JP6127691B2 - プライマー組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、各種金属材料の表面に塗布することで接着剤に対する親和性を改善して接着剤による金属材料の強固な接着を可能にするプライマー組成物に関し、特に、各種金属材料の中でもステンレス鋼板に好適に使用され、造膜性に優れ且つ金属材料の表面全体に亘り均一なプライマー層を形成することができる新規なプライマー組成物に関する。
各種金属材料の中で特にステンレス鋼板は、優れた耐食性や表面外観を活かして建材や電子機器を始め多くの分野で広く使用されている。かかるステンレス鋼板を構造材や各種部品等として使用する場合は、ステンレス鋼板同士を相互に接合したり、或いはステンレス鋼板を他の部品や鋼板と接合することを要求されることが多い。このような場合、従来は溶接によって接合することが大半であった。
しかし、溶接によりステンレス鋼板を接合する場合は、溶接されたステンレス鋼板の表面に溶接痕が残るため、ステンレス鋼板特有の優れた表面外観が損なわれるという問題がある。また、溶接痕や溶接歪みを除去するためには板金加工が必要となる。かかる板金加工は多くの時間と労力がかかる上、騒音の発生等によって作業環境を悪化させるため、作業者はもちろん周辺住民からも敬遠されている。
そこで、溶接に代わる金属材料の接合方法として、近年、接着剤を用いて接合する接着法が注目されている。接着剤を用いる接着法は、金属材料の表面外観がほとんど損なわれないため、上記板金加工が不要となるという利点がある。しかし、一般に金属材料の表面は安定な酸化皮膜で覆われている場合が多く、特にステンレス鋼の酸化皮膜は耐食性に優れている反面、接着剤との親和性が極めて低く、接着力に劣るという問題があった。また、接着では接合界面の耐水性が低くなるため、金属材料の接着部を高温高湿雰囲気に曝すと接着力が短期間で著しく低下するという問題があった。
このような金属材料の接着剤に対する親和性、特にエポキシ系接着剤に対する親和性は、予めこれらの金属材料の表面を酸で活性化処理することにより改善することができる。例えば、ステンレス鋼板の表面を硫酸と蓚酸との混合水溶液で処理する方法が知られている。また、アルミニウム板やアルミニウム合金板をリン酸水溶液あるいは重クロム酸水溶液に浸漬するか、あるいは浸漬しながら陽極で電気的に酸化させる方法も知られている。これらの処理方法は、優れた接着性を発現することが知られており、航空機の組立工程等で実用化されている。
しかし、上記酸処理によりステンレス鋼板の表面を活性化させる方法は、ステンレス鋼板の表面にスマットを発生させるという問題がある。このスマットは、重クロム酸と硫酸との混合水溶液でステンレス鋼板の表面を処理することによって除去することができる。しかしながら、この脱スマット処理はクロム含有排水を発生させるため、環境破壊の観点から厳しく制限されている。
最近では、このような脱スマット処理の必要がない接着方法として、予めステンレス鋼板の表面にプライマーを塗装して、有機系薄膜であるプライマー層を形成させることで接着性を高める方法が試みられている。例えば特許文献1には、ステンレス鋼板の接着性を高めるため、酸性リン酸エステル及び/又はその塩と、水とを含む水性プライマーを用いてステンレス鋼板の表面を処理する方法が記載されている。
また、ステンレス鋼板、普通鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などに接着性を付与する技術として、シランカップリング剤を用いることが知られている。例えば、特許文献2には、シラン系カップリング剤を用いて普通鋼板やステンレス鋼の表面を処理することにより、フッ素系塗膜との接着性を改善する方法が記載されている。
非特許文献1には、エポキシ系接着剤と反応性がある官能基を有するシランカップリング剤での処理により、ステンレス鋼板、普通鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板などの接着性が向上することが述べられている。更に、特許文献3には、多官能エポキシ樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂を主体とし、硬化剤としてイミダゾールを含むプライマー組成物が記載されている。
