JP6116407B2 - X線集光装置およびx線装置 - Google Patents

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Description

本発明はX線管球やレーザープラズマ光源に代表される発散X線源からのX線を高効率に集光するX線集光装置およびX線装置に関し、半導体材料の組成、構造解析やたんぱく質をはじめとするソフトマテリアルの構造解析、創薬病理検査等を目的とした分析装置、評価装置や加工装置に用いられる。
X線(波長が30nm程度以下)の高い透過力を生かした様々な観察、分析手法が開発されているが、X線領域における固体物質の屈折率はほぼ1に近く、かつ1よりも小さな数であるため、可視光に比べ屈折、反射が容易ではないという課題があった。X線集光素子の代表的なものとして、フレネルゾーンプレート、積層型多層膜ゾーンプレート、X線屈折レンズ、X線反射鏡および反射鏡を組み合わせて実現するX線集光装置、および、キャピラリー、等の光学素子がある。
フレネルゾーンプレート(例えば、非特許文献1参照)はその集光原理として回折を利用したものであり、他の光学素子に比べ光学系の調整が簡単なため、回折限界に近い分解能が比較的容易に得られる特徴を持つが高い集光効率は得られていない。また、その主たる製造方法はEB描画を基盤とする超微細加工技術を用いているため、直径数nmを超えるフレネルゾーンプレートを製造することが困難であり、平行光でない入射X線に用いる素子では、その構造が複雑になるために製造が困難である等の理由により、放射光などの発散角の小さなX線光源では非常に優位に利用できる光学素子でありながらも、発散角の大きなX線光源では利用が難しいという状況がある。
積層型フレネルゾーンプレート(例えば、非特許文献2参照)は、集光原理はゾーンプレートと同様であるが、その形状は円筒状の基板の周辺に二種類の材質で構成された積層膜が形成されており、その積層部にて回折現象が生じることによりX線を集光させている。積層型フレネルゾーンプレートの場合には、基板の大きさを変えることで直径の大きなフレネルゾーンプレートを作製することは可能であるが、実際にX線を集光させることが出来る領域は積層部であり、その膜厚は現状数十μm程度が限界であるため発散角の大きなX線源の集光に用いることは難しい。
X線屈折レンズ(例えば、非特許文献3参照)は、屈折現象をその集光原理として利用している。X線領域での固体元素の屈折率は1よりわずかに小さいため、可視光領域とX線領域では入射角に対して屈折の方向は逆転する。そのため可視光領域での凸レンズと同じ役割を持たせるレンズは、凹面レンズの形状であるが、その屈折角は極小であるためX線を集光させるには凹面形状を多数個配列する構造を有しなければならない。従って、X線屈折レンズにおいても、発散角の小さい光源から発されるX線に対しては有効であるが、発散角の大きな光源については利用されていない。
X線領域における反射鏡(例えば、非特許文献4参照)の反射現象には可視光同様全反射が利用されるが、可視光領域の光線と比べて、極端な斜入射角で入射させる必要がある。比較的臨界角が大きな材料はPt、Ru、Auなどの重元素であるが、Auの場合でも波長0.83nmのX線では臨界角は2.53°、波長0.15nmでは0.55°と極端に小さい。
他方、軽元素と重元素を交互に積層された人工ブラッグ素子すなわちX線多層膜を用いることで臨界角を超える角度で反射させることが可能になる。人工ブラッグ素子は多層膜の各膜層で反射されるX線の干渉を利用しており、ブラッグの条件2dsinθ=mλ(d:多層膜周期長、θ:斜入射角、m:次数、λ:X線の波長)をみたす角度θでX線を反射させることが出来る。このときX線の波長λが短くなると、斜入射角θもしくは多層膜周期長dの値が小さくなる。特に多層膜周期長は、その製造の限界からd=1nm程度が最小であるため、利用条件の制限が生じる(例えば、非特許文献5参照)。これらの多層膜や単層膜を平面基板、球面基板、非球面基板にコーティングされた反射鏡を用いることにより、X線を反射、集光することが可能になる。
