JP2009518782A - 光学システムシミュレーションの方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

バックライトなどの光学システムをシミュレーションする計算機実施法及び前記方法を行う機械可読媒体を開示する。光学システムは、光学要素を含む。いくつかのケースでは、異なる第一及び第二確率関数は、光学システムの第1及び第2要素を個別に取得可能である。次に、組合わされた確率関数は、少なくとも第一及び第二確率関数を使用して計算することができ、光線は、組合わされた確率関数を使用し光学システムを通して追跡可能である。第一確率関数、第二確率関数及び組合わされた確率関数は、セルに格納された値を有する、双方向散乱分布関数(BSDF)であることができ、各セルは、特定の入射方向及び出射方向に相当する。いくつかの方法は、第1要素と関連する第一確率関数を取得する工程を含むことができ、第一確率関数は、セル値を入射方向及び出射方向の関数として含む。光線は、第一確率関数を使用し光学システムを通して追跡可能である。

Description

本発明は、光学システムのシミュレーションを目的とする。
光学システムのシミュレーションは、一般に従来の光線追跡によって行われる。
種々の異なる構成要素を介した従来の光線追跡シミュレーションでは、構成要素は、標準でない方法で規定されてもよく、種々の構成要素を計算の観点から別々に取り扱うシミュレーションソフトウェアが必要な場合があり、従って、シミュレーション法に煩雑さを持ち込んでいる。更に、別々のユーザーが、特定の構成要素を規定するため異なるパラメーターを使用することを決断する場合があり、シミュレーションの出来ばえで潜在的なユーザー間の差異をまねいている。更に、光線追跡計算それ自体が法外に非常に長い場合がある。
光学システムをシミュレートする計算機実施法を開示する。光学システムは、それぞれの構成要素が少なくとも1つの要素を有する複数個の構成要素を含んでもよい。光学システムは、バックライト、他の非撮像光学システム、若しくはLED装置等であってもよく又は含んでもよい。
いくつかの方法では、光学システムの第一及び第二要素(それぞれ)に関して異なる第一確率関数及び第二確率関数を取得する工程を含むことができる。前記方法は、更に少なくとも第一確率関数及び第二確率関数を使用して組合された確率関数を計算する工程及び組合された確率関数を使用する光学システムを通じて光線を追跡する工程を更に含むことができる。第一確率関数、第二確率関数及び組合わされた確率関数は、双方向散乱分布関数(BSDF)であることができ、マトリックスのセル内に収納される値を有し、そこでは、それぞれのセルが、特定の入射方向と出射方向に対応する。
いくつかの方法では、少なくとも第一要素と関連する第一確率関数、マトリックスのセル内に収納される値により表現される第一確率関数を取得する工程を含み、そこでは、それぞれのセルが、特定の入射方向と出射方向に対応する。前記方法は、第一確率関数を使用する光学システムを通じて光線を追跡する工程を更に含むことができる。
いくつかの開示の方法は、バックライトの出力平面又は他の光学システムへの光線を追跡する工程と、前記追跡した光線から情報を収集し、前記出力平面に入射する光線の空間的及び指向性情報を包含する第一データベースを作成する工程と、確率関数を前記出力平面と関連づける工程と、出力平面を出射する光線の空間的及び指向性情報を包含する第二データベースを確率関数及びデータベースの関数として計算する工程とを含む。ある場合には、出力平面は、光学フィルムのスタック、例えば、拡散フィルム、プリズム型フィルム、反射偏光フィルム、ターンフィルム及びその類に相当する。好ましくは、確率関数は、出力平面である。
別の態様において、ハイブリッドシミュレーション法は、光線の入出力先変更を計算し、表示装置又は他の光学システムの出力特性を計算するため、各要素、構成要素又は要素若しくは構成要素の収集と関連づけたBSDFを使用して1つのシステム構成要素からすぐ隣までの光線を追跡する。出力特性が、空間的及び指向性情報を包含するデータベースに収納されている場合、前記データベースを顧客アクセス可能ユーザーインターフェース内で利用することができ、顧客がシミュレートし、選択したバックライト構成の観察形状を操作し、バックライトの外観がいかに変化するかをバーチャルリアルタイムで見ることができる。
本願のこれらの態様及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。しかし、上記要約は、請求された主題に関する限定として決して解釈されるべきでなく、主題は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、実行の間補正されてもよい。
後続する議論では、バックライトシステムが、非常に詳細に議論されるが、読者は、同じシミュレーション法が広い範囲の他の光学システムをシミュレートするのに使用できることを理解するはずである。有機発光ダイオードに関する開示したシミュレーション法をどのように使用するかを議論するため、同一出願人による米国特許出願番号11/290767、名称「有機発光ダイオードの設計と評価に関する計算モデリング(Computerized Modeling For Design and Evaluation of Organic Light Emitting Diodes)」(2005年11月30日申請)も参照する。シミュレーション法は、電磁スペクトルの可視部分の光学システムに限定するものではなく、スペクトルの紫外線又は赤外線部分の光を利用する系に適用することが可能である。
現在生産されている液晶ディスプレイ(LCD)コンピュータモニタ及びテレビジョンは、バックライトを使用している。バックライトシステムは、一般に液晶パネルの照明の均一な平面を提供し、ピクセル単位でバックライトを減衰させ映像を形成する。液晶パネルは、後側から照明され、ビューアは、映像を前側から見る。典型的なバックライトシステム10が、図1に略図で示されている。システム10は、直接照明バックライトである、というのは、それがバックライトの出力域背後に直接配置される光源を含むからである。縁部照明バックライトと呼ばれる他のシステムでは、光源は、出力域の領域の外側のバックライトの縁部に沿って配置され、ウェッジ又はスラブライトガイドを典型的に含み、光を出力域に誘導する。本明細書に記載した方法は、直接照明、縁部照明、ないしは別の方法であろうとなかろうと全ての種類のバックライトをシミュレートするのに使用することができる。上記方法は、有効光源を有していない場合がある反射表示装置のバックライトをシミュレートするために使用されてもよい。
空洞12は、その内部に1つ以上の光源14、発光ダイオードの配列が使用されている場合でも、典型的に冷陰極蛍光ランプ並びに任意の他の好適な光源を有する。光源14は、概ね空洞12の中央に示されているが、それらは、空洞壁16に沿って又は任意の他の好適な位置に配置されてもよい。典型的に、空洞壁16は、反射し、所望により反射された光の散乱を強化するため粗面化表面又はコーティングを有していてもよい。空洞壁16は、出力域18を有し、それは、物理表面であってもよいし又は単に数学的構成であってもよい。
空洞12から現れる光は、光学フィルムスタック20に行き当たり、それは典型的に1つ以上の光学層又はフィルムを有しており、一部の光を特定の視覚方向に方向を変え、望ましくない偏光状態を有する光を反射及び再利用し(例えば、バックライトが吸収偏光子を含む液晶表示パネルを照明する場合)、又はバックライトをその出力域全体にわたってより均一にする。現在入手可能であろうと又は後で開発されたものであろうと、多数の異なる光学フィルムを光学フィルムスタック20に使用することができる、3つのフィルムの例を以下に記載する。フィルムは、空気により隔てられ間隔を置いて配置されていてもよく、又はそれらは、接着剤若しくはコーティング操作によって1つ以上の隣接したフィルムに取り付けられていてもよい。空気空間は、マクロ的(例えば、ミリメートル以上程度、肉眼に見える)又はミクロ的(例えば、1つの光学フィルムを単にもう一枚のフィルム上に置き、肉眼で観察するにはあまりに小さい接触点間の空気を除く際に生じるような)であることができる。
従来の拡散板22は、バルク層内部にランダムに位置する多数の粒子27を有する。粒子は、位置、寸法、形状、屈折率などを含む多くの異なる性状を変更できる。拡散板を通過した光は、粒子と相互作用し、本質的にランダムに方向を変える。全体的に見て、光は、その方向を変更することによって、すなわち任意の特定の方向の出射光が多くの方向から到達する入射光線の平均として誘導するように、及びその位置、方向及び偏光がそれが次に拡散板に行き当たると同時に入射光線の部分を反射することによって拡散板の範囲全体にわたりより均一にされる。典型的なバルク層は、1.50の屈折率を有してもよい。バルク拡散板である拡散板22は、後側表面24及び前側表面26を有する。構造化表面を有する表面拡散板又は拡散接着剤は、バックライトシステム及び表示装置にも使用することができる。
従来の輝度強化プリズム型フィルム28は、実質的に平らで平滑な後側表面30を有し、配置された異なる面を有する前側構造化表面32に対向しプリズム軸線又は方向に沿って互いと平行に延在するほぼ90度プリズムを形成して示されている。プリズム型フィルム28は、垂直に入射光線を反射し、入射の方向にもよるが入射光線を透過又は斜めに反射する。光のランベルト分布により照射される場合、概ね多くのバックライトの場合のように、プリズム型フィルムを透過した光は、垂直方向で最大になり集中させる分布を有する。フィルム28は、一部の斜めの入射光線を垂直方向に近い方向に方向を変え、他の光線(垂直に入射する光線を含む)を空洞12に向けて反射して戻すことによりビューアに対する見かけの輝度を増加させる手助けをする。このように高入射角で伝搬する光線は、低出射角に方向を変え、ビューアに対する見かけの輝度を垂直視角及びその近辺で増加させる。典型的なプリズム型フィルム28は、プリズムからプリズムまで空間をおいて配置され、約50ミクロンのプリズムの高さの状態で約90度の内部上反角プリズム角度を有してもよい。各プリズムの頂部及び/又は底部は、完全にとがっていなくてもよく、代わりに丸くされ、特定の半径、例えば2、3ミクロン程度を有していてもよい。典型的なプリズム型フィルム28は、1.50の屈折率を有してもよい。或いは、積層構造体が使用されてもよく、そこでは第一屈折率を有する第一材料から成るプリズムは、異なる屈折率を有する第二材料から成る均一に平らのベースフィルム上にキャストされ、ないしは別の方法で取り付けられる。表示装置の輝度を増加させるのに有用な代表的なプリズム型フィルムが、ビクイティ(Vikuiti)(商標)輝度強化フィルム(Brightness Enhancement Films)(BEF)として3M社(3M Company)により提供されている。代替の光線リダイレクト構造を有する様々な他のミクロ構造フィルムが、プリズムアップ及びプリズムダウン両方の向きの光学フィルムスタックに使用されてもよい。構造体は、線状、すなわち所定の方向又は軸線に沿って均一に延在していてもよいし、又はそれらは、2つの直交する方向に画定されるベースを有する構造体、例えば、三角形、正方形、矩形又は円形におけるような2次元であってもよい。構造化形体は、高さ、ピッチ、形状及び変調に関して規則的であってもよいし又は不規則であってもよい。
従来の反射偏光子36は、多数の薄複屈折層40から構成されて示されている。後側表面38及び後側表面に対向する前側表面42を有する反射偏光子36は、1つの偏光状態、しばしば「通過」状態と呼ばれる、を透過し、直交する偏光状態、しばしば「ブロック」状態と呼ばれる、を反射する。バックライトシステム10の文脈の中で、ブロック状態の光線は、バックライトシステム10の構成要素によって散乱及び反射され、その偏光状態の向きを通過状態に変えるようにすることができ、その時点で光線は、反射偏光子36を通過することができる。前記偏光の再利用は、バックライトシステムが液晶パネルを照明するのに使用される用途において重要である場合がある。というのは、液晶パネルは偏光性があり、再利用で、さもなくば無駄な偏光状態の少なくとも一部の光強度を液晶パネルにより使用できる垂直状態に変換するからである。代表的な反射偏光子としては、3M社(3M Company)から提供されるビクイティ(Vikuiti)(登録商標)二重輝度強化フィルム(Dual Brightness Enhancement Films)(DBEF)が挙げられる。他の好適な偏光フィルムとしては、拡散性反射偏光フィルム、線グリッド偏光子及びコレステリック反射偏光子が挙げられる。
互いに対して比較的近くに近接した状態での拡散板22、プリズム型フィルム28及び反射偏光子36の組合せが、光学フィルムスタック20を形成する。本明細書に記載する光学フィルムスタック20は、単に例示であって、光学フィルムスタックは、本質的に、より多くの層、より少ない層及び異なる種類の光学層を含み又はより多くの層、より少ない層及び異なる種類の光学層から構成されてもよいことが理解される。例えば、所定の光学フィルムスタックとしては、ミクロ構造ターンフィルム、接着剤、吸収性偏光子、ライトガイド、反射フィルム及び/又は拡散若しくは透明支持体層又は剛性を増加させる意図したプレートが挙げられてもよい。非液晶パネルを図1に示すが、存在すれば、それは、典型的に光学フィルムスタック20の前側表面42に隣接して位置決めされることになる。
バックライトシステムをシミュレートする1つのアプローチは、標準光線追跡である。光線は、供給源で発生し、構成要素から構成要素に伝搬する。各光線の相互作用は、光線の強度の調節と新規方向の決定との両方の原則により行われる。光線の相互作用は、表面及び体積両方の相互作用に対して行われる。例えば、表面相互作用としては、フレネル反射及び透過を挙げることができる。体積相互作用としては、光線が透明であるが吸収性のバルク材料を伝搬する際に生じるようなランダムな伝搬及び角度が存在する散乱又はいかなる散乱若しくは光線の方向変化が存在しない強度減少を挙げることができる。典型的な光線追跡では、光線強度は、各相互作用で減少させられてもよく、光線は、一般に、正反射の法則(入射角は、反射角と等しい)、屈折のスネルの法則並びに反射と透過光線の振幅に関するフレネルの方程式などの光学の適切に確立された原理に基づき方向が変えられる。従来の光線追跡は、光線が特定の粗さを有する表面に当たる際に生じる場合があるランダムな伝搬距離及び散乱角度により単一散乱を処理することもできる。光線は、それらが出力平面、典型的に液晶パネルが位置される平面に到達するまで追跡することができる。バックライトの特性は、その後、出力平面での光線の統計分析から確認することができる。
従来の光線追跡では、光線の相互作用の確認に確率を使用することは限られている。例えば、供給源光線の位置及び方向は、多くの場合、特定の供給源の供給説明に基づきランダムに選択される。更に、一部の相互作用は、拡散構成要素によるなどでランダムに処理することができ、出射角は、入射角及び表面粗さに関する提供された説明に基づき確率論的に計算される。この場合、相互作用は、典型的に従来のフレネル反射率相互作用の摂動として処理される。だが、通常、図1に示した種々の構成要素及び表面とのほとんどの他の相互作用は、決定論的に処理される。必然的に、シミュレーション映像には統計的なノイズがある。統計的なノイズを許容できるレベルに減少させるため、典型的に百万に上る多数の光線を供給源から映像まで追跡する。典型的なバックライト構成の場合、約1万のセル又はピクセルのバックライト面上の空間分解能が望ましく、約1千万の出射光線が、典型的に追跡される。尚、これらの光線のそれぞれ1つがバックライトから出射又は吸収される前に多数の相互作用を経験することができる。従来の光線追跡の例を図1に示し、以下に説明する。
光線44は、特定の方向を有する供給源の特定の位置で発生する。尚、初期条件は、一般に供給源説明により確率論的に決定される。光線44は、空洞出力域18に到達するまで空洞壁16及び空洞12内部の他の要素で反射し、そこで光線は空洞12を出る。出力域18は、物理的表面であってもよいし、又はなくてもよい。
出力域18を出た光線46は、次に光学フィルムスタック20に行き当たり、そこでは多くの相互作用があってもよく、それぞれ1つが上記したものなどの光学原理により支配される。例えば、フィルム28のプリズムでの相互作用は、上記した光学原理により支配される。最終的に、多くの相互作用及びおそらく空洞内への反射戻りの後、光線48は、光学フィルムスタック20から出て、例えば、LCDパネル(不図示)の結像面に到達する。
典型的なバックライトシステムによる良好な結果の場合、1千万程度の光線が、供給源から多数の相互作用を経て、バックライト自身の出力域、以後出力平面と呼ぶ、まで追跡される。多くの場合、出力平面は、バックライトシステムの最も外側又は最も前側の物理表面に相当し、バックライトシステム10の場合、反射偏光子36の前側表面42に相当する。実際の数又は光線(例えば、百万、1千万又は1億程度であろうとなかろうと)は、バックライトの物理的寸法、所望の空間分解能及びモデル出力結果の所望の精度(又は統計的なノイズの最大許容レベル)などの要因により決まる。光線を追跡後、出力平面での光線の統計分析では、平均放射輝度、バックライトの出力域に対する放射輝度の空間均一性又は空間変動性等などのバックライトの特性を予測する。バックライトシステムをシミュレートするため追跡する標準光線の排他的使用のいくつかの欠点を以下に説明する。
第一に種々の光学フィルム構成要素、例えば、プリズム型フィルム、拡散板フィルム、多層フィルム、ホログラフィックフィルム、又は吸収性フィルムをキャラクタライズするために使用される物理情報は、1つの構成要素から別の構成要素で非常に異なる場合がある。例えば、拡散板22は、バルク層屈折率、粒子の屈折率、粒子の寸法及び形状、並びに粒子が拡散板22内で見出される場所での平均密度により規定されてもよい。対照的に、プリズム型フィルム28は、プリズム角、プリズム間隔、プリズム高さ、プリズム及び支持基材の屈折率、並びにプリズム縁部の曲率半径により規定されてもよい。多層フィルムは、層数、それらの物理的な厚さ及びそれらの3つの直交する方向の屈折率により規定されてもよい。異なる種類の情報は、計算処理の観点から種々のフィルムを別々に取り扱うシミュレーションソフトウェアを必要とし、それによりシミュレーション法に煩雑さを持ち込んでいる。
第二に、所定のフィルムを規定する際にどのパラメーターを使用するかの選択は、有意にシミュレーション結果に影響する。例えば、一部の設計者は、シミュレーション結果がプリズム型フィルム28のプリズム縁部の曲率半径に依存してもよいことに気がついているかもしれないが、他の設計者は、おそらく気がついてなく、従って、曲率半径をそれらのシミュレーションの調整可能なパラメーターとして含んでいない場合がある。とがったプリズム縁部を推定するシミュレーションは、本当のプリズム型フィルム28の真の性能に対応していないおそれがあり、それは、小さいがゼロでない曲率半径を有する場合がある。プリズム28の曲率半径を単に例として選ぶが、他のとらえにくい特徴も又重要である場合がある。一般に、所定のシステムのシミュレーションは、特定の調整可能なパラメーターの不注意な脱落により固有の誤差を有する場合がある。どのパラメーターを規定するかのこの選択は、主に個々の設計者にまかされる場合があり、シミュレーション結果の質において設計者間の差の一因となるおそれがある。
第三に、光線追跡の計算自体が、法外に非常に長い場合がある。典型的なシステムの場合、光線は、出力域に到達する前に通常10〜1,000の方向変化及び相互作用を有する場合がある。従って、バックライトシステムを通じて1千万程度の前記光線を追跡する計算要件は、手に負えず、現在の標準に基づいて容易に入手可能なコンピュータシステムを完全なものにするのに数日又は数週すら必要とする場合がある。更に、必要な計算の数は、大型スクリーンLCDテレビジョンディスプレイ向けのバックライトなどのディスプレイ寸法の増加及び複雑化に伴い更に多くなり、それは、出力平面の同等の分解能及び十分に低いレベルの統計的なノイズを保持するため光線追跡の内部構成要素を規定するより多くの情報を必要とし、1千万をはるかに超える光線を必要とする。
従って、バックライトシミュレーション法及び装置にとって、異なる光学構成要素のその説明を標準化し、潜在的な設計者間の差を減少させ及び/又は従来の方法よりもより少ない計算を要することが有益となる。
1つの前記シミュレーション法及び装置は、確率を使用し、光線追跡の光線の方向を変える。バックライトシステムの任意の所定の構成要素の光学特性を双方向散乱分布関数又はBSDFに要約し、BSDFを計算機実施ソフトウェア内で数学的にマトリックスとして処理する。BSDFは、特定の入射方向、特定の入射強度で構成要素に当たる光線が、特定の出射方向、特定の出射強度で構成要素を去る確率を提供する。BSDFマトリックスは、任意の一貫性がある方法で設置又は配置できるが、1つの慣例によるとマトリックスの行は、出射方向に対応し、列は、入射方向に対応し、マトリックスセル内の値は、特定の一組の入射及び出射方向に対応する確率密度と比例している。バックライトの光路の全ての構成要素は、単一BSDFによって説明でき、それは、1回計算することができ、その後、必要に応じてライブラリに格納される。ある場合には、隣接又は順番の構成要素のBSDFは、単一組合せBSDFに組込まれてもよく、従来の光線追跡と比較して全体的にはるかにより少ない計算という結果になる。
図1に示した光線追跡方法と比較することができる例として、図2のバックライトシステム50を考察する。システム50は、バックライトシステム10(図1)全体のシミュレーション表示であり、そこでは、フィルムスタック20の個々の構成要素は、個々のBSDFで置き換えられ、続いて、これらのBSDFは、図2に示したフィルムスタック20の単一集合体BSDFにシミュレーションフィルムスタック52により組込まれる。空洞壁16及び光源14などのバックライトシステムの他の構成要素もBSDFにより表現される。
図2は、システムを通して追跡された代表的な光線を示し、シミュレーションの複雑さを図1に示した従来の光線追跡シミュレーションのものと比較することができる。光線54は、供給源14で発生し、空洞壁16で数回反射し、空洞出力域18に到達する。光線56は、継続して伝搬し、シミュレートされた光学フィルムスタック52に到達する。そこで、光線56は、単一集合体BSDFマトリックスにより演算され、その結果、実質的に図1の出力光線48とまったく同様であるが更により少ないシミュレーション相互作用の事象及び更により少ない計算で到達する出力光線58を生成する。図2の相互作用を説明する少数のマトリックス演算は、それぞれが図1のシミュレーションに関連して必要な光学原理に基づくそれ自身の計算を有する10〜1,000の光学相互作用よりもより簡単である。簡素化を強化することでBSDFベースのシミュレーションに関する計算時間を有意に減少させる。尚、図1及び2のシステムは、単なる例であって、一切限定するものではない。
バックライトの開示したBSDFベースシミュレーションは、いくつかの原理を有するが独立した態様である、すなわち、(1)バックライトを構成する一部若しくは全ての構成要素又は要素についてBSDFの各々を計算し、(2)所望により各種BSDFを1つ以上の組合せBSDFに組合せ、(3)1つ以上のBSDFにより支配される光線の方向の変化を有する光線を追跡する。これらの態様の各々を以下の段落で要約して説明し、続いて、更により詳細に記載する。
主たる態様(1)及び(2)は、シミュレーションの積み重ねの態様であると考えてもよい。光路の各構成要素のBSDFは、マトリックスとして表現される。マトリックスは、構造化境界面を除いてリストアップされた光路構成要素毎に分析的に計算される、すなわち、構造化境界面のマトリックスは、シミュレーションによって計算される。スタックのBSDFを表現するマトリックスは、線形代数学の方法を使用し、光路構成要素のマトリックスを組合せることにより計算される。電磁相互対称を強化し、利用することができるが、それは、記憶要件を最小にし、シミュレートした構成要素のノイズを減少させ、個々の構成要素マトリックスを組合せる計算負荷を減少させる。更に、各構成要素の物理対称を強化し、利用することができ、それは、記憶要件を最小にし、計算のノイズを減少させ、計算の計算負荷をおびただしく減少させる。更に、必要な全体にあてはまる線形代数操作のソフトウェア及び/又はハードウェアも最適化できる。
主たる態様(3)は、シミュレーションでいかに光線を追跡するかに関する。例えば、各光線は、供給源又は供給源類の放射を説明する特定確率分布により要求されるランダムな位置及び方向を有する供給源又は供給源類で発生する。その後、各光線は、構成要素から構成要素に伝搬する。バックライトシステムの場合、このことは、空気充填空洞又はプラスチックライトガイド内の伝搬を包含する。
各構成要素で、光線強度は、減少され、光線は、構成要素の局部的なBSDF内にはめ込まれる確率分布によりランダムに方向を変える。例えば、光線が構成要素に当たる場合、その運命は、2つのランダムな決定により決められてよく、第一に反射又は透過(光線強度減少により説明される吸収により)を選択し、第二に反射又は透過した方向を選択する。このことについては、用語ランダムは、決定が、決定論よりむしろBSDFなどの関数を支配することにより統計的に行われることを意味する。従来の決定論的アプローチのそれと統計的に同じ方法でこれらの決定を行うのに必要な確率分布は、特定の構成要素のBSDF内に具体化される。光線が、バックライトの少なくとも部分的に透過性の出力面に行き当たるたびに、その強度の全て又は一部が、その異なる構成要素が異なる入射方向を表わすベクトルに累積される。1つの前記ベクトルは、出力面の一連の隣接域(又はピクセル)毎に保持することができる。十分な数の光線が、各前記ベクトル内に累積された後、ベクトルに出力面の局部的なBSDFの透過性構成要素を表すマトリックスを乗することにより局部的に透過した放射輝度を計算する。
シミュレーションは、長所を有しており、下記の1つ以上の長所を含むことができる。
第一に計算効率を増加させ、計算速度の増加につながる。図1及び2の比較で示したように、通常のバックライト光学フィルムスタックの場合、計算時間をおおよそ10〜1,000倍減らせる。現実の問題として、このことは、システムが設計される所定の時間の場合、より多くの設計空き時間がシミュレーションに利用されてもよいことを意味する。このことは、以前はシミュレートするには余りにも複雑であり又は余りにも時間のかかったシミュレーションを次々に可能にする場合がある。
第二に、通常のフィルムのBSDFを計算した後、それらを格納し、続いてフィルムの同一性により参照することができ、特定の回転などの簡単な変更子であることができる。フィルムの格納されたBSDFを調べるには、再計算するよりも更に少ない計算時間を要し、それは、計算時間の更なる減少につながる場合がある。
第三に既知のフィルムの新奇な組合せが、計算されてもよい。ひとたびフィルムの個々のBSDFを格納すると、それらは、分かりやすい方法で呼び出され、組合せることができる。
第四にシミュレーションは、分かりやすい方法で新しい又は新奇なフィルムのBSDFを生成することができる。ひとたび新しいフィルムのBSDFを計算すると、フィルムは、直ちにそれだけで又は他のフィルムと組合せてシミュレーションに使用されてもよい。
第五に全ての構成要素又は要素は、構成要素又は要素の物理的な複雑性に関係なく比較的簡単なマトリックス操作で処理されてもよい。
