JP6126787B2 - ガイドカテーテル - Google Patents

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Description

本発明は、ガイドカテーテルに関し、例えば、冠動脈血管インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)を行う際に用いられるガイドカテーテルに用いて好適なものである。
近年、狭窄した血管の再建を目的として、バルーンカテーテル(例えば、特許文献1を参照)やステントを用いて血管内の狭窄部を拡張する冠動脈血管インターベンション(PCI)が行われている。例えば、バルーンカテーテルを用いたPCIの一般的な術例は以下のとおりである。
まず、ガイドカテーテルを大腿動脈、上腕動脈、橈骨動脈等の穿刺部位から挿通し大動脈を経由させて冠状動脈の入口部に当該ガイドカテーテルの先端をフック(係止)させた状態とする。次に、ガイドワイヤを挿通するためのルーメン(ガイドワイヤルーメン)に挿通したガイドワイヤを冠状動脈の狭窄部位を越えて前進させ、このガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテルを挿入してバルーンを狭窄部に一致させる。次いで、バルーン内圧調整用の加圧流体を供給するためのルーメン(インフレーションルーメン)を経由して加圧流体をバルーンに供給し、バルーンを膨張させることで当該狭窄部を拡張治療する。当該狭窄部を拡張治療した後は、バルーンを減圧収縮させてバルーンカテーテルを体外へ抜去することでPCIを終了する。
特開平06−296693号公報
ところで、ガイドカテーテルの先端を冠動脈の入口部に係止させた状態で、バルーンカテーテルを冠動脈の狭窄部位に挿入していく際、狭窄の状態等によっては当該バルーンカテーテルを冠動脈の狭窄部位に挿入しづらい状況が往々にして生じる。この場合、手術者はバルーンカテーテルをかなり強く押し込む操作を行うことになり、進入障害物である狭窄によりバルーンカテーテルは強い抵抗を受ける。そのため、ガイドカテーテルには、冠動脈からの係止がはずれる方向の反力が大きく作用し、ガイドカテーテル先端の冠動脈の入口部に対する係止が不用意に外れてしまう場合があるという問題があった。この場合、治療を続行できなくなってしまう。
本発明は、冠動脈に対するガイドカテーテル先端の係止状態をより確実に維持することが可能なガイドカテーテルを提供することを目的とする。
本発明に係るガイドカテーテルは、血管に挿入されるガイドカテーテル本体と、
前記ガイドカテーテル本体の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体が注入されることによって前記ガイドカテーテル本体の遠心方向に拡径するバルーンと、
を備え、
前記バルーンは、拡径時において、前記バルーンの外周に前記血管内壁に当接する第1の部分と前記血管内壁に当接しない第2の部分とが存在するように構成されているガイドカテーテルにおいて、
前記第1の部分は、拡径時の膨張率が高い材料からなり、
前記第2の部分は、拡径時の膨張率が低い材料からなり、
前記第1の部分と前記第2の部分とが、周方向に交互配置されている
本発明によれば、新たに備えたバルーンの膨張(拡径)によって、ガイドカテーテル本体の遠位部が血管内壁に対して移動不可能に支持される。そのため、冠動脈に対するガイドカテーテル先端の係止状態をより確実に維持することができる。
第1の実施の形態におけるガイドカテーテルの構成例を示す図である。 第1の実施の形態におけるガイドカテーテルの断面例を示す図である。 第1の実施の形態におけるガイドカテーテルの断面の変形例を示す図である。 第1の実施の形態におけるガイドカテーテルの構成の変形例を示す図である。 第1の実施の形態におけるガイドカテーテルの断面の変形例を示す図である。 第2の実施の形態におけるガイドカテーテルの構成例を示す図である。 第2の実施の形態におけるガイドカテーテルの構成の変形例を示す図である。 第2の実施の形態におけるガイドカテーテルの構成の変形例を示す図である。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態におけるガイドカテーテル100の構成例を示す図である。
図1において、120は血管に挿入されるガイドカテーテル本体、140はガイドカテーテル本体120の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体(例えば、造影剤または、生理食塩水で薄められた造影剤)が注入されることによってガイドカテーテル本体120の遠心方向(図1の矢印方向)に膨張し血管内壁に当接するバルーン、160はガイドカテーテル本体120の近位部に設けられたコネクタである。
