以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。また、以下の説明において、疑似体験デバイスの操作側(使用者が押圧する側)を「基端側」、疑似的に液体を投与する側を「先端側」と称す。
<第1実施形態>
図1,2に示す第1実施形態に係る疑似体験デバイス10は、薬剤等の液体を生体内に投与するための医療用の液体投与具の操作を、訓練やプロモーション等の種々の目的で繰り返し疑似体験できるデバイスである。本実施形態に係る疑似体験デバイス10は、針管を備えず、薬剤等の液体を実際に投与する機能を備えていない。
疑似体験デバイス10は、使用者が把持して操作を行うための操作部材20と、操作部材20に対して移動可能に設けられるカバー部材30と、操作部材20およびカバー部材30の内部に回転可能に設けられる回転構造体40と、カバー部材30を回転構造体40に対して先端方向へ付勢するコイルバネ50(付勢部材)と、使用の前にカバー部材30から取り外されるキャップ60(保護部材)とを備えている。
操作部材20は、使用者が把持して液体の投与操作を疑似した操作を行う部材であり、図1〜3に示すように、使用者が把持して押圧するための押圧部21と、押し子22とを備えている。
押圧部21は、先端側が開口し、基端側が閉じた筒形状で形成されており、回転構造体40の外周面を囲む筒状の押圧用筒部23と、押圧用筒部23の基端側の開口を塞ぐように形成される押圧用基端部24とを備えている。押圧用筒部23の内周面には、軸方向へ延びる2つの押圧部第1溝25と、2つの押圧部第2溝26が形成されている。
押圧部第1溝25は、操作部材20の中心軸を挟んで対向する位置に設けられ、後述するカバー部材30の外周面に形成されるガイド用リブ33(図4を参照)を、軸方向へ移動可能に収容する。押圧部第2溝26は、中心軸を挟んで対向する位置に設けられ、後述するカバー部材30の外周面に形成される離脱防止用凸部34(図4を参照)を、軸方向へ移動可能に収容する。押圧部第2溝26は、押圧用筒部23の先端まで到達せず、基端面よりも基端側まで形成されている。
押し子22は、押圧用基端部24の内面の中心から先端方向へ延在している。なお、押し子22は、本来は液体を吐出させるための押圧力を液体へ伝達するためのものであるが、本実施形態における押し子22は、デバイス内に液体が収容されないため、液体を押圧することはない。
カバー部材30は、図1,2および4に示すように、筒状のカバー筒部31と、カバー筒部31の先端側の開口を塞ぐように形成される平面状のカバー先端部32とを備えている。カバー筒部31の外周面には、軸方向へ延在する2つのガイド用リブ33と、2つの離脱防止用凸部34と、2つの位置決め用リブ35が形成されている。2つのガイド用リブ33は、カバー部材30の中心軸を挟んで対向する位置に突出して設けられ、操作部材20の押圧部第1溝25に収容される。これにより、カバー部材30は、操作部材20に対して相対的に回転することなく、相対的に軸方向へのみ移動できる。
2つの離脱防止用凸部34は、カバー部材30の中心軸を挟んで対向する位置に径方向外側へ突出して設けられ、操作部材20の押圧部第2溝26に収容される。離脱防止用凸部34は、操作部材20およびカバー部材30が軸方向に沿って相対的に離れた際に、離脱防止用凸部34が押圧部第2溝26(図3を参照)の基端に引っ掛かり、操作部材20がカバー部材30から完全に離脱することを防止する。
2つの位置決め用リブ35は、カバー部材30の中心軸を挟んで対向する位置に径方向外側へ突出して設けられる。2つの位置決め用リブ35は、2つのガイド用リブ33の先端側の延長線上に、ガイド用リブ33から離れて形成されている。位置決め用リブ35は、後述するキャップ60の位置決め用溝部65(図6を参照)に収容可能であり、これにより、キャップ60のカバー部材30に対する取り付け位置を、高精度に位置決めできる。
カバー筒部31の内周面には、2つの安全用凸部36と、2つの誘導用凸部37が形成されている。2つの安全用凸部36は、カバー部材30の中心軸を挟んで対向する位置に径方向内側へ突出して設けられ、後述する回転構造体40の安全用溝46(図5を参照)に収容される。各々の安全用凸部36は、カバー筒部31に基端側から切り込まれて先端方向へ延びて形成されるスリット361に挟まれており、したがって、径方向外側へ撓むように移動可能である。
2つの誘導用凸部37は、カバー部材30の中心軸を挟んで対向する位置に径方向内側へ突出して設けられ、後述する回転構造体40のカム溝45に収容される。各々の誘導用凸部37は、カバー筒部31に基端側から切り込まれて先端方向へ延びて形成されるスリット371に挟まれており、したがって、径方向外側へ撓むように移動可能である。
カバー部材30のカバー先端部32には、カバー部材30の中心軸上に、後述するキャップ60の回転構造体保持部63、解除用押圧部64(図6を参照)が先端側から通過可能な開口部38が形成されている。開口部38は、実際の液体投与具においては、回転構造体に設けられる針管を先端方向へ通過させる役割を果たすものである。
回転構造体40は、図1,2および5に示すように、操作部材20およびカバー部材30の内部に中心軸を中心として回転可能に設けられる。回転構造体40は、押し子22を基端側から受け入れ可能に形成される内筒部41と、内筒部41の外側に同心的に形成される外筒部42と、内筒部41および外筒部42の先端部と繋がる円板状の平板部43と、平板部43から先端方向へ延在する筒状の先端筒部44とを備えている。
外筒部42の外周面には、2つのカム溝45と、2つの安全用溝46とが形成されている。
2つのカム溝45は、回転構造体40の中心軸を挟んで対向する位置に形成され、カバー部材30の誘導用凸部37(図4を参照)を収容し、誘導用凸部37を溝に沿って相対的に移動させる。すなわち、カム溝45および誘導用凸部37は、回転構造体40とカバー部材30の相対的な動作を規定するカム機構(動作誘導機構)として機能する。
カム溝45は、外筒部42の軸方向へ延在し、直線状に形成される初期直線溝45A(第1の溝部)と、外筒部42の軸方向に対して傾斜するように形成される傾斜溝45B(第2の溝部)と、外筒部42の軸方向へ延在し、直線状に形成される直線溝45C(第3の溝部)と、外筒部42の軸方向に対して直交するように形成される直交溝45D(第4の溝部)とを備えている。
初期直線溝45Aは、平板部43の先端面から基端方向へ延在して形成されている。初期直線溝45Aの先端部には、デバイスの組み立ての際に、誘導用凸部37を初期直線溝45Aへ離脱不能に受け入れる段差部48が形成されている。段差部48は、先端側が初期直線溝45Aの底面から傾斜して形成されており、この傾斜面48Aに沿って誘導用凸部37を滑らしつつ初期直線溝45Aへ導くことができる。また、段差部48は、基端側が初期直線溝45Aの底面から略90度で切り立つ壁面48Bが形成されており、一旦、傾斜面48Aを通って段差部48を基端側へ超えた誘導用凸部37が、再び段差部48の壁面48Bを超えて離脱することを抑制する。
傾斜溝45Bは、初期直線溝45Aの基端部と連通して形成されており、初期直線溝45Aの基端部から基端方向へ傾斜して延在している。傾斜溝45Bは、1周よりも短く形成されている。
直線溝45Cは、傾斜溝45Bの基端部と連通して形成されており、傾斜溝45Bの基端部から、先端方向へ延在している。
