(実施形態1)
以下に、本発明の実施形態1について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、排ガス流路に取付けた実施形態1に係る排ガス濃度測定装置を示す模式図である。図2は、排ガス流路に取付けた実施形態1に係る排ガス濃度測定装置を示す模式図である。図3は、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置を示す模式図である。図1は、排ガス流路1を平面視で見た図であり、図2は、排ガス流路1を断面視で見た図である。図3は、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10の詳細な構造を示すものである。
図1及び図2に示されるように、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、排ガス流路1内に設けられ、脱硝装置160よりも排ガスGの下流側に設けられる。排ガス流路1は、流路壁2を有し、軸方向Zに沿って延在し、内部に排ガスGを流通させる。排ガス流路1は、例えば石炭火力発電所に設けられ、石炭火力発電所からの排ガスを排出する。ただし、排ガス流路1は、石炭火力発電所に設けられることに限られない。脱硝装置160は、排ガス中にアンモニアガスを注入して排ガスとアンモニアガスとを混合し、その混合ガスを脱硝触媒に接触させることにより窒素ガスと水蒸気とに還元するものである。排ガス濃度測定装置10は、排ガスG中の成分の少なくとも一部のガス濃度を測定する装置である。実施形態1において、排ガス濃度測定装置10は、例えば排ガスG中のアンモニア濃度を測定する。
図1から図3に示されるように、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、導入管11と、サイクロン部12と、セル部13と、光源ユニット14と、受光ユニット15と、第1の排出管16と、第2の排出管17と、を有する。
導入管11は、図1及び図2に示されるように、一方の端部に開口部33を有し、他方の端部に接続部34を有する。導入管11は、開口部33から排ガスGの一部を内部に導入する。また、接続部34は、サイクロン部12と接続されており、接続部34は、導入管11内部の排ガスGをサイクロン部12に導出する。
導入管11の開口部33は、排ガスGの流れの上流側から下流側に向かって開口している。従って、導入管11は、排ガスG中の異物の導入を抑制することができる。また、開口部33は、排ガス流路1の軸方向Zに直交する方向での断面視における排ガス流路1の中央部に位置する。従って、開口部33は、排ガスGの一部を効率的に導入することができる。ただし、開口部33は、排ガスGの一部を導入するものであれば、排ガスGの流れの上流側から下流側に向かって開口していなくてもよく、排ガス流路1の断面視での位置は任意であってもよい。
導入管11は、開口部33から湾曲部35へ、排ガス流路1の底面40に向かって延在する。また、導入管11は、湾曲部35から接続部34へ、排ガス流路1の一方の側面41に向かって延在する。言い換えれば、導入管11は、湾曲部35において、その延在する向きを変える。また、湾曲部35は、所定の曲率を有する。すなわち、導入管11は、湾曲部35において、所定の曲線をもってその延在する向きを変える。なお、導入管11は、湾曲部35に限られず、延在する向きを変える箇所において、所定の曲率を有してもよい。
サイクロン部12は、図1から図3に示されるように、例えば円筒状の部材である。サイクロン部12は、円筒状の部材の軸方向Tにおける一方の端部42において、先端44に向かって径が小さくなる円錐台形状となっている。サイクロン部12は、側面において導入管11の接続部34と接続されている。図1に示されるように、導入管11は、サイクロン部12の外周の接線方向に沿って、サイクロン部12に接続されている。サイクロン部12は、接続部34を介して、導入管11内の排ガスGを導入する。また、詳しくは後述するが、サイクロン部12は、導入された排ガスGを内部で旋回させて、排ガスGと排ガスG中の異物とを分離する。
サイクロン部12は、先端44において、異物排出管21を有する。異物排出管21は、吸引部としての第1の吸引部19と接続されている。詳しくは後述するが、第1の吸引部19は、少なくとも排ガスGから分離された排ガスG内の異物の一部を、異物排出管21を介して排出する。第1の吸引部19は、例えばポンプである。ただし、第1の吸引部19は、サイクロン部12内の気体を吸引するものであれば、ポンプに限られない。
