JP6117522B2 - エピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法 - Google Patents

エピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、エピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法に関し、詳しくは、複数の炭化珪素単結晶基板を互いに隙間を空けて積層する方向に配列する縦型配列構造の基板処理装置を用いて、エピタキシャル炭化珪素ウエハを製造する方法に関するものである。
炭化珪素(以下、SiCと表記する場合がある)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、物理的、化学的に安定なことから、耐環境性半導体材料として注目されている。また、近年、高周波高耐圧電子デバイス等の基板としてエピタキシャルSiCウエハの需要が高まっている。
SiC単結晶基板(以下、単にSiC基板と呼ぶ場合がある)を用いて、電力デバイスや高周波デバイス等を作製する場合には、通常、SiC基板上に熱CVD法(熱化学蒸着法)によってSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させたエピタキシャルSiCウエハを得るようにする。SiC基板上にさらにSiCのエピタキシャル成長膜を形成する理由は、ドーピング元素によるドーピング密度が制御された層を使ってデバイスを作り込むためである。従って、ドーピング密度制御が不十分であると、デバイス特性が安定しないという問題が引き起こされる。
熱CVD法以外では、イオン注入法によりSiC基板に直接ドーピング元素を打ち込むことで、ドーピング密度が制御されたSiCウエハを形成する方法もある。しかしながら、この場合には、注入後にSiCウエハを高温でアニールする必要があることから、現在では、専らエピタキシャル成長によるエピタキシャルSiCウエハの作製が多用されている。
この熱CVD法を利用する際には、一般に、成長室内のホルダー上にSiC基板を載せて、ホルダーを回転させながら、SiC基板の直上に、例えば珪素源のシランガスやクロロシランガス等と炭素源の炭化水素ガス等とを混合した原料ガスを、水素等のキャリアガスと共に供給してSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる方法が採用されている(例えば非特許文献1参照)。このとき、窒素(N2)等のドーピングガスは、通常、原料ガスに混合されて供給される。そして、このようにSiC基板をホルダーに載置する基板処理装置をここでは横型配列構造と呼ぶ。また、同じ横型配列構造でも、より大きなホルダーを使って複数のSiC基板を横に並べて搭載し、各SiC基板を回転(自転)させると共にホルダーを回転(公転)させて、一度の処理で複数枚のエピタキシャルSiCウエハを得ることも可能である。このようにホルダー上に複数のSiC基板を並べる基板処理装置をここではプラネタリ構造と呼ぶ。
このプラネタリ構造の場合には、SiC基板の自転と公転を組み合わせることで、複数のSiC基板に対して同等のエピタキシャル成長環境を作り出すことが可能なため、ひとつのSiC基板の基板面内のみならず、複数のSiC基板の基板間での膜厚やドーピング密度のばらつきを抑えることができて、生産性の観点から有利であるとされる。しかしながら、ホルダーの大きさで搭載可能なSiC基板の枚数が決まるため、SiC基板の口径が大きくなるにつれてその数は減少してしまう。特に、大口径化を図っているSiC基板においては、エピタキシャルSiCウエハの生産性についても同時に検討しなければならない。
エピタキシャルSiCウエハの生産性を向上させる手段のひとつに、成長室内でホルダーを縦方向に並べて、複数のSiC基板を互いに隙間を空けて積層する方向に配列させる縦型配列構造の基板処理装置が挙げられる。これによれば、SiC基板の口径が大きくなっても然程装置上の制約は受けず、縦方向に配列するSiC基板の数を増やすことで生産性良くエピタキシャルSiCウエハを製造することを可能にする。
ところが、このような縦型配列構造の基板処理装置では、横型配列構造の場合とは異なる制御が求められる。例えば、成長室の温度が縦方向に揃っていないと、SiC基板を配置した場所によって得られるエピタキシャル成長膜の膜厚が変わってしまったり、ドーピング密度にばらつきが生じてしまう。また、成長室内を縦方向に配列された各SiC基板にそれぞれ均一にエピタキシャル成長膜を成長させるためには、成長室内を縦方向に沿う配管を通じて珪素源と炭素源を含んだ原料ガスを導入し、SiC基板間の各隙間に対応する位置にガス吹出し口を設けてSiC基板の表面に原料ガスを供給するが、横型配列構造の場合のように珪素源のガスと炭素源のガスとを混合して供給すると、SiCの熱CVD法における高温環境下において配管内でこれらのガスが反応してしまい、吹き出し口を塞いでしまったり、配管内にSiCが堆積してしまうことがある。