直交溝45Dは、直線溝45Cの先端部と連通して形成されており、直線溝45Cの先端部から、外筒部42の中心軸に対して直交する方向へ、初期直線溝45Aに到達するまで延在している。
なお、カム溝45が、カバー部材30に形成され、誘導用凸部37が、回転構造体40に形成されてもよい。
先端筒部44は、内筒部41および外筒部42と同心的に形成されており、内周面に、2つの解除用受け部47が突出して形成されている。解除用受け部47は、先端筒部44の中心軸を挟んで対向する位置に設けられ、先端筒部44の軸方向へ延在している。解除用受け部47は、後述するキャップ60の解除用押圧部64(図6を参照)が当接可能であり、この解除用押圧部64から、回転構造体40を回転させる力を受ける部位である。
2つの安全用溝46は、回転構造体40の中心軸を挟んで対向する位置に形成され、カバー部材30の安全用凸部36(第2の係合部)を収容する。安全用溝46は、カム溝45および誘導用凸部37によって相対的に移動する回転構造体40およびカバー部材30の位置関係に応じて、カバー部材30の回転構造体40に対する相対的な軸方向の移動を規制する。したがって、安全用溝46および安全用凸部36は、カバー部材30が回転構造体40に対して基端方向へ移動し、すなわち、針管の穿刺を疑似した動作を行い、カバー部材30が回転構造体40に対して先端方向へ移動した後には、カバー部材30が回転構造体40に対して再び基端方向へ移動することを抑制する安全機構を構成する。なお、カバー部材30が回転構造体40に対して基端方向へ移動する動作は、液体投与具において針管がカバー部材30から突出することを意味し、カバー部材30が回転構造体40に対して先端方向へ移動する動作は、液体投与具において、使用した針管をカバー部材30内に収容することを意味する。
安全用溝46は、外筒部42の軸方向へ延在して直線状に形成される第1安全用溝46Aと、第1安全用溝46Aと並んで平行に延在する第2安全用溝46Bと、第1安全用溝46Aと第2安全用溝46Bの基端部を連通させる基端側連通溝46Cと、基端側連通溝46Cよりも先端側で、第1安全用溝46Aと第2安全用溝46Bを連通させる先端側連通溝46Dとを備えている。
第2安全用溝46Bには、安全用凸部36の先端方向への移動を許容するが、基端方向への移動を抑制する安全用段差部49(第1の係合部)が形成されている。安全用段差部49は、基端側の安全用傾斜面49Aが第2安全用溝46Bの底面から傾斜して形成されており、この安全用傾斜面49Aに沿って安全用凸部36を滑らしつつ先端側へ導くことができる。また、安全用段差部49は、先端側に第2安全用溝46Bの底面から略90度で切り立つ安全用壁面49Bが形成されており、一旦安全用傾斜面49Aを通って安全用段差部49を先端方向へ超えた安全用凸部36が、安全用段差部49と係合し、再び安全用段差部49を基端方向へ超えることを抑制する。先端側連通溝46Dは、安全用壁面49Bに沿って形成されている。
回転構造体40およびカバー部材30は、動作誘導機構において誘導用凸部37が初期直線溝45Aに位置する際に、安全用段差部49および安全用凸部36の回転方向位置が異なる第1の状態となる。この第1の状態において、安全用凸部36は、第1安全用溝46Aに位置し、回転構造体40およびカバー部材30が軸方向へ相対的に移動しても、安全用段差部49および安全用凸部36が係合することはない。そして、回転構造体40およびカバー部材30は、誘導用凸部37が直線溝45Cに位置する際に、安全用段差部49および安全用凸部36の回転方向位置が一致する第2の状態となる。この第2の状態において、安全用凸部36は、第2安全用溝46Bに位置し、回転構造体40およびカバー部材30が軸方向へ相対的に移動することで、安全用段差部49および安全用凸部36が係合可能である。
なお、安全用溝46が、カバー部材30に形成され、安全用凸部36が、回転構造体40に形成されてもよい。
コイルバネ50は、図2に示すように、カバー部材30の内部に配置されており、先端部がカバー先端部32の基端面に接し、基端部が回転構造体40の平板部43に接している。このコイルバネ50は、軸方向に収縮された状態で配置され、これによって、カバー部材30を回転構造体40に対して先端方向へ付勢している。
キャップ60は、図1,2および6に示すように、カバー部材30を覆うように被さる筒状のキャップ筒部61と、キャップ筒部61の先端側の開口を塞ぐように形成される平面状のキャップ先端部62とを備えている。キャップ先端部62の基端面には、基端方向へ延在する2つの回転構造体保持部63と、基端方向へ延在する2つの解除用押圧部64とが形成されている。
2つの回転構造体保持部63は、キャップ60の中心軸を挟んで対向するように位置し、いずれも基端方向へ向かって延在している。各々の回転構造体保持部63は、基端部が、回転構造体40と当接可能である。このため、キャップ60をカバー部材30に装着することで、回転構造体40は、カバー部材30に対して先端方向へ移動することが抑制され、針管をカバー部材30から突出させる動作を疑似した動作を抑制できる。
2つの解除用押圧部64は、キャップ60の中心軸を挟んで対向するように位置し、いずれも基端方向へ向かって延在している。各々の解除用押圧部64は、基端部が、回転構造体40の先端筒部44の内側へ到達可能な長さで形成されており、先端筒部44の内周面に形成される解除用受け部47に対して、周方向に隣接可能である(図2を参照)。したがって、解除用押圧部64を解除用受け部47に対して周方向に隣接させた状態で、キャップ60を回転させることで、解除用押圧部64により解除用受け部47に回転力を伝え、カバー部材30に対して回転構造体40を回転させることができる。すなわち、解除用押圧部64および解除用受け部47は、キャップ60をカバー部材30に対して回転させて、第2の状態から第1の状態へ移行させて、安全機構における安全用段差部49および安全用凸部36が係合した状態を解除する解除機構として機能する。
さらに、キャップ筒部61には、カバー部材30の位置決め用リブ35を収容可能な2つの位置決め用溝部65が形成されている。2つの位置決め用溝部65は、キャップ60の中心軸を挟んで対向するように位置している。各々の位置決め用溝部65は、基端側に、位置決め用リブ35(図4を参照)の幅と同程度の幅で形成されて位置決め用リブ35が通過可能な基端側位置決め用溝部65Aと、基端側位置決め用溝部65Aの先端側に基端側位置決め用溝部65Aと連通して形成され、基端側位置決め用溝部65Aよりも幅が広い先端側位置決め用溝部65Bとを備えている。キャップ60をカバー部材30に装着する際には、まず、位置決め用リブ35が、基端側位置決め用溝部65Aに収容される。このとき、基端側位置決め用溝部65Aの幅が、位置決め用リブ35の幅と同程度であるため、キャップ60のカバー部材30に対する周方向位置が高精度に位置決めされる。すなわち、位置決め用リブ35および基端側位置決め用溝部65Aが、位置決め機構として機能する。そして、キャップ60を基端方向へ押し進めると、位置決め用リブ35が基端側位置決め用溝部65Aを完全に通り抜け、先端側位置決め用溝部65Bに到達する。先端側位置決め用溝部65Bは、位置決め用リブ35の幅よりも広い幅で形成されているため、キャップ60を、カバー部材30に対して回転させることが可能となる。
