JP6117883B2 - フレキシブル回路体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、産業用ロボット及びサービスロボット等の可動部に適用可能な耐摩耗性を備えたフレキシブル回路体の製造方法に関する。
近年、ロボットの発展が著しく、多彩な動きをするロボットが登場しつつある。また、人体や衣服に装着可能なウエアラブル電子機器も、様々な機器が開発されている。これらのロボットやウエアラブル電子機器には、動力供給用や信号伝送用の電線が多数使用されているが、一般的に電線は銅線を芯とし、その外周を絶縁体で被覆した構造になっているので、電線自体に伸縮性はほとんど無い。このため、ロボットや人体の動きを妨げないように余裕を持たせて電線を配線する必要があり、このことが装置設計上又は実用上の障害となることが多い。
特に、最先端のヒューマノイド型ロボットや、人体に装着して筋力を補助するパワーアシスト装置などの機器においては、多自由度関節を経由して末端のモーターを動かすための電線や、末端に装備された各種センサからの信号を伝送するための電線が多数配線されており、多自由度関節におけるこれらの配線の自由度を高めるために、伸縮可能に構成された電線に対する要求がより高まりつつある。
一方、近年、産業用ロボットとしてアームロボットが多く使用されている。この種のアームロボットでは、ロボットアームの先端側に取り付けられているエンドエフェクタやロボットアームの関節部等に用いられる動力供給用や信号伝送用の電気ケーブルを、ロボットアームの根元側から先端側まで配線することが要求される。また、エンドエフェクタやロボットアームの関節部の駆動形式によっては、ロボットアームの根元側から先端側へかけて、エア(空圧)ホースや油圧ホースを配線する必要が生じることがある。
そのため従来のアームロボットでは、関節部に電気ケーブル、エアホース、油圧ホースなどの各種ケーブルを配線した場合にケーブルの折れ曲がりや断線を防止すべく、余長部が設けられている。余長部は、ケーブルをロボットアームの関節部の基端寄り位置で一旦外側に出し、関節部の外側空間にケーブルを配置し、関節部よりも先端寄りとなる位置で再びアーム内に導入するといった配線手法が採用されている。また、アームロボットの関節部における関節回転中心位置に支持棒を設け、ケーブルが予め巻かれた支持棒をロボットアームの内部に収納することで、ケーブルの折れ曲がりや断線を防止する構成も知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところが、ロボットアームの外側空間にケーブルを配置する手法では、ロボットアームの関節部の周囲にケーブルを弛ませるための空間が必要になる。更に、ロボットアームの関節部の回転動作時にケーブルが無理な力を受けたり、ロボットアームに干渉したりすることで、ケーブルが損傷、断線する虞がある。また、特許文献1に開示されているように、関節回転中心位置に支持棒を設ける場合は、支持棒を別途設ける必要があることから製造コストの増加等につながり、さらにはケーブルの収納部の構造が複雑になるため、ケーブルの配線、メンテナンスの際の分解、又はケーブルの取り出しに非常に手間がかかるといった問題もある。つまりアームロボットにおいても、このような問題を回避できる伸縮可能な電線に対する要求が高まっている。
そこで、伸縮可能に構成された電線に対する要求に応えるべく、蛇腹状やコイル状に成形加工したフレキシブル配線板が提案されている。このフレキシブル配線板を用いること
で、配線の長さを必要以上に延ばすことなく、配線の自由度を高めることが出来ると共に、さらに上述したロボットアームでは、ケーブルを弛ませるための空間を必要とすることなく、ケーブルの損傷、断線を防ぐことが可能になる。
特開平8−57792号公報 特開平3−220787号公報
しかしながら、従来のフレキシブル配線板には次の課題がある。従来のフレキシブル配線板は、基層としての絶縁フィルム上に配線層を形成し、さらにその上を絶縁層で覆ったものである。しかし、蛇腹状に成形することで伸縮可能なフレキシブル配線板を得ることは出来るものの、フレキシブル配線板が周辺部品等に引っかかったり、擦れが生じた場合、配線層が剥離、断線したり、フレキシブル配線板自体が破損する虞がある。
また、例えばフレキシブル配線板をロボットアームの関節部に用いた場合、フレキシブル配線板に衝撃、振動等の大きな外力が作用することで、配線層が断線、剥離したり、フレキシブル配線板自体が破損する虞がある。
