JP6128213B2 - チオフェン誘導体及びその利用並びにチオフェン誘導体の製造方法 - Google Patents

チオフェン誘導体及びその利用並びにチオフェン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、チオフェン誘導体及びその利用並びにチオフェン誘導体の製造方法に関し、更に詳述すると、少なくとも3位に置換基を有する2−チエニル基によって、2、3、4及び5位が置換されたチオフェン誘導体及びその電荷輸送性物質としての利用、並びにチオフェン誘導体の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELという)素子には、発光層や電荷注入層として、有機化合物からなる電荷輸送性薄膜が用いられる。特に、正孔注入層は、陽極と、正孔輸送層あるいは発光層との電荷の授受を担い、有機EL素子の低電圧駆動及び高輝度を達成するために重要な機能を果たす。
正孔注入層の形成方法は、蒸着法に代表されるドライプロセスと、スピンコート法に代表されるウェットプロセスとに大別され、これら各プロセスを比べると、ウェットプロセスの方が大面積に平坦性の高い薄膜を効率的に製造できる。それゆえ、有機ELディスプレイの大面積化が進められている現在、ウェットプロセスで形成可能な正孔注入層が望まれている。
このような事情に鑑み、本発明者らは、各種ウェットプロセスに適用可能であるとともに、有機EL素子の正孔注入層に適用した場合に優れたEL素子特性を実現できる薄膜を与える電荷輸送性材料や、それに用いる有機溶媒に対する溶解性の良好な化合物を開発してきている(例えば特許文献1〜4参照)。
国際公開第2008/032616号 国際公開第2008/129947号 国際公開第2006/025342号 国際公開第2010/058777号
本発明は、これまでに開発してきた上記特許文献の技術と同様に、有機溶媒への良好な溶解性を示すとともに、薄膜化して正孔注入層に適用した場合に優れた寿命特性を有する有機EL素子を実現できる新規チオフェン誘導体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定のチオフェン誘導体が有機溶媒への高い溶解性を示すとともに、それをドーパントとともに有機溶媒へ溶解させて調製したワニスから得られる薄膜が高い電荷輸送性を有し、当該薄膜を有機EL素子の正孔注入層に適用した場合に、優れた寿命特性を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記チオフェン誘導体及びその利用並びにチオフェン誘導体の製造方法を提供する。
1.下記式(1)で表されることを特徴とするチオフェン誘導体。
Figure 0006128213
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜のアルコキシ基又は炭素数1〜のアルキルチオ基を表し、
5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜のアルコキシ基をすか
1とR5、R2とR6、R3とR7びR 4とR8は、それぞれ互いに結合してエチレンジオキシ基を形成していてもよく、
9〜R12、水素原子を表す。)
2. 1 〜R 4 が、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルコキシ基である1のチオフェン誘導体。
3. 5 〜R 8 が、水素原子である1又は2のチオフェン誘導体。
4.下記式(1−1)〜(1−10)及び(1−21)〜(1−25)のいずれかで表される構造を有する1のチオフェン誘導体。
Figure 0006128213
Figure 0006128213
5.下記式(2)で表されるチオフェン化合物と式(3)〜(6)で表されるトリアルキルスタニルチオフェン化合物とを、触媒存在下で反応させることを特徴とする1のチオフェン誘導体の製造方法。
Figure 0006128213
(式中、Halはそれぞれ独立にハロゲン原子又は擬ハロゲン基を表し、Raはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R1〜R12は上記と同じ。)
6.1〜4のいずれかのチオフェン誘導体からなる電荷輸送性物質。
7.1〜4のいずれかのチオフェン誘導体、ドーパント及び有機溶媒を含む電荷輸送性ワニス。
8.7の電荷輸送性ワニスを用いて作製される電荷輸送性薄膜。
9.1〜4のいずれかのチオフェン誘導体を含む電荷輸送性薄膜。
10.8又は9の電荷輸送性薄膜を少なくとも1層備える電子デバイス。
11.8又は9の電荷輸送性薄膜を少なくとも1層備える有機エレクトロルミネッセンス素子。
12.前記電荷輸送性薄膜が、正孔注入層又は正孔輸送層である11の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明のチオフェン誘導体は有機溶媒に溶けやすく、これをドーパントとともに有機溶媒へ溶解させて容易に電荷輸送性ワニスを調製することができる。
本発明の電荷輸送性ワニスから作製した薄膜は高い電荷輸送性を示すため、有機EL素子をはじめとした電子デバイス用薄膜として好適に用いることができる。特に、この薄膜を有機EL素子の正孔注入層に適用することで、寿命特性に優れた有機EL素子を得ることができる。
また、本発明の電荷輸送性ワニスは、スピンコート法やスリットコート法等、大面積に成膜可能な各種ウェットプロセスを用いた場合でも電荷輸送性に優れた薄膜を再現性よく製造できるため、近年の有機EL素子の分野における進展にも十分対応できる。
[チオフェン誘導体]
本発明に係るチオフェン誘導体は、下記式(1)で表される。
Figure 0006128213
式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルチオ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールチオ基又はZ2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールチオ基を表す。
5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルチオ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールチオ基又はZ2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールチオ基を表す。
また、R5〜R8が水素原子でない場合、R1とR5、R2とR6、R3とR7及び/又はR4とR8は、互いに結合して2価の基を形成していてもよい。
9〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルチオ基又はZ2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。
1は、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数2〜20のアルケニルチオ基、炭素数2〜20のアルキニルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のヘテロアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールチオ基又は炭素数2〜20のヘテロアリールチオ基を表す。
2は、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数2〜20のアルケニルチオ基、炭素数2〜20のアルキニルチオ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のヘテロアリールオキシ基、炭素数6〜20のアリールチオ基又は炭素数2〜20のヘテロアリールチオ基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルケニル基の具体例としては、エテニル基、n−1−プロペニル基、n−2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、n−1−ペンテニル基、n−1−デセニル基、n−1−エイコセニル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルキニル基の具体例としては、エチニル基、n−1−プロピニル基、n−2−プロピニル基、n−1−ブチニル基、n−2−ブチニル基、n−3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、n−1−ペンチニル基、n−2−ペンチニル基、n−3−ペンチニル基、n−4−ペンチニル基、1−メチル−n−ブチニル基、2−メチル−n−ブチニル基、3−メチル−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−n−プロピニル基、n−1−ヘキシニル基、n−1−デシニル基、n−1−ペンタデシニル基、n−1−エイコシニル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロノニルオキシ基、シクロデシルオキシ基、ビシクロブチルオキシ基、ビシクロペンチルオキシ基、ビシクロヘキシルオキシ基、ビシクロヘプチルオキシ基、ビシクロオクチルオキシ基、ビシクロノニルオキシ基、ビシクロデシルオキシ基等の炭素数3〜20の環状アルコキシ基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルケニルオキシ基の具体例としては、エテニルオキシ基、n−1−プロペニルオキシ基、n−2−プロペニルオキシ基、1−メチルエテニルオキシ基、n−1−ブテニルオキシ基、n−2−ブテニルオキシ基、n−3−ブテニルオキシ基、2−メチル−1−プロペニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、1−エチルエテニルオキシ基、1−メチル−1−プロペニルオキシ基、1−メチル−2−プロペニルオキシ基、n−1−ペンテニルオキシ基、n−1−デセニルオキシ基、n−1−エイコセニルオキシ基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルキニルオキシ基の具体例としては、エチニルオキシ基、n−1−プロピニルオキシ基、n−2−プロピニルオキシ基、n−1−ブチニルオキシ基、n−2−ブチニルオキシ基、n−3−ブチニルオキシ基、1−メチル−2−プロピニルオキシ基、n−1−ペンチニルオキシ基、n−2−ペンチニルオキシ基、n−3−ペンチニルオキシ基、n−4−ペンチニルオキシ基、1−メチル−n−ブチニルオキシ基、2−メチル−n−ブチニルオキシ基、3−メチル−n−ブチニルオキシ基、1,1−ジメチル−n−プロピニルオキシ基、n−1−ヘキシニルオキシ基、n−1−デシニルオキシ基、n−1−ペンタデシニルオキシ基、n−1−エイコシニルオキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキルチオ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基、シクロオクチルチオ基、シクロノニルチオ基、シクロデシルチオ基、ビシクロブチルチオ基、ビシクロペンチルチオ基、ビシクロヘキシルチオ基、ビシクロヘプチルチオ基、ビシクロオクチルチオ基、ビシクロノニルチオ基、ビシクロデシルチオ基等の炭素数3〜20の環状アルキルチオ基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニルチオ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルケニルチオ基の具体例としては、エテニルチオ基、n−1−プロペニルチオ基、n−2−プロペニルチオ基、1−メチルエテニルチオ基、n−1−ブテニルチオ基、n−2−ブテニルチオ基、n−3−ブテニルチオ基、2−メチル−1−プロペニルチオ基、2−メチル−2−プロペニルチオ基、1−エチルエテニルチオ基、1−メチル−1−プロペニルチオ基、1−メチル−2−プロペニルチオ基、n−1−ペンテニルチオ基、n−1−デセニルチオ基、n−1−エイコセニルチオ基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニルチオ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルキニルチオ基の具体例としては、エチニルチオ基、n−1−プロピニルチオ基、n−2−プロピニルチオ基、n−1−ブチニルチオ基、n−2−ブチニルチオ基、n−3−ブチニルチオ基、1−メチル−2−プロピニルチオ基、n−1−ペンチニルチオ基、n−2−ペンチニルチオ基、n−3−ペンチニルチオ基、n−4−ペンチニルチオ基、1−メチル−n−ブチニルチオ基、2−メチル−n−ブチニルチオ基、3−メチル−n−ブチニルチオ基、1,1−ジメチル−n−プロピニルチオ基、n−1−ヘキシニルチオ基、n−1−デシニルチオ基、n−1−ペンタデシニルチオ基、n−1−エイコシニルチオ基等が挙げられる。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基及びアルキニルチオ基の炭素数は、12以下が好ましく、6以下がより好ましく、4以下がより一層好ましい。
炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリールオキシ基の具体例としては、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、1−フェナントリルオキシ基、2−フェナントリルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、4−フェナントリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基等が挙げられる。
炭素数2〜20のヘテロアリールオキシ基の具体例としては、2−チエニルオキシ基、3−チエニルオキシ基、2−フラニルオキシ基、3−フラニルオキシ基、2−オキサゾリルオキシ基、4−オキサゾリルオキシ基、5−オキサゾリルオキシ基、3−イソオキサゾリルオキシ基、4−イソオキサゾリルオキシ基、5−イソオキサゾリルオキシ基、2−チアゾリルオキシ基、4−チアゾリルオキシ基、5−チアゾリルオキシ基、3−イソチアゾリルオキシ基、4−イソチアゾリルオキシ基、5−イソチアゾリルオキシ基、2−イミダゾリルオキシ基、4−イミダゾリルオキシ基、2−ピリジルオキシ基、3−ピリジルオキシ基、4−ピリジルオキシ基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントリルチオ基、2−アントリルチオ基、9−アントリルチオ基、1−フェナントリルチオ基、2−フェナントリルチオ基、3−フェナントリルチオ基、4−フェナントリルチオ基、9−フェナントリルチオ基等が挙げられる。
炭素数2〜20のヘテロアリールチオ基の具体例としては、2−チエニルチオ基、3−チエニルチオ基、2−フラニルチオ基、3−フラニルチオ基、2−オキサゾリルチオ基、4−オキサゾリルチオ基、5−オキサゾリルチオ基、3−イソオキサゾリルチオ基、4−イソオキサゾリルチオ基、5−イソオキサゾリルチオ基、2−チアゾリルチオ基、4−チアゾリルチオ基、5−チアゾリルチオ基、3−イソチアゾリルチオ基、4−イソチアゾリルチオ基、5−イソチアゾリルチオ基、2−イミダゾリルチオ基、4−イミダゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、3−ピリジルチオ基、4−ピリジルチオ基等が挙げられる。
アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アリールチオ基及びヘテロアリールチオ基の炭素数は、14以下が好ましく、10以下がより好ましく、6以下がより一層好ましい。
1〜R4としては、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20、特に炭素数2〜20のアルキルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルチオ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールチオ基又はZ2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールチオ基が好ましく、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基又はZ2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールオキシ基がより好ましく、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基又はZ2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基が更に好ましい。
また、R5〜R8としては、水素原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基又はZ1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、水素原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基又はZ1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基がより好ましく、水素原子又はZ1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基がより一層好ましく、水素原子が最適である。
9〜R12としては、水素原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基又はZ1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基が好ましく、水素原子又はZ1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基がより好ましく、水素原子が最適である。
なお、R1〜R12において、置換基Z1としては、ハロゲン原子又は炭素数6〜14のアリール基が好ましく、ハロゲン原子又はフェニル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
また、置換基Z2としては、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
式(1)で表されるチオフェン誘導体は、合成の容易性の観点から、3位に置換基を有する2−チエニル基が全て同一の構造を有することが好適である。すなわち、式(1)中R1〜R4が全て同一の基であり、R5〜R8が全て同一の基であり、かつ、R9〜R12が全て同一の基であることが好適である。
以下、式(1)で表されるチオフェン誘導体の具体例を挙げるが、これらに限定されない。なお、式中、Me、Et、Pr、Bu、Pen及びHexは、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基を表す。
Figure 0006128213
Figure 0006128213
Figure 0006128213
[チオフェン誘導体の製造方法]
本発明のチオフェン誘導体は、例えば、式(2)で表されるチオフェン化合物と式(3)〜(6)で表されるトリアルキルスタニルチオフェン化合物とを、触媒存在下で反応させて製造できる。
Figure 0006128213
(式中、Halはそれぞれ独立にハロゲン原子又は擬ハロゲン基を表し、Raはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R1〜R12は上記と同じ。)
ハロゲン原子としては、上記と同様のものが挙げられる。
擬ハロゲン基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基等の(フルオロ)アルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等の芳香族スルホニルオキシ基等が挙げられる。
トリアルキルスタニル基としては、トリメチルスタニル基、トリエチルスタニル基、トリ−n−プロピルスタニル基、トリイソプロピルスタニル基、トリ−n−ブチルスタニル基、トリ−n−ペンチルスタニル基、トリシクロヘキシルスタニル基、トリオクチルスタニル基、n−ブチルジメチルスタニル基等が挙げられる。
式(2)で表されるチオフェン化合物の具体例としては、テトラクロロチオフェン、テトラブロモチオフェン、テトラヨードチオフェン等が挙げられるが、これらに限定されない。
式(3)〜(6)で表されるトリアルキルスタニルチオフェン化合物としては、3−メトキシ−2−(トリ−n−ブチルスタニル)チオフェン、3−メチルチオ−2−(トリ−n−ブチルスタニル)チオフェン、3−ヘキシル−(トリ−n−ブチルスタニル)チオフェン、3,4−エチレンジオキシ−2−(トリ−n−ブチルスタニル)チオフェン等が挙げられるが、これらに限定されない。
式(2)で表されるチオフェン化合物と、式(3)〜(5)で表されるトリアルキルスタニルチオフェン化合物との仕込み比は、式(2)で表されるチオフェン化合物に対し、式(3)〜(5)で表されるチオフェン化合物それぞれを、1当量以上とすることができるが、1〜1.2当量程度が好適である。
上記反応に用いられる触媒としては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等の銅触媒;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(Pd(PPh3)2Cl2)、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム(Pd(dba)2)、トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3)、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(Pd(P-t-Bu3)2)等のパラジウム触媒等が挙げられる。これらの触媒は1種単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、これらの触媒は、公知の適切な配位子とともに使用してもよい。
触媒の使用量は、式(2)で表されるチオフェン化合物1molに対して、0.01〜0.2mol程度とすることができるが、0.05mol程度が好適である。
また、配位子を用いる場合、その使用量は、使用する金属錯体に対し0.1〜5当量とすることができるが、1〜2当量が好適である。
上記反応は溶媒中で行ってもよい。溶媒を使用する場合、その種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はない。具体例としては、脂肪族炭化水素類(ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカン、デカリン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ラクタム及びラクトン類(N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等)、尿素類(N,N−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド、スルホラン等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、0〜200℃程度が好ましく、20〜150℃がより好ましい。
反応終了後は、常法に従って後処理をし、目的とするチオフェン誘導体を得ることができる。
本発明のチオフェン誘導体の合成に用いる式(3)〜(6)で表されるトリアルキルスタニルチオフェン化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記反応式に従い合成することができる(Scheme 1)。なお、下記反応式においては式(3)で表されるトリアルキルスタニルチオフェン化合物の合成方法を示すが、式(4)〜(6)で表されるトリアルキルスタニルチオフェン化合物も、下記反応式に倣い、対応するチオフェン化合物をリチオ化し、それとハロゲン化トリアルキルスズとを反応させることで同様に合成することができる。
Figure 0006128213
(式中、R1、R5、R9及びRaは、上記と同じ。Xはハロゲン原子を表す)
