JP6132874B2 - 差動符号化放送するためのビット信号構造 - Google Patents

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Description

本明細書において記載される主題は、電子通信に関するものであり、特に衛星通信システムのような無線通信システムにおいて使用することができる信号符号化法に関するものである。更に、本明細書において記載される主題は、地理位置情報を、低高度軌道周回(LEO)衛星信号を用いて活用する方法に関するものである。
全地球測位システム(GPS)は、宇宙セグメント、地上セグメント、及びユーザセグメントを含む全世界的な宇宙航法システムである。衛星群の位置を基準点として使用して、GPSユーザ受信機の位置を算出し、この位置は普通、数メートル以内の精度で算出され、そして或る場合には、数センチメートル以内の精度で算出されることもある。衛星群、地上基地局群、及びGPSユーザ受信機の各々は、予め書き込まれているタイミング信号群を有し、これらのタイミング信号は、正確な時刻から始まる。衛星群から放送されるこれらの信号にロックオンするために、地上局及びGPSユーザ受信機は、これらの地上局及び受信機のそれぞれの内部生成信号を、これらの地上局及び受信機のそれぞれの内部クロックが予測する時刻に緩やかに同期させる。これらの信号にロックオンすると、GPSユーザ受信機は、擬似距離と呼ばれる各衛星までの距離の測定を行なう。これらの擬似距離測定値は、GPS時刻に対する受信機クロック時刻オフセットに関連する誤差の他に、他の微小誤差を加算した衛星までの実際の距離を含んでいる。GPS制御セグメントネットワークに含まれる地上局は、距離測定値群を供給し、これらの距離測定値を用いて、衛星クロック及び衛星軌道の予測値を生成する。これらの予測値は、衛星群に定期的にアップロードされ、そしてこれらの衛星が、このデータをユーザ受信機に放送して、ユーザ受信機測位機能をサポートする。
GPS信号群のジャミング、及びGPS信号群の電力低下に関する問題に一部起因して、Iridium(イリジウム)のような低高度軌道周回(LEO)衛星コンステレーションがナビゲーションを、GPSを用いることなく可能にする、またはGPSシステム群と連動して可能にする機構として提案されている。イリジウム衛星コンステレーションは、高度が約485マイル(781km)であり、かつ86.4°に傾いた極軌道に近い6個の軌道を有する低高度軌道周回衛星コンステレーションであり、そして時速約17,000マイル(27,000km/h)の軌道周回速度を維持する。当該コンステレーションを利用して、全地球の衛星電話、ページャ、及び集積トランシーバとの音声及びデータ通信を含む全地球衛星通信サービスを提供することができる。当該コンステレーションは、66個の有効衛星を軌道内に含み、これらの有効衛星は極から極を、100分を少し超えた軌道周期で周回する。軌道設計では、反対方向に周回する隣り合わせの衛星群の逆向きの軌道面を形成する。更に、これらの衛星は、相互接続技術を用いて、データをコンステレーション内で中継する。各イリジウム衛星は、48個のスポットビームを、地球の表面に投射されるコンステレーション固有の識別可能なビーム形状の一部として有する。
LEO衛星からの標準時刻を用いて、GPSシステムの機能を強化する種々の技術は、Cohen(コーエン)らに特許された「System and Method For Generating Precise Position Determination(正確な位置判断を行なうシステム及び方法)」と題する特許文献1(米国特許RE第37,256号明細書)、Enge(エンゲ)らに特許された「Method And Receiver Using A Low Earth Orbiting Satellite Signal To Augment The Global Positioning System(低高度軌道周回衛星信号を用いて全地球測位システムを強化する方法及び受信機)」と題する特許文献2(米国特許第5,812,961号明細書)、Enge(エンゲ)らに特許された「Method And Receiver Using A Low Earth Orbiting Satellite Signal To Augment The Global Positioning System(低高度軌道周回衛星信号を用いて全地球測位システムを強化する方法及び受信機)」と題する特許文献3(米国特許第5,944,770号明細書)、及びRabinowitz(ラビノウィッツ)らに特許された「System Using LEO Satellites For Centimeter−Level Navigation(LEO衛星信号を用いてセンチメートルレベルのナビゲーションを行なうシステム)」と題する特許文献4(米国特許第6,373,432号明細書)のような特許を含む。これらの特許の開示内容は、本明細書において参照されることにより、これらの特許のそれぞれの開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
イリジウムシステムは、差動符号化(differential encoding)として知られている信号処理方式を用いて、直交位相シフトキーイング(QPSK)変調された放送を符号化し、そして送信する。差動符号化プロセスでは、放送の同相変調ビット及び直交変調ビット(I群及びQ群)は、差動符号器の出力状態が、差動符号器への現在の(I、Q)入力、及び差動符号器の前の(I及びQ)状態の両方の関数となるように再符号化される。この差動符号化方式は、擬似ランダム符号系列及び関連する相関検出方法を使用する場合に問題を起こすが、その理由は、所望の符号を送信しようとするたびに、複数通りの放送が行なわれるからである。これによって、ユーザ受信機における相関処理が複雑になる。1つのグループの利用可能符号メッセージを検索し、そしてこれらの符号メッセージの相関処理を行なうのではなく、受信機はその代わりに、放送される非常に多くのメッセージを全て検索する必要がある。これにより、ユーザ受信機に必要なメモリ量、処理量、及び電力量が増大する。更に、これにより、符号間の距離が短くなり、そして1つの符号が相関プロセスにおいて別の符号であると誤って判断される可能性が高くなる。
従って、イリジウムのようなLEO衛星システムに使用される更に別の符号化技術が役に立つ必要がある。
