以下に添付図面を参照して、本発明に係る蓄電装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、実施例1の蓄電装置を表す水平断面図、図2は、蓄電装置の縦断面を表す図1のA−A断面図、図3は、蓄電装置の縦断面を表す図1のB−B断面図、図4は、蓄電装置の縦断面を表す図1のC−C断面図、図5は、蓄電池モジュールを表す図4のD部の拡大断面図、図6は、蓄電装置におけるエアガイドを表す概略図である。
実施例1において、図1に示すように、蓄電装置10は、その外殻を構成する筐体としてのコンテナ11を有している。蓄電装置10は、外殻がコンテナ11で構成されていることによりフォークリフトやクレーン等で持ち上げ可能となり、トレーラーや鉄道のコンテナ車、船舶等に搭載されて運搬可能となっている。
コンテナ11は、長方形状をなして水平配置される底部15と、底部15の長さが短い一方の端縁部から鉛直上方に立ち上がる側壁部16と、底部15の長さが短い他方の端縁部から鉛直上方に立ち上がる側壁部17と、底部15の長さが長い一方の端縁部から鉛直上方に立ち上がる側壁部18と、底部15の長さが長い他方の端縁部から鉛直上方に立ち上がる側壁部19と、底部15と平行をなして側壁部16〜19の上端縁部を繋ぐ天井部20(図2参照)とを有している。
側壁部16は、共通の開口を開閉する一対の扉部22,23を有している。一対の扉部22,23は、側壁部16の側壁部18側の端部位置及び側壁部16の側壁部19側の端部位置にて鉛直方向に沿う中心軸回りに揺動して開閉する。また、側壁部18は、それぞれ個別の開口を開閉する扉部25及び扉部26を有している。扉部25は、側壁部18の側壁部16側の端部位置にて鉛直方向に沿う中心軸回りに揺動して開閉する。扉部26は、側壁部18の側壁部17側の端部位置にて鉛直方向に沿う中心軸回りに揺動して開閉する。
コンテナ11は、内部において、底部15上に同形状をなす複数台(具体的には10台)のラック30が設置されている。各ラック30は、図2に示すように、それぞれ複数段(具体的には、8段)の水平配置される平面視長方形状の同形状の棚部31と、最も上側で水平配置される平面視長方形状の天板部32とを有している。図1に示すように、半数(具体的には、5台)のラック30は、長さの長い一方の側壁部18の近傍に、この側壁部18の内壁面18aに沿って一列状に配置されてラック列35を構成している。また、残り半数のラック30は、長さの長い他方の側壁部19の近傍に、この側壁部19の内壁面19aに沿って一列状に配置されてラック列36を構成している。
つまり、一方のラック列35を構成するラック30は、それぞれの長さ方向を側壁部18の内壁面18aの長さ方向に沿わせ、且つ互いに奥行方向の位置を合わせて一直線状に並設されており、内壁面18aとの間に所定の隙間38をあけている。また、他方のラック列36を構成するラック30は、それぞれの長さ方向を側壁部19の内壁面19aの長さ方向に沿わせ、且つ互いに奥行方向の位置を合わせて一直線状に並設されており、内壁面19aとの間に所定の隙間39をあけている。なお、一方のラック列35と他方のラック列36とは、コンテナ11の長さ方向における位置を合わせて平行に配置されており、一方のラック列35及びその背後の隙間38は、他方のラック列36及びその背後の隙間39と鏡面対称になっている。なお、ラック列35とラック列36との間は、作業者が往来可能な通路40となっている。
ラック30は、棚部31にそれぞれ複数台(具体的には、7台)の蓄電池としての蓄電池モジュール45が、棚部31の奥行方向の位置を合わせて棚部31の長さ方向に一直線状に搭載されている。この各蓄電池モジュール45は、図示しないが、それぞれ複数のリチウムイオン電池セルが組み合わされて構成されたリチウムイオン蓄電池モジュールとなっている。蓄電池モジュール45は、それぞれ棚部31に搭載された状態で直ぐ上にある棚部31あるいは直ぐ上にある天板部32との間に空気通路46を有している。また、図4に示すように、蓄電池モジュール45は、コンテナ11の中央部側にファン47が設けられている。そのため、蓄電池モジュール45は、それぞれファン47の駆動によりエアを各側壁部18,19側から空気通路46に吸い込んで反対側に排出する。
