JP6135825B2 - 伝送線路部材 - Google Patents
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Description
本発明は、それぞれに異なる周波数の高周波信号を伝送する信号導体が近接して配置される伝送線路部材に関する。
従来、高周波信号を伝送する各種の伝送線路部材が考案されている。例えば、特許文献1に記載の伝送線路部材は、ストリップライン構造を有している。特許文献1に記載の伝送線路部材は、長尺状の誘電体素体、信号導体、および、第1、第2グランド導体を備える。信号導体は、誘電体素体の厚み方向の途中位置に配置されている。第1グランド導体と第2グランド導体とは、誘電体素体の厚み方向において信号導体を挟むように配置されている。また、第1グランド導体と第2グランド導体とは、信号導体に沿って配列された複数のビアホール導体(層間接続導体)によって接続されている。この構成により、信号導体を第1、第2グランド導体で挟むストリップライン構造の伝送線路になる。
特許文献1に記載のような構成からなる伝送線路を、通信機器内等に近接させて複数個配置する場合、例えば、1つの誘電体素体に複数の信号導体を配列する態様が考えられる。この態様では、複数の信号導体は、誘電体素体の厚み方向に対して直交する方向に間隔を空けて配置することが考えられる。
すなわち、特許文献1に示す構造の伝送線路を、誘電体素体の厚み方向に対して直交する方向に沿って並べた構成が考えられる。
しかしながら、この伝送線路部材が装着される電子機器の小型化に伴って、伝送線路部材の小型化が要求されている。一方で、隣り合う信号導体が近接すると、これら信号導体同士が結合する。例えば、上述の構成を用いた場合、伝送線路部材の幅を狭くすると信号導体間の距離が短くなって、これらの信号導体が結合し易くなる。このため、これらの信号導体を有する伝送線路間のアイソレーションが低下してしまう。
したがって、本発明の目的は、複数の伝送線路間の結合を抑制した小型の伝送線路部材を提供することにある。
この発明の伝送線路部材は、誘電体素体、第1、第2信号導体、第1グランド導体、第2グランド導体、第1側面導体、および、第2側面導体を備える。誘電体素体は、複数の誘電体層を積層した平板である。第1信号導体および第2信号導体は、誘電体素体の内部に配置され、高周波信号の伝送方向に沿って延びる形状からなり、互いに隣接して配置されている。第1グランド導体は、誘電体素体の厚み方向において第1信号導体および第2信号導体に対して一方側に配置されている。第2グランド導体は、誘電体素体の厚み方向において第1信号導体および第2信号導体に対して他方側に配置されている。
第1グランド導体は、第1信号導体と第2信号導体の略全長に亘って厚み方向に視て重なる形状からなる。
第2グランド導体は、主導体部、および第1、第2補助導体部を備える。主導体部は、誘電体層を厚み方向に視て、第1信号導体と第2信号導体との間に配置され、第1信号導体と第2信号導体に沿って延びる形状からなる。
第1補助導体部は、主導体部に接続し、該主導体部から第1信号導体側の側面まで延びる形状からなる。第1信号側の側面とは、誘電体素体における第1信号導体と第2信号導体に沿って延びる側面で、主導体部に対して第1信号導体側にある側面である。
第2補助導体部は、主導体部に接続し、該主導体部から第2信号導体側の側面まで延びる形状からなる。第2信号側の側面とは、誘電体素体における第1信号導体と第2信号導体に沿って延びる側面で、主導体部に対して第2信号導体側にある側面である。
第1側面導体は、第1グランド導体と第1補助導体部とを、第1信号導体側の側面において接続する。
第2側面導体は、第1グランド導体と第2補助導体部とを、第2信号導体側の側面において接続する。
この構成では、第2グランド導体の形状が簡素化され、誘電体素体内における第1信号導体側の側面と第1信号導体との間および第2信号導体側の側面と第2信号導体との間に層間接続導体を設けることなく、第1側面導体および第2側面導体によって第1グランド導体と第2グランド導体とを接続することができる。これにより、第1グランド導体と第2グランド導体の接地電位の安定化を図ることができるとともに、誘電体層を厚み方向に視て、第1信号導体と第2信号導体の間隔を広くしながら、誘電体素体の側面間の距離である誘電体素体の幅を狭くすることができる。
また、この発明の伝送線路部材では、第2グランド導体の主導体部と第1グランド導体とに接続し、誘電体素体の厚み方向に延びる層間接続導体を備えることが好ましい。
この構成では、第1信号導体と第2信号導体との結合を抑制することができる。
また、この発明の伝送線路部材では、主導体部と第1グランド導体との間に配置され、第1信号導体および第2信号導体に沿って延びる形状で、且つ層間接続導体に接続する第3グランド導体を備えることが好ましい。
