JP6115701B2 - 耐水化金属顔料分散液および水性インク組成物 - Google Patents

耐水化金属顔料分散液および水性インク組成物 Download PDF

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本発明は、耐水化金属顔料分散液および水性インク組成物に関する。
従来、印刷物上に金属光沢を有する塗膜を形成する手法として、真鍮、アルミニウム微粒子等から作製された金属粉を顔料に用いた印刷インキや金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写方式等が用いられてきた。
近年、印刷におけるインクジェットへの応用例が数多く見受けられ、その中の一つの応用例としてメタリック印刷があり、金属光沢を有する画像を形成することができるインクの開発が進められている。例えば、特許文献1には、アルキレングリコール等の有機溶媒をベースとしたアルミニウム顔料分散液およびそれを含有する非水系インク組成物が開示されている。
その一方で、地球環境面及び人体への安全面等の観点から、有機溶媒をベースとした非水系インク組成物よりも水を溶媒として含有するインク組成物の開発が望まれているという実態がある。しかしながら、金属顔料を水中に分散させると、金属顔料の表面が水との反応により変質したり、消耗したりして、金属光沢を損なうことがあった。
このような課題を解決するために、例えば特許文献2には、アルミニウム顔料の表面をシリカ膜で被覆した耐水化アルミニウム顔料を界面活性剤水溶液中に分散させて得られる耐水化アルミニウム顔料分散液が開示されている。特に、特許文献2には、耐水化アルミニウム顔料がXPS(X線光電子分光法)に基づく特定のパラメーター(被覆率)を満たすことで、優れた耐水性を備え、水中に分散させても白色化しないことが記載されている。
特開2008−174712号公報 特開2011−132483号公報
しかしながら、上述の特許文献2に開示されているような耐水化アルミニウム顔料は、XPSに基づく特定のパラメーターを満たしていても、水との接触による腐食(例えば、酸化に伴う白色化)を十分に抑制できず、貯蔵安定性に優れない場合があった。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、水を含む塗料やインクに配合されたときの腐食を抑制でき、優れた水分散性および金属光沢性を有すると共に、特に貯蔵安定性に優れた耐水化金属顔料分散液およびこれを含有するインク組成物を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る耐水化金属顔料分散液の一態様は、
金属顔料の表面を無機酸化物を含む膜で被覆した耐水化金属顔料を、水系媒体中に分散させた耐水化金属顔料分散液であって、
前記金属顔料は、1nm以上100nm未満の平均厚みを有し、かつ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径を有し、
前記金属顔料を構成する顔料粒子の形状は、平板状であり、
透過型電子顕微鏡によって、前記無機酸化物を構成する元素について前記耐水化金属顔料のマッピング像を得た場合において、
前記マッピング像により観察されるピンホールの数が、前記顔料粒子1つあたり、1以下であり、
pHが5.0以上8.5以下である。
適用例1の耐水化金属顔料分散液は、水を含む塗料やインクに配合されたときの腐食を抑制でき、優れた水分散性および金属光沢性を有すると共に、特に貯蔵安定性に優れる。
[適用例2]
適用例1において、
前記無機酸化物を含む膜の平均厚みは、3nm以上20nm以下であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記金属顔料は、アルミニウム顔料であってもよく、
前記無機酸化物は、酸化ケイ素であってもよい。
[適用例4]
適用例3において、
走査型電子顕微鏡を用いて前記耐水化金属顔料に電子線を照射し、エネルギー分散型X線分光法を用いて、AlおよびOの原子数濃度を算出して、Alの原子数濃度(M1Al)とOの原子数濃度(M1)との比(M1/M1Al)をR1とした場合に、
前記R1が1.2以下であることができる。
[適用例5]
適用例4において、
前記耐水化金属顔料を温度70℃で6日間加熱した後、走査型電子顕微鏡を用いて加熱後の前記耐水化金属顔料に電子線を照射し、エネルギー分散型X線分光法を用いて、AlおよびOの原子数濃度を算出して、Alの原子数濃度(M2Al)とOの原子数濃度(M2)との比(M2/M2Al)をR2とした場合に、
前記R1と前記R2との比(R2/R1)が3.0以下であることができる。
[適用例6]
適用例5において、
前記R1と前記R2との差(R2−R1)は、1.5以下であることができる。
[適用例7]
適用例3ないし適用例6のいずれか1例において、
走査型電子顕微鏡を用いて前記耐水化金属顔料に電子線を照射し、エネルギー分散型X線分光法を用いて、AlおよびSiの原子数濃度を算出して、Alの原子数濃度(M3Al)とSiの原子数濃度(M3Si)との比(M3Si/M3Al)をR3とした場合に、
R3が、0.1超0.5以下であることができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか1例において、
前記無機酸化物を含む膜は、テトラエトキシシランを用いて形成されてもよい。
[適用例9]
本発明に係る水性インク組成物の一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか1例に記載の耐水化金属顔料分散液を含む。
適用例9に記載の水性インクは、上記の耐水化金属顔料分散液を含有するので、優れた水分散性および金属光沢性を有すると共に、特に貯蔵安定性に優れる。
実施例1に係る耐水化アルミニウム顔料のSiに基づいて得られたマッピング像。 実施例2に係る耐水化アルミニウム顔料のSiに基づいて得られたマッピング像。 比較例2に係る耐水化アルミニウム顔料のSiに基づいて得られたマッピング像。 比較例3に係る耐水化アルミニウム顔料のSiまたはOに基づいて得られたマッピング像。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお、以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下、耐水化金属顔料分散液、耐水化金属顔料分散液の製造方法、水性インク組成物の順に説明する。
1.耐水化金属顔料分散液
本発明の一実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、金属顔料の表面を無機酸化物を含む膜で被覆した耐水化金属顔料を、水系媒体中に分散させた耐水化金属顔料分散液であって、前記金属顔料は、1nm以上100nm未満の平均厚みを有し、かつ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径を有し、前記金属顔料を構成する顔料粒子の形状は、平板状であり、透過型電子顕微鏡によって、前記無機酸化物を構成する元素について前記耐水化金属顔料のマッピング像を得た場合において、前記マッピング像により観察されるピンホールの数が、前記顔料粒子1つあたり、1以下であり、pHが5.0以上8.5以下であることを特徴とする。
1.1.成分
以下、本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液に含まれる成分について、詳細に説明する。
1.1.1.耐水化金属顔料
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液に含まれる耐水化金属顔料は、金属顔料の表面を無機酸化物を含む膜(以下「被覆膜」ともいう。)で被覆したものである。
本発明において、顔料とは、複数の顔料粒子から構成される顔料粒子の集合体のことを
いう。
金属顔料を構成する顔料粒子は、その形状が平板状である。金属顔料を構成する顔料粒子が平板状であると、良好な金属光沢性が得られやすい点で好ましい。
金属顔料は、粒子像分析装置により得られる顔料粒子の投影画像の面積から求めた円相当径の50%平均粒子径R50(以下、単に「R50」ともいう。)が、0.5μm以上3μm以下であり、1nm以上100nm未満の厚み(Z)を有する。金属顔料のR50および厚み(Z)が上記範囲内にあることで、金属光沢性および印字安定性が良好となる。
「円相当径」とは、粒子像分析装置を用いて得られる該顔料粒子の投影画像の面積と同じ面積を持つ円と想定したときの当該円の直径である。例えば、顔料粒子の投影画像が多角形である場合、その投影画像を円に変換して得られた当該円の直径を、その顔料粒子の円相当径という。
