以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照して説明を行う。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態における給電システムの構成例を図1に示す。受電装置120は、第1電源101、及び、第2電源102に接続され、それぞれの電源から電力を受電することができる。
第1電源101は、電源の立ち上がり時に電流の制限をかけて給電する機能を有さない電源である。例えば第1電源101は、ACアダプタや交流AC電源等の汎用電源とすることができる。第1電源は後述の第2電源102よりも低い電圧で電力を供給する電源であるものとする。例えば第1電源は、ACアダプタを用いてAC100.0VからDC12.0Vを作って給電する電源や、AC100.0VからAC24.0Vの電圧を作って給電する電源などとすることができる。本実施例では、第1電源はDC12.0Vを出力する場合について説明する。
第2電源102は、供給する電流の制限をかけて給電する機能を有する電源である。第2電源102は、出力する電流の量を所定の期間制限する。本実施例では、第2電源102は通信線(ネットワーク)を介して受電装置120に接続される。第2電源102は通信線を介して受電装置120に電力を供給する。通信線として、例えば、イーサネット(登録商標)・ケーブルを用いることができる。
例えば第2電源102はPoEにおける電力供給装置(PSE、 Power Sourcing Equipment)である。PoEでは、2種類の給電方式を使用することができる。本実施例において、給電方式はいずれの給電方式でもよい。
本実施例において、第2電源102は受電装置120へ入力する電圧が所定の電圧に達してから所定時間が経過するまでの間に、第2電源102から所定値以上の電流が流れると、電力の供給を停止する。たとえば、第2電源102から受電装置120へ入力する電圧が42.0Vに達してから80msecが経過するよりも前に、第2電源102から400mA以上の電流が流れると、電力の供給を停止する。
次に、受電装置120内の電源回路の構成について図1を用いて説明する。
整流部103は第1電源101から電力を受電する。また整流部104は、第2電源102からイーサネット(登録商標)・ケーブル等の通信線を介して電力を受電する。整流部103及び整流部104は、受電部を構成する。整流部103、及び、整流部104は、交流電源を直流に変換する全波整流を行う。整流部103、及び、整流部104として、例えば、ダイオードブリッジを用いることができる。
平滑化部105は、整流部103から出力された電流の波形を平滑化する。また、平滑化部106は、整流部104から出力された電流の波形を平滑化する。平滑化部105、及び、平滑化部106として、例えば、コンデンサを用いることができる。
第1検知部107は、第1電源101から電力が供給されたことを検知する。例えば第1検知部107は、汎用電源からの電力の入力の有無を検知する。第1検知部107は、第1電源からの給電が開始されたことを検知すると、昇圧部109に通知を行う。
第2検知部108は、第2電源102から後述の負荷部118への給電が可能になったことを検知する。本実施例では、第2電源102の起動後、第2電源102から受電装置120に入力される電圧が所定の電圧(例えば、42.0V)に達すると、スイッチ部111のスイッチがONになる。そして、第2電源102からスイッチ部111以降の回路への給電が可能になる。第2検知部108は、第2電源102から受電装置120に入力される電圧が所定の電圧に達したことを検知する。第2電源102がIEEE802.3at規格に準拠したPSEである場合、この所定の電圧は例えば、IEEE802.3at規格に規定の起動電圧(PD Power supply turn on voltage)である。
また第2検知部108は、第2電源102から負荷部118への給電が可能になったことを後述の遅延部110に通知する。また第2検知部108は、第2電源102がユーザの操作等により受電装置120から切り離されたことを検知する。第2検知部108は、第2電源102が受電装置120から切り離されたことを後述の遅延部110に通知する。
昇圧部109は、第1電源101から供給された電力の電圧を昇圧する。昇圧部109は昇圧した電圧を第1出力部112に出力する。昇圧部109は、例えば、昇圧回路により構成することができる。本実施例では、昇圧後の電圧が、第2電源102が出力する電圧以上になるように第1電源101の電圧を昇圧する例について説明する。例えば昇圧部109は第1電源101から出力された電圧12.0Vを昇圧して、図1に示したV1間の電圧を57.0Vの電圧にする。
遅延部110は、昇圧部109に昇圧を停止させるためのイネーブル信号を、昇圧部109に出力する。ただし、イネーブル信号により昇圧部109の昇圧を必ずしもやめなくともよい。イネーブル信号を昇圧部109が受信した場合に、昇圧部109が出力する電圧が、第2電源102から入力された電圧よりも低い電圧になるようにすればよい。遅延部110がイネーブル信号を昇圧部109に出力するタイミングは後述の制御部116によって制御される。
時刻T0から時刻T1までの間に遅延時間を設けることを制御部116が遅延部110に指示した場合について説明する。ここで時刻T0は、第2電源102から受電装置120に入力される電圧が所定の起動電圧に達したことを示す通知(検知信号)を、遅延部110が第2検知部108から受信する時刻である。また時刻T1は、昇圧部109の昇圧を停止させるために、遅延部110がイネーブル信号を出力する時刻である。遅延部110は、第2検知部108から検知信号を受信してから、所定の遅延時間が経過した後に、昇圧部109にイネーブル信号を出力する。
一方、T0からT1の間に遅延時間を設けることを制御部116が遅延部110に指示しない場合には、遅延部110は、第2検知部108から検知信号を受信してから所定の遅延時間を待たずに昇圧部109にイネーブル信号を出力する。