第六に構成要素の説明の標準化は、ユーザーにとって容易な使用につながる。換言すれば、ユーザーは、特定の構成要素について一組のパラメーターを、異なる構成要素について完全に異なり無関係の組のパラメーターを規定するのを避けることができる。
第七に構成要素の説明の標準化は、予測結果のユーザー間の差を減少させる場合があり、それは、ユーザーが、構成要素を説明する際にどのパラメーターを使用するかを選択する場合に生じるおそれがある。
以下の段落は、バックライト設計をシミュレートするための概要を提供する。概要の後、各表題をより詳細に扱うことになる。
図3は、バックライトシミュレーションシステム60の高レベル概略ブロック図を示す。システム60は、バックライト設計をシミュレートする方法又はシミュレーションを行うコンピュータ若しくはディスクなどの記憶装置で利用でき又はダウンロードで入手できる1つ以上のソフトウェアファイルなどの装置を表わすことができる。
選択された材料、フィルム及び/又は表面のBSDFは、モデル化、実験又は両方で生成され、その後、フィルムライブラリ62として示されるライブラリに保存することができる。これは、フィルム又は構成要素毎に1回だけ行うことができ、従って、ひとたびBSDFを計算すると、それは、格納され、及び必要に応じて、任意のユーザーにより、任意の回数、任意のシミュレーションにおいて、BSDFを再計算する必要もなくライブラリから呼出すことができる。構成要素BSDFは、それらは、実験的に得られてもよいが、典型的に分析的に又はシミュレーションにより計算される。格納したBSDFの呼出しは、それを必要な度毎に計算するよりもより早く及びより効率的である。
システム60のユーザーは、材料、フィルム及び/又は表面をライブラリ62から選択しフィルムスタックを形成できる。ユーザーは、フィルム又は構成要素毎に順序、位置及び向きを含むフィルムスタックの形状も規定することができる。有意な空き空間伝搬が存在しない場合、スタック評価器64は、BSDFを個々の材料、フィルム及び/又は表面から単一組合せBSDFに数学的に組合せる。スタック評価器64は、対称を使用し、必要な計算の数を減少させることができる。組合せBSDFの計算は、光線を追跡する度毎よりもむしろ設計シミュレーション毎に1回だけ行うことができる。
フィルムライブラリ62と同じように光源ライブラリ66は、選択された光源の放射パターンを格納する。放射輝度(立体角当たり単位面積当たりの強度の単位を有する放射量)の角度と空間分布の両方により所定の供給源を特徴付けることができる放射パターンは、モデル化、実験又は両方で生成することができる。これは、光源毎に1回だけ行うことができ、従って、特定の供給源の放射パターンを計算又は測定及びその後格納した後、それを必要に応じてライブラリから呼び出すことができる。格納した放射パターンの呼び出しは、必要な度毎に呼び出すよりもより早く、より効率的である。
システム60は、バックライトシミュレータ68も含み、ユーザーは、1つ以上の供給源の種類及び位置、反射性空洞の形状及び材料/フィルム/表面、フィルムスタック並びに出力平面を規定する。出力平面は、通常、液晶パネルが表示装置に設置されることになる場所であるが、他の好適な出力平面が使用されてもよい。その後、光線を、供給源から出力平面まで追跡する。光線を追跡後、出力平面でのそれらの位置、方向及び規模が、バックライトディスプレイの見かけの輝度を決める。見かけの輝度は、典型的に放射輝度、視角の関数及びスクリーン位置の関数としても表わされる。
バックライトディスプレイ放射輝度を計算後、それを図表、絵入り、数式などを含む様々な方法で表示することができる。この目的のため、システム60は、バーチャルディスプレイ(Virtual Display)70を含み、それが、ユーザーがバックライトディスプレイの性能を評価することができ、その性能を既知の設計仕様又は評価基準の組と比較することができるような方法でシミュレーション結果を表示する。
さて、番号付き要素62〜70をより詳細に扱う。
フィルムライブラリ:概要
フィルムライブラリ62の操作及びレイアウトを概略的に図4に示す。ステップ72でフィルムライブラリ62は、特定のフィルム、材料又は表面などの構成要素を確認する。ステップ74で構成要素が既にフィルムライブラリ62内に存在する場合、構成要素のBSDFをステップ76で呼び出し、次に、ステップ78で提供する。ステップ74で構成要素がフィルムライブラリ62内に存在しない場合、次に、ユーザーは、ステップ80で構成要素の詳細な説明を提供し、フィルムライブラリは、ステップ82で構成要素のBSDFを計算し、再度計算する必要がないようにBSDFをステップ84で格納し、BSDFをステップ78で提供する。
本明細書において本発明者らは、以下の用語を使用するが、それは、複雑な階層構造に追従する。シミュレートすることができる最も簡単な項目は、本明細書で「要素」又は「原始的な構造体」として理解される。要素の例は、境界面の対向する側に異なる屈折率を有する個々の境界面である。要素の別の例は、特定の屈折率及び厚さを有する媒体である。次に、「構成要素」又は「フィルム」は、階層構造内にあり、2つ以上の要素から構成される。例えば、空気に浸漬された平面平行のガラスプレートは、3つの要素、すなわち、空気とガラスの間の第一境界面、特定の屈折率のガラス媒体及びガラスと空気の間の第二境界面から構成されてもよい。最後に、スタック又はフィルムスタックは、階層構造の上部にあり、それは、その中に2つ又はそれ以上の構成要素を有することができる。例えば、図1のスタック20は、3つの構成要素を有する。一般に、構成要素は、市販の(単一)光制御フィルム又は製品のものと類似の複雑性を有し、スタックは、多数のそのような構成要素から形成されてもよい。
構成要素は、単一構成要素としてよりもむしろ要素の組合せとして格納されてもよい。例えば、上記した空気に浸漬されたガラスプレートは、空気とガラスの間の境界面、ガラスの媒体及びガラスと空気の間の境界面として格納されてもよい。構成要素をこのように格納する利益は、プレートを屈折率に適合した接着剤で別の要素又は構成要素に固着する場合に明白となり、すなわち、接着剤に隣接した境界面は、もはやガラスと空気との間ではなくガラスと接着剤の間にある。たとえ構成要素がそれらの構成の要素として格納される場合でも、本発明者らは、構成要素を構成する個々の要素のBSDFの組合せとしてよりもむしろより簡単な用語「構成要素BSDF」を使用する場合がある。
多くのより簡単な要素のBSDFは、計算するのに比較的分かりやすいため、それらは、格納され呼び出されるよりはむしろ必要なときに再計算されてもよい。これらの再計算は、必要な全体的な計算量を有意に増加することなく、それらは、多くのより簡単な要素のBSDFを格納する必要性をなくする。
本発明者らは、ほとんどの現実の物理構成要素は、本明細書に記載した1つ以上の理想的な要素の組合せにより適切にモデル化又はシミュレートすることが可能であると考えている。前記モデルは、通常、実験的な観測結果と好ましくは匹敵するシミュレーション結果を作成することができる。
ステップ80〜82は、フィルムライブラリにおいて技術的に要求の厳しいステップであることができ、以下の節でBSDF、BSDFのマトリックス表現、BSDFに見られる相互対称、BSDFに使用される角度基底及び最後に種々の構成要素のBSDFの作成の説明を扱う。それぞれに追随する節は、フィルムライブラリの1つの代表的な実施形態を記載し、従って、態様毎に他の好適な実施形態が使用されてもよい。
双方向散乱分布関数(BSDF)
b<zを有する平行な参照平面z=zbとz=zとの間の直交x−y−z座標系に位置する公称平面、二重繰返し無限構造体を考察する。構造体上の媒体は、屈折率nを有し均一であり、及び構造体下の媒体は、屈折率nbを有し均一である。下部参照平面を、方向Iに関して立体角ds^の無限小増分内で一定である空間的に均一、もしくはゼロの放射輝度I(i)により下部から照明する。ここ及びほかの場所で記号「^」は、単位長さのベクトル量を表す。I(i)内の上付き文字「(i)」及びs^内の下付き文字「i」は、「入射」光線を指す。ただし、
Figure 2009518782
であることを注記する。
本発明者らは、
Figure 2009518782
を有する上部半球内の任意の方向s^に構造体により透過される上部参照平面上の放射輝度、並びに
Figure 2009518782
を有する下部半球内の任意の方向s^に反射される下部参照平面内の放射輝度I(t)(s^)を計算しようとしている。I(t)内の上付き文字「(t)」及びs^内の下付き文字「t」は、「透過した」光線を示し、I(r)内の上付き文字「(r)」及びs^内の下付き文字「r」は、「反射した」光線を示す。
本発明者らは、公称平面構造体を「二重繰返し」として記載する。これにより、本発明者らは、水平又はx−y平面内の有限寸法の単位セルを選択することができ、全体構造の物理特性が、x−軸及びy−軸などの2つの直交する面内軸線に沿って処置と繰返しのやりかたで単位セルを複製することによって正しく表現することができることを意図する。
二重繰返し構造体の最も簡単なケースでは、構造体は、完全に平面であり、屈折率は、均一である。その他の場合、構造体は、理想平面から外れる表面形体を有する。或いは又は更に、構造体は、屈折率不均一性を所有していてもよく、それが、例えば、別の均一媒体内の空間又は含有物に起因していてもよい。構造体の変動性が、表面形体又は屈折率変化と関連づけられていようがいまいが、変動性は、周期的又は非周期的であってもよく、それは、1つの面内軸線だけ、両面内軸線又はそれらの組合せ(例えば、両面内軸線に沿って周期的又は1つの面内軸線だけに沿って周期的、別の軸線に沿って非周期的又は1つの軸線に沿って周期的及び直交する軸線に沿って一定(変動性がない)等)に沿って存在していてもよい。
構造体の変動性が、軸線に沿って周期的である場合、最も小さい空間的周期又はその整数倍数は、その軸線に沿った単位セルの幅として選択されてもよい。構造体の変動性が、軸線に沿って非周期的である場合、変数の特徴が、(a)集合の平均が特性の最小長さ内に収まるように十分に小さく及び多数の両方であって、(b)水平に固定したやり方(特性の長さ内の特徴の統計的な性質が軸線に沿ったその位置から独立していることを意味する)の構造体にわたって分配されると仮定すると、前記特性長さは、その軸線に沿った単位セルの幅として選択されてもよい。構造体が、軸線に沿って一定(平行に不変)である場合、微小長さを含む任意の所望の長さは、その軸線に沿った単位セルの幅として選択されてもよい。有利なことに、公称平面構造体の繰り返し性質は、シミュレーション目的のため好適な単位セルを分離し、次に単位セルの制限内だけでの放射輝度関数I(t)及びI(r)の空間的依存関係を計算するのを可能にする、というのは、I(t)及びI(r)が、構造と同じ繰り返し特性を所有するからである。
更に、単位セルが観察可能分解能限度よりもより小さい場合(両内面方向において)、放射輝度関数I(t)及びI(r)を単位セルについて空間的に平均したそれらの値により特徴付けるのが適切であり、その結果、放射輝度関数は、空間的に均一になる。本発明者らは、本発明者らの更なる着目をこれらの状況に制限することにしており、I(i)のようにI(t)及びI(r)は、方向だけに依存し、水平位置には依存しない。
透過した放射輝度I(t)(s^)と入射放射輝度I(i)(s^)との関係は、表面の双方向透過率分布関数T(b)(s^,s^)により規定される。I(r)(s^)とI(i)(s^)との関係は、双方向反射率分布関数R(b)(s^,s^)により規定される。そのそれぞれが双方向散乱分布関数(BSDF)の例である関数T(b)及びR(b)は、通常、入射放射輝度の角度分布に起因する特定方向の透過又は反射した放射輝度を説明する積分形で
(t)(s^)=∫上向き単位半球ds^(b)(s^,s^)I(i)(s^
(r)(s^)=∫上向き単位半球ds^(b)(s^,s^)I(i)(s^
として示される。
上付き文字bは、T(b)及びR(b)が、表面の下方からの入射に関する認知として含まれる。上方からの入射の類似の関係を説明する第二の組の関数T(a)とR(a)が存在する。これらの関係は、各引数s^の上向き/下向きの認識が反対であることを除けば、同じものである。上向き指向半球上の方位性単位ベクトル
Figure 2009518782
としてその水平投影の観点から書くことができる。
ここ及びほかの場所で、記号「→」は、ベクトル量を示す。下向き指向半球上の単位ベクトルs^は、同様に書くことができるが、ラジカルの符号が逆の状態である。I(i)、I(t)及びI(r)は、上向き指向又は下向き指向半球のいずれかに制限されるs^の関数である。従って、それぞれは、その引数、すなわち、
Figure 2009518782
のちょうど水平投影の関数として表現することができる。同様に、T(b)、R(b)、T(a)及びR(a)は、例えば、
Figure 2009518782
としてのそれらの引数の水平投影の関数として表すことができる。s^のドメインは、単位半球であり、s^の球形状極性座標(r、θ、φ)の観点から、立体角ds^の微分要素は、
ds^=sin θdθdφ
である。
Figure 2009518782
のドメインは、単位円であり、
Figure 2009518782
の平面極性座標の観点から、
Figure 2009518782
の微分要素は、
Figure 2009518782
である。定義により、s=sinθ並びにs^及び
Figure 2009518782
の方位角φは同じであるので、
Figure 2009518782
であり、一方
Figure 2009518782
である。従って、
Figure 2009518782
の観点から、I(t)、I(r)及びI(i)の関係は、下方からの入射の場合、
Figure 2009518782
である。
これらの関係の形式は、
Figure 2009518782
をT(b)と交換し、及び
Figure 2009518782
をR(b)と交換することを除いて上方からの入射と同じである。
上向き指向又は下向き指向単位半球のいずれかに制限される放射輝度I(s^)と関連づけられる放射照度Fは、
Figure 2009518782
である。
放射照度に対する微分寄与は、単に
Figure 2009518782
である。従って、
Figure 2009518782
の単位円ドメイン内の
Figure 2009518782
に比例した振幅点の2次元プロットは、本来Iと異なる方向の相対的な寄与を示す、というのは、観察者は、前記プロットを見る際おのずから面積積分を行うからである。本発明者らの放射輝度の指向依存性の標準的な表現は、この形式のものであり、従って、放射照度は、表現された放射輝度をそれらの単位円ドメインにわたって単に積分することにより決められてもよい。
ある場合には、要素、構成要素又はスタックのBSDFは、両側よりもむしろ片側だけで計算されてもよい。尚、この書類の目的のため、互いに対して回転若しくは変換される2つの別の同じ要素、構成要素又はスタックのBSDFは、もし前記要素、構成要素又はスタックがそれぞれ回転若しくは変換不変性を所有していなければ異なると考えられてもよい。
マトリックス表現
透過、反射及び入射放射輝度が各セルのドメインに関して一定である関数として適切に表現することができると仮定して、そのそれぞれが、一般に方向s^の関数であるI(t)、I(r)及びI(i)の関係のマトリックス表現は、
Figure 2009518782
の単位円ドメインを隣接した有限領域セルの有限数Nに分割することにより得ることができる、その結果、(I(t)、I(r)及びI(i)のそれぞれに)放射輝度値が1つだけ、任意の所定のセルに割り当てられる。各セルは、単位半球の特定方向に向けられる増分立体角を表わす。これが、下方からの入射の場合の形式
(t)=『 (b) (i)
(r)=『 (b) (i)
(式中、 (t) (r)及び (i)は、そのN要素がそれぞれ単一数を代入されるN構成要素列ベクトルであり、数は、それぞれ関連するセルに対応する方向のI(t)、I(r)及びI(i)の定数又は平均値を表す)のN×Nマトリックス関係をもたらす。『 (b)』及び『 (b)』は、k番目の列及びL番目の行の値が、
Figure 2009518782
(式中、Δ(L)は、L番目セル及び|Δ(L)|その領域のドメインを示す)
によって与えられるN×Nマトリックスである。これらの関係の形式は、『 (a)』を『 (b)』と交換し及び『 (a)』を『 (b)』と交換することを除いてTkL (a)及びRkL (a)がT(b)を交換した
Figure 2009518782
及びR(b)を交換した
Figure 2009518782
で同様に画定された状態で上方からの入射の場合と同じである。ここ及びほかの場所で、従来の2重に下線をひいた記号はマトリックスを表わすために使用され、下線1本をひいた記号は列ベクトル(すなわち、1つだけの列を有するマトリックス)を表わすために使用される(但し、2重下線は、一部『 (a)』として表記する)。
相互対称
電磁相互依存関係は、関数T(b)、R(b)、T(a)及びR(a)にある対称を課し、それは順次これらの関数『 (b)』、『 (b)』、『 (a)』及び『 (a)』のマトリックス表現にある対称を課す。これらのマトリックス対称は、分割された単位円ドメイン内の各セルの領域が同じときはいつも特に簡単な形式のものである。これらは、
Figure 2009518782
(式中、『 』は、『』の転置を示す(k、L及びLを交換した結果であり、k要素は、k及びk<Lのような全ての組合せである)。『 (a)』及び『 (b)』は、対称であり、それぞれが、N(N+1)/2一意要素を有する。一般に、『 (a)』及び『 (b)』の両方が、非対称であるが、互換により一方が他方から決められてもよい。『 (b)』、『 (b)』、『 (a)』及び『 (a)』の合計4N要素のうち、N(N+1)+Nだけ又は約2Nが一意である。
角度基底
単位円を分割する1つの方法であるがけして唯一でない方法は、N=N’N”の等積セルのN’×N”の極性配列により達成され、二乗半径の方位及び増分の360/N”度にわたるそれぞれが1/N’と等しい。この分割スキームは、等積セル、N”倍回転対称を所有する配列におけるBSDFマトリックス形式を単純化するための便宜、マトリックスの物理対称因数分解を利用する要件を達成する。本発明者らは、典型的に、図8に示したN’=20及びN”=60で達成した1200セル分割を利用する、そこでは、より暗い参照円も提供され極性角度θ=15、13、45,60及び90度の位置を示し、直交する参照軸線は、
Figure 2009518782
で示される。セルは、方位角及び次にラジアル指数増加の標準の順序で参照することができる。例えば、方位角指数は、
Figure 2009518782
を基準とした方位角φが、反時計方向に−180から+180度に増加するときに1からN”に増加されてもよい。ラジアル指数は、半径(極性角度θの正弦)が0から1に増加するときに1からN’に増加されてもよい。このような分割スキームを使用すると、単位円の中心の又は近くのセルは、単位半球(小さい極性角度)のベースに垂直の又は垂直に近い方向に該当する及び単位円の縁部の又は近くのセルは、単位半球(大きい極性角度)のベースに対する見通し角又は見通し角に近い方向に該当する。列ベクトル『』のN放射輝度値をそれらの該当するNセル(例えば、不正確な色で示された放射輝度)に図8に示したセルドメイン全体にわたって表示することにより放射輝度の角度分布を表わすことができる。これは、水平平面への方向s^(指示の半球をカバーする)の投影の関数としての視程I(s^)に類似している。I(s^)と関連づけられる放射照度は、単にπに平均放射輝度を掛ける、すなわち、πに『』のN値の平均を掛けたものである。
要素BSDF
以下の節では、種々の個々の要素又は原始的な構造体のBSDFの計算を説明し、それはより完全な構成要素の構成ブロックとして考察されてもよい。個々の要素又は構造体のBSDFは、その後組合され、一般にバックライトディスプレイに使用されるフィルムなどの構成要素のBSDFを形成してもよい。以下の議論では、理想フレネル境界面、多層スタック、減衰層、散乱層、構造化表面、背面板、ランバート界面及び複合物境界面が、個々の要素又は原始的な構造体として提供されるが、この議論は、これらに限定されることを意図しない。拡散板及びプリズム型フィルムを強化する輝度が、代表的なバックライト構成要素として次に記載されるが、この議論も限定されることを意図しない。
適切な場合、種々の構成要素が組合され、スタック又はフィルムスタックを形成してよい、これは、組合されたBSDFが、スタック内の種々の構成要素のBSDFから形成されることを示す。特に、シミュレーションは、構成要素自体の格納されたBSDFによるよりもむしろ要素又は原始的な構造体により行われてもよい。又、フィルムライブラリは、それらを格納し、それらを後で呼び出すよりもむしろそれらが必要な度毎に多くの要素又は原始的な構造体のBSDFを計算してもよい。
フレネル境界面
フレネル境界面により、本発明者らは、異なる実際の屈折率を所有する媒体を分離する平面境界面を表わす。ガラスプレートの上部及び下部表面は、フレネル境界面としてモデル化することができる表面の例である。フレネル境界面双方向散乱分布関数
Figure 2009518782
等は、よく知られている入射と反射角の等式だけに依拠した検査によるフレネル反射係数、屈折のスネルの法則及びエネルギー変換の観点から表現することができる。これらをそれらのマトリックス表現『 (b)』等に置換する際、4つの必要な積分のうち3つは、透過と反射放射輝度両方の一方向性により分析的に完結することができる。得られた式は、
Figure 2009518782
であり、式中、
Figure 2009518782
Figure 2009518782
は、ポテンシャル複素量の大きさを示し、TkL (b)に関する式中のshi についての積分は、
(L’−1)/N’<shi <L’/N’
及び
(n/nb(k’−1)/N’<s<(n/nb(k’/N’)
のような値に達し、
それは、0v(L’,k’;(n/nb)により示される。TkL (a)及びRkL (a)に関する式は、単にnb及びnの役割を逆にすることにより得られる。ここ及びほかの場所で、δ(k”,L”)などのδ関数は、関数の引数が同じとき、すなわちk”=L”の場合、1つの(1.0)であるように定義され、引数が異なるとき、すなわちk”≠L”の場合、ゼロであるよう定義される。
もし屈折率が最初に変わるL’及びk’の順である場合、『 (b)』は、N’×N’ブロックと同じN”の対角配列であり、それぞれが要素Tk′,1,L′,1 (b)から構成される。(n/nb)>1のとき、このブロックの行は、((k’−1)/N’)(n/nb>1に関してゼロとなり、円錐st<(nb/n)への透過光線の閉込めを表わす。(n/nb)<1のとき、列は、((L’−1)/N’)>(n/nbに関してゼロとなり、shi>(nb/n)に関する全内部反射の発生を表す。屈折率が同じ順の場合、『 (b)』は、ブロックと同じN”の類似の対角配列であるが、『 (b)』に関しても各ブロックは対角であり、N’非ゼロ対角要素を所有している。
相反は、『 (b)』と『 (a)』の両方が対角マトリックス(及び従って、対称)であることを強制し、それは、
Lk (b)=(n/nkL (a)
であることも示す。
従って、『 (b)』は、『 (a)』を転置し、その結果を(n/nbによりスケーリングすることにより計算することができる。
積層媒体
積層媒体により、本発明者らは、潜在的に異なる実際の屈折率を所有する上部と下部媒体間に埋め込まれた異なる屈折率を所有する1つ以上の平面平行を表す。埋め込まれた層の屈折率は、実数又は複素数であってもよく、等方性又は複屈折であってもよく、個々の層の厚さは、光学波長に対して大きくても、小さくても又は適度であってもよく、適宜多くの(多層スタックにおけるような)又はわずか1つのそのような層であってもよい。例えば、3M社(3M Company)により製造された強化鏡面反射板(ESR)可視鏡フィルムは、等方性PMMA及び複屈折PENの500を超える交互層を所有し、それぞれが100ナノメートル代の厚さ、複屈折PENの5μm代の皮膜の間に挟まれた多層スタックの例である。特有の層の厚さは、入射角及び可視スペクトルにわたる波長から主として独立である高反射率を付与する。空気中で、ESRは、屈折率n=nb=1.00の媒体間の多層スタックである。例えば、それが屈折率n=1.5の接着剤を使用したガラスプレートの上に積層される場合、同じESRは、屈折率n=1.00とnb=1.50の上部と下部媒体間の多層スタックである。
積層媒体の平面平行構造体は、同じ屈折率の媒体間のフレネル境界面に関するものと同じである入射及び透過媒体内に場の形成を強制する。積層媒体の埋め込まれた層が誘電異方性を示したとしてもこれは真実である。複合反射及び透過係数の値だけが層の存在で変更される。本発明者らは、ベレマン(Berreman)D.W.、「成層及び異方性媒体の光学;4×4マトリックス定式化(Optics in Stratified and Anisotropic Media; 4 x 4-Matrix Formulation)」、J.Opt.Soc.Am.62巻502〜510頁(1972年)に記載された方法を使用してこれらを計算する。本発明者らが、それぞれが平行||又は垂直⊥を示すa及びbの状態でRb及びTbとして計算される偏光依存値を表す場合、入射非極性光線に対する単位水平領域当たり反射又は透過される強度は、下記となる。
Figure 2009518782
式中、θは、入射の極性角度であり、n及びnは、入射及び透過媒体の真の屈折率であり、nsinθ=nsinθ及びcosθ=(1−sinθ1/2である。比率は、入射及び透過媒体の屈折率、埋め込まれた層の無次元厚さ(τ≡k)及び誘電率『ε 』並びに一般に入射
Figure 2009518782
の方向の極性及び方位角構成要素によって決まる。(それは、積層媒体が「均衡のとれた」ときだけであり、全ての層の屈折率が、水平平面内で等方性であることを表し、反射率及び透過率が
Figure 2009518782
だけに依存する)。R及びTに関して、マトリックスBSDFの要素は以下である。
Figure 2009518782
(b)』は、『 (a)』を転置し、(n/nbによりスケーリングすることにより計算される。
減衰層
減衰層により、本発明者らは、αと等しい単位経路長さ当たりの相対吸収を示す均一屈折率nの平面平行非散乱層を表す。均一厚さの光学品質ガラスが、減衰層の例であり、その屈折率は、約n=1.50であり、単位経路長さ当たりのその吸収α=(4πn”/λ)は、典型的にλ=550ナノメートルで0.011mm−1であり、5×10−7と等しい屈折率の実在しない構成要素に相当する。分離状態の減衰層は、光線を反射しない。例えば、ガラスのプレートからの反射は、全て上部及び下部フレネル境界面での反射を生じ、それが、減衰ガラスを周囲の媒体から分離する。しかし、これが均一厚さ層を通る経路長さを決定する限りにおいては伝搬の極性角度に依存するように、減衰層は、1未満の値に透過性を減少させる。
減衰層のマトリックスBSDFの要素は、下記となる。
Figure 2009518782
式中、T(式の左側の双方向透過率分布関数と混同しないこと)は、層の厚さであり、τ≡αT、z(L’)≡τ(N’(N’−L’))1/2及びE(z)は、アブラモウィッツ(Abramowitz)、M.及びステガン(Stegun)、I.A.「数学関数便覧(Handbook of Mathematical Functions)」、ドーバーパブリケーションズ(Dover Publications)、ニューヨーク、1965年に開示されている指数積分である。尚、『 (b)』及び『 (a)』は、同じ対角マトリックスである。それらは、それにもかかわらず、減衰層に関してn=nb=nであり、対角マトリックスは、互換の状態で不変であるので相互対称条件を満足する。