なお、蛇腹状に成形加工したフレキシブル配線板の他にも、例えば、スリットした銅箔や銅撚線等を平行に配列した帯状の配線導体の表裏面に、帯状の未加硫ゴム基板を重ね合わせてフラット回路体を成形後、フラット回路体をその積層方向に波型に加工することで伸縮可能な波型のフレキシブル回路体を得る方法も知られているが(例えば、特許文献2参照)、この場合は、製造段階で基板を複数回湾曲させる必要があるので、この湾曲処理により、フレキシブル回路体内で積層される層同士の接着性が著しく低下するという問題がある。よって、上述した配線導体の断線、剥離、フレキシブル回路体自体の破損の問題が生じる虞がある。また、加硫ゴム基板を加熱加圧して、フラット導体に積層すると同時に成形加工しているので、蛇腹状には成形できても、コイル状等のより複雑な形状に成形することには困難である。
このように従来のフレキシブル配線板では、周辺部品等と接触した際、又は衝撃、振動等の大きな外力が作用した際に、配線層が断線、剥離したり、フレキシブル配線板自体が破損する虞があるので、フレキシブル配線板の接続信頼性を損なう虞があるばかりか、フレキシブル配線板の寿命を確保することが出来ない。
そこで本発明は、擦れによるフレキシブル配線板の摩耗を防止し、信頼性の高いフレキシブル回路体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明にあっては、絶縁フィルムと、該絶縁フィルム上に形成された配線層と、該配線層上に形成された絶縁層と、を有するフレキシブル配線板に、少なくとも一方の面に熱可塑性エラストマーを積層し、その後、前記熱可塑性エラストマーの軟化点以上、融点以下の温度で所定形状に成形するもので、
フレキシブル配線板が実装部品を備えている場合に、埋め込み熱可塑性樹脂と耐摩耗性を有する前記熱可塑性エラストマーを貼り合わせた積層フィルムをフレキシブル配線板に積層し、前記埋め込み熱可塑性樹脂が流動化する温度で加熱することで実装部品を埋め込み樹脂層に埋め込んで積層することを特徴とする。
埋め込み熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーは、共に熱可塑性ウレタン系エラストマーであり、埋め込み熱可塑性樹脂の硬度がJIS A70以下、熱可塑性エラストマーの硬度がJIS A70以上であることを特徴とする。
このようにすれば、実装部品の電気接合部を破壊することなく、耐摩耗性を有する熱可塑性エラストマーを積層することができる。また、耐摩耗性を有する熱可塑性エラストマーを介して実装部品と成形装置とが接触するので、加熱時に実装部品に直接的に熱が伝わらず、熱による実装部品の破損を防ぐことが可能になる。
以上説明したように、本発明によれば、柔軟に変形可能であり、かつ擦れたとしてもフレキシブル配線板の摩耗を防止することができる信頼性の高いフレキシブル回路体を提供できる。
なお、本発明の周辺発明としては、次のような発明がある。
絶縁フィルムと、前記絶縁フィルム上に形成された配線層と、前記配線層上に形成された絶縁層と、を有するフレキシブル配線板を備えたフレキシブル回路体において、
前記フレキシブル配線板に熱可塑性エラストマーを被覆したことを特徴とする。
本発明によれば、熱可塑性エラストマーによって前記フレキシブル配線板が保護され、前記フレキシブル配線板の摩耗を防止することができる。
また、熱可塑性エラストマーを所定形状に成形することによって、可撓性のフレキシブル配線板を所定の形状に曲げた状態を維持することができる。
したがって、取り数のよいストレート形状を曲げることにより、立体形状を作製することができる。
また、複数のフレキシブル配線板を重ねても、熱可塑性エラストマーで被覆することによって、フレキシブル配線板自体の擦れを防止することができる。
熱可塑性エラストマーは、フレキシブル配線板の少なくとも片面に積層されていれば、擦れる部分に熱可塑性エラストマーの積層面を向けることで対応できる。
熱可塑性エラストマーには、機械的強度、耐磨耗性に優れたウレタン系エラストマーが好適である。
所定形状に曲げられた伸縮部分を設けることにより、配線が伸縮可能となり、ロボットの可動部等に適用する場合に、余長が不要となる。
耐摩耗性を有する熱可塑性エラストマーは、少なくとも擦れる部分に設ければよい。また、耐摩耗性を有する熱可塑性エラストマーを伸縮部分に設けておけば、フレキシブル配線板にねじれや衝撃を緩和することができる。
フレキシブル配線板が実装部品を熱可塑性樹脂で被覆した上に耐摩耗性を有する熱可塑性エラストマーを積層しているので、実装部品を水や水蒸気から保護することができる。
フレキシブル配線板の表面にウレタン系樹脂層をコートする又はフレキシブル配線板の表面をプラズマ処理することにより、フレキシブル配線板と熱可塑性エラストマーとの接着力を高めることができる。よって、立体的な形状を成形後であっても、フレキシブル配線板と熱可塑性エラストマーとが剥離することを防止することができる。
また、その製造方法は、絶縁フィルムと、該絶縁フィルム上に形成された配線層と、該配線層上に形成された絶縁層と、を有するフレキシブル配線板に、熱可塑性エラストマーを積層し、その後、熱可塑性エラストマーの軟化点以上、融点以下の温度で所定形状に成形することを特徴とする。
このようにすれば、簡単に立体的な形状を成形することができる。