第2検知部108から通知を受信した時刻を起点にしてイネーブル信号の出力タイミングを決定する場合に限られず、たとえば後述の受電装置120の分類処理の完了等を起点にして、イネーブル信号を出力するタイミングを決定してもよい。
制御部116は、負荷部118に出力する電力を供給する電源が、第2電源102から入力された電圧が所定の電圧に達してから所定の期間が経過した以後に、第1電源101から第2電源102に切り替わるように制御する。制御部116は、後述の負荷部118の消費電力に応じて遅延部110を制御する。負荷部118の消費電力は、図1に示した後述の測定部115を用いて測定される電流値と、変換部117に入力される電圧値とから決定する。制御部116による制御の詳細は、図3のフローチャートを用いて後述する。
スイッチ部111は、第2電源102から供給される電力をスイッチ部111以降の回路に供給可能な状態にするか否かを切り替える。スイッチ部111は、第2電源102から入力された電圧が所定の電圧(例えば、42.0V)に達すると、第2電源102からの電力を第2出力部112に通電可能とする。本実施例においてスイッチ部111は、第2電源102の起動後、第2電源102からスイッチ部111に入力された電圧が所定の起動電圧(例えば、42.0V)に達すると、スイッチをONにする。スイッチがONになると、第2電源102から変換部117への給電が可能になる。スイッチ部111は、例えば、IEEE802.3at規格に準拠したPoE制御デバイスであり、内部にPoE給電スイッチを備えている。
ここでIEEE802.3at規格では以下の手順により、PSEからPDの給電が開始される。まず、PSEはPDの検出を行う。PSEは、PSEにイーサネット(登録商標)・ケーブルを介して接続された装置のうち、PoEによって電力を受電することができる受電装置(PD)を検出する処理を行う。PDを検出すると、次にPSEは検出したPDの分類を行う。PDの分類により、PSEがPDに供給する電流値の上限が決定される。PDの検出及び分類を終え、PSEから入力された電圧が所定の起動電圧に達したとPDが判定すると、PSEからPDが有する負荷部118への給電が可能な状態になる。PDの検出及び分類の詳細については、後述する。
スイッチ部111は、上述のPDを検出及び分類するための処理において、PSEから送信される信号に対するPDの応答を出力する。またスイッチ部111は、PDの検出及び分類の処理が完了すると、スイッチをONにして図1のV2に電圧を発生させる。
第1出力部112は、整流部103が受電し昇圧部109から出力された電力を、変換部117及び負荷部118に出力する。また第2出力部113は、第2電源102から出力され整流部104が受電した電力を、変換部117及び負荷部118に出力する。第1の出力部及び第2の出力部はそれぞれ、例えばダイオードにより構成することができる。第1の出力部及び第2の出力部に入力された電圧のうち、電圧が高いほうの電力が、変換部117に出力される。したがって、昇圧部109が出力する電力と、第2電源102から入力された電力のうち、より電圧が高い方の電力が変換部117及び負荷部118に供給される。
蓄積部114は、第2電源102から出力された電力を蓄積する。蓄積部114に蓄積された電力は、後段の変換部117に供給される。蓄積部114は、例えばコンデンサとすることができる。
測定部115は、上述の制御部116が、負荷部118が消費する電流量を取得するために用いられる。測定部115では、例えば抵抗を用いて電流量を測定することができる。あるいは、電流量を測定するための手段として、カレントトランスに代表されるコイルを用いた方式や、ホール素子に代表されるセンサ方式を用いて電流量を測定してもよい。
変換部117は、第1電源101及び第2電源102から入力された電圧を所望のDC電圧に変換する。例えば、PSE48.0Vの電圧をトランス(不図示)等によって12.0V電圧等に変換する。変換部117は、負荷部118を他の回路構成から絶縁する。
負荷部118は、負荷回路を備える。負荷部118は例えば、ネットワークカメラ等の電子機器が接続されることを想定している。負荷部118は、例えば、撮像画像を生成する撮像装置である。また、負荷部118に、撮像装置の撮像方向を変更するためのモータ、又は、寒冷地等で撮像装置が駆動可能になる温度までカメラを温めるために用いられるヒータ等を含めるようにしてもよい。本実施例では、負荷部118は受電装置120に含まれる場合について説明するがこれに限らない。負荷部118は受電装置120から独立した装置であってもよい。例えば負荷部118は、受電装置120から切り離し可能な装置であってもよい。
次に、本実施例に係る電源回路の動作を図2及び図3のフローチャートを用いて説明する。まず、第1電源101からの電力が電源回路に入力されている場合(S201においてYesの場合)について図2を用いて説明する。第1電源101からの電力の入力を第1検知部107が検知すると、昇圧部109の昇圧が開始される(S202)。本実施例において、昇圧部109は、第1電源101から入力された電圧を所定の電圧(例えば、42.0V)よりも高い電圧になるように昇圧する。本実施例では、昇圧部109は例えば、第1電源101から入力された12.0Vの電圧を57.0Vまで昇圧する。
第1電源101からの電力が電源回路に入力されており、かつ、第2電源102からの電力が入力されない場合(S203においてNoの場合)、第1電源101からの電力が変換部117及び負荷部118に入力される(S204)。すなわち、第1電源101から出力され、昇圧部109によって昇圧された電圧が、第1出力部112を介して変換部117に印加される。このように、第1及び第2電源のうち第1電源101の電力のみが電源回路に入力される場合、第1電源101からの電力が変換部117に入力される。
第1電源101からの電力が電源回路に入力されている間に、第2電源102が受電装置120に接続された場合(S203においてYesの場合)、第2の電源102が給電を開始するための所定の手順が実行される(S205)。ステップS205の手順が完了していない間(S206においてNoの場合)、ステップS203の処理が繰り返し実行される。ステップS205の処理は、受電装置120の検出処理、及び、分類処理である。ステップS205において実行される手順については後述する。分類処理が完了すると、第2電源102の出力する電圧が給電電圧(例えば、48.0V)まで次第に上昇する。
