JP6117662B2 - コンクリート構造物の電気防食方法 - Google Patents

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Description

本発明は、流電陽極方式によるコンクリート構造物の電気防食方法、具体的には、ハイドロゲルを介してコンクリート構造物の表面に設置した陽極と、前記コンクリート構造物内の陰極としての鋼材との間に防食電流を流す流電陽極方式を用いたコンクリート構造物の電気防食方法に関する。
鉄筋や繊維などの補強材で補強されたコンクリート製の構造物(以下、コンクリート構造物という)は、機械的強度や耐久性に優れかつ安価であるため、土木建築分野を中心に、極めて広範な用途に用いられている。例えば、コンクリート構造物は、高速道路や鉄道の橋脚、トンネル、建築物の柱、建築物の梁、建築物の壁、並びに、ヒューム管やマンホール等のコンクリート製プレキャスト製品などに用いられている。
ところで、コンクリート構造物においては、酸素、水、塩化物イオン等が内部に浸透することによって、当該コンクリート構造物中に含まれる鉄筋等の鋼材に腐食が発生し、鉄錆等の腐食生成物が生成する。鋼材の腐食に伴う腐食生成物の体積膨張により、コンクリートにひび割れが発生する。これにより、鋼材の腐食がさらに加速し、鋼材の断面減少等の劣化が引き起こされる。その結果、最終的には、コンクリート構造物の強度等の諸性能が低下する。そのため、コンクリート構造物における、供用(使用)期間の長寿命化の観点や、ライフサイクルコストを考慮したミニマムメンテナンスの観点から、コンクリート構造物内の鋼材の腐食を防止する様々な手段が開発されてきており、そのような手段の一つに電気防食方法がある。
電気防食方法の方式の一つとして、流電陽極方式がある。流電陽極方式による電気防食方法は、コンクリート構造物内の鋼材を陰極とし、コンクリートの構造物の表面に設置された、鉄よりもイオン化傾向が高い金属からなる金属電極を陽極とし、鋼材と金属電極とのイオン化傾向の差を利用して鋼材と金属電極との間に防食電流を流す方法である。
流電陽極方式による電気防食方法において、効果的に電気防食を行うためには、陽極周辺に設ける材料の検討が重要であり、陽極の性能を保護して陽極の抵抗率の低減及び不活性化(不動態化)を抑制・防止する方法として、コンクリート構造物の表面と陽極との間に、バックフィルを充填することが知られている。
コンクリート構造物の電気防食に用いられるバックフィルとしては、吸水性樹脂とアルカリ性水溶液とを含み、ゲル状であるもの(特許文献1参照)、金属塩化物塩及び水溶性高分子を含み、ゲル化したもの(特許文献2参照)、ポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)およびその塩、N−ビニルピロリドン/アクリルコポリマー等を含み、ゲル状であるイオン導性剤(特許文献3参照)が知られている。
特開2008−127678号公報 特開2008−57015号公報 特表平9−508439号公報
しかしながら、特にバックフィルが屋外のコンクリート構造物(道路の高架橋の下部や橋桁部分など)の外面に注入されて電気防食用として使用される場合には、バックフィルがコンクリート構造物から滲み出てきた雨水等の水に曝される。
特許文献1は、吸水性樹脂を含んでいるため、コンクリート構造物から滲み出てきた雨水等の水に曝された際に、水を吸収することによって顕著に膨潤してしまう。バックフィルが顕著に膨潤することでバックフィル全体のうち樹脂の占める割合が顕著に低下するため、陽極の金属及びコンクリート構造に対する粘着力が顕著に低下する。その結果、コンクリート構造物の表面からハイドロゲルが剥離したり、陽極がバックフィルから剥がれたりして、経時的に陽極付近の電気抵抗が増加して防食電流が流れにくくなり、防食性能が低下してしまう。つまり、特許文献1に開示されているバックフィルは、経時での粘着性が考慮されたものではなく、コンクリート及び陽極の金属に対する経時での粘着力(以下、「経時粘着力」という。)が不十分であるため、特許文献1に開示のバックフィルを使用する流電陽極方式による電気防食方法では、コンクリート構造物の表面からハイドロゲルが剥離したり、陽極がバックフィルから剥がれたりして、防食性能が低下してしまうおそれがある。
また、特許文献2及び3に開示されているバックフィル(イオン導性剤)も、コンクリート及び陽極の金属に対する経時粘着力が不十分であるため、特許文献2又は3に開示のバックフィル(イオン導性剤)を使用する流電陽極方式の電気防食方法においても、コンクリート構造物の表面からハイドロゲルが剥離したり、陽極がバックフィルから剥がれたりして、陽極がバックフィルから剥離して防食性能が低下してしまうおそれがある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、ハイドロゲルを使用した流電陽極方式の電気防食方法において、コンクリート構造物及び陽極からのハイドロゲルの剥離を抑制することを目的とする。
本発明のコンクリート構造物の電気防食方法は、上記課題を解決するために、ハイドロゲルを介してコンクリート構造物の表面に設置した陽極と、前記コンクリート構造物内の陰極としての鋼材との間に防食電流を流す流電陽極方式を用いたコンクリート構造物の電気防食方法において、前記ハイドロゲルが、高分子マトリックスと、水と、電解質と、多価アルコールとを含み、前記高分子マトリックスが、重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する非イオン性の単官能単量体と、アミド基及びエステル基の少なくとも一方を有し、且つ、重合性の炭素−炭素二重結合を二つ以上有する多官能単量体との共重合体からなることを特徴とする。
