JP6136977B2 - 断熱層の設計方法、設計装置及び設計プログラム - Google Patents

断熱層の設計方法、設計装置及び設計プログラム Download PDF

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Description

本発明は、断熱層の設計方法に関し、特に、中空粒子とバインダ材とを含む断熱層の設計方法、設計装置及び設計プログラムに関する。
従来から、エンジンの熱効率を向上するために熱損失を低減することが重要視されており、この熱損失の低減のためにエンジンの燃焼室を形成するシリンダヘッド、ピストン、バルブ等に断熱層を設けることが検討されている。特に、近年、断熱層の熱伝導率をより低減できるようにするために、例えば特許文献1に開示されているような中空粒子を含む断熱層も提案されている。
一般に、所定の基材の表面に、例えば断熱層等の所望の塗膜を設ける場合、その塗膜の機能的性能や耐久性能を決定付ける材料の特性及び配合割合等は、実験を繰り返すことでその仕様を求めている。
例えば、特許文献2には、塗工膜に酸化剤と水と光とを作用させて劣化させる工程と、劣化した塗工膜について機能性を評価する工程と、評価結果に基づいて塗工材料組成物の成分及び/又は組成を選択する工程とからなる塗工材料組成物を設計する方法が開示されている。特許文献2では、このような設計方法によって、短期間で耐候性等の機能を評価して塗工材料組成物を設計することが可能になるとしている。
再公表特許WO2009/020206号 特開2001−262071号公報
しかしながら、上記特許文献2のような塗工材料組成物を設計する方法では、多くの試作品を準備する必要があり、さらに、比較的に長期に亘って機能評価をする必要もある。また、このような方法を用いてエンジン燃焼室における断熱層の設計をしようとすると、高価な試作エンジンを損傷するリスクがあるだけでなく、上記中空粒子を含むような試作断熱層における材料の特性や材料の配合割合のばらつき、及び塗膜形成時の膜厚のばらつき等も考慮すると、効率良く設計することが困難である。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、中空粒子を含む断熱層を効率良く且つ簡便に設計できるようにして、その設計に掛かる時間及びコストを低減できるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明は、断熱層の熱伝導率に関わる制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す熱伝導率応答曲面を、均質化法を用いた解析によって導出し、この応答曲面に基づいて所望の熱伝導率を有する断熱層を設計できるようにした。
具体的に、本発明に係る断熱層の設計方法は、エンジン部品の表面に設けられ、中空粒子とバインダ材とを含む断熱層を設計する方法であって、断熱層の熱伝導率に関わる制御因子を決定するステップと、断熱層のミクロ構造モデルから断熱層の物性値を導出する均質化解析によって、制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す熱伝導率応答曲面を導出するステップと、導出された熱伝導率応答曲面に基づいて、断熱層の熱伝導率の目標値を達成する制御因子の値を導出するステップとを備えていることを特徴とする。
本発明に係る断熱層の設計方法によると、断熱層の熱伝導率に関わる制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す熱伝導率応答曲面を導出するため、該応答曲面から簡便に所望の熱伝導率を有する断熱層を製造するための制御因子の範囲を決定できる。その結果、多くの試作品を製造する必要なく、簡便に所望の熱伝導率を有する断熱層の設計が可能となる。また、本発明において上記熱伝導率応答曲面を導出するために用いられる上記均質化解析は、近年、種々の分野において用いられる解析手法であり、解析領域をミクロ構造とマクロ構造とに分けて考え、ミクロ構造の材料特性(物性値)を求めることによって、マクロ構造の材料特性を近似的に求めるものである。この均質化解析を用いることにより、中空粒子とバインダ材とを含む断熱層のマクロ構造における材料特性としての熱伝導率を上記制御因子の値から簡便に求めることができ、上記熱伝導率応答曲面を容易に作成することができる。