ガイドカテーテル本体120の内部には、血管内に挿入される治療用のバルーンカテーテル(図示せず、以下同じ)を冠状動脈の狭窄部まで案内するガイドワイヤ(図示せず、以下同じ)が挿通されるルーメン(ガイドワイヤルーメン)と、バルーン140に加圧流体を注入するためのルーメン(インフレーションルーメン)とがガイドカテーテル本体120の長軸方向に沿って設けられている。
バルーン140は、加圧流体が注入される前、ガイドカテーテル本体120の外径と近似する寸法でガイドカテーテル本体120の外周面に密着するように設けられている。加圧流体が注入されると、バルーン140は、風船のようにバルーン140の壁が伸びて膨張する。この膨張によりバルーン140の横断方向の径が拡大する(以下、拡径)。なお、図1では、バルーン140が膨張した状態を示している。
バルーン140には、冠状動脈の入口部までガイドカテーテル100を挿入した後の膨張時において、血管内壁に当接する部分よりも膨張率が低い部分が設けられている。つまり、血管内壁に当接する部分には、膨張率が高く血管内径の寸法まで膨張する材料が用いられている一方、血管内壁に当接しない部分には、膨張率が低く血管内径の寸法まで膨張しない材料が用いられている。
図2は、第1の実施の形態に係るガイドカテーテル100を冠状動脈の入口部まで挿入しバルーン140を膨張させた状態における、図1に示したバルーン140のA−A線に沿った断面図である。
図2において、200は冠状動脈の血管、210はガイドカテーテル本体、220はガイドカテーテル本体210の外周面に設けられたバルーン、230はバルーン220に加圧流体を注入する三日月形状のインフレーションルーメン、240はガイドワイヤが挿通される円形状のガイドワイヤルーメンである。
図2に示すように、バルーン220の外周には、血管200の内壁に当接する部分250a,250b,250c,250dと、血管200の内壁に当接しない部分255a,255b,255c,255dとが存在する。つまり、血管内壁に当接する部分250a,250b,250c,250dには、膨張率が高く血管内径の寸法まで膨張する材料が用いられている一方、血管内壁に当接しない部分255a,255b,255c,255dには、膨張率が低く血管内径の寸法まで膨張しない材料が用いられている。これにより、バルーン220の外周形状は、血管内壁に当接する部分(膨張率が高い部分)250a,250b,250c,250dが凸部となる一方、血管内壁に当接しない部分(膨張率が低い部分)255a,255b,255c,255dが凹部となることによって略星形形状(多角形状)に構成される。
血管200の内壁に当接する部分250a,250b,250c,250dの存在によって、ガイドカテーテル本体210の遠位部が血管内壁に対して移動不可能に支持される。その一方、血管内壁に当接しない部分255a,255b,255c,255dの存在によって、バルーン220の外周と血管内壁との間に、冠状動脈の血管内を流れる血液が末梢側へ流れることを可能にする間隙260a,260b,260c,260dが生じる。これにより、冠動脈に対するガイドカテーテル本体210の係止状態をより確実に維持できるともに、バルーン220の膨張によって血管内を流れる血液が遮断されてしまうことを防止できる。
バルーン220の材料としては、ある程度の可撓性を有する材料が好ましく、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、合成天然ゴム、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイソプロピレン、ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素系ゴム、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アイオノマー、フッ素樹脂などの高分子材料、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
バルーン220には、単一の材料を使用しても良いが、バルーン220の基材とその表面には異なる材料を選択しても良い。この場合、バルーン220が膨張したときに血管内壁と接触する面には、当該血管内壁との摩擦抵抗を最適化するための材料を被覆することが好ましい。また、バルーン220が収縮しているとき、冠状動脈の入口部までガイドカテーテル100を挿入する過程で血流との間で生じる摩擦抵抗を最大限軽減するため、バルーン220の基材には摩擦抵抗の少ない材料を選択することが好ましい。
