JP6124871B2 - 燃料電池用電極触媒の製造方法、燃料電池用電極触媒およびその用途 - Google Patents

燃料電池用電極触媒の製造方法、燃料電池用電極触媒およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用電極触媒の製造方法、燃料電池用電極触媒およびその用途に関する。
固体高分子型燃料電池(PEFC)は、高分子固体電解質をアノードとカソードとで挟み、アノードに燃料を供給し、カソードに酸素または空気を供給して、カソードで酸素が還元されて電気を取り出す形式の燃料電池である。燃料には水素またはメタノールなどが主として用いられる。
従来、燃料電池の反応速度を高め、燃料電池のエネルギー変換効率を高めるために、燃料電池のカソード(空気極)表面やアノード(燃料極)表面には、触媒を含む層(以下「燃料電池用電極触媒層」とも記す。)が設けられている。
この触媒として、一般的に貴金属が用いられており、貴金属の中でも高い電位で安定であり、活性が高い白金、パラジウムなどの貴金属が主として従来用いられてきた。しかし、これらの貴金属は価格が高く、また資源量が限られていることから、代替可能な種々の触媒(たとえば、特許文献1〜4などに開示されているような、金属原子、炭素原子、窒素原子および酸素原子を含む燃料電池用電極触媒)の開発が行われている。
これらの文献のうち、特許文献4には、酸素ガスを含む不活性ガス中で金属炭窒化物を加熱し、得られた金属炭窒酸化物を酸性溶液と接触させる燃料電池用電極触媒の製造方法が開示されており、この製造方法によれば、従来よりも繰り返しの電流・電圧の変化に対する耐久性に優れ、このような繰り返しを経た後であっても最大出力密度が低下し難い、金属炭窒酸化物からなる燃料電池用電極触媒、および該触媒を用いた燃料電池が提供される。
国際公開WO2009/91043号パンフレット 国際公開WO2010/131634号パンフレット 国際公開WO2011/99493号パンフレット 国際公開WO2012/8249号パンフレット
本発明は、燃料電池を長時間連続運転する場合であっても高い耐久性および高い最大出力密度の得られる燃料電池用電極触媒およびその製造方法、ならびに該触媒を用いた燃料電池等を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意研究した結果、金属元素として銅を含む触媒前駆体と酸性溶液とを接触させて燃料電池用電極触媒を製造することにより上記の課題を解決できることを見出した。
本発明は、たとえば以下の[1]〜[13]に関する。
[1]
金属元素、炭素、窒素および酸素の各原子を含み、前記金属元素として銅を含む触媒前駆体を準備する工程、および
前記触媒前駆体と酸性溶液とを接触させて触媒を得る接触工程
を含む、燃料電池用電極触媒の製造方法。
[2]
前記金属元素の10〜99モル%が銅である上記[1]に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
[3]
前記金属元素として鉄をさらに含む上記[1]または[2]に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
[4]
前記金属元素の1〜20モル%が鉄である上記[3]に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
[5]
前記金属元素としてナトリウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛およびタンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む上記[1]〜[4]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
[6]
前記酸性溶液が塩化水素、硫酸、クエン酸および酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸の水溶液である上記[1]〜[5]に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
[7]
前記接触工程を下記条件で行う上記[1]〜[6]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
温度:15〜100℃
時間:0.1〜500時間
酸の濃度:0.01〜15N
[8]
上記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法により製造される燃料電池用電極触媒。
[9]
上記[8]に記載の燃料電池用電極触媒を含む燃料電池用電極触媒層。
[10]
燃料電池用電極触媒層と多孔質支持層とを有する電極であって、前記燃料電池用電極触媒層が上記[9]に記載の燃料電池用電極触媒層である電極。
[11]
カソードとアノードと前記カソードおよび前記アノードの間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードが上記[10]に記載の電極である膜電極接合体。
[12]
上記[11]に記載の膜電極接合体を備える燃料電池。
[13]
固体高分子型燃料電池である上記[12]に記載の燃料電池。
本発明によれば、燃料電池を長時間連続運転する場合であっても高い耐久性および高い最大出力密度の得られる燃料電池用電極触媒およびその製造方法、ならびに該触媒を用いた燃料電池等が提供される。
図1は、比較例1および実施例1の固体高分子型燃料電池の単セルの耐久性を評価したグラフである。 図2は、比較例2および実施例2の固体高分子型燃料電池の単セルの耐久性を評価したグラフである。 図3は、比較例3、実施例3および比較例7の固体高分子型燃料電池の単セルの耐久性を評価したグラフである。 図4は、比較例4、実施例4および比較例8の固体高分子型燃料電池の単セルの耐久性を評価したグラフである。 図5は、比較例5および実施例5の固体高分子型燃料電池の単セルの耐久性を評価したグラフである。 図6は、比較例6および実施例6の固体高分子型燃料電池の単セルの耐久性を評価したグラフである。
[燃料電池用電極触媒の製造方法]
本発明に係る燃料電池用電極触媒の製造方法は、
金属元素、炭素、窒素および酸素の各原子を含み、前記金属元素として銅を含む触媒前駆体を準備する工程、および
前記触媒前駆体と酸性溶液とを接触させて触媒を得る接触工程
を含むことを特徴としている。なお本明細書において、原子およびイオンを、厳密に区別することなく「原子」と記載する。
<触媒前駆体を準備する工程>
触媒前駆体を準備する工程においては、金属元素、炭素、窒素および酸素の各原子を含み、前記金属元素として銅を含む触媒前駆体を準備する。
前記金属元素は、好ましくはさらに鉄を含む。また、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛およびタンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素(M3)を含んでいてもよい。
触媒前駆体に含まれる金属元素に占める、銅の割合は、好ましくは10〜99モル%、さらに好ましくは50〜95モル%であり、鉄の割合は、好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは4〜15モル%であり、金属元素(M3)の割合は、好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは0.1〜46モル%である。
前記触媒前駆体としては、好ましくは、
少なくとも金属化合物(1)と、窒素含有有機化合物(2)と、溶媒とを混合して溶液(以下「前駆体製造用溶液」ともいう。)を得る工程(1)、
前記前駆体製造用溶液から溶媒を除去する工程(2)、および
工程(2)で得られた固形分残渣を(好ましくは500〜1100℃の温度で)熱処理して触媒前駆体を得る工程(3)
を含み、
前記金属化合物(1)の一部または全部が、銅を含有し、
前記工程(1)で用いられる成分のうち溶媒以外の少なくとも1つの成分が酸素原子を有する(すなわち、後述する化合物(3)を用いる場合には、化合物(1)、化合物(2)および化合物(3)の少なくとも1つが酸素原子を有し、化合物(3)を用いない場合には、化合物(1)および化合物(2)の少なくとも1つが酸素原子を有する)製造方法(以下「触媒前駆体の製造方法(A)」ともいう。)
により製造される触媒前駆体が挙げられる。
以下、触媒前駆体の製造方法(A)を詳述する。
(工程(1))
工程(1)では、少なくとも金属化合物(1)と、窒素含有有機化合物(2)と、溶媒と、任意に後述する化合物(3)を混合して前駆体製造用溶液を得る。
前記混合の手順としては、たとえば、
手順(i):1つの容器に溶媒を準備し、そこへ前記金属化合物(1)、前記窒素含有有機化合物(2)および任意に前記化合物(3)を添加し、溶解させて、これらを混合する、
手順(ii):前記金属化合物(1)の溶液、ならびに前記窒素含有有機化合物(2)および任意に前記化合物(3)の溶液を準備し、これらを混合する
が挙げられる。
各成分に対して溶解性の高い溶媒が異なる場合には、手順(ii)が好ましい。また、前記金属化合物(1)が、たとえば、後述する金属ハロゲン化物の場合には、手順(i)が好ましく、前記金属化合物(1)が、たとえば、後述する金属アルコキシドまたは金属錯体の場合には、手順(ii)が好ましい。
混合操作は、溶媒への各成分の溶解速度を高めるために、撹拌しながら行うことが好ましい。
複数の溶液を調製してからこれらを混合して前駆体製造用溶液を得る場合には、一方の溶液に対して他方の溶液を、ポンプ等を用いて一定の速度で供給することが好ましい。
また、前記窒素含有有機化合物(2)の溶液または前記窒素含有有機化合物(2)および前記化合物(3)の溶液へ、前記金属化合物(1)の溶液を少量ずつ添加する(すなわち、全量を一度に添加しない。)ことも好ましい。
前記前駆体製造用溶液には金属化合物(1)と窒素含有有機化合物(2)との反応生成物が含まれると考えられる。溶媒へのこの反応生成物の溶解度は、金属化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)および溶媒等の組み合わせによっても異なる。
このため、たとえば金属化合物(1)が金属アルコキシドまたは金属錯体の場合には、前記前駆体製造用溶液は、溶媒の種類、窒素含有有機化合物(2)の種類にもよるが、好ましくは沈殿物や分散質を含まず、含むとしてもこれらは少量(たとえば溶液全量の10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下。)である。
一方、たとえば金属化合物(1)が金属ハロゲン化物の場合には、前記前駆体製造用溶液中には、溶媒の種類、窒素含有有機化合物(2)の種類にもよるが、金属化合物(1)と窒素含有有機化合物(2)との反応生成物と考えられる沈殿物が生じやすい。
工程(1)では、オートクレーブ等の加圧可能な容器に前記金属化合物(1)、前記窒素含有有機化合物(2)、溶媒、任意に前記化合物(3)を入れ、常圧以上の圧力をかけながら、混合を行ってもよい。
前記金属化合物(1)と前記窒素含有有機化合物(2)と溶媒と任意に前記化合物(3)を混合する際の温度は、たとえば、0〜60℃である。前記金属化合物(1)および前記窒素含有有機化合物(2)から錯体が形成されると推測されるところ、この温度が過度に高いと、溶媒が水を含む場合に錯体が加水分解され水酸化物の沈殿を生じ、前記触媒前駆体を用いて優れた触媒が得られないと考えられ、この温度が過度に低いと、錯体が形成される前に前記金属化合物(1)が析出してしまい、前記触媒前駆体を用いて優れた触媒が得られないと考えられる。
<金属化合物(1)>
前記金属化合物(1)の一部または全部は、銅を含んでいる。
また前記金属化合物(1)は、好ましくは鉄を含み、またナトリウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛およびタンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素(M3)を含んでいてもよい。
前記金属化合物(1)は、好ましくは、酸素原子およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種を有しており、その具体例としては、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属有機酸塩、金属酸ハロゲン化物(金属ハロゲン化物の中途加水分解物)、金属アルコキシド、金属ハロゲン化物、金属ハロゲン酸塩および金属次亜ハロゲン酸塩、金属錯体が挙げられる(ただし、ナトリウムの化合物としては水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物などが挙げられる。)。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記金属アルコキシドとしては、前記金属のイソプロポキシド、エトキシドおよびブトキシドが好ましい。前記金属アルコキシドは、1種のアルコキシ基を有していてもよく、2種以上のアルコキシ基を有していてもよい。
