JP6121127B2 - 細胞回収用デバイス、装置及び方法 - Google Patents

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本発明は、接着細胞の選別と回収に用いる細胞回収デバイス、細胞の回収装置及び細胞の回収方法に関する。特に、光を用いて特定の細胞を選択的に回収する技術に関する。
細胞は生命の基本単位であり、培養細胞は生命科学における実験材料として広く用いられている。同じ個体から採取し同じDNAをもつ細胞でも、細胞の形態及び機能等の表現型は、細胞の種類によって多様である。多様性の背景となる後天的な遺伝子発現制御、特に幹細胞から分化細胞への分化や、その逆の脱分化の分子機構について関心が高まっている。このため、特定の生細胞を単離、培養及び解析する方法論が注目を集めている。多くの細胞は、増殖のために足場に対する接着を必要とする。それ故、これらの細胞は、ディッシュ又はフラスコ等の基板上に接着して培養される場合が多い。そこで、接着培養した生細胞のうち特定の細胞だけを選択的に分取する方法の開発が行われている。
例えば、特許文献1には、光照射によってその物性が変化する光応答性材料からなる細胞接着性表面を有する細胞培養キュベット(以下「第1の従来技術」とも記載する)が記載されている。当該文献には、この細胞接着性表面の上に細胞を培養し、目的の細胞に対して光を照射することにより、光応答性材料の物性が変化し、即ち細胞接着性が消失し、細胞を剥離及び回収できると記載されている。第1の従来技術の実施例において、光応答性材料としてジアリールエテン誘導体であるcis-1,2-ジシアノ-1,2-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)エタンが示されている。この分子を光応答性表面に用いる場合、400〜440 nmの波長域の青色光及び500〜600 nmの波長域の黄色光の光照射により、光応答性表面の光学的な特性を可逆的に制御可能であると記載されている。当該文献には、前記ジアリールエテン誘導体以外にも、細胞接着性表面に使用し得る光応答性材料として、アゾベンゼン、スピロピラン、スピロオキサジン、フルギド及びロイコ色素のような有機化合物の誘導体等の光応答性分子、これら光応答性分子自体を結合したモノマー、並びにこれらモノマーを重合したポリマー等が挙げられている。しかしながら、当該文献には、前記ジアリールエテン誘導体を光応答性分子として用いる方法以外については実施例に具体的な記載がない。また、当該文献には、モノマー及びポリマーの構造、それらの調製法、並びにそれらの化合物の構造に伴う効果は一切記載されていない。
特許文献2には、ポリエチレングリコールからなる主鎖2と、前記主鎖2の両末端側に配置された光分解性のニトロベンジル基3と、ニトロベンジル基3の末端側に配置された活性エステル基4とを含み、前記活性エステル基が、アミノ基又はヒドロキシル基に対する反応性を有することを特徴とする光分解性架橋剤(以下「第2の従来技術」とも記載する)が記載されている。当該文献には、この光分解性架橋剤と、ポリエチレングリコールなどの高分子化合物とを縮合させることにより得られる光分解性ゲルも記載されている。この光分解性ゲルは、高分子化合物のアミノ基又はヒドロキシル基が、光分解性架橋剤の活性エステル基と縮合して架橋される。当該文献には、第2の従来技術の実施例として、ポリスチレンからなる細胞培養基材の表面に前記光分解性ゲル層を形成した後、その表面に細胞接着性材料(フィブロネクチン)を塗布することにより、細胞接着性コート層を形成した、細胞培養器具が示されている。当該文献には、この細胞培養器具の表面に細胞を播種した後、特定領域に365 nmの紫外線を照射した結果、細胞の大きさが変化し、細胞が凝集する現象が記載されている。さらに振動を与えることにより、細胞の位置が変化する現象が記載されている。
非特許文献1には、光解離性リンカーを用いてArg-Gly-Aspからなるトリペプチド(RGDペプチド)を基板表面に結合し、RGDに細胞を接着させた後、光照射により光解離性リンカーを分解させ、RGDを基板から脱離させることにより、RGDペプチドを介して接着した細胞を基板から剥離する方法(以下「第3の従来技術」とも記載する)が記載されている。
前記のように、光に応答して物性が変化する化合物は、様々な用途に用いられている。例えば特許文献3には、遺伝子発現の制御系に関与する物質の一部に光解離性化合物を結合することにより遺伝子発現を抑制することを特徴とする遺伝子発現の制御方法が記載されている。当該文献には、前記方法により、DNA複製又は発現、RNA転写反応を、光を照射した箇所のみ選択的に、任意の時間で起こすことができると記載されている。また、前記方法において、使用される光解離性化合物は、単一化合物でも複数の化合物の複合物でもよいことが記載されている。
特許第3975266号公報 特開2012-80844号公報 特開2000-83667号公報
メラニー ヴィルクナー他、トリガード セル リリース フロム マテリアルズ ユージング バイオアドヒーシブ フォトクリーバブル リンカーズ、アドバンスドマテリアルズ、2011年、第23巻、3907-3910頁
特許文献1には、光照射による光応答性表面の細胞接着性の変化及びそれに基づく接着細胞の剥離又は回収については実施例に記載されていない。このため、当該文献には、光応答性表面の光学的特性(着色状態)の変化にともなって、細胞が表面から剥離するに十分な接着性の変化が生じているか、明確に示されていないという課題が存在した。
特許文献2には、光照射による光分解性ゲル層の分解により、上方の細胞接着性コート層の変形は示唆されるものの、基材からの細胞接着性コート層の剥離及び細胞の剥離は必ずしも実証されていないという課題が存在した。また、当該文献に記載の第2の従来技術で使用される光分解性ゲル層の主な原料は、接着性の低いポリエチレングリコール(以下、「PEG」とも記載する)である。このため、光分解性ゲル層の上に細胞接着性材料を塗布するだけでは、光分解性ゲル層及び細胞接着性コート層の間を均一且つ強固に結合させることが困難であるという課題が存在した。
非特許文献1に記載の第3の従来技術は、RGDペプチドと光解離性リンカーとを介して細胞を基材に結合するものであり、且つ細胞の剥離は、光解離性リンカーの光分解という不可逆的な化学反応に立脚する。従って、光照射前の細胞と基材との間の結合が強固であり、且つ光照射処理が細胞の剥離に直接反映される。当該文献には、金基板上にチオールアミン、(アミノ反応性)光解離性リンカー及びRGDペプチドを順次共有結合して形成した材料表面に細胞を接着させて、光を照射後、水溶液で洗浄することにより、85%以上の細胞が剥離した結果が記載されている。しかしながら、当該文献に記載の光解離性材料は、光による分解効率が最大70%であり、残りは表面に残留する。このため、当該文献に記載の第3の従来技術には、光解離性材料の分解効率が低いため、光による細胞剥離の均一性を向上させることが困難であるという課題が存在した。
それ故、本発明は、光解離性の材料を用いる細胞回収デバイスにおいて、細胞の剥離効率を向上させる技術を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の細胞回収デバイスは、基板と、光解離層とを備え、前記光解離層が、直列に連なる3以上の光解離ユニットと、基板と光解離ユニットとを結合させる基板の結合部材と、細胞接着性末端を有する、細胞と光解離ユニットとを結合させる細胞の結合部材とを含む1又は複数の光解離部材を含む。
本発明により、光解離性の材料を用いる細胞回収デバイスにおいて、細胞の剥離効率を向上させる技術を提供することが可能となる。
前記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、細胞回収デバイスの構成の一例を示す模式図である。 図2は、第1の構成の光解離部材の一例(1の光解離部材を含む実施形態)を示す模式図である。 図3は、第1の構成の光解離部材の他の例(複数の光解離部材からなる光解離部材の集合体を含む実施形態)を示す模式図である。 図4は、固相反応により本発明の細胞回収デバイスを製造する方法(固相プロセス)の一実施形態を示す工程図である。 図5は、基板の結合部材の原料300の模式図を示す図である。 図6は、光解離ユニットの原料100の模式図を示す図である。 図7は、光解離ユニットの結合部材の原料200の模式図を示す図である。 図8は、細胞の結合部材の原料400の模式図を示す図である。 図9は、保護された原料を用いて固相反応により本発明の細胞回収デバイスを製造する方法(固相プロセス)の一変形形態を示す工程図である。 図10は、光解離ユニットの原料140の模式図を示す図である。 図11は、液相反応により本発明の細胞回収デバイスを製造する方法(液相プロセス)の一実施形態を示す工程図である。 図12は、第2の構成の光解離部材の一例(樹状構造を有する細胞の結合部材を含む実施形態)を示す模式図である。 図13は、第2の構成の本発明による細胞回収デバイスに含まれる樹状構造の細胞の結合部材38の製造工程の一実施形態を示す工程図である。 図14は、分岐部材の原料800の模式図を示す図である。 図15は、本発明の細胞回収デバイスを用いる細胞の回収方法の一実施形態を示す工程図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。