近年は、接着法の普及に伴って、次第に厳しい使用環境である高温高湿環境下に接着剤の接着部が曝されるケースも多くなっている。例えば、最も過酷な条件である沸騰水による浸漬の場合、シランカップリング剤などによる表面処理では、その接着性の低下を抑制することが困難である。そこで、沸騰水中でも各種金属材料の接着部に安定した接着性を付与する処理として、非特許文献2にはシリコーター処理が提案されている。
特開平06−009311号公報 特公平06−057872号公報 特開2007−077358号公報
山辺秀敏他、「A Study of Surface Modification of Stainless Steels」、色材協会誌、70巻、12号、1997年、p763〜771 Tiller他、「Silicoater−Verfahren」、Fertigungssystem Kleben’、89、VCH Verlag、1989、p95〜106
上記した特許文献1や特許文献2に開示されているような酸性リン酸エステルやシラン系カップリング剤を使用した表面処理によって、ステンレス鋼板、普通鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅板、亜鉛めっき鋼板などの各種金属材料板において、エポキシ系接着剤に対する親和性が向上することが確認されている。しかしながら、これらの表面処理による方法は、上記した従来の硫酸と蓚酸との混合水溶液による処理による方法と同程度の接着性は得られていない。そのため、接着したステンレス鋼板等の接着強度及び耐久性は実用上十分とは言えず、接着構造体として長期に安定して使用することはできなかった。
また、特許文献3の技術は、プライマー組成物にフィラーを含有していないため、膜の形成性(造膜性)に劣っている。また、塗布の作業性を確保するためにトルエンやメチルエチルケトンなどの有機溶剤によって希釈を行っているため、VOC(Volatile Organic Compounds)による大気汚染への配慮が必要となり、製造過程及び使用過程において大きな制約を受けるという欠点がある。
さらに、非特許文献1におけるシランカップリング剤はモノマー構造であるため、その希釈溶液を汚れのある実用金属表面に均一に塗布することは難しい。すなわち、汚れのない金属面に対しては、例えばアルコキシ基またはその加水分解生成物であるシラノール基と金属表面の酸化物層の水酸基との縮合反応により、シランカップリング剤は強固に付着することができる。
しかし、通常の金属表面は大気中に存在する有機物や無機物により汚染されており、これら有機物や無機物は酸化物層の上に堆積し、既に強固に付着している。このような汚染層を完全に除去することは現実的には困難であるため、汚れのある実用金属表面にシランカップリング剤を均一に付着させることは難しいのが現状である。また、非特許文献2におけるシリコーター処理は高温の火炎処理であることから、その適用は小型の基材などに制限されている。
本発明は、上記の従来の課題に鑑みてなされたものであり、各種材料の接着に際して、従来から実用されている酸混合水溶液での処理やシランカップリング剤などの化学処理と同等以上の接着強度と接着耐久性を付与することができる上、造膜性に優れ、且つ溶剤なしでも低粘度であってしかも粘度の変化が少なく、良好に塗布作業を行うことができる環境負荷の低いプライマー組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意研究を進めたところ、原料として配合する粉体状の無機フィラーの表面積と体積とをあらかじめ特定の範囲内に調製した後、これをエポキシ樹脂及び硬化剤とともに配合して特定の粘度に調整することで、エポキシ系接着剤で接着され得る各種材料の表面に付着性及び造膜性に優れたプライマー層を形成することができることを見出し本発明のプライマー組成物を完成するに至った。