この構成では、第1信号導体と第2信号導体との結合をさらに抑制することができる。
また、この発明の伝送線路部材では、次の構成であることが好ましい。伝送線路部材の誘電体素体は、第1凹部および第2凹部を備える。第1凹部は、第1信号導体側の側面における第1補助導体部が到達する部分に設けられ、第1信号導体側の側面から凹む形状からなる。第2凹部は、第2信号導体側の側面における第2補助導体部が到達する部分に設けられ、第2信号導体側の側面から凹む形状からなる。第1側面導体は第1凹部に形成されている。第2側面導体は前記第2凹部に形成されている。
この構成では、第1側面導体が第1信号導体側の側面から突出する高さ、および、第2側面導体が第1信号導体側の側面から突出する高さを低くできる。これにより、伝送線路部材の幅をより狭くできる。また、側面に第1、第2側面導体を形成するよりも、第1、第2側面導体が形成しやすくなり、外部部品との接触等による破損を抑制できる。
また、この発明の伝送線路部材では、第1信号導体と第2信号導体の延びる方向において、第1補助導体部の形成位置と、第2補助導体部の形成位置とは、異なることが好ましい。
この構成では、第1信号導体を有する第1伝送線路と、第2信号導体を有する第2伝送線路との間の結合を抑制できる。
この発明によれば、複数の伝送線路間の結合を抑制した小型の伝送線路部材を実現できる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る伝送線路部材について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る伝送線路部材の外観斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解平面図である。
本発明の第1の実施形態に係る伝送線路部材について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る伝送線路部材の外観斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解平面図である。
図1に示すように、伝送線路部材10は、平板状で且つ長尺状からなる。伝送線路部材10において、長さ方向が高周波信号の伝送方向に相当する。伝送線路部材10において、平板面に平行で長さ方向に直交する方向が幅方向である。
伝送線路部材10は、複数の誘電体層91,92,93を積層してなる平板状で長尺状の誘電体素体90を備える。伝送線路部材10は、主体部と該主体部の長尺方向の両端に接続された引き出し部とから構成される。主体部は、誘電体素体90に対して、第1信号導体211を有する第1伝送線路と、第2信号導体221を有する第2伝送線路とが一体に形成された構造を備える。
各引き出し部は、第1伝送線路と第2伝送線路が別体に形成された構造を備える。各引き出し部は、一般的なストリップラインやマイクロストリップラインの構造を備える。
第1伝送線路の一方端を構成する引き出し部には、コネクタ部材からなる外部接続端子511が接続されている。第1伝送線路の他方端を構成する引き出し部には、コネクタ部材からなる外部接続端子512が接続されている。第2伝送線路の一方端を構成する引き出し部には、コネクタ部材からなる外部接続端子521が接続されている。第2伝送線路の他方端を構成する引き出し部には、コネクタ部材からなる外部接続端子522が接続されている。
誘電体素体90における外部接続端子511,512,521,522が接続される主面には、絶縁性のレジスト膜60が装着されている。レジスト膜60は、誘電体素体90における表面に露出した導体パターンを外部環境から保護する。
次に、伝送線路部材10の主体部の構造について、より具体的に説明する。図2、図3に示すように、誘電体素体90は、長尺状からなる複数の誘電体層91,92,93を積層してなる。複数の誘電体層91,92,93は熱可塑性樹脂からなる。複数の誘電体層91,92,93は、例えば、液晶ポリマやポリイミド等からなる。これら誘電体層91,92,93が積層されて加熱圧着されることにより、誘電体素体90が形成される。
誘電体層91の表面、すなわち誘電体層91の誘電体層92側の面には、第1グランド導体31が形成されている。第1グランド導体31は、誘電体層91の表面の略全面に形成されている。ただし、第1グランド導体31は、誘電体層91すなわち誘電体素体90の幅よりも狭い幅で形成されている。このため、第1グランド導体31は、誘電体層91の幅方向の両端すなわち誘電体素体90の側面から所定幅までの領域には形成されていない。