本発明に係る断熱層の製造方法は、制御因子がとり得る値の範囲を決定するステップをさらに備え、熱伝導率応答曲面を導出するステップにおいて、決定された制御因子のそれぞれの値の範囲内で熱伝導率応答曲面を導出することが好ましい。
このようにすると、制御因子の値の範囲が限定されて応答曲面の導出をより簡便且つ迅速に行うことができる。
本発明に係る断熱層の製造方法において、制御因子としては、断熱層における中空粒子の配合割合、中空粒子の中空率及び熱伝導率、並びにバインダ材の熱伝導率とすることができる。
この場合、熱伝導率応答曲面を導出するステップにおいて、熱伝導率応答曲面は、断熱層の熱伝導率と、前記断熱層における前記中空粒子の配合割合と、中空粒子の中空率とを三軸とする座標空間に導出することが好ましい。
このようにすると、所望の熱伝導率を有する断熱層を得るための中空粒子の配合割合及び中空粒子の中空率の範囲がわかり、上記断熱層を得るのに必要な中空粒子の特性を設定することができる。
さらに、この場合、中空粒子の中空率のばらつきを算出するステップをさらに備え、熱伝導率応答曲面を導出するステップにおいて、中空粒子の中空率のばらつきを考慮した応答曲面を導出することが好ましい。
中空粒子は、その原料となる粒子の内部に空気が含まれるように膨張されて形成されるため、粒径のばらつきに従ってその中空率もばらついており、このばらつきを考慮して応答曲面を導出することにより、より正確な断熱層の設計が可能となる。
本発明に係る断熱層の設計方法は、均質化解析により得られた断熱層の物性値に基づいて、制御因子の値とエンジンの気筒内最大圧力(Pmax)時に断熱層にかかる応力との関係を表す応力応答曲面を導出するステップをさらに備え、断熱層の熱伝導率の目標値を達成する制御因子の値を導出するステップにおいて、熱伝導率応答曲面と、応力応答曲面とに基づいて、断熱層の熱伝導率の目標値及び安全率の目標値を共に達成する制御因子の値を導出することが好ましい。
エンジン燃焼室内では、その動作時に非常に大きい圧力が生じるため、エンジン燃焼室に設けられる断熱層に大きい応力が生じるので、断熱層にはその応力に耐えうる強度が必要となる。上記の方法によると、応力応答曲面を導出して所望の断熱層の熱伝導率と共に所望の安全率を有する断熱層を設計することができる。断熱層の安全率は、上記の断熱層の熱伝導率の解析のために行った均質化解析時に導出されたミクロ構造モデルの物性値を利用して導出することができるため、簡便に且つ効率良く所望の熱伝導率及び安全率を有する断熱層を設計することができる。
本発明に係る断熱層の設計方法は、断熱層の熱伝導率の目標値を達成する制御因子の値を導出するステップにおいて導出された制御因子の値に従って、断熱層の材料の特性を記憶するデータベースから断熱層の材料を決定するステップをさらに備えていてもよい。
このようにすると、解析により導出された制御因子の値から、データベースに記憶された断熱層の材料の特性を参照して、コンピュータ等により自動的に所望の断熱層材料を選択することができて、断熱層の設計をより簡便にすることが可能となる。
本発明に係る断熱層の設計方法では、熱伝導率応答曲面を導出するステップにおいて、熱伝導率の均質化解析の結果から重回帰式を構築し、該重回帰式を利用して、熱伝導率応答曲面を導出してもよい。
このようにすると、熱伝導率応答曲面をより短時間で導出することができるため、断熱層の設計時間を短縮することができる。