そこで、珪素源を含んだ珪素材料ガスと炭素源を含んだ炭素材料ガスとを個別のガス導入管によりそれぞれ成長室内に導入する縦型配列構造の基板処理装置が提案されており(例えば特許文献1、2参照)、この縦型配列構造の基板処理装置を使えば、多数枚のSiC基板に対して均一な膜厚でSiCのエピタキシャル成長膜を成膜することが可能になる。しかしながら、このような基板処理装置を使っても、得られるエピタキシャルSiCウエハは、SiC基板を配置した場所によってそのSiC単結晶薄膜のドーピング密度にばらつきがあったり、同一エピタキシャルSiCウエハにおいてSiC単結晶薄膜の面内でのドーピング密度にばらつきが生じてしまうことがある。
特開2010-283336号公報(段落0030、図3) 特開2011-3885号公報(段落0091、図13)
Materials Science Forum Vols.45-648(2010),pp77-82
今後様々な分野で需要が増すことが予想されるSiCについて、量産性の点で有利と考えられる縦型配列構造を備えた基板処理装置を使ってエピタキシャルSiCウエハを製造する場合、上述したように、エピタキシャルSiCウエハ間でのドーピング密度のばらつきや、同一エピタキシャルSiCウエハ内でのドーピング密度のばらつきを抑えることが難しく、これらはデバイス特性が安定しないといった根本的な問題を引き起こしてしまうおそれがある。
そこで、本発明の目的は、生産性に優れながら、ドーピング密度のばらつきを抑えてSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させることができるエピタキシャルSiCウエハの製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記のような課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、縦型配列構造の基板処理装置を用いた場合のSiC単結晶薄膜におけるドーピング密度のばらつきは、ひとつに、ドーパントとして混合する窒素が高温環境下で他のガスと反応を起こして活性化することが原因であることを突き止めた。このため、成長室内の配管の上流側に比べて下流側に配置されたエピタキシャルSiCウエハの方がSiC単結晶薄膜におけるドーピング密度が相対的に高くなってしまう。
また、上記したエピタキシャルSiCウエハ間でのドーピング密度のばらつきを抑えようとすると、今度は同一エピタキシャルSiCウエハでのSiC単結晶薄膜においてドーピング密度を面内で均一にするのが困難になるという別の問題が生じてしまう。この理由について、本発明者らは更なる検討を重ねた結果、窒素にキャリアガスとして希ガスを混ぜて嵩上げしたドーピングガスを用いることで、驚くべきことに、ウエハ間でのドーピング密度のばらつきと共に、同一ウエハ内でのドーピング密度のばらつきを解消できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)複数の炭化珪素単結晶基板を成長室内で互いに隙間を空けて積層する方向に配列させる縦型配列構造の基板処理装置を用いて、それぞれの炭化珪素単結晶基板の表面に炭化珪素単結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法であって、
炭化珪素単結晶薄膜を形成するのに用いる珪素源を含んだ珪素材料ガス、炭素源を含んだ炭素材料ガス、及び窒素を含んだドーピングガスは、成長室内を縦方向に沿って配置される珪素材料ガス導入管、炭素材料ガス導入管、及びドーピングガス導入管を通じてそれぞれ個別に成長室内に導入されると共に、これらのガス導入管が炭化珪素単結晶基板間の各隙間に対応する位置にそれぞれガス吹出し口を有しており、
各炭化珪素単結晶基板の表面にそれぞれ珪素材料ガス、炭素材料ガス、及びドーピングガスを供給して熱CVD法により炭化珪素単結晶薄膜を形成する際に、前記ドーピングガスは、キャリアガスとして希ガスを混合して供給することを特徴とするエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
(2)前記珪素材料ガス又は炭素材料ガスのうちのガス流量が少ない方を基準にして、該基準ガス流量の10%以上に相当する流量となるように希ガスを混合したドーピングガスを成長室内に導入する(1)に記載のエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
(3)前記珪素材料ガスは、珪素源がSiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、及びSiCl4からなる群から選ばれた1種又は2種以上の珪素源ガスであって、かつ、キャリアガスとして希ガスが混合されたものであり、前記炭素材料ガスは、炭素源が炭素数5以下の炭化水素からなる炭素源ガスであって、かつ、キャリアガスとして水素ガスが混合されたものである(1)又は(2)に記載のエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
