JP6118487B2 - スクリュー杭用浮沈防止パーツ、スクリュー杭、及びスクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法 - Google Patents

スクリュー杭用浮沈防止パーツ、スクリュー杭、及びスクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、スクリュー杭用浮沈防止パーツ及びそれをスクリュー杭に適用した基礎杭の施工方法、並びにスクリュー杭及びそれを用いた基礎杭の施工方法に関する。
近年、いわゆるメガソーラー事業者等を中心に、遊休地等にて複数の太陽電池パネルを設置して発電を行う事業が盛んに行われている。このような形態での太陽電池パネルの設置では、地面に基礎を設けてその上方に太陽電池パネルを設置することになる。この場合、工期の短縮や設置コストの削減を図るべく、コンクリート製の基礎ではなくスクリュー杭を基礎として用いる工法が盛んに行われている(このような一例として特許文献1を参照)。
スクリュー杭は、将来地上への露出部となる杭の上方部分から、地面に打ち込まれる(すなわち貫入される)先端部分に向けて螺旋状の羽根が設けられた杭であり、尖った先端部を地面に刺してネジのように回転圧入させながら地面へと打ち込まれる。この羽根の存在が杭の引き抜きや沈下への抵抗力となるので、地面に打ち込まれたスクリュー杭は通常の杭に比べて引き抜きや沈下に強く、これを基礎として太陽電池パネルのような重量物を設置することが可能である。
また、太陽電池パネルの設置の場合のみならず、例えば、コンクリート基礎のような構造物の設置が制限される農業用地にビニールハウスを設置する場合でもスクリュー杭は有用である。他にも、設置スペースが少なくて済むということや、工期を短縮したりコストを低く抑えたりするといったメリットを得られることから、スクリュー杭を基礎として活用する場面は少なくない。
特開2015−127501号公報
しかしながら、いわゆるメガソーラーの設置が盛んになってから数年が経過した現在では、経年による太陽電池パネルの沈下が問題になる例も散見されるようになった。これは、太陽電池パネルという重量物を支えるスクリュー杭が、時間の経過とともに地面の中へと沈下していくことによるものである。また、太陽電池パネルのような板状の構造物は強風に煽られて浮力を生じがちであるが、そのような浮力によってスクリュー杭が当初の位置よりも上方へ移動してしまう現象、すなわち浮きを生じる場合もある。これらの場合、それを元の位置まで修復するには当初の設置のときよりも多くの手間とコストを必要とするものであり、問題となっている。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、スクリュー杭の浮きや沈下を抑制することのできるスクリュー杭用浮沈防止パーツ及びスクリュー杭、並びにそれらを用いた基礎杭の施工方法を提供することを目的とする。
本発明者は、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、スクリュー杭が挿入される円筒形の挿入筒と、この挿入筒から延出しスクリュー杭から直交して離れる方向へ拡がる浮沈防止板と、上記挿入筒に設けられ、スクリュー杭に設けられた穴と連通してボルト締結を可能にする固定用穴と、を備えたスクリュー杭用浮沈防止パーツを用いて、スクリュー杭を立てたときにその直胴部から水平に延出する板を設け、さらに施工時にその板を地中へ水平に埋設することにより、スクリュー杭の沈下や浮きを抑制できることを見出した。本発明は、以上のような知見に基づいて完成されたものであり、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、構造物の基礎部分となるスクリュー杭と一体となって用いられ、上記スクリュー杭が挿入される円筒形の挿入筒と、上記挿入筒から延出し、上記スクリュー杭を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板と、上記挿入筒に設けられ、上記スクリュー杭に設けられた穴と連通してボルト締結を可能にする固定用穴と、を備え、互いに離間して設けられた二以上のスクリュー杭をそれぞれ挿入可能な複数の挿入筒を備え、互いに隣り合った挿入筒から延出する浮沈防止板同士が結合されることにより、互いに隣り合った挿入筒同士が上記浮沈防止板を介して連結されることを特徴とするスクリュー杭用浮沈防止パーツである。
(2)また本発明は、上記挿入筒が長さ方向に沿って二分割されるとともに、その分割面に沿った切断線により上記浮沈防止板が二分割されることで二つのパーツに分割され、上記スクリュー杭を二分割された上記挿入筒で挟んで組み合わせることにより再び一体化されることを特徴とした(1)項記載のスクリュー杭用浮沈防止パーツである。
)また本発明は、地面に貫入される先端部とこの先端部の反対側である末端部とを備え、上記先端部から上記末端部へ向けて、螺旋状の羽根を備えたスパイラル部と、上記羽根を持たない直胴部とを備えたスクリュー杭であって、上記直胴部から延出し、上記スクリュー杭を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板を備えたことを特徴とするスクリュー杭でもある。