酸素原子を有する金属化合物(1)としては、金属アルコキシド、アセチルアセトン錯体、金属酸塩化物、金属硫酸塩および金属硝酸塩が好ましく、コストの面から、金属アルコキシド、アセチルアセトン錯体がより好ましく、前記溶媒への溶解性の観点から、金属アルコキシド、アセチルアセトン錯体がさらに好ましい。
前記金属ハロゲン化物としては、金属塩化物、金属臭化物および金属ヨウ化物が好ましく、前記金属酸ハロゲン化物としては、金属酸塩化物、金属酸臭化物、金属酸ヨウ化物が好ましい。
金属過ハロゲン酸塩としては金属過塩素酸塩が好ましく、金属次亜ハロゲン酸塩としては金属次亜塩素酸塩が好ましい。
前記金属化合物(1)のうち、銅を含む化合物の具体例としては、
銅(II)エトキシド、銅(II)イソプロポキシド、銅(II)ブトキシド、銅(II)ペントキシド、銅(II)アセチルアセトナート、ビスジエチルアミノ銅、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン)銅、銅(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、ビス-1-メトキシ-2-メチル-2-プロポキシ銅(II)、二塩化銅、オキシ塩化銅、二臭化銅、オキシ臭化銅、二ヨウ化銅、オキシヨウ化銅等の銅化合物が挙げられる。これらの化合物は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの化合物の中でも、得られる触媒が均一な粒径の微粒子となり、その活性が高いことからであることから、
二塩化銅、オキシ塩化銅、銅(II)エトキシド、銅(II)イソプロポキシド、銅(II)ブトキシド、銅(II)アセチルアセトナートが好ましく、
二塩化銅、オキシ塩化銅、銅(II)エトキシド、銅(II)イソプロポキシド、銅(II)アセチルアセトナートがさらに好ましい。
前記金属化合物(1)のうち、鉄を含む化合物の具体例としては、
鉄(III)エトキシド、鉄(III)イソプロポキシド、鉄(III)ブトキシド、鉄(III)ペントキシド、鉄(III)アセチルアセトナート、鉄(III)イソプロポキシドアセチルアセトナート(Fe(acac)(O-iPr)2、Fe(acac)2(O-iPr))、トリスジエチルアミノ鉄、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン)鉄、鉄(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、トリ-1-メトキシ-2-メチル-2-プロポキシ鉄(III)、三塩化鉄、二塩化鉄、オキシ塩化鉄、三臭化鉄、二臭化鉄、オキシ臭化鉄、三ヨウ化鉄、二ヨウ化鉄、オキシヨウ化鉄、硫酸鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、フェロシアン化鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、リン酸鉄(II)、リン酸鉄(III)フェロセン、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、四酸化三鉄、酢酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)等の鉄化合物が挙げられる。これらの化合物は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの化合物の中でも、得られる触媒が均一な粒径の微粒子となり、その活性が高いことから、
三塩化鉄、二塩化鉄、オキシ塩化鉄、鉄(III)エトキシド、鉄(III)イソプロポキシド、鉄(III)ブトキシド、鉄(III)アセチルアセトナート、鉄(III)イソプロポキシドアセチルアセトナート(Fe(acac)(O-iPr)2、Fe(acac)2(O-iPr))、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、酢酸鉄(II)、硝酸鉄(II)が好ましく、
三塩化鉄、二塩化鉄、鉄(III)エトキシド、鉄(III)イソプロポキシド、鉄(III)ブトキシド、鉄(III)アセチルアセトナート、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、酢酸鉄(II)がさらに好ましい。
前記金属化合物(1)のうち、前記金属元素(M3)を含む化合物の具体例としては、
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等のナトリウム化合物;
チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラペントキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Ti(acac)2(O-iPr)2)チタンオキシジアセチルアセトナート、トリス(アセチルアセトナト)第二チタン塩化物([Ti(acac)3]2[TiCl6])、四塩化チタン、三塩化チタン、オキシ塩化チタン、四臭化チタン、三臭化チタン、オキシ臭化チタン、四ヨウ化チタン、三ヨウ化チタン、オキシヨウ化チタン等のチタン化合物;
ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラペントキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Zr(acac)2(O-iPr)2)、テトラキスジエチルアミノジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、テトラ-1-メトキシ-2-メチル-2-プロポキシジルコニウム(IV)、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、オキシ臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、オキシヨウ化ジルコニウム等のジルコニウム化合物;
亜鉛エトキシド、亜鉛イソプロポキシド、亜鉛ブトキシド、亜鉛ペントキシド、亜鉛アセチルアセトナート、ビスジエチルアミノ亜鉛、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン)亜鉛、亜鉛ヘキサフルオロアセチルアセトナート、ビス-1-メトキシ-2-メチル-2-プロポキシ亜鉛、二塩化亜鉛、オキシ塩化亜鉛、二臭化亜鉛、オキシ臭化亜鉛、二ヨウ化亜鉛、オキシヨウ化亜鉛等の亜鉛化合物;
タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタブトキシド、タンタルペンタペントキシド、タンタルテトラエトキシアセチルアセトナート、タンタルジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Ta(acac)2(O-iPr)2)、ペンタキスジエチルアミノタンタル、五塩化タンタル、オキシ塩化タンタル、五臭化タンタル、オキシ臭化タンタル、五ヨウ化タンタル、オキシヨウ化タンタル等のタンタル化合物;
が挙げられる。これらの化合物は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの化合物の中でも、得られる触媒が均一な粒径の微粒子となり、その活性が高いことから、
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、
チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Ti(acac)2(O-iPr)2)、
ジルコニウムテトラエトキシド、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Zr(acac)2(O-iPr)2)、
二塩化亜鉛、オキシ塩化亜鉛、亜鉛エトキシド、亜鉛イソプロポキシド、亜鉛ブトキシド、亜鉛アセチルアセトナート、
タンタルペンタエトキシド、五塩化タンタル、オキシ塩化タンタル、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルテトラエトキシアセチルアセトナート(Ta(acac)(O-C2H5)4)、タンタルジイソプロポキシドトリアセチルアセトナート(Ta(acac)3(O-iPr)2)が好ましく、
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、
四塩化チタン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、
四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、
二塩化亜鉛、亜鉛エトキシド、亜鉛イソプロポキシド、亜鉛ブトキシド、亜鉛アセチルアセトナート、
五塩化タンタル、タンタルペンタイソプロポキシドがさらに好ましい。
すべての金属化合物(1)に含まれる金属元素に占める、銅の割合は、好ましくは10〜99モル%、さらに好ましくは50〜95モル%であり、鉄の割合は、好ましくは1〜20モル%、さらに好ましくは4〜15モル%であり、金属元素(M3)の割合は、好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは0.1〜46モル%である。
<窒素含有有機化合物(2)>
前記窒素含有有機化合物(2)としては、前記金属化合物(1)中の金属原子に配位可能な配位子となり得る化合物(好ましくは、単核の錯体を形成し得る化合物)が好ましく、多座配位子(好ましくは、2座配位子または3座配位子)となり得る(キレートを形成し得る)化合物がさらに好ましい。
前記窒素含有有機化合物(2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記窒素含有有機化合物(2)は、好ましくは、アミノ基、ニトリル基、イミド基、イミン基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、ニトロソ基などの官能基、またはピロール環、ポルフィリン環、ピロリジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、プリン環等の環(これらの官能基および環をまとめて「含窒素分子団」ともいう。)を有する。
前記窒素含有有機化合物(2)は、含窒素分子団を分子内に有すると、工程(1)での混合を経て、前記金属化合物(1)に由来する金属原子により強く配位することができると考えられる。
前記含窒素分子団の中では、アミノ基、イミン基、アミド基、ピロール環、ピリジン環およびピラジン環がより好ましく、アミノ基、イミン基、ピロール環およびピラジン環がさらに好ましく、アミノ基およびピラジン環が、後述する接触工程をさらに経て得られる触媒の活性が特に高くなることから、特に好ましい。
前記窒素含有有機化合物(2)(ただし、酸素原子を含まない。)の具体例としては、メラミン、エチレンジアミン、トリアゾール、アセトニトリル、アクリロニトリル、エチレンイミン、アニリン、ピロールおよびポリエチレンイミンならびにこれらの塩などが挙げられ、これらの中でも、後述する接触工程をさらに経て得られる触媒の活性が高いことからエチレンジアミンおよびエチレンジアミン・二塩酸塩が好ましい。
前記窒素含有有機化合物(2)は、好ましくは、さらに水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、酸ハライド基、スルホ基、リン酸基、ケトン基、エーテル基またはエステル基(これらをまとめて「含酸素分子団」ともいう。)を有する。前記窒素含有有機化合物(2)は、含酸素分子団を分子内に有すると、工程(1)での混合を経て、前記金属化合物(1)に由来する金属原子により強く配位できると考えられる。
前記含酸素分子団の中では、カルボキシル基およびアルデヒド基が、後述する接触工程をさらに経て得られる触媒の活性が特に高くなることから、特に好ましい。
分子中に酸素原子を含む前記窒素含有有機化合物(2)としては、前記含窒素分子団および前記含酸素分子団を有する化合物が好ましい。このような化合物は、工程(1)を経て、前記金属化合物(1)に由来する金属原子に特に強く配位できると考えられる。
前記含窒素分子団および前記含酸素分子団を有する化合物としては、アミノ基およびカルボキシル基を有するアミノ酸、ならびにその誘導体が好ましい。
前記アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ノルバリン、グリシルグリシン、トリグリシンおよびテトラグリシンが好ましく、後述する接触工程をさらに経て得られる触媒の活性が高いことから、アラニン、グリシン、リシン、メチオニン、チロシンがより好ましく、後述する接触工程をさらに経て得られる触媒が極めて高い活性を示すことから、アラニン、グリシンおよびリシンが特に好ましい。
