JP6135075B2 - デコード方法及び受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、測位用信号に搬送されている航法メッセージをデコードする方法等に関する。
測位用信号を利用した衛星測位システムとしては、GPS(Global Positioning System)が広く知られており、携帯型電話機やカーナビゲーション装置等に内蔵された受信装置に利用されている。GPSでは、GPS受信装置の位置を算出するために擬似距離を求める。擬似距離とはGPS衛星からGPS受信装置までの距離のことであり、擬似距離を求めるためには、衛星軌道や正確な時刻情報等が必要となる。この衛星軌道等の情報は航法メッセージとして50bps(bit per second)のビットレートで測位用信号に搬送されている。
測位用信号から航法メッセージをデコードするための手法として、例えば特許文献1には、IQ内積値(Dot値)と呼ばれる指標値の正負の符号に基づいて航法メッセージのビット値の変化の有無を判定する手法が開示されている。
米国特許出願公開第2008/0069271号明細書
ところで、GPS受信装置が短い周期で速度変化する状況下では、従来の手法を用いて航法メッセージを正しくデコードできない場合がある。その典型的な場面は、GPS受信装置を保持或いは装着した腕を振ってユーザーが歩行したり走行したりする場面である。例えば、GPS受信装置を具備した電子機器として携帯型電話機を考えた場合、携帯型電話機を持った手を振ってユーザーが歩行する場面が考えられる。他には、GPS受信装置を具備した電子機器としてランナーズウォッチを考えた場合、ランナーズウォッチを腕に装着してユーザーがランニングを行う場面が考えられる。
これらの場面では、ユーザーの腕振りに応じて、GPS受信装置の速度が短い周期で変化する。GPS受信装置の速度が変化すると、GPS衛星信号(測位用信号)を受信する際のドップラー周波数が変化する。ドップラー周波数はGPS衛星信号の受信周波数を定める主要因の1つである。一方、一旦GPS衛星信号を捕捉した後は、受信周波数の変化を予測して追尾する追尾ループの処理に入る。従って、ドップラー周波数が変化するのであれば、その変化に合わせて受信周波数を予測すればよい。
しかしながら、一般的な信号追尾処理と同様、従来のGPS衛星信号の追尾用のループフィルターは、短い周期での周波数変化に追従できる設計とはなっていない。追尾中に受信周波数が大きく変化し、GPS衛星信号を受信できなくなれば、追尾ロックが外れたとみなし、再度捕捉する処理を行えばよいという設計である。なお、GPS衛星信号を受信できなくなったことは、C/Aコードとレプリカコードとの相関演算の結果から判断できる。
ところが、ユーザーの腕振りによる受信周波数の変化は周期的であり、且つ、その周期も短く、更に、受信周波数に対する変化周波数の相対的な大きさも小さい。そのため、追尾ロックが外れることはほとんどない。しかし、追尾用の受信周波数と、実際の受信周波数との間にはズレが生じている。このズレが、航法メッセージのデコードエラーを生じさせる要因となることが明らかとなった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、航法メッセージを従来よりも正しくデコードするための新しい手法を提案することを目的とする。
以上の課題を解決するための第1の発明は、測位用信号の受信データに対して、第1の予測周波数に基づいて第1の相関演算を行うことと、前記第1の相関演算の結果に基づく前記測位用信号の搬送波位相を用いて、前記第1の予測周波数の誤差周波数を推定することと、前記誤差周波数を用いて前記第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出することと、前記第2の予測周波数に基づいて、同一の前記受信データに対して第2の相関演算を行うことと、前記第2の相関演算の結果を用いて、前記測位用信号に搬送されている航法メッセージをデコードすることと、を含むデコード方法である。
また、他の発明として、測位用信号の受信データに対して、第1の予測周波数に基づく第1の相関演算の実行を制御する第1の相関演算制御部と、前記第1の相関演算の結果に基づく前記測位用信号の搬送波位相を用いて、前記第1の予測周波数の誤差周波数を推定する誤差周波数推定部と、前記誤差周波数を用いて前記第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出する第2の予測周波数算出部と、前記第2の予測周波数に基づいて、同一の前記受信データに対する第2の相関演算の実行を制御する第2の相関演算制御部と、前記第2の相関演算の結果を用いて、前記測位用信号に搬送されている航法メッセージをデコードするデコード部と、を備えた受信装置を構成することとしてもよい。
この第1の発明等によれば、測位用信号の受信データに対して、第1の予測周波数に基づいて第1の相関演算を行う。しかし、測位用信号の受信装置の速度が短い周期で変化する状況等においては、ドップラー周波数が短い周期で変化することにより、第1の相関演算を行った際の第1の予測周波数が正しい周波数であるとは限らない。そこで、第1の相関演算の結果に基づく測位用信号の搬送波位相を用いて、第1の予測周波数の誤差周波数を推定する。そして、当該誤差周波数を用いて第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出する。
第1の予測周波数を補正することで、補正を行わない場合よりも受信装置の速度変化に依らずに周波数を正しく推定することができる。そこで、このようにして算出した第2の予測周波数に基づいて同一の受信データに対する第2の相関演算を行う。これにより、周波数誤差に相当する誤差分が低減された第2の相関演算の結果を得ることができる。そして、このようにして取得した第2の相関演算の結果を用いることで、測位用信号に搬送されている航法メッセージを従来よりも正しくデコードすることが可能となる。
第2の発明として、第1の発明のデコード方法において、前記誤差周波数を推定することは、前記搬送波位相と所与の基準位相との位相差に基づいて前記誤差周波数を推定することを含むデコード方法としてもよい。
この場合、第3の発明として、第2の発明のデコード方法における前記受信データは、前記測位用信号を受信したデータを単位期間毎に区切ったデータであり、直前の単位期間に係る受信データに対して行った前記第2の相関演算の結果に基づく搬送波位相を用いて前記基準位相を定めること、を更に含むデコード方法を構成するようにすると効果的である。
第2の発明によれば、搬送波位相と所与の基準位相との位相差に基づいて誤差周波数を推定する。この際、第3の発明のように、直前の単位期間に係る受信データに対して行った第2の相関演算の結果に基づく搬送波位相を用いて基準位相を定めることで、直前の単位期間を基準として周波数がどの程度変動したかを見積もり、第1の予測周波数の誤差周波数を適切に推定することが可能となる。
また、第4の発明として、第2又は第3の発明のデコード方法において、前記第2の予測周波数を算出することは、前記位相差又は前記誤差周波数が許容範囲外である場合に、前記第2の予測周波数を算出することであり、前記位相差又は前記誤差周波数が許容範囲内である場合に、前記第1の相関演算の結果を用いて前記航法メッセージをデコードすること、を更に含むデコード方法を構成することとしてもよい。
この第4の発明によれば、位相差又は誤差周波数が許容範囲外である場合に、第2の予測周波数を算出する。その一方、位相差又は誤差周波数が許容範囲内である場合に、第1の相関演算の結果を用いて航法メッセージをデコードする。位相差又は誤差周波数が許容範囲内であれば、第1の相関演算の結果を信頼することができるため、第2の相関演算は実行しなくともよい。この場合、第2の相関演算を省略できるため、演算量を削減することができる。
また、第5の発明として、第4の発明のデコード方法において、前記許容範囲は、前記位相差を前記誤差周波数に換算した周波数の大きさが閾値周波数以下であり、前記閾値周波数は、4Hz以下の所定周波数に定められた、デコード方法を構成することとしてもよい。
この第5の発明によれば、位相差又は誤差周波数に対する許容範囲は、位相差を誤差周波数に換算した周波数の大きさが閾値周波数以下であり、閾値周波数は、4Hz以下の所定周波数に定められる。本願発明者が行った実験により、航法メッセージのデコードが失敗する可能性は、4Hzを超える周波数変動が生じた場合に高くなることが分かった。そこで、4Hz以下の所定周波数を閾値周波数として定め、この閾値周波数を用いて、位相差又は前記誤差周波数が許容範囲内であるか否かを判定する。