本発明の参考例に係るフレキシブル回路体1の概略構成図。 図1のフレキシブル回路体1のフレキシブル配線板2の製造方法を示す模式図。 本発明の実施の形態に係る実装部品を備えたフレキシブル配線板2に耐摩耗性を有する熱可塑性エラストマー3を積層する方法を示す概略図。 本実施の形態のフレキシブル回路体1に湾曲形状部6を設けた例を示す概略構成図。 図4の湾曲形状部の成形方法を示す概略図。 本実施の形態のフレキシブル回路体1にスパイラル部25を設けた例を示す概略構成図。 図6のスパイラル部25の成形方法を示す概略図。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[実施形態]
<1:フレキシブル回路体の概略構成>
図1を参照して、本発明の参考例に係るフレキシブル回路体1の概略構成について説明する。図1(a)は、フレキシブル回路体1の模式断面図であり、図1(b)は、フレキシブル回路体1の概略構成図である。
図1(a)に示すように、本参考例に係るフレキシブル回路体1は、基層としての絶縁フィルム7、絶縁フィルム7上に接着層9を介して形成された配線層4、及び配線層4上に形成された絶縁層8とを有している。この絶縁フィルム7、接着層9、配線層4、絶縁層8がフレキシブル配線板を構成するもので、以下、これを「フレキシブル配線板2」と称することにする。
このフレキシブル配線板2の表面の少なくとも一部、この例では絶縁層8の上面、絶縁フィルム7の下面がそれぞれ熱可塑性エラストマー3によって覆われている。さらに図1(a)では不図示であるが、絶縁フィルム7、接着層9、配線層4、絶縁層8の側面も熱可塑性エラストマー3によって覆われていてもよい。
次に、ここで挙げた各層についてさらに詳しく説明する。
絶縁フィルム7及び絶縁層8には、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、環状ポリオレフィン、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマーから選ばれる1種からなるフィルム、又は複数の樹脂フィルムを積層した積層フィルムを用いることができる。
なお、絶縁フィルム7及び絶縁層8の厚さは5〜100μmが好ましく、特に5〜50μmであるとよい。絶縁フィルム7、及び絶縁層8に用いられる材料は、同じ材料であってもよいし、それぞれ異なる材料が選択されてもよい。
配線層4は、圧延銅箔および電解銅箔等の公知の金属箔を、接着層9で絶縁フィルム7に貼り付けることにより形成されている。あるいは、配線層4は、絶縁フィルム7の表面(または絶縁フィルム7に形成された接着層9の表面)に、銅のような金属を用いて、蒸着またはスパッタ、湿式めっき等の方法の他、銀またはナノカーボン等を含む導電性ペーストの印刷により形成することもできる。
接着層9は、ポリイミド等の公知の熱可塑性樹脂、またはシアネートエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、フェノール系樹脂、ナフタレン樹脂、ユリア樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びポリウレタン樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を用いて形成される。あるいは、接着層9は、上述の有機樹脂に、シリカまたはアルミナ等の無機フィラーを分散させたもので形成することもできる。
熱可塑性エラストマー3としては、ポリウレタン系エラストマーが用いられている。
ポリウレタン系エラストマーの他に、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、1,2−BR系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等を用いることができるが、機械的強度、耐磨耗性に優れたウレタン系エラストマーを用いると好適である。硬度としては、JIS A(JIS K 7311)60以上98以下が好適である。JIS A60を下回るとタック性が出て好ましくない。また、JIS A98を超えると変形時にワレ・亀裂が発生する恐れがあり好ましくない。さらに、耐摩耗性の点でJIS A80以上がより好ましく、伸縮し易さの点でJIS A95以下であることがより好ましい。
本実施の形態のフレキシブル回路体1によれば、次のような効果が得られる。
本発明によれば、熱可塑性エラストマー3によってフレキシブル配線板2が保護され、フレキシブル配線板2の摩耗を防止することができる。
また、熱可塑性エラストマー3を所定形状に成形することによって、可撓性のフレキシブル配線板2を所定の形状に曲げた状態を維持することができる。したがって、取り数のよいストレート形状のフレキシブル回路体1を曲げることにより、立体形状を作製することができる。立体形状例については後述する。
