以下、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置、及びファクス通信プログラムについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るファクシミリ装置としての複合機の内部構成の概略を示すブロック図である。
第1実施形態に係る複合機1は、制御ユニット100と、画像読取部110と、画像メモリー120と、画像形成部130と、ファクシミリ通信部140とを有する。
画像読取部110は、原稿を読み取って原稿画像を取得するスキャナー等を備える。画像読取部110は、例えば原稿載置台上の原稿や、搬送されてくる原稿の画像を読み取るスキャナー、及び読取済の原稿を排出する排出機構を有するADF(Auto Document Feeder)である。画像読取部110は、データ取得部の一例であり、ファクス送信の対象とされる原稿を1枚ずつ読み取ることで、ファクス送信の対象とするデータとして、各頁の原稿のデータ(原稿画像)をその頁情報と共に頁単位で取得する。なお、後述する通信インターフェイス160により、複合機1にネットワーク接続されているパーソナルコンピューター等から取得された各頁の原稿のデータもファクス送信の対象とされる。従って、通信インターフェイス160もデータ取得部の一例である。
画像メモリー120は、画像読取部110によって読み取られた原稿のデータ、ファクシミリ通信部140又は通信インターフェイス160により取得されたファクシミリ送信の対象となるデータ等、画像形成部130の印刷対象となるデータを一時的に保存する領域である。画像メモリー120は、画像読取部110によって取得された各頁の原稿のデータを一時的に記憶する記憶部として機能する。
画像形成部130は、画像読取部110によって読み取られた原稿のデータや、ファクシミリ通信部140により公衆回線を通じて他のファクシミリ装置から受信されたデータ等であって、画像メモリー120に記憶されているデータを読み出し、当該データを用いて画像形成(印刷)を行う。
ファクシミリ通信部140は、ファクシミリ通信に必要な諸機能を実行し、公衆回線を通じて外部のファクシミリ装置との間で画像データを送受信する。例えば、制御部101は、ファクス送信用に画像読取部110により読み取られて画像メモリー120に一時的に記憶されている各頁の原稿のデータを頁順に読み出して、ファクシミリ通信部140に、ユーザーによる操作部47の操作で指定された相手先のファクシミリ装置に向けてファクス送信させる。
さらに、複合機1は、画像読取部110が読み取った画像の編集及び加工処理等を行う画像処理部190を有している。画像処理部190は、画像読取部110による読取で得られた原稿画像をなす各頁のデータのファクス送信時に、計時部170によって計測された送信時刻を示す時刻画像を生成して、各頁のデータに合成する。当該ファクス送信時刻の計時及び時刻画像の合成は各頁のデータについて行われる。
また、複合機1は、ネットワーク接続された他のパーソナルコンピューターやサーバーとの間で各種データの通信を行うための通信インターフェイス160とを有している。
制御ユニット100は、CPU、ROM及びRAM等からなり、複合機1の全体的な動作を司る。制御ユニット100は、制御部101と、時刻変更部102と、時刻修正部103と、判定部104とを備えている。なお、HDD又は図略のROMに複合機1のファクス通信プログラムが記憶されており、制御ユニット100は、当該ファクス通信プログラムに従って動作することにより、時刻変更部102、時刻修正部103、及び判定部104として機能する。但し、時刻変更部102、時刻修正部103、及び判定部104は、当該ファクス通信プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されるものとしてもよい。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
制御部101は、複合機1の全体的な動作を司る。
