以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図3および図5は、本発明に係るスキンパック包装体製造装置の一例を示している。本実施形態のスキンパック包装体製造装置101は、フィルム供給部200、フィルム搬送部300、加熱部400、脱気部500、台材供給部600およびシャーユニット700を備えている。スキンパック包装体製造装置101は、台材801、被包装物802およびフィルム803を用いてスキンパック包装体800を製造するためのものである。図1は、スキンパック包装体製造装置101のxy平面図であり、図2は、図1のII−II線に沿うzx平面における断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿うyz平面における断面図である。また、図5は、スキンパック包装体製造装置101の主要部を示す要部斜視図である。
なお、本発明で言う台材としては、被包装物802を適切に保持しつつ、脱気部500による脱気を適切に行いうるものであればよく、一般的な厚紙からなる台紙の他に、一部に切り込み(単なる孔やミシン目などを含む)が設けられた樹脂シート、あるいは多孔質シートなどを採用しうる。なお、本実施形態においては、矩形状の厚紙からなる台材801を例として説明する。また、本発明で言う被包装物は、本発明で言う台材とフィルムとによって適切に包装可能なものであれば、その種類や大きさなどは限定されない。また、本発明でいうフィルムは、一般にシートと呼ばれるものを含む。また、以降の説明においては、スキンパック包装体800は、複数の被包装物802が載置された1つの台材801をフィルム803が密着した覆った構成を指す。このスキンパック包装体800は、各々がたとえば1つずつの被包装物802を含む複数の部分に分割されることにより、店頭などで販売される複数の最終製品となるものである。なお、本願で言うスキンパック包装体は、分割されることなくスキンパック包装体単体で1つあるいは複数の被包装物を有する最終製品として扱われるものであってもよい。
フィルム供給部200は、スキンパック包装体800の製造に供されるフィルム803を供給するものであり、本実施形態においては、フィルムロール210を保持する原反台ユニット240、ダンサーロールユニット220およびフィルムカットユニット230を有している。本実施形態においては、フィルム供給部200は、最終的にフィルム803の面がxy平面に沿う状態でフィルム803をフィルム搬送部300に受け渡すものであり、本実施形態においては、フィルム803は、幅方向がy方向に一致した状態でx方向に供給される。
フィルム803としては、単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成の合成樹脂製フィルムが用いられる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。フィルム803の厚みは、通常30μm〜300μm、好ましくは60μm〜200μmである。
フィルム803の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
本発明においては、フィルム803として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましく、なかでも、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有する樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムが特に好ましい。台材への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂が積層されていることにより、フィルム803の強度が向上する。このため、フィルム803は、加熱部400で過加熱状態となったとしても溶け落ち難いものとなり、高温に加熱することができる。これにより、外気下におかれる脱気部500においてもフィルム803の温度を適切な範囲に保持可能であり、脱気工程の作業効率の向上を図ることができる。さらに、二種三層で構成されたフィルム803であれば、加熱後のフィルム803がカールすることなどを防止することが可能であり、フィルム803の搬送効率やスキンパック包装体800の仕上がりの向上を図ることができる。
二種三層で構成されたフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。本実施形態においては、直鎖状低密度ポリエチレン/脂肪族ポリアミド共重合体/直鎖状低密度ポリエチレンから構成される二種三層のフィルムを使用した。
フィルムロール210は、長尺帯状のフィルム803が巻かれたものであり、回転して繰り出し可能に原反台ユニット240に保持されている。本実施形態においては、2本のフィルムロール210を具備可能とされており、フィルムロール210の段取り替え時間の短縮が意図されている。
ダンサーロールユニット220は、フィルムロール210から送り出されたフィルム803が不当にたるむことを回避するためのものである。ダンサーロールユニット220は、複数のロールを具備しており、フィルムロール210から送り出されたフィルム803が、図1に示すようにこれらのロールにかけ渡されている。これらのロールのいずれかの位置を制御することにより、フィルム803の張力が所望の大きさに調整される。