すなわち、本発明が提供するプライマー組成物の製造方法は、エポキシ系接着剤で接着され得る材料の表面に塗布される、少なくともビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む二官能エポキシ樹脂と、少なくともフェノールノボラック型エポキシ樹脂を含む多官能エポキシ樹脂とを併用してなるエポキシ樹脂、硬化剤としてのジシアンジアミド、硬化触媒としてのイミダゾール、及び少なくともシリカ粉と酸化チタン粉と該シリカ粉よりも粒子径が小さく且つ疎水性のフュームドシリカとからなる粉体状の無機酸化物フィラーを含むプライマー組成物の製造方法であって、前記エポキシ樹脂の合計100gに対して無機酸化物フィラーの表面積の合計が350〜700mの範囲内にあって、且つその体積の合計が20〜50cmの範囲内にあり、更にプライマー組成物の測定温度25℃での粘度が3〜30Pa・sになるように、前記エポキシ樹脂、ジシアンジアミド、イミダゾール、及び無機酸化物フィラーの配合を行うことを特徴としている。
本発明によれば、各種材料の表面に接着性に優れたプライマー層を形成して、各種材料においてエポキシ系接着剤に対する親和性を高めることができる。また、溶剤を使用していないにもかかわらず塗布作業に適した低い粘度を有しているので、塗布作業の際にVOCなどの大気汚染物質の発生がなく、よって環境負荷が少ない環境にやさしい材料を提供することができる。更に、造膜性に優れ、塗布作業中の粘度変化が少なく、金属材料の表面全体に亘り均一な厚さのプライマー層を形成することができるプライマー組成物を提供することができる。
本発明の実施例の試料1のプライマー組成物を用いて形成した硬化膜の写真であり、造膜性が良好であることが分かる。 本発明の実施例の試料8のプライマー組成物を用いて形成した硬化膜の写真であり、造膜性が不良であることが分かる。 図2の硬化膜を碁盤目状に100個に分けて造膜性の評価を行っている様子を示す写真である。 本発明の実施例の試料13のプライマー組成物を用いて形成した硬化膜の写真であり、ブリスターが発生していることが分かる。
本発明のプライマー組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒及び無機酸化物フィラーを必須成分とし、例えば金属板その他の金属材料の部材の表面に塗布してプライマー層を形成することによって、エポキシ系接着剤に対する金属材料の親和性を向上させることができる。従って、本発明のプライマー組成物でプライマー層を形成したステンレス鋼、普通鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛めっき鋼などの各種金属材料は、エポキシ系接着剤によって簡単且つ強固に接着することができる。
本発明のプライマー組成物を用いて形成したプライマー層を有する各種材料の接着に用いるエポキシ系接着剤は、一液型であってもよいし、二液型であってもよい。これらの中では、工業的用途において大きな接着強度が得られる二液型のエポキシ系接着剤の使用がより好ましい。
本発明のプライマー組成物の主成分であるエポキシ樹脂は、少なくともビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む二官能のエポキシ樹脂と、少なくともフェノールノボラック型エポキシ樹脂を含む多官能(以下、多官能とは三官能以上を意味する)のエポキシ樹脂とを併用している。二官能のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、その水酸基による金属表面との水素結合性や、分子内エーテル結合の回転による柔軟性・可とう性から、金属表面に対して強い接着性を有する。このビスフェノールA型エポキシ樹脂に多官能のフェノールノボラック型エポキシ樹脂を配合することにより、硬化物の架橋密度が高くなり、耐熱性や機械強度が向上する。特に、沸騰水に浸漬するような過酷な使用条件下では、高い架橋密度を得ることが重要である。
上記のビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む二官能のエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂単独でもよいし、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との混合物でもよい。ビスフェノールF型エポキシ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂と同等の金属接着性を有しながら、より低い粘度を有するため、両者を混合して配合することにより望ましい粘度に調製することが可能となる。