時刻変更部102は、予め定められた条件に従って、計時部170が計時する時刻を変更する。時刻変更部102は、例えば、(1)サマータイム制を導入している場合のサマータイム時刻と非サマータイム時刻間での時刻変更、(2)計時部170による計時時刻の修正(例えば、NTPサーバーによる時刻の自動調整等)の場合に、計時部170により計時される時刻を変更する。なお、NTP(Network Time Protocol)サーバーは、正確な標準時刻を持つサーバーであり、複合機1をNTPサーバーに接続することにより、複合機1において計時される時刻をNTPサーバーの持つ時刻に設定する。複合機1は、当該NTPサーバーと接続して時刻を時刻変更部102により調整する機能を有している。
また、「予め定められた条件」とは、(1)計時部170による計時日時がサマータイム導入開始時刻に至る、又は(2) 計時部170による計時日時が上記NTPサーバーによる時刻の自動調整を行う時刻に至る、等である。
時刻修正部103は、ファクシミリ通信部140による通信相手先へのファクス送信中に、時刻変更部102が上記のように時刻を変更したとき、当該ファクス送信の対象とされる全頁のデータに合成される時刻画像の生成に画像処理部190が用いる時刻を、当該変更前後のいずれかの時刻に統一する処理を行う。時刻修正部103は、上記時刻画像の生成に用いられる時刻を、当該変更前後のいずれかの時刻に整合した時刻とする。当該整合した時刻の定義については、後述する。
例えば、(a)時刻修正部103は、ファクス送信中に時刻変更部102が時刻を変更したときに、当該ファクス送信の相手先が時刻画像を差し換え可能な差し換え機能を有すると判定部104により判定された場合には、既に送信済みの頁のデータについての時刻画像を、変更後の時刻に整合する時刻から生成された時刻画像に変更する変更指示を、当該生成された時刻画像と共に当該相手先に送信することにより、上記時刻の統一を行う。
或いは、(b)時刻修正部103は、ファクス送信中に時刻変更部102が時刻を変更したときに、当該ファクス送信の相手先が上記差し換え機能を有しないと判定部104により判定された場合には、画像処理部190が時刻画像の生成に用いる時刻を、変更前の時刻に整合する時刻とすることにより、上記時刻の統一を行う。
判定部104は、相手先となるファクシミリ装置が、受信した各頁のデータに含まれる時刻画像を差し換え可能な差し換え機能を有するか否かを判定する。例えば、判定部104は、ファクス送信時に相手先から返信されるファクシミリ制御信号、例えば、オプション機能を表す非標準機能識別信号としてのNSF信号に基づいて、相手先のファクシミリ装置が上記差し換え機能を有するかを判定する。上記のように、時刻修正部103は、判定部104による判定結果に基づいて、上記(a)(b)のいずれかによる時刻統一処理を行う。
また、複合機1は、操作部47及び表示部150を備える。操作部47は、画像形成又は送信スタートキー、テンキー及び短縮番号キー等からなり、操作者から各種操作指示、本実施形態でいえば、例えば、上記時刻を変更する指示や、時刻統一処理の実行指示等の入力を受け付ける。
表示部150は、操作者への操作案内等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等からなる。なお、この表示部150がタッチパネル機能を備えることにより、操作部47として操作者からの各種操作指示を受け付けるようにしてもよい。
次に、複合機1とファクス送信の相手先となるファクシミリ装置とのファクス通信処理を説明する。図2は、複合機1とファクス送信の相手先となるファクシミリ装置とのファクス通信処理を示す図である。
送信側としての複合機1はそのファクシミリ通信部140が(以下、当該ファクス通信処理の説明において単に複合機1という)、ユーザーによる操作部47の操作で入力されるファクス送信指示(すなわち、ファクス送信ジョブ)に基づくダイヤリングにより発呼し、CNG信号を送信して、相手先のファクシミリ装置に対して、複合機1がファクシミリ通信を行うファクシミリ装置であることを通知する(♯1)。