図1の説明に戻り、コネクタ160は、例えばシリンジや圧力表示計付き注入器を用いてバルーン140に加圧流体を注入するための注入口160aと、上述したガイドワイヤを挿通するための挿通口160bとを備えている。コネクタ160の内部では、注入口160aとガイドカテーテル本体120のインフレーションルーメンとが連通する連通路、挿通口160bとガイドカテーテル本体120のガイドワイヤルーメンとが連通する連通路がそれぞれ設けられている。
以上詳しく説明したように、第1の実施の形態のガイドカテーテル100は、血管に挿入されるガイドカテーテル本体120と、ガイドカテーテル本体120の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体が注入されることによってガイドカテーテル本体120の遠心方向に膨張し血管内壁に当接するバルーン140とを備える。そして、バルーン140には、膨張時において血管内壁に当接する部分よりも膨張率が低い部分が設けられている。
このように構成した第1の実施の形態によれば、新たに備えたバルーン140の膨張によって、ガイドカテーテル本体120の遠位部が血管内壁に対して移動不可能に支持される。そのため、冠動脈に対するガイドカテーテル100先端の係止状態をより確実に維持することができる。さらに、バルーン140の外周面と血管内壁との間に間隙260a,260b,260c,260dが生じるため、冠状動脈の血管内を流れる血液の遮断を防止することができる。
なお、上記第1の実施の形態において、ガイドカテーテル本体120およびバルーン140の断面構成について図2を参照しながら説明したが、本発明はこれに限定されない。ガイドカテーテル本体120およびバルーン140の断面構成の変形例について以下説明する。
図3は、ガイドカテーテル100を冠状動脈の入口部まで挿入しバルーン140を膨張させた状態における、図1に示したバルーン140のA−A線に沿った断面図である。図3において、300は冠状動脈の血管、310はガイドカテーテル本体、320はガイドカテーテル本体310の外周面に設けられたバルーン、330はバルーン320に加圧流体を注入する楕円形状のインフレーションルーメン、340はガイドワイヤが挿通される円形状のガイドワイヤルーメンである。
図3に示すように、バルーン320の外周には、血管300の内壁に当接する部分350a,350b,350c,350d,350e,350fと、血管300の内壁に当接しない部分355a,355b,355c,355d,355e,355fとが存在する。つまり、血管内壁に当接する部分350a,350b,350c,350d,350e,350fには、膨張率が高く血管内径の寸法まで膨張する材料が用いられている一方、血管内壁に当接しない部分355a,355b,355c,355d,355e,355fには、膨張率が低く血管内径の寸法まで膨張しない材料が用いられている。これにより、バルーン320の外周形状は、血管内壁に当接する部分(膨張率が高い部分)350a,350b,350c,350d,350e,350fが凸部となる一方、血管内壁に当接しない部分(膨張率が低い部分)355a,355b,355c,355d,355e,355fが凹部となることによって略六角形形状(多角形状)に構成される。
血管300の内壁に当接する部分350a,350b,350c,350d,350e,350fの存在によって、ガイドカテーテル本体310の遠位部が血管内壁に対して移動不可能に支持される。その一方、血管内壁に当接しない部分355a,355b,355c,355d,355e,355fの存在によって、バルーン320の外周と血管内壁との間に、冠状動脈の血管内を流れる血液が末梢側へ流れることを可能にする間隙360a,360b,360c,360d,360e,360fが生じる。
また、上記第1の実施の形態では、膨張率が高い材料と膨張率が低い材料とを用いて、バルーン220の外周に凹部を形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、膨張時に凹部が存在する形状に、バルーン220を予めブロー成形(中空成形)しても良い。ここで、ブロー成形について説明する。まず、ペレット状のプラスチック原料をブロー成形機にて溶かして、パイプ状にする(これを通称パリソンと呼ぶ)。パリソンは上から下にでてくるが、このパリソンを製品の外側のみ彫られている金型で挟み込み、中に空気を吹き込む。この空気で膨らませて製品を作ることがブロー成形である。また、バルーン220について、同一の材料で厚みを変えて膨張率が高い部分と膨張率が低い部分とを設け、バルーン220の外周に凹部を形成しても良い。
