JP6113715B2 - 電気化学還元装置および、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の水素化体の製造方法 - Google Patents

電気化学還元装置および、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の水素化体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を電気化学的に水素化する装置および方法に関する。
シクロヘキサンやデカリンといった環状有機化合物は、水素ガスを用いて対応する芳香族炭化水素化合物(ベンゼン、ナフタレン)を核水素化することで効率的に得られることが知られている。この反応には、高温かつ高圧の反応条件が必要なため、小〜中規模での製造には不向きである。これに対して、電解セルを用いる電気化学反応は、水を水素源として用いることができるためガス状の水素を扱う必要がなく、また反応条件も比較的温和(常温〜200℃程度、常圧)で進行することが知られている。
特開2003−045449号公報 特開2005−126288号公報 特開2005−239479号公報
市川勝,J.Jpn.Inst.Energy,85巻,517(2006)
トルエン等の芳香族炭化水素化合物を電気化学的に核水素化する例として、ガス状に気化させたトルエンを還元電極側に送り込み、水電解に類似の構成で、水素ガスの状態を経由せずに核水素化体であるメチルシクロヘキサンを得る手法も報告されているが(非特許文献1参照)、電極面積・時間あたりに転化できる物質量(電流密度)は大きくなく、工業的に芳香族炭化水素化合物を核水添することが困難であった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を高効率で電気化学的に核水素化することができる技術の提供にある。
本発明のある態様は、電気化学還元装置である。当該電気化学還元装置は、イオン伝導性を有する電解質膜と、電解質膜の一方の側に設けられ、芳香族炭化水素化合物を核水素化するための還元触媒を含む還元電極と、電解質膜の他方の側に設けられた酸素発生用電極と、を含んで構成される電極ユニットと、還元電極と酸素発生用電極との間に電圧Vaを印加する電力制御部と、可逆水素電極における電位をVHER、芳香族炭化水素化合物の標準酸化還元電位をVTRR、還元電極の電位をVCAと表したとき、VHER−任意に定める許容電位≦VCA≦VTRRなる関係を満たすように電力制御部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。本発明における電位とは、参照極電位に対する真の電極電位を意味する。従って、例えば電解質膜抵抗や電極触媒層の抵抗、各種電気的接続に由来するオーム損失などが存在する場合には、後述のようにそれらを考慮して、真の電極電位を算出・補正する必要がある。
上記態様の電気化学還元装置において、任意に定める許容電位は20mVであってもよい。また、電解質膜に接し、かつ、還元電極および酸素発生用電極と電気的に隔離して配置され、参照電極電位VRefに保持される参照電極と、参照電極と還元電極との電位差ΔVCAを検出する電圧検出部と、を更に備え、制御部は、電位差ΔVCAおよび参照電極電位VRefに基づいて、還元電極の電位VCAを取得してもよい。制御部は、電圧Vaを変化させて、還元電極の電位VCAが所定の範囲の電位になるよう制御してもよい。制御部は、水の電気分解における酸素発生平衡電位をVOERと表したとき、Va≧(VOER−VCA)を満たすように前記電力制御部を制御してもよい。参照電極は、電解質膜において前記還元電極が設けられる側に配置されてもよい。
本発明の他の態様は、電気化学還元装置である。当該電気化学還元装置は、イオン伝導性を有する電解質膜と、電解質膜の一方の側に設けられ、芳香族炭化水素化合物を核水素化するための還元触媒を含む還元電極と、記電解質膜の他方の側に設けられた酸素発生用電極と、を含んで構成される複数の電極ユニットが互いに電気的に直列に接続された電極ユニット集合体と、電極ユニット集合体の正極端子と負極端子との間に電圧VAを印加する電力制御部と、可逆水素電極における電位をVHER、前記芳香族炭化水素化合物の標準酸化還元電位をVTRR、各電極ユニットの前記還元電極の電位をVCAと表したとき、VHER−任意に定める許容電位≦VCA≦VTRRなる関係を満たすように前記電力制御部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
上記態様の電気化学還元装置において、任意に定める許容電位は20mVであってもよい。電極ユニット集合体に含まれるいずれか1つの電解層の電解質膜に接し、かつ、還元電極および酸素発生用電極と電気的に隔離して配置される参照電極と、参照電極と還元電極との電位差ΔVCAを検出する電圧検出部と、を更に備え、制御部は、電位差ΔVCAおよび参照電極電位VRefに基づいて、前記還極の電位VCAを取得してもよい。制御部は、電圧VAを変化させて、各電極ユニットの還元電極の電位VCAが所定の範囲の電位になるよう制御してもよい。また、制御部は、水の電気分解における酸素発生平衡電位をVOERと表したとき、VA≧(VOER−VCA)×N[N(2以上)は直列に接続された電極ユニットの数]を満たすように電力制御部を制御してもよい。参照電極は、電解質膜において還元電極が設けられる側に配置されてもよい。参照電極は、電解質膜において前記還元電極が設けられる側に配置されてもよい。