相手先のファクシミリ装置はそのファクシミリ通信部が(以下、当該ファクス通信処理の説明において単に相手先ファクシミリ装置という)が、受信側として上記CNG信号を受信すると、当該相手先ファクシミリ装置はこれに対する応答信号としてのCED信号と、オプション機能を表す非標準機能識別信号としてのNSF信号と、受信側の装置機能(CCITT仕様等)を知らせるDIS信号を複合機1に送り返す(♯2)。なお相手先ファクシミリ装置が上記差し換え機能を有する場合には、当該相手先ファクシミリ装置は、差し換え機能を有することを示す情報をNSF信号に付加した上で、NSF信号を複合機1に返信する。
CED信号及びDIS信号を相手先ファクシミリ装置から受信した複合機1は、当該複合機1のセットアップデータ(CCITT仕様等)を知らせるDCS信号と、モデムトレーニング用のTCF信号とを、相手先ファクシミリ装置に対して送出する(♯3)。
上記DCS信号及びTCF信号を受信した相手先ファクシミリ装置は、受信成功を示すCFR信号を複合機1に返信する(♯4)。
送信側としての複合機1が当該CFR信号を受信すると、当該ファクス送信ジョブでファクス送信対象とする第1頁目のデータ(PIX)を、相手先ファクシミリ装置に対して送信する(♯5)。さらに、複合機1は、ファクス送信の対象とする他頁のデータが存在する場合は、他頁のデータが存在することを示すMPS信号を相手先ファクシミリ装置に送信する。
受信側としての相手先ファクシミリ装置では、受信した第1頁目のデータ(PIX)を画像メモリーに一時的に記憶させる。そして、相手先ファクシミリ装置は、第1頁目のデータを正しく受信したことを示すMCF信号を複合機1に対して返信する(♯6)。
複合機1は、相手先ファクシミリ装置からMCF信号を受信すると、ファクス送信の対象とする次頁のデータがある限り次頁のデータ(PIX)及びMPS信号を相手先ファクシミリ装置に送信する。この場合、相手先ファクシミリ装置では、受信した頁のデータ(PIX)を画像メモリーに一時的に記憶させてMCF信号を複合機1に返信する♯6の処理を繰り返す。以降、複合機1がファクス送信の対象とする全頁のデータを相手先ファクシミリ装置に送信完了するまで、♯5及び♯6の処理が繰り返される。
そして、複合機1が、ファクス送信の対象とする最終頁のデータ(PIX)を相手先ファクシミリ装置に送信したときは、データ送信を終了することを示すEOP信号を相手先ファクシミリ装置に送信する(♯7)。相手先ファクシミリ装置は、上記最終頁のデータを受信したことを示すMCF信号を複合機1に返信する(♯8)。
複合機1は、EOP信号を送信した後に、相手先ファクシミリ装置から上記MCF信号を受信すると、相手先ファクシミリ装置にDCN信号を送信して回線を遮断する(♯9)。
次に、第1実施形態に係る複合機1によるファクス送信処理を説明する。図3は、第1実施形態に係る複合機1によるファクス送信処理を示すフローチャートである。図4(A)はファクス送信の対象とされる各頁の画像の例を示す図、図4(B)は新たな生成される時刻画像としてのヘッダー画像の例を頁毎に示す図である。図5は相手先ファクシミリ装置において各頁のデータの内容が変更される様子を示す図である。図6は第1実施形態に係る複合機1とファクス送信の相手先となるファクシミリ装置とのファクス通信処理を示す図である。
例えば、ユーザーが画像読取部110の原稿載置台にファクス送信の対象とする原稿をセットし、複合機1の操作部47を操作して送信相手先のファクシミリ番号及びファクス送信指示を入力すると、制御部101にファクス送信ジョブが受け付けられる。制御部101は、当該ファクス送信ジョブの実行を開始する(S1)。すなわち、図2に示した♯1から♯9に到る処理が開始される。制御部101は、計時部170に現在時刻の計時を開始させる(S2)。制御部101は、上記ファクス送信ジョブの実行開始に伴って、画像読取部110を駆動させ、セットされた上記原稿の読取を開始させる(S3)。画像読取部110による読取で得られた原稿各頁のデータは逐次に画像メモリー120に記憶される。
画像処理部190は、当該各頁のデータがファクス送信される時に計時部170に計時されている時刻t1を用いて時刻画像を生成し、この時刻画像を、画像メモリー120に記憶されている各頁のデータであって、当該ファクス送信の対象とされる頁のデータに合成する(S4)。
