JP6117258B2 - 複合導体線、接続構造体、導体接続部材、溶融接続装置、及び複合導体線の接続方法 - Google Patents

複合導体線、接続構造体、導体接続部材、溶融接続装置、及び複合導体線の接続方法 Download PDF

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Description

この発明は、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に搭載されるモータのコイル用巻線に用いられるような複合導体線、接続構造体、導体接続部材、溶融接続装置、及び複合導体線の接続方法に関する。
上述のコイル用巻線としては、銅線の周囲をアルミニウムで覆った丸線、あるいはアルミニウム線の周囲を銅で覆った丸線からなる巻線が用いられているが、例えば、交流電流、高周波電流(1kHz以上)の電流を丸線からなる巻線に通電した場合、巻線に鎖交する磁束によって渦電流が生じやすく、その渦電流の影響により、巻線内部に電流が流れやすい部分と、流れにくい部分が生じるため、電気抵抗が増加する。
そこで、上述の渦電流による影響を少なくするため、例えば、断面積の異なる複数の導体を複合した特許文献1のコイル用巻線等の複合導体線が提案されている。この複合導体線同士を接続する場合、導電性を確保するために同一種類の導体同士を溶融接続する必要があるが、これら複合導体線を構成する複数の導体が同一種類の金属で構成されていれば、各導体の溶融温度が同じであるため、複合線の端部同士を同一の温度にて溶融接続することが可能である。例えば、同一種類の金属からなる複合導体線同士を接続する接続方法としては、複合導体線同士を一対の電極間に挟持して溶接する特許文献2のスポット溶接方法と、高導電性材同士の溶接と、低導電性材同士の溶接とを2回に分けて行う特許文献3の異種材の電気抵抗溶接方法が提案されている。
しかし、複合導体線における複数の導体が融点の異なる異種金属で構成されている場合、例えば、複合導体線120における融点が高い導体からなる高融点導体200の端部201同士と、該高融点導体200よりも融点が低い導体からなる低融点導体300の端部301同士を互いに突き合わせたまま、抵抗溶接装置400における一対の電極401間に挟持して抵抗溶接する必要がある(図17(a)(b)、図18(a)参照)。
ところが、高融点導体200が溶融する高い温度になるまで加熱するため、高融点導体200の端部201同士が接合部160にて接続されるまえに、融点が低い低融点導体300の方が先に溶融し始めることになる。したがって、低融点導体300よりも融点が高い高融点導体200を十分に溶融するまで加熱し続けると、低融点導体300の端部301が必要以上に溶融して先に流れ落ちてしまうだけでなく、低融点導体300の端部301同士の突き合わせ部分が離れてしまうため、接続不良が発生する(図17(c)、図18(b)参照)。
溶融接続する際の加熱時間を短くすれば、低融点導体300の端部301同士を溶融接続することができるが、高融点導体200の端部201同士は十分に溶融せず溶融接続が不完全となるため、接続不良が発生することになる。これは、溶融接続の代わりに、ヒュージング接合(熱カシメ)を実施しても同様に接続不良が発生する。
また、導体同士を接続する接続手段としては、半田付けが一般的であるが、例えば、車載用モータに用いる複合導体線同士を半田付け接続した場合、200℃前後の過酷な環境下で使用するため、耐熱性に問題があり、複合導体線同士の接続には適用することができない。
特開2007−288088号公報 特開平11−342477号公報 特開平6−55278号公報
この発明は、渦電流損失を低減することができるうえ、確実な導電性が確保される良好な状態に接続することができる複合導体線、接続構造体、導体接続部材、溶融接続装置、及び複合導体線の接続方法を提供することを目的とする。
この発明は、融点の異なる少なくとも2種類の導体を、互いに絶縁した状態で積層して一体に構成するとともに、導体線本体部と、該導体線本体部の長手方向端部に備えた接続許容部とで構成し、前記融点の異なる少なくとも2種類の導体を、相対的に融点が高い導体を高融点導体に設定するとともに、該高融点導体よりも融点が低い導体を低融点導体に設定し、前記接続許容部における前記低融点導体の体積を、前記高低融点導体の体積に比べて大きく設定した複合導体線、及び複合導体線の接続方法であることを特徴とする。
ここで、上記導体は、例えば、断面略正方形の四角線、断面略平角形の平角線等で構成することができる。絶縁は、例えば、絶縁皮膜、融着皮膜、絶縁性を備えた接着剤等で構成することができる。
この発明によれば、渦電流損失を低減することができるうえ、確実な導電性が確保される良好な状態に溶融接続することができる。
詳述すると、例えば、融点の異なる少なくとも2種類の導体で構成された複合導体線と、該複合導体線と同一構成の他の複合導体線における接続許容部同士を、同一種類の低融点導体同士と高融点導体同士とが隣り合うように突き合わせる。
接続許容部同士を突き合わせたまま、該接続許容部同士を、例えば、TIG溶接装置等の溶接手段により高融点導体が溶融する高い温度で加熱して、接続許容部における低融点導体同士、及び高融点導体同士を溶融する。
つまり、低融点導体の体積と高融点導体の体積が同じであれば、融点の低い低融点導体の方が早く溶融するが、本実施形態の複合導体線は、接続許容部における低融点導体の体積を、高融点導体の体積よりも大きく設定しているので、加熱溶融によって低融点導体同士の突き合わせ部分を確実な導電性が確保される溶融接続状態に溶融しつつ、高融点導体同士の突き合わせ部分を確実な導電性が確保される溶融接続状態にまで十分に溶融することができる。
これにより、接続許容部における低融点導体の端部に、高融点導体同士を確実な導電性が確保される溶融接続状態に溶融するのに十分な溶け代を確保することができる。
高融点導体が十分に溶融するまでに、低融点導体が先に流れ落ちることを防止できるうえ、低融点導体同士、及び高融点導体同士の突き合わせ部分が離れてしまうことも防止できる。
この結果、低融点導体同士と高融点導体同士を互いに突き合わせたまま確実に溶融接続することができ、確実な導電性が確保される良好な状態に溶融接続することができる。
しかも、融点の異なる同一種類の導体同士の溶融接続が略同時(例えば、1回の溶着作業)に行えるので、作業性を向上できる。
さらに、同一種類の低融点導体同士と高融点導体同士を互いに溶融接続するので、例えば、半田付けに比べて溶融接続した部分の耐熱温度および強度が高く、車載用モータのように200℃前後で振動のある過酷な環境下で使用しても、確実な導電性が確保される溶融接続状態を保つことができるうえ、電気的に溶融接続された状態を長期に亘り維持することができる。
ここでは、接続許容部同士を互いに突き合わせて溶融接続する例を説明したが、例えば、接続許容部同士を互いに重ね合わせて溶融接続してもよい。
本発明の必要性について、例えば、複合導体線を構成する接続許容部における融点の異なる複数種の導体の体積比は、渦電流損失を低減してコイル用巻線の電気抵抗が最小になるように設定されている(特開2014−112506号公報参照)。
一方で接続許容部における融点の異なる複数種の導体同士を溶融接続するのに最適な体積比は、コイル用巻線の電気抵抗が最小になる体積比と一致するとは限らない。よって本発明のように接続許容部における融点の異なる複数種の導体の体積比を変えることに意味がある。
この発明の態様として、前記高融点導体を、前記接続許容部における前記導体を積層した積層方向の最も外側に配置することができる。
この発明によれば、接続許容部における高融点導体の体積を、低融点導体の体積に比べて相対的に小さくするための加工が容易に実施できる。
詳述すると、高融点導体を、接続許容部における積層方向の最も外側に配置しているので、接続許容部における高融点導体の体積を、低融点導体の体積に比べて小さくする加工(例えば、切削、切断等)が容易に実施できる。
例えば、低融点導体と高融点導体とからなる複合導体線同士を溶融接続する場合、複合導体線を覆う絶縁被覆を除去する必要がある。その際、絶縁被覆と一緒に高融点導体の一部を切削により除去するか、該高融点導体の一部を切断する等して、相対的に低融点導体が長くなるように加工する。
これにより、接続許容部以外での断面比率が、高融点導体に比べて低融点導体が小さい複合導体線において、接続許容部における低融点導体の体積比率を、高融点導体に比べて大きくすることができる。
この結果、高融点導体が溶融するのに十分な溶け代を、接続許容部における低融点導体に対してより確実に確保することができる。
またこの発明の態様として、前記高融点導体を銅または銅合金で構成し、前記低融点導体をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成することができる。
この発明によれば、渦電流損失をより低減することができるうえ、軽量化を図ることができる。
詳述すると、高融点導体を、高い導電率を有する銅製導体または銅合金導体で構成することによって、直流抵抗を低減することができるとともに、低融点導体を、相対的に低い導電率を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成することによって、渦電流損失を低減することができる。
この結果、高融点導体である銅は導電率が大きく直流抵抗を小さくでき、低融点導体であるアルミニウムは導電率が相対的に小さく渦電流が発生しにくいため、直流に対する損失も小さく、かつ高周波における渦電流損失も小さい複合導体線とすることができる。
しかも、低融点導体をアルミニウムにて構成することにより、複合導体線全体を銅のみで構成するよりも重量が軽くなり、複合導体線を軽量化できる。
またこの発明の態様として、上記複合導体線における接続許容部同士を、同一種類の導体同士が隣り合うように突き合わせて溶融接続した接続構造体である。
詳述すると、異種の導体同士を溶融接続する必要はなく、同一種類の導体同士さえ溶融接続すれば渦電流損失を低減することができるため、確実な導電性が確保される良好な接続状態の接続構造体を構成することができる。
またこの発明は、融点の異なる複数種の導体うち融点が高い高融点導体と、該高融点導体よりも融点が低い低融点導体とを絶縁状態で積層して一体化した複合導体線における長手方向端部の接続側端部同士を溶融接続する際に、該接続側端部同士を突き合わせ方向に突き合わせた状態に挟持するとともに、通電して溶融する一対の導体接続部材であって、前記複合導体線の接続側端部に当接して通電する当接側端部に、前記突き合わせ方向に突出し、前記接続側端部の前記高融点導体を加圧変形する突出部を備えたことを特徴とする。
上記複合導体線における高融点導体と低融点導体は、高融点導体と低融点導体の2種類のみ、あるいは、融点の異なる3種類以上の場合も含む概念である。
なお、3種類以上の導体の場合、高融点導体と低融点導体は、融点が高い高融点導体に対して、その他の融点が低い導体が低融点導体となる。また、その他の低融点導体とした複数の導体のうち、融点が高い導体が高融点導体となり、他の融点が低い導体が低融点導体となる。