第2電源102から入力された電圧が所定の電圧(例えば、42.0V)に達したと第2検知部108が判定すると、スイッチ部111はスイッチをONにする(S207)。続いて制御部116の制御により、第1電源101から入力される電力の電圧制御が行われる(S208)。ステップS208では、昇圧部109における昇圧を継続させるか否かを受電装置120の消費電力に応じて判定する。昇圧を停止させると判定された場合、昇圧部109による昇圧は停止し、第1電源101から第1出力部112から出力される電圧は低下する。ステップS208における処理についての詳細は図3を用いて後述する。
ステップS208の処理が完了すると、第1の電源及び第2の電源のうち、ステップS208における制御に応じて決定される電源からの電力が変換部117及び負荷部118に入力される(S209)。ステップS208において、昇圧部109の昇圧を停止すると、第1出力部112から出力される電圧は低下し、第1出力部112から出力される電圧が第2出力部113から出力される電圧よりも低くなる。そして、変換部117及び負荷部118に電力を出力する出力部が第1出力部112から第2出力部113に切り替わる。すなわち、変換部117及び負荷部118に電力を供給する電源が第1電源101から第2電源102に切り替わる。一方、ステップS208において昇圧が停止されない場合には、第1電源101から変換部117及び118への電力供給が継続される。
つぎに、第1電源101から電源回路に電力が入力されない場合(S201においてNoの場合)について説明する。第1電源101からの電力の入力が無く、かつ、第2の電源からの電力が入力された場合(S210においてYesの場合)、ステップS211及びステップS212の処理が実行された後、スイッチ部111がスイッチをONにする(S213)。そして、第2電源102からの電力が変換部117に入力される(S214)。ここでステップS211における処理は、ステップS205における処理と同じなので説明を省略する。
本実施例では、第2電源102からの電力が電源回路に入力された後、第1電源101からの電力が電源回路に入力されても、第2電源102からの電力が変換部117及び負荷部118に入力され続けるものとする。第2検知部108から第2電源102の検出通知を受信している間は、昇圧部109は第1電源101の電力の昇圧を行わない。そして、第1出力部112及び第2出力部113により、第1電源101(例えば、12.0V)よりも電圧が高い第2電源102(例えば、48.0V)からの電力が優先して変換部117及び負荷部118に入力される。第1及び第2の電源の両方から電力が入力されていない場合には、ステップS201の処理を繰り返す。
次に、図2に示したステップS205及びステップS211において実行される処理について説明する。本実施例では、IEEE802.3atに規定された手順に従って、第2電源102から受電する場合について説明するが、これに限らない。本実施例において第2電源102は、受電装置120の検出処理、及び、分類処理を行った後、受電装置120に対する給電を開始する。
まず、第2電源102はPoEに対応している受電装置の検出を行う。第2電源102は、所定の抵抗値(例えば、19.0〜26.5KΩ)の抵抗を有する受電装置を、PoEに対応している受電装置として検出する。
次に、第2電源102は検出した受電装置120の分類を行う。第2電源102は、受電装置120が有する抵抗の抵抗値に応じて、受電装置120に対して給電する電力を決定する。検出処理及び分類処理については、図5(a)(b)を用いて後述する。検出処理、及び、分類処理に用いられる抵抗は、受電装置120のスイッチ部111が有している。
本実施例では、第2電源102から受電装置120へ供給する最大電力を受電装置120が選択することができる。受電装置120は、第2電源102(PSE)に給電させる給電タイプとしてType1を選択すると、第2電源102から最大12.95Wまで受電することができる。また受電装置120は、給電タイプとしてType2を選択すると、第2電源102から最大25.5Wまで受電することができる。
受電装置120の消費電力の分類が完了すると、第2電源102は出力する電力の電圧を上昇させ、受電装置120の分類の結果に応じた電力を受電装置120に出力する。第2電源102が受電装置120に入力する電圧が所定の電圧に達すると、受電装置120のスイッチ部111がONになり、受電装置120に対する電力の供給が開始される。
次に、図2のステップS208及びステップS209の処理の詳細について図3(a)、(b)、図4(a)及び(b)のフローチャートを用いて説明する。図3(a)に示した処理は、ステップS208において制御部116が実行する処理である。制御部116がプロセッサを内蔵する形態では、図3(a)の処理フローは、図3(a)に示す手順をこのプロセッサに実行させるためのプログラムを示す。このプロセッサはコンピュータであり、不図示の記憶部から読み出したプログラムを実行する。また図3(b)に示したフローチャートは、ステップS209における第1出力部112及び第2出力部113の動作を示す図である。
図4(a)に示した処理は、ステップS208において第2検知部108が実行する処理である。また図4(b)に示した処理は、ステップS208において遅延部110が実行する処理である。遅延部110がプロセッサを内蔵する形態では、図4(b)の処理フローは、図4(b)に示す手順をこのプロセッサに実行させるためのプログラムを示す。このプロセッサはコンピュータであり、不図示の記憶部から読み出したプログラムを実行する。
まずS208における制御部116の処理について、図3(a)を用いて説明する。第2電源102からの給電が開始されると、制御部116は、測定部115を用いて測定される電流値と、変換部117に入力される電圧値とに基づいた負荷部118の消費電力量の情報を取得する(S301)。
