以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明を適用した実施形態におけるネットワークカメラの電源部、及びヒータの構成を示す図である。本発明は、ネットワークカメラに限定されるものではなく、電力の制限されたPoE等の通信線で供給される電源から給電される受電装置に適用可能である。
16、17は外部接続端子であり、AC24V、あるいはDC12Vが外部から供給される。
8はRJ45コネクタであり、イーサネット(登録商標)・ケーブルに接続される。外部機器からシリアルデータとともに同一通信線で電源が供給される。RJ45コネクタ8から、PoE電力は、不図示のHUB等の外部機器から7のトランスを経由して供給される。図1では重畳型というシリアル差動信号であるイーサネット(登録商標)の信号線に電源を重畳する場合を例に記載している。この他に空線型というRJ45のイーサネット(登録商標)信号の空端子を使用する場合もあるが、ここでの説明は省略する。本実施例の受電装置であるネットワークカメラは、外部機器からシリアルデータとともに同一通信線で供給される電源入力のためのRJコネクタ8を有する。本発明は、電力の制限されたPoE等の通信線で供給される電源から給電される受電装置に適用可能である。このAC、DC、及びPoEの3電源入力は、ネットワークカメラで一般的である。
図中10はダイオードブリッジであり、外部接続端子16,17に入力されたAC24V、あるいはDC12Vが交流端子に入力されている。ダイオードブリッジ10のプラス端子は図1でVaと記した電源出力であり、コンデンサ13、スイッチ12、及びダイオード14のアノードへ接続されている。電源Vaはスイッチ12を介してヒータ2へ接続され、ダイオード14を介してDC/DCコンバータ5へと入力されている。ダイオードブリッジ10のマイナス端子は図1でGND1と記したGND(グランド)であり、コンデンサ13のもう一端、ヒータ2、DC/DCコンバータ5へと接続されている。
8はRJ45コネクタであり、シリアル差動入力データ、シリアル差動出力データの2組が接続され、トランス7の入力側にそれぞれ接続されている。トランス7の入力側中点の2点は、ダイオードブリッジ9の交流入力に接続されている。このトランスの中点間をPoE電圧として取り出すことが出来る。PoE電圧は直流なのでダイオードブリッジ9は本来必要ないが、中点間電圧の極性が反転する場合を考慮している。トランス7の出力側はイーサネット(登録商標)コントローラ6へと接続され、シリアルデータ通信が行われるがここでの説明は省略する。外部機器からシリアルデータとともに同一通信線で電源が供給される。
ダイオードブリッジ9のプラス端子とマイナス端子はPoEコントローラ4へ入力されている。PoEコントローラ4には、不図示のHUB等の外部機器である給電機器側にネットワークカメラを認識させたり、電力クラス分け用に使われたりする抵抗が内蔵されている。ここでの供給電力は、規格の最大値である12.95Wに設定を行う。
PoEコントローラ4の出力は、図1で前述のGND1と電源Vpとである。GND1は前述のDC/DCコンバータ5の一端に接続され、電源Vpはダイオード15を介して、やはりDC/DCコンバータ5の一端に入力される。電圧変換手段であるDC/DCコンバータ5は、PoE電源と外部電源(AC24VあるいはDC12V)とが接続されて所定の電圧を出力する。DC/DCコンバータ5は、PoE電源と外部電源の電源入力を有する。DC/DCコンバータ5にはGND1に対して、電源Vpと電源Vaとがダイオードオアの形で入力され動作する。すなわち、電源Vpと電源Vaの高い方の電圧がDC/DCコンバータ5に入力されて動作する。電源Vpは通常48V、電源VaはAC24V入力時には33VDC程度、DC12V入力時には11V程度になるので、ここでは電源VpがDC/DCコンバータ5に供給される。
DC/DCコンバータ5の出力は図1でGND2と記したGNDに対する電源Vcであり、スイッチ20を経由してコネクタ18、19より負荷21に電力供給される。本実施例ではこの負荷21の部分が、画像センサーや画像処理LSI(回路)等のネットワークカメラのシステム部分となる。このスイッチ20によって、負荷21への電力供給を制御可能である。