一般的に光を1枚の反射鏡で集光する方法として回転放物面反射鏡や回転楕円面反射鏡が利用されているが、その臨界角の小ささのため設計上反射鏡の口径が数mm以下と非常に小さいものであり、その設計を満たす反射鏡の製造は非常に困難である。
反射鏡を組み合わせた集光光学系としてKirkpatrick-Baez光学系、Wolter光学系がある(例えば、非特許文献6参照)。これらは2枚以上の斜入射鏡を用いてX線を集光させる光学系であり、放射光を用いた様々な分析手法に利用されている。発散角の大きなX線を集光する場合の問題点のひとつは反射鏡が大きくなりやすい点である。反射鏡に入射するときのX線の広がりは発散光源から反射鏡までの距離dと発散角θの積であるdθで表される。そのX線は反射鏡に斜入射角αで入射する必要があるため、反射鏡の大きさはdθ/sinαと非常に大きなものになり、実用的に利用され難い。別の問題点は、反射鏡面上での入射角が連続的に大きく変わることである。発散角の小さい場合では反射鏡上の面内において入射角は大きく変わらないが、発散角の大きい場合には入射角が大きく変わる。特に多層膜をコーティングする場合には、面内における多層膜周期長を調整する必要があり、その作製が難しくなる。さらには光線の向きと光軸となす角が大きいX線を如何に集光に寄与させるかという点もある。X線は非常に浅い角度でしか反射させることが出来ず、発散角の大きい場合には一回の反射で設計した集光点に導くことは難しい。X線を多重反射させ集光させる方法としてAdvanced Kirkpatrick-Baez光学系(例えば、非特許文献7参照)がある。この光学系は複数回数反射させることにより集光サイズを小さくすることを目的としている。その際1枚目の反射鏡に入射したX線は、残りの3枚すべての反射鏡に入射するため、反射を繰り返す毎に光の強度は落ちていく。
発散X線源から13.5nmの光を集光するための集光装置として、薄板の反射鏡を複数枚重ねたシェル型反射集光素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。波長十nm以上の比較的波長の長いX線では臨界角が10°程度まで取ることができる。異なる形状の楕円面反射鏡を並列に配置することにより集光効率を向上させることが可能になる。一方で、反射鏡の端面や反射鏡を並列に配置するための治具が光線の障害物となり集光効率の低下原因となる。また、波長が短いX線では、反射鏡への入射角が一桁小さくなり、反射鏡の口径も非常に小さくなるため、多重に反射鏡を配置すること自体難しい。
キャピラリー(例えば、非特許文献8参照)は、細い管状の内面をX線が全反射を繰り返しながら進行していくことによりX線を伝搬させる方法である。キャピラリーは発散光の光軸からの角度に応じて自由に配置可能であり、発散角の大きな光源に対して取り込み角を大きく出来る。一方、実用的に利用されているキャピラリーはガラス材で出来ており、臨界角は波長0.07nm(E=17keV)のX線に対して約0.1°程度と極めて小さい。その結果全反射を起こすためにキャピラリーの口径は数十μmと小さいものでなくてはならない。現在の技術では口径の小さく長さのあるキャピラリー内面に高反射率材の薄膜を形成することは不可能である。そのためX線の強度は反射率回数の累乗で強度が減衰していくため、キャピラリーの全長は数mmとなっている。さらには口径が小さいため発散X線源の中に直径の小さなキャピラリーを多数個配置しなければならず、キャピラリー外周部に照射したX線は集光には寄与しないため効率低下の一因となる。
特表2010−503882号公報