上記方法において、コンクリート構造物の表面と陽極との間に介在させるハイドロゲルは、重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する非イオン性の単官能単量体と、アミド基及びエステル基の少なくとも一方を有し、且つ、重合性の炭素−炭素二重結合を二つ以上有する多官能単量体との共重合体からなる高分子マトリックスを含んでいる。この高分子マトリックスを含むハイドロゲルは、金属及びコンクリートに対して十分な経時粘着力を有しているため、上記方法によれば、コンクリート構造物及び陽極からのハイドロゲルの剥離を抑制することができ、これにより、防食性能の低下を抑制することができる。
なお、本明細書において、「非イオン性」とは、遊離の酸又は塩基の状態の単官能単量体の1重量%の水溶液が4〜9のpHを示すことを意味するものとする。
本発明によれば、ハイドロゲルを使用した流電陽極方式の電気防食方法において、コンクリート構造物及び陽極からのハイドロゲルの剥離を抑制することができる。
本発明の電気防食方法は、流電陽極方式を用いたコンクリート構造物の電気防食方法であり、ハイドロゲルを介してコンクリート構造物の表面に設置した陽極と、前記コンクリート構造物内の陰極としての鋼材との間に防食電流を流す。これにより、コンクリート構造物の腐食を防止することができる。
本発明の電気防食方法は、前記ハイドロゲルとして、高分子マトリックスと、水と、電解質と、多価アルコールとを含み、前記高分子マトリックスが、重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する非イオン性の単官能単量体と、アミド基及びエステル基の少なくとも一方を有し、且つ、重合性の炭素−炭素二重結合を二つ以上有する多官能単量体との共重合体からなるハイドロゲルを使用する。
(ハイドロゲル)
以下に、本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルについて詳述する。
本発明の電気防食方法では、耐水性の向上により、コンクリート及び金属に対する経時粘着力が確保されるよう、高分子マトリックスを形成するための単官能単量体として、非イオン性の単官能単量体が使用されたハイドロゲルを使用する。
イオン性の単官能単量体を用いて製造した高分子マトリックスは、ハイドロゲル中で側鎖のイオン基が電離しており、高分子マトリックスはプラスかマイナスの何れかに帯電した状態にある。このため、高分子マトリックスの直鎖同士は常に反発する性質を有している。互いに反発する直鎖に大量の水が接触すると、短時間で高分子マトリックスの網目が開く。そのため、イオン性の単官能単量体を用いて製造した高分子マトリックスを含むハイドロゲルは、より大きな吸水力を発揮し、吸水によって大きく膨潤することとなる。これに対して、本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルでは、非イオン性の単官能単量体を用いているので、高分子マトリックスの網目が開きにくく、水による膨潤が少ない。また、本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルでは、高分子マトリックス内にイオン基が存在しないので、高分子マトリックスが通電による影響を受けない。そのため、ハイドロゲルの界面での電気的な反発が生じにくくなると同時に、導電性付与のための電解質の添加によるハイドロゲルの収縮が発生しにくい。よって、本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルは、粘着力等の性能がより高いものとなる。また、イオン性の単官能単量体を用いて製造した高分子マトリックスを含むハイドロゲル使用した流電陽極方式の電気防食方法では、経時で電流値が低下して、防食性能が低下するおそれがある。これに対して、非イオン性の単官能単量体を用いて製造した高分子マトリックスを含むハイドロゲルを使用した流電陽極方式の電気防食方法では、経時での電流値の低下が少なく、安定した防食性能が得られる。
上記非イオン性の単官能単量体は、重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する非イオン性の化合物であれば特に限定されるものではない。上記非イオン性の単官能単量体としては、具体的には、非イオン性の(メタ)アクリルアミド系単量体;エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ポリグリセリン(メタ)アクリレート等の非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の非イオン性のN−ビニルアミド誘導体等が挙げられる。
上記非イオン性の(メタ)アクリルアミド系単量体としては、具体的には、(メタ)アクリルアミド、非イオン性のN置換(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。前記非イオン性のN置換(メタ)アクリルアミドとしては、具体的には、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−(メタ)アクリロイルモルホリン;ジアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル又はメタクリロイルを意味するものとする。
