JP2017046373A - コイルのスロットへの挿入方法、及びコイル挿入装置 - Google Patents

コイルのスロットへの挿入方法、及びコイル挿入装置 Download PDF

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Abstract

【課題】(A)多数のコイルの挿入作業を、1度に、1個〜4個の分布巻きコイルについて行うようにしながら、作業空間が限られていても実行可能とすること。(B)コイル自体の整列状態が様々な段階で崩れないようにして、挿入作業の安定化が図れるようにすること。(C)各コイルエンドについては、挿入作業時に互いに干渉し合わないようにすること。
【解決手段】コイル10の対向している2カ所の挿入部分12を、コイルエンド11を両側に突出させた状態で保持する2つのコイル保持器20と、これら各コイル保持器20間の各コイルエンド11の一部を、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる曲げ部13に折曲する曲げ加工部60と、当該コイル10の両挿入部分12を各スロット42内に挿入する挿入部50と、ステータコア40を支持するとともに、ステータコア40の回転を行う回転支持台30と、を備えたこと。
【選択図】図1

Description

本発明は、モーターや発電機を代表とする、電気エネルギーと機械エネルギーとを変換する電気機械装置を構成するための多数のコイルを、多数のスロットに挿入する方法、及びコイル挿入装置に関するものである。
モーターや発電機を代表とする電気機械装置用のコイルは、ロータ、またはこれを包み込むステータに形成してある多数のティースに巻回する場合、あるいはこれらのティース間に形成してあるスロット内に挿入する場合、非常に困難を伴うものである。何故なら、各ティース間の巻回スペース(スロット)は、非常に狭く、奥深いものであるため、十分な磁束密度を得るための量のコイルを巻回するには熟練を要するからである。
このような電気機械装置の、例えばステータコアにコイルの巻回を高密度で行え、機械化も可能な代表的な方法として、例えば特許文献1等に提案されているような、ティース毎にコイルを集中して巻回する「集中巻」と、特許文献2または特許文献3等に提案されているような、複数のスロットを跨いでコイルを巻き、コイルエンドで異相または同相のコイル同士を重なり合わせる「分布巻」または「螺旋巻」が知られている。
特許文献1に提案されているコイル及び巻線装置では、集中巻していることから、後述する分布巻の場合に比較してコイルエンドを小さくでき、電機機械装置の小型化、高効率化に有効であるが、一方で、図7の(a)に示すように、各スリットには、コイルの存在しない部分がどうしても発生する。T字形状のコアを円環状に一体化しなければならないからである。
分布巻を採用している特許文献2に記載されているコイルは、図8の(a)に示すように、コアのスリット間に収納される。このコアは、例えば48個のスロット間にティースを設けて、夫々のティースを環状のコアバックと一体化したもので、このコアの各ティース間(スリット)に、複数のティースを跨いだ状態で、当該コイルはスリット間に挿入されるのである。
この特許文献2のコイルだけを取り出して示したのが図8の(b)に示すものであり、このコイルは、図9にも示すように、「断面が矩形形状の導体素線をα巻きしたコイルが2連続で形成され、この2連続α巻コイルを小判状に成形して2連続の重ね巻コイルを形成し、固定子のスロットに挿入される。該2連続α巻コイルは巻枠に角線の中心部を押さえ、巻枠に取り付けた角線に2つのローラを相逆向きに回転させながら当てることにより形成される(当該特許文献2の要約より)」ものである。
この特許文献2においては、図8の(b)のように形成したコイルを、例えば図10に示すような内側治具の多数の溝内に収納しておいて、これをコア内に挿入してから各コイルを対応するスリット内に押し込み、コイル収納完了後に内側治具をコアから引き出して、図8の(a)に示すようなコイル付コアとするものであることが記載されている。
この特許文献2に提案されている、図8の(a)に示すコイル付コアでは、図示されているように、「コイルエンド部」が「スロット部(コア部)」から上下に大きく突出していて、この様子から、コイルエンド部における「銅損」が大きくなっていると考えられる。「コイルエンド部」が「スロット部(コア部)」から大きく突出していることは、大きな「銅損」、つまりエネルギー損失が大きいことを意味するだけでなく、このようなコアを収納するのには大きなスペースを要することをも意味している。
さらに、特許文献3には、その段落0004〜0006において、
「トルクムラが著しく低減されたモータとして、ステータコアのスロットに、予め巻線された複数のコイルの一側辺をそれぞれ挿入した後、前記複数のコイルの他側辺をそれぞれ他のスロットに挿入して、ステータコアの端面から見たときコイルが螺旋状に重なった形態をなすステータ(以下「螺旋巻きステータ」とする)を用いたモータが知られている。こうして得られたステータコアは、コイルエンドが短く、その高さが比較的均一でコンパクトな形状となると共に、モータとしたときのトルクムラが小さく、モータの振動や騒音を低減させることができるという優れた特性を有している。しかしながら、上記のような螺旋巻きステータコアは、コイルの両側辺を一つずつ他のコイルと重ね合わせながらスロットに挿入しなければならず、その作業を機械化することが困難であった。このため、予め巻線されたコイルをステータコアのスロットに手作業で挿入しなければならず、製造作業性が悪く、製造コストが高くなるという問題があった。」
ことが記載されており、この特許文献3の発明は、段落0011において、
「本発明の目的は、螺旋巻きステータにおける巻線されたコイルをステータコアのスロットに挿入する作業を機械的に効率よく行えるようにして、螺旋巻きステータを工業的に安価に製造できるようにしたステータの製造方法及び製造装置を提供することにある。」