)また本発明は、スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法であって、平らな底面を備えた溝を形成させるように地面を掘る溝形成工程と、下記)項〜()項のいずれか1項記載のスクリュー杭用浮沈防止パーツが装着されたスクリュー杭を、上記スクリュー杭用浮沈防止パーツに設けられた浮沈防止板が上記底面に接する深さに達するまで上記溝の底面に貫入させるスクリュー杭貫入工程と、上記浮沈防止板を埋設する埋設工程と、を備えたことを特徴とする、スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法でもある。
(A)構造物の基礎部分となるスクリュー杭と一体となって用いられ、前記スクリュー杭が挿入される円筒形の挿入筒と、前記挿入筒から延出し、前記スクリュー杭を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板と、前記挿入筒に設けられ、前記スクリュー杭に設けられた穴と連通してボルト締結を可能にする固定用穴と、を備えたスクリュー杭用浮沈防止パーツ。
(B)前記挿入筒が長さ方向に沿って二分割されるとともに、その分割面に沿った切断線により前記浮沈防止板が二分割されることで二つのパーツに分割され、前記スクリュー杭を二分割された前記挿入筒で挟んで組み合わせることにより再び一体化されることを特徴とした上記(A)項記載のスクリュー杭用浮沈防止パーツ。
(C)互いに離間して設けられた二以上のスクリュー杭をそれぞれ挿入可能な複数の挿入筒を備え、互いに隣り合った挿入筒から延出する浮沈防止板同士が結合されることにより、互いに隣り合った挿入筒同士が前記浮沈防止板を介して連結されることを特徴とする上記(A)項又は(B)項記載のスクリュー杭用浮沈防止パーツ。
)また本発明は、上記()項記載のスクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法であって、平らな底面を備えた溝を形成させるように地面を掘る溝形成工程と、上記スクリュー杭に設けられた浮沈防止板が上記底面に接する深さに達するまで上記スクリュー杭を上記溝の底面に貫入させるスクリュー杭貫入工程と、上記浮沈防止板を埋設する埋設工程と、を備えたことを特徴とする、スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法でもある。
本発明によれば、スクリュー杭の浮きや沈下を抑制することのできるスクリュー杭用浮沈防止パーツ及びスクリュー杭、並びにそれらを用いた基礎杭の施工方法が提供される。
図1は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの適用されるスクリュー杭の一例を示す側面図である。 図2は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの第一実施形態を示す図であり、(a)はその斜視図であり、(b)はその平面図である。 図3は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの第一実施形態の使用状況を示すための斜視図である。 図4(a)及び(b)は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツをスクリュー杭に適用した状態を示す斜視図である。 図5は、本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツの適用されたスクリュー杭が、地面に貫入された状態を示す図である。 図6は、本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツの適用されたスクリュー杭を基礎として、太陽電池パネルを設置した様子を示す模式図である。 図7は、本発明の第二実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1Aをスクリュー杭9に適用した様子を示す図である。 図8(a)〜(c)は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1の適用されたスクリュー杭9による基礎杭の施工方法について順を追って説明した模式図である。 図9は、本発明のスクリュー杭を示す側面図である。
以下、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツ及びスクリュー杭の実施形態、並びに本発明のスクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法の実施態様について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の各実施形態及び実施態様に何ら限定されるものでなく、本発明の範囲内において適宜変更を加えて実施することができる。
まず、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの実施形態を説明するのに先立ち、本発明のスクリュー杭用浮沈防止用パーツの適用されるスクリュー杭について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの適用されるスクリュー杭の一例を示す側面図である。