「X線結像光学」波岡武・山下廣順共編(培風館)、p.96 "Circular Multilayer Zone Plate for High-Energy X-Ray Nano-Imaging"T. Koyama et al, Rev. Sci. Instrum., 83, 013705 (2012) "The birth of the X-ray refractive lens", T. Tomie, Spectrochimica Acta Part B, 65, 192 (2010) 「X線結像光学」波岡武・山下廣順共編(培風館)、p.69 "Status of small d-spacing x-ray multilayers development at Osmic", Yuriy Y. Platonov et al, Proc. SPIE, Vol.4782, 152 (2002) 「X線結像光学」波岡武・山下廣順共編(培風館)、p.112 "Development of an advanced Kirkpatrick-Baez microscope", R. Kodama et al, Opt. Lett., 21, 17, 1321 (1996) "Overview of polycapillary X-ray optics", P. J. Schields et al, Power Diffr., 17, 2 (2002)
以上のように、発散角の小さなX線を集光する光学素子は複数種利用されているが、発散角の大きなX線を集光する場合には、可視光と比べて、反射角度および屈折角が大きく出来ず、X線の進行方向を大きく曲げることができないため、十分な集光効率を得られないという問題があった。上述したように、発散角の大きなX線に対しては、反射鏡から構成されるX線集光装置もしくはキャピラリーが利用されているが、その集光効率は十分ではない。
本発明は、以上のような問題を解消するためになされたものであり、発散X線源に用いる集光効率の高いX線集光装置を提供することを目的とする。
上述したような課題を解決するために、本発明に係るX線集光装置では、発散X線光源からの発散X線が照射される領域に設置され、反射面が少なくとも3以上の反射部の集合体であり、前記反射部の断面が数学的に不連続であるX線反射鏡を備え、前記発散X線を、前記発散X線源から前記発散X線の集光点に向かう主光軸とのなす角度をθiとするn個のサブ光軸Si(i=1〜n)に分割し、前記サブ光軸Siを中心とするぞれぞれの発散角ΔθiのX線の全部又は一部を前記X線反射鏡で反射する場合において、前記X線反射鏡の前記反射部の一つであって、前記主光軸とのなす角度θjのサブ光軸Sjから、斜入射角度αjで入射する前記発散X線を反射する反射部Mj(j=1〜n−1)は、反射部Mjで反射された前記発散X線が別の反射部Mk(k=j+1〜n)に入射する際の方向ベクトルの向きと、前記主光軸とのなす角度θkのサブ光軸Skから前記反射部Mkに入射する発散X線の方向ベクトルの向きが等しくなるような角度で配置され、前記発散X線が前記反射部Mjで反射された後に、又は前記反射部Mjと反射部Mn間の少なくとも一つの反射部Mkでさらに反射された後に、反射部Mnに入射するように前記反射部を配置する。
前記サブ光軸に垂直かつ前記サブ光軸上に起点を持つすべてのベクトルと前記反射鏡の交点の数は1であり、前記反射部Mjの形状は、前記主光軸に対し、前記角度θj−αjで傾いている平面、もしくはその平面を接平面とする凹球面又は非球面であるようにしてもよい。
前記X線反射鏡又は前記発散X線を最後に反射する反射部を複数個設置するか、あるいは前記反射部を複数個組み合わせて配置し、光軸方向に多角形状を構成することにより、マルチスポット、放射状、環形状、矩形形状等の集光形状を形成するようにしてもよい。
前記反射部の基板として、高精度に研磨されたガラス基板、シリコン基板、結晶基板、金属基板であって、前記発散X線の波長に応じて選択された全反射の臨界角の大きい単元素もしくは化合物からなる薄膜がコーティングされている基板を用いるようにしてもよい。
前記反射部の基板として、高精度に研磨されたガラス基板、シリコン基板、結晶基板上に、前記発散X線の波長に応じて選択された単元素もしくは化合物からなる複数種類の薄膜を交互に積層した薄膜がコーティングされている人工フラッグ素子を用いるようにしてもよい。