また、上記第1の実施の形態では、ガイドカテーテル本体120の内部に、バルーン140に加圧流体を注入するためのインフレーションルーメンが設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ガイドカテーテル本体120のガイドワイヤルーメン内にインフレーションルーメンを独立して設けるようにしても良い。
図4は、第1の実施の形態におけるガイドカテーテル100の構成の変形例を示す図である。図4において、420は血管に挿入されるガイドカテーテル本体、440はガイドカテーテル本体420の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体が注入されることによってガイドカテーテル本体420の遠心方向(図4の矢印方向)に膨張し血管内壁に当接するバルーン、460はガイドカテーテル本体の近位部に設けられたコネクタである。
ガイドカテーテル本体420の内部には、バルーンカテーテルを冠状動脈の狭窄部まで案内するガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメン420aがガイドカテーテル本体420の長軸方向に沿って設けられている。さらに、ガイドワイヤルーメン420aの内部には、バルーン440に加圧流体を注入するためのインフレーションルーメン420bがガイドカテーテル本体420の長軸方向に沿って設けられている。インフレーションルーメン420bの先端部420cは、バルーン440の内部と連通している。
バルーン440は、加圧流体が注入される前、ガイドカテーテル本体420の外径と近似する寸法でガイドカテーテル本体420の外周面に密着するように設けられている。加圧流体が注入されると、バルーン440は、風船のようにバルーン440の壁が伸びて膨張する。なお、図4では、バルーン440が膨張した状態を示している。
コネクタ460は、例えばシリンジや圧力表示計付き注入器を用いてバルーン440に加圧流体を注入するための注入口460aと、ガイドワイヤを挿通するための挿通口460bとを備えている。コネクタ460の内部では、注入口460aとガイドカテーテル本体420のインフレーションルーメン420bとが連通する連通路、挿通口460bとガイドカテーテル本体420のガイドワイヤルーメン420aとが連通する連通路がそれぞれ設けられている。
図5は、図4に示したガイドカテーテル100を冠状動脈の入口部まで挿入しバルーン440を膨張させた状態における、バルーン440のB−B線に沿った断面図である。
図5において、500は冠状動脈の血管、510はガイドカテーテル本体、520はガイドカテーテル本体510の外周面に設けられたバルーン、530はバルーン520に加圧流体を注入する円形状のインフレーションルーメン、540はガイドワイヤが挿通される円形状のガイドワイヤルーメンである。
図5に示すように、バルーン520の外周には、血管500の内壁に当接する部分550a,550b,550cと、血管500の内壁に当接しない部分555a,555b,555cとが存在する。つまり、血管内壁に当接する部分550a,550b,550cには、膨張率が高く血管内径の寸法まで膨張する材料が用いられている一方、血管内壁に当接しない部分555a,555b,555cには、膨張率が低く血管内径の寸法まで膨張しない材料が用いられている。これにより、バルーン520の断面形状は、血管内壁に当接する部分(膨張率が高い部分)550a,550b,550cが凸部となる一方、血管内壁に当接しない部分(膨張率が低い部分)555a,555b,555cが凹部となることによって略正三角形形状(多角形状)に構成される。
血管500の内壁に当接する部分550a,550b,550cの存在によって、ガイドカテーテル本体510の遠位部が血管内壁に対して移動不可能に支持される。その一方、血管内壁に当接しない部分555a,555b,555cの存在によって、バルーン520の外周面と血管内壁との間に、冠状動脈の血管内を流れる血液が末梢側へ流れることを可能にする間隙560a,560b,560cが生じる。これにより、冠動脈に対するガイドカテーテル本体510の係止状態をより確実に維持できるともに、バルーン520の膨張によって血管内を流れる血液が遮断されてしまうことを防止できる。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図6は、第2の実施の形態におけるガイドカテーテル600の遠位部の構成例を示す斜視図である。