スクリュー杭9は、構造物の基礎として用いられるものであり、地面に貫入される先端部93を備え、この先端部93の反対側となる末端部にフランジ94を備える。スクリュー杭9を基礎として構造物を建造する場合、このフランジ94に構造物を結合させてその足掛かりとする。
スクリュー杭9には、先端部93から末端となるフランジ94へ向けて、螺旋状の羽根95を備えたスパイラル部92と、羽根95を持たない直胴部91とが形成されている。スクリュー杭9を地面へ貫入させて基礎を形成させるに際しては、先端部93を地面に刺し、ネジのようにスクリュー杭9を回転圧入させる。通常、スクリュー部92が地中に没した段階で貫入完了となり、直胴部91が地上に露出して基礎となる。地中に貫入したスクリュー杭9は、螺旋状の羽根95の存在により地中での上下への移動が規制されており、荷重による沈下や、スクリュー杭9を地面から抜き去る力が加わった際の抜けが抑制される。
しかしながら、スクリュー杭9の適用される地盤の状態によっては、時間の経過とともに構造物の荷重により沈下を生じたり、風などによる構造物への浮力により浮きを生じたりすることもあり得る。本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツは、そうした沈下や浮きを抑制するためにスクリュー杭9に適用される。
<スクリュー杭用浮沈防止パーツ>
次に、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの第一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの第一実施形態を示す図であり、(a)はその斜視図であり、(b)はその平面図である。図3は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの第一実施形態の使用状況を示すための斜視図である。図4(a)及び(b)は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツをスクリュー杭に適用した状態を示す斜視図である。
本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1は、二個を一組として用いられ、半浮沈防止板121と、半浮沈防止板121の一辺に設けられスクリュー杭9の直胴部91の外周に沿った形状の半円筒面を備えた半挿入筒131とを備える。また、スクリュー杭用浮沈防止パーツ1は、スクリュー杭9に設けられた穴96と連通してボルト締結を可能にする固定用穴14を半挿入筒131に備える。
図3に示すように、二個を一組としたスクリュー杭用浮沈防止パーツ1は、半挿入筒131の設けられた半浮沈防止板121の辺を対向させて組み合わされ、スクリュー杭9が挿入される挿入筒13と、挿入筒13から延出し、挿入筒13の長さ方向を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板12が形成される。つまり、二つ一組となった半挿入筒131が挿入筒13を形成し、二つ一組となった半浮沈防止板121が浮沈防止板12を形成する。
図4(a)及び(b)に示すように、本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1の二つ一組をスクリュー杭9に適用した状態において、二つ一組のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1,1は、スクリュー杭9と一体となって用いられ、円筒形の挿入筒12にスクリュー杭9が挿入された状態となる。そして、挿入筒13から延出し、スクリュー杭9を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板12が存在する。各スクリュー杭用浮沈防止パーツ1は、スクリュー杭9の直胴部91に設けられた穴96と連通してボルト6による締結を可能にする固定用穴14により、スクリュー杭9に固定される。なお、二つ一組のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1,1は、一つをスクリュー杭9へ取り付けられてからもう一つをスクリュー杭9に取り付けられ、二つ一組のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1,1及びスクリュー杭9の三者が一体となる。
逆に言えば、二個を一組で用いられる本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1は、挿入筒13が長さ方向に沿って二分割されて半挿入筒131とされるとともに、その分割面に沿った切断線により浮沈防止板12が二分割されて二つの浮沈防止板121に分割されてなるものである。そして、上記のように二分割されてなる一組の半挿入筒131,131でスクリュー杭9を挟んで組み合わせることにより、二つ一組のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1,1が再び一体化されるということもできる。
