この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
なお、図中、矢印Yは自車両60mの車両前後方向、すなわち後述する前方交差道路90の幅方向を示し、矢印Yfは自車両60mの車両前方を示し、矢印Yrは自車両60mの車両後方を示す。矢印Wは自車両60mの車幅方向、すなわち後述する前方交差道路90の延びる方向を示し、矢印Wrは自車両60mの車幅方向右方を示し、矢印Wlは自車両60mの車幅方向左方を示す。
また、以下の説明において、便宜上、自車両60mは本実施形態の車両の運転支援装置1を搭載している車両とし、移動対象物Aは自車両60mの前方で車幅方向、すなわち、車両前後方向に直交する方向に延びる前方交差道路90を移動するものとし、移動対象物Aの種類として、例えば、歩行者、自転車、車両(自動二輪車を含む)の3種類を想定している。さらに、隣接車両60r,60lは、自車両60mに対して側方の隣接位置で停車している隣接障害物としての車両であり、特に、自車両60mに対して右側方で停車している隣接車両を右側隣接車両60rとする。
本実施形態の車両の運転支援装置1は、運転支援意図検出センサ11、運転支援スイッチ12、シフトセンサ13、シフトレバー14、車体前部側方探査部15、音声出力部16、モニタ部17、ブレーキECU18、ブレーキアクチュエータ19、エンジンECU20、エンジン21、運転支援ECU30、及び記憶部40を構成要素としている。
運転支援意図検出センサ11は、運転支援を受けようとする自車両60mのドライバの意図を検出するためのセンサであり、図示しないインストルメント・パネルやセンターコンソールに適宜、設けられた運転支援スイッチ12のスイッチ操作による入力を検出すると、運転支援意図検出信号を運転支援ECU30へ送信する。
なお、運転支援スイッチ12は、例えば、メカニカルなスイッチに限らず、モニタ部17と一体になったタッチスイッチ等であってもよい。
シフトセンサ13は、図示しないトランスミッションを介してシフトレバー14の位置を検出し、例えば、シフトレバー14がパーキングモードからドライブモードへ切り替わった際に、この切り替わりを検出し、検出信号を運転支援ECU30に送信する。
車体前部側方探査部15は、探査波を発信し、隣接車両60r,60lや移動対象物Aなどの障害物で反射される探査波の反射波を受信する探査センサを備えている。車体前部側方探査部15に備えた探査センサとしては、例えば、超音波センサ、レーザセンサ、CCDカメラ等を用いることができるが、遠距離の障害物に対しても精度よく検出できる点でミリ波レーダセンサなどのレーダセンサであることが好ましい。
車体前部側方探査部15は、図2に示すように、自車両60mのフロントバンパーの車幅方向の左右両端、又はその近傍に埋設されている。詳しくは、自車両60mの前部の左右各側面部において、前端から例えば、30cm程度(Ty0)だけ後方位置に配置され、それぞれ左右側方に向けて120°程度の検出角度αを有する検出範囲において探査波を逐次発信し、障害物からの反射波を受信する。
なお、以下の説明では、便宜上、車体前部側方探査部15r,15lのうち、自車両60mの右側面に配置され、右側方に向けて探査波を送信する車体前部右側方探査部15rについて説明する。
車体前部右側方探査部15rは、前方交差道路90を移動しながら自車両60mに対して前方を横切ろうとする移動対象物Aの動向を検出する動向検出機能と、自車両60mに対して右側方の隣接位置で停車している右側隣接車両60rの前端位置Pb0を検出する障害物先端位置検出機能とを備えている。
具体的に、動向検出機能を有する車体前部右側方探査部15rは、該車体前部右側方探査部15rにより照射した探査波が前方交差道路90を移動する例えば、自転車などの移動対象物Aから反射する反射波を受信し、その受信結果を運転支援ECU30へ送信する(図1、及び図2参照)。
一方、障害物先端位置検出機能を有する車体前部右側方探査部15rは、該車体前部右側方探査部15rにより発信した探査波が右側隣接車両60rの前端位置Pb0を含めた右側隣接車両60rからの反射波を受信し、その受信結果を運転支援ECU30へ送信する(図1、及び図2参照)。
音声出力部16は、スピーカ等により構成され、後述するガイド指示部36の指示に従ってドライバに報知する運転支援に関する情報を音声により出力する。なお、音声出力部16は、運転支援ECU30専用に自車両60mに搭載された構成に限らず、例えば、ナビゲーションなど他の車載装置に設けられた音声出力部を利用する構成としてもよい。
モニタ部17(表示部)は、後述するガイド指示部36の指示に従って、ドライバに報知する運転支援に関する情報を画像、波形、テキストにより表示し、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いて構成できる。なお、モニタ部17についても音声出力部16と同様に、例えば、ナビゲーションなど他の車載装置に設けられたモニタ部を利用する構成としてもよい。
ブレーキECU18はブレーキの状態を検出し、ブレーキアクチュエータ19を制御し、ブレーキの操作を自動的に行うコントローラで構成している。
エンジンECU20はエンジン21の状態やアクセルペダルの状態を検出し、エンジン21を制御するコントローラで構成している。
運転支援ECU30は、図1に示すように、動向情報検出部31、前端位置情報検出部32、検出角度算出部33、比較判定部34、発進距離決定部35、ガイド指示部36、ブレーキ指示部37、及びアクセル指示部38を構成要素としている。
動向情報検出部31は、動向検出機能を有する車体前部右側方探査部15rが受信した移動対象物Aからの反射波に基づく受信信号に基づいて、動向情報として自車両60mに接近する移動対象物Aの有無、速度、車体前部右側方探査部15rと移動対象物Aとの間の距離等の情報を検出する。