としてなされたことも記載されている。
そして、この特許文献3の段落0012には、図11及び図12にも示すように、
「予め巻線された複数のコイルの一側辺をそれぞれスロットに挿入し、その後、前記複数のコイルの他側辺をそれぞれ他のスロットに挿入して形成されるステータを製造する方法において、
スリット状の複数の保持溝からなりステータコアのスロットのピッチの整数倍ピッチで形成される保持溝群が外周に形成された治具を用い、
予め巻線された複数のコイルの一側辺を前記治具の外側に出し、他側辺を前記保持溝群にそれぞれ挿入した状態で、各コイルを前記治具の円周に沿って配列し、
前記ステータコアの内歯の1又は複数個ずつに対応して立設された複数本のブレード部を有する補助部材を、前記治具の端面に設置して、前記各コイルの一側辺を対応する前記ブレード部の間隙に保持させ、
この治具を前記補助部材側から前記ステータコアの内周に挿入して、前記各コイルの一側辺を、前記補助部材によってガイドしつつ、前記治具の端縁部によって前記ステータコアの対応するスロットに押し込み、
こうしてステータコアの内周に配置された治具を所定角度回動させて、前記保持溝が前記ステータコアの対応するスロットに整合するように位置決めした後、前記各コイルの他側辺を押出し手段によって外径側に押出して、前記ステータコアの対応するスロットに挿入することを特徴とする。」
ことが記載されている。
この特許文献3の技術では、図11及び図12に示すように、
「スリット状の複数の保持溝からなりステータコアのスロットのピッチの整数倍ピッチで形成される保持溝群が外周に形成された治具を用い」
るため、この治具がステータコア内に入り得る場合はよいが、比較的小型の電気機械装置であるとステータコアが小さくなるから、このような治具が入る余地がないこともあり得て、実施不可能となることもある。
また、この特許文献3の技術では、
「予め巻線された複数のコイルの一側辺を前記治具の外側に出し、他側辺を前記保持溝群にそれぞれ挿入した状態で、各コイルを前記治具の円周に沿って配列」
すること、及び、
「前記ステータコアの内歯の1又は複数個ずつに対応して立設された複数本のブレード部を有する補助部材を、前記治具の端面に設置して、前記各コイルの一側辺を対応する前記ブレード部の間隙に保持させ」
ることが必要であるが、
(a)コイルの他側辺を前記保持溝群にそれぞれ挿入すること
(b)前記各コイルの一側辺を対応する前記ブレード部の間隙に保持させること
が絶対条件となっている。
これら(a)及び(b)の作業は、図13に示すように、分布巻きされたコイルの一側辺及び他側辺について、スロットの数だけあって非常に狭い「保持溝群」及び「ブレード部の間隙」にそれぞれ挿入することを意味するものであり、本願発明者等もこれらの作業を過去において実際に検証したことがあるが、非常に手間と時間の掛かる作業なのである。しかも、この作業では、コイルの一側辺及び他側辺の線材の整列状態を、図13に示すように、スロット、や「保持溝」の長さ方向(全体が放射状になっている)に一旦調整しなければならないし、整列させるために狭くなっている「ブレード部の間隙」にコイルの一側辺または他側辺を整列状態を維持しながら挿入することは、手作業でしかなし得ないのである。
これら(a)及び(b)の言わばプレ作業をどのようにして行うかについては、当該特許文献3に記載されておらず、これらの作業(a)及び(b)が具体的に機械化できなければ、当該特許文献3に記載された発明は「螺旋巻きステータを工業的に安価に製造できるように」することはできない筈である。
さらに、この特許文献3の技術では、最終段階において、
「ステータコアの内周に配置された治具を所定角度回動させて、前記保持溝が前記ステータコアの対応するスロットに整合するように位置決めした後、前記各コイルの他側辺を押出し手段によって外径側に押出して、前記ステータコアの対応するスロットに挿入すること」
が必要であるが、必要数のコイルを全スロットに同時に挿入するというこの方法であると、既にスロット内に挿入されているコイルのコイルエンドと、これから挿入しようとするコイルのコイルエンドとが干渉し合って、「ステータコアの内周に配置された治具を所定角度回動」させることができない場合が発生する。
この「コイルエンド同士の干渉」を防ぐためには、コイルエンドを長くして干渉し合わないようする必要があり、コイルエンドを長くすれば、「コイルエンドが短く、その高さが比較的均一でコンパクトな形状となると共に、モータとしたときのトルクムラが小さく、モータの振動や騒音を低減させることができる」(特許文献3の段落0005)ことにはならないことになる。
ところで、電気機械装置用のコイルは、一般的に、このコイル自体は勿論、このコイルが巻き付けられるべきティースや、コイルが収納されるべきスロットは、均等でかつ等間隔に形成されなければならない。各コイルが作り出す、あるいは各コイルが単位時間当たりに切り取る磁束密度を一定にすることにより、当該電気モータの回転を滑らかにし、安定した機能を発揮させる必要があるからである。
以上を要約すれば、この種の電気機械装置について、コイルエンドを短くして、その高さが比較的均一でコンパクトな形状となると共に、コイルの各スロットに対する占有率を高くすることができて、モータや発電機としたときのトルクムラが小さく、振動や騒音を低減させることができ、さらには、電気機械装置のコイルセット(挿入)を機械的に行えるようにして、電気機械装置自体の製造を容易にするには、
(A)多数のコイルの挿入作業を、1度に、1〜4個の分布巻きコイル、あるいは複数層になったコイルについて行うようにしながら、小型モーターのロータ穴のように、作業空間が限られていても実行可能とすること。
(B)コイル自体の整列状態が様々な段階で崩れないようにして、挿入作業の安定化が図れるようにすること。