本発明に係る断熱層の設計装置は、エンジン部品の表面に設けられ、中空粒子とバインダ材とを含む断熱層を設計するための装置であって、断熱層の熱伝導率に関わる所定の制御因子がとり得る値を入力する手段と、断熱層のミクロ構造モデルを生成する手段と、断熱層のミクロ構造モデルから断熱層の物性値を導出する均質化解析によって、制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す関数を生成し、該関数に基づいて熱伝導率応答曲面を出力する手段とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る断熱層の設計装置によると、上記の方法を用いた場合と同様に、断熱層のミクロ構造モデルから断熱層の物性値を導出する均質化解析によって、断熱層の熱伝導率に関わる制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す熱伝導率応答曲面を導出することができるため、該応答曲面から簡便に所望の熱伝導率を有する断熱層を製造するための制御因子の範囲を決定できる。その結果、多くの試作品を製造する必要なく、簡便に所望の熱伝導率を有する断熱層の設計をすることが可能となる。
本発明に係る断熱層の設計プログラムは、コンピュータに、断熱層の熱伝導率に関わる所定の制御因子がとり得る値の入力に基づいて、断熱層のミクロ構造モデルを生成し、断熱層のミクロ構造モデルから断熱層の物性値を導出する均質化解析によって、制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す関数を算出し、算出された関数に基づいて熱伝導率応答曲面を出力する機能を実現させるための断熱層の設計プログラムである。
本発明に係る断熱層の設計プログラムによると、上記の方法を用いた場合と同様に、断熱層のミクロ構造モデルから断熱層の物性値を導出する均質化解析によって、断熱層の熱伝導率に関わる制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す熱伝導率応答曲面を導出することができるため、該応答曲面から簡便に所望の熱伝導率を有する断熱層を製造するための制御因子の範囲を決定できる。その結果、多くの試作品を製造する必要なく、簡便に所望の熱伝導率を有する断熱層の設計をすることが可能となる。
本発明に係る断熱層の設計方法、設計装置及び設計プログラムによると、中空粒子を含む断熱層を効率良く且つ簡便に設計することができて、その設計に掛かる時間及びコストを低減できる。
本発明の実施形態に係る断熱層設計装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る断熱層設計方法を示すフローチャート図である。 中空粒子の粒径分布を示すグラフ図である。 図3の粒径分布をもつ中空粒子の中空率の分布を示すグラフ図である。 本実施形態に係る制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す熱伝導率応答曲面を示す図である。 本実施形態に係る中空粒子の中空率と断熱層の熱伝導率及び安全率との関係を示すグラフ図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでない。
まず、本発明の一実施形態に係る断熱層設計装置について図1を参照しながら説明する。なお、本実施形態において設計される断熱層は、エンジンの燃焼室を構成するピストンの頂面に設けられ、中空粒子とバインダ材とを材料として含むものである。但し、中空粒子とバインダ材とを材料として含む断熱層であれば、エンジン燃焼室を構成する他のエンジン部品であるシリンダヘッド等の表面に設けられる断熱層にも適用可能である。
図1は本実施形態に係る断熱層設計装置を構成するコンピュータのシステム構成の概略を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る断熱層設計装置10は、入力手段20、CPU30、記憶装置40及び出力装置50を備えている。
入力手段20は、各種のデータを入力するキーボードやマウスに相当する処理を実行するものである。入力手段20は、断熱層の材料となる中空粒子の熱伝導率や中空率、及びバインダ材の熱伝導率等の制御因子がとり得る値等の入力に用いられる。ここで、中空粒子の熱伝導率とは、中空粒子の外殻部分の熱伝導率のことをいう。また、中空粒子の中空率とは、中空粒子の体積当たりの空気が占める体積の割合のことをいう。