上記突出部は、例えば、断面略矩形、断面略三角形、断面略円弧形等の凸部で構成することができる。また、上記導体接続部材は、例えば、抵抗溶接装置における電極等で構成することができる。また、上記溶融接続装置は、例えば、抵抗溶接装置等で構成することができる。
この発明によれば、複合導体線同士における接続側端部同士を、確実な導電性が確保される良好な状態に接続することができる。
詳しくは、一対の導体接続部材を突き合わせ方向に移動させて、複合導体線同士における接続側端部同士を、同一種類の高融点導体同士と低融点導体同士を互いに突き合わせたまま、一対の導体接続部材における当接側端部間に挟持するとともに、該当接側端部を接続側端部における突き合わせる面と反対側の部分に当接する。当接側端部が接続側端部に当接する際に、当接側端部に突出した突出部が、接続側端部における高融点導体を突き合わせ方向に押圧するため、高融点導体を加圧変形させることができる。
一対の導体接続部材を、当接側端部が接続側端部における低融点導体の突き合わせる面と反対側の部分に対して当接される位置まで移動させることにより、当接側端部間に挟持された接続側端部同士の高融点導体同士を、当接側端部間に挟持された高融点導体の断面積が、低融点導体の断面積未満となる大きさに加圧変形することができる。
上述のように加圧変形させた後、当接側端部間から押し出された高融点導体の余剰部を除去することにより、接続側端部における高融点導体の体積を、低融点導体の体積未満に減らすことができるとともに、高融点導体を溶融する際に必要な熱容量を減らすことができる。
また、当接側端部を低融点導体に当接した状態において、当接側端部の突出部は高融点導体に対して通電可能に押し付けられており、該当接側端部は低融点導体に対して通電可能に押し付けられているため、接続側端部同士を挟持する当接側端部間に通電すれば、接続側端部同士における高融点導体同士と低融点導体同士を互いに突き合わせたまま溶融させて接続することができる。
この結果、高融点導体よりも融点が低い低融点導体が先に流れ落ちることを防止できるとともに、接続側端部同士における高融点導体同士と低融点導体同士を互いに突き合わせたまま確実に接続することができ、確実な導電性が確保される良好な状態に接続することができる。
この発明の態様として、前記当接側端部を、前記複合導体線における接続側端部の突き合わせる面と反対側の部分の挿嵌を許容するとともに、該接続側端部の厚み未満の深さを有し、前記突き合わせ方向に向けて凹状に窪んだ溝形状に形成し、前記突出部を、前記当接側端部における前記低融点導体の突き合わせる面と反対側に当接される部分よりも前記突き合わせ方向に突出する構成とすることができる。
上記接続側端部における突出部を突出する部分は、例えば、溝部や凹部における中央部内壁、側部内壁、及び角隅部寄りの内壁等を含む概念である。また、突出部の形状は、例えば、断面略矩形、断面略三角形、断面略円弧形、断面略半円形等で構成することができる。
この発明によれば、複合導体線同士における接続側端部同士を、確実な導電性が確保される良好な状態により正確に接続することができる。
詳しくは、複合導体線同士における接続側端部同士を、一対の導体接続部材における当接側端部間に挟持する際に、接続側端部における突き合わせる面と反対側の部分を、当接側端部における凹状に窪んだ溝部分に挿嵌することにより、接続側端部同士を、同一種類の導体同士が互いに突き合わされた位置に規制することができる。
これにより、接続側端部同士における同一種類の導体同士の突き合わせ位置が変位することを確実に防止できるとともに、接続側端部の位置決めが容易に行える。
また、接続側端部を当接側端部の溝部分に挿嵌する際に、当接側端部に突出した突出部が、接続側端部における高融点導体を突き合わせ方向に押圧するため、高融点導体を加圧変形させることができる。
さらに、一対の導体接続部材を、当接側端部が低融点導体の突き合わせる面と反対側の部分に対して当接される位置まで移動させることにより、当接側端部の溝部分に挿嵌された接続側端部同士の高融点導体同士を、当接側端部間に挟持された高融点導体の断面積が、低融点導体の断面積未満となる大きさに加圧変形することができる。
上述のように加圧変形した後、当接側端部間から押し出された高融点導体の余剰部を除去することにより、接続側端部における高融点導体の体積を、低融点導体の体積未満に減らすことができるとともに、高融点導体を溶融する際に必要な熱容量を減らすことができる。
また、当接側端部の突出部を高融点導体に対して通電可能に押し付けるとともに、該当接側端部を低融点導体に対して通電可能に押し付けた状態において、接続側端部同士を挟持する当接側端部間に通電するので、接続側端部同士における高融点導体同士と低融点導体同士を互いに突き合わせたまま溶融させて接続することができる。
この結果、接続側端部同士をより正確に接続することができるとともに、接続側端部同士を突き合わせる作業が容易に行え、作業性を向上できる。
しかも、接続側端部における高融点導体を、当接側端部の突出部と対向する位置に位置規制するため、高融点導体を所定の断面積により正確に加圧変形することができ、加工精度を向上できる。
さらに、例えば、高融点導体を中央に配置し、低融点導体を高融点導体の上下に配置した3層構造の複合導体線同士を接続する場合、当接側端部の溝部分に挿嵌した接続側端部同士を互いに突き合わせた際に、接続側端部における上下に積層した低融点導体同士を互いに突き合わせるため、高融点導体が突き合わせ方向と直交する垂直方向に変形することを防止できる。
また、複合導体線の接続側端部を当接側端部の溝部分に対して一端側から挿嵌するため、加圧変形させた際に発生する高融点導体の余剰部は溝部分の他端側から押し出されることになる。
したがって、溝部分の他端側に押し出された高融点導体の余剰部を除去するだけで、接続側端部における高融点導体の体積を、低融点導体の体積未満により容易に減らすことができる。
これにより、複合導体線同士における接続側端部同士をより正確に接続することができるとともに、接続側端部同士を突き合わせる作業が容易に行え、作業性を向上できる。
さらにまた、高融点導体の余剰部が押し出される箇所、及び押し出される方向を溝部分の長手方向のみに限定することができるため、高融点導体の加工量を容易に制御できる。
またこの発明の態様として、前記突出部を、前記当接側端部間に挟持された前記接続側端部同士の前記高融点導体同士を前記突き合わせ方向に加圧変形した状態において、前記当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された前記接続側端部の前記高融点導体及び低融点導体の断面積が、前記低融点導体の断面積に対して前記高融点導体の方が小さい断面積となる凸形状で形成することができる。
上記導体接続範囲は、当接側端部間に挟持された接続側端部同士の高融点導体同士を突き合わせ方向に加圧変形した状態において、当接側端部間における接続側端部同士の突き合わせる面を互いに突き合わせた部分、あるいは、当接側端部間から押し出された余剰部以外の接続側端部同士の突き合わせる面を互いに突き合わせた部分も含む概念である。
なお、3種類以上の導体の場合、導体接続範囲における高融点導体と低融点導体の断面積は、融点が低い低融点導体の断面積に対して、その他の融点が高い高融点導体の断面積が小となる。また、その他の高融点導体とした複数の導体のうち、融点が低い低融点導体の断面積に対して、融点が高い高融点導体の断面積が小となる。
この発明によれば、高融点導体よりも融点の低い低融点導体を先に溶解させることなく、接続側端部同士における同一種類の導体同士をより確実に溶融接続することができる。
詳述すると、接続側端部における高融点導体と低融点導体を、当接側端部の突出部により突き合わせ方向に加圧変形して、当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された低融点導体の断面積に対して高融点導体の方を小さい断面積に加工する。
すなわち、当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された高融点導体の断面積を小さくすれば、該高融点導体を溶融する際に必要な熱容量が減少するため、接続側端部における高融点導体と低融点導体を溶融する際に必要な熱容量を、導体の断面積に対応して減少させることができる。
この結果、接続側端部における高融点導体よりも融点の低い低融点導体を先に溶解させることなく、良好な状態に溶融接続することができる。
またこの発明の態様として、前記高融点導体を、銅製導体または銅合金製導体で構成するとともに、前記低融点導体を、アルミ二ウム製導体またはアルミニウム合金製導体で構成し、前記突出部を、前記当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された前記接続側端部の前記高融点導体の断面積が、前記低融点導体の断面積に対して0.35倍〜0.45倍となる凸形状で形成することができる。
この発明によれば、接続側端部同士における高融点導体同士及び低融点導体同士をより良好な状態に溶融接続することができる。
詳述すると、接続側端部における高融点導体を、当接側端部に突出した凸形状の突出部により加圧変形させる際に、当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された接続側端部の低融点導体の断面積を基準として、該導体接続範囲内における高融点導体の断面積を0.35倍〜0.45倍に加工することにより、高融点導体及び低融点導体を溶融する際に必要な熱容量を同等にすることができる。
これにより、高融点導体同士及び低融点導体同士の溶融する溶融時間をおおよそ一致させることができる。
この結果、接続側端部における高融点導体よりも融点の低い低融点導体を先に溶解させることなく、接続側端部同士における高融点導体同士及び低融点導体同士をより確実に溶融して、良好な状態に溶融接続することができる。
またこの発明は、上述の導体接続部材と、前記突出部による加圧によって前記当接側端部間から押し出された前記高融点導体の余剰部を除去する余剰部除去手段を備えた溶融接続装置であることを特徴とする。
さらにまたこの発明は、融点の異なる複数種の導体うち融点が高い高融点導体と、該高融点導体よりも融点が低い低融点導体とを絶縁状態で積層して一体化した複合導体線における長手方向端部の接続側端部同士を、一対の導体接続部材にて突き合わせた状態に挟持するとともに、通電して溶融接続する複合導体線の接続方法であって、前記導体接続部材における当接側端部を前記接続側端部に当接して、前記当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された前記接続側端部の前記高融点導体を、前記当接側端部に突出した突出部により突き合わせ方向に加圧変形させ、前記突出部による加圧によって前記当接側端部間から押し出された前記高融点導体の余剰部を余剰部除去手段にて除去した後、前記接続側端部同士を挟持する前記導体接続部材間に通電して、該接続側端部同士における同一種類の導体同士を溶融接続する複合導体線の接続方法であることを特徴とする。
上記余剰部除去手段は、例えば、切断刃、研磨体等で構成することができる。また、余剰部除去手段は、導体接続部材に対して独立して移動する構成、あるいは、導体接続部材と一体に移動する構成を含む概念である。
