JP6133484B1 - 電力ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導体の形状や介在物の種類に依存しない汎用的な方法で、電力ケーブルの絶縁層中の水分量を低減させ、ヒートサイクル試験特性を向上させ、長期安定性に優れた電力ケーブルおよびその製造方法を提供する。【解決手段】少なくとも、導体、導体上介在物層、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、外部半導電層上介在物層を順に積層した構造を有する電力ケーブルであって、前記外部半導電層上介在物層の外周に、遮水層が被覆され、前記電力ケーブルに組み込まれた前記導体上介在物と前記外部半導電層上介在物の水分量が、いずれも90℃20%RHの雰囲気下で平衡する水分量未満である電力ケーブル及びその製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、電力ケーブルおよびその製造方法に関する。
交流用、直流用問わず、電力ケーブルの絶縁体層に存在する水分は、ボイドや水トリーの形成要因となる。ボイドや水トリーの発生、成長は電力ケーブルの絶縁層(絶縁体層とも称す)の電気性能の低下および長期安定性に影響を与える一因とされており、ボイドや水トリーの発生を抑制するため、電力ケーブルの絶縁層の水分量を抑えることが必要とされている。
また、埋設された電力ケーブルに外傷が与えられた際、水分が長手方向に浸透(水走り)し、長距離にわたってケーブルが毀損することを防ぐため、導体上、外部半導電層上に高吸水性高分子材料が配合された介在物などを配置することが知られている。
一般的に、介在物は図2に示すような平衡水分曲線を有しており、温度や湿度によって保持できる水分量が異なる。電力ケーブルは、使用負荷に応じて導体の発熱量が変化するため、導体上に存在する構成材料も熱拡散によって温度が変化し、介在物が保持できる水分量が小さくなるため、介在物から余剰な水分が発生する。すなわち、電力ケーブル内においては、介在物の保持できる水分量(平衡水分量)が温度によって変化することで水分が放出され、各層に移行していくことが考えられる。この水分移行の影響が絶縁層に及ぶと、水トリーの発生、成長が促進され、電力ケーブルの長期特性低下の要因となる。
このため、絶縁層の水分の影響を回避するための各種の方法(特許文献1〜3参照)が提案されているが、必ずしも満足できるものではなかった。
特開平10−261320号公報 実開平5−55412号公報 特開平9−265842号公報
本発明者らは、従来の方法を検討した。
例えば、特許文献1では、分割導体のセグメント間に従来のクラフト紙ではなく、高吸水性高分子材料が配合された複合シートを介在させることで絶縁体水分量が低下し、水トリーやボイドの発生を抑えることができると提案されているが、電力ケーブルを製造時する環境によっては、前述の品質が保証されない可能性がある。
具体的には、本発明者らの検討によれば、50℃で1週間乾燥させた高吸水性高分子材料配合介在物が30℃90%RHの雰囲気下にさらされたとき、水分量は約1日で2倍増加すること、水分量が2倍程度増加すると、水トリー伸展速度が早まることを確認している。
また、特許文献2では、分割導体のセグメント間に、ポリエステル不織布、架橋ポリエチレンシート、ブチルゴム紐、架橋ポリエチレン紐などの十分に乾燥処理させたプラスチック材料の介在物を配置する方法が提案されている。
しかしながら、高吸水性高分子材料の有無で介在物が保持できる水分量が大きく異なるため、本発明に使用する高吸水性高分子材料が配合された介在物について特許文献2と同等条件で乾燥を実施しても、水トリーの進展が抑制できる水分量まで低減することは難しい。
特許文献3では、中心導体の外周に内部層、架橋ポリエチレン絶縁層、外部層を積層する電力ケーブルにおいて、内部層、外部層を構成するテープの15〜25℃で15〜25mmHgの雰囲気における平衡水分濃度が1%以下の基布、ゴム、カーボン粉の複合材料を用いることが提案されている。ここで、電力ケーブルの負荷状況によって、電力ケーブルを構成する導体の温度が約20〜90℃の範囲で変化することが知られている。この温度は、熱拡散によって導体上の構成材料に伝わるため、導体上介在物や外部半導電層上介在物は温度変化の影響を受ける。この時、半導電性テープや高吸水性高分子材料を複合させたテープなどの介在物は、図2に示すように、低温よりも高温の方が、保持水分量が少ない傾向にあることから、温度変化によって水分を放出、吸水する。このため、15〜25℃での平衡水分量が1%以下であっても高温時に水分が保持できなくなり、絶縁層等に水分が拡散することで、絶縁性能が低下する可能性があった。