また、第6の発明として、第1〜第5の何れかの発明のデコード方法において、前記受信データは、前記測位用信号を受信したデータを単位期間毎に区切ったデータであり、前記第2の予測周波数に基づいて、次の単位期間に係る受信データについて前記第1の相関演算を行う際の前記第1の予測周波数を算出することを更に含む、デコード方法を構成することとしてもよい。
この第6の発明によれば、第2の予測周波数に基づいて、次の単位期間に係る受信データについて第1の相関演算を行う際の第1の予測周波数を算出することで、次の単位期間では適切な第1の予測周波数に基づき第1の相関演算を行うことができる。
また、第7の発明として、第1〜第6の何れかの発明のデコード方法において、前記第2の相関演算の結果に基づく前記測位用信号の搬送波位相を用いて、前記第2の予測周波数の誤差周波数を推定し、前記第2の予測周波数を更新することと、前記更新された前記第2の予測周波数に基づいて、前記第2の相関演算を再度行うことと、を更に含むデコード方法を構成することとしてもよい。
この第7の発明によれば、第2の相関演算の結果に基づく測位用信号の搬送波位相を用いて、第2の予測周波数の誤差周波数を推定し、第2の予測周波数を更新する。そして、更新された第2の予測周波数に基づいて、第2の相関演算を再度行う。これにより、第2の予測周波数を可及的に真の周波数に近付けることができ、第2の相関演算の正確性を向上させることができる。その結果、航法メッセージのデコードの正確性が向上する。
従来手法による航法メッセージのデコードの説明図。 (1)停止時のドップラー周波数と予測ドップラー周波数との関係の模式図。(2)腕振り時のドップラー周波数と予測ドップラー周波数との関係の模式図。 (1)誤差周波数が0Hzの場合の説明図。(2)誤差周波数が1Hzの場合の説明図。(3)誤差周波数が5Hzの場合の説明図。 誤差周波数とIQ内積値との関係を示す実験結果。 本発明の手法による航法メッセージのデコードの説明図。 誤差周波数の推定方法の説明図。 ランナーズウォッチの機能構成の一例を示すブロック図。 ベースバンド処理回路部の回路構成の一例を示す図。 デコード処理の流れを示すフローチャート。 誤差周波数推定処理の流れを示すフローチャート。 第2のデコード処理の流れを示すフローチャート。
以下、本発明を適用した好適な実施形態の一例について説明する。本実施形態は、衛星測位システムとしてGPS(Global Positioning System)を適用した実施形態である。但し、本発明を適用可能な形態が以下説明する実施形態に限定されるわけでないことは勿論である。
1.原理
本実施形態における航法メッセージのデコード方法について説明する。本実施形態は、GPS衛星から発信されるGPS衛星信号に搬送された航法メッセージをデコードする実施形態である。本実施形態のデコード方法は、例えば身体装着型の受信装置における航法メッセージのデコード方法に適用することが可能である。身体装着型の受信装置は、人間の所定部位(例えば腕や脚)に着脱可能に構成された受信装置であり、例えば手首や上腕に装着して利用される小型電子機器(例えばランナーズウォッチ)に内蔵される受信装置がこれに相当する。
測位用衛星の一種であるGPS衛星は、アルマナックやエフェメリス等の衛星軌道データを含む航法メッセージを、測位用衛星信号の一種であるGPS衛星信号に乗せて発信している。GPS衛星信号は、拡散符号の一種であるC/A(Coarse and Acquisition)コードによって、スペクトラム拡散方式として知られるCDMA(Code Division Multiple Access)方式によって変調された1.57542[GHz]の通信信号である。C/Aコードは、コード長1023チップを1PNフレームとする繰返し周期1msの擬似ランダム雑音符号であり、各GPS衛星に固有のコードである。
GPS衛星がGPS衛星信号を発信する際の周波数(規定キャリア周波数)は、1.57542[GHz]と予め規定されているが、GPS衛星及びGPS受信装置の移動により生ずるドップラーの影響等により、GPS受信装置がGPS衛星信号を受信する際の周波数は、必ずしも規定キャリア周波数とは一致しない。そのため、GPS受信装置は、受信信号と、装置内部で発生させた擬似的なC/Aコードであるレプリカコードとの相関演算を周波数方向及び位相方向それぞれについて実行して、GPS衛星信号を捕捉する。
周波数方向の相関演算は、受信した搬送波(キャリア)の信号である受信キャリア信号の周波数(以下、「受信周波数」と称す。)を特定するための演算(いわゆる周波数サーチ)である。また、位相方向の相関演算は、受信信号に含まれるC/Aコードである受信C/Aコードの位相(以下、「コード位相」と称す。)を特定するための演算(いわゆる位相サーチ)である。
具体的には、GPS受信装置は、受信キャリア信号からキャリアを除去するために、キャリア周波数の信号であるキャリア除去用信号を受信キャリア信号に乗算する。そして、その乗算結果として得られた受信コード信号とレプリカコードとの相関演算を行い、その演算結果として得られる相関値のピークを検出することで、受信周波数及びコード位相を特定する。これがGPS衛星信号の捕捉である。
ところで、GPS衛星信号は、拡散符号であるC/Aコードが航法メッセージデータのビット値に応じてBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調されている。具体的には、50bps(bit per second)での変調のため、航法メッセージの1ビット分の時間は20ミリ秒である。つまり、航法メッセージのビット値は、20ミリ秒毎に“0→1”又は“1→0”に変化(遷移)する可能性がある。可能性があるというのは、“0→0”又は“1→1”のようにビット値が変化しない場合もあるということである。
本実施形態では、この20ミリ秒毎に到来するタイミングであって、航法メッセージデータのビット値が変化(遷移)し得るタイミングのことを「ビット遷移タイミング」と定義する。本実施形態では、ビット遷移タイミングはわかっているが、ビット遷移タイミングでのビット値の変化の有無は分かっておらず、このビット値の変化の有無を正しく判定するための方法(すなわち、デコード方法)について説明する。GPS衛星信号を受信したデータを20ミリ秒毎に区切り、それぞれの20ミリ秒の期間を「単位期間」として、各単位期間に係る受信データに対してレプリカコードとの相関演算を行うこととして説明する。また、単位期間を定める20ミリ秒の時間のことを「単位時間」として説明する。
図1は、航法メッセージの従来のデコード方法の説明図である。隣接する単位期間の境目で航法メッセージのビット値が変化したかどうかを判定できれば、航法メッセージをデコードすることができる。本実施形態では、このビット値の変化の有無を、IQ内積値(Dot)と称する指標値に基づいて判定する場合を例に挙げて説明する。
最初に、IQ分離された受信信号をデジタル化した受信データに対してレプリカコードとの相関演算を行う。これにより、I相の相関値であるI相相関値及びQ相の相関値であるQ相相関値が得られる。但し、I相は受信信号の同相成分(実部)を示し、Q相は受信信号の直交成分(虚部)を示す。図1において、I相相関値及びQ相相関値の時間軸の上に示した下向きの矢印は、相関値の算出タイミング(サンプルタイミング)を示す。相関値の算出タイミングは、例えば所定時間間隔(例えば1ミリ秒)毎のタイミングである。
次いで、I相相関値とQ相相関値とのそれぞれについて、各単位期間の受信データに対する相関値を当該単位期間分(20ミリ秒分)積算して、各単位期間についてI相相関積算値“SumI”及びQ相相関積算値“SumQ”を得る。各相関積算値に対応する単位期間の番号“n=1,2,3,・・・”を括弧書きで示す。例えば、第1番目(n=1)の単位期間のI相相関積算値及びQ相相関積算値を、それぞれ“SumI(1)”及び“SumQ(1)”と表記する。
図1に示すように、第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目における航法メッセージのビット値の変化の有無を判定する場合を考える。この場合、次式(1)に従ってIQ内積値Dot(n|n+1)を算出する。
Figure 0006135075