次に制御部116は、ステップ301で取得した消費電力が第1の電力以下であるかを判定する(S302)。ここで第1の電力は、給電タイプとして受電装置120が上述のType1を第2電源102に要求した場合に受電することができる電力の上限値である。ここでは、第1の電力は12.95Wである場合について説明する。ステップS301において、消費電力の値によって判定を行うほかに、受電装置120が第2電源102に対して要求した給電タイプがType1であるかType2であるかを判定してもよい。この場合、受電装置120がType1を要求している場合、ステップS302からステップS303に進み、受電装置120がType2を要求している場合、ステップS302からS304に進む。
ステップS301で取得した消費電力が第1の電力以下である場合(S302においてYesの場合)、制御部116は、遅延部110を制御して、遅延部110から昇圧部109にイネーブル信号を出力させる。このイネーブル信号は、昇圧部109に昇圧を停止させるための信号である。ステップS303では、制御部116は、遅延部110に所定の遅延時間を待たずにイネーブル信号を出力するように指示する。遅延部110は、第2電源102から入力された電圧が所定の電圧に達したことを示す通知を第2検知部108から受信すると、所定の遅延時間を待たずに昇圧部109の昇圧を停止させる。
このようにして、負荷部118の消費電力が所定の電力以下である場合には第2電源102から入力された電圧が所定の電圧に達してから所定の期間内に昇圧部109の昇圧を制限する。ただし制御部116は、ステップS303において遅延部110により設定される遅延時間を待って昇圧部109の昇圧を停止させることとしてもよい。
昇圧部109による昇圧が停止されると、第1電源101から入力された電力の電圧(例えば、12.0V)よりも第2電源102から入力された電力の電圧(例えば、48.0)が高くなる。従って、第1出力部112及び第2出力部113の動作により、第2電源102からの電圧が変換部117に印加される。このようにして、第2電源102からの電力が変換部117に入力される。このようにして、変換部117及び負荷部118に電力を供給する電源が第1電源101から第2電源102に切り替わる。
ここで受電装置120は、第1電源101から入力された電力の電圧を昇圧部109が昇圧した状態から第2電源102へ電源の切り替えを行うため、突入電流の発生を原因として第2電源102が給電を停止してしまうことを防ぐことができる。
例えば、受電装置120が供給を受ける電力が12.95Wである場合に第1電源101の電圧を昇圧して(例えば、57.0Vに昇圧して)給電すると、およそ0.23A(≒12.95W/57.0V)の電流が受電装置に流れる。また、受電装置120が供給を受ける電力が12.95Wである場合に第2電源102(例えば、48.0V)により給電すると、およそ0.27A(≒12.95W/48.0V)の電流が受電装置に流れる。
受電装置120が第1電源101から受電する状態から第2電源102から受電する状態に切り替えると、切り替え後も一時的に0.23Aの突入電流が受電装置120に流れる。その後、受電装置120に0.27Aの電流が流れるようになる。
このとき、突入電流の電流量(0.23A)は第2電源102の電流制限値(400mA)を超えないので、突入電流が発生しても、第2電源102は給電を停止しない。このようにして、第2電源102が給電を停止しないようにしつつ、変換部117に電力を入力する電源を第1電源101から第2電源102に切り替えることができる。
図3(a)の説明に戻る。ステップS301で取得した消費電力が第1の電力より大きい場合(S302においてNoの場合)、ステップS301で取得した消費電力が第2の電力より大きいか判定する(S304)。ここで第2の電力は、例えば、第2電源102が上述のType2を要求する受電装置120に対して給電可能な電力の上限の電力である。取得した消費電力が第2の電力より大きい場合(S304においてYesの場合)、制御部116は昇圧部109による昇圧を継続させる(S305)。
この場合、第1電源101から出力され、昇圧部109により昇圧された電圧(例えば、57.0V)は、第2電源102からの電圧(例えば、48.0V)よりも高い。したがって、第1出力部112及び第2出力部113の動作により、第1電源101から出力され、昇圧部109により昇圧された電圧が変換部117に印加される。このようにして、第1電源101からの電力が変換部117及び負荷部118に入力される。
このようにして、受電装置120の消費電力が、第2電源102がType2で受電装置120に対して供給可能な電力より大きい場合には、第1電源101からの給電が継続するようにすることができる。例えば、受電装置120の消費電力が、PoEのType2で給電できる電力量よりも大きい場合には、汎用電源から受電するようにすることができる。
次にステップS301で取得した消費電力が第1の電力よりも大きく、第2の電力以下である場合(S304においてNoの場合)について説明する。例えば、受電装置120の消費電力が、Type1で受電できる電力よりも大きく、Type2で受電できる電力以下である場合が該当する。すなわち、受電装置120が要求する給電タイプが、Type2である場合が該当する。
制御部116は、遅延部110に対して、所定の期間が経過した後にイネーブル信号を昇圧部109に出力するように指示する(S306)。ここで所定の期間とは、第2電源102から入力された電圧が所定の起動電圧に達したことを第2検知部108が遅延部110に通知してから所定時間経過するまでの期間である。本実施例では、所定時間は100.0msecである例について説明する。
このようにして、第2電源102が出力する電圧が所定の電圧(例えば、42.0V)に達してから所定時間(例えば、100.0msec)経過後に昇圧部109による昇圧を停止させる。このように、負荷部118の消費電力が所定の電力より大きい場合には、第2の電源から入力された電圧が所定の電圧に達してから所定の期間が経過した以後に、昇圧部109の昇圧を制限する。