米国特許RE第37,256号明細書 米国特許第5,812,961号明細書 米国特許第5,944,770号明細書 米国特許第6,373,432号明細書
本明細書において記載されるのは、送信データを、差動符号器を用いて符号化する方法である。更に記載されるのは、差動符号器を利用するこのような送信通信システムを実現するように適合させた送信機である。
幾つかの実施形態では、通信装置は差動符号器を備え、前記差動符号器は、送信データを受信し、そして前記送信データを、符号集合を用いて符号化し、前記符号集合を前記差動符号器で処理すると、前記符号集合によって、前記差動符号器が既知の状態に設定され、そして無相関出力系列が生成される。
他の実施形態では、送信データを、差動符号器を用いて符号化する方法において、差動符号器で送信データを受信し、そして前記送信データを、符号集合を用いて符号化し、前記符号集合を前記差動符号器で処理すると、前記符号集合によって、前記差動符号器が既知の状態に設定され、そして無相関出力系列が生成される。
詳細な説明は、添付の図を参照しながら行なわれる。
図1は、種々の実施形態による低高度軌道周回(LEO)衛星通信システムの模式図である。 図2は、種々の実施形態による送信側装置及び受信側装置の構成要素群の模式図である。 図3は、種々の実施形態によるビット信号構造を用いて差動符号化放送する方法における操作を示すフローチャートである。 図4は、種々の実施形態による符号群を生成して差動符号化処理する方法における操作を示すフローチャートである。
以下の説明では、多くの特定の詳細を説明して、種々の実施形態を完全に理解することができるようにしている。しかしながら、この技術分野の当業者であれば、種々の実施形態は、特定の詳細を用いることなく実施することができることが理解できるであろう。他の例では、公知の方法、手順、部品、及び部材を詳細に示すことによって、または説明することによって、特定の実施形態が不明瞭になってしまうことがないようにしている。
本出願の主題は主として、イリジウム衛星に用いられるQPSK変調方式における差動符号化に関連して記述される。しかしながら、この技術分野の当業者であれば、本明細書において記載される方法は、QPSK変調方式またはBPSK変調方式の何れかの変調方式における差動符号化を利用する他のシステムに容易に適用することができることを理解できるであろう。このようなシステムは、他の移動通信システム、例えば空中通信システムまたは同様の通信システムを含むだけでなく、静止通信プラットフォームを含むことができ、これらの静止通信プラットフォームとして、これらに限定されないが、船舶または携帯電話タワーを挙げることができる。
本明細書において記載されるのは、低高度軌道周回(LEO)衛星システムに用いられる送信機において利用することができる差動符号化方法である。幾つかの実施形態では、差動符号化方法において、送信機の差動符号器が既知の論理状態のままに保持されるという特性を示す予め選択された符号群を使用する。例えば、予め選択された幾つかの符号によって送信機が、当該送信機が送信前の状態になっていたときと同じ論理状態のままに保持される。これにより、差動符号器の入力データと出力データとの1:1の対応付けができ、これにより、受信機における信号相関処理及び信号選択処理が容易になる。
図1は、種々の実施形態による低高度軌道周回(LEO)衛星通信システム100の模式図である。図1を参照するに、幾つかの実施形態では、システム100は、参照番号120で一括表記される1つ以上の受信側装置120a,120bと通信する1つ以上のLEO衛星110を備える。
幾つかの実施形態では、これらのLEO衛星110は、イリジウム衛星コンステレーションの衛星群として具体化することができる。イリジウムのような代表的な衛星通信システムは、衛星信号が周囲のノイズフロア以上の受信電力を有する状態で動作するように設計される。
受信側装置120は、衛星電話機または携帯電話機のような通信装置として、または通信装置またはコンピューティングデバイス、例えばパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯情報端末などの構成要素群として実現することができる。別の構成として、受信側装置120は、全地球測位システム(GPS)に接続されて使用される機器に類似する位置特定機器またはナビゲーション機器として実現することができる。GPSシステムは、拡散スペクトラム接続技術を利用し、この拡散スペクトラム接続技術によってこれらの受信機は、受信放送がノイズフロアに埋もれてしまう場合でも信号をピックアップすることができる。GPSのようなシステムでは、擬似ランダム符号を衛星から放送し、そして相関法を用いて信号をノイズから取り出す。
GPSシステムは、信号電力が不足することに起因して減衰環境130(例えば、屋内)における性能が極めて低下し、信号電力が不足すると、これらの環境において更に良好に動作することができる他のシステムが必要となってしまう。イリジウム衛星は、GPS送信よりも遥かに大きい電力で放送を行なう。1つの例では、イリジウム衛星のようなLEO衛星から受信する信号で動作するように構成される受信機ユニットは、受信側装置120のアンテナで約45dB未満だけ減衰した信号レベルで動作することができる。従って、LEO型のイリジウム衛星を利用することにより、イリジウム衛星対応受信機ユニットは、約15〜20dBで動作することができ、この信号レベルを下回ると、代表的なGPS対応受信機ユニットは動作しなくなる。
イリジウムを含む種々の衛星通信システムは、差動符号化信号処理方式を用いて、直交位相シフトキーイング(QPSK)変調された放送を符号化し、そして送信する。差動符号化プロセスでは、放送の同相(I)変調ビット及び直交(Q)変調ビットを、差動符号器の出力が現在のI/Q状態及び前のI/Q状態の関数となるように再符号化する。表1は、QPSKシステムに用いられる代表的な差動符号化方式である。任意の所定のメッセージ(ビット列で表わされる)は、当該メッセージが放送される前に差動符号化される。
Figure 0006132874
差動符号化プロセスの現在の出力は、現在のI/Q状態及び前のI/Q状態の関数である。一例として、差動符号器に入力されるビット符号化メッセージ(A)は、実際には、差動符号器の前の状態(C)に依存して異なる4つの形式(B1,B2,B3,B4)を有することができる形式(B)で放送される。表2で表わされる事例を以下に例示する:

表2:符号器における変換

事例1:
A=00000000 予め符号化されているメッセージ
C=00
B1=00000000 放送メッセージ

事例2:
A=00000000 予め符号化されているメッセージ
C=01 差動符号器の前の状態
B2=01010101 放送メッセージ

事例3:
A=00000000 予め符号化されているメッセージ
C=10 差動符号器の前の状態
B3=10101010 放送メッセージ

事例4:
A=00000000 予め符号化されているメッセージ
C=11 差動符号器の前の状態
B4=11111111 放送メッセージ
従って、後続の所定のメッセージAに関しては必ず、差動符号化された4通りのメッセージBが生成され、これらのメッセージが差動符号器から出力される。メッセージBは、符号器の前の状態Cによって異なり、1:4の入力符号(A)対出力可能符号(B)比が成立する。
イリジウム衛星及び他の通信衛星に用いられる差動符号化方式では、擬似ランダム符号系列及び関連する相関検出法を使用する際に問題が生じるが、その理由は、差動符号器に入力される所望符号であるメッセージAごとに、4通りの放送が行なわれてしまうからである。この1:4の比は、ユーザ受信機における相関処理を極めて複雑にしてしまう。1つのグループの利用可能符号メッセージを検索し、そしてこれらの符号メッセージの相関処理を行なうのではなく、受信機はその代わりに、メッセージのこの数の4倍の数のメッセージを全て検索する必要がある。これにより、ユーザ受信機に必要なメモリ量、処理量、及び電力量が増大する。更に、これにより、符号間の距離が短くなり、そして1つの符号が相関プロセスにおいて別の符号であると誤って判断される可能性が高くなる。
1つの態様では、本明細書において記載されるのは、差動符号器が符号集合を用いる差動符号化に関するシステム及び方法であり、符号集合を差動符号器で処理すると、符号集合によって差動符号器が既知の状態に設定される。既知の状態は、所定の論理状態とすることができる。例えば、種々の実施形態では、差動符号器は、送信データを受信すると初期論理状態を保持することができ、そして差動符号器がデータを符号化するために用いる符号集合によって、差動符号器を初期論理状態にリセットすることができる。種々の実施形態では、差動符号器は、送信データを受信すると初期論理状態を保持することができ、そして差動符号器がデータを符号化するために用いる符号集合によって、差動符号器を、初期論理状態とは異なる既知の論理状態にリセットすることができる。種々の実施形態では、既知の状態は、入力データストリームが処理された後の既知の(I,Q)状態とすることができる。差動符号器を既知の(I,Q)状態に設定することにより、入力数と出力数の比が1:4になる状況を無くすことができる。
幾つかの実施形態では、本開示の方法は、例えば図1に示す衛星110のようなLEO衛星の送信機のような送信側装置において用いることができる。図2は、種々の実施形態による送信側装置及び受信側装置の構成要素群の模式図である。図2を参照するに、1つの実施形態では、送信側装置210は、差動符号器212と、変調器214と、そしてアンプ216と、を備える。送信側装置210はアンテナ218に接続される。受信側装置230は、1つ以上の信号プロセッサ(群)232と、復調器234と、そして帯域通過フィルタ236と、を備える。受信側装置230はアンテナ238に接続される。
送信側装置210及び受信側装置230の動作について、図2を参照しながら説明し、そして種々の実施形態によるビット信号構造を用いて差動符号化放送する方法における操作を示すフローチャートである図3を参照しながら説明する。図2及び3を参照するに、操作310では、送信データを送信側装置210の差動符号器212で受信する。