式(1)に従って算出されるIQ内積値Dot(n|n+1)がゼロか正である場合は(Dot(n|n+1)≧0)、第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目において航法メッセージのビット値が変化しなかった(ビット変化なし)と判定する。それに対し、IQ内積値Dot(n|n+1)が負である場合は(Dot(n|n+1)<0)、第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目において航法メッセージのビット値が変化した(ビット変化あり)と判定する。
この手法では、各単位期間について、式(1)に従ってIQ内積値を算出してその正負の符号を判定するという簡易な手法により、航法メッセージのビット値の変化の有無を判定することができる。しかし、この手法には問題がある。GPS受信装置がGPS衛星信号を追尾している周波数(以下、「追尾周波数」と称す。)と実際のGPS衛星信号の受信周波数とが一定以上乖離している場合に単純にIQ内積値に基づいてビット値の変化の有無を判定すると、高い確率で誤判定が生ずるという問題である。
GPS受信装置は、GPS衛星信号を捕捉すると、捕捉したGPS衛星信号を追尾する。GPS衛星信号の追尾は、コード位相を追尾する遅延ロックループDLL(Delay Locked Loop)や、搬送波の位相を追尾する位相ロックループPLL(Phase Locked Loop)、搬送波の周波数を追尾する周波数ロックループFLL(Frequency Locked Loop)といった追尾用のロックループによって実現することができる。本実施形態では、これらのロックループのうちのFLLに着目し、FLLを用いて搬送波の周波数を追尾する場合に着目して説明する。
FLLは、キャリア除去用信号(キャリアレプリカ信号とも言う。)を生成する発振器(例えばキャリアNCO(Numerical Controlled Oscillator))を制御対象とし、受信信号の位相とキャリア除去用信号の位相とを一致させるように発振器を制御する。FLLは、周波数弁別器及びループフィルターによって、例えば過去の追尾周波数の履歴に基づいて線形的にドップラー周波数を予測するように設計される。
図2は、実際のドップラー周波数と、FLLによって予測されるドップラー周波数(以下、「予測ドップラー周波数」と称す。)との関係を模式化した図である。実際のドップラー周波数を実線で、予測ドップラー周波数を点線でそれぞれ示している。図2(1)は、GPS受信装置が停止している場合におけるドップラー周波数と予測ドップラー周波数との関係を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示す。ここでは、GPS衛星がGPS受信装置に近付く方向に移動している場合のドップラー周波数の時間変化を模式化して示している。
図2(1)を見ると、GPS衛星がGPS受信装置に近付くにつれて、ドップラー周波数が増加する方向に変化し、その変化の傾向はおよそ線形的な傾向を示していることがわかる。一方、FLLはドップラー周波数を線形的に予測するため、予測ドップラー周波数も線形的に増加している。その結果、真のドップラー周波数と予測ドップラー周波数とはほぼ一致している。この状態は、キャリア周波数が適切に追尾できている状態である。
図2(2)は、GPS受信装置を腕に装着したユーザーが腕を振りながら歩行している場合における実際のドップラー周波数と予測ドップラー周波数との関係を模式化した図である。図の見方は図2(1)と同じであるが、図2(2)では、GPS衛星がGPS受信装置から遠ざかる方向に移動している場合のドップラー周波数の時間変化を模式化した図を示している。
図2(2)を見ると、GPS衛星がGPS受信装置から遠ざかるにつれて、予測ドップラー周波数は減少する方向に変化している。図2(1)と大きく異なるのは、真のドップラー周波数が短い周期で大きく振動している点である。ユーザーが腕を振ることで、短い周期でGPS受信装置の移動速度が変化する。その結果、GPS衛星とGPS受信装置の相対速度ベクトルが短い周期で変化し、これに伴いドップラー周波数が短い周期で変化している。
FLLは、フィルターによって過去のドップラー周波数を平均化した上で予測ドップラー周波数を求めるため、短い周期のドップラー周波数の変化に追従することができず、線形的にドップラー周波数を予測してしまっている。これが問題である。つまり、予測ドップラー周波数と実際のドップラー周波数との間に乖離が生じており、キャリア周波数の追尾が適切になされていない状態である。この状態でIQ内積値を算出して航法メッセージをデコードすると、デコードに失敗する可能性が高くなる。
なお、ドップラー周波数が大きく変化した場合には、C/Aコードとレプリカコードとの相関演算の結果が不良(相関が取れていないことを示すゼロに近い値)となるため、追尾ループのロックから外れたと判断できる。しかし、ユーザーの腕振り程度の周波数変化は、受信周波数全体に対する変化量が小さく、且つ、その変化は周期的であって、更に、その周期も短いため、追尾ループのロックから外れることがほとんどない。このため、追尾自体は正常に実行できていると判断されてしまう。
図3は、誤差周波数と相関値との関係を調べる実験を行った実験結果の一例を示す図である。真の受信周波数とFLLが予測した予測周波数との差を「誤差周波数」とし、異なる誤差周波数に対してどのような相関値(I相相関値及びQ相相関値)が得られるのかを検証する実験を行った。
図3(1)、図3(2)及び図3(3)は、それぞれ誤差周波数を0Hz、1Hz及び5Hzとした場合の実験結果である。また、各図において、横軸は時間を示し、縦軸は正規化した相関値(I相相関値及びQ相相関値)を示す。I相相関値を一点鎖線で、Q相相関値を点線でそれぞれ示している。また、航法メッセージのビット値と相関値との関係を明確にするために、航法メッセージのビット値の変化を実線で併せて図示している。
真のドップラー周波数と予測ドップラー周波数とが一致していれば、キャリア除去(以下、「キャリアワイプオフ」と称す。)によって受信キャリア信号からキャリアが完全に除去される。しかし、ドップラー周波数と予測ドップラー周波数とが一致していない場合は、キャリアワイプオフによってキャリアが完全に除去されず、ドップラー周波数と予測ドップラー周波数との差(誤差周波数)に相当する周波数の信号成分が受信信号に残存する。この状態で受信信号とレプリカコードとの相関演算を行うと、誤差周波数に応じた信号成分が相関値に現れることになる。
誤差周波数が0Hzの場合は、キャリアワイプオフによってキャリアが完全に除去され、直交成分のみが残る。このため、受信信号とレプリカコードとの相関演算を行うと、図3(1)に示すように、相関値の波形は矩形波となる。但し、信号成分は直交成分のみであったため、I相相関値はゼロで一定となっている。なお、航法メッセージのビット値が変化するタイミングで相関値の位相が反転するが、これは、GPS衛星信号では、C/Aコードが航法メッセージデータのビット値に応じてBPSK変調されていることによる。
誤差周波数が1Hzの場合は、キャリアワイプオフによって1Hzの周波数成分が受信信号に残存する。このため、受信信号とレプリカコードとの相関演算を行うと、図3(2)に示すように、相関値の波形は1Hzの周波数成分を含む波形となっている。
誤差周波数が5Hzの場合は、キャリアワイプオフによって5Hzの周波数成分が受信信号に残存する。このため、受信信号とレプリカコードとの相関演算を行うと、図3(3)に示すように、相関値の波形は5Hzの周波数成分を含む波形となっている。
このように、相関値(I相相関値及びQ相相関値)の波形には、誤差周波数に応じた周波数成分が含まれることになる。従って、誤差周波数が大きくなるに従って、相関値の振動周期が短くなり、航法メッセージのビット遷移周期よりも短い周期で相関値が振動することとなる。
図4は、誤差周波数とIQ内積値との関係を調べる実験を行った実験結果の一例を示す図である。航法メッセージのビット値が変化する場合(ビット変化あり)と、ビット値が変化しない場合(ビット変化なし)とのそれぞれについて、異なる誤差周波数に対してIQ内積値がどのように変化するかを調べる実験を行った。図4において、横軸は誤差周波数(単位はHz)を示し、縦軸はIQ内積値(Dot)を示す。ビット変化ありの場合のIQ内積値をダイヤ形のプロット+実線で、ビット変化なしの場合のIQ内積値を矩形のプロット+点線でそれぞれ示している。
図1で説明したように、ビット変化ありの場合は、IQ内積値は負の値となり、ビット変化なしの場合は、IQ内積値は0または正の値となるはずである。そこで、図4の実験結果を見ると、誤差周波数が0Hz〜4Hzの範囲では、上記の符号と合致する符号のIQ内積値が得られていることがわかる。しかし、誤差周波数が4Hzを超えると、特に13Hz近傍までの周波数範囲において、本来得られるべき符号とは真逆の符号のIQ内積値が得られてしまっている。従って、誤差周波数が4Hzを超えると、IQ内積値に基づいて航法メッセージのビット値の変化の有無を判定した場合に誤判定することになる。