CPU30は、記憶装置40に記憶されているデータ及び入力手段20から入力された数値及び指示に基づき、格納されているプログラムに従って、断熱層のミクロ構造モデルを生成するミクロ構造モデル生成手段31として機能する。また、格納されている演算プログラムに従って、生成された断熱層のミクロ構造モデルにおける上記制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す関数を生成し、該関数に基づいて複数の制御因子の値と断熱層の熱伝導率の値との関係を示す応答曲面を生成する応答曲面生成手段32、及び生成された応答曲面から所望の断熱層材料の特性を決定する材料決定手段33として機能する。
記憶装置40は、種々の中空粒子の特性及びバインダ材の特性、並びに断熱層が形成される基材の構造及び特性等に関する種々のデータを記憶し、CPU30にそれらのデータを出力できる。また、記憶装置40は、上記CPU30を上記ミクロ構造モデル生成手段31、応答曲面生成手段32及び材料決定手段33として機能させるプログラムが記憶されている。記憶装置40としては、そのような機能を有するものであれば特に限定されず、例えばハードディスクドライブ(HDD)及びDVD−ROM等を用いることができる。
出力装置50は各種データを出力する処理を実行するものであり、出力装置50としては、例えばディスプレイやプリンタ等を用いることができる。
次に、本実施形態に係る断熱層を設計する方法について図2を参照しながら説明する。図2は本実施形態に係る断熱層設計方法を示すフローチャート図である。
図2に示すように、本実施形態の断熱層設計方法では、まず、断熱層の熱伝導率に関わる制御因子を決定する(ステップS1)。本実施形態においては、断熱層の材料となる中空粒子の熱伝導率及び中空率、断熱層における中空粒子の配合割合、並びにバインダ材の熱伝導率を制御因子とする。
次に、上記制御因子が設計上とり得る値を決定する(ステップS2)。例えば、中空粒子の中空率は大きいほど熱伝導率を小さくできるが、その強度も小さくなるため、それらを考慮して本実施形態では、25vol%〜95vol%とした。また、中空粒子及びバインダ材の熱伝導率も所望の断熱層の熱伝導率を得るために低い範囲で設定し、本実施形態では中空粒子の熱伝導率の範囲として例えば0.3W/mK〜8.0W/mKと設定し、バインダ材の範囲として例えば0.2W/mK〜1.0W/mKと設定した。さらに、断熱層における中空粒子の配合割合としては、大きいほどに断熱層の熱伝導率を低減することができるが、中空粒子が体心立方格子状に充填されると最密充填で64vol%程度が最大であるため、本実施形態では、20vol%〜60vol%と設定した。
ここで、中空粒子は、互いに粒径がほぼ均一な粒子を、その内部に空気が含まれるように膨張させることで得られるが、そのようにして得られた中空粒子のそれぞれの径は、所望の径を得るためにふるい等にかけてもばらつきが生じる。そのため、このばらつきに従って中空粒子の中空率がばらつくこととなる。例えば、粒径を30μmに調整された中空粒子の径の分布は、図3のようになる。また、中空率(ν)は、粒径(φ)と膨らます前の素材径(φ)から、次式で導かれる。
上記数1の数式は以下のようにして導かれる。まず、膨張される前の中空粒子の素材となる粒子の半径をrとし、膨張後の中空粒子の外表面から中心までの半径(外半径)をroutとし、膨張後の中空粒子の内表面から中心までの半径(内半径)をrinとすると、中空粒子の固体部分の体積は膨張前後で変わらないため、下記数2の数式の関係が成り立つ。
また、上記数2の数式から各半径の関係を下記数3の数式で表すことができる。
上記数3の数式から中空率νを下記数4の数式で表すことができ、この数式から上記数1の数式が導かれる。
図3に示す分布を有する中空粒子において、数1の数式からその中空粒子の中空率の分布を算出すると図4のようなグラフとなる。このように、中空率のばらつきを考慮して、断熱層の設計を行うことで、より正確な断熱層の設計が可能となる。中空率のばらつきを考慮した設計については後に説明する。