<1. 直列構造を有する光解離ユニットを含む細胞回収デバイス>
本発明は、基板と、光解離層とを備える光回収デバイスに関する。
図1は、本発明による細胞回収デバイスの構成の一例について概略を示す模式図である。図1に示すように、本発明による細胞回収デバイス1は、基板2と、光解離層3とを備える。細胞回収デバイス1は、その表面に細胞4を接着することにより、該細胞を回収するために使用される。本明細書では、細胞回収デバイス1の形状として、図1に示すごとく平板状の形状を例として説明を行う。しかしながら、本発明の細胞回収デバイスの形状は必ずしも平板状である必要はない。平板状以外の他の形状、例えば粒子状のような形状も可能であって、この場合、光解離層を粒子状の基材の表面に形成すればよい。
基板2は、平坦な表面を有し、且つ光を透過する材料が好ましく、例えばガラス板、石英板又は各種プラスチック板等の材料を用いることができる。光を透過する材料を用いることにより、基板2を介して光を照射又は接着された細胞を観察することができる。
図2は、光解離層3を構成する部材(以下「光解離部材」とも記載する)の第1の構成を示す模式図である。以下、光解離部材の第1の構成について、図2を用いて説明する。
第1の構成において、光解離層3は、光解離ユニット5と、基板2と光解離ユニット5とを結合させる基板の結合部材6と、細胞4と光解離ユニット5とを結合させる細胞の結合部材8とを含む1又は複数の光解離部材13を含むことが必要である。光解離部材13は、基板2と細胞4との間に配置される。
光解離ユニット5は、光照射によって少なくとも2個の部分に解離する作用を有する基(以下、「光解離性基」とも記載する)を含む部材である。光解離ユニット5は、光照射によって解離する部分のうち2個において、隣接する2個の結合部材との結合点をそれぞれ有している。このため、光解離ユニット5に光照射すると、その両端に結合した2個の結合部材の間で光解離部材13は切断される。それ故、本発明による細胞回収デバイス1の光解離層3に光照射することにより、基板2と細胞4との間に配置された光解離部材13が光解離ユニット5の位置で切断されて、光解離層3が解離する。これにより、結果として細胞回収デバイス1から細胞2を剥離させることが可能となる。
光解離ユニット5に含まれる光解離性基としては、ニトロベンジル基(特開2010-260831号公報)、パラヒドロキシフェナシル基(テトラヘドロンレターズ、1962年、1巻、1頁)、7-ニトロインドリン基(ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティーズ、1976年、98巻、843頁)、2-(2-ニトロフェニル)エチル基(テトラヘドロン、1997年、53巻、4247頁)及び(クマリン-4-イル)メチル基(ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティーズ、1984年、106巻、6860頁)等を挙げることができる。
第1の構成において、光解離部材13は、直列に連なる3以上の光解離ユニット5を含むことが必要である。光解離ユニット5は、5以上が直列に連なるように配置されていることが好ましい。図2において、点線9は、複数の光解離ユニット5が直列に連なるように配置されている構造を略記したものである。図2に示すように、光解離部材13は、直列に連なるn個(nは3以上の整数である)の光解離ユニット5を含む。このため、n個の光解離ユニット5のうちいずれか1個が光解離すれば、光解離部材13は切断される。
一般に、直列に連なるt個(tは1以上の整数である)の光解離部材13の解離効率は1-(1-p)tで表される。ここで、pは1個の光解離ユニット当たりの解離効率である。例えば、非特許文献1に記載の第3の従来技術の場合、p=0.7である。前記文献に記載の光解離性リンカーを、2、3、5又は10個(t=2、3、5又は10)直列に連なるように配置する場合を仮定すると、その解離効率は、それぞれ91%、97.3%、99.7%又は99.9994%と計算される。このように、1個の光解離性リンカーしか含まない非特許文献1に記載の第3の従来技術の方法(解離効率70%)と比較して、3以上、好ましくは5以上の光解離ユニットを直列に連なるように配置する本発明による細胞回収デバイスは、光解離部材13の光解離効率を飛躍的に向上させることができる。ここで、直列数t=2の場合、t=1の場合と比較して解離効率はやや高いものの、約1割の光解離部材が未切断のまま残る。この場合、未切断の光解離部材を介して細胞が接着された状態を維持し、細胞が細胞回収デバイスから剥離しないおそれがある。それ故、本発明による細胞回収デバイス1は、直列に連なる光解離ユニット5の個数nを3以上、好ましくは5以上の整数とすることにより、非特許文献1に記載の第3の従来技術のごとく、1個の光解離ユニット当たりの解離効率が約70%とやや低い光解離性基及び光照射条件を用いた場合であっても、光解離部材13を高い効率で解離させることが可能となる。また、本発明による細胞回収デバイス1は、従来技術と比較してより穏やかな光照射条件(例えば、照射光量及び/又は照射時間)で高い剥離効率を得ることができるため、細胞に対する光毒性のリスクを回避し、細胞の活性を維持したまま回収することが可能となる。
細胞の結合部材8は、細胞4と光解離ユニット5とを結合させるための部材である。細胞の結合部材8は、一端に細胞接着性末端を有する。前記細胞接着性末端において選択的に細胞を接着させるために、細胞の結合部材8は、細胞接着性末端が細胞との接着性の高い基で、それ以外の部分が細胞との接着性が低い基で、それぞれ形成されていることが好ましい。細胞接着性末端に使用される基としては、アミノ基若しくはカルボキシル基等のイオン性の官能基、オレイル基(cis-9-オクタデセニル基)若しくはcis, cis-9,12-オクタデカジエニル基等のアルケニル基、又はRGD配列(Arg-Gly-Asp)を有するペプチド若しくはタンパク質等が好ましい。また、細胞接着性末端以外の部分に使用される基としては、ポリエチレングリコール(以下PEG)若しくはメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下MPC)の骨格を有する基、ポリ(4フッ化エチレン)若しくはパーフルオロカーボン等のフッ化炭素の骨格を有する基、又はアルキル基(例えば直鎖若しくは分岐鎖C1〜C12アルキル基)等が好ましい。
基板の結合部材6は、基板2と光解離ユニット5とを結合させるための部材である。基板の結合部材6は、細胞の結合部材8に含まれる細胞接着性末端による細胞の接着を阻害しないように、細胞との接着性が低い基、例えば、PEG若しくはMPCの骨格を有する基、フッ化炭素の骨格を有する基、又はアルキル基(例えば直鎖若しくは分岐鎖C1〜C12アルキル基)等を含み、さらに基板との結合部分として、例えばアミド基、エステル基又はトリアゾール環等を含むことが好ましい。
光解離部材13は、3以上の光解離ユニット5を相互に直列に結合させる光解離ユニットの結合部材7をさらに含んでもよい。この場合、光解離ユニット5と光解離ユニットの結合部材7とは交互に直列に連なるように配置される。そして、光解離部材13の一端に基板の結合部材6が、他端に細胞の結合部材8が、それぞれ配置される。光解離ユニットの結合部材7は、細胞の結合部材8に含まれる細胞接着性末端による細胞の接着を阻害しないように、細胞との接着性が低い基、例えば、PEG若しくはMPCの骨格を有する基、フッ化炭素の骨格を有する基、又はアルキル基等を含み、さらに光解離ユニット5との結合部分として、例えばアミド基、エステル基又はトリアゾール環等を含むことが好ましい。
本発明による細胞回収デバイス1で回収される細胞4の種類は特に限定されない。細胞4としては、基材に接着可能な培養細胞、初代培養細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞若しくは人工多能性幹細胞等の各種細胞、又はそれらから分化誘導して得た各種分化細胞が好ましい。前記の細胞に本発明の細胞回収デバイスを適用することにより、細胞の回収及び選別作業を効率的に行うことが可能となる。
前記の例では、1の光解離部材13が光解離層3に含まれる実施形態に基づき説明を行った。しかしながら、本発明による細胞回収デバイス1は、図3のごとく、複数の光解離部材13からなる光解離部材の集合体23を含んでもよい。この場合、光解離層3は、複数の光解離部材13からなる光解離部材の集合体23を含む。例えば、複数の光解離部材13を基板2の表面に隙間無く配向して配置した光解離部材の集合体23によって形成される自己組織化単分子膜(以下、「SAM膜」とも記載する)を、光解離層3として用いることができる。本発明による細胞回収デバイス1が複数の光解離部材13を含む場合、基板2と細胞4との間に複数の結合を形成することができる。このため、光照射前における基板2に対する細胞4の接着効率を、例えば通常の洗浄処理に耐える程度まで向上させることが可能となる。