本願発明者が行った実験によれば、GPS受信装置を装着したユーザーが腕を振って歩行や走行している場合、4Hzを超える周波数変動が定常的に生ずることがわかった。そこで、本実施形態では、以下説明する手順で航法メッセージをデコードすることで、航法メッセージのデコード率の向上を実現する。
図5は、本実施形態における航法メッセージのデコードの流れを模式化した図である。ここでは、第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目での航法メッセージのビット値の変化の有無を判定する場合について説明する。ここでは、第n番目の単位期間に係るI相相関積算値SumI(n)及びQ相相関積算値SumQ(n)が既に得られている状態として図示・説明する。
まず、第n+1番目の単位期間のGPS衛星信号の受信データに対して、第1の予測周波数に基づいて第1の相関演算を行う(ステップT1)。第1の予測周波数は、FLLによって予測されたドップラー周波数をキャリア周波数に加算/減算した周波数であり、キャリア除去用信号の生成部に生成させるキャリア除去用信号の周波数である。GPS衛星信号の追尾周波数とも言える。
第1の相関演算の結果を20ミリ秒分積算することで、第n+1番目の単位期間に係るI相相関積算値SumI(n+1)及びQ相相関積算値SumQ(n+1)を得る(ステップT3)。
次いで、第n番目の単位期間に係るI相相関積算値SumI(n)及びQ相相関積算値SumQ(n)と、第n+1番目の単位期間に係るI相相関積算値SumI(n+1)及びQ相相関積算値SumQ(n+1)とを用いて、第n+1番目の単位期間における第1の予測周波数の誤差周波数Δf(n+1)を推定する。
図6は、誤差周波数の推定方法の説明図である。IQ座標系において、第n番目の単位期間における第1のI相相関積算値SumI1(n)及びQ相相関積算値SumQ1(n)を成分とするIQベクトル(n)を基準IQベクトル(第1のIQベクトル)とする。IQベクトルの位相は、受信キャリア信号の位相(搬送波位相)を示す。本実施形態では、直前の単位期間に係る受信データに対して行った第2の相関演算の結果に基づく搬送波位相を用いて基準位相を定める。具体的には、基準IQベクトルの搬送波位相を基準位相とする。
次に、第n+1番目の単位期間における第1のI相相関積算値SumI1(n+1)及びQ相相関積算値SumQ1(n+1)を成分とするIQベクトル(n+1)をIQ座標上に描く。このIQベクトル(n+1)の搬送波位相と、基準IQベクトル(n)の搬送波位相(基準位相)との位相差に基づいて、第n番目の単位期間での予測周波数からの誤差周波数を推定する。位相差は、基準IQベクトルIQ(n)とIQベクトル(n+1)との成す角度Δθとして計算することができる。角度Δθは、例えば基準IQベクトルに対して反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度として計算することができる。
角度Δθを周波数に換算することで誤差周波数を推定する。位相差から周波数への変換は、例えば次のようにして行うことができる。航法メッセージのBPSK変調は50bps(50Hz)であるため、50Hzの周波数変化を360°の位相変化に対応付けて、位相差を誤差周波数に換算する。つまり、1°の位相変化につき50/360Hzの周波数変化が生じたとして、位相差を誤差周波数に換算する。
第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目で航法メッセージのビット値が変化しなければ、IQベクトル(n+1)は、基準IQベクトル(n)からそれほど大きく回転しないはずである。しかし、第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目で航法メッセージのビット値が変化した場合は、基準IQベクトル(n)に対して正負の何れかの方向に180°程度回転したIQベクトル(n+1)が得られることになる。これは、航法メッセージのビット値が変化することで、相関値の極性が逆極性になるためである。
従って、基準IQベクトル(n)に対してIQベクトル(n+1)が正負の何れかの方向に180°程度回転している場合は、航法メッセージのビット値が変化している可能性が高いと判断し、これを考慮して誤差周波数を推定する。具体的には、基準IQベクトル(n)を原点の周りに180°回転させた回転基準IQベクトルを考える。そして、この回転基準IQベクトルとIQベクトル(n+1)との成す角度Δθを算出し、この角度Δθから誤差周波数を求める。
図5の説明に戻り、誤差周波数Δf(n+1)を推定したならば(ステップT5)、当該誤差周波数Δf(n+1)が許容範囲内の値か否かを判定する(ステップT7)。前述したように、誤差周波数が4Hz以上になると、IQ内積値を用いたビット値の変化の有無の判定が正しく行われなくなる可能性がある。そこで、例えば、4Hzに1Hz分の余裕を持たせた3Hzを閾値周波数とし、誤差周波数Δf(n+1)がこの閾値周波数未満(或いは以下)である場合に、許容範囲内と判定する。
なお、本実施形態では閾値周波数を3Hzとして説明するが、閾値周波数はこれに限定されないことは勿論である。4Hz以下の所定周波数を閾値周波数として定めるようにすればよい。
再び図6を参照すると、基準IQベクトルを中心とする所定の角度範囲(図中にハッチングを施した範囲)が、誤差周波数の許容範囲に相当する角度範囲である。位相差の許容範囲と言うこともできる。つまり、図6においてハッチングを施した範囲にIQベクトルが含まれる場合は、誤差周波数が許容範囲内であるということになる。従って、誤差周波数に対する閾値判定を行う代わりに、位相差に対する閾値判定を行うことにしてもよく、位相差と誤差周波数との何れに対して許容範囲内か否かの判定を行うかは、適宜選択することができる。
誤差周波数Δf(n+1)が許容範囲内であると判定した場合は(ステップT7:Yes)、第n番目の単位期間に係るI相相関積算値SumI(n)及びQ相相関積算値SumQ(n)と、第n+1番目の単位期間に係るI相相関積算値SumI(n+1)及びQ相相関積算値SumQ(n+1)とを用いてIQ内積値を計算し(ステップT13)、IQ内積値の正負の符号に基づいてビット値の変化の有無を判定する。これは、位相差又は誤差周波数が許容範囲内である場合に、第1の相関演算の結果を用いて航法メッセージをデコードすることに相当する。
一方、許容範囲内ではない(許容範囲外である)と判定した場合は(ステップT7:No)、第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出する。具体的には、第1の予測周波数に誤差周波数を加算することで第1の予測周波数を補正し、補正後の周波数を新たな追尾周波数(第2の予測周波数)とする。これは、位相差又は誤差周波数が許容範囲外である場合に、第2の予測周波数を算出することに相当する。この場合は、第2の予測周波数のキャリア除去用信号(キャリアレプリカ信号)をキャリア発振器に生成させる。そして、このキャリア除去用信号を受信キャリア信号に乗算することでキャリアワイプオフを行い、その結果として得られる信号に対してレプリカコードを用いた相関演算(第2の相関演算)を行う(ステップT9)。
次いで、第2の相関演算で得られた相関値を所定時間分(例えば20ミリ秒分)積算する。つまり、I相相関積算値SumI(n+1)及びQ相相関積算値SumQ(n+1)を算出する(ステップT11)。そして、算出したI相相関積算値SumI(n+1)及びQ相相関積算値SumQ(n+1)を用いてIQ内積値を算出し(ステップT13)、その正負の符号に基づいて、第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目での航法メッセージのビット値の変化の有無を判定する。
上記の手順を全ての単位期間について行うことで、各単位期間の境目における航法メッセージのビット値の変化の有無を判定する。これにより、GPS衛星信号に搬送されている航法メッセージをデコードすることが可能となる。
2.実施例
次に、GPS衛星信号を受信する受信装置の実施例について説明する。本実施例では、身体装着型の小型電子機器として、ランナーズウォッチの実施例について説明する。
2−1.機能構成