フィルムカットユニット230は、フィルム803を任意の位置で切断するものであり、たとえばスキンパック包装体800の製造を終了させる際などに適宜用いられる。なお、フィルム供給部200は、フィルム803を加熱部400や脱気部500に向けて適切に供給可能なものであればよく、その具体的構成は上述した構成に限定されるものではない。
フィルム搬送部300は、フィルム供給部200から供給されたフィルム803を、幅方向がy方向に一致する姿勢でx方向に搬送するためのものである。フィルム搬送部300は、1対のカバー310、1対のクランプチェーン320、複数のギヤ330およびモータ340を具備している。本実施形態におけるフィルム搬送部300は、x方向に沿った移動と停止とを繰り返すいわゆるピッチ送りの形式でフィルム803を搬送する構成とされている。なお、本発明で言うフィルム搬送部は、これに限定されず、フィルム803をスキンパック包装体800の製造に適した形態で搬送可能であれば、その具体的構成は本実施形態に限定されない。
図1に示すように、本実施形態においては、2対のギヤ330が採用されている。各対のギヤ330は、x方向において互いに離間配置されている。各ギヤ330は、z方向に延びる軸を中心として回転可能である。2対のギヤ330は、フィルム803の搬送経路を挟んでy方向に互いに離間配置されている。図2に示すように、少なくとも1つのギヤ330は、モータ340によって駆動される。各対のギヤ330ごとにモータ340を設けても良いし、機械的に連動させることにより、2対のギヤ330を1つのモータ340によって駆動してもよい。モータ340は、上述したフィルム803のピッチ送りを可能とすべく、回転量や回転速度が制御される。
1対のクランプチェーン320は、フィルム803を挟持しつつ搬送する部分である。図1に示すように、各クランプチェーン320は、各対のギヤ330に掛け回されている。図4は、図3に示すフィルム搬送部300の一部をさらに拡大した要部拡大断面図である。図6は、フィルム搬送部300を示す要部平面図であり、図7は、図6のVII−VII線に沿うyz平面における要部断面図である。これらの図に示すように、クランプチェーン320は、複数のクランパ321および複数のチェーンピース322を有している。複数のチェーンピース322は、互いに連結されることにより、ギヤ330と噛み合うチェーンを構成している。ギヤ330が回転すると、複数のチェーンピース322が図6において一点鎖線で示す軌道に沿って周回する。複数のクランパ321は、クランプチェーン320の長手方向に沿って並んだ状態でチェーンピース322に取り付けられている。より具体的には、図7に示すように、各チェーンピース322上に各クランパ321が取り付けられている。
クランパ321は、先端部分が開閉可能となっており、この部分によってフィルム803を挟む構造とされている。クランパ321には、ばね(図示せず)が設けられており、外部からの規制を受けない場合には、このばねの弾性力によって前記先端部分が閉状態に保たれている。図7に示すように、各ギヤ330の上部には、傾斜円板331が設けられている。なお、理解の便宜上、図1においては、傾斜円板331を省略している。傾斜円板331は、ギヤ330と一体的に回転駆動され、z方向下方を向く傾斜面332を有している。この傾斜面332にクランパ321が当接すると、前述したばねが弾性変形させられ、クランパ321の先端部分が開状態となる。
図6に示すように、ギヤ330がモータ340の駆動によって回転すると、クランプチェーン320は、y方向内側にある部分がx方向下流側に移動し、y方向外側にある部分がx方向上流側に移動する。図7を参照して説明した通り、傾斜円板331の傾斜面332に当接する位置にあるクランパ321は開状態となり、傾斜円板331の傾斜面332に当接しない位置にあるクランパ321は閉状態となる。x方向上流側からフィルム803が送られてくると、x方向上流側にある傾斜円板331の傾斜面332に当接するクランパ321のうち位置P1にあるものが開状態でフィルム803を向かい入れ、その直後に傾斜円板331から離間することにより閉状態となる。これにより、クランパ321がフィルム803を挟んだ状態で、x方向下流側に向けて移動する。位置P1からx方向下方にある位置P2までの間は、クランパ321は閉状態を維持する。1対のクランプチェーン320が所定の速度および移動量で駆動されることにより、フィルム803がピッチ送りされる。
位置P2においてx方向下流側にある傾斜円板331の傾斜面332にクランパ321が当接すると、クランパ321が開状態となる。これにより、位置P2においてクランパ321によるフィルム803の挟持が解除される。なお、位置P2から傾斜円板331の傾斜面332に当接しつつ折り返した後は、クランパ321は閉状態でy方向外側をx方向上流側に向けて戻される。
本実施形態においては、フィルム搬送部300は、y方向においてクランプチェーン320どうしの距離がたとえば±20mm程度の所定量変更可能とされている。これは、幅寸法が異なる複数種類のフィルム803やサイズが異なる複数種類の台材801などに対応するためである。なお、フィルム搬送部300においてフィルム803を搬送するための機構としては、たとえばカム機構などの機械的機構を採用してもよいし、モータなどの駆動力を利用した電気的機構を採用してもよい。
1対のカバー310は、各々がx方向に長く延びており、y方向において互いに離間配置されている。各カバー310は、たとえば金属板からなる。各カバー310は、クランプチェーン320および1対のギヤ330を覆っており、これらを保護している。