セル部13は、図1から図3に示されるように、両端が開口する筒状の部材である。例えば、セル部13は、円筒状の部材である。図2に示されるように、セル部13は、排ガス流路1の軸方向Zに対して直交する方向における断面内において、排ガス流路1の隅部に設けられている。すなわち、セル部13は、排ガス流路1の中心軸Xよりも外側に設けられている。また、セル部13は、流路壁2の開口部30とセル部13の一方の端部45と、流路壁2の開口部31とセル部13の他方の端部46とを固定することにより、流路壁2に固定されている。従って、セル部13の軸方向Yに沿った長さ(セル部13の一方の端部45と他方の端部46との間の長さ)は、排ガス流路1の断面視の幅よりも小さくなる。
実施形態1において、排ガス流路1の軸方向Zに対して直交する方向における断面形状は矩形であるが、これに限られず、例えば多角形又は円形等でもよい。例えば、排ガス流路1の断面形状が円形である場合、セル部13は、中心軸Xよりも放射方向外側の排ガス流路1の弦に沿って設けられる。この場合、セル部13が設けられる弦から中心軸Xまでの距離は、例えば、排ガス流路1の内周の半径の半分よりも大きく、排ガス流路1の内周の半径よりも小さい。ただし、セル部13は、排ガス流路1の隅部に設けられていれば、その位置は任意に選択できる。
セル部13の一方の端部45には、光源ユニット14が取り付けられている。セル部13の他方の端部46には、受光ユニット15が取り付けられている。光源ユニット14及び受光ユニット15については後述する。
セル部13は、一方の端部45と他方の端部46との間の側面に接続管22を有している。接続管22は、セル部13とサイクロン部12とを接続している。より詳しくは、接続管22のセル部13と接続されている側と反対側の先端である先端部47は、サイクロン部12の他方の端部43に設けられる開口部49に挿入されている。先端部47は、サイクロン部12の軸方向Tに直交する方向の断面視において、サイクロン部12の中央部に位置している。また、先端部47は、導入管11の接続部34よりもサイクロン部12の先端44側に位置している。セル部13は、接続管22を介して、異物と分離されたサイクロン部12内の排ガスGを導入する。
セル部13は、一方の端部45と接続管22との間の側面において、第1の排出管16に接続されている。また、セル部13は、他方の端部46と接続管22との間の側面において、第2の排出管17に接続されている。図2に示されるように、第1の排出管16と第2の排出管17とは、合流管18で互いに合流し、第2の吸引部20に接続されている。第1の排出管16と第2の排出管17とは、第2の吸引部20により、セル部13から排ガスGを排出する。第2の吸引部20は、例えばポンプである。ただし、第2の吸引部20は、セル部13内の排ガスGを吸引するものであれば、ポンプに限られない。第1の排出管16と第2の排出管17とは、合流していなくてもよく、互いに別の吸引部を有していてもよい。また、実施形態1においては、排出管は2つであったが、排出管は1つでもよく、3つ以上であってもよい。また、第1の吸引部19と第2の吸引部20とは同じものであってもよい。
図3に示されるように、光源ユニット14は、光源部23と取付部24とを有する。光源ユニット14は、取付部24において、セル部13の一方の端部45に着脱可能に取付けられる。光源部23は、セル部13の軸方向Yに沿って受光ユニット15に向かう光を出射する。実施形態1において、光源部23は、赤外線レーザーを出射する。
取付部24は、収納部81と、筒部82とを有する。収納部81は、例えば円筒状の中空部材であり、内部に光源部23を収納する。収納部81は、一方の端面である端面83に、開口して筒部82と接続される接続部84を有する。また、収納部81は、側面に開口部85を有する。収納部81は、端面83をセル部13の一方の端部45に取付けることにより、光源ユニット14をセル部13に着脱可能に取り付ける。端面83とセル部13の一方の端部45との取り付け方法は、任意である。なお、取付部24は、筒部82に接続される接続部84と開口部85とを有し、内部に光源部23を収納するものであれば、任意の形状であってよい。
筒部82は、両端が開口する筒状の部材である。筒部82は、一方の端部86において、収納部81の接続部84と接続されている。筒部82は、一方の端部86から他方の端部87に向かって延在する。筒部82は、取付部24がセル部13に取付けられることにより、セル部13の内部に軸方向Yに沿って収納される。筒部82の他方の端部87は、セル部13内において、セル部13の一方の端部45と他方の端部46との間の第1の中間部88に位置する。第1の中間部88は、軸方向Yに沿って第1の接続管16と同じ位置であることが望ましい。ただし、筒部82がセル部13の内部に収納されれば、第1の中間部88の位置はこれに限られない。