図6において、620は血管に挿入されるガイドカテーテル本体、640はガイドカテーテル本体620の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体が注入されることによってガイドカテーテル本体620の遠心方向に膨張し血管内壁に当接するバルーン、660はバルーン640の膨張時に血管内を流れる血液がバルーン640を迂回するための流路部である。なお、ガイドカテーテル本体620の近位部に設けられるコネクタは、第1の実施の形態のコネクタ160と同様であるので図示および説明を省略する。
ガイドカテーテル本体620の内部には、バルーンカテーテルを冠状動脈の狭窄部まで案内するガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメンと、バルーン640に加圧流体を注入するためのインフレーションルーメンとがガイドカテーテル本体620の長軸方向に沿って設けられている。
バルーン640は、加圧流体が注入される前、ガイドカテーテル本体620の外径と近似する寸法でガイドカテーテル本体620の外周面に密着するように設けられている。加圧流体が注入されると、バルーン640は、風船のようにバルーン640の壁が伸びて膨張する。なお、図6では、バルーン640が膨張した状態を示している。
バルーン640全体には、冠状動脈の入口部までガイドカテーテル600を挿入した後の膨張時において、第1の実施の形態と異なり、膨張率が高く血管内径の寸法まで膨張する材料が用いられる。つまり、バルーン640には、血管の内壁に当接しない部分が存在しない。そのため、ガイドカテーテル本体620の遠位部が血管内壁に対して移動不可能に支持される。その一方、バルーン640の膨張によって血管内を流れる血液が遮断されてしまう。そこで、本実施の形態では、血管内を流れる血液がバルーン640を迂回するための流路部660を新たに設けている。
流路部660は、相互に連通する開口部665,670を両端部に有する管状部材であり、ガイドカテーテル本体620の外周かつ長軸方向に沿って設けられている。開口部665は、ガイドカテーテル本体620の長軸方向を基準として、バルーン640の前方の空間に位置している。開口部670は、ガイドカテーテル本体620の長軸方向を基準として、バルーン640の後方の空間に位置している。バルーン640の膨張時には、バルーン640の外周が血管内壁に当接することによって、血管内では、バルーン640の前方の空間と後方の空間とに分断される。しかし、バルーン640を迂回するための流路部660の存在によって、後方の空間を流れている血液が、流路部660の開口部665および開口部670を通り、前方の空間に抜けることができる。これにより、バルーン640の膨張によって血管内を流れる血液が遮断されてしまうことを防止できる。
以上詳しく説明したように、第2の実施の形態のガイドカテーテル600は、血管に挿入されるガイドカテーテル本体620と、ガイドカテーテル本体620の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体が注入されることによってガイドカテーテル本体620の遠心方向に膨張し血管内壁に当接するバルーン640と、バルーン640の膨張時に血管内を流れる血液がバルーン640を迂回するための流路部660とを備えている。
このように構成した第2の実施の形態によれば、新たに備えたバルーン640の膨張によって、ガイドカテーテル本体620の遠位部が血管内壁に対して移動不可能に支持される。そのため、冠動脈に対するガイドカテーテル600先端の係止状態をより確実に維持することができる。さらに、バルーン640を迂回するための流路部660の存在によって、冠状動脈の血管内を流れる血液の遮断を防止することができる。
なお、上記第2の実施の形態では、流路部660が中空の管状部材である例について説明したが、本発明はこれに限らない。以下、2つの変形例を説明する。
図7は、第2の実施の形態におけるガイドカテーテル600の遠位部の構成の1つ目の変形例を示す斜視図である。図7において、620は血管に挿入されるガイドカテーテル本体、640はガイドカテーテル本体620の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体が注入されることによってガイドカテーテル本体620の遠心方向に膨張し血管内壁に当接するバルーン、700はバルーン640の膨張時に血管内を流れる血液がバルーン640を迂回するための流路部である。