加熱部400は、フィルム803の所定部分をスキンパック包装体800の製造に適した温度に加熱するためのものである。本実施形態においては、加熱部400は、ケース410、上ヒータ421、下ヒータ422、入側シャッタ430および出側シャッタ440を具備している。なお、本発明で言う加熱部は、フィルム803の所定部分を加熱した後に、このフィルム803の所定部分が搬送されることを許容する構成が意図されており、その具体的な構成は本実施形態に限定されるものではない。
ケース410は、上ヒータ421、下ヒータ422およびフィルム搬送部300によって搬送されるフィルム803の所定部分を収容するものであり、たとえば金属板と所定の断熱材とによって形成されている。本実施形態においては、ケース410は、図1、図2および図5に示すように略直方体形状とされている。ケース410には、入側開口411および出側開口412が形成されている。入側開口411は、たとえばy方向を長手方向とする長矩形状であり、フィルムが搬送されるx方向上流側に向かって開口している。出側開口412は、たとえばy方向を長手方向とする長矩形状であり、x方向下流側に向かって開口している。また、本実施形態においては、ケース410は、フィルム搬送部300の一部を収容する構成とされている。このため、カバー310は、クランプチェーン320を上ヒータ421および下ヒータ422の熱から保護する機能を果たしている。
上ヒータ421は、フィルム803の搬送経路に対してz方向上方に配置されており、たとえば複数の電熱ヒータからなる。下ヒータ422は、フィルム803の搬送経路に対してz方向下方に配置されており、たとえば複数の電熱ヒータからなる。本実施形態においては、フィルム803に対して、上ヒータ421よりも下ヒータ422の方が遠い位置に設けられている。また、本実施形態においては、上ヒータ421、下ヒータ422が、それぞれ6本の電熱ヒータによって構成されている。上ヒータ421を構成する6本の電熱ヒータは、z方向における位置が同一とされており、x方向において等ピッチで配置されている。下ヒータ422を構成する6本の電熱ヒータは、z方向における位置が同一とされており、x方向において上ヒータ421を構成する6本の電熱ヒータと一致するように等ピッチで配置されている。また、本実施形態においては、図8に示すように、加熱部400は、出側ヒータ423を有している。出側ヒータ423は、たとえば1本の電熱ヒータからなり、上ヒータ421を構成する電熱ヒータのうちx方向下流側に位置するものに対してx方向下流側に若干シフトした位置に設けられている。また、出側ヒータ423は、上ヒータ421に対してz方向下方側に若干シフトした位置に設けられている。これにより、出側ヒータ423は、出側開口412および出側シャッタ440に比較的近接している。このような出側ヒータ423により、出側開口412付近においてもフィルム803の加熱を適切に行うことができる。このため、仮に、出側シャッタ440によるフィルム803の挟持に起因して、その接触痕やしわがフィルム803に比較的大きく生じたとしても、脱気部500におけるスキンパック包装体の製造時にフィルム803を綺麗に伸ばしながら台材801に密着させることが可能であり、スキンパック包装体をより美麗に仕上げることができる。
上ヒータ421および下ヒータ422を構成するそれぞれ6本の電熱ヒータは、たとえば隣合う2本ごとに、あるいは1本ずつ個別に、温度を個別に設定可能とされている。これにより、上ヒータ421および下ヒータ422は、設定温度がx方向に沿って可変となっている。これにより、フィルム803をx方向においてより均一に加熱することが可能である。さらに、フィルム搬送部300の搬送ピッチが比較的短い場合に、フィルム803のx方向における一部分を選択的に加熱することができる。なお、上ヒータ421および下ヒータ422は、x方向およびy方向のそれぞれに沿って設定温度が可変である構成であってもよい。このような構成の一例としては、個別に温度を設定可能な複数の加熱ブロックをx方向およびy方向にマトリクス状に配置した構成が挙げられる。このような構成であれば、幅方向寸法が顕著に異なる複数種類のフィルム803を適切に加熱することができる。また、上ヒータ421および下ヒータ422、また出側ヒータ423は、電力を用いた様々なヒータによって構成されうるものであり、あるいは電力以外のガスなどの燃料を熱源とするものであってもよい。
入側シャッタ430は、ケース410の入側開口411を部分的に覆うものであり、本実施形態においては、固定シャッタ431および可動シャッタ432からなる。固定シャッタ431は、たとえばy方向を長手方向とする長矩形状板であり、その下端がフィルム803の搬送経路のz方向直上に位置するように配置されている。可動シャッタ432は、たとえばy方向を長手方向とする長矩形状板であり、本実施形態においては、エアシリンダ433によってz方向に昇降自在とされている。図2は、可動シャッタ432が下方位置にある状態を示している。可動シャッタ432が上方位置におかれると、後述するように可動シャッタ432の上端が固定シャッタ431の下端との間にたとえば10〜20mm程度の隙間が生じる状態となる。
出側シャッタ440は、ケース410の出側開口412を部分的に覆うものであり、本実施形態においては、固定シャッタ441および可動シャッタ442からなる。固定シャッタ441は、たとえばy方向を長手方向とする長矩形状板であり、その下端がフィルム803の搬送経路のz方向直上に位置するように配置されている。可動シャッタ442は、たとえばy方向を長手方向とする長矩形状板であり、本実施形態においては、エアシリンダ443によってz方向に昇降自在とされている。図2は、可動シャッタ442が下方位置にある状態を示している。可動シャッタ442が上方位置におかれると、後述するように可動シャッタ442の上端がフィルム803を挟んで固定シャッタ441の下端に押し当てられる状態となる。なお、本発明で言う出側シャッタは、加熱部400の上ヒータ421および下ヒータ422など、本発明で言う加熱部の熱源に対して搬送方向下流側に配置されるものであればよい。