また、電源Vcはスイッチ11を経由してヒータ1に接続され、GND2もヒータ1に接続されている。3は温度検出部であり、その出力はスイッチ12の制御端子、スイッチ11の制御端子、及びスイッチ20の制御端子に接続され、各スイッチがON/OFF制御される。発熱手段であるヒータ1、2は、負荷21、PoEコントローラ4、イーサネット(登録商標)コントローラ6などを温める。温度検出部3は、負荷21などの近傍の温度を検出する。イーサネット(登録商標)コントローラ6は、RJ45コネクタ8、イーサネット(登録商標)を介して外部機器からシリアルデータを通信する。外部機器からシリアルデータとともに同一通信線で電源が供給される。
図2(A)は温度検出部3の詳細回路例である。301はサーミスタであり、温度が低下すると抵抗値が上昇する特性を持っている。サーミスタ301と抵抗302とでVc、GND2間の電圧を分圧し、電圧V1を生成する。温度が下がってサーミスタ301の抵抗値が上昇すると、電圧V1は低下する。同様に抵抗303と304とで分圧した電圧がV2である。305はコンパレータであり、反転入力に電圧V1が、非反転入力に電圧V2が入力され両者を比較して電圧V2が高いときにHIGHレベルを出力する。この出力が−10℃検出出力であり、−10℃以下では電圧V1よりも電圧V2が大きくなるように各抵抗の値を設定することで、−10℃以下ではHIGHレベルを出力する。
308はトランジスタであり、コンパレータ305の出力が抵抗306を介してベースに、エミッタはGND2へ、コレクタは抵抗307でVcへ接続されている。トランジスタ308のコレクタが出力であり、コンパレータ305の出力が反転されて出力される。すなわち、−10℃以下で、LOWレベルを出力する。
ここで、抵抗302、303、及び304の抵抗値設定例を示す。抵抗302、及び抵抗304は同一の抵抗値とし、サーミスタ301の−10℃での抵抗値を抵抗303の値とする。結果、−10℃で電圧V1と電圧V2とが等しくなり、この温度を境に出力が反転する。すなわち、−10℃以下でコンパレータ305の出力がHIGHレベルとなり、−10℃以上でLOWレベルとなる。また、−10℃以下でトランジスタ30のコレクタはLOWレベルとなり、−10℃以上でHIGHレベルとなる。
図2(B)はヒータ1への電力供給をオンオフするスイッチ11の詳細回路例である。111はリレーであり、リレーコイルの一端がGND2に接続され、もう一端はスイッチの制御端子として出力される。またリレースイッチの両端はスイッチ端子として出力されている。リレーコイルにHIGHレベルを印加することで、リレースイッチがONに、LOWレベルでリレースイッチがOFFになる。
図2(C)はヒータ2への電力供給をオンオフするスイッチ12、図2(D)は負荷21への電力供給をオンオフするスイッチ20の詳細回路例であり、スイッチ11と同様に、リレー121、201で構成されている。
以下、ここまでの構成をもとに本実施例の基本的動作を述べる。以下の説明では、PoEによる電源供給と、外部電源としてAC24Vの両方が電力供給されている場合を例に取る。
図3は本実施例の受電装置であるネットワークカメラの動作を説明するためのフロー図である。
ステップS11でシステムの電源が投入されると、温度検出部3が動作し温度の検出を行う。−10℃以上であれば(ステップS12でYES)、コンパレータ305の出力がLOWとなってスイッチ11がOFF、ヒータ1はOFFとなる(ステップS13)。同時にトランジスタ308はOFFして、そのコレクタは抵抗307によりHIGHレベルとなる。よって、スイッチ20はONして、負荷21、すなわちネットワークカメラのシステムに電力が供給される(ステップS14)。続いてステップS15で、コンパレータ305の出力が制御端子に接続されたスイッチ12がOFF、ヒータ2はOFFとなる。ステップS15の後はステップS12に戻る。
ステップS12で温度が−10℃以下であれば(ステップS12でNO)、コンパレータ305の出力がHIGHとなってスイッチ11がON、ヒータ1はONとなる(ステップS16)。同時にトランジスタ308はONして、その出力はLOWレベルとなる。よって、スイッチ20はOFFとなり、負荷21に電力は供給されない(ステップS17)。次にステップS18でスイッチ12がON、ヒータ2はONとなる。その後はステップS12に戻る。この状況は、システムが起動せず、ヒータ1、ヒータ2でシステムの温度上昇を行っている状態である。ネットワークカメラに使用されている部品で、低温度化で動作保証のされていない部品、例えば各種LSI、画像センサーなどが温度定格内になるように、発熱手段であるヒータを使用してシステムの温度を上昇させる。