本発明による細胞回収デバイスが前記の構造及び重合度を有していることは、例えば質量分析法(MS)又は光解離層の分解産物の液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、光解離層に含まれる光解離部材のスペクトル及び/又は分子量を測定することによって、確認することができる。
<2. 直列構造を有する光解離ユニットを含む細胞回収デバイスの製造方法>
本発明の細胞回収デバイスは、前記基板と、前記基板の結合部材とを結合させて基板の結合部材を固定化し、基板に固定化された基板の結合部材と3以上の前記光解離ユニットとを結合させて、基板の結合部材の末端に3以上の光解離ユニットを直列に連なるように連結させ、さらに基板に固定化された直列に連なる3以上の光解離ユニットと前記細胞の結合部材とを結合させて、光解離部材を形成させる方法により製造することができる。前記方法は、固相又は液相プロセスによって実施することができる。以下、各プロセスについて説明する。
〔固相プロセスによる細胞回収デバイスの製造〕
図4は、固相反応により本発明の細胞回収デバイスを製造する方法(以下、「固相プロセス」とも記載する)の一実施形態を示す工程図である。以下、図4に基づき、本発明の方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[基板の結合部材の固定化工程]
本発明の固相プロセスは、基板2と基板の結合部材の原料300とを反応させる基板の結合部材の固定化工程(工程1-1)を含むことが必要である。本工程により、基板の結合部材6が基板2に固定化された中間体500が形成される。
基板の結合部材の原料300は、基板の結合部材の骨格部分の両端に結合部分A及びB’をそれぞれ有する。結合部分Aは基板2と、結合部分B’は以下で説明する別の結合部分Bとのみ、それぞれ選択的に(すなわち容易に、定量的に、且つ不可逆的に)結合し、他の結合部分とは結合しない相補的な反応性基である。
基板の結合部材の原料300の模式図を図5に示す。図5に示すように、基板の結合部材の原料300は、基板の結合部材の骨格部分330の一端に結合部分(A)320を、他端に結合部分(B’)210を、それぞれ有する。基板の結合部材の骨格部分330は、前記で説明したように細胞との接着性が低い基で形成されている。また、結合部分(A)320、基板の結合部材の骨格部分330及び結合部分(B’)210は、原料300の分子内において直線状に配置される。
結合部分Aは、基板と選択的に結合し得ることから、基板がガラスである場合、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル又はトリクロロシリル基等であることが好ましい。結合部分B’は、以下で説明する結合部分Bと選択的に結合し得ることから、アジド(-N3)であることが好ましい。例えば、基板の結合部材の原料300が以下:
Figure 0006121127
のシランカップリング剤の場合、本工程は、当該技術分野で公知のシランカップリング反応条件において実施することができる。前記反応条件により、トリメトキシシラン基320(結合部分A)は基板2と選択的にシランカップリング反応して結合を形成するのに対し、アジド(結合部分B’)はトリメトキシシラン基320又は別のアジドと反応せず(すなわち、架橋反応又は自己重合反応することなく)、そのまま保持される。前記の特性を有する結合部分A及びB’を有する基板の結合部材の原料300を用いることにより、各結合部分を保護化することなく、基板の結合部材を基板に固定化することが可能となる。
[光解離ユニット固定化工程]
本発明の固相プロセスは、前記工程で得られた中間体500と1個の光解離ユニットの原料100とを反応させる光解離ユニット固定化工程(工程1-2)を含むことが必要である。本工程により、基板2に固定化された基板の結合部材6の末端に1個の光解離ユニット5が結合した中間体510が形成される。
光解離ユニットの原料100は、光解離ユニットの両端に結合部分B及びCをそれぞれ有する。結合部分B及びCは、別の結合部分B’又は以下で説明する別の結合部分C’とのみ、それぞれ選択的に(すなわち容易に、定量的に、且つ不可逆的に)結合し、他の結合部分とは結合しない相補的な反応性基である。
光解離ユニットの原料100の模式図を図6に示す。図6に示すように、光解離ユニットの原料100は、光解離ユニット5の一端に結合部分(B)110を、他端に別の結合部分(C)120を、それぞれ有する。結合部分(B)110、光解離ユニット5及び結合部分(C)120は、原料100の分子内において直線状に配置される。換言すると、結合部分(B)110と、結合部分(C)120とは、光解離ユニット5の光解離部位を間にはさむ両側の位置にそれぞれ配置される。
結合部分Bは、結合部分B’と選択的に結合し得ることから、アルキン基であることが好ましい。結合部分Cは、以下で説明する結合部分C’と選択的に結合し得ることから、カルボン酸、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基(以下NHS基)、スルフォジクロロフェニルエステル基(以下5-SDP基)若しくはテトラフルオロフェノールエステル基(以下TFP基)等の活性エステル基、又は酸ハライド等の官能基であることが好ましい。例えば、光解離ユニットの原料100が以下:
Figure 0006121127
の光分解性へテロ二価性架橋剤(特開2010-260831号公報)の場合、本工程は、当該技術分野で公知のフィスゲン反応(以下、「Click反応」とも記載する)条件において実施することができる。前記反応条件により、アルキン基110(結合部分B)は中間体500の末端に位置する基板の結合部材の原料300のアジド210(結合部分B’)とClick反応して結合(トリアゾール基)を形成するのに対し、カルボン酸のN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル(結合部分C)は如何なる基とも反応せず(すなわち、架橋反応又は自己重合反応することなく)、そのまま保持される。前記の特性を有する結合部分B及びCを有する光解離ユニットの原料100を用いることにより、結合部分Cを保護化することなく、結合部分BとB’とを選択的に結合させることが可能となる。
[光解離ユニットの結合部材固定化工程]
本発明の固相プロセスは、前記工程で得られた中間体510と1個の光解離ユニットの結合部材の原料200とを反応させる光解離ユニットの結合部材固定化工程(工程1-3)を含むことが必要である。本工程により、基板2に固定化された1個の光解離ユニット5の末端に1個の光解離ユニットの結合部材7が結合した中間体520が形成される。
光解離ユニットの結合部材の原料200は、光解離ユニットの結合部材の骨格部分の両端に結合部分B’及びC’をそれぞれ有する。結合部分B’及びC’は、別の結合部分B又はCとのみ、それぞれ選択的に(すなわち容易に、定量的に、且つ不可逆的に)結合し、他の結合部分とは結合しない相補的な反応性基である。
光解離ユニットの結合部材の原料200の模式図を図7に示す。図7に示すように、光解離ユニットの結合部材の原料200は、光解離ユニットの結合部材の骨格部分230の一端に結合部分(C’)220を、他端に別の結合部分(B’)210を、それぞれ有する。光解離ユニットの結合部材の骨格部分230は、前記で説明したように細胞との接着性が低い基で形成されている。また、結合部分(C’)220、光解離ユニットの結合部材の骨格部分230及び結合部分210(B’)は、原料200の分子内において直線状に配置される。
結合部分C’は、結合部分Cと選択的に結合し得ることから、アミノ基又は水酸基であることが好ましく、一級アミノ基であることが特に好ましい。例えば、光解離ユニットの結合部材の原料200が以下:
Figure 0006121127
のアジドペグアミンの場合、本工程は、当該技術分野で公知のアミド化反応条件において実施することができる。前記反応条件により、アミノ基220(結合部分C’)は中間体510の末端に位置する光解離ユニットの原料100のカルボン酸のNHSエステル120(結合部分C)と選択的に反応してアミド結合を形成するのに対し、アジド210(結合部分B’)は如何なる基とも反応せず(すなわち、架橋反応又は自己重合反応することなく)、そのまま保持される。前記の特性を有する結合部分を有する光解離ユニットの結合部材の原料200を用いることにより、結合部分B’を保護化することなく、結合部分CとC’とを選択的に結合させることが可能となる。
[光解離ユニット連結工程]
本発明の固相プロセスは、前記工程で得られた中間体520と1個の光解離ユニットの原料100とを反応させる光解離ユニット連結工程(工程1-4)を含むことが必要である。本工程により、基板2に固定化された1個の光解離ユニット5の末端に1個の光解離ユニットの結合部材7と1個の光解離ユニット5とが直列に連なるように連結された中間体600が形成される。
本工程で使用される光解離ユニットの原料100は、光解離ユニット固定化工程で使用されるものと同一である。本工程は、光解離ユニット固定化工程と同様に実施することができる。
[繰り返し工程]