図7は、ランナーズウォッチ1の機能構成の一例を示すブロック図である。ランナーズウォッチ1は、GPSアンテナ5と、GPS受信部10と、ホスト処理部30と、操作部40と、表示部50と、音出力部60と、通信部70と、時計部80と、記憶部90とを備えて構成される。
GPSアンテナ5は、GPS衛星から発信されているGPS衛星信号を含むRF(Radio Frequency)信号を受信するアンテナであり、受信信号をGPS受信部10に出力する。
GPS受信部10は、GPSアンテナ5から出力された信号に基づいてランナーズウォッチ1の位置を算出する回路或いは装置であり、いわゆるGPS受信装置に相当する機能ブロックである。但し、GPS受信部10を有するランナーズウォッチ1全体が受信装置に相当するとも言える。
GPS受信部10は、RF受信回路部11と、ベースバンド処理回路部20とを備えて構成される。なお、RF受信回路部11と、ベースバンド処理回路部20とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製造することも、1チップとして製造することも可能である。
RF受信回路部11は、RF信号の受信回路であり、航法メッセージを搬送するGPS衛星信号を受信する受信部に相当する。RF受信回路部11の回路構成としては、例えば、GPSアンテナ5から出力されたRF信号をA/D(Analog/Digital)変換器でデジタル信号に変換し、デジタル信号を処理する受信回路を構成してもよい。また、GPSアンテナ5から出力されたRF信号をアナログ信号のまま信号処理し、最終的にA/D変換することでデジタル信号をベースバンド処理回路部20に出力する構成としてもよい。
後者の場合には、例えば、次のようにRF受信回路部11を構成することができる。すなわち、所定の発振信号を分周或いは逓倍することで、RF信号乗算用の発振信号を生成する。そして、生成した発振信号を、GPSアンテナ5から出力されたRF信号に乗算することで、RF信号を中間周波数の信号(以下、「IF(Intermediate Frequency)信号」と称す。)にダウンコンバートする。そして、IF信号を増幅等した後、A/D変換器でデジタル信号に変換して、ベースバンド処理回路部20に出力する。
ベースバンド処理回路部20は、RF受信回路部11から出力されるデジタル化された受信データを利用して、キャリア除去や相関演算等のGPS衛星信号の捕捉・追尾に係る処理動作を行って、GPS衛星信号を捕捉・追尾する回路部である。ベースバンド処理回路部20は、上記の原理に従って、GPS衛星信号に搬送されている航法メッセージをデコードする。そして、デコードした航法メッセージを用いて衛星位置を推測する。また、受信信号とレプリカコードとの相関演算(信号捕捉)によって得られたコード位相を用いて擬似距離を算出し、この擬似距離と衛星位置とから、公知の位置計算を行って、ランナーズウォッチ1の位置を算出する。
ホスト処理部30は、記憶部90に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従ってランナーズウォッチ1の各部を統括的に制御するプロセッサーであり、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーを有して構成される。ホスト処理部30は、GPS受信部10から出力される位置情報に基づいて自装置の累積移動距離を算出し、ユーザーの走行距離として表示部50に表示させる制御を行う。
操作部40は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等を有して構成される入力装置であり、押下されたキーやボタンの信号をホスト処理部30に出力する。この操作部40の操作により、走行距離の測定開始や測定終了といった各種指示操作がなされる。
表示部50は、LCD(Liquid Crystal Display)等を有して構成される表示装置であり、ホスト処理部30から出力される表示信号に基づいた各種表示を行う。表示部50には、ユーザーの走行距離やラップタイム、ペース等の各種情報が表示される。
音出力部60は、スピーカー等を有して構成される音出力装置であり、ホスト処理部30から出力される音出力信号に基づいた各種音出力を行う。音出力部60からは、音声ガイダンスやペース音等が音出力される。
通信部70は、ホスト処理部30の制御に従って、装置内部で利用される情報を外部の情報処理装置(例えばパソコン)との間で送受するための通信装置である。通信部70の通信方式としては、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、クレイドルと呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式、近距離無線通信を利用して無線接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
時計部80は、ランナーズウォッチ1の内部時計であり、水晶振動子及び発振回路でなる水晶発振器等を有して構成される。時計部80の計時時刻はホスト処理部30に随時出力される。
記憶部90は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置を有して構成され、ホスト処理部30がランナーズウォッチ1を制御するためのシステムプログラムや、各種アプリケーション処理を実行するための各種プログラムやデータ等を記憶する。
2−2.ベースバンド処理回路部の回路構成
図8は、ベースバンド処理回路部20の回路構成の一例を示すブロック図である。
ベースバンド処理回路部20は、サンプルメモリ21と、乗算部22と、キャリア除去用信号生成部23と、相関演算部24と、レプリカコード生成部25と、処理部27と、記憶部29とを有して構成される。
サンプルメモリ21は、RF受信回路部11から出力されるデジタル化されたGPS衛星信号の受信データが記憶される記憶回路である。サンプルメモリ21は、例えば、単位期間3つ分以上の受信信号のデータを格納可能なメモリ量を有するリングバッファとして構成することができる。勿論、格納容量はこれ以上でもよい。
乗算部22は、キャリア除去用信号生成部23によって生成されたキャリア除去用信号を受信信号に乗算することで受信信号からキャリアを除去し、受信コード信号(受信データ)を相関演算部24に出力する。乗算部22は、例えば乗算器を有して構成される。
キャリア除去用信号生成部23は、GPS衛星信号のキャリア信号と同一の周波数の信号であるキャリア除去用信号を生成する回路である。RF受信回路部から出力される信号がIF信号である場合には、IF周波数をキャリア周波数として信号を生成する。何れにしろ、RF受信回路部から出力される信号の周波数と同一の周波数のキャリア除去用信号を生成するための回路である。
キャリア除去用信号生成部23は、処理部27から出力される周波数指示信号に従って指示された周波数のキャリア除去用信号を生成して、乗算部22に出力する。キャリア除去用信号生成部23は、同相成分の信号であるI相キャリア除去用信号及び直交成分の信号であるQ相キャリア除去用信号を乗算部22にそれぞれ出力する。
相関演算部24は、例えば複数の相関器(コリレーター)を有して構成され、乗算部22から出力される受信データと、レプリカコード生成部25によって生成されたレプリカコードとの相関演算を行う。
レプリカコード生成部25は、GPS衛星信号の拡散符号であるC/Aコードのレプリカコード(コードレプリカ)を生成する回路部である。レプリカコード生成部25は、処理部27から出力されるPRN(Pseudo Random Noise)番号及び移相量に従って、指示されたPRN番号のレプリカコードを指示された移相量で生成して、相関演算部24に出力する。
処理部27は、ベースバンド処理回路部20の各機能部を統括的に制御する制御装置及び演算装置であり、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーを有して構成される。
処理部27は、主要な機能部として、第1の相関演算制御部271と、誤差周波数推定部272と、第2の予測周波数算出部273と、第2の相関演算制御部274と、デコード部275と、キャリア周波数追尾部276と、位置算出部277とを有する。但し、これらの機能部は、一実施例として記載したに過ぎず、必ずしもこれら全ての機能部を必須構成要素としなければならないわけではない。また、これら以外の機能部を必須構成要素として追加することとしてもよい。
