JP6125899B2 - 骨粗鬆症予防および/または改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は、骨粗鬆症予防および/または改善剤に関する。
近年、科学の進歩と生活水準のアップに伴い、人類の寿命が伸びている。高齢者人口の増加に伴って、骨粗鬆症は年々増加の一途をたどっている。現在、骨粗鬆症患者の数は400〜500万人といわれる。中でも、原発性骨粗鬆症に分類される閉経後骨粗鬆症は、50歳以上の更年期を過ぎた女性に高頻度に発症し、骨粗鬆症患者数の90%以上を占める。このことから、骨粗鬆症は、糖尿病に代表される生活習慣病と同様、現代社会において重要視されている疾患となっている。また、骨粗鬆症が原因で腰椎や大腿骨を骨折し、寝たきりの状態が長期化すると、痴呆を引き起こす危険性も有している。そのため、QOL(Quality of life)の総合的改善を目標として、骨粗鬆症の予防や治療薬或いは食品の早期開発が望まれている。
骨粗鬆症は、骨(主として海綿骨)を形成するカルシウム、コラーゲンなどの成分の減少による骨量の低下と、骨組織の微細構造の退行とを引き起こす全身性の骨疾患であり、骨の疼痛が発生し、骨の脆弱性、骨折のリスクを伴うことを特徴とする。骨粗鬆症の発症においては、多くの因子が直接あるいは間接的に、また多元的に関与していると考えられている。このような因子としては、閉経によるエストロゲンの分泌低下、カルシウム代謝調節ホルモン、カルシウム摂取量などの栄養的因子、適度な運動および重力などの機械的ストレスなどが報告されている。これらの因子は互いに複雑に関与しあって骨代謝に影響を及ぼしていると考えられている。
人の骨は絶えず吸収と再形成を繰り返している。骨代謝過程で中心的な働きをしている細胞は骨形成を担当する骨芽細胞と、骨吸収を担当する破骨細胞とである。骨芽細胞は老化と共に、細胞数が減少することが確認されている。骨組織の成長、維持及び修復は、骨形成速度と骨吸収速度との間のバランスに依存しており、このバランスが崩れ石灰化能が低下すると、骨吸収が骨形成を上回り骨量が減少し、骨粗鬆症などの疾患がもたらされる。
骨粗鬆症の治療薬として、カルシウム、活性型ビタミンD3、エストロゲン、カルシトニン、イプリフラボン、ビタミンK2及びビスホスホネート関連化合物が用いられている。また、骨を強化する食品として、現在は主にカルシウムやビタミンDが利用されており、最近ではゲニスチンなどのイソフラボノイドが利用されようとしている。
L−アスコルビン酸は、骨基質の主要成分である生体内でのコラーゲンの合成に重要であることが知られている。すなわち、L−アスコルビン酸は、コラーゲンに特異的なアミノ酸であるヒドロキシプロリンやヒドロキシリジンの生合成に必須であり、例えば骨芽細胞の培養系に添加するとコラーゲン合成を促進し、骨芽細胞の分化、骨形成を促進することが知られている。
L−アスコルビン酸には、酸化分解を受け易く容易にその生理活性を失うという欠点がある。そこでL−アスコルビン酸を安定化させる方法として、糖誘導体やエステル誘導体などのL−アスコルビン酸誘導体が提案されている。非特許文献1には、L−アスコルビン酸リン酸エステルの安定性がL−アスコルビン酸と比較して高いこと、L−アスコルビン酸2−リン酸エステルが培養骨芽細胞の増殖促進効果および分化促進効果を有することが記載されている。
糖尿病患者は骨折しやすいことが知られており、その詳細な原因はいまだ明らかではない。閉経等に伴う骨粗鬆症では骨吸収機能の促進により骨密度(BMD:骨塩濃度)が低下するのに対し、糖尿病による骨粗鬆症においては骨密度(BMD:骨塩濃度)の低下が見られないことが報告されており、両者の原因及び症状は異なるとされている。肥満、糖尿病による骨折の効果的な予防および/または改善剤は知られていない。また、閉経等に伴う骨粗鬆症の代表的な予防治療薬であるビスホスホネート(骨吸収阻害剤)は、BMDの改善効果を有するものであるので、糖尿病による骨折には効果がないと予測される。
Cell Biol Int.2004;28(4):255−65.