一方、上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂を含む多官能のエポキシ樹脂は、塗布するときの粘度を実用的な範囲内とするため、2種以上のフェノールノボラック型エポキシ樹脂を混合して、所望の粘度に調整することができる。また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂と同じく多官能エポキシ樹脂であるp−アミノフェノール型エポキシ樹脂をフェノールノボラック型エポキシ樹脂に配合することによって、さらに低粘度に調整してもよい。このようにフェノールノボラック型エポキシ樹脂にp−アミノフェノール型エポキシ樹脂を配合する場合は、p−アミノフェノール型エポキシ樹脂の量を、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の量に対して同量以下となるように配合することが好ましい。
本発明のプライマー組成物に含まれるエポキシ樹脂で併用される上記少なくともビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む二官能のエポキシ樹脂、及び少なくともフェノールノボラック型エポキシ樹脂を含む多官能のエポキシ樹脂は、多官能のエポキシ樹脂:二官能のエポキシ樹脂で表される配合比が5質量部:95質量部〜30質量部:70質量部の範囲内となるように配合されていることが好ましい。
その理由は、エポキシ樹脂の合計100質量部に対して多官能のエポキシ樹脂の配合量が5質量部より少ないと、プライマーの耐沸水接着性を確保することが難しくなるからである。一方、エポキシ樹脂の合計100質量部に対して多官能のエポキシ樹脂の配合量が30質量部より多くなると、架橋度が上がって脆くなると共に、金属材料との間に大きな応力が発生するため、十分な接着性が得られ難くなるからである。
本発明のプライマー組成物には、上記したように少なくとも2種類以上のエポキシ樹脂を使用するが、これによるプライマー組成物の粘度は3〜30Pa・s(測定温度25℃、せん断速度100s−1)の範囲内であることが重要である。この粘度が3Pa・sより低いと、全エポキシ樹脂に占める多官能エポキシ樹脂の配合割合を減らすことが必要となり、その結果、架橋度が下がり、耐水性が低下し、ブリスター発生の原因となるからである。一方、この粘度が30Pa・sより高いと、後述するようにエポキシ樹脂の合計100g当たり配合する粉体状の無機酸化物フィラーの全表面積を350〜800mmの範囲内に、且つその全体積を20〜50cmの範囲内にしたときにプライマー組成物の粘度が高くなりすぎ、金属材料への塗布性が悪くなる。
本発明のプライマー組成物の主成分であるエポキシ樹脂の硬化剤としては、ジシアンジアミドを使用する。ジシアンジアミドは常温では固体であり、エポキシ樹脂とは反応しない。しかし、融点を過ぎて液状化した時、エポキシ樹脂のグリシジル基と反応して架橋させる。このため、本発明のプライマー組成物は、常温での保存安定性に優れた一液型のプライマー組成物として構成される。
上記硬化剤であるジシアンジアミドの配合量は、エポキシ樹脂の合計100質量部に対して3〜25質量部の範囲とすることが好ましい。このジシアンジアミドの配合量が3質量部より少ないと、プライマー組成物の硬化が不十分となり、満足すべき耐沸騰水接着性が得られ難くなる。一方、ジシアンジアミドを25質量部よりも多く配合すると、硬化剤が過剰となり、プライマー組成物が硬く且つ脆くなるため好ましくない。
本発明のプライマー組成物では、硬化触媒としてイミダゾールを使用する。硬化触媒の選定は、前述した硬化剤としてのジシアンジアミドの硬化性能と硬化物特性に影響を与えるため重要である。イミダゾールは一般的なエポキシ樹脂の硬化剤として使用されることが多いが、本発明では硬化剤のジシアンジアミドと併用している。これにより、その硬化温度を180℃以下の使いやすい温度に下げると共に、硬化塗膜の耐熱性を向上させる効果が得られる。特に接着部において高い耐沸騰水接着性を維持するには、硬化塗膜のガラス転移温度は100℃以上が必要であり、そのためには硬化剤のジシアンジアミドと硬化触媒のイミダゾールとを併用することが重要である。