また、キャップ筒部61には、内周面側へ突出する2つの変形許容部66が、弾性変形可能に形成されている。変形許容部66は、片持ち梁を構成するように、キャップ筒部61の外周面から内周面まで貫通するスリット67を形成することで構成される。キャップ60をカバー部材30に装着すると、変形許容部66が径方向外側へ変形しつつカバー部材30の外周面と接し、キャップ60がカバー部材30に対して取り外し可能な程度の摩擦力で連結する。また、この変形許容部66を押し込むことで、内部に配置されるカバー部材30を変形許容部66を介して把持することができる。
操作部材20、カバー部材30、回転構造体40およびキャップ60の構成材料は、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12のような各種樹脂が挙げられる。
コイルバネ50の構成材料は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、銅等のような金属材料が挙げられる。
次に、第1実施形態に係る疑似体験デバイス10の使用方法を説明する。
始めに、図2に示すように、未使用の初期状態の疑似体験デバイス10を準備する。この第1状態において、疑似体験デバイス10は、操作部材20が、回転構造体40に対して先端方向へ移動した状態となっており、かつカバー部材30が回転構造体40に対してコイルバネ50によって先端方向へ付勢されている。カバー部材30にはキャップ60が装着され、開口部38がキャップ60で覆われており、キャップ60の回転構造体保持部63が回転構造体40と当接することで、回転構造体40のカバー部材30に対する先端方向への移動が抑制されている。
次に、操作部材20およびキャップ60を把持して、キャップ60を操作部材20から先端方向へ移動させ、図7に示すように、キャップ60を操作部材20およびカバー部材30から取り外す。このとき、図7(A)に示すように、動作誘導機構においては、カバー部材30の誘導用凸部37が、回転構造体40の初期直線溝45Aに位置しており、初期直線溝45Aに沿って回転構造体40の軸方向へ移動可能となっている。また、図7(B)に示すように、安全機構においては、カバー部材30の安全用凸部36が、回転構造体40の第1安全用溝46Aに位置しており、第1安全用溝46Aに沿って回転構造体40の軸方向へ移動可能となっている。このため、カバー部材30は、回転構造体40に対して基端方向へ移動することが可能な状態となっている。そして、カバー部材30および回転構造体40は、安全用凸部36および安全用段差部49の回転方向位置が異なる第1の状態となっている。
次に、操作部材20を把持して、カバー部材30のカバー先端部32を生体へ当接させる。なお、疑似体験デバイス10は、訓練やプロモーション用であるため、対象物は、生体でなくてもよい。
カバー部材30のカバー先端部32を対象物へ押し付けると、カバー部材30が、回転構造体40に対して基端方向へ移動可能な状態となっているため、コイルバネ50を収縮させつつ、カバー部材30が、図8に示すように、回転構造体40に対して基端方向へ移動する。なお、この際に、回転構造体40が、操作部材20に対して基端方向へ移動しないように、回転構造体40と操作部材20の間で生じる摩擦力が、コイルバネ50の拡張力よりも大きいことが好ましい。
カバー部材30が、回転構造体40に対して基端方向へ移動すると、図8(A)に示すように、動作誘導機構においては、カバー部材30の誘導用凸部37が、回転構造体40の初期直線溝45Aの基端部、すなわち傾斜溝45Bの先端側に位置する。また、図8(B)に示すように、安全機構においては、カバー部材30の安全用凸部36が、回転構造体40の第1安全用溝46Aの基端部に位置しており、基端側連通溝46Cへ移動可能となっている。なお、この状態は、液体投与具においては、針管をカバー部材30から先端方向へ突出させて、生体に穿刺した状態を意味する。
次に、さらに操作部材20を押圧すると、図9(A)に示すように、傾斜溝45Bに到達した誘導用凸部37が傾斜溝45Bを押圧することになり、誘導用凸部37が傾斜溝45Bの傾斜を滑り傾斜溝45Bの基端部(直線溝45Cの基端部)へ到達するまで、回転構造体40が回転する。そして、図9(B)に示すように、安全機構においては、回転構造体40が回転することで安全用凸部36が基端側連通溝46Cを通り、第2安全用溝46Bの基端部に到達する。このとき、カバー部材30および回転構造体40は、安全用凸部36および安全用段差部49の回転方向位置が一致する第2の状態となる。
次に、さらに操作部材20を押圧すると、カバー部材30の安全用凸部36が、カム溝45内をこれ以上基端方向へ移動できないため、カバー部材30は、これ以上回転構造体40に対して基端方向へ移動できない。このため、図10に示すように、操作部材20が、回転体構造体およびカバー部材30に対して先端方向へ移動する。このとき、図10(A)に示すように、動作誘導機構においては、カバー部材30が回転構造体40に対して移動しないため、誘導用凸部37が移動せず、傾斜溝45Bの基端部(直線溝45Cの基端部)に位置している。そして、図10(B)に示すように、安全機構においても、安全用凸部36が移動せず、第2安全用溝46Bの基端部に位置している。なお、この状態は、液体投与具においては、針管から液体を生体内へ投与した状態を意味する。
次に、操作部材20を把持して、カバー先端部32を対象物から離すと、図11に示すように、コイルバネ50の付勢力によって、カバー部材30が回転構造体40に対して先端方向へ移動する。この状態は、液体投与具においては、針管をカバー部材30に収容した状態を意味する。このとき、図11(A)に示すように、動作誘導機構においては、誘導用凸部37が、直線溝45Cの先端部へ移動する。誘導用凸部37が、直線溝45Cの先端部に突き当たると、カバー部材30は、これ以上回転構造体40に対して先端方向へ移動不能となる。また、図11(B)に示すように、安全機構においては、安全用凸部36が、第2安全用溝46Bを先端方向へ移動して、安全用段差部49の安全用傾斜面49Aを滑りつつ変形して乗り越えて、安全用段差部49の先端側に到達する。そして、安全用凸部36が一旦安全用段差部49を乗り越えると、安全用壁面49Bによって安全用凸部36の第2安全用溝46Bにおける基端方向への移動が抑制されるため、カバー部材30の回転構造体40に対する基端方向への移動が不能となり、安全機構が作動した状態となる。この状態は、液体投与具においては、針管のカバー部材からの再突出を抑制する安全機構が作動した状態を意味する。
次に、キャップ60を把持して、カバー部材30に対して基端方向へ移動させて、図12〜14に示すように、カバー部材30の開口部38を覆うように、キャップ60を装着する。このとき、カバー部材30の外周面に設けられる位置決め用リブ35を、キャップ60の基端側位置決め用溝部65Aに収容するように装着することで、カバー部材30に対する所定の周方向位置で、キャップ60を装着すことができる。これにより、図13,14に示すように、キャップ60の2つの解除用押圧部64の基端部が、回転構造体40の先端筒部44の内側へ到達し、先端筒部44の内周面に形成される解除用受け部47に対して、周方向に隣接する。
そして、カバー部材30の位置決め用リブ35が基端側位置決め用溝部65Aを完全に通り抜け、先端側位置決め用溝部65Bに到達すると、図15に示すように、先端側位置決め用溝部65Bは、位置決め用リブ35の幅よりも広い幅で形成されているため、キャップ60を、カバー部材30および当該カバー部材30と一体的に回転する操作部材20に対して、回転させることが可能となる。