(4)前記珪素材料ガス中の珪素原子数に対する前記炭素材料ガス中の炭素原子数の比(C/Si)を0.5以上1.5以下にして炭化珪素単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる(1)〜(3)のいずれかに記載のエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
(5)前記成長室内の温度を1450℃以上1700℃以下にして炭化珪素単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる(1)〜(4)のいずれかに記載のエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
本発明によれば、エピタキシャルSiCウエハを生産性良く製造することができる。しかも、同時に複数得られるエピタキシャルSiCウエハの相対的なドーピング密度のばらつきを抑えることができると共に、それぞれのエピタキシャルSiCウエハにおいてその面内のドーピング密度のばらつきも抑えられる。そのため、本発明によって得られたエピタキシャルSiCウエハは、デバイス特性の安定化に資するウエハとして供することができる。
図1は、縦型配列構造を有する基板処理装置の概要を説明する説明図である。 図2は、基板処理装置の成長室内において縦型に配列されたSiC基板と各ガス導入管の様子を説明する説明図である。 図3は、縦型配列構造を有する基板処理装置を使って本発明に係る実施例1で得られたウエハ間でのドーピング密度のばらつきを示すグラフである。 図4は、比較例1で得られたウエハ間でのドーピング密度のばらつきを示すグラフである。 図5は、比較例2で得られたウエハ間でのドーピング密度のばらつきを示すグラフである。 図6は、エピタキシャルSiCウエハの面内でのドーピング密度のばらつきを評価する際に測定した測定点の位置関係を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1には、縦型配列構造を有する基板処理装置の概要を説明する説明図が示されており、図2には、その成長室内において互いに隙間を空けて縦型に配列されたSiC基板に対して、珪素材料ガス、炭素材料ガス、及びドーピングガスをそれぞれ個別のガス導入管を通じて供給し、熱CVD法によりSiC単結晶薄膜を形成する様子を説明する説明図が示されている。
この基板処理装置1は、複数のSiC基板を互いに隙間を設けて積層する方向に配列することができる縦型配列構造を備えており、外周を誘導加熱ヒーター等の加熱手段7により取り囲まれた成長室2内には、SiC基板を1枚ずつ配置することができる基板ホルダー3が複数配設されている。この基板ホルダー3は、それぞれに備え付けられたSiC基板自体を水平方向に回転させる基板回転手段(図示外)を有しており、SiC基板の表面に成長させるエピタキシャル膜の面内での膜厚のばらつきを抑えることができるようになっている。また、成長室2を黒鉛等で形成することで、誘導加熱ヒーターによって成長室自体が発熱体となる。
また、成長室2内には、基板ホルダー3に配置されたSiC基板の外周方向からガスを供給することができるように、珪素材料ガス導入管4、炭素材料ガス導入管5、及びドーピングガス導入管6が成長室2の縦方向に沿って配置されている。これらのガス導入管4,5,6は、図2に示したように、各基板ホルダー3(図2では記載を省略している)に配置されたSiC基板10の表面にSiC単結晶薄膜を成長させることができるように、SiC基板10の間に形成される各隙間に対応する位置にそれぞれガス吹出し口4a,5a,6aを有しており、各SiC基板10の表面に対して平行ないし略平行に珪素材料ガス、炭素材料ガス、及びドーピングガスが吹出されるようになっている。更に、これらの加熱手段7及び成長室2は断熱効果を備えた容器(筐体)8に収容され、また、成長室内に供給された各ガスは、真空ポンプ9を介して容器外に排出される。
なお、ここで言う「縦型」とは、SiC基板10を積層させる(重ね合わせる)方向に配列させることを意味するものであり、その場合の成長室の長手方向を「縦方向」と呼ぶ。図1、2の例のように、SiC基板10を鉛直方向に積層させる場合を含むのは勿論、例えば、SiC基板10を水平方向に積層させて横長の成長室を形成する場合も本発明に含まれるものとする。図2では、珪素材料ガス導入管4、炭素材料ガス導入管5、及びドーピングガス導入管6を1本ずつ備えた例を示すが、SiC基板10の外周にそれぞれを複数本配置するようにしてもよい。また、SiC単結晶薄膜を成長させる前などに行うSiC基板のエッチングに関しては、水素やHCl等のエッチングガスを成長室内に導入する際に窒素を含んだドーピングガスと混合されないようにすればよく、珪素材料ガス導入管4や炭素材料ガス導入管5を利用してもよく、エッチングガスを導入するエッチングガス導入管を別途設けるようにしてもよい。更には、SiC基板10の成長面を上向きにしてSiC単結晶薄膜を成長させてもよく、成長面を下向きにしてSiC単結晶薄膜を成長させてもよい。図2のようにSiC基板を鉛直方向に積層させる場合には、異物の落下やそれに起因する欠陥発生を抑えるには、成長面を下向きにするのが有利である。