操作315では、当該データを、選択符号群を用いて差動符号化する。幾つかの実施形態では、差動符号器212は、当該データを、符号集合を用いて差動符号化し、当該符号集合は、送信されると、当該符号集合によって必ず、差動符号器212が、(00)のような既知の(I,Q)状態のままに保持されるという特性を有する。これにより、差動符号器212の入力符号(A)と出力符号(B)との間の1:1の相関が確保され、これによって今度は確実に、システムの差動符号器が在るのにも拘わらず、前のメッセージが不確定性を現在のメッセージに与えることがなくなる。従って、上記例では、符号語によって必ず、差動符号器212が回転して当該差動符号器の初期位相(00)に戻る。
操作320では、差動符号器から出力されるデータ信号を変調器214で変調する。変調信号をアンプ216で増幅し(操作325)、そしてアンテナ218に伝送して送信する(操作330)。
放送信号を、受信側装置230に接続されるアンテナ238で受信する(操作335)。当該信号をアンテナ238から帯域通過フィルタに伝送し、この帯域通過フィルタが、不所望の周波数領域をフィルタリングし(操作340)、次に復調器234で復調し(操作345)、そして次に、信号プロセッサ232に伝送する。関連部分では、信号プロセッサ232は、信号を復号して(操作350)、元のメッセージを取り出すことができる。次に、元のメッセージを位置特定プロセスにおいて使用することができる。
別の態様では、差動符号器212は、本明細書において、スーパービットエンコーディング(super bit encoding:SBE)と表記される符号化法を用いることができ、この符号化法は、ノイズの多い環境におけるメッセージの信号検出を向上させるように設計される。幾つかの実施形態では、差動符号器212は、メッセージ群を:
G=N/n; 但し、G=処理ゲイン、
N=符号メッセージのビット数
n=メッセージの情報ビット数。
に等しい処理ゲインで符号化する。
一例として、10メッセージビットを使用して1情報ビットを表わす場合、処理ゲインは10(または、10dB)に等しい。この場合、dB換算係数は:10log10(G)である。スーパービット列(super bit sequences)は、N擬似ランダムビット列を用いて作成することができ、この場合、各符号は前に説明した相関特性を有する。Nは、整数として用いることができるので、差動符号器212からの出力系列は、符号語群の間の差分値を保持することが可能な程度に互いに無相関になる。
種々の実施形態では、スーパービットエンコーディング方式を前に説明した方法に用いることができ、この場合、差動符号器は符号集合を用い、当該符号集合を差動符号器で処理すると、当該符号集合によって差動符号器が既知の状態に設定される。1つの実施形態では、スーパービットエンコーディング方式において、複数ビット列をN擬似ランダムビット列に付加することができ、この場合、複数ビット列によって差動符号器が既知の状態にリセットされる。例えば、2つのSBE(スーパービットエンコーディング)ビット列について以下に説明する。各ビット列は、1個の0、または1個の1をそれぞれ表わす「10」のビット列を用いる。この実施形態の一例として、以下の表3の事例1〜事例4に示すビット符号は、20ビット入力符号を示し、この20ビット入力符号の後ろに、4個のゼロ(0000)がテスト系列として付加される(ビット符号A)。20ビット列の最後に付加される4個のゼロによって、差動符号器212の状態Cを特定し易くしている。更に、Dによって、差動符号器212の符号化後の状態を特定する。好適な出力符号から、C=Dが得られ、これは、差動符号器212の符号化後の状態が4個のゼロを、符号器の状態が差動符号器212の初期状態にリセットされていることを示すメッセージの最後に、この場合も含んでいることを意味する。これとは異なり、事例5〜事例8に示す例では、差動符号器212の符号化後の状態は、差動符号器212の符号化前の初期状態にリセットされていない。