上記非イオン性の単官能単量体としては、非イオン性の(メタ)アクリルアミド系単量体が好ましい。これにより、ハイドロゲルが、アルカリ条件下のコンクリート構造物及び金属に貼り付けて用いられる電気防食方法において、強い粘着力を示す。特に、ハイドロゲルの初期粘着力を向上できるのに加え、ハイドロゲルの粘着力を経時的に向上させることができる。
上記非イオン性の(メタ)アクリルアミド系単量体の中でも、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、及びN−(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種が上記非イオン性の単官能単量体として好ましい。上記非イオン性の単官能単量体が、これら化合物からなる群より選択される少なくとも1種である場合、後述する多官能単量体と良好な重合反応性を示し、かつ、ハイドロゲル中の多価アルコールと良好な親和性を示すため、ハイドロゲルは、相分離等がなく、より均一なものとなり、加工性及び粘着性に優れたものとなる。
上記非イオン性の単官能単量体として例示した化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、上記ハイドロゲルにおける上記非イオン性の単官能単量体に由来する構造単位の含有量は、特に限定されないが、上記ハイドロゲル100重量%に対して、10〜50重量%の範囲内であることが好ましく、15〜50重量%の範囲内であることがより好ましく、15〜35重量%の範囲内であることが特に好ましい。上記非イオン性の単官能単量体に由来する構造単位の含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して10重量%未満の場合、ハイドロゲルの表面から多価アルコールがブリードアウトして、ハイドロゲルの粘着力が低下することがある。上記非イオン性の単官能単量体に由来する構造単位の含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して50重量%を超える場合、ハイドロゲルの作製に用いる組成物中において上記非イオン性の単官能単量体の存在状態が不均一となるため、ハイドロゲルが作製できなかったり、得られたとしてもハイドロゲルの粘着性及び導電性にムラを生じてしまったりすることがある。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルにおいて、多官能単量体は、架橋剤として機能するものである。上記多官能単量体は、分子内に、アミド基及びエステル基の少なくとも一方を有し、且つ、重合性の炭素−炭素二重結合を二つ以上有する化合物であれば特に限定されるものではない。上記多官能単量体としては、具体的には、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N'−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの多官能単量体の中でも、アミド基を有する多官能単量体、具体的には、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド及びN,N'−エチレンビス(メタ)アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種が前記多官能単量体として好ましい。アミド基を有する多官能単量体を使用して製造した高分子マトリックスを含むハイドロゲルは、エステル基を有する多官能単量体を使用して製造した高分子マトリックスを含むハイドロゲルと比べて耐アルカリ性に優れる。このため、アミド基を有する多官能単量体を使用して製造した高分子マトリックスを含むハイドロゲルは、アルカリ条件下のコンクリート構造物及び金属に貼り付けて用いられる電気防食方法において、強い粘着力を示す。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルにおける上記多官能単量体に由来する構造単位の含有量は、特に限定されないが、ハイドロゲル100重量%に対して、0.01〜0.5重量%の範囲内であることが好ましく、0.02〜0.3重量%の範囲内であることがより好ましい。上記多官能単量体に由来する構造単位の含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して0.01重量%未満の場合、上記ハイドロゲルは、架橋密度が低く、形状安定性が確保できないため、水に対する膨潤を抑制することができないことがある。また、多官能単量体に由来する構造単位の含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して0.5重量%を超える場合、上記ハイドロゲルに十分な柔軟性を付与することができず、上記ハイドロゲルの粘着力が低下してしまうことがある。
したがって、上記ハイドロゲルにおける多官能単量体に由来する構造単位の含有量を上記範囲内とすることで、ハイドロゲルの十分な形状安定性及び耐膨潤性を確保しつつ、ハイドロゲルに対して、十分な粘着力を維持できる程度の十分な柔軟性を付与することができる。