なお、入側シャッタ430および出側シャッタ440は、後述するフィルム803の搬送および加熱を適切に実現することが意図された構成とされているが、入側シャッタ430および出側シャッタ440の具体的な構成(寸法、形状などのほか、上下のシャッタをともに可動シャッタとすることなども含む)や、可動シャッタ432,442を駆動するための駆動源などは、様々な構成を適宜採用できる。また、入側シャッタ430および出側シャッタ440は、たとえば図示しない内蔵パイプなどによって水冷されることが好ましい。
脱気部500は、台材801とフィルム803との間の空気を脱気するためのものであり、本実施形態においては、脱気テーブル510、昇降機構520および押さえ枠530を具備している。脱気部500は、加熱部400に対して搬送方向であるx方向下流側に配置されており、本実施形態においては、加熱部400と脱気部500とが互いに隣接する構成とされている。
脱気テーブル510は、載置面の空気を吸引できる構成であれば特に限定されず、たとえば、金属などからなるブロックや板などに孔を設けたものや、セラミック等の多孔質材であるもの、あるいはそれらを組み合わせたものなどが挙げられる。図11は、脱気部500を示すzx平面に沿う断面図である。本図に示すように、本実施形態では、脱気孔が設けられた矩形状の金属板が使用されており、その上面に台材801を載置可能とされている。前記金属板の具体例を挙げると、たとえば、厚さが1.6mm程度の鋼板に直径3mm程度の脱気孔が5〜8mm程度のピッチで千鳥状に形成された、いわゆるパンチングメタルが用いられる。前記脱気孔の配置密度は、後述する脱気工程を行うのに十分な吸引力を発揮可能な程度に設定される。なお、セラミック板を用いる場合は、xy方向における吸引力の均一化や、前記脱気孔による吸引力を、脱気工程に適合させるように緩和するなどの目的で用いてもよい。前記脱気孔は、脱気テーブル510に取り付けられた脱気ライン511に繋がっている。脱気ライン511は、図示しない吸引源に接続されている。この吸引源が吸引力を発揮すると、脱気テーブル510の上面全体から脱気される。
昇降機構520は、脱気テーブル510を昇降自在に支持している。昇降機構520は、たとえばz方向に起立したねじ軸およびナットなどからなるボールねじと、z方向におけるスムーズな昇降をサポートするガイドなどとによって構成される。本実施形態においては、昇降機構520は、モータ521によって前記ねじ軸が駆動されることにより、脱気テーブル510を昇降自在となっている。図11は、脱気テーブル510が下方位置に置かれた状態を示している。昇降機構520によって脱気テーブル510が上方位置に置かれると、脱気テーブル510の上面がフィルム803の搬送経路よりも若干上方に位置する状態となる。なお、脱気ライン511は、脱気テーブル510が昇降することに対応して変形可能な、たとえば屈曲性および伸縮性を有するホースなどによって構成されている。
押さえ枠530は、z方向においてフィルム803の搬送経路を挟んで脱気テーブル510の直上に配置されている。押さえ枠530は、台材801の外形に対応した矩形枠状とされている。押さえ枠530は、たとえばエアシリンダ531によって昇降自在とされている。図2は、押さえ枠530が上方位置とされた状態を示している。本実施形態においては、押さえ枠530が下方位置とされると、押さえ枠530の下端がフィルム803の搬送経路の若干上方に位置する。これにより、昇降機構520によって上方位置とされた脱気テーブル510の上面と、エアシリンダ531によって下方位置とされた押さえ枠530の下端とは、台材801およびフィルム803を介して互いに接しうる関係となる。
本実施形態においては、たとえば押さえ枠530にエアノズル532が取り付けられている。エアノズル532は、押さえ枠530によって囲まれた領域に向けて任意のタイミングで空気を噴出するために設けられている。エアノズル532の具体例としては、たとえば、押さえ枠530に取り付けられたパイプに複数の噴出孔が設けられた構成が挙げられる。または、複数の先端部を有するように分岐したエア供給配管に、いわゆるノズルチップを取り付けた構成であってもよい。あるいは、押さえ枠530を中空部材によって形成し、この中空部材の適所に複数の噴出孔を設けた構成であってもよい。なお、エアノズル532は、押さえ枠530によって囲まれた領域に噴出する構成が好ましいが、たとえば押さえ枠530を備えない構成の場合、脱気された後のフィルム803の冷却されるべき部位に適切にエアを噴出可能な構成であればよい。
台材供給部600は、被包装物802が載置された台材801を脱気部500に向けて供給するためのものである。より具体的には、図1に示すように、脱気部500に対してy方向における図中下方位置において、台材801に被包装物802を載置する作業領域が設定されている。そして、台材供給部600は、被包装物802が載置された台材801を前記作業領域からy方向における図中上方に向けて脱気部500へと供給する。本実施形態の台材供給部600は、1対のサポートチェーン610、複数のギヤ620およびモータ630を具備している。
