JP6135223B2 - 車載用スピーカ装置 - Google Patents
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Description
上記特許文献1には、中高音域の音と低音域の音とを出力可能な複合スピーカを用いた車載用音響装置が開示されている。この車載用音響装置では、複合スピーカから発生する低音域の音を天井に伝搬させ、天井を振動させることにより低音の音声を再生するようにしている。
上記問題を解決するために、請求項2に記載の発明は、車両の内装材に取り付けられる車載用スピーカ装置であって、中高音域の音を出力するための中高音域用スピーカ及び低音域の音を出力するためのアクチュエータを有する複合スピーカと、前記アクチュエータと前記内装材との間に配置されて前記アクチュエータの振動を前記内装材に伝達する樹脂を含有する伝達部材と、を備え、前記内装材には、開口が形成されており、前記伝達部材には、前記開口の内縁に沿う第1立壁部が設けられており、前記アクチュエータは、平板部と、前記平板部の外縁から立ち上がる形態の縁壁部と、を備えており、前記伝達部材には、前記縁壁部に接触しつつ沿うように配される第2立壁部が設けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記第1立壁部は、前記開口の前記内縁の略全周に沿うように設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記伝達部材には、前記アクチュエータの端部を挟み込むための爪部が設けられていることを要旨とする。
また、第1立壁部が開口の内縁の略全周に沿うように設けられている場合は、第1立壁部の遮断作用がより強く働き、内装材の端部からの音の吸収をより抑制できる。
また、アクチュエータが、平板部と、平板部の外縁から立ち上がる形態の縁壁部と、を備えており、伝達部材に、縁壁部に接触しつつ沿うように配される第2立壁部が設けられている場合は、伝達部材の第2立壁部と、アクチュエータの縁壁部が接触して、両者の接触面積を大きくできる。これにより、アクチュエータの振動を内装材に効率的に伝達できる。
また、アクチュエータの端部を挟み込むための爪部が設けられている場合は、アクチュエータの端部が伝達部材に確実に固定される。これにより、アクチュエータの振動を、伝達部材を介して内装材により効率的に伝達できる。
なお、振動伝達の損失が小さい材料としては、金属やセラミックス等も考えられる。しかしながら、樹脂は、それらの材料と比較して成形が容易であるので、曲面形状に形成された内装材に沿った形状を容易に形成することができ好適である。
伝達部材が繊維材料を含む樹脂から形成されている際には、伝達部材を100質量部とした場合に、繊維材料の含有割合は50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量部、更に好ましくは10〜30質量部である。
なお、第2立壁部は、例えば、上記アクチュエータに縁壁部が備えられていない場合であっても設けられていることができる。これにより、伝達部材自体の剛性をより高めることができる。
上記爪部は、例えば、アクチュエータの端部に当接する部分が面取りされていることができる(例えば、図16、図19等参照)。これにより、アクチュエータの端部の爪部への容易な挿入と、爪部によるアクチュエータの端部の確実な挟持とを両立させることができる。
なお、上記「アクチュエータの端部」とは、例えば、平板状のアクチュエータの場合には、その外縁であることができ、上記平板部及び上記縁壁部を有するアクチュエータの場合には、平板部の外縁や縁壁部であることができる。
<実施例1>
(1)車載用スピーカ装置の構成
本実施例1に係る車載用スピーカ装置11(以下、単にスピーカ装置ともいう)は、図2〜図5に示すように、中高音域の音を出力するための中高音域用スピーカ12(以下、単にスピーカ12ともいう)及び低音域の音を出力するためのアクチュエータ13を有する複合スピーカ14と、アクチュエータ13と天井基材20との間に配置されてアクチュエータ13の振動を天井基材20に伝達する伝達部材15と、を備えている。また、スピーカ装置11は、天井基材20の車室内側R2の表面側に配置されるスピーカグリル16と、を備えている。
(A)ガラス繊維を質量30パーセント含むポリブチレンテレフタレート(PBT−GF30)