(C)各コイルエンドについては、挿入作業時に互いに干渉し合わないようにすること。
の、少なくとも3つの点の改良が必要になっているのである。
特許文献1:特開平11−312621号公報、代表図、要約
特許文献2:特開2009−195005号公報、代表図、要約
特許文献3:特許第4813172号掲載公報
そこで、本発明者等は、上記(A)〜(C)を総合的かつ同時的に解決できるようにするために、装置や治具を使用しながら、各スロット内にコイルをどのように挿入したらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、コイルについては、特許文献2等に提案されているような、複数のスロットを跨いで挿入され、コイルエンドで異相または同相のコイル同士を重なり合わせる「分布巻」とすることが効果的であることを知見して、本発明を完成したのである。
すなわち、本発明の目的とするところは、上記(A)〜(C)を総合的かつ同時的に解決しながら、コイルエンドを短くして、その高さが比較的均一でコンパクトな形状となると共に、コイルの各スロットに対する占有率を高くすることができて、モータや発電機としたときのトルクムラが小さく、振動や騒音を低減させることができ、さらには、電気機械装置のコイルセット(挿入)を機械的に行えるようにして、電気機械装置自体の製造を容易にすることのできるコイルのスロットへの挿入方法、及びコイル挿入装置を提供することにある。
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「モーターや発電機を代表とする電気機械装置のステータコアまたはロータコア40が有する多数のスロット42内に、分布巻きしたコイル10の多数を、次の各工程を経て挿入する方法。
(1)ステータコアまたはロータコア40を、回転支持台30に支持する工程;
(2)コイル10の対向している2つの挿入部分12を、その線材の整列状態を維持したまま、かつコイルエンド11が両端に露出する状態で2つのコイル保持器20によって保持する工程;
(3)これらのコイル保持器20で保持したコイル10の各コイルエンド11を、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる形状に折曲する工程;
(4)1つのコイル10を保持している各コイル保持器20を、当該コイル10を挿入すべき各スロット42に対向てから、当該コイル保持器20を解放するか、当該コイル保持器20内に挿入部50を挿入して、各挿入部分12を各スロット42内に放出する工程;
(5)回転支持台30を作動させて、ステータコアまたはロータコア40を所定角度回転させてから、1つまたは複数のコイル10について、上記工程(2)〜(4)を順次繰り返す工程。」
である。
この請求項1に係るコイルの挿入方法が対象とするのは、インナーロータタイプ、アウターロータタイプ、あるいは巻線型ロータの各「ステータコア」に形成されている「スロット」であるが、以下の説明では、インナーロータタイプにおけるステータコアを例として行っていくものであって、各請求項中に記載した「ステータコアまたはロータコア」については単に「ステータコア」を代表させるものとする。
また、この請求項1に係る挿入方法で使用するコイルは、前述した特許文献2または特許文献3等に提案されているような、複数のスロットを跨いでコイルを巻き、コイルエンドで異相または同相のコイル同士を重なり合わせる「分布巻」したものである。この分布巻したコイルについては、図2及び図4に示すような「単層重ね巻き」や、図5に示すような「2層重ね巻き」があるが、本発明の説明では、「単層重ね巻き」を中心にした説明を行っていく。
さらに、コイルをスロットに挿入するにあたって、1つのスロット内に1つのコイルを挿入する場合や、1つのスロット内に2つ以上のコイルを挿入する場合があるが、本発明の説明では分かり易くするために、1つのスロット内に1つのコイルを挿入する場合を中心に説明して行くこととする。
さて、ステータコア40は、図1及び図3に示すように、その中心にあるロータ穴41に向けて開口している多数のスロット42を備えているものであり、本発明に係る挿入方法は、これらのスロット42内に、分布巻きされた多数のコイル10をロータ穴41を通して供給しながら挿入するものである。
このようなステータコア40のスロット42に挿入されるべきコイル10は、前述したように、例えば従来技術を示す図7及び図8の各(b)に示すような「分布巻」されたものである。このコイル10は、複数の線材を纏めて巻筒上に巻回したり、水ホースの巻き取りのように、巻筒上に複数層にわたって巻回する等、機械的は勿論、種々な手法によって形成されるが、その構成上の基本は、「分布巻」されていることである。
分布巻された直後のコイル10は、これを構成している線材がきれいに整列しているものである。この整列状態のままのコイル10をステータコア40の各スロット42内に挿入すると、各スロット42内での線材は綺麗に整列したままとなる。この整列状態のままコイル10がスロット42内に挿入されるのが最も望ましいことであるから、本挿入方法では、コイル10のスロット42内に挿入されるべき左右の挿入部12を、後述するコイル保持器20にて保持することになる。
コイル10の挿入部12は、スロット42内に挿入される部分であり、コイル10としての巻回完了時には具体的にどの部分になるかは決定されていないが、上述した各コイル保持器20によって保持された部分が挿入部12となるものである。そして、この挿入部12以外のコイル保持器20から突出する部分がコイルエンド11となるのである。分布巻されたコイル10は、複数のスロット42を跨いで両端に位置する2個のスロット42内に挿入されるものであるから、挿入部12は左右2箇所となり、これらの挿入部12の間がコイルエンド11となるのである。