図1及び図2に示すように、コンテナ11は、一方のラック列35の側壁部16側及び側壁部17側に、ラック列35に設けられた蓄電池モジュール45用の一対の制御ユニット51,52が設けられており、他方のラック列36の側壁部16側及び側壁部17側にも、このラック列36に設けられた蓄電池モジュール45用の一対の制御ユニット53,54が設けられている。なお、側壁部18に設けられた扉部25,26の間の範囲にラック列35,36及び一対の制御ユニット51,52が設置されている。
そして、図1及び図4に示すように、コンテナ11は、天井部20における側壁部18側及び側壁部19側に、空気調和装置60からの冷却エアを内部に給気する一対の給気ダクト61,62が設けられている。これら給気ダクト61,62は、一対のダクト部材63,64とコンテナ11の天井部20とで形成されている。また、コンテナ11は、天井部20に一対の給気ダクト61,62の間に、コンテナ11内の空気を空気調和装置60に向けて排気する一つの排気ダクト65が設けられている。この排気ダクト65もダクト部材66とコンテナ11の天井部20とで形成されている。
一方の給気ダクト61は、一方のラック列35を構成するラック30の上方に、図2に示すように、これらのラック30のそれぞれに沿うように設置されたヘダーである。つまり、一方の給気ダクト61は、一方のラック列35を構成するラック30のそれぞれと長さ方向が一致している。図1及び図4に示すように、一方の給気ダクト61は、コンテナ11の天井部20で構成される下部に側壁部18の内壁面18aと一方のラック列35を構成するラック30との隙間38に向けて、吹出口としてのスリット(第1開口)71が開口している。このスリット71は、コンテナ11の天井面20aにおけるラック列35の背後の上方となる位置に形成されている。スリット71は、図2に示すように、直線状をなし、隙間38に沿って形成されている。このスリット71は、その長さ方向と隙間38の長さ方向とが一致しており、図1及び図4に示すように、スリット71は、隙間38の幅方向の範囲内に配置されている。図2に示すように、一方の給気ダクト61は、空気調和装置60からの冷却エアが導入される導入口72が、長さ方向における一端のみに形成されており、構造の簡素化並びに製造コストの低減が図られている。この導入口72は、給気ダクト61の側方(水平方向)に開口しており、空気調和装置60からの冷却エアの給気ダクト61への導入流量を調整するバタフライ弁からなる流量調整機構73が設けられている。
スリット71は、その長さ方向の両端位置が、一方のラック列35の長さ方向の両端位置に略一致しており、隙間38の長さ方向の両端位置に略一致している。スリット71は、その幅方向の位置が、図5に矢印で示すように、隙間38に向け給気するエアの一部を最も上側の蓄電池モジュール45が搭載されている棚部31に干渉させる位置に設定されている。そのため、スリット71は、この棚部31より下側の棚部31にもエアの一部を干渉させることになる。側壁部18の内壁面18aと一方のラック列35を構成するラック30との隙間38の幅W1と、スリット71の幅W2と、一方のラック列35を構成するラック30の内壁面18a側の端部とスリット71との距離Lと、最も上側の蓄電池モジュール45が搭載されている棚部31からスリット71までの高さHとの関係は、L/W1>0.05、W2/W1>0.05、となっている。例えば、W1は50〜300mm、W2は20mm、Lは15〜140mmとなっている。
また、図1及び図4に示すように、他方の給気ダクト62は、給気ダクト61と同様に、他方のラック列36を構成するラック30の上方に、これらのラック30のそれぞれに沿うように設置されたヘダーである。つまり、他方の給気ダクト62は、他方のラック列36を構成するラック30のそれぞれと長さ方向と一致している。そして、他方の給気ダクト62は、コンテナ11の天井部20で構成される下部に、側壁部19の内壁面19aと他方のラック列36を構成するラック30との隙間39に向けて、吹出口としてのスリット75が開口している。このスリット75は、コンテナ11の天井面20aにおけるラック列36の背後の上方となる位置に形成されている。このスリット75は、直線状をなし、隙間39に沿って形成されている。スリット75は、その長さ方向と隙間39の長さ方向とが一致しており、スリット75は隙間39の幅方向の範囲内に配置されている。そして、他方の給気ダクト62は、空気調和装置60からのエアが導入される導入口76が、一方の給気ダクト61の導入口72と同側の長さ方向の一端のみに形成されており、構造の簡素化並びに製造コストの低減が図られている。この導入口76は、給気ダクト62の側方(水平方向)に開口しており、空気調和装置60からのエアの給気ダクト62への導入流量を調整するバタフライ弁からなる流量調整機構77が設けられている。