本実施形態においては、2対のギヤ620が採用されている。各対のギヤ620は、y方向において互いに離間配置されている。各ギヤ620は、x方向に延びる軸を中心として回転可能である。2対のギヤ620は、z方向視(平面視)において脱気テーブル510を挟んでx方向に互いに離間配置されている。図3に示すように、y方向において同じ位置にある2つのギヤ620を連結するロッドが、たとえばモータ630によって駆動される。
1対のサポートチェーン610は、被包装物802が載置された台材801を搬送する部分である。各サポートチェーン610は、各対のギヤ620に掛け回されている。図3に示すように、サポートチェーン610は、z方向において、フィルム803の搬送経路と下方位置とされた脱気テーブル510の上面との間に位置している。図3および図5に示すように、サポートチェーン610は、複数の位置決めピン611を有している。複数の位置決めピン611は、サポートチェーン610からz方向外方に突出している。本実施形態においては、6つずつの位置決めピン611が1つの台材801の四隅とy方向中央とに対応する位置に配置されている。たとえば、台材801の四隅とy方向中央とに切り欠きが設けられることにより、台材801と6つの位置決めピン611とが係合し、台材801が1対のサポートチェーン610に対して位置決めされる。図3に示すように、2対のサポートチェーン610には、6つずつの位置決めピン611が等間隔で設けられている。また、本実施形態においては、図1および図5に示すように、1対のサポートチェーン610を連結する複数の連結バー612が設けられている。各連結バー612は、台材801の四隅に位置する位置決めピン611に隣接した位置であって、台材801には重ならない位置に設けられている。なお、台材801の厚さや大きさ、あるいは被包装物802の重量や個数などの条件によって、台材801を保持することが好ましい場合、台材801に重なる位置に連結バー612を設けてもよい。また、連結バー612と直交する方向に延びるバーを追加してもよい。このような構成の場合、後述する脱気工程を適切に行うために、脱気テーブル510を連結バー612などと干渉しないようにx方向あるいはy方向において適宜分割した構成とすればよい。
本実施形態においては、上述した作業領域から脱気テーブル510の直上まで台材801を供給する動作を、モータ630の出力軸が所定角回転することにより実現している。すなわち、前記作業領域中央と脱気テーブル510の中央との距離、ギヤ620の直径、歯数とサポートチェーン610の仕様とを合わせ込むことにより、モータ630を所定の回転角だけ回転させたときにサポートチェーン610(台材801)の移動量が前記作業領域と脱気テーブル510との距離に一致している。これにより、たとえばエンコーダなどによってモータ630の出力軸の回転角を検出することによって、台材801を正確な位置に供給することができる。
シャーユニット700は、脱気部500に対してx方向下流側に配置されており、フィルム803を切断するためのものである。図2に示すように、シャーユニット700は、切断刃710を有している。切断刃710は、たとえばフィルム搬送部300に同期して任意のタイミングで昇降自在とされている。脱気部500における脱気によって完成したスキンパック包装体800がシャーユニット700を通過した後に切断刃710を下降させることにより、長尺帯状のフィルム803から単体のスキンパック包装体800を離脱させることができる。
本実施形態においては、図2に示すように、シャーユニット700のx方向上流側に隣接する位置に、エア噴出パイプ720が設けられている。エア噴出パイプ720は、y方向に長く延びており、x方向下流側に開口する複数の噴出孔が形成されている。たとえば、スキンパック包装体800の製造前の準備段階や製造終了後に、端材となったフィルム803の一部をエア噴出によってシャーユニット700のx方向下流側に排出する機能を果たす。
なお、シャーユニット700を採用することに代えてたとえば、打ちぬき加工機を採用してもよい。この打ちぬき加工機は、完成したスキンパック包装体800を打ちぬくことにより、各々が1つずつの被包装物802を具備する複数の個片の最終製品へと分割する。
次に、スキンパック包装体製造装置101を用いたスキンパック包装体の製造方法の一例について、以下に説明する
まず、図1および図2に示すフィルム供給部200からフィルム803が供給される。このフィルム803のx方向先端を繰り出し、フィルム搬送部300の上流側で1対のクランプチェーン320のクランパ321に挟持される。クランプチェーン320を移動させることにより、順次クランパ321によってフィルム803が挟持され、フィルム搬送部300によるピッチ送りによって、フィルム803が加熱部400に到達する。フィルム803のy方向幅の一例を挙げると、たとえば450mm程度である。
<加熱工程>
図8は、加熱部400のケース410内にフィルム803が導かれた状態を示している。フィルム803が導かれると、フィルム搬送部300によるフィルム803の搬送が一時停止状態となる。また、入側シャッタ430の可動シャッタ432と出側シャッタ440の可動シャッタ442とが上昇する。これにより、図9に示すように、ケース410の入側開口411と出側開口412とが塞がれた状態となる。なお、本実施形態においては、図9における部分拡大図で示すように、入側シャッタ430の固定シャッタ431の下端と可動シャッタ432の上端とは、近接しつつもフィルム803を挟んで若干の隙間を隔てた関係となっている。一方、出側シャッタ440の固定シャッタ441の下端と可動シャッタ442の上端とは、フィルム803を確実に挟む関係となっている。この状態で、上ヒータ421と下ヒータ422とによってフィルム803を加熱する。この加熱によってフィルム803が軟化することとなり、ケース410内においては、フィルム803が下方に撓み得る(いわゆる、ドローダウンした状態となる)。