本発明では、先の述べたように、珪素材料ガス、炭素材料ガス、及びドーピングガスをそれぞれ個別のガス導入管4,5,6を通じてSiC基板に供給する。特に、これまで一般に不活性ガスとして知られている窒素を含んだドーピングガスは、熱CVD法によるSiC単結晶薄膜のエピタキシャル成長温度において他のガスと反応して活性化することを新たに知見したことから、専用のドーピングガス導入管6を通じて縦型に配列された各SiC基板に対して供給する。すなわち、従来の熱CVD法では、窒素をドーパントとして使用する際には、原料ガスに混合して供給されるのが一般的である。ところが、縦型配列構造の基板処理装置のように成長室内を縦方向に沿って配置された配管内を移動する場合、その間に窒素が高温に晒されて他のガスと反応し、特に、珪素源として用いるクロロシランガス由来の塩素やキャリアガスの水素と反応して窒素が活性化され、配管内での共存時間がより長くなる下流側の方でそのドープ量が増加してしまうと考えられる。そこで、珪素材料ガス、炭素材料ガス、及びドーピングガスをそれぞれ個別のガス導入管4,5,6を通じてSiC基板に供給することで、ドーピングガス吹出し口6aから吹出されるまでは窒素の活性化が起こらず、また、珪素材料ガス、及び炭素材料ガスを含めて、ガス導入管4,5,6の上流側の吹出し口4a,5a,6aから供給される各ガスの共存時間と、ガス導入管4,5,6の下流側の吹出し口4a,5a,6aから供給される各ガスの共存時間とが同じになり、上流側で得られるエピタキシャルSiCウエハのドーピング密度と、下流側で得られるエピタキシャルSiCウエハのドーピング密度とを揃えることができる。
ここで、珪素材料ガスについて、その窒素源としては熱CVD法によるSiCのエピタキシャル成長に用いられるものであれば特に制限はなく、シランガスやクロロシランガス等を用いることができ、例えば、SiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4等の珪素源ガスが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合したものを好適に用いることができる。モノシラン(SiH4)の2量体であるジシラン(Si2H6)など、上記に例示したガスの各2量体も使用可能であるが、それらは気相中で凝集を起こし、塊としてSiC基板の表面に付着する確率が若干高くなるため、望ましくは単量体を使用するのがよい。また、珪素材料ガスのキャリアガスとしては、アルゴンやヘリウム等の希ガスを用いるのが好適である。仮に水素を用いると、例えばSiCl4と水素を共存させて供給した場合にSiCl4の分解が生じてしまい、設計通りの成長が得られないことがある。
また、炭素材料ガスについては、珪素材料ガスの場合と同様に公知のものを用いることができ、一般的には炭化水素ガスが使用される。なかでも常温付近でガス状態であってハンドリングする上で好都合であることから、炭素数が5以下の飽和炭化水素、又は、炭素数が5以下の不飽和炭化水素からなる炭素源ガスであるのがよく、これらの1種又は2種以上を混合したものを好適に用いることができる。これら以外にも芳香族炭化水素なども使用可能ではあるが、一般に分解速度が遅く、カーボンの凝集体を作りやすいので注意が必要である。また、炭素材料ガスのキャリアガスとしては、ガス同士の反応を抑えることができることから、好適には水素を用いるのがよい。
珪素材料ガス及び炭素材料ガスは、いずれも上記のようなキャリアガスによって希釈されるのが一般的であるが、SiC単結晶薄膜の成長速度は、珪素源ガスや炭素源ガスの濃度に比例する。すなわち、成長速度を高めるためにはそれらのガス濃度を高くすればよいが、ある程度の濃度になってしまうとドロップレット(付着物)が発生したり、面荒れの原因となってエピタキシャル膜の品質が低下してしまう。
そのため、SiC単結晶薄膜の成長速度を1.0μm/時間以上70μm/時間以下にするのが好適であり、その際の珪素材料ガスについては、上記で好適な例として挙げた珪素源ガスの濃度が1体積%以上10体積%以下になるようにするのがよく、好ましくは2体積%以上4体積%以下であるのがよい。一方の炭素材料ガスについては、好適な例として挙げた炭素源ガスの濃度が0.01体積%以上1体積%以下になるようにするのがよく、好ましくは0.02体積%以上0.06体積%以下であるのがよい。なお、この濃度範囲はC38の場合を例示したものであり、他の炭素源ガスを用いる場合にはカーボン(C)の量で等量となるように変更すればよい。例えばメタン(CH4)ではこの濃度範囲の上限値及び下限値をそれぞれ3倍にすればよい。