収納部81の内部には、開口部85から気体Lが導入される。開口部85から導入された気体Lは、筒部82を通って、第1の排出管16から導出される。気体Lは、例えばアンモニアを含まない空気である。ただし、気体Lは、測定対象であるガス成分を含まない気体であれば、これに限られない。
図3に示されるように、受光ユニット15は、受光部25と取付部26とを有する。受光ユニット15は、取付部26において、セル部13の他方の端部46に着脱可能に取付けられる。受光部25は、光源部23からの光を受光して、セル部13内の排ガスGのアンモニア濃度を測定する。
取付部26は、収納部91と、筒部92とを有する。収納部91は、例えば円筒状の中空部材であり、内部に受光部25を収納する。収納部91は、一方の端面である端面93に、開口して筒部92と接続される接続部94を有する。また、収納部91は、側面に開口部95を有する。収納部91は、端面93をセル部13の他方の端部46に取付けることにより、受光ユニット15をセル部13に着脱可能に取り付ける。端面93とセル部13の他方の端部46との取り付け方法は、任意である。なお、取付部26は、筒部92に接続される接続部94と、開口部95とを有し、内部に受光部25を収納するものであれば、任意の形状であってよい。
筒部92は、両端が開口する筒状の部材である。筒部92は、一方の端部96において、収納部91の接続部94と接続されている。筒部92は、一方の端部96から他方の端部97に向かって延在する。筒部92は、取付部26がセル部13に取付けられることにより、セル部13の内部に軸方向Yに沿って収納される。筒部92の他方の端部97は、
セル部13内において、セル部13の他方の端部46と第1の中間部88との間の第2の中間部98に位置する。第2の中間部98は、例えば、第2の排出管17と軸方向Yに沿って同じ位置であることが望ましい。ただし、筒部92がセル部13の内部に収納されれば、第2の中間部98の位置はこれに限られない。
収納部91の内部には、開口部95から気体Mが導入される。開口部95から導入された気体Mは、筒部92を通って、第2の排出管17から導出される。気体Mは、例えばアンモニアを含まない空気である。ただし、気体Mは、測定対象であるガス成分を含まない気体であれば、これに限られない。
図2に示されるように、導入管11とサイクロン部12とセル部13の一部とは、排ガス流路1内に設けられている。セル部13は、少なくとも一部が排ガス流路1内に設けられていればよい。より詳しくは、セル部13は、第1の中間部88から第2の中間部98まで間において、排ガス流路1内に設けられていればよい。例えば、セル部13は、全てが排ガス流路1内に設けられていてもよい。この場合、排ガス濃度測定装置10は、例えば光源ユニット14の取付部24と受光ユニット15の取付部26とにおいて、流路壁2に固定される。次に、排ガス濃度測定装置10による排ガスGのアンモニア濃度の測定について説明する。
排ガス流路1内の排ガスGは、例えば粉塵等の異物を含有している。第1の吸引部19及び第2の吸引部20が駆動すると、サイクロン部12及びセル部13内の気体が吸引されるため、サイクロン部12及びセル部13は負圧になる。導入管11は、開口部33から排ガス流路1内の排ガスGの一部を導入する。
導入管11に導入された排ガスGは、接続部34からサイクロン部12内に導入される。ここで、導入管11は、サイクロン部12の外周の接線方向に沿って、サイクロン部12に接続されている。また、サイクロン部12には、接続管22が取り付けられている。接続管22は、サイクロン部12の断面視における中央部に位置する先端部47から、サイクロン部12内の空気を吸引する。従って、導入管11からサイクロン部12内に導入された排ガスGは、サイクロン部12の内部で旋回する。そして、排ガスG内の異物は、サイクロン部12の内周の放射方向外側に遠心分離される。排ガスGから分離された異物及び排ガスG内の一部は、第1の吸引部19により、異物排出管21から排出される。一方、異物から分離された排ガスGは、接続管22の先端部47から吸引され、セル部13に導出される。このようにして、サイクロン部12は、排ガスGとその内部の異物とを分離し、異物と分離された排ガスGをセル部13に導出する。
一方、光源ユニット14内には、気体Lが導入されている。気体Lは、収納部81の開口部85から導入され、筒部82の一方の端部86から他方の端部87に向かって流れる。そして、気体Lは、他方の端部87からセル部13の第1の中間部88に導入され、第1の排出管16から導出される。気体Lは、筒部82の一方の端部86から他方の端部87に向かって流れているため、セル部13内の排ガスGは、筒部82内には導入されない。