本発明の挿入方法では、まず、第1工程で、図1及び図3に示すように、ステータコア40を回転支持台30に支持するのである。この回転支持台30は、ステータコア40を支持した状態で段階的に回転させるものであり、この場合の回転はロータ穴41の中心を中心軸とするものである。また、ステータコア40の段階的な回転とは、隣接する各スロット42間の角度の整数倍の角度を1段階の回転角として、この回転角による回転を複数繰り返すことにより、ステータコア40全体を1回転させるものである。
このように、ステータコア40を回転支持台30に支持させるのは、各コイル10の挿入位置や方向は変えないで、ステータコア40のコイル10を挿入したいスロット42を当該回転支持台30によって常に一定の位置に配置するためである。これにより、後述する第5工程において、1つまたは複数のコイル10を対象となる各スロット42に挿入した後に、次の1つまたは複数のコイル10を挿入するという作業を、連続的に繰り返すことができることになるのである。
第2工程では、分布巻したコイル10の互いに対向している2つの挿入部分12を、コイルエンド11が両端に露出する状態で、2つのコイル保持器20によってそれぞれ保持するのであり、これらのコイル保持器20によって、各挿入部12を構成している線材の整列状態が維持されることになる。この第2工程で採用される各コイル保持器20は、例えば図2に示すような「二枚貝」のようなものであり、コイル10の各挿入部12を挟み込んでその整列状態を保持するものである。また、各コイル保持器20は、次の第3工程や第4工程における作業中では、できるだけ、線材の整列状態を維持するとともに、コイル10のハンドリングを容易にするものである。
換言すれば、この第2工程におけるコイル保持器20は、上述した、
(B)コイル自体の整列状態が様々な段階で崩れないようにして、挿入作業の安定化が図れるようにすること。
を実現できるようにするものなのである。勿論、これらのコイル保持器20によってコイル10を保持したときには、図2の(b)に示すように、上下のコイルエンド11が両端に露出する状態となる。
第3工程では、これらのコイル保持器20で保持したコイル10の各コイルエンド11を、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる形状に折曲するものであるが、この折曲には様々な具体化が考えられる。図4に、このコイルエンド11の折曲状態の一具体例を示すが、図4の(c)に示すように、2つのコイル保持器20によって保持されたコイル10の上側のコイルエンド11に曲げ部13が形成される。この例の場合、2つのコイル保持器20は、当該コイル10が挿入されるべき2つのスロット42のなす角で配置されており、この図4の(c)中には、ステータコア40(図示右側の点線)、ロータ穴41(図示左側の点線)、及びスロット42も示してある。そして、この曲げ部13は、図4の(a)にも示すように、ステータコア40の外周で上側に向けて順次傾斜させたものである。
以上のような曲げ部13が先に挿入されたコイル10に形成してあれば、第4工程を実施する際に、次のスロット42に挿入されるべきコイル10の曲げ部13の先端が、挿入完了している先の曲げ部13の手前側から順に乗り上げることができるから、各コイル10の連続挿入にあたって、各コイル10は互いに干渉し合わないことになるのであり、
(C)各コイルエンドについては、挿入作業時に互いに干渉し合わないようにすること。
ができるのである。
第4工程では、まず、1つのコイル10を保持している各コイル保持器20を、図3に示すように、当該コイル10を挿入すべき各スロット42に対向させる。このときには、図3、及び図4の(c)に示すように、各コイル保持器20の放出口22は各スロット42の軸方向開口42aに一致する。次いで、当該コイル保持器20を解放するか、当該コイル保持器20内に挿入部50を挿入して、各挿入部分12を各スロット42内に放出する。
つまり、この段階では、コイル10の各挿入部12を対応するスロット42内に挿入するのであるが、その手段としては、コイル10自体の弾力性を利用する場合は、各コイル保持器20を単に解放すればよく、積極的にスロット42内に挿入した場合は、各コイル保持器20内に挿入部50を挿入して「心太方式」でコイル保持器20が保持していたコイル10の挿入部12をスロット42内に押し出すのである。
この第4工程では、コイル10の挿入部12がスロット42内に挿入されるまでの間は、挿入部12はコイル保持器20によって保持状態にあるか、コイル保持器20に案内され得る状態にある。このため、各挿入部12は、その整列状態が各コイル保持器20によって維持された状態にあり、非常に狭い軸方向開口42aからスロット42内への挿入が安定してなされる、つまり他にひっかることなくなされるのである。
1つのコイル10についての両挿入部12の、対応する各スロット42内に挿入されると、両挿入部12間にあったコイルエンド11は、例えば図6に示すように位置することになる。特に、コイルエンド11の曲げ部13は、スロット42の軸方向開口42aとは反対側に主として曲げてあり、かつ図4の(a)〜(c)に示すような形状になっているから、次のコイル10を隣接して挿入するに際して、次のコイル10の曲げ部13が干渉することはない。つまり、上述した、
(C)各コイルエンドについては、挿入作業時に互いに干渉し合わないようにすること。
ができるのである。
また、以上の第1工程から第4工程で行う作業は、ステータコア40の例えばロータ穴41内に2個〜8個のコイル保持器20とともに、1個〜4個程度のコイル10の送り込みを行って、コイル10の各挿入部12のスロット42内への挿入を行うものであって、必要とされるコイル10の全部を同時に挿入するのではない。つまり、この請求項1に係る挿入方法では、特許文献3等に提案されている「インサーター」を使用して全てのコイル10の同時挿入を行うものではないから、ステータコア40のロータ穴41の内径が小さくても、つまりモーターや発電機全体の大きさが小さい場合であっても、コイル10の機械的な挿入作業が行えるのである。これに対して、「インサーター」を使用したコイル10の同時挿入では、一定以上の大きさ(ロータ穴41の内径がインサーターの外径より大きい場合)の電気機械装置しか製造できない。