スリット75とラック列36と隙間39と側壁部19の内壁面19aとの関係は、上述したスリット71とラック列35と隙間38と側壁部18の内壁面18aとの関係と同様になっている。つまり、スリット75は、その長さ方向の両端位置が、他方のラック列36の長さ方向の両端位置に略一致しており、隙間39の長さ方向の両端位置に略一致している。スリット75は、その幅方向の位置が、側壁部19の内壁面19aと他方のラック列36を構成するラック30との隙間39に向け給気するエアの一部を、最も上側の蓄電池モジュール45が搭載されている棚部31に干渉させる位置に設定されている。そのため、スリット75は、この棚部31より下側の棚部31にもエアの一部を干渉させることになる。
スリット71からコンテナ11内に給気されるエアの総風量は、ラック列35に搭載された全ての蓄電池モジュール45がファン47の駆動により吸い込むエアの総風量よりも小さくなるように設定されている。同様に、スリット75からコンテナ11内に給気されるエアの総風量は、ラック列36に搭載された全ての蓄電池モジュール45がファン47の駆動により吸い込むエアの総風量よりも小さくなるように設定されている。
図1及び図4に示すように、排気ダクト65は、給気ダクト61,62の間の中央位置にて、これらの給気ダクト61,62に沿うように設置されている。この排気ダクト65も、各ラック列35,36を構成する各ラック30のそれぞれと長さ方向を一致させている。そして、排気ダクト65におけるコンテナ11の天井部20で構成される下部に、一方のラック列35と他方のラック列36との間の通路40に向けて図3に示すように複数の吸出口(第2開口)80が開口している。この各吸出口80は、コンテナ11の天井面20aに形成されている。各吸出口80は、排気ダクト65の延在方向に並設されている。排気ダクト65は、空気調和装置60に向けてエアを排出する導出口81が、給気ダクト61,62の導入口72,76と同側の長さ方向の一端のみに形成されており、構造の簡素化並びに製造コストの低減が図られている。この導出口81は、側方(水平方向)に開口しており、排気ダクト65から空気調和装置60へのエアの排出流量を調整するバタフライ弁からなる流量調整機構82が設けられている。
実施例1の蓄電装置10は、図2及び図4に示すように、スリット71,75からのエア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイド91,92が設けられている。このエアガイド91,92は、スリット71,75に対応して設けられており、両者は、ほぼ同様の構成となっている。
即ち、図6に示すように、スリット71は、給気ダクト61の下部にこの給気ダクト61の長手方向に沿って形成され、エアガイド91は、このスリット71の長手方向に直交する鉛直方向に沿って配置されると共に、スリット71の長手方向に所定間隔(均等間隔)で配置される複数のガイドプレート93を有している。
この複数のガイドプレート93は、スリット71の下方、つまり、天井部20の下面に固定されている。ガイドプレート93は、天井部20の下面からスリット71の下方へ垂下するように配置されている。そのため、給気ダクト61内を水平方向に流れるエアの一部を、この複数のガイドプレート93によりコンテナ11の内壁面18aとこれに沿うラック列35の各ラック30との隙間38へ向けて、ほぼ鉛直方向における下方へその向きを変更して給気することができる。
なお、図4に示すように、エアガイド92も、このスリット75の長手方向に直交する鉛直方向に沿って配置されると共に、スリット75の長手方向に所定間隔(均等間隔)で配置される複数のガイドプレート94を有している。ガイドプレート93とほぼ同様の機能を有している。
ここで、本実施例の蓄電装置10における冷却方法について説明する。図4に示すように、蓄電池モジュール45は、充放電を行うと発熱し、また、外気温の影響によっても温度が変化することになる。そのため、蓄電装置10は、空気調和装置60により冷却されたエアが、導入口72から給気ダクト61に導入されると共に、導入口76から給気ダクト62に導入される。