この発明によれば、接続側端部における高融点導体の体積を、低融点導体の体積未満により確実に減らすことができる。
詳述すると、例えば、高融点導体を突出部により加圧変形させた際に、突出部から付与される圧力によって発生した高融点導体の余剰部が、当接側端部間から外部に向けて押し出されるため、加圧変形するだけでは、高融点導体の体積を減らすことができない。
例えば、高融点導体及び低融点導体の体積が同じであれば、低融点導体に比べて、高融点導体の方が溶融する際に必要な熱容量が大きいため、高融点導体を溶融する温度に加熱すると、融点の低い導体の方が先に溶解して流れ落ちてしまうことになる。
これに対して、複合導体線同士における接続側端部同士を、一対の導体接続部材における当接側端部間に挟持するとともに、当接側端部を接続側端部における突き合わせる面と反対側の部分に当接する。これにより、当接側端部に突出した突出部が、接続側端部における高融点導体を突き合わせ方向に押圧するため、高融点導体を加圧変形させることができる。
また、一対の導体接続部材を、当接側端部が接続側端部における低融点導体の突き合わせる面と反対側の部分に対して当接される位置まで移動させることにより、接続側端部における高融点導体を、該高融点導体の断面積が低融点導体の断面積未満となる大きさに加圧変形することができる。この後、当接側端部間から押し出された高融点導体の余剰部を余剰部除去手段にて除去するため、高融点導体の体積を低融点導体の体積未満に確実に減らすことができる。
さらに、接続側端部における高融点導体を所定の断面積に加圧変形した状態において、当接側端部の突出部は高融点導体に対して通電可能に押し付けられており、該当接側端部は低融点導体に対して通電可能に押し付けられているため、接続側端部同士を挟持する当接側端部間に通電すれば、接続側端部同士における高融点導体同士と低融点導体同士を互いに突き合わせたまま溶融させて接続することができる。
この結果、複合導体線同士における接続側端部同士を、確実な導電性が確保されるより良好な状態に接続することができる。
しかも、高融点導体を溶融する際に必要な熱容量を確実に減らすことができるとともに、高融点導体の体積を減らすための加工が容易に実施できる。
この発明によれば、渦電流損失を低減することができるうえ、確実な導電性が確保される良好な状態に接続することができる複合導体線、接続構造体、導体接続部材、溶融接続装置、及び複合導体線の接続方法を提供することができる。
2層構造を有する実施例1の複合導体線の説明図。 溶融許容部同士を溶融接続した接続構造線の斜視図。 2層構造を有する実施例2の複合導体線の説明図。 3層構造を有する実施例3の複合導体線の説明図。 多層構造を有する実施例4の複合導体線の説明図。 接続構造線の他の例を示す説明図。 接続構造線のその他の例を示す説明図。 実施例5の3層構造を有する複合導体線及び接続構造線の説明図。 図8に示す複合導体線の接続方法及び抵抗溶接装置の説明図。 図8に示す複合導体線同士を接続する接続方法の説明図。 図10に示す接続側端部同士を接続する接続方法の説明図。 実施例6の複合導体線同士を接続する接続方法の説明図。 実施例7の複合導体線同士を接続する接続方法の説明図。 実施例8の複合導体線同士を接続する接続方法の説明図。 図14に示す接続側端部を突き合わせ方向から見た断面図。 実施例9の複合導体線同士を接続する接続方法の説明図。 従来の複合導体線の接続方法を示す説明図。 他の従来の複合導体線の接続方法を示す説明図。
この発明の一実施形態を以下図面に基づいて詳述する。
(実施例1)
図1は2層構造を有する実施例1の複合導体線12Aの説明図であり、詳しくは、図1(a)は高融点導体20の厚み方向における積層方向W外側から一部を切削した接続許容部40の積層方向Wの断面図、図1(b)は高融点導体20同士と低融点導体30同士を突き合わせた状態の接続許容部40の斜視図、図2は複合導体線12Aにおける接続許容部40同士を溶融接続した状態の斜視図である。
実施例1の複合導体線12Aは、後述する低融点導体30よりも融点の高い銅製または銅合金製の高融点導体20と、高融点導体20よりも融点の低いアルミニウム製またはアルミニウム合金製の低融点導体30とを、間に絶縁層50を介在させて、積層方向Wに積層して構成している(図1(a)参照)。
また、複合導体線12Aは、長手方向Lに連続する導体線本体部11と、導体線本体部11の端部に設けた接続許容部40とで構成し、少なくとも2本の複合導体線12Aの接続許容部40同士を溶融接続して、例えば、モータ用巻線として用いることができる接続構造線102を構成することができる。
導体線本体部11の長手方向L端部には、同一種類の低融点導体30同士、及び高融点導体20同士を溶融接続する、他の複合導体線12Aとの接続を許容する接続許容部40を設けている。
高融点導体20と低融点導体30は、複合導体線12Aの長手方向Lに沿って並列に配置するとともに、該高融点導体20及び低融点導体30における積層方向Wの内側対向面を一体に接合している。高融点導体20、及び低融点導体30の対向面間は、絶縁層50を介在させて互いに絶縁している。
接続許容部40は、複合導体線12Aにおける高融点導体20、及び低融点導体30を、長手方向Lと直交する方向に向けて湾曲するとともに、該長手方向Lと直交する方向に突出する突出形状に形成している。
接続許容部40は、該接続許容部40における積層方向Wの外側に積層した高融点導体20の端部20aから、図1(a)の二点鎖線で示す除去部20bを図示しない切削手段により切削除去している。
これにより、高融点導体20の端部20aの肉厚t1を、低融点導体30の端部30aの肉厚t2以下となる厚みに加工して、接続許容部40における高融点導体20の体積を、低融点導体30の体積に比べて小さく設定している(図1(a)参照)。
導体線本体部11における長手方向Lと直交する面で切断した断面は、断面略正方形に形成した高融点導体20の断面積が、断面略矩形に形成した低融点導体30の断面積に比べて大きく、該高融点導体20よりも低融点導体30の断面積を小さく設定している。
このように構成した複合導体線12A同士を、接続許容部40で溶融接続して接続構造線102を構成する接続方法について説明する。
先ず、複合導体線12Aと他の複合導体線12Aの接続許容部40同士を、接続許容部40における低融点導体30同士と高融点導体20同士とが隣り合うように突き合わせる(図1(b)参照)。
接続許容部40同士を突き合わせたまま、該接続許容部40同士を、図示しないTIG溶接装置により高融点導体20が溶融する高い温度で加熱して、高融点導体20よりも融点の低い低融点導体30の端部30aと、融点が高い高融点導体20の端部20aを溶融する。
接続許容部40における低融点導体30の体積を、高融点導体20の体積よりも大きく設定しているため、低融点導体30の端部30a同士の突き合わせ部分を、確実な導電性が確保される溶融接続状態に溶融しつつ、高融点導体20の端部20a同士の突き合わせ部分を、確実な導電性が確保される溶融接続状態にまで十分に溶融し、接合部60を形成することができる(図2参照)。
なお、接続許容部40における高融点導体20の体積を、低融点導体30の体積に比べて小さく設定しているため、接続許容部40を溶融接続して形成された接合部60は、低融点導体30の組成の割合が高融点導体20の組成より大きくなる。
これにより、低融点導体30の端部30aが先に流れ落ちることを防止できるとともに、低融点導体30同士、及び高融点導体20同士の突き合わせ部分が、確実な導電性が確保される溶融接続状態以上に溶融し過ぎることも防止できる。
この結果、2層構造の複合導体線12A同士を、接続許容部40における高融点導体20同士と低融点導体30同士を互いに突き合わせたまま、確実な導電性が確保される溶融接続することができる。
しかも、接続許容部40における除去部20bを除去した段付き形状の端部20aに、低融点導体30における端部30aの溶融した溶融部分が流れ落ちずに留まり易く、該溶融部分が、高融点導体20における端部20aの溶融した溶融部分と一体に合体するため、良好な接続状態の接合部60を形成することができる(図2参照)。
さらに、高融点導体20同士、及び低融点導体30同士の溶融接続が略同時(例えば、1回の溶着作業)に行えるので、溶融接続時の作業性を向上できる。
さらにまた、複合導体線12Aを、異種金属からなる高融点導体20と低融点導体30で構成するとともに、高融点導体20と低融点導体30の断面積を異なる大きさに設定することにより、渦電流損失を低減することができるうえ、確実な導電性が確保される良好な接続状態の接続構造線102を構成することができる。
上述の複合導体線12Aを、例えば、モータを構成するコイルコアに巻回したのち、上述の接続構造線102にてステーターを形成し、モータ用巻線として使用することにより、モータの駆動効率が向上するうえ、所定の出力が安定して得られる。
以下、上述の複合導体線12A及び接続構造線102のその他の例について説明する。この説明において、前記構成と同一または同等の部位については同一の符号を記してその詳しい説明を省略する。
(実施例2)
実施例1の切削に代わる他の手段として、接続許容部40における高融点導体20の体積を切断により小さく設定した実施例2の複合導体線12Bについて、図3とともに説明する。
図3は2層構造を有する実施例2の複合導体線12Bの説明図であり、詳しくは、図3(a)は高融点導体20を切断した接続許容部40の積層方向Wの断面図、図3(b)は高融点導体20同士と低融点導体30同士を突き合わせた状態の接続許容部40の斜視図である。
上述の複合導体線12Bの接続許容部40は、該接続許容部40における高融点導体20の端部20aから、図3(a)の二点鎖線で示す除去部20bを図示しない切断手段により切断除去している。
これにより、高融点導体20の端部20aの長さL1を、低融点導体30の端部30aの長さL2以下となる長さ、つまり接続許容部40の長さ以下に加工して、接続許容部40における高融点導体20の端部20aの体積を、低融点導体30の端部30aの体積に比べて小さく設定している(図3(a)参照)。
上述の複合導体線12Bと、他の複合導体線12Bの接続許容部40同士を溶融接続する場合、接続許容部40における高融点導体20同士と低融点導体30同士とが隣り合うように突き合わせる(図3(b)参照)。
この後、接続許容部40同士を、高融点導体20が溶融する高い温度で加熱して、低融点導体30の端部30a同士と、高融点導体20の端部20a同士を溶融接続する。
接続許容部40における低融点導体30の体積を、高融点導体20の体積よりも大きく設定しているので、低融点導体30同士の突き合わせ部分と、高融点導体20同士の突き合わせ部分を、確実な導電性が確保される溶融接続することができる。この結果、実施例1と略同等の作用及び効果を奏することができる。
(実施例3)
上述の実施例1,2では、2層構造の複合導体線12A,12Bについて説明したが、本発明の接続構造は、3層構造を有する複合導体線13A,13B,13Cにも用いることができる。