散乱層
散乱層によって、本発明者らは、多数のそれ以外の均一屈折率n内の均一でランダムに分布した屈折率不均一性の平面平行層を表す。本発明者らは、不均一性により生成した個々の散乱事象が、入射と散乱方向間の角度だけに依存する散乱した放射輝度をもたらすと仮定する。前記散乱は、配向の等方性分布を有する球形状不均一性、非球面不均一性又はこれらの任意の混合のいずれかから期待される。及び、本発明者らは、異なる散乱間の光線の複数の相互作用が、非干渉に処理できる個々の散乱事象が十分分離されると仮定する。ビニルホスト内に酸化チタン粒子のランダム分散を有するスコッチカル(Scotchcal)フィルムとして既知の3M社(3M Company)から市販の多くのフィルムの内部は、散乱層として近似することができる媒体の例である。
本発明者らは、ウオーターマン(Waterman)、P.C.、「放射伝達のマトリックス指数的説明(Matrix-Exponential Description of Radiative Transfer)」、J.Opt.Soc.Am.71巻、410〜422頁(1981年)に開示されているマトリックス指数方法を使用し均一散乱媒体の水平層に関する放射伝達式を解くことにより散乱層のマトリックス透過率及び反射率BSDFを計算する。「成層及び異方性媒体の光学(Optics in Stratified and Anisotropic Media)4×4マトリックス定式化(4 x 4-Matrix Formulation)」、71巻、410〜422頁(1981年)本発明者らは、散乱角度gの余弦の平均値に関してパラメーターで表示された散乱アルベドω及びヘニー−グリーンステイン(Henyey-Greenstein scattering)相関数により層内の単一拡散事象をキャラクタライズし、並びに単位体積当たりの減衰及び光学厚さτによる層の厚さの組合せの影響をキャラクタライズする。尚、散乱アルベドの非単位値は、非保存単一散乱事象、散乱事象間のホスト内の吸収又はこれらの作用の任意の組合せのいずれかで表わしてもよい。
1つの解決手順は、4つの工程、すなわち
(1)本発明者らの角度基底の放射伝達式の角度依存性を表現し、同じ角度基底で解決した上方向及び下方向伝搬構成要素のz依存性を説明する1階マトリックス微分式をもたらす工程、
(2)マトリックス指数としてのこの微分式及び『 (a)』=『 (b)』=『』及び『 (a)』=『 (b)』=『』の直線形代数的関数としてのこのマトリックス指数の形式解を表現する工程(簡単な対称の考察により、散乱層のBSDFは、入射の向きから独立している)、
(3)引数を対角化しマトリックス指数の計算をさせる工程、及び
(4)直線形代数的関数を反転し『』及び『』を決定する工程を包含することができる。
保存散乱(ω=1)は、重なりを打ち消すため対角化の特別な処理を必要とし、適度な厚さから大きい厚さの光学厚さは、解析結果を基準とした摂動反転を必要とする。解法のこれらの態様のすべてが、ウオーターマン(Waterman)により取り組まれており、本発明者らは、本発明者らの角度基底でウオーターマン(Waterman)の公式論を作り直し、現代の計算の速度及び精度を利用することにより摂動反転を簡略化する。
(b)』と『 (a)』の対、並びに『 (b)』と『 (a)』の対は、同じ対称マトリックスであり、散乱層に関してn=nb=nであるため相互対称条件を満足させる。
構造化表面
構造化表面により、本発明者らは、異なる屈折率の上部と下部媒体間の二重に繰り返された非平面境界面を表す。従って、境界面は、平面性から偏差又は変位を有し、上記したように、2つの直交する面内軸線に沿って処置と繰返しのやりかたで有限寸法の単位セルを複製することにより正しく(全体的に)表すことができる。変位の単位セルは、光学波長に比べて大きく、又、観測結果が放射輝度の空間変化を解決できる大きさに比べて小さいと思われる。単位セル内の変位の局部変化は、主として水平規模で波長に比べて大きく起こると思われ、そのため、光線の「散乱」は、局部的に平らな表面による非干渉反射及び透過によって十分に説明される。3M社(3M Company)から市販され輝度強化フィルム(Brightness Enhancement Films)として既知の多くのフィルムが、構造化表面の例を備える。例えば、ビクイティ(Vikuiti)(登録商標)銘柄BEF−II90/50の非平面側は、50μmピッチで現れる平行な90度プリズムによりもたらされるn≒1.50アクリル樹脂とn=1.00空気の間の平行に不変ののこぎりの歯状の境界面である。
非平面境界面の複雑性が増加するので、マトリックスBSDFの閉形式の可能性が減少する。これらの状況において、『 (b)』、『 (a)』、『 (b)』及び『 (a)』の要素は、関数R(b)、R(a)、T(b)及びT(a)の直接積分以外の方法により計算することができる。代わりに、従来の光線追跡シミュレーションを使用し、構造固有の大きさが光学波長に比べて大きい限りマトリックス要素を計算することができる。以下の段落では、シミュレーションにより『 (b)』、『 (a)』、『 (b)』及び『 (a)』の要素を評価するため実質上任意の光線追跡「エンジン」が使用できる手法を記載する。
尚、一定、
Figure 2009518782
に関するI (i)と等しいか、さもなければゼロである空間的に均一な放射輝度により境界面が下方から照明される場合に、単位セルに入射する出力は、下式になることを注記する。
Figure 2009518782
式中、Aは、単位セルの面積である。単位セルから
Figure 2009518782
に透過される生じた出力は、
Figure 2009518782
Figure 2009518782
に反射される出力は、
Figure 2009518782
である。
これらの出力に関して、双方向透過率分布関数マトリックス『 (b)』及び双方向反射率分布関数マトリックス『 (b)』の要素は、下記となる。
Figure 2009518782
式中、最終の等式は、本発明者らの単位円の等積分割の結果である。従って、『 (b)』及び『 (b)』の要素は、入射強度の一方向依存分割を透過及び反射構成要素に組み入れる。光線追跡シミュレーションは、正確にこの分割(並びに吸収される入射強度の補体)を識別する。従って、
Figure 2009518782
を有する構造の下方から入射する光線集合の追跡は、『 (b)』と『 (b)』両方のL番目の列を規定する。全体のマトリックスは、順次L=1〜Nについて、各
Figure 2009518782
に制限される集合を考慮することにより判別される。同様に、
Figure 2009518782
を有する上方から入射する光線集合の追跡は、
Figure 2009518782
毎に順次『 (a)』及び『 (a)』を判別する。
所定の入射放射輝度は、単位セルにわたって空間的に均一で、
Figure 2009518782
のドメイン内で一定でなければならない。そのような放射輝度を示す入射光線の集合は、
Figure 2009518782
を有する領域内に均一に分布し及び単位セル内の領域に独立して均一に分布する単位強度光線を選択することにより発生させることができる。次に、Aと
Figure 2009518782
両方の任意の部分要素内に入射する強度の増分は、
Figure 2009518782
であり、
式中、η及びηhは、それぞれ単位セルの領域及び
Figure 2009518782
のドメインの領域内の光線の数密度である。dPは、
Figure 2009518782
に比例するが、所定の放射輝度に必要なように特定の局部値及び
Figure 2009518782
から独立している。
得られたマトリックス『 (b)』、『 (a)』、『 (b)』及び『 (a)』は、各集合の光線数が無限に近付くような範囲においてのみ正確となる。この範囲において、それらは、相反によって要求される対称を示すことになる。任意の有限数の入射光線の場合、すなわち、全ての実際のケースにおいて、シミュレーション推定の一体性は、『 (a)』、『 (b)』、(n/nb)『 (a)』及び(nb/n)『 (b)t』を
(a)』=(1/2)(『 (a)』+『 (a)t』)
(b)』=(1/2(『 (b)』+『 (b)t』)
(n/nb)『 (a)』−(nb/n)『 (b)t』=(1/2)((n/nb)『 (a)』;(nb/n)『 (b)t』)
で置き換えることにより強化することができ、
ここで、右側のマトリックスは、シミュレーションからの元の値である。『』及び『』における統計的なノイズへの衝撃は、おおよそ各集合の入射光線数の2倍に相当する。左側のマトリックスは、もとのシミュレーションマトリックスの統計的なノイズと関係なく相互対称条件を満足させる。
背面板
背面板により、本発明者らは、それぞれ実際の屈折率n及びnbの上部と下部媒体間に挟まれた均一複合屈折率n=n’+in”の光学的な厚さの平面平行層を表す。挟まれた層の透過率がゼロである屈折率の仮想構成要素は、正数であり、光学厚さは十分に大きいと思われる。バックライト空洞(及びその内部表面には高度に反射性のフィルムが積層されてもよい)の側部又は背部壁に構造的な支持体を提供するアルミニウムのシートは、背面板の例である。
背面板の双方向反射率分布関数(BRDF、BSDFの特別なケース)は、よく知られている検査によるフレネル反射係数及びマトリックスBRDFを判別するため積分された(解析的に完結した4つの必要な積分のうちの3つ)得られた式の観点から表現することができる。最終結果は、以下となる。
Figure 2009518782
式中、R(x;n)は、上記した偏光平均フレネル反射率を示す(だが、ここでは、複素引数nについて計算した)。双方向透過率分布関数(BTDF、又、BSDFの特別なケース)並びにそれらのマトリックス表現『 (b)』及び『 (a)』は、想定された挟まれた層の全不透明度のため同様にゼロである。これらのBSDFは、明らかに相互対称条件を満足させる。
背面板は、単一層だけを有する積層媒体としてモデル化することができ、その屈折率は等方性であり、n’+n”に等しく、その無次元厚さは、n”τ>>1のようになる。従って、背面板は、新しい構成要素ではなく、むしろ、既に上記したような積層媒体の特殊なケースである。しかし、ベレマン(Berreman)定式化の結果は、背面板に関する特殊なケースの特に簡単でよく知られている形態(しばしばバックライト設計で遭遇する)だと見なしている。従って、背面板は、構成要素BSDFのソフトウェアの実用化及び理解する物体の両方で積層媒体とは全く別なように考えるのが適切である。
背面板は、通常、(1)屈折率nbの下部媒体と屈折率n’上部媒体の間のフレネル境界面、基本的な(2)α=4πn”/λと等しい単位経路長さ当たりの相対吸収及びαT>>1のような厚さTを有する減衰層、基本的な(3)屈折率nbの下部媒体と屈折率nの上部媒体の間のフレネル境界面の複合構成物としてモデル化することができない。複素引数nを有するR(x;n)により規定される背面板の反射率は、一般に減衰層を挟んだ現実の媒体間のフレネル境界面により複製することができない。背面板及びこの複合構成物が同等の結果を得られるのは、αT>>1の状態でゼロに近接したn”の範囲内だけである。
ランベルト境界面
ランベルト境界面により、本発明者らは、屈折率nbの上部媒体と屈折率nの下部媒体を分離し、理想的なランベルト散乱特性を示す表面を表わす。適切な状況でランベルトとして近似することができる様々な現実の境界面が存在する。例えば、その境界面は、フレネル境界面の極度の粗化又はそのような境界面に高度に散乱した粒子を高濃度に含む薄い層の適用により形成される。しかし、ランベルト仮説は、通常、理想化しており、多くの状況で、ランベルトとしてモデル化されてもよい境界面は、より現実的には他の構成要素の組合せとしてモデル化することができる(例えば、フレネル境界面に適用される光学的に薄い散乱層)。
ランベルト境界面の放射伝達性は、表面の方向依存性全反射率R(a,b)と透過率T(a,b)により説明される。入射のそれぞれが表面の上又は下方からの状態で、R(a,b)は、単位表面積当たりの入射強度で除した単位表面積当たり反射した強度として定義され、T(a,b)は、単位表面積当たりの入射強度で除した単位表面積当たり透過した強度として定義される。BSDFは、以下となる。
Figure 2009518782
反射及び透過した放射輝度は、方向から独立しており、R又はT掛ける表面に入射した放射輝度に比例する。エネルギーの保存は、反射及び透過した全放射輝度が1から吸光率に入射放射輝度を掛けたものを減じたものに等しくなる必要がある。
(b)+T(b)=1−A(b)
(a)+T(a)=1−A(a)
相互関係は、
Figure 2009518782
又は
(n/nb)T(a)=(nb/n)T(b)
を必要とする。
従って、最も一般的なケースでは、3つだけ独立したパラメーターがある。本発明者らは、これらをT(b)、A(b)及びA(a)として選択し、すなわち、
0≦T(b)≦1
(b)=1−A(b)−T(b)
0≦A(b)≦1−T(b)
(a)=1−A(a)−(nb/n(b)
0≦A(a)≦1−(nb/n(b)
(a)=(nb/n(b)
である。
吸収のない境界面の場合、1つだけ独立したパラメーター(0≦T(b)≦1)がある。
本発明者らの等積角度基底の場合、『 (b)』、『 (b)』、『 (a)』及び『 (a)』の要素は、
kL (b)=(1/N)(1−A(b)−T(b)
kL (a)=(1/N)(1−A(a)−(n/n(b)
kL (b)=(1/N)(T(b)
kL (a)=(i/N)((n/n(b))である。
各マトリックスは、単に定数にその要素が全て1(1.0)であるN×N配列を掛ける。これらのマトリックスは、明らかに相互対称条件を満足させる。
複合物境界面
複合物境界面により、本発明者らは、屈折率nbの下部媒体と屈折率nの上部媒体との間の境界面を表し、境界平面の異なる部分又は副要素は、異なる散乱特性、すなわち、BSDFの異なる組により例示されるような異なる反射率及び/又は透過率特性を所有する。異なる副要素は、二重繰返し空間パターンを形成する。従って、異なる散乱特性のそのパターンを有する境界面は、上記したように2つの直交する面内軸線に沿った処置と繰返しのやりかたで有限寸法の単位セルを複写することにより正しく(全体的に)表すことができる。所定の面内軸線に沿って、パターンは、周期的、非周期的又は一定(平行に不変)であってもよい。本発明者らは、前と同じように単位セルは、観察可能分解能限度よりも小さい。拡散フィルム又はプレートを通して観察したときアクリル樹脂導波管に印刷される拡散白色インクのドットパターンは、屈折率1.50と1.00の媒体間に位置するフレネル及びランベルト副要素から構成される複合物境界面の例である。
複合物境界面から観察される局部面積平均放射輝度は、境界面を構成する副要素のBSDFの面積秤量平均を使用して容易に計算することができる。従って、例えば、一部の面積f及び1−fをそれぞれ占有するBSDFの『 (b)』、『 (b)』、『 (a)』、『 (a)』、『 (b)』、『 (b)』、『 (a)』及び『 (a)』を所有する副要素を有する表面に関する複合物境界面は、
(a,b)』=f (a,b)』+(1−f)『 (a,b)
(a,b)』=f (a,b)』+(1−f)『 (a,b)
である。
複合物BSDFは、個々の副要素のこれらが行う限り相互対称条件を満足させる。2を超える異なる副要素を所有する複合物境界面のこれらの式の拡張は、簡単である。
構成要素BSDF
上記した個々の要素又は原始的な構造体のBSDFは、組合され一般にバックライトシステムに使用されるいくつかのフィルム又は構成要素のBSDFを形成してもよい。以下の節では、これらの構成要素のいくつかのBSDFを提供する。
構成要素BSDF:拡散板又はフィルム
一般にバックライトシステムのフィルムスタックに使用される拡散板は、典型的に特定の屈折率の平面平行プレートであり、プレートと異なる屈折率を有するランダムな寸法及びランダムな位置の粒子を収容する。拡散板を通過した光線は、小さい粒子の有する屈折相互作用に基づき本質的にランダムな方向に出射する。代表的な拡散板フィルムのBSDFは、以下のように計算することができる。
1例のフィルムは、シャープ(Sharp)(登録商標)76.2cm(30インチ)LCD−TV、型式番号LC−30HV2Uからの2mm厚さ(剛性)拡散板プレートである。以後「シャープ(Sharp)拡散板」と呼ばれるこの拡散板の多くの設計詳細は、大部分は知られていない。そのような状況において、BSDFの徹底的な直接(試験的な)測定が、通常好まれる。しかし、必要な計装及びデータ解析ソフトウェアは、しばしば入手が可能ではない。ここで、本発明者らは、おおよそのBSDFを提供するため、計量、標準の光学的なキャラクタリゼーション及び解析の組合せをどのように使用することができるかを説明する。
シャープ(Sharp)拡散板に対する走査電子顕微鏡法及びフーリエ変換赤外分光法は、5μm直径のガラスと10〜20μm直径のポリスチレン球体の両方の均一ランダム分散を組み込んだPMMAホストであることを示している。PMMAの屈折率は、約n=1.50である。このホスト内の球体の寸法及び相対屈折率が、入射方向近くで対称であり、前方方向で強いピークに達し、大部分が波長から独立した散乱をもたらすと予想される。本発明者らは、これを波長から独立し0.995と等しい非対称パラメーターg(入射方向を基準として散乱角の余弦の平均値)を有するヘニー−グリーンステイン(Henyey-Greenstein scattering)相関数を使用してモデル化する。2つの残パラメーター値、すなわち、全散乱と散乱事象毎の入射強度と等しい散乱アルベドω及び単位体積当たりの散乱に吸収を加味した横断面にプレートの厚さを掛けたものと等しい光学厚さτがBSDFを計算することができるモデル説明を完結するのに必要である。本発明者らは、標準の光学的なキャラクタリゼーションの結果に整合させることによりこれらの値を得る。パーキン−エルマー(Perkin-Elmer)ラムダ(Lambda)−900分光光度計を使用して測定したプレートの全垂直入射透過率及び反射率は、可視全体にわたって55〜65透過率パーセントと約16吸収パーセントを示した。特に、640ナノメートルの波長でT=0.60及びR=0.24である。しかし、これらの値は、人為的に低い、というのは、2mmのプレート厚さは、別の透過又は反射した光線をプレートの縁部に若しくは縁部を通って導光させ、その導光光線は分光光度計によって収集されないからである。これが、非現実的に高い測定吸収率に対して偏倚をもたらす。更に、16吸収パーセントを有する拡散板が、光学効率が大切であるテレビジョンバックライトに組み込まれそうにない。本発明者らは、640ナノメートルでの実際の透過率及び反射率を等しい量の見掛け吸収をTとRに分割することによりT=0.68及びR=0.32であると推定する。R+Tが正確に1だと仮定することにより、本発明者らは、散乱アルベドも正確に1であると規定する。次に、本発明者らは、透過と反射の観察分割をもたらす光学厚さτを選択し、その結果は、τ=100である。
T=0.68、R=0.32及びω=1であるg並びにτの多くの他の組合せが存在する。一般に、(1−g)τ=0.500である任意の組合せが存在する。本発明者らの特定の選択は、前提g=0.995を反映しており、本発明者らは、散乱粒子の観察した物理特性に基づき推定した。更に、妥当性確認は、垂直照明の透過放射輝度の測定角度分布によってもたらされる。これらの測定データを図10Cに描写した点の軌跡で示す。g=0.995及びτ=100についての予測分布を縦のバーで示す。一致は良好であるが、完全ではない。g及びτのより小さい値(依然として(1−g)τ=0.500を有する)は予測された分布をもたらし、それは測定データから更に外れ、一般に、垂直近くの強いピーク及び垂直と見通し角との間に強い上向きそして続いて下向き曲率の広い領域を示す。より大きい値は、よりよい一致をもたらすことができるが、拡散板BSDFの本発明者らの現在の一般のモデルで正確に評価することができない。この意味で、シャープ(Sharp)の拡散板は、多数の(τが大きい)近前方向散乱(1−gが小さい)粒子を所有している理由で並びにその厚さ(分光光度計を混乱させる)のために特別な挑戦を提示する。
拡散板BSDFに関する本発明者らの一般のモデルは、屈折率nの均一ホスト内に埋め込まれたg、ω及びτの値により特徴付けられる均一散乱層、並びにN’とN”の値により特徴付けられる極性x方位角の等積角度基底を仮定し、ウオーターマン(Waterman)、P.C.、「放射伝達のマトリックス指数的説明(Matrix-Exponential Description of Radiative Transfer)」、J.Opt.Soc.Am.71巻、410〜422頁(1981年)に開示されている解析法を実施する。この方法は、散乱層のマトリックスBSDFを計算する。次に、これを上部及び下部フレネル境界面のマトリックスと組合せ複合物構造のマトリックスBSDFを決定する。強力に前方向散乱粒子の層は、BSDF内の基底設定アーチファクトからの独立を達成するためしばしば高い極性角分解能(大きいN’)を必要とする。本発明者らのシャープ(Sharp)拡散板の計算には、N’=80、N”=60(図10A及び10C)を利用し、通常のN’=20、N”=60基底(それぞれ図10B及び10D)にダウンサンプルし、その後計算を完結した。更に1により近い値は、更に80を超えるN’を必要とする、そのため、マトリックスの規模は、非常に大きいので数字上のノイズに影響されやすい所要の線形代数演算をする。救済が可能である間、本発明者らは、図10Cに示した適切な実験/予測一致の見地からそれらを正当化できないと思っている。
残留する数字上のノイズにより図10A〜Dで生じる物理的に不可能なR+T>1を避けるため、本発明者らは、シャープ(Sharp)拡散板のBSDFの本発明者らの最後の計算で(ω=1よりむしろ)ω=0.9998を設定する。これが、予測値T=0.676、R=0.324、そのためR+T=1.000をもたらす。
シャープ(Sharp)拡散板の上記計算の具体的な値は、640ナノメートルの波長に関する。この波長は、次のバックライトシミュレーションの光源として特に関心のあるLED装置の狭い放射帯域内に存在する。他の波長は、別の結果をもたらすことになる。これらが、既に記載した可視スペクトルに対する全透過率の55〜65%ドリフトを占め、この高分子系全吸収率がスペクトルの青色末端部の近くでゼロでない高い確率を占める。明らかに、プレートのより薄い部分で得られてよいような及び/又は大きい開口の集積球体検出器を使用することによる全透過及び反射のより精度のよい測定値は、本発明者らの計算を可視に広げるのに有用である。前記データが存在しない場合、640ナノメートルBSDFは、ユーザーにより要求される精度の程度にもよるが、緑色波長で適正に使用されてもよく、厳密にではなくモデル広帯域「白色」光源に使用されてもよいが、青色波長、例えば青色LED源には適していない場合があり、この場合もやはりユーザーの要求による。
構成要素BSDF:輝度強化フィルム
輝度強化プリズム型フィルムは、垂直入射に対して迷光の方向を変えるのを助ける。一般の前記フィルムは、光学的に大きいピッチ(50μmまで)及び深さ(50μmまで)を有する1次元のこぎりの歯状格子として構成される。こぎりの歯状格子の歯は、約90度の頂点角度を有するが他の次元及び角度が使用されてもよい。歯の先端は、小さい半径、典型的には数μ程度以下を有してもよく、製造工程から生じてもよい。
代表的なフィルムは、3M社(3M Company)から入手可能なビクイティ(Vikuiti)(登録商標)輝度強化フィルム(Brightness Enhancement Films)(BEF)BEF−II90/50である。このフィルムの詳細な組成物及び構造は、おそらく知られていないため、そのBSDFの信頼できる推計は、第一原理モデリングにより可能である。
BEF−II90/50のプリズム型構造は、50μmピッチで現れる平行な平行に不変の90度プリズムから構成される。プリズムのベース平面は、基本的な均一厚さのランド層の上部表面と一致する。プリズムは、キャストアクリル樹脂であり、ランド層は、127μm(5ミル(0.005インチ))ポリエチレンテレフタレート(PET)基材上の1〜3μmの残留キャストアクリル樹脂から構成される。プリズムの頂上の半径は、典型的に強く光学性能に影響し、実際の値は、1μm以下である。380ナノメートルでn=1.625から780ナノメートルでn=1.580と波長が増加するのに伴いアクリル樹脂の屈折率は、単調に減少する。PETのそれは、n=1.695からn=1.630に減少する。640ナノメートルの波長でアクリル樹脂の屈折率は1.586であり、PETのそれは、1.630である。単位経路長さ当たりの吸収は、アクリル樹脂とPETで同等であり、380ナノメートル近くで25.4μm(1ミル)当たり数パーセント大きいが、640ナノメートル近くでは25.4μm(1ミル)当たり約0.1パーセント以下程度である。640ナノメートルでのより正確な値は、一般に入手できない。
本発明者らは、(1)屈折率nb=1.000及びn=1.630の下部と上部媒体の間のフレネル境界、基本的な(2)光学厚さτ=0.004の非散乱減衰層、基本的な(3)屈折率nb=1.630とn=1.586の媒体間のフレネル境界、基本的な(4)屈折率nb=1.586とn=1.000の媒体間に1−μm半径の先端を所有する90度ののこぎりの歯状境界面のものとして「強調した」BEF−II90/50のBSDFを640ナノメートルでモデル化する。
BSDFは、ピッチが光学波長をおびただしく超えるためピッチから独立しており、構造体の単位セルにわたって平均したときの周期的な構造体の非干渉散乱は、セルの寸法から独立している。要素(1)〜(3)のマトリックスBSDFは、本発明者らのN’=20、N”=60角度基底を使用し解析的に計算できる。要素(4)のものは、光線追跡シミュレーションを使用して計算できる。そのシミュレーションの場合、本発明者らは、角度基底の1200セルの各々の内部で10,000入射光線を処理する。1ミクロンを超えていることが分からないが別の方法で規定されていない先端半径を以下に記載する測定した利得分布に最も適合するように1ミクロンに等しくなるよう選択する。便宜上、本発明者らは、光学性能に重要な場合がある吸収作用をアクリル樹脂及びPET内部の全ての吸収をPET基材、すなわち、要素(2)に移管することにより説明する。これは、主として計算上の便宜ばかりではなくアクリル樹脂に比較しPETのより大きい厚さのために行われる。平面平行層内の吸収は、分析的に処理できるが、一方構造化媒体内のそれは典型的にシミュレーションにより評価される。減衰層の光学厚さは、既知の材料の吸収率と一致し及び別の方法としては測定した利得分布に最も適合するように選択される。試験した特定のシャープ(Sharp)拡散板の場合、記載したモデリングは、640ナノメートルの波長だけに関する。他の波長には、PET及びアクリル樹脂の屈折率並びにPETの光学厚さをおそらく変更する必要がある。より吸収性の波長の場合、PET及びアクリル樹脂の個々の吸収率が必要な場合がある。本発明者らが求める精度の程度に関しては、計算した640ナノメートルBSDFが、適度に緑色及び白色源にも使用されてよいが、青色源には使用できない。
スタック評価器:概要