とりわけ、この合成方法は、2及び5位が無置換であり、3位に配位性置換基を有し、かつ、4位が無置換又は非配位性置換基で置換されたチオフェン化合物(式(7''))の2位を高選択的にリチオ化することができることから、特に式(7)で表されるチオフェン化合物の合成に特に適している(Scheme 2)。
Figure 0006128213
(式中、Ra、R及びXは上記と同じ。R13は配位性置換基を表し、R14は水素原子又は非配位性置換基を表す。)
配位性置換基とは、酸素、窒素、硫黄原子等のリチウム原子に配位可能な原子を有する置換基のことをいい、非配位性置換基とは、そのような原子を含まない置換基のことをいう。
配位性置換基としては、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、Z2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールオキシ基、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニルチオ基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニルチオ基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールチオ基又はZ2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリールチオ基が挙げられる。
非配位性置換基としては、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基又はZ1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基が挙げられる。
これらアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アルキニルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基並びにこれらの置換基Z1及びZ2としては、上記と同様のものが挙げられる。
式(3'')で表されるチオフェン化合物としては、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−n−プロピルチオフェン、3−n−ブチルチオフェン、3−n−ペンチルチオフェン、3−n−ヘキシルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−n−プロポキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−メチルチオチオフェン等が挙げられるが、これらに限定されない。
式(7'')で表されるチオフェン化合物としては、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−n−プロポキシチオフェン、3−メチルチオチオフェン等が挙げられるが、これらに限定されない。
リチオ化剤としては、有機リチウム化合物が挙げられ、例えば、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、メチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、エチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、プロピニルリチウム、2−エチルヘキシルリチウム、2,4−ペンタジエニルリチウム、アリルリチウム、1,3−ブタジエニル−2−リチウム、t−ブトキシメチルリチウム、1−メトキシアリルリチウム、トリクロロメチルリチウム、ペンチルリチウム、フェニルリチウム、2,6−ジメトキシフェニルリチウム等のアルキルリチウム又はアリールリチウム化合物、リチウムヘキサメチルジシラジド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムピペリジド、リチウムジエチルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、リチウムビス(ジメチルエチルシリル)アミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド等のリチウムアミド化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
ハロゲン化トリアルキルスズとしては、トリアルキルスタニル基を導入することが可能であれば特に限定されないが、入手容易性、取扱性及び反応性のバランスを考慮すると、トリ(n−ブチル)スズクロリドが好適である。なお、ハロゲン化トリアルキルスズは、公知の方法(例えば、Chem. Commun., 2001, 1840-1841に記載の方法)によって合成することもできるが、市販品としても入手可能である。
式(3'')で表されるチオフェン化合物又は式(7'')で表されるチオフェン化合物とリチオ化剤との仕込み比は、式(3'')で表されるチオフェン化合物又は式(7'')で表されるチオフェン化合物に対して、リチオ化剤を1〜1.5当量程度とすることができるが、1.1当量程度が好適である。
また、式(3')で表されるチオフェン化合物又は式(7')で表されるチオフェン化合物とハロゲン化トリアルキルスズとの仕込み比は、式(3')で表されるチオフェン化合物又は式(7')で表されるチオフェン化合物に対して、ハロゲン化トリアルキルスズを1〜5当量程度とすることができるが、1.2当量程度が好適である。
反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、−78〜20℃程度が好ましく、−20〜0℃がより好ましい。
反応終了後は、常法にしたがって後処理をし、目的とするチオフェン誘導体を得ることができる。
反応溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定されるものではないが、鎖状又は環状エーテルが好ましい。特に、Scheme 2において、2位のリチオ化選択性向上させて式(7)で表されるチオフェン化合物の収率を向上させる観点からは、鎖状エーテルがより好ましく、少なくとも1つの分岐鎖を有する鎖状エーテルがより一層好ましい。
鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等の直鎖状又は分岐状の鎖状アルキル基や環状アルキル基を有する対称又は非対称のジアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ヘキサメチレンオキシド、ヘプタメチレンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、特に2位のリチオ化選択性という観点から、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルが好ましい。
[電荷輸送性ワニス]
本発明の電荷輸送性ワニスは、式(1)で表されるチオフェン誘導体からなる電荷輸送性物質と有機溶媒とを含むものであるが、電荷輸送能等を向上させるために、必要に応じてドーパントを含んでいてもよい。
ドーパントとしては、ワニスに使用する少なくとも1種の溶媒に溶解するものであれば特に限定されず、無機系ドーパント、有機系ドーパントのいずれも使用できる。
無機系ドーパントとしては、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;塩化アルミニウム(III)(AlCl3)、四塩化チタン(IV)(TiCl4)、三臭化ホウ素(BBr3)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF3・OEt2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、塩化銅(II)(CuCl2)、五塩化アンチモン(V)(SbCl5)、五フッ化アンチモン(V)(SbF5)、五フッ化ヒ素(V)(AsF5)、五フッ化リン(PF5)、トリス(4−ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモナート(TBPAH)等の金属ハロゲン化物;Cl2、Br2、I2、ICl、ICl3、IBr、IF4等のハロゲン;リンモリブデン酸、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸等が挙げられる。
有機系ドーパントとしては、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、p−スチレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、ジヘキシルベンゼンスルホン酸、2,5−ジヘキシルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、6,7−ジブチル−2−ナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、3−ドデシル−2−ナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、4−ヘキシル−1−ナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、2−オクチル−1−ナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、7−へキシル−1−ナフタレンスルホン酸、6−ヘキシル−2−ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、2,7−ジノニル−4−ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、2,7−ジノニル−4,5−ナフタレンジスルホン酸、国際公開第2005/000832号記載の1,4−ベンゾジオキサンジスルホン酸化合物、国際公開第2006/025342号記載のアリールスルホン酸化合物、国際公開第2009/096352号記載のアリールスルホン酸化合物、ポリスチレンスルホン酸等のアリールスルホン酸化合物;10−カンファースルホン酸等の非アリールスルホン酸化合物;7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)等の有機酸化剤等が挙げられる。
これら無機系及び有機系のドーパントは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのドーパントの中でもヘテロポリ酸が好適である。ドーパントとしてヘテロポリ酸を用いることで、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極からの高正孔受容能のみならず、アルミニウムに代表される金属陽極からの高正孔受容能を示す電荷輸送性に優れた薄膜を得ることができる。
ヘテロポリ酸とは、代表的に式(A1)で示されるKeggin型あるいは式(A2)で示されるDawson型の化学構造で示される、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等のオキソ酸であるイソポリ酸と、異種元素のオキソ酸とが縮合してなるポリ酸である。このような異種元素のオキソ酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)のオキソ酸が挙げられる。
Figure 0006128213
ヘテロポリ酸の具体例としては、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングストモリブデン酸等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、本発明で用いるヘテロポリ酸は、市販品として入手可能であり、また、公知の方法により合成することもできる。
特に、ドーパントが1種類のヘテロポリ酸からなる場合、その1種類のヘテロポリ酸はリンタングステン酸又はリンモリブデン酸であることが好ましく、リンタングステン酸であることがより好ましい。また、ドーパントが2種類以上のヘテロポリ酸からなる場合、その2種類以上のヘテロポリ酸のうち少なくとも1種はリンタングステン酸又はリンモリブデン酸であることが好ましく、リンタングステン酸であることがより好ましい。