(B)ポリカーボネート(PC)
(C)ガラス繊維を20質量パーセント含むポリカーボネート(PC−GF20)
(D)変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)
(E)ポリアミド6(PA6)
(F)MCナイロン(登録商標)(MC602ST)
また、図3〜図5に示すように、伝達部材15には、天井基材20に形成された開口20Aの内縁20Cに沿うように、車室内側R2に向かって延びる第1立壁部15Cが設けられている。本実施例1において、第1立壁部15Cは、開口20Aの内縁20Cの略全周に沿うように設けられている。
最初に、α-シアノアクリレートを成分とする瞬間接着剤を用いて、伝達部材15を天井基材20の車室外側R1の面に接着する。このとき、第1立壁部15Cが開口20Aの内縁20Cに沿うように位置を合わせて接着する。次に、複合スピーカ14のスピーカ12が車室外側R1、アクチュエータ13が車室内側R2、となる向きで、アクチュエータ13を伝達部材15の車室外側R1の面に配置する。これとともに、スピーカグリル16を、ボス16Aが天井基材20の貫通孔20B及び伝達部材15の貫通孔15Bを貫通するように、天井基材20の車室内側R2の面に配置する。最後に、アクチュエータ13に形成された貫通孔13Aからネジ17を挿通し、ボス16Aの雌ねじと螺結して固定する。
次に、上記構成の車載用スピーカ装置11の作用について説明する。上述の複合スピーカ14によると、ボイスコイル3に電気信号が入力されると、ボイスコイル3に変動磁界が生じ、この変動磁界が磁石2の磁界と相互作用して振動板1が振動する。ここで、磁石2もアクチュエータ13に直接固定されてなく、弾性部材7を介して取り付けられているから、振動板1が振動すると同時に磁石2も振動する。これによって電気信号は音に変換される。
以上より、本実施例1の車載用スピーカ装置11によると、アクチュエータ13と内装材である天井基材20との間に配置されてアクチュエータ13の振動を天井基材20に伝達する樹脂を含有する伝達部材15を備えている。天井基材20には開口20Aが形成されており、伝達部材15には、開口20Aの内縁20Cに沿う第1立壁部15Cが設けられている。このような構成により、第1立壁部15Cの遮断作用により、天井基材20の端部からの音の吸収を抑制できる。また、第1立壁部15Cがリブとして機能するので、伝達部材15の剛性が向上し、伝達部材15での音の減衰を抑制できる。
次に、実施例2に係る車載用スピーカ装置について説明する。本実施例2では、上記実施例1の車載用スピーカ装置11と略同じ構成部位には同符号を付けて詳説を省略し、相違点について詳説するものとする。
(1)車載用スピーカ装置の構成
図10〜図12に示すように、本実施例2に係る車載用スピーカ装置11は、実施例1のスピーカ装置11と同様に、スピーカ12及びアクチュエータ13を有する複合スピーカ14と、伝達部材15と、スピーカグリル16と、を備えている。
実施例2に係るアクチュエータ13は、平板部13Bと、縁壁部13Cと、を備えている。平板部13Bは平板状に形成されており、縁壁部13Cは、この平板部13Bの外縁から立ち上がるようにリブ状に形成されている。すなわち、実施例2のアクチュエータ13は上記実施例1の平板状のアクチュエータ13の外縁に縁壁部13Cが設けられた形態をなしている。
伝達部材15には第2立壁部15Dが備えられている。第2立壁部15Dは、縁壁部13Cに接触しつつ沿うように配されている。
次に、上記構成の車載用スピーカ装置11の作用及び効果について説明する。
本実施例2の車載用スピーカ装置11によれば、上記実施例1と同様の作用及び効果を奏する。また、アクチュエータ13が、平板部13Bと、平板部13Bの外縁から立ち上がる形態の縁壁部13Cと、を備えている。このため、上記実施例1と比較して、アクチュエータ自体の剛性を向上させることができ、振動の減衰を抑制することができる。また、伝達部材15に、縁壁部13Cに接触しつつ沿うように配される第2立壁部15Dが設けられている。これにより、上記実施例1と比較して、伝達部材15とアクチュエータとの接触面積を大きくできるとともに、伝達部材15自体の剛性も高めることができる。その結果、アクチュエータ13の振動を天井基材20により効率的に伝達することができる。