また、上記高分子マトリックスにおける上記多官能単量体に由来する構造単位の含有量は、特に限定されないが、上記高分子マトリックス(上記単官能単量体及び多官能単量体に由来する構造単位の総含有量)100重量%に対して、0.01〜0.3重量%の範囲内であることが好ましく、0.025〜0.25重量%の範囲内であることがより好ましい。上記多官能単量体に由来する構造単位の含有量が上記高分子マトリックス100重量%に対して0.01重量%未満の場合、上記高分子マトリックスの架橋密度が低く、上記ハイドロゲルが形状安定性を確保できないため、水に対する膨潤を抑制することができないことがある。また、多官能単量体に由来する構造単位の含有量が上記高分子マトリックス100重量%に対して0.3重量%を超える場合、上記ハイドロゲルに十分な柔軟性を付与することができず、上記ハイドロゲルの粘着力が低下してしまうことがある。
また、本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルは、多価アルコールを含有する。上記多価アルコールは、可塑剤として機能する。
上記多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、及び、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテル等が挙げられる。多価アルコールが、これら化合物からなる群より選択される少なくとも1種である場合、上記単官能単量体及び上記多官能単量体に対して良好な溶解性を示すので、ハイドロゲルは、相分離等がなく、より均一なものとなり、良好な粘着性及び加工性を有する。なお、上記多価アルコールとして例示した化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルにおける上記多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、ハイドロゲル100重量%に対して、20〜70重量%の範囲内であることが好ましく、40〜65重量%の範囲内であることがより好ましい。上記多価アルコールの含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して20重量%未満であると、ハイドロゲルは、保湿力が乏しく、水分の蒸散が著しくなることがある。その結果、ハイドロゲルが、経時安定性に欠けるとともに柔軟性に欠けるため、十分な粘着性が得られないことがある。また、上記多価アルコールの含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して70重量%を超えると、高分子マトリックスが保持できる多価アルコールの量を超えてしまうため、ハイドロゲルの表面から多価アルコールがブリードアウトすることによる物性変動や、ハイドロゲルの乾燥による物性変動が生じて、ハイドロゲルが十分な粘着性を経時的に維持できないことがある。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルは、水を含有する。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルにおける水の含有量は、特に限定されないが、ハイドロゲル100重量%に対して、10〜60重量%であることが好ましく、15〜30重量%であることがより好ましい。水の含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して10重量%未満であると、ハイドロゲルの平衡水分量に対してハイドロゲルの含水量が少なくなりすぎ、ハイドロゲルの吸湿性が強くなり、その結果としてハイドロゲルが経時的に変質(例えば、膨潤)することがある。また、水の含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して60重量%を超えると、ハイドロゲルの平衡水分量に対してハイドロゲルの含水量が多すぎて、乾燥によるハイドロゲルの収縮や物性変化を生じることがある。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルは、電解質を含有する。流動陽極方式による電気防食方法において、上記ハイドロゲルは、電解質の含有により、導電性を有するので、コンクリートに貼りつけされる導電性粘着材等として好適に機能する。また、上記電解質は、pHの調整剤として用いられていてもよく、ハイドロゲルの保湿性能を向上させる目的で用いられていてもよい。
上記電解質としては、特に限定されず、例えば、ハロゲン化ナトリウム(例えば塩化ナトリウム)、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属;ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属;その他の金属ハロゲン化物等が挙げられる。また、上記電解質として、各種金属の、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、燐酸塩も好適である。また、上記電解質として、アンモニウム塩、各種錯塩等の無機塩類;酢酸、安息香酸、乳酸等の一価カルボン酸の塩;酒石酸、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩;スルホン酸、アミノ酸等のような、カルボン酸以外の有機酸の金属塩;有機アンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリtert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンの塩等の高分子電解質等も好適である。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルにおける上記電解質の含有量は、ハイドロゲル100重量%に対して、0.05〜10重量%であることが好ましく、2〜8重量%であることがより好ましい。