16Bを支持装置32Bにセットする。
そして、図18(b)に示すように、巻線支持部52の外周面に沿うように、第2巻線組立体16Bを径方向に圧縮変形させる。この場合、第2巻線組立体16Bの各スロット内通過部17が、隣接するガイド壁53の間に介在するように第2巻線組立体16Bを変形させる。
(第2巻線挿入工程)
図18(b)に示すように、第1巻線組立体16Aが装着されたステータコア10を図外のホルダに固定し、この状態で、図外のリフターの駆動により第2装置30Bを上昇させることにより、図19(a)に示すように、第2巻線組立体16Bを巻線支持部52と共にステータコア10の内側に挿入する。この場合、図20に示すように、ステータコア10の各ティース10aと各ガイド壁53とが一致するように、ステータコア10と第2装置30Bとを周方向に位置決めする。
図18(b)に示すように、第1巻線組立体16Aが装着されたステータコア10を図外のホルダに固定し、この状態で、図外のリフターの駆動により第2装置30Bを上昇させることにより、図19(a)に示すように、第2巻線組立体16Bを巻線支持部52と共にステータコア10の内側に挿入する。この場合、図20に示すように、ステータコア10の各ティース10aと各ガイド壁53とが一致するように、ステータコア10と第2装置30Bとを周方向に位置決めする。
(第2巻線装着工程)
図19(a)中の白抜き矢印に示すように、前記アクチュエータ59の駆動より、操作部材54を前記ベース部50の開口部51を通じて巻線支持部52の内側に挿入する。このように操作部材54を上昇させると、その上昇に伴い第1当接部56aから順に各当接部56a〜56cがセグメント52aに当接し、この当接によって各セグメント52aが外側に押し遣られる結果、巻線支持部52が縮径状態から拡径状態に変形する。そして、この巻線支持部52の拡径に伴い、図20(a)〜(c)に示すように、第2巻線組立体16Bの各スロット内通過部17がセグメント52a介して外側に押圧され、それぞれガイド壁53に沿って案内されつつスロット12内に挿入される。
図19(a)中の白抜き矢印に示すように、前記アクチュエータ59の駆動より、操作部材54を前記ベース部50の開口部51を通じて巻線支持部52の内側に挿入する。このように操作部材54を上昇させると、その上昇に伴い第1当接部56aから順に各当接部56a〜56cがセグメント52aに当接し、この当接によって各セグメント52aが外側に押し遣られる結果、巻線支持部52が縮径状態から拡径状態に変形する。そして、この巻線支持部52の拡径に伴い、図20(a)〜(c)に示すように、第2巻線組立体16Bの各スロット内通過部17がセグメント52a介して外側に押圧され、それぞれガイド壁53に沿って案内されつつスロット12内に挿入される。
この際、同図に示すように、各当接部56a〜56cの外周面に形成されたスリット462にガイド壁53が介在することで、各当接部56a〜56cの外縁部によって各スロット内通過部17がセグメント52aと共に隣接するガイド壁53の奥深くに押圧され、最終的にスロット12に挿入される。
こうして操作部材54がストローク上端に達すると、具体的には、第3当接部56cがステータコア10の上端近傍位置に到達することにより、各セグメント52aが直立姿勢になると、図19(b)に示すように、操作部材54をストローク下端まで下降させ、図外のリフターの作動により第2装置30Bを下降させることにより、第2巻線組立体16Bから第2装置30Bを離脱させる。これにより、ステータコア10への第2巻線組立体16Bの装着が完了する。
このようにして第2巻線組立体16Bの装着が完了した後、必要な結線処理(巻線同士の溶接等)が行われることにより、図1および図2に示したステータSが完成する。
以上のようなステータSの製造方法によれば、第1コイル部材14A(巻線群20Ua、20Ub、20Va、20Vb、20Wa、20Wb)および第2コイル部材14Bと同一形状の第1巻線組立体16Aおよび第2巻線組立体16Bを単独で形成しておき、これら巻線組立体16A、16Bをステータコア10に挿入してその内側からスロット12に挿入するので、効率良くステータSを製造することが可能となる。しかも、上記製造方法によれば、各巻線組立体16A、1Bを円錐台状に圧縮変形させ、縮径された側からステータコア10の内側に巻線組立体16A、16Bを挿入するので、コイルエンド、つまり、渡り部18がステータコア10への挿入時に邪魔になることがない。そのため、渡り部18(コイルエンド)の大きさに拘わらず、各巻線組立体16A、16Bを容易にステータコア10に装着することができるという利点がある。