従来の骨粗鬆症の治療薬はいずれも治療効果が満足できるものではなかった。特にカルシウム剤は効果を得るために非常に大量の摂取を必要とする。そして、下記のとおり副作用も問題であった。カルシトニンは薬剤の耐性が出現しやすく、経口投与が不可能である。活性型ビタミンD3は高カルシウム血症を生じやすい。ビスホスホネート関連化合物は骨形成を阻害する。エストロゲン製剤も、6ヶ月以上にわたる長期投与の間に、顔面紅潮、乳房痛、子宮や膣からの不正性器出血などの副作用が高頻度で発生する。そして、これらの治療薬は骨粗鬆症と診断されて初めて投与されるのであり、骨粗鬆症の予防策ではない。さらに、骨粗鬆症の治療薬の購入は患者に高額の医療費を負担させることにつながる。
更に、糖尿病による骨粗鬆症を予防、抑制、又は改善する医薬、食品は、現在のところ知られていない。
また、従来の骨を強化する食品は骨粗鬆症の予防効果を発揮するといったものではなかった。仮に骨粗鬆症の予防効果を発揮させようとすると、有効成分を単独で多量に食品に添加することが必要となり、食品の素材となり得ない上に食品の嗜好性の低下を招くことも問題となる。
本発明は、骨粗鬆症の予防および/または改善効果を顕著に発揮することができ、飲食品としても利用可能な有効成分の提供を目的とする。
本発明者らは、L−アスコルビン酸の誘導体を動物に投与する試験を行ったところ、海綿骨の骨密度が顕著に増加することを見出した。また、糖尿病モデルマウスでは骨比率(BV/TV)が低下していること、アスコルビン酸誘導体を投与するとこのBV/TV低下が抑制されることを見出した。これらの知見から、L−アスコルビン酸の誘導体が糖尿病に起因する骨粗鬆症を含む、様々な骨粗鬆症の予防および/または改善剤の有効成分として有用であるとともに、骨比率低下の予防および/または改善剤として有用であるとの結論に達し、本発明に到達した。
本発明は、下記の発明を提供する。
〔1〕アスコルビン酸誘導体を有効成分として含む骨粗鬆症予防および/または改善剤。
〔2〕アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩および/またはアスコルビン酸−2−グルコシドである上記〔1〕に記載の骨粗鬆症予防および/または改善剤。
〔3〕骨粗鬆症が、糖尿病による骨粗鬆症である上記〔1〕または〔2〕に記載の骨粗鬆症予防および/または改善剤。
〔4〕アスコルビン酸誘導体を有効成分として含む、骨比率低下の予防および/または改善剤。
〔5〕アスコルビン酸誘導体が、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩である上記〔4〕に記載の予防および/または改善剤。
〔6〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の骨粗鬆症予防および/または改善剤、および上記〔4〕または〔5〕に記載の骨比率低下の予防および/または改善剤からなる群より選ばれる1種以上の剤を含有する飲食品。
本発明によれば、骨粗鬆症や骨折を未然に予防することができ、これらのリスクを軽減することができ、骨粗鬆症の発症後には症状を改善することができる。
図1は、実施例1(APM投与)および比較例1(DW投与)の、海綿骨の空隙部分の体積を示すグラフである。 図2は、実施例1(APM投与)、実施例2(A2G投与)および比較例1(DW投与)の、海綿骨の断面図である。 図3は、比較例2(健常マウス)の海綿骨の断面図である。 図4は、実施例1(APM投与)、比較例1(DW投与)および比較例2(健常マウス)のBMDを示すグラフである。 図5は、実施例3(APM投与)、比較例3(DW投与)及び比較例4(健常マウス)のBV/TVを示すグラフである。 図6は、実施例3(APM投与)の臼歯の断面図である。 図7は、比較例3(DW投与)の臼歯の断面図である。 図8は、比較例4(健常マウス)の臼歯の断面図である。
本発明における有効成分は、アスコルビン酸誘導体である。アスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)フラン−2(5H)−オン、ビタミンC)の一部が他の原子または置換基で置換されて得られる化合物を意味する。アスコルビン酸誘導体の母体であるアスコルビン酸はD体、L体、DL体のいずれであってもよいが、好ましくはL体である。アスコルビン酸誘導体は、医薬品、医薬部外品、化粧品または食品の分野において用いることができれば特に限定されない。例えば、アスコルビン酸のエステル誘導体またはその塩、アスコルビン酸のエーテル誘導体またはその塩、アスコルビン酸の塩等が挙げられる。