さて、以上のようにして先のコイル10の挿入が済めば次のコイル10の挿入準備を行うのであるが、それが第5工程でいう、例えばステータコア40の回転支持台30による所定角度の回転である。この所定角度は、次のようにして決められる。
一般的なステータコア40は、図1及び図3に示すように、多数のスロット42を放射状に配置したものとなっているのであるが、隣接し合うスロット42の、ステータコア40の半径方向の各角度を同じにすることにより、どの部分でも均等な磁力を発生できるようにしてある。一方、分布巻したコイル10は、両挿入部12が同じ数のスロット42を隔てて、該当するスロット42内にそれぞれ挿入される。なお、複数のコイル10が使用される場合には、例えば図8の(b)に示すように、各コイル10を構成している線材を切断しないことによって電気的に連続したものとし、各挿入部12については別々に纏めたものとする。
ステータコア40に形成されるスロット42の数としては、1個のコイル10についての2個の挿入部12の挿入箇所、及び近年の電気機械装置の一般的な「3相形態」とするために、「2×3」の整数倍として設定されている場合が多い。
以上を前提とすると、回転支持台30を回転させるべき「所定角度」は、1個毎のコイル10を順に挿入していく場合には、隣接し合うスロット42間のなす角であり、「2×3」の整数倍のスロット42に対する挿入が済んだ後では、スロット42間のなす角の「2×3」の整数倍の角度である。これを図6で説明すると、図示した挿入済みのコイル10に対して、以降の5個のコイル10を順に挿入していく場合の所定角度は、隣接し合うスロット42間のなす角である。連続した6個のコイル10を挿入した後には、挿入部12が既に挿入されたスロット42が並ぶから、これらをスロット42間のなす角の「2×3」の整数倍の角度だけ飛ばす必要があるから、この飛ばす必要のある「所定角度」がその場合の回転支持台30を回転させるべき所定角度である。
つまり、この第5工程では、ステータコアまたはロータコア40を所定角度回転させてから、1つまたは複数のコイル10について、上記第2工程〜第4工程を順次繰り返すのであるが、これにより、最終的に全スロット42内に各コイル10の挿入部12が挿入されることになる。そして、当然のことながら、
(A)多数のコイルの挿入作業を、1度に、1個〜4個の分布巻きコイル、あるいは複数層になったコイルについて行うようにしながら、小型モーターのロータ穴のように、作業空間が限られていても実行可能とすること。
ができるのである。
従って、この請求項1に係る挿入方法によれば、上記(A)〜(C)を総合的かつ同時的に解決して、コイルエンドを短くして、その高さが比較的均一でコンパクトな形状となると共に、コイルの各スロットに対する占有率を高くすることができて、モータや発電機としたときのトルクムラが小さく、振動や騒音を低減させることができ、さらには、電気機械装置のコイルセット(挿入)を機械的に行えるのである。
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、後述する実施の形態中で使用する符号を付して説明すると、
「分布巻きしたコイル10をステータコアまたはロータコア40のスロット42内に挿入するコイル挿入装置100であって、
コイル10の対向している2カ所の挿入部分12を、コイルエンド11を両側に突出させた状態で保持する2つのコイル保持器20と、
これら各コイル保持器20間の各コイルエンド11の一部を、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる曲げ部13に折曲する曲げ加工部60と、
各挿入部分12を保持している各コイル保持器20を各スロット42に対向させたとき、当該コイル10の両挿入部分12を各スロット42内に挿入する挿入部50と、
ステータコアまたはロータコア40を支持するとともに、このステータコアまたはロータコア40を所定角度毎の回転を行う回転支持台30と、
を備えたことを特徴とするコイル挿入装置100」
である。
この請求項2に係るコイル挿入装置100は、前述したような分布巻きしたコイル10をステータコアまたはロータコア40(以下単にステータコアという)のスロット42内に挿入するものであって、図1及び図3に示すように、ステータコア40を回転支持する回転支持台30と、少なくとも2つのコイル保持器20と、各コイル10のコイルエンド11を曲げる曲げ部13と、各コイル保持器20が保持している各挿入部12を送り出す挿入部50と、を備えたものである。
各コイル保持器20は、例えば図2に示すような「二枚貝」のようなものであり、分布巻したコイル10の互いに対向している2つの挿入部分12をそれぞれ挟み込んで、コイルエンド11を両端に露出させた状態でそれぞれ保持するものであり、各挿入部12を保持した状態のコイル保持器20は、各挿入部12を構成している線材の整列状態を変化しないように維持するものである。また、各コイル保持器20は、各工程における作業中では、各挿入部12における線材の整列状態を維持するとともに、コイル10のハンドリングを容易にするものである。
なお、後述する実施形態におけるコイル保持器20は、図2〜図4に示すように、一方の辺で蝶番構造によって開閉可能とした略四角形状の2枚の板によって構成し、その他方の辺には、挟み込んでいた各挿入部12を放出するための放出口22としたものである。そして、コイル10を保持した当該コイル保持器20は、図1に示す挿入部50の先端等によってステータコア40のロータ穴41内に送り込まれ、この挿入部50が有する押出し板等によって各挿入部12を該当するスロット42内に放出するのである。