なお、車体前部右側方探査部15rと移動対象物Aとの間の距離については、自車両60mの前後方向成分の距離Ly(Ly1,Ly2,Ly3)と自車両60mの車幅方向成分の距離Lw(Lw1,Lw2,Lw3)とのそれぞれについて検出する(図4(a)参照)。
前端位置情報検出部32は、障害物先端位置検出機能を有する車体前部右側方探査部15rが受信した右側隣接車両60rの車幅方向左側の前端位置Pb0からの反射波に基づく受信結果に基づいて、右側隣接車両60rの前端位置情報として、右側隣接車両60rの有無や、車体前部右側方探査部15rと前端位置Pb0との間の距離などの情報を検出する。
車体前部右側方探査部15rと、右側隣接車両60rの前端位置Pb0との間の距離については、自車両60mの前後方向成分の距離Ty0と自車両60mの車幅方向成分の距離Twとのそれぞれについて検出する(図4(b)参照)。
検出角度算出部33は、車体前部右側方探査部15rによる移動対象物Aの検出が右側隣接車両60rの存在により限界となる検出角度θ(限界検出角度θともいう)を算出する。
検出角度θについて図2を用いて詳述すると、車体前部右側方探査部15rにより移動対象物Aを検出可能な範囲である移動対象物検出可能エリアZAと、右側隣接車両60rの前端位置Pb0によって車体前部右側方探査部15rにより発信される探査波が遮られ、車体前部右側方探査部15rの死角となるセンサ移動対象物検出不可能エリアZBとの境界部は、車体前部右側方探査部15rによる移動対象物Aの検出が限界となるため、該境界部に相当する直線状の仮想ラインを、対象物検出限界ラインLに設定している。
なお、図2中の実線で示した移動対象物Aとしての自転車は、移動対象物検出可能エリアZAを移動しているため、車体前部右側方探査部15rにより検出されるが、図2中の仮想線で示した移動対象物Aとしての自転車は、移動対象物検出不可能エリアZBを移動しているため、車体前部右側方探査部15rによりにより検出されない。
そして、停車している自車両60mの前端を通過する車幅方向に沿った仮想ラインLsに対する対象物検出限界ラインLの成す角度を検出角度θ(限界検出角度θ)として設定し、検出角度算出部33は、前端位置情報検出部32に基づいて検出した右側隣接車両60rの前端位置Pb0に関する前端位置情報に基づいて検出角度θを算出する。
比較判定部34は、図1に示すように、検出角度比較部341、移動対象物有無判定部342、及び移動速度比較部343を構成要素に有している。
検出角度比較部341は、運転支援ECU30の指令により、後述する記憶部40に記憶している図3に示すような移動対象物種類別対応付けテーブルであらわされるデータベース50を基に、移動対象物Aの種類ごとに車体前部右側方探査部15rによる移動対象物Aの検出が必要とされる必要検出角度θnを読み出し、この必要検出角度θnと、実際に、車体前部右側方探査部15r、及び前端位置情報検出部32により検出した移動対象物Aの上述した検出角度θとを、前方交差道路90を移動する移動対象物Aの種類に応じて比較する処理を実行する。
移動対象物有無判定部342は、運転支援ECU30の指令に基づいて、車体前部右側方探査部15rからの移動対象物Aの反射波に基づく受信信号を動向情報検出部31が受信した場合、すなわち移動対象物Aが移動対象物検出可能エリアZAを移動する場合に、移動対象物Aが「有り」と判定するとともに、受信しなかった場合、すなわち移動対象物Aが移動対象物検出不可能エリアZBを移動する場合に、移動対象物Aが「無し」と判定する。
移動速度比較部343は、後述する記憶部40に記憶している図3に示すような移動対象物種類別対応付けテーブルであらわされるデータベース50を基に、移動対象物Aの種類ごとに想定される移動対象物Aの想定移動速度Vaを読み出し、この想定移動速度Vaと、実際に、車体前部右側方探査部15r、及び動向情報検出部31により検出した移動対象物Aの移動速度V(図2参照)とを、前方交差道路90を移動する移動対象物Aの種類に応じて比較する処理を実行する。
前記発進距離決定部35は、後述する記憶部40に記憶している図3に示すような移動対象物種類別対応付けテーブルであらわされるデータベース50を読み出し、検出角度比較部341、及び移動速度比較部343の比較結果を基に、移動対象物Aの種類を特定し、特定した移動対象物Aに応じて必要となる自車両60mの車両前方への必要発進距離Snを決定する処理を実行する。
ガイド指示部36は、運転支援ECU30の指令に基づいて、例えば、「ブレーキペダルを踏んでください」、「*m進行します」或いは「前方に注意してください」等の運転支援に関するガイド情報をドライバに報知するために音声出力部16、或いはモニタ部17に出力指示する。
ブレーキ指示部37は、運転支援ECU30の指令に基づいて、ブレーキECU18に対してブレーキの作動操作、或いは解除操作の指示を行う。
アクセル指示部38は、運転支援ECU30の指令に基づいて、エンジンECU20に対してクリープ走行などエンジン21を制御する指示を行う。
記憶部40は、ROMやRAMで構成され、前端位置情報検出部32により検出した右側隣接車両60rの前端位置情報や動向情報検出部31により検出した移動対象物Aの動向情報を記憶する。
さらに、記憶部40には、移動対象物Aが前方交差道路90を移動する際に想定される想定移動速度Va、車体前部右側方探査部15rにより移動対象物Aを検出するうえで必要な後述する自車両60mの必要前進距離Sn、及び車体前部右側方探査部15rにより移動対象物Aを検出するうえで必要な後述する必要検出角度θnを、移動対象物Aの種類ごとに対応付けて図3に示すような移動対象物種類別対応付けテーブルのようにデータベース化して記憶している。
具体的に、図3に示すように、移動対象物種類別対応付けテーブルには、前方交差道路90を車幅方向右方から左方へ移動する移動対象物Aの種類として、例えば、歩行者、自転車、車両の3種類を設定し、移動対象物Aの自車両60mへの想定移動速度Vaは、移動対象物Aの種類に応じて一般に想定される速度を基に、移動対象物Aが歩行者の場合、5Km/hに設定し、自転車の場合、15Km/hに設定し、車両の場合、30Km/hに設定している。