フィルム803の加熱目標温度は、通常80℃〜180℃、好ましくは90℃〜170℃である。この加熱目標温度を達成するには、加熱部400において、上ヒータ421の設定温度をたとえば380℃程度、下ヒータ422の設定温度を上ヒータ421よりもたとえば50℃程度低い330℃程度とする。
所定時間の加熱が完了すると、図10に示すように、入側シャッタ430の可動シャッタ432と出側シャッタ440の可動シャッタ442とが下降する。そして、フィルム搬送部300によるピッチ送りが1ピッチ分なされることにより、フィルム803のうちケース410内において加熱された加熱部分がケース410から排出され、加熱部400のx方向下流側隣接位置に搬送される。このフィルム803の加熱部分は、加熱工程に続く脱気工程が行われる。
また、フィルム803の加熱部分が排出されたときには、図1および図3に示す前記作業領域において複数の被包装物802の載置が完了した台材801が、台材供給部600によって前記作業領域から脱気テーブル510の直上に供給されている。なお、台材供給部600による台材801の供給速度は可変自在であり、たとえば低速および高速の2段階の速度設定とされている。台材801を供給する際の始動時および停止時には、低速設定が選択される。そして、始動時および停止時以外の定常時には、高速設定が選択される。このような速度設定により、始動時および停止時に台材801上において被包装物802の位置がずれてしまうことを防止することができる。これは、被包装物802が転動しやすい形状である場合に特に有効である。
なお、フィルム搬送部300によるピッチ送りの1ピッチ分の寸法Lcは、台材801のx方向における寸法Lbよりも大である。本実施形態においては、寸法Lcが335mm程度、寸法Lbが260mm程度である。また、本実施形態においては、ケース410のx方向における寸法Lhは、寸法Lcよりも若干大とされており、たとえば350mm程度である。寸法Lc,Lb,Lhについては適宜設定され、寸法Lhと寸法Lcとは同一であってもよい。また、寸法Lcは、フィルム搬送部300のクランプチェーン320の移動ピッチを調節することにより、台材801の寸法Lbなどに応じて適宜変更可能であり、たとえば、台材801の寸法Lbが寸法Lhの1/2以下と小さい場合には、寸法Lcは寸法Lhの1/2程度であってもよい。
<脱気工程>
図11は、加熱工程を終えたフィルム803の加熱部分が、脱気テーブル510の直上に搬送された状態を示している。この状態で、フィルム搬送部300は、一時停止する。フィルム803の加熱部分が到達したときには、脱気テーブル510は下方位置にあり、押さえ枠530は上方位置にある。
次いで、図12に示すように、モータ521によって昇降機構520を駆動することにより、脱気テーブル510を上昇させる。図12は、脱気テーブル510が台材供給部600の1対のサポートチェーン610の間から台材801の直下に到達した状態を示している。
さらに、昇降機構520による脱気テーブル510の上昇を継続することにより、複数の被包装物802が載置された台材801が脱気テーブル510の上面によって支持される状態となる。そして、図13に示すように、脱気テーブル510が上方位置に到達すると、複数の被包装物802および台材801がフィルム803の加熱部分を上方に押し上げる格好となる。
次いで、図14に示すように、エアシリンダ531によって押さえ枠530を下降させる。これにより、押さえ枠530の下端と台材801の4辺周端部とによってフィルム803が挟まれることとなる。
この状態で図15に示すように、脱気ライン511による脱気を行う。これにより、台材801とフィルム803との間にあった空気が脱気され、軟化状態にあるフィルム803の加熱部分のほとんどが、複数の被包装物802および台材801の上面に伸ばされながら密着する。本実施形態においては、台材801の上面に感熱式の接着剤があらかじめ塗布加工されている。この感熱式の接着剤は、フィルム803が持つ熱が伝えられることにより、適度な接着力を発現する。また、本実施形態においては、脱気テーブル510による脱気が十分に完了したタイミングで、エアノズル532からエアを噴出する。このエアは、押さえ枠530に囲まれた領域にあるフィルム803に吹きかけられる。これにより、フィルム803の加熱部分が冷却され、フィルム803の被包装物802への密着および台材801への接着が完了する。
次いで、図16に示すように、押さえ枠530を上方位置に上昇させるとともに、脱気テーブル510を下方位置に下降させる。このとき、形成されたスキンパック包装体800は下方から支持されることなくクランパ321に挟持されたフィルム803でのみ保持されることになる。したがって、フィルム803と台材801の接合においては、短時間で所定の接着強度を発現させる必要がある。本実施形態においては、上述したとおりエアノズル532からエアを噴出して冷却する機構を備えていることから短時間で所定の接着強度を得ることが可能である。これにより、製造ピッチ速度を上げる、すなわち生産性の向上を図ることができる。また、一般的に、フィルム803は、徐冷されるほど白化する傾向があり、透明性が損なわれるおそれがある。しかし、本実施形態によれば、フィルム803を短時間で冷却できることから、フィルム803の透明性を維持し易い。
そして、本実施形態においては、脱気が完了したスキンパック包装体800をフィルム搬送部300によって搬送することに先立ち、台材供給部600によって次のスキンパック包装体800を構成するための被包装物802が載置された台材801が脱気部500に供給される。したがって、脱気が完了したスキンパック包装体800と、これから脱気工程が行われる台材801および被包装物802とが、z方向視において重なる状態をとる。