なお、ヘテロポリ酸は、元素分析等の定量分析において、一般式で示される構造から元素の数が多いもの又は少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、あるいは、公知の合成方法にしたがって適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。
すなわち、例えば、一般的にリンタングステン酸は化学式H3(PW1240)・nH2Oで、リンモリブデン酸は化学式H3(PMo1240)・nH2Oでそれぞれ表されるが、定量分析において、この式中のP(リン)、O(酸素)又はW(タングステン)若しくはMo(モリブデン)の数が多いもの又は少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、あるいは公知の合成方法にしたがって適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。この場合、本発明に規定されるヘテロポリ酸の質量とは、合成物や市販品中における純粋なリンタングステン酸の質量(リンタングステン酸含量)ではなく、市販品として入手可能な形態及び公知の合成法にて単離可能な形態において、水和水やその他の不純物等を含んだ状態での全質量を意味する。
また、アリールスルホン酸化合物もドーパントとして好適に使用できる。とりわけ、式(B1)又は(B2)で表されるアリールスルホン酸化合物が好ましい。
Figure 0006128213
式(B1)中、A1は−O−又は−S−を表すが、−O−が好ましい。A2はナフタレン環又はアントラセン環を表すが、ナフタレン環が好ましい。A3は2〜4価のパーフルオロビフェニル基を表し、pはA1とA3との結合数を示し、2≦p≦4を満たす整数であるが、A3が2価のパーフルオロビフェニル基であり、かつ、pが2であることが好ましい。qはA2に結合するスルホン酸基数を表し、1≦q≦4を満たす整数であるが、2が好適である。
式(B2)中、A4〜A8は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基又は炭素数2〜20のハロゲン化アルケニル基を表すが、A4〜A8のうち少なくとも3つはハロゲン原子である。rはナフタレン環に結合するスルホン酸基数を表し、1≦r≦4を満たす整数であるが、2〜4が好ましく、2がより好ましい。
炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブチル基等が挙げられる。炭素数2〜20のハロゲン化アルケニル基としては、パーフルオロビニル基、1−パーフルオロプロペニル基、パーフルオロアリル基、パーフルオロブテニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基の例としては上記と同様のものが挙げられるが、ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
これらの中でも、A4〜A8は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基又は炭素数2〜10のハロゲン化アルケニル基であり、かつA4〜A8のうち少なくとも3つはフッ素原子であることが好ましい。また、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフッ化アルキル基又は炭素数2〜5のフッ化アルケニル基であり、かつA4〜A8のうち少なくとも3つはフッ原子であることがより好ましい。更に、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基又は炭素数1〜5のパーフルオロアルケニル基であり、かつA4、A5及びA8がフッ素原子であることより一層好ましい。
なお、パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子全てがフッ素原子に置換された基であり、パーフルオロアルケニル基とは、アルケニル基の水素原子全てがフッ素原子に置換された基である。
本発明におけるその他のドーパントとして好適なアリールスルホン酸化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
Figure 0006128213
本発明の電荷輸送性ワニスにドーパントを含める場合、ドーパントの使用量は、ドーパントの種類、所望の電荷輸送性の程度等を考慮して適宜決定するため、一概に規定できないが、質量比で本発明のチオフェン誘導体からなる電荷輸送性物質(以下、単に電荷輸送性物質という。)1に対して、概ね0.01〜50程度の範囲内である。
特に、ヘテロポリ酸をドーパントとして用いる場合、ヘテロポリ酸を、質量比で電荷輸送性物質1に対して0.5〜30.0程度、好ましくは1.0〜20.0程度、より好ましくは2.0〜15.0程度、より一層好ましくは3.0〜12.0程度、更に好ましくは4.0〜11.0程度とすることで、有機EL素子に用いた場合に高輝度を与える電荷輸送性薄膜を再現性よく得ることができる。
一方、ドーパントとしてアリールスルホン酸化合物を用いる場合、アリールスルホン酸化合物を、モル比で電荷輸送性物質1に対して、0.05〜15.0、好ましくは0.10〜10.0、より好ましくは0.25〜7.0、より一層好ましくは0.50〜5.0、更に好ましくは0.75〜3.0とすることで、有機EL素子に用いた場合に高輝度を与える電荷輸送性薄膜を再現性よく得ることができる。
更に、本発明の電荷輸送性ワニスは、有機シラン化合物を含んでもよい。有機シランを含むことによって、正孔輸送層や発光層といった陽極とは反対側に正孔注入層に接するように積層される層への正孔注入能を高めることができ、その結果、より高い輝度特性を実現できる。
この有機シラン化合物としては、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物又はテトラアルコキシシラン化合物が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
とりわけ、有機シラン化合物としては、ジアルコキシシラン化合物又はトリアルコキシシラン化合物が好ましく、トリアルコキシシラン化合物がより好ましい。
ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物及びテトラアルコキシシラン化合物としては、例えば、式(C1)〜(C3)で示されるものが挙げられる。
SiR'2(OR)2 (C1)
SiR'(OR)3 (C2)
Si(OR)4 (C3)
式中、Rは、それぞれ独立に、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z4で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ4で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。R'は、それぞれ独立に、Z5で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z5で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z5で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z6で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ6で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
3は、ハロゲン原子、Z7で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ7で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
4は、ハロゲン原子、Z7で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z7で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基又はZ7で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基を表す。
5は、ハロゲン原子、Z7で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Z7で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基(−NHCONH2)、チオール基、イソシアネート基(−NCO)、アミノ基、−NHY1基又は−NY23基を表す。
6は、ハロゲン原子、Z7で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z7で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z7で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基(−NHCONH2)、チオール基、イソシアネート基(−NCO)、アミノ基、−NHY1基又は−NY23基を表す。
1〜Y3は、それぞれ独立に、Z7で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z7で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z7で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z7で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基又はZ7で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
7は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基又はチオール基を表す。
式(C1)〜(C3)におけるハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基及び炭素数6〜20のアリール基としては、上記と同様のものが挙げられる。炭素数2〜20のヘテロアリール基としては、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。
R及びR'において、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下であり、より一層好ましくは4以下である。また、アリール基及びヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは14以下であり、より好ましくは10以下であり、より一層好ましくは6以下である。
Rとしては、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基又はZ4で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基又はZ4で置換されていてもよいフェニル基がより好ましく、Z3で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基又はZ4で置換されていてもよいフェニル基がより一層好ましく、Z3で置換されていてもよいメチル基又はエチル基が更に好ましい。
また、R'としては、Z5で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基又はZ6で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、Z5で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はZ6で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基がより好ましく、Z5で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基又はZ6で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基がより一層好ましく、Z5で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基又はZ6で置換されていてもよいフェニル基が更に好ましい。