一方、必要前進距離Sn、及び必要検出角度θnを、図3の移動対象物種類別対応付けテーブル中に示した値のように、移動対象物Aの種類に応じて設定した根拠について図4、及び図5を用いて説明する。
なお、図4(a)は自車両60m、右側隣接車両60r、及び移動対象物Aの位置関係を模式的に示した自車両周辺の平面図であり、図4(b)は図4(a)中の領域Xの拡大図である。図5(a)は移動対象物Aが歩行者の場合、図5(b)は自転車の場合、図5(c)は車両の場合における、移動対象物Aの必要検出位置P(P1,P2,P3)と右側隣接車両60rの前端位置Pb0との位置関係を移動対象物Aごとに模式的に示した説明図である。
図4(b)、及び図5中のPa0は自車両60mの車両前後方向の前端位置を示し、図4(b)中のPasは、自車両60mが停車状態から発進する前の初期停車位置を示し、図4、及び図5中のPaは、Pasから移動対象物Aの種類に応じた必要前進距離Sn(Sn1,Sn2,Sn3)だけ前進後の位置を示すものとする。図4、及び図5中のPb0は右側隣接車両60rの前端位置であり、Pa0とPb0とは、車両前後方向において一致し、Pa0,Pas,Paは、車幅方向において一致しているものとする。さらに、図4中のPa0とPasとの間の距離Ty0は30cmとする。図4、及び図5中のPa0とPb0との間の距離Twは0.6mとし、PaとPa0との間の距離を移動対象物Aの種類に応じてD(D1,D2,D3)に設定する。
自車両60mと該自車両60mへ接近する移動対象物Aとの衝突を回避するための衝突余裕時間(TTC)を2秒に設定し、図4、及び図5に示すように、少なくともこの2秒以内に移動対象物Aが自車両60mに接近していることを車体前部右側方探査部15rにより検出するために必要な必要検出位置P(P1、P2、P3)を、3種類の移動対象物Aごとに算出する。
必要検出位置P(P1、P2、P3)は、自車両60mの前端位置Pa0に対して自車両60m前後方向の離間距離(前方離間距離Ly)と、自車両60m車幅方向の離間距離(右側方離間距離Lw)とで特定される。
前方離間距離Lyは、移動対象物Aが前方交差道路90を通行する際に、前方交差道路90の幅方向において移動対象物Aの種類に応じて想定される通行位置に基づいて設定している。
具体的に、前方離間距離Ly(Ly1,Ly2,Ly3)、すなわち、前端位置Pa0と必要検出位置P(P1、P2、P3)との車両前後方向の間の距離は、移動対象物Aが歩行者の場合、Ly1=0.75mに設定し、自転車の場合、Ly2=1.5mに設定し、車両の場合、Ly3=2.25mに設定している。
一方、右側方離間距離Lwは、上述したように設定した衝突余裕時間(TTC=2秒)、及び想定移動速度を基に、3種類の移動対象物Aごとに算出する。
具体的に、右側方離間距離Lw(Lw1,Lw2,Lw3)は、移動対象物Aが歩行者の場合、Lw1=2.8m(=5Km/h×2秒)となり、自転車の場合、Lw2=8.3m(=15Km/h×2秒)となり、車両の場合、Lw3=16.7m(=30Km/h×2秒)に設定している。
そして、3種類の移動対象物Aのそれぞれが前方交差道路90におけるそれぞれに対応する必要検出位置P(P1、P2、P3)を移動している時点で車体前部右側方探査部15rによって検出されるためには、すなわち、必要検出位置P(P1、P2、P3)が移動対象物検出可能エリアZAに含まれるためには、必要検出位置P(P1、P2、P3)が少なくとも対象物検出限界ラインL上に有する必要がある。
そのために、自車両60mは、前端位置Pa0から車両後方へ距離D(D1,D2,D3)の位置Paまで、初期停車位置Pasに対して前進している必要があることから例えば、移動対象物Aが歩行者である場合、図5(a)の図示に基づいて、(数1)のような関係を満たす必要がある。
[数1]
(Ly1+D1)/Lw1=D1/Tw
(数1)の関係式を基にD1=0.20mと算出することができる。さらに、Pa0とPasとの間の距離Ty0は30cmであるため、車体前部右側方探査部15rによって歩行者を検出するために必要となる自車両60mの初期停車位置Pasに対する必要前進距離Sn1は、0.1m(=Ty0−D1)と算出することができる。
そして、衝突余裕時間(2秒)を考慮して車体前部右側方探査部15rにより移動対象物Aを検出することが必要となる必要検出角度θn(θn1,θn2,θn3)は、例えば、移動対象物Aが歩行者である場合、図5(a)の図示に基づいて、θn1=19°と算出することができる。
例えば、移動対象物Aが自転車の場合、移動対象物Aが歩行者の場合と同じ要領により、図5(b)の図示に基づいて、(数2)のような関係を満たす必要がある。
[数2]
(Ly2+D2)/Lw2=D2/Tw
(数2)の関係式を基にD2=0.12mと算出することができる。自車両60mの初期停車位置に対する必要前進距離Sn2は、0.18m(=Ty0−D2)と算出することができる。また、例えば、移動対象物Aが自転車の場合における必要検出角度は、図5(b)の図示に基づいて、θn2=11°と算出することができる。
例えば、移動対象物Aが車両の場合、移動対象物Aが歩行者の場合と同じ要領により、図5(c)の図示に基づいて、(数3)のような関係を満たす必要がある。
[数3]
(Ly3+D3)/Lw3=D3/Tw
(数3)の関係式を基にD3=0.08mと算出することができる。自車両60mの初期停車位置に対する必要前進距離Sn3は、0.22m(=Ty0−D3)と算出することができる。また、例えば、移動対象物Aが自転車の場合における必要検出角度は、図5(b)の図示に基づいて、θn3=8°と算出することができる。
