JP3533442B2 - コロイド結晶、並びにゲル化コロイド結晶の形成方法、及びこれに基づくコロイド結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シートの作製方法と、作製されるコロイド結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シート - Google Patents

コロイド結晶、並びにゲル化コロイド結晶の形成方法、及びこれに基づくコロイド結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シートの作製方法と、作製されるコロイド結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シート

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、コロイド
結晶、並びにゲル化コロイド結晶の形成方法、及びこれ
に基づくコロイド結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、
並びにコロイド結晶シートの作製方法と、作製されるコ
ロイド結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロ
イド結晶シートに関するものである。さらに詳しくは、
この出願の発明は、三次元的な均一性に優れた組織を有
するコロイド結晶を形成可能なコロイド結晶、並びにゲ
ル化コロイド結晶の形成方法と、これに基づくコロイド
結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結
晶シートの作製方法と、作製されるコロイド結晶素子、
ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シートに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】粒径のよく揃った粒子が液体に分散した
コロイド溶液(単分散粒子溶液)においては、溶液中の
粒子濃度を十分高くした場合に、粒子同士が、固定的な
結合を作ることなく分散状態を保ちながら、周期的な規
則配列構造を作ることが知られている。このような粒子
が規則配列状態をとっている単分散粒子溶液は、固体で
はないが、構成ユニットである粒子が三次元的な格子構
造を作っていることから、通常の結晶との類推によりコ
ロイド結晶と呼ばれている(日本化学会編「コロイド科
学I」東京化学同人、pp.119-123)。このコロイド結晶
状態にある単分散粒子溶液内に攪拌するなどしてせん断
流動を発生させると、粒子の規則配列構造が壊され、粒
子の配置を無秩序な状態にすることができる。これをコ
ロイド結晶の融解と称している。一方、静置すると、粒
子は再び周期的な規則配列構造を作る。これをコロイド
結晶の再結晶と称している。
【0003】このようなコロイド結晶は、その格子定数
が、可視光若しくはその周辺の波長領域にある紫外光や
赤外光の波長と同程度である場合、これらの光をBragg
回折する。この現象を利用して、特定の波長の光を透過
しない光フィルターや特定の光を反射するミラー、さら
にはフォトニック結晶(J.D. Joannopoulos et al.,Nat
ure, Vol.386(1997)pp.143-149)と呼ばれる新規な光機
能材料へコロイド結晶の応用が考えられている。
【0004】例えば、コロイド結晶を用いた光フィルタ
ーとしては、透明な材質でできた2枚の平板を平行に相
対させ、その間の空間にコロイド結晶をサンドイッチ状
に挟んだ構造を有する素子が知られている(米国特許第
4,627,689号)。また、分散媒中に高分子モノマー、架
橋剤、重合開始剤等からなるゲル化剤を添加したコロイ
ド結晶を、2枚の基板に挟み、薄板状に保持した後にゲ
ル化させてシート状にし、基板を取り外してコロイド結
晶シートを得ることが知られてもいる(欧州特許公開第
0482394号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前者のコロイド結晶を