本実施形態に係る金属顔料のR50の好ましい態様としては、0.5μm以上1.5μm以下である。R50が上記範囲内にあることで、記録安定性がより一層良好となる場合がある。
金属顔料を構成する顔料粒子の投影画像の面積、円相当径は、粒子像分析装置を用いて測定することができる。粒子像分析装置としては、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA−3000S(以上、シスメックス株式会社製)等が挙げられる。なお、円相当径の平均粒子径は、個数基準の粒子径である。
また、金属顔料を構成する顔料粒子の粒度分布(CV値)は、下記式(1)より求めることができる。
CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100 ・・・(1)
ここで、得られるCV値は、好ましくは60以下であり、より好ましくは50以下であり、特に好ましくは40以下である。CV値が60以下の金属顔料を選択することで、記録安定性に優れるという効果が得られる。
また、金属顔料を構成する顔料粒子の投影画像の面積より求めた円相当径の最大粒子径は、3μm以下であることが好ましい。最大粒子径が3μm以下の金属顔料を用いると、インクジェット記録装置に用いた際に、ノズル開口部やインク流路における目詰を効果的に抑制できる。
本実施形態に係る金属顔料の厚み(Z)の好ましい態様としては、10nm以上50nm以下であり、より好ましくは10nm以上30nm以下である。厚み(Z)が上記範囲内にあることで、金属顔料の表面に無機酸化物を含む被覆膜を形成しても、金属光沢性が損なわれずに良好となる傾向がある。
厚み(Z)は、例えば電子顕微鏡を用いて、顔料粒子の断面を観察することにより測定できる。電子顕微鏡には、透過型電子顕微鏡(TEM、JEOL JEM-2000EX)、電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM、Hitachi S-4700)、走査透過電子顕微鏡(STEM、日立ハイテクノロジー株式会社製「HD−2000」)などを用いることができる。なお、厚み(Z)とは、平均厚みを意味し、具体的には、金属顔料を構成する顔料粒子を10個選択して、それらを個々に測定した場合の厚みの算術平均値のことをいう。
被覆膜の厚みは、好ましくは3nm以上20nmであることが好ましく、より好ましくは3nm以上10nm以下であり、特に好ましくは1nm以上9nm以下である。被覆膜の厚みが上記範囲内、とりわけ前記下限値以上であると、金属顔料の耐水性が良好となり、前記下限値以下であれば、金属光沢性の低下を抑制しつつ耐水性を良好とすることができる。
なお、被覆膜の厚みは、金属顔料の厚み方向において、金属顔料の一方の表面に形成された被覆膜の厚みを指す。また、被覆膜の厚みは、電子顕微鏡(例えば、TEM、STEM、SEM、FE−SEM)を用いて、耐水化金属顔料の断面を観察することにより測定できる。
金属顔料としては、媒体に付着されたときに金属光沢性を呈しうるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅からなる群より選択される1種または2種以上の合金が挙げられる。これらの中でも、金属光沢性を確保する観点及びコストの観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
また、無機酸化物を含む膜(被覆膜)を形成するための材料としては、例えば、構造中にケイ素原子を有するアルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン)、ポリシラザン等が挙げられる。これらの中でも、金属顔料の表面に均一かつ平坦な膜を形成できるという点から、アルコキシシランを用いることが好ましい。特に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム顔料を用いる場合には、アルミニウム顔料との密着性に優れたシリカ膜が形成できるという点から、テトラエトキシシランを用いることがさらに好ましい。
耐水化金属顔料分散液中の耐水化金属顔料の濃度は、耐水化金属顔料分散液の取り扱いが容易になるように適宜設定されればよく、特に限定されるものではない。
1.1.2.水系媒体
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、水系媒体を含有する。
水系媒体は、水を主成分とする媒体であればよい。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
水系媒体の含有量は、例えば、耐水化金属顔料分散液の全質量に対して、好ましくは1%以上99%以下、より好ましくは10%以上70%以下、より一層好ましくは20%以上60%以下であることができる。水系媒体の含有量が上記範囲内、とりわけ20%以上であると、環境負荷の低減という点や、取り扱いが容易な範囲の粘度に設定できるという点から好ましい。また、水系媒体の含有量が上記範囲内、とりわけ60%以下であることで、耐水化金属顔料と水との反応によるガスの発生や、耐水化金属顔料の腐食等を低減できる場合がある。
1.1.3.その他の成分
<有機溶媒>
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、有機溶媒を含有してもよい。
有機溶媒としては、水系媒体との相溶性の観点から、極性有機溶媒であることが好まし
い。極性有機溶媒としては、例えばアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等)、グリコールエーテル系溶媒(トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジエーテル等)等が挙げられる。
これらの中でも、金属顔料としてアルミニウム顔料を用いる場合には、アルミニウム顔料の分散安定性に優れるという観点から、多価アルコール類およびグリコールエーテル類の少なくとも1種を用いることが好ましい。
有機溶媒を含有する場合には、その含有量は、耐水化金属顔料分散液の全質量に対して、好ましくは1質量%以上99質量%以下、より好ましくは30質量%以上90質量%以下、より一層好ましくは40質量%以上80質量%以下である。有機溶媒の含有量が上記範囲内、とりわけ40質量%以上であると、耐水化金属顔料と水との反応によるガスの発生や、耐水化金属顔料の腐食等を低減できる場合がある。また、有機溶媒の含有量が上記範囲内、とりわけ80質量%以下であると、環境負荷の低減等の観点から好ましい。
<塩基性触媒>
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、塩基性触媒を含有してもよい。塩基性触媒は、金属顔料(例えば、アルミニウム顔料)と無機酸化物を含む膜を形成するための材料(例えば、TEOS)との反応時に添加することができる。
塩基性触媒としては、例えばアンモニア、トリアルキルアミン、エタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素、コリン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
<界面活性剤>
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を添加することで、耐水化金属顔料の分散性を向上できる場合がある。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等、公知の界面活性剤のいずれも用いることができる。
<第三級アミン>
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、第三級アミンを含有してもよい。第三級アミンは、立体障害効果やpH調製作用により、耐水化金属顔料の分散性を向上できる場合がある。
第三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N,N−ジエチル−2−アミノエタノール等のヒドロキシルアミンが挙げられる。これらの中でも、水分散性を一層向上できる点でトリエタノールアミン、トリプロパノールアミンが好ましく、水分散
性に加えて貯蔵安定性を向上できる点でトリエタノールアミンがより好ましい。
<緩衝液>
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、緩衝液を含有してもよい。緩衝液を含有することで、分散液のpHの振れ幅が小さくなり、pHを所望の範囲に保つことができる。これにより、金属顔料と水系媒体との反応に伴うガスの発生や、耐水化金属顔料の溶出等、分散液のpHに起因して生じる不具合を抑制できる場合がある。