また、複数のフレキシブル配線板2を重ねても、熱可塑性エラストマー3で被覆することによって、フレキシブル配線板2自体の擦れを防止することができる。
<表面コート、シールド機能>
また、特に図示しないが、熱可塑性エラストマー3の表面に、さらに紫外線を遮断するUVコートや表面の汚れを防止する防汚コート等の保護コーティングを施してもよい。
さらに、熱可塑性エラストマー3の電界及び/又は磁界を遮蔽するシールド機能を有する伸縮材料をラミネートしてもよい。このようにすれば、擦れを防止できるし、シールド効果を加えることができる。また、ラミネートしておけば、部品点数を削減でき、コスト低減を図ることができる。熱可塑性エラストマー3自体の弾力性を低下させない範囲で、熱可塑性エラストマー3自体に、シールド機能材料を混合してもよい。
<2−1:フレキシブル配線板2の製造>
次に、図2(a)〜図2(c)を参照して、熱可塑性エラストマー3を積層する前のフレキシブル配線板2の製造方法について説明する。
まず、図2(a)に示すように、金属張りフィルム10を用意する。金属張りフィルム10は、絶縁フィルム7の表面に接着層9を形成し、接着層9の表面に金属箔4Aを積層し、熱圧着により3つの層を一体化することにより形成できる。なお、金属張りフィルム10を形成する別の手法としては、金属箔上にベースフィルムとなるポリイミド前駆体ワニスを塗布し、この前駆体を乾燥・イミド化させる手法、ベースフィルム上に蒸着またはスパッタリングや無電解めっき等でシード層を形成し、電解めっきにより金属層を形成する手法などが挙げられる。
次に図2(b)に示すように、金属層(金属箔4A)を所望のパターンにエッチングして配線層4を形成する。次に図2(c)に示すように、配線層4の上に接着剤層(図示せず)を有する絶縁層8を熱圧着することにより、フレキシブル配線板2を得る。以上、図2(a)〜図2(c)に示す工程により、絶縁層8を有する片面のフレキシブル配線板2が得られる。
本実施形態に係るフレキシブル配線板2は、上述した片面構造のみならず、両面構造と
しても良いし、可撓性を保持できる範囲で3層以上の多層構造も採用することができる。
<2−2:熱可塑性エラストマー3のラミネート>
次に、図1(a)に示すように、上記したフレキシブル配線板2の表面及び/又は裏面に熱可塑性エラストマー3を積層する。この積層工程は、熱可塑性エラストマー3のシートを用意し、フレキシブル回路体2に熱可塑性エラストマー3のシートを熱圧着することにより積層構造とすることができる。
フレキシブル配線板2と熱可塑性エラストマー3との接着性を向上させる場合は、フレキシブル配線板2の表面にウレタン系樹脂層をコートする又はフレキシブル配線板2の表面をプラズマ処理することで表面処理を行うのが望ましい。
<2−3:フレキシブル回路体1の立体成形>
立体形状とする場合には、熱可塑性エラストマー3がラミネートされたフレキシブル回路体1を所定形状に曲げて形状を維持した状態で、熱可塑性エラストマー3の、軟化点以上、融点以下の温度で所定時間加熱し、立体形状を成形する。熱による実装部品の破損を防止するためにも、成形温度は160℃以下とすることが好適である。
<3−1:実装部品を備えたフレキシブル回路体1とその製造方法>
図3(a)は、実装部品17を備えた場合のフレキシブル回路体1の構成例を示している。
フレキシブル配線板2の基本的な構成は、図1に示したフレキシブル配線板2と同様であるので、ここでは異なる点のみを説明し、同一の部分については同一の符号を付して説明は省略するものとする。
このフレキシブル配線板2は実装部品17を備えており、熱可塑性エラストマー3は、実装部品17を埋め込む埋め込み樹脂層を構成する熱可塑性樹脂31の上に被覆されている。
実装部品17としては、触覚センサ等の各種センサ、コンデンサ、LED等の電子部品であり、端子が配線層に接続され、本体部分がフレキシブル配線板2の外部に露出している。
この実装部品17を埋め込む埋め込み樹脂層を構成する熱可塑性樹脂31は、熱可塑性エラストマー3より硬度と軟化点の低い低硬度熱可塑性樹脂である。
この例では、埋め込み樹脂層を構成する熱可塑性樹脂31には低硬度熱可塑性ポリウレタン系樹脂を、熱可塑性エラストマー3には耐熱性を有し、タック性を防止できる高硬度熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの二層構造となっている。高硬度熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、硬度としては、耐衝撃性の観点でJIS A70以上、成形性の観点でJIS A98以下が好適である。さらに、耐摩耗性の点でJIS A80以上がより好ましく、緩衝性の点でJIS A95以下がより好ましい。また、低硬度熱可塑性ポリウレタン系樹脂の硬度としては、JIS A70以下が好適である。特に、JIS A60以下がより好ましい。