このように、介在物の初期水分量が小さくとも、製造時の環境や運転時の電力負荷状況によっては介在物が水分を吸水または放出し、水分が拡散することで絶縁層内の水分量が増加することにつながる。このため、介在物の種類、構成や乾燥処理、室温付近での調湿などの前処理のみを制御しても、水トリーの発生を抑制できない可能性がある。
本発明は、上記のような状況を鑑み、電力ケーブル中の介在物の水分量を減少させることで、電力ケーブルに組込まれた絶縁層中の水分量を低減させることおよびヒートサイクル試験特性を向上させ、長期安定性に優れた電力ケーブルおよびその製造方法を提供することを課題とする。
これに加え、導体の形状や介在物の種類に依存しない汎用的な電力ケーブルおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記のように、導体の形状や介在物の種類に依存しない汎用的な、電力ケーブルの水分量低減方法を種々、精力的に検討した結果、介在物における平衡水分量と温度の関係を利用することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、以下の手段によって達成された。
(1)少なくとも、導体、導体上介在物層、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、外部半導電層上介在物層を順に積層した構造を有する電力ケーブルであって、
前記外部半導電層上介在物層の外周に、遮水層が被覆され、
前記電力ケーブルに組み込まれた前記導体上介在物と前記外部半導電層上介在物の水分量が、いずれも90℃20%RHの雰囲気下で平衡する水分量未満であることを特徴とする電力ケーブル。
(2)少なくとも、導体、導体上介在物層、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、外部半導電層上介在物層を順に積層した構造を有する電力ケーブルであって、
前記絶縁層を構成する樹脂が、不飽和有機酸およびその誘導体から選択される化合物で変性されたポリオレフィン樹脂であり、
前記外部半導電層上介在物層の外周に、遮水層が被覆され、
前記電力ケーブルに組み込まれた前記導体上介在物と前記外部半導電層上介在物の水分量が、いずれも90℃20%RHの雰囲気下で平衡する水分量未満であることを特徴とする電力ケーブル。
(3)前記導体上介在物および前記外部半導電層上介在物が、基布上に導電性ゴムまたは高吸水性高分子材料のいずれか、または両方を貼り合せたものであって、該基布が、ナイロン、ポリエステル、または、アクリル系の繊維からなる不織布、織布もしくは編布であることを特徴とする(1)または(2)に記載の電力ケーブル。
(4)電力ケーブルの製造方法であって、
前記電力ケーブルが、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の電力ケーブルであり、
前記導体上介在物を積層後に乾燥処理し、かつ前記外部半導電層上介在物を積層前に乾燥処理して積層することを特徴とする電力ケーブルの製造方法。
本発明により、導体の形状や介在物の種類に依存しない汎用的な方法で、電力ケーブルの絶縁層中の水分量を低減させ、ヒートサイクル試験特性を向上させ、長期安定性に優れた電力ケーブルおよびその製造方法を提供することが可能となった。
本発明の電力ケーブルの一例を示す模式的な断面図である。 介在物の一般的な平衡水分曲線を示す模式的なグラフの図である。
以下に本発明の電力ケーブルおよびその製造方法について詳細に説明する。
<<電力ケーブル>>
本発明の電力ケーブルは、例えば、図1に示すように、導体1上に、順に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6が積層された構造を有し、この外部半導電層上介在物層6の外周に、遮水層7が被覆されている。
本発明の電力ケーブルは、必要により、遮水層7上に、シースや防食層を有していてもよい。
なお、導体から外部半導電層までを、ケーブルコアと称す。
本発明では、心数は、単心(1心)であっても複心(例えば、3心)であっても構わない。
ここで、例えば、3心は、少なくとも、導体1上に、順に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6および遮水層7を有する単心を3つ束ね、この束ねた表面を、介在物、抑えテープ、シースなどで被覆したものである。
以下に、導体から順に説明する。
<導体>
導体は、銅もしくは銅合金、アルミニウムもしくはアルミニウム合金が好ましく、断面形状は、円型、矩形であっても構わないが、本発明では銅もしくは銅合金で円型が好ましい。
また、上記の金属線の表面にスズや銀等のめっきを施したものを用いてもよく、導体としては、単線あるいは撚線のいずれであってもよい。
導体の断面積や形状はケーブルの電圧階級や敷設条件によって異なり、限定するものではないが、導体の断面積は、2〜4000mmが好ましく、150〜2000mmがより好ましい。