誘電体層91の表面において第1側面側の第1グランド導体31が形成されていない領域には、複数のメッキ接続用導体311が形成されている。複数のメッキ接続用導体311は、一方端が第1グランド導体31に接続し、他方端が誘電体層91の表面における第1側面まで達する形状で形成されている。複数のメッキ接続用導体311は、誘電体層91の長尺方向(誘電体素体90の長尺方向)に沿って間隔を空けて配列形成されている。
誘電体層91の表面において第2側面側の第1グランド導体31が形成されていない領域には、複数のメッキ接続用導体312が形成されている。複数のメッキ接続用導体312は、一方端が第1グランド導体31に接続し、他方端が誘電体層91の表面における第2側面まで達する形状で形成されている。複数のメッキ接続用導体312は、誘電体層91の長尺方向(誘電体素体90の長尺方向)に沿って間隔を空けて配列形成されている。
誘電体層91の長尺方向(誘電体素体90の長尺方向)において、複数のメッキ接続用導体312の形成位置は、複数のメッキ接続用導体311の形成位置と異なる。また、メッキ接続用導体312とメッキ接続用導体311とは、誘電体層91の長尺方向(誘電体素体90の長尺方向)に沿って、交互に形成されている。
なお、これらメッキ接続用導体311,312を形成せず、誘電体層91の表面の全面に第1グランド導体31を形成してもよい。ただし、メッキ接続用導体311,312を形成する態様を用いることで、第1グランド導体31が第1側面および第2側面から外部に露出することを抑制できる。これにより、外部の導体パターンと第1グランド導体31との不要な接触を防止できる。また、後述する側面導体331,332の形成時に、側面導体331,332を形成したい位置に電流を集中させることができるので、効率的に電解メッキによって側面導体331,332を形成することができる。
誘電体層92の表面、すなわち誘電体層92の誘電体層93側の面には、第1信号導体211および第2信号導体221が形成されている。第1信号導体211および第2信号導体221は、誘電体層92の長尺方向に沿って延びる形状の線状導体である。第1信号導体211と第2信号導体221は、誘電体層92の幅方向(誘電体素体90の幅方向)に沿って間隔を空けて配置されている。
第1信号導体211は、誘電体層92の幅方向において、中央位置よりも第1側面側に配置されている。第1信号導体211は、誘電体素体90の状態で厚み方向において第1グランド導体31と重なる位置に配置されている。この際、第1信号導体211は、中央位置よりも第1側面に近い位置に配置されていること好ましく、第1伝送線路のインピーダンス等を加味して可能な限り第1側面に近い方がより好ましい。
第2信号導体221は、誘電体層92の幅方向において、中央位置よりも第2側面側に配置されている。第2信号導体221は、誘電体素体90の状態で厚み方向において第1グランド導体31と重なる位置に配置されている。この際、第2信号導体221は、中央位置よりも第2側面に近い位置に配置されていること好ましく、第2伝送線路のインピーダンス等を加味して可能な限り第2側面に近い方がより好ましい。
誘電体層93の表面、すなわち誘電体層93の誘電体層92と反対側の面には、第2グランド導体32が形成されている。第2グランド導体32は、主導体部320、第1補助導体部321、および、第2補助導体部322を備える。
主導体部320は、誘電体層93の長尺方向に沿って延びる線状導体である。主導体部320は、誘電体素体90の状態で厚み方向に視て、第1信号導体211および第2信号導体221と重ならない位置に配置されている。主導体部320は、誘電体素体90の状態で幅方向において、第1信号導体211と第2信号導体221との間の位置に配置されている。より好ましくは、主導体部320は、誘電体素体90の状態で幅方向において、第1信号導体211と第2信号導体221との両方に等距離の位置、すなわち、第1信号導体211と第2信号導体221の間の中央位置に配置されている。
第1補助導体部321は、誘電体層93の幅方向に沿って延びる線状導体からなる。第1補助導体部321の一方端は主導体部320に接続し、他方端は誘電体層93の表面における第1側面まで達する。第1補助導体部321は、複数個形成されている。複数の第1補助導体部321は、誘電体層93の長尺方向(誘電体素体90の長尺方向)に沿って間隔を空けて配列形成されている。誘電体層93の長尺方向における各第1補助導体部321の形成位置は、誘電体層91の長尺方向における各メッキ接続用導体311の形成位置と同じである。すなわち、複数の第1補助導体部321と複数のメッキ接続用導体311とは、誘電体素体90の状態において重なっている。
第2補助導体部322は、誘電体層93の幅方向に沿って延びる線状導体からなる。第2補助導体部322の一方端は主導体部320に接続し、他方端は誘電体層93の表面における第2側面まで達する。第2補助導体部322は、複数個形成されている。複数の第2補助導体部322は、誘電体層93の長尺方向(誘電体素体90の長尺方向)に沿って間隔を空けて配列形成されている。