さて、本発明者らは、スタック評価器64、操作及び図6に示す設計に向きを変える。ステップ100で、スタック評価器は、その構成要素、その構成要素の順序及び任意の方位角で非対称構成要素を含むフィルムスタックを同定する。
ステップ100の中に暗に示されたのは、フィルムスタックの構成要素が互いに十分近接して置かれていることであり、従って、それらが構成要素から構成要素に伝搬するとき光線の有意な長手方向伝搬がない。光線がスタック内を有意に伝搬しない場合、次に、それらは、それらが入射したほぼ同じ横方向位置でスタックを出射する。すなわち、光線が、有意にzに沿って進行しない場合、例えば、次に、その出射位置(x,y)は、その入射位置(x,y)とほぼ同じである。(x,y)での各構成要素の局部特性が、次に(x,y)でスタックに入射する光線毎に使用されてもよい。
2つの構成要素の間に有意な長手方向の分離がある場合、各光線の位置(x、y)は、構成要素間で有意に変化し、これらの構成要素のBSDFは、分離されたままであり一体にされるべきではない。そのようなケースは、2つの構成要素の間で光線追跡を行うことにより処理されてもよい。可能な場合、スタック評価器は、スタック構成要素のBSDFを1つ以上の組合せBSDFにまとめる。
ステップ102で、BSDFは、ステップ100で同定された構成要素について同定される。それらが計算され、実験的に得られ又は必要に応じて手動入力により得られる場合であっても、これは、典型的にフィルムライブラリ62からのそれらの呼出しを包含する。ステップ104で同定された構成要素のBSDFは、組合され一体にされたBSDF又はスタックBSDFをもたらす。組合された工程は、ステップ106の電磁相互対称及びステップ108の物理対称を使用し計算時間を減少させる。一体にされたBSDFをステップ104で計算後、それは、その後の計算又はステップ110でユーザーに提供される。
ステップ104は、スタック評価器64内で最も計算を必要とする工程であり、以下の段落で更に説明される。
いくつかのケースでは、光路の要素又は構成要素毎にBSDFを組合せ全体として光路のBSDFをもたらすことができる。従来のコンピュータシステムで実施可能な本方法は、2つの隣接した層(要素又は構成要素)のBSDFを組合せ複合物構造体のBSDFをもたらす。2つを超える層が互いに隣接している場合、前記方法は、その結果を次の隣接した層のBSDFと組合せ、次にその結果をその次に隣接した層のBSDFと組合せるなどで経路の全ての構成要素がなくなるまで繰り返す。各一対組合せは、下式によって処理される。
Figure 2009518782
計算の効率のため、スタック評価器は、上記の関係を使用し、
Figure 2009518782
の上から入射の調整された透過率を計算し、次に簡単な互換を使用し、
Figure 2009518782
の下から入射の透過率を計算する。右側の下付き文字1及び2は、下部及び上部構成要素に関するマトリックスをそれぞれ示し、左側の下付き文字のないマトリックスは、組合せのためのものである。このようにM−構成要素光路のBSDFの計算は、これらの関係のM−1順次適用を必要とする。
可能なときには必ず、スタック評価器64は、物理的又は電磁的相互対称などの対称を使用し、計算速度及び効率を増加させることができる。
物理的対称の使用は、対称物質に必要な計算の数を減少させることができる。60方位角位置を有する典型的な60×20基底系の場合、方位角で対称な構成要素のマトリックスは、20×20ブロックに対称因数分解することができる。もたらされた計算時間の削減は、十分なものである。
BSDFを組合せる数学は、マトリックスの反転を包含し、反転回数は三乗したマトリックス次元として変化するため、スタック評価器がより小さいマトリックスを使用し中間反転を行うのが非常に望ましい。例えば、上記の60×20の例を使用することで単一1200×1200マトリックスを反転するより60の20×20マトリックスを反転するのに必要な計算はより少ない。
これらの対称を利用することにより、スタック評価器64は、構成要素BSDFを単一の組合せBSDFに別に入手することになる時間の一部で組合せることができる。現存するハードウェア及びソフトウェアの実用化及び典型的なフィルム配列の場合、スタック評価器64は、対称を利用しない場合に必要な数時間と比較して約1分で組合せBSDFを作成する。これは、実質的な時間節約で、さもなくば不当に長い計算時間のため非現実的なシステム及び組合せのシミュレーションを可能にする。
以下の節では、組合せBSDFの計算についてさらなる詳細を提供する。
光路
フィルムスタックの光路により、本発明者らは、(1)異なる屈折率の媒体を分離する平面的又は構造化されたいずれかの各境界面、(2)有限の吸収率を所有する均一屈折率の各平面平行層、(3)別の均一屈折率のホスト内のランダムバルク不均一性の各平面平行層、(4)潜在的に異なる屈折率の媒体間に埋め込まれた各多層光学フィルム及び(5)潜在的に異なる現実の屈折率の媒体を分離する複合屈折率の各光学的に厚い(及び従って不透明な)平面平行層の順序リストを示す。非常に多くの非撮像光学システムは、これら5種類の要素だけを含有する光路により記載することができる。
図22は、バルク拡散プレートから空気間隙に強調して適用され及び分離された、BEFを平らに維持するために含まれるガラスプレートから空気間隙により覆われ又は分離された輝度強化フィルム(Brightness Enhancement Films)(BEF)として3M社(3M Company)から市販のモノリシックフィルムのシートを含む利得強化スタックを示す。光路は、(1)屈折率nb=1.00とn=1.50の媒体間の平面境界面、基本的な(2)屈折率n=1.50のホストの媒体内に埋め込まれたランダムバルク不均一性の平面平行層、基本的な(3)屈折率nb=1.50とn=1.00の媒体間の平面境界面、基本的な(4)屈折率nb=1.00とn=1.58の媒体間の平面境界面、基本的な(5)屈折率nb=1.58とn=1.00の媒体間の決定論ののこぎりの歯状の境界面、基本的な(6)屈折率nb=1.00とn=1.53の媒体間の平面境界面、基本的な(7)有限の吸収率を所有する屈折率n=1.53の平面平行層、基本的な(8)屈折率nb=1.53とn=1.00の媒体間の平面境界面を含む。
図23は、アルミニウムハウジングと光学接触の状態で適用された3M社(3M Company)により製造され光強化フィルム(LEF)として販売されている市販のフィルムを有する壁構造体を示す。光学接触は、LEFとアルミニウムを接合する屈折率n=1.50の接着剤(図に示されていない)により実現される。ここで、光路は、(1)屈折率nb=1.00とn=1.50の媒体間の平面境界面、基本的な(2)屈折率n=1.50のホストの媒体内のランダムバルク不均一性の平面平行層、基本的な(3)屈折率nb=1.50とn=1.00の媒体を分離した屈折率n=0.96+i6.69の不透明な平面平行層を有する。
光路の説明は、2つ又はそれ以上の原始的な構成要素の組合せのBSDFが既知又は入手可能な場合簡単化することができる。例えば、図22のBEFフィルムを画定する平面及びのこぎりの歯状境界面のBSDFを組合せた後、その結果は、フィルムのライブラリに格納し、このフィルムを組み込むその後のスタックに使用される場合にアクセスすることができる。BEFのBSDFがそのようにカタログに載せられている場合、図22の利得強化スタックは、7であって8でない構成要素又は要素を所有する光路として見える場合がある。
各一対の組合せ
図24は、2つの平行な公称上平面の無限構造体を有するスタックを示し、ここでは、それぞれは、平面境界面で表現され、屈折率nの非散乱及び非吸収媒体の層で分離される。層上の媒体は、屈折率nの状態で均一であり、下のそれは、屈折率nbの状態で均一である。本発明者らは、個々の構造体のBSDFのマトリックス表現の観点から全体としてスタックのBSDFのマトリックス表現をを計算しようとしている。所望のBSDFは、空間的に均一な入射放射輝度により照明される際の3層系(下部構造体、中央層及び上部構造体を含む)についての放射伝達式を解くことにより見つけることができる。各媒体内の放射輝度の上方向及び下方向伝搬構成要素の一方向依存性が本発明者らの角度基底で解ける場合、放射伝達式は、
=『 12 +『 21
=『 32 +『 23
=『 23 +『 32
=『 21 +『 12
のようなマトリックス形式で表現することができ、
式中、各構造体による散乱は、その構成要素マトリックスBSDFにより説明され、非散乱及び非吸収中央層は、放射輝度を維持する。本発明者らは、初めに 及び に関して 及び の第一の2つの式を解く、すなわち、
Figure 2009518782
これらの式を第3及び第4の式に置換することで
=『 21』(『』−『 23』『 21』)−1 23 +[『 21』(『』−『 23』『 21』)−1 23』『 12』+『 12』]
=『 23』(『』−『 21』『 23』)−1 12 +[『 23』(『』−『 21』『 23』)−1 21』『 32』+『 32』]
を与える。
これらは、
=『 31 +『 13
=『 13 +『 31
として、本発明者らの角度基底で解いた全体としてスタックの正味の透過率と反射率を説明する。形式『 13』及び『 13』は、下方からの入射のスタック所望のマトリックスBSDFであり、『 31』及び『 31』は、上方からの入射のものである。
下部(屈折率1)及び上部(屈折率2)構造体のものの観点から並びに
(n/n)『 (a)』=(n/n)『 (a)』(『』−『 (b)』『 (a)』)−1(n/n)『 (a)
(n/n)『 (b)』=(n/n)『 (b)』(『』−『 (a)』『 (b)』)−1(n/n)『 (b)
(b)』=(n/n)『 (a)』(『』−『 (b)』『 (a)』)−1 (b)』(n/n)『 (b)』+『 (b)
(a)』=(n/n)『 (b)』(『』−『 (a)』『 (b)』)−1 (a)』(n/n)『 (a)』+『 (a)
として明らかに相互対称を示す調整された透過率マトリックスの観点から上方及び下方からの正味透過率及び反射率を表現することは有用である。
任意のマトリックス『』が、(『 』)−1=(『 −1』)であり、『Rマトリックス』が対称であるため、
((『』−『 (a)』『 (b)』)−1=(『』−『 (b)』『 (a)』)−1及び
(『』−『 (b)』『 (a)』)−1 (b)』と(『』−『 (a)』『 (b)』)−1 (a)
の両方が対称である。又、
(n/n)『 (a)』=(n/n)『 (b)t』及び
(n/nb)『 (a)』=(nb/n)『 (b)t』、『 (b)』及び『 (a)
が対称であり、並びに
(n/nb)『 (a)』=(nb/n)『 (b)t
である。従って、関係は相互対称を維持する。実際には、『 (a)』、『 (b)』及び(n/nb)『 (a)』は『 (a)』、『 (b)』、及び(n/nb)『 (a)』、及び『 (a)』及び『 (b)』及び(n/n)『 (a)』から計算され、以下、
(a)』=((n/n)『 (a)』)(『』−『 (a)』『 (b)』)−1 (a)』(n/n)『 (a)』+『 (a)
(b)』=(n/nb)『 (a)』(『』−『 (b)』『 (a)』)−1 (b)』(nb/n)『 (b)』+『 (b)
(n/nb)『 (a)』=(n/nb)『 (a)』−『』−『 (b)』『 (a)』)−1(n/n)『 (a)
により、及び
(nb/n)『 (b)
は互換により計算される。
BSDFのマトリックス表現を組合せる技術は明らかに繰り返しであり、そのため、任意の光路のBSDFのマトリックス表現は、スタックの下部で開始し(1つの方法において)、隣接した構成要素又は要素の段階的各一対の組合せにより計算することができる。もちろん、スタックの上部又は任意の他の場所で開始するなどの他の慣例も追従することができる。
物理的な対称因数分解
相互対称は、約2倍だけ任意の個々の又は任意の組合せ光路要素を表すのに必要なメモリを減少させ、約2倍だけ光路要素を組合せる計算負荷を削減させる。((n/nb)『 (a)』だけ並びに『 (a)』及び『 (b)』の要素の概ね半分は、明らかに組合せ毎に計算する必要がある)。しばしば、相互対称により提供されるものよりもより実質的なメモリと計算負荷の追加の削減は、それらが表わす構造体の既知の物理対称によるBSDFマトリックスの因数分解によりもたらされる。物理的な対称因数分解は、非常に効率的なバックライトシミュレーションツールを支援するのに所望のスタック計算の高い効率を達成するために重要である場合がある。
』を『 (b)』、『 (b)』、『 (a)』又は『 (a)』のいずれかで表わすと、それぞれは、標準の方法で構成される、ここで角度基底セルは、最初に変化したそれらの方位角指数で配列される。そのBSDFが『』によって表わされる構造体がCnv対称を所有するとし、nはN”の任意のファクターである(N”=60の場合、n=1,2,3,4,5,6、10,12,15,20,30又は60である)。群Cnvの任意の演算でそれが不変の場合、構造体は、Cnv対称を所有する。すなわち、これらは、同一操作(E^)、垂直な軸線(C^)まわりでのn倍回転、μ軸線(σμ)を包含する垂直平面に対する鏡面対称、及びこれらの集積された特有の結果を有するものの組合せとして得られる全ての特有の操作である。群Cnvのそのような演算2n、すなわち、n回転C^ ≡E^、C^、C^ 、・・・・、C^ n−1及び方位角等しい増分により分離されたn垂直鏡面がある。所定の構造体の散乱特性を表す任意のマトリックスは、その構造体を変化させない任意の演算によりその行と列の両方の変換のもとで不変ということになる。すなわち、『』がCnvのいずれか1つのもとで角度基底セルの変換を説明するN×Nマトリックスである場合、『 』『AS』=『』となる。
さて、『』をN”×N”ブロックのN’×N’配列を有する分割マトリックスとして考える。『 (ij)』(1≦i≦N’;1≦j≦N’)がi、j番目のブロックを表すものとする。Cnvの演算は、基底セルを異なる方位角指数を有する他のセルに変換するが極性指数は変更しない。『 (ij)』は組合されない、従って、各『 (ij)』は、Cnvの各演算のもとで不変ということになる。
任意の回転のもとでの『 (ij)』の不変性は、構造
Figure 2009518782
を意味し、式中、各『 』は、n×nマトリックスである。n=N”/nは、回転方向に特有の方位角セルの数である。残りのN”−n方位角セルは、これらから1、2、...、n−1段階的n倍回転によって誘導できる。尚、一般に、『 』は、『 (ij)』毎に異なる。本発明者らは、識別上付き文字を表記法の簡単さだけのために削除した。
』が、複素数評価一体型マトリックス
Figure 2009518782
を表すものとする、式中、『』は、任意の実数評価の直交するn×nマトリックスである。そして、
Figure 2009518782
であり、『 』は、『』(転置の複素数共役)及び
Figure 2009518782
の随伴を示す。
』は実数であるので、本発明者らが を画定すると、
n−k』=『 』 (0≦k≦n)
となる。
従って、『 』は、nが偶数のときに『 n/2』であるような実数である。残りの『 』は、複素数である。ここ及びほかの場所で表記「*」は、複素数共役を指す。
鏡面反射のもとでの (ij)の不変性は、
(i,j)=An−L(n−i+1,n−j+1) (1≦i≦n;1≦j≦n
0≦L≦n(本発明者らは、『 』≡『 』と定義する)それぞれA(i,j)は『 』のi、j番目の構成要素を表す。
0≦k≦nのそれぞれは
(i,j)=B(n−i+1,n−j+1) (1≦i≦n;1≦j≦n)ということになる。
本発明者らは、『』を、その列が基底を二分する垂直鏡面の反射に対して対称又は反対称のいずれかである2つのn回転方向に特有の方位角セルの正規の線形組合せであるマトリックスとして選択し、そして、『 』が、
Figure 2009518782
として表わされる場合、例えば、n=5のとき、下記となる。
Figure 2009518782
対称組合せn=[(n+1)/2]及び反対称のものn=n−n(「x」は、xの整数部分を表す)が存在する。nが、奇数のとき、n=n+1となる。特別な対称「組合せ」は、セルが鏡面により二分されるものである。nが偶数のとき、n=nであり、『 』は、上記で示した形式であるが、特異な中央列及び行を有していない。『 』及び『 n/2』(nは偶数)は実数であるため、『 』及び『 n/2』は、n×n及びn×n対角ブロックだけを包含する。他の『 』の全てが、難解なn×nマトリックスである。
Lk』が、『』のL+1、k+1番目のブロックであり、ei2π(L・k/n)』を表すものとする。L又はkのいずれかがゼロ又はn/2(nが偶数の場合)のとき、『 Lk』は、実数である。全ての他のブロックは、複素数であるが、行の対及び列の対が互いに複素数共役であるような
Lk』=『 Ln−k*』 『 Lk』=『 n−Lk*』
を有している。
実数評価因数分織りこみマトリックスを復元するため、さて、本発明者らは、最終的に、前記列ブロックの各対に関するの複素数共役列ブロックの2つの実際の値の一体型組合せを形成し、新しい実際の値の直交マトリックス『 』を得る。例えば、n=6のとき、右にn×nブロックの6×6配列を乗算することにより、『』から下記の『 』が得られる
Figure 2009518782
例えば、n=5のとき、下記が得られる。
Figure 2009518782
nが奇数のとき、その非ゼロブロックだけがである行及び列の第2の事象は存在せず、nが偶数のとき、『』の対角線上に1’及び−i’と等しい数が存在する。
』が『』を置換するとき、最終的に(n=6の場合)
Figure 2009518782
であり、式中、
Figure 2009518782
(n=5の場合)を有し、
Figure 2009518782
は、反対の虚の値の符号を有する『 』である。nが奇数のとき、『 n/2』は、存在しない。『 〜t』『 ij)』『 』が、本発明者らの所望の実数評価織り込み形式である。nが偶数のとき、n−2n×n、2つのn×n及び2つのn×n対角ブロックが存在する。nが奇数のとき、n−1n×nブロック、1つのn×nブロック及び1つのn×nブロックが存在する。
本発明者らが概説した結果は、以下の基本操作の通りである。
(1)群Cnvの対称による任意のN”×N”マトリックス『 (ij)』の対称化、ここで、nは、N”の任意のファクターであり、
(2)『 (ij)』の対称織り込み形式における対角ブロックの数、各対角ブロックを構成する次元及び数値の計算、及び
(3)その対称織り込み形式からの『 (ij)』の因数分解と計算の反転を可能にする。
全体のマトリックス『』を因数分解するため、本発明者らは、先ず個々に各ブロック『 (ij)』を因数分解する(直ぐ上の項目(2)を使用する)。『』が対称のとき、その結果、『 (ji)』=『 (ij)t』である、本発明者らは、どのi≧jについても明らかにこれらの『 (ij)』を因数分解することだけが必要である、というのは、『 (ij)t』の因数分解された形式は、『 (ij)』の因数分解された形式の転置だからである。次に、本発明者らは、極性指数が先ず変化するように『』の行及び列を再整理する。結果は、nが偶数のとき、n−2N’×N’n、2つのN’n×N’n及び2つのN’n×N’n対角ブロックを有するブロック因数分解マトリックスであり、nが奇数のとき、n−1、1及び1つの前記ブロックである。隣接した構造体1及び2(屈折率nの媒体で分離された)に対して『 (a)』、『 (b)』、及び(n/nb)『 (a)』、及び『 (a)』、『 (b)』、及び(n/n)『 (a)』をそのように対称因数分解することにより、複合物構造体の『 (a)』、『 (b)』、及び(n/nb)『 (a)』を表現するN×N線形代数的関係をその次元が少なくとも1/nのファクターだけより小さいn+2又はn+1いずれかの独立した関係に減少させる。CPUは、必要な演算規模をマトリックス次元の三乗として調節するため、計算負荷の削減は、おおよそ1/nかさらによくなる。
本発明者らのN”=60を有する標準角度基底では、遭遇するほとんどの一般的な対称は、C60vである。(フレネル境界面、平衡積層媒体、減衰層、散乱層、背面板及びランバート界面の全てがCN”v対称を示す)。n=60の場合、対称因数分解は、60N’×N’系ををもたらし、その31だけが特有である。実現した計算負荷の削減は、31/60すなわち約1/7,000である。構造化表面及び非平衡積層媒体は、この規準の例外である。例えば、3M社(3M Company)から市販され輝度強化フィルム(Brightness Enhancement Films)(BEF)として販売のフィルムは、Cv対称を所有する。N”=60を有するn=2の場合、対称因数分解は、15N’×N’系をもたらす。計算負荷の削減は、4/4=1/16である。
隣接した構造体が、これらの計算利得を利用する同じ対称群のもとで因数分解されるのが望ましい。隣接した構造体が、異なる対称を所有するとき、それらは、それらを組合せる前により低い一般的な対称に有利に「降格」することができる。Cn1v対称を所有する全ての構造体は、の因数分解形式を反転し(上記の項目(3)を使用)及びCn2vの対称による結果を因数分解(上記の項目(2)を使用)することによりCn2v対称(ここで、n/nを有するn<nである整数)に降格することができる。一連の構成要素を組合せる計算負荷は、全ての一対の組合せが可能な限り最も高いレベルの対称で行われる場合、最小となる。従って、例えば、図22の光路に関して、4及び6を通過し8を通じて構成要素1がC60v対称を所有し、構成要素5がCv対称を所有する場合、計算負荷は、構成要素1及び2のBSDFが組合され、その結果がBSDF3と組合され、その結果がBSDF4と組合されると最小となる。次に、BSDF6及び7が組合され、その結果がこれら8と組合される。続いて、C60v対称を有する2つの生成した組合せBSDFをCvに降格し、BSDF1+2+3+4をBSDF5と組合せ、その結果をBSDF6+7+8と組合せる。好ましくは、スタック評価器64がプログラムされ、種々の隣接した要素、構成要素又はスタックを前記したように組合せ、全ての前記項目の対称群が同定され、次に、項目の対が、それらのそれぞれの対称群により選択され、各組合せ操作は、組合される対の対称を利用し、計算負荷を減少させる。
マトリックスを格納するのに必要なメモリは、対称因数分解により少なくとも1/nだけ減少する。N”=60を有するC60vの場合、正確な減少は、(31/60)(58・1+2・1+2・0)/(60)すなわち、おおよそ1/120であり、そしてそれは、60の因数分解されたブロックの内31だけが固有であるため1/n未満である。Cvの場合、それは、(0・30+2・15+2・15)/(60)=1/4であり、『 』及び『 n/2』の追加の因数分解のため1/n未満である。全体のN×Nマトリックス『 (a)』、『 (b)』及び(n/nb)『 (a)』は、上記の項目(3)を使用して計算できる。
最後に、光線追跡シミュレーションで生成するマトリックス内の統計的なノイズは、上記の項目(1)を使用することによりしばしば非常に効果的に減少することができる。対称化は、構造体の対称群内の操作の各々をそのBSDFのマトリックス表現に適用し、その結果を平均するのと近似している。2n演算を所有する群の場合、実効値ノイズの減少は、(2n)−1/2であり、多くの光線の2n倍発射と類似している。輝度強化フィルム(Brightness Enhancement Films)(BEF)の場合、対称化は、そのマトリックスBSDFの実効値ノイズの2倍の減少をもたらす。C60v対称を所有する構造体の場合(例えば、シミュレーションでモデル化された拡散板)、実効値ノイズは、10倍を超え減少する。
最適化線形代数ルーチン
放射伝達式を使用し、その解をマトリックス形式に表現し、続いて、生成した式をシミュレーションシステム60に使用する場合、シミュレーションシステム60は、バックライト光路の散乱(反射及び透過)特性を計算するため光線追跡よりむしろ線形代数学を利用する。線形代数技術は、応用物理におけるおびただしい他の無関係な問題の組合せに取り組むためにも使用されている。その結果、科学計算ソフトウェア技術者は、一般の線形代数演算を実施する高度に最適化されたツールを開発しており、これらのツールが、スタック評価器64により好ましくは利用され、更なる計算の加速を実現しようとしている。特に、スタック評価器は、好ましくはローソン(Lawson)ら、「フォートラン使用向け基本線形代数サブルーチン(Basic Linear Algebra Subroutines for Fortran Usage)」、ACM Trans.、「数学ソフトウェア5(Mathematical Software)」、308〜325頁(1979年);これらのサブルーチンをシリコングラフィックス社(Silicon Graphics, Inc.)のワークステーションで使用し、典型的にソフトウェアの5倍加速を達成している。
光線追跡ソフトウェアも構造を注意深く作り、最適化したコンパイラの使用の両方で最適化することができるが、加速の程度は、未知であり、大きな開発費用が必要なおそれがある。線形代数法の利点は、10年間の開発努力を通して既に最大限に最適化されているソフトウェアの用意ができた有用性にある。
回転、反射及び反転
光路構成要素又はその組合せの物理変換の選択は、それらのBSDFのマトリックス表現の簡単な操作により実行することができる。
』が、角度基底セルが最初に変化したそれらの方位角指数で配列される標準の方法で構成される『 (a)』、『 (b)』又は(n/nb)『 (a)』を表し、『 (ij)』が、『』のi、j番目のN”×N”のブロックを表す場合、方位角増分360°/N”の任意の整数による
Figure 2009518782
のまわりの構成要素の右側回転は、各『 (ij)』の行及び列の巡回置換により達成される。m増分による回転は、非回転のマトリックス内の行(及び列)1、2、...、N”が、回転マトリックスのN”−m+1、...、1、2、...、N”−mの順番に発生するような置換により達成される。1つの単位セル又は2つの隣接した単位セルの合一のいずれかを二分する垂直の鏡面内の構成要素の反射は、そのセルがお互いの反射である行及び列の全ての対を置換することにより達成される。構成要素の反射及び任意の水平な鏡面のその包絡屈折率は、『 (a)』及び『 (b)』並びに『 (a)』及び『 (b)』を置換することにより達成される。後者の置換は、(n/nb)『 (a)』をその転置により置き換えることで達成される。包絡屈折率が反転されない場合、反転構造体のマトリックスBSDFは、「第一原理」から再計算されなければならない(すなわち、元の構造体のBSDFを計算するのに使用される方法の修正された適用による)。構成要素の反転及び点を通じてその包絡屈折率は、水平鏡面内での連続的な2倍回転及び反射により達成される。演算の順序は、重要でない。最後に、構造体の2倍回転及び任意の水平軸線まわりのその包絡屈折率は、軸線及び水平鏡面を包含する垂直鏡面内の連続的な反射により達成される。再び、演算の順序は、重要でない。
集積BSDF
シミュレーションバックライトの光線伝搬に関連するマトリックスBSDFの特徴は、
(1)角度基底(単位半球上の特定の方向に対応する)のセルj内に閉じ込められる均一な放射輝度により照明される表面の全反射率及び透過率は、下式で得られる。
Figure 2009518782
(2)セルj内に閉じ込められる均一な放射輝度による照明の場合、角度基底のセルi内への反射及び透過の累積確率は、下式で得られる。
Figure 2009518782
入射セル1≦j≦N毎に順次計算すると、これらの量が、それぞれN−構成要素ベクトル『 (a,b)』及び『 (a,b)』、並びにn×Nマトリックス