そして、給気ダクト61に導入されたエアは、スリット71からコンテナ11の内壁面18aとこれに沿うラック列35の各ラック30との隙間38に対してカーテン状に噴出する。そして、ラック列35に搭載された各蓄電池モジュール45は、それぞれファン47の駆動により隙間38側に供給されたエアを吸い込み、吸い込んだエアにより熱交換を行った後に通路40側に排出する。ラック列35の各蓄電池モジュール45は、この冷却エアにより熱が奪われ冷却されることになる。
このとき、空気調和装置60は、側方に開口する導入口72から給気ダクト61にエアを導入することから、導入口72から給気ダクト61に導入されたエアは、この給気ダクト61内を長手方向に向かう水平流れとなる。そして、給気ダクト61を水平方向に流れるエアは、スリット71を通るときに、各ガイドプレート93により鉛直方向における下方へその向きが変更されて流れる。そのため、コンテナ11の内壁面18aと各ラック30との隙間38へ流れるエアは、この隙間38の長さ方向の全体に広がって均一化した低流速となり、その給気量がラック列35の配列方向でほぼ均一となり、ラック30に搭載された複数の蓄電池モジュール45が均一に冷却される。
また、給気ダクト62に導入されたエアは、スリット75からコンテナ11の内壁面19aとこれに沿うラック列36の各ラック30との隙間39に対してカーテン状に噴出する。そして、ラック列36に搭載された各蓄電池モジュール45は、それぞれファン47の駆動により隙間39側に供給されたエアを吸い込み、吸い込んだエアにより熱交換を行った後に通路40側に排出する。ラック列36の各蓄電池モジュール45は、この冷却エアにより熱が奪われ冷却されることになる。
このとき、前述と同様に、空気調和装置60は、側方に開口する導入口76から給気ダクト62にエアを導入することから、導入口76から給気ダクト62に導入されたエアは、この給気ダクト62内を長手方向に向かう水平流れとなる。そして、給気ダクト62を水平方向に流れるエアは、スリット75を通るときに、各ガイドプレート94により鉛直方向における下方へその向きが変更されて流れる。そのため、コンテナ11の内壁面19aと各ラック30との隙間39へ流れるエアは、この隙間39の長さ方向の全体に広がって均一化した低流速となり、その給気量がラック列36の配列方向でほぼ均一となり、ラック30に搭載された複数の蓄電池モジュール45が均一に冷却される。
そして、各蓄電池モジュール45を冷却したエアは、複数の吸出口80から排気ダクト65に吸い出され、空気調和装置60に導入されて冷却された後、再び給気ダクト61,62に導入され、上述したように、コンテナ11内に供給されて各蓄電池モジュール45を冷却する。
なお、上述した実施例では、スリット71,75からのエア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイド91,92を設け、このエアガイド91,92としてスリット71,75の下部に複数のガイドプレート93,94を設けたが、この構成に限定されるものではない。図7及び図8は、蓄電装置におけるエアガイドの変形例を表す概略図である。
図7に示すように、スリット71からのエア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイド95が設けられており、このエアガイド95は、スリット71の長手方向に直交する鉛直方向に沿って配置されると共に、スリット71の長手方向に所定間隔(均等間隔)で配置される複数のガイドプレート96を有している。この複数のガイドプレート96は、スリット71の内部に固定されている。そのため、給気ダクト61内を水平方向に流れるエアの一部を、この複数のガイドプレート96によりコンテナ11の内壁面18aとこれに沿うラック列35の各ラック30との隙間38へ向けて、ほぼ鉛直方向における下方へその向きを変更して給気することができる。
また、図8に示すように、スリット71からのエア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイド101が設けられており、このエアガイド101は、スリット71の長手方向に直交する鉛直方向に沿って配置されると共に、スリット71の長手方向に所定間隔(均等間隔)で配置される複数のガイドプレート102を有している。この複数のガイドプレート102は、スリット71の内部で水平な支持軸103により給気ダクト61の長手方向に沿って揺動自在に支持されている。そして、各ガイドプレート102は、各支持軸103がリンク機構104を介して駆動装置105に駆動連結されており、制御装置106は、この駆動装置105を介して各ガイドプレート102の揺動角度を調整可能となっている。そのため、制御装置106は、コンテナ11内の各蓄電池モジュール45の温度状況に応じて駆動装置105を介して各ガイドプレート102の揺動角度を調整する。すると、給気ダクト61内を水平方向に流れるエアは、ガイドプレート102により温度の高い蓄電池モジュール45がある隙間38へ向けて給気することができる。