誘電体層93の長尺方向(誘電体素体90の長尺方向)において、複数の第2補助導体部322の形成位置は、複数の第1補助導体部321の形成位置と異なる。また、第2補助導体部322と第1補助導体部321とは、誘電体層93の長尺方向(誘電体素体90の長尺方向)に沿って、交互に形成されている。誘電体層93の長尺方向における各第2補助導体部322の形成位置は、誘電体層91の長尺方向における各メッキ接続用導体312の形成位置と同じである。すなわち、複数の第2補助導体部322と複数のメッキ接続用導体312とは、誘電体素体90(誘電体層91,92,93が積層された状態)の状態において重なっている。
誘電体素体90の第1側面には、複数の側面導体331が形成されている。各側面導体331は、第1補助導体部321とメッキ接続用導体311との組毎に形成されており、それぞれに、第1補助導体部321とメッキ接続用導体311とを接続している。
誘電体素体90の第2側面には、複数の側面導体332が形成されている。各側面導体332は、第2補助導体部322とメッキ接続用導体312との組毎に形成されており、それぞれに、第2補助導体部322とメッキ接続用導体312とを接続している。
誘電体素体90には、複数の層間接続導体41が形成されている。複数の層間接続導体41は、誘電体層92,93を貫通する構造からなり、第2グランド導体32の主導体部320と第1グランド導体31とを接続している。複数の層間接続導体41は、誘電体素体90の長尺方向に沿って、第1補助導体部321およびメッキ接続用導体311と第2補助導体部322およびメッキ接続用導体312と異なる位置に形成されている。より具体的には、誘電体素体90の長尺方向に沿って、複数の層間接続導体41は、第1補助導体部321およびメッキ接続用導体311の形成位置と、第2補助導体部322およびメッキ接続用導体312の形成位置との途中位置に形成されている。なお、より好ましくは、複数の層間接続導体41の形成位置は、第1補助導体部321およびメッキ接続用導体311の形成位置と、第2補助導体部322およびメッキ接続用導体312の形成位置との中間位置である。
このような構成とすることによって、誘電体素体90に第1、第2伝送線路を形成することができる。
第1伝送線路は、第1信号導体211と、第1グランド導体31と、第2グランド導体32の主導体部320および第1補助導体部321とによって構成される。これにより、第1信号導体211を厚み方向に2つのグランド導体で挟み込み、一方のグランド導体に開口が設けられたストリップラインの伝送線路が形成される。なお、第1グランド導体31と第2グランド導体は、側面導体331およびメッキ接続用導体311と、層間接続導体41によって接続されている。これにより、第1伝送線路のグランドは安定する。
第1伝送線路のインピーダンスは、次のように決定される。第1信号導体211と第1グランド導体31によって第1伝送線路のインピーダンスが50Ωよりもやや高めの55Ω程度となるように形状が決定される。そして、第2グランド導体32の主導体部320および第1補助導体部321によって、第1伝送線路の特性インピーダンスが50Ωとなるように、主導体部320および第1補助導体部321の形状が決定される。
第2伝送線路は、第2信号導体221と、第1グランド導体31と、第2グランド導体32の主導体部320および第2補助導体部322とによって構成される。これにより、第2信号導体221を厚み方向に2つのグランド導体で挟み込み、一方のグランド導体に開口が設けられたストリップラインの伝送線路が形成される。なお、第1グランド導体31と第2グランド導体は、側面導体332およびメッキ接続用導体312と、層間接続導体41によって接続されている。これにより、第2伝送線路のグランドは安定する。
第2伝送線路のインピーダンスは、次のように決定される。第2信号導体221と第1グランド導体31によって第2伝送線路のインピーダンスが50Ωよりもやや高めの55Ω程度となるように形状が決定される。そして、第2グランド導体32の主導体部320および第2補助導体部322によって、第2伝送線路の特性インピーダンスが50Ωとなるように、主導体部320および第2補助導体部322の形状が決定される。
そして、このような構成を用いることによって、誘電体素体90の内部における第1信号導体211と第1側面との間、および、第2信号導体221と第2側面との間に層間接続導体を設けなくてもよい。したがって、第1信号導体211と第2信号導体221との間隔を広く確保しながら、誘電体素体90すなわち伝送線路部材10の主体部の幅を狭くすることができる。したがって、第1信号導体211と第2信号導体221との結合を抑制した小型の伝送線路部材10を実現することができる。
