JP6111390B2 - 樹脂固定コロイド結晶シート、それを用いた構造色を表示する方法、それを用いた被検物の凹凸分布又は硬度分布を検出する方法、及び、構造色シート - Google Patents

樹脂固定コロイド結晶シート、それを用いた構造色を表示する方法、それを用いた被検物の凹凸分布又は硬度分布を検出する方法、及び、構造色シート Download PDF

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Description

本発明は、樹脂固定コロイド結晶シート、及び、それを用いた用途に関する。詳細には、本発明は、構造色の発色が強く、かつ、正対する方向からでも容易に構造色を観察可能にする樹脂固定コロイド結晶シート、及び、その用途に関する。
均一粒径の微粒子(粒径:50nm〜1000nm、コロイド粒子とも呼ばれる)が3次元周期配列した構造体は、コロイド結晶と呼ばれる。コロイド結晶は、周期構造による光のBragg反射の効果により、着色して見えるため、色素による発色とは異なる、構造に起因する発色(構造色)を示す材料(即ち、構造色材料)として期待されている。また、微粒子の間隙を樹脂で埋めたコロイド結晶(本明細書では、樹脂固定コロイド結晶とも呼ぶ)が知られている。
コロイド結晶には、粒子が3次元周期配列したミクロンサイズからミリサイズの結晶ドメインが無秩序な方位関係で集合した多結晶様のコロイド結晶がある(例えば、非特許文献1)。このような多結晶様のコロイド結晶では、Bragg反射の生じる角度条件が、各結晶ドメインによって異なるので、総体として、任意の方向に対して構造色効果を得ることができる。この結晶ドメインは、一般的には、単結晶からなる領域のことと定義される。
別のコロイド結晶には、数ミリ以下のサイズの結晶ドメインが特定の結晶格子面を秩序的に特定の空間方位に配向した状態で得られるものがある。このようなコロイド結晶の作製方法として、例えば、所定のコロイド溶液を平行な面の間の狭い間隙に挿入し、その対向する平行な面を相対的に振動させ、その振動の振幅を二つの面の間隙と同じ程度に設定することによってコロイド結晶を生成させることが挙げられる(例えば、特許文献1)。
このような配向したコロイド結晶をポリジメチルシリコーンなどの弾性体で固定したコロイド結晶シート(以後、「配向したコロイド結晶シート」と呼ぶ)がある(例えば、非特許文献2を参照)。配向したコロイド結晶シートでは、特定の結晶格子面によるBragg反射の生じる角度条件が、結晶ドメインにおいていずれも同一となるので、特定の方向に対して強い構造色効果を得ることができる。
しかしながら、多結晶様のコロイド結晶は、任意の方向へのBragg反射に寄与する結晶ドメインの数は、配向したコロイド結晶シート(例えば、非特許文献2のコロイド結晶シート)における特定の空間方位へのBragg反射に寄与する結晶ドメインの数に比べて少ないため、発色強度が弱いという問題がある。
また、特許文献1のコロイド結晶、並びに、非特許文献2の配向したコロイド結晶シートにおいては、結晶ドメインが、特定の結晶格子面がシート表面に平行になるように配向しているので、コロイド結晶及びコロイド結晶シートの表面に正対する方向(即ち、表面に垂直な方向)から観察する観察者に対して、Bragg反射による構造色効果を与えたい場合、照明光を表面に正対する方向から照射しなければならないため、照明軸と観察軸とが重なる。このようなシステムの構成は現実的でなく、コロイド結晶の改良が求められる。
したがって、最も自然な観察方向である、コロイド結晶の表面に正対する方向への構造色効果を強く発揮するコロイド結晶の開発が望まれている。
特表平3−504462号公報
Iwayama et al., Langmuir 19 (2003) 977−980 Fudouzi, Xia, Langmuir 19 (2003) 9653−9660
以上から、本発明の課題は、構造色の発色が強く、かつ、表面に正対する方向からでも容易に構造色を観察可能にする樹脂固定コロイド結晶シート、及び、その用途を提供することである。
本発明による樹脂中にコロイド粒子が固定された、複数の結晶ドメインを含む樹脂固定コロイド結晶シートは、前記樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に対する後方反射スペクトル測定において、前記複数の結晶ドメインに起因するBragg反射の強度は、(1)前記シート面からの仰角が60度以上90度未満の範囲であり、前記シート面の所定の方位角について測定した場合、0でなく、かつ、(2)前記シート面からの仰角が60度以上90度未満の範囲であり、前記シート面の方位角依存性について測定した場合、前記所定の方位角において、最大値を有し、これにより上記課題を解決する。
ここで、樹脂固定コロイド結晶シートとは、上記複数の結晶ドメインの結晶状態をそれぞれ維持するように、樹脂で固定されたものであって、シート状の形状を備えるものをいうことができる。シート状の形状とは、一般に解釈される形状であってよいが、例えば、一定の厚みを備える板又はシート形状のことであってよい。特に、厚み方向に柔軟に弾性変形及び/又は塑性変形できるものが好ましい。通常、このコロイド結晶シートは、平面視で矩形を呈する。
このようなコロイド結晶シートは、せん断処理を施すことによって製造され得る。せん断処理は、該シートの対向する面(例えば、上面及び下面)を1つの方向に相対移動させるものであってよい。この方向(せん断方向)は、シート面に対して平行又は実質的に平行であってよい。また、相対移動は、1又は複数回の往復移動が好ましい。前記所定の方位角の方向は、前記せん断処理のせん断方向に直交する方向であってもよい。複数の結晶ドメインに起因するBragg反射の強度が、0でないとは、Bragg反射による光の強度が計測誤差を超えて認められることを意味してよい。具体的には、反射スペクトル測定において、Bragg反射に起因するピークが認められるということである。また、この時のシート面に対する後方反射スペクトル測定は、前記シート面からの仰角が60度以上90度未満の全範囲で行ったものであってよい。或いは、一部の範囲であってよい場合もある。シート面の所定の方位角について測定するときは、当該所定の方位角を含む任意の方位角で測定してよい。
前記コロイド粒子の粒子濃度は、2体積%以上35体積%以下であってもよい。より好ましくは、25体積%以下であり、さらに好ましくは、20体積%以下であってよい。一方、コロイド結晶形成を考慮すれば、その粒子濃度は、より好ましくは、5体積%以上であり、さらに好ましくは、10体積%以上であってよい。 前記樹脂は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂(シリコーン)、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂及びポリエーテル樹脂からなる群から選択されてもよい。
前記樹脂はアクリル樹脂であり、前記アクリル樹脂を形成する化合物は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸エチレン、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及び、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群から少なくとも1つ選択されてもよい。
前記樹脂はエポキシ樹脂であり、前記エポキシ樹脂を形成する化合物は、ジグリシジルエステル誘導体化合物及び/又はジグリシジルエーテル誘導体化合物と、無水フタル酸誘導体化合物とを含んでもよい。 前記ジグリシジルエステル誘導体化合物は、フタル酸ジグリシジルエステル、及び/又は、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルであってもよい。 前記ジグリシジルエーテル誘導体化合物は、グリセロールポリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、及び、ビスフェノールAジグリシジルエーテルからなる群から少なくとも1つ選択されてもよい。 前記無水フタル酸誘導体化合物は、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及び/又は、ヘキサヒドロ無水フタル酸であってもよい。 前記シートの厚さは、0.3mmより大きく10mm以下であってもよい。より好ましくは、0.5mm以上であり、さらに好ましくは、0.7mm以上であってよい。一方、樹脂固定コロイド結晶シートの製造の容易さを考慮すれば、シート厚さは、5mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。 前記複数の結晶ドメインのうち一部は、前記シート面に対して傾斜した結晶格子面を有し、前記複数の結晶ドメインのうち一部は、前記所定の方位角の方向を向いた結晶格子面を有していてもよい。
本発明によるコロイド結晶に基づく構造色を表示する方法は、上述の樹脂固定コロイド結晶シートに照明光を当てるステップを包含し、これにより上記課題を解決する。 前記照明光を当てるステップは、前記樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に正対する方向と異なる方向から照明光を当ててもよい。 前記樹脂固定コロイド結晶シートは、せん断処理を施すことによって製造され、前記照明光を当てるステップは、前記せん断処理のせん断方向に直交する方向から照明光を当ててもよい。 前記樹脂固定コロイド結晶シートは、文字又は図形からなるパターンを有してもよい。 前記樹脂固定コロイド結晶シートは、少なくとも、文字又は図形からなるパターンを凹凸で表したレリーフ板と、硬質透明板とに挟まれており、前記照明光を当てるステップに先立って、前記硬質透明板で前記樹脂固定コロイド結晶シートを圧するステップを包含してもよい。
本発明による被検物の凹凸分布又は硬度分布を検出する方法は、被検物に上述の樹脂固定コロイド結晶シートを被せ、硬質透明板で圧するステップと、前記樹脂固定コロイド結晶シートに照明光を当て、前記透明硬質板を介して前記樹脂固定コロイド結晶シートを観察するステップと、前記観察するステップで得られた観察結果に基づいて、凹凸分布又は硬度分布を検出するステップとを包含し、これにより上記課題を解決する。 前記観察するステップは、前記樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に正対する方向と異なる方向から照明光を当て、観察してもよい。 前記検出するステップは、前記観察結果が、前記圧するステップの前の前記樹脂固定コロイド結晶シートのそれと同じである場合、前記被検物に凹凸分布又は硬度分布がないことを検出し、前記観察結果が、前記圧するステップの前の前記樹脂固定コロイド結晶シートのそれと異なる場合には、前記被検物に凹凸分布又は硬度分布があることを検出してもよい。