図4は接続許容部40を備えた実施例3の複合導体線13A,13B,13Cの説明図であり、詳しくは、図4(a)は積層方向Wの最も外側に積層した高融点導体20の厚み方向の外側から一部を切削した接続許容部40の積層方向Wの断面図、図4(b)は積層方向Wの最も外側に積層した高融点導体20を切断した接続許容部40の積層方向Wの断面図、図4(c)は積層方向Wの中央に積層した高融点導体20を切断した接続許容部40の積層方向Wの断面図である。
上述の複合導体線13A,13Bは、低融点導体30を積層方向Wの外側に配置した高融点導体20の間に挟み込んだ状態に積層して、3層構造に構成している(図4(a)(b)参照)。
複合導体線13Aの接続許容部40は、接続許容部40における積層方向Wの最も外側に積層した高融点導体20の端部20aから、図4(a)の二点鎖線で示す除去部20bを図示しない切削手段により切削除去している。
複合導体線13Bは、接続許容部40における積層方向Wの最も外側に積層した高融点導体20の端部20aから、図4(b)の二点鎖線で示す除去部20bを図示しない切断手段により切断除去している。
これにより、複合導体線13A,13Bは、接続許容部40における高融点導体20の体積を、低融点導体30の体積に比べて小さく設定している。
上述の複合導体線13A,13Bのうち、複合導体線13A同士における接続許容部40同士を溶融接続して接続構造線102を構成する接続方法について説明する。
複合導体線13Aと、他の複合導体線13Aを溶融接続する場合、該複合導体線13Aの接続許容部40同士を、接続許容部40における高融点導体20同士と低融点導体30同士とが隣り合うように突き合わせる。
この後、接続許容部40同士を、高融点導体20が溶融する高い温度で加熱して、低融点導体30の端部30a同士と、高融点導体20の端部20a同士を溶融接続する。
接続許容部40における低融点導体30の体積を、高融点導体20の体積よりも大きく設定しているので、低融点導体30同士の突き合わせ部分と、高融点導体20同士の突き合わせ部分を、確実な導電性が確保される溶融接続することができる。この結果、実施例1と略同等の作用及び効果を奏することができる。
しかも、複合導体線12A,12Bに比べて、複合導体線13A,13Bの方が異種金属の積層数が多く、渦電流損失をより低減することができる。
なお、上述の複合導体線13Aと同様にして、複合導体線13B同士、及び複合導体線13C同士も溶融接続することができる。
一方、複合導体線13Cは、高融点導体20を積層方向Wの外側に配置した低融点導体30の間に挟み込んだ状態に積層して、3層構造に構成している(図4(c)参照)。
接続許容部40における積層方向Wの中央部に積層した高融点導体20の端部20aから、図4(c)の二点鎖線で示す除去部20bを図示しない切断手段により切断除去して、高融点導体20の体積を小さくするための加工が実施可能であるが、より加工が容易であることから、複合導体線13Aもしくは13Bを、モータ用巻線として使用することが望ましい。
(実施例4)
上述の実施例3では、3層構造の複合導体線13A,13B,13Cについて説明したが、本発明の接続構造は、実施例4の多層構造を有する複合導体線14A,14B,14Cにも用いることができる。
図5は接続許容部40を備えた実施例4の複合導体線14A〜14Cの説明図であり、詳しくは、図5(a)は積層方向Wの最も外側に積層した片側1層の高融点導体20を切断した接続許容部40の積層方向Wの断面図である。
図5(b)は積層方向Wの最も外側に積層した両側2層の高融点導体20を切断した接続許容部40の積層方向Wの断面図、図5(c)は積層方向Wの最も外側に積層した両側2層の高融点導体20の厚み方向の外側から一部を切削した接続許容部40の積層方向Wの断面図である。
上述の複合導体線14Aは、低融点導体30と高融点導体20を、積層方向Wの一端側から他端側に向けて交互に積層して4層構造に構成している。
複合導体線14Aの接続許容部40は、接続許容部40における積層方向Wの最も外側に積層した高融点導体20の端部20aから、図5(a)の二点鎖線で示す除去部20bを図示しない切断手段により切断除去して、接続許容部40における最も外側に積層した高融点導体20の体積を、低融点導体30の体積に比べて小さく設定している。
複合導体線14B,14Cは、低融点導体30を積層方向Wの中央部に配置した高融点導体20の両側部に積層し、高融点導体20を積層方向Wの両側部に配置した低融点導体30の外側に積層して、5層構造に構成している(図5(b)(c)参照)。
上述の複合導体線14Bは、接続許容部40における積層方向Wの最も外側に積層した高融点導体20の端部20aから、図5(b)の二点鎖線で示す除去部20bを図示しない切断手段により切断除去している。
複合導体線14Cは、接続許容部40における積層方向Wの最も外側に積層した高融点導体20の端部20aから、図5(c)の二点鎖線で示す除去部20bを図示しない切削手段により切削除去している。
これにより、複合導体線14B,14Cは、接続許容部40における高融点導体20の体積を、低融点導体30の体積に比べて小さく設定している。
なお、複合導体線14A,14B,14Cにおいて、接続許容部40の内側に積層した高融点導体20に加工を施してもよい。
上述の複合導体線14A,14B,14Cのうち、複合導体線14A同士における接続許容部40同士を溶融接続して接続構造線102を構成する接続方法について説明する。
複合導体線14Aと、他の複合導体線14Aを接続する場合、該複合導体線14Aの接続許容部40同士を、接続許容部40における高融点導体20同士と低融点導体30同士とが隣り合うように突き合わせる。
この後、接続許容部40同士を、高融点導体20が溶融する高い温度で加熱して、低融点導体30の端部30a同士と、高融点導体20の端部20a同士を溶融接続する。
接続許容部40における低融点導体30の体積を、高融点導体20の体積よりも大きく設定しているので、低融点導体30同士の突き合わせ部分と、高融点導体20同士の突き合わせ部分を、確実な導電性が確保される溶融接続することができる。この結果、実施例1,2と略同等の作用及び効果を奏することができる。
なお、上述の複合導体線14Aと同様にして、複合導体線14B同士、及び複合導体線14C同士も溶融接続することができる。
しかも、2層構造の複合導体線12A,12Bや3層構造の複合導体線13A,13B,13Cに比べて、複合導体線14Aの方が異種金属の積層数が多く、渦電流損失をより低減することができる。
さらに、複合導体線14Aに比べて、複合導体線14B,14Cの方が異種金属の積層数がさらに多く、渦電流損失をより一層低減することができる。
上述の実施例1では、複合導体線12Aにおける接続許容部40同士を互いに突き合わせて溶融接続する例を説明したが、図6、図7に示すように、接続許容部40同士を重ね合わせて溶融接続してもよい。
図6は接続構造線102の他の例を示す説明図であり、図6(a)は接続許容部40同士を並列に重ね合わせた状態の斜視図、図6(b)は接続許容部40同士を溶融接続した状態の斜視図である。
詳述すると、複合導体線12Aの接続許容部40を長手方向Lに対して同一方向に向けて並列配置し、複合導体線12Aの接続許容部40同士を、接続許容部40における低融点導体30の端部30a同士と高融点導体20の端部20a同士とが隣り合うように重ね合わせる(図6(a)参照)。
この後、複合導体線12Aの接続許容部40同士を重ね合わせたまま加熱して溶融接続するので、接続許容部40における高融点導体20同士と低融点導体30同士を確実に接続することができる(図6(b)参照)。
図7は接続構造線102のその他の例を示す説明図であり、図7(a)は接続許容部40同士を重ね合わせる前の状態を示す斜視図、図7(b)は接続許容部40同士を溶融接続した状態の斜視図である。
複合導体線12Aの接続許容部40を長手方向Lに対して逆方向に向けて配置し、複合導体線12Aの接続許容部40同士を、接続許容部40における高融点導体20の端部20a同士と低融点導体30の端部30a同士とが隣り合うように重ね合わせる(図7(a)参照)。
この後、複合導体線12Aの接続許容部40同士を互いに重ね合わせたまま加熱して溶融接続するので、接続許容部40における高融点導体20同士と低融点導体30同士を確実に接続することができる(図7(b)参照)。
この結果、上述の実施例1〜4と略同等の作用及び効果を奏することができる。
なお、図6、図7に示す接続方法を用いて、上述の複合導体線12A,12B、13A〜13C、14A〜14Cを溶融接続してもよい。
(実施例5)
上述の実施例1〜4では、接続許容部40における高融点導体20の体積を切削して小さくした後、複合導体線12A同士を接続する接続方法について説明したが、図8に示すように、接続側端部16における高融点導体20の体積を加圧変形して小さくした後、複合導体線15A同士を溶融接続して接続構造線103を構成する実施例5の接続方法について説明する。
図8は実施例1の複合導体線15A同士を接続した接続構造線11の説明図であり、詳しくは、図8(a)は複合導体線15A同士における接続側端部16同士を突き合わせた状態の斜視図、図8(b)は複合導体線15A同士における接続側端部16同士を接続した接続構造線103の斜視図、図9は図8に示す複合導体線15Aの接続方法及び抵抗溶接装置70の斜視図である。
図10は図8に示す複合導体線15A同士を接続する接続方法の説明図であり、詳しくは、図10(a)は突き合わせ直前の接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図10(b)は突き合わせ直後の接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図10(c)は加圧変形した接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図である。
図11(a)は図10(c)に示す余剰部20cを除去した接続側端部16を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図11(b)は接続側端部16同士の接続部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図である。
なお、図8〜図11に示す長手方向Lとは、複合導体線15Aにおける長手方向と一致する方向である。積層方向Wは、高融点導体20と低融点導体30を積層した方向(図8に示す上下方向)である。また、突き合わせ方向Hは、複合導体線15A同士における接続側端部16同士を互いに突き合わせた状態に挟持する方向である。
実施例5の接続構造線103は、低融点導体30を高融点導体20間に挟み込んだ状態に積層方向Wに積層して一体化した3層構造の複合導体線15Aと、該複合導体線15Aと同一構成の複合導体線15Aとにおける接続側端部16同士を溶融接続して構成している(図8(b)参照)。
複合導体線15Aは、長手方向Lに連続する導体線本体部13と、導体線本体部13における長手方向Lの端部に設けた他の複合導体線15Aとの接続を許容する接続側端部16とで構成している。
接続側端部16は、導体線本体部13における長手方向Lの端部を、導体線本体部13における長手方向Lと直交する方向に向けて湾曲させて形成している。(図8(a)参照)。