Figure 2009518782
を形成する。合計反射率及び透過率が、反射と透過を選択する光線処理決定を行うために使用される。セルJ内に入射する光線の相対的確率『 (a,b)』及び『 (a,b)』でなされるランダム選択は、セルj内の方向で表面に当たる光子の全体の実際の動向を正確に複製することになる。所定の光線の反射と透過を選択後、その方向を確認するため累積分布が使用される。セルj内に入射する光線について、その累積分布値が
Figure 2009518782
であるランダムに選択された反射又は透過セルiは、0と1の間に均一に分布され、セルj内の方向で表面に当たる光子の全体のセル間の実際の分布を正確に複製することになる。
スタック評価器が、要素、構成要素及び/又はスタックの組合せの光路のマトリックスBSDFを計算後、これらのBSDFは、必要に応じてユーザーによりライブラリファイル(フィルムライブラリ等などの)に格納されてもよい。どの加速技術が実施されるかにもよるが、非常に一般的な又は非常に複雑な(及びそれゆえ時間のかかる)光路が典型的に登録される組合せBSDFの計算は、十分に速くてもよい。登録されたBSDFは、それらの対称因数分解形式に格納されてもよく、そこには、『 (a)』及び『 (b)』の低三角形並びに全体のマトリックス(n/nb)『 (a)』(だが(nb/n)『 (b)』ではない)が書き込まれる。次に、全体のN×Nマトリックス『 (a)』、『 (b)』、『 (a)』及び『 (b)』は、相互対称、比率(n/nb)の既知の値及び上記項目(3)の技術を使用し『 (a)』、『 (b)』、及び(n/nb)『 (a)』の対称因数分解形式から容易に計算される。『 (a)』、『 (b)』、『 (a)』及び『 (b)』並びに
Figure 2009518782
は、『 (a)』、『 (b)』、『 (a)』及び『 (b)』から計算される。各集積BSDFのそれぞれの列への最終エントリは定義により1つであり、格納する必要はない。代わりに、合計反射率及び透過率のベクトルは、必要に応じてメモリの経済性と調達の容易さの両方のためこれらの場所に格納されてもよい。最終的に、4つの全体のN×N集積BSDFマトリックスが、その後の使用のためバックライトシミュレーションプログラムにより出力ファイルに書き込まれてもよい。相互又は物理対称は、これらのファイルを「圧縮」するのに利用されなくてもよい(両方の対称は、それらの内容の計算に逐一利用されてもよい)。必要に応じて出力集積BSDFファイルが、一時的なメモリに格納されバックライトシミュレーションの完成と同時に削除されてもよい。そのようなファイルメインテナンス方策は、シミュレーションソフトウェアでの因数分解を反転する繁雑さを回避させ、それにより集積BSDFがスタック評価器により最大限に圧縮されたBSDFファイルから再計算することができる迅速さを認識させる。
光源ライブラリ
光源ライブラリ66の操作及びレイアウトを図5に概略的に示す。ステップ86で、光源ライブラリ66は、特定の発光ダイオード(LED)又は冷陰極蛍光ランプなどの光源を識別する。ステップ88で、光源が既にライブラリ66に格納されている場合、ステップ90で光源の放射パターンが呼出され、続いてステップ92で提供される。ステップ88で、光源がライブラリ66に存在しない場合、次に、ユーザーは、ステップ94で構成要素の詳細な説明を提供し、ライブラリ66は、説明を使用してステップ96で光源の放射パターンを計算し、再度計算する必要がないようにステップ98で放射パターンを格納し、ステップ92で放射パターンを提供する。ライブラリインフラストラクチャは、必要に応じては、フィルムライブラリ62のものと同じであってもよい。
フィルムライブラリ62と同じように光源ライブラリ66の最も技術的に要求の厳しいステップはステップ94及び96であり、それは、光源の認識及び光源の放射パターンの計算を包含する。以下にこれらのステップを更に詳細に取り扱う。
光源の仕様は、質問、すなわち、種々の可視方向から出現する光源の輝度はどの程度か及び光源の放射領域にわたりこの輝度はどのように変化するか、に答えなければならない。放射計測から既知の好適な量は、放射輝度であり、それは、立体角当たりの面積当たりの強度又はSI単位の(m−ステラジアン)当たりのワットである。いくつかの他の放射計測量と異なり、光源の放射輝度は、光源から隔たった可視距離に関しては不変である。放射輝度は、例えばx方向及びy方向に沿った2つの方向の可視角度の関数であり、拡張した光源の場合は、位置、例えば、x及びyの関数であってもよい。従って、放射輝度は、4つの変数、すなわち、2つは角度及び2つは位置の関数であってもよい。僅かな空間範囲を有する点光源の場合、放射輝度よりもむしろ放射強度が使用される。放射強度は、立体角当たりの強度の単位を有し、2つの可視角度に関してのみ十分に規定される。本明細書で使用する時、光源の「輝度」は、光源が拡張される場合(すなわち、有限の空間範囲を有する)、放射輝度を表し、光源が点光源の場合、放射強度を表すこととする。バックライトは、典型的に拡張された光源のため、バックライトの「輝度」は、通常放射輝度を指す。
光源の放射輝度は、測定され、計算され又は光源製造者により規定されてもよい。例えば、LEDの放射パターンは、試験備品内で直接測定され、検出器を放射半球内の様々な位置に連続してして位置決めし、測定強度を記録し(光源から隔たった特定の距離で開口寸法と追随して)、続いて放射パターンを直接通知し又はそれを既知のガウス若しくはランバート分布などの所定の曲線に適合させてもよい。これらの分布に関して、角度幅が一般に通知される。同様に、光源の製造者により特殊な分布、随伴角度幅、並びに放射の幅及び方向の許容誤差値が通知されてもよい。或いは、放射パターンが、近視野放射パターンの仕様から計算されてもよい、すなわち、比較的小さい光源の光線分布が光源自体でもたらされ、その後、回折モデルが遠視野放射パターンを生成するために使用されてもよい。
上記の放射輝度の議論は、波長依存性を扱っていないが実際の光源放射輝度は、波長依存である。例えば、公称上赤色放射光源は、光源の中心波長で規定される放射輝度を有する場合があり、放射輝度は、放射光線の全ての方向で同じように波長により変化すると思われる。すなわち、公称上赤色放射帯域の短波長末端部での放射輝度は、帯域の長波長末端部の放射輝度と同じ角度依存性を有すると思われ、それぞれが、中心波長でのピーク放射輝度と比較して一定倍率だけ減衰される。実際には、放射輝度は、赤、緑及び青色光源の中心波長に対応して赤、緑及び青色放射輝度などの複数の色又は波長で独立して規定されてもよい。それぞれが異なる波長の1つ以上の放射輝度が提供される場合、シミュレーションシステム60は、波長毎にBSDF又はBSDFの組を計算、格納及び操作してもよい。
典型的に、1つ以上の光源の放射輝度が規定され、システム60は、バックライトの出力表面で可視角度及び空間位置の関数としてシミュレートしたバックライトシステムの放射輝度を提供する。人間の目のスペクトル反応が、所望により測光量である輝度を使用しシミュレーションに組み入れられてもよい。輝度は、ステラジアン当たりのm当たりのルーメン又は一般に簡略化された「nt」である「ニト」の単位を有する。測光の単位は、暗黙のうちに典型的な人間の目のスペクトル反応を組み入れ、それは、周知の輝度順応スペクトル視感度曲線の550ナノメートル−ピークでその最大感度を有する。このように、人手で赤、緑及び青色放射輝度値を書きとめ、計測し及び比較するよりも、むしろ輝度値を比較することにより各波長帯域の感知した輝度を直接比較してもよい。
さて、本発明者らは、放射輝度の2つの試料仕様−1つは冷陰極蛍光ランプ及び1つはLEDを説明する。読者には、他の好適な光源が、同じように規定されてもよいことが分かるであろう。
先ず、冷陰極蛍光ランプについて試料放射パターンを説明する。冷陰極蛍光ランプは、通常、それぞれの点でランバート放射によりモデル化され(すなわち、放射輝度は、外側方向半球にわたる方向から独立している)、それは、ランプ放射領域にわたり均一である。
その放射性、それに入射する光のその反射及び透過性に加えて、光源の詳細な説明が必要な場合がある。例えば、冷陰極蛍光ランプは、典型的にランバート反射板として、高度なモデルでは部分的に透明な反射チューブとしてモデル化され、それらの表面の(例えば、ランバート)透過率の仕様も必要である。これを図1及び2に示す。
次に、試料放射パターンを代表的なLEDについて説明する。LEDは、その活性領域から方位角的に対称な放射輝度を放射し、その極性角度θ依存性は、平均=0.75、標準偏差=0.20を有する一定値0.1のsinθ単位のガウスの重ね合わせであり、ドメイン0≦sinθ≦1に対して外側に切り抜かれ、標準化0.9を所有している。LEDは、点光源としてモデル化され、放射が微小領域に閉じ込められ、光線が放射の後光源と交互作用しないことの両方を意味する。方位角的に対称の光源は、一般にθの関数としてそれらの放射された放射強度(単位立体角当たりの強度)により特徴付けられる。本実施例LEDのこのキャラクタリゼーションを図9に示す。図9のヒストグラム形式の結果は、sinθの一定増分でシミュレーションから放射された光線を収納し、全体を基準として集積された数をcosθの収納平均値で除することによりもたらされる。
この光源仕様の形式は、以下に記載する柔軟性があるが簡単なアルゴリズムにより光源の光線を生成するのに十分適している。単位強度光線は、0〜360度の間に均一に分布した方位角並びに(1)確率0.1で0〜1の間に独立して均一に分布し、(2)確率0.9で通常平均0.75、標準偏差0.25であるが0〜1の間に閉じ込められるsinθの値で発射される。sinθ(sinθ又はθよりもむしろ)の密度は、便宜上ランバート分布が均一密度に対応するように規定される。
バックライトシミュレータ:概要
バックライトシミュレータ68の操作及びレイアウトを概略的に図7に示す。ステップ112でバックライト構成体を規定する。これは、ユーザーにより手動で、又は繰り返し工程時コンピュータによるなどで自動的に行われてもよい。ステップ112の起動者とは関係なく、ステップ112の結果、1つ以上の光源放射パターン及び位置(ステプ114)、1つ以上の構成要素又はフィルムスタックのBSDF及び位置(ステップ116)及び出力平面の位置及び向き(ステップ118)を含むバックライト構造体が規定される。1つを超える波長又は波長帯域が必要な場合、これは、ステップ112に組み入れられてもよい。ステップ120で隣接した構成要素のBSDFは、1つ以上の組合せBSDFに組合されてもよい。このステップは、所望によりスタック評価器64を利用してもよい。ステップ122で、光線は、構成要素又はフィルムスタックとの変化する多数の相互作用により光源から出力平面まで追跡される。ステップ124で、出力平面での光線の位置及び方向が、ヒストグラム様パワーベクトル等のようにより記録される。ステップ126で、出力平面での記録された位置及び方向が、出力平面を透過した放射輝度により説明されるものなどの放射パターンに変換される。追加の波長又は波長領域が必要な場合(ステップ130)、操作は、ステップ122に戻る。層でない場合、放射パターンが、データ、グラフ若しくは表示の形態でユーザー又はグラフ若しくは他の表示プロットを生成できる表示エンジンのいずれかに提供される(ステップ134)。図7に示すいくつかの技術的に要求の厳しい工程が存在し、これらの全てが以下により詳細に記載される。
光路は、上記でリストアップした原始的な要素の観点から規定される。フィルム構成要素は、フィルムライブラリ62などのBSDFのライブラリから選択される。フィルム構成要素のBSDFが入手できない場合、その光路を規定することにより生成し、必要に応じてライブラリに組み入れることができる。
しばしば、フィルムスタック及び光路は、各表面の全体にわたって均一であるが、空間的に変化したフィルムスタック及び光路(例えば、ドットパターン)は、表面をピクセル化し、フィルムスタック及び光路の局部的な同一性を示すピクセル毎の整数識別子を備えることにより説明することができる。例えば、周期的な構造を有する登録拡散フィルムは、空間的変化を必要とする場合がある。又、一般に端部照明ライトガイドと共に使用されるような反射性ドットパターンも空間的変化を必要とする場合がある。
多くの場合、フィルムスタック又は光路の物理的な厚さは、バックライト性能に実質的に影響を及ぼさない。しかし、光路が性能に影響を及ぼすと考えられる実質的な厚さを所有する場合、それは、各表面と関連づけられる光路の部分を有する分離した平行な表面で表わすことができる。
又、バックライト構成体仕様の一部として、各光源の素性、位置及び方向を規定しなければならない。光源は、光源ライブラリ66などの放射パターンのライブラリから選択される。
一方又は両方の次元の小さい空間範囲を有する光源の場合、それぞれ線光源(CCFL)近似及び点光源(LED)近似が、多くの場合適切である。これらの小さい空間範囲のケースに関しては、光源のピクセル位置毎の異なる放射パターンよりもむしろ一方向だけの(点)又は方向及び1次元位置(線)の放射パターンが必要である。しかし、放射後の光源との光線の相互作用は、横断面ゼロのこれら理想的な光源を評価できない。
有限の空間範囲を有するより大きい光源に関しては、光源の表示は、放射後の光線/光源相互作用の評価を可能にするため、(方向及び三次元の位置の関数としての放射に加え)寸法、形状、並びに光源の反射及び透過特性を含むことができる。
光源の相対的な強度及び各光源の放射パターン(空間と方向の両方)に基づいて、単位強度光線がランダムな位置及び方向で発射される。発射条件は、比較的より多くの光線が高い光学強度の経路に沿って発射され、より少ない光線が低い光学強度の経路に沿って発射される点で、光源の特性に対応していてもよい。
或いは、他の好適な発射条件が使用されてもよい。例えば、光線は、均一に分配された角度で発射されてもよいが、各光線と関連づける強度は、光源放射輝度の一方向性質により調整される。
特定の「単位強度」で発射される各光線は、単位経路長さ当たりの規定された吸収により体積内を移動するその距離により指数関数的に減少するその強度を有する。自由空間の伝搬及び非吸収性媒体内の伝搬の場合、本質的に吸収はなく、各光線は、その強度を保持する。しかし、吸収性媒体内では、各光線は、移動する単位長さ毎にその強度の特定の小数部分を失う。物理用語では、物質の吸収は、一般に物質の屈折率に対して実質非ゼロ架空構成要素が存在するときにだけ起こる。
典型的にバックライトシステムにおける場合のように均一、均質、等方性媒体内を伝搬時、光線は、本質的に直線状態で移動する。光線を発射した後、それらは、それらが表面又は構成要素に当たるまで伝搬し、その点でそれらは表面又は構成要素と相互作用する。
特定の構成要素との相互作用は、構成要素の局部BSDFにより命令される。BSDFは、一般に質問、すなわち光線が特定の入射向きで構成要素に当たる場合、光線が特定の向きで構成要素を出射する確率はどれだけか、に答える確率分布であることを思い起こせ。構成要素のBSDFは、光線が構成要素に当たった後の光線の挙動を支配する。具体的には、局部BSDFに命令されると、光線強度は、(典型的に)減少し、光線方向は、(典型的に)構成要素との各相互作用と同時にランダムに変化する。
この光線相互作用は、従来の光線追跡の光線相互作用と基本的に異なり、出射角は、基本的物理原理から決定論的に計算される。ここでは、各光線の相互作用は、決定論的よりもむしろ確率論的に決定される。例えば、同じ入射条件を有する2つの光線が構成要素に当たる場合、光線は、通常異なる出射条件を有する、というのは、各光線は、確率関数、すなわち構成要素のBSDFにより命令される方法で構成要素と相互作用する。
表面又は構成要素で反射すると同時に、光線は、入射体積内に保持される。典型的に、反射と同時に光線は、再発射され、入射体積内で方向を変え、そして、その工程を繰り返す。表面又は構成要素を透過すると同時に、光線は、入射体積を出射し、隣接した体積に伝搬する。
さて、本発明者らは、光線を停止処理し、それらの関連する強度の追跡を維持する代表的な方法を説明する。これは、典型的に光線が出力平面に当たるときに行われ、すなわち、反射した部分は、入射体積内の再発射光線により容易に取り扱われ、透過した部分は、以下に記載するものなどの方法により取り扱われる。
出力平面との各交点で、入射光線強度の全て又は一部は、交点を包含するピクセル(面積の増分)と関連づけられるベクトル内に、ベクトルの要素が入射の異なる方向を示した状態で集積されてもよい。このベクトルは、本質的に強度ヒストグラムとして機能し、出力平面の所定ピクセルに入射した各特定の方向に包含される強度を説明する。入射強度の全てが集積されることになる場合、光線は、停止処理される。入射強度の一部だけが集積されることになる場合、残留強度を含有する光線は、ランダムに反射される。入射強度の全てが集積されるとき、入射強度がある規定された閾値未満又は閾値未満だけである場合、そのときには、全ての光線は、最終的に出力平面上で停止処理することになり、出力平面との各交点は、1つの「出射」光線を構成する。これが光線を停止処理する1つの方法であり、光線停止処理の他の好適な方法も使用されてよい。
光線位置及び方向は、ステップ126で放射輝度分布に変換される。出力平面の各ピクセル内で、集積された入射強度のベクトルは、表面の局部BTDFを表わすマトリックスが乗せられ、その結果が、ピクセルの面積、発射された単位強度光線の数及び考慮された一方向セルの数で除されたπで除される。最終的な結果は、光源から放射された単位強度が全ての方向に透過された放射輝度である。
尚、出力平面が、フィルムスタック自体であってもよい。この場合、光線は、光源から空洞を経由しフィルムスタックまで追跡されてもよく、フィルムスタックに入射と同時に停止処理されてもよい。統計分析が、フィルムスタックに入射する光線から行われてもよく、フィルムスタックのBTDFによる乗算の後、フィルムスタックを出射する空間及び方向輝度分布をもたらす。光線が、フィルムスタックを通じて前に停止処理され、フィルムスタックのBTDFによる乗算が、「入射」情報をユーザーに望まれる「出射」情報に有効に変換することを強調しなければならない。フィルムスタックに通過させる前に光線情報を集積する1つの理由は、シミュレーションでの統計的なノイズを減少させることであり、光線が、フィルムスタックを通って更に追跡され、分析が、透過後行われた場合、この統計的なノイズの減少が観察されない。他のケースでは、統計的なノイズの減少がなくても、光線は、フィルムスタックを通って追跡されてもよく、分析は、フィルムスタックを出射する光線に対して行った。このように、光線は、全ての任意の平面又は他の好適な形状に対して追跡されてもよく、それらが、集積され、分析されてもよい。
必要な出射光線の数は、出力平面のピクセルの数及び計算した透過放射輝度の統計的なノイズの許容できるレベルによって決まる。典型的な値は、1千万〜1億である。
光線追跡をそのように遠くまで概括するのは有益である。光線は、最初光源又は光源群から出射し、その後特定の入射体積内で構成要素から構成要素に伝搬する。構成要素との相互作用は、特定構成要素のBSDFにより支配される。光線は、各光線の相対強度に適切な計量でそれらが部分的に又は完全に透過性出力面(又は表面或いは構成要素)に当たるまで構成要素から構成要素を反射する。出力面は、入射体積と出射体積間の有効な境界であってもよく、系の出力平面であってもよい。出力面で反射された部分は、入射体積に再発射される。出力平面を除く全ての透過性面の場合、出射体積が存在し、透過した部分は、出射体積内に発射される。部分的に透過性の面が出力平面の場合、出射体積は存在せず、ヒストグラム形式の強度ベクトルが、出力平面で放射輝度分布を決定する。
この代表的な方法の場合、光線は、光源から出射し、それらが部分的に透過性面に当たるまで体積内を伝搬し、その後、出力平面で停止処理又は部分的に透過性の面を通じることにより新しい体積に入射する。この代表的な方法は、ステップ122〜126に示されているが、読者は、種々のその他の方法が、光線を光源から出力平面まで追跡するのに使用されてもよいことを理解するであろう。
ステップ122〜126をいくつかの異なる可視波長毎に繰り返し(ステップ130)、出力平面により透過された放射輝度のスペクトル依存性を決定することができる。以下の段落でステップ130を更に詳細に記載する。
光源の強度が波長で変化するが各波長での相対的な角度分布が同じ場合(異なる波長での放射分布が簡単な倍率により関連づけられることを意味する)、透過した放射輝度のスペクトル依存性と光源強度は同じである。
しかし、分離赤、緑及び青色LEDについての場合のように、放射パターンが波長で変化する場合(放射分布が異なる波長で形状又は位置を変化させることを意味する)、波長又は波長帯域毎に別のシミュレーションが行われなければならない。例えば、異なる色の装置の場合、角度放射が異なり、又はが赤、緑及び青色装置のオフセットが原因で空間放射が僅かに異なる。更に、多くのフィルムの光学特性は、可視領域全体にわたって実質的には波長から独立しているがこれに対してプラスチックは、青色の増加吸収を示し、これらの波長に対するそれらのBSDFの付随した変化をもたらす。更に、その光学応答が多くのコヒーレント相互作用により決められる多層フィルムは、可視領域全体にわたって実質的な波長依存性を示すことができ、関心の波長毎に異なるシミュレーションが必要な場合がある。
ステップ134で出力平面での放射輝度が所望の波長毎に確立された後、見掛け輝度(apparent brightness)で表される量が提供される。見掛け輝度は、放射輝度(radiance)それ自体であってもよく、又はそれは、放射輝度の測光異体である輝度(luminance)であってもよい。更なる代替として、見掛け輝度は、輝度(brightness)として既知の量であってもよく、それは、放射輝度の明所類似体であり、スペクトル放射輝度と等しく、人間の視覚系の応答により重み付けされ、可視スペクトルによって統合される。更なる代替として、色として既知の量が使用されてもよく、それは、放射輝度におけるスペクトルの変化の人間の可視知覚を特徴付ける2構成要素ベクトルと等しく、可視スペクトルによって統合された2つの等色関数のそれぞれにより重み付けされるスペクトル放射輝度と等しい。所望により、上記量の1つ以上が、提供され、見掛け輝度を形成してもよい。或いは、他の好適な量の全てが使用されてもよい。
出力平面の見掛け輝度は、ステップ134でデータファイル、プリントアウト、グラフ若しくはプロットの形態で直接ユーザーに提供されてもよく、又はユーザー入力若しくは所定の条件の組に応じて見掛け輝度を表示及び構成できる表示エンジンに提供されてもよい。表示エンジンの1つの例は、図3のバーチャルディスプレイ(Virtual Display)70である。
断面プロット、輪郭プロット及び表面マップがバーチャルディスプレイ(Virtual Display)により使用されてもよいが、見掛け輝度を表す特に便利な形態は、以下に更に詳細を記載する階調又は色マップによってである。
バーチャルディスプレイ(Virtual Display)は、バックライトの全体空間範囲又は必要に応じてその任意の部分を示すことができ、ユーザーは見掛け輝度の状態の全ての不均一をすばやく認識することができる。視角は、多くのCADパッケージにおけるものと類似の制御を使用しx方向及びy方向の両方に変化させることができる。視距離も変化させることができ、ユーザーは、表示を位置依存視角で見ることができる。すなわち、スクリーンに近い観測点の場合、視角は、例えば、スクリーンの中心でのピクセルに対する垂直入射視覚からスクリーンのの縁部又は角部でのピクセルに対する斜め又は高い入射視覚までの範囲にわたり出力平面の異なるピクセルに対して異なる。
さて、本発明者らは、バックライトシミュレーションの更に詳細を提供する。
バックライトの光線追跡シミュレーションを行う多数の態様がある。これらは、形状を規定する一連の閉じた表面を画定し、そしてそれは、暗にバックライトを構成する体積を画定する(又は、別の方法としては、体積を画定し、表面を推測する)並びにこれらの表面及び体積の減衰及び散乱特性を画定することを含む。それらは、光源を点、線、面積又は体積として画定及び位置決めし、並びに放射された放射輝度のそれらの空間及び角度分布を規定することを含む。それらは、放射後の光線とのそれらの相互作用をモデル化することができるようなこれらの光源の三次元構造及び散乱特性を画定することも含む。それらは、例えば、バックライトの出力平面、実測放射を構成する入射放射輝度を画定することによる関心のバックライト放射の具体的な特性を規定することを含む。それらは、表面交点の決定、強度修正、表面との交差時の光線の方向変更、減衰及び表面交点間のそれらの経路に沿った光線の起こりうる散乱を含む光線を処理するための多くのアルゴリズムも含む。
伝統的なバックライトシミュレーションの態様の多くは、本発明者らの方法により実質的に変更されないままである。これらには、例えば、光源光線の生成、並びに体積減衰及び散乱の処理が挙げられる。本明細書で概説した方法は、以下の5つの主な点、すなわち、
(1)単一表面が、有限光路を表すために使用できる、
(2)表面の散乱特性(有限光路を表すものを含む)は、マトリックスBSDFによって表わされる、
(3)光線強度及び方向は、表面と関連づけられるBSDFに基づく式により表面と交差と同時に修正される、
(4)光線は、バックライトの少なくとも部分的に透過性の出力面(出力平面と呼ばれてもよい)上に集積され、これらの光線の空間及び角度分布が格納される、及び
(5)バックライト放射は、出力平面に集積入射ベクトルの乗算マトリックスにより計算される、
の1つ以上で伝統的な方法と異なる場合がある。
さて、本発明者らは、箇条書きされた相違点と関連づけられる特有の観点を議論する。
項目(1)及び(2)は、伝統的な方法に比べてささいでない光路の形状及び散乱特性を規定する負担の実質的な簡略化が可能である。例えば、複雑なゲイン強化スタックを有する面は、面の全範囲にわたり光路内に存在する全ての表面要素よりもむしろ面の平均位置と関連するBSDFを画定する単一表面により規定される。項目(1)及び(2)は、簡略化され、比較的分かりやすいため、本発明者らは、項目(3)、(4)及び(5)に焦点を合わせる。
本発明者らの方法の選択された利益は、これらの固有の観点の部分集合だけを使用し実現することができる。例えば、項目(4)及び(5)は、伝統的なシミュレーションにおけるように光線を結像面に透過することにより省略されてもよい。項目(1)、(2)及び(3)は、それにもかかわらず、光線が処理され最終的に結像面に到達する速度を実質的に増加させるために使用することができる。
表面要素
シミュレーションでは、BSDFにより説明される散乱特性による光線の処理は、排他的に表面と光線の交差と同時に行われる。表面は、光線追跡シミュレーションにおいて多くの異なる方法で規定してもよい。1つの方法は、一連の隣接平面切り子面としてであるが、3つの空間座標(例えば、球体の場合、x+y+z=R)における1つの式を規定することによるなどの他の方法も可能である。終極的に、全ての表面は、ランダムに発射された光線の有限数のいずれかにより妨げられる全ての点で局部接平面を有することになる。この接平面は、表面の局部BSDFが画定されるものを基準として水平の平面を構成する。
表面上の点での散乱特性の計算は、その点で接平面に及ぶ2つの直交する
Figure 2009518782
に依拠する。この選択に関連する2つの自由度、
Figure 2009518782
に対する回転の方向がある。前者は、その点で適用されるBSDFにより説明される要素、構成要素又はスタック(「光路」)の回転方向を決定する。後者は、