受光ユニット15内には、気体Mが導入されている。気体Mは、収納部91の開口部95から導入され、筒部92の一方の端部96から他方の端部97に向かって流れる。そして、気体Mは、他方の端部97からセル部13の第2の中間部98に導入され、第2の排出管17から導出される。気体Mは、筒部92の一方の端部96から他方の端部97に向かって流れているため、セル部13内の排ガスGは、筒部92内には導入されない。
セル部13に導入された排ガスGは、次の方法でアンモニア濃度を測定される。すなわち、赤外線は、試料ガス中を通過するときに、試料ガス中に含まれる測定対象物に特有の波長の赤外線が吸収される。赤外線の吸収量は、対象成分の濃度に応じたものになるため、その吸収量を測定することにより対象成分の濃度を測定することができる。
光源部23からの赤外線レーザーは、セル部13内の排ガスGにより、特定の波長の赤外線が吸収された後、受光部25に受光される。受光部25には、例えば排ガスG内のアンモニアにより吸収された赤外線量を測定するセンサが設けられている。従って、受光部25は、排ガスG内のアンモニア濃度を計測することができる。なお、受光部25は、アンモニア以外のガス濃度を測定してもよい。
実施形態1において、光源部23は、軸方向Yに沿って受光部25に向かう光路Aを形成する赤外線レーザーを発光する。光路Aは、光路B、C及び測定光路Dを有する。光路Bは、光路Aにおける、軸方向Yに沿って光源部23から第1の中間部88までの間の光路である。すなわち、光路Bは、光路Aの筒部82内における光路である。測定光路Dは、光路Aにおける、軸方向Yに沿って第1の中間部88から第2の中間部98までの間の光路である。すなわち、測定光路Dは、光路Aのセル部13内における光路である。言い換えれば、第1の中間部88から第2の中間部98までの間とは、光源部23からの光がセル部13内に露出される部分である。光路Cは、光路Aにおける、軸方向Yに沿って第2の中間部98から受光部25までの間の光路である。すなわち、光路Cは、光路Aの筒部92内における光路である。
上述のように、光路Bは、筒部82内における光路である。筒部82には、排ガスGが導通されず、気体Lが導通されている。すなわち、光路Bは、気体L内を通る光路である。同様に、光路Cは、気体Mが導通される筒部92内における光路である。すなわち、光路Cは、気体M内を通る光路である。一方、測定光路Dは、セル部13内における光路であるため、測定光路Dは、排ガスG内を通る光路である。上述のように、気体L,Mには、測定対象ガスであるアンモニアが含まれない。従って、光源部23からの赤外線レーザーは、測定光路Dにおいて、アンモニアに起因する波長の赤外線が吸収される。すなわち、光路Aにおいて、第1の中間部88から第2の中間部98までの間の測定光路Dが、例えば排ガスGに含まれるアンモニア等のガス濃度を測定する光路となる。
セル部13内の排ガスGは、第2の吸引部20により、第1の排出管16及び第2の排出管17から排出される。
このようにして、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、サイクロン部12により排ガスGと排ガスG内の異物とを分離する。そして、排ガス濃度測定装置10は、セル部13内において、異物と分離された排ガスGのガス濃度を赤外線レーザーにより計測する。排ガス濃度測定装置10は、排ガスG中に含まれる異物をサイクロン部12により除去することができるため、排ガスG中のガス濃度の測定精度を向上させることができる。
サイクロン部12は、遠心分離により異物と排ガスGとを分離する。サイクロン部12、例えばフィルタのように異物による目詰まり等を起こし難い。従って、排ガス濃度測定装置10は、例えば排ガスG内に異物が多い場合においても、排ガス中のガス濃度が測定できなくなることを抑制する。また、サイクロン部12は、目詰まり等を起こし難く、かつ、筒状部材であるため、メンテナンスが容易である。
また、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、第1の吸引部19によりサイクロン部12内の異物を排出する。排ガス濃度測定装置10は、第1の吸引部19により強制的に異物を排出することができるため、例えば排ガスG内に異物が多く含まれる場合においても、効率的に異物を排出することができる。ただし、排ガス濃度測定装置10は、第1の吸引部19を有していなくてもよい。この場合、サイクロン部12内の異物は、例えば自重などにより、サイクロン部12から排出される。