また、このような金属線の表面にスズや銀等のめっきを施したものを用いてもよく、導体としては、単線あるいは撚線のいずれであってもよい。
導体の構成または形状は、撚線の場合、通常の電力ケーブルで使用される構成または形状が好ましく、円型撚線〔7/0.6(本/mm)、7/0.8(本/mm)、7/1.0(本/mm)、7/1.2(本/mm)〕、分割圧縮撚線または円型圧縮撚線のいずれでも構わないが、円型圧縮撚線が特に好ましい。
なお、分割圧縮撚線は、分割導体とも称され、各セグメント間に介在物を介在せしめてなる電力ケーブル用分割導体である。
<介在物、導体上介在物層および外部半導電層上介在物層>
本発明では、介在物は、導体上介在物層および外部半導電層上介在物層に使用される。
介在物としては、紙、天然繊維、化学繊維、石綿繊維、ガラス繊維、天然ゴム混合物、合成ゴムまたは合成樹脂が挙げられ、クレープ紙、ポリエステル不織布、ブチルゴム紐、架橋ポリエチレン紐など好ましく、ナイロン、ポリエステル、アクリル系の繊維からなる不織布、織布、編布からなる基布に、高吸水性高分子材料や導電性ゴムなどを、片面もしくは両面に貼り合せたものがより好ましい。
ここで、ナイロンとしては、6−ナイロン、4,6−ナイロンが挙げられるが、6−ナイロンが好ましい。
また、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが挙げられるが、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
下記表1に、本発明において好ましい介在物の構成例と90℃20%RHにおける平衡水分量を示すが、使用する介在物によって平衡水分量は異なる。
Figure 0006133484
本発明では、導体上介在物層および外部半導電層上介在物層に介在物を使用するが、導体上介在物層と外部半導電層上介在物層に同じ介在物を使用しても異なった介在物を使用しても構わない。
導体上介在物層の厚さは、0.1〜1.0mmが好ましく、0.4〜0.6mmがより好ましい。一方、外部半導電層上介在物層の厚さは、0.5〜1.5mmが好ましく、0.6〜1.0mmがより好ましい。
<内部半導電層>
内部半導電層は、一般に、電力ケーブルで使用される内部半導電層を用いることができる。
内部半導電層は、例えば、繊維質(布)テープの導電材料を塗りつけたもの、ポリエチレンにカーボンを混入した押出形のもの、これらを組み合わせたものが挙げられる。内部半導電層は、内部半導電層用樹脂組成物を用い、これを架橋することにより形成したものが好ましい。内部半導電層用樹脂組成物は、通常、内部半導電層用樹脂、導電性物質、架橋剤および老化防止剤を含む。
内部半導電層用樹脂としては、特に限定されないが、通常は、エチレン系重合体が用いられる。エチレン系重合体としては、エチレンを繰り返し単位として含む重合体であればよく、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルメタクリレート共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、押出加工性に優れるという観点より、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
導電性物質としては、特に限定されないが、通常は、導電性カーボンが用いられる。導電性カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、不純物の含有量が少なく、内部半導電層用樹脂の電気特性を悪化させないという点、および、大きな凝集体を形成せず、内部半導電層用樹脂との界面において電気的欠陥である導電性突起が発生しないという点より、アセチレンブラックが好ましい。
内部半導電層には市販されている半導電コンパウンドNUCV−9563、9585、9589〔株式会社NUC製〕などを用いて製造してもよい。
内部半導電層の厚さはケーブルの電圧階級によって異なり、限定するものではないが、内部半導電層の厚さは、2mm以下が好ましく、1〜2mmがより好ましい。
<絶縁層>
絶縁層は、内部半導電層を被覆する絶縁性の層であり、一般に、絶縁層用樹脂組成物を用い、これを架橋することにより形成される。絶縁層用樹脂組成物は、通常、絶縁層用樹脂、架橋剤、および老化防止剤を含有する。
絶縁層は、構成する樹脂として、ポリオレフィン樹脂が好ましく、不飽和有機酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂がより好ましい。
ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンもしくはプロピレンとの共重合体が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましく、ポリエチレンがさらに好ましく、低密度ポリエチレンが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂を編成する不飽和有機酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、ナフタル酸およびこれらの酸無水物が好ましく、マレイン酸もしくは無水マレイン酸がより好ましい。このなかでも、酸無水物、特に、無水マレイン酸でグラフト重合(変性)された低密度ポリチレンが特に好ましい。
また、絶縁層を構成する樹脂は、なかでも、架橋された樹脂が好ましい。
絶縁層には、市販されている絶縁コンパウンドHFDA−9253NT SC〔株式会社NUC製〕などを用いて製造してもよい。
絶縁層の厚さや形状はケーブルの電圧階級や敷設条件によって異なり、限定するものではないが、絶縁層の厚さは、10〜23mmが好ましく、12〜17mmがより好ましい。
<外部半導電層>
外部半導電層は、内部半導電層と同様に、一般にテープ方式と押出方式がある。
外部半導電層は、絶縁層を被覆する半導電性の層であり、一般に、外部半導電層用樹脂組成物を用い、これを架橋することにより形成される。外部半導電層を形成するための外部半導電層用樹脂組成物は、通常、外部半導電層用樹脂、導電性物質、架橋剤および老化防止剤を含む。
外部半導電層用樹脂としては、特に限定されないが、通常は、エチレン系重合体が用いられる。エチレン系重合体の具体例としては、上述した内部半導電層用樹脂と同様のものなどが挙げられる。エチレン系重合体のなかでも、外部半導電層用樹脂としては、押出加工性に優れているという観点より、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
導電性物質としては、特に限定されないが、通常は、導電性カーボンが用いられる。導電性カーボンの具体例としては、上述した内部半導電層用樹脂と同様のものなどが挙げられる。
外部半導電層の厚さや形状はケーブルの電圧階級や敷設条件によって異なり、限定するものではないが、外部半導電層の厚さは、1.5mm以下が好ましく、1.0〜1.5mmがより好ましい。
<遮水層>
遮水層はテープ状または押出した金属が挙げられる。例えば、銅テープ、アルミテープやアルミ、鉛、SUSをケーブルコア上に押し出すなどが挙げられるが、好ましくは銅テープである。
遮水層の厚さや形状はケーブルの電圧階級や敷設条件によって異なり、限定するものではないが、遮水層の厚さは、例えば、テープ状であれば0.3mm以下が好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。
<シース>
シースは、絶縁体の保護、水分からの隔離を主な目的とするが、本発明では、単なるシース以外に、防食層や遮水層などの機能性層を含む。
防食層としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)からなる防食層が挙げられる。
シースの厚さや形状はケーブルの電圧階級や敷設条件によって異なり、限定するものではないが、シースの厚さは、4.0〜6.0mmが好ましく、4.0〜5.5mmがより好ましい。
<<電力ケーブルの特性>>
本発明の電力ケーブルは、製造された電力ケーブルにおいて、組み込まれた導体上介在物と外部半導電層上介在物の水分量が、いずれも、90℃20%RHの雰囲気下の介在物の平衡水分量未満(介在物固有の平衡する水分量未満)である。
介在物固有の90℃20%RHの雰囲気下の平衡水分量は、例えば、上記表1に示した値である。
本発明では、介在物固有の90℃20%RHの雰囲気下の平衡水分量未満であり、この平衡水分量の98%以下が好ましく、96%以下がより好ましく、90%以下がさらに好ましい。
電力ケーブルの長期特性を良好にするため、以下に説明する電力ケーブルの製造方法で調整することができる。
<<電力ケーブルの製造方法>>
本発明の電力ケーブルは、導体上に、順に、導体上介在物層、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、外部半導電層上介在物層および遮水層を設けることで製造される。
ここで、例えば、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層の3層を同時押出することも好ましい。
本発明では、製造された電力ケーブルにおいて、組み込まれた導体上介在物と外部半導電層上介在物の水分量を、いずれも、90℃20%RHの雰囲気下の介在物の平衡水分量未満とするために、使用する介在物を乾燥処理や必要により防湿処理を行うのが好ましい。
すなわち、導体上介在物を導体に積層させる際や外部半導電層上介在物を外部半導電層(ケーブルコア)に積層させる際に、乾燥処理や必要に応じて防湿処理を施す。
乾燥処理や防湿処理することで、導体上介在物や外部半導電層上介在物の水分量が90℃20%RHにおける平衡水分値未満とすることができる。