これら算出した自車両60mの初期停車位置に対する必要前進距離Sn、及び必要検出角度θnに基づいて設定した必要前進距離Sn、及び必要検出角度θn、並びに想定移動速度を、移動対象物Aごとに対応付けて移動対象物種類別対応付けテーブルのようにデータベース化して記憶部40に記憶している。
上述した運転支援装置を用いて、例えば、図6(a)に示すように、自車両60mに対して隣接する右側方の位置で右側方隣接車両60rが停車している状態から、前方交差道路90を移動する移動対象物Aに対しての安全を確保しながら図6(b)に示すように自車両60mを前進して出庫する際に実行する車両の運転支援装処理について図7乃至図10に示すフローチャート、及び図11を用いて説明を行う。
なお、図6(a)は、自車両60mが前方へ発進する前の初期停車ラインLsに自車両60mの前端位置が位置するように自車両60mが停車する様子を模式的に示した自車両周辺の平面図であり、図6(b)は、車体前部右側方探査部15rが右側隣接車両60rの前端位置Pb0に車両前後方向において一致するまで自車両60mの前端位置をラインLeまで自車両60mを前進させた様子を模式的に示した自車両周辺の平面図である。図7、及び図8は車両の運転支援処理を示すフローチャートであり、図9(a)は移動対象物の速度判定処理Aを示すフローチャートであり、図9(b)は移動対象物の速度判定処理Bを示すフローチャートである。図10は移動対象物の速度判定処理Cを示すフローチャートである。図11(a)は移動対象物Aが歩行者の場合、図11(b)は移動対象物Aが自転車の場合、図11(c)は移動対象物Aが車両の場合において、それぞれ右側隣接車両60rに対して必要前進距離Snだけ前進した自車両60mの位置を示す自車両周辺の平面図である。
図7に示すように、運転支援ECU30は、運転支援スイッチ12のスイッチ操作により入力されたドライバの発進意図信号を運転支援意図検出センサ11が検出するまで待機する(S111:No)。ドライバ等により運転支援スイッチ12をオンにする操作がされると、ドライバの発進意図信号が入力され、該発進意図信号を運転支援意図検出センサ11が検出することで運転支援ECU30により運転支援処理が実行可能な状態となる(ステップS111:Yes)。
この状態で、運転支援ECU30は、シフトレバー144の操作ポジションをパーキングモード「P」からドライブモード「D」へ入れたことをシフトセンサ134Sにより検出するまで待機する。(ステップS112:No)。
シフトセンサ134Sによりシフトレバー144の操作ポジションがドライブモードにあることが検出された場合(ステップS112:Yes)、このステップS112におけるシフトセンサ134Sによる検出と、上述したステップS111における運転支援意図検出センサ11による検出との双方の検出がされたことにより、運転支援ECU30による車両の運転支援処理が実行可能な状態となる。
上記双方の検出を運転支援処理の開始トリガーとして、動向情報検出部31は、動向検出機能を有する車体前部右側方探査部15rが受信した移動対象物Aからの反射波に基づく受信信号に基づいて、動向情報を検出する(ステップS113)。
なお、車体前部右側方探査部15rと移動対象物Aとの間の距離については、前方離間距離Lyと右側方離間距離Lwとのそれぞれについて検出する(図4、及び図5参照)。
前端位置情報検出部32は、障害物先端位置検出機能を有する車体前部右側方探査部15rが受信した右側隣接車両60rの前端位置Pb0からの反射波に基づく受信結果に基づいて、右側隣車両の前端位置情報を検出する(ステップS114)。
なお、右側隣車両の前端位置情報のうち、車体前部右側方探査部15rと、右側隣接車両60rの前端位置Pb0との間の距離については、Pa0とPasとの間の距離Ty0とPa0とPb0との間の距離Twとのそれぞれについて検出する(図4(b)参照)。
運転支援ECU30の指令により検出角度算出部33は、前端位置情報に基づいて、車体前部右側方探査部15rによる移動対象物Aの検出が限界となる検出角度θを算出する(ステップS115)。
運転支援ECU30の指令により、比較判定部34に備えた検出角度比較部341は、図3に示す移動対象物Aの種類別対応付けテーブルを基に、3種類の移動対象物Aの種類に応じて設定した3種類の必要検出角度θnのうち、必要検出角度θnが最も大きくなる場合、すなわち、移動対象物Aが移動対象物検出可能エリアZAが最も狭くなる場合において検出が必要となる歩行者の場合の必要検出角度θn1(20°)と、ステップS115で算出した検出角度θとを比較する(ステップS116)。
検出角度θが歩行者の場合の必要検出角度θn1(20°)以上である場合には(ステップS112:Yes)、運転支援ECU30は、移動対象物の速度判定処理Aを実行する(ステップS117)。
図9(a)に示すように、ステップS117における移動対象物の速度判定処理Aにおいて、運転支援ECU30の指令に基づいて移動対象物有無判定部342は、対象物動向検出機能を有する車体前部右側方探査部15rにより移動対象物Aの有無を判定する(ステップS211A)。
移動対象物Aが「無し」と判定した場合(ステップS211A:No)、運転支援ECU30の指令により、発進距離決定部35は、図3に示す移動対象物Aの種類別対応付けテーブルの必要前進距離Sn1に基づいて、移動対象物Aが歩行者の場合における必要検出角度θn1(20°)に対応する前進距離S1である10cmだけ発進開始位置に対して発進することを決定する(ステップS213A、図11(a)参照)。
運転支援ECU30の指令により、ガイド指示部36は、ドライバに対して例えば、「今から10cm発進しますのでブレーキペダルから足を上げて下さい」等の運転支援情報を音声出力部16やモニタ部17を通じて報知する指示を与える(ステップS214A)。