曲げ加工部60は、各コイル保持器20間の各コイルエンド11の一部を、図4の(a)〜(c)に示すように、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる曲げ部13に折曲するものであり、後述する実施形態では、図2に示すように、本発明に係るコイル挿入装置100において使用される各コイル10の巻回製造機をも兼ねたものである。
なお、この曲げ加工部60は、図1に示すような纏まった部分として形成する他、図1に示すステータコア40の裏側に設置されるものとしても形成されることがあり、また図1に示す挿入部50と一体化されたものとしても形成されることもある。
挿入部50は、各挿入部分12を保持している各コイル保持器20を各スロット42に対向させたとき、当該コイル10の両挿入部分12を各スロット42内に挿入するものである。このため、挿入部50は、回転支持台30上のステータコア40のロータ穴41中心に対して進退可能なものとされるとともに、各コイル保持器20の支持や、この支持角度の変更も行えるものとしたものである。
さて、当該コイル挿入装置100を構成している回転支持台30は、図1及び図3に示すように、ステータコア40を支持するとともに、この支持したステータコア40の所定角度毎の回転を行うものである。「所定角度」とは、上記請求項1に係る挿入方法で述べたように、1個毎のコイル10を順に挿入していく場合には、隣接し合うスロット42間のなす角であり、「2×3」の整数倍のスロット42に対する挿入が済んだ後では、スロット42間のなす角の「2×3」の整数倍の角度である。
従って、この請求項2に係るコイル挿入装置100は、上記請求項1に係る挿入方法を実際に実施することができ、上記(A)〜(C)を総合的かつ同時的に解決することができるのであり、コイルエンドを短くして、その高さが比較的均一でコンパクトな形状となると共に、コイルの各スロットに対する占有率を高くすることができて、モータや発電機としたときのトルクムラが小さく、振動や騒音を低減させることができ、さらには、電気機械装置のコイルセット(挿入)を機械的に行うことができ、電気機械装置自体の製造を容易にすることができるものとなっているのである。
以上、説明した通り、請求項1に係る発明は、
「モーターや発電機を代表とする電気機械装置のステータコアまたはロータコア40が有する多数のスロット42内に、分布巻きしたコイル10の多数を、次の各工程を経て挿入する方法。
(1)ステータコアまたはロータコア40を、回転支持台30に支持する工程;
(2)コイル10の対向している2つの挿入部分12を、その線材の整列状態を維持したまま、かつコイルエンド11が両端に露出する状態で2つのコイル保持器20によって保持する工程;
(3)これらのコイル保持器20で保持したコイル10の各コイルエンド11を、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる形状に折曲する工程;
(4)1つのコイル10を保持している各コイル保持器20を、当該コイル10を挿入すべき各スロット42に対向させてから、当該コイル保持器20を解放するか、当該コイル保持器20内に挿入部50を挿入して、各挿入部分12を各スロット42内に放出する工程;
(5)回転支持台30を作動させて、ステータコアまたはロータコア40を所定角度回転させてから、1つまたは複数のコイル10について、上記工程(2)〜(4)を順次繰り返す工程」
に、また、請求項2に係る発明においては、
「分布巻きしたコイル10をステータコアまたはロータコア40のスロット42内に挿入するコイル挿入装置100であって、
コイル10の対向している2カ所の挿入部分12を、コイルエンド11を両側に突出させた状態で保持する2つのコイル保持器20と、
これら各コイル保持器20間の各コイルエンド11の一部を、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる曲げ部13に折曲する曲げ加工部60と、
各挿入部分12を保持している各コイル保持器20を各スロット42に対向させたとき、当該コイル10の両挿入部分12を各スロット42内に挿入する挿入部50と、
ステータコアまたはロータコア40を支持するとともに、ステータコア40を所定角度毎の回転を行う回転支持台30と、
を備えたこと」
に、それぞれその構成上の特徴があり、これにより、
(A)多数のコイルの挿入作業を、1度に、1個〜4個の分布巻きコイル、あるいは複数層になったコイルについて行うようにしながら、小型モーターのロータ穴のように、作業空間が限られていても実行可能とすること。
(B)コイル自体の整列状態が様々な段階で崩れないようにして、挿入作業の安定化が図れるようにすること。
(C)各コイルエンドについては、挿入作業時に互いに干渉し合わないようにすること。
の、少なくとも3つの点の改良ができるのである。
また、本発明に係る挿入方法及びコイル挿入装置100は、上記(A)〜(C)を総合的かつ同時的に解決することができるのであるから、コイルエンドを短くして、その高さが比較的均一でコンパクトな形状となると共に、コイルの各スロットに対する占有率を高くすることができて、モータや発電機としたときのトルクムラが小さく、振動や騒音を低減させることができ、さらには、電気機械装置のコイルセット(挿入)を機械的に行え、電気機械装置自体の製造を容易にすることができるのである。