分子中に酸素原子を含む前記窒素含有有機化合物(2)の具体例としては、上記アミノ酸等に加えて、アセチルピロールなどのアシルピロール類、ピロールカルボン酸、アセチルイミダゾールなどのアシルイミダゾール類、カルボニルジイミダゾール、イミダゾールカルボン酸、ピラゾール、アセトアニリド、ピラジンカルボン酸、ピペリジンカルボン酸、ピペラジンカルボン酸、モルホリン、ピリミジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、8−キノリノール、およびポリビニルピロリドンが挙げられ、後述する接触工程をさらに経て得られる触媒の活性が高いことから、2座配位子となり得る化合物、具体的にはピロール−2−カルボン酸、イミダゾール−4−カルボン酸、2−ピラジンカルボン酸、2−ピペリジンカルボン酸、2−ピペラジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、および8−キノリノールが好ましく、2−ピラジンカルボン酸、および2−ピリジンカルボン酸がより好ましい。
工程(1)で用いられる前記金属化合物(1)の金属元素の総原子数Aに対する、工程(1)で用いられる前記窒素含有有機化合物(2)の炭素の総原子数Bの比(B/A)は、工程(3)での熱処理時に二酸化炭素、一酸化炭素等の炭素化合物として脱離する成分を少なくすることが可能であり、すなわち触媒前駆体製造時に排気ガスを少量とすることができることから、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは80以下、特に好ましくは30以下であり、良好な活性の触媒を得るという観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上、特に好ましくは5以上である。
工程(1)で用いられる前記金属化合物(1)の金属元素の総原子数Aに対する、工程(1)で用いられる前記窒素含有有機化合物(2)の窒素の総原子数Cの比(C/A)は、後述する接触工程をさらに経て良好な活性の触媒を得るという観点から、好ましくは28以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは12以下、特に好ましくは8.5以下であり、後述する接触工程をさらに経て良好な活性の触媒を得るという観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3以上、特に好ましくは3.5以上である。
<化合物(3)>
本発明の製造方法においては、工程(1)において、さらに(化学構造中に)フッ素を含有する化合物(3)も混合することによって、後述する接触工程をさらに経て、さらに高い触媒活性を有する電極触媒を製造することができる。
(化学構造中に)フッ素を含有する化合物(3)の具体例としては、フッ素原子を含有するアルコール、フッ素原子を含有するエーテル、フッ素原子を含有するアミン、フッ素原子を含有するカルボン酸、フッ素原子を含有するホウ酸誘導体、フッ素原子を含有するリン酸誘導体およびフッ素原子を含有するスルホン酸誘導体等が挙げられる。
前記フッ素原子を含有するアルコールおよびその誘導体としては、たとえば、
炭化水素基の水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換された飽和または不飽和の脂肪族アルコール(炭素原子数は、たとえば1〜30である。)、たとえばノナコサデカフルオロテトラデシルアルコール、ヘプタコサデカフルオロトリデシルアルコール、ペンタコサデカフルオロドデシルアルコール、ヘンイコサデカフルオロデシルアルコール、ヘプタデカフルオロオクチルアルコール、トリデカフルオロヘキシルアルコール、ノナフルオロブチルアルコール、ペンタフルオロエチルアルコール、トリフルオロメチルアルコール、2,2,2−トリフルオロエチルアルコール、6−パーフルオロヘキシルヘキサノール、2,5−ジ(トリフロロメチル)−3,6−ジオキソウンデカフルオロノナノール、パーフルオローメチルエチルヘキサノール、ドデカフルオロヘプタノール、オクタフルオロヘキサンジオールおよびドデカフルオロオクタンジオールなどのフルオロアルキルアルコール
が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記フッ素原子を含有するアルコールまたはその誘導体は、好ましくは、一分子中に3個以上のフッ素原子を有する。
前記フッ素原子を含有するエーテルは、式Rf−O−Rf'(RfおよびRf'は、それぞれ独立に、水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換された炭化水素基である。)で表される。RfおよびRf'としては、たとえばノナコサデカフルオロテトラデシル基、ヘプタコサデカフルオロトリデシル基、ペンタコサデカフルオロドデシル基、トリコサデカフルオロウンデシル基、ヘンイコサデカフルオロデシル基、ノナデカフルオロノニル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ウンデカフルオロペンチル基、ノナフルオロブチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロメチル基および2,2,2−トリフルオロエチル基などのフルオロアルキル基が挙げられ、RfおよびRf'はアリール基を有する基(たとえばフェニル基、ピリジル基)であってもよい。
前記フッ素原子を含有するエーテルとしては、たとえば、
式[-[(CF2-CF2)-(CH2-CH(OR))n-]で表される構造を有する、テトラフルオロエチレン(CF2=CF2)とビニルエーテル(CH2=CHOR)との交互共重合により得られる交互共重合体(たとえば、ルミフロン(登録商標)(旭硝子(株)))、
フッ素ポリアリールエーテルケトン、フッ素ポリシアノアリールエーテル、3-(2-パーフルオロヘキシルエトキシ)-1,2-ジヒドロキシプロパン、
Figure 0006124871
で表される化合物、
Figure 0006124871
で表される化合物、
市販品であれば、ノベックTMHFE(商品名)(ハイドロフルオロエーテル、菱江化学(株))、ノベックTMHFE(商品名)(ハイドロフルオロエーテル、3M社)が挙げられる。
前記フッ素原子を含有するエーテルとして、含フッ素系界面活性剤であるサーフロン(登録商標)S−241、S−242、S−243、S−420(AGCセイミケミカル(株))、フタージェント(登録商標)250((株)ネオス)などを用いてもよい。
これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記フッ素原子を含有するエーテルまたはその誘導体は、好ましくは、一分子中に3個以上のフッ素原子を有する。
前記フッ素原子を含有するアミンおよびその誘導体としては、たとえば、
式Rf−NR12(Rfは、水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換された飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または、水素原子の全部もしくは一部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜10の炭化水素基である。)で表される飽和または不飽和の脂肪族アミン(Rfの炭素原子数は、たとえば1〜30である。)、たとえばノナコサデカフルオロテトラデシルアミン、ヘプタコサデカフルオロトリデシルアミン、ペンタコサデカフルオロドデシルアミン、ヘンイコサデカフルオロデシルアミン、ヘプタデカフルオロオクチルアミン、ペンタデカフルオロヘプチルアミン、ウンデカフルオロペンチルアミン、ヘプタフルオロプロピルアミン、ペンタフルオロエチルアミン、トリフルオロメチルアミンおよび2,2,2−トリフルオロエチルアミンなどのフルオロアルキルアミン;
前記フルオロアルキルアミンの塩(一般式:A+[R4N]-;A+は、たとえばナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンを表し、Rはそれぞれ独立に前記フルオロアルキルアミン中のフルオロアルキル基を表す。)(たとえば塩酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、燐酸塩)
が挙げられる。
前記フッ素原子を含有するアミンまたはその塩として、含フッ素系界面活性剤であるサーフロン(登録商標)S−221(AGCセイミケミカル(株))、フタージェント(登録商標)300((株)ネオス)などを用いてもよい。
これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記フッ素原子を含有するアミンまたはその誘導体は、好ましくは、一分子中に3個以上のフッ素原子を有する。
前記フッ素原子を含有するカルボン酸およびその誘導体としては、たとえば、
炭化水素基の水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換された飽和または不飽和の脂肪族カルボン酸(炭素原子数は、たとえば1〜30である。)、たとえばノナコサデカフルオロテトラデカン酸、ヘプタコサデカフルオロトリデカン酸、ペンタコサデカフルオロドデカン酸、トリコサデカフルオロウンデカン酸、ヘンイコサデカフルオロデカン酸、ヘプタデカフルオロオクタン酸、トリデカフルオロヘキサン酸、ノナフルオロブタン酸、ペンタフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、2,2,2−トリフルオロエチルカルボン酸、テトラフルオロクエン酸、ヘキサフルオログルタミン酸およびオクタフルオロアジピン酸などのフルオロアルキルカルボン酸;
アリール基中の水素原子の一部または全部が前記フルオロアルキルカルボン酸中のフルオロアルキル基で置換された芳香族カルボン酸、たとえばトリフルオロメチル安息香酸、トリフルオロメチルサリチル酸、トリフルオロメチルニコチン酸;
前記脂肪族カルボン酸のエステル(たとえば、メチルエステル、エチルエステル、アリールエステル(たとえば、フェニルエステル)、前記フッ素原子を含有するアルコールのエステル)、たとえばヘプタデカフルオロオクタン酸メチル、ヘプタデカフルオロオクタン酸エチル、ヘプタデカフルオロオクタン酸フェニル、ヘプタデカフルオロオクタン酸ヘプタデカフルオロオクチルエステル;
フッ素ポリアリールエーテルポリアリールエーテルエステル;
前記脂肪族カルボン酸の塩(たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム(たとえば、メチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびトリエチルアンモニウム)塩、前記フルオロアルキルアミンの塩)、たとえばヘプタデカフルオロオクタン酸アンモニウム、ヘプタデカフルオロオクタン酸ナトリウム、ヘプタデカフルオロオクタン酸トリエチルアンモニウム;
前記脂肪族カルボン酸のアミド(一般式:Rf−CO−NR12、Rfは前記脂肪族カルボン酸中のフルオロアルキル基を、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜10の炭化水素基(たとえば、メチル基、エチル基、フェニル基)表す。)たとえば、ヘプタデカフルオロオクタン酸アミド、ヘプタデカフルオロオクタン酸ジエチルアミド、ヘプタデカフルオロオクタン酸ヘプタデカフルオロオクチルアミド;
フッ素ポリアリールエーテルアミド;
フッ素ポリアリールエーテルイミド;
前記脂肪族カルボン酸の酸無水物(一般式:(Rf−CO)2O、Rfは前記脂肪族カルボン酸中のフルオロアルキル基を表す。)、たとえばヘプタデカフルオロオクタン酸無水物;
アミノ酸(たとえば、前記フルオロアルキルカルボン酸中のフルオロアルキル基を有するアミノ酸);
前記のカルボン酸またはその誘導体から誘導され得る置換基を有する有機化合物(高分子化合物であってもよい。)
が挙げられる。
前記フッ素原子を含有するカルボン酸またはその誘導体として、含フッ素系界面活性剤であるサーフロン(登録商標)S−211、S−212(アミノ酸系)(AGCセイミケミカル(株))、フタージェント(登録商標)501、150((株)ネオス)などを用いてもよい。
これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記フッ素原子を含有するカルボン酸またはその誘導体は、好ましくは、一分子中に3個以上のフッ素原子を有する。
前記フッ素を含有するホウ酸誘導体としては、たとえば、