高硬度熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと低硬度熱可塑性ポリウレタン系樹脂の軟化点(JIS K 7206)の差が、20℃以上あることが成形加工の上で重要である。特に、低硬度熱可塑性ポリウレタン系樹脂の軟化点が40℃以上低いと、加熱成形時に低硬度熱可塑性ポリウレタン系樹脂の流動性が良くなるため、実装部品17の埋め込み性がより向上する。
このように実装部品17を埋め込むことにより、周囲構成部分に擦れた際に、実装部品に衝撃が作用することを防止することができる。
フレキシブル配線板2の構成としては、配線層が1層のものだけでなく多層構成のものも同様である。
この実装部品17を備えたフレキシブル回路体1の製造は、図3(b)に示すように、
実装部品17を有する面に前記埋め込み樹脂層を構成する熱可塑性樹脂31と耐摩耗性を有する熱可塑性エラストマー3を貼り合わせた積層フィルムをフレキシブル配線板2に積層する。もう一方には、耐摩耗性を有する熱可塑性エラストマー3をフレキシブル配線板2に積層する。そして、前記埋め込み樹脂層を構成する熱可塑性樹脂31が流動化する温度で加熱加圧することで実装部品17を熱可塑性樹脂31に埋め込み、フレキシブル配線板2に接着する。
<4:立体形状部分を有するフレキシブル回路体1>
次に、上記フレキシブル回路体1を所定形状に曲げて立体的な成形部分を形成した例について説明する。
<4−1:湾曲形状部を有する実施の形態>
図4は、立体形状部として、複数の湾曲形状部6がプリーツ状に形成された例である。
本実施形態に係るフレキシブル回路体1は、少なくとも1箇所に湾曲形状部6が形成されており、これにより、フレキシブル回路体1全体で伸縮可能となるように構成されている(図4では、湾曲形状部6が複数設けられている形態を示しているが、湾曲形状部6を1箇所だけ設けた略U字形状であってもよい)。そして、本実施形態では、このように構成されているフレキシブル回路体1の少なくとも湾曲形状部6が、上述した熱可塑性エラストマー3によって被覆されている。
図4には、フレキシブル回路体1のほぼ全体が熱可塑性エラストマー3によって被覆されている場合を示しているが、熱可塑性エラストマー3は、少なくとも湾曲形状部6を被覆していればよい。また、湾曲形状部6の上面、下面、及び側面の全てが熱可塑性エラストマー3によって被覆されている必要はなく、いずれかひとつの面が耐熱可塑性エラストマー3によって被覆されていれば、従来と比較して十分な効果を得ることは可能である。
このように、少なくとも湾曲形状部6を熱可塑性エラストマー3によって被覆することで、湾曲形状部6においてフレキシブル配線板2が露出することがないので、フレキシブル回路体1が周辺部品等と接触した際、又は振動、衝撃等の大きな外力がフレキシブル回路体1に作用した際でも、熱可塑性エラストマー3が保護層として機能することにより、配線層4が断線、剥離したり、フレキシブル配線板2が破損する可能性を低減することができる。特に、湾曲形状部6はフレキシブル配線板2において最も突出した部分になり易く、よって、周辺部品等と接触し易い部分であるので、擦れて摩耗することによる配線層4の断線、剥離、フレキシブル配線板2の破損を防ぐという面では効果的である。
また、熱可塑性エラストマー3に耐熱性に優れた材料を選択すれば、フレキシブル回路体1の熱耐久性が向上し、高温下での使用も可能になる。なお、湾曲形状部6以外の部分でも、周辺部品等との接触が多い部分が予めわかっていれば、その部分を熱可塑性エラストマー3によって被覆することにより、フレキシブル回路体1の耐久性を向上させることが可能になり、一方で特に必要のない部分には熱可塑性エラストマー3を被覆しないことで、フレキシブル回路体1の製造コストの低減、軽量化を図ることができる。
さらに、湾曲形状部6を熱可塑性エラストマー3によって被覆することで、熱可塑性エラストマー3の形状維持力により、湾曲形状部6の形状をより確実に維持できるといった効果もある。即ち、フレキシブル回路体1に、例えば急激な引っ張り応力などの大きな外力が作用すると、湾曲形状部6が伸びきってしまい、配線層4が断線、剥離する虞があるが、本実施形態によると、被覆されている熱可塑性エラストマー3によって湾曲形状部6の湾曲形状をより確実に維持できるので、フレキシブル回路体1に大きな外力が作用して繰り返し伸縮変形する際も、湾曲形状部6が維持されやすい(伸びた場合も元の形状に戻り易い)。よって、配線層4の断線、剥離、フレキシブル回路体1の破損をより確実に防ぐことができる。
また、縮めた状態でフレキシブル回路体1を取付けることにより、取付けスペースの省スペース化を図ることができ、フレキシブル回路体1のみならず、電子機器の小型化を達成することもできる。
また、湾曲形状部6の曲率半径R(mm)は0.3mm以上であるとより好適である。発明者らの鋭意検討によれば、曲率半径R(mm)が0.3mm以上であれば、微細で複雑な配線パターンが形成されていたとしても、断線層4の断線、剥離が生じる可能性をより低減できることがわかっている。