また、巻線組立体16A、1Bを円錐台状に変形させてステータコア10に挿入する上記製造方法によれば、巻線組立体16A、1Bの一端側(下側)の渡り部18については変形させる必要がないため、例えば後述するように巻線組立体16A、16Bの全体を変形(縮径、拡径)させる方法(図22参照)に比べると各巻線準備工程や各巻線装着工程の作業性が良いという利点もある。
なお、上記説明では言及していないが、前記巻線準備工程では、図17(a)に示すように、スロット内通過部17の周方向の厚みが、スロット入口の隙間寸法よりも小さくなるように、例えば同図に示すように、スロット内通過部17の周方向(図17(a)では左右方向)の厚みが巻線r一本分の厚みとなるように、詳しくは、巻線rの断面の尖形部から底辺2aに降ろした垂線の寸法とほぼ等しくなるように、スロット内通過部17を構成する各巻線rを互いに径方向(図17(a)では上下方向)にずらした配列状態で巻線支持部42の外周面上に第1巻線組立体16Aを配置しておき、前記巻線装着工程では、図17(b)、(c)に示すように、セグメント42aにより各スロット内通過部17をスロット12内に押圧して隣接する巻線r同士を径方向に詰めさせるようにするのが好適である。
このようにすれば、入口が狭く奥が広い上記スロット12に対して、比較的断面積の大きな断面ホームベース型の素線1からなる巻線群をより隙間無く挿入することが可能となる。そのため、ステータSの線占積率を高める上で有利になる、という利点がある。この点は、図18(a)〜(c)に示すように、ステータコア10に第2巻線組立体16Bを装着する場合にも同様である。なお、図15、図17、図18および図20では、便宜上、各スロット12は一定の幅寸法で図示している。
一方、ステータ製造装置30(第1装置30A、第2装置30B)についても、以下のような利点がある。すなわち、このステータ製造装置30によれば、円周上に配列された複数のセグメント42a(52a)からなる巻線支持部42(52)によって巻線組立体16A(16B)を内側から支持し、円盤状の当接部46a〜46c(当接部56a〜56c)を備えた操作部材44(54)を上昇させて各セグメント42a(52a)を外側に押し遣ることで、巻線組立体16A(16B)のスロット内通過部17を各セグメント42a(52a)によってスロット12内に押し込む構成なので、比較的簡単な機構で各スロット内通過部17を一体的にスロット12に挿入すること、つまり、ステータコア10の内側から巻線組立体16A(16B)を装着することができる。
特に、各セグメント42a(52a)が上記のように下端部を支点としてベース部40(50)に揺動可能に支持される構成によれば、巻線組立体16A(16B)を巻線支持部42(52)にセットする際に、各セグメント42a(52a)の下端部を目安に各セグメント42a(52a)と各スロット内通過部17とを位置決めできるため、巻線支持部42(52)と巻線組立体16A(16B)との位置決めを容易にかつ正確に行うことができるという利点がある。
また、操作部材44(54)が、下位側ほど径の大きい円盤状の3つの当接部46a〜46c(56a〜56c)を備えており、巻線支持部42(52)を縮径状態から拡径状態に変形させる際には、当該操作部材44(45)の上昇に伴い、前記当接部46a〜46c(56a〜56c)を径の小さいものから順番にセグメント42a(52a)に当接させる構成なので、各セグメント42a(52a)を比較的緩やかに変位させることができる。そのため、各セグメント42a(52a)が急激な動きで変位することを抑えて、スロット12内への巻線組立体16A(16B)の挿入を円滑に進めることができるという利点もある。
また、第2装置30Bの支持装置32Bにはガイド壁53が設けられており、当該ガイド壁53により第2巻線組立体16Bの各スロット内通過部17をスロット12に案内する構成なので、各スロット内通過部17が周方向にずれることが有効に防止される。従って、各スロット内通過部17を円滑にスロット12内に挿入することができるという利点がある。しかも、操作部材54の各当接部56a〜56cの外周面には、当該ガイド壁53を介在させることにより当該ガイド壁53を逃がすスリット462が形成されているので、各ガイド壁53と操作部材54の各当接部56a〜56cとの干渉を回避しながら、スロット12内に第2巻線組立体16Bの各スロット内通過部17を適切に押圧し、挿入することができるという利点もある。