水分を含んだハイドロゲルをシート状で導電層上に配置した場合、ハイドロゲルは、ハイドロゲルの厚み及び導電層の面積に応じた電気容量を有する。上記電解質の含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して0.05重量%未満であると、ハイドロゲルのインピーダンスが高くなり、電気防食用途として好適とはいえなくなる場合がある。また、上記電解質の含有量が上記ハイドロゲル100重量%に対して10重量%を超えると、ハイドロゲルへの電解質の溶解が困難となり、ハイドロゲルの内部で電解質の結晶の析出が生じたり、他の成分の溶解を阻害したりする場合がある。また、上記電解質の含有量がハイドロゲル100重量%に対して10重量%を超えると、ハイドロゲルの導電性能の向上が頭打ちとなり、ハイドロゲルへの導電性付与という観点から、これ以上の電解質の添加は有益なものとはいえなくなる。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルは、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する非イオン性の単官能単量体と、アミド基及びエステル基の少なくとも一方を有し、且つ、重合性の炭素−炭素二重結合を2つ以上有する多官能単量体と、水と、電解質と、多価アルコールとを含むハイドロゲル用組成物を使用し、単官能単量体と多官能単量体とを重合させて高分子マトリックスを形成する製造方法によって得ることができる。この場合、ハイドロゲル中における各単量体に由来する構造単位の含有率は、ハイドロゲル用組成物中における各単量体の含有率に相当する。
上記ハイドロゲル用組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。上記重合開始剤としては、特に限定されず、光重合開始剤、熱重合開始剤が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、紫外線又は可視光線で開裂して、ラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタール、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン等が挙げられ、より具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−プロパン−1−オン(製品名:ダロキュア(登録商標)1173、BASFジャパン株式会社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア(登録商標)2959、BASFジャパン株式会社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:ダロキュア(登録商標)1173、BASFジャパン株式会社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(製品名:イルガキュア(登録商標)184、BASFジャパン株式会社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(製品名:イルガキュア(登録商標)907、BASFジャパン株式会社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:イルガキュア(登録商標)369、BASFジャパン株式会社製)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(エザキュア(登録商標)KIP150、DKSHジャパン株式会社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記熱重合開始剤としては、熱により開裂して、ラジカルを発生するものであれば特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物;アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩等のアゾ化合物等が挙げられる。これらの熱重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。また、必要に応じて、硫酸第1鉄やピロ亜硫酸塩等の還元剤と過酸化水素やチオ硫酸ナトリウム等の過酸化物とからなるレドックス開始剤を熱重合開始剤と併用してもよい。
上記ハイドロゲル用組成物における重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、ハイドロゲル用組成物100重量%に対して、0.01重量%以上であることが好ましく、また、1重量%以下であることがより好ましい。重合開始剤の含有量がハイドロゲル用組成物100重量%に対して0.01重量%未満であると、重合反応が充分に進まず、得られるハイドロゲル中に、単官能単量体及び/又は多官能単量体が残存することがある。また、重合開始剤の含有量がハイドロゲル用組成物100重量%に対して1重量%を超えると、重合反応後の重合開始剤の残物により、得られるハイドロゲルが変色(黄変)したり、臭気を帯びたりすることがある。