導体上介在物と外部半導電層上介在物の水分量をこのような高温低湿条件で平衡する水分量(平衡水分量)未満とすることで、電力ケーブル使用時に介在物が水分を放出する可能性が低くなるため、絶縁層等への水分拡散が起こりにくくなり、絶縁層中の水分量を低く維持することができ、電力ケーブルの長期特性、長期安定性が向上する。
本発明では、導体上介在物層を設けた後、導体上の導体上介在物層を乾燥処理することが好ましい。一方、外部半導電層上介在物は、外部半導電層上介在物層を設ける前に、使用する介在物を事前に乾燥処理して積層することが好ましい。
なお、導体上の導体上介在物層を乾燥処理するには、例えば、40〜60℃で7日間以上、ドラムに巻いた状態で乾燥釜に保管する方法が挙げられる。
以下に、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
導体1上に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6、遮蔽層7およびシース8の順に構成された、図1に示すような電力ケーブル10を、以下のようにして製造した。
導体に断面積200mmの銅からなる円形圧縮導体を使用し、下記表2に示す導体上介在物を積層させて、厚さ0.4mmの導体上介在物層を設けた後、50℃で7日間、ドラムに巻いた状態で乾燥釜に保管した。乾燥後、厚さ1mmの内部半導電層を設けた。
その後、内部半導電層上に、無水マレイン酸をグラフトさせた架橋ポリエチレンからなる厚さ6.5mmの絶縁層、カーボン添加架橋ポリエチレンからなる厚さ0.5mmの外部半導電層を順に設けた。
外部半導電層上に、下記表3に示す、予め乾燥させた外部半導電層上介在物を積層して、厚さ0.8mmの外部半導電層上介在物を設けた。
その後、外部半導電層上介在物層の外周に、アルミニウム金属の遮蔽層、ポリ塩化ビニル(PVC)の防食層から構成される遮水機能付き外装構造(シース)を加えたモデル電力ケーブルを作製した。
実施例2
導体1上に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6、遮蔽層7およびシース8の順に構成された、図1に示すような電力ケーブル10であって、導体上介在物および外部半導電層上介在物を、下記表2、3のように変更した以外は、実施例1と同様にしてモデル電力ケーブルを製造した。
実施例3
導体1上に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6、遮蔽層7およびシース8の順に構成された、図1に示すような電力ケーブル10であって、導体上介在物および外部半導電層上介在物の乾燥処理に加え、防湿処理を施した以外は、実施例1と同様にしてモデル電力ケーブルを製造した。
実施例4
導体1上に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6、遮蔽層7およびシース8の順に構成された、図1に示すような電力ケーブル10であって、絶縁層に絶縁コンパウンドNUCV−9253〔株式会社NUC製〕(未変性架橋ポリエチレン)に変更した以外は、実施例1と同様にしてモデル電力ケーブルを製造した。
比較例1
導体1上に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6、遮蔽層7およびシース8の順に構成された、図1に示すような電力ケーブル10であって、導体上介在物および外部半導電層上介在物を積層する際に乾燥処理したり、予め乾燥させたりすることなく、すなわち、通常行われない乾燥処理または防湿処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてモデル電力ケーブルを製造した。
比較例2
導体1上に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6、遮蔽層7およびシース8の順に構成された、図1に示すような電力ケーブル10であって、外部半導電層上介在物を積層する際に、外部半導電層上介在物を予め乾燥させることを行わなかった以外は、実施例1と同様にしてモデル電力ケーブルを製造した。
比較例3
導体1上に、導体上介在物層2、内部半導電層3、絶縁層4、外部半導電層5、外部半導電層上介在物層6、遮蔽層7およびシース8の順に構成された、図1に示すような電力ケーブル10であって、導体上介在物層を設けた後、乾燥釜に保管しなかった以外は、実施例1と同様にしてモデル電力ケーブルを製造した。
〔性能評価〕
上記のように製造した各モデル電力ケーブルに対して、以下の評価を行った。
1)水分量の測定
カールフィッシャー法により、下記のようにして測定した。
(i)導体上介在物および外部半導電層上介在物の平衡水分量
90℃20%RHと25℃25mmHgの各雰囲気における導体上介在物および外部半導電層上介在物の平衡水分量をカールフィッシャー試薬(ヨウ素、二酸化硫黄、塩基、アルコール溶剤より構成)を用いた、電量滴定法で測定した。