緩衝液としては、耐水化金属顔料分散液のpHが5.0以上8.5以下の範囲に保つことができるものであれば、従来公知の緩衝液をいずれも使用することができ、例えば4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、トリス緩衝液などが挙げられる。
1.2.耐水化金属顔料分散液の性質
次に、本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液の性質を詳細に説明する。
1.2.1.ピンホール数が1以下であること
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液に含まれる耐水化金属顔料は、特定条件下で観察されるピンホールの数が、耐水化金属顔料を構成する顔料粒子1つあたり、1以下(好ましくは0)である。ピンホールが1以下であると、耐水化金属顔料分散液が水を含む塗料やインクに配合されたときの腐食を抑制でき、優れた水分散性および金属光沢性を有すると共に、特に貯蔵安定性に優れる。なお、本発明は、耐水化金属顔料分散液中の全ての顔料粒子がピンホール数1以下である場合に限定されるものではない。
本発明における「ピンホール」とは、0.10nm以上の線分解能の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、無機酸化物を構成する元素について耐水化金属顔料のマッピング像を得た場合において、耐水化金属顔料に相当する画像内で画像が形成されていない部分であって、かつ、画像が形成されていない部分の直径が0.05μm以上であるものをいう。ここで、耐水化金属顔料に相当する画像内とは、耐水化金属顔料の平面垂直方向からマッピングを行った場合に、測定対象とする元素(無機酸化物を構成する元素)が存在する最も外側を結んだ領域である。耐水化金属顔料に相当する画像には、金属顔料を含み無機酸化物の存在しない領域、金属顔料を含まず無機酸化物の存在する領域、のいずれも含まれる。
なお、ピンホールの直径は、マッピング像から観察されるピンホールの面積に基づいて求められる円相当径のことをいう。
ピンホールの測定に用いる透過型電子顕微鏡としては、エネルギーフィルターを備えた透過型電子顕微鏡(以下「EF−TEM」ともいう)や、走査透過型電子顕微鏡(以下「STEM」ともいう)を用いることができる。この中でも、EF−TEMは、STEMと比べて、鮮明なマッピング像を得られる点で好ましく用いることができる。EF−TEMとしては、例えば「Tecnai G2 F30」(商品名、FEI社製)等を用いることができる。
ここで、上記の耐水化金属顔料分散液の性能とピンホールの関係は、次のようにして検証されたものである。
特開2011−132483号公報には、XPS(X線電子分光法)に基づく特定のパラメーターを満たすことで、優れた耐水性を備え、水中に分散させても白色化しないことが記載されている。
しかしながら、特開2011−132483号公報に記載の耐水化アルミニウム顔料分散液は、XPSに基づく特定のパラメーターを満たしていても、耐水性が十分といえず、貯蔵安定性が不十分であった。この理由としては、XPS測定は、試料の表面近傍の分析には優れているものの、X線の照射を利用することから、位置の分解能(空間分解能)が不足するため、ピンホール等の構造を十分に検出できなかったことが一因と考えられる。
そこで、発明者は、XPSよりも高分解能な分析ができる手段として、TEM(透過型電子顕微鏡)を選択し、特開2011−132483号公報に記載の耐水化アルミニウム顔料分散液が上記の耐水性や貯蔵安定性(長期保存安定性)に優れていない理由を検証した。
TEMは、顔料粒子の厚み方向に電子線を照射して、顔料粒子を透過した電子線を磁界レンズを用いてスクリーン上に結像させることができ、高分解能な観察や元素分析が可能である。特に、エネルギーフィルターを備えたTEM(以下「EF−TEM」ともいう。)は、試料を透過した電子を分光して、特定のエネルギーを持つ電子を選んでマッピング像を結像することができることから、高分解能(nmオーダー)での元素組成の解析や、鮮明なマッピング像を得ることができる。
具体的には、特開2011−132483号公報に記載の耐水化アルミニウム顔料を構成する顔料粒子を個々に取り出して、これを試料とし、EF−TEMにより試料中のケイ素によるエネルギーロスに基づいてマッピング像を観察した。これにより、発明者は、上述したピンホールが存在することを見出した。
このように、被覆膜にピンホールが生じると、ピンホールを中心に顔料粒子の表面の腐食が進行して、耐水化金属顔料分散液の金属光沢性が低下したり、貯蔵安定性が低下してしまう。
特に、上記の特定条件下で観察される耐水化金属顔料のピンホールの数が、耐水化金属顔料を構成する顔料粒子1つあたり、2以上であると、耐水化アルミニウム顔料分散液の貯蔵安定性が著しく低下する傾向にあることがわかった。
以上のようにして、上記の耐水化金属顔料分散液の耐水性や貯蔵安定性等の性能が、ピンホールと密接に関連していることを明らかにした。
なお、詳細な理由は明らかになっていないが、ピンホールが顔料粒子の端部に存在する場合には、ピンホールを中心とした顔料粒子の腐食が進みにくく、ピンホールが顔料粒子の中央領域に存在する場合には、ピンホールを中心とした顔料粒子の腐食が進みやすい傾向にあることがわかった。このような理由から、本発明におけるピンホールは、顔料粒子の端部に存在するものを含まないこととする。
1.2.2.耐水化金属顔料分散液のpH
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、pHが5.0以上8.5以下である。耐水化金属顔料分散液のpHが上記範囲内にあると、耐水化金属顔料と水系媒体との反応を抑
制できたり、被覆膜や金属顔料の溶出を抑制することができる。これにより、耐水化金属顔料分散液の耐水性を向上でき、貯蔵安定性を優れたものにできる。
特に、金属顔料がアルミニウムからなる場合、耐水化金属顔料分散液のpHが酸性やアルカリ性にふれすぎると(pHが5.0以上8.5以下の範囲にない場合)、アルミニウムが溶出して、水素ガスの発生や、耐水性の低下等を生じさせる場合がある。
また、被覆膜がシリカからなる場合、耐水化金属顔料分散液のpHが酸性にふれすぎると(pHが5.0未満になると)、シリカが溶出して、耐水性を低下させたりする場合がある。
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液のpHの好ましい態様としては、pHが6.0以上8.5以下であり、特に好ましくはpHが7.0以上8.5以下である。
1.2.3.SEM−EDXにより得られるパラメーター
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、アルミニウム顔料をシリカ(酸化ケイ素)で被覆した耐水化アルミニウム顔料を上記の水系媒体に分散した、耐水化アルミニウム顔料分散液であることが好ましい。
本実施形態に係る耐水化アルミニウム顔料分散液は、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」ともいう。)を用いたエネルギー分散型X線分光法(以下「EDX」ともいう。)によって、その性質を特定することができる。
具体的には、SEMを用いて耐水化金属顔料に電子線を照射して、放出されるX線をEDXで検出し、EDXで検出したX線スペクトルに基づいて、耐水化アルミニウム顔料を構成する元素(Al、O、Si等)の原子数濃度を算出することができる。なお、原子数濃度の算出にあたって、ピーク分離法には、例えばオーバーラップファクタ法を用いることができ、定量補正法には、例えばスタンダードレスZAF法を用いることができる。
このようにして得られた各元素の原子数濃度を基に、Alの原子数濃度(M1Al)とOの原子数濃度(M1)との比(M1/M1Al)をR1とした場合に、前記R1が1.2以下であることが好ましく、0.1以上1.0以下であることがより好ましく、0.1以上0.7以下であることが特に好ましい。
上記R1が1.2以下であると、耐水化アルミニウム顔料が経時的に酸化することを抑制できるため、酸化による耐水化アルミニウム顔料の白色化が進みにくくなり、耐水化アルミニウム顔料分散液の金属光沢性が低下しにくくなる。また、上記R1が0.1以上であると、耐水化アルミニウム顔料分散液の耐水性が良好になる傾向にある。
また、耐水化アルミニウム顔料分散液を温度70℃で6日間加熱した後、加熱後のAlの原子数濃度(M2Al)とOの原子数濃度(M2)との比(M2/M2Al)をR2とした場合に、前記R1と前記R2との比(R2/R1)が3.0以下であることが好ましく、1.0以上2.5以下であることがより好ましく、1.0以上2.1以下であることが特に好ましい。