ところで、上述したステータSの製造方法やステータ製造装置30は、本発明に係るステータ製造方法およびステータ製造装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な方法や構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、巻線組立体16A(16B)をその上部が窄まった円錐台状に変形させた状態でステータコア10の内側に挿入するが、例えば、図22(a)〜(c)に示すように、ステータコア10の内径よりも小さくなるように巻線組立体16A(16B)の全体を縮径し、この状態で巻線組立体16A(16B)をステータコア10に挿入した後、拡径するようにしてもよい。なお、同図では第1巻線組立体16Aのみ図示しているが、第2巻線組立体16Bについても同様である。
また、上記ステータ製造装置30の各駆動装置34A、34Bは、円盤状の当接部46a〜46c(当接部56a〜56c)を備えた操作部材44(54)を移動させることにより、当該操作部材44(54)で各セグメント42a(52a)を外側に押し広げる構成であるが、これ以外の機構を用いて各セグメント42aを駆動するようにしてもよい。
また、上記実施形態のステータSは、その巻線構造が波巻であるが、本発明のステータ製造方法およびステータ製造装置は、波巻以外の分布巻や集中巻の巻線構造を有するステータについても適用可能である。
10 ステータコア
12 スロット
14A 第1コイル部材
14B 第2コイル部材
17 スロット内通過部
18 渡り部
20Ua 第1U相巻線群
20Ub 第2U相巻線群
20Va 第1V相巻線群
20Vb 第2V相巻線群
20Wa 第1W相巻線群
20Wb 第2W相巻線群
22a、24a 正巻線群
22b、24b 逆巻線群
30 ステータ製造装置
30A 第1装置
30B 第2装置
32A、32B 支持装置
34A、34B 駆動装置
42、52 巻線支持部
42a、52a セグメント
44 第1操作部材
45 第2操作部材
54 操作部材
48、58 装置本体
S ステータ
r1〜r3、r1′〜r3′ 巻線
r4〜r6、r4′〜r6′ 巻線
12 スロット
14A 第1コイル部材
14B 第2コイル部材
17 スロット内通過部
18 渡り部
20Ua 第1U相巻線群
20Ub 第2U相巻線群
20Va 第1V相巻線群
20Vb 第2V相巻線群
20Wa 第1W相巻線群
20Wb 第2W相巻線群
22a、24a 正巻線群
22b、24b 逆巻線群
30 ステータ製造装置
30A 第1装置
30B 第2装置
32A、32B 支持装置
34A、34B 駆動装置
42、52 巻線支持部
42a、52a セグメント
44 第1操作部材
45 第2操作部材
54 操作部材
48、58 装置本体
S ステータ
r1〜r3、r1′〜r3′ 巻線
r4〜r6、r4′〜r6′ 巻線
Claims (11)
- 周方向に一定間隔で並び、各々内向きに開口する複数のスロットを有するステータコアと、特定の複数のスロットを通過するように前記ステータコアに所定の素線が巻回されることにより当該ステータコアに形成され、各々前記スロットを通過するスロット内通過部およびステータコアの軸方向端面上を通過する渡り部を備えた複数の巻線群とを含むステータを備えた回転電機の前記ステータの製造方法であって、
ステータコアに形成された前記複数の巻線群と同一形状の巻線組立体を単独で形成する巻線形成工程と、
円筒状の拡径状態と縮径状態とに変形可能な巻線支持部材を用い、縮径状態の当該巻線支持部材の外周面に沿うように、前記巻線組立体を径方向に圧縮変形させた状態で前記外周面上に配置する巻線準備工程と、
前記巻線組立体の渡り部がステータコアの軸方向外側に位置するように、当該巻線組立体を前記巻線支持部材と共に、ステータコアの前記軸方向一端側からその内側に挿入する巻線挿入工程と、
ステータコアの内側で前記巻線支持部材を拡径することにより、前記巻線組立体の各スロット内通過部を前記スロットに挿入する巻線装着工程と、を含む、ことを特徴とする回転電機のステータ製造方法。 - 請求項1に記載の回転電機のステータ製造方法において、