サンドイッチ状に挟んだ構造の素子においては、融解し
た過冷却の単分散粒子溶液を平行平板間の空間に静かに
保持し、自発的に徐々に結晶化させたり、小粒のイオン
交換樹脂を結晶化の核形成促進剤として単分散粒子溶液
中に入れて徐々に結晶化させてコロイド結晶を生成させ
たりしている。しかしながら、このような方法による
と、結晶化してくるコロイド結晶の組織は、平板の基板
面の法線方向に特定の結晶方位が配向するが、基板面に
平行な方向には配向しにくい。このため、結晶化の過程
で配向方位の異なる複数の結晶粒が同時に成長すると、
コロイド結晶の組織は不均一なものになってしまう。結
晶粒の発生個数は粒子濃度が高いほど多くなり、したが
って、上記の方法により高い粒子濃度を持つコロイド結
晶において均一組織を得ることは難しい。しかも、粒子
の体積分率濃度が10%を超えるきわめて濃厚な単分散
粒子溶液は、過冷却状態を維持すること自体不可能なた
め、上記のような結晶化法は採用できない。コロイド結
晶組織は、粒子濃度が低いほど振動や温度変動などの外
乱により乱されやすく、また、容器からの不純物溶出に
よって結晶状態を壊されやすい。したがって、この観点
からすれば、粒子濃度は高くすることが望まれる。
【0006】一方、後者のコロイド結晶シートにおいて
は、紫外線を照射するなどしてゲル化を開始させている
が、形成されるコロイド結晶組織は、上記の素子と同様
に、基板面の法線方向には結晶方位の配向が起こるが、
平行方向には配向せず、三次元的に均一な結晶組織は得
にくい。
【0007】三次元的に均一なコロイド結晶組織は、光
フィルター等の性能を向上させるばかりでなく、その異
方性を利用したより高度な光機能材料等として、応用が
期待される。
【0008】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、三次元的な均一性に優れた組
織を有するコロイド結晶を形成可能とすることを目的と
している。
【0009】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、体積分率による粒子濃度
が5〜70%の間にあり、コロイド結晶状態をとってい
単分散粒子溶液を、断面形状において平行な二辺とし
て現れる平滑な基板面を有するまっすぐな扁平管の中に
保持し、その一端から圧力をかけ基板面に平行に強く流
動させて単分散粒子溶液にせん断流動を与え、次いで流
動を静止させ、該扁平管内に三次元的な均一性に優れた
組織を有するコロイド結晶を形成させることを特徴とす
るコロイド結晶の形成方法(請求項1)を提供する。
【0010】この請求項1に係る発明に関し、この出願
の発明は、基板面の間隔を0.01〜0.5mmとすること(請
求項2)、扁平管の一端若しくは両端に屈曲した屈曲流
入路を設け、この屈曲流入路を通じて単分散粒子溶液を
扁平管内に流入させること(請求項3)をそれぞれ好ま
しい態様として提供する。
【0011】またこの出願の発明は、以上のコロイド結
晶の形成方法において、単分散粒子溶液にゲル化剤を添
加し、三次元的な均一性に優れたコロイド結晶の形成後
に、これをゲル化させることを特徴とするゲル化コロイ
ド結晶の形成方法(請求項)、扁平管、若しくは扁平
管及び屈曲流入路が透明な材質から形成され、三次元的
な均一性に優れたコロイド結晶の形成後に、扁平管若し
くは屈曲流入路の開放端を封止して素子化することを特
徴とするコロイド結晶の作製方法(請求項)を提供す
る。
【0012】これら請求項4、5に係る発明に関し、こ
の出願の発明は、単分散粒子溶液にゲル化剤を添加し、
三次元的な均一性に優れたコロイド結晶の形成後に、こ
れをゲル化させることを特徴とするゲル化コロイド結晶
素子の作製方法(請求項)、ゲル化コロイド結晶形成
後に、扁平管を除去し、シート状のゲル化コロイド結晶
を取り出すことを特徴とするコロイド結晶シートの作製
方法(請求項)を提供する。請求項に関する発明に
関しては、この出願の発明は、さらに、素子化後、扁平
管を除去し、シート状のゲル化コロイド結晶を取り出す
ことを特徴とするコロイド結晶シートの作製方法(請求