これにより、クリープ走行等により、自車両60mが初期停車ラインLsに対して10cm前進すると、運転支援ECU30の指令により、ブレーキ指示部37は、ブレーキECU18に対してブレーキが作動するように指示を与え(ステップS215A)、移動対象物の速度判定処理Aが終了する。
このように、自車両60mの初期停車ラインLsに対して10cm前進することにより、移動対象物検出不可能エリアZBが広がり、前方交差道路90における自車両60mの前方を衝突余裕時間(TTC)として2秒以内に通過しようと移動している歩行者を車体前部右側方探査部15rにより検出することが可能となる。
一方、移動対象物Aが「有り」と判定した場合(ステップS211A:Yes)、運転支援ECU30の指令により、移動速度比較部343は、対象物動向検出機能を有する車体前部右側方探査部15rが検出した移動対象物Aの速度が歩行者の場合の想定移動速度(5Km/h)以下であるか否かを比較し(ステップS212A)、移動対象物Aの速度が、歩行者の場合の想定移動速度(5Km/h)以下である場合(ステップS212A:Yes)、運転支援ECU30の指令により、発進距離決定部35は、上述したステップS213Aの発進距離決定処理を実行する。
移動対象物Aの速度が歩行者想定移動速度(5Km/h)よりも大きい場合(ステップS212A:No)、ブレーキ指示部37は、ブレーキECU18に対してブレーキを作動する指示を与え、自車両60mが発進せずに停車した状態を維持するとともに、ガイド指示部36は、音声出力部16に対して移動対象物Aが自車両60mに近付いていることをドライバに報知するための警報を発する指示を与える(ステップS216A)。
ステップS216Aの後、ステップS211Aに戻り、移動対象物有無判定部342により移動対象物Aが「有り」と判定されるまで、動向情報検出部31は、車体前部右側方探査部15rの受信波を基に移動対象物Aの検出を継続する(ステップS211A)。
移動対象物の速度判定処理Aが終了すると、図7に示すように、移動対象物の速度判定処理B(ステップS118)、移動対象物の速度判定処理C(ステップS119)をこの順で実行し、運転支援処理を終了する。
但し、移動対象物の速度判定処理B、及び移動対象物の速度判定処理Cは、移動対象物の速度判定処理Aにおける上述したステップS212A、及びステップS213Aに対応するステップ以外は、移動対象物の速度判定処理Aの処理と同様であるため、この対応するステップを中心に説明する。
ここで、移動対象物の速度判定処理Aにより、自車両60mは、初期停車ラインLsに対して前進距離S1(10cm)だけ前進しているため、車体前部右側方探査部15rによる移動対象物Aの検出が限界となる検出角度θは自車両60mの前端位置が初期停車ラインLsにあるときよりも小さくなっている。
すなわち、移動対象物検出不可能エリアZBは広がっているため、移動対象物の速度判定処理Bでは、移動対象物Aが自転車の場合を想定した運転支援処理を実行する。
具体的に、図9(b)に示すように、上述したステップS212Aに対応するステップS212Bにおいて、運転支援ECU30の指令により、移動速度比較部343は、対象物動向検出機能を有する車体前部右側方探査部15rが検出した移動対象物Aの速度が自転車の場合の想定移動速度(15Km/h)以下であるか否かを比較し(ステップS212B)、この比較結果に基づいてステップS213B、或いはステップS216Bを実行する。
また、上述したステップS213Aに対応するステップS213Bにおいて、運転支援ECU30の指令により、発進距離決定部35は、図3に示す移動対象物Aの種類別対応付けテーブルの必要前進距離Sn2に基づいて、図11(b)に示すように、初期停車ラインLsに対して前進距離S2である20cmだけ前進することを決定する(ステップS213B)。
すなわち、図11(b)に示すように、自車両60mは、移動対象物の速度判定処理Aにより自車両60mが停車した図11(a)に示す位置からさらに10cm(S2−S1)だけ前進することを決定する(ステップS213B)。
これにより、移動対象物検出不可能エリアZBは自車両60mが移動対象物の速度判定処理Aにより前進後の位置よりもさらに広がっている。このため、移動対象物の速度判定処理Cでは、移動対象物Aが車両の場合を想定した運転支援処理を実行する。
具体的に、図10に示すように、上述したステップS212Aに対応するステップS212Cにおいて、運転支援ECU30の指令により、移動速度比較部343は、対象物動向検出機能を有する車体前部右側方探査部15rが検出した移動対象物Aの速度が車両の場合の想定移動速度(30Km/h)以下であるか否かを比較し(ステップS212C)、この比較結果に基づいてステップS213C、或いはステップS216Cを実行する。
また、上述したステップS213Aに対応するステップS213Cにおいて、運転支援ECU30の指令により、発進距離決定部35は、図3に示す移動対象物Aの種類別対応付けテーブルの必要前進距離Sn3に基づいて、図11(c)に示すように、初期停車ラインLsに対して前進距離S3である25cm前進することを決定する(ステップS213C)。
すなわち、図11(c)に示すように、自車両60mは、移動対象物の速度判定処理Bにより自車両60mが停車した図11(b)に示す位置からさらに5cm(S3−S2)だけ前進することを決定する(ステップS213B)。
これにより、移動対象物検出不可能エリアZBは自車両60mが移動対象物の速度判定処理Bにより前進後の位置よりもさらに広げることができる。
また、上述したステップS116に戻り説明すると、検出角度θが歩行者を想定した必要検出角度θn2(20°)より小さい場合には(ステップS116:No)、図8に示すように、運転支援ECU30は、3種類の移動対象物Aの種類に応じて設定した3種類の必要検出角度のうち、歩行者の必要検出角度の次に大きな自転車の場合の必要検出角度θn2(10°)と、ステップS115で算出した検出角度θとを比較する(ステップS120)。