上記硬化触媒であるイミダゾールの配合量は、エポキシ樹脂の合計100質量部に対して0.5〜2.0質量部の範囲内とすることが好ましい。このイミダゾールの配合量が0.5質量部より少ないと硬化が不十分になりやすくなり、逆に2.0質量部を超えて添加するとプライマー組成物の保存中に硬化が進行して、ゲル化が起きやすくなるため好ましくない。
硬化触媒として好適に使用できるイミダゾールとしては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−ウンデシルイミダゾリル-(1’))−エチル−s−トリアジンなどを挙げることができ、その中でも特に2−メチルイミダゾールが好ましい。
このようなエポキシ樹脂を主成分とする本発明のプライマー組成物を、ステンレス表面に均一に塗布するためには、焼付け硬化時の高温雰囲気での粘度低下を適度に抑制する必要がある。加熱により樹脂粘度が低下しすぎると、汚れの付着した金属表面では皮膜がはじかれ、連続性が失われるからである。そのため、本発明のプライマー組成物にはフィラー(充填剤)が配合されている。特に、本発明のプライマー組成物では、金属材料表面への均一な塗布性及び優れた造膜性を得ると共に、過酷な環境下での硬化塗膜の金属材料表面に対する優れた接着性を確保するため、粉体状の無機酸化物フィラーが配合されている。
具体的には、本発明では、プライマー組成物に配合する無機酸化物フィラーとして、シリカ粉と酸化チタン粉とを併用している。これらシリカ粉及び酸化チタン粉は、平均粒子径が共に2〜30μmであることが好ましい。このようなシリカ粉としては、破砕粉や溶融粉を好適に使用することができる。一方、酸化チタン粉については、エポキシ樹脂との親和性の高いものを使用することが望ましい。
エポキシ樹脂との親和性が低い場合には、エポキシ樹脂との界面に水が浸入しやすくなり、その結果、沸騰水による浸漬などの耐水試験において、水分が膜中の酸化チタン粉に沿ってチャンネリングして容易に金属材料表面に到達し、ブリスターを発生し、接着力の低下という問題を生じることになる。このような理由から、エポキシ樹脂との親和性に優れた酸化チタン粉としては、アルミナやシリカでのコート処理品、あるいは有機コート処理品が好適である。
また、シリカ粉及び酸化チタン粉に加えて、フュームドシリカ粉を添加してもよい。フュームドシリカ粉は、その表面が疎水性であり、一次粒子径が7〜40nm、比表面積が50〜380m/gであるものが好ましい。これは、表面が疎水性であり且つ粒子径が非常に小さい場合は、極性の高いエポキシ樹脂との間で反発力を生じ、フュームドシリカの凝集性が高まり、チクソトロピー性発現の要因である網目(ネットワーク)構造を形成し易くなるためである。
ここで重要なのは、本発明のプライマー組成物に含まれるエポキシ樹脂の合計100gに対して、配合するシリカ粉及び酸化チタン粉、更に必要に応じて使用するフュームドシリカ粉の合計の表面積が350〜700mの範囲内にあって、且つそれらの合計の体積が20〜50cmの範囲内にあることである。この範囲内で配合することで、本発明のプライマー組成物には、ステンレスなどの金属材料に対する過酷な環境下での密着性に加えて、ステンレスなどの金属材料への均一な塗布性及び優れた造膜性を実現することができる。
なお、前述した特許文献3には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と多官能エポキシ樹脂とを主体とする公知のプライマー組成物が記載されているが、このプライマー組成物は、溶剤希釈により塗布の際の作業性を確保している。そのため、例えば溶剤としてトルエンを使用する場合においては、大気汚染への配慮を要するなど取り扱いが面倒である。これに対し、本発明のプライマー組成物では、トルエンなどの有機溶剤を使用することなく上記した各構成成分のみでバーコーター等での塗布作業に適した粘度、具体的には3〜7Pa・s程度にコントロールすることができる。