次にこのフロー図を用いて、実際の各温度での動作を述べる。
まず−15℃の場合を考える。ステップS12でNOと判定されるので、ステップS16でヒータ1がON、ステップS17でシステムはOFF、ステップS18でヒータ2がONとなる。すなわち、システムOFF状態で、ヒータ1と2が駆動された状態である。この状態でステップS12、S16、S17、S18のループを繰り返し、ヒータ1、2でシステムが暖められると、ステップS12で−10℃以上と判定され、ステップS13以降の動作に移行する。これは以下で説明する−5℃の動作と同じになる。
次に−5℃の場合である。ステップS12でYESと判定されるので、ステップS13でヒータ1がOFF、ステップS14でシステムはONとなる。次のステップS15でヒータ2をOFFした後、ステップS12に戻る。これはシステムON状態で、ヒータ1、2とも駆動されていない状態である。この状態はステップS12、S13、S14、S15でループを繰り返す。
このように、温度検出部3の出力が所定温度よりも低いことを示す場合にはスイッチ11および12を閉じ、温度検出部3の出力が所定温度よりも高いことを示す場合にはスイッチ11および12を開く。また、温度検出部3の出力が所定温度よりも低いことを示す場合にはスイッチ11および12を閉じるとともにスイッチ20を開き、温度検出部3の出力が所定温度よりも高いことを示す場合にはスイッチ11および12を開くとともにスイッチ20を閉じる。
次に、発熱手段であるヒータの電力に関する説明を行う。
PoE電源が供給されている状態では、電源VpはGND1に対して48V程度となる。一方、外部電源としてAC24Vが供給されていると、電源VaはGND1に対して33VDC程度になる。すなわち、DC/DCコンバータ5にはダイオード15を介してPoEからの電源Vpが供給される。DC/DCコンバータ5の効率を70%とすると、PoEで供給可能な最大値12.95Wは出力側で9W程度となる。よってシステムOFF状態でヒータ1の最大電力は9W程度ということになる。
電源Vcを5Vとすると、ヒータ1の抵抗値RH1は9Wの場合には以下の式1で計算出来て2.8Ωとなる。
また、AC24V入力時には電源Vaは33V程度になるので、ヒータ2を6Wとすると、ヒータ2の抵抗値RH2は以下の式2で計算出来て180Ωとなる。
この180ΩでDC12V入力時を考える。ダイオードブリッジ10での低下を考えて、Vaを11Vとすると、その時の電力Wdは以下の式3で計算出来て0.67Wとなる。すなわち、DC12V入力時はほとんどヒータとして機能しない。また、外部入力がない場合にはヒータ2は駆動されない。
ここまで述べたように、DC/DCコンバータ5にはPoEからの電源Vpが供給され、その出力でヒータ1の9Wが駆動される。ヒータ2はAC24V入力で6Wとなるので、合計15Wのヒータが動作する。
温度が所定値以上になると、ヒータ1、2がOFFし、外部入力からの電力は使用されなくなる。すなわち、PoEのみで動作するようになる。
外部入力がDC12Vの場合には、9W+0.67Wで9.67Wとなる。
PoE電源入力がない場合には電源Vpが出力されないので、外部入力からの電源VaがDC/DCコンバータ5に供給される。AC24V入力時にはヒータ1の9Wとヒータ2の6Wで15W、DC12V入力時にはヒータ1の9Wとヒータ2の0.67Wで9.67Wとなる。
また、PoE電源のみで、外部電源がない場合にはヒータ2は動作せず、ヒータ1のみでの9Wでシステムを暖める。
ここで、AC24VとDC12Vの供給電力の能力であるが、PoEと異なり規格上の制限はない。また、上述したように、ヒータ1が9W、ヒータ2が6W、システムがヒータ1と背反で6Wであることから、15Wあれば電力は不足しない。よって、20W以上の供給電力を確保しておけば、充分である。