少なくとも2本の複合導体線15Aにおける接続側端部16同士を抵抗溶接して接合部60を形成することにより、例えば、モータ用巻線として用いることができる接続構造線103を構成する(図8(b)参照)。
また、複合導体線15Aは、高融点導体20よりも融点の低いアルミニウム製導体(融点660℃)の低融点導体30を、低融点導体30よりも融点の高い銅製導体(融点1085℃)の高融点導体20間に挟み込むとともに、該導体20,30の間に絶縁層50を介在させて積層方向Wに積層している。
すなわち、低融点導体30を積層方向Wの中央に配置し、高融点導体20を低融点導体30における積層方向Wの外側(図8(a)に示す上側、下側)に配置して、3層構造に構成している。
高融点導体20及び低融点導体30は、略同一の厚み及び形状に形成した断面略矩形の平角導体で構成しており、長手方向Lと直交する垂直な面で分断した高融点導体20及び低融点導体30の断面は、加圧変形前において略同一の断面積を有している。
高融点導体20及び低融点導体30を、複合導体線15Aの長手方向Lに沿って並列に配置するとともに、中央に配置した1層の高融点導体20と、高融点導体20の外側に配置した2層の低融点導体30における対向面を一体に接合している。高融点導体20及び低融点導体30の対向面間は、絶縁層50を介在させて互いに絶縁している。
上述のように構成した複合導体線15A同士を接続する際に用いられる抵抗溶接装置70について説明する。
抵抗溶接装置70は、複合導体線15A同士における接続側端部16同士を突き合わせ方向Hに突き合わせた状態に挟持するとともに、該接続側端部16同士に通電して溶融する一対の電極71Aと、加圧変形させた際に発生した高融点導体20の余剰部20cを切除する余剰部切断刃71Bとを備えている(図11参照)。
電極71Aは、突き合わせ方向Hと直交する垂直な面で分断した断面が断面略丸形を有する導電性の金属棒で構成しており、接続側端部16における突き合わせ方向Hの外側端面と対向して左右に配置している(図9、図10参照)。
一対の電極71Aは、図示しない電極移動手段により接続側端部16同士を突き合わせた状態に挟持する突き合わせ方向Hと、接続側端部16同士の挟持が解除される突き合わせ方向Hと反対側の方向とに相対移動される。
なお、電極71Aには、接続側端部16同士を抵抗溶接する際に必要な電流を通電するための図示しない通電装置を接続している。
余剰部切断刃71Bは、電極71Aにおける当接側端部72Aの外周面に近接して上下に配置しており、図示しない移動手段により電極71Aの外周面に沿って、電極71Aにおける当接側端部72A間から押し出された高融点導体20の余剰部20cを切除する方向に移動される(図11(a)参照)。
電極71Aにおける接続側端部16を挟持する挟持側端部には、接続側端部16に当接して通電する当接側端部72Aを形成している。
当接側端部72Aにおける接続側端部16の突き合わせる面と反対側の部分に当接される当接部分には、接続側端部16における中央に配置した低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分と対向する中央当接部を基準として、該中央当接部より上側の上側当接部と下側の下側当接部に、接続側端部16における上下に配置した高融点導体20の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、突き合わせ方向Hに向けて突出する断面略矩形の突出部73Aを形成している(図9、図10参照)。
当接側端部72Aにおける中央当接部には、接続側端部16における中央に配置した低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、低融点導体30における突き合わせる面と反対側の部分の挿嵌を許容するとともに、突き合わせ方向Hに向けて凹状に窪んだ溝形状の導体受け溝74Aを形成している(図9、図10参照)。
突出部73A及び導体受け溝74Aは、当接側端部72Aにおける当接側端部に沿って突き合わせ方向Hと直交する方向に平行して形成している。
導体受け溝74Aにおける突き合わせ方向Hと直交する方向の両端部は、該突き合わせ方向Hと直交する方向に向けて開放している(図9参照)。
突出部73Aは、接続側端部16における高融点導体20の突き合わせる面と反対側に露出する外側端面と対向して形成するとともに、低融点導体30に対して当接が回避される間隔に隔てて配置している(図9、図10参照)。
突出部73Aにおける突き合わせ方向Hに突出する突出寸法CDは、接続側端部16における低融点導体30の断面積(突き合わせ方向Hと平行する垂直な面で分断した断面積)を基準として、接続側端部16における高融点導体20を0.35倍〜0.45倍の断面積に加圧変形させる突出寸法に設定している(図10(a)参照)。
具体的には、高融点導体20と低融点導体30の体積比が、銅:アルミニウム=0.43:1となるように加圧変形させる突出寸法に設定している(下記の表1参照)。
突出部73A及び導体受け溝74Aにおける突き合わせ方向Hと平行する垂直な面で分断した断面は、接続側端部16における高融点導体20を所定の断面積に加圧変形させた状態において、低融点導体30における高融点導体20の突き合わせる面と反対側に突出される断面略矩形の突出部分30bと略対応する大きさ及び形状に形成している(図10(c)参照)。
突出部73Aの突出寸法CDと、導体受け溝74Aの深さADは、低融点導体30の突出部分30bと対応する寸法に設定している。
上述の高融点導体20及び低融点導体30を溶融するために必要な熱量について説明する。
例えば、溶融する際の雰囲気温度を0℃に設定した場合、熱量を、(密度)×(比熱)×(融点)×(体積)であらわすことができる。密度、比熱、融点は物性値であるので、定数である。
高融点導体20が銅、低融点導体30がアルミニウムの場合を下記表1に示す。
Figure 0006117258
上記表1によると(密度)×(比熱)×(融点)の値の比率は、銅:アルミ=1:約0.43である。
したがって溶融に必要な熱量=(密度)×(比熱)×(融点)×(体積)を一定にして、高融点導体20及び低融点導体30が略同時に溶融するためには、体積比が、銅:アルミニウム=0.43:1となるような加工が望ましい。
しかし、銅のほうが、アルミニウムよりも熱伝導率が大きく、熱が逃げやすいことや、隣接する導体からの熱伝導があること、電極と接する面積が異なる等、溶融する部分の形状によって必要熱量が変動する要因があるため、実際の体積比は、銅:アルミニウム=0.35〜0.45:1程度が好ましい。
上述した複合導体線15A同士を、抵抗溶接装置70により接続側端部16同士を互いに溶融接続して接続構造線103を構成する接続方法について説明する。
先ず、抵抗溶接装置70における一対の電極71Aを突き合わせ方向Hに相対移動させて、複合導体線15A同士における接続側端部16同士を、同一種類の高融点導体20同士と、低融点導体30同士とが隣り合うように突き合わせたまま、一対の電極71Aにおける当接側端部72A間に挟み込むとともに、当接側端部72Aを接続側端部16における突き合わせる面と反対側の部分に当接する(図10(a)(b)参照)。
当接側端部72Aが接続側端部16に当接する際に、当接側端部72Aにおける突出部73Aが、接続側端部16における高融点導体20の端部20aを突き合わせ方向Hに押圧するため、高融点導体20の端部20aを加圧変形させることができる(図10(b)(c)参照)。
当接側端部72Aを接続側端部16に当接した際、突出部73Aの間に形成した導体受け溝74Aは、接続側端部16における低融点導体30に対して接触が回避されており、突出部73Aによる押圧によって高融点導体20の端部20aが加圧変形されるのに伴って、低融点導体30の端部30aに対して徐々に近接される(図10(b)(c)参照)。
一対の電極71Aを、当接側端部72Aにおける導体受け溝74Aの中央部内壁が、接続側端部16における低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分に対して当接される位置まで移動させることにより、接続側端部16における高融点導体20の端部20aを、当接側端部72A間における接続側端部16同士の突き合わせる面を互いに突き合わせた状態に接続する導体接続範囲Fにおいて、当接側端部72A間における導体接続範囲F内に挟持された高融点導体20の端部20aの断面積が、低融点導体30の端部30aの断面積未満となる大きさに加圧変形することができる(図10(c)、図11(b)参照)。
高融点導体20の端部20aを加圧変形させる際、低融点導体30の端部30aは突出部73Aの間に形成した導体受け溝74A内に嵌り込むため、低融点導体30の端部30aが加圧変形されることを防止できるとともに、該端部30aの断面積を一定に保つことができる。
上述のように高融点導体20を加圧変形させた際、突出部73Aによる押圧によって高融点導体20の余剰部20cが、当接側端部72A間から突き合わせ方向Wと直交する積層方向Wに向けて押し出されることになる(図10(c)参照)。
しかし、当接側端部72A間から押し出された高融点導体20の余剰部20cを余剰部除去刃71Bで切除するため、当接側端部72A間における導体接続範囲F内に挟持された高融点導体20の体積を、低融点導体30aの体積未満に確実に減らすことができる(図11(a)参照)。
具体的には、導体接続範囲Fにおける当接側端部72A間に挟持された挟持部分の高融点導体20と低融点導体30の体積比が、銅:アルミニウム=0.43:1となるように加工する。
これにより、接続側端部16における高融点導体20を溶融する際に必要な熱容量を減らすことができるとともに、体積を減らすための加工が容易に実施できる。
高融点導体20の体積を減らす加工が完了した状態において、当接側端部72Aの突出部73Aは高融点導体20に対して通電可能に押し付けられており、導体受け溝74Aは、低融点導体30に対して通電可能に押し付けられている(図11(a)参照)。
したがって、複合導体線15A同士における接続側端部16同士を、抵抗溶接装置70における一対の電極71A間に挟持したまま、接続側端部16同士を介して一対の電極71A間に通電すれば、高融点導体20の端部20a同士を溶融する温度(融点1085℃)に発熱させるとともに、該端部20a同士を互いに溶融させて通電可能に接続することができる。
さらに低融点導体30の端部30a同士を溶融する温度(融点660℃)に発熱させるとともに、該端部30a同士を溶融させながら、上述の高融点導体20の端部20a同士を略同時に溶融させて通電可能に接続することができる(図11(b)参照)。
当接側端部72A間における導体接続範囲F内に挟持された高融点導体20の端部20aの体積を、低融点導体30の端部30aの体積未満に減らしているため、低融点導体30の端部30a同士を確実な導電性が確保される溶融接続状態に溶融しつつ、高融点導体20の端部20a同士を確実な導電性が確保される溶融接続状態にまで十分に溶融することができる。