このように、排ガス濃度測定装置10は、サイクロン部12により異物を分離するため、異物が多く含まれる排ガスの濃度測定に特に有効である。
また、排ガスG内に含まれているアンモニアは、温度が低下するとアンモニア化合物を生成し、アンモニア化合物が排ガス濃度測定装置10内に付着する可能性がある。このアンモニア化合物が例えば排ガスGに取り込まれた場合、計測されたアンモニア濃度が実際のアンモニア濃度よりも高くなり、測定精度が低下する可能性がある。
排ガス流路1内は、高温の排ガスGが流通しているため、例えば250度以上の高温環境にある。排ガス濃度測定装置10は、導入管11とサイクロン部12とセル部13の一部とが、排ガス流路1内に設けられている。より詳しくは、セル部13の一部とは、第1の中間部88から第2の中間部98までの間であり、アンモニア濃度を測定する測定光路Dを有する位置である。すなわち、排ガス濃度測定装置10は、排ガスGを排ガス流路1から導入して、排ガスGから異物を分離して、排ガスGのアンモニア濃度を測定する箇所において、排ガス流路1内に設けられている。従って、排ガス濃度測定装置10は、排ガスG中のアンモニア濃度の測定箇所を例えば250度以上の高温環境下におくため、アンモニア化合物の生成を抑制することができる。そのため、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、排ガス中のアンモニア濃度の測定精度の低下を抑制することができる。
また、上述のように、セル部13は、軸方向Zと直交する方向において、排ガス流路1の隅部に設けられている。そのため、セル部13の軸方向Yに沿った長さは、排ガス流路1の軸方向Zと直交する方向における断面視の幅よりも小さくなる。従って、セル部13内の軸方向Yに沿って形成される光路Aの長さも、排ガス流路1の断面視の幅よりも小さくなる。すなわち、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、排ガス流路1の幅が大きい場合であっても、光路Aの長さを短くすることができる。このように、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、光路Aの長さを最適化することができるため、排ガス中のガス濃度の測定精度を向上させることができる。また、排ガス濃度測定装置10は、セル部13が排ガス流路1の隅部に設けられているため、排ガス流路1内の排ガスGの流れを阻害することを抑制する。
また、実施形態1に係るセル部13は、両端部が開口する筒状部材である。また、セル部13は、一方の端部45と他方の端部46において、排ガス流路1の流路壁2に取付けられている。従って、セル部13は、例えば光源ユニット14の取付部24又は受光ユニット15の取付部26を取り外すことにより、排ガス流路1の外部からでも容易にメンテナンスを行うことができる。ただし、光源ユニット14は取付部24を有していなくてもよく、受光ユニット15は取付部26を有していなくてもよい。光源ユニット14は、光源部23のみを有していればよく、受光ユニット15は、受光部25のみを有していればよい。この場合、例えば光源ユニット14及び受光ユニット15は、セル部13に対して着脱可能でなくてもよい。
また、実施形態1に係る導入管11は、延在する向きを変える箇所において、所定の曲率を有している。従って、導入管11は、延在する向きを変える箇所において、異物が詰まることを抑制することができ、また、容易にメンテナンスを行うことができる。
また、実施形態1に係る光源ユニット14及び受光ユニット15は、それぞれ筒部82及び筒部92を有する。筒部82内には気体Lが導通され、排ガスGは導入されない。同様に、筒部92内には、気体Mが導通され、排ガスGは導入されない。従って、筒部82及び筒部92は、光源部23及び受光部25の周囲に排ガス中の異物が侵入することを防止する。実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、排ガス中のアンモニア濃度の測定精度の低下をより好適に抑制することができる。