本発明の他の態様は、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の水素化体の製造方法である。当該芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の水素化体の製造方法は、上述したいずれかの態様の電気化学還元装置を用い、電極ユニットの還元電極側に芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を導入し、酸素発生用電極側に水または加湿したガスを流通させ、還元電極側に導入された芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を核水素化することを特徴とする。この態様の製造方法において、還元電極側へ導入する芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を、反応温度において液体の状態で還元電極側へ導入してもよい。
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
本発明によれば、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を高効率で電気化学的に核水素化することができる。
実施の形態1に係る電気化学還元装置の概略構成を示す模式図である。 実施の形態1に係る電気化学還元装置が有する電極ユニットの概略構成を示す図である。 制御部による還元電極の電位制御の一例を示すフローチャートである。 還元電極の電位と各種電流密度の関係を示すグラフである。 実施の形態2に係る電気化学還元装置の概略構成を示す模式図である。 実施の形態3に係る電気化学還元装置の概略構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態に係る電気化学還元装置10の概略構成を示す模式図である。図2は、実施の形態に係る電気化学還元装置10が有する電極ユニットの概略構成を示す図である。図1に示すように、電気化学還元装置10は、電極ユニット100、電力制御部20、有機物貯蔵槽30、水貯蔵槽40、気水分離部50および制御部60を備える。
電力制御部20は、例えば、電力源の出力電圧を所定の電圧に変換するDC/DCコンバータである。電力制御部20の正極出力端子は、電極ユニット100の正極に接続されている。電力制御部20の負極出力端子は、電極ユニット100の負極に接続されている。これにより、電極ユニット100の酸素発生用電極(正極)130と還元電極(負極)120との間に所定の電圧が印加される。なお、電力制御部20の参照極入力端子は、後述する電解質膜110に設けられた参照電極112と接続されており、制御部60の指示に従って、参照電極112の電位を基準として正極出力端子の電位および負極出力端子の電位が定められる。なお、電力源としては、太陽光や風力などの自然エネルギー由来の電力を用いることができる。制御部60による正極出力端子および負極出力端子の電位制御の態様については後述する。
有機物貯蔵槽30には、芳香族化合物が貯蔵されている。本実施の形態で用いられる芳香族化合物は、少なくとも1つの芳香環を含む芳香族炭化水素化合物、または含窒素複素環式芳香族化合物であり、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニルエタン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、N−アルキルピロール(N-alkylpyrrole)、N−アルキルインドール(N-alkylindole)、N−アルキルジベンゾピロール(N-alkyldibenzopyrrole)などが挙げられる。また、上述の芳香族炭化水素および含窒素複素環式芳香族化合物の芳香環の1乃至4の水素原子がアルキル基で置換されていてもよい。ただし、上記芳香族化合物中の「アルキル」は、炭素数1〜6の直鎖アルキル基または分岐アルキル基である。例えばアルキルベンゼンとしては、トルエン、エチルベンゼンなど,ジアルキルベンゼンとしてキシレン,ジエチルベンゼンなど,トリアルキルベンゼンとしてメシチレンなどが挙げられる。アルキルナフタレンとしては、メチルナフタレンが挙げられる。また、上述の芳香族炭化水素および含窒素複素環式芳香族化合物の芳香環は1乃至3の置換基を有してもよい。なお、以下の説明で、本発明で用いられる芳香族炭化水素化合物および含窒素複素環式芳香族化合物を「芳香族化合物」と呼ぶ場合がある。芳香族化合物は、常温で液体であることが好ましい。また、上述の芳香族化合物のうち複数を混合したものを用いる場合は、混合物として液体であればよい。これによれば、加熱や加圧などの処理を行うことなく、液体の状態で芳香族化合物を電極ユニット100に供給することができるため、電気化学還元装置10の構成の簡便化を図ることができる。液体の状態の芳香族炭化物化合物の濃度は、0.1%以上、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上である。
有機物貯蔵槽30に貯蔵された芳香族化合物は、第1液体供給装置32によって電極ユニット100の還元電極120に供給される。第1液体供給装置32は、例えば、ギアポンプあるいはシリンダーポンプ等の各種ポンプ、または自然流下式装置等を用いることができる。なお、芳香族化合物に代えて、上述した芳香族化合物のN−置換体を用いてもよい。有機物貯蔵槽30と電極ユニット100の還元電極との間に循環経路が設けられており、電極ユニット100によって核水素化された芳香族化合物および未反応の芳香族化合物は、循環経路を経て有機物貯蔵槽30に貯蔵される。電極ユニット100の還元電極120で進行する主反応ではガスは発生しないが、水素が副生する場合には循環経路の途中に気液分離手段を設けてもよい。