なお、上記のような制御因子の値の範囲や中空粒子の中空率のばらつきは、入力手段により入力されてもよいし、また、記憶装置に予めデータとして記憶させていてもよく、このようにすると、簡便にそのデータを後の解析に用いることができる。
次に、断熱層のミクロ構造モデルを生成し、該断熱層のミクロ構造モデルから断熱層の物性値(材料特性)を導出する均質化解析を行い、上記の制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す熱伝導率応答曲面を導出する(ステップS3)。ここで、均質化解析とは、近年、種々の分野において用いられる解析手法であり、解析領域をミクロ構造とマクロ構造とに分けて考え、ミクロ構造の挙動や材料特性を求めることによって、マクロ構造の挙動や材料特性を近似的に求める解析である。従来、断熱層の材料特性は実験による計測からマクロ構造における材料特性に関する値を得ていたが、本実施形態における均質化解析では、中空粒子とバインダ材とを含む断熱層のミクロ構造モデルを生成し、そのミクロ構造モデルの断熱層の熱伝導率を上記制御因子の値から求め、そこからマクロ平均的な断熱層の熱伝導率を導出する。具体的に、本実施形態では、エンジン部品であるピストンの頂面に配設された断熱層のマクロ構造に対して、上記設定された範囲内の中空率を有する中空粒子が上記設定された範囲内の配合割合でバインダ材に含有された立方体状のミクロ構造モデルを生成する。そして、上記設定した制御因子の範囲内の値を与えて得られたミクロ構造モデルの材料特性(熱伝導率、ヤング率、ポアソン比等)を求め、それを例えばピストンの頂面に配設された断熱層のマクロ構造モデルの等価物性値、特にここでは等価熱伝導率とする。このような作業によって、制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す関数を導出できる。
このステップS3においては、上記入力手段により入力された、又は記憶装置に記憶された制御因子の値に基づき、記憶装置に記憶されたプログラムとしての均質化解析ソフトによりCPUを熱伝導率応答曲面生成手段として機能させて、上記均質化解析を行うことで制御因子の値と断熱層の熱伝導率との関係を示す関数を導出する。さらに、生成された関数から図5に示すような熱伝導率応答曲面を生成する。なお、均質化解析ソフトとしては、例えばVOXELCON(株式会社くいんと)、又はANSYS Multiscale.sim(サイバネットシステム株式会社)等を用いることができる。
図5では、断熱層における中空粒子の配合割合と中空粒子の中空率と得られる断熱層の熱伝導率とを三軸とした座標空間に、バインダ材としてケイ酸ガラス(熱伝導率:0.628)を用いた場合、及びシリコーン樹脂(熱伝導率:0.229)を用いた場合の応答曲面を描いている。また、中空粒子の熱伝導率は1.1W/mKとしている。このような応答曲面を参照することで、断熱層の材料として熱伝導率が1.1W/mKの中空粒子と、ケイ酸ガラス又はシリコーン樹脂であるバインダ材とを用いた際に、所望の熱伝導率を有する断熱層を得るための中空粒子の中空率及び中空粒子の配合割合を推定することができる。なお、図5では、中空粒子の中空率のばらつきを考慮していない応答曲面を示しているが、上記中空粒子の中空率のばらつきを考慮して、期待値のみならず分散を表すように断熱層の熱伝導率を示す軸方向(図5の上下方向)に厚みがある応答曲面を描くこともできる。
また、熱伝導率応答曲面を導出する際に、重回帰式を用いることもできる。上記均質化解析により導出された数点の結果に基づいて、以下の数5のような重回帰式を構築し、用いることにより応答曲面の導出をより短時間に行うことができる。
なお、上記数式において、λaは中空粒子の熱伝導率であり、λbはバインダ材の熱伝導率であり、λgは中空粒子内の気体の熱伝導率であり、γは中空粒子配合割合であり、νは中空粒子の中空率であり、Cjは補正定数である。