ここで昇圧部109の昇圧を停止して、昇圧部109の出力電圧が第1電源の出力12.0Vまで落とさなくてもよい。制御部116は、昇圧部109が出力する電圧が第2電源102から入力された電圧よりも高い第1の電圧から、第2電源102から入力された電圧よりも低い第2の電圧になるように昇圧部109の昇圧を制限すればよい。
また、昇圧部109の昇圧を制限するタイミングは、第2電源102が出力する電圧が所定の電圧に達してから所定時間が経過する前であってもよい。昇圧部109の昇圧を制限することにより、変換部117以降の回路に電力を入力する電源が第1電源101から第2電源102に切り替わる。この電源の切り替わるタイミングが、第2電源102が出力する電圧が所定の電圧に達してから所定時間が経過した以後であればよい。
本実施例では制御部116の制御により、変換部117に電力を入力する電源は、第2電源102が出力する電圧が所定の電圧に達してから所定時間経過後に、第1電源101から第2電源102に切り替わる。
上述の通り、第2電源102から入力された電圧が所定の電圧(例えば、42.0V)に達してから80msecが経過するよりも前に、第2電源102から400mA以上の電流が流れると、電力の供給を停止する。第2電源102から入力された電圧が所定の電圧に達してから80msecが経過した以後は、第2電源102が出力する電流の上限が400mA以上に引き上げられる。例えば、引き上げられた後の電流の上限は、684mAとすることができる。
受電装置120の消費電力が第1の電力よりも大きい場合、第1電源101から第2電源102への切り替え後に400mA以上の突入電流が発生する場合がある。例えば、受電装置120の消費電力が25.0Wの場合、第1電源101の電圧を昇圧して給電している間は、およそ0.438A(≒25.0W/57.0V)の電流が受電装置120に流れる。そして、第1電源101から第2電源102への切り替え後に0.438Aの突入電流が発生する。
しかし、本実施例によれば、変換部117に電力を供給する電源が、第2電源102が出力する電圧が所定の電圧に達してから100.0msec経過後に、第1電源101から第2電源102に切り替わるようにする。すなわち、400mA以上の電流が流れても第2電源102が給電を停止しない状態に切り替わってから、電源の切り替えを行う。
このようにして、第2電源102が給電を停止しないようにしつつ、変換部117に電力を入力する電源を第1電源101から第2電源102に切り替えることができる。
次に、第1出力部112及び第2出力部113の動作について図3(b)を用いて説明する。昇圧部109の昇圧が停止すると(S310においてYesの場合)、昇圧部109から出力される電圧が、第2電源102から入力される電圧よりも低くなる。そして、第2電源102電源から入力された電力が、変換部117以降の回路に出力される(S311)。一方、昇圧部109の昇圧が継続する場合(S310においてNoの場合)、昇圧部109から出力される電圧が、第2電源102から入力された電圧よりも高い状態が維持される。この場合、昇圧部109から出力された電力が、変換部117以降の回路に供給される(S312)。
次にステップS208における第2検知部108が実行する処理を、図4(a)に示す。第2検知部108は、第2電源102から入力された電力の電圧が所定の電力(例えば、42.0V)に達したことを検知すると(S401においてYesの場合)、遅延部110に通知を行う。一方、第2電源102から入力された電力の電圧が所定の電圧に達していない場合、ステップS401の判定処理を繰り返す。
次に、ステップS208における遅延部110の処理について、図4(b)のフローチャートを用いて説明する。遅延部110は、第2検知部108から上述の通知を受信した場合(S410においてYesの場合)、制御部116から遅延指示を受けているか判定する(S411)。第2検知部108から通知を受信しない場合は、ステップS410の処理を繰り返す。
ステップS411において制御部116から遅延指示を受信したと判定した場合、第2検知部108からの通知を受信してから所定時間(例えば、100msec)経過後に、イネーブル信号を昇圧部109に出力する(S413)。一方ステップS411において制御部116から遅延指示を受信していないと判定した場合、第2検知部108からの通知を受信してから所定の遅延時間を待たずに、イネーブル信号を昇圧部109に出力する(S414)。
次に、図1に示した給電システムにおける電圧、電流の時間変化について図5(a)、(b)、及び(c)を用いて説明する。受電装置120が第1電源101から受電を開始した後に、第2電源102が受電装置120に接続された場合の電圧の変化を図5(a)に示す。図5(a)のグラフにおいて横軸は時間軸[msec]、縦軸は電圧[V]を示す。
点線L1は第1電源101から入力された電力であって第1出力部112に入力される電力の電圧の変化を示す。すなわち点線L1は、昇圧部109から出力される出力電圧の変化を示す。また、実線L2は第2電源102から出力される電圧の変化を示す。
まず第1電源101から第1出力部112に入力される電圧の変化(L1)について説明する。図5(a)では、第1電源101が0.0msecの時刻に受電装置120に接続された場合について説明する。第1電源101が受電装置120に接続されたことを第1検知部107が検知すると、第1検知部107は昇圧部109に昇圧を開始させる。昇圧部109は、第1電源101が出力する第1の電圧(例えば、12.0V)を、第2電源102の所定の起動電圧(42.0V)よりも高い電圧(例えば、57.0V)まで、昇圧する。
第1電源101から受電装置120に給電がなされており、第2電源102が接続されていない状態のとき、第1出力部112には昇圧部109で昇圧された電圧が印加される。本実施例では、第1電源101から入力され、昇圧部109により57.0Vに昇圧された電圧が第1出力部112に印加される。
つぎに第2電源102が受電装置120に接続されると、L2について後述するように、第2電源102は受電装置120の検出処理、分類処理が完了した後、出力する電圧を上昇させる。後述のように、第2電源102から入力された電圧が所定の起動電圧に達したとスイッチ部111が判定した時刻T0には第1出力部112からの電力が変換部117及び負荷部118に供給され続ける。