R1が0.7以下であって、かつ上記比(R2/R1)が3.0以下であると、耐水化アルミニウム顔料の経時的な酸化が一層抑制されるので、耐水化アルミニウム顔料分散液の金属光沢性が一層低下しにくくなる。
さらに、R1および比(R2/R1)が上記値を満たしつつ、R1とR2との差(R2
−R1)が1.5以下(好ましくは1.0以下)であると、耐水化アルミニウム顔料の経時的な酸化が著しく抑制されるので、耐水化アルミニウム顔料分散液の金属光沢性が一層低下しにくくなる。
R2は、0.1以上1.2以下であることが好ましく、0.1以上0.7以下であることがより好ましい。R2が上記範囲内にあると、貯蔵安定性および金属光沢性を良好なレベルに保つことができる。
また、各元素の原子数濃度を基に、Alの原子数濃度(M3Al)とSiの原子数濃度(M3Si)との比(M3Si/M3Al)をR3とした場合に、前記R3が0.1超0.5以下であることが好ましく、0.1以上0.4以下であることがより好ましく、0.1以上0.3以下であることが特に好ましい。
R3が上記範囲内、とりわけ0.1を超えると、アルミニウム顔料の表面がシリカ膜で良好に被覆されるので、耐水化アルミニウム顔料分散液の耐水性が良好となる。また、R3が上記範囲内、とりわけ0.5以下であると、アルミニウム顔料の金属光沢性を低下させない程度にシリカ膜が形成されるので、耐水化アルミニウム顔料分散液の金属光沢性を確保しつつ、耐水性が優れたものとなる。
特に、耐水化アルミニウム顔料分散液は、R1およびR3が上記範囲内にあることで、上述した効果の相乗作用により、金属光沢性に大変優れたものとなる。
なお、本明細書では、上記のSEMを用いたEDXにより得られる分析結果に基づいて算出されるR1,R2,R3,R2/R1,R2−R1を、「SEM−EDXにより得られるパラメーター」という場合がある。
走査型電子顕微鏡は、加速電子線の照射によって元素分析を行うことができるので、X線の照射によって試料の最表面の化学状態の分析を行うXPSを用いた組成分析に比べて、試料の厚み方向に対してより平均化して元素の存在比率を導き出すのに適している。すなわち、走査型電子顕微鏡を用いれば、XPSよりも耐水化アルミニウム顔料の厚み方向に平均化された元素の組成比を得ることができる。
走査型電子顕微鏡(以下「SEM」ともいう。)としては、例えば株式会社日立ハイテクノロジーズ製のFE−SEM S−4700が挙げられる。
なお、EDXによるX線の取り出し角度は、試料表面とEDXの検出器とがなす角のことをいい、10°以上45°以下に設定することが好ましい。これにより、試料から放出されるX線の検出効率を向上させることができ、より詳細な分析が可能となる。
また、SEMによる電子線の入射角度は、試料表面と入射する電子線とがなす角のことをいい、60°以上90°以下に設定することが好ましい。これにより、元素分析がより容易となる場合がある。
2.耐水化金属顔料分散液の製造方法
本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液は、例えば以下の製造方法により得ることができる。
以下、本実施形態に係る耐水化金属顔料分散液の製造方法の一例として、金属顔料にアルミニウム顔料を用い、無機酸化物を含む膜を形成する材料にテトラエトキシシランを用いた、耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法について詳細に説明する。なお、本実施
形態に係る耐水化金属顔料分散液の製造方法は、以下の例に限定されるものではない。
本実施形態に係る耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法は、有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させたアルミニウム顔料分散液を準備する工程(a)と、前記アルミニウム分散液中に、前記アルミニウム顔料1質量部に対してTEOS0.5質量部以上2.5質量部以下添加して、前記アルミニウム顔料およびTEOSを10日以上60日以下の期間内で反応させる工程(b)と、前記有機溶媒の少なくとも一部を除去する工程(c)と、水系媒体を添加する工程(d)と、を含む。
以下、各工程について詳細に説明する。
2.1.工程(a)
工程(a)は、有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させたアルミニウム顔料分散液を準備する工程である。
まず、シート状基材面に剥離用樹脂層と金属層とが、順次積層された構造からなる複合化顔料原体を用意する。
シート状基材としては、特に制限されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等の離型性フィルムが挙げられる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート又はその共重合体が好ましい。
シート状基材の厚さは、特に制限されないが、好ましくは10μm以上150μm以下である。10μm以上であれば、工程等で取扱い性に問題がなく、150μm以下であれば、柔軟性に富み、ロール化・剥離等に問題がない。
剥離用樹脂層は、金属層のアンダーコート層であり、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、アクリル酸重合体又は変性ナイロン樹脂が好ましい。
上記例示した樹脂の1種又は2種以上の混合物の溶液をシート状基材に塗布し乾燥させることにより、剥離用樹脂層を形成することができる。塗布後は、粘度調整剤等の添加剤を添加することもできる。
剥離用樹脂層の塗布は、一般的に用いられているグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート法等の公知の技術を用いることができる。塗布・乾燥後、必要であればカレンダー処理により表面の平滑化を行うことができる。
剥離用樹脂層の厚さは、特に制限されないが、好ましくは0.5μm以上50μm以下であり、より好ましくは1μm以上10μm以下である。0.5μm未満では分散樹脂としての量が不足し、50μmを超えるとロール化した場合、顔料層との界面で剥離しやすいものとなってしまう。
金属層を積層させる手段としては、真空蒸着、イオンプレーティング又はスパッタリング法を適用することが好ましい。
また、金属層は、特開2005−68250号公報に例示されるように、保護層で挟まれていてもよい。該保護層としては、酸化ケイ素層、保護用樹脂層が挙げられる。
酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に制限されるものではないが、ゾル−ゲル法によって、テトラアルコキシシラン等のシリコンアルコキシド又はその重合体から形成されることが好ましい。シリコンアルコキシド又はその重合体を溶解したアルコール溶液を塗布し、加熱焼成することにより、酸化ケイ素層の塗膜を形成することができる。
保護用樹脂層としては、分散媒に溶解しない樹脂であれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体等を挙げることができる。これらのうち、ポリビニルアルコール又はセルロース誘導体から形成されることが好ましい。上記例示した樹脂1種又は2種以上の混合物の水溶液を塗布し乾燥させると、保護用樹脂層を形成することができる。塗布液には、粘度調整剤等の添加剤をさらに添加することができる。酸化ケイ素及び樹脂の塗布は、剥離用樹脂層の塗布と同様の手法により行われる。
保護層の厚さは、特に制限されないが、50nm以上150nm以下の範囲が好ましい。50nm未満では機械的強度が不足であり、150nmを超えると強度が高くなりすぎるため粉砕・分散が困難となり、また金属層との界面で剥離してしまう場合がある。
また、米国特許7303619号公報に例示されるように、複合化顔料原体は保護層と金属層との間に色材層を有していてもよい。
色材層は、任意の着色複合顔料を得るために導入するものであり、本実施形態に使用するアルミニウム顔料の金属光沢、光輝性、背景隠蔽性に加え、任意の色調、色相を付与できる色材を含有できるものであれば特に制限されるものではない。この色材層に用いる色材としては、染料及び顔料のいずれでもよい。また、染料及び顔料としては、公知のものを適宜使用することができる。
かかる場合、色材層に用いられる「顔料」とは、一般的な工学の分野で定義される、天然顔料、合成有機顔料、合成無機顔料等を意味する。