上記ハイドロゲルを製造する方法としては、特に限定されず、例えば、上記ハイドロゲル用組成物に対して加熱、光照射、又は放射線照射を行う方法等が挙げられる。具体的には、上記ハイドロゲル用組成物に、重合開始剤として、熱重合開始剤を含有させて、加熱により、ハイドロゲル用組成物中の単官能単量体と多官能単量体とを重合させる方法;上記ハイドロゲル用組成物に、重合開始剤として、光重合開始剤を含有させて、光照射(紫外線又は可視光線照射)により、ハイドロゲル用組成物中の単官能単量体と多官能単量体とを重合させる方法;上記ハイドロゲル用組成物に、重合開始剤として、熱重合開始剤と光重合開始剤とを含有させて、光照射と加熱を同時に行うことにより、ハイドロゲル用組成物中の単官能単量体と多官能単量体とを重合させる方法;上記ハイドロゲル用組成物に、電子線やガンマ線等の放射線を照射することにより、ハイドロゲル用組成物中の単官能単量体と多官能単量体とを重合させる方法等を挙げることができる。なお、熱重合開始剤として、レドックス開始剤を併用する場合、加熱をしなくても反応を行うことが可能であるが、残存モノマーの低減化又は反応時間の短縮のため、レドックス開始剤を併用した場合であっても、加熱を行うことが好ましい。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルを、ハイドロゲル用組成物に対する紫外線照射により作製する場合には、紫外線の積算照射量は、1000mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲内であることが好ましく、2000mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲内であることがより好ましい。
本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルは、予め上記単官能単量体と多官能単量体との重合反応によって形成された高分子マトリックスに、水、電解質、及び多価アルコールを含浸させる製造方法等により製造することも可能である。
また、本発明の電気防食方法で使用するハイドロゲルは、シート状に成形されたハイドロゲルシートあってよい。上記ハイドロゲル用組成物をシート状に成形することによって、ハイドロゲルシートを得ることができる。ハイドロゲルシートは、0.1〜10mmの厚みを有することが好ましい。0.1〜10mmの厚みを有するシート状のハイドロゲルシートは、優れた柔軟性を有し、コンクリートや金属表面等の凹凸な表面への追従性に優れており、施工性に優れる。
ハイドロゲルシートの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法でハイドロゲルシートを製造することができる。例えば、樹脂フィルム等のベースフィルムの上に前記ハイドロゲル用組成物を滴下した後、滴下したハイドロゲル用組成物の上面に樹脂フィルム等のトップフィルムをかぶせてハイドロゲル用組成物を押し広げ、所望の厚みに制御する。この状態で光(紫外線)照射及び/又は熱によりハイドロゲル用組成物中の単官能単量体と多官能単量体とを重合及び架橋させて、所望の厚みを有するシート状のハイドロゲル、すなわちハイドロゲルシートを得ることができる。
ハイドロゲルシートの片面にベースフィルムを設け、ハイドロゲルシートにおけるベースフィルムが設けられた面の裏面にトップフィルムを設けてもよい。
上記ベースフィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の樹脂からなる樹脂フィルム、紙、前記樹脂フィルムをラミネートした紙等を使用することができる。
上記ベースフィルムを離型紙(セパレーター)として使用する場合には、これらベースフィルムのハイドロゲルシートと接する面は、シリコーンコーティング等の離型処理がなされていることが好ましい。すなわち、上記ベースフィルムを離型紙として使用する場合は、樹脂(例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン等)からなる樹脂フィルム、紙、前記樹脂フィルムをラミネートした紙等のフィルムの表面に離型処理を施したものが上記ベースフィルムとして好適に用いられる。離型処理の方法としては、シリコーンコーティングが挙げられ、特に、熱又は紫外線で架橋、硬化反応させる焼き付け型のシリコーンコーティングが好ましい。離型処理が施されるフィルムとしては、二軸延伸したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)等が特に好ましい。
上記ベースフィルムを離型紙でなく、ハイドロゲルシートのバッキング材(裏打材)として使用する場合には、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリウレタンフィルム等を離型処理しないで用いることが好ましい。これらのうち、ポリウレタンフィルムは、柔軟性があり、水蒸気透過性を有するものもあるので、特に好ましい。また、ポリウレタンフィルムは、通常、単独では柔らかすぎ、製造工程での取扱が困難なため、ポリオレフィンフィルムや紙等のキャリアフィルムをラミネートして用いることが好ましい。この場合、ハイドロゲルの製造工程は、ベースフィルムにキャリアフィルムを付けた状態で行われることが好ましい。
上記トップフィルムとしては、基本的にベースフィルムと同じ材質のものを使用することも可能であるが、光重合を妨げないために、光を遮断しない材質のフィルムを選択することが好ましい。また、バッキング材(裏打材)に用いるフィルムは、トップフィルムとして使用しない方が好ましい。特に、バッキング材に用いるフィルムが紫外線等の照射により劣化する可能性がある場合には、バッキング材に用いるフィルムをトップフィルムとして使用すると、バッキング材に用いるフィルムが直接紫外線が照射される側に位置することになるため、好ましくない。