キャップ60を、カバー部材30および操作部材20に対して回転させると、解除用押圧部64が回転構造体40に形成される解除用受け部47を押圧し、図16に示すように、回転構造体40が、カバー部材30および操作部材20の内部で回転する。このとき、図16(A)に示すように、動作誘導機構においては、誘導用凸部37が、直交溝45Dを移動し、初期直線溝45Aに到達する。また、図16(B)に示すように、安全機構においては、安全用凸部36が、先端側連通溝46Dを移動し、第1安全用溝46Aに到達する。これにより、カバー部材30および回転構造体40が、第1の状態に戻り、安全用段差部49による安全用凸部36の規制が解除され、すなわち安全機構が解除され、カバー部材30の回転構造体40に対する基端方向への移動が再び可能な状態となる。
次に、図17に示すように、キャップ60の変形許容部66を押圧して、変形許容部66を介してカバー部材30を挟むように把持する。この状態で、操作部材20に対してキャップ60を先端方向へ移動させると、図17(A)に示すように、動作誘導機構において、誘導用凸部37が初期直線溝45Aの段差部48に接するまで初期直線溝45Aを移動し、カバー部材30が回転構造体40に対して先端方向へ移動する。そして、誘導用凸部37は、初期直線溝45Aの段差部48を乗り越えられないため、これ以上のカバー部材30の回転構造体40に対する移動が不能となり、回転構造体40に対して、操作部材20が基端方向へ移動することになる。この後、再びキャップ60をカバー部材30から取り外すと、図7に示す状態となり、再び疑似体験操作を行うことができる。
以上のように、第1実施形態に係る疑似体験デバイス10は、回転構造体40およびカバー部材30が、相対的に回転することで、安全用段差部49(第1の係合部)および安全用凸部36(第2の係合部)の回転方向位置が異なる第1の状態、および当該回転方向位置が一致する第2の状態となることが可能であり、第2の状態において、安全用段差部49および安全用凸部36が係合した状態から、回転構造体40およびカバー部材30を相対的に回転させることで、再び体験操作が可能な第1の状態へ移行可能である。このため、液体の投与操作を疑似的に体験できるとともに、疑似体験デバイス10を再び初期の状態へ戻し、繰り返し体験操作を行うことができる。また、疑似体験デバイス10は、実際の液体投与具が備える安全機構および動作誘導機構を備えているため、実際の液体投与具の動作を忠実に疑似した動作確認が可能となり、訓練やプロモーション等の質を向上させつつ繰り返し体験操作を行うことができる。そして、高価な液体投与具を訓練やプロモーション等に使用する必要がなくなり、費用の損失を抑制できる。また、実際の液体投与具に設けられる針管を設けずに構成されているため、安全性が向上する。
また、動作誘導機構が、回転構造体40にカム溝45と、カバー部材30にカム溝45へ収容されてカム溝45に沿って移動する誘導用凸部37(凸部)とを有し、カム溝45は、第1の状態において回転構造体40およびカバー部材30を相対的に軸方向へ移動させるための初期直線溝45A(第1の溝部)と、初期直線溝45Aと連通し、第1の状態から第2の状態へ移行させるために回転構造体40およびカバー部材30を相対的に回転させるための傾斜溝45B(第2の溝部)と、傾斜溝45Bと連通し、第2の状態において回転構造体40およびカバー部材30を相対的に軸方向へ移動させて安全用段差部49(第1の係合部)および安全用凸部36(第2の係合部)を係合させるための直線溝45C(第3の溝部)と、初期直線溝45Aおよび直線溝45Cと連通し、第2の状態において安全用段差部49および安全用凸部36が係合した状態から、第1の状態へ移行させて安全用段差部49および安全用凸部36の係合を解除させるための直交溝45D(第4の溝部)と、を有している。このため、誘導用凸部37がカム溝45に沿って移動し、第1の状態から第2の状態となって疑似体験操作が終了した後に、誘導用凸部37を直交溝45Dを介して移動させて第1の状態とすることができ、繰り返し体験操作を行うことが可能な構造を実現できる。
また、第2の状態において安全用段差部49(第1の係合部)および安全用凸部36(第2の係合部)が係合した状態から第1の状態へ移行させて安全用段差部49および安全用凸部36の係合を解除するように、回転構造体40に回転力を作用させて当該回転構造体40をカバー部材30に対して相対的に回転させる解除機構を有するため、解除機構によって、安全用段差部49および安全用凸部36が係合した状態を容易に解除でき、操作性が向上する。なお、安全用段差部49(第1の係合部)および安全用凸部36(第2の係合部)が係合した状態を解除する解除機構は、必ずしも設けられなくてもよい。この場合、例えば汎用の工具等を用いて、または使用者の手指によって回転構造体40を回転させて、安全用段差部49および安全用凸部36が係合した状態を解除できる。
また、解除機構が、カバー部材30の先端側を覆うように取り外し可能に取り付けられるキャップ60(保護部材)に設けられるため、別途の部材を設けることなしに、キャップ60を利用して解除操作が可能となり、操作性が向上する。
また、キャップ60(保護部材)およびカバー部材30は、キャップ60をカバー部材30に対して所定の回転角度で装着可能とする位置決め構造を備え、キャップ60は、カバー部材30に対して所定の回転角度で装着することで、回転構造体40の回転力を受ける解除用受け部47に回転力を作用可能に隣接する解除用押圧部64を有し、当該キャップ60をカバー部材30に対して相対的に回転させることで解除機構による解除動作を行うことが可能であるため、キャップ60を回転させるだけで容易に解除操作が可能となり、操作性が向上する。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る疑似体験デバイス100は、図18(A)に示すように、操作部材20の内部に、第2コイルバネ110(第2の付勢部材)が設けられる点でのみ、第1実施形態に係る疑似体験デバイス10と異なる。なお、第1実施形態に係る疑似体験デバイス10と同様の機能を有する部位については、同一の符号を付し、説明を省略する。
第2コイルバネ110は、操作部材20の内部に配置されており、先端部が回転構造体40の外筒部42の基端面に接し、基端部が操作部材20の押圧用基端部24の内面に接している。この第2コイルバネ110は、軸方向に収縮された状態で配置され、これによって、操作部材20を回転構造体40に対して基端方向へ付勢している。第2コイルバネ110の拡張力(付勢力)は、操作部材20と回転構造体40の間の軸方向への摩擦力よりも大きいことが好ましい。
第2コイルバネ110の構成材料は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、銅等のような金属材料が挙げられる。