色材層の形成方法としては、特に制限されないが、コーティングにより形成することが好ましい。また、色材層に用いられる色材が顔料の場合は、色材分散用樹脂をさらに含むことが好ましく、該色材分散用樹脂としては、顔料と色材分散用樹脂と必要に応じてその他の添加剤等を溶媒に分散または溶解させ、溶液としてスピンコートで均一な液膜を形成した後、乾燥させて樹脂薄膜として作製されることが好ましい。なお、複合化顔料原体の製造において、上記の色材層と保護層の形成がともにコーティングにより行われることが作業効率上好ましい。
複合化顔料原体としては、剥離用樹脂層と金属層との順次積層構造を複数有する層構成も可能である。その際、複数の金属層からなる積層構造の全体の厚み、すなわち、シート状基材とその直上の剥離用樹脂層を除いた、金属層−剥離用樹脂層−金属層又は剥離用樹脂層−金属層の厚みは5000nm以下であることが好ましい。5000nm以下であると、複合化顔料原体をロール状に丸めた場合でも、ひび割れ、剥離を生じ難く、保存性に優れる。また、顔料化した場合も金属光沢性に優れており好ましい。また、シート状基材面の両面に、剥離用樹脂層と金属層とが順次積層された構造も挙げられるが、これらに制限されるものではない。
次いで、複合化顔料原体を有機溶媒中で、複合化顔料原体のシート基材面と剥離用樹脂層との界面を境界として、複合化顔料原体から剥離し、それを粉砕または微細化処理することにより、粗大粒子を含む分散液が得られる。さらに、得られた分散液をろ過し粗大粒子を除去することで、平板状の顔料粒子から構成されるアルミニウム顔料を有機溶媒中に分散させた分散液を得ることができる。
有機溶媒は、上記「1.1.3.その他の成分」で挙げたものを用いることができる。
シート状基材からの剥離処理法としては、特に制限されないが、複合化顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法や、液体中に浸漬すると同時に超音波処理を行い剥離処理と剥離した複合化顔料の粉砕処理を行う方法が好ましい。
上記のようにして得られた平板状の顔料粒子から構成されるアルミニウム顔料は、剥離用樹脂層が保護コロイドの役割を有し、有機溶媒中での分散処理を行うだけで安定な分散液を得ることが可能である。
上記の工程により得られた分散液中のアルミニウム顔料を構成する顔料粒子は、その形状が平板状となる。アルミニウム顔料を構成する顔料粒子が平板状であると、特に良好な金属光沢性が得られやすい点で好ましい。
ここで、「平板状の顔料粒子」とは、顔料粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。また、平板状とは、例えば、鱗状、リーフ状、平板状等の形状を包含する概念である。
上記の工程により得られたアルミニウム顔料は、R50が0.5μm以上3μm以下であり、1nm以上100nm未満の厚み(Z)を有する。アルミニウム顔料のR50および厚み(Z)が上記範囲内にあることで、金属光沢性および印字安定性が良好となる。
なお、上記の工程により得られたアルミニウム顔料分散液に含まれるアルミニウム顔料を洗浄する工程を別途設けてもよい。アルミニウム顔料の洗浄には、前述した有機溶媒を用いることができる。
上記の工程により得られたアルミニウム顔料分散液には、前述の剥離用樹脂層が含まれていたり、剥離用樹脂層がアルミニウム顔料に付着している場合がある。剥離用樹脂層に含まれる成分は、後述するTEOSとアルミニウム顔料との反応を阻害する場合がある。そのため、アルミニウム顔料を洗浄することによって、剥離用樹脂層の成分を除去して、後述するTEOSとアルミニウム顔料との反応性を向上させることができる。
アルミニウム顔料の洗浄方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により行うことができる。
まず、上記のアルミニウム顔料分散液から有機溶媒の少なくとも一部を除去する。有機溶媒の除去は、ろ過、遠心沈降又は遠心分離等の操作により、有機溶媒とアルミニウム顔料とを分離してアルミニウム顔料分散液に含まれる有機溶媒を除去する。
次に、アルミニウム顔料に洗浄用の有機溶媒を加えて、有機溶媒中にアルミニウム顔料を分散させた後、洗浄用の有機溶媒を除去する。なお、アルミニウム顔料を洗浄用の有機溶媒に分散させて洗浄用の有機溶媒を除去する操作は、複数回行ってもよい。
その後、アルミニウム顔料に前述した有機溶媒を加えて分散させることによって、洗浄されたアルミニウム顔料を含有するアルミニウム顔料分散液を得ることができる。
2.2.工程(b)
工程(b)は、前記アルミニウム分散液中に、前記アルミニウム顔料1質量部に対してTEOS0.5質量部以上2.5質量部以下添加して、前記アルミニウム顔料およびTEOSを10日以上60日以下の期間内で反応させる工程である。TEOSを添加して十分に攪拌することにより、アルミニウム顔料の表面に存在する水酸基とTEOSのシラノール基とが加水分解縮合して、アルミニウム顔料の表面にシリカ膜が形成される。アルミニウム顔料の表面にシリカ膜が形成されることで、アルミニウム顔料と水とが直接接触することを防止できるため、アルミニウム顔料に耐水性を付与することができる。なお、本明細書において、表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料を、「耐水化アルミニウム顔料」ともいう。
加水分解縮合における反応温度は、好ましくは10℃以上150℃以下、より好ましくは20℃以上130℃以下である。反応温度が前記範囲、とりわけ前記下限値以上であると加水分解縮合の反応速度が遅くなり過ぎず良好なものとなり、前記上限値以下であれば安全上の問題がなく容易に反応させることができる。
ここで、耐水化金属顔料のピンホールの数を1以下にするための一つの方法としては、例えば、金属顔料と無機酸化物を含む膜を形成するための材料の添加割合および反応時間をコントロールすることが挙げられる。
例えば、耐水化金属顔料の一例として耐水化アルミニウム顔料を用いた場合には、アルミニウム顔料1質量部に対して、TEOSを0.5質量部以上2.5質量部以下添加し、かつ、加水分解縮合における反応時間を10日以上60日以下とすることで、ピンホールの数を1以下にすることができる。
ピンホールを減少するという点において、TEOSの添加量のより好ましい態様としては、0.8質量部以上2.0質量部以下であり、特に好ましくは0.8質量部以上1.6質量部以下である。
ピンホールを減少するという点において、加水分縮合における反応時間のより好ましい態様としては、12日以上45日以下であり、特に好ましくは14日以上30日以下である。
また、上述したSEM−EDXにより得られるパラメーターを満足するための一つの方法としては、例えば、アルミニウム顔料とTEOSの添加割合および反応時間をコントロールすることが挙げられる。
例えば、アルミニウム顔料1質量部に対して、TEOSを0.4質量部以上1.6質量部以下添加し、かつ、加水分解縮合における反応時間を1日以上30日以下とすることで、上述したSEM−EDXにより得られるパラメーターのうち、少なくとも1つを満たすことができる。
SEM−EDXにより得られるパラメーターを満たすという点において、TEOSの添加量のより好ましい態様としては、0.6質量部以上1.6質量部以下であり、特に好ましくは0.8質量部以上1.6質量部以下である。
SEM−EDXにより得られるパラメーターを満たすという点において、加水分縮合における反応時間のより好ましい態様としては、7日以上30日以下であり、14日以上30日以下であることが特に好ましい。
耐水化アルミニウム顔料分散液は、ピンホール数を1以下にできる条件を満たしつつ、SEM−EDXにより得られるパラメーターを満足する条件を設定することにより、貯蔵安定性に優れつつ、金属光沢性が非常に優れたものとなる。両条件を満たすためには、TEOSを0.5質量部以上1.6質量部以下(好ましくは0.8質量部以上1.6質量部以下)添加し、かつ、加水分解縮合における反応時間を10日以上30日以下(好ましく14日以上30日以下)とすればよい。
なお、工程(b)では、TEOSの添加後、さらに塩基性触媒を添加して加水分解縮合を促進させてもよい。塩基性触媒としては、上記「1.1.3.その他の成分」で挙げたものを用いることができる。その中でも、アンモニアが特に好ましい。
塩基性触媒の添加量は、アルミニウム顔料10質量部に対して、好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.1質量部以下である。塩基性触媒の添加量が上記範囲を超えると、アルミニウム顔料分散液の粘度が上昇したり、アルミニウム顔料分散液中のアルミニウム顔料が凝集し、金属光沢を維持できなくなる場合がある。
2.3.工程(c)