水貯蔵槽40には、イオン交換水、純水等(以下、単に「水」という)が貯蔵されている。水貯蔵槽40に貯蔵された水は、第2液体供給装置42によって電極ユニット100の酸素発生用電極130に供給される。第2液体供給装置42は、第1液体供給装置32と同様に、例えば、ギアポンプあるいはシリンダーポンプ等の各種ポンプ、または自然流下式装置等を用いることができる。水貯蔵槽40と電極ユニット100の酸素発生用電極との間に循環経路が設けられており、電極ユニット100において未反応の水は、循環経路を経て水貯蔵槽40に貯蔵される。なお、未反応の水を電極ユニット100から水貯蔵槽40へ送り返す経路の途中に気水分離部50が設けられている。気水分離部50によって、電極ユニット100における水の電気分解によって生じた酸素が水から分離されて系外に排出される。
図2に示すように、電極ユニット100は、電解質膜110、還元電極120、酸素発生用電極130、液体拡散層140a、140b、およびセパレータ150a、150bを有する。なお、図1では、電極ユニット100が簡略化されて図示されており、液体拡散層140a、140b、およびセパレータ150a、150が省略されている。
電解質膜110は、プロトン伝導性を有する材料(イオノマー)で形成されており、プロトンを選択的に伝導する一方で、還元電極120と酸素発生用電極130との間で物質が混合したり拡散することを抑制する。電解質膜110の厚さは、5〜300μmが好ましく、10〜150μmがより好ましく、20〜100μmが最も好ましい。電解質膜110の厚さが5μm未満であると、電解質膜110のバリア性が低下し、クロスリークが生じやすくなる。また、電解質膜110の厚さが300μmより厚くなると、イオン移動抵抗が過大になるため好ましくない。
電解質膜110の面積抵抗、即ち幾何面積当たりのイオン移動抵抗は、2000mΩ・cm以下が好ましく、1000mΩ・cm以下がより好ましく、500mΩ・cm以下が最も好ましい。電解質膜110の面積抵抗が2000mΩ・cmより高いと、プロトン伝導性が不足する。プロトン伝導性を有する材料(カチオン交換型のイオノマー)としては、ナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸ポリマーが挙げられる。カチオン交換型のイオノマーのイオン交換容量(IEC)は、0.7〜2meq/gが好ましく、1〜1.2meq/gがより好ましい。カチオン交換型のイオノマーのイオン交換容量が0.7meq/g未満の場合には、イオン伝導性が不十分となる。一方、カチオン交換型のイオノマーのイオン交換容量が2meq/gより高い場合には、イオノマーの水への溶解度が増大するため、電解質膜110の強度が不十分になる。
なお、電解質膜110には、還元電極120および酸素発生用電極130から離間した領域において、電解質膜110に接するように参照電極112が設けられている。すなわち、参照電極112は、還元電極120および酸素発生用電極130から電気的に隔離されている。参照電極112は、参照電極電位VRefに保持される。参照電極112としては、標準水素還元電極(参照電極電位VRef=0V)、Ag/AgCl電極(参照電極電位VRef=0.199V)が挙げられるが、参照電極112はこれらに限られない。なお、参照電極112は、還元電極120側の電解質膜110の表面に設置されることが好ましい。
参照電極112と還元電極120との間の電位差ΔVCAは、電圧検出部114によって検出される。電圧検出部114で検出された電位差ΔVCAの値は制御部60に入力される。
還元電極120は、電解質膜110の一方の側に設けられている。還元電極120は、芳香族化合物を核水素化するための還元触媒を含む還元極触媒層である。還元電極120に用いられる還元触媒は、特に限定されないが、例えば、Pt、Pdの少なくとも一方を含む第1の触媒金属(貴金属)と、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Sn、W、Re、Pb、Biから選択される1種または2種以上の第2の触媒金属とを含む金属組成物からなる。当該金属組成物の形態は、第1の触媒金属と第2の触媒金属との合金、あるいは、第1の触媒金属と第2の触媒金属からなる金属間化合物である。第1の触媒金属と第2の触媒金属の総質量に対する第1の触媒金属の割合は、10〜95wt%が好ましく、20〜90wt%がより好ましく、25〜80wt%が最も好ましい。第1の触媒金属の割合が10wt%より低いと、耐溶解性などの点から耐久性の低下を招くおそれがある。一方、第1の触媒金属の割合が95wt%より高いと、還元触媒の性質が貴金属単独の性質に近づくため、電極活性が不十分となる。以下の説明で、第1の触媒金属と第2の触媒金属とをまとめて「触媒金属」と呼ぶ場合がある。