次いで、図17に示すように、フィルム搬送部300によるピッチ送りを行う。これにより、脱気部500によって形成されたスキンパック包装体800が脱気部500のx方向下流側に排出される。そして、フィルム搬送部300によるピッチ送りを適宜行うことにより、このスキンパック包装体800がシャーユニット700を通過する。シャーユニット700によるフィルム803の切断を行うと、単体のスキンパック包装体800が得られる。
スキンパック包装体製造装置101においては、複数のスキンパック包装体800を連続して製造することが意図されている。たとえば、脱気部500において、あるスキンパック包装体800を製造するための脱気工程を行なっている際に、加熱部400において、次のスキンパック包装体800を製造するためのフィルム803の加熱工程を同時に行う。また、これらと並行して、前述した作業領域において、次のスキンパック包装体800に用いられる複数の被包装物802を台材801に載置する作業を行う。これらの工程を連続して繰り返し行うことにより、複数のスキンパック包装体800が製造される。
次に、スキンパック包装体製造装置101およびこれを用いたスキンパック包装体の製造方法の作用について説明する。
本実施形態によれば、加熱部400における加熱工程を終えたフィルム803をx方向に搬送した後は、脱気部500における脱気工程と加熱部400における次のスキンパック包装体800のための加熱工程とを同時に行うことができる。これにより、加熱部400における加熱工程が完全に終了するまでの間、脱気部500を待機させておく必要がない。したがって、複数のスキンパック包装体800をより効率良く製造することができる。
加熱部400に入側シャッタ430および出側シャッタ440を備えることにより、上ヒータ421および下ヒータ422からの熱がケース410外に逃げてしまうことを抑制することができる。特に、出側シャッタ440において、固定シャッタ441と可動シャッタ442とがフィルム803を挟んで全閉状態をとりうる構成とすることにより、隣接する脱気部500が上ヒータ421および下ヒータ422の熱にさらされることを回避することができる。これは、加熱部400と脱気部500との距離を近づけるのに適している。当該距離を近づけることにより、フィルム803の送りピッチを短くすることが可能であり、台材801に対し、使用するフィルム803を節約することができる。また、被包装物802が加熱部400からの熱を受けにくいことは、たとえば食品や医薬品、化粧品など熱を受けることを避けるべき被包装物802を扱うのに好適である。
また、出側シャッタ440が開状態をとることにより、加熱工程によってフィルム803が下方に撓んだ状態(いわゆる、ドローダウン状態)であっても、フィルム803が出側シャッタ440の特に可動シャッタ442に接触することを防止することができる。下ヒータ422が上ヒータ421よりもフィルム803に対して離間していることにより、加熱工程において撓んできたフィルム803が下ヒータ422に不当に接触してしまうことを回避することができる。また、加熱によってドローダウン状態となると、下ヒータ422にフィルム803がより近接して過加熱となり、ドローダウンが加速し得る。しかし、下ヒータ422が離間していることにより、想定外の過加熱を避け、安定してフィルム803の加熱を行うことができる。なお、上ヒータ421および下ヒータ422をフィルム803に対して同一長で離間させてもよいが、その場合は、下ヒータ422の温度を上ヒータ421の温度より低温とすることが好ましい。そうすることで、下ヒータ422を離間させることと同様の効果が得られ、安定してフィルム803の加熱を行うことができる。さらに、下ヒータ422が上ヒータ421よりもフィルム803に対して離間させ、かつ下ヒータ422の温度を上ヒータ421の温度より低温とすることが特に好ましい。
また、図10を参照して説明した通り、本実施形態においては、加熱部400の寸法Lhがフィルム搬送部300の送りピッチである寸法Lcよりも若干大とされている。寸法Lcは、フィルム搬送部300のピッチ送りの設定を調整することにより、比較的変更が容易である。寸法Lhを寸法Lcの想定される最大寸法以上としておくことにより、フィルム803のうちスキンパック包装体800を製造するのに十分な大きさの部位を適切に加熱することができる。また、加熱部400の端寄り部分においては、フィルム803に加熱不足となる場合が想定されるが、寸法Lhに対して寸法Lbが小であることにより、加熱不足の部分が生じたとしても、この部分を台材801から外した状態で脱気工程を行うことができる。
さらに、入側シャッタ430が全閉しない構成であることにより、加熱工程を経た後であっても、フィルム803には入側シャッタ430の接触痕が残らない。寸法Lhと寸法Lcとが異なっているため、フィルム803のうち入側シャッタ430の隙間にあった部分は、出側シャッタ440によって挟まれる部分とはならないが、入側シャッタ430の接触痕が残らないため、スキンパック包装体800に意図しない接触痕が残存してしまうことを回避することができる。
台材供給部600について、フィルム搬送部300によるフィルム803の搬送方向であるx方向と交差する方向であるy方向において台材801を供給する構成とすることにより、加熱工程や脱気工程と並行して、台材801に被包装物802を載置する作業を行うことができる。これは、複数のスキンパック包装体800を連続して効率良く製造するのに適している。