工程(c)は、前記有機溶媒の少なくとも一部を除去する工程である。
有機溶媒の少なくとも一部を除去する手段としては、特に限定されるものではないが、例えばろ過、遠心沈降、遠心分離等の操作により行うことができる。具体的には、前記操作によって、工程(b)で得られた耐水化アルミニウム顔料と、これ以外の成分(主に有機溶媒)とを分離することにより、有機溶媒の少なくとも一部を除去することができる。
2.4.工程(d)
工程(d)は、水系媒体を添加する工程である。これにより、耐水化アルミニウム顔料を水系媒体中に分散させた耐水化アルミニウム顔料分散液が得られる。
また、工程(d)では、上記「1.1.3.その他の成分」で挙げた界面活性剤、第三級アミン、緩衝液等を添加してもよい。これらの成分は、水系媒体に予め溶解したものを添加してもよいし、水系媒体の添加前後に個別に添加してもよい。
2.5.その他の工程
本実施形態に係る耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法は、上記工程(d)の後に、エージングする工程を含んでいてもよい。
エージングとは、得られた耐水化アルミニウム顔料分散液を、1日以上14日以下の期間、30℃以上80℃以下の温度で加熱することをいう。
耐水化アルミニウム顔料分散液をエージングすると、耐水化アルミニウム顔料の表面におけるシリカ膜の形成されていない部分が酸化する。これにより、耐水化アルミニウム顔料分散液の金属光沢性が僅かに低下する場合があるが、酸化した部分が保護膜となって、耐水化アルミニウム顔料分散液の経時的な耐水性の低下を抑制できる場合がある。これにより、耐水化アルミニウム顔料分散液の貯蔵安定性が向上することがある。
エージングの期間は、2日以上12日以下であることが好ましく、3日以上7日以下で
あることがより好ましい。
また、エージングの温度としては、35℃以上75℃以下であることが好ましく、40℃以上70℃以下であることがより好ましい。
以上のような工程を経て得られた耐水化アルミニウム顔料分散液は、これに含まれる耐水化アルミニウム顔料のピンホールが1以下であるので、水を含む塗料やインクに配合されたときの腐食を抑制でき、優れた水分散性および金属光沢性を有すると共に、特に貯蔵安定性に優れる。
3.水性インク組成物
本実施形態に係る水性インク組成物は、前述の耐水化金属顔料を含有することを特徴とする。
本実施形態に係る水性インク組成物は、優れた水分散性および金属光沢性を有すると共に、特に貯蔵安定性に優れた耐水化金属顔料分散液を含有する。そのため、本実施形態に係る水性インク組成物は、耐水化金属顔料分散液と同様に、水分散性、金属光沢性および貯蔵安定性に優れるという性質を有するものとなる。
また、本実施形態に係る水性インク組成物は、水分散性に優れた耐水化金属顔料を含有するので、インクジェットプリンターに適用した場合においても耐水化アルミニウム顔料同士が凝集することによるノズルの目詰まりが抑制される。これにより、インクの吐出安定性が良好となる。
本願発明において「水性インク組成物」とは、溶媒として水を20質量%以上、好ましくは40質量%以上含有するインク組成物のことをいう。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
水性インク組成物中の耐水化金属顔料の濃度は、水性インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.1〜5.0質量%、さらに好ましくは0.1〜3.0質量%、より好ましくは0.25〜2.5質量%、特に好ましくは0.5〜2.0質量%である。
本実施形態に係る水性インク組成物は、第三級アミン、樹脂類、界面活性剤、アルカンジオール、多価アルコール、ピロリドン誘導体等、pH調整剤、緩衝液等を添加することができる。
第三級アミンは、耐水化金属顔料の水分散性及び貯蔵安定性を向上するという機能を備える。第三級アミンには、上記「1.1.3.その他の成分」で挙げたものと同様のものを用いることができる。
樹脂類は、耐水化アルミニウム顔料を記録媒体上に強固に定着させる機能を有する。樹脂類としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、天然樹脂等が挙げられる。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤又はポリシロキサン系界面活性剤を含有することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及びポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体等の被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学工業株式会社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air
Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK−347、BYK−348(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。さらに、水性インク組成物には、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのその他の界面活性剤を含有することもできる。
アルカンジオールは、記録媒体等の被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等の炭素数が4以上8以下の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。これらの中でも炭素数が6以上8以下の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、記録媒体への浸透性が特に高いためより好ましい。
多価アルコールは、例えば、水性インク組成物をインクジェット記録装置に適用した場合に、水性インク組成物の乾燥を抑制し、インクジェット記録ヘッド部分における水性インク組成物の目詰まりを防止することができる。多価アルコールとしては、上記「1.1.3.その他の成分」で挙げたものと同様のものを用いることができる。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
緩衝液は、水性インク組成物のpHの振れ幅を小さくすることができ、pHを所望の範囲に保つことができる。緩衝液としては、上記「1.1.3.その他の成分」で挙げたものと同様のものを用いることができる。
また、水性インク組成物は、水溶性ロジン等の定着剤、安息香酸ナトリウム等の防黴剤・防腐剤、アロハネート類等の酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤等の添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は、1種単独で用いることもできるし、もちろん2種以上組み合わせて用いることもできる。
水性インク組成物に含まれる有機溶媒の含有量は、水系インク組成物の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。有機溶媒の含有量が50質量%以上であると、耐水化金属顔料と水との反応
によるガスの発生や、耐水化金属顔料の腐食等を低減できる場合がある。また、有機溶媒の含有量が80質量%以下であると、環境負荷の低減等の観点から好ましい。ここで、有機溶媒としては、上述の「1.1.3.その他の成分」で挙げた有機溶媒の他に、上記のアルカンジオール、ピロリドン誘導体等が挙げられる。
水性インク組成物の20℃における粘度は、好ましくは2mPa・s以上10mPa・s以下であり、より好ましくは3mPa・s以上5mPa・s以下である。水性インク組成物の20℃における粘度が前記範囲内にあると、ノズルから水性インク組成物が適量吐出され、水性インク組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。
水性インク組成物のpHは、5.0以上8.5以下であることが好ましく、6.0以上8.5以下であることがより好ましく、7.0以上8.5以下であることが特に好ましい。水性インク組成物のpHが上記範囲内にあると、耐水化金属顔料と水系媒体との反応を抑制できたり、被覆膜や金属顔料の溶出を抑制することができる。これにより、水性インク組成物の耐水性を向上でき、貯蔵安定性を優れたものにできる。
水性インク組成物は、その用途は特に限定されず、例えば、筆記具、スタンプ、記録計、ペンプロッター、インクジェット記録装置等に適用することができる。