第2実施形態に係る疑似体験デバイス100によれば、操作部材20および回転構造体40を相対的に離れる方向へ力を作用させる第2コイルバネ110(第2の付勢部材)が設けられるため、操作部材20を押圧して疑似体験操作を行った後(図10を参照)に、第2コイルバネ110の拡張力を利用して、図18(B)に示すように、操作部材20を回転構造体40に対して基端方向へ自動的に移動させることができる。このため、キャップ60および操作部材20を把持して操作部材20を手動で移動させる動作(図17を参照)が必要なくなり、操作性が向上する。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る疑似体験デバイス200は、図19,20に示すように、針管270を備えて模擬液(液体)を模擬的に投与でき、かつ、操作部材220の回転構造体240に対する移動(液体を投与する動作)を所定の条件が満たされるまで規制する操作部材固定機構を備える点で、第1実施形態および第2実施形態と異なる。なお、第1実施形態または第2実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
疑似体験デバイス200は、回転構造体240の平板部43の中央に、軸方向へ突出する針管270が固定されている。針管270は、内筒部41の内部空間と連通しており、内筒部41が、模擬液を収容するシリンジとして機能する。回転構造体240は、内筒部41の基端側から基端方向へ延在する2つの固定用梁部241を備えている。
2つの固定用梁部241は、回転構造体240の中心軸を挟んで対向する位置に設けられる。各々の固定用梁部241は、基端部に、押し子222に向かって突出する固定用凸部242が形成されている。固定用凸部242は、後述する押し子222の固定用溝部227に収容される。固定用梁部241は、固定用凸部242を押し子222から離すように、径方向外側へ撓むことができる。
操作部材220に形成される押し子222の外表面には、図19,20に示すように、固定用溝部227が形成される。固定用溝部227は、周方向へ全周的に形成される押し子基端溝227Aと、押し子基端溝227Aよりも先端側で周方向へ全周的に形成される押し子先端溝227Bと、軸方向へ延在する2つの押し子直線溝227Cとを備えている。2つの押し子直線溝227Cは、押し子222の中心軸を挟んで対向する位置に設けられ、押し子先端溝227Bよりも先端側から、押し子基端溝227Aよりも基端側まで軸方向へ延在して形成されている。押し子直線溝227Cは、押し子先端溝227Bおよび押し子基端溝227Aと連通している。押し子先端溝227Bおよび押し子基端溝227Aの間には、基端方向へ向かって縮径する押し子傾斜面227Dが形成されており、押し子傾斜面227Dの基端側は、押し子基端溝227Aの底面と滑らかに連続して形成されている。押し子傾斜面227Dの先端側と押し子先端溝227Bの間には、押し子先端溝227Bから約90度で切り立つ押し子段差部228が形成されている。固定用凸部242は、押し子直線溝227C、押し子基端溝227A、および押し子先端溝227Bに沿って移行可能であり、かつ押し子基端溝227Aから押し子先端溝227Bへ向かって、固定用梁部241を撓ませながら押し子傾斜面227D上を移動可能である。なお、固定用凸部242は、押し子段差部228が設けられることで、押し子先端溝227Bから押し子基端溝227Aへ向かって押し子傾斜面227D上を移動することはできない。
上述した固定用凸部242および固定用溝部227は、操作部材220の回転構造体240に対する移動(模擬液を投与する動作)を所定の条件が満たされるまで規制する操作部材固定機構を構成する。
押し子222の先端部には、先端方向へ突出する押し子凸部229が形成されており、この押し子凸部229に、ガスケット280が取り付けられている。ガスケット280は、内筒部41の内壁面と液密性を維持しつつ摺動可能である。
キャップ260には、図19,21に示すように、第1実施形態におけるキャップ60に加えて、後述する模擬液用容器290を固定するための2つの容器固定用突出部268が形成されている。2つの容器固定用突出部268は、キャップ260の中心軸を挟んで対向する位置に設けられ、この2つの容器固定用突出部268に挟むように、模擬液用容器290を取り換え可能に固定する。
模擬液用容器290は、内部に、針管270によって実際に吸引するための模擬液(液体)を収容する有底筒状の容器であり、基端側が、針管270を穿刺可能な栓291で密封されている。模擬液用容器290は、疑似体験デバイス200を使用する毎に取り換えることができる。
第2コイルバネ210は、図19に示すように、操作部材220の内部に配置されており、先端部が回転構造体240の外筒部の基端面に接し、基端部が操作部材220の押圧用基端部24の先端面に接している。第2コイルバネ210は、外力が作用しない自然状態においてコイルが収縮した状態であり、これを強制的に引き伸ばした状態で、先端部が回転構造体240の外筒部42に連結され、基端部が操作部材220の押圧用基端部24に連結されている。したがって、第2コイルバネ210は、操作部材220を回転構造体240に対して先端方向へ移動させる力を発生させ、内筒部41から針管270を介して模擬液を吐出させる際の補助として機能する。なお、第2コイルバネ210の収縮力は、使用者が操作部材220を先端方向へ押圧しない場合に、第2コイルバネ210の収縮力によって液体が自動的に投与ない程度の大きさであることが好ましい。
ガスケット280および栓291の構成材料は、弾性材料であることが好ましいが、特に限定されず、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等が挙げられる。
針管270の構成材料は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材用が挙げられる。
第2コイルバネ210の構成材料は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、銅等のような金属材料が挙げられる。
次に、第3実施形態に係る疑似体験デバイス200の使用方法を説明する。
始めに、図19に示すように、未使用の初期状態の疑似体験デバイス200を準備する。この第1状態において、疑似体験デバイス200は、操作部材220が、回転構造体240に対して先端方向へ移動した状態となっており、かつカバー部材30が回転構造体240に対してコイルバネ50によって先端側に付勢されることで、針管270がカバー部材30内に収容されている。カバー部材30の開口部38は、キャップ260で覆われており、キャップ260の回転構造体保持部63が回転構造体240と当接、若しくは離れて位置することで、回転構造体240のカバー部材30に対する先端方向への移動が抑制されている。そして、図22(A)に示すように、動作誘導機構においては、誘導用凸部37が、直線溝45Cの先端部に位置し、図22(B)に示すように、安全機構においては、安全用凸部36が安全用段差部49の先端側に位置している。このため、安全用壁面49Bによって安全用凸部36の基端方向への移動が抑制され、カバー部材30の回転構造体240に対する基端方向への移動が不能となっている。固定用凸部242は、図22(C)に示すように、押し子基端溝227Aおよび押し子直線溝227Cの交点に位置している。
次に、操作部材220およびキャップ260を把持して、キャップ260を操作部材220から先端方向へ移動させ、キャップ260を操作部材220およびカバー部材30から取り外し、図21に示すように、キャップ260の容器固定用突出部268に模擬液用容器290を取り付ける。この後、キャップ260を再びカバー部材30に装着する。これにより、図23に示すように、針管270がキャップ260に固定された模擬液用容器290の栓291に突き刺さる。