前記巻線支持部材は、円筒状の拡径状態と円錐台状の縮径状態とに変形するものであり、
前記巻線準備工程では、前記巻線組立体を円錐台状に変形させた状態で前記巻線支持部材の外周面上に配置し、
前記巻線挿入工程では、前記巻線組立体をその小径側の端部からステータコアの内側に挿入する、ことを特徴とする回転電機のステータ製造方法。 - 請求項1又は2に記載の回転電機のステータ製造方法において、
前記ステータコアは、前記周方向における各スロットの隙間寸法が、ステータコアの内周側よりも外周側で大きくなるものであり、
前記素線は、底辺とその両側から互いに平行に伸びる一対の側辺とこれら側辺の端部同士を繋ぐ一対の斜辺とを有する断面ホームベース型であり、
前記一対の斜辺同士が繋がるところを尖形部と定義したときに、前記スロット内通過部は、互いに隣接する巻線の前記尖形部が前記周方向の反対側を向き、かつ当該隣接する巻線の前記斜辺同士が互いに当接するように前記ステータコアの径方向に沿って並べられた状態で前記スロットに挿入されるものであって、
前記巻線準備工程では、前記スロット内通過部の前記周方向の厚みがスロット入口の前記隙間寸法よりも小さくなるように、前記スロット内通過部を構成する各巻線を互いに前記径方向にずらした配列状態で前記巻線支持部材の外周面上に巻線組立体を配置し、
前記巻線装着工程では、前記巻線支持部材により各スロット内通過部をスロット内に押圧して隣接する巻線同士を前記径方向に詰めさせる、ことを特徴とする回転電機のステータ製造方法。 - 請求項1乃至3の何れか一項の回転電機のステータ製造方法に用いられ、前記巻線組立体を支持して前記ステータコアに装着するステータ製造装置であって、
円筒状をなす拡径状態と縮径状態とに変形可能な巻線支持部を有し、巻線組立体の各スロット内通過部を内側から支持する支持装置と、
前記巻線支持部を、縮径状態から拡径状態に変形させる駆動装置と、を備えることを特徴とする回転電機のステータ製造装置。 - 請求項4に記載の回転電機のステータ製造装置において、
前記巻線支持部は、前記拡径状態と円錐台状をなす縮径状態とに変形する、ことを特徴とする回転電機のステータ製造装置。 - 請求項4又は5に記載の回転電機のステータ製造装置において、
前記巻線支持部は、周方向に一定の間隔で配列されて当該巻線支持部の中心線に沿って延び、前記巻線組立体の各スロット内通過部をそれぞれ内側から支持する複数のセグメントにより形成され、
前記支持装置は、さらに前記複数のセグメントを前記巻線支持部の径方向に変位自在に支持するベース部材を含み、
前記駆動装置は、各セグメントをベース部材に対して径方向に変位させる、ことを特徴とする回転電機のステータ製造装置。 - 請求項6に記載の回転電機のステータ製造装置において、
前記複数のセグメントは、それらの下端部を支点として前記ベース部材に揺動可能に支持されており、
前記巻線支持部は、各セグメントが垂直姿勢となることにより円筒状をなす前記拡径状態と、各セグメントが傾斜姿勢となることにより円錐台状をなす前記縮径状態とに変形する、ことを特徴とする回転電機のステータ製造装置。 - 請求項7に記載の回転電機のステータ製造装置において、
前記駆動装置は、縮径状態にある前記巻線支持部の内側を前記中心線に沿って移動することにより、各セグメントを外側に一体的に押し広げる操作部材を備えている、ことを特徴とする回転電機のステータ製造装置。 - 請求項8に記載の回転電機のステータ製造装置において、
前記操作部材は、所定間隔を隔てて当該操作部材の移動方向に並び、かつ前記巻線支持部の径方向の互いに異なる位置で各セグメントに当接する複数の当接部を有し、
前記複数の当接部は、前記移動方向の後側のものほど外径寸法が大きく形成されている、ことを特徴とする回転電機のステータ製造装置。 - 請求項6乃至9の何れか一項に記載の回転電機のステータ製造装置において、
前記巻線支持部は、隣接するセグメント間に各々配置されて前記巻線組立体の各スロット内通過部の周方向への変位を規制するガイド壁を備えている、ことを特徴とする回転電機のステータ製造装置。 - 請求項10に記載の回転電機のステータ製造装置において、
前記駆動装置が前記操作部材を備えるものであって、
前記操作部材は、各ガイド壁を逃がすための複数のスリットを備えている、ことを特徴とする回転電機のステータ製造装置。
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