Figure 2009518782
と垂直な表面の方向を決定し、それは、表面の
Figure 2009518782
の領域を画定する。これが、順次、その点で適用されるBSDFにより説明される光路の推定される水平の鏡面反射を基準とした方向を決定する。
本発明者らは、次の議論全体を通して
Figure 2009518782
は、任意のランダムに発射された光線により妨げられる全ての点で画定され、
Figure 2009518782
並びに合計反射率及び透過率『 (a)』、『 (b)』、『 (a)』及び『 (b)』も規定されると仮定する。後者の仕様は、通常、特有の集積BSDF、反射率及び透過率のリストのバックライトを画定する表面上の全ての点のマッピングにより達成される。一般に、
Figure 2009518782
の部分集合だけが必要な表面が存在することになる。メモリの経済性のため、必要な構成要素だけをリストに含めるべきである。本発明者らは、それらに適用される決定のルールの文脈内で各表面の最小限の要件を以下に記載する。
バックライトを画定する表面の少なくとも1つは、光源により放射された光線が最終的に通過し、バックライト放射を形成する出力面を構成することになる。これらのいずれか1つが十分に大きい状況では、バックライト放射が実質的にその範囲にわたって変化し、放射の空間変化の解決には、ピクセルの配列内に論題の表面を細分化し、ピクセル毎に放射の独立した計算が必要である。シミュレーションの完了と同時に、論題の表面を透過した放射輝度は、ピクセル単位で表示され、その空間依存性を示す。次の議論で、本発明者らは、説明の簡略化だけのためにバックライトの出力面が1つの大きい平坦な表面であり、その表面が通常形状が方形である通常の状況を屈折率k及びLにより参照されるピクセルの2次元配列に細分化する。しかし、本発明者らは、本発明者らの説明をそのように限定することにより同様に本発明者らの方法の想定した適用性を限定することを意図しない。本発明者らが記載した方法は、例えば、それぞれが小さくバックライト放射の空間変化を適切に解決するのに細分化を必要としない多数の切り子面から構成される複数の非平面、非方形で部分的に透過性の面に容易に広げられる。
モンテカルロ決定
モンテカルロ決定は、反射と透過光線の両方がバックライト放射に最終的に寄与できる任意の表面に適している。光源と出力面との間のバックライト空洞内に配置される部分的に反射性で部分的に透過性のプレートは、光線相互作用が典型的にモンテカルロ決定により処理される表面の例である。モンテカルロ決定は、4つの連続し統計的に独立した決定により行われる。それぞれは、入射(上又は下方から)の方向及びその中に入射方向s^が存在するセルj初期決定に依拠する。入射の方向は、それぞれ
Figure 2009518782
が負又は正であるかにより上方又は下方からで(
Figure 2009518782
の場合、光線は表面に当たらないことになる)、入射の方位角(セルjの方位角構成要素を決定する)は、表面の平面内に包含される直交する
Figure 2009518782
の対を基準として決定される。
第1の決定は、セルj(それぞれ、R (a,b)及びT (a,b))内からの入射の場合表面の合計反射率と透過率に基づく反射と透過の選択である。反射は、間隔0〜1のランダムに選択され均一に分配された値rが、
Figure 2009518782
のような場合に選択される。透過は、別の方法で選択される。唯一の可能性のある結果は、起こりうる吸収とは関係なく反射又は透過である。この第1の決定の結果と独立して、光線の強度は、ファクターR (a,b)+T (a,b)≦1により減少する。
第2の決定は、散乱方向を包含するセルを選択する。第2のランダムな値rは、間隔0〜1で選択され、散乱セルiは、光線が反射されている場合、
Figure 2009518782
又はそれが透過されている場合、
Figure 2009518782
のように決定される。(ここで、本発明者らは、全ての1≦j≦Nについて
Figure 2009518782
だと仮定する)。
第3及び第4の決定は、セルi内の反射又は透過光線についての正確な方向を選択する。目標は、セル内の均一な放射輝度を表わすようにその方向をランダムに分配することである。これは、間隔0〜1の第3の値rをランダムに選択し、
Figure 2009518782
(式中、θは、正確な光線方向の極性角度であり、i’は、セルiの極性指数である)、並びに間隔0〜1の第4の値rをランダムに選択し、
Figure 2009518782
を設定する(式中、φは、正確な方向の方位角
Figure 2009518782
であり、i”は、セルiの方位角指数である)ことにより達成される。選択された極性角度は、上方からの反射及び下方からの透過の場合、
Figure 2009518782
に関係し、下方からの反射及び上方からの透過の場合、
Figure 2009518782
に関係する。
モンテカルロ決定は、一般に入力として上方からの入射の場合、
Figure 2009518782
と、下方からの入射の場合、
Figure 2009518782
との両方を必要とする。
純粋に反射性の決定
純粋に反射性の決定は、反射光線だけがバックライト放射に最終的に寄与できる全ての表面に適している。光線が透過できない、又はそのために透過光線が面を通過した放射のため消失されるバックライト空洞の「壁」は、そのために光線の相互作用が典型的に純粋に反射性の決定により処理される表面の例である。純粋に反射性の決定は、3つの連続し統計的に独立したランダム決定により行われる。再び、それぞれは、入射方向及びその中に入射方向が存在するセルjの初期決定に依拠する。
純粋に反射性の決定は、常時光線を反射し、常時その強度をファクターR (a,b)≦1だけ減少させる。3つのランダムな決定が、反射セルi及び続いてそのセル内の正確な反射方向を選択するために行われる。これらの選択は、その第1の決定が反射を選択したモンテカルロ決定の場合と同じように行われる。すなわち、間隔0〜1において3つのランダムな値r、r及びrが与えられると、iは下記条件で選択される。
Figure 2009518782
sinθが、下記条件で選択され、
Figure 2009518782
及び、φが、下記条件で選択される。
Figure 2009518782
極性角度は、上方からの反射の場合、
Figure 2009518782
に関係し、下方からの反射の場合、
Figure 2009518782
に関係する。
純粋に反射性の決定は、入力として上方からの入射の場合、
Figure 2009518782
と、下方からの入射の場合、
Figure 2009518782
との両方を必要とする。入射に寄与する光線が表面の片側だけから入射する通常の状況では、
Figure 2009518782
だけが必要である。
分岐決定
分岐決定は、反射と透過光線の両方がバックライト放射に最終的に寄与できる全ての表面に使用される。分岐決定は、全ての入射光線を反射されるもの及び透過されるものに分割する。一般に、その経路が同時に追従される光線の数は、出力面を出射する各光線により実際に行われる分岐決定の平均数とともに指数関数的に大きくなる。これが、シミュレーションソフトウェアの煩雑さを増加させ、多くの場合、必要なメモリを劇的に増加させる場合がある。しかし、バックライトの出力面は、そのような処理がその経路が同時に追従される光線の数を増加させない潜在的な分岐表面の特殊なケースである、というのは、透過光線は、バックライト放射を構成し、従って、更に追従される必要がないからである。
分岐決定は、3つの連続し統計的に独立したランダム決定により行われる。それぞれは、入射方向及びその中に入射方向が存在するセルjの初期決定に依拠する。光線処理の完了も、その中に部分的に透過性の面と交差する点が存在する放射の空間依存性を解決するために使用されるピクセルの2次元配列内の要素k、Lの識別に依拠する。
反射光線の強度は、その入射を基準としてファクターR (a,b)≦1により減少し、3つのランダムな決定は、反射セルi及び続いてそのセル内の正確な反射方向を選択するために行われる。これは、純粋に反射性の決定の場合と同じやりかたである。出力面以外の任意の表面上で行われる分岐決定又は更により伝統的な方法により行われるシミュレーションの出力面上で行われるもの(そこでは、光線は、出力平面を越えて結像面まで追跡される)は、次に透過光線の方向の選択を必要とする。だが、好ましい方法では、透過光線は、明らかに計算されない。代わりに、T (a,b)≦1にその入射を乗したものと等しい透過強度がN構成要素ベクトル内に集積される、それを本発明者らは、「集積入射のベクトル」と呼ぶ。1つの前記ベクトルは、放射の空間依存性をを解くために使用されるピクセルの配列の要素毎に保持される。本発明者らは、これらを(k,L)として表す。透過強度は、集積入射のk、L番目のベクトルのj構成要素内に集積される。本発明者らは、透過した強度が任意のベクトル(k,L)の任意の構成要素内に集積される各事象を「出射光線」と呼ぶ。ピクセルの合計数を基準としたシミュレーションで集積される出射光線の数が、各ピクセル内の予測放射輝度の期待される統計的有意性の本発明者らの原理基準を提供する。
分岐決定は、入力として上方からの入射の場合、
Figure 2009518782
並びに下方からの入射の場合、
Figure 2009518782
を必要とする。だが、入射に寄与する光線は、排他的に出力面だけの片側への入射であるため、
Figure 2009518782
だけが必要である。以下に記載する集積入射ベクトルからの透過放射輝度のその後の計算には上方からの入射の場合、
Figure 2009518782
又は下方からの入射の場合、
Figure 2009518782
も必要となる。
光線停止処理
本発明者らは、光線を停止処理する2つの技術を議論する。完全吸収と呼ばれる第1の技術は、排他的に表面で行われる。完全に吸収性の表面に当たる全ての光線は、「結果」をもたらすことなく更なる検査から直ちに取り除かれる。尚、集積BSDFも全反射率又は全透過率も完全に吸収性の表面として規定される必要はない。完全に吸収性としての表面の指定だけが必要である。
第2の技術は、出力面と交差する光線を具体的に扱い、各光源光線内に放射される強度の一部として定義される閾値強度Pの導入により達成される。上記した出力面の分岐決定は、入射光線の強度がPを超える限りにおいてだけ行われる。以前の相互作用で実際に行われた集積消耗により、入射強度が、P未満の場合、修正モンテカルロ決定が、分岐決定の同じ場所で行われる。修正モンテカルロ決定は、4つの決定の第1が反射を選択する状況の上記したものと同じである。第1の決定が、代わりに透過を選択する場合、透過光線に割り当てられた強度(R (a,b)+T (a,b)に入射強度を乗したもの)は、その中に入射方向が存在するセルj及びその中に交差の点が存在するピクセルk、Lにより集積入射ベクトル内に集積される。光線は、透過又は反射されないため、入射光線は、有効に停止処理される。
この方法により、全ての光線は、完全に吸収性の表面又はバックライトの出力面上で停止処理される。最終的に放射に寄与するが小さい強度量は、処分されない。従って、その値がシミュレーションの結果に影響を及ぼす場合がある光線を処分する閾値強度が、規定される必要は全くない。必要な閾値は、発射した各光源光線により生成される出射光線の数だけを決定する。その値は、それにより統計的に有意な結果が生じるが光源光線の無限大の数の極限状態でいかなる結果にも影響を与えない効率にいくつかの小さい方法で影響する場合がある。
バックライト放射
シミュレーションの完了により、集積入射ベクトルは、出力面のピクセル毎に、それから強度が生ずるバックライト空洞内からの入射方向により決定した全透過強度の推定を包含する。出力面 (a,b)の全透過率及び空洞 (i)内から入射する放射輝度を表すベクトルに関して、これらの式は、1≦j≦N毎に
Figure 2009518782
である。ここで、Aピクセルは、議論のピクセルの領域を示す。1≦i≦N毎に順次(T(a,b)/T (a,b))を乗し、全jを合計することで
Figure 2009518782
をもたらし、それは、Aピクセル(π/N)にセルi内の透過放射輝度を乗じたものである。Aピクセル(π/N)及び全ての光源から発射された全強度で除することにより光源の単位強度配列により任意の方向iに透過される放射輝度の推計が得られる。
尚、N×Nマトリックス(T(a,b)/T (a,b))は、簡単な別個の微分により対応する累積透過率マトリックス:
Figure 2009518782
から計算することができ、
式中、再度、本発明者らは、全ての1≦j≦Nに対して
Figure 2009518782
を仮定する。
従って、シミュレーションシステム60は、
(1)
Figure 2009518782
が空洞内に向いている場合は
Figure 2009518782
が外に向いている場合は下の記号により、上又は下のいずれかとして部分的に透過性の面への入射方向を決定し、
(2)全ての1≦i≦N及び1≦j≦Nについて
Figure 2009518782
を得るために
Figure 2009518782
を微分し、
(3)各ベクトルの全ての構成要素を主題のピクセル(通常は全てのピクセルに対して同じ)の領域の生成物、角度基底(本発明者らの標準基底に対してπ/N)の各セルの単位円内の面積及び光源の全てから放射された全強度で除することにより各集積入射ベクトルを計算し、及び
(4)生じた計算された集積入射ベクトルに
Figure 2009518782
を乗し、k、L番目のピクセル内に
Figure 2009518782
のベクトルを得ることにより光源の単位強度配列によって照明されるバックライトの出力面により透過される放射輝度を下式で計算することができる。
Figure 2009518782
工程(2)〜(4)は、基本線形代数サブプログラム(「BLAS」)ルーチンを応用し必要な線形代数演算を行うことにより加速される。
バーチャルディスプレイ(Virtual Display)
表面の空間分解能がピクセル領域未満又は等しいセンサにより空洞の外部の任意の点から行われたバックライトの部分的に透過性の面の観測結果は、放射点を基準として観測点に沿って面を通って透過する局部放射輝度を「測定」することになる。本明細書で使用される透過放射輝度の表現は、
Figure 2009518782
によりもたらされる。これらの観点から、
Figure 2009518782
にセンタリングされた、L番目のピクセル、kから発し
Figure 2009518782
で感知される放射輝度は、
Figure 2009518782
であり、ここで本発明者らの標準角度基底及び本発明者らの基底関数指数の標準順序付けによる。
Figure 2009518782
ここで、
Figure 2009518782
は、出力面に垂直の単位を示す。これらの値が、
Figure 2009518782
から見たとき各ピクセルの境界を示すグリッド上の各ピクセル内に表示される(例えば、擬似カラーにより表わされる)場合、
Figure 2009518782
から見られる部分的に透過性の面の「外観」の描画が得られる。この表示技術は、
Figure 2009518782
の既に計算された値の回復又は「検索」だけに依拠しているため、
Figure 2009518782
の値の変更をほとんど瞬間的に繰り返すことができる。順次ユーザー供給の一連の隣接
Figure 2009518782
を考慮することにより、観察者がバックライトのまわりを移動するとき(又はバックライトを固定された観察者とともに移動するとき)出力面の(変化する)外観は、隣接した位置間で有意な時間遅延もなく、すなわち、本質的にリアルタイムで速い連続の状態で表示することができる。本発明者らは、前記一連の映像を「バーチャルディスプレイ」として示す。
前記バーチャルディスプレイは、光学フィルム、光源又はバックライトシステム全体を含むバックライトの任意の他の構成要素を販売又は育成する方法の基礎を形成することができる。1つの方法では、ユーザーインターフェースが、光学フィルム又は他の製品の潜在的顧客若しくはユーザーにアクセスするためインターネットなどのネットワークを通してアクセス可能なウェブサイトに提供される。ユーザーインターフェースは、そこから顧客が選択できる入手可能な光学フィルムのメニュー(例えば、輝度強化プリズム型フィルム、反射偏光フィルム、ターンフィルム、拡散フィルム等)を含んでよい。ユーザーインターフェースは、顧客がバックライト構成体、例えば光源、空洞径等を規定することができるソフトウェアも含んでよい。好ましくは、ソフトウェアは、本明細書で開示したBSDFシミュレーション手法を使用し、迅速に計算し、顧客規定バックライトをシミュレートする。ユーザーインターフェースは、ツールも含み顧客がバックライトの可視図形を規定及び変更するのを可能にし、バックライトの外観の図形表示を実質上リアルタイムで提供できる。本発明者らは、最適化ツール内でBSDFシミュレーション手法を仕様することを計画しており、そこでユーザーは、パラメーターを最小化又は最大化されるように規定し(規定可視形状でのバックライトゲイン、均一性、色、均一性からの偏差など)、次に異なるバックライトシステム構成を介して繰り返し、最適バックライト設計に到達してもよい。
本発明者らの透過放射輝度のシミュレーション表現は、出力面をピクセル化する(ピクセル毎の1つのベクトル)、及び単位半球を分割する(角度基底セル毎の
Figure 2009518782
の1つの構成要素)ことによる両方で選択が自由である。ほとんどの状況において、ピクセル化及び角度分割は、人間の目又はデジタルカメラなどの真のセンサのものよりもよりきめが粗い。バーチャルディスプレイへのインパクトは、空間的に選択が自由な映像を作成することであり、それは、知覚されたものに対してピクセル内でぼやけており、ピクセル間で人工的な不連続性を示す。同様に、連続的に変化する
Figure 2009518782
の一連の映像は、別個のドメイン内で映像毎にぼんやりしていてもよくドメイン間で不連続性を示す。どうかすると視覚的に煩わしいが、これらの人工物は、シミュレートされる実際のバックライトが、ピクセル又は角度基底セルより小さいスケールの空間若しくは一方向不均一の臨界特性を所有する場合のみ深刻な制限を提起する。これらの状況下では、修復は、よりきめ細かいピクセル化(より多くの出射光線が必要な場合がある)及び/又はよりきめ細かい角分解能(BSDFの再計算を必要とし、ソフトウェア修正が必要ない場合がある)を含んでもよい。上記した1200セル角度基底及びおおよそ10,000ピクセルの出力表面ピクセル化が、ほとんどの実用的なバックライト設計に対して許容できる結果をもたらすと思われる。バックライト設計の進化は、一般に空間及び一方向不均一からより均一な挙動に移行しているため、本発明者らは、位置及び方向の前記選択の自由が継続し受け入れられることを正当に予想することができる。
シミュレーション例
本発明者らは、ゲイン又はゲイン向上の議論を始める。フィルム又はフィルムスタックの「ゲイン」は、本明細書において、標準の均一な並びにおおよそランベルト放射及び反射表面に適用され主題のフィルム又はスタックを有する方向s^に沿って観察される輝度と、それらを有さない方向s^に沿って観察される輝度との比率として定義される実験に基づいた特性である。この比率及びs^への依存性が、フィルム又はスタックの「ゲインの角度分布」である。
1つの可能な標準放射表面は、本明細書で「ゲイン立方体」と呼ばれる装置の上面である。ゲイン立方体は、その側面寸法が約12.7cm(5インチ)で、拡散白色テフロン(Teflon)(登録商標)材料からなる16mm厚さのサイドパネルと6.7mm厚さの上部及び下部パネルから構成される立方体である。それは、下部パネルを通って立方体内に突出し、約10.2cm(4インチ)下で停止し、上部パネルに向かう6mm直径の繊維束により照明される。繊維束は、標準ハロゲン光源により照明される。ゲイン立方体の上部パネルを通る角度依存放射は、オートロニック−メルチャー社(Autronic-Melchers GmbH)により製造されたコノスコープにより暗室で測定される。コノスコープは、法線から斜め10度内に延在する部分半球の方向に沿った輝度を測定し、約2mm設置面積内の表面から放射される平均輝度に応答する。角度分布は、フィルム又はスタックが存在しない又は存在する状態で測定され、その比率を形成し、ゲインを決定する。
ゲイン立方体は、多くの状況において、フィルム又はスタックの測定されたゲインが、フィルム又はスタックが典型的なバックライトの部分的に透過性の面に適用される際に遭遇する輝度強化(又は悪化)を示すように構成される。
が、その構成要素がゲイン立方体により放射され、本発明者らの角度基底のNセルのそれぞれに対して平均された輝度であるN構成要素列ベクトルを示し、及びR(a)が、上方からの入射の場合のゲイン立方体のBRDFの本発明者らの角度基底におけるマトリックス表現を示す場合、
(b)(1− (a) (b)−1
となる。
ここで、 は、フィルム又はスタックが存在しない状態のを示し、 は、フィルム又はスタックが存在する状態のを示し、 (b)は、下方からの入射の場合のフィルム又はスタックのBSDFのマトリックス表現である。ゲインの角度分布を説明するベクトルは、その構成要素が、 との構成要素の比率であるものである。従って、所定の 及び (a)(ゲイン立方体の特性)、ゲインの角度分布は、 (b)及び (b)(フィルム又はスタックの特性)から演繹することができる。
は、ほとんど全ての実験に基づくゲイン決定の過程で直接測定されてもよい。 (a)は、既知のゲイン立方体プレートの組成、その反射率の測定値、 それ自体、及び最終的に予測と測定ゲイン間の対応関係を使用して評価することができ本発明者らの仮説を誘導する。本発明者らは、ゲイン立方体の上部プレートをg=0.950、ω=1、τ=ホストn=1.20内の400散乱層としてモデル化し、以前にシャープ(Sharp)拡散板に適用されたのと同じ方法を利用してそのBSDFを計算する。 (a)は、上方からの入射の場合のこのBSDFの反射性構成要素である。
本発明者らのモデルは、(1) の観察角度分布に厳密に適合するランベルト入射に対する予測透過放射輝度、(2)測定値を数パーセントだけ超える通常及びランベルト入射の両方に対する予測合計反射率、及び(3)予測と測定ゲイン間の概して良好な対応関係をもたらす。ここで、本発明者らは、高度再循環ゲイン立方体空洞内の到る所で近ランベルト入射を予想できるため項目(1)が期待される。項目(2)は、2mmシャープ(Sharp)拡散板に対して観測される同じ実験の偏りにより説明できる。項目(3)は、本発明者らの推計に対する正確な試験を提供する。
通常他のポリマーを基準にすると低いが、テフロン(Teflon)(登録商標)材料の屈折率は、ホストに対して推定される値n=1.20より有意に大きい。減少した屈折率の選択は、非モデル化の結果(ホスト−空気境界面のランダムな粗さなど)に対する補正又は他のパラメーター値の不正確さの補正を表す場合がある。シャープ(Sharp)拡散板に関して、より正確で網羅的な材料及び光学的なキャラクタリゼーションは、ゲイン立方体パネルのBSDFの決定の利益となる。
図11Aは、強調したビクイティ(Vikuiti)(登録商標)銘柄BEF−II90/50単一シートから空気間隙により根底をなし分離されたシャープ(Sharp)拡散板を有するシミュレートされたフィルムスタックに対して予測されたゲインの角度分布を示す。この結果は、前に記載したように計算された個々の構成要素のBSDFをスタックの (b)及び (b)を決定するように組合せ、次に上記した方法により 及びゲインのベクトルを計算することにより決定された。上向き単位半球上の方向の水平平面内への水平投影の関数として無彩色スケールの形態の不正確な色をゲインの値を示すために使用する。異なる値が、本発明者らの角度基底の1200セルのそれぞれの中に示される。水平(暗灰色)及び垂直(明灰色)参照軸線をプロット上に重ねる。これらの軸線は、中心でゼロから末端部で1の範囲にわたるsin(θ)において直線であるスケールを有する。BEFは、溝がその水平投影が水平参照軸線に沿って横たわる方向と平行となるように向けられる。図11Bは、図11Bのより暗灰色データが水平参照軸線に沿ったゲインに対応し、より明灰色データが垂直参照軸線に沿ったゲインに対応した状態での水平及び垂直参照軸線に沿った図11Aのゲイン値を示す。暗灰色データポイントが明灰色データポイントと同じ値を有する場合(例えば、θ=0の場合、そこでは、図11Aにおいて水平参照軸線が垂直参照軸線と交差する)、1つの棒だけが示されている。図11Bのx−軸線は、図11Aにおけるようなsin(θ)おけるよりむしろθにおいて直線であり、図11Bのx−軸線に沿ったラベルは、以下のように説明すべきである。ラベルの絶対値は、極性角度θであり、負の数は、正の数を基準として180度の方位角φのシフトに相当する。
図11Cは、同じフィルムスタックに対するゲインの測定された角度分布を示す。値は、本発明者らの角度基底でのコノスコープのより高い角分解能からダウンサンプルされ、80度での測定ドメインの縁部から外に斜めに外挿して示されている。外挿した値は、プロットの周辺近くの非常に薄い環を占有し、従って、予想と測定値間の感知される対応関係に有意に影響を及ぼさない。参照軸線が、図11Aにおけるように付与され、図11Cに使用される無彩色スケールの陰影は、図11Aに使用されるものと同じである。図11Bに似て、図11Dは、単位円プロットを通る水平(暗灰色)及び垂直(明灰色)参照軸線に沿った図11Cのゲイン値を示す。測定(図11D)と予測(図11B)間の対応関係は、良好である。
図12A〜Dは、第1シートから間隙により根底をなし分離された強調したビクイティ(Vikuiti)(登録商標)銘柄BEF−II90/50の第2シートを付加することにより得られ、その水平投影がプロットの垂直軸線に沿って横たわる方向と平行なその溝が向けられた(及び従って、下部BEFシートの溝に垂直な)フィルムスタックの類似の比較を示す。尚、無彩色スケールは、この「交差したBEF」の確立したより高い軸線に沿ったゲインを表した図11A及び11Cのものを基準として修正される。再度、測定と予測間の対応関係は良好である。
単一LED試験備品
バックライトシミュレーションの第1の実施例として、本発明者らは、バックライトシステムのシミュレーションの予測を有効にするために構成された単一試験備品を考察する。
この試験備品の内部は、17.8cm(7インチ)幅、12.7cm(5インチ)高さ、2.11cm(0.83インチ)深さの中空空洞である。空洞は、下部表面の中央で8.3mm直径の孔を通って突き出た単一ルクセオン(Luxeon)−I赤色側放射LEDにより照明される。突出部は、LED内包のベースが下部空洞表面と同一平面上にあり、内包の回転対称軸線がこの表面と垂直である。空洞の下部及び4つの側壁は、ビクイティ(Vikuiti)(登録商標)強化鏡面反射板(Enhanced Specular Reflector)(ESR)可視鏡多層光学フィルムで完全にカバーされ、空洞ハウジングを形成する拡散白色プラスチックの内面に積層されている。空洞上部は、バックライトの部分的に透過性の出力面に対応している。第1モデル化構成(「I」)では、シャープ(Sharp)拡散板の上に光学品質の1.5mm厚さのプレートが、出力面に配置されている。第2の構成(「II」)では、面の長い軸線と平行なその溝が向けられたBEF−II90/50のシートが、拡散板とガラスの間(だが光学的に接触していない)に埋め込まれており、第3の構成(「III」)では、短い軸線と平行なその溝が向けられたBEFの第2シートも含まれ、BEFの第1シートの上に横たわっている。従って、備品は、異なるゲイン度を所有する少なくとも3つの出力面の試験を可能にする。ガラスプレートが、BEFのシートを平らに保持するために含まれる、それは、一貫性のためこれらのシートが存在しない状態でも保持される。