以上述べたように、電圧変換手段であるDC/DCコンバータ5の出力側にヒータ1を、外部電源の入力部にヒータ2を配置し、温度検出を行って、温度検出値でヒータ1、2の駆動、停止を行う構成を取った。また、ヒータ1の駆動時にはシステムを起動せず、ヒータ1の駆動停止時にシステムを起動する構成を取った。さらに、システムの温度が所定値を超えるとヒータ2がOFFする構成を取ったので、PoEの電力制限下で低温起動が可能で且つ起動してしまうと、従来と同様にPoE電源のみで動作可能な低温起動回路を実現できる。
実施例1では温度検出部3は一つのコンパレータで−10℃を検出し、発熱手段であるヒータのON/OFF、システムのONを行う構成で説明した。実施例2は温度検出部に二つの温度検知手段、すなわちコンパレータを2種備え、その2つの出力でヒータ1、2を制御する場合の実施形態である。本実施例では実施例1との差異を中心に説明する。
図4は実施例2を適用した実施形態におけるネットワークカメラの電源部、及びヒータの構成を示す図である。31は温度検出部であり、この部分が実施例1と異なっている。温度検出部31の出力はスイッチ12の制御端子、スイッチ11の制御端子、及びスイッチ20の制御端子に接続され、各スイッチがON/OFF制御される。温度検出部31も負荷21などの近傍の温度を検出する。
図5は温度検出部31の詳細回路例である。これも実施例1の温度検出部3と異なる部分を説明する。
抵抗309と310で分圧した電圧がV3であり、コンパレータ311の非反転入力に接続されている。コンパレータ311の反転入力にはコンパレータ305と同様、サーミスタ301と抵抗302で分圧された電圧V1接続されている。コンパレータ311は電圧V1と電圧V3を比較して電圧V3が高いときにHIGHレベルを出力する。この出力が0℃検出出力であり、0℃以下では電圧V1よりも電圧V3が大きくなるように各抵抗の値を設定することで、0℃以下ではHIGHレベルを出力する。
コンパレータ305に関しては実施例1と同じであり、その出力は−10℃以下でHIGHレベルとなる。トランジスタ308のコレクタはその反転出力であり、−10℃以下でLOWレベルとなる。
ここで、抵抗302、303、304、309、及び310の抵抗値設定例を示す。まず、抵抗302、304、及び310は同一の抵抗値とする。サーミスタ301の−10℃での抵抗値を抵抗303の値とし、0℃での抵抗値を抵抗309の値とする。結果、−10℃で電圧V1と電圧V2が、0℃で電圧V1と電圧V3が等しくなり、この温度を境にコンパレータの出力が反転する。すなわち、−10℃以下でコンパレータ305の出力がHIGHレベルとなり、−10℃以上で、LOWレベルとなる。また、0℃以下でコンパレータ311の出力がHIGHレベルとなり、0℃以上で、コンパレータ311の出力はLOWレベルとなる。
以下、ここまでの構成をもとに本実施例の基本的動作を述べる。以下の説明では、PoEによる電源供給と、外部電源としてAC24Vの両方が供給されている場合を例に取る。
図6は本実施例の動作を説明するためのフロー図である。
ステップS21でシステムの電源が投入されると、温度検出部31が動作し温度の検出を行う。−10℃以上であれば(ステップS22でYES)、コンパレータ305の出力がLOWとなってスイッチ11がOFF、ヒータ1はOFFとなる(ステップS23)。同時にトランジスタ308はOFFして、そのコレクタは抵抗307によりHIGHレベルとなる。よって、スイッチ20はONして、負荷21に電力が供給される(ステップS24)。
続いてステップS25で、温度が0℃以上になっていれば(ステップS25でYES)コンパレータ311の出力がLOWとなってスイッチ12がOFF、ヒータ2はOFFとなる(ステップS26)。ステップS26の後はステップS22に戻る。ステップS25で温度が0℃以下の場合(ステップS25でNO)、コンパレータ311の出力がHIGHとなってスイッチ12がON、ヒータ2はONとなる(ステップS30)。その後はステップS22に戻る。
ステップS22で温度が−10℃以下であれば(ステップS22でNO)、コンパレータ305の出力がHIGHとなってスイッチ11がON、ヒータ1はONとなる(ステップS27)。同時にトランジスタ308はONして、その出力はLOWレベルとなる。よって、スイッチ20はOFFとなり、負荷21に電力は供給されない(ステップS28)。次にステップS29でコンパレータ305の出力がHIGHとなってスイッチ12がON、ヒータ2はONとなる。その後はステップS22に戻る。