)を提供する。
【0013】そしてこの出願の発明は、上記コロイド結
晶素子の作製方法により作製されたことを特徴とするコ
ロイド結晶素子(請求項)、上記ゲル化コロイド結晶
素子の作製方法により作製されたことを特徴とするゲル
化コロイド結晶素子(請求項 10)、並びに上記コロ
イド結晶シート(請求項11)をも提供する。
【0014】以下、実施例を示しつつ、この出願の発明
についてさらに詳しく説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】高粒子濃度の単分散粒子溶液が作
るコロイド結晶の構造については、図1に示したよう
な、粒子が二次元的に六方稠密に充填した六方稠密層
(1)が積層する構造が知られているが、このようなコ
ロイド結晶状態にある単分散粒子溶液に一定以上の強さ
のせん断流動を与えると、六方稠密層(1)の稠密方向
(2)若しくはこれと等価な方向(2a)(2b)が流
動方向に平行になるように配向する傾向が確認された。
また、単分散粒子溶液を挟む平行に相対する二つの基板
面は、その法線方向と上記六方稠密層(1)の法線方向
が一致するように作用することも確認された。そこで、
せん断流動により流動方向に配向させたコロイド結晶を
平行に相対する二つの平滑な基板面に挟まれた空間内で
一軸方向に平行に流動させた後、静止させたところ、コ
ロイド結晶が、いたるところで二つの方位、すなわち、
流動方向(3)と基板面の法線方向とに揃って配列し、
三次元的な均一性に優れた組織が得られることが確認さ
れたのである。この出願の発明は、以上の技術的知見を
踏まえてなされたものであり、従来の技術常識と全く趣
を異にしている。これまでコロイド結晶については、大
きなサイズで均一な組織を得るためには、比較的粒子濃
度の希薄な単分散粒子溶液を用い、また、できるだけ振
動等の外乱を排除して結晶化させることが必要であると
考えられていた。
【0016】粒子濃度が低い場合には、流動によりコロ
イド結晶が容易に融解してしまい、流動停止後、すぐに
再結晶せず、再結晶化時の配向に流動の影響を与えるこ
とができない。したがって、この出願の発明では、粒子
濃度の下限は体積分率において5%とする。一方、粒子
濃度があまり高くなりすぎると、粘性抵抗が高くなりす
ぎるため、流動が困難となる。そこで、この出願の発明
では、粒子濃度の上限を体積分率において70%と規定
する。
【0017】単分散粒子溶液の流動方向は一軸方向でな
いと、結晶粒の方位が場所によって異なることとなり、
均一な組織が得られない。そこで、この出願の発明で
は、基板面に平行な一軸方向としている。
【0018】なお、相対する平滑な基板面の間隔は、あ
まり大きくなりすぎると、上記作用がコロイド結晶の内
部にまで及ばなくなり、また、あまり小さくなりすぎる
と、コロイド結晶として機能しにくくなる。このため、
この出願の発明では、基板面の間隔は、0.01〜0.5mmを
好ましい範囲としている。一方、基板面の長さ及び幅に
は特に制約はない。このため、大面積にわたって三次元
的な均一性に優れたコロイド結晶が得られる。
【0019】この出願の発明によれば、単分散粒子溶液
にゲル化剤を含む場合にも、全く同様の方法により三次
元的な均一性に優れた組織が得られる。この後にゲル化
させることにより、三次元的な均一性に優れた組織を有
するゲル化コロイド結晶が得られる。
【0020】この出願の発明を実施する場合、以下の
通りが具体的に例示される。
【0021】第1として、図2及び図3に示すような、
断面形状において平行な2辺として現れる平滑な基板面
(11a)(11b)を有するまっすぐな扁平管(1
2)の中に、コロイド結晶状態にある単分散粒子溶液を
保持し、その一端から圧力をかけて基板面(11a)
(11b)に平行に流動させた後に、静止されることが
例示される。扁平管(12)は、平行に相対する二つの
平滑な基板面(11a)(11b)に挟まれる空間を提
供する。扁平管(12)内に保持された単分散粒子溶液
に、扁平管(12)の一端より圧力をかけると、単分散
粒子溶液は、基板面(11a)(11b)に平行な一軸