また、成長室内に導入する珪素材料ガス中の珪素原子数に対する炭素材料ガス中の炭素原子数の比(C/Si)については、0.5以上1.5以下の範囲にしてSiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させるのがよく、好ましくは0.7以上1.3以下の範囲であるのがよい。C/Si比が上記範囲であれば比較的成長速度を大きくすることができて生産性の向上に繋がる上に、良質なエピタキシャル膜が得られるようになる。C/Si比が0.5未満であると未反応のSiが金属状態で膜に付着(ドロップレット)して欠陥発生の原因となる。逆に、1.5を超えるとバンチングと呼ばれる表面段差が発生し、デバイスを作製する上で悪影響を与えることがある。加えて、C/Si比が上記範囲を外れると、ドーピング密度にも影響が出るおそれがある。例えば、C/Si比が0.5未満になるとドーピングが高い効率で起きるため、反応場に不可避的に含まれる残留窒素によって所望のドーピング量を超えてしまうことがある。逆に1.5を超えるとドーピングの効率が落ちてしまうため、高いドーピング密度を目指して大量の窒素を供給しても狙いとするドーピング密度に到達しない場合がある。ちなみに、より大量の窒素を導入すると、膜質そのものへの影響(膜厚のばらつき、成長速度など)が出てしまうおそれがある。
一方、窒素の導入量については、デバイスの種類やそれに求められる特性等によりSiC単結晶薄膜の窒素濃度は様々である。また、SiC基板上に形成するSiC単結晶薄膜自体の目的(例えば、デバイス層として作用させる場合や基底面転位等の欠陥発生を抑制する抑止層として作用させる場合など)によっても窒素濃度は変化する。これらを勘案すると、SiC単結晶薄膜中の窒素(N)濃度(ドーピング密度)は一般に5×1015cm-3以上5×1017cm-3以下の範囲に含まれる。そして、このドーピング密度に相当する窒素をそのままドーピングガス導入管6を成長室内に導入すると、特に低い窒素濃度とする場合にはドーピングガス吹出し口6aから吹出された窒素ガスは珪素材料ガスや炭素材料ガスの流速に負けて、SiC基板上で有らぬ方向に流れてしまい、珪素材料ガスや炭素材料ガスに対するドーパントの混ざり具合が不均一になってしまう。そこで本発明においては、窒素ガスにキャリアガスとして希ガスを混合し、いわば嵩上げしたドーピングガスを供給するようにする。
好適には、成長室内に導入される珪素材料ガス又は炭素材料ガスのうちのガス流量が少ない方を基準にして、この基準ガス流量(最少ガス流量)の10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上に相当する流量となるようにして、希ガスを混合したドーピングガスを成長室内に導入するのがよい。ドーピングガスがこの流量割合を満たすようにすることで、同一エピタキシャルSiCウエハでのSiC単結晶薄膜においてドーピング密度の面内均一性をより確実に実現できる。そして、ドーピングガスに混合するキャリアガスがアルゴンやヘリウム等の希ガスであれば、上記のような高温環境下で窒素が他のガスと反応を起こして活性化するようなおそれもない。
また、本発明においては、SiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる際の成長温度は1450℃以上1700℃以下の範囲にするのがよい。一般に、1450℃より低い温度ではSiCはエピタキシャル成長せず、反対に1700℃より高い温度ではSiCの昇華速度が成長速度を上回ることになるため、結果的にその場合も実質的なエピタキシャル成長が行われない。要するに、SiCがエピタキシャル成長する温度領域にある限り、本発明の方法はいずれの温度であっても有効である。また、成長圧力については、成長温度と同様、SiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる際の一般的な条件をそのまま採用することができ、800Pa以上10,000Pa以下の範囲であるのがよい。
本発明のエピタキシャルSiCウエハの製造方法は、複数のSiC基板の表面にそれぞれSiC単結晶薄膜を成長させるものであり、そのSiC基板の枚数については特に制限はないが、数枚といった2〜3枚のSiC基板から20枚〜30枚といった数十枚乃至はそれ以上の数のSiC基板まで、同時にSiC単結晶薄膜を成長させることができる。そして、各SiC基板の表面に成長させるSiC単結晶薄膜の膜厚については、エピタキシャルSiCウエハ上に作り込むデバイスの種類やその仕様等によって適宜設定することができて特に制限はないが、一般的には5μm以上100μm以下程度の範囲である。
また、SiC単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる際には、水素ガスや塩化水素ガス等のエッチングガスを用いてSiC基板をエッチングするようにしてもよい。その一例として、例えば、成長室内を真空排気した後、エッチングガスを導入して圧力を6×103〜1×104Pa程度に調整する。その後、圧力を一定に保ちながら成長室内の温度を上げて、成長温度である1450〜1700℃に達した後、圧力をエピタキシャル成長条件(例えば1000〜2000Pa程度)まで低くして所定時間保持し、成長前のSiC基板の表面をエッチングする。このとき圧力はエッチング効率に大きな影響を持ち、低圧であるほどエッチングが進行する。このエッチングの程度は、その後のエピタキシャル成長に影響を与えることから、最適なエッチング量を設定するのがよい。一般的には、圧力条件は600Pa以上3000Pa以下、望ましくは800Pa以上1600Pa以下であるのがよい。また、保持時間(エッチング時間)は30秒以上30分以下、望ましくは1分以上5分以下であるのがよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の内容に制限されるものではない。