次に、このように一体化された二つ一組のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1,1及びスクリュー杭9について図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1の適用されたスクリュー杭9が、地面に貫入された状態を示す図である。上記のような一体化がなされることにより、スクリュー杭9は、浮沈防止板12を備えることになる。図5に示すように、このスクリュー杭9は、浮沈防止板12が水平になるように埋設された状態で地中に貫入されることにより、螺旋状の羽根95による沈下や浮きの抑制作用のみならず、浮沈防止板12による沈下や浮きの抑制作用が加わることになり、より一層、荷重による沈下や浮力による抜けを抑制することができるようになる。このような効果を十分に得るために、浮沈防止板12の面積は、螺旋状の羽根95よりも十分に大きいものとされる。
このようにして構造物のための基礎とされたスクリュー杭9は、図6に示すように、フランジ94を介して太陽電池パネル設置のための架台7が結合され、太陽電池パネル8が設置される。図6は、本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツの適用されたスクリュー杭9を基礎として、太陽電池パネル8を設置した様子を示す模式図である。なお、本実施形態のスクリュー杭用浮沈度防止パーツ1を備えたスクリュー杭9による基礎は、太陽電池パネル設置のためのみならず、構造物一般に適用可能なものである。図示しないが、このような構造物として農業用ハウス等も好ましく例示することができる。本実施形態のスクリュー杭用浮沈度防止パーツ1を備えたスクリュー杭9を農業用ハウスの基礎として用いれば、農地において禁じられているコンクリート製の基礎を設ける必要がなくなり、農地を他の用途に転用すること無く丈夫な農業用ハウスを設置することができるようになる。
本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1は、構造物の基礎部分となるスクリュー杭9と一体となって用いられ、スクリュー杭用浮沈防止パーツ1が二つ一組となった状態で、スクリュー杭9が挿入される円筒形の挿入筒13と、挿入筒13から延出し、スクリュー杭9を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板12と、挿入筒13に設けられ、スクリュー杭9に設けられた穴96と連通してボルト6による締結を可能にする固定用穴14と、を備えることを特徴とする。これにより、本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1の適用されたスクリュー杭9では、沈下や浮きの抑制作用のある浮沈防止板12が導入され、この浮沈防止板12が水平になるように埋設された状態でスクリュー杭9が地中に貫入されることにより、荷重による沈降や浮力による抜けが抑制される。
また、本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1では、図3に示すように、挿入筒13が長さ方向に沿って二分割されるとともに、その分割面に沿った切断線により浮沈防止板12が二分割されることで二つのパーツに分割され、二分割された挿入筒131でスクリュー杭9を挟んで組み合わせることにより再び一体化されることを特徴とする。これにより、スクリュー杭9へのスクリュー杭用浮沈防止パーツ1の取り付けが容易になり、作業効率を向上できる。
次に、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの第二実施形態について図面を参照しながら説明する。図7は、本発明の第二実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1Aをスクリュー杭9に適用した様子を示す図である。なお、第二実施形態の説明では上記第一実施形態と重複する部分について同じ符号を付し、それについての説明を省略する。
本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1Aは、第一実施形態と同様にスクリュー杭9を挿入するための挿入筒13と浮沈防止板12を備えるが、複数の浮沈防止板12同士が結合板3により結合されている点で第一実施形態と異なるものである。すなわち、互いに隣り合った浮沈防止板12同士が、結合板3を介して一体となっている。浮沈防止板12と結合板3とはボルト4により締結される。
したがって、本実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1Aでは、互いに離間して設けられた二以上のスクリュー杭9をそれぞれ挿入可能な複数の挿入筒13を備え、互いに隣り合った挿入筒13から延出する浮沈防止板12同士が結合されることにより、互いに隣り合った挿入筒13同士が浮沈防止板12を介して連結されることを特徴とする。その結果、浮沈防止板12に加えて、結合板3も地中に水平に埋設されることになり、より一層、荷重による沈降や浮力による抜けが抑制されることになる。