上述したように、本実施形態に係るフレキシブル回路体1は、複数箇所に曲率半径R(mm)の湾曲形状部6を有するプリーツ形状(蛇腹形状)に形成されている。かかる形状を有する場合、フレキシブル回路体1が伸縮変形することが可能になり、かつ、外力が作用した場合も、フレキシブル回路体1全体が伸縮変形することで、局所的に応力が集中することを防止できる。さらに本実施形態に係るフレキシブル回路体1は、以下の特徴たる構成を有している。即ち、通常、フレキシブル回路体1にこのような湾曲形状部を形成すると、外力が作用した場合などに湾曲形状部6に局所的に応力が集中して折り曲げ部の曲率半径が変化し、配線層の剥離、破断が生じてしまう。しかしながら本実施形態では、後述する製造方法によってフレキシブル回路体1を製造することで、外力が作用しても配線層4の断線、剥離、フレキシブル回路体1の破損をより確実に防ぐフレキシブル回路体1を得ることができる。
<4−2:湾曲形状部の成形方法>
図5(a)を参照して、上述の製造方法でフレキシブル回路体1を製造した後に、製造したフレキシブル回路体1に対して湾曲形状部6を成形する成形方法について説明する。
本実施形態に係るフレキシブル回路体1の製造方法は、フレキシブル回路体1の両端にテンションを加えた状態で、成形装置によってフレキシブル回路体1を折り曲げ、曲率半径R(mm)の湾曲形状部6を形成する第1の工程と、曲率半径R(mm)の湾曲形状部6が形成されている状態のフレキシブル回路体1に対して、少なくとも湾曲形状部6を加熱する第2の工程と、を有している。また、本実施形態では、成形装置として、フレキシブル回路体1の厚さ方向の両側からフレキシブル回路体1に対して移動可能であり、先端に湾曲部を有する複数の金型19(部分金型ともいう)を備えている。
第1の工程では、不図示の引っ張り手段によってフレキシブル回路体1の両端を引っ張り、フレキシブル回路体1の両端にテンションを加えた状態で、金型19を移動させ、金型19の先端をフレキシブル回路体1の厚さ方向の両側からフレキシブル回路体1に押し当てる。金型19の先端には湾曲部が形成されているので、金型19を両側から互い違いにフレキシブル回路体1に押し当てることにより、フレキシブル回路体1には複数の湾曲形状部6が形成されることになる。本実施形態における湾曲形状部6の曲率半径R(mm)は、金型19の先端形状を変えることで変更することができ、同様に、湾曲形状部6の数、湾曲形状部6同士の間隔等も、金型19の数、間隔を適宜変更することによって自在に設定することができる。なお、フレキシブル回路体1の厚さ方向両側にある金型19は、少なくとも一方がフレキシブル回路体1に対して移動可能に構成されていればよい。また、金型19によってフレキシブル回路体1を加圧する際の加圧力は、少なくともフレキシブル回路体1に湾曲形状部6が確実に形成される加圧力であればよく、フレキシブル回路体1の厚さ、材質等に応じて適宜変更することができる。
第2の工程では、両端にテンションがかけられ、金型19が押し当てられていることによって複数の湾曲形状部6が形成されている状態のフレキシブル回路体1に対して、少なくとも湾曲形状部6を加熱している。本実施形態では、湾曲形状部6が形成されているフ
レキシブル回路体1を、金型19ごと加熱装置に入れることでフレキシブル回路体1を加熱しているが、金型19の内部に加熱部材を設け、金型19から生じる熱によってフレキシブル回路体1の少なくとも湾曲形状部6を加熱する構成であってもよい。
なお、加熱温度が、本実施形態では、加熱温度が、フレキシブル配線板2にラミネートされた熱可塑性エラストマー3の表面温度が、軟化点以上かつ融点以下の温度とする。このように加熱することにより、熱可塑性エラストマー3が湾曲形状に成形され、フレキシブル配線板2が、熱可塑性エラストマー3によって、湾曲形状に維持され、元の形状に戻ることはない。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマー3の場合には、熱による実装部品の破損を防止するためにも、成形温度は160℃以下とすることが好適である。加熱時間については、曲げる曲率、熱可塑性エラストマー3の種類、厚み等によって異なり、適宜選択される。加熱時間が1時間以内であれば、生産効率を向上させることができると共に、長時間加熱することで生じる、熱可塑性エラストマー3の劣化及び配線層4の損傷を回避することが可能になる。
なお、第1の工程と第2の工程とを同時に行ってもよい。即ち、湾曲形状部6に相当する部分を加熱しつつ、金型19によってフレキシブル回路体1を折り曲げていく方法も採用し得る。
また、金型19としては、図5(b)に示すように、湾曲部の内周のみに当接するピン形状のもの形態でもよい。
<4−3:スパイラル部を有するフレキシブル回路体1>
図6は、立体形状部として、つるまき状のスパイラル部25を有するフレキシブル回路体1を示している。