本発明による複数の樹脂固定コロイド結晶シート片が樹脂で固定された構造色シートは、前記複数の樹脂固定コロイド結晶シート片が上述の樹脂固定コロイド結晶シートから切り出されたものからなり、前記複数の樹脂固定コロイド結晶シート片が前記樹脂中に任意の方位関係で位置しているので、これにより上記課題を解決する。
本発明による樹脂固定コロイド結晶シートは、樹脂中にコロイド粒子が固定された、複数の結晶ドメインを含み、樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に対する後方反射スペクトル測定において、複数の結晶ドメインに起因するBragg反射の強度は、次の条件(1)及び(2)を満たす。
(1)シート面からの仰角が60度以上90度未満の範囲であり、シート面の所定の方位角について測定した場合、Bragg反射の強度が0でなく、かつ、
(2)シート面からの仰角が60度以上90度未満の範囲であり、シート面の方位角依存性について測定した場合、所定の方位角において、Bragg反射の強度が最大値を有する。
上記条件(1)により、本発明による樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に対して正対する観察者の観察軸と、照明光の照明軸とが重ならずにBragg反射を観察することができるので、シート面に対して正対する観察者は、容易に構造色を観察することができる。また、上記条件(2)により、本発明による樹脂固定コロイド結晶シートは、構造色の強い発色を可能とする。さらに、上記条件(1)及び(2)を満たす本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを用いれば、観察者は、表面反射光がBragg反射光と重ならない条件で構造色を観察できるので、鮮やかな発色効果を得られる。
本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを用いれば、構造色の表示、被検物の凹凸分布や硬度分布の検出を可能にする。さらに、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートから切り出した樹脂固定コロイド結晶シート片を含む構造色シートであれば、任意の方向から照明光を照射しても、発色効果が得られるので、実施に制限がなく有利である。
本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを示す模式図 樹脂固定コロイド結晶シートの結晶ドメインを示す模式図 樹脂固定コロイド結晶シートに関する方向表現の説明図 樹脂固定コロイド結晶シートに関する後方反射スペクトルを測定する光学系を示す図 本発明の樹脂固定コロイド結晶シートの後方反射スペクトル測定により得られる仰角に対する後方Bragg反射の強度の変化を示す模式図 本発明の樹脂固定コロイド結晶シートの後方反射スペクトル測定により得られる方位角に対する後方Bragg反射の強度の変化を示す模式図 本発明の樹脂固定コロイド結晶シートの結晶ドメインの結晶格子面の模式図 本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを製造する様子を示す図 本発明の構造色を表示する様子を示す模式図 本発明の構造色を表示する様子を示す別の模式図 本発明の被検物の凹凸分布又は硬度分布を検出するステップを示すフローチャート 本発明の被検物の凹凸分布を検出するステップを示すプロシージャ 本発明の構造色シートを示す模式図 実施例1の試料の構造色の観察結果を示す図 実施例1の試料の構造色の観察結果を示す図
実施例4の試料の構造色の観察結果を示す図 実施例4の試料の構造色の観察結果を示す図 実施例5の試料の構造色の観察結果を示す図 実施例5の試料の構造色の観察結果を示す図 実施例6の試料の構造色の観察結果を示す図 実施例6の試料の構造色の観察結果を示す図 比較例8の試料の構造色の観察結果を示す図 比較例8の試料の構造色の観察結果を示す図 比較例9の試料の構造色の観察結果を示す図 比較例9の試料の構造色の観察結果を示す図 実施例1の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 実施例1の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 実施例1の試料のBragg反射の強度の方位角依存性を示す図 実施例1の試料のBragg反射の強度の方位角依存性を示す図 実施例1の試料のBragg反射の強度の方位角依存性を示す図 実施例4の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 実施例4の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 実施例4の試料のBragg反射の強度の方位角依存性を示す図 実施例5の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 実施例5の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図
実施例5の試料のBragg反射の強度の方位角依存性を示す図 実施例6の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 実施例6の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 実施例6の試料のBragg反射の強度の方位角依存性を示す図 比較例8の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 比較例8の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 比較例8の試料のBragg反射の強度の方位角依存性を示す図 比較例9の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 比較例9の試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図 比較例9の試料のBragg反射の強度の方位角依存性を示す図 実施例11における観察結果のデジタルカメラ画像 実施例11における観察結果のデジタルカメラ画像 実施例12における観察結果のデジタルカメラ画像 実施例12における観察結果のデジタルカメラ画像 実施例12における観察結果のデジタルカメラ画像
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、同様の構成要素には同様の参照番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート、及び、その製造方法について詳述する。
図1A及び1Bは、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを示す模式図である。本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100は、複数の結晶ドメイン110を含む(図1A)。複数の結晶ドメイン110は、樹脂120中に固定されたコロイド粒子130からなる(図1B)。ここで、複数の結晶ドメイン110中のコロイド粒子130は、Bragg反射条件を満たすよう3次元周期配列をしている。
樹脂120は、合成樹脂、プラスチック、エラストマーなどの高分子が形成する固体材質を意味する。樹脂120は、少なくとも1種以上の化合物から形成されており、その化合物のモノマー、オリゴマー、マクロマー又はこれらの組み合わせが重合した重合体である。後述する本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100の製造方法(図4)を参照すれば、化合物は、樹脂120を形成すべき少なくとも1種以上の化合物を含有するコロイド分散液がコロイド結晶状態を呈するものであれば、適用可能である。化合物の種類を適宜選択し、混合することにより、使用環境下において、所望の硬度又は所望の柔軟性を有する樹脂とすることができる。ここで、コロイド状態とは、一般には、均質な媒質中に直径50nm〜1000nm(5×10−5mm〜10−3mm)程度の微粒子あるいは巨大分子等が分散している状態をいい、このようなコロイド状態にある液体をコロイドあるいはコロイド分散液ということができる。そして、コロイド結晶状態は、このような微粒子あるいは巨大分子等が規則配列した状態をいうことができる。このようなコロイド結晶状態となったものが結晶ドメインを構成すると考えられる。
より具体的には、樹脂120は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂(シリコーン)、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂及びポリエーテル樹脂からなる群から選択され得る。これらの樹脂であれば、後述する条件(1)及び(2)を満たすようコロイド粒子を固定することができる。好ましくは、樹脂120は、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂である。これらの樹脂であれば、後述するせん断処理によって本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを確実に得ることができる。
樹脂120がアクリル樹脂である場合、アクリル樹脂を形成する化合物は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の一官能単量体;ジ(メタ)アクリル酸エチレン、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能単量体等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらは容易に入手可能であり、取扱いが簡便であるため好ましい。