また、本発明に係るX線装置では、前記X線集光装置に、利用する前記発散X線の波長に応じて選択された単元素もしくは化合物の固体、液体もしくは気体に粒子もしくは電磁波を照射することによりX線を発生させるX線光源装置をさらに備える。
また、本発明に係るX線装置では、前記X線集光装置に、前記X線反射鏡と前記集光点の間、もしくは、前記集光点にピンホール、スリット、フレネルゾーンプレート、積層型フレネルゾーンプレート、反射型フレネルゾーンプレートの光学素子をさらに備える。
本発明を用いることにより、発散X線源からの波長30nm程度以下のX線を高効率に集光することが出来るようになる。そして、X線管球やプラズマ光源などの実験室系での発散X線源を用いた分析装置、加工装置、診断装置、等において、飛躍的な感度上昇、測定時間短縮を実現することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るX線集光装置の概要を示す図である。 図2は、発散X線源からの発散X線をn分割したサブ光軸Si及び発散角の定義を示す図である。 図3は、サブ光軸SiからのX線が、反射部Miで反射された場合のX線の光路を示す図である。 図4は、サブ光軸SiとSi+1からのX線が反射部MiとMi+1で反射された場合のX線の光路を示す図である。 図5は、発散X線源から反射部Mnで反射されるまでのX線の光路を示す図である。 図6は、発散X線源から集光点までのX線の光路を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態に係るX線反射鏡の反射効率の反射回数依存性の一例を示すグラフである。 図8は、本発明の実施の形態に係るX線集光装置全体での集光効率の一例を示すグラフである。 図9は、本発明の実施の形態に係る凸面状集光装置の概略図である。
本発明における発散光においては、主光軸からの発散角が小さいX線については少なくとも1回の反射で主光軸上の集光点方向に光路を変化させることは可能であるが、発散角の大きなX線を1回の反射で集光点方向に光路を変化させることは不可能である。そのため、本発明の実施形態では、光軸とX線のなす角(発散角)に応じて適切な反射回数を設定することにより、損失少なく光路を変化させ、これまでの集光素子では集光に寄与させることの出来なかったX線を少なからず集光させ、光源から発される光全体の集光効率を向上させる。
集光効率を上げるために複数枚の反射鏡を配置する構成では発散光内に集光素子やそれを固定するための治具等を多数個配置する必要があり、集光に寄与しない治具部分がX線の光路を遮り、結果として集光効率の低下を導く。発散光を効率よく集光するためには、発散光内に集光素子および治具等を配置しない構成にする必要がある。
本発明の実施の形態では、単一の反射鏡面に複数の数学的に不連続な、光軸とのなす角の異なる反射部を持たせるようにする。これらの各反射部において、光軸とX線のなす角に応じ、X線が1回目に入射する反射部Aが決定される。その後、反射したX線は、その反射部Aよりも集光点に近い別の反射部Bに入射するが、本発明の実施の形態では、反射したX線の方向と、反射部Bへ入射するX線の方向が等しくなるように、反射部Aの角度を設定する。
このように設計された反射鏡は、発散X線源からのX線が、鏡面上を繰り返し反射しながら集光点方向に進み、発散X線源からのX線を効率よく集光することを可能にする。
以下、図面を使って、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、発散光を光軸上の一点Pに集光させる集光系を構成した例を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るX線集光装置の概要を示す図である。発散X線源10は光軸上の点Oであり、発散X線光は角度2×Ω(40)で発光している。このとき主光軸30は2×Ω(40)の中心方向に定義する。発散光のうち0度からΩ度(40)までの光を反射部M1〜Mk+2(60−1〜60−k+2)を持つ反射鏡を用いて集光する。以下の説明では、光軸に垂直な1断面について考えるものとするが、実際には光軸まわりに2π回転させた反射鏡を準備する。