次に、操作部材220およびキャップ260を把持して、キャップ260を操作部材220に対して回転させると、キャップ260の2つの解除用押圧部64(図21を参照)の基端部が、回転構造体240の解除用受け部47を押圧して回転構造体240が回転し、図24(A)に示すように、動作誘導機構においては、誘導用凸部37が、直交溝45Dを移動し、初期直線溝45Aに到達する。また、図24(B)に示すように、安全機構においては、安全用凸部36が、先端側連通溝46Dを移動し、第1安全用溝46Aに到達する。これにより、安全用段差部49による安全用凸部36の規制が解除され、カバー部材30の回転構造体240に対する基端方向への移動が可能な状態となる。また、図24(C)に示すように、操作部材固定機構においては、固定用凸部242が、押し子基端溝227Aを移動し、押し子傾斜面227Dの基端側に到達する。これにより、操作部材220が、回転構造体240に対して基端方向へ移動可能な状態となる。
次に、図25(A)に示すように、キャップ260の変形許容部66を押圧して、変形許容部66を介してカバー部材30を挟むように把持する。この状態で、キャップ260に対して操作部材220を基端方向へ移動させると、動作誘導機構において、誘導用凸部37が初期直線溝45Aの段差部48に接するまで初期直線溝45Aを移動し、カバー部材30が回転構造体240に対して先端方向へ移動する。そして、誘導用凸部37は、初期直線溝45Aの段差部48を乗り越えられないため、これ以上のカバー部材30の回転構造体40に対する移動が不能となり、この後、回転構造体240に対して、操作部材220が基端方向へ移動することになる。これにより、図26に示すように、第2コイルバネ210が引き伸ばされつつ、ガスケット280が内筒部41内で基端方向へ移動し、針管270を介して模擬液用容器290内の模擬液が内筒部41の内部へ吸引される。操作部材固定機構では、図25(C)に示すように、押し子基端溝227Aに位置していた固定用凸部242が、固定用梁部241を撓ませながら押し子傾斜面227D上を移動し、押し子先端溝227Bへ移動する。固定用凸部242が押し子先端溝227Bに収容されると、押し子先端溝227Bの基端側に押し子段差部228が設けられることで、固定用凸部242は、押し子先端溝227Bから押し子基端溝227Aへ向かって移動することができなくなる。これにより、引き伸ばされた第2コイルバネ210の収縮力に対抗しつつ、操作部材220を回転構造体240から離れた位置を維持することができる。この後、キャップ260の変形許容部66に対する押圧を停止し、キャップ260をカバー部材から取り外して、疑似体験操作前の準備が完了する。
次に、操作部材220を把持して、カバー部材30のカバー先端部32を、対象物へ当接させる。なお、疑似体験デバイス200は、針管270により模擬液を実際に投与するため、対象物は、針管270が刺さることができ、かつ投与が可能なものである必要がある。
カバー部材30のカバー先端部32を対象物へ押し付けると、図27に示すように、カバー部材30が、回転構造体240に対して基端方向へ移動可能な状態となっているため、カバー部材30が、コイルバネ50を収縮させつつ回転構造体240に対して基端方向へ移動し、針管270がカバー部材30の開口部38を通って先端方向へ突出し、対称物へ突き刺さる。
カバー部材30が、回転構造体240に対して基端方向へ移動すると、図27(A)に示すように、動作誘導機構においては、カバー部材30の誘導用凸部37が、回転構造体240の初期直線溝45Aの基端部、すなわち傾斜溝45Bの先端側に位置する。また、図27(B)に示すように、安全機構においては、カバー部材30の安全用凸部36が、回転構造体240の第1安全用溝46Aの基端部に位置しており、基端側連通溝46Cへ移動可能となっている。また、操作部材固定機構では、図27(C)に示すように、固定用凸部242が押し子先端溝227Bにおいて押し子段差部228の先端側に位置しているため、操作部材220の回転構造体240に対する先端方向への移動が抑制され、模擬液の針管270からの意図しない吐出を抑制できる。
次に、さらに操作部材220を押圧すると、図28(A)に示すように、傾斜溝45Bに到達した誘導用凸部37が傾斜溝45Bを押圧することになり、誘導用凸部37が傾斜溝45Bの傾斜を滑り傾斜溝45Bの基端部(直線溝45Cの基端部)へ到達するまで、回転構造体240が回転する。そして、図28(B)に示すように、安全機構においては、回転構造体240が回転することで安全用凸部36が基端側連通溝46Cを通り、第2安全用溝46Bの基端部に到達する。そして、図28(C)に示すように、操作部材固定機構においては、回転構造体240が回転することで固定用凸部242が押し子直線溝227Cに到達し、押し子222の回転構造体240に対する先端方向への移動が可能な状態となる。すなわち、操作部材固定機構が解除された状態となる。
次に、さらに操作部材220を押圧すると、カバー部材30の安全用凸部36が、カム溝45内をこれ以上基端方向へ移動できないため、カバー部材30は、これ以上回転構造体240に対して基端方向へ移動しない。そして、操作部材固定機構が解除された状態であるため、図29に示すように、操作部材220が、回転構造体240およびカバー部材30に対して先端方向へ移動し、ガスケット280(図26を参照)がうち内筒部41内を先端方向へ移動し、対象物に穿刺した針管270から模擬液が投与される。このとき、図29(A)に示すように、動作誘導機構においては、カバー部材30が回転構造体240に対して移動しないため、誘導用凸部37が移動せず、傾斜溝45Bの基端部(直線溝45Cの基端部)に位置している。そして、図29(B)に示すように、安全機構においても、安全用凸部36が移動せず、第2安全用溝46Bの基端部に位置している。そして、図29(C)に示すように、操作部材固定機構においては、固定用凸部242が、押し子直線溝227Cを基端方向へ移動し、押し子基端溝227Aに到達する。
次に、操作部材220を把持して、カバー先端部32を対象物から離すと、図30に示すように、コイルバネ50の付勢力によって、カバー部材30が回転構造体240に対して先端方向へ移動し、針管270がカバー部材30内に収容される。このとき、図30(A)に示すように、動作誘導機構においては、誘導用凸部37が、直線溝45Cの先端部へ移動する。誘導用凸部37が、直線溝45Cの先端部に突き当たると、カバー部材30は、これ以上回転構造体240に対して先端方向へ移動不能となる。また、図30(B)に示すように、安全機構においては、安全用凸部36が、第2安全用溝46Bを先端方向へ移動して、安全用段差部49の傾斜面を滑りつつ変形して乗り越えて、安全用段差部49の先端側に到達する。そして、安全用凸部36が一旦安全用段差部49を乗り越えると、安全用壁面49Bによって安全用凸部36の第2安全用溝46Bにおける基端方向への移動が抑制されるため、カバー部材30の回転構造体240に対する基端方向への移動が不能となり、安全機構が作動した状態となる。また、図30(C)に示すように、操作部材固定機構においては、固定用凸部242が、押し子基端溝227Aから移動しない。