本発明の固相プロセスは、前記光解離ユニットの結合部材固定化工程(工程1-3)と光解離ユニット連結工程(工程1-4)とをさらにn-2回(nは3以上の整数である)繰り返す繰り返し工程(工程1-5)を含むことが必要である。本工程により、基板2に固定化された1個の光解離ユニット5の末端に、n-1個の光解離ユニットの結合部材7と光解離ユニット5との組み合わせが直列に連なるように連結された中間体600が形成される。
本工程は、前記光解離ユニットの結合部材固定化工程(工程1-3)及び光解離ユニット連結工程(工程1-4)と同様に実施することができる。本工程を実施することにより、n個の光解離ユニット5を直列に連なるように連結させることが可能となる。
[光解離部材形成工程]
本発明の固相プロセスは、前記工程で得られた中間体600と細胞の結合部材の原料400とを反応させる光解離部材形成工程(工程1-6)を含むことが必要である。本工程により、基板2に固定化された交互に直列に連なるn個(nは3以上の整数である)の光解離ユニット及び光解離ユニットの結合部材の組み合わせの末端に細胞の結合部材8が結合した細胞回収デバイス1が形成される。
細胞の結合部材の原料400は、細胞の結合部材の骨格部分の一端に結合部分C’を、他端に細胞接着性末端を、それぞれ有する。
細胞の結合部材の原料400の模式図を図8に示す。図8に示すように、細胞の結合部材の原料400は、細胞の結合部材の骨格部分430の一端に結合部分(C’)220を、他端に細胞接着性末端410を、それぞれ有する。前記で説明したように、細胞の結合部材の骨格部分430は細胞との接着性が低い基で、細胞接着性末端410は細胞接着性の基で、それぞれ形成されている。また、結合部分(C’)220、細胞の結合部材の骨格部分430及び細胞接着性末端410は、原料400の分子内において直線状に配置される。
例えば、細胞の結合部材の原料400が以下:
Figure 0006121127
のジアミンの場合、本工程は、当該技術分野で公知のアミド化反応条件において、好ましくは原料400を過剰に用いることにより、実施することができる。前記反応条件により、アミノ基220(結合部分C’)は中間体600の末端に位置する光解離ユニットの原料100のカルボン酸のNHSエステル120(結合部分C)と反応してアミド結合を形成する。前記の特性を有する結合部分を有する細胞の結合部材の原料400を用いることにより、結合部分CとC’とを選択的に結合させることが可能となる。本実施形態における細胞接着性末端410は、アミノ基である。
以上のように、本発明の固相プロセスにより、第1の構成の本発明による細胞回収デバイス1が形成される。本発明の固相プロセスは、基板2上に各構成要素を順次段階的に結合させるため、光解離部材に含まれる光解離ユニット5の数nを精密に制御することができる。また、各工程における中間体500、510、520及び600は、基板2に固定されているため、各工程において洗浄を容易に行うことができ、結果として生成物の純度を向上させることができる。
本発明の固相プロセスにより得られた細胞回収デバイス1が所望の構造及び重合度を有していることは、例えば質量分析法(MS)又は光解離層の分解産物の液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、光解離層に含まれる光解離部材のスペクトル及び/又は分子量を測定することによって、確認することができる。
本発明の固相プロセスは、当該技術分野で公知のタンパク質又は核酸オリゴマーの固相合成法に関する知見(例えば結合部分の組み合わせ及びその反応条件)を適用することにより、細胞回収デバイス1の収率を向上させることができる。しかしながら、本発明の固相プロセスは、相補的な結合部分の組み合わせB及びC、並びにB’及びC’を有する2種類の原料を交互に結合させることにより、脱保護の手間を省くとともに、(保護基の分解のリスクなしに)各工程に最適な結合条件を採用することができるという、従来技術にはない利点を有する。
もちろん、本発明の固相プロセスは、従来の一般的な固相合成法、即ち保護された原料を用い、脱保護の工程を含む方法に則って行うことも可能である。以下、この変形例について説明する。
〔保護された原料を用いる固相プロセスによる細胞回収デバイスの製造〕
図9は、固相プロセスの変形例を示す工程図である。以下、図9に基づき、本発明の方法の変形例について、前記の実施形態との相違点を重点に説明する。
[基板の結合部材の固定化工程]
本発明の固相プロセスは、基板2と基板の結合部材の原料340とを反応させる基板の結合部材の固定化工程(工程2-1)を含む。本工程により、基板の結合部材6が基板2に固定化された中間体540が形成される。
基板の結合部材の原料340は、基板の結合部材の骨格部分の両端に結合部分A及びC’をそれぞれ有する。結合部分Aは基板2と、結合部分C’は以下で説明する別の結合部分Cとのみ、それぞれ選択的に結合し、他の結合部分とは結合しない相補的な反応性基である。
基板の結合部材の原料340は、基板の結合部材の骨格部分330の一端に結合部分(A)320を、他端に結合部分(C’)220を、それぞれ有する。
結合部分Aは、前記の実施形態と同様である。結合部分C’は、以下で説明する結合部分Cと選択的に結合し得ることから、アミノ基(-NH2)であることが好ましい。例えば、基板の結合部材の原料340が以下:
Figure 0006121127
のシランカップリング剤の場合、本工程は、当該技術分野で公知のシランカップリング反応条件において実施することができる。
[光解離ユニット固定化工程]
本発明の固相プロセスは、前記工程で得られた中間体540と1個の保護された光解離ユニットの原料140とを反応させる光解離ユニット固定化工程(工程2-2)を含む。本工程により、基板2に固定化された基板の結合部材6の末端に1個の保護された光解離ユニット5が結合した中間体550が形成される。
保護された光解離ユニットの原料140は、光解離ユニットの両端に結合部分C及び保護された結合部分C’’をそれぞれ有する。結合部分Cは、別の結合部分C’、あるいは以下で説明する保護された結合部分C’’を脱保護して得られる結合部分C’とのみ、選択的に結合し、他の結合部分とは結合しない相補的な反応性基である。
保護された光解離ユニットの原料140の模式図を図10に示す。図10に示すように、保護された光解離ユニットの原料140は、光解離ユニット5の一端に結合部分(C)120を、他端に別の保護された結合部分(C’’)240を、それぞれ有する。結合部分(C)120、光解離ユニット5及び保護された結合部分(C’’)240は、原料140の分子内において直線状に配置される。
結合部分Cは、前記結合部分C’と選択的に結合し得ることから、カルボン酸、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル基(以下NHS基)、スルフォジクロロフェニルエステル基(以下5-SDP基)若しくはテトラフルオロフェノールエステル基(以下TFP基)等の活性エステル基、又は酸ハライド等の官能基であることが好ましい。例えば、保護された光解離ユニットの原料140が以下:
Figure 0006121127
の保護された光分解性リンカー(アドバンスドケムテック社、カタログ番号RT1095)の場合、本工程は、当該技術分野で公知のアミド化反応条件において実施することができる。前記反応条件により、カルボキシル基120(結合部分C)は中間体540の末端に位置する基板の結合部材の原料340のアミノ基220(結合部分C’)と反応してアミド結合(アミド基)を形成するのに対し、Fmocにより保護されたアミノ基(結合部分C’’)は如何なる基とも反応せず(すなわち、架橋反応又は自己重合反応することなく)、そのまま保持される。前記の特性を有する結合部分C及びC’’を有する保護された光解離ユニットの原料140を用いることにより、結合部分C’とCとを選択的に結合させることが可能となる。
[脱保護反応工程]
本発明の固相プロセスは、前記工程で得られた中間体550に対し、脱保護反応を行う工程(工程2-3)を含む。本工程により、基板2に固定化された1個の光解離ユニット5の末端に1個の(脱保護された)光解離ユニットの結合部材7が結合した中間体560が形成される。
前記の保護された結合部分C’’、即ち前記の例においては具体的にはFmocにより保護されたアミノ基は、好ましくはピペリジン等の2級アミンによる処理を行うことにより、アミノ基からFmoc基が脱離し、アミノ基220、即ち結合部分C’が生じる。この反応は選択的に進行し、Fmocとアミノ基との間の結合以外は影響を受けない。この反応により、保護された結合部分C’’から、結合部分C’を選択的に生成させることが可能となる。
[光解離ユニット連結工程]
本発明の固相プロセスは、前記工程で得られた中間体560と1個の保護された光解離ユニットの原料140とを工程2-2と同様に反応させ、さらに脱保護反応を工程2-3と同様に行う、光解離ユニット連結工程(工程2-4)を含む。前者の反応により、中間体560の末端の結合部分C’即ちアミノ基220と、保護された光解離ユニットの原料140の結合部分C即ちカルボキシル基120との反応により、アミド基、即ち結合部材7が生成する。本工程により、基板2に固定化された1個の光解離ユニット5の末端に1個の結合部材7と1個の(脱保護された)光解離ユニット5とが直列に連なるように連結された中間体610が形成される。