上述した触媒金属は導電性材料(担体)に担持されていてもよい。導電性材料の電気伝導度は、1.0×10−2S/cm以上が好ましく、3.0×10−2S/cm以上がより好ましく、1.0×10−1S/cm以上が最も好ましい。導電性材料の電気伝導度が1.0×10−2S/cm未満の場合には、十分な導電性を付与することができない。当該導電性材料として多孔性カーボン、多孔性金属、多孔性金属酸化物のいずれかを主成分として含有する導電性材料が挙げられる。多孔性カーボンとしては、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、バルカン(登録商標)などのカーボンブラックが挙げられる。窒素吸着法で測定した多孔性カーボンのBET比表面積は、100m/g以上が好ましく、150m/g以上がより好ましく、200m/g以上が最も好ましい。多孔性カーボンのBET比表面積が100m/gより小さいと、触媒金属を均一に担持させることが難しくなる。このため、触媒金属表面の利用率が低下し、触媒性能の低下を招く。多孔性金属としては、例えば、Ptブラック、Pdブラック、フラクタル状に析出させたPt金属などが挙げられる。多孔性金属酸化物としては、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの酸化物が挙げられる。この他、触媒金属を担持するための多孔性の導電性材料として、Ti、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wなどの金属の窒化物、炭化物、酸窒化物、炭窒化物、部分酸化した炭窒化物(以下、これらをまとめて多孔性金属炭窒化物等と呼ぶ)が挙げられる。窒素吸着法で測定した多孔性金属、多孔性金属酸化物および多孔性金属炭窒化物等のBET比表面積は、1m/g以上が好ましく、3m/g以上がより好ましく、10m/g以上が最も好ましい。多孔性金属、多孔性金属酸化物および多孔性金属炭窒化物等のBET比表面積が1m/gより小さいと、触媒金属を均一に担持させることが難しくなる。このため、触媒金属表面の利用率が低下し、触媒性能の低下を招く。
触媒金属を担体上に担持する方法は、第1の触媒金属、第2の触媒金属の種類や組成にもよるが、第1の触媒金属と第2の触媒金属を同時に担体に含浸させる同時含浸法や第1の触媒金属を担体に含浸させた後、第2の触媒金属を担体に含浸させる逐次含浸法を採用することができる。逐次含浸法の場合には、第1の触媒金属を担体に担持した後に一旦熱処理等を加えてから、第2の触媒金属を担体に担持させてもよい。第1の触媒金属および第2の触媒金属の両方の含浸が完了した後、熱処理工程によって第1の触媒金属と第2の触媒金属との合金化や第1の触媒金属と第2の触媒金属とからなる金属間化合物の形成が行われる。
還元電極120には,前述の導電性酸化物やカーボンブラックなどの導電性を有する材料を、触媒金属を担持した導電性化合物とは別に添加してもよい。これによって、還元触媒粒子間の電子伝導経路を増やすことができ、還元触媒層の幾何面積当たりの抵抗を下げることができる場合もある。
還元電極120には、添加剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を含んでもよい。
還元電極120は、プロトン伝導性を有するイオノマーを含んでもよい。還元電極120には、上述の電解質膜110と同一または類似の構造を有するイオン伝導性物質(イオノマー)を所定の質量比で含んでいることが好ましい。これによれば、還元電極120におけるイオン伝導性を向上させることができる。特に、触媒担体が多孔性の場合において還元電極120がプロトン伝導性を有するイオノマーを含有することにより、イオン伝導性の向上に大きく寄与する。プロトン伝導性を有するイオノマー(カチオン交換型のイオノマー)としては、ナフィオン(登録商標)、フレミオン(登録商標)などのパーフルオロスルホン酸ポリマーが挙げられる。カチオン交換型のイオノマーのイオン交換容量(IEC)は、0.7〜3meq/gが好ましく、1〜2.5meq/gがより好ましく、1.2〜2meq/gが最も好ましい。触媒金属が多孔性カーボン(カーボン担体)に担持されている場合には、カチオン交換型のイオノマー(I)/カーボン担体(C)の質量比I/Cは、0.1〜2が好ましく、0.2〜1.5がより好ましく、0.3〜1.1が最も好ましい。質量比I/Cが0.1より低いと、十分なイオン伝導性を得ることが困難になる。一方、質量比I/Cが2より大きいと、触媒金属に対するイオノマーの被覆厚みが増えることにより、反応物質である芳香族化合物が触媒活性点に接触することが阻害されたり、電子伝導性が低下することにより電極活性が低下する。
また、還元電極120に含まれるイオノマーは、還元触媒を部分的に被覆していることが好ましい。これによれば、還元電極120における電気化学反応に必要な3要素(芳香族化合物、プロトン、電子)を効率的に反応場に供給することができる。
液体拡散層140aは、電解質膜110と反対側の還元電極120の面に積層されている。液体拡散層140aは、後述するセパレータ150aから供給された液状の芳香族化合物を還元電極120に均一に拡散させる機能を担う。液体拡散層140aとして、例えば、カーボンペーパ、カーボンクロスが用いられる。
セパレータ150aは、電解質膜110と反対側の液体拡散層140aの面に積層されている。セパレータ150aは、カーボン樹脂、Cr−Ni−Fe系、Cr−Ni−Mo−Fe系、Cr−Mo−Nb−Ni系、Cr−Mo−Fe−W−Ni系などの耐食性合金で形成される。セパレータ150aの液体拡散層140a側の面には、単数または複数の溝状の流路152aが併設されている。流路152aには、有機物貯蔵槽30から供給された液状の芳香族化合物が流通しており、液状の芳香族化合物は流路152aから液体拡散層140aに染み込む。流路152aの形態は、特に限定されないが、例えば、直線状流路、サーペンタイン流路を採用しうる。また、金属材料をセパレータ150aに用いる場合には、セパレータ150aは球状やペレット状の金属微粉末を焼結した構造体であってもよい。