複合導体線15A同士における接続側端部16同士を、接続側端部16における高融点導体20の端部30a同士、及び低融点導体30の端部30a同士を互いに突き合わせたまま溶融して接合部60を形成することにより、接続構造線103を構成することができる(図8(b)参照)。
したがって、複合導体線15A同士における接続側端部16同士を溶融接続する際に、高融点導体20よりも融点が低い低融点導体30が先に流れ落ちることを防止できるとともに、低融点導体30同士、及び高融点導体20同士の突き合わせ部分が、確実な導電性が確保される溶融接続状態以上に溶融し過ぎることを防止できる。
この結果、複合導体線15A同士における接続側端部16同士を、接続側端部16同士における高融点導体20同士、及び低融点導体30同士を互いに突き合わせたまま略同時に溶融させて、確実な導電性が確保される良好な状態に接続することができる。
しかも、融点の異なる高融点導体20同士、及び低融点導体30同士の溶融接続が略同時(例えば、1回の溶着作業)に行えるため、作業性を向上できる。
さらに、同一種類の高融点導体20同士、及び低融点導体30同士を互いに溶融接続するため、例えば、半田付けに比べて接続した部分の耐熱温度および強度が高く、車載用モータのように200℃前後で振動のある過酷な環境下で接続構造線103を使用しても、確実な導電性が確保される接続状態を保つことができるとともに、電気的に接続した状態を長期に亘り維持することができる。
さらにまた、複合導体線15Aを、異種金属からなる高融点導体20と低融点導体30とを積層して構成しているため、渦電流損失を低減することができるとともに、確実な導電性が確保される良好な接続状態の接続構造線103を構成することができる(図8(b)参照)。
上述の複合導体線15Aを、例えば、モータを構成するコイルコアに巻回したのち、上述の接続構造線103にてステーターを形成し、モータ用巻線として使用することにより、モータの駆動効率が向上するうえ、所定の出力が安定して得られる。
(実施例6)
上述の実施例5では、接続側端部16の高融点導体20を断面略矩形に加圧変形した後、複合導体線15A同士を接続する接続方法について説明したが、図12に示すように、接続側端部16の高融点導体20を断面略三角形に加圧変形した後、複合導体線15A同士を溶融接続して接続構造線103を構成する実施例6の接続方法について説明する。
図12は実施例6の複合導体線15A同士を接続する接続方法の説明図であり、詳しくは、図12(a)は突き合わせ直後の接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図12(b)は加圧変形した接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図12(c)は接続側端部16同士の接続部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図である。
電極71Aにおける当接側端部72Aには、複合導体線15Aにおける接続側端部16の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、該接続側端部16における突き合わせる面と反対側の部分の挿嵌を許容するとともに、突き合わせ方向Hに向けて凹状に窪んだ溝形状の導体受け溝74Bを形成している。
導体受け溝74Bにおける接続側端部16の突き合わせる面と反対側の部分に当接される当接部分には、接続側端部16における中央に配置した低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分と対向する中央部を基準として、該中央部より上側の部分と下側の部分に、接続側端部16における上下に配置した高融点導体20の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、突き合わせ方向Hに向けて突出する断面略三角形の突出部73Bを形成している。
突出部73Bにおける高融点導体20に当接される部分は、導体受け溝74Bの中央部から上下端部に向けて傾斜する斜面形状に形成している(図12参照)。
導体挿嵌溝74Bの溝深さd3は、一方の複合導体線15Aにおける接続側端部16の厚みt3未満の深さに形成している。より詳しくは、導体挿嵌溝74Bに挿嵌した接続側端部16の高融点導体20を所定の断面積に加圧変形した状態において、接続側端部16の突き合わせる面と対応する部分が、当接側端部72A(具体的には導体挿嵌溝74B)より突き合わせ方向Hに向けて所定寸法分だけ突出が許容される深さに形成している(図12(a)(b)参照)。
詳述すると、複合導体線15A同士における接続側端部16同士を、一対の電極71Aにおける当接側端部72A間に挟持するとともに、当接側端部72Aにおける断面略三角形の突出部73Bを、接続側端部16における上下に積層した高融点導体20に当接する(図12(a)参照)。
一対の電極71Aを、当接側端部72Aにおける導体受け溝74Bの中央部内壁が、接続側端部16における低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分に対して当接される位置まで移動させるとともに、高融点導体20の端部20aを突出部73Bで押圧して断面略三角形に加圧変形させる(図12(b)参照)。
すなわち、実施例1のように突出部73Aの垂直面を高融点導体20に当接するよりも、突出部73Bの斜面を一端から徐々に当接する方が加圧開始時に付与される反発力が小さく、高融点導体20が徐々に加圧変形されるため、所定の断面積により確実に加圧変形することができる。
これにより、接続側端部16における高融点導体20を、当接側端部72A間における導体接続範囲F内に挟持された高融点導体20の断面積が、低融点導体30の断面積未満となる大きさに加圧変形することができる(図12(b)(c)参照)。
また、高融点導体20の端部20aを断面略三角形に加圧変形する際に、低遊端導体30の端部30aが突き合わせ方向Hに加圧変形されてもよく、最終的に、当接側端部72A間における導体接続範囲F内に挟持された高融点導体20の断面積が、低融点導体30の断面積未満であればよい。
上述のように加圧変形させた後、当接側端部72A間から押し出された高融点導体20の余剰部20cを余剰部除去刃71Bで切除するため、接続側端部16における高融点導体20の体積を、低融点導体30の体積未満に確実に減らすことができる(図12(c)参照)。
高融点導体20の体積を減らす加工が完了した後、接続側端部16同士を介して当接側端部72A間に通電すれば、接続側端部16同士における高融点導体20同士、及び低融点導体30同士を互いに突き合わせたまま溶融させて良好な状態に接続することができるため、上述の実施例5と略同等の作用及び効果を奏することができる。
(実施例7)
上述の実施例6では、接続側端部16の高融点導体20を断面略三角形に加圧変形した後、複合導体線15A同士を接続する接続方法について説明したが、図13に示すように、接続側端部16の高融点導体20を断面略円弧形に加圧変形した後、複合導体線15A同士を溶融接続して接続構造線103を構成する実施例7の接続方法について説明する。
図13は実施例7の複合導体線15A同士を接続する接続方法の説明図であり、詳しくは、図13(a)は突き合わせ直後の接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図13(b)は加圧変形した接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図13(c)は接続側端部16同士の接続部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図である。
電極71Aにおける当接側端部72Aには、複合導体線15Aにおける接続側端部16の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、該接続側端部16における突き合わせる面と反対側の部分の挿嵌を許容するとともに、突き合わせ方向Hに向けて凹状に窪んだ溝形状の導体受け溝74Bを形成している(図13参照)。
導体受け溝74Bにおける接続側端部16の突き合わせる面と反対側の部分に当接される当接部分には、接続側端部16における中央に配置した低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分と対向する中央部を基準として、該中央部より上側の部分と下側の部分に、接続側端部16における上下に配置した高融点導体20の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、突き合わせ方向Hに向けて弧状に突出する断面略円弧形の突出部73Cを形成している(図13参照)。
突出部73Cにおける高融点導体20に当接される部分は、導体受け溝74Bの中央部から上下端部に向けて弧状に突出する滑らかな曲面形状に形成している(図13参照)。
なお、突出部73Cは、突き合わせ方向Hに向けて弧状に窪んだ曲面形状であってもよい。
詳述すると、複合導体線15A同士における接続側端部16同士を、一対の電極71Aにおける当接側端部72A間に挟持するとともに、当接側端部72Aにおける断面略円弧形の突出部73Cを、接続側端部16における上下に積層した高融点導体20に当接する(図13(a)参照)。
一対の電極71Aを、当接側端部72Aにおける導体受け溝74Bの中央部内壁が、接続側端部16における低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分に対して当接される位置まで移動させるとともに、高融点導体20の端部20aを突出部73Cで押圧して断面略三角形に加圧変形させる。
すなわち、実施例1のように突出部73Aの垂直面を高融点導体20に当接するよりも、突出部73Cの弧状曲面を一端から徐々に当接する方が加圧開始時に付与される反発力が小さく、高融点導体20が徐々に加圧変形されるため、所定の断面積により確実に加圧変形することができる。
これにより、接続側端部16における高融点導体20を、当接側端部72A間における導体接続範囲F内に挟持された高融点導体20の断面積が、低融点導体30の断面積未満となる大きさに加圧変形することができる(図13(b)(c)参照)。
上述のように加圧変形させた際、当接側端部72A間から押し出された高融点導体20の余剰部20cを余剰部除去刃71Bで切除するため、接続側端部16における高融点導体20の体積を、低融点導体30の体積未満に確実に減らすことができる(図13(c)参照)。
高融点導体20の体積を減らす加工が完了した後、接続側端部16同士を介して当接側端部72A間に通電すれば、接続側端部16同士における同一種類の高融点導体20同士、及び低融点導体30同士を互いに突き合わせたまま溶融させて良好な状態に接続することができるため、上述の実施例5及び6と略同等の作用及び効果を奏することができる。
(実施例8)
上述の実施例5〜7では、一対の電極71A間に挟持した接続側端部16同士を接続する接続方法について説明したが、図14に示すように、一対の電極71Aにおける当接側端部72Aの導体挿嵌溝75Dに挿嵌した接続側端部16同士を互いに溶融接続して接続構造線103を構成する実施例8の接続方法について説明する。