方向、すなわち扁平管(12)の管軸方向に流動する
(流動方向(3))。このとき、流体力学の原理にした
がって扁平管(12)内全域のコロイド結晶全体にせん
断応力が発生する。また、基板面(11a)(11b)
の法線方向(5)と図1に示したコロイド結晶の六方稠
密層(1)の法線方向が一致し、六方稠密層(1)の稠
密方位(2)と流動方向(3)(扁平管(12)の管軸
方向)が一致し、三次元的な均一性に優れた組織を有す
るコロイド結晶が扁平管(12)内に形成されることと
なる。
【0022】この場合、単分散粒子溶液にかける圧力を
瞬間的なパルス状の圧力とすることにより、単分散粒子
溶液の流動距離を短く抑えることができるとともに、瞬
間的な流速が大きくなり、単分散粒子溶液に瞬間的に強
いせん断流動が生じ、コロイド結晶の配向を容易にす
る。
【0023】なお、扁平管(12)を形成するセルの材
質としては、素子化を考慮すると、ガラスをはじめ、ポ
リカーボネイト、ポリスチレン、アクリルなどの透明プ
ラスチック、さらには溶融石英などが好ましく例示され
る。単分散粒子溶液の粒子は、分散媒中で安定に存在す
ることができる限り、その材質は問わない。例えば、ポ
リスチレン、ポリメチルメタアクリレート等の有機高分
子粒子をはじめ、シリカ粒子、さらには金、銀などの金
属粒子、また、チタン、鉄などの各種金属の酸化物粒子
などが例示される。分散媒としては、水をはじめ、各種
アルコール、ベンゼンなどの有機溶媒が例示される。
【0024】また、コロイド結晶の形成後に扁平管(1
2)の両端を接着剤、板体、シート栓などを用いて封止
することにより、素子化され、セル全体がコロイド結晶
素子となる。単分散粒子溶液は、上記の通り、粒子濃度
が高く、粘度が高いため、このようにして作製されるコ
ロイド結晶素子の振動に対する耐性はこのままでも十分
に高い。同様に、単分散粒子溶液にゲル化剤を添加し、
コロイド結晶を形成させた後にゲル化すれば、三次元的
な均一性に優れたゲル化コロイド結晶、さらにはゲル化
コロイド結晶素子となる。ゲル化したコロイド結晶は、
振動や温度変化などの擾乱にほとんど影響を受けず、安
定性がきわめて高い。ゲル化剤としては、単分散粒子溶
液の粒子の材質に応じて適宜なものを選択することがで
きる。例えば、高分子モノマーとしてのアクリルアミド
と、架橋剤としてのN-N'-メチレンビスアクリルアミド
及び重合開始剤としてのベンゾインメチルエーテルとを
組み合わせたものを使用することができ、紫外線照射に
よりコロイド結晶のゲル化を開始させることができる。
【0025】さらにゲル化コロイド結晶の場合、コロイ
ド結晶の形成に使用した扁平管(12)を構成するセル
をあらかじめ分解可能などにしておき、除去することに
より、ゲル化コロイド結晶をシートとして取り出すこと
ができる。コロイド結晶シートの作製が可能となる。
【0026】なお、コロイド結晶シートの作製を目的と
する場合、扁平管(12)を形成するセルの材質には、
必ずしも透明性は要求されない。時間をかけて重合させ
たり、加熱するなど、ゲル化の方法には紫外線照射以外
も採り得る。したがって、コロイド結晶シートの作製を
目的とする場合には、素子化は必ずしも必要ない。一
方、紫外線照射によりゲル化させる場合には、扁平管
(12)を形成するセルは、透明性を有する必要があ
る。
【0027】第2として、図4及び図5に示したよう
に、上記の扁平管(12)の一端若しくは両端に屈曲し
た屈曲流入路(13)を設け、この屈曲流入路(13)
を通じてコロイド結晶状態にある単分散粒子溶液(1
4)を扁平管(12)内に流入させ、静止させることが
例示される。この場合には、単分散粒子溶液(14)が
屈曲流入路(13)の屈曲部(13a)を通過するとき
に、単分散粒子溶液(14)に局所的に大きなせん断応
力が発生し、ここにおいてコロイド結晶が配向する。単
分散粒子溶液(14)が扁平管(12)内に流入した後
は、扁平管(12)に導かれて基板面(11a)(11
b)に平行に流動し、静止して三次元的な均一性に優れ
た組織を有するコロイド結晶が扁平管(12)内に形成
される。
【0028】具体的には、屈曲流入路(13)の一つに