すなわち、帯状のフレキシブル回路体1の中途部に、曲げられた部分としてスパイラル部25が設けられた例で、スパイラル部25の両端はフラット部27となっている。
スパイラル部25は、伸縮及び/又はねじり変形可能に構成されている。なお、図6に示す符号26は、スパイラル部25の中空部を示すものであり、符号5は、フレキシブル回路基板1の両端に設けられている端子(配線層4と電気的に接続可能)を示すものである。
このフラット部27とスパイラル部25の境界部は、フラット部27がスパイラル部25の中心軸方向に沿って延びるように90°曲げられている。もちろん、フラット部27とスパイラル部25の境界部は曲げる必要はなく、フラット部27がスパイラル部25の螺旋方向に延びる形状となっていてもよい。
フレキシブル配線板2表面に被覆される熱可塑性エラストマー3は、フラット部27からスパイラル部25を含めて、フレキシブル回路体1全体にわたって熱可塑性エラストマーを被覆していてもよいし、スパイラル部25のみに被覆していてもよい。
このスパイラル部25を有するフレキシブル回路体1によれば、さらなる小型化をしつつ、スパイラル部25における伸縮性をさらに向上させることが可能になるので、フレキシブル回路体1の取付場所のデッドスペースを有効に利用して、電子機器等の軽薄短小化、及び取付部品の低減を図ることができる。
図6(c)は、このスパイラル部25を備えたフレキシブル回路体1を、ロボットの関節部等に適用した場合のイメージ図である。
このように、上述したように、本実施形態に係るフレキシブル回路体1は、少なくとも一部に、中空部26を有するスパイラル部25が設けられている。このような形状を有しているので、フレキシブル回路体1が伸縮変形することが可能になり、かつ、外力が作用した場合も、フレキシブル回路体1全体が伸縮変形することで、局所的に応力が集中することを防止できる。なお、伸縮変形のみならず、ねじり変形も可能であるのでフレキシブル回路体1の変形自由度をさらに向上させることができると共に、この場合も、スパイラル部25全体がねじり変形することで、局所的に応力が集中することを防止できる。また
、繰り返し収縮、伸張、又はねじられたとしても、配線層にかかる応力を基板全体で緩和することができるので、配線層の剥離、破断が生じる可能性が低く、優れた接続信頼性を維持することができる。
なお、スパイラル部25の中空部26には、別の配線を通すことが可能である。これによれば、フレキシブル回路体1のデッドスペースを有効に利用して、電子機器等の軽薄短小化、及び取付部品の低減を図ることができる。
さらに、本実施形態に係るフレキシブル回路体1では、スパイラル部25は、「スパイラル状に成形された」部分である。即ち、フレキシブル回路体1は、外部の支持手段、補助手段等を要することなく、それ自体でスパイラル形状を維持できるように成形されている。よって、従来のケーブルのように支持棒を別途設ける必要はない。
<4−4:スパイラル部の成形方法>
次に、図7を参照して、本実施形態に係るフレキシブル回路体1のスパイラル部25の成形方法について説明する。
スパイラル部25は、上述の製造方法によってフレキシブル回路体1を製造した後に、製造したフレキシブル回路体1に対して所定の成形加工を行うことで成形されるものである。
図7(a)に示すように、スパイラル部25の成形加工は、フレキシブル回路体1の両端にテンションを加えた状態で、円柱状の成形装置23にフレキシブル回路体1を巻き付け、スパイラル部25を成形する第1の工程と、成形装置23に巻き付けられている部分を加熱してフレキシブル回路体1にスパイラル部25を成形する第2の工程と、を有している。
第1の工程では、不図示の引っ張り手段によってフレキシブル回路基板1の両端を引っ張り、フレキシブル回路体1の両端にテンションを加えた状態で、成形装置23にフレキシブル回路体1を巻き付けることにより、フレキシブル回路体1の一部をスパイラル状に形作る。中空部26の径方向の大きさは、成形装置23の径を変えることで変更することができ、同様に、スパイラル部25の巻数、スパイラル部25同士の間隔等も、成形装置23の数、間隔を適宜変更することによって自在に設定することができる。また、フレキシブル回路体1にテンションを加える際の引張力は、少なくともフレキシブル回路体1にスパイラル部25が確実に成形される加圧力であればよく、フレキシブル回路体1の厚さ、材質等に応じて適宜変更することができる。
第2の工程では、両端にテンションがかけられることによってスパイラル状に形作られているフレキシブル回路体1に対して、少なくともスパイラル状に形作られている部分(成形装置23に巻き付けられている部分)を加熱する。本実施形態では、スパイラル状に形作られているフレキシブル回路体1を、成形装置23ごと加熱装置に入れることでフレキシブル回路体1を加熱しているが、成形装置23の内部に加熱部材を設け、成形装置23から生じる熱によって少なくともスパイラル状に形作られている部分を加熱してもよい。このようにスパイラル状に形作られている部分を加熱することにより、フレキシブル回路体1に対してスパイラル部25を成形することができる。