さらに、本実施形態に係る伝送線路部材10では、第2グランド導体32の主導体部320と第1グランド導体31とを接続する複数の層間接続導体41が設けられていることによって、第1信号導体211と第2信号導体221との結合をさらに抑制することができる。なお、層間接続導体41は、一部もしくは全部を省略することも可能であるが、本実施形態に示す態様で形成することが好ましい。
また、誘電体素体90の長尺方向に沿って、第1補助導体部321と層間接続導体41との形成位置が異なることによって、第1信号導体211と第2信号導体221との結合をさらに抑制することができる。
また、誘電体素体90の長尺方向に沿って、第1補助導体部321と第2補助導体部322との形成位置が異なることによって、第2グランド導体32側の開口部(第1補助導体部321または第2補助導体部322が形成されていない領域)を介した第1伝送線路と第2伝送線路との結合を抑制することができる。なお、伝送する高周波信号の電力が低い等によって開口部を介した結合や第1、第2信号導体211,221間の結合が小さい場合には、誘電体素体90の長尺方向に沿って、第1補助導体部321と第2補助導体部322との形成位置が同じであってもよく、さらには層間接続導体41の形成位置も同じであってもよい。
このような構造の伝送線路部材10は、例えば次に示すように製造される。
まず、片面の全面に銅箔が張られた片面銅貼張りの誘電体フィルム(誘電体層に相当する。)を用意する。誘電体フィルムとしては本実施形態では液晶ポリマを用いた。
第1の誘電体フィルム(誘電体層91に相当する。)の表面に、パターニング処理等によって第1グランド導体31およびメッキ接続用導体311,312を形成する。第2の誘電体フィルム(誘電体層92に相当する。)の表面に、パターニング処理等によって、第1信号導体211および第2信号導体221を形成する。第3の誘電体フィルム(誘電体層93に相当する。)の表面に、パターニング処理によって、主導体部320、および第1、第2補助導体部321,322からなる第2グランド導体32を形成する。
次に、複数の誘電体フィルムにおける所定位置にレーザービームを照射して貫通孔を形成し、その貫通孔に導電性ペーストを充填することによって、各層間接続導体41の元となる導体部を形成する。
次に、複数の誘電体フィルムを積層して加熱圧着することによって一体化し、個片に切り分けることで、誘電体素体90を形成する。この際、導電性ペーストが固化することで、層間接続導体41が形成される。
次に、第1、第2補助導体部321,322とメッキ接続用導体311,312を接続するように電解メッキを行い、側面導体331,332を形成する。
そして、誘電体素体90の長さ方向の両端に配置された引き出し部に対して、外部接続端子511,512,521,522を実装する。
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態に係る伝送線路部材について、図を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解平面図である。
次に、第2の実施形態に係る伝送線路部材について、図を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解平面図である。
本実施形態に係る伝送線路部材10Aは、第1の実施形態に係る伝送線路部材10に対して、第3グランド導体340を追加した構成からなる。他の構成は、第1の実施形態に係る伝送線路部材10と同じである。
第3グランド導体340は、誘電体層92の表面に形成されている。第3グランド導体340は、誘電体層92(誘電体素体90)の長尺方向に沿って延びる線状導体である。第3グランド導体340は、誘電体層92(誘電体素体90)の幅方向に沿って、第1信号導体211と第2信号導体221との間に配置されている。第3グランド導体340は、第1信号導体211と第2信号導体221と平行に形成されている。
第3グランド導体340は、複数の層間接続導体41に接続されている。第3グランド導体340の幅は、層間接続導体41と接続する部分を除き、第1、第2信号導体211,221の幅よりも狭いことが好ましい。これに伴い、第3グランド導体340における層間接続導体41と接続する箇所は、部分的に幅広導体部341が設けられている。
このような構成とすることで、第1信号導体211と第2信号導体221との結合を、さらに抑制することができる。また、第3グランド導体340を幅狭に形成することにより、第1信号導体211および第2信号導体221と、第3グランド導体340との結合を抑制し、誘電体素体90の幅を狭くしたままで、第1伝送線路および第2伝送線路のインピーダンスを所望のインピーダンスにすることができる。