また、上述のように、光路B,Cは、それぞれ筒部82,92内の光路である。そして、測定光路Dは、セル部13の第1の中間部88と第2の中間部98との間の光路であり、排ガスG中のガス濃度を測定するための光路である。第1の中間部88は、筒部82の他方の端部87に対応する位置にあり、第2の中間部98は、筒部92の他方の端部97に対応する位置にある。すなわち、測定光路Dは、筒部82の他方の端部87と筒部92の他方の端部97の間の光路であるといえる。従って、測定光路Dは、筒部82の他方の端部87と筒部92の他方の端部97との位置により定められる。そのため、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10は、筒部82及び筒部92により、測定光路Dの光路長を最適にすることができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。図4は、実施形態2に係る排ガス濃度測定装置を示す模式図である。図4は、排ガス流路1Aを平面視で見た図である。図4に示されるように、実施形態2に係る排ガス濃度測定装置10Aは、複数の導入管を有する。実施形態2に係る排ガス濃度測定装置10Aは、その他の点で実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10と構成が共通するため、共通する部分の説明を省略する。
図4に示されるように、排ガス流路1Aは、脱硝装置161,162,163を有する。脱硝装置161,162,163は、排ガス流路1A内の排ガスGの流れの上流からこの順で取り付けられている。排ガス流路1Aは、脱硝装置161と脱硝装置162との間に、第1の空間171を有する。また、排ガス流路1Aは、脱硝装置162と脱硝装置163との間に、第2の空間172を有する。また、排ガス流路1Aは、脱硝装置163よりも排ガスGの流れの下流側に、第3の空間173を有する。排ガス濃度測定装置10Aは、例えば第3の空間173に取付けられている。実施形態2においては、排ガス流路1Aには3つの脱硝装置が設けられているが、1つの脱硝装置でもよいなど、その数は限定されない。
図4に示されるように、導入管11Aは、合流導入管11Xと、切替導入管51,52,53,54と、導入管61,62,63,64,65,66と、弁としての切替弁71,72,73,74,75とを有する。以下、切替導入管51,52,53,54をそれぞれ区別する必要がない場合は、切替導入管50と記載する。また、導入管61,62,63,64,65,66をそれぞれ区別する必要がない場合は、導入管60と記載する。また、切替弁71,72,73,74,75をそれぞれ区別する必要がない場合は、切替弁70と記載する。
合流導入管11Xは、実施形態1に係る排ガス濃度測定装置10の導入管11と同様に、サイクロン部12と接続されて、排ガスGをサイクロン部12に導入する。詳しくは後述するが、切替弁70は、複数の導入管60から切替導入管50への排ガスGの流路を切り替えて制御する。
導入管61,62は、第1の空間171に設けられている。導入管61,62は、排ガスGの流れの上流側から下流側に向かって開口している。また、導入管61は、排ガス流路1Aの幅方向Sにおいて、導入管62よりも排ガス濃度測定装置10A側に開口している。導入管61,62は、第1の空間171において、排ガスGの一部を導入する。ただし、導入管61,62は、第1の空間171においてそれぞれ異なった位置に開口していれば、任意の位置に開口してもよい。
導入管61,62は、切替弁71を介して切替導入管51で合流している。切替弁71は、導入管61から切替導入管51への流路と、導入管62から切替導入管51への流路とを切り替える。従って、切替導入管51は、導入管61からの排ガスGと、導入管62からの排ガスGとのいずれかを導入する。なお、切替弁71は、導入管61,62の両方を切替導入管51に接続することができ、導入管61,62の両方を切替導入管51の接続から遮断することができる。切替導入管51は、第1の空間171から第2の空間172に延在する。
導入管63,64は、第2の空間172に設けられている。導入管63,64は、排ガスGの流れの上流側から下流側に向かって開口している。また、導入管63は、排ガス流路1Aの幅方向Sにおいて、導入管64よりも排ガス濃度測定装置10A側に開口している。導入管63,64は、第2の空間172において、排ガスGの一部を導入する。ただし、導入管63,64は、第2の空間172においてそれぞれ異なった位置に開口していれば、任意の位置に開口してもよい。
導入管63,64は、切替弁74を介して切替導入管53で合流している。切替弁74は、導入管63から切替導入管53への流路と、導入管64から切替導入管53への流路とを切り替える。従って、切替導入管53は、導入管63からの排ガスGと、導入管64からの排ガスGとのいずれかを導入する。なお、切替弁74は、導入管63,64の両方を切替導入管53に接続することができ、導入管63,64の両方を切替導入管53の接続から遮断することができる。