この後、キャップ260に固定されている使用済の模擬液用容器290を新しい模擬液用容器290に取り換え、キャップ260をカバー部材に装着し、図24に示すように、キャップ260を操作部材220に対して回転させることで、安全機構によるカバー部材30の回転構造体240に対する基端方向への移動制限を解除し、繰り返し疑似体験操作を行うことができる。
以上のように、第3実施形態に係る疑似体験デバイス200によれば、操作部材220および回転構造体240を相対的に近づく方向へ力を作用させる第2コイルバネ210(第2の付勢部材)を有するため、第2コイルバネ210が、操作部材220を回転構造体240に対して先端方向へ移動させる力を発生させ、使用者の押圧操作を補助する機能(補助機能)を果たす。このため、補助機能を備える実際の液体投与具の動作を忠実に疑似した動作確認が可能となり、訓練やプロモーション等の質を向上させつつ繰り返し体験操作を行うことができる。
また、回転構造体240に、カバー部材30が回転構造体240に対して相対的に基端方向へ移動する際に当該カバー部材から先端方向へ突出する針管270(針部)が接続されているため、実際に針管270を対象物へ穿刺して模擬液を投与する疑似体験操作を、繰り返し行うことができる。
また、操作部材220の回転構造体240に対する先端方向への移動を制限し、回転構造体240の操作部材220に対する相対的な回転によって制限を解除可能な操作部材固定機構を有するため、条件が整うまで模擬液が針管270から吐出されず、誤穿刺を抑制して安全性を向上できる。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る疑似体験デバイス300は、図31,32に示すように、第2コイルバネ310が拡張力を与えるコイルバネであり、かつ、操作部材固定機構を構成する押し子322の固定用溝部327の構造が異なる点でのみ、第3実施形態と異なる。なお、第1〜第3実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
疑似体験デバイス300は、操作部材320に形成される押し子322の外表面に、固定用溝部327が形成される。固定用溝部327は、周方向へ全周的に形成される押し子基端溝327Aと、押し子基端溝327Aよりも先端側で周方向へ全周的に形成される押し子先端溝327Bと、軸方向へ延在する2つの第1押し子傾斜面327Cと、軸方向へ延在する2つの第2押し子傾斜面327Dとを備えている。2つの第1押し子傾斜面327Cは、押し子322の中心軸を挟んで対向する位置に設けられる。2つの第2押し子傾斜面327Dは、押し子322の中心軸を挟んで対向する位置に設けられ、第1押し子傾斜面327Cと周方向に交互に配置されている。第1押し子傾斜面327Cは、押し子先端溝327Bおよび押し子基端溝327Aの間で、先端方向へ向かって縮径して形成されており、第1押し子傾斜面327Cの先端側は、押し子先端溝327Bの底面と滑らかに連続して形成されている。第1押し子傾斜面327Cの基端側と押し子基端溝327Aの間には、押し子基端溝327Aから約90度で切り立つ第1押し子段差部328が形成されている。第2押し子傾斜面327Dは、押し子先端溝327Bおよび押し子基端溝327Aの間で、基端方向へ向かって縮径して形成されており、第2押し子傾斜面327Dの基端側は、押し子先端溝327Bの底面と滑らかに連続して形成されている。第2押し子傾斜面327Dの先端側と押し子先端溝327Bの間には、押し子先端溝327Bから約90度で切り立つ第2押し子段差部329が形成されている。
固定用凸部242は、押し子基端溝327Aおよび押し子先端溝327Bに移動可能に収容される。さらに、固定用凸部242は、押し子先端溝327Bから押し子基端溝327Aへ向かって、固定用梁部241を撓ませながら第1押し子傾斜面327C上を移動可能であり、押し子基端溝327Aから押し子先端部へ向かって、固定用梁部241を撓ませながら第2押し子傾斜面327D上を移動可能である。
第2コイルバネ310は、操作部材320の内部に配置されており、先端部が回転構造体240の外筒部42の基端面に接し、基端部が操作部材320の押圧用基端部24の内面に接している。第2コイルバネ310は、軸方向に収縮された状態で配置され、これによって、操作部材320を回転構造体240に対して基端方向へ移動させる力を発生させ、針管270を介して模擬液を内筒部41内に吸引する役割を果たす。
第2コイルバネ310の構成材料は、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、銅等のような金属材料が挙げられる。
次に、第4実施形態に係る疑似体験デバイス300の使用方法を説明する。
始めに、未使用の初期状態の疑似体験デバイス300を準備する。この状態において、疑似体験デバイス300は、操作部材320が、回転構造体240に対して先端方向へ移動した状態となっており、かつカバー部材30が回転構造体240に対してコイルバネ50によって先端側に付勢されることで、針管270がカバー部材30内に収容されている。そして、図33(A)に示すように、動作誘導機構においては、誘導用凸部37が、直線溝45Cの先端部に位置し、図33(B)に示すように、安全機構においては、安全用凸部36が安全用段差部49の先端側に位置している。このため、安全用壁面49Bによって安全用凸部36の基端方向への移動が抑制され、カバー部材30の回転構造体240に対する基端方向への移動が不能となっている。また、図33(C)に示すように、操作部材固定機構においては、固定用凸部242が、押し子基端溝327Aに収容され、第1押し子段差部328の基端側に位置している。これにより、操作部材320が、回転構造体240に対して基端方向へ移動不能な状態となっており、第2コイルバネ310が収縮した状態を維持している。
次に、操作部材320およびキャップ260を把持して、キャップ260を操作部材320から先端方向へ移動させ、キャップ260を操作部材320およびカバー部材30から取り外し、キャップ260の容器固定用突出部268に模擬液用容器290を取り付ける。この後、キャップ260を再びカバー部材30に装着する。これにより、図31に示すように、針管270がキャップ260に固定された模擬液用容器290の栓291に突き刺さる。
次に、操作部材320およびキャップ260を把持して、キャップ260を操作部材320に対して回転させると、キャップ260の2つの解除用押圧部64(図21を参照)の基端部が、回転構造体240の解除用受け部47を押圧して回転構造体240が回転し、図34(A)に示すように、動作誘導機構においては、誘導用凸部37が、直交溝45Dを移動し、初期直線溝45Aに到達する。また、図34(B)に示すように、安全機構においては、安全用凸部36が、先端側連通溝46Dを移動し、第1安全用溝46Aに到達する。これにより、安全用段差部49の安全用壁面49Bによる規制が解除され、カバー部材30の回転構造体240に対する基端方向への移動が可能な状態となる。また、図34(C)に示すように、操作部材固定機構においては、固定用凸部242が、押し子基端溝327Aを移動し、第1押し子段差部328の基端側から、第2押し子傾斜面327Dの基端側に到達する。これにより、操作部材320が、回転構造体240に対して基端方向へ移動可能な状態となり、安全機構が解除される。