樹脂120がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂を形成する化合物は、主剤としてジグリシジルエステル誘導体化合物及び/又はジグリシジルエーテル誘導体化合物と、硬化剤として無水フタル酸誘導体化合物とを含んでもよい。より具体的には、ジグリシジルエステル誘導体化合物は、フタル酸ジグリシジルエステル、及び/又は、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルであり得る。ジグリシジルエーテル誘導体化合物は、グリセロールポリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、及び、ビスフェノールAジグリシジルエーテルからなる群から少なくとも1つ選択され得る。無水フタル酸誘導体化合物は、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及び/又は、ヘキサヒドロ無水フタル酸であり得る。これらは容易に入手可能であり、取扱いが簡便であるため好ましい。
樹脂120は、選択する樹脂、あるいは、使用環境の温度等によってその硬度や柔軟性が変化する場合があるが、例えば、樹脂120が、使用環境下において容易に変形しない場合、樹脂固定コロイド結晶シートは、例えば、一定の色を安定に示す装飾に利用可能であるため、好ましい。例えば、樹脂120が、使用環境下において容易に変形する場合、樹脂固定コロイド結晶は、樹脂による変形を利用したパターン表示、あるいは、凹凸分布や硬度分布の検出に利用可能であるため、好ましい。当業者であれば、このような所望の硬度又は柔軟性を有する樹脂120を適宜選択し得る。
コロイド粒子130は、50nm〜1000nmの粒径を有する、シリカ粒子、ポリスチレン粒子、高分子ラテックス粒子、二酸化チタン等の酸化物粒子、金属粒子、異なる材質を組み合わせた複合粒子であるが、これらに限定されない。なお、複合粒子とは、2種以上の異なる材質を組み合わせて構成されており、一方の材質が他方の材質でカプセル化されて、1つの粒子を形成しているもの、半球状の異なる材質の部分が結合して1つの粒子を形成しているもの等を意味する。上述したように、コロイド粒子130は、三次元的に周期配列している。
図2Aは、樹脂固定コロイド結晶シートに関する方向表現の説明図である。図2Bは、その後方反射スペクトルを測定する光学系を示す図である。図3A及び3Bは、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートの後方反射スペクトル測定の結果を示す模式図である。図3Cは、結晶ドメインの結晶格子面の模式図である。
本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100は、図2A及び2Bに示す後方反射スペクトル測定において、図3A及び図3Bに示す特定の条件を満たし、これにより、既存のコロイド結晶の構造色とは異なる効果を奏することができる。
シート面への照射光の入射軸の方向、シート面からの反射光の反射軸の方向等の、シート面に対するある特定の方向Pを表現するために、ここでは、三次元空間の一方向を特定するために慣用的に用いられる、仰角と方位角とを用いる表現を使う。図2Aに示すように、シート面を水平面と見立てて、水平面内の角度を表す方位角をθ(0≦θ(度)<360)、水平面を基準とした上下方向の角度を表す仰角をφ(0≦φ(度)≦90)とする。また、方位角を指定するための水平面内の基準方向をDと規定する。
方位角θが0度、180度は、同一の方向Dであり、方位角θが90度及び270度は、方向Dに対して直交する同一の方向である。即ち、方位角θとして、少なくとも0度以上90度以下の範囲を測定すれば、樹脂固定コロイド結晶シート100の全方向について測定したこととみなせる。また、仰角φについては、0度以上90度以下の範囲を測定すれば、樹脂固定コロイド結晶シート100の全仰角について測定したことになる。
図2Bに示すように、後方反射スペクトル測定は、同軸ファイバ分光計200によって行う。同軸ファイバ分光計200は、光源210と、分光計220とを備える。光源210は、白色光を発する任意の光源である。分光計220は、受光した光のスペクトルの波長及び強度を読み取る任意の分光計である。光源210から発せられた照明光は、光ファイバ230を介してファイバヘッド240から被検試料として樹脂固定コロイド結晶シート100を照射する。ファイバヘッド240は、被検試料において照射光250と逆方向に反射された光260(即ち、後方反射光)のみを受光し、受光した光は検出光として光ファイバ230を介して分光計220に導かれる。同軸ファイバ分光計200では、照明軸と受光軸との両光学軸が重なっている。
図3Aは、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100において、方位角θが所定の角度θ1である場合のBragg反射強度の仰角依存性を示す模式図である。図3Bは、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100における、仰角φ(後方Bragg反射の入射光の仰角)が60度以上90度未満のすべての範囲の場合のBragg反射強度の方位角依存性を示す模式図である。
図3Aに示すように、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100の複数の結晶ドメイン110に起因するBragg反射強度は、方位角が所定の角度である場合は、仰角φが60度以上90度未満のすべての範囲において、0(ゼロ)でない(条件(1))。即ち、0より大きい正の値を持つ。この条件(1)により、本発明による樹脂固定コロイド結晶シート100のシート面に対して正対する観察者の観察軸と、照明光の照明軸とが重ならないので、シート面に対して正対する観察者は、容易に樹脂固定コロイド結晶シート100の構造色を観察することができる。所定の方位角θ1は、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100がせん断処理を施すことによって製造されている場合、このせん断方向に直交する方向に一致するように設定される。
さらに、図3Bに示すように、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100の複数の結晶ドメイン110に起因するBragg反射強度は、仰角φが60度以上90度未満のすべての範囲における方位角依存性について、所定の方位角θ1において最大値を有する(条件(2))。この条件(2)により、本発明による樹脂固定コロイド結晶シート100は、構造色の強い発色を可能とする。図3A及び3Bでは、簡単のため、せん断方向を方向D(即ち、θが0度及び180度)とし、θ1が90度(方向Dに直交する方向)の場合を例示している。
以下は、あくまで推測であり、実際のものと異なっているかもしれないが、上記の、正対する観察者の観察軸と照明軸とが重ならない効果を与える、結晶ドメインの構造について、図3Cを参照して、考察してみる。仰角が60度というように、90度から大きく傾いても後方Bragg反射が存在する樹脂固定コロイド結晶シートにおいては、図3Cに示すように、シート表面(シート面)に対して、ある程度の角度(例えば、β)で傾斜した結晶格子面を有する結晶ドメイン(以降では単に傾斜した結晶ドメインと称する)が存在する。そのため、シートの表面に対して、傾斜した角度φ(仰角)で照明光が入った場合、傾斜した結晶ドメインでは、角度αで入射し同角で反射するが、この反射方向が、見かけ上の正対する方向に一致するため、正対方向へのBragg反射による構造色効果が得られるのかもしれない。このとき、α+β=90度であり、もし、シート面における入射光の屈折を無視すれば、α=φ+βであるので、φ=90−2βとなる。つまり、照明軸の方向である入射光の仰角φは正対する方向(90度)からずれるので、観察軸と重ならない。より正確な考察として入射光の屈折を考慮するなら、φはさらに小さくなる。つまり、照明軸は観察軸からさらに離れる。このようにすれば、照明軸と観察軸とが重なることなく、構造色効果を発揮できると推察される。
さらに、特定の方位角にBragg反射強度が最大値を有する意義を考えてみる。多くの結晶ドメインが、このβの傾斜角でシート面から傾斜し、さらに特定の方位角の方向へ向いているなら、その方位角からの照明に対して、正対する方向への強い反射を起こすものと考えられる。特定の方位角のBragg反射強度が最大値をとる場合は、その方位角を向いた結晶ドメインが、大きな割合で存在していることを意味している。したがって、そのような樹脂固定コロイド結晶シートでは、その方位角からの照明に対して、正対する方向への反射をより効率的に起こすのであると推察される。なお、結晶格子面の方向とは、その結晶格子面の法線方向のことであり、特定(所定)の方位角の方向を向いた結晶格子面とは、結晶格子面の法線方向の方位角が特定(所定)の方位角と等しい、ということを意味している。
このような考察から、本発明の条件(1)及び(2)を満たす、複数の結晶ドメインを含む樹脂固定コロイド結晶シート100において、複数の結晶ドメインのうち一部は、シート面に対して傾斜した(即ち、平行でない)結晶格子面を有し、さらに、複数の結晶ドメインのうち一部は、所定の方位角の方向を向いた結晶格子面を有する。
ここで、仰角φの値を60度以上90度未満のすべての範囲とする理由は、実験結果から、後方反射におけるBragg反射強度が仰角60度以上90度未満のすべての範囲においてゼロでない場合は、典型的な照明角度である仰角45度の方向からの照明によって、正対する方向へのBragg反射による光の強度が視認できる十分な強度で生ずるからである。
本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100が、後述するせん断処理を施すことによって製造される場合、上述の所定の方位角の方向は、せん断方向(例えば図2Aの方向D)に直交する方向である。これにより、確実に条件(1)及び(2)を満たす本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100を得ることができる。
非特許文献1に示す多結晶様のコロイド結晶の場合、結晶ドメインの方向が特定の方向に配向していないことから、条件(1)を満たすが、条件(2)を満たさないと予想される。一方、特許文献1及び非特許文献2の配向したコロイド結晶の場合、結晶ドメインは、特定の結晶格子面がシート面に平行になるように配向しているため、条件(1)及び(2)ともに満たさないと予想される。即ち、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100は、多結晶様のコロイド結晶とも従来の配向したコロイド結晶とも構造及び特性ともに異なる新規なコロイド結晶である。