このように実施例1の蓄電装置にあっては、中空形状をなすコンテナ11と、複数段の棚部31を有してコンテナ11における対向する内壁面18a,19aに沿って設置される一対のラック30と、ラック30の棚部31に配置される複数の蓄電池モジュール45と、ラック30の上方でラック30に沿って設けられる給気ダクト61,62と、給気ダクト61,62にエアを供給する空気調和装置60と、給気ダクト61,62に沿って設けられてコンテナ11の内壁面18a,19aとラック30との隙間38,39に向けてエアを供給可能なスリット71,75と、スリット71,75からのエア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイド91,92とを設けている。
従って、空気調和装置60により給気ダクト61,62に冷却エアを供給すると、この冷却エアは、各スリット71,75からコンテナ11の内壁面18a,19aとラック30との隙間38,39に向けて供給され、ラック30内を通過することで、棚部31に配置される複数の蓄電池モジュール45が冷却される。このとき、スリット71,75から隙間38,39にカーテン状の冷却エアを供給するため、この冷却エアを各隙間38,39の長さ方向の全体に広げて均一化した低流速で給気することができる。そのため、ラック30の各棚部31に搭載された複数の蓄電池モジュール45を良好に冷却することができる。
また、スリット71,75から隙間38,39に向けて供給されるエアのエア給気量は、エアガイド91,92によりラック30の長手方向で均一化される。そのため、ラック30の長手方向でほぼ同じ量のエアが供給されることとなり、ラック30内に配置される複数の蓄電池モジュール45を均等に冷却することができ、蓄電池モジュール45を良好に冷却することができる。
実施例1の蓄電装置では、給気ダクト61,62に空気調和装置60からのエアが導入される導入口72,76を側方に設けている。従って、給気ダクト61,62の側方にエアの導入口72,76が設けられることで、コンテナ11の高さを低く抑えることが可能となり、蓄電装置10の大型化を抑制することができる。
実施例1の蓄電装置では、導入口72,76を給気ダクト61,62における長手方向の一端部のみに設けている。従って、給気ダクト61,62の製造コストを低減することができる。
実施例1の蓄電装置では、給気ダクト61,62の下部にその長手方向に沿ってスリット71,75を形成し、エアガイド91,92として、スリット71,75の長手方向に直交する鉛直方向に沿って配置されると共に、スリット71,75の長手方向に所定間隔で配置される複数のガイドプレート93,94を設けている。従って、スリット71,75から隙間38,39に向けて供給されるエアは、各ガイドプレート91,92によりラック30の長手方向でほぼ同じ量に分配されることとなり、ラック30内に配置される複数の蓄電池モジュール45を均等に冷却することができる。
実施例1の蓄電装置では、エアガイド101として、複数のガイドプレート102を水平な支持軸103により給気ダクト61の長手方向に沿って揺動自在に支持し、各支持軸103にリンク機構104を介して駆動装置105を駆動連結し、制御装置106によりコンテナ11内の各蓄電池モジュール45の温度状況に応じて駆動装置105を介して各ガイドプレート102の揺動角度を調整可能としている。従って、ラック30内に配置される各蓄電池モジュール45の温度状況に応じて各ガイドプレート102によりエアの給気位置及び給気量が変更されることとなり、蓄電池モジュール45の温度状況に拘らず、ラック30内に配置される複数の蓄電池モジュール45を均等に冷却することができる。