このように、温度検出部31の出力が第一の所定温度(−10℃)よりも低いことを示す場合にはスイッチ11を閉じ、温度検出部31の出力が第一の所定温度よりも高いことを示す場合にはスイッチ11を開く。また、温度検出部31の出力が第二の所定温度(0℃)よりも低いことを示す場合にはスイッチ12を閉じ、温度検出部31の出力が第二の所定温度よりも高いことを示す場合にはスイッチ12を開く。
また、温度検出部31の出力が第一の所定温度よりも低いことを示す場合にはスイッチ11を閉じるとともにスイッチ20を開き、温度検出部31の出力が第一の所定温度よりも高いことを示す場合にはスイッチ11を開くとともにスイッチ20を閉じる。また、温度検出部31の出力が第二の所定温度よりも低いことを示す場合にはスイッチ12を閉じ、温度検出部31の出力が第二の所定温度よりも高いことを示す場合にはスイッチ12を開く。
次にこのフロー図を用いて、実際の各温度での動作を述べる。
まず−15℃の場合を考える。ステップS22でNOと判定されるので、ステップS27でヒータ1がON、ステップS28でシステムはOFF、ステップS29でヒータ2がONとなる。すなわち、システムOFF状態で、ヒータ1と2が駆動された状態である。この状態でステップS22、S27、S28、S29のループを繰り返し、ヒータ1、2でシステムが暖められると、ステップS22で−10℃以上と判定され、ステップS23以降の動作に移行する。これは以下で説明する−5℃の動作と同じになる。
次に−5℃の場合である。ステップS22でYESと判定されるので、ステップS23でヒータ1がOFF、ステップS14でシステムはONとなる。次のステップS25ではNOと判定されるので、ステップS30でヒータ2をONした後、ステップS22に戻る。これはシステムON状態で、ヒータ2が駆動された状態である。この状態でステップS22、S23、S24、S25のループを繰り返し、ヒータ2でシステムが暖められると、ステップS25で0℃以上と判定され、ステップS26以降の動作に移行する。これは以下で説明する+5℃の動作と同じになる。
次に+5℃の場合である。ステップS22でYESと判定されるので、ステップS23でヒータ1がOFF、ステップS24でシステムはONとなる。次のステップS25でもYESと判定されるので、ステップS26でヒータ2をOFFした後、ステップS22に戻る。これはシステムON状態で、ヒータ1、2とも駆動されていない状態である。この状態はステップS22、S23、S24、S25、S26でのループを繰り返す。
ヒータの電力に関しては実施例1と何ら違いがないのでここでの説明は省略する。
以上述べたように、電圧変換手段であるDC/DCコンバータ5の出力側にヒータ1を、外部電源の入力部にヒータ2を配置し、温度検出を行って、温度検出値1でヒータ1の駆動、停止を行い、温度検出値2でヒータ2の駆動、停止行う構成を取った。また、ヒータ1の駆動時にはシステムを起動せず、ヒータ1の駆動停止時にシステムを起動する構成をとった。さらに、システムの温度が所定値を超えるとヒータ2がOFFする構成を取ったので、PoEの電力制限下で低温起動が可能な低温起動回路を実現できる。
実施例1、2では2つのヒータの駆動を行う構成で説明した。実施例3は3つのヒータを使用する場合の実施形態である。本実施例では実施例1との差異を中心に説明する。
図7は実施例3を適用した実施形態におけるネットワークカメラの電源部、及びヒータの構成を示す図である。22はヒータであり、電源Vcがスイッチ20を経由後の電源にスイッチ23を経由して接続されている。ヒータ22のもう一端はGND2へと接続されている。スイッチ23の制御端子は32の温度検出部に接続されている。以上が実施例1と異なる部分である。
図8(A)は温度検出部32の詳細回路例である。この温度検出部32は実施例2の温度検出部31と構成の違いがないので、ここでの説明は省略する。
図8(B)はスイッチ23の詳細回路例である。231はリレーであり、リレーコイルの一端がGND2に接続され、もう一端はスイッチの制御端子として出力される。またリレースイッチの両端はスイッチ端子として出力されている。リレーコイルにHIGHレベルを印加することで、リレースイッチがONに、LOWレベルでリレースイッチがOFFになる。