図14は実施例8の複合導体線15B同士を接続する接続方法の説明図であり、詳しくは、図14(a)は突き合わせ直後の接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図14(b)は加圧変形した接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図14(c)は(b)に示す接続側端部16を突き合わせ方向Hから見た断面図である。
図15(a)は図14(c)に示す余剰部20cを除去した接続側端部16を突き合わせ方向Hから見た断面図、図15(b)は接続側端部16同士の接続部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図である。
実施例8における複合導体線15Bは、高融点導体20を積層方向Wの中央に配置し、低融点導体30を高融点導体20における積層方向Wの外側(上下)に配置して、3層構造に構成している(図14(a)参照)。
複合導体線15B同士を接続する抵抗溶接装置70は、複合導体線15B同士における接続側端部16同士を突き合わせ方向Hに突き合わせた状態に挟持するとともに、該接続側端部16同士に通電して溶融する一対の電極71Aと、加圧変形させた際に発生した高融点導体20の余剰部20cを切除する余剰部切断刃71Bとを備えている。
電極71Aにおける当接側端部72Aには、複合導体線15Bにおける接続側端部16の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、該接続側端部16における突き合わせる面と反対側の部分の挿嵌を許容するとともに、突き合わせ方向Hに向けて凹状に窪んだ溝形状の導体挿嵌溝75Dを形成している(図14(a)参照)。
導体挿嵌溝75Dにおける接続側端部16の突き合わせる面と反対側の部分に当接される当接部分には、接続側端部16における中央に配置した高融点導体20の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、該高突き合わせ方向Hに向けて突出する突出部73Dを形成している。
導体挿嵌溝75Dにおける突出部73Dより上側の部分と下側の部分には、接続側端部16における上下に配置した低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、該低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分の挿嵌を許容するとともに、突き合わせ方向Hに向けて凹状に窪んだ溝形状の導体受け溝74Dを形成している。
当接側端部72Aにおける導体挿嵌溝75Dより外側の上下端部には、接続側端部16における上下に配置した低融点導体30の積層方向Wの外側端面と平行して、突き合わせ方向Hに向けて突出する壁部76Dを形成している。壁部76Dは、導体受け溝74Dよりも突き合わせ方向Hに突出している(図14(a)参照)。
導体挿嵌溝75Dの溝形状は、接続側端部16を突き合わせ方向Hと平行する垂直な面で分断した断面形状と略同一の溝形状に形成するとともに、導体挿嵌溝75Dの溝幅W1を、接続側端部16の幅W2と略同一幅に形成している。
より詳しくは、導体挿嵌溝75Dの溝幅W1を、接続側端部16の幅W2よりも所定寸法分だけ幅広に形成している(図14(a)参照)。
導体挿嵌溝75Dの溝深さd4は、一方の複合導体線15Bにおける接続側端部16の厚みt4未満の深さに形成している。より詳しくは、導体挿嵌溝75Dに挿嵌した接続側端部16の高融点導体20を所定の断面積に加圧変形した状態において、接続側端部16の突き合わせる面と対応する部分が、当接側端部72A(具体的には導体挿嵌溝75D)より突き合わせ方向Hに向けて所定寸法分だけ突出が許容される深さに形成している(図14(a)(b)参照)。
当接側端部72Aの間は、導体挿嵌溝75Dに挿嵌した接続側端部16同士を突き合わせた際に、接続側端部16同士における突き合わせ方向Hへの溶融変形を許容する変形許容代として、該接続側端部16同士の溶融変形が許容される間隔に隔てられている。
上述した複合導体線15B同士を、抵抗溶接装置70により接続側端部16同士を互いに溶融接続して接続構造線103を構成する接続方法について説明する。
先ず、複合導体線15B同士における接続側端部16同士を、同一種類の高融点導体20同士と、低融点導体30同士とが隣り合うように突き合わせたまま、一対の電極71Aにおける当接側端部72A間に挟み込むとともに、当接側端部72Aを接続側端部16における突き合わせる面と反対側の部分に当接する(図14(a)参照)。
接続側端部16同士を当接側端部72A間に挟み込む際に、接続側端部16における突き合わせる面と反対側の部分を、当接側端部72Aの導体挿嵌溝75Dに挿嵌するとともに、導体挿嵌溝75Dの突出部73Dを、接続側端部16における高融点導体20における突き合わせる面と反対側の部分に当接する(図14(a)参照)。
さらに当接側端部72Aにおける上下壁部76Dを、接続側端部16における低融点導体30の積層方向Wの外側水平面に当接して位置規制する。
当接側端部72Aを接続側端部16に当接した際、当接側端部72Aにおける突出部73Dが、接続側端部16における高融点導体20の端部20aを突き合わせ方向Hに押圧するため、高融点導体20の端部20aを加圧変形させることができる(図14(b)参照)。
接続側端部16を導体挿嵌溝75Dに挿嵌した際、突出部73Dの上下に形成した導体受け溝74Dは、接続側端部16における低融点導体30に対して接触が回避されており、突出部73Dによる押圧によって高融点導体20が加圧変形されるのに伴って、低融点導体30に対して徐々に近接される(図14(a)(b)参照)。
一対の電極71Aを、当接側端部72Aにおける導体挿嵌溝75Dの内壁、すなわち、導体受け溝74Dの中央部内壁が、接続側端部16における低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分に対して当接される位置まで移動させることにより、接続側端部16における高融点導体20を、当接側端部72A間における導体接続範囲F内に挟持された高融点導体20の断面積が、低融点導体30の断面積未満となる大きさに加圧変形することができる(図14(b)、図15(b)参照)。
上述のように高融点導体20を加圧変形させる際、接続側端部16同士における上下の低融点導体30同士を互いに突き合わせた状態で加圧変形させるため、突出部73Dにより押圧される高融点導体20は突き合わせ方向Hと直交する積層方向Wに変形しにくく、導体挿嵌溝75Dの長手方向のみに変形が許容される(図14(c)参照)。
つまり、複合導体線15Bの接続側端部16は、当接側端部72Aの導体挿嵌溝75Dに対して一端側から挿嵌するため、突出部73Dにより押圧された高融点導体20の余剰部20cは導体挿嵌溝75Dの他端側から押し出されることになり、突き合わせ方向Hと直交する積層方向Wに向けて押し出されることを防止できる。
所定の断面積に加圧変形した後、導体挿嵌溝75Dの他端側から押し出された高融点導体20の余剰部20cを余剰部除去刃71Bで切除するため、接続側端部16における高融点導体20の端部20aの体積を、低融点導体30の端部30aの体積未満により確実かつ容易に減らすことができる(図15(a)参照)。
高融点導体20の体積を減らす加工が完了した状態において、当接側端部72Aの突出部73Dは高融点導体20に対して通電可能に押し付けられており、当接側端部72Aにおける導体挿嵌溝75Dの内壁、すなわち、導体受け溝74Dの中央部内壁は、低融点導体30に対して通電可能に押し付けられている(図15(b)参照)。
したがって、複合導体線15B同士における接続側端部16同士を、抵抗溶接装置70における一対の電極71A間に挟持したまま、接続側端部16同士を介して一対の電極71A間に通電すれば、低融点導体30の端部30a同士を溶融させながら、高融点導体20の端部20a同士を溶融させて互いに通電可能に接続することができる。
この結果、複合導体線15B同士における接続側端部16同士をより正確に接続することができるとともに、接続側端部16同士を突き合わせる作業が容易に行え、作業性を向上できる。
しかも、複合導体線15Bの接続側端部16を、当接側端部72Aの導体挿嵌溝75Dに挿嵌したまま互いに突き合わせるため、高融点導体20の端部20a同士と、低融点導体30の端部30a同士が互いに突き合わされる位置に規制することができる。
これにより、接続側端部16同士における高融点導体20同士、及び低融点導体30同士の突き合わせ位置が変位することを確実に防止できるとともに、接続側端部16の位置決めが容易に行える。
さらに、接続側端部16における高融点導体20を、溝形状を有する当接側端部74Bの突出部73Dと対向する位置に位置規制するため、高融点導体20の端部20aを所定の断面積により正確に加圧変形することができ、加工精度を向上できる。
さらにまた、高融点導体20の余剰部20cが押し出される箇所、及び押し出される方向を導体挿嵌溝75Dの長手方向のみに限定することができるため、上述した3層構造の複合導体線15Bにおいて、接続側端部16における高融点導体20の加工量を容易に制御することができる。
(実施例9)
上述の実施例5〜8では、高融点導体20と低融点導体30を積層した3層構造の複合導体線15B同士を接続する接続方法について説明したが、図16に示すように、高融点導体20、中融点導体25、及び低融点導体30を積層した3層構造の複合導体線15C同士を溶融接続して接続構造線103を構成する実施例9の接続方法について説明する。
図16は実施例9の複合導体線15C同士を接続する接続方法の説明図であり、詳しくは、図16(a)は突き合わせ直後の接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図16(b)は加圧変形した接続側端部16同士の突き合わせ部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図、図16(c)は接続側端部16同士の接続部分を突き合わせ方向Hに分断した断面図である。
実施例9における複合導体線15Cは、積層方向Wの中央に配置した低融点導体30の上側に高融点導体20を配置し、低融点導体30の下側に中融点導体25を配置して、3層構造に構成している。中融点導体25は、高融点導体20よりも融点が低く、低融点導体30よりも融点が高い銀製導体(融点962℃の導体)で構成している(図16(a)参照)。
電極71Aにおける当接側端部72Aには、該当接側端部72Aの中央当接部に形成した導体受け溝74Aより上側の部分に、接続側端部16における高融点導体20の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、後述する突出部73A2よりも突き合わせ方向Hに突出する断面略矩形の突出部73A1を形成している。
導体受け溝74Aより下側の部分には、接続側端部16における中融点導体25の突き合わせる面と反対側の部分と対向して、導体受け溝74Aよりも突き合わせ方向Hに突出する断面略矩形の突出部73A2を形成している。