アスコルビン酸のエステル誘導体としては例えば、アスコルビン酸と、カルボン酸、硫酸、スルホン酸、リン酸等の酸とのエステルが挙げられる。アスコルビン酸のエステル化部位としては、例えば、アスコルビン酸の2位、3位、5位及び6位の各ヒドロキシ基が挙げられる。アスコルビン酸のエステル誘導体において、アスコルビン酸のエステル化部位は1以上であればよく、上記各ヒドロキシ基から選ばれる1以上のヒドロキシ基がエステル化されていてもよい。エステル化部位が2以上の場合、エステルを形成する酸の種類は、それぞれのエステル化部位において同一でも異なっていてもよい。
カルボン酸としては例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸としては例えば、スルホン酸、アルキルスルホン酸等が挙げられる。アルキルスルホン酸は、通常、炭素原子数1〜6のアルキルスルホン酸であり、例えば、メチルスルホン酸、エチルスルホン酸等が挙げられる。
リン酸としては例えば、リン酸、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルが挙げられ、詳しくは以下の通りである:リン酸;リン酸のモノアルキルエステル(例、リン酸が有する1つの水素が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基から選ばれるアルキル基で置換されているリン酸モノエステル);リン酸のジアルキルエステル(例、リン酸が有する2つの水素が、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基から選ばれる2つのアルキル基で置換されているリン酸のジアルキルエステル等)等。上記リン酸のジアルキルエステルにおいて、2つのアルキル基は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
アスコルビン酸のエーテル誘導体としては例えば、アスコルビン酸グルコシド(例、アスコルビン酸−2−グルコシド)などが挙げられる。
アスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸の塩またはアスコルビン酸誘導体の塩であってもよい。塩としては例えば下記の塩が挙げられる:ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩、およびアルミニウム等の多価金属塩などの各種の金属塩;アンモニウム、トリシクロヘキシルアンモニウム等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の各種のアルカノールアミン塩等。
本発明において好ましく用いられるアスコルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸の塩(例えば、ナトリウム塩など)、L−アスコルビン酸のリン酸エステル誘導体(例えば、L−アスコルビン酸モノリン酸エステルナトリウム塩、リン酸L−アスコルビルマグネシウム(アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩(APM))など)およびその塩、アスコルビン酸グルコシド(例えば、アスコルビン酸−2−グルコシドなど)およびその塩、テトライソパルミチン酸アスコルビル(VCIP)およびその塩、アスコルビン酸−2−リン酸−6−パルミチン酸エステル(APPS)およびその塩であり、より好ましく用いられるアスコルビン酸誘導体は、L−アスコルビン酸ナトリウム、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸−2−グルコシド(例えば、アスコルビン酸−2−O−α−グルコシド)であり、さらに好ましく用いられるアスコルビン酸誘導体は、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸−2−グルコシド(例えば、アスコルビン酸−2−O−α−グルコシド(A2G))である。
アスコルビン酸誘導体は、化学合成などにより人工的に合成されたものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