(第3実施形態)
次に、第3の実施形態に係る伝送線路部材について、図を参照して説明する。図5は、本発明の第3の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解平面図である。
次に、第3の実施形態に係る伝送線路部材について、図を参照して説明する。図5は、本発明の第3の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解平面図である。
本実施形態に係る伝送線路部材10Bは、第1の実施形態に係る伝送線路部材10に対して、第1補助導体部321B、第2補助導体部322B、メッキ接続用導体311B,312Bの構成、および、第1、第2信号導体211B,221Bの構成が異なる。また、第1の実施形態に係る伝送線路部材10に対して、側面導体331B,332Bの構成が異なる。他の構成は、第1の実施形態に係る伝送線路部材10と同じである。
誘電体層91,92,93すなわち誘電体素体90の第1側面における第1補助導体部321Bおよびメッキ接続用導体311Bが形成される位置には、第1側面から凹む形状の凹部が設けられている。これらの凹部の壁面を少なくとも含むように、側面導体331Bが形成されている。
誘電体層91,92,93すなわち誘電体素体90の第2側面における第2補助導体部322Bおよびメッキ接続用導体312Bが形成される位置には、第2側面から凹む形状の凹部が設けられている。これらの凹部の壁面を少なくとも含むように、側面導体332Bが形成されている。
このような構成とすることによって、誘電体素体90の側面から突出する側面導体の高さを抑制できる。これにより、伝送線路部材10Bをさらに狭い幅で形成することができる。また、凹部に側面導体が形成されることにより、誘電体素体90の側面に沿って側面導体が形成されるだけの構成よりも、外力によって側面導体が破損することを抑制できる。これにより、信頼性の高い伝送線路部材を実現できる。さらには、凹部内のみに側面導体を形成すれば、外力が側面導体に直接加わらないので、さらに信頼性の高い伝送線路部材を実現できる。また、外部回路との側面導体を介した不要な短絡を抑制できる。
さらに、本実施形態では、誘電体素体90の長尺方向における側面導体331Bが形成されている位置(第1側面の凹部の位置)には、第1信号導体211Bに、湾曲部212Bが設けられている。湾曲部212Bは、第1信号導体211Bの他の部分に対して、誘電体素体90の中心方向に部分的に湾曲した構造からなる。この構成により、第1信号導体211Bと側面導体331Bとの距離を離間でき、第1伝送線路に対して、所望のインピーダンスを実現することができる。
また、本実施形態では、誘電体素体90の長尺方向における側面導体332Bが形成されている位置(第2側面の凹部の位置)には、第2信号導体221Bに、湾曲部222Bが設けられている。湾曲部222Bは、第2信号導体221Bの他の部分に対して、誘電体素体90の中心方向に部分的に湾曲した構造からなる。この構成により、第2信号導体221Bと側面導体332Bとの距離を離間でき、第2伝送線路に対して、所望のインピーダンスを実現することができる。
さらに、本実施形態では、誘電体素体90の長尺方向に沿った、第1信号導体211Bの湾曲部212Bの位置と、第2信号導体221Bの湾曲部222Bの位置とが異なる。これにより、これらの湾曲部212B,222Bの位置が同じ場合よりも、第1信号導体211Bと第2信号導体221Bとの結合を抑制することができる。
(第4実施形態)
次に、第4の実施形態に係る伝送線路部材について、図を参照して説明する。図6は、本発明の第4の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解斜視図である。
次に、第4の実施形態に係る伝送線路部材について、図を参照して説明する。図6は、本発明の第4の実施形態に係る伝送線路部材の主体部の構造を示す分解斜視図である。
本実施形態に係る伝送線路部材10Cは、第1の実施形態に係る伝送線路部材10に対して、第1グランド導体31Cと第2グランド導体32Cの構成が異なる。
第1グランド導体31Cは、第1信号導体用のグランド導体3101と、第2信号導体用のグランド導体3102を備える。第1信号導体用のグランド導体3101は、誘電体層91における幅方向の第1信号導体211側の半面に形成されている。第2信号導体用のグランド導体3102は、誘電体層91における幅方向の第2信号導体221側の半面に形成されている。言い換えれば、第1信号導体用のグランド導体3101と第2信号導体用のグランド導体3102は、第1の実施形態に係る第1グランド導体を誘電体層91の幅方向の中心付近で二分割することによって形成される。