表3:ビット符号例

事例1:
A=101111001111011100110000 予め符号化されているメッセージ
C=0000 差動符号器の前の状態
B=100110100110001111000000 放送メッセージ
D=0000 差動符号器の符号化後の状態

事例2:
A=101011110001001010100000 予め符号化されているメッセージ
C=0000 差動符号器の前の状態
B=101100111110101101000000 放送メッセージ
D=0000 差動符号器の符号化後の状態

事例3:
A=101010101110101101010000 予め符号化されているメッセージ
C=0000 差動符号器の前の状態
B=101101001101001110000000 放送メッセージ
D=0000 差動符号器の符号化後の状態

事例4:
A=101110000110110011000000 予め符号化されているメッセージ
C=0000 差動符号器の前の状態
B=100100000100111100000000 放送メッセージ
D=0000 差動符号器の符号化後の状態

事例5:
A=011101000011100000010000 予め符号化されているメッセージ
C=0000 差動符号器の前の状態
B=011000000011010101111111 放送メッセージ
D=1111 差動符号器の符号化後の状態

事例6:
A=001101110101001001110000 予め符号化されているメッセージ
C=0000 差動符号器の前の状態
B=001110011110101110010101 放送メッセージ
D=0101 差動符号器の符号化後の状態

事例7:
A=100110010110101110100000 予め符号化されているメッセージ
C=0000 差動符号器の前の状態
B=011000000011010101111111 放送メッセージ
D=1111 差動符号器の符号化後の状態