ルクセオン(Luxeon)−I赤色側エミッタの放射パターンを測定した。結果は、内包の回転対称軸線と一致する(及びエピ層の平面に上向きに垂直)
Figure 2009518782
を基準としてs^の方位角方向からほぼ独立している装置から遠くに移動された位置で方向s^の光度(単位立体角当たりのルーメン)を示すが、それは、実質的に
Figure 2009518782
により変化し、θ=75近くでその最大値に達する。θの2度容器内の測定値を平均化し、図13Aに示す極性角度依存性のヒストグラム表現をもたらす。縦軸をcosθで示したこのヒストグラムの累積確率分布を図13Bに示す。本発明者らは、通例の点から発射された単位強度光線の集合によりクセオン(Luxeon)−I装置の放射をシミュレートする。各光線の極性角度の余弦は、0〜1の累積確率の均一ランダム値に対して区分線形累積分布を数式的に反転することにより選択される。方位角は、0〜2πの統計的に独立した均一ランダム値として選択される。光線は、空洞の下部表面上約1.6mmの内包内にセンタリングされた点から発射される。
4つの側壁のBSDF及びほとんどの下部表面のそれは、拡散白色プラスチックに積層されたESRのそれである。ESRは、多くの100ナノメートル程度の厚さ、一軸複屈折PENと約5μm厚さのPEN皮膜の間に挟まれた等方性PMMAとの交互層から構成される。正確な層厚さが、可視スペクトル全体を通して入射角及び波長から実質的に独立した高い反射率を提供する。層厚さ、材料の屈折率及び吸収率を仮定し、本発明者らは、ベレマン(Berreman)D.W.、「成層及び異方性媒体の光学;4×4マトリックス定式化(Optics in Stratified and Anisotropic Media; 4 x 4-Matrix Formulation)」、J.Opt.Soc.Am.62巻502〜510頁(1972年)を使用し、任意の入射角と波長及び任意の等方性媒体内からの入射とそれへの透過に対する反射率並びに透過率を計算する。(目標設計厚さを使用しそのように決定された反射率は、通常、製造された製品に対して測定されたものを少々超える。本発明者らは、光学厚さτ=0.005、その中に埋め込まれた並びに入射及び透過媒体に適合した屈折率の非散乱減衰層を付着することによりこれを補正する場合がある。或いは、実際の製品の可変性と関連づけて層厚さ及び材料屈折率のランダムな変化の影響を明確にモデル化してもよい。
屈折率n及びnbの上部と下部媒体間にそれぞれ埋め込まれたESRのマトリックスBSDFは、同じ屈折率の媒体間のフレネル境界面のそれと形態において同じである。非ゼロ要素の値だけが、フレネル反射性及び透過性をスタックのそれらと置き換えることにより変更される。単色の明かりの場合、入射角による所定の平均の積分が、厚い被膜内の交互の形成と破壊の干渉により周期的に変化している。これらが、有限帯域幅又は可変の被膜厚さのいずれかの任意の実際のシステムについてのアーチファクトである。本発明者らは、マトリックス要素を計算するため入射角によって積分する前に10ナノメートル帯域幅にわたって平均することによりそれらを移動する。
空洞の内部を「下」及び外部を「上」と呼ぶと、壁及び下部表面構築体は、(1)屈折率n=1.00の媒体内の光学厚さτ=0.005の非散乱減衰層、基本的な(2)屈折率nb=1.00とn=1.50の媒体間のESRスタック、基本的な(3)屈折率n=1.50の媒体内の光学厚さτ=0.005の非散乱減衰層、基本的な(4)屈折率n=1.50のホスト内のg=0.900、ω=0.9999及びτ=4,000の散乱層、基本的な(5)屈折率nb=1.50とn=1.00の媒体間のフレネルを有する。本発明者らは、屈折率n=1.50のホスト内に拡散白色プラスチックをg=0.9000、ω=0.9999、及びτ=4,000散乱層としてモデル化する。この仕様は、全体的な壁構成体の反射特性に対して主として任意であるばかりでなく大部分は重要でない、というのは、ESRの透過性は、典型的に1パーセント以下だからである。5つの光学経路構成要素のマトリックスBSDFは、壁構成体のBSDFを決定するため組合される。得られたBSDFの4つの構成要素の内下 (b)からの反射率だけがバックライトシミュレーションに関連し、必要である。本発明者らの強調する光源LEDの文脈内で、本発明者らは、それを通してLEDが突出する孔の直径内に完全に吸収されている下部表面を仮定する。(より正確にするため、実際の装置の構造並びに反射及び透過性を詳細に説明してもよい)。従って、孔内の下部表面に当たる全ての光線は、シミュレーションでは停止処理される。ここでそれぞれが最も外側の構成要素として1.5mmガラスプレートを組み入れるが基本的な構成要素と光学的に接触していないことを除いて3つの候補出力面構成体のBSDFは、上記した。従って、前に記載した構成体のBSDFは、(1)屈折率nb=1.00とn=1.50の媒体間のフレネル境界面、基本的な(2)光学厚さτ=0.018の非散乱減衰層、基本的な(3)屈折率nb=1.50とn=1.00の媒体間のフレネル境界面を有する光学経路のものと組合される。ガラスプレートを含むと非常に近接した斜めの視覚を除いて透過放射輝度だけに軽度に影響を及ぼし、それは、ほぼ斜め入射の空気−ガラス境界面の低い透過性により実質的に観察放射輝度を減少させる。出力面BSDFの4つの構成要素のうち、 (b)だけが空洞内の光線追跡を完結し、各ピクセル内に集積された入射ベクトルを決定するのに必要である。下方からの透過率 (b)が、集積された入射のこれらから透過放射輝度のベクトルを計算するため更に必要である。面のピクセル化は、できる限り近いが超過することがない10,000のほぼ正方形ピクセルをもたらすように選択される。12.7×17.8cm(5×7インチ)の出力面の場合、これは、85×117配列で達成される。
光線追跡は、各光線の初期強度の百分の1と等しい閾値強度を使用して行われる。光源光線は、出射光線の累積数が1千万を超えるまで発射される。出射光線は、市販のシリコン・グラフィックス・オクタンワークステーション(Silicon Graphics Octane workstation)で約1.25百万/分の速度で発生させる。従って、各シミュレーションは、10分未満内で完了する。平均で、構成要素毎に約10,000の1200構成要素集積入射ベクトルの1つの出射光線が存在し、そのためこれらのベクトルは、高度の統計的ノズルを示す。しかし、考慮した出力面構成体毎に (b)の行は、多くの非ゼロ構成要素を所有する、従って、集積入射のこれらの重量平均と等しい透過放射輝度のベクトルの構成要素は、はるかに少ない統計的ノズルを示す。本発明者らの予測映像は、1千万出射光線と関連づけられる透過放射輝度の残留ノイズが、面の輝度及び均一性の全ての重要な特徴を不明瞭にしないことを示すことになる。
拡散板
図14Aは、構成Iに関する垂直視覚での試験部品の予測輝度を示す。図14Cは、プロメトリック(ProMetric)CCDカメラによるこの構成に対して測定された輝度を示す。予測又はシミュレーション(図14A)及び測定した(図14C)映像を通例の無彩色スケールで図の左に示す。本発明者らは、映像の中心の「ホットスポット」内及びまわりの本発明者らの無彩色スケールの飽和が、十分なダイナミックレンジを保持し、映像の残部全体を通して輝度の変化を識別するのを可能にする。図14A及び14Cの物理スケール(幅−8.9〜+8.9cm(−3.5〜+3.5インチ)、高さ−6.4〜+6.4cm(−2.5〜+2.5インチ))も同じであるが、測定した映像は、測定限度のため完全に縁部まで行き渡らない。図14Bは、図14Bの暗/明曲線がそれぞれ図14Aの暗/明灰色参照軸線に対応した状態で図14Aに重ねられた中央に配置される水平(明灰色)及び垂直(暗灰色)参照軸線に沿って輝度値をプロットする。示された輝度値の単位は、ニト(ルーメン/m/sr)である。
測定した映像を、350mAに保持されたLED駆動電流により取得し、それは、オプトロニクス(Optronics)OL−770積分球により測定したとき40ルーメンの実際の光束を生成する。LED光束(放射された合計ルーメン)に相当する予測映像は、46ルーメンと等しい。(初期予測映像を1ルーメン光源を仮定してシミュレートし、その結果を46倍し、図14Aに示したものを得た)。値46は、予測及び測定した映像の平均輝度が同じになるように選択される。実際の光束と平均輝度に適合させるのに必要なものとの比較的小さい相違を以下で議論する。40よりも46のスケールファクターが、輝度の予測と測定された空間変化の比較の差を最小にする。
中心の「ホットスポット」以外では、中心からの距離が増加するにつれて主要な特徴は徐々に黒化する。無彩色スケールでは、定量的に識別するのは困難であるが、この特徴は、予測映像で顕著に良好に複製されている。(フルカラーでさらに良好に描画した不正確な色が、輝度の小さい変化を解明する、予測と測定した不正確な色の映像は、顕著に類似している)。緊密な対応関係は、水平及び垂直参照軸線に沿って示された輝度値を比較することによりより容易に理解される。ゼロ近くを除いて予測と測定値は、非常に類似している。
ホットスポット内で測定された輝度は、予測した輝度に比べて僅かに狭いピークと有意に高いピーク値を示す。これが出力面のBSDFを解くために使用される角度基底の分解能のアーチファクトである。マトリックスBSDFは、各セル内の平均放射輝度に対応する、そのため、入射放射輝度がセル内で実質的に変化すると誤りが生じる。1回又は複数回反射及び/又は散乱「拡散」光線は通常そんなに変化しないので、いかなる中間反射又は散乱事象もない「直接経路」入射が可能となる。拡散入射が、ホットスポット内を除いて面のほとんどにわたって直接経路を超え、そこで直接経路入射が、最も強くなる。従って、ホットスポット内でBSDFは、光源のぼやけた「映像」を「見る」。従って、より幅広い浅いピークが存在する。ホットスポットの正確な範囲及びピーク輝度を予測するモデルの失敗にもかかわらず、それは、ホットスポットの存在を正しく示している。この構成体の場合、測定及びシミュレーションは、全ての市販のバックライトに明らかに不十分である均一性を正しく同定している。更に、より均一な輝度を好むバックライトの特徴は、モデリングと観測結果の間でより良い一致をもたらすものでもある。従って、本発明者らの選択が自由なシミュレーションは、許容できない設計のひどい不均一性を正しく同定することができ、輝度及び残留不均一性を許容できるものに正確に定量化することができる。
有意な利点は、任意の観点から見たときの面の輝度及び均一性を単一の組の集積入射ベクトルを使用して迅速に計算する性能である。図15Aは、出力面の長軸と平行な平面内で垂直から65度外れて見たときの構成I試験備品の予測輝度を示す。図15Cは、更に以下に説明するように公称上同じ観点からプロメトリック(ProMetric)CCDカメラにより測定した輝度を示す。(尚、図15A及び15Cの関係回転は、図14A及び14Cと関連し、それにより、例えば、暗灰色参照軸線は、前の図の出力面の長軸と平行であり、後の図の同じ出力面の短軸と平行である)。測定の開口内の測定映像の平均輝度を予測映像のそれと適合させるのに必要な光源の光束は、38ルーメンである。図14Aと14Bの関係と類似して、図15Bは、重ねられた垂直(暗灰色)及び水平(明灰色)参照軸線に沿った図15Aの輝度値を示す。同様に、図15Dは、参照軸線に沿った図15Cの輝度値を示す。
図15Cの測定輝度に使用された視角は、おおよそ60度であったが、その角度の精度は、数度の弧線内で未知であった。不確実であるものとして、本発明者らは、実際の角度を65℃と仮定した、というのは、その角度は、僅かばかりよい測定映像との対応関係を有するシミュレーション映像をもたらすからである。その後のケースで、予測輝度は、視角により迅速に変化し、まさに少しの度だけ実験角度を調整することで実質的に対応関係を改善する。
圧縮された無彩色スケール及び輝度軸線で見られるように、映像は、垂直の視覚のものを基準として全体的な輝度減少を示す。中心ホットスポットに加え主要な特徴は、観測者に最も近い出力面の中心と縁部間の一般増光であり、垂直(暗灰色)軸線に沿った中心のまわりに非対称輝度を生成する。観察者に向かうピーク輝度のシフトは、この非対称を伴う。水平(明灰色)軸線に沿った輝度は、対称であり、中心の「後」の垂直軸線に沿ったものと同等である。測定のこれらの特徴のそれぞれが、予測映像内に適度に良好に複製される。
再び、主要な相違は、ホットスポット内のピーク輝度に関係し、この状況下では、その正確な位置も中心と関係する。両方が、角度基底のアーチファクトである。中心から観察者に向かって垂直参照軸線に沿って移動すると、集積入射ベクトルに対する直接経路寄与は、別個の工程で垂直に近いセルから斜めに近いセルに移動し、(単調に減少した直接経路照射により)一般に減少するが、時折局部的に増加する(放射輝度が平均化されるセルの減少した角度サブテンスによる)。この間に、実験により精査された照明セルと透過セル間の結合は、照明セル及び透過セルが一致し、続いて減少するまで増加する。セルサブテンスを変化する影響がなくても、透過放射輝度は、例え、幅広いドメインにわたっていても単調に増加及びその後減少し、各セルの有限サブテンスのため実際よりもより小さいピーク値に達する。セルサブテンスを変化する影響がなくても、透過放射輝度は、この形を周期的に変化させ、潜在的にピークの位置をシフトしてもよい。1つの前記周期的変化は、図15Bの暗灰色曲線に見ることができる。
BEFを有する拡散板プレート
図16A〜D(垂直角度視覚)及び17A〜D(垂直視覚から65度外れる)は、それぞれ図14A〜D及び15A〜Dと類似しているが、構成IIの試験備品の場合である。
図14及び16の比較は、軸線上視覚に対するBEF単一シートにより提供される約50パーセント輝度強化を示す。尚、この強化は、図16B及び16Dで見られるホットスポット−ピーク輝度内では実現されず、図14B及び14Dのものと同等である。しかし、ホットスポットに近接した強化輝度は、ホットスポットを有効に広げ、その鮮明度を減少させる。前記鮮明度の減少が、測定に関係する予測映像におけるシミュレーションに使用される角度基底の分解能による生じる尖りの全ての人為的減少の影響を再び減少させる。全体的に、予測及び測定映像は、構成Iの場合よりも構成IIの場合によりよく一致する。
この挙動は、十分理解される。構成I構成体による輝度強化は、空洞内の近ランベルト入射に依拠する。交互入射分布の場合の垂直に向いた透過は、ランベルト入射より大きくても又小さくてもよく、50パーセント以外のゲインをもたらす。特に、近垂直入射の透過は、BEFプリズムからの2次元立方体角部反射のため低い。ホットスポットから離れた場合、入射は、拡散寄与により支配され、そしてそれは、近似的にランベルトである。ホットスポット内では、それは、直接経路入射によって支配され、そしてそれは、垂直に近い強いピークに達する。
映像輝度は、垂直から65度外れて見た時非常に効果的に減少する(図17)。シャープ(Sharp)拡散板にBEFを加えたゲインのほぼ6倍の減少(垂直を基準として溝に対して垂直に65度−図11を参照)は、重大である。に責任がある。さて、測定映像は、垂直軸線に沿った中心近くに期待されるもの以外のホットスポットを示す。これらは、予測映像内には存在せず、試験備品の作製により要求される基礎的な対称規則に違反する。本発明者らは、それらを実験「クラッター」(例えば、出力面から反射されるバックグラウンド光線)のせいにし、それらを更なる考察から割り引く。予測及び測定映像の主な特徴は、図15の構成Iのものと同じであり、予測と測定の一致は、ほぼ同じである。
図11は、その水平突出がBEFの溝と平行である方向に沿ったシャープ(Sharp)拡散板にBEFを加えた構成体のゲインがどのようにして90度と60度の間でほぼ一定となり、60度以下の角度の場合急勾配で上がるのかを実証する。実験では、試験備品とカメラは、約2.4m(8フィート)だけ離す、そのため、局部視角が出力面にわたって2度だけ変化する。公称60°の角度で、ピクセルの約半分は、ゲインが険しく上昇するドメインの内部にあり、測定平均輝度に適合するのに必要な光源のモデル化された光束は、ちょうど24ルーメンである。公称60°の角度で、全てのピクセルは、低及び一定ゲイン内に見られ、必要な光束は、37ルーメンで、測定と非常によく一致している。これが、正しい視角として60度よりむしろ65度を選択する本発明者らの決定に関する基底である。
交差BEFを有する拡散板プレート
図18A〜D(垂直角度視覚)及び19A〜D(60度視覚)は、それぞれ図14A〜D及び15A〜Dと類似しているが、構成IIIの試験備品の場合である。
図14及び18の比較は、BEFの交差シートにより提供される2倍を超える軸線上の輝度強度を示す。以前と同じように、この強化は、ホットスポット内で実現されず、更に単一シートにすら関係するホットスポットを広げ予測及び測定映像を今まで考慮されている他のバックライト実施例よりもより密接に一致させる。
出力面の輝度は、軸線から60度外れて見たとき(図19)劇的に減少するが、BEFの単一シートに対するものほど低いレベルではない。交差BEFの場合、垂直の輝度は、実質的により高く、垂直を基準とした60度でのゲインの減少は、(図11B及び12Bの水平追跡に比較して)それほどひどく激しいものではない。図17C〜Dのクラッター出現は、図19C〜Dにはない、というのは、おそらくは、映像輝度が、全てのバックグラウンド光線に打ち勝つのに十分なためである。
軸線から60度外れた予測及び測定映像の対応関係は、例えば他と切り離したシャープ(Sharp)拡散板に対するものと同じである。ホットスポットのピーク輝度は、僅かに予測を下回り、ホットスポットの幅は、予測を上回り、ピークの位置は、予測映像では明確ではない。だが、映像のフォアグランドの黒化に相当する垂直軸線に沿って非対称であるとき全体的な輝度レベルは、水平及び垂直参照軸線の両方に沿って正確である。予測映像の黒化は、映像を通る水平線に対して不連続に発生する。これは角度基底の分解能のまださらに別のアーチファクトである−この線に沿った局部視角は、角度基底の隣接したセル間の境界で発生する。
BEFの単一シートを有する場合のように、交差BEFのゲインは、実質的に60度近辺の視角により変化するが、異なる方法では、増加角度により増加速度で局部的に増加する(図12Bを参照)。60°視角を仮定すると、実際の平均映像輝度に適合させるのに必要な光源の光束は、48ルーメンである。これは、測定光源輝度よりも優位に大きいが、他の映像に対して上記した値の多くと一致する。必要な光源光束は、公称角度の減少により増加し(58°で53ルーメン)、角度の増加により減少する(62℃で45ルーメン)。
ドットプレートを有するシャープ(Sharp)拡散板
試験備品の更なる修正として、出力面での構成要素のスタックを単に変更するものを超えて、本発明者らは、いよいよ構成Iの配列に戻るが、次に出力面及び背部壁と平行に向けられ、これらの表面間の中間深さに位置する空洞内に水平プレートを挿入する。プレートは、空洞をその反射、透過及び散乱特性を「プレート」の構成要素として1つ以上のフィルムを組み入れることにより制御することができる表面により分離された2つの副空洞に有効に分割する。単一構成体、プレートの全範囲にわたる均一性又はより一般的にいくつかの異なる構成体が考慮されてもよく、それぞれプレートのいくつかの異なる副ドメインの1つの上方に広げられ、その結合が、プレート全体を画定する。後者の方法は、空洞内の光源が登録の際に発生する空間的に変化する制御された反射、透過及び散乱の生成を可能にする。登録された制御は、所望の方法で輝度均一性の強化などの面の輝度の空間的な変化に影響を与える強力な設計ツールを提供する。
本発明者らは、17.8×12.7cm(7×5インチ)、2mm厚さの透明なプレキシガラス(Plexiglass)プレートを考察し、その下部表面には、中央にESRフィルムの6.4mm直径の円形の「ドット」を接着剤により付着する。プレートは、その底部方面が、空洞の背部壁の上5.5mm、従って、そこから光源光線が延びるLED内包の中心の点3.9mmであるように位置させる。ESRドットの周辺は、光源点で39度角度の輪郭を示し、その結果ドットは、面に32mm直径の影を投げる。直接経路入射は、この影の内部に除外され、そのため本発明者らは、出力面の中心16mm内にホットスポットを見込むことができない。もちろん、局限された範囲内の直接経路入射の単なる除外は、面全体にわたる透過輝度の均一性を確実にせず、そこで本発明者らは、この特殊なドットプレートの組み入れが、明るいホットスポットが前に存在した暗い影により特徴付けられる他の不均一性をもたらすことができることを示す。
底部副空洞を「下」、上部副空洞を「上」と呼ぶ、中心から3.2mmを超える距離でのドットプレートの構成体は、(1)屈折率nb=1.00とn=1.50の媒体間のフレネル境界面、基本的な(2)光学厚さτ=0.006の非散乱減衰層、基本的な(3)屈折率nb=1.50とn=1.00の媒体間のフレネル境界面を有する。2mmプレキシガラス(Plexiglass)の仮定された光学厚さは、一般に電気記号産業で使用されるより厚いプレキシガラス(Plexiglass)シートの測定垂直入射吸収率から得られる。中心から3.2mm未満の距離で、プレートは、(1)屈折率n=1.00の媒体内に光学厚さτ=0.005の非散乱減衰層、基本的な(2)屈折率nb=1.00とn=1.50の媒体間のESRスタック、基本的な(3)屈折率n=1.50の媒体内に光学厚さτ=0.011の非散乱減衰層、基本的な(4)屈折率nb=1.50とn=1.00の媒体間のフレネル境界面を有する。ESR上面に付着された現象減衰層及びプレキシガラス(Plexiglass)の2mm層内の組合された吸収は、τ=0.011減衰層により表わされる。これらの光学経路構成要素のマトリックスBSDFは、組合され、ドットプレート上の2つの特有のドメイン毎に切り離されたBSDFを決定する。壁と異なり、光線は、ドットプレートから反射してもよいし又はドットプレートを透過してもよい。そして、出力面と異なり、光線は、下方又は上方から入射してもよい。従って、壁又は出力面と異なり、これらのBSDF( (b) (b) (a)及び (a))の4つの構成要素の全てが、バックライトシミュレーションに必要である。
このバックライト、「構成IV」、の光線追跡シミュレーションは、各光線の初期強度の100分の1と等しい閾値強度を使用して再度行われ、光源光線は、出射光線の累積数が1千万を超えるまで再度発射される。だが、このシミュレーションでは、出射光線は、0.50百万/分のより遅い速度で発生させる、従って、それぞれのシミュレーションには、20分を要する。速度の減少は、出力面とそれぞれが遭遇する表面相互作用の平均数の増加による。ドットプレートが存在しない状態では、これは、脊部壁との単一相互作用に脊部及び側壁を包含する不定期な多数の相互作用を加えたものより僅かに大きい。ドットプレートが存在する状態では、この数は、ドットプレート及び脊部壁にこれらの表面との不定期な多数の相互作用を加えたものとの3つ、通常2つの相互作用により近づく。
図20A〜D(垂直角度視覚)は、それぞれ図14A〜Dと類似しているが、構成IV試験備品の場合である。測定映像と図14との比較は、ドットが、ホットスポットを除外するという期待された結果を有するが、あいにくその面に暗いスポットをもたらすことを裏付けている。
シミュレーション又は予測映像は、測定映像には存在しない2種類の空間輝度変化を示す。第1は、3度サブテンス毎に交互明暗ウェッジからなる周期的な方位角変化である。第2は、不均一に空間を置いて配置される明暗の環からなる非周期的な放射状変化である。両方が、ESRドットの影に対して外側の領域に閉じ込められる。これらは、角度基底の分解能のアーチファクトである。
事実上、ドットプレートの存在で出力面に入射する直接経路放射輝度は、存在しない−面に到達する全ての放射輝度は、プレートを通過しなければならない。それにもかかわらず、プレートと1つだけの相互作用により光源から面を通る放射輝度は、実質的な直接経路の特徴を保持する。それは、非常に明るく、排他的に放射状に向けられ、方位角位置から独立している。だが、本発明者らのシミュレーションの場合と同じようにプレートとの相互作用が有限角度基底で説明される場合、この「直接経路」放射輝度は、もはや排他的に放射状でなく方位角から独立していない。代わりに、それは、単に放射状方向でピークに達し、360/N”(=6度)の回転下で不変である。選択された出射セル内の出射光線方向の「ディザリング」が原因である。となると、面の中心まわりに円形に配置される位置で、垂直に透過した放射輝度は、入射セルが、方位角的に直接経路放射輝度内のピークと並ぶ場合は明るく、隣接したセル間の境界がそのように並ぶ場合は暗く、それにより観察された方位角変化が生じる。疑似の放射状変化は、同じ起源であるが、定量的な説明はより難しい。
前記変化が、ユーザーに許容されない場合、1つの療法は、BSDFにより単独で特徴付けられた一般の表面に対して規定されたものと異なる方法でドットプレートとの相互作用を処理することである。具体的には、ドットプレートとの光線の相互作用は、入射方向の水平構成要素を正確に保持することが知られている。それらは、透過と同時に垂直構成要素も保持し、反射と同時にその記号をただ反転する。従って、シミュレーションシステム60は、ディザリングがない状態で入射方向を保持するものとして(垂直構成要素の可能な反転だけで)この表面を処理する。結果を図21A〜Dに示すが、それは、別の方法で図20A〜Dに全く類似している。方位角及び放射状アーチファクトは終了し、シミュレーションと測定の対応関係は、現在非常に良好である。
従って、シミュレーションシステムの一般のソフトウェアの実用化では、BSDF法よりむしろ伝統的なものにより選択された表面を処理する能力を保持することが有用であるかもしれない。そのようにして選択された表面は、それらの構造及び組成物の詳細な説明を必要とする場合があるが、代わりに、BSDF角度基底の分解能に影響されない方法で処理されることになる。場合によっては、放射輝度の直接経路構成要素に影響を及ぼし、まださらに実質的に保持する表面だけが前記の伝統的な処理から利益を得てもよい。前記表面が、ドットプレートなどの比較的簡単で主に非散乱構成体を所有することになると思われる。ユーザーは、その場その場のみシミュレーションソフトウェアでの表面の伝統的な処理を所望するかもしれず、次に主題のバックライトの内部表面領域の一部に対して所望するかもしれない。そうである場合、BSDF法により提供される計算の加速は、極度に損なわれないだろう。
シミュレーション実施例:光源光束
Figure 2009518782
表1は、予測映像の平均輝度を上で議論した7つの理論/実験比較のそれぞれで確認されたものに推計する映像の平均的白色度に適合させるために必要な光源光束値を要約する。理想的には、全てのこれらの値は、同じ及び光源により放射される実際の光束に等しく、本発明者らが推計する値は、40ルーメンである。実際の値は、この理想に対してかなりの散乱を示す。本発明者らは、既に視角に対する軸線外れ値の極端な感度に言及したため本発明者らは、本発明者らの散乱の評価を垂直の値だけに制限し推論することができる。これらは、45ルーメンのそれらの平均値について±10%の偏差を示す。ルクセオン(Luxeon)−I光束の本発明者らの測定は、積分球のポートと概ねぴったり重なった装置により行われた。外側に向けられた半球への放射は、測定のため消滅し、その結果、実際の光束は、40ルーメンを15%ほど越えたおそれがある(図13Bを参照)。従って、45の平均値は、妥当である。残留±10%散乱の起源は、未知である。それは、実験に基づくバラツキを反映しているおそれがある。例えば、LEDの出力は、きわどく瞬間的な駆動電流とその履歴、それが装置の温度に影響を及ぼす限りにおいて後者に依存することが知られている。瞬間的な値を撮像時注意深く制御するが、本発明者らは、履歴の詳細な計量を有していない。或いは、それは、不正確な理論説明を反映してもよい。全ての構成要素の正確なキャラクタリゼーションを開発するため最善の努力が行われたが、不正確さは確かに残る。これらの正味の影響は、バックライト構成体により変わることを見込まなければならない。