固定用凸部242が、第2押し子傾斜面327Dの基端側に到達すると、第2コイルバネ310の拘束が解除され、図35,36に示すように、操作部材320が、第2コイルバネ310の拡張力によって、回転構造体240に対して自動的に基端方向へ移動する。これにより、ガスケット280が内筒部41内で基端方向へ移動し、針管270を介して模擬液用容器290内の模擬液が内筒部41の内部へ自動的に吸引される。操作部材固定機構では、図35(C)に示すように、押し子基端溝327Aに位置していた固定用凸部242が、固定用梁部241を撓ませながら第2押し子傾斜面327D上を移動し、押し子先端溝327Bへ移動する。固定用凸部242が押し子先端溝327Bに収容されると、押し子先端溝327Bの基端側に第2押し子段差部329が設けられることで、固定用凸部242は、押し子先端溝327Bから押し子基端溝327Aへ向かって移動不能となる。これにより、操作部材320に予期しない力が作用しても、操作部材320を回転構造体240から離れた位置を維持し、疑似液の意図しない吐出を抑制できる。この後、キャップ260をカバー部材30から取り外して、疑似体験操作前の準備が完了する。
次に、操作部材320を把持して、カバー部材30のカバー先端部32を、対象物へ当接させる。なお、疑似体験デバイス300は、針管270により模擬液を実際に投与するため、対象物は、針管270が刺さることができ、かつ投与が可能なものである必要がある。
カバー部材30のカバー先端部32を対象物へ押し付けると、カバー部材30が、安全機構が解除されて回転構造体240に対して基端方向へ移動可能な状態となっているため、コイルバネ50を収縮させつつ、図37に示すように、カバー部材30が回転構造体240に対して基端方向へ移動する。これにより、針管270がカバー部材30の開口部38を通って、先端側へ突出し、対称物へ突き刺さる。
カバー部材30が、回転構造体240に対して基端方向へ移動すると、図37(A)に示すように、動作誘導機構においては、カバー部材30の誘導用凸部37が、回転構造体240の初期直線溝45Aの基端部、すなわち傾斜溝45Bの先端側に位置している。また、図37(B)に示すように、安全機構においては、カバー部材30の安全用凸部36が、回転構造体240の第1安全用溝46Aの基端部に位置しており、基端側連通溝46Cへ移動可能となっている。また、操作部材固定機構では、図37(C)に示すように、固定用凸部242が第2押し子段差部329に接しているため、操作部材320の回転構造体240に対する先端方向への移動が抑制され、模擬液が針管270から吐出されない。
次に、さらに操作部材320を押圧すると、図38(A)に示すように、傾斜溝45Bに到達した誘導用凸部37が傾斜溝45Bを押圧することになり、誘導用凸部37が傾斜溝45Bの傾斜を滑り傾斜溝45Bの基端部(直線溝45Cの基端部)へ到達するまで、回転構造体240が回転する。そして、図38(B)に示すように、安全機構においては、回転構造体240が回転することで安全用凸部36が基端側連通溝46Cを通り、第2安全用溝46Bの基端部に到達する。そして、図38(C)に示すように、操作部材固定機構においては、回転構造体240が回転することで安全用凸部36が押し子先端溝327Bを移動し、第1押し子傾斜面327Cの先端側に到達する。これにより、押し子322の回転構造体240に対する先端方向への移動が可能な状態となる。すなわち、操作部材固定機構が解除された状態となる。
次に、さらに操作部材320を押圧すると、カバー部材30の安全用凸部36が、カム溝45内をこれ以上基端方向へ移動できないため、カバー部材30は、これ以上回転構造体240に対して基端方向へ移動しない。そして、操作部材固定機構が解除された状態であるため、図40に示すように、操作部材320が、回転構造体240およびカバー部材30に対して先端方向へ移動し、ガスケット280が内管部内を先端方向へ移動し、対象物に穿刺した針管270から模擬液が投与される。このとき、図39(A)に示すように、動作誘導機構においては、カバー部材30が回転構造体240に対して移動しないため、誘導用凸部37が移動せず、傾斜溝45Bの基端部(直線溝45Cの基端部)に位置している。そして、図39(B)に示すように、安全機構においても、安全用凸部36が移動せず、第2安全用溝46Bの基端部に位置している。そして、図39(C)に示すように、操作部材固定機構においては、固定用凸部242が、第1押し子傾斜面327Cを基端方向へ移動し、第1押し子段差部328を超えて押し子基端溝327Aに到達する。
次に、操作部材320を把持して、カバー先端部32を対象物から離すと、図40に示すように、コイルバネ50の付勢力によって、カバー部材30が回転構造体240に対して先端方向へ移動し、針管270がカバー部材30内に収容される。このとき、図40(A)に示すように、動作誘導機構においては、誘導用凸部37が、直線溝45Cの先端部へ移動する。誘導用凸部37が、直線溝45Cの先端部に突き当たると、カバー部材30は、これ以上回転構造体240に対して先端方向へ移動不能となる。また、図40(B)に示すように、安全機構においては、安全用凸部36が、第2安全用溝46Bを先端方向へ移動して、安全用段差部49の安全用傾斜面49Aを滑りつつ変形して乗り越えて、安全用段差部49の先端側に到達する。そして、安全用凸部36が一旦安全用段差部49を乗り越えると、安全用壁面49Bによって安全用凸部36の第2安全用溝46Bにおける基端方向への移動が抑制されるため、カバー部材30の回転構造体240に対する基端方向への移動が不能となる。そして、図40(C)に示すように、操作部材固定機構においては、固定用凸部242が押し子基端溝327A内で第1押し子段差部328と接し、操作者が操作部材320への押圧力を緩めても第2コイルバネ310が拡張せず、操作部材320の位置が維持される。
この後、キャップ260に固定されている使用済の模擬液用容器290を新しい模擬液用容器290に取り換え、キャップ260をカバー部材30に装着し、図34に示すように、キャップ260を操作部材320に対して回転させることで、安全機構によるカバー部材30の回転構造体240に対する基端方向への移動制限を解除し、繰り返し疑似体験操作を行うことができる。
以上のように、第4実施形態に係る疑似体験デバイス300によれば、操作部材320の回転構造体240に対する先端方向への移動を制限し、回転構造体240の操作部材320に対する相対的な回転によって制限を解除可能な操作部材固定機構を有するため、条件が整うまで模擬液が針管270から吐出されず、安全性が向上する。
また、操作部材固定機構は、操作部材320の回転構造体240に対する基端方向への移動を制限し、回転構造体240の操作部材320に対する相対的な回転によって制限を解除可能であるため、第2コイルバネ310の拡張力に対抗して、操作部材320が回転構造体240に対して基端方向へ移動することを制限でき、かつ当該限を解除することで、操作部材320を自動で基端側へ移動させ、針管270から模擬液を内筒部41内へ自動で吸引でき、操作性が向上する。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、第3,第4実施形態では、針管270を目的物へ実際に穿刺して模擬液を注入しているが、針管270を目的物へ穿刺した後、模擬液を注入しない構成であってもよい。この場合、目的物へ突き刺さる針部は、中空の針管でなくてもよい。このような構成であれば、模擬液の注入までは行わないが、針部を目的物へ突き刺す操作を、疑似体験することができる。