切替導入管51,53は、第2の空間172において、切替弁72を介して切替導入管52で合流している。切替弁72は、切替導入管51から切替導入管52への流路と、切替導入管53から切替導入管52への流路とを切り替える。すなわち、切替導入管52は、切替導入管51からの排ガスGと、切替導入管53からの排ガスGとのいずれかを導入する。なお、切替弁72は、切替導入管51,53の両方を切替導入管52に接続することができ、切替導入管51,53の両方を切替導入管52の接続から遮断することができる。切替導入管52は、第2の空間172から第3の空間173に延在する。
導入管65,66は、第3の空間173に設けられている。導入管65,66は、排ガスGの流れの上流側から下流側に向かって開口している。また、導入管65は、排ガス流路1Aの幅方向Sにおいて、導入管66よりも排ガス濃度測定装置10A側に開口している。導入管65,66は、第3の空間173において、排ガスGの一部を導入する。ただし、導入管65,66は、第3の空間173においてそれぞれ異なった位置に開口していれば、任意の位置に開口してもよい。
導入管65,66は、切替弁75を介して切替導入管54で合流している。切替弁75は、導入管65から切替導入管54への流路と、導入管66から切替導入管54への流路とを切り替える。従って、切替導入管54は、導入管65からの排ガスGと、導入管66からの排ガスGとのいずれかを導入する。なお、切替弁75は、導入管65,66の両方を切替導入管54に接続することができ、導入管65,66の両方を切替導入管54の接続から遮断することができる。
切替導入管52,54は、第3の空間173において、切替弁73を介して合流導入管11Xで合流している。切替弁73は、切替導入管52から合流導入管11Xへの流路と、切替導入管54から合流導入管11Xへの流路とを切り替える。すなわち、合流導入管11Xは、切替導入管52からの排ガスGと、切替導入管54からの排ガスGとのいずれかを導入する。なお、切替弁73は、切替導入管52,54の両方を合流導入管11Xに接続することができ、切替導入管52,54の両方を合流導入管11Xの接続から遮断することができる。
上述のように、合流導入管11Xは、切替導入管52,54のいずれかからの排ガスGを導入する。従って、合流導入管11Xは、切替弁70により、複数の導入管60のうちのいずれか1つの導入管を選択して排ガスGを導入し、サイクロン部12へ導出することができる。なお、合流導入管11Xは、複数の導入管60のうちの複数からの排ガスGを導入することもできる。
このように、実施形態2に係る排ガス濃度測定装置10Aは、複数の導入管60のうちいずれかを選択して排ガスGを導入して、排ガスGのガス濃度を測定することができる。排ガス濃度測定装置10Aは、排ガス流路1A中の適切な位置を選択して、その位置での排ガスGのガス濃度を測定することができるため、排ガス中のガス濃度の測定精度を向上させることができる。例えば、実施形態2においては、排ガス流路1Aは、3つの脱硝装置161,162,163を有する。排ガスG中のアンモニア濃度は、そのうちの最も下流に位置する脱硝装置163の下流である第3の空間173において、最も低くなる。従って、例えば、排ガス濃度測定装置10Aは、第3の空間173の導入管65,66からの排ガスGのアンモニア濃度を測定した場合に、その測定誤差が小さくなる。従って、排ガス濃度測定装置10Aは、導入管65,66からの排ガスGのアンモニア濃度を測定することが適切な場合がある。ただし、排ガスGの濃度の測定位置は、その目的によって適宜選択することができる。
排ガス流路1A内の異なる箇所での排ガスGのガス濃度を計測する場合、導入管が1つしかないと、導入管の位置を変更する必要がある。しかし、実施形態2に係る排ガス濃度測定装置10Aは、複数の導入管60を有し、その排ガスGの流通を切替弁70で制御することができる。従って、排ガス濃度測定装置10Aは、導入管の位置を変更することなく、切替弁70を制御するだけで、排ガス流路1A内の異なる箇所での排ガスGのガス濃度を計測することができる。
また、合流導入管11Xは、複数の導入管60のうちの複数からの排ガスGを導入することもできる。従って、実施形態2に係る排ガス濃度測定装置10Aは、排ガス流路1A内の複数の位置からの排ガスGの平均のガス濃度を測定することもできる。
実施形態2において、導入管60は6つであったが、複数であれば数は任意である。また、複数の導入管60の位置も、それぞれが異なる位置にあれば、任意に選択することができる。また、切替弁70の代わりに複数の導入管60にそれぞれ開閉弁を設けて、サイクロン部12への排ガスGの流通を制御してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。