図2は、発散X線源10からの発散X線をn分割したサブ光軸Si及び発散角の定義を示す図である。発散X線のうち0度からΩ度(40)までのX線をn個のサブ光軸S1〜Sn(50−1〜50−n)に分割し、サブ光軸Si(50−i)からのX線ぞれぞれの発散角Δθiの合計ΣΔθiで、0度からΩ度(40)までのX線を構成することを考える。i 番目のサブ光軸Si(50−i)からのX線は、主光軸30とのなす角度θi=(n2+n−i2)×ω/2を中心とする発散角iωの円弧として考え、主光軸30とのなす角度の小さな方からΔθn=nω、Δθn−1=(n−1)ω、…、Δθi=iω、…、Δθ1=ωとすると、Ωとωの関係は、Ω=(n2+n)×ω/2となる。これを変形すると、ω=Ω×2/(n2+n)となり、ωを決定することができる。
上述した発散X線源10からの発散X線の全て(2×Ωの範囲)を反射させれば最も集光効率を高くすることができるが、本実施の形態では、所望の集光効率や反射部の枚数等の集光条件に応じて、反射鏡で反射させる発散X線の角度の範囲を適宜決定する。
図3は、サブ光軸Si(50−i)からのX線が、反射部Mi(60−i)で反射された場合のX線の光路を示す図である。主光軸30とのなす角度θiのSiからのX線は、主光軸30に対しθi−αi度傾いた反射部Mi(60−i)に対して、斜入射角αiで入射する。この場合、θi−αi={(n2+n)/2−(i+1/2)2/2−1/8}×ω度となり、αi=(i+1/2)×ω/2となる。反射部Mi(60−i)に入射したサブ光軸Si(50−i)からのX線は、その後、2×αi=(i+1/2)×ω度だけ浅い角度で反射し、主光軸30に対する角度{n2+n−(i+1)2}×ω/2度で出射する。
図4は、サブ光軸Si(50−i)とSi+1(50−i+1)からのX線が反射部Mi(60−i)とMi+1(60−i+1)で反射された場合のX線の光路を示す図である。本図において、反射部Mi+1(60−i+1)は、反射部Mi(60−i)で反射されたX線を所定の角度で反射するとともに、サブ光軸Si+1(50−i+1)からのX線を所定の角度で反射するように角度及び長さを設定する。反射部Mi(60−i)にて反射した後のサブ光軸Si(50−i)からのX線の角度は、2×αi=(i+1/2)×ω度だけ浅くなり、主光軸30に対する角度{n2+n−(i+1)2}×ω/2度で出射する。本式から明らかなように、反射部Mi(60−i)で反射されたサブ光軸Si(50−i)からのX線の角度は、サブ光軸Si+1(50−i+1)からのX線と同じであり、両者の方向ベクトルの向きは等しくなることから、反射部Mi+1(60−i+1)においては、サブ光軸Si(50−i)からのX線とSi+1(50−i+1)からのX線を同じ方向に反射することができる。これを漸化式のように繰り返すことにより、発散光S1(50−1)からSn(50−n)までの光が全て反射部Mn(60−n)に入射するように反射部を構成することができる。
図5は、発散X線源10から反射部Mn(60−n)で反射されるまでのX線の光路を示す図である。本図では、サブ光軸Sn(50−n)からのX線は、反射部Mn(60−n)で反射され、主光軸30と平行になるように、反射部Mnの角度が設定されている。このX線反射鏡を主光軸30の周りに2π回転させたX線反射鏡を用いれば、環状の集光形状を形成することが出来る。
図6は、発散X線源10から集光点P(20)までのX線の光路を示す図である。図6に示すように反射部Mn(60−n)の集光点側に、例えば、斜入射角−ω/2度の最終反射部ML(70)を配置し、X線を入射させることによって、集光点P(20)に発散X線を集光させることが出来る。
尚、本実施形態では、最終的に集光点に発散X線を集光するために、最終反射部ML(70)を使用する実施形態を説明したが、反射部Mnを用いて集光点に発散X線を集光できる場合には、最終反射部ML(70)は不要となる。