他の光学システム
バックライト以外の光学システムは、本明細書に記載したBSDF手法を使用しシミュレーションすることができる。例えば、上記した米国特許出願11/290767は、有機発光ダイオード(OLED)の設計及び評価にその手法をどのように使用することができるかを教示している。
従来の密閉ないしは別の方法でパッケージ化された発光ダイオード(LED)は、この手法でもシミュレーションすることができる。この観点から、「発光ダイオード」又は「LED」は、可視光線、紫外線、赤外線のいずれであれ光線を放射するダイオードを指す。それは、従来型又は超放射型の種類にかかわらず、「LED」として販売されている非干渉性封入又は密閉型半導体デバイスを含む。LEDが紫外線などの非可視光線を放射する場合、及びそれが可視光線を放射するいくつかの場合では、それは、パッケージ化され、蛍光体を包含し(又は、遠隔配置蛍光体をを照明してもよい)、短波長光線をより長波長可視光線に転換し、ある場合には、白色光線をを放射する装置をもたらすことができる。「LEDダイ」は、最も基本的な形態、すなわち半導体加工手順によって製造される個々の構成要素又はチップの形態のLEDである。例えば、LEDダイは、通常、1つ以上のIII族元素及び1つ以上のV族元素(III−V半導体)の組合せから形成される。好適なIII−V半導体物質の例としては、窒化ガリウムなどの窒化物類、インジウムリン化ガリウムなどのリン化物が挙げられる。他の種類のIII−V物質も、周期表の他の族からの無機物質として使用することができる。構成要素又はチップは、デバイスに電圧を加えるための電力の適用に適した電気接点を含むことができる。例としては、ワイヤボンディング、テープ自動ボンディング(TAB)又はフリップチップボンディングが挙げられる。構成要素又はチップの個々の層及びその他の機能的要素は、通常、ウェハスケールで形成された後、仕上がったウェハは個々の小片部に切られて、多数のLEDダイとなることができる。LEDダイは、面実装、チップ・オン・ボード又は他の既知の実装構成に構成されてもよい。いくつかのパッケージ化LEDは、LEDダイ及び関連反射器カップ上にポリマー内包を形成することにより作製される。LEDダイは、多くの場合疑似ランベルト放射パターンを有し、LEDダイ内で生成された光線の多くは、ダイ表面での全内部反射によりトラップされる。
典型的にガラス又はセラミックから構成され、しばしば「エキストラクタ」と呼ばれる高屈折率光学要素は、LEDダイからトラップされた光線のより多くを結合するためLEDダイの放射表面に固着ないしは別の方法で密接な光学接触を行うことができる。1つ以上のエキストラクタを有するLEDは、LEDダイとエキストラクタの両方を取り囲む封入樹脂を含んでもよい。同一出願人による米国特許出願2006/0091411(オウダーカーク(Ouderkirk)等)、名称「高輝度LEDパッケージ(High Brightness LED Package)」、米国特許出願2006/0091784(コナー(Connor)ら)、名称「不固着光学要素を有するLEDパッケージ(LED Package with Non-Bonded Optical Element)」、米国特許出願11/381324(リザデール(Leatherdale)ら)、名称「集束光学要素を有するLEDパッケージ(LED Package with Converging Optical Element)」、(2006年5月2日申請)、及び米国特許出願11/381518(リザデール(Leatherdale)ら)、名称「高屈折率ガラスから構成されるLEDエキストラクタ(LED Extractor Composed of High Index Glass)」(2006年5月3日申請)を参照する。
多くのLED装置では、LEDダイは、光学的に透明及び電気導電性基材上に配置される発光エピタキシャル層(「エピ層」)から構成され、LEDダイは、第1平面電極上にエピ層下に定置され、電極は、第1外部電気的接続に接続される。ワイヤボンドを介して第2外部接続に接続される物理的により小さい第2電極を、エピ層に対向するLEDダイ側基材の一部(現在、「スーパーストレート」と呼ぶことができる)に付着する。外部接続間に電圧が加えられると、電流が、LEDダイを通って流れ、エピ層内の光学頻度、通常エピ層の組成物により決定される特定の深さで電気双極子放射を発生させる。単独又はより頻度多く形成光学透明内包内に浸漬されるにせよこの構造体が、LED装置の実施例である。
そのようなLED装置の構成要素部分の寸法は、典型的に、(1)電極は、光学的に厚く、光線は通過できない、(2)エピ層は、包含した光線の干渉処理を必要とするため十分に薄い(ミクロン単位)が無限水平長さの積層媒体であるように十分な横方向長さ(百ミクロン単位)を有する、(3)スーパーストレートは十分に厚く(千ミクロン単位)包含した光線の非干渉説明を可能にし無限水平長さの別の層よりも三次元構造体であるように十分に限定された水平長さ(百ミクロン単位)を有し、(4)存在すれば内包は、各寸法が十分に大きく包含した光線の非干渉説明を可能にし、通常三次元構造体として処理が必要なアスペクト比を有するものである。
これらの考察は、均一屈折率及び減衰(スーパーストレート)の第1三次元領域のようなLED装置モデル説明を示唆し、その中で光照射野は、光線追跡シミュレーションにより決定され、均一屈折率及び減衰(存在すれば内包)の第2三次元領域内に埋め込まれた放射輝度の分布として計算することができ、その中で光照射野は、単位屈折率及びゼロ減衰(空気)の第3無限領域内に埋め込まれた光線追跡シミュレーションによっても計算することができ、その中で光照射野は、非減衰直線経路伝搬を使用してモデル化することができる。第1領域は、光源光線が放射され、領域内に均一に分布される、上に横たわる半無限透明媒体(スーパーストレート)内の無限水平長さの層、半無限不透明媒体(第1電極)の上に横たわる無限水平層内に、電気双極子により放射された放射輝度の干渉計算により決定された角度分布及び単位面積当たりの強度を有し、1つの平面境界(スーパーストレート−エピ層境界面)を所有する。この境界からの光線の反射は、半無限不透明媒体(第1電極)の上に横たわる無限水平長さ(エピ層)の層の半無限透明媒体(スーパーストレート)内から入射の鏡面反射率の干渉計算により決定される。全ての他の境界面(第1及び第2領域の間、及び第2及び第3領域の間)での光線の反射及び透過は、通常、例えば、光学的に平滑な表面のフレネル反射及び透過により要求される従来の光線追跡シミュレーションのよく知られた方法により決定することができる。放射強度などのLED装置の放射特性、すなわち無辺際で装置を取り巻く球体上に落ちる単位面積当たりの強度は、光線追跡シミュレーションにより計算できる。光源放射の必須の角度分布及び単位面積当たりの強度並びにスーパーストレート−エピ層−電極構造体の必須の反射率を決定できる技術が、上記した米国特許出願番号11/290767により完全にOLED装置放射モデリングの文脈で記載されている。
この方法によって、LED装置放射のシミュレーションは、バックライト放射、特に固体ライトガイドを含むバックライトのそれと類似している。両シミュレーションは、比較的高い屈折率領域内に含有され、実質的に全内部反射によりトラップされ、空気に占有された外部無限媒体内に逃げる光線を包含する。バックライトなどの光学システムのシミュレーションをおびただしく加速する本明細書に記載されたシステム及び技術は、従ってLED装置のシミュレーションを加速するためにも使用することができる。
例えば、LED装置の効率は、しばしばスーパーストレート(基材)の高屈折率により厳しく制限される。エピ層によりスーパーストレート内に放射される光線は、かなりの程度スーパーストレート−内包又はスーパーストレート−空気境界面で全内部反射(TIR)によりスーパーストレート内にトラップされ、最終的に逃げる前にスーパーストレート内に穏和な減衰により吸収される。LED装置の効率を増加させる提案された方法は、この境界面で部分的にTIRを壊し、光線が周囲の媒体に逃げるのを促進するようにスーパーストレート表面を何らかの方法で粗面化ないしは別の方法で修正することを包含する。この表面が光学波長と比較して大きい寸法で粗面化される場合、性能は、追跡光線により依然として評価できるが、現在では、複雑に置換された(単純な平面よりむしろ)表面により行われている。伝統的なシミュレーションの計算時間は、複雑な表面を説明するのに必要な切り子面の数が増えるに従って増加することになる。BSDFベースのシミュレーションの計算時間は、本質的に表面の複雑さから独立したままでスーパーストレート領域の簡単な平面形状内の追跡光線に必要なものと等しくなる。表面が波長と等しい又はより小さい寸法で粗面化される場合、表面の光線相互作用は、開示したBSDF法を使用することによってのみ評価することができる。もちろん、BSDF法は、装置内にもたらされる表面毎のBSDFの事前の計算を必要とする場合があり、本発明者らは、多数の異なる種類の表面に関して上記議論の中で説明した。同様に、BSDF光線追跡法は、ナノ構造化表面、フォトニック結晶構造及びリンコーティングなどの他の種類の表面に広げることができ、それは、LED装置、バックライトシステム又は他の光学システムで行われてもよい。
本明細書に記載したシステム及び方法の全ては、任意の所望のコンピュータ言語を使用し、従来のコンピュータシステムで行うことができ、そのシステムは、中央演算処理装置(CPU)、記憶装置、ネットワーク、駆動装置、入力装置、及び出力装置(LCD表示又は類似の表示装置)を含んでもよい。システム及び方法は、磁気ディスク、光学ディスク、ハード駆動機構、フラッシュ駆動機構又は任意の現在既知若しくは更に開発される機械可読媒体などの機械可読媒体に格納されたコード又は指示の組に埋め込むこともできる。
特に指示しない限り、本明細書及び請求の範囲で使用される形状、量及び物理的性質を表す全ての数は、「約」という用語によって修飾されることを理解されたい。したがって、特に指示しない限り、本明細書及び請求の範囲に記載される数値パラメーターは、本願明細書において開示される教示を利用している当業者によって得られようとしている所望の性質によって変更可能である近似値である。
本明細書に詳述したような発明及びその用途の記載は、説明のためであって、発明の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に開示した実施形態の変更及び修正は可能であり、実施形態の種々の要素の実行可能な代替及び等価物は、この特許書類の検討と同時に当業者には理解されるであろう。本明細書に開示した実施形態のこれら及び他の変更並びに修正は、発明の範囲と精神を逸脱することなく行うことができる。
図面において、同じ参照符号は、同じ要素を示す。
バックライトシステムの概略断面図であり、図は、システムによる従来の光線追跡も示す。 図1のバックライトシステムと同じ操作特徴を有するシミュレートされたバックライトシステムの概略断面図であり、図は、シミュレートされたバックライトシステムによるシミュレーション光路も示す。 バックライトシミュレーションシステム及びその構成要素又はモジュールのブロック図。 図3のバックライトシミュレーションシステムに使用可能なフィルムライブラリの操作及びレイアウトを示すブロック図。 図3のバックライトシミュレーションシステムに使用可能な光源ライブラリの操作及びレイアウトを示すブロック図。 図3のバックライトシミュレーションシステムに使用可能なスタック評価器の操作及びレイアウトを示すブロック図。 図3のバックライトシミュレーションシステムに使用可能なバックライトシミュレータの操作及びレイアウトを示すブロック図。 光線の方向をキャラクタライズするための単位円の等面積分割を示す図。 代表的な発光ダイオードからの放射パターンのプロットである。 反射された放射輝度の相当する予測分布である。 図10Aのダウンサンプル表現である。 特定の拡散板プレートの透過放射輝度の測定及び予測角度分布のプロットである。 図10Cのダウンサンプル表現である。 ビクイティ(Vikuiti)(登録商標)輝度強化フィルム(Brightness Enhancement Films)(BEF)の上に横たわる拡散板プレートの予測ゲインの単位円上の階調プロットである。 図11Aの単位円の選択された直径に沿ったゲイン値のプロットである。 ビクイティ(Vikuiti)(登録商標)輝度強化フィルム(Brightness Enhancement Films)(BEF)の上に横たわる拡散板プレートの測定ゲインの単位円上の階調プロットである。 図11Cの単位円の選択された直径に沿ったゲイン値のプロットである。 図11Aと類似しているが、BEFプリズム型フィルムの2つの交差シートの上に横たわる拡散板プレートの場合である。 図11Bと類似しているが、BEFプリズム型フィルムの2つの交差シートの上に横たわる拡散板プレートの場合である。 図11Cと類似しているが、BEFプリズム型フィルムの2つの交差シートの上に横たわる拡散板プレートの場合である。 図11Dと類似しているが、BEFプリズム型フィルムの2つの交差シートの上に横たわる拡散板プレートの場合である。 横放射LEDの測定放射パターンのプロットである。 図13Aの放射パターンの放射の累積分布である。 図10に関連して記載した拡散板プレートを利用したバックライトの垂直視覚での代表的な試験備品の予測映像の階調プロットである。 図14Aの映像を通る垂直の線経路に沿った輝度値のプロットである。 図10に関連して記載した拡散板プレートを利用したバックライトの垂直視覚での代表的な試験備品の測定映像の階調プロットである。 図14Cの映像を通る垂直の線経路に沿った輝度値のプロットである。 図14の試験備品の予測映像の階調プロットであるが、法線から65度離れた視角の場合である。 図14Bと類似している。 図14の試験備品の測定映像の階調プロットであるが、法線から65度離れた視角の場合である。 図14Dと類似している。 垂直視角でBEFプリズム型フィルムの1つのシートと組合せた拡散板プレートを包含するバックライトの予測映像の階調プロットである。 図14Bと類似している。 垂直視角でBEFプリズム型フィルムの1つのシートと組合せた拡散板プレートを包含するバックライトの測定映像の階調プロットである。 図14Dと類似している。 図16Aと類似しているが、法線から65度離れた視角の場合である。 図16Bと類似しているが、法線から65度離れた視角の場合である。 図16Cと類似しているが、法線から65度離れた視角の場合である。 図16Dと類似しているが、法線から65度離れた視角の場合である。 図16Aと類似しているが、BEFプリズム型フィルムの追加のシートがBEFプリズム型フィルムの第1シートに対して交差した方向のバックライトに加えられている。 図16Bと類似しているが、BEFプリズム型フィルムの追加のシートがBEFプリズム型フィルムの第1シートに対して交差した方向のバックライトに加えられている。 図16Cと類似しているが、BEFプリズム型フィルムの追加のシートがBEFプリズム型フィルムの第1シートに対して交差した方向のバックライトに加えられている。 図16Cと類似しているが、BEFプリズム型フィルムの追加のシートがBEFプリズム型フィルムの第1シートに対して交差した方向のバックライトに加えられている。 図18Aと類似しているが、法線から60度離れた視角の場合である。 図18Bと類似しているが、法線から60度離れた視角の場合である。 図18Cと類似しているが、法線から60度離れた視角の場合である。 図18Dと類似しているが、法線から60度離れた視角の場合である。 内部ESRドットプレートを有するガラスの上に横たわる拡散板プレート面を使用したバックライトに関する垂直視覚での試験備品の予測映像の階調プロットである。 図14Bと類似している。 内部ESRドットプレートを有するガラスの上に横たわる拡散板プレート面を使用したバックライトに関する垂直視覚での試験備品の測定映像の階調プロットである。 図14Dと類似している。 ドットプレートが完全に鏡面としてモデル化されたときの内部ESRドットプレートを有するガラスの上に横たわる拡散板プレートを使用したバックライトに関する垂直視覚での試験備品の予測映像の階調プロットである。 図14Bと類似している。 ドットプレートが完全に鏡面としてモデル化されたときの内部ESRドットプレートを有するガラスの上に横たわる拡散板プレートを使用したバックライトに関する垂直視覚での試験備品の測定映像の階調プロットである。 14Dと類似している。 代表的なゲイン強化スタックの概略断面図。 代表的な壁構成体の概略断面図。 放射伝達式を解くための用語を定義するのに使用される2つの公称平面構造の概略断面図。

Claims (32)

  1. 複数個の光学要素を含む光学システムをシミュレートする計算機実施法であって、
    少なくとも第一要素と関連する第一確率関数を取得する工程であって、前記第一確率関数は、セル値が入射方向と出射方向の異なる組合せに対応する第一マトリックスにより表現される、取得工程と、
    前記第一確率関数を使用する前記光学システムを通じて光線を追跡する工程とを含む、方法。
  2. 前記第一確率関数が、少なくとも前記第一要素と関連する双方向散乱分布関数(BSDF)である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第一確率関数が、前記第一要素と少なくとも1つの他の要素の双方と関連するBSDFである、請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも第二要素と関連する第二確率関数を取得する工程を更に含み、前記第二確率関数は、セル値が入射方向と出射方向の異なる組合せに対応する第二マトリックスにより表現されており、
    前記追跡工程も前記第二確率関数を使用する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記取得工程が、前記光学システムにおける複数個の要素のために、確率関数を取得する工程を含み、前記追跡工程が、前記取得した確率関数の各々を使用して光線を追跡する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記取得工程が、前記光学システムを含む実質的に全ての要素のために、確率関数を取得する工程を含み、前記追跡工程が、前記取得した確率関数の各々を使用して光線を追跡する、請求項1に記載の方法。
  7. 複数個の光学要素を含む光学システムをシミュレートする計算機実施法であって、
    前記光学システムの第一要素の第一確率関数を取得する工程と、
    前記光学システムの第二要素の第二確率関数を取得する工程であって、前記第二確率関数は前記第一確率関数と異なる、取得工程と、
    少なくとも前記第一及び前記第二確率関数を使用して、組合わされた確率関数を計算する工程と、
    前記組合わされた確率関数を使用し、前記光学システムを通じて光線を追跡する工程とを含む方法。
  8. 前記第一確率関数、前記第二確率関数及び前記組合わされた確率関数が、全て双方向散乱分布関数(BSDF)である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第一確率関数、前記第二確率関数及び前記組合わされた確率関数を、それぞれ少なくとも1つのマトリックスにより数学的に表現し、前記少なくとも1つのマトリックス内のセル位置が入射方向及び出射方向を表す、請求項7に記載の方法。
  10. 前記セル位置でのセル値が、前記入射方向を有する入射光線を、前記出射方向を有する出射光線に変換する確率に比例する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記計算工程が、計算時間を減少させるため対称を使用する工程を含む、請求項7に記載の方法。
  12. 前記第一確率関数を確率関数のライブラリから呼出す、請求項1又は7に記載の方法。
  13. 前記第一確率関数を計算する、請求項1又は7に記載の方法。
  14. 光源の放射パターンを取得する工程を更に含み、
    前記追跡工程が、前記光学システムを通じて前記光源からの少なくとも相当量の光線を追跡することを含む、請求項1又は7に記載の方法。
  15. 光学システムをシミュレートする計算機実施法であって、
    前記光学システムの出力平面への光線を追跡する工程と、
    前記追跡した光線から情報を収集し、前記出力平面に入射する光線の空間的及び指向性情報を包含する第一データベースを作成するための収集工程と、
    確率関数を前記出力平面と関連づける工程と、
    前記出力平面を出射する光線のために、空間的及び指向性情報を包含する第二データベースを、前記確率関数及び前記第一データベースの関数として計算する工程とを含む、方法。
  16. 前記確率関数が、前記光学システムの少なくとも1つの要素と関連する双方向散乱分布関数(BSDF)である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記BSDFが、フィルムスタックと関連する、請求項16に記載の方法。
  18. 前記追跡工程が、前記光学システムの少なくとも1つの要素のために、少なくとも1つの双方向散乱分布関数(BSDF)を使用して光線を追跡することを含む、請求項15に記載の方法。
  19. 前記光学システムが、前記出力平面でのフィルムスタック及び光源を有し、
    それぞれの双方向散乱分布関数(BSDF)により表現するのに好適である前記フィルムスタック内の光路の複数個の構成要素を同定する工程と、
    前記構成要素のBSDFを取得する工程と、
    前記フィルムスタックのBSDFを前記構成要素のBSDFから計算する工程であって、前記フィルムスタックのBSDFは、前記出力平面と関連する前記確率関数である計算工程と、
    前記光源の数学的説明を取得する工程とを更に含み、及び
    前記追跡工程が、それの前記数学的説明に従って前記光源から前記出力平面まで光線を追跡し、
    前記第二データベースが、前記出力平面上の位置の関数として放射輝度を表わす、請求項15に記載の方法。
  20. 前記BSDFの取得工程が、BSDFのライブラリから少なくとも1つの構成要素の前記BSDFを選択することを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記光源の数学的説明の取得工程が、光源説明ライブラリから前記光源の数学的説明を選択することを含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記フィルムスタックのBSDF計算工程が、前記構成要素のBSDFのマトリックス表現から前記フィルムスタックのBSDFを計算する工程を含み、前記計算工程が、前記マトリックス表現の少なくとも相当量において物理的及び/又は電磁的な相互対称も利用する、請求項19に記載の方法。
  23. 前記構成要素のBSDF及び前記フィルムスタックのBSDFが、上方からの反射を表す第1マトリックス、上方からの透過を表す第2マトリックス、下方からの反射を表す第3マトリックス、及び下方からの透過を表す第4マトリックスによって、それぞれ数学的に表現される、請求項19に記載の方法。
  24. 前記第1、2、3及び4マトリックスの全てが、入射方向を表す第一寸法及び出射方向を表す前記第一寸法に垂直な第二寸法を有し、
    前記4つのマトリックス内の各項目が、入射方向に入射する光線が出射方向で出射することになる確率密度を表す、請求項23に記載の方法。
  25. 前記構成要素のBSDF及び前記フィルムスタックのBSDFが、位置依存性である、請求項19に記載の方法。
  26. フィルムスタック、光源、及びライトボックスを有する光学システムをシミュレートする計算機実施法であって、
    複数個の異なる種類のフィルムに関するBSDFの第一ライブラリを設定する工程と、
    複数個の異なる種類の光源に関する放射パターンの第二ライブラリを設定する工程と、
    有意な長手方向の光伝搬を包含する前記光学システムの第一部分及び有意な長手方向の光伝搬を包含しない前記光学システムの第二部分を同定する工程と、
    前記第二部分に対応する前記第一ライブラリからBSDFを選択する工程と、
    前記選択したBSDFから1つのBSDFを計算する工程と、
    前記光学システムの前記光源を同定する工程と、
    前記同定した光源に対応する前記第二ライブラリから放射パターンの1つを選択する工程と、
    前記ライトボックスの形状を規定する工程と、
    前記ライトボックス内の前記光源の位置を規定する工程と、
    前記光源から前記ライトボックス内の複数個のバウンスを通過して前記フィルムスタックへ光線入射するまでの複数個の光線を追跡する工程と、
    位置依存性の放射輝度分布を得るために、前記1つのBSDFからの出射光線位置及び角度並びに前記フィルムスタックへの前記光線入射の統計分析を実施する工程とを含む方法。
  27. 前記ライトボックス形状規定工程が、
    有意な長手方向光線伝搬を包含しない前記ライトボックスの形体を同定する工程と、
    前記ライトボックスの前記同定した形体に対応する前記第一ライブラリからBSDFを選択する工程とを含み、
    前記光線追跡工程が、
    第一の複数個の光線を前記光源から前記ライトボックス形体への光線入射まで追跡する工程と、
    前記形体入射光線及び前記形体のBSDFから、前記ライトボックス形体のために中間の位置依存性放射輝度分布を得る工程と、
    前記ライトボックス形体から前記フィルムスタックまでの第二の複数個の光線を追跡する工程であって、前記第二の複数個の光線は前記中間の位置依存性放射輝度分布の関数であり、前記フィルムスタックへの前記光線入射は、前記第二の複数個の光線である、追跡工程とを含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記光学システムが、発光ダイオード(LED)を含む、請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
  29. 前記光学システムが、バックライトである、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
  30. 前記追跡工程で追跡した光線から前記光学システムの輝度を計算する工程を更に含む、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 前記計算した輝度を出力装置に表示する工程を更に含む、請求項30に記載の方法。
  32. 計算機システムで請求項1〜31のいずれかに記載の方法を実施するための指示を包含する機械可読媒体。
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