続いて、ファクシミリ通信部140は、上記時刻画像が合成された頁のデータを、上記相手先にファクス送信する(S5)。
上記ファクス送信中、時刻変更部102は、計時部170により計時される上記時刻t1が予め定められた条件に適合するか否か、例えば上述した(1)又は(2)に該当するかを判断している(S6)。
ここで、時刻変更部102は、上記時刻t1が予め定められた条件に適合すると判断した場合(S6でYES)、計時部170により計時される時刻を、例えば上記サマータイム時刻t2、又はNTPサーバーによる時刻の自動調整後の時刻t2に変更する(S7)。すなわち、時刻変更部102は、画像処理部190が上記時刻画像の生成に用いる時刻を、上記変更後の時刻t2に変更する。
続いて、計時部170は、上記変更後の時刻t2に基づく時刻の計時T2を開始し、これと共に、上記変更前の時刻t1に基づく時刻の計時T1を開始する(S8)。
そして、判定部104は、当該相手先のファクシミリ装置からファクシミリ通信部140が受信したファクシミリ制御信号(例えばNSF信号)に、差し換え機能を有することを示す情報があるか否かを判断することで、相手先のファクシミリ装置が差し換え機能を有するかを判定する(S9)。
ここで、判定部104が、当該相手先のファクシミリ装置が上記差し換え機能を有する対応機であると判定した場合(S9でYES)、時刻修正部103は、既にファクス送信済みの各頁のデータを送信した時のそれぞれの時刻txを、計時部170が計時している上記変更後の時刻t2に基づく計時T2で得られる時刻から逆算して得られる時刻txに変更し、画像処理部190は、当該時刻txを示す時刻画像を各頁のデータについて生成する(S10)。
そして、時刻修正部103は、当該ファクス送信の相手先に対して、上記S10で生成された各頁についての時刻画像と、当該相手先側からみて既に受信済みの各頁のデータにおける時刻画像部分を、当該S10で生成された時刻画像のうちの対応する頁の時刻画像に変更させる変更指示とを送信する(S11)。
判定部104により相手先のファクシミリ装置が対応機であると判定されている場合であって、例えば、図4(A)に示すように、複合機1により頁数5頁の原稿の画像を相手先にファクス通信する場合において、第1頁から第3頁までの各頁のデータについては、それまで計時部170が計時していた時刻t1を示す時刻画像が合成され、当該第1頁から第3頁のデータがファクシミリ通信部140により相手先にファクス送信された後、サマータイム導入時刻の到来を計時部170が計時して、時刻変更部102が時刻t1をサマータイム導入後の時刻t2に変更したとする。
このとき、時刻修正部103は、計時部170により計時される当該変更後の時刻t2が、画像処理部190により時刻画像の生成に用いられるように設定する。これにより、例えば、それまで計時部170により計時されていた時刻t1が14時台であり、変更後の時刻t2がサマータイムの実施により1時間遡って13時台となった場合は、図4(A)に示すように、既に送信された各頁のデータにおいてファクス送信時刻を示す時刻画像であるヘッダーは、本来、第1頁目が2013/10/20 14:01、第2頁目が2013/10/20 14:01、第3頁目が2013/10/20 14:02となり、上記時刻変更後にファクス送信の対象となる第4頁目のヘッダーは2013/10/20 13:03、第5頁目のヘッダーは2013/10/20 13:04となる。
本実施形態では、このとき、時刻修正部103が、上記変更後に計時される時刻t2から、サマータイムにより遡る1時間分逆算して得られる時刻txを、既に送信済みの第1頁から第3頁のデータに合成される時刻画像の生成に用いられるように設定する。図4(B)に示すように、画像処理部190は、上記逆算により得られる各頁送信時の時刻txを用いて、第1枚目から第3枚目までの各頁のデータについてのヘッダーを新たに生成し、第1頁目のヘッダー画像h1を2013/10/20 13:01、第2頁目のヘッダー画像h2を2013/10/20 13:01、