本発明における有効成分としてのアスコルビン酸誘導体は、1種類であってもよいし2種類以上の組み合わせであってもよい。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤におけるアスコルビン酸誘導体の配合量は、本発明の効果を奏し得る配合量である限り特に制限されないが、通常は骨粗鬆症予防および/または改善剤全体に対して0.00001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは、0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは1質量%以上である。配合量の上限は、骨粗鬆症予防および/または改善剤全体に対して、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、また適応される被投与生体の年齢、状態などの種々の要因により適宜変えることができる。目的の骨粗鬆症予防および/または改善効果を得るために好ましい骨粗鬆症予防および/または改善剤の投与量は、成人1人当たりのアスコルビン酸誘導体の量として0.001g/日〜100g/日であることが好ましい。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は、そのままの形態で、最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)として用いることもできる。また、飲食品用の添加剤、医薬用の添加剤、医薬部外品用の添加剤として用いることができる。これにより、飲食品、医薬品、医薬部外品に、骨粗鬆症予防および/または改善効果を付与することができる。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は、アスコルビン酸誘導体を有効成分としていればよく、アスコルビン酸誘導体以外の成分(薬理学的に許容される基剤)を有していてもよい。その他の成分の一例としては、主に貯蔵および流通における安定性を確保する成分(例えば保存安定剤など)が挙げられる。その他、目的の最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)を構成する諸成分から選ばれる1または2以上の種類の成分(好ましくは1〜3種類程度、より好ましくは1種類程度)を含有していてもよい。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤に含まれる、アスコルビン酸誘導体以外の成分は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定されない。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤などの中から、製剤に必要な諸特性(例えば、製剤安定性)を損なわないものであって、最終製品(例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品など)の剤形に応じたものを1種または2種以上選択することができる。また、アスコルビン酸誘導体以外の成分は、骨粗鬆症予防および/または改善効果を有する他の成分であってもよい。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤の投与形態は特に限定されない。例えば、経口投与(例えば、口腔内投与、舌下投与など)、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与など)などが挙げられる。これらの中でも侵襲性の少ない投与形態が好ましく、経口投与であることがより好ましい。本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は飲食0品として経口投与されることがさらに好ましい。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤の剤形は、飲食品、医薬品および医薬部外品のいずれとするかによって適宜決定することができ、特に限定されない。経口投与される際の剤形の例としては、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、錠(錠剤、タブレット)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、シロップ状(シロップ剤)、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤の投与時期は特に限定されない。骨粗鬆症が発症する前に投与されてもよいし、骨粗鬆症の発症後に投与されてもよい。骨粗鬆症発症後に投与する場合には、発症初期に投与されることが好ましい。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は、骨粗鬆症の発症前はその発症を予防することができる。また、骨粗鬆症の発症後にはその症状を改善(緩和)することができる。そのため、骨粗鬆症の予防および/または改善用の飲食品もしくは医薬品として利用できる。