このように、本発明のプライマー組成物を使用することにより、接着剤を用いて金属材料を接着するという簡単な施工によって、強度的に優れた建材その他の構造材を得ることができる。しかも、得られた接着部は高温での耐湿性に優れており、沸騰水による浸漬のような高温高湿環境下に曝されても高い接着強度を長期間にわたって保持することができる。
さらに、本発明のプライマー組成物を電気絶縁材料の接着に用いた場合、接着部は高温の強酸又は強アルカリの水溶液中のような過酷な使用条件においても安定した接着性を維持できるので、各種電気化学プロセスへの新たな展開が可能である。すなわち、本発明のプライマー組成物は、接着安定性と塗膜の架橋密度が非常に高く、強酸、強塩基性水溶液中で使用される金属用絶縁膜としても非常に有用である。
エポキシ樹脂、硬化剤、硬化触媒、及び無機酸化物フィラーをそれぞれ所定の配合量となるように秤量し、(株)日本精機製作所製のエクセルオートホモジナイザーを用いて、回転数10,000rpm、混合時間2分間の条件で混合することにより、下記表1に示すように種々の配合割合を有する試料1〜13のプライマー組成物を調製した。
上記表1において、エポキシ樹脂に用いる二官能エポキシ樹脂には、三菱化学(株)製のビスフェノールA型エポキシ樹脂JER828(二官能A)及び三菱化学(株)製のビスフェノールF型エポキシ樹脂JER807(二官能B)を単独若しくは混合して使用した。また、多官能エポキシ樹脂には、三菱化学(株)製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂JER152(多官能A)、三菱化学(株)製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂JER154(多官能B)、及び三菱化学(株)製のp−アミノフェノール型エポキシ樹脂JER630(多官能C)のうちの2つを混合して使用した。表1にはこれら二官能及び多官能エポキシ樹脂の合計100質量部中の各エポキシ樹脂の質量部が示されている。
硬化剤としてのジシアンジアミドには三菱化学(株)製のDICY7を使用し、硬化触媒としてのイミダゾールには三菱化学(株)製の2−メチルイミダゾールを使用した。これら硬化剤及び硬化触媒は、試料1〜13の全てにおいて、エポキシ樹脂の合計100質量部に対してそれぞれ5質量部及び1質量部となるように配合した。また、無機酸化物フィラーに使用するシリカ粉、酸化チタン粉及びフュームドシリカ粉には、下記表2に示すものを使用した。これらのうちの少なくとも二種類を上記表1に示すように添加した。
なお、上記表2の比表面積はBET法で測定した値であり、嵩密度は0.1%の精度で秤量した100gの各無機酸化物フィラーを250cm容量のメスシリンダーに圧密せずに静かに入れて測定した値から求めたものである。また、表1の質量、面積、及び体積の欄には、それぞれエポキシ樹脂100gに対して配合される粉体状の各無機酸化物フィラーの質量(g)、表面積(m)、及び体積(cm)が示されている。
例えば、試料1のプライマー組成物は、エポキシ樹脂の合計100g当たり、シリカAが50g、酸化チタン粉Bが30g配合されたものであることが示されている。そして、これら質量に表2に示す比表面積6.5m/g及び10m/gをそれぞれかけた値である表面積325m及び300mと、表2に示す嵩密度2.2g/cm及び4.2g/cmでそれぞれ割った値である体積23cm及び7cmが示されている。そして、表1の右端にはこれら表面積を合計した値である625mと、これら体積を合計した値である30mとが示されている。つまり、試料1のプライマー組成物では、エポキシ樹脂の合計100g当たり、配合された粉体状の無機酸化物フィラーの合計面積は625m、合計体積は30mであることが示されている。
上記の通りに調製した試料1〜13のプライマー組成物に対して、先ず、AntonPaar社製のPhysicaMCR501を用いて、25℃における粘度を測定した。次に、被接着材料としてステンレス鋼板を用いて、各試料のプライマー組成物の塗布性、造膜性、及びブリスター発生の有無について評価した。これら評価の具体的な手順を下記に示す。
(塗布性の評価)