以上、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツの実施形態を説明したが、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツは以上の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記第一実施形態では二つのスクリュー杭用浮沈防止パーツ1,1を一組として用いて浮沈防止板12及び挿入筒13を形成させていたが、これら二つのスクリュー杭用浮沈防止パーツ1,1を初めから一体のものとして形成しておいてもよい。
また、上記第二実施形態では結合板3を介して複数の浮沈防止板12を結合させていたが、結合板と浮沈防止板とを初めから一体である浮沈防止板として構成し、これに複数の挿入筒13を設けて用いてもよい。
<スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法>
次に、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1の適用されたスクリュー杭9による基礎杭の施工方法の一実施態様について図面を参照しながら説明する。図8(a)〜(c)は、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1の適用されたスクリュー杭9による基礎杭の施工方法について順を追って説明した模式図である。なお、以下の説明では上記第一実施形態のスクリュー杭用浮沈防止パーツ1を用いているが、本発明のスクリュー杭用浮沈防止パーツであれば上記第一実施形態のものに限らず実施することが可能である。
本実施態様のスクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法では、平らな底面71を備えた溝7を形成させるように地面を掘る溝形成工程と、スクリュー杭用浮沈防止パーツ1が装着されたスクリュー杭9を、スクリュー杭用浮沈防止パーツ1に設けられた浮沈防止板12が底面71に接する深さに達するまで溝7の底面71に貫入させるスクリュー杭建込工程と、浮沈防止板12を埋設する埋設工程と、を備える。以下、各工程について説明する。
[溝形成工程]
溝形成工程では、図8(a)に示すように、基礎杭を施工する箇所に平らな底面71を備えた溝7を形成させるように地面を掘る。この底面71は水平となるように形成される。基礎杭は、これから構築される構造物に沿って列をなすように複数設ける必要があるが、本工程で形成させる溝7は、基礎杭を設ける列に沿って形成される。図8(a)〜(c)では、溝の長さ方向に沿った断面でこの溝を表している。なお、基礎杭を一つだけ設ける場合には、穴を設けることになるが、本発明ではこのような穴も「溝」として扱うものとする。
溝7の深さは、スクリュー杭9に設けられた浮沈防止板12とフランジ94との間の間隔よりも浅いものとされる。本工程で溝7が形成された後に、次工程であるスクリュー杭建込工程を行う。
[スクリュー杭建込工程]
スクリュー杭建込工程では、図8(b)に示すように、スクリュー杭用浮沈防止パーツ1が装着されたスクリュー杭9を、浮沈防止板12が底面71に接する深さに達するまで溝7の底面71に貫入させる。
スクリュー杭9を底面71に貫入させる方法は、公知であるのでここでは詳しく説明しないが、基礎杭を設置すべき箇所の底面71にスクリュー杭9を刺し、その後、スクリュー杭9を回転圧入すればよい。そして、スクリュー杭9に設けられた浮沈防止板12が底面71に接するまで上記の回転圧入を継続させればよい。浮沈防止板12が底面71に接した時点で本工程は終了となり、次工程である埋設工程を行う。
[埋設工程]
埋設工程では、図8(c)に示すように、底面71に接している浮沈防止板12を埋設する。これにより浮沈防止板12の埋設に用いた土の重みでスクリュー杭9の浮きが抑制されるとともに、底面71から浮沈防止板12への抗力でスクリュー杭9の沈下も抑制される。
本実施態様のスクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法によれば、荷重による沈降や浮力による抜けの抑制された、スクリュー杭による基礎を形成させることができる。
<スクリュー杭>
次に、本発明のスクリュー杭の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図9は、本発明のスクリュー杭を示す側面図である。なお、本発明のスクリュー杭の説明ではこれまでの説明と重複する部分について同じ符号を付し、それについての説明を省略する。
本実施形態のスクリュー杭9Aは、地面に貫入される先端部93と、先端部93の反対側である末端部にフランジ94とを備え、先端部93からフランジ94へ向けて、螺旋状の羽根95を備えたスパイラル部92と、羽根95を持たない直胴部91とを備え、直胴部91から延出し、スクリュー杭9Aを垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板97を備えたことを特徴とする。
すなわち、本実施形態のスクリュー杭9Aでは、スクリュー杭用浮沈防止パーツ1により形成される浮沈防止板12に相当する浮沈防止板97を直胴部91に備えたものである。このスクリュー杭9Aでは、初めから浮沈防止板97を備えるので、既に説明したスクリュー杭用浮沈防止パーツ1を用いなくともそれを用いたのと同じ効果を得ることができる。