なお、複数のRは全て同一でも異なっていてもよく、複数のR'も全て同一でも異なっていてもよい。
3としては、ハロゲン原子又はZ7で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フッ素原子又はZ7で置換されていてもよいフェニル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
また、Z4としては、ハロゲン原子又はZ7で置換されていてもよい炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、フッ素原子又はZ7で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
一方、Z5としては、ハロゲン原子、Z7で置換されていてもよいフェニル基、Z7で置換されていてもよいフラニル基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、チオール基、イソシアネート基、アミノ基、Z7で置換されていてもよいフェニルアミノ基又はZ7で置換されていてもよいジフェニルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子又は存在しないこと(すなわち、非置換であること)がより一層好ましい。
また、Z6としては、ハロゲン原子、Z7で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z7で置換されていてもよいフラニル基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、チオール基、イソシアネート基、アミノ基、Z7で置換されていてもよいフェニルアミノ基又はZ7で置換されていてもよいジフェニルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子又は存在しないこと(すなわち、非置換であること)がより一層好ましい。
そして、Z7としては、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子又は存在しないこと(すなわち、非置換であること)がより好ましい。
以下、本発明で使用可能な有機シラン化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
ジアルコキシシラン化合物の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
トリアルコキシシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシ(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シラン、ドデシルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、(トリエトキシシリル)シクロヘキサン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、トリエトキシ−2−チエニルシラン、3−(トリエトキシシリル)フラン等が挙げられる。
テトラアルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリエトキシ(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン等が好ましい。
本発明の電荷輸送性ワニスに有機シラン化合物を含める場合、その含有量は、得られる薄膜の高電荷輸送性を維持する点を考慮すると、電荷輸送性物質及びドーパントの総質量に対して、通常0.1〜50質量%程度であるが、得られる薄膜の電荷輸送性の低下を抑制し、かつ正孔輸送層や発光層といった陽極とは反対側に正孔注入層に接するように積層される層への正孔注入能を高めることを考慮すると、好ましくは0.5〜40質量%程度、より好ましくは0.8〜30質量%程度、より一層好ましくは1〜20質量%である。
なお、本発明の電荷輸送性ワニスには、上述したチオフェン誘導体からなる電荷輸送性物質の他に、公知のその他の電荷輸送性物質を用いることもできる。
電荷輸送性ワニスを調製する際に用いられる有機溶媒としては、電荷輸送性物質及びドーパントを良好に溶解し得る高溶解性溶媒を用いることができる。
このような高溶解性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶媒は1種単独で又は2種以上混合して用いることができ、その使用量はワニスに使用する溶媒全体に対して5〜100質量%とすることができる。
なお、電荷輸送性物質及びドーパントは、いずれも上記溶媒に完全に溶解しているか、均一に分散している状態となっていることが好ましく、完全に溶解していることがより好ましい。
また、本発明においては、ワニスに、25℃で10〜200mPa・s、特に35〜150mPa・sの粘度を有し、常圧(大気圧)で沸点50〜300℃、特に150〜250℃の高粘度有機溶媒を少なくとも1種含有させることで、ワニスの粘度の調整が容易になり、その結果、平坦性の高い薄膜を再現性よく与える、用いる塗布方法に応じたワニス調整が可能となる。
高粘度有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
本発明のワニスに用いられる溶媒全体に対する高粘度有機溶媒の添加割合は、固体が析出しない範囲内であることが好ましく、固体が析出しない限りにおいて、添加割合は5〜80質量%が好ましい。
更に、基板に対する濡れ性の向上、溶媒の表面張力の調整、極性の調整、沸点の調整等の目的で、その他の溶媒を、ワニスに使用する溶媒全体に対して好ましくは1〜90質量%、より好ましくは1〜50質量%の割合で混合することもできる。
このような溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチルラクテート、n−ヘキシルアセテート等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの溶媒は1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
本発明のワニスの粘度は、作製する薄膜の厚み等や固形分濃度に応じて適宜設定されるものではあるが、通常、25℃で1〜50mPa・sである。
また、本発明における電荷輸送性ワニスの固形分濃度は、ワニスの粘度及び表面張力等や、作製する薄膜の厚み等を勘案して適宜設定されるものではあるが、通常、0.1〜10.0質量%程度であり、ワニスの塗布性を向上させることを考慮すると、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
上記電荷輸送性ワニスを基材上に塗布して焼成することで、基材上に電荷輸送性薄膜を形成させることができる。
ワニスの塗布方法としては、特に限定されるものではなく、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り、インクジェット法、スプレー法、スリットコート法等が挙げられ、塗布方法に応じてワニスの粘度及び表面張力を調節することが好ましい。
また、本発明のワニスを用いる場合、焼成雰囲気も特に限定されるものではなく、大気雰囲気だけでなく、窒素等の不活性ガスや真空中でも均一な成膜面及び高い電荷輸送性を有する薄膜を得ることができる。
焼成温度は、得られる薄膜の用途、得られる薄膜に付与する電荷輸送性の程度等を勘案して、100〜260℃程度の範囲内で適宜設定されるものではあるが、得られる薄膜を有機EL素子の正孔注入層として用いる場合、140〜250℃程度が好ましく、145〜240℃程度がより好ましい。
なお、焼成の際、より高い均一成膜性を発現させたり、基材上で反応を進行させたりする目的で、2段階以上の温度変化をつけてもよい。加熱は、例えば、ホットプレートやオーブン等適当な機器を用いて行えばよい。
電荷輸送性薄膜の膜厚は、特に限定されないが、有機EL素子内で正孔注入層として用いる場合、5〜200nmが好ましい。膜厚を変化させる方法としては、ワニス中の固形分濃度を変化させたり、塗布時の基板上の溶液量を変化させたりする等の方法がある。
[有機EL素子]
本発明の電荷輸送性ワニスを用いてOLED素子を作製する場合の使用材料や、作製方法としては、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されない。
使用する電極基板は、洗剤、アルコール、純水等による液体洗浄を予め行って浄化しておくことが好ましく、例えば、陽極基板では使用直前にUVオゾン処理、酸素−プラズマ処理等の表面処理を行うことが好ましい。ただし陽極材料が有機物を主成分とする場合、表面処理を行わなくともよい。
本発明の電荷輸送性ワニスから得られる薄膜からなる正孔注入層を有するOLED素子の作製方法の例は、以下のとおりである。
上記の方法により、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して焼成し、電極上に正孔注入層を作製する。これを真空蒸着装置内に導入し、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子輸送層/ホールブロック層、陰極金属を順次蒸着してOLED素子とする。なお、必要に応じて、発光層と正孔輸送層との間に電子ブロック層を設けてよい。
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極や、アルミニウムに代表される金属やこれらの合金等から構成される金属陽極が挙げられ、平坦化処理を行ったものが好ましい。高電荷輸送性を有するポリチオフェン誘導体やポリアニリン誘導体を用いることもできる。
なお、金属陽極を構成するその他の金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドニウム、インジウム、スカンジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、チタン、鉛、ビスマスやこれらの合金等が挙げられるが、これらに限定されない。
正孔輸送層を形成する材料としては、(トリフェニルアミン)ダイマー誘導体、[(トリフェニルアミン)ダイマー]スピロダイマー、N,N'−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−ベンジジン(α−NPD)、N,N'−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−ベンジジン、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ビス(フェニル)−ベンジジン、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン、N,N'−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ビス(フェニル)−9,9−ジメチル−フルオレン、N,N'−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−9,9−ジメチル−フルオレン、N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニル−フルオレン、N,N'−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニル−フルオレン、N,N'−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−2,2'−ジメチルベンジジン、2,2',7,7'−テトラキス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ビフェニル−4−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ナフタレン−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