第1の相関演算制御部271は、GPS衛星信号の受信データに対して、第1の予測周波数に基づいて、相関演算部24に第1の相関演算を実行させる。
誤差周波数推定部272は、第1の相関演算の結果に基づいて算出されたGPS衛星信号の搬送波位相を用いて、第1の予測周波数の誤差周波数を推定する。
第2の予測周波数算出部273は、誤差周波数推定部272によって推定された誤差周波数を用いて第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出する。
第2の相関演算制御部274は、第2の予測周波数算出部273によって算出された第2の予測周波数に基づいて、第1の相関演算の処理対象と同一の受信データに対する第2の相関演算の実行を制御する。
デコード部275は、第1の相関演算の結果または第2の相関演算の結果を用いて、GPS衛星信号に搬送されている航法メッセージをデコードする。
キャリア周波数追尾部276は、受信信号のキャリアを追尾する機能部である。キャリア周波数追尾部276は、キャリア周波数と、キャリア除去用信号生成部23により生成されるキャリア除去用信号の周波数との周波数差(以下、「キャリア周波数差」と称す。)を所定の周波数弁別関数に従って算出する。
位置算出部277は、デコード部275によってデコードされた航法メッセージを利用して、例えば擬似距離を用いた所定の位置計算を行って、ランナーズウォッチ1の位置(位置座標)及び時計誤差(クロックバイアス)を算出する。そして、その算出結果をホスト処理部30に出力する。
記憶部29は、ベースバンド処理回路部20のシステムプログラムや、衛星信号捕捉・追尾機能、デコード機能、位置算出機能といった各種機能を実現するための各種プログラム、データ等を記憶する。また、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
記憶部29には、プログラムとして、処理部27によって読み出され、ベースバンド処理として実行されるベースバンド処理プログラム291が記憶されている。ベースバンド処理プログラム291は、デコード処理(図9参照)として実行されるデコードプログラム291Aと、誤差周波数推定処理(図10参照)として実行される誤差周波数推定プログラム291Bと、位置算出処理として実行される位置算出プログラム291Cとをサブルーチンとして含む。
また、記憶部29には、主要なデータとして、積算データ293と、デコード航法メッセージデータ295と、算出結果データ297とが記憶される。
積算データ293は、相関演算部24から出力される相関値を積算して求めた相関積算値のデータである。I相相関積算値及びQ相相関積算値がこれに含まれる。
デコード航法メッセージデータ295は、デコード部275がデコードした航法メッセージのデータである。
算出結果データ297は、位置算出部277が位置算出処理を行うことで取得した算出結果のデータであり、算出したランナーズウォッチ1の位置(位置座標)や時計誤差(クロックバイアス)がこれに含まれる。
2−3.処理の流れ
図9は、処理部27が、記憶部29に記憶されているデコードプログラム291Aに従って実行するデコード処理の流れを示すフローチャートである。このデコード処理は、ベースバンド処理プログラム291に従って実行されるベースバンド処理の中で常駐的に実行される処理である。また、このデコード処理では、単位時間である20ミリ秒が経過する毎に、直近の単位期間と当該単位期間の1つ前の単位期間との境目におけるビット値の変化の有無を判定することとして説明する。
処理部27は、単位時間(20ミリ秒)が経過するまで待機する(ステップA1;No)。そして、単位時間が経過したならば(ステップA1;Yes)、第1の相関演算制御部271が、相関演算部24による第1の相関演算の実行を制御する(ステップA3)。
具体的には、サンプルメモリ21に対してデータの出力制御信号を出力して、直近の単位期間に係る受信データを出力させるように制御する。また、1回前のデコード処理においてステップA17またはステップA23で算出された第1の予測周波数のキャリア除去用信号を生成させるための周波数指示信号をキャリア除去用信号生成部23に出力する。また、捕捉対象とするGPS衛星(以下、「捕捉対象衛星」と称す。)に係るPRN番号及びレプリカコードの移相量をレプリカコード生成部25に出力する。これにより、サンプルメモリ21から受信データが出力され、乗算部22でキャリアワイプオフが実行され、相関演算部24で第1の相関演算が実行される。
次いで、処理部27は、記憶部29に記憶されている誤差周波数推定プログラム291Bに従って誤差周波数推定処理を行う(ステップA5)。
図10は、誤差周波数推定処理の流れを示すフローチャートである。
最初に、誤差周波数推定部272は、相関演算部24から出力される相関値(I相相関値及びQ相相関値)をそれぞれ単位期間分(20ミリ秒分)積算して相関積算値(I相相関積算値及びQ相相関積算値)を算出し、積算データ293として記憶部29に記憶させる(ステップB1)。
次いで、誤差周波数推定部272は、ステップB1で算出した相関積算値に基づいてIQベクトルを求める(ステップB3)。そして、求めたIQベクトルと基準IQベクトルとの成す角度を算出する(ステップB5)。ここで求めるIQベクトルは、1つ前の単位期間に係る相関積算値から求まるベクトルであり、基準IQベクトルは、2つ前の単位期間に係る相関積算値から求まるベクトルである。
次いで、誤差周波数推定部272は、ステップB5で算出した角度の大きさ(絶対値)が90°未満であるか否かを判定し(ステップB7)、この条件を満たすと判定した場合は(ステップB7;Yes)、ステップB5で算出した角度を誤差周波数に換算する(ステップB9)。そして、誤差周波数推定部272は、誤差周波数推定処理を終了する。
一方、ステップB7において条件を満たさないと判定したならば(ステップB7;No)、誤差周波数推定部272は、ステップB3で求めたIQベクトルと基準IQベクトルを180°回転させた回転基準IQベクトルとの成す角度を算出する(ステップB11)。そして、誤差周波数推定部272は、算出した角度を誤差周波数に換算した後(ステップB13)、誤差周波数推定処理を終了する。
図9のデコード処理に戻り、誤差周波数推定処理を行ったならば、処理部27は、誤差周波数推定処理で推定された誤差周波数が所定の閾値周波数(例えば3Hz)を超えているか否かを判定する(ステップA7)。この条件を満たすと判定したならば(ステップA7;Yes)、処理部27は、誤差周波数を用いて第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出する(ステップA9)。つまり、第1の予測周波数に誤差周波数を加算して第2の予測周波数とする。
次いで、第2の相関演算制御部274が、相関演算部24による第2の相関演算の実行を制御する(ステップA11)。具体的には、サンプルメモリ21に対してデータの出力制御信号を出力し、ステップA3と同一の受信データ(直近の単位期間に係る受信データ)を出力させるように制御する。また、ステップA9で算出した第2の予測周波数のキャリア除去用信号を生成させるための周波数指示信号をキャリア除去用信号生成部23に出力するとともに、捕捉対象衛星に係るPRN番号及びレプリカコードの移相量をレプリカコード生成部25に出力する。これにより、サンプルメモリ21から同一の受信データが出力され、乗算部22でキャリアワイプオフが実行され、相関演算部24で第2の相関演算が実行される。
その後、デコード部275は、第2の相関演算の結果を用いてIQ内積値を計算する(ステップA13)。具体的には、ステップA11の第2の相関演算で求められた相関値を単位期間分積算して相関積算値(I相相関積算値及びQ相相関積算値)を算出する。そして、算出した相関積算値と、1回前に算出した相関積算値とを用いて、式(1)に従ってIQ内積値を計算する。
次いで、デコード部275は、ステップA13で算出したIQ内積値の正負の符号に基づいてビット変化判定を行う(ステップA15)。そして、キャリア周波数追尾部276は、第2の予測周波数を用いて、次の単位期間に係る次の受信データに対する第1の相関演算に用いる次の第1の予測周波数を算出する(ステップA17)。つまり、過去に算出された予測周波数(第1の予測周波数又は第2の予測周波数)と、ステップA9で算出された第2の予測周波数とを用いて、例えば次の単位期間に係る第1の予測周波数を線形予測する。その後、処理部27は、ステップA1に戻る。