本工程で使用される保護された光解離ユニットの原料140は、光解離ユニット固定化工程で使用されるものと同一である。本工程は、光解離ユニット固定化工程と同様に実施することができる。
[繰り返し工程]
本発明の固相プロセスは、前記光解離ユニット連結工程(工程2-4)をさらにn-2回(nは3以上の整数である)繰り返す繰り返し工程(工程2-5)を含む。本工程により、基板2に固定化された1個の光解離ユニット5の末端に、n-1個の結合部材7と光解離ユニット5との組み合わせが直列に連なるように連結された中間体610が形成される。
本工程は、前記光解離ユニット連結工程(工程2-4)と同様に実施することができる。本工程を実施することにより、n個の光解離ユニット5を直列に連なるように連結させることが可能となる。
[光解離部材形成工程]
本発明の固相プロセスは、前記工程で得られた中間体610と細胞の結合部材の原料440とを反応させる光解離部材形成工程(工程2-6)を含む。本工程により、基板2に固定化された交互に直列に連なるn個(nは3以上の整数である)の光解離ユニット及び光解離ユニットの結合部材の組み合わせの末端に細胞の結合部材8が結合した細胞回収デバイス1が形成される。
細胞の結合部材の原料440は、細胞の結合部材の骨格部分の一端に結合部分Cを、他端に細胞接着性末端を、それぞれ有する。
細胞の結合部材の原料440は、細胞の結合部材の骨格部分430の一端に結合部分(C)120を、他端に細胞接着性末端450を、それぞれ有する。前記で説明したように、細胞の結合部材の骨格部分430は細胞との接着性が低い基で、細胞接着性末端450は細胞接着性の基で、それぞれ形成されている。また、結合部分(C)120、細胞の結合部材の骨格部分430及び細胞接着性末端450は、原料440の分子内において直線状に配置される。
例えば、細胞の結合部材の原料440が以下:
Figure 0006121127
のジカルボン酸(コハク酸)の場合、本工程は、当該技術分野で公知のアミド化反応条件において実施することができる。前記反応条件により、カルボキシル基120(結合部分C)は中間体610の末端に位置する光解離ユニットの原料140を脱保護して生成したアミノ基220(結合部分C’)と反応してアミド結合を形成する。前記の特性を有する結合部分を有する細胞の結合部材の原料440を用いることにより、結合部分CとC’とを選択的に結合させることが可能となる。本実施形態における細胞接着性末端450は、カルボキシル基である。
以上のように、本発明の変形例の固相プロセスにより、第1の構成の本発明による細胞回収デバイス1が形成される。本発明の固相プロセスは、基板2上に各構成要素を順次段階的に結合させるため、光解離部材に含まれる光解離ユニット5の数nを精密に制御することができる。また、各工程における中間体540、550、560及び610は、基板2に固定されているため、各工程において洗浄を容易に行うことができ、結果として生成物の純度を向上させることができる。
本発明の固相プロセスにより得られた細胞回収デバイス1が所望の構造及び重合度を有していることは、例えば質量分析法(MS)又は光解離層の分解産物の液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、光解離層に含まれる光解離部材のスペクトル及び/又は分子量を測定することによって、確認することができる。
本発明の固相プロセスは、当該技術分野で公知のタンパク質又は核酸オリゴマーの固相合成法に関する知見(例えば結合部分の組み合わせ及びその反応条件)を適用することにより、細胞回収デバイス1の収率を向上させることができるという利点を有する。
〔液相プロセスによる細胞回収デバイスの製造〕
図11は、液相反応により本発明の細胞回収デバイスを製造する方法(以下、「液相プロセス」とも記載する)の一実施形態を示す工程図である。以下、図11に基づき、本発明の方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[基板の結合部材の固定化工程及び光解離ユニット固定化工程]
本発明の液相プロセスは、基板2と基板の結合部材の原料300とを反応させる基板の結合部材の固定化工程(工程3-1)を含むことが必要である。本工程により、基板の結合部材6が基板2に固定化された中間体500が形成される。また、本発明の液相プロセスは、前記工程で得られた中間体500と1個の光解離ユニットの原料100とを反応させる光解離ユニット固定化工程(工程3-2)を含むことが必要である。本工程により、基板2に固定化された基板の結合部材6の末端に1個の光解離ユニット5が結合した中間体510が形成される。前記工程3-1及び2-2は、前記で説明した固相プロセスにおける基板の結合部材の固定化工程(工程1-1)及び光解離ユニット固定化工程(工程1-2)とそれぞれ同様に実施することができる。
[直列構造単量体形成工程]
本発明の液相プロセスは、1個の光解離ユニットの結合部材の原料200と1個の光解離ユニットの原料100とを反応させる直列構造単量体形成工程(工程3-3)を含むことが必要である。本工程により、1個の光解離ユニット5と光解離ユニットの結合部材7とが直列に連なるように連結された、直列構造の単量体700が形成される。
本工程において、光解離ユニットの原料100及び光解離ユニットの結合部材の原料200は、前記で説明した液相プロセスにおけるものと同一の意味を表す。
前記で説明したように、光解離ユニットの原料100及び光解離ユニットの結合部材の原料200は、相補的な結合部分B及びC、又は結合部分B’及びC’をそれぞれ有する。それ故、結合部分B及びB’と結合部分C及びC’とを選択的に結合させて、1個の光解離ユニット5と光解離ユニットの結合部材7とが直列に連なるように連結された、直列構造の単量体を得ることが可能となる。
[直列構造重合体形成工程]
本発明の液相プロセスは、前記工程で得られた単量体700と細胞の結合部材の原料400とを反応させる直列構造重合体形成工程(工程3-4)を含むことが必要である。本工程により、n-1個(nは3以上の整数である)の単量体700が重合した直列構造重合体の末端に細胞の結合部材8が結合した中間体710が形成される。
本工程において、細胞の結合部材の原料400は、前記で説明した液相プロセスにおけるものと同一の意味を表す。
前記で説明したように、細胞の結合部材の原料400は、結合部分Cと相補的な結合部分C’を有する。また、単量体700は、互いに相補的な結合部分C及びC’を有する。それ故、単量体700及び細胞の結合部材の原料400を、結合部分(C)120及び結合部分(C’)220の反応に好適な条件で反応させると、単量体700の重合と、単量体700(又はその重合体)及び細胞の結合部材の原料400の反応とが同時に進行して、単量体700がm(mは2以上の整数である)個重合した重合体の末端に細胞の結合部材8が結合した、直列構造の光解離部材の中間体710が形成される。ここで、mは、重合体の重合度を意味し、n-1(nは前記で定義したのと同一の整数である)であることが必要である。重合体の重合度mは、中間体700と原料400とのモル比及び/又は結合条件により自由に制御することができる。或いは、本工程の反応終了後、反応生成物を例えばゲル浸透クロマトグラフィーによって分画することにより、所望の重合度mを有する中間体710を精製及び単離してもよい。前記の手段で重合体の重合度mをn-1に調整することにより、n個の光解離ユニットと光解離ユニットの結合部材とが交互に直列に連なるように配置された光解離部材を含む本発明による細胞回収デバイス1を製造することが可能となる。
[光解離部材形成工程]
本発明の液相プロセスは、前記工程で得られた中間体710と前記光解離ユニット固定化工程(工程3-2)で得られた中間体510とを反応させる光解離部材形成工程(工程3-5)を含むことが必要である。本工程により、本発明による細胞回収デバイス1が形成される。
前記で説明したように、中間体710は結合部分Cと相補的な結合部分C’を、中間体510は結合部分C’と相補的な結合部分Cを、それぞれ有する。それ故、中間体710及び中間体510を、結合部分(C)120及び結合部分(C’)220の反応に好適な条件で反応させると、中間体710と中間体510とが連結されて、細胞回収デバイス1が形成される。
以上のように、本発明の液相プロセスにより、第1の構成の本発明による細胞回収デバイス1が形成される。本発明の液相プロセスは、基本骨格となる単量体700を予め重合させて中間体710を形成した後に基板2に結合(固定化)させる。それ故、操作が簡単で、且つ製造が容易という利点を有する。
<3. 樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイス>
図12は、光解離層3を構成する光解離部材の第2の構成を示す模式図である。以下、光解離部材の第2の構成について、図12を用いて説明する。
第2の構成において、光解離層3は、光解離ユニット5と、基板2と光解離ユニット5とを結合させる基板の結合部材6と、細胞4と光解離ユニット5とを結合させる樹状構造の細胞の結合部材38とを含む1又は複数の光解離部材33を含むことができる。ここで、基板2、細胞4及び基板の結合部材6は、第1の構成におけるものと同一の意味を表す。