テトラフルオロホウ酸四級アンモニウム塩(たとえば、テトラフルオロホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸エチルトリメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸ジエチルジメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸メチルトリプロピルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリメチルプロピルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸エチルジメチルプロピルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルプロピルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸ジメチルジプロピルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸エチルメチルジプロピルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリメチルブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸ジエチルメチルブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸ジメチルジブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸エチルメチルジブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸へキシルトリメチルアンモニウム(前記プロピルはn−プロピル、i−プロピルを含み、前記ブチルはn−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチルを含む。))、
テトラフルオロホウ酸四級ピリジニウム塩(たとえば、テトラフルオロホウ酸ピリジニウム、テトラフルオロホウ酸1−メチルピリジニウム、テトラフルオロホウ酸2−ブロモ−1−エチルピリジニウム、テトラフルオロホウ酸1−ブチルピリジニウム)、
テトラフルオロホウ酸四級イミダゾリウム塩(たとえば、テトラフルオロホウ酸1,3−ジメチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,3−ジエチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム)、
アルキル基の水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換されたフルオロアルキルホウ酸(たとえば、ノナコサデカフルオロテトラデシルホウ酸、ヘプタコサデカフルオロトリデシルホウ酸、ペンタコサデカフルオロドデシルホウ酸、ヘンイコサデカフルオロデシルホウ酸、ヘプタデカフルオロオクチルホウ酸、トリデカフルオロヘキシルホウ酸、ノナフルオロブチルホウ酸、ペンタフルオロエチルホウ酸、トリフルオロメチルホウ酸および2,2,2−トリフルオロエチルホウ酸)
前記フルオロアルキルホウ酸のモノエステルおよびジエステル(たとえば、メチルエステル、エチルエステル)、および
前記フルオロアルキルホウ酸の塩(たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、およびトリエチルアンモニウム塩)、
が挙げられる。
前記フッ素を含有するホウ酸誘導体として、好ましくは、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸メチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸ジメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸エチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸ジエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラプロピルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸−1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムが挙げられ、より好ましくはテトラフルオロホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸−1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムが挙げられる。
前記フッ素を含有するリン酸誘導体としては、
ヘキサフルオロリン酸塩、たとえば、ヘキサフルオロリン酸四級アンモニウム塩(たとえば、ヘキサフルオロリン酸テトラ‐n‐ブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラメチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラエチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラプロピルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸エチルトリメチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸ジエチルジメチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸トリエチルメチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸トリメチルプロピルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸エチルジメチルプロピルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸トリエチルプロピルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸ジメチルジプロピルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸エチルメチルジプロピルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸トリメチルブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸エチルジメチルブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸トリエチルブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸トリプロピルブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸ジメチルジブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸エチルメチルジブチルアンモニウム、テトラフルオロリン酸へキシルトリメチルアンモニウム(前記プロピルはn−プロピル、i−プロピル、前記ブチルはn−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチルを含む。)、
ヘキサフルオロリン酸四級ピリジニウム塩(たとえば、ヘキサフルオロリン酸ピリジニウム、ヘキサフルオロリン酸1−メチルピリジニウム、ヘキサフルオロリン酸2−ブロモ−1−エチルピリジニウム)、
テトラフルオロリン酸四級イミダゾリウム塩(たとえば、テトラフルオロリン酸1,3−ジメチルイミダゾリウム、テトラフルオロリン酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、テトラフルオロリン酸1,3−ジエチルイミダゾリウム、テトラフルオロリン酸1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、テトラフルオロリン酸1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、テトラフルオロリン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム)、
ヘキサフルオロリン酸、
ヘキサフルオロリン酸の塩(たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム(たとえば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびトリエチルアンモニウム)塩)
一般式:(RO)nP=Oで表わされるフルオロアルキルリン酸エステル(式中、nは1〜3であり、Rはアルキル基の水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換されたフルオロアルキル基(たとえば、ノナコサデカフルオロテトラデシル基、ノナコサデカフルオロテトラデシル基、ヘプタコサデカフルオロトリデシル基、ペンタコサデカフルオロドデシル基、トリコサデカフルオロウンデシル基、ヘンイコサデカフルオロデシル基、ノナデカフルオロノニル基、ヘプタデカフルオロオクチル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ウンデカフルオロペンチル基、ノナフルオロブチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロメチル基および2,2,2−トリフルオロエチル基)である。)、
一般式:(RN)3P=O、(RN)2P=O(OH)、または(RN)P=O(OH)2(式中、Rは前記フルオロアルキル基を表す。)で表されるフルオロアルキルリン酸アミド、
一般式(RO)3P、(RO)2(OH)P、または(RO)(OH)2P(式中、前記フルオロアルキル基を表す。)で表わされるフルオロアルキル亜リン酸、
一般式(RN)3P、(RN)2P(OH)、(RN)P(OH)2(式中、Rは前記フルオロアルキル基を表す。)で表わされるフルオロアルキル亜リン酸アミド、
一般式:RPO(OH)2(式中、Rは前記フルオロアルキル基を表す。)で表わされるフルオロアルキルホスホン酸
が挙げられる。
前記フッ素を含有するリン酸誘導体として好ましくは、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム、ヘキサフルオロリン酸メチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸ジメチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸トリメチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸エチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸ジエチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸トリエチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸ブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸ジブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラ‐n‐ブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラメチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラエチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウムが挙げられ、より好ましくはヘキサフルオロリン酸アンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラエチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸−1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムが挙げられる。
前記フッ素を含有するスルホン酸誘導体としては、
テトラフルオロエチレンとパーフルオロ[2−(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]との共重合体(たとえば、ナフィオン(NAFION(登録商標)、下式で表わされる構造を有する共重合体))、
Figure 0006124871