(実施例1)
4インチ(100mm)基板用の炭化珪素(SiC)単結晶インゴットから、約400μmの厚さでスライスし、粗削りとダイヤモンド砥粒による通常研磨を実施した4H型のポリタイプを有するSiC単結晶基板を複数用意し、それぞれのSi面を成長面として、以下のようにして熱CVD法によりSiC単結晶薄膜のエピタキシャル成長を実施した。なお、これらのSiC単結晶基板のオフ角はいずれも4°である。
エピタキシャル成長には、図1、図2に示したような縦型配列構造を有する基板処理装置1を使用した。ここで、成長室2は黒鉛製坩堝から形成されており、その外側を誘導加熱ヒーター7が取り囲んだ状態で容器(筐体)8に収容されている。この成長室2内には合計20個の基板ホルダー3が成長室の縦方向に等間隔の隙間をおいて重ねられるようにして備え付けられており、各SiC基板ホルダー3には、それぞれSiC単結晶基板10の成長面(Si面)が鉛直方向下向きになるようにして配置される。また、成長室2内には、縦方向に沿って合計6本のカーボン製ガス導入管(内径10mm×長さ500mm)が配設されており、基板ホルダー3に配置されたSiC基板10の外周に沿って順にi)炭素材料ガス導入管5、ii)珪素材料ガス導入管4、iii)炭素材料ガス導入管5、iv)ドーピングガス導入管6、v)珪素材料ガス導入管4、vi)炭素材料ガス導入管5として使用した。これらの各ガス導入管4,5,6には、SiC基板10間に形成される各隙間に対応する位置にそれぞれ約φ1〜3.5mm程度のガス吹出し口4a,5a,6aを備えている。そして、成長室2の下方にはガス排出管(図示外)が設けられており、成長室2内に供給された各ガスは、このガス排出管に接続された真空ポンプ9を通じて容器外に排出される。
上記の基板処理装置1を使用してSiC単結晶薄膜を成長させるにあたり、先ず、真空ポンプ9によって成長室2内を真空排気した後、炭素材料ガス導入管5を使って水素ガスを毎分200cm3導入しながら圧力を8000Paに調整した。その後、圧力を一定に保ちながら、成長室2の温度を1550℃まで上げた。しかる後、導入水素ガスを毎分250リットルまで増加させると同時に真空排気を行い、成長室2内の圧力を1000Paとした。その状態を3分間保持した後、SiCl4ガスを珪素源とし、かつ、キャリアガスとしてアルゴンを混合した珪素材料ガスをii)及びv)の珪素材料ガス導入管4を通じて導入し、また、C38ガスを炭素源とし、かつ、キャリアガスとして水素ガスを混合した炭素材料ガスをi)、iii)及びvi)の炭素材料ガス導入管5を通じて導入し、更に、窒素ガスにアルゴン(キャリアガス)を混合したドーピングガスをiv)のドーピングガス導入管6を通じて導入して、エピタキシャル成長を開始した。
ここで、珪素材料ガスはSiCl4ガスの濃度が2体積%となるようにし(SiCl4流量:300cm3/min)、2本の珪素材料ガス導入管4を通じて成長室2内に供給される珪素材料ガスの合計流量は毎分15,000cm3であった。また、炭素材料ガスはC38ガスの濃度が0.04体積%となるようにし(C3H8流量:90cm3/min)、3本の炭素材料ガス導入管5を通じて成長室2内に供給される炭素材料ガスの合計流量は毎分225,000cm3であった。更に、ドーピングガスは窒素(N2)ガスの濃度が1体積%となるようにし、1本のドーピングガス導入管6を通じて成長室2内に供給されるドーピングガスの流量は毎分2,000cm3であった。そして、エピタキシャル成長時間は2時間とし、その間の各ガスの供給量や成長室内の温度及び圧力は一定に保持した。なお、この実施例1のエピタキシャル成長におけるC/Si比は0.9である。
エピタキシャル成長終了後、得られた全20枚のエピタキシャルSiCウエハについて、それぞれ成長したSiC単結晶薄膜の膜厚をFT−IR方式の専用膜厚計により測定したところ、膜厚の平均値は10.5μmであった。また、成長室内で最下段に位置する基板ホルダー3をスロット1(slot 1)とし、最上段に位置する基板ホルダー3をスロット20(slot 20)として(つまり、ガス導入管の上流側から下流側に向けて基板ホルダー3を連番のスロット番号で特定して)、次のようにしてウエハ間におけるSiC単結晶薄膜のドーピング密度のばらつきを評価すると共に、同一ウエハ内でのSiC単結晶薄膜におけるドーピング密度の面内ばらつきを評価した。
先ず、得られた全てのエピタキシャルSiCウエハについて、CV測定器(水銀プローブC-V測定装置:フォーディメンジョン社製CVmap92A)を使ってそれぞれのSiC単結晶薄膜におけるドーピング密度を測定した。スロット番号とそれに対応するエピタキシャルSiCウエハでのドーピング密度(/cm3)の関係を図3に示す。この図3のグラフから分かるように、スロット番号による基板ホルダー3の位置によらずに、均一なドーピング密度が得られていることが確認された。