なお、本実施形態のスクリュー杭9Aを用いることによって得られる作用及び効果は、既に説明したスクリュー杭用浮沈防止パーツ1におけるものと同じであるので、ここでの説明を省略する。
<スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法2>
上記スクリュー杭9Aを用いた基礎杭の施工方法も本発明の一つである。これについては、上記スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法1において用いた、スクリュー杭用浮沈防止パーツ1を備えたスクリュー杭9に代えてスクリュー杭9Aを用いた点、及びスクリュー杭用浮沈防止パーツ1により形成された浮沈防止板12に代えて初めからスクリュー杭9Aに形成された浮沈防止板97を用いる点のみが異なり、手順自体は上記スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法1と同じであるのでここでの説明を省略する。
1、1A スクリュー杭用浮沈防止パーツ
12 浮沈防止板
13 挿入筒
14 固定用穴
7 溝
71 底面
9,9A スクリュー杭
91 直胴部
92 スパイラル部
93 先端部
94 フランジ(末端部)
95 羽根
97 浮沈防止板

Claims (5)

  1. 構造物の基礎部分となるスクリュー杭と一体となって用いられ、前記スクリュー杭が挿入される円筒形の挿入筒と、前記挿入筒から延出し、前記スクリュー杭を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板と、前記挿入筒に設けられ、前記スクリュー杭に設けられた穴と連通してボルト締結を可能にする固定用穴と、を備え、互いに離間して設けられた二以上のスクリュー杭をそれぞれ挿入可能な複数の挿入筒を備え、互いに隣り合った挿入筒から延出する浮沈防止板同士が結合されることにより、互いに隣り合った挿入筒同士が前記浮沈防止板を介して連結されることを特徴とするスクリュー杭用浮沈防止パーツ。
  2. 前記挿入筒が長さ方向に沿って二分割されるとともに、その分割面に沿った切断線により前記浮沈防止板が二分割されることで二つのパーツに分割され、前記スクリュー杭を二分割された前記挿入筒で挟んで組み合わせることにより再び一体化されることを特徴とした請求項1記載のスクリュー杭用浮沈防止パーツ。
  3. 地面に貫入される先端部と前記先端部の反対側である末端部とを備え、前記先端部から前記末端部へ向けて、螺旋状の羽根を備えたスパイラル部と、前記羽根を持たない直胴部とを備えたスクリュー杭であって、
    前記直胴部から延出し、前記スクリュー杭を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板を備えたことを特徴とするスクリュー杭。
  4. スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法であって、
    平らな底面を備えた溝を形成させるように地面を掘る溝形成工程と、
    下記(A)項〜(C)項のいずれか1項記載のスクリュー杭用浮沈防止パーツが装着されたスクリュー杭を、前記スクリュー杭用浮沈防止パーツに設けられた浮沈防止板が前記底面に接する深さに達するまで前記溝の底面に貫入させるスクリュー杭建込工程と、
    前記浮沈防止板を埋設する埋設工程と、を備えたことを特徴とする、スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法。
    (A)構造物の基礎部分となるスクリュー杭と一体となって用いられ、前記スクリュー杭が挿入される円筒形の挿入筒と、前記挿入筒から延出し、前記スクリュー杭を垂直に立てたときこれから水平に離れる方向へ拡がる浮沈防止板と、前記挿入筒に設けられ、前記スクリュー杭に設けられた穴と連通してボルト締結を可能にする固定用穴と、を備えたスクリュー杭用浮沈防止パーツ。
    (B)前記挿入筒が長さ方向に沿って二分割されるとともに、その分割面に沿った切断線により前記浮沈防止板が二分割されることで二つのパーツに分割され、前記スクリュー杭を二分割された前記挿入筒で挟んで組み合わせることにより再び一体化されることを特徴とした上記(A)項記載のスクリュー杭用浮沈防止パーツ。
    (C)互いに離間して設けられた二以上のスクリュー杭をそれぞれ挿入可能な複数の挿入筒を備え、互いに隣り合った挿入筒から延出する浮沈防止板同士が結合されることにより、互いに隣り合った挿入筒同士が前記浮沈防止板を介して連結されることを特徴とする上記(A)項又は(B)項記載のスクリュー杭用浮沈防止パーツ。
  5. 請求項記載のスクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法であって、
    平らな底面を備えた溝を形成させるように地面を掘る溝形成工程と、
    前記スクリュー杭に設けられた浮沈防止板が前記底面に接する深さに達するまで前記スクリュー杭を前記溝の底面に貫入させるスクリュー杭貫入工程と、
    前記浮沈防止板を埋設する埋設工程と、を備えたことを特徴とする、スクリュー杭を用いた基礎杭の施工方法。
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