詳述すると、複合導体線15C同士における接続側端部16同士を、一対の電極71Aにおける当接側端部72A間に挟持するとともに、当接側端部72Aの突出部73A1を、接続側端部16における高融点導体20の突き合わせる面と反対側の部分に当接し、続いて当接側端部72Aの突出部73A2を、接続側端部16における中融点導体25の突き合わせる面と反対側の部分に当接する(図16(a)(b)参照)。
一対の電極71Aを、当接側端部72Aにおける導体受け溝74Aの中央部内壁が、接続側端部16における低融点導体30の突き合わせる面と反対側の部分に対して当接される位置まで移動させるとともに、高融点導体20の端部20aを突出部73A1で押圧して加圧変形させ、中融点導体25の端部25aを突出部73A2で押圧して加圧変形させる。
これにより、接続側端部16同士における導体接続範囲F内の低融点導体30、中融点導体25、及び高融点導体20を、中融点導体25の断面積が低融点導体30の断面積未満となる大きさに加圧変形するとともに、高融点導体20の断面積が中融点導体25の断面積未満となる大きさに加圧変形することができる(図16(b)(c)参照)。
上述のように加圧変形させた後、当接側端部72A間から押し出された高融点導体20の余剰部20cと、中融点導体25の余剰部25cとを余剰部除去刃71Bで切除するため、接続側端部16における高融点導体20の体積を、中融点導体25の体積未満に減らすことができるとともに、中融点導体25の体積を、低融点導体30の体積未満に減らすことができる(図16(c)参照)。
高融点導体20及び中融点導体25の体積を減らす加工が完了した状態において、当接側端部72Aの突出部73A1,73A2は、高融点導体20及び中融点導体25に対して通電可能に押し付けられており、導体受け溝74Aの中央部内壁は、低融点導体30に対して通電可能に押し付けられている(図16(b)参照)。
したがって、接続側端部16同士を、一対の電極71Aにおける当接側端部72A間に挟持したまま、接続側端部16同士を介して当接側端部72A間に通電すれば、接続側端部16同士における高融点導体20同士、中融点導体25同士、及び低融点導体30同士を互いに突き合わせたまま溶融させて接続することができる。
すなわち、接続側端部16同士における導体接続範囲F内の低融点導体30、中融点導体25、及び高融点導体20の断面積を、低融点導体30の断面積を基準として、中融点導体25の断面積を、低融点導体30の断面積よりも小さくするとともに、高融点導体20の断面積を、中融点導体25の断面積よりも小さくすることができるため、各導体20,25,30を溶融する際に必要な熱容量を断面積に対応して順に減らすことができる。
この結果、接続側端部における高融点導体20よりも融点の低い中融点導体25、及び低融点導体30を先に溶解させることなく、互いに突き合わせたまま溶融させてより良好な状態に溶融接続することができるため、上述の実施例5〜9と略同等、あるいは同等以上の作用及び効果を奏することができる。
この発明の構成と、前記実施形態との対応において、
この発明の導体は、実施形態の高融点導体20、中融点導体25、低融点導体30に対応し、
以下同様に、
導体接続部材は、電極71Aに対応し、
溶融接続装置は、抵抗溶接装置70に対応し、
接続構造体は、接続構造線102,103に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
上述の実施例1〜9では、高融点導体20、中融点導体25、及び低融点導体30を断面略矩形の導体で構成しているが、例えば、断面略丸形の丸線や断面略平角形の平角線等の導体で構成してもよい。
また、絶縁層50を、高融点導体20と低融点導体30の間に介在した例について説明したが、高融点導体20、及び低融点導体30の少なくとも一方の外周を覆うように被覆してもよい。
低融点導体30における導体自体の表面にはアルマイト層が形成されるため、該アルマイト層を絶縁層50として機能させることができる。
絶縁層50は、低融点導体30の表面に形成されたエナメルや、高融点導体20、及び低融点導体30を接着する絶縁性を備えた接着剤、あるいは高融点導体20、及び低融点導体30の表面に形成された酸化被膜であってもよい。
上述の実施例では、銅製導体の高融点導体20と、銀製導体の中融点導体25と、アルミニウム製導体の低融点導体30とを用いた例について説明したが、所望の導通性を有するならば、銅合金製導体、アルミニウム合金製導体、あるいは真鍮製導体等の融点が異なる適宜の複数種の金属で構成する導体を用いることができる。
また、例えば、融点が高い高融点導体20に対して、融点が低い銀製導体または真鍮製導体を低融点導体として用いることができる。あるいは、融点が低い低融点導体30に対して、融点が高い銀製導体または真鍮製導体を高融点導体として用いることができる。
さらに、本発明における複合導体線の溶融接続装置、及び接続方法は、例えば、4層構造、6層構造等の積層構造を有する複合導体線同士の接続にも用いることができる。
さらにまた、抵抗溶接に代わる他の溶接手段として、例えば、ヒュージング接合(熱カシメ)、超音波溶接等の方法にて接続することもできる。
102,103…接続構造線
12A,12B…複合導体線
13A,13B,13C…複合導体線
14A,14B,14C…複合導体線
15A,15B,15C…複合導体線
11,13…導体線本体部
16…接続側端部
20…高融点導体
25…中融点導体
30…低融点導体
20a,25a,30a…端部
20b…除去部
20c,25c…余剰部
40…接続許容部
50…絶縁層
60…接合部
70…抵抗溶接装置
71A…電極
71B…余剰部除去刃
72A…当接側端部
73A,73B,73C,73D…突出部
73A1,73A2…突出部
74A,74B,74D…導体受け溝
75D…導体挿嵌溝
76D…壁部

Claims (11)

  1. 融点の異なる少なくとも2種類の導体を、互いに絶縁した状態で積層して一体に構成するとともに、
    導体線本体部と、該導体線本体部の長手方向端部に備えた接続許容部とで構成し、
    前記融点の異なる少なくとも2種類の導体を、
    相対的に融点が高い導体を高融点導体に設定するとともに、該高融点導体よりも融点が低い導体を低融点導体に設定し、
    前記接続許容部における前記低融点導体の体積を、前記高低融点導体の体積に比べて大きく設定した
    複合導体線。
  2. 前記高融点導体を、
    前記接続許容部における前記導体を積層した積層方向の最も外側に配置した
    請求項1に記載の複合導体線。
  3. 前記高融点導体を銅または銅合金で構成し、
    前記低融点導体をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成した
    請求項1又は2に記載の複合導体線。
  4. 請求項1〜3のうちいずれかに記載の複合導体線における接続許容部同士を、同一種類の導体同士が隣り合うように突き合わせて溶融接続した
    接続構造体。
  5. 融点の異なる少なくとも2種類の導体を、互いに絶縁した状態で積層して一体に構成するとともに、導体線本体部と、該導体線本体部の長手方向端部に備えた接続許容部とで、複合導体線を構成し、
    前記融点の異なる少なくとも2種類の導体を、
    相対的に融点が高い導体を高融点導体に設定するとともに、該高融点導体よりも融点が低い導体を低融点導体に設定し、
    前記接続許容部における前記低融点導体の体積を、前記高低融点導体の体積に比べて大きく設定し、
    前記複合導体線と他の複合導体線とにおける接続許容部同士を、
    同一種類の導体同士が隣り合うように突き合わせるとともに、該接続許容部同士を前記高融点導体が溶融する高い温度で加熱して、該接続許容部同士における前記同一種類の導体同士を溶融接続する
    複合導体線の接続方法。
  6. 融点の異なる複数種の導体うち融点が高い高融点導体と、該高融点導体よりも融点が低い低融点導体とを絶縁状態で積層して一体化した複合導体線における長手方向端部の接続側端部同士を溶融接続する際に、該接続側端部同士を突き合わせ方向に突き合わせた状態に挟持するとともに、通電して溶融する一対の導体接続部材であって、
    前記複合導体線の接続側端部に当接して通電する当接側端部に、
    前記突き合わせ方向に突出し、前記接続側端部の前記高融点導体を加圧変形する突出部を備えた
    導体接続部材。
  7. 前記当接側端部を、
    前記複合導体線における接続側端部の突き合わせる面と反対側の部分の挿嵌を許容するとともに、該接続側端部の厚み未満の深さを有し、前記突き合わせ方向に向けて凹状に窪んだ溝形状に形成し、
    前記突出部を、
    前記当接側端部における前記低融点導体の突き合わせる面と反対側に当接される部分よりも前記突き合わせ方向に突出する構成とした
    請求項6に記載の導体接続部材。
  8. 前記突出部を、
    前記当接側端部間に挟持された前記接続側端部同士の前記高融点導体同士を前記突き合わせ方向に加圧変形した状態において、
    前記当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された前記接続側端部の前記高融点導体及び低融点導体の断面積が、前記低融点導体の断面積に対して前記高融点導体の方が小さい断面積となる凸形状で形成した
    請求項6又は7に記載の導体接続部材。
  9. 前記高融点導体を、銅製導体または銅合金製導体で構成するとともに、
    前記低融点導体を、アルミ二ウム製導体またはアルミニウム合金製導体で構成し、
    前記突出部を、
    前記当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された前記接続側端部の前記高融点導体の断面積が、前記低融点導体の断面積に対して0.35倍〜0.45倍となる凸形状で形成した
    請求項6〜8のいずれか一つに記載の導体接続部材。
  10. 前記請求項6〜9のうちいずれかに記載の導体接続部材と、
    前記突出部による加圧によって前記当接側端部間から押し出された前記高融点導体の余剰部を除去する余剰部除去手段を備えた
    溶融接続装置。
  11. 融点の異なる複数種の導体うち融点が高い高融点導体と、該高融点導体よりも融点が低い低融点導体とを絶縁状態で積層して一体化した複合導体線における長手方向端部の接続側端部同士を、一対の導体接続部材にて突き合わせた状態に挟持するとともに、通電して溶融接続する複合導体線の接続方法であって、
    前記導体接続部材における当接側端部を前記接続側端部に当接して、
    前記当接側端部間における導体接続範囲内に挟持された前記接続側端部の前記高融点導体を、前記当接側端部に突出した突出部により突き合わせ方向に加圧変形させ、
    前記突出部による加圧によって前記当接側端部間から押し出された前記高融点導体の余剰部を余剰部除去手段にて除去した後、
    前記接続側端部同士を挟持する前記導体接続部材間に通電して、該接続側端部同士における同一種類の導体同士を溶融接続する
    複合導体線の接続方法。
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