アルキル基の水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換されたフルオロアルキルスルホン酸(炭素原子数は、たとえば1〜30である。)(たとえば、ノナコサデカフルオロテトラデカンスルホン酸、ヘプタコサデカフルオロトリデカンスルホン酸、トリコサデカフルオロウンデカンスルホン酸、ノナデカフルオロノナンスルホン酸、ペンタデカフルオロヘプタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸および2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸)、
前記フルオロアルキルスルホン酸のエステル(たとえば、メチルエステル、エチルエステル、アリールエステル(例えば、フェニルエステル))
前記フルオロアルキルスルホン酸の塩(一般式:A[RSO3]、Rは前記フルオロアルキル基を表す。)(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム(たとえば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびトリエチルアンモニウム)塩)、
前記フルオロアルキルスルホン酸のアミド(一般式:R−SO2−NR12、Rは前記フルオロアルキル基を、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子の全部または一部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜10の炭化水素基(たとえば、メチル基、エチル基、フェニル基)表す。)、
前記フルオロアルキルスルホン酸の酸無水物(一般式:(R−SO22O、Rは前記フルオロアルキル基を表す。)、
前記フルオロアルキルスルホン酸のハロゲン化物(一般式:(R−SO2)X、Rは前記フルオロアルキル基を表す。Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を表す。)
が挙げられる。
前記フッ素を含有するスルホン酸誘導体としては、好ましくは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ[2−(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]との共重合体(たとえば、ナフィオン(NAFION(登録商標)))、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、ペンタデカフルオロヘプタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アンモニウム、ペンタデカフルオロヘプタンスルホン酸アンモニウム、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸アンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸アンモニウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸第一鉄、トリフルオロメタンスルホン酸無水物が挙げられ、
より好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸第一鉄が挙げられ、
さらに、界面活性能がある骨格つまり、分子内に疎水性部位および親水性部位が存在する化合物が、反応系内の安定化が図れるのでさらに好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ホウ素、リンおよび硫黄からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素Aを含む前記化合物(3)を用いる場合には、工程(1)で用いられる前記化合物(3)に含まれる元素Aの量(すなわち、工程(1)で用いられる前記化合物(3)に含まれる元素Aの総原子数)は、工程(1)で用いられる前記金属化合物(1)中の金属原子1モルに対して、通常0.01〜3モル、好ましくは0.01〜2モル、さらに好ましくは0.01〜1モルである。
元素Aがホウ素のみの場合には、その量は、上記基準で通常0.01〜3モル、好ましくは0.01〜2モル、さらに好ましくは0.01〜1モルであり、元素Aがリンのみの場合には、その量は、上記基準で通常0.01〜3モル、好ましくは0.01〜2モル、さらに好ましくは0.01〜1モルであり、元素Aが硫黄のみの場合には、その量は、上記基準で通常0.01〜3モル、好ましくは0.01〜2モル、さらに好ましくは0.01〜1モルである。
また工程(1)で用いられる化合物(3)に含まれるフッ素の量(すなわち、工程(1)で用いられる前記化合物(3)に含まれるフッ素の総原子数)は、工程(1)で用いられる前記金属化合物(1)中の金属原子1モルに対して、通常0.01〜5モル、好ましくは0.02〜4モル、さらに好ましくは0.03〜3モルである。
上記の化合物(3)の量は、前記工程(1)で用いられる化合物(3)以外の原料が元素Aもフッ素も含まない場合の量であり、化合物(3)以外の原料が元素Aまたはフッ素を含む場合には、工程(1)における化合物(3)の使用量を適宜減らすことが好ましい。
<溶媒>
前記溶媒としては、たとえば水、アルコール類および酸類が挙げられる。アルコール類としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノールおよびエトキシエタノールが好ましく、エタノールおよびメタノールがさらに好ましい。酸類としては、酢酸、硝酸(水溶液)、塩酸、リン酸水溶液およびクエン酸水溶液が好ましく、酢酸および硝酸がさらに好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
前記金属化合物(1)が金属ハロゲン化物の場合の溶媒としてはメタノールが好ましい。
前記溶媒は、前駆体製造用溶液100質量%中にたとえば50〜95質量%となるような量で用いてもよい。
<沈殿抑制剤>
前記金属化合物(1)が、ハロゲン原子を含む場合には、これらの化合物は一般的に水によって容易に加水分解され、水酸化物や、酸塩化物等の沈殿を生じやすい。よって、前記金属化合物(1)がハロゲン原子を含む場合には、強酸を溶液(前駆体製造用溶液)中に1質量%以上となる量で添加することが好ましい。たとえば酸が塩酸であれば、溶液(前駆体製造用溶液)中の塩化水素の濃度が5質量%以上、より好ましくは10質量%以上となるように酸を添加すると、前記金属化合物(1)に由来する水酸化物、酸塩化物等の沈殿の発生を抑制しつつ、澄明な前駆体製造用溶液を得ることができる。
また、前記金属化合物(1)がハロゲン原子を含む場合には、前記溶媒としてアルコール類を単独で用い、かつ酸を添加することなく、前駆体製造用溶液を得てもよい。
前記金属化合物(1)が金属錯体であって、かつ前記溶媒として水を単独でまたは水と他の化合物とを用いる場合にも、水酸化物または酸塩化物の沈殿の発生を抑制するための沈殿抑制剤を用いることが好ましい。この場合の沈殿抑制剤としては、ジケトン構造を有する化合物が好ましく、ジアセチル、アセチルアセトン、2,5−ヘキサンジオンおよびジメドンがより好ましく、アセチルアセトンおよび2,5−ヘキサンジオンがさらに好ましい。
これらの沈殿抑制剤は、金属化合物溶液(金属化合物(1)を含有し、前記窒素含有有機化合物(2)および前記化合物(3)を含有しない溶液)100質量%中に好ましくは1〜70質量%、より好ましくは、2〜50質量%、さらに好ましくは15〜40質量%となる量で添加される。
これらの沈殿抑制剤は、前駆体製造用溶液100質量%中に好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは、0.5〜20質量%、さらに好ましくは2〜10質量%となる量で添加される。
前記沈殿抑制剤は、工程(1)の中でのいずれの段階で添加されてもよい。
工程(1)では、好ましくは、前記金属化合物(1)および前記沈殿抑制剤を含む溶液を調製して、次いでこの溶液と前記窒素含有有機化合物(2)および任意に前記化合物(3)とを混合して前駆体製造用溶液を得る。このように工程(1)を実施すると、前記沈殿の発生をより確実に抑制することができる。
(工程(2))
工程(2)では、工程(1)で得られた前記前駆体製造用溶液から溶媒を除去する。
溶媒の除去は大気下で行ってもよく、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム)雰囲気下で行ってもよい。不活性ガスとしては、コストの観点から、窒素およびアルゴンが好ましく、窒素がより好ましい。
溶媒除去の際の温度は、溶媒の蒸気圧が大きい場合には常温であってもよいが、触媒前駆体の量産性の観点からは、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、工程(1)で得られる溶液中に含まれる、キレート等の金属錯体であると推定される物質を分解させないという観点からは、好ましくは350℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
溶媒の除去は、溶媒の蒸気圧が大きい場合には大気圧下で行ってもよいが、より短時間で溶媒を除去するため、減圧(たとえば、0.1Pa〜0.1MPa)下で行ってもよい。減圧下での溶媒の除去には、たとえばエバポレーターを用いることができる。
溶媒の除去は、工程(1)で得られた混合物を静置した状態で行ってもよいが、より均一な固形分残渣を得るためには、混合物を回転させながら溶媒を除去することが好ましい。
前記混合物を収容している容器の質量が大きい場合は、撹拌棒、撹拌羽根、撹拌子などを用いて、溶液を回転させることが好ましい。
また、前記混合物を収容している容器の真空度を調節しながら溶媒の除去を行う場合には、密閉できる容器で乾燥を行うこととなるため、容器ごと回転させながら溶媒の除去を行うこと、たとえばロータリーエバポレーターを使用して溶媒の除去を行うことが好ましい。
溶媒の除去の方法、あるいは前記金属化合物(1)、前記窒素含有有機化合物(2)または前記化合物(3)の性状によっては、工程(2)で得られた固形分残渣の組成または凝集状態が不均一であることがある。このような場合に、固形分残渣を、混合し、解砕して、より均一、微細な粉末としたものを工程(3)で用いると、粒径がより均一な触媒前駆体を得ることができる。
固形分残渣を混合し、解砕するには、たとえば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機、ジェトミルを用いることができ、固形分残渣が少量であれば、好ましくは、乳鉢、自動混練乳鉢、またはバッチ式のボールミルが用いられ、固形分残渣が多量であり連続的な混合、解砕処理を行う場合には、好ましくはジェットミルが用いられる。
(工程(3))
工程(3)では、工程(2)で得られた固形分残渣を熱処理して触媒前駆体を得る。
この熱処理の際の温度は、好ましくは500〜1100℃であり、より好ましくは600〜1050℃であり、さらに好ましくは700〜950℃である。
前記熱処理の方法としては、たとえば、静置法、攪拌法、落下法、粉末捕捉法が挙げられる。
静置法とは、静置式の電気炉などに工程(2)で得られた固形分残渣を置き、これを加熱する方法である。加熱の際に、量り取った前記固形分残渣は、アルミナボード、石英ボードなどのセラミックス容器に入れてもよい。静置法は、大量の前記固形分残渣を加熱することができる点で好ましい。
攪拌法とは、ロータリーキルンなどの電気炉中に前記固形分残渣を入れ、これを攪拌しながら加熱する方法である。攪拌法の場合は、大量の前記固形分残渣を加熱することができ、かつ、得られる触媒前駆体粒子の凝集および成長を抑制することができる点で好ましい。さらに、撹拌法は、加熱炉に傾斜をつけることによって、連続的に触媒前駆体を製造することが可能である点で好ましい。
落下法とは、誘導炉中に雰囲気ガスを流しながら、炉を所定の加熱温度まで加熱し、該温度で熱的平衡を保った後、炉の加熱区域である坩堝中に前記固形分残渣を落下させ、これを加熱する方法である。落下法は、得られる触媒前駆体粒子の凝集および成長を最小限度に抑制できる点で好ましい。
粉末捕捉法とは、微量の酸素ガスを含む不活性ガス雰囲気中で、前記固形分残渣を飛沫にして浮遊させ、これを所定の加熱温度に保たれた垂直の管状炉中に捕捉して、加熱する方法である。
前記静置法で熱処理を行う場合には、昇温速度は、特に限定されないが、好ましくは1℃/分〜100℃/分程度であり、さらに好ましくは5℃/分〜50℃/分である。また、加熱時間は、好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.5時間〜5時間、さらに好ましくは0.5〜3時間である。静置法において加熱を管状炉で行なう場合、前記固形分残渣の加熱時間は、0.1〜10時間、好ましくは0.5時間〜5時間である。前記加熱時間が前記範囲内であると、均一な触媒前駆体粒子が形成される傾向がある。
前記攪拌法の場合、前記固形分残渣の加熱時間は、通常10分〜5時間であり、好ましくは30分〜2時間である。本法において、炉に傾斜をつけるなどして連続的に加熱を行う場合は、定常的な炉内のサンプル流量から計算された平均滞留時間を前記加熱時間とする。