そして、ステップS120において、検出角度θが自転車を想定した必要検出角度θn2(10°)以上である場合には、移動対象物Aが歩行者を想定した移動対象物の速度判定処理Aは実行せずに、移動対象物Aとして自転車を想定した移動対象物の速度判定処理Bを実行し(ステップS121)と車両を想定した移動対象物の速度判定処理Cを実行し(ステップS122)、運転支援処理を終了する。
さらにまた、上述したステップS120において、検出角度θが自転車を想定した必要検出角度θn2(10°)より小さい場合には(ステップS120:No)、図8に示すように、運転支援ECU30は、3種類の移動対象物Aの種類に応じて設定した3種類の必要検出角度のうち、自転車の必要検出角度θn2の次に大きな車両の場合の必要検出角度θn3(5°)と、ステップS123で算出した検出角度θとを比較する(ステップS123)。
そして、ステップS123において、検出角度θが車両を想定した必要検出角度θn3(5°)以上である場合には(ステップS123:Yes)、移動対象物Aが歩行者を想定した移動対象物の速度判定処理A、及び自転車を想定した移動対象物の速度判定処理Bは実行せずに、移動対象物Aとして自動車を想定した移動対象物の速度判定処理Cのみを実行し、運転支援処理を終了する。
なお、ステップS123において、検出角度θが車両を想定した必要検出角度θn3(5°)より小さい場合には(ステップS123:No)、そのまま運転支援処理を終了する。
このように、上記実施例の車両の運転支援装置1は、自車両60mの右側方で隣接する隣接障害物としての右側隣接車両60rに対して自車両60mの停車状態からの発進を支援する車両の運転支援装置であって、自車両60mのドライバの発進意図信号を検出可能な運転支援意図検出手段としての運転支援意図検出センサ11と、自車両60mの車両前方に直交する方向に移動する移動対象物Aの動向情報を検出する対象物動向検出手段としての動向情報検出部31と、自車両60mの車両前方における右側隣接車両60rの先端位置情報を検出可能な障害物先端位置検出手段としての前端位置情報検出部32と、先端位置情報に基づいて、動向情報検出部31により移動対象物Aを検出可能な対象物検出範囲としての移動対象物検出可能エリアZAを算出し、移動対象物検出可能エリアZAが所定の大きさになる右側隣接車両60rに対する自車両60mの発進量としての発進距離Sを決定する決定手段としての比較判定部34、及び発進距離決定部35と、該発進距離決定部35により決定した発進距離に関する運転支援情報をドライバに報知する報知手段として音声出力部16、及びモニタ部17とを備えたものである。
上述した構成によれば、先端位置情報に基づいて算出した移動対象物検出可能エリアZAが所定の大きさとなる右側隣接車両60rに対する自車両60mの発進距離Sを発進距離決定部35により決定し、該決定した発進距離Sに関する運転支援情報を音声出力部16、及びモニタ部17により報知することができる。
すなわち、自車両60mが停車した状態から発車し、決定した発進距離Sだけ進行し、停車するという一連の車両の運転支援を行っている際の自車両60mの動きに基づく運転支援情報をドライバに報知することができる。
これにより、自車両60mに対して隣接する側方で右側隣接車両60rが停車していても、この運転支援情報に基づいて自車両60mを安全に発進させながら移動対象物検出可能エリアZAを拡大させることができるため、動向情報検出部31により移動対象物Aの検出が右側隣接車両60rにより妨げられない位置まで自車両60mを安全に前進させることができる。
この発明の一実施形態においては、発進距離に関する運転支援情報をドライバに報知する報知手段には、ドライバに対して、自車両60mによる車両前方への発進距離の進行をガイドする音声出力部16、又はモニタ部17を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、音声出力部16、又はモニタ部17によりドライバに対して、自車両60mによる車両前方への発進距離の進行をガイドできるため、ドライバ自らの操作によりドライバは安心感を持って自車両60mを発進距離Sだけ確実に進行させることができる。
またこの発明の一実施形態においては、発進距離Sに関する運転支援情報をドライバに報知する報知手段には、上述した音声出力部16、及びモニタ部17に限らず、ブレーキ指示部37やアクセル指示部38も含む概念である。
上記構成によれば、ブレーキ指示部37やアクセル指示部38の指令に基づく運転支援のための自車両60mの挙動を基にして、ドライバが運転支援のために必要な動きを運転支援情報として認識する構成とすることで、音声出力部16、及びモニタ部17により報知された運転支援情報をドライバが認識してからドライバ自らがアクセル操作やブレーキ操作をする場合と比較して、発進や停止の遅れが生じることや、発進距離Sの誤差が生じることがなく、自車両60mを運転支援に必要な発進距離Sだけ正確に進行させることができる。
具体的には、シフトレバー14の操作をシフトセンサ13が検知すると、ブレーキ指示部37の指令により、ブレーキECU18がブレーキの作動を解除することで自車両60mはクリープ走行し、その後、所定の発進距離を進行した時点で改めてブレーキ指示部37の指令により、再度、ブレーキが作動して自車両60mの進行を停止することができる。
このように、車両の運転支援を行っている際に自車両60mが実際に発進し、発進距離Sを進行し、停止するという一連の自車両60mの動きに基づいて、自車両60mの動きを運転支援情報としてドライバに報知することができる。
またこの発明の一実施形態においては、発進距離決定部35は、動向情報に基づいて、移動速度比較部343により比較した移動対象物Aの移動速度に応じて右側隣接車両60rに対する自車両60mの発進距離を決定することを特徴とする。
移動速度に応じて自車両60mの発進距離を決定できるため、右側隣接車両60rに対して自車両60mの停車状態からの発進を安全に支援することができる。