本発明に係るコイル挿入装置100を示す概略斜視図である。 同コイル挿入装置100にて使用されるコイル10の製法とコイル保持器20との位置関係を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 コイル10の挿入対象であるステータコア40と、コイル挿入装置100の構成部材である回転支持台30との位置関係を示す拡大正面図(a)と、挿入部50の一例である押刃23の拡大部分正面図(b)である。 2つのコイル保持器20で各挿入部12を保持したコイル10のコイルエンド11に曲げ部13を形成したときの様子を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 本発明において使用するコイル10の他の例を示すもので、(a)は平面図、(b)は巻回途中にあるコイル10の平面図である。 1つのコイル10について、2つの挿入部12をスロット42に挿入し終わった状態を示すステータコア40の部分拡大平面図である。 特許文献1にて提案されている技術を示すもので、(a)はステータの平面図、(b)はコイルの斜視図である。 特許文献2にて提案されている技術を示すもので、(a)はステータの斜視図、(b)はコイルの斜視図である。 特許文献2で提案されているコイルを(a)〜(c)の順で製造する方法を示す斜視図である。 特許文献2に提案されている、コイル挿入装置の斜視図である。 特許文献3に提案されている、コイル挿入装置の部分斜視図である。 特許文献3に提案されている、コイル挿入装置の他の部分斜視図である。 特許文献3に提案されている、コイル挿入装置において、コイルが、補助部材の間隙と、ステータコアのスロットとに挿入されている様子を示す部分拡大斜視図である。
以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態であるコイル挿入装置100、及びこのコイル挿入装置100に採用されるコイル10を中心に説明すると、図1には、本発明に係るコイル挿入装置100の実施形態が示してある。このコイル挿入装置100の主たる構成部材は、図3に示したようなステータコア40を支持するとともに、ステータコア40の所定角度毎の回転を行う回転支持台30と、図2に示したコイル10の対向している2カ所の挿入部分12を、コイルエンド11を両側に突出させた状態で保持する2つのコイル保持器20と、これら各コイル保持器20間の各コイルエンド11の一部を、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる曲げ部13に折曲する曲げ加工部60と、各挿入部分12を保持している各コイル保持器20を各スロット42に対向させたとき、当該コイル10の両挿入部分12を各スロット42内に挿入する挿入部50である。
このコイル挿入装置100は、分布巻きしたコイル10をステータコア40のスロット42内に挿入するものであるが、このステータコア40には、一般的に、インナーロータタイプ、アウターロータタイプ、あるいは巻線型ロータのものがある。また、これらのタイプのステータコア40の各「ステータコア」には「スロット42」が形成されているのであるが、以下の説明では、インナーロータタイプにおけるステータコアを例として行っていくものであって、各請求項中に記載した「ステータコアまたはロータコア」については単に「ステータコア40」を代表させるものとする。
さて、ステータコア40は、図1及び図3に示したように、その中心にあるロータ穴41に向けて開口している多数のスロット42を備えているものであり、本発明に係る挿入方法では、これらのスロット42内に、分布巻きされた多数のコイル10をロータ穴41を通して供給しながら挿入するものである。
さて、当該コイル挿入装置100を構成している回転支持台30は、図1及び図3に示したように、ステータコア40を支持するとともに、この支持したステータコア40の所定角度毎の回転を行うものである。「所定角度」とは、1個毎のコイル10を順に挿入していく場合には、隣接し合うスロット42間のなす角であり、「2×3」の整数倍のスロット42に対する挿入が済んだ後では、スロット42間のなす角の「2×3」の整数倍の角度である。
また、この実施形態で使用するコイル10は、前述した特許文献2または特許文献3等に提案されているような、複数のスロットを跨いでコイルを巻き、コイルエンド11で異相または同相のコイル同士を重なり合わせる「分布巻」したものである。この分布巻したコイル10については、図2及び図4に示したような「単層重ね巻き」や、図5に示したような「2層重ね巻き」がある。
図2及び図4に示したコイル10は、そのコイルエンド11となる部分を一対のブロックフック14に掛けるようにしながら、これら両フック14をその間の寸法を変えないで回転させる間に、コイル10となる1本または複数本の線材を順に繰り出すことにより形成したものである。このように形成されたコイル10の、両フック14間は、ステータコア40のスロット42内に挿入されるべき挿入部12となるのである。そして、これらの挿入部12は、図2及び図4に示したように、その線材の整列状態を維持した状態で、コイル保持器20によって保持されるのである。
図5に示したコイル10は、内側コイル10aと外側コイル10bの2層が重ね巻きされたものであり、図5の(b)に示したように、第1エンド11aに線材を巻回して内側コイル10aを形成してから、第1エンド11aの外側の第2エンド11bに線材を巻回して外側コイル10bを形成することによって完成されるものである。これらの第1エンド11a及び第2エンド11bに位置する部分がコイルエンド11となり、その他の部分が挿入部12となるのである。そして、各挿入部12は、図5に示したように、その線材の整列状態を維持した状態で、コイル保持器20によって保持されるのである。
上述した各コイル保持器20は、例えば図2に示すような「二枚貝」のようなものであり、図3または図4に示したように、分布巻したコイル10の互いに対向している2つの挿入部分12をそれぞれ挟み込んで、コイルエンド11を両端に露出させた状態でそれぞれ保持するものである。これらのコイル保持器20は、各挿入部12を構成している線材の整列状態を変化しないように維持するとともに、コイル10のハンドリングを容易にするものである。