なお、図1A及び1Bの中では、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100は、結晶ドメイン110間に隙間があるように示されるが、これに限らない。結晶ドメイン110が隙間なく並んでいてもよい。また、複数の結晶ドメイン110は、上述した条件(1)及び(2)の条件を満たすべく、それらの結晶格子面が例えば図3Cとなるように配向しているものと推定される。
本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100において、コロイド粒子130の粒子濃度は、好ましくは、2体積%以上35体積%以下である。粒子濃度が35体積%を超えると、樹脂固定コロイド結晶シートの製造が困難となり、所望の特性が得られない恐れがある。粒子体積濃度が2体積%を下回ると、コロイド分散液にコロイド結晶が形成されない場合がある。より好ましくは5体積%以上25体積%以下であり、これにより、シート全体において所望の特性を得ることができる。さらに好ましくは、10体積%以上20体積%以下であり、これにより、シート全体において確実に所望の特性を得ることができる。
本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100のシート厚は、好ましくは、0.3mmより大きく10mm以下である。シート厚が0.3mm以下になると、特定の結晶格子面がシート面に平行になるように配向したコロイド結晶となり得、所望の特性が得られない場合がある。シート厚が10mmを超えると製造が困難となり得る。シート厚は、より好ましくは、0.5mm以上5mm以下である。これにより、せん断処理を施すことによって樹脂固定コロイド結晶シート100を製造する場合、確実に、所望の特性を有することができる。さらに好ましくは、シート厚は、0.7mm以上3mm以下である。これにより、樹脂固定コロイド結晶シート全体にわたって確実に所望の特性を有することができる。
また、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100は、シート面の正反射条件からずれた角度条件でもBragg反射が生じるため、照明光の表面反射光がBragg反射光と重ならない条件(非正反射条件)でBragg反射による構造色を観察することができる。これにより、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100を用いれば、既存のコロイド結晶よりも、鮮やかな発色効果を得ることができる。
本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100は、上述の条件(1)及び(2)を満たす結晶ドメイン110に加えて、条件(1)及び(2)に影響を及ぼさない範囲で異なる結晶ドメインを含んでいてもよい。あるいは、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100は、結晶ドメイン110に加えて、金属、ガラス、セラミックスなどの無機固形物、あるいは、プラスチックなどの有機固形物等を含んでいてもよい。
次に、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100の製造方法を説明する。図4は、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを製造する様子を示す図である。まず、コロイド分散液を調製する。コロイド分散液は、紫外線照射や加熱等により重合して樹脂を形成する化合物のモノマー、オリゴマー、マクロマー又はこれらの組み合わせからなる液体状分散媒と、これに分散させたコロイド粒子とを含む。コロイド粒子は、コロイド粒子130(図1B)と同様であるため、説明を省略する。
分散媒がコロイド結晶状態を呈するものであれば、任意の化合物を採用できるが、重合してアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂(シリコーン)、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂及びポリエーテル樹脂となるものが好ましい。これらの樹脂及び樹脂を形成する化合物は、樹脂120(図1B)と同様であるため、説明を省略する。分散媒には、紫外線照射や加熱等により活性となる任意の重合開始剤が含有されてもよい。
コロイド分散液の粒子濃度は、好ましくは、2体積%以上35体積%以下である。上述したように、粒子濃度が35体積%を超えると、樹脂固定コロイド結晶シートの製造が困難となり、所望の特性が得られない恐れがある。粒子体積濃度が2体積%を下回ると、コロイド分散液にコロイド結晶が形成されない場合がある。より好ましくは5体積%以上25体積%以下であり、これにより、シート全体において所望の特性を得ることができる。さらに好ましくは、10体積%以上20体積%以下であり、これにより、シート全体において確実に所望の特性を得ることができる。
このように調製したコロイド分散液は、不純物イオン濃度が十分に低いと、粒子が自律的に3次元周期配列し、コロイド結晶状態を呈する。コロイド分散液中の不純物イオン濃度が高い場合、コロイド分散液をイオン交換樹脂と接触させることで、不純物イオン濃度が低減し、コロイド結晶状態にできる。
次に、このように調製したコロイド分散液400を、水平に相対した2枚のガラス平板410、420の間に挟む。ガラス平板のうちの1枚410は、固定されている。次いで、他方のガラス平板420を図中矢印で示す水平方向に直線的に振動的並進運動をさせることにより、挟まれたコロイド分散液にせん断処理を施す。例えば、振動的並進運動の方向(「せん断方向」と呼ぶ)は、図2Aで説明した方向Dである。ガラス平板の表面間の距離が、得られる樹脂固定コロイド結晶シート100のシート厚となり得るので、好ましくは、0.3mmより大きく10mm以下である。
ここで、例示的な、振動的並進運動の条件は、以下のとおりである。これにより、コロイド分散液400の結晶ドメインは、条件(1)及び(2)を満たすように配向し得る。
振動の周波数:5〜100Hz
振動の振幅:表面間の距離の1〜5倍
処理時間:10秒〜10分
より好ましくは、振動的並進運動の条件は、以下のとおりである。これにより、コロイド分散液400の結晶ドメインは、条件(1)及び(2)を満たすようにより確実に配向し得る。
振動の周波数:7〜20Hz
振動の振幅:表面間の距離の1.5〜2.5倍
処理時間:30秒〜2分
尚、振動の振幅を表面間の距離の1〜3倍とすることもできる。
コロイド分散液にせん断処理を施した後、紫外線照射や加熱等により、分散媒を重合させる。このようにして、本発明の樹脂固定コロイド結晶シート100が得られる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した樹脂固定コロイド結晶シートを用いた構造色を表示する方法について説明する。
図5は、本発明の構造色を表示する様子を示す模式図である。図5では、壁500に実施の形態1で説明した樹脂固定コロイド結晶シート100が取り付けてあり、観察者Oは、シート面に正対する方向から樹脂固定コロイド結晶シート100を観察する。コロイド結晶に基づく構造色を表示する方法は、樹脂固定コロイド結晶シート100に照明光510を当てるステップを包含する。照明光510の光源は、発光ダイオード素子(LED)、蛍光灯、白熱灯などの任意の照明器具あるいは太陽光など自然照明である。これらの照明器具は既存に設置してある室内照明であってもよい。
照明光510を当てるステップは、具体的には、樹脂固定コロイド結晶シート100のシート面に正対する方向と異なる方向から樹脂固定コロイド結晶シート100に照明光510を当てる。このような構成にすることにより、観察者Oの観察軸と、照明光510の照明軸とが重なることなく、かつ、照明光510の表面反射光530がBragg反射光520と重なることなく、観察者Oは、Bragg反射光520を観察できる。より好ましくは、照明光510を当てるステップにおいて、照明光を当てる方向は、例えば、樹脂固定コロイド結晶シートがせん断処理を施すことによって製造されている場合、せん断方向に直交する方向である。これにより、観察者Oは、Bragg反射光520の強い発色を得ることができる。
さらに好ましくは、照明光510を当てるステップは、シート面から仰角φが30度〜60度範囲で樹脂固定コロイド結晶シート100に照明光510を当てる。この範囲であれば、観察者Oは、Bragg反射光520により強い構造色の発色を確実に得ることができる。図5に示す仰角φは、図2Aに示す仰角φと同様である。例えば、図5において、樹脂固定コロイド結晶シート100が、文字又は図形からなるパターンを有していれば、観察者Oに、そのようなパターンを有効に表示することができる。
図6は、本発明の構造色を表示する様子を示す別の模式図である。図6では、レリーフ板600に実施の形態1で説明した樹脂固定コロイド結晶シート100が取り付けてあり、観察者Oは、シート面に正対する方向から樹脂固定コロイド結晶シート100を観察する。ここで、樹脂固定コロイド結晶シート100の樹脂120(図1B)は、使用環境下において、柔軟性を有し、容易に変形し得る。ここで、樹脂固定コロイド結晶シート100が容易に変形し得る程度に柔軟性を有するとは、後述の圧するステップにより、レリーフ板600のパターン620の凹凸を反映するよう、樹脂固定コロイド結晶シート100が変形する状態にあることをいう。
図6に示すように、樹脂固定コロイド結晶シート100は、少なくとも、文字又は図形からなるパターン620を凹凸で表したレリーフ板600と、硬質透明板610とに挟まれている。レリーフ板600及び硬質透明板610は、いずれも、容易に変形しない程度の硬度を有していればよく、材質は特に問わない。硬質透明板610はまた、樹脂固定コロイド結晶シート100の構造色を透過させる程度に透明である。例示的な透明硬質板610の材質は、ガラス板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板等であり得るが、これらに限定されない。
不透明柔軟シート(不図示)を、レリーフ板600、不透明柔軟シート、樹脂固定コロイド結晶100、硬質透明板610の順に配置してもよい。不透明柔軟シートにより、レリーフ板600からのBragg反射光以外の光の反射を抑えることができるので、観察者は、構造色のより鮮明な発色を観察できる。このような不透明柔軟シートは、レリーフ板600のパターン620に追随し得る材料であり、黒色等の有色のゴムシート、有色の布、各種樹脂フィルム等である。あるいは、樹脂固定コロイド結晶シート100のレリーフ板600に接触する側の面を有色の塗料で塗りつぶしたり、有色のゴムペースト等を塗布したりしても不透明柔軟シートと同様の効果が得られる。