前記落下法の場合、前記固形分残渣の加熱時間は、通常0.5〜10分であり、好ましくは0.5〜3分である。前記加熱時間が前記範囲内であると、均一な触媒前駆体粒子が形成される傾向がある。
前記粉末捕捉法の場合、前記固形分残渣の加熱時間は、0.2秒〜1分、好ましくは0.2〜10秒である。前記加熱時間が前記範囲内であると、均一な触媒前駆体粒子が形成される傾向にある。
前記静置法で熱処理を行う場合には、熱源としてLNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)、軽油、重油、電気などを用いた加熱炉を熱処理装置として用いてもよい。この場合、本発明においては前記固形分残渣を熱処理する際の雰囲気が重要であるので、燃料の炎が炉内に存在する、炉の内部から加熱する装置ではなく、炉の外部からの加熱する装置が好ましい。
前記固形分残渣の量が1バッチあたり50kg以上となるような加熱炉を用いる場合には、コストの観点から、LNG,LPGを熱源とする加熱炉が好ましい。
触媒活性の特に高い電極触媒を得るための触媒前駆体を得たい場合には、厳密な温度制御が可能な、電気を熱源とした電気炉を用いることが望ましい。
炉の形状としては、管状炉、上蓋型炉、トンネル炉、箱型炉、試料台昇降式炉(エレベーター型)、台車炉などが挙げられ、この中でも雰囲気を特に厳密にコントロールすることが可能な、管状炉、上蓋型炉、箱型炉および試料台昇降式炉が好ましく、管状炉および箱型炉が好ましい。
前記撹拌法を採用する場合も、上記の熱源を用いることができるが、撹拌法の中でも特にロータリーキルンに傾斜をつけて、前記固形分残渣を連続的に熱処理する場合には、設備の規模が大きくなり、エネルギー使用量が大きくなりやすいので、LPG等燃料由来の熱源を利用することが好ましい。
前記熱処理を行う際の雰囲気としては、後述する接触工程をさらに経て得られる電極触媒の活性を高める観点から、その主成分が不活性ガスである雰囲気が好ましい。不活性ガスの中でも、比較的安価であり、入手しやすい点で窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましく、窒素およびアルゴンがさらに好ましい。これらの不活性ガスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、これらのガスは一般的な通念上不活性といわれるガスであるが、工程(3)の前記熱処理の際にこれらの不活性ガスすなわち、窒素、アルゴン、ヘリウム等が、前記固形分残渣と反応している可能性はある。
また、前記熱処理の雰囲気中に反応性ガスが存在すると、後述する接触工程をさらに経て得られる電極触媒がより高い触媒性能を発現することがある。たとえば、前記熱処理を、窒素ガス、アルゴンガスもしくは窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガス、または窒素ガスおよびアルゴンガスから選ばれる一種以上のガスと、水素ガス、アンモニアガスおよび酸素ガスから選ばれる一種以上のガスとの混合ガスの雰囲気で行うと、後述する接触工程をさらに経て、高い触媒性能を有する電極触媒が得られる傾向にある。
前記熱処理の雰囲気中に水素ガスが含まれる場合には、水素ガスの濃度は、たとえば100体積%以下、好ましくは0.01〜10体積%、より好ましくは1〜5体積%である。
前記熱処理の雰囲気中に酸素ガスが含まれる場合には、酸素ガスの濃度は、たとえば0.01〜10体積%、好ましくは0.01〜5体積%である。
前記熱処理の際の圧力は特に制限されず、製造の安定性とコストなどを考慮して大気圧下で熱処理を行ってもよい。
前記熱処理の後には、熱処理物を解砕してもよい。解砕を行うと、後述する接触工程をさらに経て得られる電極触媒を用いて電極を製造する際の加工性、および得られる電極の特性を改善できることがある。この解砕には、たとえば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機またはジェトミルを用いることができる。触媒前駆体が少量の場合には、乳鉢、自動混練乳鉢、バッチ式のボールミルが好ましく、熱処理物を連続的に多量に処理する場合には、ジェットミル、連続式のボールミルが好ましく、連続式のボールミルの中でもビーズミルがさらに好ましい。
前記触媒前駆体としては、上述した触媒前駆体の製造方法(A)以外により製造される触媒前駆体以外にも、たとえば、
触媒前駆体の製造方法(A)において溶媒を使用しない製造方法(すなわち、少なくとも金属化合物(1)と、窒素含有有機化合物(2)とを含み溶媒を含まない混合物を(好ましくは500〜1100℃の温度で)熱処理して触媒前駆体を得る工程を含み、前記金属化合物(1)の一部または全部が銅を含有し、前記混合物に含まれる成分のうち少なくとも1つの成分が酸素原子を有する製造方法)により製造される触媒前駆体、および
金属元素として銅、および任意に鉄または前記金属元素(M3)を含有する金属炭窒化物を、酸素を含む不活性ガス中で熱処理する工程を含む製造方法(以下「触媒前駆体の製造方法(B)」ともいう。)により製造される触媒前駆体
が挙げられる。
触媒前駆体の製造方法(B)において、前記金属炭窒化物を製造する方法としては、たとえば、
銅を含有する化合物、および任意に鉄を含有する化合物または前記金属M3を含有する化合物を含む混合物を熱処理する(ただし、これらの化合物および熱処理雰囲気のいずれかには炭素および窒素が含まれる。)ことにより金属炭窒化物を製造する方法(I);
酸化銅、および任意に酸化鉄または前記金属元素(M3)の酸化物と炭素との混合物を、窒素雰囲気または窒素を含有する不活性ガス中で熱処理することにより金属炭窒化物を製造する方法(II)
などが挙げられる。
金属炭窒化物を酸素を含む不活性ガス中で熱処理する工程、ならびに方法(I)、(II)での金属炭窒化物を製造する工程での条件の詳細については、たとえば特許文献1(国際公開WO2009/91043号パンフレット)に記載された触媒の製造方法における類似する工程の条件を適用することができる。たとえば、金属炭窒化物の熱処理の温度は、通常400〜1400℃、好ましくは600〜1200℃であり、金属炭窒化物を製造する際の温度は、通常600〜1800℃、好ましくは800〜1600℃である。
また、従来公知の、金属元素、炭素、窒素および酸素の各原子を含み、前記金属元素として銅を含む燃料電池用電極触媒を、前記触媒前駆体として用いてもよい。
前記触媒前駆体は、好ましくは、解砕してから次の接触工程に供される。
<接触工程>
接触工程においては、前記触媒前駆体と酸性溶液とを接触させることにより燃料電池用電極触媒を得る。
前記酸としては、塩化水素、硫酸、クエン酸、酢酸、弗酸、リン酸および硝酸が挙げられ、塩化水素、硫酸、クエン酸、酢酸、硝酸およびリン酸が好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸性溶液の溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、水酸基を有する化合物、エーテル結合を有する化合物および水がより好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール、THF(テトラヒドロフラン)等の環状エーテルおよび水がさらに好ましく、水が特に好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記酸性溶液中の前記酸の濃度は、25℃において、好ましくは、0.01〜15Nであり、より好ましくは0.5〜13Nであり、さらに好ましくは1〜13Nである。酸の濃度が上記範囲にあると、触媒前駆体中の銅の溶解が均一に起こりやすい点で好ましい。
また、前記接触工程の際の温度(以下「接触温度」ともいう。)は、好ましくは15〜100℃であり、より好ましくは20〜80℃であり、さらに好ましくは25〜70℃である。前記接触温度が上記範囲にあると、触媒前駆体中の銅の溶解が早く、酸性溶液が蒸発し難い点で好ましい。
前記接触工程の時間(以下「接触時間」ともいう。)は、好ましくは0.1〜500時間であり、より好ましくは5〜300時間であり、さらに好ましくは6〜150時間である。前記接触時間が上記範囲にあると、触媒前駆体中の銅の溶解が均一に進行する点で好ましい。
前記接触工程においては、たとえば、前記触媒前駆体および前記酸性溶液を容器内に仕込むことによって、両者を接触させる。この際、撹拌を行うことが好ましい。
前記触媒前駆体と前記酸性溶液との割合は、これらの種類等にも依存するが、目安としては、酸性溶液が、前記触媒前駆体1gに対して、好ましくは10〜50000mLであり、より好ましくは30〜10000mLである。
前記触媒前駆体と酸性溶液とを接触させることにより、触媒前駆体中の金属元素の一部を溶出する。たとえば、溶出前の触媒前躯体中に含まれる銅の内、好ましくは50%以上、より好ましくは90%以上を溶出させる。前記触媒前駆体に銅以外の金属元素が含まれる場合には、触媒前駆体中に銅以外の元素が残留するのであれば、銅を全て溶出させてもよい。金属元素の溶出量は、たとえば、前記酸の濃度を高める、前記接触温度を高める、または前記接触時間を長くするなどすると、増加する傾向にある。
前記接触工程は、接触工程を経て得られた固形分(以下「接触処理物」ともいう。)を回収することによって終了する。前記接触処理物の回収手段としては、吸引ろ過、遠心分離等の公知の手法が挙げられる。
<洗浄工程>
本発明の製造方法は、好ましくは、前記接触工程の後に、前記接触処理物を洗浄する洗浄工程を含む。
洗浄工程を設けることによって、接触工程後の前記接触処理物から、電解質膜劣化の要因となる溶出した金属成分を、より一層除去することができる。
前記洗浄工程は、たとえば、洗浄液および前記接触処理物を容器内に仕込むことによって、両者を接触させることにより実施される。この際、撹拌を行うことが好ましい。
前記洗浄液としては、水などが挙げられる。
<乾燥工程>
本発明の製造方法は、好ましくは、前記接触工程の後に、接触処理物を乾燥させる乾燥工程を含み、より好ましくは前記洗浄工程に乾燥工程を含む。
前記乾燥工程における乾燥の態様としては、真空乾燥(減圧乾燥)、加熱乾燥などが挙げられる。
乾燥工程は、接触処理物の凝集を防ぐ観点から、好ましくは100℃以下の温度で行われる。
[燃料電池用電極触媒]
本発明に係る燃料電池用電極触媒は、前記の本発明に係る製造方法により製造される触媒である。
前記燃料電池用電極触媒は、触媒能を高めるため、粉末であることが好ましい。
前記燃料電池用電極触媒は、白金触媒の代替触媒として使用することができる。
本発明の燃料電池用電極触媒の製造方法によれば、比表面積の大きな燃料電池用電極触媒が製造され、本発明の触媒のBET法で算出される比表面積は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100〜1200m2/g、さらに好ましくは200〜900m2/gである。この比表面積は、たとえば、接触工程において触媒前駆体中の金属元素を多く除去するほど、大きくすることができる。
[用途]
(燃料電池用電極触媒層)
本発明に係る燃料電池用電極触媒層は、前記燃料電池用電極触媒を含む。
前記燃料電池用電極触媒層は、好ましくは電子伝導性粉末をさらに含む。前記触媒を含む燃料電池用電極触媒層がさらに電子伝導性粉末を含む場合には、還元電流をより高めることができる。電子伝導性粉末は、前記触媒に、電気化学的反応を誘起させるための電気的接点を生じさせるため、還元電流を高めると考えられる。
前記電子伝導性粒子は、通常、触媒の担体として用いられる。
また前記燃料電池用電極触媒層は、好ましくは、高分子電解質をさらに含む。前記高分子電解質としては、燃料電池用電極触媒層において一般的に用いられているものであれば特に限定されない。
前記燃料電池用電極触媒層は、アノード触媒層またはカソード触媒層のいずれにも用いることができる。前記燃料電池用電極触媒層は、高い酸素還元能を有し、酸性電解質中において高電位であっても腐蝕しがたい触媒を含むため、燃料電池のカソードに設けられる触媒層(カソード用触媒層)として有用であり、固体高分子型燃料電池が備える膜電極接合体のカソードに設けられる触媒層として特に有用である。
(電極)
本発明に係る電極は、前記燃料電池用電極触媒層と多孔質支持層とを有することを特徴としている。
前記電極はカソードまたはアノードのいずれの電極にも用いることができる。前記電極は、耐久性に優れ、触媒能が大きいので、カソードとして用いると、より効果を発揮する。
(膜電極接合体)
本発明の膜電極接合体(以下「MEA」ともいう。)は、カソードとアノードと前記カソードおよび前記アノードの間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードは前記の本発明に係る電極である。好ましくは、前記カソードとして前記の本発明に係る電極が用いられ、この際、アノードとしては、従来公知の燃料電池用電極、たとえば白金系触媒を含む電極を用いてもよい。