以下、ここまでの構成をもとに本実施例の基本的動作を述べる。以下の説明では、PoEによる電源供給と、外部電源としてAC24Vの両方が供給されている場合を例に取る。
図9は本実施例の動作を説明するためのフロー図である。
ステップS41でシステムの電源が投入されると、温度検出部32が動作し温度の検出を行う(ステップS42)。−10℃以上であれば(ステップS42でYES)、コンパレータ305の出力がLOWとなってスイッチ11がOFF、ヒータ1はOFFとなる(ステップS43)。同時にトランジスタ308はOFFして、そのコレクタは抵抗307によりHIGHレベルとなる。よって、スイッチ20はONして、負荷21に電力が供給される(ステップS44)。続いてステップS45では、コンパレータ305の出力がLOWになっているので、スイッチ12がOFF、ヒータ2はOFFとなる。
温度が0℃以上になっていれば(ステップS46でYES)コンパレータ311の出力がLOWとなってスイッチ23がOFF、ヒータ22はOFFとなる(ステップS47)。ステップS47の後はステップS42に戻る。ステップS46で温度が0℃以下の場合(ステップS46でNO)、コンパレータ311の出力がHIGHとなってスイッチ23がON、ヒータ22はONとなる(ステップS51)。その後はステップS42に戻る。
ステップS42で温度が−10℃以下であれば(ステップS42でNO)、コンパレータ305の出力がHIGHとなってスイッチ11がON、ヒータ1はONとなる(ステップS48)。同時にトランジスタ308はONして、その出力はLOWレベルとなる。よって、スイッチ20はOFFとなり、負荷21に電力は供給されない(ステップS49)。コンパレータ305の出力がHIGHとなっているので、次のステップS50でスイッチ12がON、ヒータ2はONとなる。その後はステップS42に戻る。
このように、温度検出部32の出力が第二の所定温度(0℃)よりも低いことを示す場合にはスイッチ23を閉じ、温度検出部32の出力が第二の所定温度よりも高いことを示す場合にはスイッチ23を開く。
次にこのフロー図を用いて、実際の各温度での動作を述べる。
まず−15℃の場合を考える。ステップS42でNOと判定されるので、ステップS48でヒータ1がON、ステップS49でシステムはOFF、ステップS50でヒータ2がONとなる。すなわち、システムOFF状態で、ヒータ1と2が駆動された状態である。この状態でステップS42、S48、S49、S50のループを繰り返し、ヒータ1、2でシステムが暖められると、ステップS42で−10℃以上と判定され、ステップS43以降の動作に移行する。これは以下で説明する−5℃の動作と同じになる。
次に−5℃の場合である。ステップS42でYESと判定されるので、ステップS43でヒータ1がOFF、ステップS44でシステムはON、ステップS45でヒータ2がOFFとなる。次のステップS46ではNOと判定されるので、ステップS51でヒータ22をONした後、ステップS42に戻る。これはシステムON状態で、ヒータ22が駆動された状態である。この状態でステップS42、S43、S44、S45、S46、S51のループを繰り返し、ヒータ22でシステムが暖められると、ステップS46で0℃以上と判定され、ステップS47以降の動作に移行する。これは以下で説明する5℃の動作と同じになる。
次に+5℃の場合である。ステップS42でYESと判定されるので、ステップS43でヒータ1がOFF、ステップS44でシステムはON、ステップS45でヒータ2がOFFとなる。次のステップS46でもYESと判定されるので、ステップS47でヒータ22をOFFした後、ステップS42に戻る。これはシステムON状態で、ヒータ1、2、3とも駆動されていない状態である。この状態はステップS42、S43、S44、S45、S46、S47でループを繰り返す。
次に、ヒータ22の電力に関する説明を行う。
実施例1でPoEの電力制限から、ヒータ1の電力は9Wと説明した。ヒータ1と負荷21(システム負荷)は背反で動作するので、システムの消費電力が6Wとすると、電力的には3Wの余裕がある。この分をヒータ22の電力として使用する。実施例1で述べたように、Vcを5Vとすると、ヒータ22の抵抗値RH23は以下の式4のように計算出来て8.3Ωとなる。