第2電源102が出力する電圧が起動電圧に達してから所定時間(例えば、100msec)経過した時刻T1において、昇圧部109による昇圧が停止される。この処理は、制御部116が遅延部110を制御することにより実現される。そして、第1電源101から第1出力部112に印加される電圧は次第に低下し、昇圧前の電圧(例えば、12.0V)になる。
第1出力部112に印加される電圧が第2出力部113に印加される電圧(例えば、48.0V)を下回る時点T2で、変換部117に電力を供給する電源は第1電源101から第2電源102に切り替わる。
その後、ユーザ操作等によって第2電源102が受電装置120から切り離されると、第1電源101は受電装置120への給電を再開する。第2電源102が受電装置120から切り離されたことを第2検知部108がT3において検知すると、検知結果が遅延部110に通知される。制御部116は、第2電源102が受電装置120から切り離されたことを示す情報を第2検知部108から受信すると、遅延部110を介して昇圧部109に昇圧を再開させる。この場合、遅延部110による昇圧開始指示の遅延制御は行われず、所定の遅延時間を待たずに昇圧部109の昇圧を再開させる。昇圧部109の昇圧により、第1電源101から出力された電力の電圧は再び57.0Vまで上昇する。
次に、第2電源102が出力する電圧の変化(L2)について説明する。第2電源102は、ネットワークに接続されるとはじめに受電装置120の検出処理を行う。第2電源102は、所定の抵抗値(例えば、19.0〜26.5KΩ)の抵抗を有する受電装置120を検出する。本実施例においてこの抵抗はスイッチ部111に含まれる。本実施例では第2電源102は、25KΩの抵抗を有する受電装置120を検出する。
本実施例において、第2電源102は2.8Vから10Vの間の検出電圧V1、及び、検出電圧V2を順次出力する。V1及びV2は、第2電源102の給電手順に対応する受電装置120を検出するために、第2電源102が出力する検出信号である。本実施例では、電圧V1は2.81V以上6.90V以下の範囲内の電圧であるものとする。例えば、V1は6.0Vとすることができる。また、電圧V2は6.9V以上10.1V以下の範囲内の電圧であるものとする。例えば、V2は7.0Vとすることができる。
第2電源102は、V1を出力した際の電流値I1を測定する。また、第2電源102は、V2を出力した際の電流値I2を測定する。そして、I1とI2の差をV1とV2の差で割った値から、受電装置が有する抵抗の抵抗値を測定する。この測定が、第2電源102による受電装置120の検出処理に相当する。
受電装置120のスイッチ部111は上述の抵抗を有し、第2電源102から所定の電圧V1及びV2が出力されると、所定の電流I1及びI2を通信線を介して第2電源102に出力する。このようにして、受電装置120が、第2電源102の給電対象の受電装置120として検出される。電流I1及びI2は、第2電源102の給電手順に対応して受電を行う受電装置120であることを示す第1の応答である。
次に第2電源102は検出した受電装置120の分類を行う。第2電源102は、受電装置120が有する抵抗の抵抗値に応じて、受電装置120が受給できる電力を決定する。
本実施例では、分類処理において第2電源102が電圧を2回出力する例について説明する。IEEE802.3at規格では給電電力を最大25.5wとして、給電する電力量に応じて給電量を5つのクラスに分類できる。
本実施例において、分類処理において第2電源102から出力される分類電圧のハイサイド(上端)の電圧は14.5V以上20.5V以下の電圧範囲であるものとする。また本実施例において、分類処理において第2電源102から出力される分類電圧のローサイド(下端)の電圧は6.9Vから10.1Vの電圧範囲で印加される。第2電源102は、所定の分類電圧を出力した際の電流値を測定する。そして測定した電流値に対応する電力量を、受電装置120に給電する電力量として決定する。給電電力の決定が、第2電源102による受電装置120の分類処理に相当する。この所定の分類電圧(分類信号)に対して受電装置120が出力する電流は、受電装置120に接続された負荷が必要とする電力に応じた第2の応答である。
または第2電源102は、上述したような物理層での通信による受電装置120の分類に替えて、データリンク層での通信による受電装置120の分類を行うこととしてもよい。あるいは、第2電源102は物理層の通信及びデータリンク層での通信を併用して、受電装置120の分類を行うこととしてもよい。
分類処理が完了すると、第2電源102は給電処理を開始する。第2電源102は、分類処理が完了すると、42.5V以上57.0V未満(PD Type2の場合)の電圧まで電圧を上昇させる。本実施例では、第2電源102は、48.0Vまで電圧を上昇させるものとする。
第2電源102からの電圧が上昇しスイッチ部111がONになっても、第2電源102から出力された電圧(例えば、48.0V)が第1出力部112に印加されている電圧(例えば、57.0V)よりも低い。従って、給電が開始されてもすぐには第2電源102からの電力は変換部117に供給されない。
第2電源102が出力する電圧が所定の起動電圧(例えば、42.0V)に達するT0から所定時間(例えば、100msec)経過すると、T1において昇圧部109による昇圧が停止される。そして、第1出力部112に印加される電圧が第2出力部113に印加される電圧(例えば、48.0V)を下回る時点T2で、変換部117に電力を供給する電源は第1電源101から第2電源102に切り替わる。
このようにして、受電装置120に給電する電源を、第2電源102から出力される電圧が所定の電圧に達してから、所定の時間が経過した後に、第1電源101から第2電源102に切り替えることができる。このようにして制御部116は、負荷部118に出力する電力を供給する電源が、第1の応答(検出信号)及び前記第2の応答(分類信号)を出力した以後に、第1電源101から第2電源102に切り替わるように制御する。