図6に示すコロイド結晶に基づく構造色を表示する方法は、樹脂固定コロイド結晶シート100に照明光510を当てるステップに先立って、硬質透明板610で樹脂固定コロイド結晶シート100を圧するステップを包含し得る。照明光を当てるステップは、図5を参照して説明したとおりであるため、説明を省略する。
圧するステップにより、樹脂固定コロイド結晶シート100において、パターン620の凸部に接する領域が押しつぶされて変形する。その結果、押しつぶされて変形した領域におけるコロイド粒子の粒子間隔は、その他の領域におけるコロイド粒子の粒子間隔と異なる。なお、圧するステップは、治具を用いてネジを締める等により機械的に圧力をかけてもよいし、手動にて硬質透明板610を樹脂固定コロイド結晶シート100に押し付けるようにして圧力をかけてもよい。
次に、樹脂固定コロイド結晶シート100に照明光510を当てるステップを行う。これにより、観察者Oは、Bragg反射光630を観察できる。詳細には、Bragg反射光630は、変形していない領域に基づくBragg反射光と、変形した領域に基づくBragg反射光とから構成されている。即ち、観察者Oは、凹凸からなるパターン620(凹凸分布)を構造色の色分布640として認識することができる。構造色の色分布640において、凹凸からなるパターン620に対応する領域が、三角及び丸である。構造色の色分布640に示されるように、観察者Oには、三角及び丸(即ち、変形した領域)の構造色と、ハッチングで示す領域(即ち、変形していない領域)の構造色とが異なって認識される。ここでも、観察者Oの観察軸と、照明光510の照明軸とが重なることなく、かつ、照明光510の表面反射光530がBragg反射光630と重なることなく、観察者Oは、Bragg反射光630を観察できる。
上述したように、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを用いれば、シート面の正反射条件からずれた角度条件でもBragg反射が生じるため、照明光の表面反射光がBragg反射光と重ならない条件(非正反射条件)でBragg反射による構造色を観察することができるので、観察者は照明光の照射により鮮やかな発色効果を得ることができる。樹脂固定コロイド結晶シートを、凹及び/又は凸を有するレリーフ板に圧することにより、観察者は、凹凸分布を色分布として視認することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態1で説明した樹脂固定コロイド結晶シートを用いた被検物の凹凸分布を検出する方法について説明する。図7は、本発明の被検物の凹凸分布を検出するステップを示すフローチャートである。図8は、本発明の被検物の凹凸分布を検出するステップを示すプロシージャである。
ステップS710:被検物810に樹脂固定コロイド結晶シート100を被せ、硬質透明板610で圧する。ここで、樹脂固定コロイド結晶シート100は、実施の形態1で説明した樹脂固定コロイド結晶シートであり、その樹脂は、使用環境下において、柔軟性を有し、容易に変形し得る。測定可能な被検物810及び硬質透明板610は、いずれも、容易に変形しない程度の硬度を有していればよく、材質は特に問わない。硬質透明板610は、実施の形態2で説明した硬質透明板と同じである。図8では、被検物810は凸部820を有している。ここで、樹脂固定コロイド結晶シート100が容易に変形し得る程度に柔軟性を有するとは、圧するステップにより、被験物810の凹凸分布(あるいは硬度分布)を反映するよう、樹脂固定コロイド結晶シート100が変形する状態にあることをいう。なお、圧するステップは、治具を用いてネジを締める等により機械的に圧力をかけてもよいし、手動にて硬質透明板610を樹脂固定コロイド結晶シート100に押し付けるようにして圧力をかけてもよい。
ステップS710において、好ましくは、被検物810に不透明柔軟シート(不図示)を介して樹脂固定コロイド結晶シート100を被せる。不透明柔軟シートにより、被検物810からのBragg反射光以外の光の反射を抑えることができるので、構造色のより鮮明な発色を観察できる。このような不透明柔軟シートは、被検物810の凹凸分布に追随し得る材料であり、黒色等の有色のゴムシート、有色の布、各種樹脂フィルム等である。あるいは、ステップS710に先立って、樹脂固定コロイド結晶シート100の被検物810に接触する側の面を有色の塗料で塗りつぶしたり、有色のゴムペースト等を塗布したりしても、不透明柔軟シートと同様の効果が得られる。ステップS710により、樹脂固定コロイド結晶シート100において、凸部820に接する領域が押しつぶされて変形する。その結果、押しつぶされて変形した領域におけるコロイド粒子の粒子間隔は、その他の領域におけるコロイド粒子の粒子間隔と異なる。
ステップS720:樹脂固定コロイド結晶シート100に照明光510を当て、透明硬質板610を介して樹脂固定コロイド結晶シート100を観察する。照明光510は、実施の形態2で説明した照明光であり、実施の形態2で説明した照明光を当てるステップと同様にして照明光を樹脂固定コロイド結晶シート100に当てる。観察は、目視にて観察してもよいし、デジタルカメラ等により撮影してもよいし、分光計を用いて反射スペクトルを測定してもよい。ステップS720により、Bragg反射光830を観察する。詳細には、Bragg反射光830は、変形していない領域に基づくBragg反射光と、変形した領域に基づくBragg反射光とから構成されている。
ステップS730:ステップS720で得られた観察結果に基づいて、凹凸分布を検出する。具体的には、ステップS720で得られた観察結果が、デジタルカメラで撮影した構造色の色分布である場合、観察結果840と、ステップS710の前の樹脂固定コロイド結晶シートの構造色の色分布(測定前の色分布)850とを比較し、色分布が同じであれば、被検物810に凹凸分布がないことを検出し、色分布が異なれば、被検物810に凹凸分布があることを検出する。図8では、観察結果840は、測定前の色分布850と比較し、凸部820に対応する領域の構造色が変化していることを示す。
あるいは、ステップS730において、観察結果が、樹脂固定コロイド結晶シート100の全域にわたって測定された反射スペクトルである場合、反射スペクトルと、ステップS710前の樹脂固定コロイド結晶シートの全域にわたって測定された反射スペクトルとを比較してもよい。この場合、シートの全域にわたって反射スペクトルが同じであれば、被検物810に凹凸分布がないことを検出し、反射スペクトルが異なれば、被検物810に凹凸分布があることを検出する。分光計を使って反射スペクトルを測定すれば、目視にて視認できないような微小な凹凸分布を検出することができる。またこのような検出結果を利用して、凹凸分布のマッピングを作成することもできる。
図7及び8を参照して、被検物810が凹凸分布を有する場合を詳述したが、被検物が硬度分布を有する場合も同様である。即ち、本発明の被検物の硬度分布を検出する方法は、ステップS710と同様に被検物に樹脂固定コロイド結晶シートを被せ、硬質透明板で圧するステップと、ステップS720と同様に樹脂固定コロイド結晶シートに照明光を当て、透明硬質板を介して樹脂固定コロイド結晶シートを観察するステップと、ステップS730と同様に観察結果に基づいて、硬度分布を検出するステップとを包含する。各ステップの詳細もまた、凹凸分布を検出する方法と同様に行われるため説明を省略する。被検物が硬度分布を有する場合、圧するステップにより、樹脂固定コロイド結晶シートの硬度の大きな部分と接触する領域は、押しつぶされて変形し、樹脂固定コロイド結晶シートの硬度の小さな部分と接触する領域は、ほとんど変形しない。その結果、押しつぶされて変形した領域におけるコロイド粒子の粒子間隔は、その他の領域におけるコロイド粒子の粒子間隔と異なり、観察するステップ及び検出するステップにおいて、構造色の色分布の変化、あるいは、反射スペクトルの変化として検出することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態1で説明した樹脂固定コロイド結晶シートを用いた構造色シートについて説明する。図9は、本発明の構造色シートを示す模式図である。本発明の構造色シート900は、複数の樹脂固定コロイド結晶シート片910を含み、これらが樹脂920で固定されている。複数の樹脂固定コロイド結晶シート片910は、実施の形態1で説明した樹脂固定コロイド結晶シート100から切り出されている。なお、切り出す形状に特に制限はない。複数の樹脂固定コロイド結晶シート片910は、樹脂920中に任意の方位関係で位置する。
樹脂920は、合成樹脂、プラスチック、エラストマーなどの高分子が形成する固体材質を意味し、実施の形態1で説明した樹脂120と同様の樹脂を採用できる。複数の樹脂固定コロイド結晶シート片910の樹脂と、樹脂920とが、必ずしも同一である必要はないが、構造色シート900の特性を確実に発揮するためには、同一の方が好ましい。本発明の構造色シート900において、複数の樹脂固定コロイド結晶シート片910のそれぞれは、実施の形態1で詳述したように、構成する複数の結晶ドメインに起因するBragg反射強度は、仰角φが60度以上90度未満の全範囲において、0(ゼロ)でなく(条件(1))、かつ、Bragg反射強度は、所定の方位角における方位角依存性について、最大値を有する(条件(2))ことを満たす。即ち、複数の樹脂固定コロイド結晶シート片910のそれぞれは、所定の方位角の方向から照明光を照射した際に、シート面に対して正対する観察者の観察軸と、照明光の照明軸とが重ならないので、シート面に対して正対する観察者は、容易に樹脂固定コロイド結晶シート片910の構造色を観察し得る。
しかしながら、本発明の構造色シート900において、このような複数の樹脂固定コロイド結晶シート片910が任意の方位関係で位置しているので、照明光の方向は所定の方位角の方向(例えば、せん断方向に直交する方向)に限らず、それ以外の方位角の方向から照明光を照射した場合であっても、シート面に対して正対する観察者の観察軸と、照明光の照明軸とが重ならず、かつ、照明光の表面反射光がBragg反射光と重ならない状況になり得るので、構造色シート900のシート面に対して正対する観察者は、総体として単独の樹脂固定コロイド結晶シートよりも容易に構造色を観察することができる。
本発明の構造色シート900の製造方法は特に制限はないが、例示的には、樹脂固定コロイド結晶シート100から切り出された複数の樹脂固定コロイド結晶シート片910を、紫外線照射や加熱等により重合して樹脂920を形成する化合物のモノマー、オリゴマー、マクロマー又はこれらの組み合わせからなる分散媒に分散させた分散液をシート状に配置し、紫外線照射や加熱等を行い、重合固化させればよい。