第2グランド導体32Cは、主導体部3201,3202を備える。主導体部3201は、誘電体層93における幅方向の略中央で且つ第1信号導体211側に形成されている。主導体部3201は、誘電体素体90の状態において、第1信号導体211とは重ならないように形成されている。主導体部3202は、誘電体層93における幅方向の略中央で且つ第2信号導体221側に形成されている。主導体部3202は、誘電体素体90の状態において、第2信号導体221とは重ならないように形成されている。言い換えれば、主導体部3201,3202は、第1の実施形態に係る主導体部320を誘電体層93の幅方向の中心付近で二分割することによって形成される。
主導体部3201は、層間接続導体411によって、第1信号導体側のグランド導体3101に接続されている。主導体部3202は、層間接続導体412によって、第2信号導体用のグランド導体3102に接続されている。
このような構成であっても、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成では、伝送線路毎にグランド導体が分離されているので、伝送線路間のアイソレーションをさらに高く確保することができる。
なお、上述の各実施形態では、誘電体素体90に2本の信号導体を配置する例を示したが、3本以上の信号導体を配置する態様に対しても、上述の構成を適用することができる。この場合、誘電体素体90の幅方向における第1側面に最も近い信号導体と第2側面に最も近い信号導体に、上述の構成を適用すればよい。また、上述の第2グランド導体を構成する主導体部は、隣接する信号導体間にそれぞれ配置されており、上述の各側面に近い信号導体を除く信号導体は誘電体素体90の幅方向に沿って隣接する主導体部に挟まれる構造を用いればよい。この際、信号導体を挟む主導体部は、誘電体素体90の幅方向に延びるブリッジ導体で接続すればよい。
10,10A,10B,10C:伝送線路部材
31,31C:第1グランド導体
32,32C:第2グランド導体
41,411,412:層間接続導体
60:レジスト膜
90:誘電体素体
91,92,93:誘電体層
211,211B:第1信号導体
221,221B:第2信号導体
212B,222B:湾曲部
311,312,311B,312B:メッキ接続用導体
3101:第1信号導体用のグランド導体
3102:第2信号導体側のグランド導体
320,3201,3202:主導体部
321,321B:第1補助導体部
322,322B:第2補助導体部
331,332,331B,332B:側面導体
340:第3グランド導体
341:幅広導体部
511,512,521,522:外部接続端子
31,31C:第1グランド導体
32,32C:第2グランド導体
41,411,412:層間接続導体
60:レジスト膜
90:誘電体素体
91,92,93:誘電体層
211,211B:第1信号導体
221,221B:第2信号導体
212B,222B:湾曲部
311,312,311B,312B:メッキ接続用導体
3101:第1信号導体用のグランド導体
3102:第2信号導体側のグランド導体
320,3201,3202:主導体部
321,321B:第1補助導体部
322,322B:第2補助導体部
331,332,331B,332B:側面導体
340:第3グランド導体
341:幅広導体部
511,512,521,522:外部接続端子
Claims (5)
- 複数の誘電体層を積層してなる平板状の誘電体素体と、
前記誘電体素体の内部に配置され、高周波信号の伝送方向に沿って延びる形状からなり、互いに隣接して配置されている第1信号導体および第2信号導体と、
前記誘電体素体の厚み方向において前記第1信号導体および前記第2信号導体に対して一方側に配置された第1グランド導体と、
前記誘電体素体の厚み方向において前記第1信号導体および前記第2信号導体に対して他方側に配置された第2グランド導体と、
を備えた伝送線路部材であって、
前記第1グランド導体は、前記第1信号導体と前記第2信号導体との略全長に亘って前記厚み方向に視て重なる形状からなり、
前記第2グランド導体は、
前記誘電体層を前記厚み方向に視て、前記第1信号導体と前記第2信号導体との間に配置され、前記第1信号導体と前記第2信号導体とに沿って延びる主導体部と、
前記主導体部から前記誘電体素体における前記第1信号導体と前記第2信号導体とに沿って延びる前記第1信号導体側の側面まで延びる形状であり、前記主導体部に接続する第1補助導体部と、
前記主導体部から前記誘電体素体における前記第1信号導体と前記第2信号導体に沿って延びる前記第2信号導体側の側面まで延びる形状であり、前記主導体部に接続する第2補助導体部と、
からなり、