なお、流量調整機構73,77の開度調整により導入口72,76から給気ダクト61,62へのエアの流量を調整し、流量調整機構82の開度調整により排気ダクト65から導出口81へのエアの流量を調整することにより、スリット71,75からのエアの噴流をより均一化することができ、また、全ての蓄電池モジュール45を良好に冷却できるようにスリット71,75からの冷却エアの噴流を調整することができる。
また、蓄電池モジュール45は、それぞれに温度センサが設けられている場合、各温度センサが計測した温度を所定の許容範囲内に収めるように、ファン47、流量調整機構73,77及び空気調和装置60を制御するようにしてもよい。
図9は、実施例2の蓄電装置を表す縦断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例2において、図9に示すように、蓄電装置110は、スリット71からのエア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイド111が設けられている。このエアガイド111は、給気ダクト61内に配置されている。
スリット71は、給気ダクト61の下部にこの給気ダクト61の長手方向に沿って形成され、エアガイド111は、給気ダクト61内に略水平をなして配置されると共に鉛直方向に所定間隔で配置される複数のガイドプレート112,113を有している。下部ガイドプレート112は、略水平形状をなし、両側部が給気ダクト61のダクト部材63の内側面に固定され、基端部が最も導入口72側のラック30の端部の上方に対応して位置し、先端部が下方に湾曲して導入口72側から2個目のラック30と3個目のラック30の間の上方に対応して位置している。また、上部ガイドプレート113は、略水平形状をなし、両側部が給気ダクト61のダクト部材63の内側面に固定され、基端部が最も導入口72側のラック30の端部の上方に対応して位置し、先端部が下方に湾曲して導入口72側から3個目のラック30と4個目のラック30の間の上方に対応して位置している。
即ち、各ガイドプレート112,113は、給気ダクト61を上下に3分割することで、第1通路114と第2通路115と第3通路116を形成している。そして、各ガイドプレート112,113は、エア流れ方向の下流側が下方に湾曲すると共に、上部ガイドプレート113が下部ガイドプレート112よりエア流れ方向の下流側に延出している。そのため、第1通路114は、導入口72からのエアを1個目と2個目のラック30に対して供給し、第2通路115は、導入口72からのエアを3個目のラック30に対して供給し、第3通路116は、導入口72からのエアを4個目と5個目のラック30に対して供給することができる。
ここで、本実施例の蓄電装置110における冷却方法について説明する。蓄電装置110は、冷却されたエアが導入口72から給気ダクト61に導入されると、このエアは、給気ダクト61内を長手方向に向かう水平流れとなる。そして、給気ダクト61を水平方向に流れるエアは、上下のガイドプレート112,113により区画された3個の通路114,115,116を通ってスリット71に案内される。即ち、第1通路114を通るエアは、スリット71からコンテナ11の内壁面18aと1、2個目のラック30との隙間38に対してカーテン状に噴出される。また、第2通路115を通るエアは、スリット71からコンテナ11の内壁面18aと3個目のラック30との隙間38に対してカーテン状に噴出される。更に、第3通路116を通るエアは、スリット71からコンテナ11の内壁面18aと4、5個目のラック30との隙間38に対してカーテン状に噴出される。
そのため、給気ダクト61に導入されたエアは、上下のガイドプレート112,113によりラック30に対してその給気量がほぼ均等に分配される。そして、各ラック30の各蓄電池モジュール45は、このエアにより熱交換を行うことで、この冷却エアにより熱が奪われ冷却されることになり、各ラック30に搭載された複数の蓄電池モジュール45が均一に冷却される。
このように実施例2の蓄電装置にあっては、スリット71からのエア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイド111を設け、このエアガイド111として、給気ダクト61内に略水平をなして配置されると共に、鉛直方向に所定間隔で配置される複数のガイドプレート112,113を設け、各ガイドプレート112,113を鉛直方向の上方側ほどエア流れ方向の下流側に延出している。