また、上記のような断熱層の熱伝導率の解析のみならず、断熱層の応力解析も行うことにより、上記制御因子に対する安全率を導出する(ステップS4)ことが好ましい。このステップを行うことで、所望の熱伝導率のみならず所望の安全率を有する断熱層を得るための制御因子の値の範囲を得ることができる。具体的に、熱伝導率応答曲面の導出と同様に、上記制御因子の値と前記エンジンの気筒内最大圧力(Pmax)時に断熱層にかかる応力との関係を表す応力応答曲面を導出して、その応力応答曲面から所望の安全率を満たす制御因子の値を推定することができる。応力応答曲面は、断熱層の熱伝導率の解析のために行った均質化解析で得られたミクロ構造モデルのヤング率やポアソン比といった物性値(材料特性)の等価値を利用して導出することができる。このため、簡便に応力応答曲面を生成することができる。ここでは、ミクロ構造モデルにおいて、得られた上記ヤング率等の材料特性の等価値をマクロ構造に適用し、マクロ構造における最も応力が掛かる部分、本実施形態では、ピストン頂面のキャビティの周縁部に設けられた断熱層に掛かる応力を算出する。すなわち、材料特性の等価値をマクロ構造に適用した(均質化)後に、上記ピストン頂面のキャビティの周縁部における断熱層に掛かる局所的な応力を算出する、所謂、局所化を行う。
なお、バインダ材は疲労破壊を起こさないため、特に中空粒子のみを応力評価の対象とすることによって、より簡便に応力の算出をすることもできる。
上述のようにして、導出した熱伝導率応答曲面及び応力応答曲面から、所望の熱伝導率及び安全率を有する断熱層を得るための断熱層の材料の特性値の範囲を導出する(ステップS5)。例えば、上記の各応答曲面から、図6に示すような横軸に中空粒子の中空率、縦軸にエンジンの気筒内最大圧力(Pmax)時に断熱層にかかる応力、及び断熱層の熱伝導率をとったグラフを導くことにより、所望の熱伝導率及び安全率を有する断熱層を得るための中空粒子の中空率の範囲がわかる。ここでは、熱伝導率が1.1の中空粒子を用い、バインダ材がケイ酸ガラス(熱伝導率:0.628W/mK)であり、断熱層における中空粒子の配合割合が60vol%の場合を示している。また、図6では、Pmaxを13.5とし、中空粒子の疲労限を168MPaとしたときの安全率1.2、すなわち140MPa以下、及び断熱層の熱伝導率を0.28W/mK以下をそれぞれ目標値とした場合の、中空粒子の中空率の範囲を示している(図6のグレーの領域)。図6から、その範囲は86〜91vol%程度である。また、図6では実線で示された期待値の周辺に中空粒子の中空率のばらつきによる分散を網かけで示しており、その上限を破線で示している。所望の断熱層の熱伝導率及び安全率を満たす中空粒子の中空率の範囲を、中空率のばらつきを考慮して破線で示すばらつきの上限値から導出した場合では、88.5〜90.5vol%程度となる(図6の太線で囲まれた領域)。
このようにして、所望の熱伝導率及び安全率を満たす断熱層を得るための制御因子の値の範囲を導出した後に、その範囲を満たすような中空粒子を選定する(ステップS6)。中空粒子の選定は、カタログに記載された値を参照することにより行うことができる。また、そのようなカタログ値をデータベースとして記憶装置等に記憶させておき、そのデータベースと、熱伝導率及び応力の目標値及び生成された上記応答曲面の結果とを参照して、記憶装置に記憶されたプログラムにより材料決定手段として機能されたCPUが自動的に選出するようにすることも可能である。
上記のような本実施形態に係る断熱層の設計方法によって、多くの試作品を作製し、多くの実験による計測を行うことが無く、簡便に、所望の熱伝導率及び安全率を備えた断熱層を設計することが可能となって、設計のためのコスト及び時間を低減することができる。
10 断熱層設計装置
20 入力手段
30 CPU
31 ミクロ構造モデル生成手段
32 応答曲面生成手段
33 材料決定手段
40 記憶装置
50 出力装置

Claims (10)

  1. エンジン部品の表面に設けられ、中空粒子とバインダ材とを含む断熱層を設計する方法であって、
    前記断熱層の熱伝導率に関わる制御因子を決定するステップと、