前記第1グランド導体と前記第1補助導体部とを、前記第1信号導体側の側面において接続する第1側面導体と、
前記第1グランド導体と前記第2補助導体部とを、前記第2信号導体側の側面において接続する第2側面導体と、
前記第2グランド導体の前記主導体部と前記第1グランド導体とに接続し、前記誘電体素体の厚み方向に延びる層間接続導体と、
を備える、伝送線路部材。 - 前記層間接続導体は、導電性ペーストの固化物からなり、
前記第1側面導体および前記第2側面導体は、メッキからなる、
請求項1に記載の伝送線路部材。 - 前記主導体部と前記第1グランド導体との間に配置され、前記第1信号導体および前記第2信号導体に沿って延びる形状で、且つ前記層間接続導体に接続する第3グランド導体を備える、
請求項2に記載の伝送線路部材。 - 複数の誘電体層を積層してなる平板状の誘電体素体と、
前記誘電体素体の内部に配置され、高周波信号の伝送方向に沿って延びる形状からなり、互いに隣接して配置されている第1信号導体および第2信号導体と、
前記誘電体素体の厚み方向において前記第1信号導体および前記第2信号導体に対して一方側に配置された第1グランド導体と、
前記誘電体素体の厚み方向において前記第1信号導体および前記第2信号導体に対して他方側に配置された第2グランド導体と、
を備えた伝送線路部材であって、
前記第1グランド導体は、前記第1信号導体と前記第2信号導体との略全長に亘って前記厚み方向に視て重なる形状からなり、
前記第2グランド導体は、
前記誘電体層を前記厚み方向に視て、前記第1信号導体と前記第2信号導体との間に配置され、前記第1信号導体と前記第2信号導体とに沿って延びる主導体部と、
前記主導体部から前記誘電体素体における前記第1信号導体と前記第2信号導体とに沿って延びる前記第1信号導体側の側面まで延びる形状であり、前記主導体部に接続する第1補助導体部と、
前記主導体部から前記誘電体素体における前記第1信号導体と前記第2信号導体に沿って延びる前記第2信号導体側の側面まで延びる形状であり、前記主導体部に接続する第2補助導体部と、
からなり、
前記第1グランド導体と前記第1補助導体部とを、前記第1信号導体側の側面において接続する第1側面導体と、
前記第1グランド導体と前記第2補助導体部とを、前記第2信号導体側の側面において接続する第2側面導体と、
前記第2グランド導体の前記主導体部と前記第1グランド導体とに接続し、前記誘電体素体の厚み方向に延びる層間接続導体と、
前記第1信号導体側の側面における前記第1補助導体部が到達する部分に設けられ、前記第1信号導体側の側面から凹む第1凹部と、
前記第2信号導体側の側面における前記第2補助導体部が到達する部分に設けられ、前記第2信号導体側の側面から凹む第2凹部と、を備え、
前記第1側面導体は前記第1凹部に形成され、
前記第2側面導体は前記第2凹部に形成されている、
伝送線路部材。 - 複数の誘電体層を積層してなる平板状の誘電体素体と、
前記誘電体素体の内部に配置され、高周波信号の伝送方向に沿って延びる形状からなり、互いに隣接して配置されている第1信号導体および第2信号導体と、
前記誘電体素体の厚み方向において前記第1信号導体および前記第2信号導体に対して一方側に配置された第1グランド導体と、
前記誘電体素体の厚み方向において前記第1信号導体および前記第2信号導体に対して他方側に配置された第2グランド導体と、
を備えた伝送線路部材であって、
前記第1グランド導体は、前記第1信号導体と前記第2信号導体との略全長に亘って前記厚み方向に視て重なる形状からなり、
前記第2グランド導体は、
前記誘電体層を前記厚み方向に視て、前記第1信号導体と前記第2信号導体との間に配置され、前記第1信号導体と前記第2信号導体とに沿って延びる主導体部と、
前記主導体部から前記誘電体素体における前記第1信号導体と前記第2信号導体とに沿って延びる前記第1信号導体側の側面まで延びる形状であり、前記主導体部に接続する第1補助導体部と、
前記主導体部から前記誘電体素体における前記第1信号導体と前記第2信号導体に沿って延びる前記第2信号導体側の側面まで延びる形状であり、前記主導体部に接続する第2補助導体部と、
からなり、
前記第1グランド導体と前記第1補助導体部とを、前記第1信号導体側の側面において接続する第1側面導体と、
前記第1グランド導体と前記第2補助導体部とを、前記第2信号導体側の側面において接続する第2側面導体と、
前記第2グランド導体の前記主導体部と前記第1グランド導体とに接続し、前記誘電体素体の厚み方向に延びる層間接続導体と、
備え、
前記第1信号導体と前記第2信号導体の延びる方向において、前記第1補助導体部の形成位置と、前記第2補助導体部の形成位置とは、異なる、
伝送線路部材。
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