次に、受電装置120が第1電源101から受電している状態で、第2電源102が受電装置120に接続された場合の、第2電源102の電流制限値の推移と、第2電源102から受電装置120に供給される電流値の推移を図5(b)に示す。図5(b)のグラフにおいて横軸は時間軸[msec]、縦軸は電流[mA]を示す。
図5(b)の点線L3は、第2電源102の電流制限値の変化を示す。本実施例において、L3は受電装置120がIEEE802.3at規格のPoEにおける給電タイプとしてType2を選択した場合の電流制限値の変化を示す。L3に示した電流を超える電流が第2電源102から受電装置120に流れると、第2電源102は受電装置120に対する給電を停止する。
第2電源102が受電装置120に接続されてから、第2電源102が出力する電圧が所定の電圧(例えば、42.0V)に達するまでの期間は、制限値は検出処理、及び、分類処理のそれぞれに応じて決められた所定の値である。本実施例においてこの所定の電圧は、受電装置120のスイッチ部111がスイッチをONにする、起動電圧である。
第2電源102が出力する電圧が起動電圧に達すると、制限値は一時的に引き上げられる。これは受電装置120のスイッチ部111がONなった際に受電装置120に一時的に突入電流が流れるため、制限値を一時的に引き上げるものである。この突入電流は、スイッチ部111がONになった瞬間に、スイッチ部111以降の回路に電流が急激に流れ込むために発生するものである。
続いて、第2電源102が出力する電圧が起動電圧に達してから80msec以上の時間が経過すると、第2電源102の電流制限値が400mAから引き上げられる。
図5(b)の実線L4は、第2電源102が出力する電流の変化を示す。第2電源102が受電装置120の検出処理、分類処理を行っている期間の電流値は、第2電源102が出力した電圧と受電装置120が保持する抵抗の抵抗値とに応じた電流値となる。
次に、検出処理、及び、分類処理が完了し、受電装置120のスイッチ部111がONになると、一時的に受電装置120において突入電流が発生するため、T0において一時的に第2電源102から大きな電流が流れる。上述のように、第2電源102が出力する電圧が起動電圧(ここでは、42.0V)に達すると、第2電源102の制限値(L3)は一時的に引き上げられるため、突入電流が発生しても、第2電源102は給電を停止しない。しかし、この時点では第2電源102から出力される電圧(48.0V)よりも第1電源101から出力された後昇圧された電圧(57.0V)の方が高い。したがって、第1電源101から変換部117に電力が供給され、第2電源102からは変換部117に電力が供給されない。第2電源102から電力が供給されないため、第2電源102から出力される電流は0mAになる。
第2電源102が出力する電圧が所定の起動電圧(例えば、42.0V)に達してから所定時間(100msec)が経過すると、受電装置120において昇圧部109が昇圧を停止する。昇圧の停止により、第1電源101から出力された電力の電圧が次第に低下し、T2において第1電源101から出力された電圧が第2電源102の電圧を下回ると、変換部117に電力を供給する電源が第1電源101から第2電源102に切り替わる。従って、T2において第2電源102から電流が流れる。受電装置120が受電する電力を25.0Wとすると、第2電源102に流れる電流の値は、およそ0.521A(≒25.0W/48.0V)である。
本実施例において、第2電源102は電圧が所定の起動電圧に達してから所定期間、制限電流値を400mAとしている。そして所定期間(たとえば、80msec)経過後、第2電源102は制限電流値を400mAより大きな電流値に切り替える。この所定期間が経過した後に、第2電源102から変換部117への給電が開始されるため、第2電源102は制限電流値を超えることなく、給電することができる。
すなわち本実施例によれば、第2電源102の電流制限値がT4において引き上げられた後、T2において電源が第1電源101から第2電源102に切り替わる。したがって、第2電源102から流れる電流値が、第2電源102の電流制限を超えないようにして、電源の切り替えを行うことができる。このようにして、電源の切り替え時に第2電源102が給電を停止することを防ぐことができる。
次に、受電装置120に流れる電流の変化について、図5(c)を用いて説明する。図5(c)に示したL5は、受電装置120の変換部117及び負荷部118に流れる電流の値の変化を示している。
第1電源101から出力された電圧が昇圧された状態である場合には、受電装置120には第1電源101からの電力が供給される。受電装置120が消費する電力が例えば25.0Wであり、第1電源101が出力する電圧が57.0Vである場合、受電装置120にはおよそ0.439A(≒25.0W/57.0V)の電流が流れる。
T1において昇圧部109による昇圧が停止され、第1電源101からの電圧が低下し始めると、それに反比例して、第1電源101から受電装置120に流れる電流の値は上昇する。そして第1電源101からの電圧が更に低下し、受電装置120に給電する電源が第2電源102に切り替わると、受電装置120には、第2電源102の電圧に応じた値の電流が流れる。例えば受電装置120が消費する電力が25.0Wであり、第2電源102が出力する電圧が48.0Vである場合、受電装置120にはおよそ0.521A(≒25.0W/48.0V)の電流が流れる。
その後、例えばユーザにより第2電源102が受電装置120から切り離されると、受電装置120に給電を行う電源は第2電源102から第1電源101に切り替わる。電源が第1電源101に切り替わると、受電装置120に入力される電圧が、第2電源102の電圧(48.0V)から第1電源101の電圧(12.0V)に一時的に低下する。それに応じて、第1電源101から受電装置120に流れる電流は一時的に上昇する。そして昇圧部109による昇圧の再開により、第1電源101から出力された電力の電圧が上昇し始めると、それに伴って第1電源101から受電装置120に流れる電流は低下する。昇圧された第1電源101からの電圧が57.0Vに達すると、受電装置120には、およそ0.439A(≒25.0W/57.0V)の電流が流れる。