一方、ステップA7において条件を満たさないと判定したならば(ステップA7;No)、デコード部275は、第1の相関演算の結果を用いてIQ内積値を計算する(ステップA19)。具体的には、ステップB1で算出した相関積算値と、1回前に算出した相関積算値とを用いて、式(1)に従ってIQ内積値を計算する。
次いで、デコード部275は、ステップA19で算出したIQ内積値の正負の符号に基づいてビット変化判定を行う(ステップA21)。つまり、直近の単位期間と当該単位期間の1つ前の単位期間との境目でのビット値の変化の有無を判定する。そして、その判定結果に基づいて航法メッセージのビット値を判定し、そのビット値を記憶部29のデコード航法メッセージデータ295に記憶させる。
その後、キャリア周波数追尾部276は、第1の予測周波数を用いて、次の単位期間に係る次の受信データに対する第1の相関演算に用いる次の第1の予測周波数を算出する(ステップA23)。つまり、過去に算出された予測周波数(第1の予測周波数又は第2の予測周波数)と、今回の第1の予測周波数とを用いて、例えば次の単位期間に係る第1の予測周波数を線形予測する。その後、処理部27は、ステップA1に戻る。
デコード処理は以上である。
フローチャートについては図示を省略するが、ベースバンド処理では、位置算出部277が、記憶部29に記憶されている位置算出プログラム291Cに従って位置算出処理を行う。具体的には、デコード処理によってデコードされた航法メッセージと、相関演算の結果に基づいて演算・取得したメジャメント情報とを用いて、例えば最小二乗法やカルマンフィルターのアルゴリズムを適用した位置計算を行って、ランナーズウォッチ1の位置及び時計誤差を算出する。そして、これらの算出結果を算出結果データ297として記憶部29に記憶させる。
2−4.作用効果
ランナーズウォッチ1において、第1の相関演算制御部271は、GPS衛星信号の受信データに対して、第1の予測周波数に基づく第1の相関演算の実行を制御する。誤差周波数推定部272は、第1の相関演算の結果に基づくGPS衛星信号の搬送波位相を用いて第1の予測周波数の誤差周波数を推定し、第2の予測周波数算出部273は、誤差周波数推定部272によって推定された誤差周波数を用いて第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出する。第2の相関演算制御部274は、第2の予測周波数算出部273によって算出された第2の予測周波数に基づいて、第1の相関演算で処理対象とした受信データと同一の受信データに対する第2の相関演算の実行を制御する。そして、デコード部275は、第2の相関演算制御部274の制御に従って実行された第2の相関演算の結果を用いて、GPS衛星信号に搬送されている航法メッセージをデコードする。
ユーザーの腕振りにより、ランナーズウォッチ1の速度が短い周期で変化し、これに伴いドップラー周波数が短い周期で変化する。このため、FLL等によって実際のドップラー周波数に追従するように周波数を予測することは困難である。そこで、1つの単位期間の間に第1の相関演算と第2の相関演算との2回の相関演算を行う。具体的には、第1の相関演算で得られた相関値を用いて第1の予測周波数の誤差周波数を推定し、当該誤差周波数を用いて第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出する。そして、この第2の予測周波数に基づいて第2の相関演算を行い、その相関演算結果を用いて計算したIQ内積値の正負の符号に基づいて、航法メッセージのビット値の変化の有無を判定する。
上記の手順で航法メッセージのビット値の変化の有無を判定することで、ランナーズウォッチ1の速度の変化に伴いドップラー周波数が短い周期で変化した場合であっても、これに追従するように周波数を予測して相関演算を行うことが可能となる。これにより、キャリアワイプオフ後の信号に不要な周波数成分が残存することを防止し、信頼性の高い相関値を得ることが可能となる。その結果、航法メッセージのビット値の変化の有無を適確に判定することができるようになり、航法メッセージを従来よりも正しくデコードすることが可能となる。本願発明者が行った実験によれば、本実施形態のデコード方法を用いて航法メッセージをデコードすることで、5〜15%程度のデコード率の向上が実現できた。
本実施形態では搬送波位相と所与の基準位相との位相差に基づいて誤差周波数を推定する。具体的には、直前の単位期間に係る受信データに対して行った第2の相関演算の結果に基づく搬送波位相を用いて基準位相を定め、搬送波位相と基準位相との位相差を周波数に換算することで誤差周波数を推定する。IQ平面でIQベクトルがどれだけ回転したかを判定するといった簡易な手法によって、誤差周波数を適切に推定することができる。
位相差又は誤差周波数が許容範囲内である場合は、第2の相関演算を抑止し、第1の相関演算の結果を用いて航法メッセージをデコードする。位相差又は誤差周波数が許容範囲内であれば、第1の相関演算の結果は信頼することができるため、第2の相関演算は実行せずともよい。
4Hz以上の周波数誤差が存在する場合にIQ内積値に基づいて航法メッセージのビット値の変化の有無を判定すると、誤判定する可能性が高くなる。また、身体装着型の受信装置では、ユーザーの歩行時や走行時に4Hzを超える周波数変動が高い頻度で生じ得る。このため、4Hz以下の所定周波数を閾値周波数として定めておくことで、実環境での装置の使用を考慮した適切な判定を行うことが可能となる。
3.変形例
本発明を適用可能な実施例は、上記の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。以下、変形例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
3−1.周波数追尾
上記の実施形態では、ベースバンド処理回路部20の処理部27が、キャリア周波数の追尾処理を行うこととして説明したが、キャリア周波数の追尾を行うためのループ回路を電子回路で構成し、このループ回路によってキャリア周波数の追尾を行うこととしてもよい。
具体的には、相関演算部24の後段に相関値を積算する積算部を設け、この積算部の出力を、ループ回路にフィードバック入力する。ループ回路は、例えば周波数弁別器とループフィルターとによって構成し、ループフィルターの出力がキャリア除去用信号生成部23に出力されるように構成する。この場合、処理部27は、ループフィルターから出力される周波数を第1の予測周波数として、上記のデコード処理と同様の処理を行えばよい。
3−2.デコード処理
上記の実施形態では、1つの単位期間について2回の相関演算(第1及び第2の相関演算)を行うこととして説明したが、3回以上の相関演算を行って航法メッセージのデコードを行うようにすることも可能である。具体的には、第2の相関演算の結果に基づくGPS衛星信号の搬送波位相を用いて、第2の予測周波数の誤差周波数を推定し、第2の予測周波数を更新する。そして、更新した第2の予測周波数に基づいて、第2の相関演算を再度行うようにする。
図11は、この場合に上記の実施例の処理部27が、図9のデコード処理に代えて実行する第2のデコード処理の流れを示すフローチャートである。なお、デコード処理と同一のステップについては同一の符号を付して再度の説明を省略し、デコード処理とは異なる部分に着目して説明する。
ステップA11において第2の相関演算の実行制御を行ったならば、処理部27は、ステップA5に戻り、再度誤差周波数推定処理(図10)を行う。つまり、最新の第2の相関演算の結果に基づくGPS衛星信号の搬送波位相を用いて、第2の予測周波数の誤差周波数を推定する。この処理を、ステップA7において誤差周波数が閾値周波数以下となるまで繰り返す。
誤差周波数が閾値周波数以下となったならば(ステップA7;No)、デコード部275は、最新の第2の相関演算の結果を用いてIQ内積値を算出する(ステップB15)。そして、デコード部275は、算出したIQ内積値の正負の符号に基づいてビット値の変化の有無を判定した後(ステップB17)、ステップA1に戻る。
この第2のデコード処理では、誤差周波数が閾値周波数以下となるまで第2の相関演算及び誤差周波数の推定を繰り返すため、必ず誤差周波数が許容範囲内となった際の第2の相関演算の結果がIQ内積値の計算に用いられることになる。このため、ノイズ等に起因する誤差の影響を限りなく抑えることが可能となり、航法メッセージのデコードの正確性を一層向上させることができる。
3−3.基準位相