ハイドロゲル用組成物を重合架橋してゲル化させ、生成したシート状のハイドロゲル(ハイドロゲルシート)をロール状に巻き取る場合には、上記ベースフィルム及び/又はベースフィルムは、柔軟性を有していることが好ましい。柔軟性がないフィルムをハイドロゲルシートの両面に設けると、巻皺が発生するおそれがある。また、柔軟性を有するフィルムは、ロール巻の内面側、外面側の何れの側に配置されてもよいが、外面側に配置することが好ましい。
(コンクリート構造物の電気防食方法)
本発明のコンクリート構造物の電気防食方法では、流電陽極方式を用いており、コンクリート構造物内の鋼材を陰極とし、コンクリート構造物の表面に上記ハイドロゲルを介して陽極としての金属を配置し、陰極の鋼材と陽極の金属との電位差を利用して、上記ハイドロゲルを通して防食電流を流す。効果的に電気防食を行うには、陽極は、亜鉛、アルミニウム、及びマグネシウムの少なくとも1種の金属からなることが好ましく、亜鉛からなることが最も好ましい。陽極の金属は、板状(パネル状)、シート状等の形状にすることができる。
以下に実施例を掲げて本発明のコンクリート構造物の電気防食法に使用するハイドロゲルを更に詳しく説明するが、本発明のコンクリート構造物の電気防食法に使用するハイドロゲルはこれら実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕
非イオン性の(メタ)アクリルアミド系単量体(非イオン性の単官能単量体)としてのアクリルアミド(三菱化学株式会社製)25重量部と、多官能単量体としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.035重量部と、多価アルコールとしてのグリセリン(日本薬局方濃グリセリン)52.015重量部と、電解質としての塩化ナトリウム2.8重量部と、水20重量部とを容器に入れて撹拌し、上記非イオン性の(メタ)アクリルアミド系単量体と上記多官能単量体と上記電解質とを多価アルコール及び水に溶解させて、モノマー配合液を調製した。次いで、このモノマー配合液に、光重合開始剤としての1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア(登録商標)2959(IR2959)、BASFジャパン株式会社)0.15重量部を加えて、撹拌し、上記光重合開始剤を溶解させて、ハイドロゲル用組成物を得た。
その後、上記ハイドロゲル用組成物を、シリコーンコーティングされた厚さ100μmのPETフィルム(ベースフィルム)上に滴下した後、滴下したハイドロゲル用組成物の上に、シリコーンコーティングされた厚さ38μmのPETフィルム(トップフィルム)を被せてハイドロゲル用組成物を均一に押し広げて、0.75mmの厚さとなる様に固定した。そして、メタルハライドランプを使用してエネルギー量3000mJ/cm2の紫外線をハイドロゲル用組成物に照射し、厚み0.75mmのシート状のハイドロゲル(ハイドロゲルシート)を得た。
〔比較例1〕
非イオン性の(メタ)アクリルアミド系単量体(非イオン性の単官能単量体)としてのアクリルアミド(三菱化学株式会社製)25重量部に代えて、アニオン性のアクリル系単量体(アニオン性の単官能単量体)としてのアクリル酸(製品名:アクリル酸100%、三菱化学株式会社製)25重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み0.75mmのシート状のハイドロゲル(ハイドロゲルシート)を得た。
〔コンクリートへの経時粘着力の測定〕
実施例1及び比較例1で作製された厚み0.75mmのハイドロゲル(ハイドロゲルシート)を幅20mm×長さ70mmの大きさに切断した後、一方の面のPETフィルム(ベースフィルム)を剥がし、このPETフィルム(ベースフィルム)を剥がした面に、不織布(デュポン株式会社製「スパンレース♯8021」、厚み0.38mm)を裏打ちしたものを試験片とした。この試験片における粘着性ハイドロゲルの他方の面のPETフィルム(トップフィルム)を剥がしてから、この試験片のPETフィルム(トップフィルム)を剥がした面を、コンクリートに貼り付けた。そして、前記試験片が貼り付けられたコンクリートを、25℃、湿度60%の環境下で1週間放置した後、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製の「TA−XT.Plus」)にセットした。この後、JIS Z 0237に準じて300mm/分の速度で90°方向に試験片を剥離する際の荷重を測定し、測定された荷重(N)を経時粘着力とした。
なお、上記コンクリートとしては、JIS A 5364に準じ、住友大阪セメント株式会社製フィルコンRと水とを64:36の重量比で混合した混合物を型に入れて成型して作製したコンクリート(150mm×150mm角、厚み30mm)を使用した。このコンクリートの表面をイオン交換水で湿らせ、湿らせたコンクリートの表面にpH試験紙を貼り付けて、pHを測定したところ、前記コンクリートの表面のpHは12であった。
〔亜鉛板への経時粘着力の測定〕