第2電源102が受電装置120から切り離されると、第2電源102からの電圧、電流は即落ちることとなるが、図1の蓄積部114に蓄積された電力を用いて、受電装置120は起動し続けることができる。ここで、蓄積部114に蓄積されている電力は、第2電源102から受電装置120が電力を受電している間に、第2電源102からの電力が蓄積部114に充電されたものである。
このようにして本実施例によれば、電圧が異なる複数の電源を切り替えて受電装置が受電する場合に、電源からの給電が停止されないようにすることができる。また本実施例によれば、第2電源102の過電流制限を超えることなく、受電装置120が電力の供給を受ける電源を、第1電源101から第2電源102に切り替えることができる。また本実施例によれば、例えば、ネットワークカメラなどの、常時起動させて連続撮影・記録を行うことが必要とされる受電機器においても、電源の遮断によって撮影が中断してしまうことを防ぐことができる。
<第2の実施形態>
第2の実施例では、図6に示すように、図1を用いて説明した受電装置120の各構成に加えて、受電装置120が処理部600を有する場合について説明する。処理部600は図2から図4のフローチャートに示した処理を受電装置120の各構成に実行させる制御を行う。処理部600は例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成することができる。処理部600がプロセッサとして構成される場合、処理部600は記憶部601に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、図6に示した電源回路の動作を制御する。
処理部600は、第1検知部107から第1の信号を受信する。この信号は、第1電源101が受電装置120に接続されたことを検知した場合に第1検知部107が出力する信号である。また処理部600は、第2検知部108から第2の信号を受信する。この第2の信号は、第2電源102から受電装置120に入力される電圧が所定の起動電圧に達したことを検知した場合に第2検知部108が出力する信号である。また処理部600は、スイッチ部111からの信号を受信する。図6に示した他の構成は実施例1において説明した内容と同様であるため、説明を省略する。
図2のステップS201において、処理部600は、第1検知部107からの検知信号に基づいて、第1電源101から電力を受電しているか否かを判定する。図2のステップS203、及び、ステップS210において、処理部600は、第2検知部108からの検知信号に基づいて、第2電源102が受電装置120に接続されたかを判定する。また図2のステップS206、及び、ステップS212において、第2の検知部からの信号に基づいて、第2電源102から給電を受けることが可能になったか否かを判定する。図2から図4示したその他の処理については、実施例1において説明した内容と同様であるため、説明を省略する。
本実施例によれば、第1の実施形態と同様に、電圧が異なる複数の電源を切り替えて受電装置が受電する場合に、電源からの給電が停止されないようにすることができる。
以上の実施例では、第1電源101と第2電源102が同時に接続されている場合、第2電源102から優先して受電するように電源を切り替える例について説明したが、これに限らない。処理部600が、受電装置120が受電可能な電源のうちから適切な電源を選択することとしてもよい。
処理部600は、第1検知部107、及び、第2検知部108から受信した信号に基づいて、受電装置120に接続されている電源を判定する。さらに処理部600は、スイッチ部111から受信した信号に基づいて、第2電源102の給電タイプ(例えば、Type1及びType2)を判定する。
処理部600は、受電装置120の負荷部118が第1電源101から受電している状態から、第2電源102から受電する状態に切り替える場合、昇圧部109による昇圧を停止させる指示を行う。例えば処理部600は、第2検知部108を介して遅延部110から昇圧部109にイネーブル信号を出力させることにより、昇圧部109による昇圧を停止させる。昇圧部109の昇圧を停止させることにより、図3(b)を用いて説明したように、負荷部118に電力を供給する電源が第1電源101から第2電源102に切り替わる。
また処理部600は、受電装置120の負荷部118が第2電源102から受電している状態から、第1電源101から受電する状態に切り替える場合、昇圧部109による昇圧を開始させる。例えば処理部600は、第1検知部107を介して昇圧部109の昇圧を開始させる指示を行う。昇圧部109による昇圧が開始され、昇圧部109から出力される電圧が第2電源102から入力される電圧を上回ると、負荷部118に電力を供給する電源が第2電源102から第1電源101に切り替わる。
さらに処理部600は、スイッチ部111を制御して、第2電源102の給電タイプを切り替えさせることができる。
このようにして、受電装置120が受電可能な電源のうちから適切な電源を選択して、負荷部118に電力を供給させることができる。
このように本発明は状況に応じて消費電力が変動する受電装置120に対しても適用することができる。例えば、ネットワークカメラにおいて、カメラ本体の他に、人感センサ等のセンサ、照明機器、カメラの撮像方向を変化させるための駆動部、ヒータなどの使用状況に応じて消費電力が変動する。このような消費電力の変動に応じて、第1電源101から受電するか第2電源102から受電するかを切り替える場合にも、本発明によれば、電源からの給電が中断されることなく電源の切り替えを行うことができる。あるいは、ユーザからの指示に応じて処理部600が電源を切り替える制御を行うこととしてもよい。尚、本発明はこれらの特定の実施形態に限られるものではなく、上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。例えば、上述の処理部600の処理の一部又は全体を制御部116が行うこととしてもよい。