第2の構成において、樹状構造の細胞の結合部材38は、一端に分岐末端を有する複数の分岐部材が重合することによって形成される樹状構造を有し且つ複数の分岐末端に細胞接着性末端を有する。樹状構造の細胞の結合部材38は、一端に分岐末端を有する複数の分岐部材が重合することによって形成される樹状構造を有している点が、分岐末端を有さない第1の構成における細胞の結合部材8と相違する。前記樹状構造の分岐度Dは、3を超えることが好ましく、4以上であることがより好ましい。樹状構造の細胞の結合部材38は、樹状構造の複数の分岐末端に細胞接着性末端を有するため、1個の光解離部材33は、細胞4との間で複数の結合を形成することができる。それ故、前記範囲の分岐度Dを有する第2の構成の本発明による細胞回収デバイスは、第1の構成の本発明による細胞回収デバイスと比較して、細胞と光解離部材との接着領域を増大させることにより、細胞の接着効率を向上させることが可能となる。
第2の構成において、樹状構造の細胞の結合部材38は、分岐末端のそれぞれに細胞接着性末端を有してもよい。分岐末端のそれぞれに細胞接着性末端を有することにより、細胞と光解離部材との接着領域をさらに増大させて、細胞の接着効率を一層向上させることが可能となる。
第2の構成において、光解離部材33は、1又は複数の光解離ユニット5を含むことができる。光解離部材33は、直列に連なる3以上の光解離ユニット5を含むことが好ましく、直列に連なる5以上の光解離ユニット5を含むことがより好ましい。直列に連なる3以上の光解離ユニット5を含むことにより、前記で説明した第1の構成によって得られるのと同様の効果を得ることが可能となる。
光解離部材33は、複数の光解離ユニット5を相互に直列に結合させる光解離ユニットの結合部材7をさらに含んでもよい。この場合、光解離ユニット5と光解離ユニットの結合部材7とは交互に直列に連なるように配置される。そして、光解離部材13の一端に基板の結合部材6が、他端に細胞の結合部材8が、それぞれ配置される。ここで、光解離ユニットの結合部材7は、第1の構成におけるものと同一の意味を表す。
前記の例では、1個の光解離部材が光解離層に含まれる実施形態に基づき説明を行った。しかしながら、第2の構成の本発明による細胞回収デバイスは、第1の構成の本発明による細胞回収デバイスと同様に、複数の光解離部材からなる光解離部材の集合体を含んでもよい。第2の構成の本発明による細胞回収デバイスが複数の光解離部材を含むことにより、第1の構成の本発明による細胞回収デバイスと同様に、光照射前における基板に対する細胞の接着効率を、例えば通常の洗浄処理に耐える程度まで向上させることが可能となる。
本発明による第2の構成の樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイス1が所望の構造及び重合度を有していることは、例えば質量分析法(MS)又は光解離層の中間体若しくは分解産物の液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、光解離層に含まれる光解離部材のスペクトル及び/又は分子量を測定することによって、確認することができる。
<4. 樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイスの製造方法>
第2の構成の本発明による細胞回収デバイスは、前記で説明した細胞の結合部材の原料の代わりに、複数の分岐部材及び細胞の結合部材の原料の組み合わせを用いる他は、前記で説明した第1の構成の本発明による細胞回収デバイスの製造方法と同様の固相又は液相プロセスによって製造することができる。以下、複数の分岐部材及び細胞の結合部材の原料の組み合わせを用いて、樹状構造を有し且つ複数の分岐末端に細胞接着性末端を有する樹状構造の細胞の結合部材の製造工程について説明する。
〔樹状構造の細胞の結合部材の製造〕
図13は、第2の構成の本発明による細胞回収デバイスに含まれる樹状構造の細胞の結合部材38の製造工程の一実施形態を示す工程図である。以下、図13に基づき、本発明の方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[分岐部材重合工程]
本発明の樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイスの製造方法は、一端に分岐末端を有する複数の分岐部材の原料800を重合させる分岐部材重合工程(工程4-6)を含むことが必要である。本工程により、分岐部材が重合した樹状構造重合体850が形成される。
分岐部材の原料800は、一端に結合部分Cを有する分岐末端を、他端に結合部分C’を、それぞれ有する。前記で説明したように、結合部分Cは、結合部分C’とのみ選択的に(すなわち容易に、定量的に、且つ不可逆的に)結合し、他の結合部分とは結合しない相補的な反応性基である。前記分岐末端の分岐度dは、2〜4であることが好ましく、2であることがより好ましい。分岐度dが前記範囲である場合、少ない原料で所望の分岐度Dを有する第2の構成の細胞回収デバイスを製造することができる。
分岐部材の原料800の模式図を図14に示す。図14に示すように、分岐部材の原料800は、分岐部材の骨格部分830の一端に結合部分(C)820を有する分岐末端を、他端に別の結合部分(C’)220を、それぞれ有する。分岐部材の骨格部分830は、前記で説明した他の結合部材の骨格部分と同様に細胞との接着性が低い基で形成されている。
例えば、分岐部材の原料800が以下:
Figure 0006121127
のベータグルタミン酸の場合、本工程は、当該技術分野で公知のアミド化反応条件において実施することができる。前記反応条件により、アミノ基220(結合部分C’)は別の分岐部材の原料800の分岐末端に位置するカルボン酸820(結合部分C)と選択的に反応してアミド結合を形成する。前記の特性を有する結合部分を有する分岐部材の原料800を用いることにより、結合部分CとC’とを選択的に結合させて、樹状構造を有する樹状構造重合体850を得ることが可能となる。
前記で説明したように、分岐部材の原料800は、互いに結合部分Cと相補的な結合部分C’を有する。それ故、分岐部材の原料800を、結合部分(C)820及び結合部分(C’)220の反応に好適な条件で反応させると、分岐部材の原料800の重合が進行して、分岐部材の原料800がm’個重合した樹状構造重合体850が形成される。ここで、m’は、樹状構造重合体の重合度を意味し、2以上であることが必要である。m’は、15以上であることが好ましい。重合体の重合度m’は、分岐部材の原料800の重合条件により自由に制御することができる。或いは、本工程の反応終了後、反応生成物を例えばゲル浸透クロマトグラフィーによって分画することにより、所望の重合度m’を有する樹状構造重合体850を精製及び単離してもよい。前記の手段で重合体の重合度m’を15以上に調整することにより、所望の分岐度Dを有する本発明による細胞回収デバイス1を製造することが可能となる。
[樹状構造重合体形成工程]
本発明の樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイスの製造方法は、前記工程で得られた樹状構造重合体850と細胞の結合部材の原料400とを反応させる樹状構造重合体形成工程(工程4-7)を含むことが必要である。本工程により、分岐部材の原料800が重合した樹状構造重合体の末端に細胞の結合部材8が結合した中間体38が形成される。
本工程は、前記で説明した直列構造重合体形成工程(工程3-4)と同様の方法で実施することができる。
以上の工程で得られた樹状構造の細胞の結合部材の中間体38を、前記で説明した第1の構成の本発明による細胞回収デバイスの固相又は液相プロセスにおける細胞の結合部材の原料の代わりに用いることにより、第2の構成の樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイスを製造することができる。
本発明の方法により得られた第2の構成の樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイス1が所望の構造及び重合度を有していることは、例えば質量分析法(MS)又は光解離層の中間体の液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により、光解離層に含まれる光解離部材のスペクトル及び/又は分子量を測定することによって、確認することができる。
<5. 細胞の回収方法>
本発明はまた、細胞と前記の細胞回収デバイスとを接触させて、該細胞回収デバイスに細胞を接着させる細胞接着工程;前記細胞を接着させた細胞回収デバイスの光解離層の特定の領域に光を照射することにより、基板と細胞との間の結合を切断する光照射工程;前記工程で光を照射した光解離層の領域から細胞を選択的に剥離させて回収する細胞回収工程;を含む細胞の回収方法に関する。