次に、実施例3に係る車載用スピーカ装置について説明する。本実施例3では、上記実施例1及び2の車載用スピーカ装置11と略同じ構成部位には同符号を付けて詳説を省略し、相違点について詳説するものとする。
(1)車載用スピーカ装置の構成
図13〜図15に示すように、本実施例3に係る車載用スピーカ装置11は、実施例1及び2のスピーカ装置11と同様に、スピーカ12及びアクチュエータ13を有する複合スピーカ14と、伝達部材15と、スピーカグリル16と、を備えている。アクチュエータ13は、上記実施例2と同様に、平板部13Bと、縁壁部13Cと、を備えている。
伝達部材15には、爪部15Eが設けられている。爪部15Eは、アクチュエータ13の端部である縁壁部13Cを挟み込むためのものである。本実施例3の爪部15Eは、縁壁部13Cに沿って、所定間隔で縁壁部13Cを挟み込むように設けられている。爪部15Eは、図16に示すように、縁壁部13Cを車室外側R1から車室内側R2に向かって押さえるように設けられている。また、爪部15Eの押さえ面15Fには面取りが施されている。
次に、上記構成の車載用スピーカ装置11の作用及び効果について説明する。
本実施例3の車載用スピーカ装置11によれば、上記実施例2と同様に、アクチュエータ13が、平板部13Bと、平板部13Bの外縁から立ち上がる形態の縁壁部13Cと、を備えているので、剛性が向上し、振動の減衰を抑制することができる。また、伝達部材15に、アクチュエータ13の端部である縁壁部13Cを挟み込むための爪部が設けられているので、アクチュエータ13の端部が伝達部材15に確実に固定される。これにより、アクチュエータ13の振動を、伝達部材15を介して、内装材である天井基材20により効率的に伝達できる。
図17及び図18に示すように、上記実施例1.に係る車載用スピーカ装置について、周波数特性の計測を行った。また材料の異なる伝達部材を用いた場合、及び第1立壁部が設けられていない、平板状の伝達部材を用いた場合の周波数特性の計測も行い、これらの計測結果と比較した。
これらによると、実施例1.の車載用スピーカ装置11では、伝達部材15の材料としてPC−GF20を用いていることにより、PBT−GF30を用いた伝達部材と比較して、500〜1250Hzにおける音圧が顕著に向上している。また、伝達部材15に第1立壁部15Cが設けられていることにより、伝達部材に第1立壁部が設けられていない場合と比較して、500〜4000Hzにおける音圧が顕著に向上している。
Claims (4)
- 車両の内装材に取り付けられる車載用スピーカ装置であって、
中高音域の音を出力するための中高音域用スピーカ及び低音域の音を出力するためのアクチュエータを有するとともに、前記内装材の車室外側の表面側に配置される複合スピーカと、
前記アクチュエータと前記内装材との間に配置されて前記アクチュエータの振動を前記内装材に伝達する樹脂を含有する伝達部材と、を備え、
前記内装材には、前記中高音域用スピーカからの音を車室内に伝搬するための開口が形成されており、
前記伝達部材には、前記内装材に対する前記開口の端部からの前記中高音域用スピーカの音の吸収を抑制するように、前記開口の内縁に沿う第1立壁部が設けられていることを特徴とする車載用スピーカ装置。 - 車両の内装材に取り付けられる車載用スピーカ装置であって、
中高音域の音を出力するための中高音域用スピーカ及び低音域の音を出力するためのアクチュエータを有する複合スピーカと、
前記アクチュエータと前記内装材との間に配置されて前記アクチュエータの振動を前記内装材に伝達する樹脂を含有する伝達部材と、を備え、
前記内装材には、開口が形成されており、
前記伝達部材には、前記開口の内縁に沿う第1立壁部が設けられており、
前記アクチュエータは、平板部と、前記平板部の外縁から立ち上がる形態の縁壁部と、を備えており、
前記伝達部材には、前記縁壁部に接触しつつ沿うように配される第2立壁部が設けられていることを特徴とする車載用スピーカ装置。 - 前記第1立壁部は、前記開口の前記内縁の略全周に沿うように設けられている請求項1又は2に記載の車載用スピーカ装置。
- 前記伝達部材には、前記アクチュエータの端部を挟み込むための爪部が設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車載用スピーカ装置。
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