上記の実施形態では、1つ前の単位期間について得られた相関積算値(I相相関値及びQ相相関値)から求まる搬送波位相を基準位相とした。つまり、直前の単位期間に係る受信データに対して行った第2の相関演算の結果に基づく搬送波位相を用いて基準位相を定めることとして説明した。しかし、基準位相の定め方はこれに限られるわけではない。例えば、過去所定期間分の単位期間(例えば過去2個分の単位期間)に係る相関積算値から求まる搬送波位相を平均処理することで得られる搬送波位相を基準位相として定めることとしてもよい。
3−4.ビット変化判定用指標値
上記の実施形態では、航法メッセージのビット変化の有無を判定するための指標値としてIQ内積値を例に挙げて説明したが、指標値はこれに限られるわけではない。IQ内積値以外の指標値として、パワー値と称する指標値を用いて航法メッセージのビット値の変化の有無を判定する場合について以下説明する。
隣接する単位期間の相関積算値を加算或いは減算の組合せを異ならせて合算し、その合算結果を用いてパワー値を算出する。具体的には、第n番目の単位期間に係る相関積算値を「正」とし、第n+1番目の単位期間に係る相関積算値を「正」とする合算方法である第1の組合せ「(正,正)」と、第1番目の単位期間に係る相関積算値を「正」とし、第2番目の単位期間に係る相関積算値を「負」とする合算方法である第2の組合せ「(正、負)」との2種類の組合せ(合算方法)に従ってパワー値を算出する。
第1の組合せ「(正,正)」に従って算出したパワー値のことを「加算パワー値」と称し、「Power」と表記する。また、第2の組合せ「(正,負)」に従って算出したパワー値のことを「減算パワー値」と称し、「Power」と表記する。例えば、第n番目の単位期間に係る相関積算値と第n+1番目の単位期間に係る相関積算値とを用いて算出した加算パワー値及び減算パワー値を、それぞれ「Power(n|n+1)」及び「Power(n|n+1)」と表記する。
加算パワー値Power(n|n+1)及び減算パワー値Power(n|n+1)は、それぞれ次式(2)及び(3)に従って算出される。
Figure 0006135075
Figure 0006135075
次いで、加算パワー値の大きさと減算パワー値の大きさとを比較する。そして、加算パワー値Power(n|n+1)が減算パワー値Power(n|n+1)よりも大きければ(Power(n,n+1)>Power(n|n+1))、第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目において航法メッセージデータのビット値が変化しなかったと判定する(ビット変化なし)。逆の場合には(Power(n|n+1)>Power(n|n+1))、第n番目の単位期間と第n+1番目の単位期間との境目において航法メッセージのビット値が変化したと判定する(ビット変化あり)。
3−5.デコード処理の切替
上記の実施例のランナーズウォッチ1に、例えば加速度センサーやジャイロセンサーといったセンサーを具備することとし、これらのセンサーの検出結果に基づいて、ユーザーの腕振りを判定することとしてもよい。
この場合、腕振りを検出した場合は、上記の実施例で説明したデコード処理を行って航法メッセージをデコードすることとし、腕振りを検出しなかった場合は、従来のデコード手法に基づくデコード処理を行って航法メッセージをデコードするなどしてもよい。つまり、腕振りの検出結果に基づいて、本実施形態のデコード方法に基づくデコード処理と、従来のデコード方法に基づくデコード処理とを切り替えることとしてもよい。
3−6.処理の主体
上記の実施例では、航法メッセージのデコード処理をベースバンド処理回路部20の処理部27が実行するものとして説明したが、これを電子機器のホスト処理部30が実行することとしてもよい。また、航法メッセージのデコード処理は処理部27が実行し、位置算出処理はホスト処理部30が実行するといったように、ベースバンド処理回路部のプロセッサーと電子機器のプロセッサーとで処理を分散させることとしてもよい。
3−7.電子機器
上記の実施例では、電子機器の一種であるランナーズウォッチに本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明を適用可能な電子機器はこれに限られるわけではない。例えば、携帯型電話機(スマートフォンを含む。)や携帯型ナビゲーション装置、ノート型パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、腕時計といった他の電子機器についても同様に適用することが可能である。
3−8.衛星測位システム
また、上記の実施形態では、衛星測位システムとしてGPSを例に挙げて説明したが、WAAS(Wide Area Augmentation System)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO等の他の衛星測位システムであってもよい。
1 ランナーズウォッチ、 10 GPS受信部、 11 RF受信回路部、 20 ベースバンド処理回路部、 21 サンプルメモリ、 22 乗算部、 23 キャリア除去用信号生成部、 24 相関演算部、 25 レプリカコード生成部、 27 処理部、 29 記憶部、 30 ホスト処理部、 40 操作部、 50 表示部、 60 音出力部、 70 通信部、 80 時計部、 90 記憶部

Claims (7)

  1. 測位用信号の受信データに対して、第1の予測周波数に基づいて第1の相関演算を行うことと、
    前記第1の相関演算の結果に基づく前記測位用信号の搬送波位相を用いて、前記第1の予測周波数の誤差周波数を推定することと、
    前記誤差周波数が許容範囲外である場合、
    前記誤差周波数を用いて前記第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出し、
    前記第2の予測周波数に基づいて、同一の前記受信データに対して第2の相関演算を行
    前記第2の相関演算の結果を用いて、前記測位用信号に搬送されている航法メッセージをデコードすることと、
    前記誤差周波数が許容範囲内である場合、
    前記第1の相関演算の結果を用いて、前記測位用信号に搬送されている航法メッセージをデコードすることと、
    を含むデコード方法。
  2. 前記誤差周波数を推定することは、前記搬送波位相と所与の基準位相との位相差に基づいて前記誤差周波数を推定することを含む、
    請求項1に記載のデコード方法。
  3. 前記受信データは、前記測位用信号を受信したデータを単位期間毎に区切ったデータであり、
    直前の単位期間に係る受信データに対して行った前記第2の相関演算の結果に基づく搬送波位相を用いて前記基準位相を定めること、
    含む請求項2に記載のデコード方法。
  4. 前記許容範囲は、閾値周波数が4Hz以下の所定周波数範囲である
    請求項1乃至3の何れか一項に記載のデコード方法。
  5. 前記受信データは、前記測位用信号を受信したデータを単位期間毎に区切ったデータであり、
    前記第2の予測周波数に基づいて、次の単位期間に係る受信データについて前記第1の相関演算を行う際の前記第1の予測周波数を算出することを更に含む、
    請求項1乃至4の何れか一項に記載のデコード方法。
  6. 前記第2の相関演算の結果に基づく前記測位用信号の搬送波位相を用いて、前記第2の予測周波数の誤差周波数を推定し、前記第2の予測周波数を更新することと、
    前記更新された前記第2の予測周波数に基づいて、前記第2の相関演算を再度行うことと、
    含む請求項1乃至5の何れか一項に記載のデコード方法。
  7. 測位用信号の受信データに対して、第1の予測周波数に基づく第1の相関演算の実行を制御する第1の相関演算制御部と、
    前記第1の相関演算の結果に基づく前記測位用信号の搬送波位相を用いて、前記第1の予測周波数の誤差周波数を推定する誤差周波数推定部と、
    前記誤差周波数が許容範囲外である場合、前記誤差周波数を用いて前記第1の予測周波数を補正して第2の予測周波数を算出する第2の予測周波数算出部と、
    前記誤差周波数が許容範囲外である場合、前記第2の予測周波数に基づいて、同一の前記受信データに対する第2の相関演算の実行を制御する第2の相関演算制御部と、
    前記誤差周波数が許容範囲外である場合、前記第2の相関演算の結果を用いて、前記測位用信号に搬送されている航法メッセージをデコードするデコード部と、
    を備え
    前記誤差周波数が許容範囲内である場合、前記デコード部は、前記第1の相関演算の結果を用いて、前記測位用信号に搬送されている航法メッセージをデコードする、
    受信装置。
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