得られた結果を、下記表2および3に示す。
なお、前記表1に記載の介在物の90℃20%RHの雰囲気における平衡水分量も上記のようにして得られた値である。
(ii)電力ケーブルの水分量
各電力ケーブルを25℃60%RH雰囲気に製造後2日間保管した後および下記ヒートサイクル試験後、25℃60%RH雰囲気に試験後2日間保管した後に、それぞれ測定した。
測定は、各電力ケーブルを所定の長さに切断し、導体上介在物および外部半導電層上介在物、絶縁層を取り出して、カールフィッシャー試薬(ヨウ素、二酸化硫黄、塩基、アルコール溶剤より構成)を用いた、電量滴定法で測定した。
得られた結果を、下記表4に示す。
2)ヒートサイクル試験(H.C.試験)
実施例1〜3および比較例1〜3の電力ケーブルは、下記の条件(a)で、実施例4の電力ケーブルは、下記の条件(b)で行った。
ここで、条件(a)は320kV〜500kV級の電力ケーブルで実施するヒートサイクル条件、条件(b)は500kV級の電力ケーブルで実施するヒートサイクル条件よりも厳しい条件である。
条件(a)
・課電電圧:直流電圧、270kV
・温度条件:導体温度90℃ヒートサイクル(1回/日、内8時間通電)
条件(b)
・課電電圧:商用周波交流電圧、90kV
・温度条件:導体温度90℃ヒートサイクル(1回/日、内8時間通電)
導体上介在物および外部半導電層上介在物の平衡水分量を下記表2および3に示す。
また、電力ケーブル製造後およびヒートサイクル試験後の水分量ならびにヒートサイクル試験の結果を下記表4に示す。
Figure 0006133484
Figure 0006133484
Figure 0006133484
上記表4より、実施例1〜4の本発明の電力ケーブルに対し、比較例1〜3の電力ケーブルはいずれも、ヒートサイクル試験(H.C.試験)後のケーブル絶縁層の水分量が、最大で約10倍多かった。また、比較例1〜3の電力ケーブルはヒートサイクル試験では、80〜145日の間で破壊したが、実施例1〜4の本発明の電力ケーブルは180日経過後も破壊しなかった。
これらの結果より、電力ケーブル製造時に介在物の水分量を規定することで、電力ケーブル絶縁層中の水分量を低減し、電力ケーブルの長期特性を向上させることができる。
なお、表2および3より、実施例1〜4、比較例1〜3の各電力ケーブルで使用した各種介在物は25℃ 25mmHgでの平衡水分量が1質量%以上と多い(例えば、特許文献3参照)が、上記表4の実施例1〜4の電力ケーブルのヒートサイクル試験でも、電力ケーブルの長期特性として満足しうる結果となった。
1 導体
2 導体上介在物層
3 内部半導電層
4 絶縁層
5 外部半導電層
6 外部半導電層上介在物層
7 遮蔽層
8 シース
9 ケーブルコア
10 電力ケーブル

Claims (4)

  1. 少なくとも、導体、導体上介在物層、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、外部半導電層上介在物層を順に積層した構造を有する電力ケーブルであって、
    前記外部半導電層上介在物層の外周に、遮水層が被覆され、
    前記電力ケーブルに組み込まれた前記導体上介在物と前記外部半導電層上介在物の水分量が、いずれも90℃20%RHの雰囲気下で平衡する水分量未満であることを特徴とする電力ケーブル。
  2. 少なくとも、導体、導体上介在物層、内部半導電層、絶縁層、外部半導電層、外部半導電層上介在物層を順に積層した構造を有する電力ケーブルであって、
    前記絶縁層を構成する樹脂が、不飽和有機酸およびその誘導体から選択される化合物で変性されたポリオレフィン樹脂であり、
    前記外部半導電層上介在物層の外周に、遮水層が被覆され、
    前記電力ケーブルに組み込まれた前記導体上介在物と前記外部半導電層上介在物の水分量が、いずれも90℃20%RHの雰囲気下で平衡する水分量未満であることを特徴とする電力ケーブル。
  3. 前記導体上介在物および前記外部半導電層上介在物が、基布上に導電性ゴムまたは高吸水性高分子材料のいずれか、または両方を貼り合せたものであって、該基布が、ナイロン、ポリエステル、または、アクリル系の繊維からなる不織布、織布もしくは編布であることを特徴とする請求項1または2に記載の電力ケーブル。
  4. 電力ケーブルの製造方法であって、
    前記電力ケーブルが、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力ケーブルであり、
    前記導体上介在物を積層後に乾燥処理し、かつ前記外部半導電層上介在物を積層前に乾燥処理して積層することを特徴とする電力ケーブルの製造方法。
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