    前記断熱層のミクロ構造モデルから断熱層の物性値を導出する均質化解析によって、前記制御因子の値と前記断熱層の熱伝導率との関係を示す熱伝導率応答曲面を導出するステップと、
    前記導出された熱伝導率応答曲面に基づいて、前記断熱層の熱伝導率の目標値を達成する前記制御因子の値を導出するステップとを備えていることを特徴とする断熱層の設計方法。
  2. 前記制御因子がとり得る値の範囲を決定するステップをさらに備え、
    前記熱伝導率応答曲面を導出するステップにおいて、前記決定された制御因子のそれぞれの値の範囲内で前記熱伝導率応答曲面を導出することを特徴とする請求項1に記載の断熱層の設計方法。
  3. 前記制御因子を決定するステップにおいて、前記制御因子を前記断熱層における前記中空粒子の配合割合、前記中空粒子の中空率及び熱伝導率、並びに前記バインダ材の熱伝導率とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱層の設計方法。
  4. 前記熱伝導率応答曲面を導出するステップにおいて、前記熱伝導率応答曲面は、前記断熱層の熱伝導率と、前記断熱層における前記中空粒子の配合割合と、前記中空粒子の中空率とを三軸とする座標空間に導出することを特徴とする請求項3に記載の断熱層の設計方法。
  5. 前記中空粒子の中空率のばらつきを算出するステップをさらに備え、
    前記熱伝導率応答曲面を導出するステップにおいて、前記中空粒子の中空率のばらつきを考慮した応答曲面を導出することを特徴とする請求項3又は4に記載の断熱層の設計方法。
  6. 前記均質化解析により得られた前記断熱層の物性値に基づいて、前記制御因子の値と前記エンジンの気筒内最大圧力(Pmax)時に前記断熱層にかかる応力との関係を表す応力応答曲面を導出するステップをさらに備え、
    前記断熱層の熱伝導率の目標値を達成する前記制御因子の値を導出するステップにおいて、前記熱伝導率応答曲面と、前記応力応答曲面とに基づいて、前記断熱層の熱伝導率の目標値及び安全率の目標値を共に達成する前記制御因子の値を導出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の断熱層の設計方法。
  7. 前記断熱層の熱伝導率の目標値を達成する前記制御因子の値を導出するステップにおいて導出された前記制御因子の値に従って、前記断熱層の材料の特性を記憶するデータベースから前記断熱層の材料を決定するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の断熱層の設計方法。
  8. 前記熱伝導率応答曲面を導出するステップにおいて、前記熱伝導率の均質化解析の結果から重回帰式を構築し、該重回帰式を利用して前記熱伝導率応答曲面を導出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の断熱層の設計方法。
  9. エンジン部品の表面に設けられ、中空粒子とバインダ材とを含む断熱層を設計するための装置であって、
    前記断熱層の熱伝導率に関わる所定の制御因子がとり得る値を入力する手段と、
    前記断熱層のミクロ構造モデルを生成する手段と、
    前記断熱層のミクロ構造モデルから前記断熱層の物性値を導出する均質化解析によって、前記制御因子の値と前記断熱層の熱伝導率との関係を示す関数を生成し、該関数に基づいて熱伝導率応答曲面を出力する手段とを備えていることを特徴とする断熱層の設計装置。
  10. エンジン部品の表面に設けられ、中空粒子とバインダ材とを含む断熱層を設計するためのプログラムであって、
    コンピュータに、
    前記断熱層の熱伝導率に関わる所定の制御因子がとり得る値の入力に基づいて、前記断熱層のミクロ構造モデルを生成し、前記断熱層のミクロ構造から断熱層の物性値を導出する均質化解析によって、前記制御因子の値と前記断熱層の熱伝導率との関係を示す関数を算出し、該関数に基づいて熱伝導率応答曲面を出力する機能を実現させるための断熱層の設計プログラム。
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