JP6114220B2 - せん孔作業車両用冷房システムおよびこれを備えるせん孔作業車両、並びに工業用水の運用システムおよび運用方法 - Google Patents
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Description
これら文献に記載の冷却システムは、通常のエアコン同様のシステム構成であって、コンプレッサで冷媒を圧縮して液化し、液化した冷媒が、コンデンサからレシーバを介してエバポレータ内に噴射されて気化し、気化した冷媒がエバポレータ周りの熱を奪ってエバポレータを冷やし、そこに送風機の風を通過させて作業車両のオペレータに向けて冷風を供給するものである。
特に、上述のように、一般的なエアコンは常時外気を導入し、冷媒にて空気を冷却する構造である。従って、坑内雰囲気の温度が非常に高い場合は、一般的なエアコンでは能力不足となり、冷房効果が期待できない場合がある。そのため、このような状況に対応するためには、より消費電力が大きく、能力の高いエアコンが必要となり、電力コストだけでなく電力設備コストも必要となり、好ましくないという問題がある。
このような電力消費量や電力設備コストの問題は、トンネルや鉱山等の坑内で用いられるせん孔作業車両のように、外部からの電力供給に制限を受けやすい作業環境で使用される作業車両においては極めて重要な問題である。
従来、せん孔作業車両に供給される工業用水は、フラッシングの他、さく岩機の作動油の冷却に用いられるところ、本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、工業用水を更に効果的に使用することができるとの知見を得た。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、さく岩機を有するせん孔作業車両に用いられてオペレータの作業空間を冷房する冷房システムであって、さく岩機に供給する工業用水とオペレータの作業空間を冷房するための空気とをフラッシング用水として用いる前の段階で熱交換する冷房装置と、該冷房装置で冷却された空気を前記作業空間に送気する送風機とを有することを特徴とする。
ここで、本発明の第一の態様に係るせん孔作業車両用冷房システムにおいて、前記作業空間の周囲を囲うシート部材を有することは好ましい。このような構成であれば、作業空間が外気温度で可及的に温まらないようにする上で好適である。
本発明の第二の態様に係るせん孔作業車両によれば、第一の態様に係るせん孔作業車両用冷房システムが備えられているので、コンプレッサを不要として電力消費を抑制しつつ、オペレータの作業空間を冷房することができる。また、せん孔作業車両にて使用される工業用水をより効率良く使用することができる。
さらに、上記課題を解決するために、本発明の第四の態様は、さく岩機のせん孔用に供給される工業用水を運用する方法であって、オペレータの作業空間に送るための空気と工業用水とを熱交換し、その後に、前記空気と熱交換して昇温した工業用水とさく岩機の作動油とを熱交換し、その後に、前記作動油と熱交換して昇温した工業用水をフラッシング用水としてさく岩機に供給することを特徴とする。
図1に示すせん孔作業車両は、トンネルや鉱山等の坑内において、さく孔作業に使用される作業車両である。同図に示すように、このせん孔作業車両1は、前後に走行用の車輪14およびアウトリガ16を有する台車2を備えている。台車2は、前部車体21と後部車体22とが別体に形成され、相互が連結機構23により左右方向に屈曲自在に連結されたアーティキュレート式となっている。
前部車体21の上部には、走行時の運転席24が設けられている。また、また、前部車体21の上部前方には、上記さく孔装置20によるさく孔等を行う、走行以外の操作部25が設けられている。運転席24および操作部25がオペレータPの作業空間Sになっている。
詳しくは、図2にシステム構成のブロック図を示すように、この工業用水の運用システム40は、冷房装置50、作動油冷却装置60およびフラッシング用流体供給部70を備えている。
冷房装置50は、工業用水の供給口53および排出口54を有する。供給口53は、配管93および給水用バルブ94を介して不図示の工業用水源に接続され、給水用バルブ94を開くことにより、工業用水が工業用水供給口53から供給される。工業用水排出口54には、工業用水排出用の配管95が接続されている。また、冷房装置50には、空気導入口51と空気排出口52が設けられている。空気導入口51は、配管91を介して送風機80に接続されており、また、空気排出口52には、オペレータPの作業空間Sに繋がる送気管路92が接続されている。
これにより、胴体55の風洞内の空気と多数の冷却管56を流れる工業用水との間で熱交換が行われる。熱交換により冷却された空気は、空気排出口52から送気管路92を介して作業空間Sの内に導かれる。一方、熱交換により昇温された工業用水は、工業用水排出口54から配管95を介して作動油冷却装置60に導かれる。なお、作動油冷却装置60は、前部車体21の機台32下部に装備されている(図1参照)。