酸素発生用電極130は、電解質膜110の他方の側に設けられている。酸素発生用電極130は、RuO、IrOなどの貴金属酸化物系の触媒を含むものが好ましく用いられる。これらの触媒は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ta、Wなどの金属あるいはそれらを主成分とする合金などの金属ワイヤ、メッシュなどの金属基材に分散担持またはコーティングされていてもよい。特に、IrOは高価であるため、IrOを触媒として用いる場合には、金属基材に薄膜コーティングすることにより、製造コストを低減することができる。
液体拡散層140bは、電解質膜110と反対側の酸素発生用電極130の面に積層されている。液体拡散層140bは、後述するセパレータ150bから供給された水を酸素発生用電極130に均一に拡散させる機能を担う。液体拡散層140bとして、例えば、カーボンペーパ、カーボンクロスが用いられる。
セパレータ150bは、電解質膜110と反対側の液体拡散層140bの面に積層されている。セパレータ150bは、Cr/Ni/Fe系,Cr/Ni/Mo/Fe系、Cr/Mo/Nb/Ni系、Cr/Mo/Fe/W/Ni系などの耐食性合金、または、これらの金属表面が酸化物層で被覆された材料で形成される。セパレータ150bの液体拡散層140b側の面には、単数または複数の溝状の流路152bが併設されている。流路152bには、水貯蔵槽40から供給された水が流通しており、水は流路152bから液体拡散層140bに染み込む。流路152bの形態は、特に限定されないが、例えば、直線状流路、サーペンタイン流路を採用しうる。また、金属材料をセパレータ150bに用いる場合には、セパレータ150bは球状やペレット状の金属微粉末を焼結した構造体であってもよい。
本実施の形態では、酸素発生用電極130に液体の水が供給されるが、液体の水に代えて、加湿されたガス(例えば、空気)を用いてもよい。この場合、加湿ガスの露点温度は、室温〜100℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
芳香族化合物としてトルエンを用いた場合の電極ユニット100における反応は以下のとおりである。
<酸素発生用電極での電極反応>
3HO→1.5O+6H+6e:E=1.23V
<還元電極での電極反応>
トルエン+6H+6e→メチルシクロヘキサン:E=0.153V(vs RHE)
すなわち、酸素発生用電極での電極反応と、還元電極での電極反応とが並行して進行し、酸素発生用電極での電極反応によって、水の電気分解により生じたプロトンが電解質膜110を介して還元電極に供給され、還元電極での電極反応において、芳香族化合物の核水素化に利用される。
図1に戻り、制御部60は、可逆水素電極における電位をVHER、芳香族化合物の標準酸化還元電位をVTRR、還元電極120の電位をVCAと表したとき、VHER−20mV≦VCA≦VTRRなる関係を満たすように電力制御部20を制御する。電位VCAがVHER−20mVより低いと、水素発生反応との競争になり、芳香族化合物の還元選択性が不十分となるため好ましくない。一方、電位VCAが標準酸化還元電位VTRRより高いと、実用上十分な反応速度で芳香族化合物の核水素化反応が進行しないため好ましくない。言い換えると、電位VCAを上記関係式を満たす範囲に設定することにより、両極で電気化学反応を進行させることができ、芳香族化合物の核水素化を工業的に実施することができる。
この他、電気化学還元装置10を用いて芳香族化合物を核水素化する場合の反応条件として、以下が挙げられる。電極ユニット100の温度は、室温〜100℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。電極ユニット100の温度が室温より低いと、電解反応の進行が遅くなる虞れ、あるいは本反応の進行に伴い発生する熱の除去に多大なエネルギーを要するため好ましくない。一方、電極ユニット100の温度が100℃より高いと、酸素発生用電極130においては水の沸騰が生じ、還元電極120においては有機物の蒸気圧が高くなるため、両極とも液相で反応を行う電気化学還元装置10としては好ましくない。なお、還元極電位VCAは真の電極電位であるため、実際に観測される電位VCA_actualとは異なる可能性がある。本発明に用いられる電解槽中に存在する各種抵抗成分のうち、オーム抵抗に該当する部分が存在する場合、これらの総体の電極面積当たりの抵抗値を全オーミック抵抗Rohmicとして、以下の式により真の電極電位VCAを算出する。
VCA=VCA_actual+Rohmic×J(電流密度)
オーム抵抗としては、例えば電解質膜のプロトン移動抵抗、電極触媒層の電子移動抵抗、その他電気回路上の接触抵抗等が挙げられる。
ここで、Rohmicは、交流インピーダンス法や固定周波数での交流抵抗測定を用いて、等価回路上の実抵抗成分として求めることができるが、一旦電解槽の構成や用いる材料系が決まれば、ほぼ定常値とみなして以下の制御に用いる方法も好ましく取り得る。
図3は、制御部60による還元電極120の電位制御の一例を示すフローチャートである。以下、参照電極112として、Ag/AgCl電極(参照電極電位VRef=0.199V)を用いた場合を例にとって、還元電極120の電位制御の態様を説明する。