実施例1及び比較例1で作製された厚み0.75mmのハイドロゲル(ハイドロゲルシート)を幅20mm×長さ100mmの大きさに切断した後、一方のPETフィルム(ベースフィルム)を剥がし、このPETフィルム(ベースフィルム)を剥がした面に合成紙(例えば、日清紡ペーパープロダクツ株式会社製の「ピーチコート紙SE80」(厚み80μm)、または、株式会社ユポ・コーポレーション製の「FGS80」(厚み80μm)等)を裏打ちしたものを試験片とした。この試験片におけるハイドロゲルの他方の面のPETフィルム(トップフィルム)を剥がしてから、この試験片のPETフィルム(トップフィルム)を剥がした面を亜鉛板(厚み0.25mm)に貼り付けた。そして、前記試験片が貼り付けられた亜鉛板を、25℃、湿度60%の環境下で1週間放置した後、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製の「TA−XT.Plus」)にセットした。この後、JIS Z 0237に準じて300mm/分の速度で90°方向に試験片を剥離する際の荷重を測定し、測定された荷重(N)を経時粘着力とした。
実施例1及び比較例1で作製されたハイドロゲルについて、コンクリート及び亜鉛板への経時粘着力の測定結果を表1に示す。
Figure 0006117662
表1に示す結果より、実施例1のハイドロゲルは、比較例1のハイドロゲルと比べて、コンクリート及び金属に対する経時粘着力に優れていることが認められた。
具体的には、非イオン性の単官能単量体を用いて作製された実施例1のハイドロゲルのコンクリート及び金属(亜鉛板)への経時粘着力は、いずれも、アニオン性の単官能単量体を用いて作製された比較例1のハイドロゲルに比べて、コンクリート及び金属(亜鉛板)への経時粘着力が高いことが認められた。
以上のことから、実施例1のハイドロゲル、即ち、本発明のコンクリート構造物の電気防食方法で使用するハイドロゲルは、コンクリート及び金属に対して十分な経時粘着力を有するものであることが認められた。
このため、流電陽極方式を用い、実施例1のハイドロゲルを介してコンクリート構造物の表面に設置した陽極と、前記コンクリート構造物内の陰極としての鋼材との間に防食電流を流す本発明のコンクリート構造物の電気防食方法では、経時でのコンクリート構造物及び陽極からのハイドロゲルの剥離を抑制でき、防食性能の低下を抑制することができる。
本発明は、流電陽極方式によるコンクリート構造物の電気防食方法に好適に適用することができる。

Claims (7)

  1. ハイドロゲルを介してコンクリート構造物の表面に設置した陽極と、前記コンクリート構造物内の陰極としての鋼材との間に防食電流を流す流電陽極方式を用いたコンクリート構造物の電気防食方法において、
    前記ハイドロゲルが、高分子マトリックスと、水と、電解質と、多価アルコールとを含み、
    前記高分子マトリックスが、重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する非イオン性の単官能単量体と、アミド基及びエステル基の少なくとも一方を有し、且つ、重合性の炭素−炭素二重結合を二つ以上有する多官能単量体との共重合体からなる
    ことを特徴とするコンクリート構造物の電気防食方法。
  2. 請求項1に記載のコンクリート構造物の電気防食方法であって、
    前記ハイドロゲルが、当該ハイドロゲル100重量%に対して、前記非イオン性の単官能単量体に由来する構造単位を15〜50重量%含み、前記多官能単量体に由来する構造単位を0.01〜0.5重量%含むことを特徴とするコンクリート構造物の電気防食方法。
  3. 請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の電気防食方法であって、
    前記高分子マトリックスが、当該高分子マトリックス100重量%に対して、上記多官能単量体に由来する構造単位を、0.01〜0.3重量%含むことを特徴とするコンクリート構造物の電気防食方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の電気防食方法であって、
    前記ハイドロゲルが、当該ハイドロゲル100重量%に対して、前記多価アルコールを20〜70重量%含み、前記水を10〜60重量%含むことを特徴とするコンクリート構造物の電気防食方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の電気防食方法であって、
    前記非イオン性の単官能単量体が、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、及び、N−(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするコンクリート構造物の電気防食方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の電気防食方法であって、
    前記多官能単量体が、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド及びN,N'−エチレンビス(メタ)アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするコンクリート構造物の電気防食方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の電気防食方法であって、
    前記多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル、及び、ポリオキシプロピレンポリグリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするコンクリート構造物の電気防食方法。
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