電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系を用いた電解質膜または炭化水素系電解質膜などが一般的に用いられるが、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜または多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
本発明によれば、膜電極接合体のセル電圧(後述する「膜電極接合体の触媒能と耐久性の評価」での「運転開始20時間後のセル電圧」(触媒能))を、触媒を該触媒の製造に用いる触媒前駆体に変更して作成し同様に測定された膜電極接合体のセル電圧よりも、好ましくは50mV以上、より好ましくは80mV以上、さらに好ましくは100mV以上高めることができる。
また、燃料電池の連続運転を開始した後、その電圧変動が小さい状態でほぼ一定になった際の、単位時間当たりの電圧降下(後述する「膜電極接合体の触媒能と耐久性の評価」での「電圧降下の傾き」(触媒耐久性))を、好ましくは6mV/時間以下、より好ましくは3mV/時間以下、さらに好ましくは1.5mV/時間以下とすることができる。
(燃料電池)
本発明に係る燃料電池は、前記膜電極接合体を備える。
燃料電池の電極反応はいわゆる3相界面(電解質‐電極触媒‐反応ガス)で起こる。燃料電池は、使用される電解質などの違いにより数種類に分類され、溶融炭酸塩型(MCFC)、リン酸型(PAFC)、固体酸化物型(SOFC)、固体高分子型(PEFC)等がある。本発明に係る燃料電池としては、固体高分子型燃料電池が好ましい。
以下に、本発明を実施例等により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
各種測定は、下記の方法により行なった。
1.元素分析;
<金属>
試料約0.1gを石英ビーカーに量り取り、硫酸,硝酸およびフッ酸を用いて試料を完全に加熱分解した。冷却後、この溶液を100mlに定容し、さらに適宜希釈し、ICP−OES(SII社製VISTA−PRO)またはICP−MS(Agilent社製HP7500)を用いて定量を行った。
<炭素、硫黄>
試料約0.01gを量り取り、炭素硫黄分析装置(堀場製作所製EMIA−920V)にて測定を行った。
<窒素、酸素>
試料約0.01gを量り取り、Niカプセルに試料を封入して、酸素窒素分析装置(LECO製TC600)にて測定を行った。
<フッ素>
試料数mgを、酸素気流下、水蒸気を通気しながら燃焼分解した。発生したガスを10mM Na2CO3(過酸化水素を含む。補正用標準Br‐:5ppm)に吸収させ、イオンクロマトグラフィーでフッ素の量を測定した。
燃焼分解条件:
試料燃焼装置:AQF−100((株)三菱化学アナリテック社製)
燃焼管温度:950℃(試料ボード移動による昇温分解)
イオンクロマトグラフィー測定条件
測定装置:DIONEX DX−500
溶離液:1.8mM Na2CO3+1.7mM NaHCO3
カラム(温度):ShodexSI−90(室温)
流速:1.0ml/分
注入量:25μl
検出器:電気伝導度検出器
サプレッサー:DIONEX ASRS−300
2.BET比表面積測定;
島津製作所株式会社製 マイクロメリティクス ジェミニ2360を用いてBET比表面積を測定した。前処理時間、前処理温度は、それぞれ30分、200℃に設定した。
3.膜電極接合体の評価;
(1)アノードの作製
(i)アノード用インクの調製
純水50mlに、白金担持カーボン(TEC10E60E、田中貴金属工業製)0.6gと、プロトン伝導性材料(NAFION(登録商標))0.25gを含有する水溶液(5%ナフィオン(NAFION(登録商標))水溶液、和光純薬工業製)5gとを入れて、超音波分散機(UT−106H型シャープマニファクチャリングシステム社製)で1時間混合することにより、アノード用インクを調製した。
(ii)アノード触媒層を有する電極の作製
ガス拡散層(カーボンペーパー(TGP−H−060、東レ社製))を、アセトンに30秒間浸漬して脱脂した後、乾燥させ、次いで10%のポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」ともいう。)水溶液に30秒間浸漬した。
浸漬物を、室温乾燥後、350℃で1時間加熱することにより、カーボンペーパー内部にPTFEが分散し撥水性を有するガス拡散層(以下「GDL」ともいう。)を得た。
次に、5cm×5cmの大きさとした前記GDLの表面に、自動スプレー塗布装置(サンエイテック社製)により、80℃で、前記アノード用インクを塗布した。スプレー塗布を繰り返し行うことにより、単位面積あたりの白金(Pt)量が1mg/cm2であるアノード触媒層を有する電極(以下、単に「アノード」ともいう。)を作製した。
(2)カソードの作製
(i)カソード用インクの調製
実施例および比較例で得られた各触媒について、触媒0.2g、電子伝導性材料としてのカーボンブラック(ケッチェンブラックEC300J、ライオン(株))0.05g、およびプロトン伝導性材料水溶液(ナフィオン(NAFION(登録商標))を0.14g含有する水溶液、和光純薬工業(株))0.75gを、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎、(株)シンキー)で15分間混合することにより、カソード用インクを調製した。
(ii)カソード触媒層を有する電極の作製
ガス拡散層(カーボンペーパー(TGP−H−060、東レ(株)))を、アセトンに30秒間浸漬して脱脂した後、乾燥させ、次いで10%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)水分散液(PTFE60%水分散液(アルドリッチ製)を水で6倍希釈したもの)に30秒間浸漬した。
浸漬物を、室温乾燥後、350℃で1時間加熱することにより、カーボンペーパー内部にPTFEが分散し撥水性を有するガス拡散層(以下「GDL」ともいう。)を得た。
次に、5cm×5cmの大きさとした前記GDLの表面に、バーコーター塗布法により、80℃で、前記カソード用インクを塗布しカソード触媒層をGDL表面に有する電極(以下、単に「カソード」ともいう。)を作製した。
(3)燃料電池用膜電極接合体の作製
電解質膜としてのナフィオン(NAFION(登録商標))膜(NR−212、DuPont社製)を、前記(2)で作製したカソードおよび前記(1)で作製したアノードで挟み、カソード触媒層およびアノード触媒層が前記電解質膜に密着するように、ホットプレス機を用いて、温度140℃、圧力3MPaで6分間かけてこれらを熱圧着することにより、前記カソードと前記アノードとの間に前記電解質膜を配置した燃料電池用膜電極接合体(以下「MEA」ともいう。)を作製した。
(4)単セルの作製
前記MEAを、2つのシール材(ガスケット)、2つのガス流路付きセパレーター、2つの集電板および2つのラバーヒータで順次挟んでボルトで固定し、これらを所定の面圧(4N)になるように締め付けて、固体高分子型燃料電池の単セル(セル面積:5cm2)を作製した。
(5)膜電極接合体の触媒能と耐久性の評価
前記単セルを80℃、アノード加湿器を80℃、カソード加湿器を80℃に温度調節した。アノード側に燃料として水素を流量0.1リットル/分で供給し、カソード側に酸化剤として酸素を流量0.1リットル/分で供給し、両側ともに300kPaの背圧をかけながら、前記単セルに0.1A/cm2の定電流負荷を与えた際のセル電圧の経時変化を測定し、30秒ごとに取得されたセル電圧のデータから、電圧の経時変化をプロットして電圧の経時変化曲線を作成した(図1〜6)。そして、この電圧の経時変化曲線に基づき、連続運転開始後に一旦急激な電圧変動が生じる段階(段階a)と、該段階a後の、電圧変動が急激に小さくなる遷移段階(段階b)と、該段階b後の、電圧変動が小さい状態でほぼ一定になる段階(段階c)とを把握した。多くの場合、運転開始5時間程度で前記段階cに移行する。
そして、前記段階cに移行した後である運転開始20時間後のセル電圧を測定し、その値が大きいほど触媒能が高いと評価した。
また、前記段階cに移行した後の部分のうち、セル電圧の時間変化の比較的少ない部分(連続運転開始5時間後から20時間後までの間)におけるセル電圧のプロットを最小二乗法によって直線に近似し、得られた近似直線の傾きの絶対値(すなわち、単位時間当たりの電圧降下。「電圧降下の傾き」ともいう。)が小さいほど、触媒耐久性が高いと評価した。
なお、もし運転開始5時間経過後も前記段階cに移行しない場合は、段階cに移行するまで、前記の測定時間を順次繰り延べして測定してもよい。この場合、各膜電極接合体間の相対的評価として、運転開始後の同じ時間で測定したデータ同士を比較することが好ましい。
[比較例1]
ビーカーに、メタノール50mlを入れ、これを攪拌しながら二塩化銅2.75g(20.45mmol)、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社)12.5ml、酢酸鉄(II)355mg(2.05mmol)を順次加えた。得られた溶液にピラジンカルボン酸7.61g(60.8mmol)を少量ずつ加えた後、3時間の攪拌を行い混合物(1)を得た。なおこの攪拌中に、時間の経過とともに沈殿物が生じた。
ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記混合物(1)を撹拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させ、得られた固形分残渣を、さらに窒素気流下、300℃で1時間加熱し、室温まで放冷し、自動乳鉢で30分間すり潰して3.47gの焼成用粉末(1)を得た。
1.80gの焼成用粉末(1)を、ロータリーキルン炉に水素ガスを4体積%含む窒素ガス(すなわち、水素ガス:窒素ガス=4体積%:96体積%の混合ガス)を20ml/分の速度で流しながら、昇温速度10℃/分で950℃まで加熱し、950℃で0.5時間焼成し、自然冷却することにより、703mgの粉末状の触媒前駆体(1)(以下「触媒(c1)」ともいう。)を得た。
また、前記触媒(c1)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。なお、形成されたカソード層において、触媒(c1)およびカーボンブラックの総質量(単位面積当たりの質量)は2.5mg/cm2であり、触媒(c1)の質量(単位面積当たりの質量)は、2.27mg/cm2であった。
触媒(c1)の評価結果を表1に示す。
[実施例1]
1.燃料電池用電極触媒の調製;
各原料の量を4倍としたこと以外は比較例1と同様の方法により、触媒前駆体(1)を製造した。
2800mgの前記触媒前駆体(1)および100mlの濃塩酸(12N)を、室温(25℃)で、攪拌子を入れた三角フラスコ中で6時間攪拌し、次いで2枚重ねたフィルター(桐山ロート用濾紙 No.5B、桐山製作所)を用いてろ過した。残渣を蒸留水で洗浄しろ過する操作を、ろ液が中性近く(pH約6)になるまで繰り返し、その後残渣を、乾燥機内に80℃で8時間放置して水分を除去することにより、742mgの触媒(1)を得た。
また、前記触媒(1)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。なお、形成されたカソード層において、触媒(1)およびカーボンブラックの総質量(単位面積当たりの質量)は2.5mg/cm2であり、触媒(1)の質量(単位面積当たりの質量)は、2.06mg/cm2であった。
触媒(1)の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
ビーカーに、メタノール200mlを入れ、これを攪拌しながら二塩化銅11.0g(81.8mmol)、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社)50ml、酢酸鉄(II)1.42mg(8.18mmol)を順次加えた。得られた溶液にピラジンカルボン酸30.5g(0.25mol)を少量ずつ加えた後、3時間の攪拌を行い(なおこの攪拌中に、時間の経過とともに沈殿物が生じた。)、さらに炭酸ナトリウム1.73g(16.4mmol)を蒸留水60mlに溶解させて調製した溶液を少量ずつ添加して、混合物(2)を得た。
ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記混合物(2)を撹拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させ、得られた固形分残渣を、さらに窒素気流下、300℃で1時間加熱し、室温まで放冷し、自動乳鉢で30分間すり潰して16.1gの焼成用粉末(2)を得た。
1.20gの焼成用粉末(2)を、ロータリーキルン炉に水素ガスを4体積%含む窒素ガス(すなわち、水素ガス:窒素ガス=4体積%:96体積%の混合ガス)を20ml/分の速度で流しながら、昇温速度10℃/分で890℃まで加熱し、890℃で0.5時間焼成し、自然冷却することにより、862mgの粉末状の触媒前駆体(2)(以下「触媒(c2)」ともいう。)を得た。