脱気部500において、脱気テーブル510と押さえ枠530とによって台材801およびフィルム803を挟む構成とすることにより、台材801とフィルム803との間の気密性を高めることができる。これにより、台材801とフィルム803との間をより確実かつより迅速に脱気することが可能である。また、脱気テーブル510を上昇させて複数の被包装物802および台材801がフィルム803の加熱部分を上方に押し上げた後で押さえ枠530を下降させることにより、フィルム803を張った状態にして押さえ枠530で押さえることができる。これにより、フィルム803にしわが生じることを抑制して、スキンパック包装体を美麗に仕上げることができる。エアノズル532による冷却を採用することにより、脱気工程をより迅速に完了することができる。
図18は、台材供給部600の変形例を示している。本変形例においては、各対のギヤ620どうしのy方向距離が、上述した構成よりも長く設定されている。これにより、台材801に複数の被包装物802を載置するための作業領域が2箇所設けられている。2箇所の作業領域の使用形態としては、たとえば、脱気部500から遠い側の作業領域において台材801をサポートチェーン610にセットする作業を行い、脱気部500に近い側の作業領域において複数の被包装物802を台材801に載置する作業を行う、といった形態を実施できる。
図19および図20は、台材供給部600の他の変形例を示している。本変形例においては、台材供給部600は、サポートフレーム615およびエアシリンダ640を具備している。サポートフレーム615は、たとえばy方向に長く延びる長矩形枠状であり、2つの台材801を保持可能である。また、サポートフレーム615は、y方向においてスライド可能に支持されている。エアシリンダ640は、サポートフレーム615をy方向において往復動させるための駆動源の一例である。
図19に示す状態においては、図中上方にある台材801に対して脱気部500による脱気工程を行い、これと並行して図中下方にある台材801に対して複数の被包装物802を載置する作業を行う。脱気工程が完了すると、エアシリンダ640によってサポートフレーム615をスライドさせ、図20に示す状態とする。この状態においては、図中下方にある台材801に対して脱気部500による脱気工程を行い、図中上方にある台材801に対して複数の被包装物802を載置する作業を行う。このように、本変形例においては、脱気部500を挟んで図中上方と図中下方とに交互に作業領域が設定される。たとえば、作業領域が設定されていない側において、サポートフレーム615以外の場所で台材801に複数の被包装物802を載置する作業を行い、サポートフレーム615が到達した後に、載置作業が完了した台材801をサポートフレーム615に保持させてもよい。なお、図1および図2に示した構成においては、台材801のx方向外側にサポートチェーン610の周回軌道が設定されているが、本変形例においては、サポートチェーン610の周回軌道よりもx方向における内側にサポートフレーム615およびサポートフレーム615をスライドさせるためのたとえばスライドレール等を配置することが可能である。これにより、加熱部400と脱気部500とをさらに接近させることができるため、フィルム803の送りピッチを短くすることや、台材801に対して使用するフィルム803を節約することなどが可能である。
本発明に係るスキンパック包装体製造装置およびスキンパック包装体の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るスキンパック包装体製造装置およびスキンパック包装体の製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
本発明で言う脱気部は、上述した押さえ枠530を備える構成が好ましいが、押さえ枠530を備えない構成であってもよい。たとえば、脱気テーブル510と台材801、さらにはフィルム803の加熱領域を適切に設定すれば、フィルム803の脱気を良好に行うことが可能である。具体的には、本発明においては上述のとおり脱気テーブル510の上面がフィルム803の搬送経路よりも若干上方に位置する状態となる。このため、この脱気テーブル510を台材801より大きくすれば、脱気テーブル510の上面四辺とフィルム803とを密着させることが可能であり、台材801とフィルム803とに挟まれた空間を密封することができる。
上述した実施形態においては、あるスキンパック包装体800を製造するための脱気部500における脱気工程と、次のスキンパック包装体800を製造するためのフィルム803の一部に対する加熱部400における加熱工程とを、同時に行うことが意図されている。このような構成は、複数のスキンパック包装体800を連続して効率良く製造するのに好適である。しかし、本発明で言う加熱工程と脱気工程との関係は、あるスキンパック包装体を製造するための脱気を行うときに、次のスキンパック包装体を製造するためのフィルムが加熱部内に存在していることにより加熱可能な状態となっている構成を含むものであり、必ずしも脱気と加熱とが同時に重ねて行われていることを必須とするものではない。また、本発明で言うフィルムは、上述した帯状のフィルム803のほかに、1つのスキンパック包装体を形成するために必要なサイズとされた、いわゆる枚葉状態のフィルムであってもよい。すなわち、あるスキンパック包装体を製造するために脱気工程を行う際に、次のスキンパック包装体を製造するための枚葉化されたフィルムが加熱装置内に存在していることにより加熱可能な状態となっている構成を含む。