上記構成によれば、自車両60mの停車状態から発進する際に、例えば、自車両60mに衝突するおそれがない低い移動速度で移動する移動対象物Aに対しても、その移動対象物Aが通過するまで停車した状態を維持し続けたり、本来の発進距離よりも少ない発進距離を繰り返しながら進行することがないため、右側隣接車両60rに対する自車両60m発進をスムーズに支援することができる。
この発明の一実施形態においては、移動速度比較部343、及び発進距離決定部35は、動向情報に基づいて、移動対象物Aの移動速度を算出し、移動速度Vと移動対象物Aの種類に応じて予め設定した想定移動速度Vaとの比較結果に基づいて発進距離を決定し、音声出力部16、及びモニタ部17は、発進距離に関する運転支援情報として、右側隣接車両60rに対する自車両60mの発進、又は停止に関する情報を報知することを特徴とする。
上記構成によれば、動向情報に基づいて実際の移動対象物Aの動きを基に算出した移動速度と、想定移動速度との比較結果に基づいて発進距離を決定し、発進距離に関する運転支援情報として、例えば、自車両60mの停止に関する情報を報知できるため、例えば、自車両60mの車両前方に対する急な飛び出しや高速で接近する移動対象物Aに対しても右側隣接車両60rに対して自車両60mの発進を支援する際の安全性を確保することができる。
また、自車両60mの停車状態から発進する際に、自車両60mに対して衝突のおそれがない移動速度で移動する移動対象物Aが自車両60mの車両前方を通過するまで停止した状態で待機し続けることなく、運転支援情報として適切な発進距離に関する情報を報知できるため、右側隣接車両60rに対して自車両60mの発進をスムーズに支援することができる。
この発明の一実施形態においては、ドライバの発進意図信号を入力するための運転支援スイッチ12を備えたものである。
上記構成によれば、本実施形態の車両の運転支援装置1による車両の運転支援を開始する際には、運転支援スイッチ12を操作するというドライバ自身の積極的な意志に基づいて発進意図信号が入力されることになるため、ドライバにとって車両の運転支援が必要な状況において確実に支援することができ、逆にドライバが運転支援されることを意図していない状況や不要な状況においては、車両の運転支援が意に反して開始することがないため、自車両60mの停車状態から発進する様々な状況に対応してドライバにとって利便性に優れた車両の運転支援装置1を提供することができる。
このように、上記実施例の車両の運転支援処理は、自車両60mの側方で隣接する右側隣接車両60rに対して自車両60mの停車状態からの発進を支援する運転支援方法であって、自車両60mのドライバの発進意図信号を検出可能な運転支援意図検出ステップ(図7中のステップS111)と、自車両60mの車両前方に直交する方向に移動する移動対象物Aの動向情報を検出する移動対象物動向情報検出ステップ(図7中のステップS113)と、自車両60mの車両前方における右側隣接車両60rの先端位置情報を検出可能な右側隣接車両60rの前端位置検出ステップ(図7中のステップS114)と、先端位置情報に基づいて、動向情報により移動対象物Aを検出可能な移動対象物検出可能エリアZAを算出し、移動対象物検出可能エリアZAが所定の大きさになる右側隣接車両60rに対する自車両60mの発進距離を決定する決定ステップ(図7中のステップS116、及び必要発進距離決定ステップ(ステップS213A、ステップS213B、ステップS213C))と、決定ステップにより決定した発進距離Sに関する運転支援情報をドライバに報知する報知ステップとしてのガイド指示ステップ(ステップS214A、ステップS214B、ステップS214C))とを行うことを特徴とする。
上述した構成によれば、先端位置情報に基づいて算出した移動対象物検出可能エリアZAが所定の大きさとなる右側隣接車両60rに対する自車両60mの発進距離Sを決定ステップにより決定し、該決定した発進距離Sに関する運転支援情報をガイド指示ステップにより報知することができる。
これにより、自車両60mに対して隣接する側方で右側隣接車両60rが停車していても、この運転支援情報に基づいて自車両60mを安全に発進させながら移動対象物検出可能エリアZAを拡大させることができるため、ステップS113の移動対象物動向情報検出ステップにより移動対象物Aの検出が右側隣接車両60rにより妨げられない位置まで自車両60mを安全に前進させることができる。
この発明の一実施形態においては、決定ステップ(ステップS213A、ステップS213B、ステップS213C)において、動向情報に基づいて、移動対象物の移動速度を算出し、移動速度と移動対象物の種類に応じて予め設定した想定移動速度との比較結果に基づいて発進距離を決定し、報知ステップ(ステップS214A、ステップS214B、ステップS214C)において、発進距離に関する運転支援情報として、隣接障害物に対する自車両の発進、又は停止に関する情報を報知することを特徴とする。
上記構成によれば、動向情報に基づいて実際の移動対象物Aの動きを基に算出した移動速度と、想定移動速度との比較結果に基づいて発進距離を決定し、発進距離Sに関する運転支援情報として、例えば、自車両60mの停止に関する情報を報知できるため、例えば、自車両60mの車両前方に対する急な飛び出しや高速で接近する移動対象物Aに対しても右側隣接車両60rに対して自車両60mの発進を支援する際の安全性を確保することができる。
また、自車両60mの停車状態から発進する際に、自車両60mに対して衝突のおそれがない移動速度で移動する移動対象物Aが自車両60mの車両前方を通過するまで停止した状態で待機し続けることなく、運転支援情報として適切な発進距離に関する情報を報知できるため、右側隣接車両60rに対して自車両60mの発進をスムーズに支援することができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の隣接障害物は、実施例の側方隣接車両60r,60lに対応し、以下、同様に、運転支援意図検出手段は、運転支援スイッチ12、運転支援意図検出センサ11に対応し、