なお、構造色シート900を用いて、実施の形態2で説明した、構造色を表示する方法を行ってもよいし、構造色シート900を用いて、実施の形態3で説明した、被検物の凹凸分布又は硬度分布を検出する方法を行ってもよい。この場合も、照明光を当てるステップにおいて、照明光を当てる方向は、所定の方位角の方向(例えば、せん断方向に直交する方向)に限らず、それ以外の方向から当てることができ得るので、方法の実施に制限がより少なく、有利である。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[実施例1]
実施例1では、粒径150nm、粒子濃度17体積%、シート厚1mmの室温にて容易に変形可能な柔軟性のある樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。化合物アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4−HBA)のモノマー液体に紫外線活性の重合開始剤を添加したものを分散媒として、これにコロイド粒子として粒径150nmのシリカ粒子を分散したコロイド分散液を調製した。粒子濃度は17体積%であった。コロイド分散液は、目視で遊色効果を示し、コロイド結晶状態にあることを確認した。このコロイド分散液を、図4に示す水平に相対した2枚のガラス平板の間に挟み、ガラス平板の上方を固定し、下方を水平方向に直線的に振動的並進運動をさせることで、挟まれたコロイド分散液にせん断処理を施した。2枚のガラス平板の相対する表面間の距離は1mmであった。振動的並進運動の方向(つまり、せん断方向)は、方向D(図2A及び4)であった。
振動的並進運動の条件は、次のとおりであった。
振動の周波数:10Hz
振動の振幅:表面間の距離の2倍
処理時間:1分
せん断処理により、コロイド分散液の全面が、均一の構造色を呈する配向状態が得られた。次いで、紫外線照射を行い、分散媒を重合固化させ、厚さ1mmの樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。4−HBAは、重合によって、室温において、弾性変形が容易な(即ち、柔軟性の高い)アクリル樹脂を形成するので、得られた樹脂固定コロイド結晶シート(以降では単に実施例1の試料と呼ぶ。)も、弾性変形容易な材料であった。
次に、実施例1の試料を目視観察し、写真評価した。図2Aを参照し、実施例1の試料において、方向Dは、せん断方向と同一の方向とする。方位角θが90度、仰角φが45度の方向から蛍光灯を実施例1の試料に照明し、実施例1の試料のシート面に正対する方向(即ち、仰角φが90度の方向)から観察した。結果を図10Aに示す。ここで、θ=90度は、せん断方向と直交する方向という意味で、実質的に270度と等価である。せん断処理が往復運動で行われるからである(以下同様)。方位角θが0度、仰角φが45度の方向から蛍光灯を実施例1の試料に照明し、実施例1の試料のシート面に正対する方向から観察した。結果を図10Bに示す。ここで、せん断処理が往復運動で行われるので、θ=0度は、せん断方向Dという意味で実質的に180度と等価である(以下同様)。
次に、図2Bに示す光学系(同軸ファイバー分光計)により、実施例1の試料の後方反射スペクトル(反射強度の波長依存性)を測定した。測定波長範囲は400nmから700nmであった。ここで使用した測定機器は、分光計として株式会社相馬光学のマルチチャンネル分光計S−2600、光源として同社のファイバ接続型のハロゲンランプ、光ファイバ及びファイバヘッドとして同社の2分岐拡散反射プローブであった。
まず、実施例1の試料に対して測定軸の方位角をせん断方向Dと同一の方向に固定(図2Aでθ=0度又は180度)し、Bragg反射の強度のシート面に対する仰角依存性を測定した。次に、実施例1の試料に対して測定軸の方位角をせん断方向Dに直交する方向に固定(図2Aでθ=90度又は270度)し、Bragg反射の強度のシート面に対する仰角依存性を測定した。結果を図16A及び16Bに示す。さらに、実施例1の試料に対して測定軸の仰角φを60度〜90度の1度刻みに固定し、Bragg反射の強度の方位角依存性を測定した。いくつかの結果を図17A〜17Cに示す。ここで、後方反射スペクトルにBragg反射ピークが複数存在する場合、最大のピーク強度を採用している。また、ピークが存在しない場合、ピーク強度はゼロとしている。なお、ピーク強度の値は、標準サンプルとして白色のコピー用紙を用いて測定した、仰角が90度の場合の後方反射強度を100とし、それに対する相対値で表している。
[実施例2]
実施例2では、粒径150nm、粒子濃度11体積%、シート厚1mmの室温にて容易に変形可能な柔軟性のある樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。実施例2の樹脂固定コロイド結晶シートの製造条件は、粒子濃度が異なる以外は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、実施例2の試料を目視観察し、写真評価した。
[実施例3]
実施例3では、粒径180nm、粒子濃度17体積%、シート厚1mmの室温にて容易に変形可能な柔軟性のある樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。実施例3の樹脂固定コロイド結晶シートの製造条件は、粒径が異なる以外は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、実施例3の試料を目視観察し、写真評価した。
[実施例4]
実施例4では、粒径180nm、粒子濃度32体積%、シート厚1mmの室温にて容易に変形可能な柔軟性のある樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。実施例4の樹脂固定コロイド結晶シートの製造条件は、粒径と粒子濃度とが異なる以外は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、実施例4の試料を目視観察し、写真評価した。実施例1と同様に、実施例4の試料の後方反射スペクトルを測定した。これらの結果を、図11A(θ=90度、φ=45度)、11B(θ=0度、φ=45度)、18A(θ=0度)、18B(θ=90度)及び19(φ=60度)に示す。
[実施例5]
実施例5では、粒径150nm、粒子濃度17体積%、シート厚0.5mmの室温にて容易に変形可能な柔軟性のある樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。実施例5の樹脂固定コロイド結晶シートの製造条件は、シート厚が異なる以外は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、実施例5の試料を目視観察し、写真評価した。実施例1と同様に、実施例5の試料の後方反射スペクトルを測定した。これらの結果を、図12A(θ=90度、φ=45度)、12B(θ=0度、φ=45度)、図20A(θ=0度)、20B(θ=90度)及び図21(φ=60度)に示す。
[実施例6]
実施例6では、粒径150nm、粒子濃度17体積%、シート厚1mmの室温にて変形不可能な硬度の高い樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。実施例6の樹脂固定コロイド結晶シートの製造条件は、室温にて硬度の高いアクリル樹脂を形成する化合物メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)のモノマー液体を分散媒に用いた以外は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、実施例6の試料を目視観察し、写真評価した。実施例1と同様に、実施例6の試料の後方反射スペクトルを測定した。これらの結果を、図13A(θ=90度、φ=45度)、13B(θ=0度、φ=45度)、22A(θ=0度)、22B(θ=90度)及び23(φ=60度)に示す。
[実施例7]
実施例7では、粒径150nm、粒子濃度17体積%、シート厚2mmの室温にて変形不可能な硬度の高い樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。実施例7の樹脂固定コロイド結晶シートの製造条件は、実施例6と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、実施例7の試料を目視観察した。
[比較例8]
比較例8では、粒径150nm、粒子濃度17体積%、シート厚1mmの室温にて容易に変形可能な柔軟性のある、多結晶様の樹脂固定コロイド結晶シート(例えば、非特許文献1に記載のコロイド結晶に相当する。)を製造した。実施例1と同様に、コロイド分散液を調製し、図4に示す水平に相対した2枚のガラス平板の間に挟んだ。せん断処理をすることなく、そのまま紫外線照射を行い、分散媒を重合固化させた。これにより、多結晶状態である樹脂固定コロイド結晶シートが得られた。実施例1と同様に、比較例8の試料を目視観察し、写真評価した。実施例1と同様に、比較例8の試料の後方反射スペクトルを測定した。なお、せん断処理をしていないため、せん断処理する場合にガラス板を並進運動させる方向を方向Dとした。これらの結果を図14A(θ=90度、φ=45度)、14B(θ=0度、φ=45度)、24A(θ=0度)、24B(θ=90度)及び25(φ=60度)に示す。
[比較例9]
比較例9では、粒径150nm、粒子濃度17体積%、シート厚0.3mmの室温にて容易に変形可能な柔軟性のある、表面配向性の樹脂固定コロイド結晶シート(例えば、非特許文献2に記載のコロイド結晶に相当)を製造した。比較例9の樹脂固定コロイド結晶シートの製造条件は、シート厚が異なる以外は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。実施例1と同様に、比較例9の試料を目視観察し、写真評価した。実施例1と同様に、比較例9の試料の後方反射スペクトルを測定した。これらの結果を、図15A(θ=90度、φ=45度)、15B(θ=0度、φ=45度)、26A(θ=0度)、26B(θ=90度)及び27(φ=60度)に示す。
[実施例10]