第3頁目のヘッダー画像h3を2013/10/20 13:02とする。
そして、時刻修正部103は、ファクシミリ通信部140を介して、当該新たに生成された第1頁目〜第3頁目のヘッダー画像(時刻画像)を送信し、さらに、既に相手先に受信されている各頁のヘッダー画像を当該新たに生成されたヘッダー画像に変更する変更指示を、当該相手先のファクシミリ装置に送信する。
これにより、図5に示すように、相手先のファクシミリ装置においては、送信側としての複合機1から受信した上記変更指示に従って、既に受信しており画像メモリーに記憶させていた第1頁目〜第3頁目の各頁のデータ(図5中段)におけるヘッダー画像部分を、送信側としての複合機1から受信した上記第1頁目〜第3頁目のヘッダー画像h1, h2, h3(図5上段)に変更する処理を行う。これにより、第1枚目から第3枚目までの各頁のデータは、図5下段に示すように、第1頁目のヘッダー2013/10/20 13:01、第2頁目のヘッダー2013/10/20 13:01、第3頁目のヘッダー2013/10/20 13:02に変更される。
これにより、複合機1により頁数5頁の全ての頁のデータに付加されるヘッダーが示す時刻が、サマータイム導入後の時刻に整合した時刻、すなわち、上記変更後の新たな時刻に整合した時刻に統一される。なお、時刻変更部102により、NTPサーバーによる時刻の自動調整が行われる場合も同様である。
なお、このときのファクス通信では、複合機1のファクシミリ通信部140は、図6に示すように、S10で生成された時刻画像に基づく上記変更処理を行うためのデータ送信を開始する旨を示す開始信号を相手先ファクシミリ装置に送信する(♯11)。
相手先ファクシミリ装置は、上記開始信号を受信すると、複合機1に対して確認メッセージを返信する(♯12)。
複合機1は、上記確認メッセージを相手先ファクシミリ装置から受信すると、上記変更処理の内容を示す変更信号を送信する(♯13)。なお、上記開始信号及び変更信号が上記変更指示を構成する。
続けて、複合機1は、当該変更処理に用いるデータである、S10で生成された各頁についての時刻画像を、相手先ファクシミリ装置に対して送信する(♯14)。
相手先ファクシミリ装置では、受信した時刻画像のデータ(PIX)を画像メモリーに一時的に記憶させてMCF信号を複合機1に返信する処理が行われる(♯15)。
上記のように送信済みの各頁についての上記時刻画像及び変更指示の送信がファクシミリ通信部140により完了されると、次頁のデータについてのファクス送信のための処理が開始される(S13でYES,S4〜S12。なお、S12は後述)。
一方、判定部104が、当該相手先のファクシミリ装置が上記差し換え機能を有しない(対応機ではない)と判定した場合(S9でNO)、時刻修正部103は、S7での時刻変更前の時刻t1に基づく計時T1による時刻を、S7での時刻変更の後に画像処理部190が上記時刻画像の生成に用いる時刻としても設定する(S12)。これにより、S7での時刻変更の後にファクス送信の対象とされる次頁以降のデータには、上記時刻t1に基づく計時T1による時刻を示す時刻画像が合成される。
図7は、相手先ファクシミリ装置において受信される各頁のデータの内容の例を示す図である。例えば、図7に示すように、判定部104により相手先のファクシミリ装置が対応機ではないと判定されている場合であって、上記と同様に、複合機1により頁数5頁の原稿を相手先にファクス通信する場合であって、第1頁から第3頁までの各頁のデータについては、それまで複合機1に設定されていた時刻t1を示す時刻画像が合成され、当該各頁のデータがファクシミリ通信部140により相手先にファクス送信された後、時刻変更部102により他の時刻に変更されたとする。例えば、既に送信された各頁のデータにおいてファクス送信時刻を示す時刻画像であるヘッダーが、本来、第1頁目が2013/10/20 14:01、第2頁目が2013/10/20 14:02、第3頁目が2013/10/20 14:03とする。
上記時刻変更によりサマータイムが導入されて1時間だけ時刻が早まったとすると、例えば、これからファクス送信の対象となる第4頁目のヘッダーは2013/10/20 13:03、第5頁目のヘッダーは2013/10/20 13:04となる。