流路部700は、ガイドカテーテル本体620の遠位部の外周面を覆うように、バルーン640の内側に設けられた円筒形状のカバー部材である。流路部700の一端部には、所定間隔を空けて複数の開口部705a、705b等が円周方向に設けられている。また、流路部700の他端部には、所定間隔を空けて複数の開口部710a、710b等が円周方向に設けられている。開口部705aと開口部710aとは流路部700の内部で連通している。また、開口部705bと開口部710bとは流路部700の内部で連通している。開口部705a、705b等は、ガイドカテーテル本体620の長軸方向を基準として、バルーン640の後方の空間に位置している。開口部710a、710b等は、ガイドカテーテル本体620の長軸方向を基準として、バルーン640の前方の空間に位置している。
バルーン640の膨張時には、バルーン640の外周面が血管内壁に当接することによって、血管内では、バルーン640の前方の空間と後方の空間とに分断される。しかし、バルーン640を迂回するための流路部700の存在によって、後方の空間を流れている血液が、流路部700の開口部705a,705b等および開口部710a,710b等を通り、前方の空間に抜けることができる。これにより、バルーン640の膨張によって血管内を流れる血液が遮断されてしまうことを防止できる。
図8は、第2の実施の形態におけるガイドカテーテル600の遠位部の構成の2つ目の変形例を示す斜視図である。図8において、620は血管に挿入されるガイドカテーテル本体、640はガイドカテーテル本体620の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体が注入されることによってガイドカテーテル本体620の遠心方向に膨張し血管内壁に当接するバルーン、800a,800b,800cはガイドカテーテル本体620の近位部側の外周面に設けられた円形状の開口部(特許請求の範囲の「第1の開口部」に対応)、820はガイドカテーテル本体620の遠位部側に設けられた開口部(特許請求の範囲の「第2の開口部」に対応)である。
開口部800a,800b,800cと開口部820とは、ガイドカテーテル本体620のガイドワイヤルーメンによって連通している。開口部820は、バルーン640の前方の空間に位置する。つまり、開口部800a,800b,800c、ガイドカテーテル本体620のガイドワイヤルーメンおよび開口部820によって、バルーン640の膨張時に血管内を流れる血液がバルーン640を迂回するための流路部が形成される。
バルーン640の膨張時には、バルーン640の外周面が血管内壁に当接することによって、血管内では、バルーン640の前方の空間と後方の空間とに分断される。しかし、開口部800a,800b,800cの存在によって、後方の空間を流れている血液が、開口部800a,800b,800cからガイドカテーテル本体620のガイドワイヤルーメンに入り、その後、開口部820から前方の空間に抜けることができる。これにより、バルーン640の膨張によって血管内を流れる血液が遮断されてしまうことを防止できる。
その他、上記第1および第2の実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100,600 ガイドカテーテル
120,210,310,420,510,620 ガイドカテーテル本体
140,220,320,440,520,640 バルーン
160,460 コネクタ
160a,460a 注入口
160b,460b 挿通口
200,300,500 血管
230,330,420b,530 インフレーションルーメン
240,340,420a,540 ガイドワイヤルーメン
660,700 流路部
665,670,705a,705b,710a,710b,800a,800b,800c,820 開口部

Claims (2)

  1. 血管に挿入されるガイドカテーテル本体と、
    前記ガイドカテーテル本体の遠位部の外周面に設けられ、加圧流体が注入されることによって前記ガイドカテーテル本体の遠心方向に拡径するバルーンと、
    を備え、
    前記バルーンは、拡径時において、前記バルーンの外周に前記血管内壁に当接する第1の部分と前記血管内壁に当接しない第2の部分とが存在するように構成されているガイドカテーテルにおいて、
    前記第1の部分は、拡径時の膨張率が高い材料からなり、
    前記第2の部分は、拡径時の膨張率が低い材料からなり、
    前記第1の部分と前記第2の部分とが、周方向に交互配置されている、
    ガイドカテーテル。
  2. 前記バルーンの外周形状は、前記バルーンが拡径した場合、前記血管内壁に当接する部分が凸部となる一方、前記膨張率が低い部分が凹部となることによって多角形状に構成される請求項に記載のガイドカテーテル。
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