以上述べたように、DC/DCコンバータの出力側にヒータ1を、外部電源の入力部にヒータ2を、電源Vcのスイッチ後にヒータ22を配置した。そして、温度検出を行って、温度検出値1でヒータ1、2の駆動、停止を行い、温度検出値2でヒータ22の駆動、停止行う構成を取った。また、ヒータ1の駆動時にはシステムを起動せず、ヒータ1の駆動停止時にシステムを起動する構成をとった。ヒータ22の電力はシステム負荷と合わせて、PoEで供給できる電力に設定した。さらに、システムの温度が所定値を超えるとヒータ2がOFFする構成を取ったので、PoEの電力制限下で低温起動が可能な低温起動回路を実現できる。
実施例1で説明したが、ヒータ2を180ΩとするとAC24V入力時には6Wとなるが、DC12V入力時には0.67Wとなってしまい、ヒータとして機能しない。実施例4はAC24V、DC12Vの両入力時に6Wのヒータを実現する実施形態である。本実施例は実施例1、2、3の全てに適用できるが、ここでは実施例1との差異を中心に説明する。
図10(A)はヒータ2の詳細構成を示す図である。201は外部入力の種別を判別する電圧判別手段である電圧検出部であり、電圧Vaの値を検出して、外部入力の種別がAC24V入力か、DC12V入力かを判別する。AC24V検出出力は202のPWM(パルス幅変調)制御部に入力されている。パルス出力手段であるPWM制御部202の出力はスイッチ205の制御端子に接続され、スイッチ205は電源Vaと203のヒータ間に挿入されている。PWM制御部202のもう1つの出力はDC12V検出出力であり、スイッチ204の制御端子に接続され、スイッチ204は電源Vaとヒータ203間に挿入されている。ヒータ203は一端が前述のスイッチ204、205へ、もう一端はGND1へ接続されている。
図10(B)は外部入力の種別を判別する電圧判別手段である電圧検出部201の詳細回路例である。210は基準電圧素子であり、GND1を基準に、入力Vaより出力電圧V5を生成し、コンパレータ213の反転入力に出力する。コンパレータ213の非反転入力には電源Vaを抵抗211、212で分圧した電圧が入力され、電圧V5と比較される。このコンパレータ213の出力がAC24V検出出力となる。コンパレータ213の出力は抵抗214を介してトランジスタ215のベースに接続されている。トランジスタ215のエミッタはGND1へ接続され、コレクタはDC12V検出出力となる。また、トランジスタ215のコレクタは抵抗216で電源Vaに接続されている。トランジスタ215のコレクタは、コンパレータ213の反転出力であり、DC12V検出出力となる。
以下に各定数の設定例をあげる。基準電圧素子210は5V出力品を使用する。よってコンパレータ213の反転入力端子へ入力される電圧V5は5Vとなる。抵抗211は抵抗211の3倍に設定する。例えば、抵抗211を15kΩ、抵抗212を5kΩとする。抵抗211と抵抗212とで分圧され、コンパレータ213の非反転入力に入力される電圧は以下の式5より計算できVa/4となる。
一方、コンパレータ213の反転入力には、基準電圧素子210の5V出力が入力されているので、Va/4=5Vを境にその出力が反転する。すなわち、Va=20Vが境となる。AC24V入力の時にはVa=33V程度となるので、20V以上の時にはコンパレータ213の出力はHIGHレベルとなってAC24V検出出力を示す。Vaが20V以下の場合には、コンパレータ213の出力はLOWレベル、トランジスタ215の出力がHIGHレベルとなって、DC12V検出出力を示す。
図10(C)はパルス出力手段であるPWM制御部202の構成例である。220は発振器であり、所定の周波数で発振する。その出力は221のパルス発生器の入力に接続されている。発振器220の出力に同期して所定のパルス幅を出力する。222はANDゲートであり、パルス発生器221の出力と、電圧検出部201のAC24V検出出力とのANDをとり、パルス発生器221の出力がAC24V入力時のみされるようにゲートしている。
図11はパルス出力手段であるPWM制御部202の動作を説明するための図である。図11(A)は発振器220の出力であり、所定周波数で発振している。図11(B)はパルス発生器221の出力であり、入力された図11(A)の立ち上がりに同期して所定パルスを出力する。このパルス幅を0から図11(A)の周期(周波数の逆数)まで可変することで、PWM制御が行える。