しかしながら、本実施形態では、この場合、時刻修正部103は、画像処理部190に、変更前の時刻t1に基づく計時T1で得られる時刻を、画像処理部190が時刻画像の生成に用いる時刻に設定する。画像処理部190は、第4枚目及び第5枚目の各頁のデータについてのヘッダーを当該計時T1で得られる時刻を用いて新たに生成し、これからファクス送信の対象となる第4頁目のヘッダー2013/10/20 14:03、第5頁目のヘッダー2013/10/20 14:04となるように、新たに生成した時刻画像を各頁のデータに合成する。
これにより、複合機1により頁数5頁の全ての頁のデータに付加されるヘッダーが示す時刻が、サマータイム導入前の時刻に整合した時刻、すなわち、上記変更前の新たな時刻に整合した時刻に統一される。なお、時刻変更部102により、NTPサーバーによる時刻の自動調整が行われる場合も同様である。
なお、上記S6において、時刻変更部102は、計時部170により計時される時刻t1が予め定められた条件に適合しないと判断した場合(S6でNO)、S7〜S12は行われず、処理はS13に移り、次にファクス送信の対象とされる頁のデータの処理が行われる。すなわち、次にファクス送信の対象とされる頁のデータについては、上記時刻画像の生成及び合成がされることなく現在時刻t1を用いて時刻画像が生成され、当該生成された時刻画像が次頁のデータに合成される。
そして、ファクシミリ通信部140により画像メモリー120に記憶されている全ての未送信の頁のデータがファクス送信され、画像メモリー120に未送信の各頁のデータが記憶されていない状態となったとき(S13でNO)、当該ファクス送信ジョブが終了する。
このように、第1実施形態に係る複合機1によれば、時刻修正部103は、ファクス送信中に時刻変更部102が上記のようにして時刻を変更したときに、当該ファクス送信の相手先が対応機であると判定部104により判定されれば、既に送信済みの頁のデータについての上記時刻画像を、変更後の時刻を示す時刻画像に変更する変更指示を当該相手先に送信するので、相手先のファクシミリ装置においては、時刻変更後の送信時刻に整合した時刻画像を有する原稿各頁の画像が得られる。
また、第1実施形態に係る複合機1によれば、ファクス送信中に時刻変更部102が時刻を変更したときに、当該ファクス送信の相手先が対応機ではないと判定部104により判定された場合には、時刻修正部103は、画像処理部190が時刻画像の生成に用いる時刻を、変更前の時刻とするので、相手先のファクシミリ装置においては、時刻変更前の送信時刻に整合した時刻画像を有する原稿各頁の画像が得られる。
すなわち、上記第1実施形態に係る複合機1によれば、ファクシミリ通信部140による相手先へのファクス送信中に、時刻変更部102が時刻を変更したとき、時刻修正部103は、当該ファクス送信の対象である全頁のデータに合成される時刻画像の生成に用いる時刻を、当該変更前後のいずれかの時刻に整合した時刻に統一するので、相手先のファクシミリ装置においては、時刻変更後の原稿各頁の画像に付される送信時刻と、時刻変更前の送信時刻とが整合した時刻画像を有する原稿各頁の画像が得られる。
なお、第1記実施形態にかかる複合機1によれば、上記判定部104を備え、判定部104による判定結果に応じて、S10及びS11の処理の両方か、或いはS12が行われるが、複合機1としては、判定部104を有さず、S10及びS11を行うものであってもよいし、S12の処理を行うものであってもよい。また、後述する第2実施形態に係る複合機1、及び以下に示す各ファクス送信処理においても同様である。
次に、第1実施形態に係る複合機1におけるファクス送信処理の他の例を説明する。図8は、第1実施形態に係る複合機1におけるファクス送信処理の他の例を示すフローチャートである。なお、図3に示したファクス送信処理における処理と同様の処理は説明を省略する。