そして、図2に示すように、作動油冷却装置60にて油圧回路84の作動油と熱交換後の工業用水は、冷却水排出口62から配管96を介してドリフタ12のフラッシング用流体供給部70に導入される。これにより、作動油冷却装置60を経由して昇温した工業用水は、フラッシング用水としてフラッシング用流体供給部70からドリフタ12に供給されるようになっている。
せん孔作業車両1でさく孔作業を行う場合には、さく孔位置付近までせん孔作業車両1を走行させ、アウトリガ16を張り出して台車2の安定を確保する。次いで、ガイドシェル15をブーム13でさく孔位置に移動させ、その後、ドリフタ12を駆動してさく孔をする。さく孔作業時は、繰粉排出用のフラッシング流体がドリフタ12に供給され、繰粉を排出しつつさく孔が行われる。トンネルや鉱山等の坑内では、労働衛生上の見地から繰粉排出用のフラッシング流体には工業用水が用いられる。
上記冷房装置50と送風機80による冷房効果を確認するために、性能確認試験を実施した。表1に性能確認試験の結果を示す。なお、冷房効果の測定は、熱電対式温度計を用いて測定対象の温度を測定した。冷房装置50のエア出口温度(空気排出口52の位置)の測定結果は、測定温度が定常となったときの温度を記録した。
そして、この冷房装置50は、水源から順次供給される工業用水を冷媒としており、昇温した工業用水を循環することなく作動油冷却装置60に送る構成なので、オペレータの作業空間を冷房するための空気を、コンプレッサを要いることなく冷却することができる。また、このせん孔作業車両1の冷房システムは、作業空間Sの周囲を囲うシート部材であるカーテン59を有するので、作業空間Sが外気温度で可及的に温まらないようにすることができる。
このように、このせん孔作業車両1によれば、上記冷房システムを含む工業用水の運用システム40により、供給時に比較的低温である工業用水を冷媒として用い、冷房装置50および作動油冷却装置60の順に段階的に昇温させ、冷媒として用いた後には、フラッシング用流体供給部70に送ってフラッシング用流体として更に用いるので、コンプレッサを不要として電力消費を抑制しつつオペレータPの作業空間Sを冷房し、作動油の冷却を行い、さらに、フラッシング用流体を供給するという3つの目的を効率良く全て果たすことができる。よって、せん孔作業車両1にて使用される工業用水をより効率良く使用することができる。
例えば、上記実施形態では、作業空間Sの周囲を囲うシート部材であるカーテン59を備えた例で説明したが、これに限定されず、カーテン59を設けない構成としてもよい。しかし、作業空間Sが外気温度で可及的に温まらないようにする上では、作業空間Sの周囲を囲うシート部材を設けることが好ましい。
2 台車
12 ドリフタ(さく岩機)
13 ブーム
14 車輪
15 ガイドシェル
16 アウトリガ
20 さく孔装置
21 前部車体
22 後部車体
23 連結機構
24 運転席
25 操作部
26 駆動機構
30 ヘッドガード
32 機台
34 支柱
39 屋根部
40 工業用水の運用システム
43 吊り具
50 冷房装置
51 空気導入口
52 空気排出口
53 工業用水供給口
54 工業用水排出口
55 胴体
56 冷却管
57 後部カバー
58 前部カバー
59 カーテン(シート部材)
60 作動油冷却装置
61 冷却水供給口
62 冷却水排出口
70 フラッシング用流体供給部
80 送風機
82 油圧ポンプ
84 油圧回路
92 送気管路
94 給水用バルブ
91、93、95、96 配管
P オペレータ
S 作業空間
Claims (5)
- さく岩機を有するせん孔作業車両に用いられてオペレータの作業空間を冷房する冷房システムであって、
さく岩機に供給する工業用水とオペレータの作業空間を冷房するための空気とをフラッシング用水として用いる前の段階で熱交換する冷房装置と、該冷房装置で冷却された空気を前記作業空間に送気する送風機とを有することを特徴とするせん孔作業車両用冷房システム。 - 前記作業空間の周囲を囲うシート部材を有することを特徴とする請求項1に記載のせん孔作業車両用冷房システム。
- さく岩機を有するせん孔作業車両であって、
オペレータの作業空間を冷房する冷房システムを備え、
前記冷房システムとして、請求項1または2に記載のせん孔作業車両用冷房システムが備えられていることを特徴とするせん孔作業車両。 - さく岩機のせん孔用に供給される工業用水を運用するシステムであって、
オペレータの作業空間を冷房するための空気と工業用水とを熱交換する冷房装置と、該冷房装置を経由して昇温した工業用水とさく岩機の作動油とを熱交換する作動油冷却装置と、該作動油冷却装置を経由して昇温した工業用水をフラッシング用水としてさく岩機に供給するフラッシング用流体供給部とを有することを特徴とする工業用水の運用システム。 - さく岩機のせん孔用に供給される工業用水を運用する方法であって、
オペレータの作業空間に送るための空気と工業用水とを熱交換し、その後に、前記空気と熱交換して昇温した工業用水とさく岩機の作動油とを熱交換し、その後に、前記作動油と熱交換して昇温した工業用水をフラッシング用水としてさく岩機に供給することを特徴とする工業用水の運用方法。
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