以上のように、パルス出力手段であるPWM制御部202は、外部入力の種別を判別する電圧検出部201の出力が接続され、所定のパルスを出力する。そして、スイッチ204は電圧検出部201の出力でスイッチ行い、スイッチ205はPWM制御部202の出力でスイッチを行う。
以下に実施例4の動作を説明する。
まず、ヒータ203の抵抗値RH203を算出する。DC12V入力の時にはダイオードブリッジ10での電圧降下があるので、電源Vaは11V程度となる。このときヒータ203で6W消費するためには、以下の計算式6より抵抗値は20Ωとなる。
ヒータ203が20ΩのときにAC24Vが入力されると、その消費電力W203は以下の式7で計算され、54Wとなってしまう。
これを6Wにするためには、以下の計算式8よりデューティー11%のPWMで駆動すればよい。これを実現するのがPWM制御部202である。
PWM制御部の周波数は人間の可聴域より高くする必要があるので、50kHzを使用する。すなわち、発振器220の周波数を50kHzで周期は20μsとする。ここで、パルス発生器221の出力パルス幅を2.2μsとすると、デューティー11%のPWM波形が生成できる。このPWM波形でスイッチ205をON、OFFすることで、AC24V入力時にも6Wのヒータが実現できる。
以上述べたように、外部電源の入力部にあるヒータを、DC12V入力時にはそのまま駆動し、AC24V入力時にはPWM駆動する構成をとった。よって、DC12V入力でも、AC24V入力でも同様な電力でヒータを駆動し、低温起動が可能な低温起動回路を実現できる。
以上の実施例では、スイッチ手段の一例としてリレーを使用した場合で説明した。しかし、光MOS FETなどその他のスイッチ手段が使えるのはもちろんである。図12は第4の実施例で説明した、スイッチ205を光MOS FET250で構成した場合の回路例である。光MOS FET250の光ダイオードのカノードはGND2に接続されている。アノードは電流制限抵抗251を介して、制御端子として出力される。
第3の実施例では、PWM制御部202のアンドゲート222の出力に接続される。光MOS FET250のFETの両端はスイッチ端子として使用される。スイッチ205を例に説明したが、他のスイッチすべてに適用できる。また、FET、トランジスタ等もスイッチ手段として使用可能である。
第4の実施例ではDC12Vの時にはヒータ2を直接起動し、AC24V入力の時にはPWM手段を用いて11デューティーでヒータ2を駆動した。これは、AC/DCの電圧値が異なる場合には、異なるデューティーで駆動することが可能であるし、AC、DCともにデューティーの異なるPWMで駆動することも可能である。
第1の実施例ではコンパレータ305の出力から、抵抗306のみでトランジスタ308を駆動していたため、温度が上昇してスイッチ11がONからOFFに切り替わるタイミングと、スイッチ20がOFFからONに切り替わるタイミングはほぼ同時であった。前述したように、PoE電源入力でのDC/DCコンバータ5の負荷は9W以内にする必要がある。ところが、スイッチ11と20の動作が同時であると、過渡的に両者に電流が流れ、過電流となる可能性がある。図13はこの対策のため、温度検出部3にディレイを持たせた実施例である。
図13は実施例1の図2(A)に対して、コンパレータ305の出力と抵抗306の間に抵抗315が、抵抗306と抵抗315の接続点にコンデンサ316が追加されている。コンデンサ316のもう一端はGND2である。この抵抗315とコンデンサ316がディレイを発生する。このようにして、スイッチ11を開いてから、スイッチ20を閉じるまでに所定の時間ディレイをとる。
温度が上昇して、コンパレータ305がHIGHからLOWに移行すると、ヒータ1はOFFする。そして、トランジスタ308の抵抗306で決まるベース電流は、充電されたコンデンサ316でしばらく流れ続け、コンパレータ305がLOWレベルになっても、トランジスタ308はしばらくONを維持する。この分がディレイとなり、この間ヒータ1はOFF、システムもOFFとなり、過渡的に両者に電流が流れることはなくなる。また、以上の説明では、実施例1の温度検出部3に付加した説明を行ったが、実施例2の温度検出部31、実施例3の温度検出部32にも適用できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。