先ず、板厚1.2mmのSUS304製2B仕上げステンレス鋼板から幅25mm及び長さ100mmの複数の試験片を切り出した。これら複数の試験片を室温でのアセトン浸漬により3分間脱脂した後、それぞれに上記した試料1〜13のプライマー組成物を室温25℃においてバーコーター(No.48)により、100〜115μmの厚みで塗布し、硬化後に60μmの膜厚とした。その際、バーコーターで均一に塗布できたものを良好(○)と判断し、塗布した膜が硬く、下地のステンレス鋼板がむき出しになるような筋ができるなど、均一な膜ができなかったものを不良(×)と判断した。
(造膜性の評価)
次に、この塗布した試験片を175℃で45分間加熱して硬化膜を形成した。この硬化膜のうち、図3に示すように縦25mm×横25mmの領域を碁盤目状に100個に分割し、硬化膜の形成状態について目視で評価した。具体的には、100個に分割した各区分において、全面に亘って連続した膜が形成できている場合は1点、連続した膜が半分以上形成されている場合は0.5点、膜が半分未満しかできていない場合は0点とし、100区分の全てについて同様に評価して得た点数を合計して100点満点中で何点になるか調べた。
そして、この点が98点以上の場合を造膜性が良好として○、90点以上98点未満の場合を△、90点未満の場合を不良として×とする判断基準で造膜性を評価した。なお、図1には試料1のプライマー組成物を用いて形成した硬化膜の写真が示されており、造膜性が良好であることが分かる。また、図2には試料8のプライマー組成物を用いて形成した硬化膜の写真であり、造膜性が不良であることが分かる。
(ブリスター発生の評価)
造膜性が良好であると判断された試験片に対して、98℃の沸騰水に7日間浸漬した後、ブリスターの有無を確認した。その結果、試料13のプライマー組成物を用いて形成した硬化膜にブリスターが発生していた。図4にはこのブリスターが発生した試料13の硬化膜の写真が示されている。上記の塗布性、造膜性、及びブリスター発生についての評価結果を粘度と共に下記表3に示す。
上記表3の結果から、本発明の要件を満たす試料1〜6のプライマー組成物は、いずれも良好な造膜性を有すると同時に、エポキシ系接着剤で接着したとき高い接着強度が得られることが分かった。更に、これら試料1〜6のプライマー組成物は、いずれも優れた耐水性により高い接着強度を維持できることが分かった。
一方、本発明の要件を満たしていない試料7〜13のプライマー組成物は、塗布性、造膜性、及びブリスター発生のいずれかにおいて問題が発生した。具体的には、試料7〜10のプライマー組成物は造膜性が不良であった。試料11〜12のプライマー組成物は塗布性が不良であった。試料13のプライマー組成物は塗布性及び造膜性の両方とも良好であったが、前述したように、塗膜と鋼板間の密着力低下による塗膜が膨れて浮き上がった状態であるブリスターが発生しており、膜の耐水性が低下していることが分かる。

Claims (2)

  1. エポキシ系接着剤で接着され得る材料の表面に塗布される、少なくともビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む二官能エポキシ樹脂と、少なくともフェノールノボラック型エポキシ樹脂を含む多官能エポキシ樹脂とを併用してなるエポキシ樹脂、硬化剤としてのジシアンジアミド、硬化触媒としてのイミダゾール、及び少なくともシリカ粉と酸化チタン粉と該シリカ粉よりも粒子径が小さく且つ疎水性のフュームドシリカとからなる粉体状の無機酸化物フィラーを含むプライマー組成物の製造方法であって、
    前記エポキシ樹脂の合計100gに対して無機酸化物フィラーの表面積の合計が350〜700mの範囲内にあって、且つその体積の合計が20〜50cmの範囲内にあり、更にプライマー組成物の測定温度25℃での粘度が3〜30Pa・sになるように、前記エポキシ樹脂、ジシアンジアミド、イミダゾール、及び無機酸化物フィラーの配合を行うことを特徴とするプライマー組成物の製造方法。
  2. 前記二官能エポキシ樹脂及び多官能エポキシ樹脂は、多官能エポキシ樹脂:二官能エポキシ樹脂で表される配合比が5質量部:95質量部〜30質量部:70質量部の範囲内となるように配合することを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物の製造方法。
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