また、スロット16の基板ホルダー3で得られたエピタキシャルSiCウエハについて、水銀プローブ法によりSiC単結晶薄膜のドーピング密度を測定した。測定は、図6に示したように、エピタキシャルSiCウエハの円周を8等分する4本の直径とエピタキシャルSiCウエハの中心点を中心にした3つの同心円(半径r=15mm、30mm、45mm)とが交わる点、及びエピタキシャルSiCウエハの中心点の合計25点で行い、それぞれの測定点での窒素(N)濃度(ドーピング密度)を求めた。結果を表1に示す。これらから得られた結果について、ウエハの面内ばらつき(標準偏差/平均値)を求めたところ、7%と良好な結果であることを確認した。
Figure 0006117522
(実施例2〜15)
表2に示したように、珪素源ガス及び炭素源ガスの種類とその濃度を変更すると共に、珪素材料ガス、炭素材料ガス、及びドーピングガスの流量、並びに成長温度を変える以外は実施例1と同様にして、縦型配列構造を有した基板処理装置1を用いてエピタキシャルSiCウエハを製造した。
エピタキシャル成長終了後、最下段(スロット1)の基板ホルダー3で得られたエピタキシャルSiCウエハと最上段(スロット20)の基板ホルダー3で得られたエピタキシャルSiCウエハとについて、それぞれ実施例1と同様にしてSiC単結晶薄膜のドーピング密度を測定した。そして、最上段(スロット20)のドーピング密度が最下段(スロット1)のそれの何倍に相当するかを指標にし、1.1倍未満なら◎、1.1以上1.3倍未満なら○、1.3倍以上1.5倍未満なら△、1.5倍以上なら×として、ウエハ間のドーピング密度のばらつきを4段階で評価した。結果を表2に示す。
また、スロット16の基板ホルダー3で得られたエピタキシャルSiCウエハについて、実施例1と同様にして、合計25の測定点で窒素(N)濃度(ドーピング密度)を測定し、標準偏差/平均値を指標にして、5%未満であれば◎、5%以上10%未満であれば○、10%以上20%未満であれば△、20%以上であれば×として、同一ウエハ内での面内のドーピング密度のばらつきを4段階で評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006117522
表2から分かるように、本発明によれば、ウエハ間におけるSiC単結晶薄膜のドーピング密度のばらつきと共に、同一ウエハ内でのSiC単結晶薄膜におけるドーピング密度の面内ばらつきが抑えられることが確認できる。
(比較例1)
実施例1〜15で用いた基板処理装置1における6本のカーボン製ガス導入管のうち、ドーピングガスを専用で導入するiv)のドーピングガス導入管6は使用せずに、i)、iii)及びvi)の炭素材料ガス導入管5を使って、窒素を混合した炭素材料ガスを成長室内に導入した。また、珪素材料ガスについては、ii)珪素材料ガス導入管4、及びv)珪素材料ガス導入管4を使って成長室内に導入した。
ここで、珪素材料ガスのキャリアガスにはアルゴンを使用し、SiCl4ガスの濃度が2体積%となるようにして(SiCl4流量:300cm3/min)、2本の珪素材料ガス導入管4を通じて成長室2内に供給される珪素材料ガスの合計流量は毎分15,000cm3とした。また、炭素材料ガスのキャリアガスには水素ガスを使用し、C38ガスの濃度が0.04体積%となるようにして(C3H8流量:90cm3/min)、3本の炭素材料ガス導入管5を通じて成長室2内に供給される炭素材料ガスの合計流量は毎分225,000cm3とした。更には、この炭素材料ガスに窒素を毎分4cm3の流量で混合するようにした。そして、成長温度1550℃にて2時間のエピタキシャル成長を行うようにし、これら以外は実施例1と同様にして、縦型配列構造を有した基板処理装置1を用いてエピタキシャルSiCウエハを製造した。得られた全20枚のエピタキシャルSiCウエハでのSiC単結晶薄膜の平均膜厚は10.6μmであった。また、この比較例1のエピタキシャル成長におけるC/Si比は0.9である。
得られた全てのエピタキシャルSiCウエハについて、実施例1と同様にCV測定器を使ってそれぞれのSiC単結晶薄膜におけるドーピング密度を測定した。スロット番号とそれに対応するエピタキシャルSiCウエハでのドーピング密度(/cm3)の関係を図4に示す。この図4のグラフから分かるように、実施例1の場合(図3)に比べてドーピング密度のばらつきが多く、特にスロット番号が大きいものほどドーピング密度が相対的に高くなることが確認された。
(比較例2)
実施例1〜15で用いた基板処理装置1における6本のカーボン製ガス導入管のうち、ドーピングガスを専用で導入するiv)のドーピングガス導入管6は使用せずに、ii)及びv)の珪素材料ガス導入管4を使って、窒素を混合した窒素材料ガス成長室内に導入した。また、炭素材料ガスについては、i)、iii)及びvi)の炭素材料ガス導入管5を使って成長室内に導入した。