骨粗鬆症はその原因により原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症とに大別されるが、本発明においては骨粗鬆症の原因は問わず、いずれのタイプの骨粗鬆症に対しても予防および改善効果を発揮することができる。原発性骨粗鬆症としては例えば、閉経後骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症、妊娠に伴う骨粗鬆症などが挙げられる。続発性骨粗鬆症としては例えば、糖尿病などの疾患を背景とする骨粗鬆症などが挙げられる。また、本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は、骨折の予防効果も発揮しうる。骨折の原因、部位、程度などは特に限定されないが、骨粗鬆症に起因する骨折が主な対象である。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は、骨折予防剤、骨量増加剤、骨密度増加剤、骨強度増加剤としても利用できる。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は、骨比率低下の予防および/または改善剤と言い換えることもできる。糖尿病、加齢等による骨粗鬆症においては、骨吸収及び骨形成が共に低下するため、骨比率(BV/TV)が低下するが、アスコルビン酸の誘導体は骨比率の低下を顕著に抑制することができる。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤の摂取対象者は特に限定されないが、例えば、骨粗鬆症を既に発症している対象者、骨粗鬆症および骨折のリスクがある対象者(高齢者、喫煙者、妊婦、閉経後の女性、肥満者、糖尿病患者など)が挙げられる。また、特段の問題のない対象者であっても、骨粗鬆症または骨折の予防、骨量増加、骨密度増加、骨強度増加を目的として日常的に摂取することができる。
本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は、各種飲食品として利用することができる。例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料など)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベットなど)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺんなど)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、マーガリン、発酵乳など)、スープ(粉末状スープ、液状スープなど)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアルなど)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆなど)が挙げられる。更に、本発明の骨粗鬆症予防および/または改善剤は、健康食品、機能性食品、健康補助食品(サプリメント)、栄養補助食品、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の飲食品として利用することもできる。これらのうち、健康補助食品として利用することが好ましく、タブレット状の健康補助食品として利用することがより好ましい。
実施例1および2、ならびに比較例1および2
2型糖尿病モデルマウス(KKAyマウス(8週齢、オス))を3つの試験群に分け、それぞれの試験群に1%(W/V)アスコルビン酸リン酸エステルMg塩(APM)(実施例1)(n=8)、1%(W/V)アスコルビン酸−2−O−α−グルコシド(A2G)(実施例2)(n=9)、蒸留水(DW)(比較例1)(n=9)を投与した。投与方法は、飲み水として自由摂取とした。投与期間は14週間(22週齢時に終了)とした。
一方、健常マウス(C57BL/6マウス(8週齢、オス))に蒸留水(DW)を投与した(比較例2)(n=9)。投与方法及び投与期間は2型糖尿病モデルマウスと同様とした。
APMは昭和電工株式会社製の市販品を用いた。A2Gは林原生物化学研究所製の市販品を用いた。
〔骨密度増加の評価〕
投与期間終了後に各マウスの下顎第1臼歯、歯根間の海綿骨の断層画像をX線CTにより撮影し、空隙部分の体積を測定した(連続した断層画像上の空隙面積を積算した)。測定値から各試験群の平均値を算出した。実施例1(APM)および比較例1(DW)の海綿骨の空隙部分の体積(単位:AU(arbitrary unit))の結果を図1に示す。実施例1(APM)、実施例2(A2G)、比較例1(DW)の海綿骨の断面を図2に示す。比較例2(健常マウス)の海綿骨の断面を図3に示す。図2および図3中、矢印を付した部分は、海綿骨の空隙部分である。