実施例10では、粒径150nm、粒子濃度17体積%、シート厚1mmの室温にて変形不可能な硬度の高い樹脂固定コロイド結晶シートを製造した。実施例10の樹脂固定コロイド結晶シートの製造条件は、実施例1の4−HBA(アクリル樹脂を形成する化合物)に代えて、室温にて硬度の高い樹脂としてエポキシ樹脂を形成する化合物を用い、化合物を加熱によって重合させた以外は実施例1と同様であった。詳細には次のとおりである。エポキシ樹脂を形成する化合物は、主剤としてビスフェノールAジグリシジルエーテル、及び、硬化剤として4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を用いた。これらを重量比約1:1で混合した液体を分散媒として、これにシリカ粒子を分散した分散液を調製した。これを実施例1と同様の条件でせん断処理をし、次いで加熱を行い、分散媒を重合固化させ、厚さ1mmの樹脂固定コロイド結晶シートを得た。実施例1と同様に、実施例10の試料を目視観察した。
以上の実施例及び比較例1〜10の実験条件を簡単のため表1にまとめて示す。
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、いずれも、方位角θが90度、仰角φが45度の方向から蛍光灯を試料に照射し、試料のシート面に正対する方向から観察した結果を示す。図10B、11B、12B、13B、14B、及び15Bは、いずれも、方位角θが0度、仰角φが45度の方向から蛍光灯を試料に照射し、試料のシート面に正対する方向から観察した結果を示す。
図10A、11A、12A、及び13Aによれば、いずれも、Bragg反射による構造色の発色(青色)が明確に観察された。図10B、11B、12B、及び13Bによれば、いずれも、Bragg反射による構造色の発色は観察されなかった。図示しないが、実施例7の試料についても、実施例6と同様の構造色の発色が得られることを確認した。なお、実施例4の試料に比べて、実施例1〜3、5及び6の試料の方がシートの均一性に優れていた。このことから、粒子濃度は35体積%以下が好ましいことが示唆される。
図示しないが、実施例2及び3の試料についても、同様に、方位角θが90度、仰角φが45度の方向から蛍光灯を照射し、試料のシート面に正対する方向から観察したところ、Bragg反射による構造色の発色(赤色)が明確に観察された。同様に、実施例10の試料についても、位角θが90度、仰角φが45度の方向から蛍光灯を照射し、試料のシート面に正対する方向から観察したところ、Bragg反射による構造色の発色(青色)が明確に観察された。
実施例1〜7及び10により、コロイド粒子の粒径や粒子濃度を変化させることにより、異なる構造色の発色が可能であることが示された。なお、当業者であれば、粒径や粒子濃度を適宜選択することによりBragg反射の波長を制御し、所望の構造色を設定することができる。
図14A及び14Bによれば、いずれも、Bragg反射光による極めて弱い構造色(青色)の発色が観察された。一方、図15A及び15Bによれば、いずれも、Bragg反射光による構造色の発色が観察されなかった。
以上から、実施例1〜7及び10の試料は、所定の方位角θ1の方向として、せん断方向Dに対して直交する方向において、斜めから照射した場合であっても、試料のシート面に対して正対する観察者は、構造色を観察することができることが分かった。また、実施例1〜7の試料の構造色の観察結果と、比較例8の試料のそれとを比較すると、実施例1〜実施例7の試料は、比較例8の試料よりも、より明瞭に構造色を観察できることが示された。さらに、実施例1〜実施例7の試料の構造色の観察結果と、比較例8〜9の試料のそれとを比較すると、実施例1〜7の試料を構成する複数の結晶ドメインは、比較例8の試料と異なり、無秩序な方位関係で集合しているものではなく、かつ、比較例9の試料と異なり、秩序的に特定の方位に集合しているものではないことが示され、現時点ではその集合の様態の詳細は解明されていないが、まったく新規の配向をしていることが示唆される。
また、実施例1〜7及び10の観察結果より、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートに照明光を当てることにより構造色を表示することができることが示された。詳細には、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に正対する方向と異なる方向、より好ましくは、せん断方向に直交する方向から照明光を当てることにより、発色よく構造色を表示することができる。
図16A、図18A、図20A、図22A、図24A及び図26Aは、いずれも、方位角θが0度に固定された場合の、試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す。図16B、図18B、図20B、図22B、図24B及び図26Bは、いずれも、方位角θが90度に固定された場合の、試料のBragg反射の強度の仰角依存性を示す図である。
図16A及び16Bによれば、実施例1の試料は、せん断方向D(θ=0度又は180度)には、仰角φが90度近傍以外でBragg反射しないが、せん断方向Dに対して直交する方向(θ=90度又は270度)には、仰角φが30度以上90度未満の全範囲においてBragg反射することが分かった。即ち、実施例1の試料は、シート面からの仰角φが60度以上90度未満の全範囲であり、所定の方位角θ1の方向としてせん断方向Dに対して直交する方向について、後方反射スペクトル測定をすると、そのBragg反射の強度は0(ゼロ)でない(上述の条件(1))ことが示された。このことから、図3Cを参照して説明したように、結晶ドメインの一部は、シート面に対して傾斜した結晶格子面を有することが示唆される。
図17A〜17Cには、測定したシート面からの仰角φが60度〜90度のうち代表的な60度、70度及び80度の結果を示す。図17A〜17Cによれば、いずれの仰角においても、実施例1の試料は、方位角θが90度において、Bragg反射の強度が最大となっていることが分かった。図示しないが、60度、70度及び80度以外の測定した仰角φ60度〜90度すべての仰角についても、同様の結果であった。即ち、実施例1の試料は、シート面からの仰角φが少なくとも60度以上90度未満の全範囲であり、シート面の方位角依存性について、後方反射スペクトル測定をすると、所定の方位角θ1の方向としてせん断方向Dに対して直交する方向において、最大値を有する(上述の条件(2))ことが示された。このことから、結晶ドメインの一部は、所定の方位角θ1の方向(せん断方向D)に対して直交する方向に向いていることが示唆される。
図18A〜23によれば、実施例4〜6の試料は、いずれも、実施例1と同様に、上述の条件(1)及び(2)を満たすことが分かった。図示しないが、実施例2及び3の試料もまた、実施例1及び4〜6と同様の仰角依存性及び方位角依存性を示した。また、実施例7及び10についても、シート面に正対する方向と異なる、せん断方向に直交する方向から照明光を当てることにより、青色の構造色を発現したことから、実施例1及び4〜6と同様の仰角依存性及び方位角依存性を示すことが示唆される。
比較例8の試料は、図24A及び24Bによれば、上述の条件(1)を満たした。しかしながら、図25によれば、比較例8の試料のBragg反射の強度は、方位角依存性を何ら示しておらず、上述の条件(2)を満たさないことが分かった。さらに、比較例9の試料は、図26A及び26Bによれば、せん断方向Dにも、せん断方向Dに対して直交する方向にも、90度近傍以外ではBragg反射せず、上述の条件(1)を満たさなかった。また、図27によれば、比較例9の試料は、仰角φが60度ではいずれの方位角θにおいてもBragg反射せず、上述の条件(2)を満たさないことが分かった。
以上から、実施例1〜7及び10の試料は、特定の条件においてBragg反射をすることから、樹脂中にコロイド粒子が固定された複数の結晶ドメインを含んでおり、このような複数の結晶ドメインに起因するBragg反射の強度が、
(1)試料のシート面からの仰角φが60度以上90度未満の範囲であり、シート面の所定の方位角(実施例では、せん断方向Dに対して直交する方向であり、方位角θが90度又は270度)について測定した場合、0(ゼロ)でなく、かつ、
(2)試料のシート面からの仰角φが60度以上90度未満の範囲であり、シート面の方位角依存性について測定した場合、所定の方位角(実施例では、せん断方向Dに対して直交する方向であり、方位角θが90度又は270度)において、最大値を有するように、複数の結晶ドメインが配向していることが示された。
また、実施例1〜7及び10の結果から、樹脂の種類、柔軟性や硬度には制限がないことが示された。実施例1〜7及び実施例10の結果から、粒子濃度は、2体積%以上35体積%以下が好ましく、10体積%以上20体積%以下が最も好ましいことが示された。実施例5及び7並びに比較例9の結果から、シート厚は、0.3mmより大きく10mm以下が好ましく、0.5mm以上5mm以下がより好ましく、0.7mm以上3mm以下がさらに好ましいことが示された。
[実施例11]
実施例11では、実施例3の試料を用いて、被検物の凹凸分布を検出した。被検物としてWクリップの取手形状の凸部(図8の820)を有するレリーフ板を用いた。この被検物に、不透明柔軟シートとして黒色のゴムシートを介して実施例3の試料を被せ、硬質透明板としてガラス板(図8の610)で圧した(図7のステップS710)。次いで、実施例3の試料に照明光として蛍光灯の光を当て、ガラス板を介して観察した(図7のステップS720)。具体的には、照明光を、実施例3の試料のせん断方向に直交する方向(θが90度)から、試料のシート面からの仰角φが45度で、実施例3の試料に当て、デジタルカメラで構造色を撮影した。観察結果としてデジタルカメラの画像に基づいて、被検物の凹凸分布を検出した(図7のステップS730)。
図28A及び28Bは、実施例11における観察結果のデジタルカメラ画像である。図28Aは、圧するステップ前の実施例3の試料のデジタルカメラ画像であり、全体が赤色を呈している。図28Bは、圧するステップ後の実施例3の試料のデジタルカメラ画像で、一部に青色を呈している。両図では、構造色の色分布が異なっており、図28Bにおいて、構造色が赤色から青色に変化した領域があった。この領域は、Wクリップの取手形状の凸部に相当していることを確認した。
以上より、本発明の容易に変形可能な樹脂固定コロイド結晶シートを用いて、被検物の凹凸分布を検出することができることを確認した。また、被検物の凹凸によって構造色の色分布が変化したことから、図6を参照して説明した、本発明の構造色の表示方法もまた有効であることが分かった。
[実施例12]
実施例12では、実施例3の試料を用いて、被検物の硬度分布を検出した。被検物として、硬い金属の袋ナット(2個)が埋め込まれた柔軟なスポンジ組織を用いた以外は、実施例11と同様の手順であった。