(N−ナフタレン−1−イル−N−フェニルアミノ)−フェニル]−9H−フルオレン、2,2',7,7'−テトラキス[N−ナフタレニル(フェニル)−アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、N,N'−ビス(フェナントレン−9−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−ベンジジン、2,2'−ビス[N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、2,2'−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、ジ−[4−(N,N−ジ(p−トリル)アミノ)−フェニル]シクロヘキサン、2,2',7,7'−テトラ(N,N−ジ(p−トリル))アミノ−9,9−スピロビフルオレン、N,N,N',N'−テトラ−ナフタレン−2−イル−ベンジジン、N,N,N',N'−テトラ−(3−メチルフェニル)−3,3'−ジメチルベンジジン、N,N'−ジ(ナフタレニル)−N,N'−ジ(ナフタレン−2−イル)−ベンジジン、N,N,N',N'−テトラ(ナフタレニル)−ベンジジン、N,N'−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N'−ジフェニルベンジジン−1,4−ジアミン、N1,N4−ジフェニル−N1,N4−ジ(m−トリル)ベンゼン−1,4−ジアミン、N2,N2,N6,N6−テトラフェニルナフタレン−2,6−ジアミン、トリス(4−(キノリン−8−イル)フェニル)アミン、2,2'−ビス(3−(N,N−ジ(p−トリル)アミノ)フェニル)ビフェニル、4,4',4''−トリス[3−メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4',4''−トリス[1−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(1−TNATA)等のトリアリールアミン類、5,5''−ビス−{4−[ビス(4−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−2,2':5',2''−ターチオフェン(BMA−3T)等のオリゴチオフェン類等が挙げられる。
発光層を形成する材料としては、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq3)、ビス(8−キノリノラート)亜鉛(II)(Znq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)(BAlq)、4,4'−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2−t−ブチル−9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2,7−ビス[9,9−ジ(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ジ(4−メチルフェニル)フルオレン、2−メチル−9,10−ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2−(9,9−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2,7−ビス(9,9−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2−[9,9−ジ(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ジ(4−メチルフェニル)フルオレン、2,2'−ジピレニル−9,9−スピロビフルオレン、1,3,5−トリス(ピレン−1−イル)ベンゼン、9,9−ビス[4−(ピレニル)フェニル]−9H−フルオレン、2,2'−ビ(9,10−ジフェニルアントラセン)、2,7−ジピレニル−9,9−スピロビフルオレン、1,4−ジ(ピレン−1−イル)ベンゼン、1,3−ジ(ピレン−1−イル)ベンゼン、6,13−ジ(ビフェニル−4−イル)ペンタセン、3,9−ジ(ナフタレン−2−イル)ペリレン、3,10−ジ(ナフタレン−2−イル)ペリレン、トリス[4−(ピレニル)−フェニル]アミン、10,10'−ジ(ビフェニル−4−イル)−9,9'−ビアントラセン、N,N'−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ジフェニル−[1,1':4',1'':4'',1'''−クォーターフェニル]−4,4'''−ジアミン、4,4'−ジ[10−(ナフタレン−1−イル)アントラセン−9−イル]ビフェニル、ジベンゾ{[f,f']−4,4',7,7'−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1',2',3'−lm]ペリレン、1−(7−(9,9'−ビアントラセン−10−イル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ピレン、1−(7−(9,9'−ビアントラセン−10−イル)−9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)ピレン、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン、4,4',4''−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン、4,4'−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4'−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2'−ジメチルビフェニル、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチルフルオレン、2,2',7,7'−テトラキス(カルバゾール−9−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジ(p−トリル)フルオレン、9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−フェニル]フルオレン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−スピロビフルオレン、1,4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−メチルフェニルメタン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン、4,4''−ジ(トリフェニルシリル)−p−ターフェニル、4,4'−ジ(トリフェニルシリル)ビフェニル、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ジトリチル−9H−カルバゾール、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(9−(4−メトキシフェニル)−9H−フルオレン−9−イル)−9H−カルバゾール、2,6−ビス(3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)ピリジン、トリフェニル(4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル)シラン、9,9−ジメチル−N,N−ジフェニル−7−(4−(1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、3,5−ビス(3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)ピリジン、9,9−スピロビフルオレン−2−イル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、9,9'−(5−(トリフェニルシリル)−1,3−フェニレン)ビス(9H−カルバゾール)、3−(2,7−ビス(ジフェニルホスホリル)−9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール、4,4,8,8,12,12−ヘキサ(p−トリル)−4H−8H−12H−12C−アザジベンゾ[cd,mn]ピレン、4,7−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)−1,10−フェナントロリン、2,2'−ビス(4−(カルバゾール−9−イル)フェニル)ビフェニル、2,8−ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾ[b,d]チオフェン、ビス(2−メチルフェニル)ジフェニルシラン、ビス[3,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジフェニルシラン、3,6−ビス(カルバゾール−9−イル)−9−(2−エチル−ヘキシル)−9H−カルバゾール、3−(ジフェニルホスホリル)−9−(4−(ジフェニルホスホリル)フェニル)−9H−カルバゾール、3,6−ビス[(3,5−ジフェニル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール等が挙げられ、発光性ドーパントと共蒸着することによって、発光層を形成してもよい。
発光性ドーパントとしては、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−10−(2−ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1gh]クマリン、キナクリドン、N,N'−ジメチル−キナクリドン、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(ppy)2(acac))、トリス[2−(p−トリル)ピリジン]イリジウム(III)(Ir(mppy)3)、9,10−ビス[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]アントラセン、9,10−ビス[フェニル(m−トリル)アミノ]アントラセン、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(II)、N10,N10,N10,N10−テトラ(p−トリル)−9,9'−ビアントラセン−10,10'−ジアミン、N10,N10,N10,N10−テトラフェニル−9,9'−ビアントラセン−10,10'−ジアミン、N10,N10−ジフェニル−N10,N10−ジナフタレニル−9,9'−ビアントラセン−10,10'−ジアミン、4,4'−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1'−ビフェニル、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、1,4−ビス[2−(3−N−エチルカルバゾリル)ビニル]ベンゼン、4,4'−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4'−[(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、ビス[3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)]イリジウム(III)、4,4'−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレートイリジウム(III)、N,N'−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−トリス(9,9−ジメチルフルオレニレン)、2,7−ビス{2−[フェニル(m−トリル)アミノ]−9,9−ジメチル−フルオレン−7−イル}−9,9−ジメチル−フルオレン、N−(4−((E)−2−(6((E)−4−(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン−2−イル)ビニル)フェニル)−N−フェニルベンゼンアミン、fac