その他、加熱工程については、湾曲形状部6での説明と同様である。
<5:効果の検証1>
本実施形態に係るフレキシブル回路体1の製造方法の効果を検証すべく、加熱条件及び熱可塑性エラストマー3の厚みを変えて湾曲形状部6を成形した。
熱可塑性エラストマー3として、耐摩耗性を有する熱可塑性ウレタンエラストマー(軟
化点115℃、融点180℃、硬度JIS A90)を用い、熱可塑性エラストマー3の総厚が1mmの場合、2mmの場合のフレキシブル回路体1について、160℃で30min加熱した場合と、10min加熱した場合の形状比較を行った。その結果を下記表1にまとめた。なお、表1における「成形可否」は、金型19からフレキシブル回路体1を取り出した後に、曲率半径R(mm)の折り曲げ部が形成されているか否かについて調べたものである。そして、得られた各サンプルの外観を評価するために、100mm/秒で、100,000回上下に往復移動させ、「繰り返し伸縮試験」を行った。
Figure 0006117883
なお、表1において、成形可否の基準は、
○:曲率半径が設計値の±20%未満、
△:曲率半径が設計値の±20%以上±40%未満、
×:曲率半径が設計値の±40%以上であって、
外観の基準は、
○:熱可塑性エラストマー3にワレ・亀裂が認められない、
×:熱可塑性エラストマー3にワレ・亀裂が認められる、とする。
表1より、サンプル1及び3では、加熱してもフレキシブル回路体1に折り曲げ部が形成されないことがわかった。また、サンプル4では、加熱すると折り曲げ部が形成されるものの、伸縮試験を行うと、湾曲形状部6にワレ・亀裂が発生することがわかった。以上より、熱可塑性エラストマー3の軟化点以上、融点以下の温度で所定時間加熱し、総厚みが1mm以下であるサンプル2が最適であることがわかった。
<5:効果の検証2>
本実施形態に係る実装部品17を備えたフレキシブル回路体1の製造方法の効果を検証すべく、加熱条件を変えて実装部品17の埋め込み性を評価した。
熱可塑性エラストマー3として、耐摩耗性を有する熱可塑性ウレタンエラストマー(軟化点115℃、融点180℃、硬度JIS A90、総厚1mm)を、熱可塑性樹脂31として、低硬度熱可塑性ポリウレタン系樹脂(軟化点60℃、融点160℃、硬度JIS
A60、厚み3mm)用い、実装部品17としてLED(厚み2mm)を実装したフレキシブル回路体1について、160℃で3min加熱した場合と、1min加熱した場合の実装部品の埋め込み性比較を行った。その結果を下記表2にまとめた。
Figure 0006117883
なお、表2において、埋め込み性評価の基準は、
○:空気の噛み込みが全くない、
△:空気の噛み込みが一部みられる
×:空気の噛み込がある、
であって、信頼性評価の基準は、
○:実装部品17に破損が認められない(LEDが点灯)、
×:実装部品17に破損が認められる(LEDが不点灯)、とする。
表2より、サンプル5及び7では、加熱してもフレキシブル回路体1に空気が噛みこむことがわかった。また、サンプル8では、加熱すると埋め込み性は良いものの、信頼性評価にてLEDに破損が発生することがわかった。以上より、熱による実装部品17の破損を防止するためにも、160℃以下で所定時間加熱するサンプル6が最適であることがわかった。
1…フレキシブル回路体 2…フレキシブル配線板、3…熱可塑性エラストマー、4…配線層、5…接着層、6…湾曲形状部、7…絶縁フィルム、8…絶縁層、17…実装部品、25…スパイラル部、31…熱可塑性樹脂

Claims (2)

  1. 絶縁フィルムと、該絶縁フィルム上に形成された配線層と、該配線層上に形成された絶縁層と、を有するフレキシブル配線板に、
    少なくとも一方の面に熱可塑性エラストマーを積層し、その後、前記熱可塑性エラストマーの軟化点以上、融点以下の温度で所定形状に成形するもので、
    前記フレキシブル配線板は実装部品を備えており、埋め込み熱可塑性樹脂と前記熱可塑性エラストマーを貼り合わせた積層フィルムを前記フレキシブル配線板に積層し、
    前記埋め込み熱可塑性樹脂が流動化する温度で加熱することで前記実装部品を前記埋め込み熱可塑性樹脂に埋め込んで積層することを特徴とするフレキシブル回路体の製造方法。
  2. 前記埋め込み熱可塑性樹脂及び前記熱可塑性エラストマーは、共に熱可塑性ウレタン系エラストマーであり、前記埋め込み熱可塑性樹脂の硬度がJIS A70以下、前記熱可塑性エラストマーの硬度がJIS A70以上であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路体の製造方法。
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