事例8:
A=110011111011100100000000 予め符号化されているメッセージ
C=0000 差動符号器の前の状態
B=111100110110111010101010 放送メッセージ
D=1010 差動符号器の符号化後の状態
幾つかの実施形態では、スーパービットエンコーディングの考え方は、イリジウム衛星からのメッセージバーストのような1個の通信衛星からのメッセージバーストの幾つかのグレイ(Gray)符号を表わすという考え方に拡張することができる。バーストデータ構造は、識別情報だけでなく、差動符号化されるペイロードデータとなる情報ビット群を含む。幾つかの実施形態では、n=8通りの、または256通りのメッセージとすると、256データビット(N)が1つのメッセージバーストに含まれ、この場合、複数のメッセージが送信されることになる。SBE(スーパービットエンコーディング)列は、n=1を通信衛星の差動符号器において使用する場合の事例に関して、1個の0または1個の1を表わす「10」の2つのビット列を用いて定義することができる。この事例では、N=10及びn=1であるので、信号ゲインG=10である。
図4は、種々の実施形態による符号群を生成して差動符号化処理を行なう方法における操作を示すフローチャートである。図4を参照するに、操作410では、擬似ランダム符号候補を生成する。幾つかの実施形態では、擬似ランダム符号群は、ランダム番号発生装置を使用して生成することにより、0群及び1群のビット列候補を生成することができる。
操作415では、擬似ランダム符号群が差動符号化基準を満足するかどうかを判断する。擬似ランダム符号群をQPSK符号化する場合、ビット数は、偶数とする必要があり、そして値1を有する全ビットの合計は、4の偶数倍とする必要がある。QPSK符号化の場合、ビット数は、偶数とする必要があり、そして全ビットのうち、値1を有する幾つかのビットの数は、2の偶数倍とする必要がある。
擬似ランダム符号(群)は、差動符号器212に入力することができ、この差動符号器212がデータを差動符号化し(操作420)、そして出力を入力擬似ランダム符号(群)に基づいて生成する。0群及び1群が長くランダムに並んだ数字列を差動符号化すると通常、入力符号と同様の統計的特性を示す新たな符号が生じる。従って、差動符号器212によって生成される出力符号が入力符号と同様の特性を持つ確率が高い。
操作425では、差動符号器212によって生成される出力符号群の相関特性を、入力符号と出力符号との相関をとることにより調べる。一般的に、規則を満たす符号語群の集合によって低い相互相関が、当該集合の符号語群の間に生じる。図4のこれらの操作は、適切な符号語群の集合を求めるまで繰り返すことができる。次に、符号集合を、図3に示す差動符号化プロセスにおいて用いることができる。
要約すると、衛星通信システムによって差動符号化を強制的に行なう方法から、メッセージを符号化するために擬似ランダム符号系列を用いる際に困難が伴うが、その理由は、送信符号を入力するたびに、4通りの出力符号を放送することになるからである。これにより、ユーザ受信機における相関処理が、必要なメモリ量、処理量、及び電力量が増大することにより極めて複雑になる。更に、これにより、符号間の距離が短くなり、そして1つの符号が相関プロセスにおいて別の符号であると誤って判断される可能性が高くなる。本明細書において記載される種々の実施形態によれば、データを、差動符号器212において符号群を用いて符号化し、これらの符号によって差動符号器212が既知の出力状態のままに保持されると、擬似ランダム符号化メッセージをユーザに通信衛星を介して配信するために有用となり得る。これらの方法を用いて、タイミング及び周波数情報を減衰環境(例えば、屋内)に居るユーザに、擬似ランダムメッセージ群を、イリジウムのような衛星から、構造物の内部に位置するユーザに送信することにより配信することができる。当該メッセージを受信するユーザは、通信衛星からの放送が、GPSからの放送よりも電波強度が高く、かつ擬似ランダム符号化法によって、ゲインが高くなって信号をノイズの中から取り出すことができるので、利点を享受することができる。一旦、受信されると、これらのメッセージは、ユーザがユーザ自身で位置を特定するのに適する情報となる。しかしながら、一般性を失わない範囲で、ユーザに配信される符号化メッセージは、任意の目的に利用することができる。
本明細書において「one embodiment」または「some embodiments」と表記しているのは、該当する実施形態に関連して説明される特定の機能、構造、または特徴が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するためである。「in one embodiment」という本明細書の種々の箇所に何度も現われるフレーズは、全てのフレーズが同じ実施形態を指している、または全てのフレーズが同じ実施形態を指していなくてもよい。例えば、種々の実施形態は以下に示す実施形態を含むことができる:

A1.差動符号器を備える通信装置であって、前記差動符号器は:
送信データを受信し、
前記送信データを、符号集合を用いて符号化し、前記符号集合を前記差動符号器で処理すると、前記符号集合によって、前記差動符号器が既知の状態に設定され、そして無相関出力系列が生成される、通信装置。
A2.更に:
前記符号化信号を変調する変調器と、
前記符号化信号を増幅するアンプと、
前記符号化信号を送信する送信機と、
を備える、請求項A1に記載の通信装置。
A3.更に、前記通信装置から離れた受信側装置を備え、前記受信側装置は:
前記符号化信号を受信する受信機と、
前記符号化信号を復号する復号器と、
を備える、請求項A1に記載の通信装置。
A4.前記符号化信号は、全地球測位システム(GPS)信号、グレイ(Gray)符号信号、または衛星信号のうちの少なくとも1つの信号を含む、請求項A1に記載の通信装置。
A5.前記受信側装置は、衛星電話機、携帯電話機、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、または携帯情報端末のうちの少なくとも1つを備える、請求項A3に記載の通信装置。
A6.前記受信側装置は、前記符号化信号を測位アルゴリズムに用いる、請求項A3に記載の通信装置。
B1.送信データを、差動符号器を用いて符号化する方法であって:
差動符号器で送信データを受信し、
前記送信データを、符号集合を用いて符号化し、前記符号集合を前記差動符号器で処理すると、前記符号集合によって、前記差動符号器が既知の状態に設定され、そして無相関出力系列が生成される、方法。
B2.前記差動符号器はQPSK変調方式を利用する、請求項B1に記載の方法。
B3.前記差動符号器はBPSK変調方式を利用する、請求項B1に記載の方法。
B4.前記差動符号器は、移動通信システム内に位置する、請求項B2に記載の方法。
B5.前記差動符号器は、固定通信システム内に位置する、請求項B2に記載の方法。
種々の実施形態を、構造的特徴及び/又は方法論的作用に特有の文言で説明してきたが、請求する主題は、記載される特定の特徴または作用に限定されてはならないことを理解されたい。限定されるのではなく、特定の特徴及び作用は、請求する主題を実施する例示的な形態として開示される。
また、本発明は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
送信データを、差動符号器を用いて符号化する方法であって:
差動符号器で送信データを受信し、そして
前記送信データを、符号集合を用いて符号化し、前記符号集合を前記差動符号器が処理すると、前記符号集合によって、前記差動符号器が既知の状態に設定され、そして無相関出力系列が生成される、方法。
(態様2)
前記差動符号器は、前記送信データを受信すると、初期論理状態に保持され、そして
前記データを符号化するために前記差動符号器が用いる前記符号集合によって、前記差動符号器が前記初期論理状態にリセットされる、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記差動符号器は、前記送信データを受信すると、初期論理状態を保持し、そして
前記データを符号化するために前記差動符号器が用いる前記符号集合によって前記差動符号器が、前記初期論理状態とは異なる既知の論理状態にリセットされる、態様1に記載の方法。
(態様4)
更に:
前記符号化信号を変調し、
前記符号化信号を増幅し、そして
前記符号化信号を送信する、
態様1に記載の方法。
(態様5)
更に:
前記符号化信号を受信し、そして
前記符号化信号を復号する、
態様4に記載の方法。
(態様6)
更に、前記符号化信号を測位アルゴリズムに用いる、態様5に記載の方法。
(態様7)
前記符号化信号は、全地球測位システム(GPS)信号、グレイ(Gray)コード信号、または衛星信号のうちの少なくとも1つの信号を含む、態様6に記載の方法。
(態様8)
前記送信データを符号化する際に、スーパービットエンコーディング方式を用い、前記スーパービットエンコーディング方式では、送信される各情報ビットをN擬似ランダムビット列で表わす、態様6に記載の方法。
(態様9)
前記スーパービットエンコーディング方式を利用して、信号対雑音比を大きくして、屋内に居るユーザが正確なタイミング情報を取得することができるようにする、態様8に記載の方法。
(態様10)
前記スーパービットエンコーディング方式では、複数のビット列を前記N擬似ランダムビット列に付加し、前記複数のビット列によって、前記差動符号器が所定の論理状態にリセットされる、態様8に記載の方法。
(態様11)
前記差動符号器は、測位システムとして利用される通信システム内に配置される、態様1に記載の方法。
(態様12)
前記符号化信号を受信する際に、減衰環境に居るユーザが、信号を受信して正確な信号取得タイミング情報を取得することができるようにする、態様5に記載の方法。
(態様13)
差動符号器を備える通信装置であって、前記差動符号器は:
送信データを受信し、そして
前記送信データを、符号集合を用いて符号化し、前記符号集合を前記差動符号器で処理すると、前記符号集合によって、前記差動符号器が既知の状態に設定され、そして無相関出力系列が生成される、通信装置。
(態様14)
前記差動符号器は、前記送信データを受信すると、初期論理状態を保持し、そして
前記データを符号化するために前記差動符号器が用いる前記符号集合によって、前記差動符号器が前記初期論理状態にリセットされる、態様13に記載の通信装置。
(態様15)
前記差動符号器は、前記送信データを受信すると、初期論理状態を保持し、そして
前記データを符号化するために前記差動符号器が用いる前記符号集合によって、前記差動符号器が前記初期論理状態とは異なる既知の論理状態にリセットされる、態様13に記載の通信装置。
(態様16)
前記差動符号器は、スーパービットエンコーディング方式を実現し、前記スーパービットエンコーディング方式では、送信される各情報ビットをN擬似ランダムビット列で表わす、態様13に記載の通信装置。
(態様17)
前記スーパービットエンコーディング方式では、複数のビット列を前記N擬似ランダムビット列に付加し、前記複数のビット列によって、前記差動符号器が所定の論理状態にリセットされる、態様16に記載の通信装置。