ここで、炭素材料ガスのキャリアガスには水素ガスを使用し、C38ガスの濃度が0.04体積%となるようにして(C3H8流量:90cm3/min)、3本の炭素材料ガス導入管5を通じて成長室2内に供給される炭素材料ガスの合計流量は毎分225,000cm3とした。また、珪素材料ガスのキャリアガスにはアルゴンを使用し、SiCl4ガスの濃度が2体積%となるようにして(SiCl4流量:300cm3/min)、2本の珪素材料ガス導入管4を通じて成長室2内に供給される珪素材料ガスの合計流量は毎分15,000cm3とした。更には、この珪素材料ガスに窒素を毎分4cm3の流量で混合するようにした。そして、成長温度1550℃にて2時間のエピタキシャル成長を行うようにし、これら以外は実施例1と同様にして、縦型配列構造を有した基板処理装置1を用いてエピタキシャルSiCウエハを製造した。得られた全20枚のエピタキシャルSiCウエハでのSiC単結晶薄膜の平均膜厚は10.4μmであった。また、この比較例1のエピタキシャル成長におけるC/Si比は0.9である。
得られた全てのエピタキシャルSiCウエハについて、実施例1と同様にCV測定器を使ってそれぞれのSiC単結晶薄膜におけるドーピング密度を測定した。スロット番号とそれに対応するエピタキシャルSiCウエハでのドーピング密度(/cm3)の関係を図5に示す。この図5のグラフから分かるように、実施例1の場合(図3)に比べてドーピング密度のばらつきが多く、特にスロット番号が大きいものほどドーピング密度が相対的に高くなることが確認された。
(比較例3)
アルゴンガスを混ぜることなく、窒素ガスを毎分20cm3の流量でiv)のドーピングガス導入管6を通じて成長室内に導入するようにした以外は実施例1と同様にして、エピタキシャルSiCウエハを製造した。得られた全20枚のエピタキシャルSiCウエハでのSiC単結晶薄膜の平均膜厚は10.5μmであった。また、この比較例1のエピタキシャル成長におけるC/Si比は0.9である。
このうち、スロット16の基板ホルダー3で得られたエピタキシャルSiCウエハについて、実施例1と同様にして、合計25の測定点で窒素(N)濃度(ドーピング密度)を測定したところ、標準偏差/平均値は25%であり、面内でのドーピング密度のばらつきが極めて大きいことが分かった。
1:基板処理装置、2:成長室、3:基板ホルダー、4:珪素材料ガス導入管、4a:珪素材料ガス吹出し口、5:炭素材料ガス導入管、5a:炭素材料ガス吹出し口、6:ドーピングガス導入管、6a:ドーピングガス吹出し口、7:加熱手段、8:容器(筐体)、9:真空ポンプ、10:炭化珪素単結晶基板。

Claims (5)

  1. 複数の炭化珪素単結晶基板を成長室内で互いに隙間を空けて積層する方向に配列させる縦型配列構造の基板処理装置を用いて、それぞれの炭化珪素単結晶基板の表面に炭化珪素単結晶薄膜をエピタキシャル成長させるエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法であって、
    炭化珪素単結晶薄膜を形成するのに用いる珪素源を含んだ珪素材料ガス、炭素源を含んだ炭素材料ガス、及び窒素を含んだドーピングガスは、成長室内を縦方向に沿って配置される珪素材料ガス導入管、炭素材料ガス導入管、及びドーピングガス導入管を通じてそれぞれ個別に成長室内に導入されると共に、これらのガス導入管が炭化珪素単結晶基板間の各隙間に対応する位置にそれぞれガス吹出し口を有しており、
    各炭化珪素単結晶基板の表面にそれぞれ珪素材料ガス、炭素材料ガス、及びドーピングガスを供給して熱CVD法により炭化珪素単結晶薄膜を形成する際に、前記ドーピングガスは、キャリアガスとして希ガスを混合して供給することを特徴とするエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
  2. 前記珪素材料ガス又は炭素材料ガスのうちのガス流量が少ない方を基準にして、該基準ガス流量の10%以上に相当する流量となるように希ガスを混合したドーピングガスを成長室内に導入する請求項1に記載のエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
  3. 前記珪素材料ガスは、珪素源がSiH4、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、及びSiCl4からなる群から選ばれた1種又は2種以上の珪素源ガスであって、かつ、キャリアガスとして希ガスが混合されたものであり、前記炭素材料ガスは、炭素源が炭素数5以下の炭化水素からなる炭素源ガスであって、かつ、キャリアガスとして水素ガスが混合されたものである請求項1又は2に記載のエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
  4. 前記珪素材料ガス中の珪素原子数に対する前記炭素材料ガス中の炭素原子数の比(C/Si)を0.5以上1.5以下にして炭化珪素単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる請求項1〜3のいずれかに記載のエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
  5. 前記成長室内の温度を1450℃以上1700℃以下にして炭化珪素単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる請求項1〜4のいずれかに記載のエピタキシャル炭化珪素ウエハの製造方法。
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