まず、VHER−20mV≦VCA≦VTRRを満たす電位VCA(目標値)を設定する(S10)。ある態様では、電位VCA(目標値)は、ROMなどのメモリに予め格納された値である。他の態様では、電位VCA(目標値)はユーザにより設定される。
次に、電圧検出部114により参照電極112と還元電極120との電位差ΔVCAを検出する(S20)。
次に、制御部60は、(式)VCA=ΔVCA−VRef=ΔVCA−0.199Vを用いて還元電極120の電位VCA(実測値)を算出する(S30)。
次に、電位VCA(実測値)が下記式(1)および下記式(2)を満たすかどうかを判定する(S40)。
|電位VCA(実測値)−電位VCA(目標値)|≦許容値・・・(1)
HER−20mV≦VCA(実測値)≦VTRR・・・(2)
上式中、許容値は、例えば、1mVである。
電位VCA(実測値)が式(1)および式(2)を満たす場合には、S40のyesに進み、ここでの処理を終了する。一方、電位VCA(実測値)が式(1)および式(2)の両方を満たしていない場合には、S40のnoに進み、還元電極120と酸素発生用電極130との間に印加される電圧Vaを調節する(S50)。電圧Vaの調節後、上述した(S10)の処理に戻る。
ここで、電圧Vaの調節の一例を説明する。例えば、
電位VCA(実測値)−電位VCA(目標値)>許容値
の場合には、制御部60は、電圧Vaを1mVだけ上げるように電力制御部20に指示を送る。なお、電圧Vaを上げた結果、|電位VCA(実測値)−電位VCA(目標値)|≦許容値を満たす場合であっても、VCA(実測値)<VHER−Vallowとなる場合は、式(2)を満たさないため、次の処理では、制御部60は電圧Vaを1mV下げさせる。
一方、電位VCA(実測値)−電位VCA(目標値)<−許容値
の場合には、制御部60は、電圧Vaを1mVだけ下げるように電力制御部20に指示を送る。なお、電圧Vaを下げた結果、|電位VCA(実測値)−電位VCA(目標値)|≦許容値を満たす場合であっても、VCA(実測値)>VTRRとなる場合は、式(2)を満たさないため、次の処理では、制御部60は電圧Vaを1mV上げさせる。このようにして、制御部60は、最終的に式(1)および式(2)を満たすまで電圧Vaを調節する。
なお、電圧Vaを上下させる値(調節幅)は1mVに限られない。例えば、1回目の電圧Vaの調節では、電圧Vaの調節幅を上述した許容値と同等とし、2回目以降の電圧Vaの調節では、電圧Vaの調節幅を例えば上述した許容値の1/4としてもよい。これによれば、電位VCA(実測値)をより速やかに式(1)および式(2)を満たす範囲に調整することができる。
制御部60は、水の電気分解における酸素発生平衡電位をVOERと表したとき、Va≧(VOER−VCA)を満たすように電力制御部20を制御する。これにより、酸素発生用電極130の電位VANが酸素発生平衡電位VOER以上になるように保持される。
(トルエン還元特性と還元電極の電位との関係)
表1に示す構成の電極セルを用いて、還元電極の電位を変えてトルエンの核水素化反応を行った。図4は、還元電極の電位と各種電流密度の関係を示すグラフである。なお、還元触媒金属の質量は0.5mg/cmである。
Figure 0006113715
図4に示す電流密度A、電流密度Bおよび電流密度Cはそれぞれ以下のとおりである。
電流密度A:電極セルに流れる全電流密度
電流密度B:ガスクロマトグラフィーなどから定量したメチルシクロヘキサンの生成量から逆算した、トルエンの還元に用いられた電流密度
電流密度C:電流密度A−電流密度B(トルエンの還元に用いられず、主として水素の発生に用いられた電流密度)
また、図4に示すファラデー効率は、電流密度B/電流密度A×100(%)により算出される。
図4に示すように、還元電極の電位が電位VHER−20mV、すなわち、−20mVより低くなると、水素発生量が増大し、ファラデー効率が50%を下回るため、好ましくないことが確認された。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る電気化学還元装置の概略構成を示す模式図である。図5に示すように、電気化学還元装置10は、電極ユニット集合体200、電力制御部20、有機物貯蔵槽30、水貯蔵槽40、気水分離部50および制御部60を備える。電極ユニット集合体200は、複数の電極ユニット100が直列接続された積層構造を有する。本実施の形態では、電極ユニット100の数Nは5である。なお、個々の電極ユニット100の構成は実施の形態1と同様である。図5では、電極ユニット100が簡略化されて図示されており、液体拡散層140a、140b、およびセパレータ150a、150が省略されている。
本実施の形態の電力制御部20の正極出力端子は、電極ユニット集合体200の正極端子に接続されている。一方、電力制御部20の負極出力端子は、電極ユニット集合体200の負極端子に接続されている。これにより、電極ユニット集合体200の正極端子と負極端子との間に所定の電圧VAが印加される。なお、電力制御部20の参照極入力端子は、後述する特定の電極ユニット100の電解質膜110に設けられた参照電極112と接続されており、参照電極112の電位を基準として、正極出力端子の電位および負極出力端子の電位が定められる。