従って、給気ダクト61に供給されたエアは、上下のガイドプレート112,113により分配されてから、各スリット71からコンテナ11の内壁面18aとラック30との隙間38に向けて供給され、ラック30内を通過することで複数の蓄電池モジュール45が冷却される。このとき、給気ダクト61のエアが各ガイドプレート112,113により分配されてから各ラック30に供給されることで、各ラック30に対して供給されるエアの給気量がほぼ均等になる。そのため、ラック30の各棚部31に搭載された複数の蓄電池モジュール45を均一で良好に冷却することができる。
なお、本実施例では、エアガイド111として、2個のガイドプレート112,113を設けたが、この数は実施例に限定されるものではなく、ラック30の数だけ設けてもよく、ラック30の数より多く設けてもよい。
図10は、実施例3の蓄電装置を表す縦断面図、図11は、蓄電装置におけるエアガイドを表す概略図、図12は、蓄電装置におけるエアガイドの平面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例3において、図10に示すように、蓄電装置120は、コンテナ11の上部に給気ダクト61が設けられ、この給気ダクト61は、コンテナ11の天井部20で構成され、下部に側壁部18の内壁面18aと一方のラック列35を構成するラック30との隙間38に向けて、吹出口としての複数の開口部(第1開口)121が開口している。この各開口部121は、コンテナ11の天井面20aにおけるラック列35の背後の上方となる位置に形成されている。各開口部121は、直線状をなし、隙間38に沿って形成されている。この各開口部121は、その長さ方向と隙間38の長さ方向とが一致している。
本実施例にて、図11及び図12に示すように、複数の開口部121は、給気ダクト61の下部にこの給気ダクト61の長手方向に所定間隔(均等間隔)で複数形成されており、エア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイドとして機能する。この開口部121は、円形状をなしているが、矩形状であってもよい。
ここで、本実施例の蓄電装置120における冷却方法について説明する。図10に示すように、蓄電装置120は、冷却されたエアが導入口72から給気ダクト61に導入されると、このエアは、給気ダクト61内を長手方向に向かう水平流れとなる。そして、給気ダクト61を水平方向に流れるエアは、各開口部121からコンテナ11の内壁面18aとラック30との隙間38に対してカーテン状に噴出される。
このとき、給気ダクト61を水平方向に流れるエアは、各開口部121を通るときに流速が上昇すると共に、鉛直方向における下方へとその向きが変更されて流れる。そして、コンテナ11の内壁面18aと各ラック30との隙間38へ流れるエアは、流速が低下することで、この隙間38の長さ方向の全体に広がって均一化した低流速となり、その給気量がラック列35の配列方向でほぼ均一となり、ラック30に搭載された複数の蓄電池モジュール45が均一に冷却される。
なお、エアガイドとして機能する複数の開口部121の構成は、上述したものに限定されるものではない。図13は、蓄電装置におけるエアガイドの変形例を表す概略図である。図13に示すように、給気ダクト61を構成するコンテナ11の天井部20に、吹出口としての複数の開口部(第1開口)131が開口している。この各開口部131は、矩形状をなし、給気ダクト61の長手方向に直線状をなし、所定間隔をあけて形成されている。この複数の開口部131は、エア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイドとして機能する。
また、複数の開口部131の開口量を調整可能な開口量調整機構として調整プレート132が一対のガイドレール133により移動自在に支持され、駆動装置134により移動可能となっている。従って、駆動装置134により調整プレート132を移動することで、複数の開口部131の開口量を調整し、給気ダクト61から各開口部131を通って隙間38へ流れるエアの流速を調整することができる。そのため、蓄電池モジュール45の温度状況に応じて、複数の開口部131の開口量(開口面積)を調整し、各開口部131を通過するときのエアの流速を適正値に設定することで、ラック30内に配置される複数の蓄電池モジュール45を適正に冷却することができる。