本実施形態におけるコイル保持器20は、図2〜図4に示したように、一方の辺で蝶番構造によって開閉可能とした略四角形状の2枚の板によって構成し、その他方の辺には、挟み込んでいた各挿入部12を放出するための放出口22としたものである。そして、コイル10を保持した当該コイル保持器20は、図1に示した挿入部50の先端等によってステータコア40のロータ穴41内に送り込まれ、この挿入部50が有する押出し板等によって各挿入部12を該当するスロット42内に放出できるものとしてある。
各挿入部12を該当するスロット42内に放出する場合、既に挿入されているコイル10のコイルエンド11と干渉しないようにしなければならない。そこで、これらのコイル保持器20で保持したコイル10の各コイルエンド11は、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる形状に曲げ加工部60によって折曲される。この折曲には様々な具体化が考えられる。図4に、このコイルエンド11の折曲状態の一具体例を示すが、図4の(c)に示したように、2つのコイル保持器20によって保持されたコイル10の上側のコイルエンド11に曲げ部13が形成される。2つのコイル保持器20は、当該コイル10が挿入されるべき2つのスロット42のなす角で配置されており、この図4の(c)中の点線は、ステータコア40(図示右側の点線)及びロータ穴41(図示左側の点線)の外周を示している。そして、この曲げ部13は、図4の(a)にも示したように、ステータコア40の外周で上側に向けて順次傾斜させてある。
曲げ加工部60は、各コイル保持器20間の各コイルエンド11の一部を、図4の(a)〜(c)に示すように、次のコイル10の各コイルエンド11が挿入できる曲げ部13に折曲するものであり、本実施形態では、図2に示したように、各コイル10の巻回製造機をも兼ねたものである。
この曲げ加工部60は、図1に示したようなコイル挿入装置100として纏まったものとして形成する他、図1に示したステータコア40の裏側に設置されるものとしても形成されることがあり、また図1に示した挿入部50と一体化されたものとしても形成されることもある。
挿入部50は、各挿入部分12を保持している各コイル保持器20を各スロット42に対向させたとき、当該コイル10の両挿入部分12を各スロット42内に挿入するものである。このため、挿入部50は、回転支持台30上のステータコア40のロータ穴41中心に対して進退可能であるとともに、各コイル保持器20の支持や、この支持角度の変更も行えるものとしてある。
この挿入部50でのコイル10の挿入は、具体的には、上記コイル保持器20内に長方形状の押し込み板を押し込む方式や、図3の(b)に示したような押刃23によって行われる。この押刃23は、先の尖った方からコイル保持器20内のコイル10背面側に挿入されて、「刃」に該当する丸みを帯びた部分で、コイル10を押し出すものである。つまり、この押刃23は、その長手方向に進められると、この長手方向に直交する方向にコイル10を押し出すことになるものである。
また、スロット42内に入れられたコイル10は、このスロット42の軸方向開口42aに挿入されるウエッジ43によって、当該スロット42から飛び出さないようにされる。このウエッジ43は、様々な段階で挿入されるが、本実施形態では、図3の(a)、及び図4の(c)に示したように、コイル保持器20内でコイル10の内側となる部分にあらかじめ挿入しておき、これをコイル10の押し出し時に同時に押し出す方法を採用している。また、上記押刃23に、図3の(b)に示したように、ウエッジ保持部24を形成しておいて、このウエッジ保持部24に保持させておいたウエッジ43をコイル10とともにスロット42内に押し込むことも考えている。
100 コイル挿入装置
10 コイル
10a 内側コイル
10b 外側コイル
11 コイルエンド
11a 第1エンド
11b 第2エンド
12 挿入部
13 曲げ部
14 フック
20 コイル保持器
22 放出口
23 押刃
24 ウエッジ保持部
30 回転支持台
40 ステータコア
41 ロータ穴
42 スロット
42a 軸方向開口
43 ウエッジ
50 挿入部
60 曲げ加工部

Claims (2)

  1. モーターや発電機を代表とする電気機械装置のステータコアまたはロータコアが有する多数のスロット内に、分布巻きしたコイルの多数を、次の各工程を経て挿入する方法。
    (1)前記ステータコアまたはロータコアを、回転支持台に支持する工程;
    (2)前記コイルの対向している2つの挿入部分を、その線材の整列状態を維持したまま、かつコイルエンドが両端に露出する状態で2つのコイル保持器によって保持する工程;
    (3)これらのコイル保持器で保持したコイルの各コイルエンドを、次のコイルの各コイルエンドが挿入できる形状に折曲する工程;
    (4)1つのコイルを保持している各コイル保持器を、当該コイルを挿入すべき各スロットに対向させてから、当該コイル保持器を解放するか、当該コイル保持器内に挿入部を挿入して、各挿入部分を各スロット内に放出する工程;
    (5)前記回転支持台を作動させて、前記ステータコアまたはロータコアを所定角度回転させてから、1つまたは複数のコイルについて、上記工程(2)〜(4)を順次繰り返す工程。
  2. 分布巻きしたコイルをステータコアまたはロータコアのスロット内に挿入するコイル挿入装置であって、
    前記コイルの対向している2カ所の挿入部分を、コイルエンドを両側に突出させた状態で保持する2つのコイル保持器と、
    これら各コイル保持器間の各コイルエンドの一部を、次のコイルの各コイルエンドが挿入できる曲げ部に折曲する曲げ加工部と、
    前記各挿入部分を保持している各コイル保持器を前記各スロットに対向させたとき、当該コイルの両挿入部分を各スロット内に挿入する挿入部と、
    前記ステータコアまたはロータを支持するとともに、前記ステータコアまたはロータコアを所定角度毎の回転を行う回転支持台と、
    を備えたことを特徴とするコイル挿入装置。
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