有機物貯蔵槽30と各電極ユニット100の還元電極120との間に第1の循環経路が設けられている。有機物貯蔵槽30に貯蔵された芳香族化合物は、第1液体供給装置32によって各電極ユニット100の還元電極120に供給される。具体的には、第1液体供給装置32の下流側において第1の循環経路を構成する配管が分岐しており、各電極ユニット100の還元電極120に芳香族化合物が分配供給される。各電極ユニット100によって核水素化された芳香族化合物および未反応の芳香族化合物は、有機物貯蔵槽30に連通する配管に合流した後、当該配管を経て有機物貯蔵槽30に貯蔵される。
水貯蔵槽40と各電極ユニット100の酸素発生用電極130との間に第2の循環経路が設けられている。水貯蔵槽40に貯蔵された水は、第2液体供給装置42によって各電極ユニット100の酸素発生用電極130に供給される。具体的には、第2液体供給装置42の下流側において第2の循環経路を構成する配管が分岐しており、各電極ユニット100の酸素発生用電極130に水が分配供給される。各電極ユニット100において未反応の水は、水貯蔵槽40に連通する配管に合流した後、当該配管を経て水貯蔵槽40に貯蔵される。
特定の電極ユニット100の電解質膜110に、実施の形態1と同様に、還元電極120および酸素発生用電極130から離間した領域において、電解質膜110に接するように参照電極112が設けられている。特定の電極ユニット100は、複数の電極ユニット100のうち、いずれか1つであればよい。
参照電極112と還元電極120との間の電位差ΔVCAは、電圧検出部114によって検出される。電圧検出部114で検出された電位差ΔVCAの値は制御部60に入力される。
制御部60は、可逆水素電極における電位をVHER、芳香族化合物の標準酸化還元電位をVTRR、各電極ユニット100の還元電極120の電位をVCAと表したとき、VHER−20mV≦VCA≦VTRRなる関係を満たすように電力制御部20を制御する。
制御部60による還元電極120の電位制御の態様は実施の形態1と同様である。ただし、実施の形態1では、制御部60によって印加電圧Vaが調節されるのに対して、本実施の形態では、制御部60によって、電極ユニット集合体200の正極端子と負極端子との間に印加される電圧VAが調節される。
制御部60は、VA≧(VOER−VCA)×N[N(2以上)は電極ユニットの数:本実施の形態では、5]を満たすように電力制御部20を制御する。これにより、電位VANが酸素発生平衡電位VOER以上になるように保持される。
本実施の形態によれば、複数の電極ユニットにおいて、芳香族化合物の核水素化を並行して進行させることができるため、単位時間当たりの芳香族化合物の核水素化量を飛躍的に増加させることができる。したがって、芳香族化合物の核水素化を工業的に実施することが可能となる。
(実施の形態3)
図6は、実施の形態3に係る電気化学還元装置の概略構成を示す模式図である。本実施の形態に係る電気化学還元装置10の基本的な構成は実施の形態2と同様である。本実施の形態では、電極ユニット集合体200は、電解槽300に収容されている。電解槽300と水貯蔵槽40との間に第2の循環経路が設けられており、電解槽300に水貯蔵槽40から供給された水が満たされる。各電極ユニット100の酸素発生用電極130には、電解槽300に満たされた水が流通可能になっている。
本実施の形態に係る電気化学還元装置10は、実施の形態2で得られる効果の他に、電解槽における水槽の熱容量を大きくすることで、酸素発生用電極130の面内温度差、電極ユニット間の温度差、および還元電極120との極間温度差を小さくできるという利点を有する。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。例えば、上述した各実施の形態では、芳香族化合物および水は、循環経路内を循環する構成であるが、電ユニットの入口側に接続される貯留槽と、電ユニットの出口側に接続される貯留槽とを別々に設けてもよい。
上述した各実施の形態では、還元電極120は、プロトン伝導性を有するイオノマーを含んでいるが、還元電極120は、ヒドロキシイオン伝導性を有するイオノマーを含んでもよい。
実施の形態2、3では、参照電極112が1つの電極ユニット100の電解質膜110に設置されているが、参照電極112を複数の電極ユニット100の電解質膜110に設置してもよい。この場合には、電圧検出部114により、各参照電極112と対応する還元電極120との間の電位差ΔVCAが検出され、検出された複数の電位差ΔVCAの平均値を用いて、電位VCAの算出が行われる。これによれば、電極ユニット100間に電位のばらつきが生じている場合に、より適切な範囲に電圧VAを調節することができる。
10 電気化学還元装置、20 電力制御部、30 有機物貯蔵槽、40 水貯蔵槽、50 気水分離部、100 電極ユニット、112、参照電極、114 電圧検出部、110 電解質膜、120 還元電極、130 酸素発生用電極、140a,140b 液体拡散層、150a,150b セパレータ、200 電極ユニット集合体、300 電解槽
本発明は、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を電気化学的に水素化する技術に利用可能である。

Claims (8)

  1. イオン伝導性を有する電解質膜と、前記電解質膜の一方の側に設けられ、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を核水素化するための還元触媒を含む還元電極と、前記電解質膜の他方の側に設けられた酸素発生用電極と、を含んで構成される電極ユニットと、
    前記還元電極と前記酸素発生用電極との間に電圧Vaを印加する電力制御部と、