このように実施例3の蓄電装置にあっては、隙間38に向けてエアを吹出す複数の開口部131を給気ダクト61の下部にラック30の長手方向に沿って所定間隔で設けることで、エア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイドと機能させている。
従って、給気ダクト61に供給されたエアは、複数の開口部131を通ってコンテナ11の内壁面18aとラック30との隙間38に向けて供給され、ラック30内を通過することで複数の蓄電池モジュール45が冷却される。このとき、給気ダクト61のエアが各開口部131により分配されてから各ラック30に供給されることで、各ラック30に対して供給されるエアの給気量がほぼ均等になる。そのため、ラック30の各棚部31に搭載された複数の蓄電池モジュール45を均一で良好に冷却することができる。
図14は、実施例4の蓄電装置を表す縦断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例4において、図14に示すように、蓄電装置140は、コンテナ11の上部に給気ダクト61が設けられ、この給気ダクト61は、コンテナ11の天井部20で構成され、下部に側壁部18の内壁面18aと一方のラック列35を構成するラック30との隙間38に向けて、吹出口としてのスリット71が設けられている。
この給気ダクト61は、内部が略水平な仕切板141により空気調和装置60からのエアが導入される第1ダクト142と、スリット71が設けられる第2ダクト143とに仕切られている。そして、仕切板141は、給気ダクト61の長手方向に所定間隔で複数の連通孔144が設けられている。この場合、複数の連通孔144が、スリット71からのエア給気量をラック30の長手方向で均一化するエアガイドとして機能する。
また、ラック30は、コンテナ11の長手方向に沿って複数(本実施例では、5個)隣接して配置されており、必要に応じてラック30ごとに区画されている。そのため、エアガイドとして機能する各連通孔144は、ラック30ごとに配置されている。
ここで、本実施例の蓄電装置140における冷却方法について説明する。蓄電装置140は、冷却されたエアが導入口72から給気ダクト61に導入されると、このエアは、給気ダクト61における第1ダクト142内を長手方向に向かう水平流れとなる。そして、第1ダクト142を水平方向に流れるエアは、各連通孔144を通って第2ダクト143に供給され、スリット71からコンテナ11の内壁面18aとラック30との隙間38に対してカーテン状に噴出される。
このとき、第1ダクト142に供給されたエアは、長手方向に向かう水平流れ成分を有しているが、第1ダクト142から各連通孔144を通って第2ダクト143に供給されたエアは、水平流れ成分がほとんどなくなり、この第2ダクト143からスリット71を通して隙間38に供給される。そのため、隙間38に供給されたエアは、ラック30に対してその給気量がほぼ均等となり、各ラック30の蓄電池モジュール45は、均一に冷却されることとなる。
このように実施例4の蓄電装置にあっては、給気ダクト61の内部に略水平な仕切板141を設けることで、空気調和装置60からのエアが導入される第1ダクト142と、スリット71が設けられる第2ダクト143とに仕切り、仕切板141に給気ダクト61の長手方向に所定間隔で複数の連通孔144を設けている。
従って、第1ダクト142に供給されたエアは、複数の連通孔144により分配されてから第2ダクト143に供給され、スリット71を通ってコンテナ11の内壁面18aとラック30との隙間38に向けて供給され、ラック30内を通過することで複数の蓄電池モジュール45が冷却される。そのため、各ラック30に対して供給されるエアの給気量がほぼ均等になる。そのため、ラック30の各棚部31に搭載された複数の蓄電池モジュール45を均一で良好に冷却することができる。
実施例4の蓄電装置では、ラック30をコンテナ11の長手方向に沿って複数隣接して配置し、連通孔144をラック30に対応して配置している。従って、簡単な構成で容易に各ラック30内に配置される複数の蓄電池モジュール45を均等に冷却することができる。
なお、上述した実施例では、給気ダクト61,62の側方に空気調和装置60からのエアが導入される導入口72,76を設けたが、給気ダクト61,62の上方にエアの導入口を設けてもよい。また、この導入口72,76を給気ダクト61,62における長手方向の一端部のみに設けたが、導入口72,76を給気ダクト61,62における長手方向の両端部や中央部などに設けてもよい。