2型糖尿病モデルマウスでは海綿骨の空隙が見られる。しかし、APMを投与した2型糖尿病モデルマウスの海綿骨の空隙部分の体積は、蒸留水を投与した2型糖尿病モデルマウスの海綿骨の空隙部分の体積よりも小さかった(図1)。A2Gを投与した2型糖尿病モデルマウスにおいても、APMを投与した2型糖尿病モデルマウスと同様に、健常マウスと比較して海綿骨の空隙部分の体積の縮小が観察された(図2および図3)。
また、同様に撮影した歯根間の海綿骨の断層画像の骨塩濃度(BMD)を算出した。
BMDは空隙を除いた骨部分のCT値(各試験区のマウスの平均値)で比較した。実施例1(APM)、比較例1(DW)および比較例2(健常マウス)のBMDを図4に示す。
2型糖尿病モデルマウスでは海綿骨のBMDが低下した(比較例1および2)。しかし、APMを投与した2型糖尿病モデルマウスのBMD(実施例1)は、蒸留水を投与した2型糖尿病モデルマウスのBMD(比較例1)よりも高かった(図4)。
これらの結果は、アスコルビン酸誘導体が、海綿骨の骨形成/骨吸収バランスを骨形成側に改善し骨密度(骨/空隙比)を改善すること、さらに、形成される骨のBMDを改善することにより骨そのものの強度も改善することを示している。また、この結果は、アスコルビン酸誘導体が、骨粗鬆症および骨折を予防し、これらのリスクを軽減し、骨粗鬆症の症状を改善する可能性を有することを示している。
実施例3ならびに比較例3および4
2型糖尿病モデルマウス(KKAyマウス(8週齢、オス))を3つの試験群に分け、それぞれの試験群に1%(W/V)アスコルビン酸リン酸エステルMg塩(APM)(実施例3)(n=8)、蒸留水(DW)(比較例3)(n=9)を投与した。投与方法は、飲み水として自由摂取とした。投与期間は14週間(22週齢時に終了)とした。
一方、健常マウス(C57BL/6マウス(8週齢、オス))に蒸留水(DW)を投与した(比較例4)(n=9)。投与方法及び投与期間は2型糖尿病モデルマウスと同様とした。
APMは昭和電工株式会社製の市販品を用いた。
〔KKAy試験のBV/TV評価〕
投与期間終了後に各マウスの下顎第1臼歯と第3臼歯歯根の中央を通る歯列方向の断層画像をX線CTにより撮影し、歯根下部と切歯前方に設定した長方形の測定エリアにおける皮質骨および空隙部分の面積を測定した。測定値から各試験群の平均値を算出した。
詳しくは以下のとおりである。画像をソフトwinroofで開き、モノクロ画像化し、2値化(閾値:66)して骨の部分を抽出した。続いて計測エリアを設定し形状測定した。計測エリアは長方形とし、右端が第一臼歯の近心歯根左端、左端が切歯断面の近心端、上端が第一臼歯遠心歯根の下端、下端が下顎骨をはみ出さない範囲となるように設定した。計測エリア内の骨部分の面積(BV)/計測エリア全体の面積(TV)を測定した。
実施例3(APM)および比較例3(DW)、比較例4(健常マウス)のBV/TV(骨面積/測定エリア面積x100)の結果を図5に示す。実施例3(APM)、比較例3(DW)、比較例4(健常マウス)の臼歯断面をそれぞれ図6、7、8に示す。図6〜8の長方形の枠内は測定対象部位である。
図5から明らかな通り、2型糖尿病マウスでBV/TVが低下した(比較例3)。一方、APM飲水投与(KAP:実施例3)ではBV/TVの低下を抑制し、健常マウス(BL:比較例4)レベルであった。
これらの結果は、アスコルビン酸誘導体が、海綿骨の骨形成/骨吸収バランスを骨形成側に改善し骨密度(骨/空隙比)を改善すること、さらに、形成される骨のBMDを改善することにより骨そのものの強度も改善することを示している。また、この結果は、アスコルビン酸誘導体が、骨粗鬆症および骨折を予防し、これらのリスクを軽減し、骨粗鬆症の症状を改善する可能性を有すること、ならびに、骨比率低下を予防し、これらのリスクを軽減することを示している。

Claims (5)

  1. アスコルビン酸−2−グルコシドを有効成分として含む骨粗鬆症予防および/または改善剤。
  2. 骨粗鬆症が、糖尿病による骨粗鬆症である、請求項1に記載の骨粗鬆症予防および/または改善剤。
  3. アスコルビン酸−2−グルコシドを有効成分として含む、骨比率低下の予防および/または改善剤。
  4. 請求項1または2に記載の骨粗鬆症予防および/または改善剤含有する、骨粗鬆症予防および/または改善用食品組成物。
  5. 請求項3に記載の骨比率低下の予防および/または改善剤を含有する、骨比率低下の予防および/または改善用食品組成物。
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