注射器をチューブを介して連結し、注射器のピストンを
急激に少しだけ押し込むことにより単分散粒子溶液(1
4)に瞬間的なパルス状の圧力がかかり、単分散粒子溶
液(14)が屈曲流入路(13)の屈曲部(13a)を
通過するときに、大きなせん断応力が発生する。より具
体的には、最初、注射器のピストンを引き、単分散粒子
溶液(14)を屈曲流入路(13)に多めに溜め、次い
でピストンを押し込み、扁平管(12)にあった単分散
粒子溶液(14)を屈曲流入路(13)内の単分散粒子
溶液(14)で完全に置き換えるという操作が例示され
る。
【0029】そして、屈曲流入路(13)の開放端を接
着剤、板体、シート栓などを用いて封止することによ
り、扁平管(12)の部分がコロイド結晶素子となる。
第1の例と同様に、単分散粒子溶液(14)にゲル化剤
を添加し、コロイド結晶形成後にゲル化させることによ
り、ゲル化コロイド結晶及びゲル化コロイド結晶素子が
得られる。さらにまた、セルの除去によりコロイド結晶
シートの作製も可能となる。
【0030】
【0031】
【0032】次にこの出願の発明の実施例を示す。
【0033】
【実施例】実際に、図4及び図5に示した構造を有する
溶融石英製セルを、厚さ(t)約0.1mm、幅(w)約9m
m、長さ(l)約70mmとして作製し、屈曲流入路(1
3)より扁平管(12)内にコロイド結晶状態にある単
分散粒子溶液(14)を注入した。単分散粒子溶液(1
4)は、体積分率による粒子濃度が約5〜30%の、粒
径約100〜300nmのポリスチレン粒子(Duke Scientific
社製)を水に分散したものを、正負イオン混床型イオン
交換樹脂を用いて十分脱塩することによりコロイド結晶
状態にした。
【0034】扁平管(12)に得られたコロイド結晶組
織は、扁平管(12)の両端部を除き、一様の回折色を
示すきわめて均一なものとなった。また、コロイド結晶
の粒子配列を高倍率の共焦点顕微鏡により観察したとこ
ろ、粒子がつくる六方稠密層が、その法線方向が扁平管
(12)の基板面の法線方向(5)と一致し、稠密方向
の一つが扁平管(12)の管軸方向に一致した方位に積
層していることが確認された。
【0035】勿論、この出願の発明は、以上の実施形態
及び実施例に限定されるものではない。単分散粒子溶液
の粒子の材質、分散媒の種類、セルの構造等の細部につ
いては様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0036】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この出願の発
明によって、三次元的な均一性に優れたコロイド結晶を
形成させることが可能となる。また、その形成に要する
操作はきわめて単純であり、しかも短時間となる。形成
されるコロイド結晶は、高い粒子濃度を有するため、振
動や温度変化などの外乱、不純物溶出による結晶構造の
崩壊などに対して高い耐性を有する。したがって、この
コロイド結晶を有するコロイド結晶素子、ゲル化コロイ
ド結晶素子、並びにコロイド結晶シートは、機能性に優
れたものであり、また、製造が容易でもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】単分散粒子溶液の粒子の配列構造と粒子配向に
ついて示した平面図である。
【図2】この出願の発明を具体的に実施する場合の一形
態を示した斜視図である。
【図3】図2に示した形態の断面図である。
【図4】この出願の発明を具体的に実施する場合の一形
態を示した斜視図である。
【図5】図4に示した形態の断面図である。
【符号の説明】
1 六方稠密層 2 稠密方向 2a、2b 稠密方向と等価な方向 3 流動方向 4 平面内において流動方向に垂直な方向 5 基板面の法線方向 11a、11b 基板面 12 扁平管 13 屈曲流入路 13a 屈曲部 14 単分散粒子溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (54)【発明の名称】 コロイド結晶、並びにゲル化コロイド結晶の形成方法、及びこれに基づくコロイド結晶素子、ゲ ル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シートの作製方法と、作製されるコロイド結晶素 子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シート