−イリジウム(III)トリス(1−フェニル−3−メチルベンズイミダゾリン−2−イリデン−C,C2)、mer−イリジウム(III)トリス(1−フェニル−3−メチルベンズイミダゾリン−2−イリデン−C,C2)、2,7−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−スピロビフルオレン、6−メチル−2−(4−(9−(4−(6−メチルベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)アントラセン−10−イル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール、1,4−ジ[4−(N,N−ジフェニル)アミノ]スチリルベンゼン、1,4−ビス(4−(9H−カルバゾール−9−イル)スチリル)ベンゼン、(E)−6−(4−(ジフェニルアミノ)スチリル)−N,N−ジフェニルナフタレン−2−アミン、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)(5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾレート)イリジウム(III)、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾール)((2,4−ジフルオロベンジル)ジフェニルホスフィネート)イリジウム(III)、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾレート)(ベンジルジフェニルホスフィネート)イリジウム(III)、ビス(1−(2,4−ジフルオロベンジル)−3−メチルベンズイミダゾリウム)(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)イリジウム(III)、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾレート)(4',6'−ジフルオロフェニルピリジネート)イリジウム(III)、ビス(4',6'−ジフルオロフェニルピリジナト)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−2−(2'−ピリジル)ピロレート)イリジウム(III)、ビス(4',6'−ジフルオロフェニルピリジナト)(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)イリジウム(III)、(Z)−6−メシチル−N−(6−メシチルキノリン−2(1H)−イリデン)キノリン−2−アミン−BF2、(E)−2−(2−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)マロノニトリル、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−ジュロリジル−9−エニル−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン、トリス(ジベンゾイルメタン)フェナントロリンユーロピウム(III)、5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン、ビス(2−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)、ビス[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)、トリス[4,4'−ジ−t−ブチル−(2,2')−ビピリジン]ルテニウム(III)・ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、トリス(2−フェニルキノリン)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、2,8−ジ−t−ブチル−5,11−ビス(4−t−ブチルフェニル)−6,12−ジフェニルテトラセン、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、5,10,15,20−テトラフェニルテトラベンゾポルフィリン白金、オスミウム(II)ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジン)−ピラゾレート)ジメチルフェニルホスフィン、オスミウム(II)ビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(4−t−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)ジフェニルメチルホスフィン、オスミウム(II)ビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール)ジメチルフェニルホスフィン、オスミウム(II)ビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(4−t−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)ジメチルフェニルホスフィン、ビス[2−(4−n−ヘキシルフェニル)キノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)、トリス[2−(4−n−ヘキシルフェニル)キノリン]イリジウム(III)、トリス[2−フェニル−4−メチルキノリン]イリジウム(III)、ビス(2−フェニルキノリン)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム(III)、ビス(2−(9,9−ジエチル−フルオレン−2−イル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾラト)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルピリジン)(3−(ピリジン−2−イル)−2H−クロメン−2−オネート)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルキノリン)(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート)イリジウム(III)、ビス(フェニルイソキノリン)(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート)イリジウム(III)、イリジウム(III)ビス(4−フェニルチエノ[3,2−c]ピリジナト−N,C2)アセチルアセトネート、(E)−2−(2−t−ブチル−6−(2−(2,6,6−トリメチル−2,4,5,6−テトラヒドロ−1H−ピローロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)ビニル)−4H−ピラン−4−イリデン)マロノニトリル、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(1−イソキノリル)ピラゾレート)(メチルジフェニルホスフィン)ルテニウム、ビス[(4−n−ヘキシルフェニル)イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)、白金(II)オクタエチルポルフィン、ビス(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、トリス[(4−n−ヘキシルフェニル)キソキノリン]イリジウム(III)等が挙げられる。
電子輸送層/ホールブロック層を形成する材料としては、8−ヒドロキシキノリノレート−リチウム、2,2',2''−(1,3,5−ベンジントリル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)、2−(4−ビフェニル)5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム、1,3−ビス[2−(2,2'−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾー5−イル]ベンゼン、6,6'−ビス[5−(ビフェニル−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾー2−イル]−2,2'−ビピリジン、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール、4−(ナフタレン−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール、2,9−ビス(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,7−ビス[2−(2,2'−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾー5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン、1,3−ビス[2−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾー5−イル]ベンゼン、トリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イル)フェニル)ボラン、1−メチル−2−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5f][1,10]フェナントロリン、2−(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、フェニル−ジピレニルホスフィンオキサイド、3,3',5,5'−テトラ[(m−ピリジル)−フェン−3−イル]ビフェニル、1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−フェン−3−イル]ベンゼン、4,4'−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)ビフェニル、1,3−ビス[3,5−ジ(ピリジン−3−イル)フェニル]ベンゼン、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ジフェニルビス(4−(ピリジン−3−イル)フェニル)シラン、3,5−ジ(ピレン−1−イル)ピリジン等が挙げられる。
電子注入層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、三酸化モリブデン(MoO3)、アルミニウム、Li(acac)、酢酸リチウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。
電子ブロック層を形成する材料としては、トリス(フェニルピラゾール)イリジウム等が挙げられる。
本発明の電荷輸送性ワニスを用いたPLED素子の作製方法は、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
上記OLED素子作製において、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の真空蒸着操作を行う代わりに、正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成することによって本発明の電荷輸送性ワニスによって形成される電荷輸送性薄膜を有するPLED素子を作製することができる。
具体的には、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して上記の方法により正孔注入層を作製し、その上に正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成し、更に陰極電極を蒸着してPLED素子とする。
使用する陰極及び陽極材料としては、上記OLED素子作製時と同様のものが使用でき、同様の洗浄処理、表面処理を行うことができる。
正孔輸送性高分子層及び発光性高分子層の形成法としては、正孔輸送性高分子材料若しくは発光性高分子材料、又はこれらにドーパントを加えた材料に溶媒を加えて溶解するか、均一に分散し、正孔注入層又は正孔輸送性高分子層の上に塗布した後、それぞれ焼成することで成膜する方法が挙げられる。