このファクス送信処理では、時刻変更部102が、計時部170により計時される時刻t1が上述した条件に適合すると判断し(S26でYES)、画像処理部190が時刻画像の生成に用いる時刻を他の時刻に変更させたとき(S27)、時刻修正部103は、当該変更により採用される新時刻t2が、当該変更前の時刻t1よりも早くなるか否かを判断する(S29)。
ここで、時刻修正部103が、新時刻t2が変更前の時刻t1よりも早くなると判断した場合に(S29でYES)、判定部104による判定結果に応じて(S30)、時刻統一処理であるS31及びS32(図3におけるS10及びS11と同様)、又はS33(図3におけるS12と同様)が行われる。
一方、時刻修正部103が、新時刻t2が変更前の時刻t1よりも早くならないと判断した場合は(S29でNO)、時刻修正部103は、画像処理部190が上記時刻画像の生成に用いる時刻を新時刻t2に設定する。この場合、S30〜S33の処理は行われず、処理はS34に移る。
これにより、相手先のファクシミリ装置において受信された各頁のデータについて、先に受信した頁のデータに付されている時刻画像の示す時刻よりも、後に受信した頁のデータに付されている時刻画像の示す時刻の方が早い時刻となって、受信された各頁の画像を視認したユーザーが、各頁のデータの受信時刻の把握に混乱を生じるおそれが高い場合に上記時刻統一処理が行われ、先に受信した頁のデータに付されている時刻画像の示す時刻と、後に受信した頁のデータに付されている時刻画像の示す時刻との先後関係が矛盾しておらずユーザーが混乱を生じ難い場合は、上記時刻統一処理が行われない。このため、ユーザーの混乱防止に真に貢献する場合に限定して、上記時刻統一処理を行うことが可能になる。
次に、第1実施形態に係る複合機1におけるファクス送信処理の更に他の例を説明する。図9は、第1実施形態に係る複合機1におけるファクス送信処理の他の例を示すフローチャートである。なお、図3又は図8に示したファクス送信処理における処理と同様の処理は説明を省略する。
このファクス送信処理では、時刻変更部102が、計時部170により計時される時刻t1が上述した条件に適合すると判断し(S46でYES)、画像処理部190が時刻画像の生成に用いる時刻を他の時刻に変更させたとき(S47)、時刻修正部103は、時刻変更部102による時刻変更の前後で生じる時間差が予め定められた値よりも大きいか否かを判断する(S49)。
例えば、時刻変更部102による変更前の時刻t1と、変更後の時刻t2との時間差が、予め定められた値(所定値)としての例えば1分よりも大きいか否かを、時刻修正部103が判断する。
ここで、時刻修正部103が、時刻変更部102による時刻変更の前後で生じる時間差が上記予め定められた値よりも大きいと判断した場合に(S49でYES)、判定部104による判定結果に応じて(S50)、時刻統一処理であるS51及びS52(図3におけるS10及びS11と同様)、又はS53(図3におけるS12と同様)が行われる。
一方、時刻修正部103が、時刻変更部102による時刻変更の前後で生じる時間差が上記予め定められた値よりも大きくならないと判断した場合は(S49でNO)、時刻修正部103は、画像処理部190が上記時刻画像の生成に用いる時刻を新時刻t2に設定する。この場合、S50〜S53の処理は行われず、処理はS54に移る。
これにより、相手先のファクシミリ装置においては、時刻変更部102による時刻の変更前後での時間差が大きく、ファクスを受信したユーザーが各頁のデータについての受信時刻に混乱を生じるおそれが高い場合に上記時刻統一処理が行われるものとし、先に受信した頁のデータに付されている時刻画像の示す時刻と、後に受信した頁のデータに付されている時刻画像の示す時刻とが比較的接近しておりユーザーが混乱を生じ難い場合は、上記時刻統一処理が行われない。このため、ユーザーの混乱防止に真に貢献する場合に限定して、上記時刻統一処理を行うことが可能となる。
次に、第2実施形態に係る複合機1を説明する。図10は、第2実施形態に係る複合機1の電気的構成の概略を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
第2実施形態に係る複合機1は、制御ユニット100に、更に、時刻変更指示受付部105と、時刻統一指示受付部106とを更に備えている。