また、前記触媒(c2)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。
触媒(c2)の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
各原料の量を4倍としたこと以外は比較例2と同様の方法により、触媒前駆体(2)を製造した。
触媒前駆体(1)を2800mgの触媒前駆体(2)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、604mgの触媒(2)を製造した。
触媒(2)の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
二塩化銅2.75gを四塩化チタン2.56g(13.5mmol)および二塩化銅0.907g(6.75mmol)に変更し、ピラジンカルボン酸の量を10.2g(81.8mmol)に変更したこと以外は比較例1と同様の操作を行い、439mgの粉末状の触媒前駆体(3)(以下「触媒(c3)」ともいう。)を得た。なお、この過程で得られた焼成用粉末の質量は4.87gであった。
また、前記触媒(c3)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。
触媒(c3)の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
各原料の量を4倍としたこと以外は比較例3と同様の方法により、触媒前駆体(3)を製造した。
触媒前駆体(1)を1479mgの触媒前駆体(3)に変更し、濃塩酸の量を53mlに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、418mgの触媒(3)を製造した。
触媒(3)の評価結果を表1に示す。
[比較例4]
ビーカーに、アセチルアセトン1.30g(13.0mmol)を入れ、これを攪拌しながらジルコニウムテトラブトキシド3.97g(10.4mmol)および酢酸8mlを加え、ジルコニウム溶液(4)を調製した。
ビーカーに、水70ml、エタノール60ml、および酢酸70mlを入れ、これらを攪拌しながらピラジンカルボン酸4.37g(35.2mmol)、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社)5mlを加えて、酢酸鉄(II)145mg(0.835mmol)を少量ずつ加えて10分程かけて溶解させた。次に温度を室温に保ちながら、かつ攪拌しながら、上記のジルコニウム溶液(4)を10分間かけて滴下し、溶液Aを得た。
ビーカーに、メタノール50mlを入れ、これを攪拌しながら、二塩化銅2.75g(20.4mmol)、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社)12.5ml、酢酸鉄(II)355mg(2.05mmol)を加えた。得られた溶液に、これを攪拌しながら、ピラジンカルボン酸7.61g(60.8mmol)を少量ずつ加え、溶液Bを得た。
溶液Aに溶液Bを滴下した後、3時間の攪拌を行い混合物(4)を得た。なおこの攪拌中に、時間の経過とともに沈殿物が生じた。
ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記混合物(4)を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形物残渣を自動乳鉢で30分間すり潰して、5.34gの焼成用粉末(4)を得た。
焼成用粉末(1)を焼成用粉末(4)に変更したこと以外は比較例1と同様の操作を行い、641mgの粉末状の触媒前駆体(4)(以下「触媒(c4)」ともいう。)を得た。
また、前記触媒(c4)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。
触媒前駆体(c4)の評価結果を表1に示す。
[実施例4]
各原料の量を2倍としたこと以外は比較例4と同様の方法により、触媒前駆体(4)を製造した。
触媒前駆体(1)を735mgの触媒前駆体(4)に変更し、濃塩酸の量を26mlに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、341mgの触媒(4)を製造した。
触媒(4)の評価結果を表1に示す。
[比較例5]
ビーカーに、酢酸158mlを入れ、これを攪拌しながら亜鉛アセチルアセトナート4.64g(17.6mmol)を加え、亜鉛溶液(5)を調製した。
ビーカーに、水70ml、エタノール60ml、および酢酸70mlを入れ、これらを攪拌しながらピラジンカルボン酸8.74g(70.4mmol)、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社)10mlを加えて、超音波洗浄器を用いた超音波の照射によりこれらを溶解させた。得られた溶液に、これを攪拌しながら、酢酸鉄(II)290mg(1.67mmol)を少量ずつ加えて10分程かけて溶解させた。次に温度を室温に保ちながら、かつ攪拌しながら、上記の亜鉛溶液(5)を10分間かけて滴下し、溶液Aを得た。
ビーカーに、メタノール25mlを入れ、これを攪拌しながら、二塩化銅1.37g(10.2mmol)、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社)6.25ml、酢酸鉄(II)178mg(1.02mmol)を加えた。得られた溶液に、これを攪拌しながら、ピラジンカルボン酸3.81g(30.4mmol)を少量ずつ加え、溶液Bを得た。
溶液Aに溶液Bを滴下した後、3時間の攪拌を行い混合物(5)を得た。なおこの攪拌中に、時間の経過とともに沈殿物が生じた。
ロータリーエバポレーターを用い、窒素雰囲気の減圧下で、ホットスターラーの温度を約100℃に設定し、前記混合物(5)を加熱かつ攪拌しながら、溶媒をゆっくり蒸発させた。完全に溶媒を蒸発させて得られた固形物残渣を自動乳鉢で30分間すり潰して、5.76gの焼成用粉末(5)を得た。
焼成用粉末(1)を焼成用粉末(5)に変更したこと以外は比較例1と同様の操作を行い、444mgの粉末状の触媒前駆体(5)(以下「触媒(c5)」ともいう。)を得た。
また、前記触媒(c5)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。
触媒(c5)の評価結果を表1に示す。
[実施例5]
各原料の量を3倍としたこと以外は比較例5と同様の方法により、触媒前駆体(5)を製造した。
触媒前駆体(1)を1100mgの触媒前駆体(5)に変更し、濃塩酸の量を40mlに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、611mgの触媒(5)を製造した。
触媒(5)の評価結果を表1に示す。
[比較例6]
二塩化銅2.75gを二塩化銅1.81g(13.5mmol)および五塩化タンタル2.42g(6.75mmol)に変更し、ピラジンカルボン酸の量を10.2g(81.8mmol)に変更したこと以外は比較例1と同様の操作を行い、890mgの粉末状の触媒前駆体(6)(以下「触媒(c6)」ともいう。)を得た。なお、この過程で得られた焼成用粉末の質量は4.27gであった。
また、前記触媒(c6)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。
触媒(c6)の評価結果を表1に示す。
[実施例6]
比較例6と同様の方法により触媒前駆体(6)を製造した。
触媒前駆体(1)を834mgの触媒前駆体(6)に変更し、濃塩酸の量を30mlに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、516mgの触媒(6)を製造した。
また、前記触媒(6)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。
触媒(6)の評価結果を表1に示す。
[比較例7]
二塩化銅2.75gを四塩化チタン2.56g(13.5mmol)に変更し、ピラジンカルボン酸の量を10.2g(81.8mmol)に変更し、酢酸鉄(II)の量を71mg(0.41mmol)に変更したこと以外は比較例1と同様の操作を行い、323mgの粉末状の触媒(c7)を得た。なお、この過程で得られた焼成用粉末の質量は3.21gであった。
また、前記触媒(c7)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。
触媒(c7)の評価結果を表1に示す。
[比較例8]
比較例4と同様にジルコニウム溶液(4)を調製した。
ビーカーに、水200ml、エタノール160ml、および酢酸200mlを入れ、これらを攪拌しながらピラジンカルボン酸11.98g(96.0mmol)、5%ナフィオン(NAFION(登録商標))溶液(DE521、デュポン社)5mlを加えて、酢酸鉄(II)44mg(0.251mmol)を少量ずつ加えて10分程かけて溶解させた。次に温度を室温に保ちながら、かつ攪拌しながら、上記のジルコニウム溶液(4)を10分間かけて滴下し、溶液(c8)を得た。
混合物(4)を溶液(c8)に変更した以外は、比較例4と同様の操作を行い、318mgの粉末状の触媒(c8)を得た。なお、この過程で得られた焼成用粉末の質量は2.95gであった。
また、前記触媒(c8)を用いて、上述した手順により単セルを作成し、その評価を行った。
触媒(c8)の評価結果を表1に示す。
Figure 0006124871
実施例1の単セルでは、比較例1と比べて、運転開始20時間後のセル電圧が高く、電圧降下の傾きが小さかった。
比較例2〜6と実施例2〜6とそれぞれを比較しても、実施例の単セルの方が運転開始20時間後のセル電圧が高かった。また、実施例での電圧降下の傾きは、比較例と同等または比較例よりも小さかった。
実施例3の単セルは、触媒(3)とほぼ同等の組成を持つ、接触工程を経ずに得られた触媒(c7)を用いた比較例7と比べても、運転開始20時間後のセル電圧が高く、電圧降下の傾きが小さかった。実施例4と比較例8とを比べても同様であった。

Claims (13)

  1. 金属元素、炭素、窒素および酸素の各原子を含み、前記金属元素として銅を含み、前記金属元素として、さらに鉄を含むか、またはナトリウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛およびタンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む触媒前駆体を準備する工程、および
    前記触媒前駆体と酸性溶液とを接触させて触媒を得る接触工程
    を含む、燃料電池用電極触媒の製造方法。
  2. 前記金属元素の10〜99モル%が銅である請求項1に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  3. 前記金属元素として鉄をさらに含む請求項1または2に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  4. 前記金属元素の1〜20モル%が鉄である請求項3に記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  5. 前記金属元素としてナトリウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛およびタンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  6. 前記酸性溶液が塩化水素、硫酸、クエン酸および酢酸から選ばれる少なくとも1種の酸の水溶液である請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
  7. 前記接触工程を下記条件で行う請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の製造方法。
    温度:15〜100℃
    時間:0.1〜500時間
    酸の濃度:0.01〜15N
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により製造される燃料電池用電極触媒。
  9. 請求項8に記載の燃料電池用電極触媒を含む燃料電池用電極触媒層。
  10. 燃料電池用電極触媒層と多孔質支持層とを有する電極であって、前記燃料電池用電極触媒層が請求項9に記載の燃料電池用電極触媒層である電極。
  11. カソードとアノードと前記カソードおよび前記アノードの間に配置された電解質膜とを有する膜電極接合体であって、前記カソードおよび/または前記アノードが請求項10に記載の電極である膜電極接合体。
  12. 請求項11に記載の膜電極接合体を備える燃料電池。
  13. 固体高分子型燃料電池である請求項12に記載の燃料電池。
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