正孔輸送性高分子材料としては、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N'−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N'−ビス{p−ブチルフェニル}−1,1'−ビフェニレン−4,4−ジアミン)]、ポリ[(9,9−ビス{1'−ペンテン−5'−イル}フルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N'−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[N,N'−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N'−ビス(フェニル)−ベンジジン]−エンドキャップド ウィズ ポリシルセスキオキサン、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4'−(N−(p−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]等が挙げられる。
発光性高分子材料としては、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)等のポリフルオレン誘導体、ポリ(2−メトキシ−5−(2'−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)等のポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロホルム等を挙げることができ、溶解又は均一分散法としては攪拌、加熱攪拌、超音波分散等の方法が挙げられる。
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、インクジェット法、スプレー法、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り等が挙げられる。なお、塗布は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
焼成する方法としては、不活性ガス下又は真空中、オーブン又はホットプレートで加熱する方法が挙げられる。
なお、上記電荷輸送性ワニスから得られる電荷輸送性薄膜だけでなく、本発明のチオフェン誘導体から得られる蒸着膜も電荷輸送性に優れることから、用途によっては、蒸着法により得られる電荷輸送性薄膜を用いてもよい。
以下、合成例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、使用した装置は以下のとおりである。
(1)液体クロマトグラフィー:アジレント・テクノロジー社製、Agilent 1260 Infinity バイナリLCシステム
(2)NMR:日本電子株式会社製、JNM-ECP300 FT NMR SYSTEM
(3)基板洗浄:長州産業(株)製、基板洗浄装置(減圧プラズマ方式)
(4)ワニスの塗布:ミカサ(株)製、スピンコーターMS-A100
(5)膜厚測定:(株)小坂研究所製、微細形状測定機サーフコーダET-4000
(6)EL素子の作製:長州産業(株)製、多機能蒸着装置システムC-E2L1G1-N
(7)EL素子の輝度等の測定:(有)テック・ワールド製、I−V−L測定システム
(8)EL素子の寿命測定:(株)イーエッチシー製、有機EL輝度寿命評価システムPEL-105S
[1]化合物の合成
[合成例1]
下記の反応式に基づき、3−メトキシ−2−(トリ−n−ブチルスタニル)チオフェン(9)を合成した。
Figure 0006128213
フラスコ内に、3−メトキシチオフェン(8)5.01gを入れて窒素置換を行った。そこへ、ジイソプロピルエーテル100mLを入れて0℃に冷却し、更にそこへn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度1.64M)29.5mLを滴下した。滴下後、温度を0℃に維持したまま30分攪拌し、その後、トリ−n−ブチルスタニルクロリド14.5mLを滴下し、温度を0℃に維持したまま更に3時間攪拌した。
攪拌後、減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣にn−ヘキサンを加え、生じた不溶物をろ別し、再度、溶媒の減圧留去及び乾燥を行い、3−メトキシ−2−(トリ−n−ブチルスタニル)チオフェンを含む混合物を得た。
この混合物を更に精製することなく、次工程の化合物(10)との反応に用いた。なお、1H−NMR及び液体クロマトグラフィーを用いて、混合物中の3−メトキシ−2−(トリ−n−ブチルスタニル)チオフェンの含有量が、90.46%であることを確認した。
[実施例1]
チオフェン誘導体(11)を以下の方法により合成した。
Figure 0006128213
フラスコ内に、2,3,4,5−テトラブロモチオフェン(10)(東京化成工業(株)製)0.5gと、3−メトキシ−2−(トリ−n−ブチルスタニル)チオフェン(9)2.7g(4.8当量、純度90.46%)とを反応容器にいれて窒素置換を行った。そこへ、キシレン10mL、Pd(PPh3)4 0.073g(5mol%)を加えて加熱還流条件下で23時間攪拌し、攪拌終了後、反応液を室温まで冷却した。
冷却した反応液へクロロホルム及びイオン交換水を加えて分液処理を行った後、得られた有機層をイオン交換水にて2回洗浄し、次いで、その洗浄後の有機層を硫酸ナトリウムで乾燥してから、減圧下で溶媒を留去した。そして、得られた残渣にn−ヘキサンを加えてスラリ洗浄を行い、ろ過をしてろ物を回収した。
その後、フラスコ内に、そのろ物及びトルエン5mLを入れて、加熱還流条件で攪拌してろ物が溶解したことを確認した後、その溶液を室温まで放冷した。
放冷後、析出物をろ過により回収し、よく乾燥して、チオフェン誘導体(11)を得た(収量0.40g、収率60%)。1H-NMRの測定結果を以下に示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ[ppm]: 7.20 (d, 2H, J=6.0Hz), 7.02 (d, 2H, J=6.0Hz), 6.80 (d, 2H, J=5.4Hz), 6.74 (d, 2H, J=5.4Hz), 3.94 (s, 6H), 3.64 (s, 6H).
[2]電荷輸送性ワニスの調製
[実施例2]
チオフェン誘導体(11)0.052gとリンタングステン酸(関東化学(株)製)0.258gとを、窒素雰囲気下で1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン3.0gに溶解させた。得られた溶液に、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン0.009gを加えて攪拌し、更にそこへジエチレングリコールジメチルエーテル5.0g及びブタンジオール2gを加えて攪拌し、電荷輸送性ワニスを調製した。
[3]有機EL素子の製造及び特性評価
[実施例3]
実施例2で得られたワニスを、スピンコーターを用いてITO基板に塗布した後、50℃で5分間乾燥し、更に、大気雰囲気下、230℃で10分間焼成し、ITO基板上に30nmの均一な薄膜を形成した。ITO基板としては、インジウム錫酸化物(ITO)が表面上に膜厚150nmでパターニングされた25mm×25mm×0.7tのガラス基板を用い、使用前にO2プラズマ洗浄装置(150W、30秒間)によって表面上の不純物を除却した。
次いで、薄膜を形成したITO基板に対し、蒸着装置(真空度1.0×10-5Pa)を用いてα−NPD、Alq3、フッ化リチウム及びアルミニウムの薄膜を順次積層し、有機EL素子を得た。この際、蒸着レートは、α−NPD、Alq3及びアルミニウムについては0.2nm/秒、フッ化リチウムについては0.02nm/秒の条件でそれぞれ行い、膜厚はそれぞれ30nm、40nm、0.5nm及び120nmとした。
なお、空気中の酸素、水等の影響による特性劣化を防止するため、有機EL素子は封止基板により封止した後、その特性を評価した。封止は以下の手順で行った。
酸素濃度2ppm以下、露点−85℃以下の窒素雰囲気中で、有機EL素子を封止基板の間に収め、封止基板を接着材(ナガセケムテックス(株)製、XNR5516Z-B1)により貼り合わせた。この際、捕水剤(ダイニック(株)製、HD-071010W-40)を有機EL素子と共に封止基板内に収めた。貼り合わせた封止基板に対し、UV光を照射(波長:365nm、照射量:6,000mJ/cm2)した後、80℃で1時間、アニーリング処理して接着材を硬化させた。
[比較例1]
実施例2で得られたワニスの代わりにPEDOT/PSS(H.C.Starck社製AI4083)を用い、230℃で10分間焼成する代わりに150℃で30分間焼成した以外は、実施例3と同様の方法で素子を作製した。
作製した素子の駆動電圧5Vにおける電流密度及び輝度の測定並びに耐久性試験を行った。測定結果及び輝度の半減期(初期輝度5,000cd/m2)を表1に示す。
Figure 0006128213
表1に示したとおり、本発明のワニスから得られた正孔注入層を有する有機EL素子(実施例3)は、一般的な電荷輸送性材料であるPEDOT/PSSを用いた場合(比較例1)と比較して遥かに優れた耐久性を有することがわかった。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表されることを特徴とするチオフェン誘導体。
    Figure 0006128213
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、炭素数1〜のアルコキシ基又は炭素数1〜のアルキルチオ基を表し、
    5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜のアルコキシ基をすか
    1とR5、R2とR6、R3とR7びR 4とR8は、それぞれ互いに結合してエチレンジオキシ基を形成していてもよく、
    9〜R12、水素原子を表す。)
  2. 1 〜R 4 が、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルコキシ基である請求項1記載のチオフェン誘導体。
  3. 5 〜R 8 が、水素原子である請求項1又は2記載のチオフェン誘導体。
  4. 下記式(1−1)〜(1−10)及び(1−21)〜(1−25)のいずれかで表される構造を有する請求項1記載のチオフェン誘導体。
    Figure 0006128213
    Figure 0006128213
  5. 下記式(2)で表されるチオフェン化合物と式(3)〜(6)で表されるトリアルキルスタニルチオフェン化合物とを、触媒存在下で反応させることを特徴とする請求項1記載のチオフェン誘導体の製造方法。
    Figure 0006128213
    (式中、Halはそれぞれ独立にハロゲン原子又は擬ハロゲン基を表し、Raはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基を表す。R1〜R12は上記と同じ。)
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載のチオフェン誘導体からなる電荷輸送性物質。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載のチオフェン誘導体、ドーパント及び有機溶媒を含む電荷輸送性ワニス。
  8. 請求項7記載の電荷輸送性ワニスを用いて作製される電荷輸送性薄膜。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項記載のチオフェン誘導体を含む電荷輸送性薄膜。
  10. 請求項8又は9記載の電荷輸送性薄膜を少なくとも1層備える電子デバイス。
  11. 請求項8又は9記載の電荷輸送性薄膜を少なくとも1層備える有機エレクトロルミネッセンス素子。
  12. 前記電荷輸送性薄膜が、正孔注入層又は正孔輸送層である請求項11記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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