Claims (14)

  1. 差動符号器が第1論理状態の間、前記差動符号器でデータを受信し、
    符号化信号を生成するために、送信符号を用いて前記データの一部分を符号化し、前記送信符号は、符号語集合から選択され、前記送信符号は、前記差動符号器が前記データの一部分を符号化した後に、前記第1論理状態とは異なる第2論理状態に切り替えられるように選択され、
    第2の符号化信号を生成するために、第2の送信符号を用いて前記データの第2の部分を符号化し、前記第2の送信符号は、前記符号語集合から選択され、前記第2の送信符号は、前記差動符号器が前記データの第2の部分を符号化した後に、前記第2論理状態とは異なる第3論理状態に切り替えられるように選択される、方法。
  2. 前記送信符号は、更に、前記符号化信号が全地球測位システム(GPS)信号を含むように選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 更に:
    前記符号化信号及び前記第2の符号化信号を変調して変調信号を生成し、
    前記変調信号を増幅して増幅された信号を生成し、
    前記増幅された信号を送信する、
    請求項1に記載の方法。
  4. 前記増幅された信号を送信することは、メッセージバーストを送信することを含み、
    前記メッセージバーストは、前記増幅された信号を含み、
    前記符号化信号は、第1のグレイ(Gray)コードを含み、
    前記第2の符号化信号は、第2のグレイ(Gray)コードを含む、
    請求項3に記載の方法。
  5. QPSK符号化により前記符号化信号が生成される場合、前記符号集合は、ビット数が偶数であり、値1を有する全ビットの合計が4の偶数倍の符号である、請求項3に記載の方法。
  6. BPSK符号化により前記符号化信号が生成される場合、前記符号集合は、ビット数が偶数であり、値1を有する全ビットの合計が2の偶数倍の符号である、請求項3に記載の方法。
  7. 前記符号化信号は、全地球測位システム(GPS)信号、グレイ(Gray)コード信号、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 差動符号器が第1論理状態の間、データを受信し、
    符号化信号を生成するために、送信符号を用いて前記データの一部分を符号化し、前記送信符号は、符号語集合から選択され、前記送信符号は、前記差動符号器が、前記データの一部分を符号化した後に、前記第1論理状態とは異なる第2論理状態に切り替えられるように選択され、
    第2の符号化信号を生成するために、第2の送信符号を用いて前記データの第2の部分を符号化し、前記第2の送信符号は、前記符号語集合から選択され、前記第2の送信符号は、前記差動符号器が、前記データの第2の部分を符号化した後に、前記第2論理状態とは異なる第3論理状態に切り替えられるように選択されるように構成された差動符号器と、
    前記差動符号器によって生成された前記符号化信号及び前記第2の符号化信号を送信するよう構成された送信機と、
    を備える、通信装置。
  9. 前記送信符号は、前記符号化信号が全地球測位システム(GPS)信号を含むように選択される、請求項8に記載の通信装置。
  10. 前記符号化信号を変調して変調信号を生成する変調器と、
    前記変調信号を増幅して増幅された信号を生成するアンプと、を更に備え、
    前記送信機は、前記増幅された信号を送信するよう構成される、
    請求項8に記載の通信装置。
  11. 前記送信機は、メッセージバーストを送信するように構成され、前記メッセージバーストは、前記符号化信号及び前記第2の符号化信号を含む、
    請求項8に記載の通信装置。
  12. 前記符号化信号は、第1のグレイコードを含み、前記第2の符号化信号は、第2のグレイコードを含む、請求項8に記載の通信装置。
  13. 前記符号化信号は、全地球測位システム(GPS)信号、グレイコード信号、またはこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の通信装置。
  14. 前記符号化信号及び前記第2の符号化信号を変調して変調信号を生成する変調器と、
    前記変調信号を増幅して増幅された信号を生成するアンプと、を更に備え、
    前記送信機は、前記増幅された信号を送信するよう構成される、
    請求項8に記載の通信装置。
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