4.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
4.1.耐水化アルミニウム顔料分散液
4.1.1.実施例1
<工程(a)>
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学株式会社製)3.0質量%及びプロピレングリコール(三協化学株式会社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥することで、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。次いで、真空蒸着装置(「VE−1010型真空蒸着装置」、株式会社真空デバイス製)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。次いで、上記方法にて形成した積層体を、プロピレングリコール中、VS−150超音波分散機(アズワン株式会社製)を用いて、剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるアルミニウム顔料分散液を作製した。得られたアルミニウム顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリーエバポレーターを用いてプロピレングリコールを留去した。これにより、アルミニウム顔料分散液を濃縮し、その後、そのアルミニウム顔料分散液の濃度調整を行い、5.0質量%のアルミニウム顔料分散液を得た。
<工程(b)>
次いで、得られたアルミニウム顔料分散液20質量部(アルミニウム顔料1質量部)を含有)をビーカーに投入し、これにテトラエトキシシラン(TEOS)2質量部、塩基性触媒である1mol/Lアンモニア水0.4質量部を添加して、30日間室温で攪拌することにより加水分解縮合させた。これにより、表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料(耐水化アルミニウム顔料)を含有するアルミニウム顔料分散液を得た。
<工程(c)>
次いで、それを遠心分離(10,000rpm、60分間)し、その上澄み液であるアルミニウム顔料分散液中に含まれるプロピレングリコールの一部を除去した。
<工程(d)>
次いで、イオン交換水および界面活性剤(商品名「DISPERBYK−192」、ビックケミー・ジャパン株式会社製)を添加し、1日間室温で攪拌することにより、実施例1に係る耐水化アルミニウム顔料分散液を得た。なお、イオン交換水および界面活性剤は、耐水化アルミニウム顔料分散液の組成が、耐水化アルミニウム顔料5質量%、プロピレングリコール50質量%、水44質量%、界面活性剤1質量%となるように添加した。
4.1.2.実施例2〜5、比較例1〜7
実施例2〜5および比較例1〜7の各耐水化アルミニウム顔料分散液は、実施例1の工程(b)における添加成分、添加量、反応時間(合成期間)を、表1に記載されている通りにした以外は、実施例1と同様にして得られた。
なお、実施例5に係る耐水化アルミニウム顔料分散液は、工程(d)の後、耐水化アルミニウム顔料分散液のエージング(70℃、3日間)を行うことにより得られた。
また、実施例1〜5、比較例1〜7の耐水化アルミニウム顔料分散液のpH値は、pH調製剤を添加することにより調製し、pHメーター(商品名「ポータブルPHメーター D−52S」、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
比較例3で用いた「ポリシラザン原料」は、クラリアント社製の商品名「アクアミカ NN110」(モノマー分子量45)である。
4.1.3.性質の評価
<アルミニウム顔料の粒子径および厚み>
上記工程(a)で得られたアルミニウム顔料分散液中に含まれるアルミニウム顔料について、粒子径および厚みを測定した。
具体的には、アルミニウム顔料の粒子径は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA−3000S)を用いて、アルミニウム顔料粒子の投影画像の面積から求めた円相当径の50%平均粒子径R50を測定することにより得られた。また、アルミニウム顔料の厚みは、走査透過型電子顕微鏡(STEM、日立ハイテクノロジー株式会社製「HD−2000」)を用いて、顔料粒子の断面を観察することによって、平均厚みZを測定した。
上記の様にして測定した結果、実施例および比較例で用いたアルミニウム顔料はいずれも、50%平均粒子径R50が1.0μmであり、平均厚みZが20nmであった。
なお、アルミニウムは、性質上、表面に自然酸化膜が形成されている場合がある。そのため、アルミニウム顔料の平均厚みZには、自然酸化膜の厚みも含むものとした。
<被覆膜の厚み>
被覆膜(シリカ膜)の厚みは、透過型電子顕微鏡Tecnai G2f30(フィリップス社製)を用いて、耐水化アルミニウム顔料粒子の断面を観察することによって測定した。被覆膜の厚みを表1に併せて示す。
<ピンホール>
得られた耐水化アルミニウム顔料分散液に含まれる耐水化アルミニウム顔料について、次のようにしてピンホール数を測定した。
まず、得られた耐水化アルミニウム顔料分散液に含まれる耐水化アルミニウム顔料0.1gを取り出して、アセトンと水の混合溶媒(アセトン:水=1:1)200gで1/2000に希釈した後、支持膜付きのグリッドメッシュに耐水化アルミニウム顔料を採取し、真空乾燥した。そして、エネルギーフィルターを備えた透過型電子顕微鏡(商品名「Tecnai G2 F30」、FEI社製、加速電圧300keV)を用いて、被覆膜(シリカ膜)を構成する元素(SiおよびO)について耐水化アルミニウム顔料のマッピング像(EELSマップ像)を得た。このようにして得られたマッピング像を基に、直径0.05μm以上のピンホール数をカウントした。
耐水化アルミニウム顔料のピンホール数の評価基準は、以下の通りである。評価結果を表1に併せて示す。
「A」・・・ピンホール数が0
「B」・・・ピンホール数が1
「C」・・・ピンホール数が2以上
得られたマッピング像として、代表的なものを図1〜図4に示す。図1は、実施例1に係る耐水化アルミニウム顔料のマッピング像であり、Siのkエッジに対応する画像である。図2は、実施例2に係る耐水化アルミニウム顔料のマッピング像であり、Siのkエッジに対応する画像である。図3は、比較例2に係る耐水化アルミニウム顔料のマッピング像であり、Siのkエッジに対応する画像である。図4は、比較例3に係る耐水化アルミニウム顔料のマッピング像であり、Oのkエッジに対応する画像(図4(A))と、Siのkエッジに対応する画像(図4(B))とを示すものである。
ここで、Siのkエッジに対応する画像だけでは、表面状態が判断しにくい場合がある。このような場合には、Oのkエッジに対応する画像を用いてピンホール数をカウントすることができる。シリカ膜は、SiおよびOからなるため、SiまたはOに対応する画像を得ることができれば、耐水化アルミニウム顔料の表面状態を十分判断できるためである。
<SEM−EDXにより得られるパラメーター>
得られた各耐水化アルミニウム顔料分散液について、次のようにしてSEM−EDXにより得られるパラメーターを求めた。
まず、得られた各耐水化アルミニウム顔料分散液のいずれか1種をPETフィルムに滴下・塗布して、真空乾燥させた。そして、FE−SEM(商品名「FE−SEM S−4700」、日立ハイテク社製)を用いて、電子線(加速電圧15kV、加速電流10μA)をサンプル表面上で走査させて、2次電子に基づく走査画像を得ながら、1μm四方にわたって耐水化アルミニウム顔料が存在する箇所を選定して、当該箇所から放出されるX線をEDXで検出した。なお、試料表面に対して、電子線の入射角度は90°であり、X線の取り出し角度は35°とした。
このようにして、EDXで検出したX線強度より得られるスペクトルに基づいて、耐水化アルミニウム顔料を構成する元素(Al、O、Si)の原子数濃度を算出した。なお、原子数濃度の算出にあたって、ピーク分離法にオーバーラップファクタ法を用い、定量補正法にスタンダードレスZAF法を用いた。
このようにして得られた各元素の原子数濃度を基に、R1、R2、R3、R2/R1、R2−R1を算出した。各値を表1に併せて示す。
4.1.4.評価試験
<光沢性の評価>
得られた耐水化アルミニウム顔料分散液のいずれか1種を印画紙(「PM写真用紙(光沢)型番:KA450PSK」、セイコーエプソン株式会社製)に滴下・塗布して、室温で1日間乾燥させた。得られたサンプルを目視により観察することで、耐水化アルミニウム顔料の光沢性を評価した。耐水化アルミニウム顔料の光沢性の評価基準は、以下の通りである。光沢性の評価結果を表1に併せて示す。