図15は、本発明による細胞の回収方法の一実施形態の概略を示すフローチャートである。はじめに、細胞4を細胞回収デバイス1に播種して細胞4と細胞回収デバイス1とを接触させて、遠心分離又はインキュベート等の処理により、細胞回収デバイス1に細胞4を接着させる(細胞接着工程;1010)。次に、緩衝液を一定条件で流す等の処理により細胞回収デバイス1を洗浄して、未接着の死細胞等を洗浄除去し、接着した細胞4のみを細胞回収デバイス1の光解離層3の表面に残す(洗浄工程;1020)。次に、細胞4を接着させた細胞回収デバイス1の光解離層3の表面を位相差顕微鏡で観察するか、又は細胞回収デバイス1に接着した細胞4を蛍光染色した後に蛍光顕微鏡で観察することにより、細胞回収デバイス1の光解離層3の表面に接着した細胞4の特性評価を行い、剥離すべき細胞と、接着させたまま残す細胞とに分類(細胞の選定)する(評価選定工程;1030)。ここで、評価選定工程における選定対象は、必ずしも細胞単位でなくてもよい。例えば、剥離すべき細胞群が存在する領域と、接着させたまま残す細胞群が存在する領域とを分類又は選定してもよい。次に、評価選定工程における剥離又は接着の選定結果に応じて、細胞(又は細胞群を接着させた光解離層の領域)ごとに光の照射又は非照射を判断する(照射可否判断工程;1040)。そして、光照射すべき細胞(又は細胞群を接着させた光解離層の領域)に対してのみ、光を照射する(光照射工程;1050)。前記光照射により、光照射領域においてのみ光解離部材によって形成された基板2と細胞4との間の結合が切断される。これにより、細胞4は、細胞回収デバイス1との接着が解消されて、基板2の表面に載っているだけの状態になる。次に、緩衝液を一定条件で流す等の処理により細胞回収デバイス1を洗浄して、光を照射した光解離層3の領域から細胞回収デバイス1との接着が解消された細胞4を緩衝液中に流出させて流出分画を得る。一方、接着したままの細胞4は、接着分画として細胞回収デバイス1の表面に残される(1060)。流出分画を回収分画1として回収し(1070)、また接着分画を回収分画2として回収する(1080)。
前記で説明したように、本発明による細胞回収デバイスは、細胞の接着効率及び剥離効率が高い。それ故、本発明による細胞回収デバイスを用いる本発明の細胞の回収方法により、所望の細胞のみを効率よく回収することが可能となる。
<6. 細胞の回収装置>
本発明はまた、細胞と前記の細胞回収デバイスとを接触させて、該細胞回収デバイスに細胞を接着させる細胞接着機構と、細胞回収デバイスに接着した細胞を観察する観察機構と、観察した細胞を回収すべき対象細胞とするかどうかを判断する判断機構と、判断機構の判断結果に基づいて対象細胞を接着させた細胞回収デバイスの光解離層の特定の領域に光を照射することにより、該領域に接着した対象細胞を細胞回収デバイスから選択的に剥離させる光照射機構と、細胞回収デバイスに洗浄液を導入する洗浄機構と、細胞回収デバイスから剥離した細胞を回収する回収機構とを備える細胞の回収装置に関する。
前記で説明したように、本発明による細胞回収デバイスは、細胞の接着効率及び剥離効率が高い。それ故、本発明による細胞回収デバイスを用いる細胞の回収装置により、所望の細胞のみを効率よく回収することが可能となる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例では、第1の構成の直列構造を有する光解離ユニットを含む細胞回収デバイスを作製する。
基板として、ガラス基板を用いた。
基板の結合部材の原料300として、以下:
Figure 0006121127
のアルテック社から市販されているシランカップリング剤(カタログ番号SI005-m11-1)を用いた。本化合物は、基板の結合部材の骨格部分330としてn-ウンデシル(直鎖C11アルキル)を、結合部分(A)320としてトリメトキシシランを、結合部分(B’)210としてアジドを、それぞれ有する。
光解離ユニットの原料100として、以下:
Figure 0006121127
の光分解性へテロ二価性架橋剤(特開2010-260831号公報)を用いた。本化合物は、光解離ユニット5としてニトロベンジル系骨格を、結合部分(B)110としてアルキンを、結合部分(C)120としてN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルを、それぞれ有する。
光解離ユニットの結合部材の原料200として、アジドペグアミン(Nanocs社、カタログ番号PG2-AMAZ-3k)を用いた。本化合物は、光解離ユニットの結合部材の骨格部分230としてPEGを、結合部分(B’)210としてアジドを、結合部分(C’)220としてアミノを、それぞれ有する。
細胞の結合部材の原料400として、エチレンジアミン(和光純薬社、カタログ番号059-00933)を用いた。本化合物は、細胞の結合部材の骨格部分430としてn-エチル(直鎖C2アルキル)を、結合部分(C’)220及び細胞接着性末端410としていずれもアミノ基を、それぞれ有する。
前記の原料を用いて本発明の固相プロセスを実施する。基板の結合部材の固定化工程をシランカップリング反応条件において実施することにより、トリメトキシシラン基320(結合部分A)がガラス基板2と選択的にシランカップリング反応して結合を形成する。次に、光解離ユニット固定化工程をClick反応条件において実施することにより、アルキン基110(結合部分B)が中間体500の末端に位置する基板の結合部材の原料300のアジド210(結合部分B’)とClick反応して結合(トリアゾール基)を形成する。次に、光解離ユニットの結合部材固定化工程をアミド化反応条件において実施することにより、アミノ基220(結合部分C’)が中間体510の末端に位置する光解離ユニットの原料100のカルボン酸のNHSエステル120(結合部分C)と選択的に反応してアミド結合を形成する。同様の条件で光解離ユニット連結工程、繰り返し工程及び光解離部材形成工程を実施することにより、細胞回収デバイスが形成される。
また、前記の原料を用いて本発明の液相プロセスを実施することによっても、細胞回収デバイスが形成される。
<実施例2>
本実施例では、第1の構成の直列構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイスを、前述の変形例の方法により、作製する。
基板の結合部材の原料300として、以下:
Figure 0006121127
の信越シリコーン社から販売されているシランカップリング剤(カタログ番号KBM-903)を用いた。本化合物は、基板の結合部材の骨格部分330としてn-プロピル(直鎖C3アルキル)を、結合部分(A)320としてトリメトキシシランを、結合部分(C’)220としてアミノ基を、それぞれ有する。
光解離ユニットの原料100として、以下:
Figure 0006121127
の保護された光分解性リンカー(アドバンスドケムテック社、カタログ番号RT1095)を用いた。本化合物は、光解離ユニット5としてニトロベンジル系骨格を、結合部分(C)120としてカルボキシル基を、保護された結合部分(C’’)240としてFmoc-NH基を、それぞれ有する。
細胞の結合部材の原料440として、コハク酸の2ナトリウム塩(和光純薬社、カタログ番号190-06015)を用いた。本化合物は、細胞の結合部材の骨格部分430としてn-エチル(直鎖C2アルキル)を、結合部分(C’)120及び細胞接着性末端450としていずれもカルボキシル基を、それぞれ有する。
その他の原料は、実施例1と同一である。
前記の原料を用いて本発明の固相プロセスを実施する。基板の結合部材の固定化工程をシランカップリング反応条件において実施することにより、トリメトキシシラン基320(結合部分A)がガラス基板2と選択的にシランカップリング反応して結合を形成する。次に、保護された光解離ユニット固定化工程をアミド化条件において実施することにより、カルボキシル基120(結合部分C)が中間体540の末端に位置する基板の結合部材の原料340のアミノ基220(結合部分C’)とアミド化反応して結合(アミド基)を形成する。次に、脱保護反応工程を2級アミン共存条件において実施することにより、保護された光解離ユニットの保護基240(保護された結合部分C’’)から保護基(Fmoc)が脱離して、アミノ基220(結合部分C’)を形成する。同様の条件で、光解離ユニット連結工程(保護された光解離ユニット連結工程と、脱保護工程とからなる)を繰り返し行う、繰り返し工程、及び光解離部材形成工程を実施することにより、細胞回収デバイスが形成される。
また、前記の原料を用いて本発明の液相プロセスを実施することによっても、細胞回収デバイスが形成される。
<実施例3>
本実施例では、第2の構成の樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイスを作製する。
分岐部材の原料800として、ベータグルタミン酸(シグマアルドリッチ社、カタログ番号G1763)を用いた。本化合物は、分岐部材の骨格部分830としてプロピルを、結合部分(C’)220としてアミノを、結合部分(C)820としてカルボン酸を、それぞれ有する。
その他の原料は、実施例1と同一である。
前記の原料を用いて本発明の固相プロセスを実施する。分岐部材重合工程をアミド化反応条件において実施することにより、アミノ基220(結合部分C’)が別の分岐部材の原料800の分岐末端に位置するカルボン酸820(結合部分C)と選択的に反応してアミド結合を形成する。前記反応によって分岐部材の原料800が重合して、樹状構造を有する樹状構造重合体850を形成する。以下、実施例1と同様の条件で樹状構造重合体形成工程を実施することにより、分岐部材の原料800が重合した樹状構造重合体の末端に細胞の結合部材8が結合した中間体38を形成する。さらに、実施例1と同様の条件で固相又は液相プロセスを実施することにより、第2の構成の樹状構造を有する細胞の結合部材を含む細胞回収デバイスが形成される。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除及び/又は置換をすることが可能である。