発進方向は車両前方に対応し、
交差する方向は直交する方向に対応し、
対象物動向検出手段は車体後部探査部15、及び動向情報検出部31に対応し、
先端位置情報は、前端位置情報に対応し、
障害物先端位置検出手段は車体後部探査部15、及び前端位置情報検出部32に対応し、
対象物検出範囲は移動対象物検出可能エリアZAに対応し、
発進量は発進距離Sに対応し、
決定手段は比較判定部34、及び発進距離決定部35に対応し、
ガイド手段(報知手段)は音声出力部16、及びモニタ部17に対応し、
進行許与手段(報知手段)はブレーキ指示部37、及びアクセル指示部38に対応し、
スイッチは運転支援スイッチ12に対応し、
対象物動向検出ステップは移動対象物動向情報検出ステップ(ステップS113)に対応し、
障害物先端位置検出ステップは前端位置検出ステップ(ステップS114)に対応し、
決定ステップは、ステップS116、及び必要発進距離決定ステップ(ステップS213A、ステップS213B、又はステップS213C)に対応し、
報知ステップは、ガイド指示ステップ(ステップS214A、ステップS214B、ステップS214C)、又は/及びブレーキ指示ステップ(ステップS215A、ステップS215B、又はステップS215C)に対応するもこの発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記実施例では、停車状態の自車両60mが前進する際における車両の運転支援について説明したが、本発明の車両の運転支援装置は、停車状態の自車両60mが前進する際の運転支援に限らず、例えば、後進する場合においても運転支援することができる。
具体的には、自車両60mの車体後部側方に、車体後部探査部を備えることができる。また、シフトレバー144の操作ポジションをパーキングモード「P」からリバースモード「R」へ入ったことをシフトセンサ134Sにより検出することにより、自車両60mが後進する場合の車両の運転支援処理を開始することができる。
また、上記実施例の車両の運転支援装置1による運転支援を開始するか否かは、ドライバが発進支援スイッチ12のスイッチ操作と、シフトレバー144の操作ポジションをパーキングモード「P」からドライブモード「D」へ入れる操作との双方の操作により、開始することに限らず、これらのうち、いずれか一方の操作により開始してもよく、或いは、異なる手法により検出してもよい。
車両の運転支援処理の開始を検出する手法としては、例えば、記憶部40に記憶された自車両60mの駐車パターンを基に検出してもよい。
具体的には、運転者が駐車を行う時の、シフトレバー14およびステアリングホイールの操作履歴と各操作間における走行距離とに基づいて、予め設定した駐車パターンのうち、いずれの駐車パターンに該当するか特定し、特定された駐車パターンを記憶部40に記憶させておき、この特定された駐車パターンを駐車状態からの発進時に読み出して、自車両60mの発進が車両の運転支援が必要となる駐車状態からの発進か、或いは、車両の運転支援が不要となる単なる一時停車による発進かを特定してもよい。
また、車体前部側方探査部15や、車体後部側方探査部は車両に対して側方に照射するに限らず、前方、後方、斜め前方、或いは、斜め後方など任意の方向に照射してもよい。
また、自車両60mの発進はクリープ走行を利用するに限らず、アクセル指示部37の指示に基づいてクリープ走行よりも回転数が高くなるようにエンジンECU20を制御してもよい。
また、報知手段としては、音声出力部16とモニタ部17との双方を備えずに、いずれか一方のみでもよい。また、音声出力部16やモニタ部17は、ドライバに対して発進距離に関する運転支援情報を報知可能な構成であれば特に限定しない。例えば、モニタ部17の場合、動向情報検出部31が車体前部右側方探査部15rから検出した移動対象物Aからの反射波を時間軸とともに波形で表示し、この波形の変化によりドライバに対して運転支援情報を報知してもよい。
さらにまた、報知手段としては、音声出力部16、及びモニタ部17を備えずに、ブレーキ指示部37、及びアクセル指示部38のみを備え、実際の自車両60mの発進、或いは停止等の動作に基づいてドライバに対して運転支援情報として運転支援の状況を報知してもよい。
また、移動対象物Aの種類は、上述した歩行者、自転車、車両の3種類に限らず、例えば、歩行者を子供と大人に分類するなど他のカテゴリで分類してもよい。
さらに、図3に示すような移動対象物種類別対応付けテーブル中のパラメータも上述したパラメータに限定せず、例えば、移動対象物の加速度等を採用し、移動対象物ごとに、想定加速度と、検出した移動対象物の加速度とを比較する構成としてもよく、また、必要前進距離の代わりに必要前進時間等としてもよい。また、図3中の各パラメータの値は、上記図3中の値に限定せず、他の値を設定してもよく、適宜、変更可能に構成してもよい。
また、本実施形態の運転支援処理は、図7のフローチャートに示した処理に限定せず、他の処理により行ってもよい。
具体的に、図12、図13に示すフローチャートのように、ステップ117において行う移動対象物の速度判定処理Aの後に、ステップ120において検出角度θと必要検出角度θn2(10°)との比較処理を実行してもよく、その結果に基づいて、次に行う移動対象物の速度判定処理を行うか否かも含めて移動対象物の速度判定処理の種類を決定してもよい。同様に、ステップ118において行う移動対象物の速度判定処理Bの後に、ステップ123において検出角度θと必要検出角度θn3(5°)との比較処理を実行してもよく、その結果に基づいて、次に行う移動対象物の速度判定処理を行うか否かも含めて移動対象物の速度判定処理の種類を決定してもよい。