時刻変更指示受付部105は、ユーザーによる操作部47の操作に基づいて、当該ユーザーから上記時刻を変更する時刻変更指示を受け付ける。
時刻統一指示受付部106は、ユーザーから上記の時刻統一処理の実行を指示する時刻統一指示を受け付ける。この「時刻の統一処理」とは、上述した(i)図3におけるS10及びS11、(ii)図3におけるS12について、(i)(ii)の両方、又は(i)(ii)の少なくとも一方である。
第2実施形態にかかる複合機1では、時刻修正部103は、時刻統一指示受付部106に時刻統一指示が受け付けられたときに、上記時刻統一処理を実行する。
さらに、制御部101が表示制御部として機能し、当該制御部101は、時刻変更指示受付部105にユーザーから時刻変更指示が受け付けられたときに、時刻の統一処理を行うことが可能な旨を表示部150に表示させる。
なお、第2実施形態に係る複合機1の場合も、HDD又は図略のROMに記憶されたファクス通信プログラムに従って制御ユニット100が動作することにより、制御ユニット100は、時刻変更部102、時刻修正部103、及び判定部104に加えて、表示制御部としての制御部101と、時刻変更指示受付部105と、時刻統一指示受付部106として機能する。但し、時刻変更部102、時刻修正部103、判定部104、表示制御部としての制御部101、時刻変更指示受付部105、及び時刻統一指示受付部106は、当該ファクス通信プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されるものとしてもよい。
次に、第2実施形態に係る複合機1におけるファクス送信処理を説明する。図11は、第2実施形態に係る複合機1におけるファクス送信処理を示すフローチャートである。なお、図3、図8、又は図9に示したファクス送信処理における処理と同様の処理は説明を省略する。
第2実施形態に係る複合機1におけるファクス送信処理では、時刻変更部102が、計時部170により計時される時刻t1が予め定められた条件に適合しないと判断したときであっても(S66でNO)、ユーザーによる操作部47の操作に基づいて、時刻変更指示受付部105が当該ユーザーからの上記時刻変更指示を受け付けたときは(S73でYES)、時刻変更部102が、画像処理部190により時刻画像の生成に用いられる時刻を他の時刻に変更させる(S74)。このとき、制御部101は、図12に例を示すように、時刻の統一処理を行うことが可能な旨、例えば、各頁のデータに付される時刻画像を、上記時刻変更の前後のいずれかの時刻に整合させた時刻を示す時刻画像に統一可能な旨を、表示部150に表示させる(S75)。
ここで、ユーザーによる操作部47の操作に基づいて、例えば、図12に示す表示画面D1の実行ボタンB1をユーザーが押下してタッチパネル機能により時刻統一指示が入力され、時刻統一指示受付部106が当該時刻統一指示を受け付けると(S76でYES)、処理はS69に移る。すなわち、判定部104による判定結果に応じて(S69)、時刻統一処理であるS70及びS71(図3におけるS10及びS11と同様)、又はS72(図3におけるS12と同様)が行われる。
なお、S73において時刻変更指示受付部105が、ユーザーからの上記時刻変更指示を受け付けない場合と(S73でNO)、S76において時刻統一指示受付部106が時刻統一指示を受け付けない場合は(S76でNO)、処理はS77に移る。
この実施形態によれば、ユーザーからの指示に基づいて時刻変更を行う場合に、当該ユーザーが、各頁データに付される時刻画像を、上記時刻変更の前後のいずれかの時刻に整合して一貫性を有するものとするか、上記時刻変更により計時されるそのままの時刻を示す時刻画像が各頁データに付されるようにするかを選択することが可能になる。
また、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。図1乃至図12を用いて上記各実施形態に示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の構成及び処理はこれに限定されるものではない。