    水素発生電位をVHER、前記芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の標準酸化還元電位をVTRR、前記還元電極の電位をVCAと表したとき、
    HER−20mV≦VCA≦VTRR
    なる関係を満たすように前記電力制御部を制御する制御部と、
    前記電解質膜に接し、かつ、前記還元電極および前記酸素発生用電極と電気的に隔離して配置され、参照電極電位VRefに保持される参照電極と、
    前記参照電極と前記還元電極との電位差ΔVCAを検出する電圧検出部と、を備え、
    前記制御部は、
    電位差ΔVCAおよび参照電極電位VRefに基づいて、前記還元電極の電位VCAを取得する電位取得部と、
    前記還元電極の電位V CA が所定の範囲の電位になるように前記電圧Vaを調節する電圧調節部と、
    を有することを特徴とする、電気化学還元装置。
  2. 前記制御部は、水の電気分解における酸素発生平衡電位をVOERと表したとき、
    Va≧(VOER−VCA
    を満たすように前記電圧Vaを調節する前記電圧調節部を有する請求項に記載の電気化学還元装置。
  3. 前記参照電極は、前記電解質膜において前記還元電極が設けられる側に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気化学還元装置。
  4. イオン伝導性を有する電解質膜と、前記電解質膜の一方の側に設けられ、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を核水素化するための還元触媒を含む還元電極と、前記電解質膜の他方の側に設けられた酸素発生用電極と、を含んで構成される複数の電極ユニットが互いに電気的に直列に接続された電極ユニット集合体と、
    前記電極ユニット集合体の正極端子と負極端子との間に電圧VAを印加する電力制御部と、
    水素発生電位をVHER、前記芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の標準酸化還元電位をVTRR、各電極ユニットの前記還元電極の電位をVCAと表したとき、
    HER−20mV≦VCA≦VTRR
    なる関係を満たすように前記電力制御部を制御する制御部と、
    前記電極ユニット集合体に含まれるいずれか1つの電解層の電解質膜に接し、かつ、前記還元電極および前記酸素発生用電極と電気的に隔離して配置される参照電極と、
    前記参照電極と前記還元電極との電位差ΔVCAを検出する電圧検出部と、を備え、
    前記制御部は、
    電位差ΔVCAおよび参照電極電位VRefに基づいて、前記還元電極の電位VCAを取得する電位取得部と、
    各電極ユニットの前記還元電極の電位V CA が所定の範囲の電位になるように前記電圧VAを調節する電圧調節部と、
    を有することを特徴とする、電気化学還元装置。
  5. 前記制御部は、水の電気分解における酸素発生平衡電位をVOERと表したとき、
    VA≧(VOER−VCA)×N[N(2以上)は直列に接続された電極ユニットの数]
    を満たすように前記電圧VAを調節する前記電圧調節部を有する請求項に記載の電気化学還元装置。
  6. 前記参照電極は、前記電解質膜において前記還元電極が設けられる側に配置されることを特徴とする、請求項4または5に記載の電気化学還元装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の電気化学還元装置を用い、
    前記電極ユニットの前記還元電極側に芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を導入し、前記酸素発生用電極側に水または加湿したガスを流通させ、前記還元電極側に導入された芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を核水素化する方法であって、
    前記還元電極と前記酸素発生用電極との間に電圧Vaを印加する工程と、
    水素発生電位をV HER 、前記芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の標準酸化還元電位をV TRR 、前記還元電極の電位をV CA と表したとき、
    HER −20mV≦V CA ≦V TRR
    なる関係を満たすように前記電力制御部を制御する工程と、
    前記参照電極と前記還元電極との電位差ΔV CA を検出する工程と、
    電位差ΔV CA および参照電極電位V Ref に基づいて、前記還元電極の電位V CA を取得する工程と、
    前記還元電極の電位V CA が所定の範囲の電位になるように前記電圧Vaを調節する工程と、
    を有することを特徴とする芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の水素化体の製造方法。
  8. 前記還元電極側へ導入する芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物を、反応温度において液体の状態で前記還元電極側へ導入する、請求項に記載の芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の水素化体の製造方法。
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