「A」・・・光沢性が良好(金属光沢性に優れており、鏡面光沢を有する。)
「B」・・・光沢性がやや良好(金属光沢性に優れているが、ややマット調である。)
「C」・・・光沢性が不良(金属光沢性がなく、黒ずんだ灰色を呈している。)
<分散性の評価>
10μmのフィルター(MILIPORE社製、MITEX MEMBRANE FILTERS(型番:LCWPO4700))に対して、上記で得られた耐水化アルミニウム顔料分散液がどれだけ通過するかにより、水分散性を評価した。分散性の評価基準は、以下の通りである。分散性の評価試験の結果を表1に併せて示す。
「A」・・・・フィルター通過量が50mL以上
「B」・・・・フィルター通過量が30mL以上50mL未満
「C」・・・・フィルター通過量が10mL以上30mL未満
「D」・・・・フィルター通過量が10mL未満
<貯蔵安定性の評価>
サンプル瓶に上記で得られた耐水化アルミニウム顔料分散液を10mL加え、密栓して
25℃恒温下に静置した。その経時変化を目視により観察することで、耐水化アルミニウム顔料分散液の貯蔵安定性を評価した。貯蔵安定性の評価基準は、以下の通りである。耐水性評価試験の結果を表1に併せて示す。
「AA」・・・150日後の時点において白色化及び分離せず
「A」・・・100日後の時点において白色化及び分離せず
「B」・・・30日後の時点において白色化及び分離せず
「C」・・・30日未満で白色化又は分離
4.1.5.評価結果
表1の結果によれば、ピンホールが1以下の耐水化アルミニウム顔料を含有し、pHが5.0以上8.5以下の範囲内にある実施例1〜実施例5の耐水化アルミニウム顔料分散液は、光沢性、水分散性に優れ、特に貯蔵安定性に優れていることが示された。
一方、比較例1〜比較例3、比較例5の耐水化アルミニウム顔料分散液は、ピンホールが2つ以上あったため、特に貯蔵安定性が著しく低下することが示された。
また、比較例4の耐水化アルミニウム顔料分散液は、被覆膜を形成していないアルミニウム顔料を用いたため、光沢性、水分散性、貯蔵安定性のいずれも著しく低下することが示された。
比較例6および比較例7の耐水化アルミニウム顔料分散液は、pHが5.0〜8.5の範囲になかったため、貯蔵安定性が著しく低下することが示された。pHの影響により、経時的に被覆膜または金属顔料が溶出したためと考えられる。
4.2.水性インク組成物
4.2.1.水性インク組成物の調製
以下の組成となるように、耐水化アルミニウム顔料分散液、1,2−ヘキサンジオール、ウレタン樹脂(商品名「レザミンD1060」、大日精化工業株式会社製)、プロピレングリコール、2−ピロリドン、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)、トリエタノールアミン、イオン交換水を混合、攪拌した。
<水性インク組成物の組成>
耐水化アルミニウム顔料分散液(固形分) 1.5質量%
1,2−ヘキサンジオール 5質量%
ウレタン樹脂 0.1質量%
プロピレングリコール 40質量%
2−ピロリドン 5質量%
オルフィンE1010 1質量%
トリエタノールアミン 0.4質量%
イオン交換水 残分
合計 100質量%
なお、耐水化アルミニウム顔料分散液には、上記で得られた実施例2の耐水化アルミニウム顔料分散液を用いた。
4.2.2.評価試験
インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジに上記の水性インク組成物を充填したインクカートリッジを作製した。次に、得られたインクカートリッジをインクジェットプリンターPX−G930のブラック列に装
着し、これ以外のノズルには市販のインクカートリッジを装着した。なお、ブラック列以外に装着した市販のカートリッジは、ダミーとして用いるものであり、本実施例の評価では使用しないので、本発明の効果に関与するものではない。
次に、上記のプリンターを用いて、ブラック列に装着された上記の水性インク組成物を吐出して、吐出状態を目視にて確認することで、吐出安定性の評価をした。
4.2.3.評価結果
上記の水性インク組成物をプリンターのノズルから問題なく吐出できることが確認できた。
4.3.参考評価
上述したように、特開2011−132483号公報では、XPSを用いた耐水化アルミニウム顔料の表面分析(元素分析)が行われている。そこで、参考評価では、TEOSの仕込み量の違いによる被覆膜の膜質の変化を、XPSを用いた元素分析で判断できるかどうか検証した。
具体的には、1gのTEOSを加水分解縮合して得られたシリカ重合物A、4gのTEOSを加水分解縮合して得られたシリカ重合物B、8gのTEOSを加水分解縮合して得られたシリカ重合物Cを準備した。次に、各シリカ重合物をIn箔上に固定して、測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルを、X線光電子分光装置(商品名「Quantum2000」、アルバックファイ社製)の試料台に固定して、以下の測定条件で各シリカ重合物の元素分析を行った。
<XPSの測定条件>
・X線光源:単色化Al−Kα線
・X線照射角度:90°
・測定元素:C1s、O1s、Si2p
このようにして得られたシリカ重合物A〜Cに含まれる元素(C、O、Si)の元素濃度を表2に示す。
表2の結果の通り、シリカ重合物を構成する元素の組成比は、各シリカ重合物間でほとんど差がなかった。このことから、XPSによる元素分析を行っても、膜の性質の違い(例えば、ピンホールの有無等)を検出できないといえる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は
、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (8)

  1. 金属顔料の表面を無機酸化物を含む膜で被覆した耐水化金属顔料を、水系媒体中に分散させた耐水化金属顔料分散液であって、
    前記金属顔料は、10nm以上50nm未満の平均厚みを有し、かつ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径を有し、
    前記金属顔料を構成する顔料粒子の形状は、平板状であり、
    透過型電子顕微鏡によって、前記無機酸化物を構成する元素について前記耐水化金属顔料のマッピング像を得た場合において、
    前記マッピング像により観察されるピンホールの数が、前記顔料粒子1つあたり、1以下であり、
    pHが5.0以上8.5以下であり、
    前記金属顔料は、アルミニウム顔料であり、
    前記無機酸化物は、酸化ケイ素である、耐水化金属顔料分散液。
  2. 請求項1において、
    前記無機酸化物を含む膜の平均厚みは、3nm以上20nm以下である、耐水化金属顔料分散液。
  3. 請求項1または請求項2において、
    走査型電子顕微鏡を用いて前記耐水化金属顔料に電子線を照射し、エネルギー分散型X線分光法を用いて、AlおよびOの原子数濃度を算出して、Alの原子数濃度(M1Al)とOの原子数濃度(M1)との比(M1/M1Al)をR1とした場合に、
    前記R1が1.2以下である、耐水化金属顔料分散液。
  4. 請求項において、
    前記耐水化金属顔料を温度70℃で6日間加熱した後、走査型電子顕微鏡を用いて加熱後の前記耐水化金属顔料に電子線を照射し、エネルギー分散型X線分光法を用いて、AlおよびOの原子数濃度を算出して、Alの原子数濃度(M2Al)とOの原子数濃度(M2)との比(M2/M2Al)をR2とした場合に、
    前記R1と前記R2との比(R2/R1)が3.0以下である、耐水化金属顔料分散液。
  5. 請求項において、
    前記R1と前記R2との差(R2−R1)は、1.5以下である、耐水化金属顔料分散液。
  6. 請求項ないし請求項のいずれか1項において、
    走査型電子顕微鏡を用いて前記耐水化金属顔料に電子線を照射し、エネルギー分散型X線分光法を用いて、AlおよびSiの原子数濃度を算出して、Alの原子数濃度(M3Al)とSiの原子数濃度(M3Si)との比(M3Si/M3Al)をR3とした場合に、
    R3が、0.1超0.5以下である、耐水化金属顔料分散液。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
    前記無機酸化物を含む膜は、テトラエトキシシランを、前記アルミニウム顔料1質量部に対して0.8質量部以上用いて形成される、耐水化金属顔料分散液。
  8. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の耐水化金属顔料分散液を含む、水性インク組成物。
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