図29A〜29Cは、実施例12における観察結果のデジタルカメラ画像である。図29Aは、被検物のデジタルカメラ画像である。図29Bは、圧するステップ前の実施例3の試料のデジタルカメラ画像であり、全体が赤色を呈している。図29Cは、圧するステップ後の実施例3の試料のデジタルカメラ画像で、一部に青色を呈している。図29B及び29Cを比較すると、構造色の色分布が異なっており、図29Cにおいて、構造色が赤色から青色に変化した領域があった。この領域は、図29Aに示す金属袋ナットの領域に相当していることを確認した。
以上より、本発明の容易に変形可能な樹脂固定コロイド結晶シートを用いて、被検物の硬度分布を検出することができることを確認した。
本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを用いれば、シート面に対して正対する観察者の観察軸と、照明光の照明軸とが重なることなく、シート面に対して正対する観察者が、Bragg反射による構造色を容易に観察することができる。また、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを用いれば、観察者は、表面反射光がBragg反射光と重ならない条件で構造色を観察できるので、鮮やかな発色効果を得られる。本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを用いて、鮮やかな発色効果を利用した装飾品、あるいは、種々のパターンの表示物として機能する。また、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートを用いて、構造色の変色を利用した被検物の凹凸分布あるいは硬度分布を検出することもできる。
高級衣料や鞄などに、正規品を模造品と区別するために、革や特殊な組織の布地やホログラフィックフィルムなどの光輝材といった、特殊な素材を用いて作られた、判別用のタグ(いわゆる偽造防止タグ)が使用されることが多い。本発明の樹脂固定コロイド結晶シートは、斜め照明によって正対する方向から鮮明な構造色を観察できたり、その際の照明の方位角により発色の有無が変化するなど、従来の素材にない特殊な発色特性を有している。そのような発色特性を利用して、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートは、このような偽造防止タグの素材とするなど、偽造防止の目的にも利用され得る。
さらに、本発明の樹脂固定コロイド結晶シートから切り出した樹脂固定コロイド結晶シート片を含む構造色シートであれば、任意の方向から照明光を照射可能となるので、実施に制限がなく有利である。
100 樹脂固定コロイド結晶シート 110 結晶ドメイン
120、920 樹脂 130 コロイド粒子
200 同軸ファイバ分光計 210 光源
220 分光計 230 光ファイバ
240 ファイバヘッド 250 照射光
260 反射された光 400 コロイド分散液
410、420 ガラス平板 500 壁 510 照明光
520、630 Bragg反射光 530 表面反射光
600 レリーフ板 610 硬質透明板
620 パターン 640 色分布 810 被検物
820 凸部 830 反射光 840 観察結果
850 測定前の色分布 900 構造色シート
910 樹脂固定コロイド結晶シート片

Claims (20)

  1. 樹脂中にコロイド粒子が固定された、複数の結晶ドメインを含む樹脂固定コロイド結晶シートであって、
    前記樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に対する後方反射スペクトル測定において、前記複数の結晶ドメインに起因するBragg反射の強度は、
    (1)前記シート面からの仰角が60度以上90度未満の範囲であり、前記シート面の所定の方位角について測定した場合、0でなく、かつ、
    (2)前記シート面からの仰角が60度以上90度未満の範囲であり、前記シート面の方位角依存性について測定した場合、前記所定の方位角において、最大値を有する、
    樹脂固定コロイド結晶シート。
  2. せん断処理を施すことによって製造され、
    前記所定の方位角の方向は、前記せん断処理のせん断方向に直交する方向である、請求項1に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  3. 前記コロイド粒子の粒子濃度は、2体積%以上35体積%以下である、請求項1に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  4. 前記樹脂は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂(シリコーン)、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂及びポリエーテル樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  5. 前記樹脂はアクリル樹脂であり、
    前記アクリル樹脂を形成する化合物は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸エチレン、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及び、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群から少なくとも1つ選択される、請求項4に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  6. 前記樹脂はエポキシ樹脂であり、
    前記エポキシ樹脂を形成する化合物は、ジグリシジルエステル誘導体化合物及び/又はジグリシジルエーテル誘導体化合物と、無水フタル酸誘導体化合物とを含む、請求項4に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  7. 前記ジグリシジルエステル誘導体化合物は、フタル酸ジグリシジルエステル、及び/又は、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルである、請求項6に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  8. 前記ジグリシジルエーテル誘導体化合物は、グリセロールポリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、及び、ビスフェノールAジグリシジルエーテルからなる群から少なくとも1つ選択される、請求項6に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  9. 前記無水フタル酸誘導体化合物は、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及び/又は、ヘキサヒドロ無水フタル酸である、請求項6に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  10. 前記シートの厚さは、0.3mmより大きく10mm以下である、請求項1に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  11. 前記複数の結晶ドメインのうち一部は、前記シート面に対して傾斜した結晶格子面を有し、
    前記複数の結晶ドメインのうち一部は、前記所定の方位角の方向を向いた結晶格子面を有する、請求項1に記載の樹脂固定コロイド結晶シート。
  12. コロイド結晶に基づく構造色を表示する方法であって、
    請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂固定コロイド結晶シートに照明光を当てるステップを包含する、方法。
  13. 前記照明光を当てるステップは、前記樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に正対する方向と異なる方向から照明光を当てる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記樹脂固定コロイド結晶シートは、せん断処理を施すことによって製造され、
    前記照明光を当てるステップは、前記せん断処理のせん断方向に直交する方向から照明光を当てる、請求項12に記載の方法。
  15. 前記樹脂固定コロイド結晶シートは、文字又は図形からなるパターンを有する、請求項12に記載の方法。
  16. 前記樹脂固定コロイド結晶シートは、少なくとも、文字又は図形からなるパターンを凹凸で表したレリーフ板と、硬質透明板とに挟まれており、
    前記照明光を当てるステップに先立って、前記硬質透明板で前記樹脂固定コロイド結晶シートを圧するステップを包含する、請求項12に記載の方法。
  17. 被検物の凹凸分布又は硬度分布を検出する方法であって、
    被検物に請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂固定コロイド結晶シートを被せ、硬質透明板で圧するステップと、
    前記樹脂固定コロイド結晶シートに照明光を当て、前記透明硬質板を介して前記樹脂固定コロイド結晶シートを観察するステップと、
    前記観察するステップで得られた観察結果に基づいて、凹凸分布又は硬度分布を検出するステップと
    を包含する、方法。
  18. 前記観察するステップは、前記樹脂固定コロイド結晶シートのシート面に正対する方向と異なる方向から照明光を当て、観察する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記検出するステップは、
    前記観察結果が、前記圧するステップの前の前記樹脂固定コロイド結晶シートのそれと同じである場合、前記被検物に凹凸分布又は硬度分布がないことを検出し、
    前記観察結果が、前記圧するステップの前の前記樹脂固定コロイド結晶シートのそれと異なる場合には、前記被検物に凹凸分布又は硬度分布があることを検出する、請求項17に記載の方法。
  20. 複数の樹脂固定コロイド結晶シート片が樹脂で固定された構造色シートであって、
    前記複数の樹脂固定コロイド結晶シート片は、請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂固定コロイド結晶シートから切り出されており、
    前記複数の樹脂固定コロイド結晶シート片は、前記樹脂中に任意の方位関係で位置する、構造色シート。
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