1…細胞回収デバイス
2…基板
3…光解離層
4…細胞
5…光解離ユニット
6…基板の結合部材
7…光解離ユニットの結合部材
8…細胞の結合部材
9…複数の光解離ユニット5が直列に連なるように配置されている構造を略記したもの
13…光解離部材
23…光解離部材の集合体
33…光解離部材
38…樹状構造の細胞の結合部材
100…光解離ユニットの原料
140…保護された光解離ユニットの原料
200…光解離ユニットの結合部材の原料
300、340…基板の結合部材の原料
400、440…細胞の結合部材の原料
110…結合部分B
120…結合部分C
210…結合部分B’
220…結合部分C’
240…保護された結合部分C’’
320…結合部分A
410…細胞接着性末端
230…光解離ユニットの結合部材の骨格部分
330…基板の結合部材の骨格部分
430…細胞の結合部材の骨格部分
500、510、520、540、550、560、600、610、700、710…中間体
800…分岐部材の原料の原料
820…結合部分C
830…分岐部材の骨格部分
850…中間体
1010…細胞接着工程
1020…洗浄工程
1040…光照射機構
1030…評価選定工程
1040…照射可否判断工程
1050…光照射工程
1060…洗浄工程
1070…分画1を回収する工程
1080…分画2を回収する工程

Claims (12)

  1. 基板と、光解離層とを備え、
    前記光解離層が、直列に連なる3以上の光解離ユニットと、基板と光解離ユニットとを結合させる基板の結合部材と、細胞接着性末端を有する、細胞と光解離ユニットとを結合させる細胞の結合部材とを含む1又は複数の光解離部材を含む、細胞回収デバイス。
  2. 前記光解離層が、直列に連なる5以上の光解離ユニットを含む、請求項1に記載の細胞回収デバイス。
  3. 複数の前記光解離部材を含む、請求項1又は2に記載の細胞回収デバイス。
  4. 前記光解離部材が、前記3以上の光解離ユニットを相互に直列に結合させる光解離ユニットの結合部材をさらに含み、光解離ユニットと光解離ユニットの結合部材とが交互に直列に連なるように配置されており、光解離部材の一端に前記基板の結合部材が、他端に前記細胞の結合部材が、それぞれ配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞回収デバイス。
  5. 基板と、光解離層とを備え、
    前記光解離層が、直列に連なる3以上の光解離ユニットと、基板と光解離ユニットとを結合させる基板の結合部材と、一端に分岐末端を有する複数の分岐部材が重合することによって形成される樹状構造を有し且つ複数の分岐末端に細胞接着性末端を有する細胞と光解離ユニットとを結合させる樹状構造の細胞の結合部材とを含む1又は複数の光解離部材とを含む、細胞回収デバイス。
  6. 前記光解離層が、直列に連なる5以上の光解離ユニットを含む、請求項5に記載の細胞回収デバイス。
  7. 前記樹状構造の細胞の結合部材が、分岐末端のそれぞれに細胞接着性末端を有する、請求項5又は6に記載の細胞回収デバイス。
  8. 細胞と請求項1〜7のいずれか1項に記載の細胞回収デバイスとを接触させて、該細胞回収デバイスに細胞を接着させる細胞接着工程;
    前記細胞を接着させた細胞回収デバイスの光解離層の特定の領域に光を照射することにより、基板と細胞との間の結合を切断する光照射工程;
    前記工程で光を照射した光解離層の領域から細胞を選択的に剥離させて回収する細胞回収工程;
    を含む細胞の回収方法。
  9. 細胞と請求項1〜7のいずれか1項に記載の細胞回収デバイスとを接触させて、該細胞回収デバイスに細胞を接着させる細胞接着機構と、細胞回収デバイスに接着した細胞を観察する観察機構と、観察した細胞を回収すべき対象細胞とするかどうかを判断する判断機構と、判断機構の判断結果に基づいて対象細胞を接着させた細胞回収デバイスの光解離層の特定の領域に光を照射することにより、該領域に接着した対象細胞を細胞回収デバイスから選択的に剥離させる光照射機構と、細胞回収デバイスに洗浄液を導入する洗浄機構と、細胞回収デバイスから剥離した細胞を回収する回収機構とを備える細胞の回収装置。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の細胞回収デバイスの製造方法であって、前記基板と、前記基板の結合部材とを結合させて基板の結合部材を固定化し、基板に固定化された基板の結合部材と3以上の前記光解離ユニットとを結合させて、基板の結合部材の末端に3以上の光解離ユニットを直列に連なるように連結させ、さらに基板に固定化された直列に連なる3以上の光解離ユニットと前記細胞の結合部材とを結合させて、光解離部材を形成させることを含む、前記方法。
  11. 請求項4に記載の細胞回収デバイスの製造方法であって、以下:
    前記基板と基板の結合部材の原料とを反応させて、基板の結合部材が基板に固定化された中間体を得る基板の結合部材の固定化工程;
    前記工程で得られた中間体と1個の光解離ユニットの原料とを反応させて、基板に固定化された基板の結合部材の末端に1個の光解離ユニットが結合した中間体を得る光解離ユニット固定化工程;
    前記工程で得られた中間体と1個の光解離ユニットの結合部材の原料とを反応させて、基板に固定化された1個の光解離ユニットの末端に1個の光解離ユニットの結合部材が結合した中間体を得る光解離ユニットの結合部材固定化工程;
    前記工程で得られた中間体と1個の光解離ユニットの原料とを反応させて、基板に固定化された1個の光解離ユニットの末端に1個の光解離ユニットの結合部材と1個の光解離ユニットとが直列に連なるように連結された中間体を得る光解離ユニット連結工程;
    前記光解離ユニットの結合部材固定化工程と光解離ユニット連結工程とをさらにn-2回(nは3以上の整数である)繰り返して、基板に固定化された1個の光解離ユニットの末端に、n-1個の光解離ユニットの結合部材と光解離ユニットとの組み合わせが直列に連なるように連結された中間体を得る繰り返し工程;
    前記工程で得られた中間体と細胞の結合部材の原料とを反応させて、前記光解離部材を形成させる光解離部材形成工程;
    を含み、
    前記基板の結合部材の原料が、基板の結合部材の骨格部分の両端に結合部分A及びB’をそれぞれ有し、
    前記光解離ユニットの原料が、光解離ユニットの両端に結合部分B及びCをそれぞれ有し、
    前記光解離ユニットの結合部材の原料が、光解離ユニットの結合部材の骨格部分の両端に結合部分B’及びC’をそれぞれ有し、
    前記細胞の結合部材の原料が、細胞の結合部材の骨格部分の一端に結合部分C’を、他端に細胞接着性末端をそれぞれ有し、
    結合部分Aは基板と、結合部分Bは結合部分B’と、結合部分Cは結合部分C’とのみそれぞれ選択的に結合し、他の結合部分とは結合しない相補的な反応性基である、
    前記方法。
  12. 請求項4に記載の細胞回収デバイスの製造方法であって、以下:
    前記基板と基板の結合部材の原料とを反応させて、基板の結合部材が基板に固定化された中間体を得る基板の結合部材の固定化工程;
    前記工程で得られた中間体と1個の光解離ユニットの原料とを反応させて、基板に固定化された基板の結合部材の末端に1個の光解離ユニットが結合した中間体を得る光解離ユニット固定化工程;
    1個の光解離ユニットの結合部材の原料と1個の光解離ユニットの原料とを反応させて、1個の光解離ユニットと光解離ユニットの結合部材とが直列に連なるように連結された、直列構造の単量体を得る直列構造単量体形成工程;
    前記工程で得られた単量体と細胞の結合部材の原料とを反応させて、n-1個(nは3以上の整数である)の該単量体が重合した直列構造重合体の末端に細胞の結合部材が結合した中間体を得る直列構造重合体形成工程;
    前記工程で得られた中間体と光解離ユニット固定化工程で得られた中間体とを反応させて、前記光解離部材を形成させる光解離部材形成工程;
    を含み、
    前記基板の結合部材の原料が、基板の結合部材の骨格部分の両端に結合部分A及びB’をそれぞれ有し、
    前記光解離ユニットの原料が、光解離ユニットの両端に結合部分B及びCをそれぞれ有し、
    前記光解離ユニットの結合部材の原料が、光解離ユニットの結合部材の骨格部分の両端に結合部分B’及びC’をそれぞれ有し、
    前記細胞の結合部材の原料が、細胞の結合部材の骨格部分の一端に結合部分C’を、他端に細胞接着性末端をそれぞれ有し、
    結合部分Aは基板と、結合部分Bは結合部分B’と、結合部分Cは結合部分C’とのみそれぞれ選択的に結合し、他の結合部分とは結合しない相補的な反応性基である、
    前記方法。
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