また、前述したように発散光を効率よく集光するためには。集光装置内に集光素子および治具等を配置しない構成にする必要がある。そのためには、図3〜図6のように反射鏡の内部を使って集光する場合には、前記のサブ光軸に垂直でサブ光軸に起点を持つすべてのベクトルと前記X線反射鏡の交点は1になるように構成する必要がある。
さらに、図3〜図6の説明では、前記反射部の形状は所定の角度で傾いている平面である形態を説明したが、この平面を接平面とする凹球面もしくは非球面であっても同様の作用効果を実現することができる。
反射効率については、光路となる各反射部の反射率の積で表されるが、X線の吸収効果のため反射率は1ではなく、反射回数が増えるにつれ、反射効率は反射回数の累乗で小さくなる。反射部Miでの反射率をRiとすると、反射効率は、R1×R2×‥×Riと表記することができる。図7は、本発明の実施の形態に係るX線反射鏡の反射効率の反射回数依存性の一例を示すグラフである。本発明の場合、入射角度が変わっていくため、各反射部での反射率を一定とすることは難しいが、本計算では反射率は一定とした。例えば、反射率0.95と仮定すると、10回反射させた場合には6割程度まで反射効率は低下する。
本発明では角度Ωである発散角のX線を複数回反射させている。その本質的な理解は、集光点側からみた場合、光源の位置が光軸上の点から光軸に垂直な面内において、原点から遠ざかる方向に見かけ上移動させていることにあり、移動後の点から集光点に向けて光を発光しているのと等しい。
図8は、本発明の実施の形態に係るX線集光装置全体での集光効率の一例を示すグラフである。図8は発散光全体を5つの反射部で反射して集光した場合の一例であり、横軸は、各反射部番号で、1番(主光軸に近い)から各反射部番号までの集光効率を縦軸に示す。1回あたりの反射率は90%である。この結果、1番から5番全ての反射部での集光効率は約85%であり、高集光効率を実現することができる。
図9は、本発明の実施の形態に係る凸面状集光装置の概略図である。上述した図3〜6と異なり反射鏡の外面を使用することにより、円錐状の光線を形成するとともに、集光装置を作製する際に、加工装置の移動空間が取れる構成であり、集光装置の製造を容易にすることが出来る。
また、最終反射部をいくつか設定し、それぞれに対して異なる集光点を設計することや、反射鏡の組み合わせを光軸方向に見て多角形に配置することにより、マルチスポットの収束形状や、環形状や矩形形状に代表されるような特殊な集光形状を形成することが可能になり、実験室での分析技術の向上が期待できる。
さらに、前記反射部の基板として、高精度に研磨されたガラス基板、シリコン基板、結晶基板、金属基板であって、X線の波長に応じて選択された全反射の臨界角の大きい単元素もしくは化合物からなる薄膜がコーティングされている基板や、高精度に研磨されたガラス基板等の上に、X線光源の波長に応じて選択された単元素もしくは化合物からなる複数種類の薄膜を交互に積層した薄膜がコーティングされている人工フラッグ素子を用いた基板を反射部に用いることもできる。
また、X線集光装置に、利用するX線の波長に応じて選択された単元素もしくは化合物の固体、液体もしくは気体に粒子もしくは電磁波を照射することによりX線を発生させるX線光源装置をさらに備えることもできる。
本集光装置は縮小光学系ではなく光源が完全な点源であったとしても集光点では有限の大きさを有することになるが、集光点もしくは集光点と集光装置の間にビームサイズダウンを目的としたピンホール、スリット、フレネルゾーンプレート、積層型フレネルゾーンプレート、反射型フレネルゾーンプレート等の光学素子を入れることにより、発散型X線源を用いた光学系においても、高強度のマイクロビームを形成することが可能となる。
以上のように、本発明の実施形態によれば、発散X線源に用いる集光効率の高いX線集光装置を得ることができる。
本発明は、本発明の主旨は発散X線源からの光をより効率良く集めるためのものであり、実験室系におけるX線管球やプラズマ光源などの発散X線源を用いたX線分析装置、X線加工装置、X線診断装置において、利用することができる。