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体積分率による粒子濃度が5〜70%の
    間にあり、コロイド結晶状態をとっている単分散粒子溶
    液を、断面形状において平行な二辺として現れる平滑な
    基板面を有するまっすぐな扁平管の中に保持し、その一
    端から圧力をかけ基板面に平行に強く流動させて単分散
    粒子溶液にせん断流動を与え、次いで流動を静止させ、
    該扁平管内に三次元的な均一性に優れた組織を有するコ
    ロイド結晶を形成させることを特徴とするコロイド結晶
    の形成方法。
  2. 【請求項2】 基板面の間隔を0.01〜0.5mmと
    する請求項1記載のコロイド結晶の形成方法。
  3. 【請求項3】 扁平管の一端若しくは両端に屈曲した屈
    曲流入路を設け、この屈曲流入路を通じて単分散粒子溶
    液を扁平管内に流入させる請求項1または2記載のコロ
    イド結晶の形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載のコロイド結晶の形
    成方法において、単分散粒子溶液にゲル化剤を添加し、
    三次元的な均一性に優れたコロイド結晶の形成後に、こ
    れをゲル化させることを特徴とするゲル化コロイド結晶
    の形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3記載のコロイド結晶の形
    成方法において、扁平管、若しくは扁平管及び屈曲流入
    路が透明な材質から形成され、三次元的な均一性に優れ
    たコロイド結晶の形成後に、扁平管若しくは屈曲流入路
    の開放端を封止して素子化することを特徴とするコロイ
    ド結晶素子の作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のコロイド結晶素子の作製
    方法において、単分散粒子溶液にゲル化剤を添加し、三
    次元的な均一性に優れたコロイド結晶の形成後に、これ
    をゲル化させることを特徴とするゲル化コロイド結晶素
    子の作製方法。
  7. 【請求項7】 請求項4記載のゲル化コロイド結晶の形
    成方法において、ゲル化コロイド結晶の形成後に、扁平
    管を除去し、シート状のゲル化コロイド結晶を取り出す
    ことを特徴とするコロイド結晶シートの作製方法。
  8. 【請求項8】 請求項6記載のゲル化コロイド結晶素子
    の作製方法において、素子化後、扁平管を除去し、シー
    ト状のゲル化コロイド結晶を取り出すことを特徴とする
    コロイド結晶シートの作製方法。
  9. 【請求項9】 請求項5記載のコロイド結晶素子の作製
    方法により作製されたことを特徴とするコロイド結晶素
    子。
  10. 【請求項10】 請求項6記載のゲル化コロイド結晶素
    子の作製方法により作製されたことを特徴とするゲル化
    コロイド結晶素子。
  11. 【請求項11】 請求項7または8記載のコロイド結晶
    シートの作製方法により作製されたことを特徴とするコ
    ロイド結晶シート。
JP2000217660A 2000-07-18 2000-07-18 コロイド結晶、並びにゲル化コロイド結晶の形成方法、及びこれに基づくコロイド結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シートの作製方法と、作製されるコロイド結晶素子、ゲル化コロイド結晶素子、並びにコロイド結晶シート Expired - Lifetime JP3533442B2 (ja)

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