10…発散X線源、光軸の原点、20…集光点、30…主光軸、40…発散X線源から発されるX線の発散角、50−1〜50−n…発散X線源を構成するサブ光軸X線の光路、60−1〜60−n…反射部、70…最終反射部。

Claims (7)

  1. 発散X線光源からの発散X線が照射される領域に設置され、反射面が少なくとも3以上の反射部の集合体であり、前記反射部の断面が数学的に不連続であるX線反射鏡を備え、
    前記発散X線の全部又は一部を、前記発散X線源から前記発散X線の集光点に向かう主光軸とのなす角度をθiとするn個のサブ光軸Si(i=1〜n)に分割し、前記サブ光軸Siを中心とするぞれぞれの発散角ΔθiのX線を前記X線反射鏡で反射する場合において、
    前記X線反射鏡の前記反射部の一つであって、前記主光軸とのなす角度θjのサブ光軸Sjから、斜入射角度αjで入射する前記発散X線を反射する反射部Mj(j=1〜n−1)は、反射部Mjで反射された前記発散X線が別の反射部Mk(k=j+1〜n)に入射する際の方向ベクトルの向きと、前記主光軸とのなす角度θkのサブ光軸Skから前記反射部Mkに入射する発散X線の方向ベクトルの向きが等しくなるような角度で配置され、
    前記発散X線が前記反射部Mjで反射された後に、又は前記反射部Mjと反射部Mn間の少なくとも一つの反射部Mkでさらに反射された後に、反射部Mnに入射するように前記反射部を配置する
    X線集光装置。
  2. 前記サブ光軸に垂直かつ前記サブ光軸上に起点を持つすべてのベクトルと前記X線反射鏡の交点の数は1であり、前記反射部Mjの形状は、前記主光軸に対し、前記角度θj−αjで傾いている平面、もしくはその平面を接平面とする凹球面又は非球面であること
    を特徴とする請求項1記載のX線集光装置。
  3. 前記X線反射鏡又は前記発散X線を最後に反射する反射部を複数個設置するか、あるいは前記反射部を複数個組み合わせて配置し、光軸方向に多角形状を構成することにより、マルチスポットの収束形状、環形状、矩形形状を含む集光形状を形成すること
    を特徴とする前記請求項1又は請求項2に記載のX線集光装置。
  4. 前記反射部の基板として、研磨されたガラス基板、シリコン基板、結晶基板、金属基板であって、前記発散X線の波長に応じて選択された全反射の臨界角の大きい単元素もしくは化合物からなる薄膜がコーティングされている基板を用いること
    を特徴とする前記請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のX線集光装置。
  5. 前記反射部の基板として、研磨されたガラス基板、シリコン基板、結晶基板上に、前記発散X線の波長に応じて選択された単元素もしくは化合物からなる複数種類の薄膜を交互に積層した薄膜がコーティングされている人工フラッグ素子を用いること
    を特徴とする前記請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のX線集光装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載のX線集光装置に、利用する前記発散X線の波長に応じて選択された単元素もしくは化合物の固体、液体もしくは気体に粒子もしくは電磁波を照射することによりX線を発生させるX線光源装置をさらに備えたこと
    を特徴とするX線装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載のX線集光装置に、前記X線反射鏡と前記集光点の間、もしくは、前記集光点にピンホール、スリット、フレネルゾーンプレート、積層型フレネルゾーンプレート、反射型フレネルゾーンプレートの光学素子のいずれかをさらに備えたこと
    を特徴とするX線装置。
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